説明

1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物

【課題】 常温・塗布領域では粘度が低く液状で、紫外線照射によって初期凝集力を高められる常温液状の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物を提供する。
【解決手段】 ポリオール、ポリイソシアネート化合物、及び水酸基含有(メタ)アクリレートから合成され、分子末端に(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、分子末端に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)、光重合開始剤(C)、を必須成分として含有する常温(25℃)で液状で、50〜2000mJ/cmの紫外線照射して使用する1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物に関する。更に詳しくは、常温(25℃)で液状で、紫外線照射後の貼り合せにおいても優れた初期接着性を示す50〜2000mJ/cmの紫外線照射して使用する1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有するウレタン樹脂組成物は、接着剤、シーラント、塗料、コーティング剤等として広く産業界で使用されている。このウレタン樹脂組成物は、空気中の水分とイソシアネート基が反応し、架橋硬化する。従って、1液湿気硬化型として用いることができ、使用前に硬化剤を配合するタイプの2液型ウレタン樹脂組成物に比べて、作業性に優れている(特許文献1)。
【0003】
従来の1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物は湿気硬化するまでは、初期凝集力が不足しているという問題がある。
【0004】
初期凝集力が高い常温固形の1液湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤もあるが、加熱溶融させるためのアプリケーターが必要であり、さらには粘度が高いため塗布部分が3D形状(凹凸がある表面)のように複雑な構造だと簡便に塗布できないのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開2002−212534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、1液湿気硬化型ウレタン接着剤の作業性の良さを生かすため、常温・塗布領域では粘度が低く液状で、紫外線照射によって初期凝集力を高められる常温液状の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物を提供することにある。
【0007】
この発明によって、アプリケーターも不要でありながら、初期凝集力の高い1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前述の課題を達成するために鋭意研究を行った結果、(メタ)アクリロイル基およびイソシアネート基を分子末端に含有するウレタンプレポリマーを主成分とし、光重合開始剤を含む1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物を被着体に塗布し、被着体を接着する前に、あらかじめ紫外線を照射し、被着体上において(メタ)アクリロイル基のラジカル反応で高分子量化させてから接着を行うことで、良好な初期接着強さが得られることを見出した。
【0009】
本発明は、[1]ポリオール、ポリイソシアネート化合物、及び水酸基含有(メタ)アクリレートから合成され、分子末端にアクリロイル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、分子末端に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)、光重合開始剤(C)、を必須成分として含有する常温(25℃)で液状で50〜2000mJ/cmの紫外線照射して使用する1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物に関する。
【0010】
また、本発明は、[2]分子末端に(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)が、数平均分子量が300〜7000の非結晶性ポリオールから合成される上記[1]に記載の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[3]分子末端に(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)の分子末端(メタ)アクリロイル基が、使用するポリオールの水酸基の20〜50%である上記[1]または上記[2]に記載の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[4]分子末端に(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)の分子末端(メタ)アクリロイル基が、使用するポリオールの水酸基の30〜40%である上記[1]または上記[2]に記載の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[5]分子末端に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)が、紫外線照射によって重合を開始する官能基を少なくとも1個以上有し、かつ、端官能基にヒドロキシル基を有さない可塑剤である上記[1]ないし上記[4]のいずれかに記載の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0011】
常温液状であり従来の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物では得られなかった初期凝集力を有し、接着初期段階での接着力が強く被着体を接着固定維持でき、さらに、経時的に接着強度を強めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明で用いるウレタンプレポリマー(A)は、イソシアネート基を1分子中に2個以上含有するポリイソシアネート化合物、水酸基を1分子中に2個以上含有するポリオール、水酸基及び(メタ)アクリロイル基を1分子中にそれぞれ1個以上含有する水酸基含有(メタ)アクリレートから合成される。
【0013】
ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を1分子中に2個以上含有すれば、特に制限されることはなく、例えば、トリレンジイソシアネート、水添ポリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上を併用しても良い。
【0014】
さらに、上記のポリイソシアネートを水と反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート、上記のポリイソシアネートをトリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート、上記のポリイソシアネートをイソシアヌレート化して得られる多量体等の公知のものを使用することができ単独または2種類以上を併用しても良い。
【0015】
ポリオールとしては、水酸基を1分子中に2個以上含有すれば制限されることはなく、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネイトポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上併用しても良い。好ましくは、非結晶性のポリオールであり、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等のものを単独または2種類以上併用しても良い。さらに好ましくは、ポリエステルポリオールを使用するのが最も好ましい。
【0016】
前述した非結晶性のポリオールの数平均分子量(Mn)は、300〜7000であることが好ましい。数平均分子量(Mn)が300未満であると、良好な接着強さが得られなくなり、数平均分子量(Mn)が7000を超えると、粘度が高くなり、塗布性に劣るためである。ここで言う数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)で測定し、ポリスチレンを基準物質とした値である。
【0017】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)による数平均分子量(Mn)の測定は以下の条件で行うことができる。
溶媒:テトラヒドロフラン
基準物質:ポリスチレン
サンプル濃度:0.25重量/体積%
カラム温度:23℃
【0018】
非結晶性のポリオールとは、非晶性(アモルファス)のポリオールとも言い、結晶性を有していないポリオールのことを指す。そのため、明確な融点を有さず、Tg(ガラス転移点)のみが存在するポリオールのことを言う。具体的には、ポリプロピレングリコールやポリカプロラクトンジオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール等が挙げられる。より具体的には、上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セルボン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等に代表されるジカルボン酸と多価アルコールとの反応により得られる、常温で液状のポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0019】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上を併用しても良い。なお、本発明において(メタ)アクリレートとはアクリレートまたはメタクリレート、それらの混合物を指し、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基または(メタ)アクリロイル基、それらの混合物を指す。
【0020】
分子末端に(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)の分子末端にイソシアネート基を残すために、ポリイソシアネートのイソシアネート基の合計を、ポリオール、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基の合計よりも多くすることが必要である。
【0021】
一般的に、紫外線硬化型接着剤は、貼り合せ後に紫外線照射するが、本組成物は、ウレタンプレポリマー(A)の分子末端総数に対してイソシアネートが50〜80%分子末端に存在するので紫外線照射後でも十分な密着性を有する。
【0022】
本発明で用いるウレタンプレポリマー(A)の一般的な製造方法としては、ポリイソシアネートの合計とポリオールの水酸基の合計との比率がポリイソシアネートの合計/ポリオールの水酸基の合計=1.5〜2.5の範囲となるように反応させる。その後、水酸基含有(メタ)アクリレートをイソシアネート基全体の20〜50%の範囲で、さらに好ましくは30〜40%の範囲で反応させる。
【0023】
ウレタンプレポリマー(A)を合成する際には、ポリイソシアネートのイソシアネート基の合計と、ポリオール、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基の合計との比率(以下、NCO/OH比と記す)として、NCO/OH=1.2〜2.3の範囲で、さらに好ましくは、1.5〜2.0の範囲となるように反応させる。これは、NCO/OH比が1.2未満では得られるウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎ、2.3を超えると湿気硬化の際に発泡が著しく生じるというおそれがあるためである。
【0024】
また、ウレタンプレポリマー(A)の分子末端に存在する(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基の比率として(メタ)アクリロイル基/イソシアネート基=20〜50%の範囲で、さらに好ましくは30〜40%の範囲となるように反応させる。これは、20%未満では、紫外線の照射に伴う(メタ)アクリロイル基のラジカル反応で高分子量化される割合が少なくなり、充分な初期接着強度が得られず、50%を超えると高分子量化される割合が多くなりすぎて、初期に必要な粘着性が損なわれるというおそれがあるためである。
【0025】
本発明で用いる分子末端に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)としては、活性水素を有する場合はウレタンプレポリマー(A)と反応して好ましくないので活性水素を含まない可塑剤を使用することが必須である。例えば、フェノールエトキシ変性アクリレート、ノニルフェノールエトキシ変性アクリレート、イソボニルアクリレート、ラウリルアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上併用しても良い。
【0026】
分子末端に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)は、ウレタンプレポリマー(A)100重量部に対して10〜100重量部の範囲となることが好ましい。さらに好ましくは、20〜50重量部の範囲が好ましい。(B)が10重量部未満では、常温塗布可能な領域まで粘度が下がらず、100重量部を超えると接着性が低下する。
【0027】
さらに本発明の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物には、粘度調整のために、一般に用いられる可塑剤を使用しても良い。ただし、水酸基等の活性水素を有する場合、ウレタンプレポリマー(A)と反応して好ましくないので、活性水素を含まない可塑剤を使用することが好ましい。例えば、高沸点オイル、ジメチルフタレート。ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エステル、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソノニルアジペート等の脂肪族二塩基酸エステルのように公知のものが挙げられ、単独または2種類以上を併用しても良い。
【0028】
本発明の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物は、紫外線の照射によるラジカル反応を起こし易くするための光重合開始剤(C)を必須成分として含有する。光重合開始剤(C)としては、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上併用しても良い。光重合開始剤の配合量は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、更に好ましくは1〜3重量%である。光重合開始剤(C)が0.1重量%未満だと、重合が開始せず初期凝集力が得られず、10重量%を超えると、紫外線照射によって十分に鎖延長が起こらず硬化不良が起こるという欠点があるためである。
【0029】
さらに、本発明の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物には、各種の重合禁止剤を添加することもできる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジブチル−4−メチルフェノール等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上を併用しても良い。重合禁止剤の量は、0.01〜1重量%が好ましい。
【0030】
また、本発明の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物には、必要に応じて、上記以外の各種添加剤を添加することもできる。たとえば、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、造核剤、難燃剤、充填剤、粘着付与樹脂、染料、顔料、紫外線吸収剤等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上を併用しても良い。
【0031】
本発明の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物は、常温(25℃)で液状な1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物である。常温液状とは、反応性ホットメルト接着剤のようにアプリケーターもいらずに塗布可能である。また、塗布方法も特に制限はされない。本発明で常温液状とは、粘度が20Pa・s/25℃未満のことを指すこととする。
【0032】
本発明の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物の使用方法は、常温で被着体のそれぞれの面に塗布する両面塗布、または被着体の一方のみに塗布する片面塗布を行い、被着体を重ね合わせた後、または、接着剤塗布面に紫外線を照射した後、被着体を重ね合わせ、接着させても良い。この際、紫外線照射量は50〜2000mJ/cmの範囲で照射する。この後、室温(例えば5〜35℃)または加温加湿(例えば35℃、80%RH)状態で1日〜7日程度、養生させることで湿気硬化が進み、最終的な接着強度が得られる。
【0033】
本発明の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物の用途は特に制限されないが、例として金属材料、木質材料、プラスチックやゴムなどの高分子材料、繊維製品、天然及び合成皮革類の製品、紙製品等の接着に使用でき、同種類及び異種類の被着体に接着できる。特に常温で液状であるため上述の接着体の表面に凸凹を有する3D形状でも適する。
【実施例】
【0034】
以下に、実施例及び比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、以下「部」、「%」とは、特に断りのない限り「重量部」、「重量%」のことである。
【0035】
(実施例1)
攪拌機、温度制御装置、還流冷却機、窒素導入管、及び減圧装置を備えたセパラブルフラスコにポリオールとして以下のポリエステルポリオールを仕込み、攪拌しながら加熱を開始して80℃で減圧により脱水処理をした。
非結晶性のポリエステルポリオール 100部
[メチルペンタンジオール、アジピン酸を主成分とするポリエステルポリオール(水酸基の官能基数2.0、数平均分子量3000)]
窒素雰囲気中でポリイソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート16.7部を添加し、110℃で1時間反応させ、さらに(メタ)アクリレートとして2−ヒドロキシエチルアクリレート2.6部と重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を添加し、110℃で1時間反応させた。次に光重合開始剤(C)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.6部添加し、よく脱泡混合しウレタンプレポリマーを得た。次いで、得られたウレタンプレポリマー100部に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)としてフェノールエトキシ変性アクリレート20部(東亞合成株式会社製、商品名:M−102)、可塑剤を30部(新日本石油株式会社製、商品名:SAS296)、エトキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレートを1部(新中村化学工業株式会社製、商品名:A−TMPT−3EO)添加し、よく混合して1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物(NCO/OH比2.0、アクリロイル基置換量33%)を得た。
【0036】
(実施例2)
以下の組成にて実施例1と同様にしてウレタンプレポリマーを得た。
非結晶性ポリエステルポリオール 100部
[メチルペンタンジオール、アジピン酸を主成分とするポリエステルポリオール(水酸基の官能基数2.0、数平均分子量3000)]
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート 16.7部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 3.9部
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.3部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2.6部
得られたウレタンプレポリマー100部に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)としてフェノールエトキシ変性アクリレート20部(東亞合成株式会社製、商品名:M−102)、可塑剤を30部(新日本石油株式会社製、商品名:SAS296)、エトキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレートを1部(新中村化学工業株式会社製、商品名:A−TMPT−3EO)添加し、よく混合して1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物(NCO/OH比2.0、アクリロイル基置換量50%)を得た。
【0037】
(実施例3)
以下の組成にて実施例1と同様にしてウレタンプレポリマーを得た。
非結晶性ポリエステルポリオール 100部
[メチルペンタンジオール、アジピン酸を主成分とするポリエステルポリオール(水酸基の官能基数2.0、数平均分子量3000)]
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート 16.7部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 1.5部
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.3部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2.6部
得られたウレタンプレポリマー100部に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)としてフェノールエトキシ変性アクリレート20部(東亞合成株式会社製、商品名:M−102)、可塑剤を30部(新日本石油株式会社製、商品名:SAS296)、エトキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレートを1部(新中村化学工業株式会社製、商品名:A−TMPT−3EO)添加し、よく混合して1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物(NCO/OH比2.0、アクリロイル基置換量20%)を得た。
【0038】
(実施例4)
攪拌機、温度制御装置、還流冷却機、窒素導入管、及び減圧装置を備えたセパラブルフラスコに以下のポリエステルポリオールを仕込み、攪拌しながら加熱を開始して80℃で減圧により脱水処理をした。
非結晶性のポリエステルポリオール 100部
[メチルペンタンジオール、アジピン酸を主成分とするポリエステルポリオール(水酸基の官能基数2.0、数平均分子量500)]
窒素雰囲気中で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート100部を添加し、110℃で1時間反応させ、さらに2−ヒドロキシエチルアクリレート15.3部と重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を添加し、110℃で1時間反応させた。次に光重合開始剤(C)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.6部添加し、よく脱泡混合しウレタンプレポリマーを得た。次いで、得られたウレタンプレポリマー100部に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)としてフェノールエトキシ変性アクリレート10部(東亞合成株式会社製、商品名:M−102)、可塑剤を10部(新日本石油株式会社製、商品名:SAS296)、エトキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレートを1部(新中村化学工業株式会社製、商品名:A−TMPT−3EO)添加し、よく混合して1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物(NCO/OH比2.0、アクリロイル基置換量33%)を得た。
【0039】
(実施例5)
攪拌機、温度制御装置、還流冷却機、窒素導入管、及び減圧装置を備えたセパラブルフラスコに以下のポリエステルポリオールを仕込み、攪拌しながら加熱を開始して80℃で減圧により脱水処理をした。
非結晶性のポリエステルポリオール 100部
[メチルペンタンジオール、アジピン酸を主成分とするポリエステルポリオール(水酸基の官能基数2.0、数平均分子量2000)]
窒素雰囲気中で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25.0部を添加し、110℃で1時間反応させ、さらに2−ヒドロキシエチルアクリレート3.8部と重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を添加し、110℃で1時間反応させた。次に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.6部添加し、よく脱泡混合しウレタンプレポリマーを得た。次いで、得られたウレタンプレポリマー100部に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)としてフェノールエトキシ変性アクリレート10部(東亞合成株式会社製、商品名:M−102)、可塑剤を20部(新日本石株式会社油製、商品名:SAS296)、エトキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレートを1部(新中村化学工業株式会社製、商品名:A−TMPT−3EO)添加し、よく混合して1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物(NCO/OH比2.0、アクリロイル基置換量33%)を得た。
【0040】
(比較例1)
以下の組成にて実施例1と同様にしてウレタンプレポリマーを得た。
非結晶性ポリエステルポリオール 100部
[メチルペンタンジオール、アジピン酸を主成分とするポリエステルポリオール(水酸基の官能基数2.0、数平均分子量3000)]
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート 16.7部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 5.2部
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.3部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2.6部
得られたウレタンプレポリマー100部にアクリロイル基を含む可塑剤としてフェノールエトキシ変性アクリレート20部(東亞合成株式会社製、商品名:M−102)、可塑剤を30部(新日本石油株式会社製、商品名:SAS296)、エトキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレートを1部(新中村化学工業株式会社製、商品名:A−TMPT−3EO)添加し、よく混合して1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物(NCO/OH比2.0、アクリロイル基置換量67%)を得た。
【0041】
(比較例2)
実施例1で得た1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物を使用して、ゴム反発性を測定する際は、紫外線照射を行わないこととして、同様に測定を実施した。
【0042】
(比較例3)
実施例1で得た1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物を使用して、ゴム反発性を測定する際は、紫外線照射を10mJ/cmで行い、同様に測定した。
【0043】
(比較例4)
実施例1で得た1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物を使用して、ゴム反発性を測定する際は、紫外線照射を3000mJ/cmで行い、同様に測定した。
【0044】
(比較例5)
攪拌機、温度制御装置、還流冷却機、窒素導入管、及び減圧装置を備えたセパラブルフラスコに以下のポリエステルポリオールを仕込み、攪拌しながら加熱を開始して80℃で減圧により脱水処理をした。
非結晶性のポリエステルポリオール 100部
[メチルペンタンジオール、アジピン酸を主成分とするポリエステルポリオール(水酸基の官能基数2.0、数平均分子量3000)]
窒素雰囲気中で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート16.7部を添加し、110℃で1時間反応させ、さらに2−ヒドロキシエチルアクリレート2.6部と重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を添加し、110℃で1時間反応させた。次に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.6部添加し、よく脱泡混合しウレタンプレポリマーを得た。
【0045】
実施例1〜5で得た本発明の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物と比較例で得た接着剤組成物について、以下のような測定を行った。
【0046】
ゴム反発性
実施例1〜5で得た1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物と比較例1〜5で得た接着剤組成物をヘラにて被着体に塗布した。被着体は3mm厚の天然ゴムを用いておりバフかけをした後、MEK(メチルエチルケトン)で脱脂し、プライマー塗布したものを使用した。塗布した接着剤表面を、高圧水銀灯を用いて紫外線照射を行い、直ちにゴムをくの字に折り曲げ接着剤面同士を貼り合せる。貼り合せ後、直ちに30秒間圧着した。圧着開放してからゴムが元に戻るまでの保持できる時間を測定した。また、その時の破壊状態として、接着剤の凝集破壊を示した場合はC、接着剤の界面はく離を示した場合はA、界面はく離と凝集破壊の両方を示した場合はACとして評価した。
【0047】
粘度の測定
JIS K7117−2の粘度測定法に準じ、円錐‐平板システムにて20℃での粘度を測定した。
【0048】
塗布性
天然ゴムの被着体にヘラ塗布したとき、目視にて均一に塗布できる状態を「○」として、均一に塗布できない状態は「×」として評価した。
【0049】
【表1】

【0050】
表1の結果から分かるように、実施例1〜5については、50〜2000mJ/cmの紫外線照射することで50秒以上のゴム反発性を有しており、初期接着強さが高い。一方、比較例1〜4においては10秒以下となり、初期接着強さが低い。また、比較例1では、アクリロイル基の量が多すぎると少しの紫外線で架橋が起こり、ゴム反発性が出ないことが示されている。さらには、比較例2より、アクリロイル基が適量な領域でも、紫外線照射しないと、硬化が進まないことが示されている。さらには、比較例3と4のように、露光量が少ない条件や多い条件でも、ゴム反発性は出ないことが示されている。つまり、アクリロイル基置換量と紫外線の照射量が適した領域で良好なゴム反発性を示す。
【0051】
比較例5はウレタンプレポリマー(A)のみの組成だが、ゴム反発性に関しては問題ないが、粘度が高いため、塗布性に問題があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、ポリイソシアネート化合物、及び水酸基含有(メタ)アクリレートから合成され、分子末端に(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、分子末端に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)、光重合開始剤(C)、を必須成分として含有する常温(25℃)で液状で、50〜2000mJ/cmの紫外線照射して使用する1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物。
【請求項2】
分子末端に(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)が、数平均分子量が300〜7000の非結晶性ポリオールから合成される請求項1に記載の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物。
【請求項3】
分子末端に(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)の分子末端(メタ)アクリロイル基が、使用するポリオールの水酸基の20〜50%である請求項1または請求項2に記載の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物。
【請求項4】
分子末端に(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)の分子末端(メタ)アクリロイル基が、使用するポリオールの水酸基の30〜40%である請求項1または請求項2に記載の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物。
【請求項5】
分子末端に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個以上有する可塑剤(B)が、紫外線照射によって重合を開始する官能基を少なくとも1個以上有し、かつ、端官能基にヒドロキシル基を有さない可塑剤である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の1液湿気硬化型ウレタン樹脂接着剤組成物。

【公開番号】特開2009−197053(P2009−197053A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37309(P2008−37309)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000233170)日立化成ポリマー株式会社 (75)
【Fターム(参考)】