説明

1個の携帯機で複数車両を選択可能なキーレスシステム

【課題】1つの携帯機で複数の車両を管理することのできる、安全性の高く、かつ利便性に優れたキーレスシステムを提供する。
【解決手段】携帯機が複数の車両のIDおよび携帯機IDを記憶する携帯機メモリ10−1,10−2,10−3を備えており、ユーザが選択手段11により予め所望の車両を特定することにより、その車両に対応するIDが該携帯機メモリ10−1,10−2,10−3から読み出されて携帯機の認証用メモリ14に記憶される。次に、携帯機が、車両から発信される車両IDを携帯機の認証用メモリ14に記憶されている認証用車両ID15により認証すると、認証された車両IDに対応する認証用携帯機ID16を車両に対し発信する。それぞれの車両は、特有の車両IDと携帯機IDを有しているので、携帯機から発信された携帯機IDを有する車両のみが、携帯機から発信された携帯機IDを認証することができる。そして、このように認証できた車両のみが、解錠する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1個の携帯機を用いて複数車両の操作を選択可能とするキーレスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザが1個の携帯機(キー)のスイッチを操作することにより、発信されるワイヤレス信号を車両側で受信し、当該ワイヤレス信号に含まれるIDを車両側に登録されたIDと照合することで、車両のドアロックの施錠や解錠、あるいはエンジンスタートなどの所定の制御を行うキーレスシステムが知られている。
【0003】
近年では、車両側の送受信機と携帯機との間で間欠的に双方向通信を行い、携帯機のIDコードを認証することで正当なユーザの車両への接近を検出し、車両のドアロックを解除する等のいわゆるパッシブタイプのキーレスシステムも提案されている。このタイプのキーレスシステムでは携帯機のスイッチ操作が不要となり、ユーザの利便性が向上する。
【0004】
ところで、ユーザが複数の車両を管理する場合、使用する車両に応じて複数の携帯機から対応する携帯機を選択しなければならず利便性が悪くなるので、1個の携帯機で複数の車両を管理する要請がある。
【0005】
このような1個の携帯機で複数の車両を管理する要請に対応すべく、パッシブタイプのキーレスシステムでは、車両側のID記憶手段に複数の車両側IDを登録しておき、携帯機から受信した携帯機側IDが正規なIDであることが認証され、一定時間内に、ユーザが目的とする車両の車両ドアにタッチするなどの所定のユーザ操作が検出された場合に、解錠がなされるシステムが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、1個の携帯機で複数の車両を管理する別の手法として、ユーザが、目的とする車両に設定されたキー操作回数に対応して、携帯機のキー操作を複数回行い、それぞれの車両に設定されたキー操作回数を受信した車両が解錠する、いわゆるアクティブタイプのキーレスシステムも提案されている。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開2005−307480号公報
【特許文献2】特開2004−68447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したパッシブタイプのキーレスシステムを用いたものでは、正規のIDを認証する車両が複数個存在することとなるため、ユーザが意図しない車両に対し、一定時間以内であれば、第三者は車両ドアにタッチすることにより侵入することが可能であり、安全性に乏しい。また、上述したアクティブタイプのキーレスシステムを用いたものでは、車両を使用する度ごとに、所望する車両に対応する操作を複数の操作の中から正確に選択し、その操作を実行しなければならないため、利便性に乏しい。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、1つの携帯機で複数の車両の管理が可能であり、第三者に対し安全で、ユーザにとって利便性の良いキーレスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するため、携帯機が、個々の車両にそれぞれ設定される車両IDおよび該車両IDに対応する携帯機IDを記憶する携帯機メモリと、前記携帯機メモリから所望の車両の前記車両IDおよび前記携帯機IDを選択する選択手段とを備え、前記個々の車両が、前記個々の車両にそれぞれ設定される前記車両IDおよび前記携帯機IDを記憶する車両メモリを備えて、1つの前記携帯機で複数の前記車両を管理するキーレスシステムであって、前記個々の車両が、前記車両IDを発信する車両ID発信手段を備え、前記携帯機が、前記車両ID発信手段によって発信された前記車両IDを受信する車両ID受信手段と、前記車両ID受信手段によって受信した前記車両IDが前記選択手段により選択された前記所望の車両の前記車両IDであるか否かを認証する車両ID認証手段と、前記車両ID認証手段により認証した前記車両IDに対応した前記携帯機IDを発信する携帯機ID発信手段とを備え、前記個々の車両が、更に、前記携帯機ID発信手段によって発信された前記携帯機IDを受信する携帯機ID受信手段と、前記携帯機ID受信手段によって受信した前記携帯機IDが前記車両メモリに記憶された前記携帯機IDであるか否かを認証する携帯機ID認証手段と、前記携帯機ID認証手段によって前記携帯機IDを認証した車両がその認証結果に基づいて所定の制御を行う車両制御手段とを備えることを特徴とするキーレスシステムを提供する。
【0010】
このように構成したことにより、本発明は、1つの携帯機で複数の車両を管理するに際し、1つの携帯機が前記複数の車両の車両IDおよび携帯機IDを有し、更に前記複数の車両のそれぞれがその車両を特定する車両IDと共に携帯機IDを有しているので、ユーザが所望する車両のみが携帯機を認証することができ、第3者に対し安全であると共に、ユーザは所望の車両にアクセスする度に操作する必要がないため、利便性に優れるキーレスシステムを提供することができる
【0011】
また、本発明は、前記携帯機が、所望の車両に対するアクティブ動作を選択するアクティブ動作スイッチ手段を有しており、前記アクティブ動作スイッチ手段の操作により、前記携帯機ID発信手段が、前記認証用メモリに記憶された前記所望の車両の前記携帯機IDを発信することを特徴とするキーレスシステムを提供する。
このように構成することにより、本発明は、アクティブ動作スイッチ手段を選択することにより確実に当該車両のみと交信することもできるので、より安全性に優れるキーレスシステムを選択することが可能となる。
【0012】
更に、本発明は、前記個々の車両が、当該車両を前記所望の車両として予め設定するための登録動作モード設定手段を有しており、前記所望の車両の前記登録動作モード設定手段の操作により、前記所望の車両の前記車両IDが前記認証用メモリに予め登録されることを特徴とするキーレスシステムを提供する。
このように構成することにより、本発明は、所望の車両の特定を間違うことなく携帯機における携帯機IDと車両IDの設定を行うことが可能になる。
【0013】
また、本発明は、前記選択手段により選択される車両IDおよび携帯機IDを、直近において選択されたものとしたり、あるいは使用頻度の高い車両に対応するものとしたり、さらには初期値として設定されたものとすることを特徴とするキーレスシステムを提供する。
このように構成することで、本発明は、車両選択の利便性に優れたキーレスシステムを提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るキーレスシステムによれば、1つの携帯機で複数の車両を管理するに際し、1つの携帯機が前記複数の車両の車両IDおよび携帯機IDを有し、更に前記複数の車両のそれぞれがその車両を特定する車両IDと共に携帯機IDを有しているので、複数の車両のIDコードからユーザが所望する車両のIDコードが選択され携帯機に事前に設定されることにより、ユーザが所望する車両のみが携帯機を認証することができ、第3者に対し安全であると共に、ユーザは所望の車両にアクセスする度に操作する必要がないため、利便性に優れるキーレスシステムを提供することができる。
【0015】
また、本発明に係るキーレスシステムによれば、携帯機がアクティブ動作を選択するアクティブ動作スイッチ手段を更に備えるため、該アクティブ動作スイッチ手段を使用することにより当該車両のみと交信することで、より安全性に優れるキーレスシステムを選択することが可能となる。
【0016】
また、本発明のキーレスシステムによれば、個々の車両が当該車両を所望の車両として予め設定するための登録動作モード設定手段を更に備えるため、実際に所望する車両を選択してその車両の該登録動作モード設定手段を使用することにより、所望の車両の特定を間違うことなく携帯機における携帯機IDと車両IDの設定を行うことが可能になる。
【0017】
さらに、本発明に係るキーレスシステムによれば、携帯機が機能するに先立って、予め所望の車両を選択する選択手段により選択される携帯機IDおよび車両IDを、直近において使用した車両のものとしたり、あるいは直近の一定期間において使用頻度の高い車両のものとしたり、さらには予め初期設定してある車両のものとすることで、車両選択の利便性に優れたキーレスシステムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0019】
図1は、本発明の実形態1に係るキーレスシステムの構成図である。図2は、本発明の実施形態1に係るパッシブタイプの動作を行うキーレスシステムのフロー図である。図3は、本発明の実施形態2および3に係るキーレスシステムの構成図である。図4は、本発明の実施形態2に係るアクティブタイプの動作を行うキーレスシステムのフロー図である。図5は、本発明の登録動作モード設定手段によるID登録のためのフロー図である。
【0020】
まず、実施形態1について説明する。
図1に示すように、本発明は、複数の車両(本実施形態では、車両A、車両B、車両Cとする)を1つの携帯機によって操作することの出来るキーレスシステムである。
それぞれの車両は、当該車両に固有の車両IDが付与され、該車両IDを記憶する車両メモリ1を有している。該車両IDは、該車両を認証するための車両コードであり、車両Aには車両IDV1が、車両Bには車両IDV2が、車両Cには車両IDV3が付与されている。そして、前記車両メモリ1には、前記車両IDV1に対応して、携帯機を認証するための携帯機コードである携帯機IDH1が該車両IDV1と共に記憶される。同様に、他の車両の車両メモリ1にも、当該車両に特有の車両IDに対応した携帯機IDが記憶される。
【0021】
また、それぞれの車両は、当該車両の車両メモリ1に記憶された車両IDを携帯機に向けて発信する車両ID発信手段2と、携帯機から発信される携帯機IDを受信する携帯機ID受信手段3とを含む車両側送受信手段4を有しており、該車両側送受信手段4により携帯機との間でID信号等の送受信を行う。更にそれぞれの車両は、前記携帯機ID受信手段3により受信した携帯機ID信号を当該車両の車両メモリ1に記憶された携帯機IDによって認証する携帯機ID認証手段5と、該携帯機ID認証手段5による認証結果に基づいて当該車両のドア鍵駆動手段6等を制御する車両制御手段7を有しており、これらはいずれもそれぞれの車両に設けられた車両側マイコン8に備えられている。
【0022】
一方、携帯機は、当該携帯機が管理する複数の車両の前記車両メモリ1に記憶された車両IDおよび携帯機IDを、それぞれ車両別に記憶する携帯機メモリ10−1、携帯機メモリ10−2、携帯機メモリ10−3を有している。携帯機メモリ10−1には、前記車両メモリ1に記憶されたと同様に、車両ID1と携帯機ID1とが記憶され、携帯機メモリ10−2には車両ID2と携帯機ID2が、携帯機メモリ10−3には車両ID3と携帯機ID3がそれぞれ記憶されている。
【0023】
また、携帯機は、前記携帯機メモリ10−1〜3から、所望の車両の車両IDおよび携帯機IDを選択するスイッチを有する選択手段11を備えている。ユーザが該選択手段11を操作して所望の車両を選定すると、携帯機に設けられた携帯機側マイコン12が、前記携帯機メモリ10−1〜3の中から該所望の車両に対応する携帯機メモリを選択し、該携帯機メモリに記憶されている車両IDおよび携帯機IDを当該携帯機の認証用メモリ14に認証用車両ID15および認証用携帯機ID16として記憶するように構成されている。
【0024】
更に、携帯機側マイコン12は、前記認証用メモリ14に記憶された認証用車両ID15を用いて、車両から発信される車両ID信号を認証する車両ID認証手段13を有している。
また、携帯機は、ID信号を車両との間で送受信するため、車両から発信される車両IDを受信する車両ID受信手段17と、認証用メモリ14に記憶された認証用携帯機ID16等の携帯機IDを車両に向けて発信する携帯機ID発信手段18とを有する携帯機側送受信手段19を備え、該携帯機側送受信手段19により、車両との間でID信号等を送受信する。
【0025】
次に、この実施形態1のキーレスシステムにおいて、携帯機が管理している複数の車両(車両A,車両B、車両C)が携帯機の周りの交信可能範囲に位置し、所望の車両として車両1が選択される場合の動作を、図2に記載のフロー図を参照して説明する。
【0026】
まず、ユーザは、携帯機の選択手段11を操作して、車両Aに対応する携帯機メモリ10−1を選択する(ステップ1)。
この操作により、携帯機側マイコン12が、車両Aに対応する携帯機メモリ10−1から車両IDV1および携帯機IDH1を読み出し、該車両IDV1および携帯機IDH1を、認証用メモリ14にそれぞれ認証用車両ID15および認証用携帯機ID16として書き込む(ステップ2)。
この選択手段11の操作により、車両Aが予め、通常使用する車両として設定される。なお、該動作は乗車の度に行うものではない。すなわち、車両Aを制御する限りにおいては一度設定しておけば、選択手段11の操作を行う必要もない。
【0027】
ここで、それぞれの車両からは、前記車両ID発信手段2によってそれぞれの車両の車両ID(車両IDV1、車両IDV2、車両IDV3)が適宜、発信されている。
この状態で、携帯機が、ユーザーが管理している複数の車両(車両A,車両B、車両C)の周りの交信可能範囲に入ると、車両の車両ID発信手段2から発信されている前記車両ID(車両IDV1、車両IDV2、車両IDV3)を車両ID受信手段17により受信する(ステップ3)。
携帯機は、このように受信した車両ID(車両IDV1、車両IDV2、車両IDV3)が、前記認証用メモリ14に記憶されている認証用車両ID15と一致するかを携帯機側マイコン12に備えられた車両ID認証手段13により認証する(ステップ4)。
携帯機は、この認証が一致すれば、前記認証用メモリ14に記憶されている認証用携帯機ID16を車両側に発信するように構成されている。この実施形態の場合は、上記ステップ2において前記認証用車両ID15に車両IDV1が記憶されているので、車両1から送信される車両IDV1を認証し、認証用携帯機ID16に記憶されている携帯機IDH1を携帯機ID発信手段18により車両側の車両側送受信手段4に送信する(ステップ5)。
【0028】
次に、それぞれの車両は、前記携帯機ID発信手段18により発信された前記携帯機IDH1を車両側送受信手段4の携帯機ID受信手段3により受信し、受信した該携帯機IDH1が車両メモリ1に登録されているIDと一致するか否かを車両側マイコン8に備えられた携帯機ID認証手段5により認証する(ステップ6)。
この例の場合は、車両Aの車両メモリ1のみが携帯機IDH1を所有しているので、車両Aのみが該携帯機IDH1を認証することができる。
各車両の車両側マイコン8には、前記携帯機ID認証手段5による認証結果に基づき、当該車両のドア錠駆動手段6を作動させる車両制御手段7が備えられている。
したがって、この実施形態1の場合には、前記携帯機ID認証手段5による認証は車両Aのみが成功することができるので、その結果、該車両Aの前記車両側マイコン8に備えられた前記車両制御手段7が前記ドア鍵駆動手段6を作動させ、車両Aのドア錠が開錠する(ステップ7)。
【0029】
以上のように、ユーザは、予め所望の車両を前記選択手段11で設定しておけば、携帯機の操作をその都度しなくとも、所望する車両のみドアを開けることができる。
したがって、本発明によれば、いわゆるパッシブタイプの動作を行うキーレスシステムであって、従来例に比較して安全性が高く、利便性に優れたキーレスシステムを提供することができる。
また、本実施形態1においては、認証用メモリ14に一旦、選択したIDを保管したが、必ずしもその必要はなく、例えば選択した携帯機メモリ10−1〜3にフラッグを立てて、フラッグが立っている該メモリと認証を行う等しても良い。
【0030】
次に、本発明の実施形態2について説明する。
この実施形態2によれば、携帯機は、図3に示すように、前記選択手段11に加えて、更に、所望の車両に対してアクティブ動作を選択指示するアクティブ動作スイッチ手段20を有する。
このことにより、上記したパッシブタイプの動作に加え、アクティブタイプと同様の動作も行えるキーレスシステムを提供することができる。
【0031】
前記アクティブ動作スイッチ手段20はアクティブ動作用のドア解錠(施錠)スイッチであって、該アクティブ動作スイッチ手段20を操作することにより、携帯機は、前記車両ID認証手段13による認証に関わりなく、前記認証用メモリ14に記憶された携帯機IDおよびアクティブ動作の命令コードを車両側送受信手段4に発信する。
【0032】
この実施形態2について、ユーザが、携帯機が制御可能な複数の車両(車両A,車両B、車両C)のうち車両1を所望の車両として選択し、前記アクティブ動作スイッチ手段20を操作した場合の動作を、図4に記載のフロー図を参照して説明する。
【0033】
まず、ユーザは、携帯機の選択手段11により車両Aの携帯機メモリ10−1を選択する(ステップ1)。
この操作により、携帯機側マイコン12が、車両Aに対応する携帯機メモリ10−1から車両IDV1および携帯機IDH1を読み出し、該車両IDV1および携帯機IDH1を、認証用メモリ14にそれぞれ認証用車両ID15および認証用携帯機ID16として書き込む(ステップ2)。
この選択手段11の操作により、車両Aが予め、通常使用する車両として事前に登録される。
【0034】
この状態において、アクティブ動作を希望するユーザは、携帯機に備えられた前記アクティブ動作スイッチ手段20のドア解錠(施錠)スイッチを操作する(ステップ3)。
この操作により、携帯機は、携帯機側マイコン12からアクティブ動作の命令コードを呼び出し、該アクティブ動作の命令コードを携帯機の認証用メモリ14に記憶された認証用携帯機ID15(IDH1)と共に携帯機側送受信手段19により、車両側送受信手段4へ送信する(ステップ4)。
一方、それぞれの車両は、携帯機から発信された前記携帯機IDH1を車両側送受信手段4の携帯機ID受信手段3により受信し、受信した携帯機IDH1がそれぞれの車両メモリ1に登録されている携帯機IDと一致するか否かを、車両側マイコン8に含まれている携帯機ID認証手段5より認証する(ステップ5)。
この例の場合は、車両Aの車両メモリ1のみが携帯機IDH1を所有しているので、車両Aのみが該携帯機IDH1を認証することができ、その結果、車両Aの車両側マイコン8の車両制御手段7により、前記ドア鍵駆動手段6を作動させ、車両Aのドア錠が開錠する(ステップ6)。
このように、前記アクティブ動作スイッチ手段20を使用することにより、携帯機の前記選択手段11によって選択した当該車両のみを確実に特定して、当該車両の車両制御手段7を制御することができる。
【0035】
なお、上記した実施形態2においては、アクティブ動作用スイッチ手段20のスイッチ操作により、ステップ4において認証用メモリ14の携帯機ID16およびアクティブ動作の命令コードを送信することとしているが、更に、該認証用メモリ14に記憶されている車両IDも同時に送信し、それに対応して、ステップ5で、それぞれの車両が該携帯機ID16とともに該車両ID15をも認証するよう構成することもできる。このように構成すると、例えば携帯機IDを複数の車両に登録した場合であっても選択した車両だけが動作するので、より確実に車両を特定することができる。なお、前記実施形態1、2において、携帯機から発信される信号を異なる信号としたが、実施形態1の送信信号を実施形態2と同様の送信信号としてもかまわない。
また、本実施形態2においても、認証用メモリ14に一旦、選択したIDを保管し送信したが、必ずしもその必要はなく、例えば選択した携帯機メモリ10−1〜3にフラッグを立てて、フラッグが立っている該メモリを送信する等しても良い。
【0036】
このように、携帯機がアクティブ動作を選択するアクティブ動作スイッチ手段20を更に備えることにより、ユーザの希望に応じて、アクティブタイプと同様の動作も行えるキーレスシステムを提供することができ、より安全性に優れるキーレスシステムを選択することが可能となる。
【0037】
次に、本発明の登録時におけるIDの登録方法について説明する。
本発明のキーレスシステムによれば、図3に示すように、それぞれの車両が、当該車両を所望の車両として予め携帯機に登録するための登録動作モード設定手段21を更に備えている。該登録動作モード設定手段21によって登録動作モードに設定された車両は、携帯機の前記アクティブ動作スイッチ手段20の操作によって携帯機側マイコン12から送出されるアクティブ動作の命令コードを受信すると、携帯機から発信した携帯機IDを自己の車両メモリ1に書き込むよう構成されている。
また、該登録動作モード設定手段21によって登録動作モードに設定された車両は、当該車両の車両メモリ1に記憶されている車両IDを携帯機に向けて発信させるとともに、該車両IDを携帯機の携帯機メモリ10―1〜3に登録することを要求する命令コードを、携帯機に送信するよう構成されている。
そこで、ユーザが、携帯機が管理している複数の車両(車両A,車両B、車両C)のうち車両Bを所望の車両として選択し、該登録動作モード設定手段21を操作して該車両Bを携帯機に登録する場合の動作を、図5に記載のフロー図を参照して説明する。
【0038】
車両Bからの操作によって、該車両Bの車両メモリ2に記憶されている車両IDV2を、携帯機に登録するために、先ず、ユーザは所望する車両Bの通信制御手段9に備えられている登録動作モード設定手段を21操作して、車両Bの通信制御手段9を登録動作モードに設定する(ステップ1)。
【0039】
前記登録動作モードの設定時点において、携帯機は、その認証用メモリ14に携帯機メモリ10−1のIDH1が認証用携帯機ID16として記憶されているものとする。つまり携帯機は選択手段11の操作により、携帯機メモリ10−1が選択され(ステップ2)、選択された携帯機メモリ10−1から車両IDV1と携帯機IDH1が読み出され、それが前記認証用メモリ14に書き込まれている(ステップ3)、(ステップ4)。
このような状態において、次にユーザは、携帯機に備えられた前記アクティブ動作スイッチ手段20を操作する(ステップ5)。
この操作により、前記図4に記載したフロー図でのステップ4の動作と同様に、前記認証用メモリ14に記憶された携帯機IDH1とともに、アクティブ動作の命令コードが、携帯機側送受信手段19により車両側送受信手段4へ送信される(ステップ6)。
【0040】
一方、登録する車両Bは、前記車両側送受信手段4により、上記ステップ6で発信された携帯機IDH1とともに、前記アクティブ動作の命令コードを受信する(ステップ7)。
ここで、車両Bが登録動作モードに設定されているので、該車両Bが前記アクティブ動作の命令コードを受信することにより、受信した前記携帯機IDH1を自己の車両メモリ2に書き込む(ステップ8)。したがって、登録する車両Bの車両メモリ2には、車両IDV2および携帯機IDH1が記憶される。
なお、登録動作モードに設定された車両は、登録動作モードに設定されることにより、アクティブ動作の命令コードを受信しても、ドアの開錠(施錠)の動作をしないように構成されている。
ここで、前記したように、登録動作モードに設定された車両は、当該車両の車両メモリに記憶されている車両IDとともに、該車両IDを携帯機メモリ10−1〜3へ登録することを要求する命令コードを、携帯機に送信する構成を有している。したがって、車両Bは、車両メモリ1に記憶されている車両IDV2、および携帯機に該車両IDV2の登録を要求する命令コードを携帯機に送信する(ステップ9)。
【0041】
携帯機は、前記ステップ9で車両が送信した、前記車両IDV2と登録を要求する命令コードを携帯機側送受信手段19により受信する(ステップ10)。
携帯機は、前記命令コードを受信することで、車両から発信された携帯機IDを前記選択手段11によって選択された前記携帯機メモリ10−1に書き込むよう構成されている。したがって、携帯機は、前記ステップ10で受信した車両IDV2を、前記ステップ2によって選択された携帯機メモリ10−1に書き込む(ステップ11)。
このように、前記選定手段11によって選定された携帯機メモリ10−1には、車両IDV2および携帯機IDH1が記憶される。
したがって、携帯機メモリ10−1と、登録する車両の車両メモリ1に記憶される車両IDおよび携帯機IDには、共に同じIDが登録される。
【0042】
このように、車両側からの登録動作によって、登録する車両のIDを、携帯機が選択しているメモリに強制的に登録できるので、所望の車両の通信制御手段9を登録動作モードに設定して携帯機の前記アクティブ動作スイッチ手段20を操作するだけで、携帯機に所望の車両の設定を行うことができる。また、携帯機の選定手段11の操作によることなく、所望の車両側から設定動作を行うことができるので、より安全かつ確実に、所望の車両の選択を行うことができる。
【0043】
次に本発明の実施形態3について説明する。
上記したように、携帯機の選択手段11によって予め所望の車両を設定するには、該選択手段11のスイッチ操作により行うことができるが、前回ユーザが使用した車両のIDを携帯機の前記認証用メモリ14にそのまま記憶しておき、前記選択手段11の操作による特定の車両の選択がなければ、それを認証用IDとしてそのまま選定することで行うこともできる。
あるいは、前回ユーザが使用した車両のIDを携帯機側マイコン12に記憶しておき、前記選択手段11の操作による特定の車両の選択がなければ、認証時にそれを前記認証用メモリ14に出力することで行うこともできる。
このように、前記選択手段11を、直近において選択された車両に対応する車両IDおよび携帯機IDをそのまま選択するよう構成することにより、ユーザが携帯機を使用する度に前記選択手段11を操作する手間を省くことができる。
【0044】
次に本発明の実施形態4について説明する。
上記した選択手段11については、前記携帯機側マイコン12によって過去に選択された車両の選択頻度を計算し、その計算結果に基づき選択頻度の高い車両を選択するように構成することもできる。このことにより、ユーザが携帯機を使用する度に該選択手段11を操作する手間を省くことができる。
【0045】
選択頻度の高い車両を決定するには、例えば、前記携帯機側マイコン12に、該携帯機が管理する車両数分の選択頻度数レジスタを用意し、車両が選択されるごとにその車両の対応する該選択頻度数レジスタに積算していき、該レジスタの値が一番大きなIDをその時点で選択頻度が高いものとして決定する。
【0046】
より具体的には、例えば、3台の車両を選択可能な携帯機であれば、3個のレジスタ(R1,R2,R3)を用意し、R1をIDV1の選択頻度数レジスタ、R2をIDV2の選択頻度数レジスタ、R3をIDV3の選択頻度数レジスタとする。それぞれの該レジスタの初期値を0とし、レジスタの記憶値は、車両との照合が成立した場合のみ、次の計算式に基づき更新する。
計算式
更新後のR1=(更新前のR1)*α+(照合が成立したIDがID1の場合=1,IDV1以外の場合=0)*β
更新後のR2=(更新前のR2)*α+(照合が成立したIDがID2の場合=1,IDV2以外の場合=0)*β
更新後のR3=(更新前のR3)*α+(照合が成立したIDがID3の場合=1,IDV3以外の場合=0)*β
ここで、α=過去の照合回数の重み係数(過去の値に掛ける係数)、β=照合1回の重み係数(今回の値に掛ける係数)。
但し、0<β<α<1(例 α=0.9 β=0.1)
このように、過去に設定された影響αは、例えば0.9を掛けてその影響を減少させていき、直近の影響βは、例えば0.1を掛けて加えることで、過去の選択頻度を尊重した上で現在の選択もバランス良く考慮した選択頻度数に設定することができる。上記のように、α=0.9、β=0.1とすることが、そのようなバランスを設定するのに最適であるが、0<β<α<1の範囲であれば、適宜の値をとることができる。
このようにして、それぞれの車両に対応したレジスタに選択頻度数を積算していき、その時点でレジスタの値が一番大きいIDを、最も選択頻度が高いものとして選択する。
このように構成することにより、車両数に応じたレジスタを用意するだけで選択頻度を検出することが可能であり、多数のレジスタを用意する必要がない。また、過去の選択頻度と現在の選択とをバランス良く考慮できるので、より現実味のある選択頻度が設定できる。
【0047】
次に本発明の実施形態5について説明する。
上記した前記選択手段11は、携帯機の認証用メモリ14に初期設定した車両のIDを選択するように構成することもできる。このことにより、ユーザが当初設定した特定の車両が常に選定されるので、新たに別の車両を設定する必要がある時のみ前記選択手段11を操作すればよいので、ユーザにとってわかりやすく、携帯機を使用する度に該選択手段11を操作する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態1に係るキーレスシステムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るパッシブタイプの動作を行うキーレスシステムのフロー図である。
【図3】本発明の実施形態2および3に係るキーレスシステムの構成図である。
【図4】本発明の実施形態2に係るアクティブタイプの動作を行うキーレスシステムのフロー図である。
【図5】本発明の登録動作モード設定手段によるID登録のためのフロー図である。
【符号の説明】
【0049】
1 車両メモリ
2 車両ID発信手段
3 携帯機ID受信手段
4 携帯機ID認証手段
5 車両制御手段
7 車両制御手段
10―1,10−2,10−3 携帯機メモリ
11 選択手段
18 携帯機ID発信手段
20 アクティブ動作スイッチ手段
21 登録動作モード設定手段
V1、V2、V3 車両ID
H1、H2、H3 携帯機ID

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機が、個々の車両にそれぞれ設定される車両IDおよび該車両IDに対応する携帯機IDを記憶する携帯機メモリと、前記携帯機メモリから所望の車両の前記車両IDおよび前記携帯機IDを選択する選択手段とを備え、前記個々の車両が、前記個々の車両にそれぞれ設定される前記車両IDおよび前記携帯機IDを記憶する車両メモリを備えて、1つの前記携帯機で複数の前記車両を管理するキーレスシステムであって、
前記個々の車両が、前記車両IDを発信する車両ID発信手段を備え、
前記携帯機が、前記車両ID発信手段によって発信された前記車両IDを受信する車両ID受信手段と、前記車両ID受信手段によって受信した前記車両IDが前記選択手段により選択された前記所望の車両の前記車両IDであるか否かを認証する車両ID認証手段と、前記車両ID認証手段により認証した前記車両IDに対応した前記携帯機IDを発信する携帯機ID発信手段とを備え、
前記個々の車両が、更に、前記携帯機ID発信手段によって発信された前記携帯機IDを受信する携帯機ID受信手段と、前記携帯機ID受信手段によって受信した前記携帯機IDが前記車両メモリに記憶された前記携帯機IDであるか否かを認証する携帯機ID認証手段と、前記携帯機ID認証手段によって前記携帯機IDを認証した車両がその認証結果に基づいて所定の制御を行う車両制御手段とを備えることを特徴とするキーレスシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のキーレスシステムにおいて、前記携帯機が、所望の車両に対するアクティブ動作を選択するアクティブ動作スイッチ手段を有しており、
前記アクティブ動作スイッチ手段の操作により、前記携帯機ID発信手段が、前記認証用メモリに記憶された前記所望の車両の前記携帯機IDを発信することを特徴とするキーレスシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のキーレスシステムにおいて、前記個々の車両が、当該車両を前記所望の車両として予め設定するための登録動作モード設定手段を有しており、前記所望の車両の前記登録動作モード設定手段の操作により、前記所望の車両の前記車両IDが前記認証用メモリに予め登録されることを特徴とするキーレスシステム。
【請求項4】
請求項1ないし2に記載のキーレスシステムにおいて、前記選択手段は、直近において選択された前記車両IDおよび前記携帯機IDを選択することを特徴とするキーレスシステム。
【請求項5】
請求項1ないし2に記載のキーレスシステムにおいて、前記選択手段は、使用頻度の高い車両の前記車両IDおよび前記携帯機IDを選択することを特徴とするキーレスシステム。
【請求項6】
請求項1ないし2に記載のキーレスシステムにおいて、前記選択手段は、前記認証用メモリに初期設定された前記車両IDおよび前記携帯機IDを選択することを特徴とするキーレスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−30312(P2009−30312A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194732(P2007−194732)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】