説明

1組のフィルタ、蛍光観察システム、および蛍光観察を実行する方法

【課題】対象物の非蛍光領域をよりよく認識できる、1組のフィルタを提供する。
【解決手段】照明光フィルタの透過特性は第1の部分特性と第2の部分特性との和であり、観察光フィルタの透過特性は少なくとも1つの第3の部分特性を含み、第1の部分特性は、しきい値波長を下回る波長において、透過率が第1の値よりも大きい値を有する波長範囲を有し、第2の部分特性は、しきい値波長を上回る波長において、透過率が第2の値よりも小さくかつ第3の値よりも大きい値を有する第2の波長範囲を有し、照明光フィルタの透過率は、第1の波長範囲と第2の波長範囲との間において、第4の値よりも小さい値を有し、第3の部分特性は、しきい値波長を上回る波長において、透過率が第1の値よりも大きい値を有する第3の波長範囲を有し、第4の値は第3の値よりも小さく、第3の値は第2の値よりも小さく、第2の値は第1の値よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、蛍光観察システム、蛍光観察を実行するための方法、ならびにこのようなシステムおよび方法において使用することができる1組のフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
蛍光観察は、対象物の中の異なる構造体を視覚的に判別するために、工学、生物学および医学の多数の分野で使用されている。この観察では、照明光フィルタが照明光源と観察する対象物との間のビーム経路に配置される。照明光フィルタは実質的に、蛍光色素の蛍光を励起することができる光のみを通す。観察光フィルタが撮像光学部品のビーム経路に配置される。観察光フィルタは蛍光のみを通すが、照明光フィルタを通過できる光は実質的に観察光フィルタを通過することができない。対象物の蛍光構造体は、像の中の明るい領域として認識できる。この像は、観察光学部品の中を見ることによって目で観察される像、または、観察光学部品を介してカメラによって記録された像である。この対象物の非蛍光構造体は暗いままなので、非蛍光領域に含まれる構造体は認識できない。
【0003】
非蛍光構造体に対する蛍光構造体の位置をよりよく求めることができるためには、像の中で対象物の非蛍光領域も見えることが望ましい。この点に関し、US6,212,425B1は、蛍光を発する対象物の蛍光構造体および光を反射する非蛍光構造体がともに観察光フィルタの下流で見えるよう、照明光フィルタの透過特性および観察光フィルタの透過特性を相対的に調整することを示唆している。
【0004】
対象物の非蛍光領域は、このような照明光フィルタおよび観察光フィルタの調整では十分に見えないことがわかっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US6,212,425B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
概要
したがって、対象物の非蛍光領域をよりよく認識できる、1組のフィルタ、蛍光観察システム、および蛍光観察を実行するための方法を提供することが望ましい。
【0007】
本発明は、上記課題を考慮してなされた。
本発明は、対象物の蛍光領域および非蛍光領域を観察できる、1組のフィルタ、蛍光観察システム、および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施の形態に従うと、照明光フィルタは、第1の部分特性と第2の部分特性との和である、光の波長に依存する透過特性を有する。第1の部分特性は、しきい値波長を下回る波長において、透過率が第1の値よりも大きい値を有する第1の波長範囲を有する。第2の部分特性は、しきい値波長を上回る波長において、透過率が第2の値よりも小さくかつ第3の値よりも大きい値を有する第2の波長範囲を有する。第1の波長範囲と第2の波長範囲との間の波長において、照明光フィルタの透過率は第4の値よりも小さい値を有する。
【0009】
しきい値波長は、使用される蛍光プロセスに基づいて求められる波長であり、蛍光プロセスを励起するために使用される波長を、蛍光プロセスを検出するために使用される波長から分離する。ある実施の形態では、しきい値波長は、使用される蛍光プロセスの励起スペクトルの最大値よりも大きくかつ使用される蛍光プロセスの発光スペクトルの最大値よりも小さくなるように選択される。しかしながら、このような選択とは異なる場合があり、しきい値波長は、励起スペクトルの最大値の波長よりも小さくなるよう、または励起スペクトルの最大値の波長よりも大きくなるように選択できる。なぜなら、実際には蛍光プロセスの励起スペクトルと発光スペクトルとは重なっているからである。
【0010】
照明光フィルタの透過特性の第1の部分特性は、蛍光励起光を対象物に与える機能を有する。このために、第1の部分特性は、しきい値波長を下回る第1の波長範囲の中で、第1の値よりも大きい透過率の値を有する。第1の値は、フィルタを設計するときに、できるだけ高くなるように選択される。例示の値は0.75または0.9よりも大きい。1.0という値は、最適化の目標となり得る。このような値としては、実際はそれに近い値しか得られない。
【0011】
照明光フィルタの透過特性の第2の部分特性は、蛍光を励起するためではなく対象物の非蛍光構造体を可視化するのに使用される一定量の光を対象物に与える機能を有する。この光は、波長がしきい値波長よりも大きいため、対象物によって反射されると観察光フィルタを通過できるので、対象物の非蛍光構造体はこのような光によって認識できる。
【0012】
蛍光性対象物が発する蛍光は典型的には強度が低いため、蛍光像の中で対象物の非蛍光領域を認識できる強度が、蛍光領域を認識する強度よりも実質的に高くないことが望ましい。なぜなら、そうでなければ非蛍光領域が蛍光領域よりも明るく光るからである。このため、第2の部分特性によって対象物に与えられる光の量が、第2の波長範囲における照明光フィルタの透過率を第2の値よりも小さくかつ第3の値よりも大きくなるように選択することによって、制限されることが有利であろう。ここで、第2の値は第1の値よりも小さいので、第2の波長範囲における最大透過率は第1の波長範囲における最大透過率よりも著しく小さい。しかしながら、第2の波長範囲における最大透過率は第3の値よりも大きい。この第3の値は、好ましくは光を全く透過させないフィルタの透過特性の波長範囲に含まれる非常に低い透過率ではなく、著しい透過率を表わす。このような低い透過率の値はたとえば第1の波長範囲と第2の波長範囲との間に設けられ、ここでの透過率は第4の値よりも小さい。第4の値は、好ましくはこれらの波長の光を全く透過させないフィルタの透過率を表わす。
【0013】
要約すると、照明光フィルタは以下の性質を有し得る。このフィルタは互いに分離された複数の波長範囲の著しい量の光を透過させ、これら複数の波長範囲のうちの少なくとも1つは、しきい値波長よりも小さいところにあり、大量の光を通過させ、これら複数の波長範囲のうちの少なくとも1つは、しきい値波長よりも大きいところにあり、比較的少量であるがそれでもなお著しい量の光を通過させる。
【0014】
ある実施の形態に従うと、第1の値を0.50とすることができ、および/または第2の値を0.01とすることができ、第3の値を0.0005とすることができ、および/または第4の値を0.0002とすることができる。
【0015】
いくつかの実施の形態に従うと、観察光フィルタは、第3の部分特性と第4の部分特性との和である透過特性を有し得る。しかしながら、第4の部分特性は任意であるため、観察光フィルタの透過特性は、以下で第3の部分特性としてより詳細に示す特性によって完全に表わすことができる。
【0016】
第3の部分特性は、しきい値波長を上回る波長において、透過率が第1の値よりも大きい値を有する少なくとも1つの波長範囲を有する。第3の部分特性は、蛍光と、非蛍光領域を認識するための光とがともにフィルタを通過するようにする機能を有する。非蛍光領域を認識するための光は、たとえば照明光フィルタの第2の部分特性によって対象物に到達できる。蛍光の強度は典型的には低いので、第3の波長範囲における透過率の最大値は可能な限り高い。たとえば、このような最大値は上記第1の値よりも大きい。結果として、対象物の蛍光構造体および対象物の非蛍光構造体双方を認識できる。これは、必ずしも蛍光を励起しないような波長を有する著しい量の光を対象物に与え、この光が蛍光とともに観察光フィルタ通過するようにすることで実現される。このような性質は以下の式で表わしてもよい。
【0017】
【数1】

【0018】
λは波長を表わし、
1(λ)は第1の部分特性であり、
2(λ)は第2の部分特性であり、
3(λ)は第3の部分特性であり、
L(λ)=T1(λ)+T2(λ)は照明光フィルタの透過特性であり、
O(λ)は観察光フィルタの透過特性であり、
1、A2は0と1との間の数である。
【0019】
式(1)は、蛍光励起光を対象物に与えるための照明光フィルタの第1の部分特性と、蛍光を通過させるための観察光フィルタの第3の部分特性との間のスペクトルの重なりが値A1を有し得ることを示す。
【0020】
式(2)は、蛍光ではなくしたがって対象物の非蛍光領域の観察に使用し得る著しい量の光が、照明光フィルタと観察光フィルタとの組合せを通過し得ることを示す。
【0021】
ある実施の形態に従うと、A2を0.1とすることができ、またはA2を0.05とすることができ、またはA2を0.01とすることができ、またはA2を0.005とすることができる。
【0022】
観察光フィルタの透過特性が第3の部分特性と第4の部分特性との和である実施の形態において、第4の部分特性は、しきい値波長を下回る波長において、透過率が第2の値よりも小さくかつ第3の値よりも大きい値を有する第4の波長範囲を有する。第4の部分特性は、蛍光ではなくしたがって非蛍光対象物を認識するのに使用し得る光がフィルタを通過するようにする機能を有する。この光は蛍光よりも明るく光ってはならないため、第4の部分特性によって観察光フィルタを通過できる光の量は、第4の波長範囲における透過率の最大値を、最大透過率のために最適化された透過率を表わし得る第1の値よりも著しく小さい第2の値よりも小さくなるように選択することによって制限される。一方で、観察光フィルタを透過する、しきい値波長を下回る量は、それでもなお著しい量でなければならない。このために、第4の波長範囲における透過率の最大値は、透過を実質的に妨げることを意図した透過率を表わす第4の値よりも著しく大きい第3の値よりも大きい。
【0023】
このような仕組みによって、少なくとも2つの異なる波長範囲から、対象物の非蛍光領域を観察するための光が与えられる。これは主として、蛍光ではなく照明光フィルタの第2の部分特性によって対象物に与えられ、第3の部分特性によって観察光フィルタを通過する光、および、照明光フィルタの第1の部分特性によって対象物に与えられ、第4の部分特性によって観察光フィルタを通過する光である。対象物の非蛍光領域を観察するためのこれら2つの波長範囲の間には、スペクトル距離がある。このスペクトル距離によって、非蛍光領域が単色に見えないという利点が得られる。さらに、非蛍光領域を複数のスペクトル範囲において認識できる。その結果、対象物の非蛍光領域における異なる構造体を、単色認識と比較してよりよく認識できる。
【0024】
ここでは、照明光フィルタの第2の部分特性および観察光フィルタの第4の部分特性によって、互いに隔てられた複数のスペクトル範囲における光を透過させることが可能である。これらスペクトル範囲は、混合された光が白色に近い光となるように選択できる複数のスペクトル範囲から、非蛍光領域の観察に利用できる光が得られるように、選択できる。したがって、非蛍光白色面を、照明光フィルタおよび観察光フィルタのシステムを通して白色面として認識できる。
【0025】
いくつかの実施の形態に従うと、1組のフィルタは照明光フィルタと観察光フィルタとを含む。観察光フィルタの透過特性は、しきい値波長を下回る波長において、透過率が第1の値よりも大きい値を有する少なくとも1つの波長範囲を有し、照明光フィルタの透過特性は、しきい値波長を上回る波長において、透過率が第4の値よりも小さい値を有する少なくとも1つの波長範囲を有する。観察光フィルタの透過特性は、しきい値波長を上回る波長において、透過率が第1の値よりも大きい値を有する少なくとも1つの波長範囲を有し、観察光フィルタの透過特性は、しきい値波長を下回る波長において、透過率が第4の値よりも小さい値を有する少なくとも1つの波長範囲を有する。
【0026】
【数2】

【0027】
λは波長を表わし、
L(λ)は照明光フィルタの透過特性であり、
O(λ)は観察光フィルタの透過特性であり、
1、A2は0と1との間の数であり、
/r(上付きバーを/で代用する、以下同様)は、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図における座標であり、
Sは、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図におけるスペクトル軌跡と呼ばれるラインであり、
/W(上付きバーを/で代用する、以下同様)は、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図における白色点である。
【0028】
先に説明したように、式(2)は、蛍光ではなく対象物の非蛍光領域の観察のために機能し得る著しい量の光が、照明光フィルタと観察光フィルタとの組合せを通過し得ることを示す。
【0029】
式(3)は、照明光フィルタと観察光フィルタとの組合せを通過する、蛍光ではない光が、異なるスペクトル範囲に含まれていること、および、そのスペクトル強度が、その混合物が白色に近い光となるように調整されることを示す。
【0030】
これらの性質を定義するために、CIE1931XYZ色空間を参照する。この色空間の色度図では、光の赤色部分がx座標で表わされ、光の緑色部分がy座標で表わされ、光の青色部分zが、x+y+z=1を満たす。CIE色度図のスペクトル軌跡と呼ばれる馬蹄形の曲線は、純粋なスペクトル色を表わす。白色点の座標は、x=1/3、y=1/3である。
【0031】
式(3)の積分は、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図におけるスペクトル軌跡ラインであるラインSに沿って算出される。式(3)は、スペクトル軌跡ライン上の光強度の重心を求めることを表わしており、照明光フィルタと観察光フィルタとの組合せの透過率を表わす積TL・TOを用いて重み付けが行なわれる。重心を求めた結果は、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図におけるベクトル/R(上付きバーを/で代用する、以下同様)である。
【0032】
式(4)は、重心を求めた結果/Rと、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図における白色点/Wとの間の距離が、予め定められた値よりも小さくしたがって白色に近いことを示す。
【0033】
さらなる実施の形態に従うと、上記フィルタの組は、対象物を照明するための光源を含む蛍光観察システムと一体化される。ここで、フィルタの透過特性は、光源が発する光のスペクトルを考慮して調整できる。たとえば、これは、上記式の中の積TL・TOを、積IQ・TL・TOで置換することによって実現でき、IQは光源の光のスペクトル分布を表わす。
【0034】
本開示の上記およびその他の有利な特徴は、添付の図面を参照する本開示の例示の実施の形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。なお、本開示の可能な実施の形態すべてが必ずしも本明細書において認識される利点すべてまたはいずれかを表わしているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】蛍光観察システムの概略図である。
【図2a】蛍光観察のための1組のフィルタを概略的に説明するグラフである。
【図2b】蛍光観察のための1組のフィルタを概略的に説明するグラフである。
【図2c】蛍光観察のための1組のフィルタを概略的に説明するグラフである。
【図2d】蛍光観察のための1組のフィルタを概略的に説明するグラフである。
【図3】CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図の色度図を表わしたものを示し、図2a〜図2dを参照しながら説明される1組のフィルタの性質が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0036】
例示の実施の形態の詳細な説明
下記例示の実施の形態において、機能および構造が似ている構成要素にはできる限り同様の参照番号を付す。したがって、特定の実施の形態の個々の構成要素の特徴を理解するためには、他の実施の形態の説明および開示の要約の説明を参照すればよい。
【0037】
以下、蛍光観察システムの実施の形態について、外科用顕微鏡を参照しながら説明する。しかしながら、蛍光観察システムの実施の形態は、外科用顕微鏡に限定されず、対象物に向けられた照明光が照明光フィルタでフィルタリングされ対象物から発せられた光が観察光フィルタでフィルタリングされるいかなる種類の蛍光観察システムも含む。
【0038】
図1を参照して、蛍光観察システムまたは顕微鏡1は、光軸7を有する対物レンズ5を含む顕微鏡検査光学部品3を備える。観察する対象物9は、対物レンズ5の物体平面に位置する。対象物9から発せられた光は、対物レンズ5によって像側ビーム11に成形される。2つのズームシステム12、13は、ビーム11の中に位置し、光軸7から間隔をおかれている。ズームシステム12、13は、ビーム11から2つの部分ビーム14および15を選択し、部分ビーム14および15を、偏向プリズム(図示せず)を介して接眼レンズ16、17に与える。ユーザは、対象物9が拡大表示されたものを認識するために、左目18および右目19で接眼レンズを覗き込む。
【0039】
半透明鏡21は、光の一部をビーム23としてカメラシステム24に与えるために、部分ビーム15の中に位置し得る。カメラシステム24は、1つのカメラまたは複数のカメラを含み得る。示されている実施の形態では、カメラシステム24は、半透明鏡25を通過したビーム23の光をカメラアダプタ光学部品31を介して受けるカメラ32と、半透明鏡25から反射したビーム23の光をフィルタ57およびカメラアダプタ光学部品53を介して受けるカメラ55とを含む。フィルタ57を、対象物9に含まれる蛍光色素の蛍光のみを透過させる蛍光フィルタとすることができる。したがって、カメラ32は対象物9の通常の光の像を検出することができ、カメラ55は対象物9の蛍光の像を検出することができる。カメラ32および55の像は、それぞれデータ接続33および65を介してコントローラ35に与えられ、コントローラのメモリ95に保存できる。
【0040】
同様に、半透明鏡37は、カメラアダプタ光学部品41を介してカメラ43に与えられる部分ビーム39を反射するために、他方の部分ビーム14の中に位置して、カメラ43も通常の光の像を検出できるようにすることができる。カメラ43が検出した像は、データ接続45を介してコントローラ35に送られる。
【0041】
ディスプレイ69はデータ接続67を介してコントローラ35に接続され、ディスプレイ69上に表示された像は、投影光学部品70を介し、さらに部分ビーム15の中に位置するさらなる半透明鏡68を介して、接眼レンズ17のビーム経路に投影され、これにより、ユーザは、ディスプレイ69上に表示された像および対象物の像の双方を、ユーザの目19で直接認識できる。コントローラ35は、たとえば、カメラ32、55および43によって検出された、または検出画像の解析によって生成された、対象物のデータまたは像を、投影してもよい。
【0042】
コントローラ35はまた、カメラによって検出された像を頭部装着ディスプレイ49に与える。頭部装着ディスプレイは、ユーザの右目および左目それぞれのための2つのディスプレイ51および52を含む。
【0043】
顕微鏡1はさらに、対象物9に導かれる照明光ビーム81を生成するための照明システム63を備える。このために、照明システム63は、たとえばハロゲンランプまたはキセノンランプ71といった広帯域光源と、反射器72と、ランプ71から発せられた光をファイバ束77に結合するために1つ以上のレンズ75によってファイバ束77の入口端76上に導き得るコリメートされた光ビーム74を生成するためのコリメータ73とを備える。この光は、ファイバ束77によって対象物9に近い位置まで送られ、ファイバ束77から束77の出口端78で放出され、コリメート光学部品79によってコリメートされて対象物9に導かれる照明光ビーム81を与える。
【0044】
照明システム63はさらに、蛍光観察のための照明光フィルタ84と、通常の光の観察のための照明光フィルタ85とを含むフィルタプレート83を備える。コントローラ35によって制御されるアクチュエータ87は、矢印88によって示されるように、蛍光の観察のための照明光フィルタ84または通常の光の観察のための照明光フィルタ85をビーム74の中に選択的に位置付けるために設けられる。観察する対象物において蛍光を励起させる場合は、蛍光の観察のための照明光フィルタ84がビーム74の中に置かれ、対象物9を白色光といった通常の光の下で観察する場合は、通常の光の観察のための照明光フィルタ85がビーム74の中に置かれる。照明光フィルタ85は、たとえば、より短い波長が送られている間の対象物9の不必要な昇温を避けるために、ランプ71によって生成された赤外線または近赤外線を透過させないように構成できる。
【0045】
照明光フィルタ84および85それぞれをビーム74の中に選択的に配置することについては、ユーザがボタン79などの入力装置を介して制御できる。
【0046】
蛍光観察のための観察光フィルタ91は部分ビーム15および14各々の中に置かれる。コントローラ35によって制御されるアクチュエータ93が設けられ、矢印94で示されるように、観察光フィルタ91を部分ビーム14および15から選択的に移動させる。
【0047】
観察光フィルタ91は、蛍光観察のための照明光フィルタ84がビーム74の中に配置される場合にビーム経路14、15の中に配置され、通常の光の観察のための照明光フィルタ85がビーム74の中に配置される場合はビーム経路14、15から取出される。このために、コントローラ35は、ユーザが入力装置97を起動させたときに、アクチュエータ87とともにアクチュエータ93を作動させてもよい。
【0048】
示されている実施の形態では、蛍光観察のための照明光フィルタ84および蛍光観察のための観察光フィルタ91は、コントローラによって制御されるアクチュエータによってビーム経路に挿入されまたはビーム経路から取出される。しかしながら、これらフィルタをビーム経路に挿入しビーム経路から取出すために、ユーザの手で直接操作されるフィルタホルダ上に、これらフィルタを載置することも可能である。蛍光観察のための照明光フィルタおよび観察光フィルタは各々、観察することが所望される蛍光性を有する蛍光色素に適合させた透過特性を有する。複数の蛍光色素が周知であり、以下でより詳細に示すように、照明光フィルタおよび観察光フィルタを含むフィルタの組をこれら蛍光色素各々に対して与えることができる。これらフィルタの組とともに使用できる蛍光色素は、蛍光色素を含む対象物9の構造体を人間の目で認識できるようにするために、蛍光色素の蛍光が可視光の波長を含んでいなければならないという点においてのみ、限定される。以下、フィルタの組の性質について、蛍光色素フルオレセインの蛍光を観察するように設計された照明光フィルタおよび観察光フィルタを含む例示のフィルタの組を参照しながら説明する。このために図2a〜図2dを参照する。
【0049】
図2aは、フルオレセインの励起スペクトルのグラフ101およびフルオレセインの発光スペクトルのグラフ103を正規化して表わした概略図である。励起スペクトル101の最大値の波長は約485nmであり、発光スペクトル103の最大値の波長は約514nmである。励起スペクトル101のグラフおよび発光スペクトル103のグラフは重なり合っている。
【0050】
図2bは、380nmから780nmの波長範囲における照明光フィルタの透過特性105のグラフを縦座標の対数目盛りで示した概略図である。これは、フィルタの組の性質を示すための関連する可視光の波長範囲である。しきい値波長は図2bにおいて参照番号107で示される。示されている実施の形態では、しきい値波長107は、励起スペクトル101の最大値と蛍光スペクトル103の最大値との間に位置するように選択される。しかしながらこのような選択は不要である。励起スペクトル101および蛍光スペクトル103がそれぞれ、しきい値波長107においてゼロよりも著しく大きい強度値を有する限り、励起スペクトル101の最大値の波長よりも小さくなるようまたは蛍光スペクトル103の最大値の波長よりも大きくなるように、このしきい値波長を選択することも可能である。
【0051】
透過特性105は、380nmから780nmの全範囲内において定められた2つの部分特性IとIIとの和である。部分特性Iは、しきい値波長107を下回る波長において、透過率が値L1よりも大きい値を有する波長範囲109を有する。部分特性Iは、蛍光色素の蛍光を励起するために蛍光励起光が照明光フィルタを通過するようにする機能を有する。波長範囲109内のフィルタの透過率は、高効率を実現するためにできるだけ高くなるように選択される。値L1は、たとえばフィルタをこの波長範囲における高透過率のために最適化した場合に得ることができる透過率の値を表わす。示されている実施の形態では、L1の値は0.6である。
【0052】
部分特性IIは、しきい値波長を上回る波長において、透過率が第2の値L2よりも小さくかつ値L3よりも大きい値を有する少なくとも1つの第2の波長範囲を含む。部分特性IIは、蛍光を励起するためではなく対象物の非蛍光領域を認識できるよう、対象物を照明するために用いられる照明光フィルタを光が通過するようにする機能を有する。非蛍光領域は蛍光領域よりも明るく光ってはならないため、かつ、蛍光は典型的には強度が低いため、照明光は、部分特性IIにより、照明光フィルタを比較的低い強度で透過する。これが、透過率ができるだけ高いことが望ましい波長範囲における透過特性を下回る値L1よりも小さい値L2よりも部分特性IIの最大値が小さい理由である。示されている実施の形態では、値L2は0.1である。しかしながら、部分特性IIによって与えられる透過率は、値L4よりも著しく大きい値L3よりも大きい。照明光フィルタが実質的に照明光を遮断することが望ましい最も低い波長範囲内では、透過率は値L4よりも小さい。示されている実施の形態では、値L3は0.0002であり、値L4は0.00005である。
【0053】
観察光フィルタの透過特性113を図2cに概略的に示す。ここでも透過特性113は2つの部分特性IIIとIVとの和である。部分特性IIIは、しきい値波長107を上回る波長において、透過率が値L1よりも大きい値を有する少なくとも1つの波長範囲115を有する。部分特性IIIは、蛍光および照明光双方が観察光フィルタを通過するようにする機能を有する。この光は照明光フィルタの部分特性IIによって対象物に到達したものである。これが、対象物の蛍光領域および非蛍光領域双方を認識できる理由である。蛍光領域を認識できるのは、蛍光が部分特性IIIによって観察光フィルタを通過できるからであり、非蛍光領域を認識できるのは、部分特性IIによって対象物に到達した光が観察光フィルタを通過できるからである。
【0054】
部分特性IVは、しきい値波長107を下回る波長において、透過率が値L2よりも小さくかつ値L3よりも大きい値を有する少なくとも1つの波長範囲117を含む。部分特性IVは、対象物の非蛍光領域を可視化するために、照明光フィルタの部分特性Iによって対象物に到達し対象物から反射または対象物で散乱した光が観察光フィルタを通過するようにする機能を有する。照明光フィルタの部分特性IIと同様、観察光フィルタの部分特性IVは、蛍光領域よりも明るく光るのを回避するために、値L2よりも小さくかつ値L3よりも大きい最大透過率を有する。値L3は値L4よりも著しく大きい。光が観察光フィルタを透過することを遮断すべき波長範囲内では、透過特性113は値L4よりも小さい。
【0055】
図2bおよび図2cに概略的に示した性質を有する光フィルタは、たとえば誘電材料の複数の層をガラス基板上に蒸着させることによって製造できる。適切な層の組成および厚みは、光工学分野において周知の数学的シミュレーション方法を用いて求めることができる。さらに、観察光フィルタおよび照明光フィルタは各々、ともに光ビーム経路内に配置されフィルタ全体の性質を与える2つ以上の別々のフィルタによって、与えることができる。たとえば、照明光フィルタは、適切に選択された2つの高域フィルタおよび適切に選択された2つの低域フィルタによって与えてもよい。
【0056】
図2dは、照明光フィルタの透過特性105と観察光フィルタの透過特性113との積を概略的に示す。この積は、3つの波長範囲において著しい強度を示す。これら範囲は主に、観察光フィルタの部分特性IVが著しい透過を示す波長範囲117、照明光フィルタの部分特性IIが著しい透過を示す波長範囲115、および、透過率がライン123によって表わされる、しきい値波長107の周りの領域である。ライン123によって表わされる透過率は、透過特性Iの肩部分125と観察光フィルタの透過特性IIIの肩部分127の、スペクトルの重なりによるものである。対象物の非蛍光領域を観察するための光を与えるために、肩部分125および127を意図的に与えることが可能である。フィルタの製造における技術的限界が原因で透過特性の任意の急峻なエッジが得られないためにこのスペクトルの重なりが実際避けられない可能性もある。
【0057】
肩部分125および127の重なりによってフィルタの組を通過する光の強度は、次の通りであり、重なりがなければゼロであり、何らかの重なりがあれば値A1よりも小さい。
【0058】
【数3】

【0059】
波長範囲117における部分特性IVによってフィルタの組を通過する光の強度は、以下の式によって表わされ、A1よりも大きくかつ0.5A2よりも小さい。
【0060】
【数4】

【0061】
同様に、部分特性IIによってフィルタの組を通過する強度は、以下の式によって表わされ、この強度も重なり123によって生じる強度よりも大きくかつ0.5A2よりも小さい。
【0062】
【数5】

【0063】
図2a〜図2dは、少なくとも2つの異なる波長範囲からの光が、対象物の非蛍光領域の認識に著しく貢献することを示している。その利点は、対象物の非蛍光領域は単色に見えず、対象物の非蛍光白色領域はほとんど白に見えるという点にある。
【0064】
波長範囲111における部分特性IIのおよび波長範囲117における部分特性IVの幅および値の大きさは、さまざまな波長範囲における光の量を定めるととともに、対象物の非蛍光領域を観察するために利用できる。図2dでは、利用できる光が、部分特性IVによる波長範囲485nm〜505nmにおいて、部分特性IIによる相対的により広い波長範囲620nm〜700nmよりも高いスペクトルパワー密度を有することを示す。対象物の非蛍光領域を視覚化するために利用できる光のスペクトル分布は、対象物の非蛍光白色面が以下で図3を参照しながら説明するようにできればユーザに対して白色の印象を与えるように、選択される。
【0065】
図3は、CIE−1931色空間のCIE−色度図の概略図である。スペクトル軌跡と呼ばれるラインには参照番号Sが付され、白色点には参照番号Wが付される。図3における矩形IVは、観察光フィルタの部分特性IVの透過率がL3よりも大きい値を有するスペクトル軌跡ラインSの領域を示し、矩形IIは、照明光フィルタの部分特性IIがL3よりも大きい値を有するスペクトル軌跡ラインSの領域を示す。非蛍光領域を観察するための光はしたがって、スペクトル軌跡ラインの部分IIおよびIVにある。部分IVの重心は図3において参照番号131で示され、部分IIの重心は図3において参照番号133で示される。部分IVおよびIIの重心および重みは、これらの部分の光が合わさって白色点Wに近い光の混合物が形成されるように選択される。この光の混合は図3において矢印135で示される。
【0066】
上記照明光フィルタおよび観察光フィルタの透過特性の性質は、以下の式(3)および式(4)によって表わされる。
【0067】
【数6】

【0068】
λは波長を表わし、
L(λ)は照明光フィルタの透過特性であり、
O(λ)は観察光フィルタの透過特性であり、
/rは、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図における座標であり、
Sは、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図におけるスペクトル軌跡ラインと呼ばれるラインであり、
/Wは、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図における白色点である。
【0069】
式(3)の分子における積分は、スペクトル軌跡ラインSに沿っている。項/r・drのため、重心の決定は、重み付けTL(/r)・TO(/r)を用いて色空間の座標内で行なわれる。式(3)の分母における積分も、スペクトル軌跡ラインSに沿っている。この積分は、値/RがスペクトルラインSに沿った関数TL(/r)・TO(/r)の重心を表わすよう、正規化のために使用される。
【0070】
式(4)は、この重心/Rの、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図における白色点/Wからの距離が、0.2よりも小さいことを示す。他の実施の形態に従うと、この距離は0.15よりも小さくまたは0.1よりも小さくすることができる。このことは、白色の非蛍光対象物を観察するために利用できる光が白に近い印象を与えることを意味する。
【0071】
図2a〜図2dを参照しながら説明してきたフィルタの組の設計のさらなる利点は、部分特性IIによって、620nmを上回る赤色光も非蛍光領域の観察のために利用できる点にある。これにより、対象物上に存在し得る血液を、緑のスペクトル範囲における蛍光色素フルオレセインの蛍光の観察を邪魔することなく、その本来の色で認識できる。
【0072】
蛍光色素フルオレセインを用いる場合は、しきい値波長107を、510nmから540nmの範囲の中から、特に520nmから530nmの範囲の中から選択し、波長範囲111の波長を600nmから750nmの範囲の中から選択し、波長範囲IVの波長を475nmから515nmの範囲の中から選択することが有効であろう。
【0073】
蛍光色素ヒペリシンを用いる場合は、しきい値波長を、575nmから610nmの範囲の中から、特に585nmから600nmの範囲の中から選択し、波長範囲111の波長を610nmから750nmの範囲の中から選択し、波長範囲117の波長を420nmから560nmの範囲の中から選択することが有効であろう。ここで、波長範囲117は特に2つの部分、すなわち420nmと490nmとの間の第1の部分と510nmと560nmとの間の第2の部分とを含み得る。
【0074】
蛍光色素または前駆体5ala(プロトポルフィリンIX)を用いる場合は、しきい値波長を580nmから620nmの範囲の中から選択し、波長範囲111の波長を610nmから750nmの範囲の中から選択し、波長範囲117の波長を420nmから560nmの範囲の中から選択することが有効であろう。ここで、波長範囲117は特に2つの部分、すなわち420nmと490nmとの間の第1の部分と510nmと560nmとの間の第2の部分とを含み得る。
【0075】
本開示はある例示の実施の形態を示しているが、数多くの代替例、変形および変更が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、本開示の中で示した例示の実施の形態は、例示を目的としており決して限定を意図しない。さまざまな変更を、以下の請求項によって定められる本開示の精神および範囲を逸脱することなく行ない得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光フィルタと観察光フィルタとを備える1組のフィルタであって、
前記照明光フィルタの透過特性は第1の部分特性と第2の部分特性との和であり、
前記観察光フィルタの透過特性は少なくとも1つの第3の部分特性を含み、
前記第1の部分特性は、しきい値波長を下回る波長において、透過率が第1の値よりも大きい値を有する少なくとも1つの波長範囲を有し、
前記第2の部分特性は、前記しきい値波長を上回る波長において、透過率が第2の値よりも小さくかつ第3の値よりも大きい値を有する少なくとも1つの第2の波長範囲を有し、
前記照明光フィルタの透過率は、前記第1の波長範囲と前記第2の波長範囲との間において、第4の値よりも小さい値を有し、
前記第3の部分特性は、前記しきい値波長を上回る波長において、透過率が前記第1の値よりも大きい値を有する少なくとも1つの第3の波長範囲を有し、
前記第4の値は前記第3の値よりも小さく、前記第3の値は前記第2の値よりも小さく、前記第2の値は前記第1の値よりも小さい、1組のフィルタ。
【請求項2】
【数1】

λは波長を表わし、
1(λ)は前記第1の部分特性であり、
2(λ)は前記第2の部分特性であり、
3(λ)は前記第3の部分特性であり、
L(λ)=T1(λ)+T2(λ)は前記照明光フィルタの透過特性であり、
O(λ)は前記観察光フィルタの透過特性であり、
1、A2は0と1との間の数である、請求項1に記載の1組のフィルタ。
【請求項3】
前記観察光フィルタの透過特性は、前記第3の部分特性と第4の部分特性との和であり、前記第4の部分特性は、前記しきい値波長を下回る波長において、透過率が前記第2の値よりも小さくかつ前記第3の値よりも大きい値を有する少なくとも1つの第4の波長範囲を有し、前記観察光フィルタの透過率は、前記第4の波長範囲と前記第3の波長範囲との間において、前記第4の値よりも小さい値を有する、請求項1または2に記載の1組のフィルタ。
【請求項4】
【数2】

4(λ)は前記第4の部分特性(IV)であり、TO(λ)=T3(λ)+T4(λ)である、請求項3に記載の1組のフィルタ。
【請求項5】
【数3】

/r(上付きバーを/で代用する)は、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図における座標であり、
Sは、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図のスペクトル軌跡ラインと呼ばれるラインであり、
/Wは(上付きバーを/で代用する)は、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図における白色点である、請求項1から4のうち1項に記載の1組のフィルタ。
【請求項6】
照明光フィルタと観察光フィルタとを備える1組のフィルタであって、
前記観察光フィルタの透過特性は、しきい値波長を下回る波長において、透過率が第1の値よりも大きい値を有する少なくとも1つの波長範囲を有し、前記照明光フィルタの透過特性は、前記しきい値波長を上回る波長において、透過率が第4の値よりも小さい値を有する少なくとも1つの波長範囲を有し、
前記観察光フィルタの透過特性は、前記しきい値波長を上回る波長において、透過率が前記第1の値よりも大きい値を有する少なくとも1つの波長範囲を有し、前記観察光フィルタの透過特性は、前記しきい値波長を下回る波長において、透過率が前記第4の値よりも小さい値を有する少なくとも1つの波長範囲を有し、
【数4】

λは波長を表わし、
L(λ)は前記照明光フィルタの透過特性であり、
O(λ)は前記観察光フィルタの透過特性であり、
/r(上付きバーを/で代用する)は、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図における座標であり、
Sは、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図のスペクトル軌跡と呼ばれるラインであり、
/Wは(上付きバーを/で代用する)は、CIE1931XYZ色空間のCIExy色度図における白色点である、1組のフィルタ。
【請求項7】
【数5】

のうちの少なくとも1つが成立する、請求項5および6のうち1項に記載の1組のフィルタ。
【請求項8】
対象物を照明するための光源と、前記対象物を撮像するための観察光学部品と、請求項1から7のうち1項に記載の1組のフィルタとを備える蛍光観察システムであって、観察光フィルタは、前記光源と前記対象物との間の照明ビーム経路に配置され、観察光フィルタは、前記観察光学部品のビーム経路に配置される、蛍光観察システム。
【請求項9】
請求項1から7のうち1項に記載の1組のフィルタを用いて蛍光観察を実行する方法であって、前記方法は、
対象物に向けられた照明光ビームを前記1組のフィルタの照明光フィルタを用いてフィルタリングするステップと、
前記対象物から発せられた光を前記1組のフィルタの観察光フィルタを用いてフィルタリングするステップとを含む、方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−98271(P2012−98271A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−173776(P2011−173776)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(503078265)カール ツァイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト (51)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss Meditec AG
【住所又は居所原語表記】Goeschwitzer Strasse 51−52, D−07745 Jena, Germany
【Fターム(参考)】