説明

1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む鎖伸長剤の混合物を使用する低ヘイズ熱可塑性ポリウレタン

本発明は、非環式ジオール、および1,3−シクロヘキサンジメタノールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの混合物を含む鎖伸長剤混合物から調製される低ヘイズ熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。上記TPUエラストマーは、特に、比較的厚い射出成形部分に形成される場合に、良好な光学的透明性を示す。本発明は、(1)少なくとも1種の高当量二官能性化合物、(2)鎖伸長剤混合物および(3)少なくとも1種のジイソシアネートのポリマーである熱可塑性ポリウレタン(TPU)エラストマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年3月29日に出願された米国仮特許出願第60/920,642号からの優先権を主張する
本発明は、熱可塑性ポリウレタンに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)エラストマーは、種々の適用(例えば、ギア、ベアリング、精密機械類様の継手、電子機器用の部品、ソール、運動靴およびスキーブーツの内袋(bladder)およびアッパー(upper)、自動車部品、シール、油圧流体系統(hydraulic fluid system)用のガスケットおよびパッキング、ならびに他の適用において使用される。TPUエラストマーは、代表的には、1種以上のジイソシアネート化合物と、1種以上の高当量ジオールと、1種以上の鎖伸長剤との反応生成物である。
【0003】
機能的もしくは審美的な理由、またはその両方から、上記TPUエラストマーが良好な光学的透明性を示すことは、ときおり望ましい。この例は、履物への適用であり、ここで、アッパー、空気用内袋もしくはゲル用内袋、およびソールの構成要素(例えば、すべり止め)は、ときおり、外見上の理由から透き通っている(clear)ことが望まれる。透き通っていることに加えて、上記TPUエラストマーは、特定の適用のための他の性能基準を満たさなければならない。履物への適用において、耐摩耗性および透湿性(permeability to moisture)は、重要な特性である。上記TPUエラストマーはまた、その意図された適用に適した硬度を示さなければならない。
【0004】
広く種々のポリオール、鎖伸長剤およびポリイソシアネートは、TPUエラストマー適用において使用することについて提供された。例えば、とりわけ、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7を参照のこと。いくつかの場合において、ポリオールおよび/もしくは鎖伸長剤の混合物を使用して、TPUエラストマーを作製することが提唱されてきた。例えば、特許文献8および特許文献9は各々、TPUエラストマーを製造することにおける特定の鎖伸長剤混合物の使用を記載している。
【0005】
多くの商業的に使用される軟質〜中程度に硬質(Shore Aデュロメーター硬度60〜Shore Dデュロメーター硬度約75)のTPUエラストマー処方物は、上記鎖伸長剤としての1,4−ブタンジオールに基づく。1,4−ブタンジオールベースの系は、しばしば、他の鎖伸長剤に基づく系と比較して、妥当なコストで良好な特性バランスを提供する。いくつかの1,4−ブタンジオールベースの系に伴う1つの問題は、この系が、顕著な量のヘイズ、もしくは光学的透明性の喪失を示す傾向があることである。ヘイズを伴う問題は、より厚みのある部品では、特に重大である。上記部品の厚みが大きくなるにつれて、上記光学的透明性の喪失は、しばしば、上記部品の厚みが単に増大することに起因して、予測するよりも大きい。経済的であり、良好な機械的特性を有しかつ良好な光学的透明性を有するTPUエラストマーを提供することが望ましい。上記TPUエラストマーの硬度は、適切には、Shore Aデュロメーター硬度60からShore Dデュロメーター硬度75の間である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,214,411号明細書
【特許文献2】米国特許第4,371,684号明細書
【特許文献3】米国特許第4,980,445号明細書
【特許文献4】米国特許第5,013,811号明細書
【特許文献5】米国特許第5,648,447号明細書
【特許文献6】米国特許第6,521,164号明細書
【特許文献7】米国特許第7,045,650号明細書
【特許文献8】米国特許第4,371,684号明細書
【特許文献9】米国特許第6,521,164号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(1)少なくとも1種の高当量二官能性化合物、(2)鎖伸長剤混合物および(3)少なくとも1種のジイソシアネートのポリマーである熱可塑性ポリウレタン(TPU)エラストマーであり、ここで上記鎖伸長剤混合物は、少なくとも60モル%の、約400までの分子量を有する非環式ジオールもしくは非環式ジアミンおよび少なくとも8モル%の、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)異性体の混合物を含み、上記シクロヘキサンジメタノール異性体の混合物は、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの各々を少なくとも20重量%含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において使用される場合、用語「熱可塑性ポリウレタン」もしくは「TPU」とは、ウレタン基(ヒドロキシル含有化合物とイソシアネート含有化合物との反応において形成される)を有する物質、ならびにウレタン基および尿素基(イソシアネート含有化合物と、ヒドロキシル含有化合物および一級アミノ基もしくは二級アミノ基を含む化合物の両方との反応において形成される)の両方を有する物質を含むために、省略表現として意図される。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、(1)少なくとも1種の高当量ポリ(カプロラクトン)ジオールもしくは上記少なくとも1種の高当量ポリ(カプロラクトン)ジオールと、1種以上の他の高当量ジオールとの混合物、(2)少なくとも60モル%の1,4−ブタンジオールおよび少なくとも8モル%のシクロヘキサンジメタノール異性体の混合物を含む鎖伸長剤混合物、ならのも(3)少なくとも1種のジイソシアネートのポリマーであるTPUエラストマーであり、ここで上記シクロヘキサンジメタノール異性体の混合物は、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの各々を少なくとも40重量%含む。
【0010】
本発明のTPUエラストマーは、しばしば、特に、1,4−ブタンジオールのみを上記鎖伸長剤として使用する類似のTPUエラストマーより厚みのある部品に成形される場合、より良好な光学的透明性を有する。
【0011】
本発明において使用される鎖伸長剤混合物は、少なくとも2種の成分を含む混合物である。第1の成分は、非環式ジオールもしくは非環式ジアミンであり、これらは、約400までの、好ましくは、約250までの分子量を有する。ジオール鎖伸長剤が好ましい。上記非環式ジオールもしくは非環式ジアミン鎖伸長剤は、少なくとも60モル%の上記鎖伸長剤混合物を構成する。好ましい実施形態において、上記非環式ジオールもしくは非環式ジアミン鎖伸長剤は、少なくとも80モル%の上記鎖伸長剤混合物を構成し、そして92モル%までの上記鎖伸長剤混合物を構成し得る。非環式ジオールとジアミンとの混合物は、上記鎖伸長剤混合物の第1の成分として使用され得る。
【0012】
非環式ジオール鎖伸長剤の例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘプタンジオールなどが挙げられる。非環式ジアミン鎖伸長剤の例としては、エチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。1,4−ブタンジオールは、これらの中でも最も好ましい。
【0013】
上記鎖伸長剤混合物の第2の成分は、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物である。1,3−シクロヘキサンジメタノール単位 対 1,4−シクロヘキサンジメタノール単位の比は、約20:80〜80:20までで変動し得る。これらのうちの好ましい比は、重量で約65:35〜35:65である。より好ましい比は、重量で約60:40〜約40:60である。上記1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールは各々、そのcis−異性体、trans−異性体、もしくはcis−異性体およびtrans−異性体両方の混合物であり得る。最も好ましいシクロヘキサンジメタノール混合物は、:cis−1,3−シクロヘキサンジメタノール、trans−1,3−シクロヘキサンジメタノール、cis−1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびtrans−1,4−シクロヘキサンジメタノールの4つ全てを含み、ここで上記1,3−異性体は、上記混合物のうちの40〜60重量%を構成し、そして上記1,4−異性体は、上記混合物のうちの約60〜40重量%を構成する。
【0014】
上記シクロヘキサンジメタノール混合物は、上記鎖伸長剤混合物のうちの少なくとも8モル%を構成する。上記シクロヘキサンジメタノール混合物は、上記鎖伸長剤混合物のうちの40モル%までを構成する。上記シクロヘキサンジメタノール混合物は、好ましくは、上記鎖伸長剤混合物のうちの8〜30モル%、そしてさらにより好ましくは、上記鎖伸長剤混合物のうちの10〜25モル%を構成する。
【0015】
上記鎖伸長剤混合物は、400まで、好ましくは、250までの分子量を有する、1種以上の他の環式ジオールもしくは環式ジアミンを含み得る。これらとしては、例えば、ヒドロキノンビス−2−ヒドロキシエチルエーテル、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンビス(アニリン)などが挙げられる。これらは、上記鎖伸長剤混合物のうちの32モル%までを構成し得る。それらは、好ましくは、上記鎖伸長剤混合物のうちの12モル%以下を構成する。
【0016】
最も好ましい鎖伸長剤混合物は、(少量の不純物以外)1種以上の非環式ジオールおよび上記シクロヘキサンジメタノール混合物のみから構成される。最も好ましい鎖伸長剤混合物は、(少量の不純物の他に)1,4−ブタンジオールおよび上記シクロヘキサンジメタノール混合物のみを含み得る。
【0017】
上記高当量二官能性化合物は、1分子あたり名目上2.0個のイソシアネート反応性基を有する物質である。本発明の目的で、「高当量」二官能性化合物もしくや他のイソシアネート反応性物質は、少なくとも300のイソシアネート反応性基あたり1当量を有するものである。上記イソシアネート反応性基は、例えば、ヒドロキシル、一級アミノ、二級アミノもしくはチオール基であり得る。上記高当量イソシアネート反応性基は、好ましくは、脂肪族ヒドロキシル基である。上記ヒドロキシル当量は、好ましくは、300〜2000であり、より好ましくは、500〜1200である。一般に、上記二官能性化合物の当量が高くなるほど、特定の硬度を得るために必要とされる鎖伸長剤の量が多くなる。
【0018】
適切な高当量二官能性化合物は、High Polymers,Vol.XVI;「Polyurethanes, Chemistry and Technology」 by Saunders and Frisch,Interscience Publishers,New York,Vol.I,pp.32−42,44−54(1962) and Vol II.pp.5−6,198−199(1964);Organic Polymer Chemistry by K.J.Saunders,Chapman and Hall,London,pp.323−325(1973);and Developments in Polyurethanes,Vol.I,J.M.Burst,ed.,Applied Science Publishers,pp.1−76(1978)のような刊行物に記載される。これら物質としては、ポリエステル(ポリラクトンを含む)、ポリエーテル、ポリカーボネート、および種々の他のタイプが挙げられる。一般に、ポリエステルおよびポリエーテル、ならびにこれらの混合物は、性能、コストおよび利用性に基づくと、好ましい。
【0019】
適切なポリエステルとしては、脂肪族ポリエステルおよび芳香族ポリエステルが挙げられる。脂肪族ポリエステルとしては、1種以上の環式ラクトン(例えば、カプロラクトン)のポリマーおよびコポリマー;ヒドロキシアルカン酸(例えば、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸もしくはグリコール酸(もしくはその環式二無水物ダイマー(例えば、ラクチドもしくはグリコリド))のポリマーおよびコポリマー;ならびに1種以上のグリコールと、1種以上の脂肪族ジカルボン酸との反応生成物に対応するA−Bタイプポリエステルが挙げられる。芳香族ポリエステルは、一般に、少なくとも1種のグリコールと、少なくとも1種の芳香族カルボン酸との反応生成物に対応するA−Bタイプポリエステルである。「少なくとも1種のグリコールおよび少なくとも1種の(脂肪族もしくは芳香族)ジカルボン酸の反応生成物に対応する」とは、上記ポリエステルが、各グリコールの構造(各ヒドロキシル水素の除去後)に対応する反復単位および上記ジカルボン酸の構造(各カルボン酸基から−OHを除去した後)に対応する反復単位を含むことを意味する。この用語は、上記ポリエステルを、何ら特定の方法において作製されたものに限定することを意図しない。以下で議論されるように、種々の合成スキームは、A−Bタイプポリエステルを作製するために使用され得る。「グリコール」とは、正確に2つのヒドロキシル基/分子かつ300まで、好ましくは、200まで、およびより好ましくは、100までの分子量を有する化合物を意味する。A−Bタイプポリエステルは、少量の分枝化剤(branching agent)(代表的には、3個以上のヒドロキシル基/分子を有するポリオール)で作製され得るが、このような分枝化剤は、少量で使用されるべきである。
【0020】
有用な脂肪族A−Bタイプポリエステルの例としては、グリコール(例えば、1,4−ブタンジオール、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ピロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、チオジグリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジオールと、ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン酸、マレイン酸もしくはフマル酸)との反応生成物に対応するものが挙げられる。これら脂肪族A−Bタイプポリエステルのうち、アジピン酸に基づくもの(例えば、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)およびポリ(エチレンアジペート)は、特に好ましい。適切な市販のグレードのアジペートポリエステルとしては、商品名Fomrez 44−56およびFomrez 44−57の下でCrompton Chemicalsによって市販されているものが挙げられる。
【0021】
有用な芳香族A−Bタイプポリエステルの例としては、グリコール(例えば、1,4−ブタンジオール、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、チオジグリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジオールなど)と、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸(tetrachlotophthalic acid)およびクロレンド酸)との反応生成物に対応するものが挙げられる。イソフタル酸もしくはテレフタル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールおよび1,4−ブタンジオールとのポリマーは、A−B芳香族ポリエステルの好ましいタイプである。
【0022】
種々の反応スキームは、A−Bタイプポリエステルを形成するために使用され得る。上記に記載されるような1種以上の二酸が、上記に記載されるような1種以上のグリコールと直接反応させられて、上記ポリエステルを形成し得る。あるいは、前述のジカルボン酸の無水物、ジアルキルエステルおよび酸ハライドは、上記ジカルボン酸自体の代わりに、またはこれに加えて、重合反応における原材料として使用され得る。いくつかの場合において、上記グリコールおよび上記ジカルボン酸(もしくは対応するジアルキルエステルもしくは無水物)の環式オリゴマーを形成し、そして上記環式オリゴマーを重合して上記ポリエステルを形成することもまた、考えられる。環式オリゴマーは、上記ポリオールおよびジカルボン酸(または対応するジアルキルエステルもしくは無水物)から低分子量ポリマーを形成し、そして上記低分子量ポリマーを脱重合して、上記環式オリゴマーを形成することによって、調製され得る。上記環式オリゴマーは、1種のポリオール分子および1種のジカルボン酸分子の環式反応生成物に対応する環式反応生成物であり得るか、または高度の重合を有し得る。
【0023】
特に好ましいポリエステルは、ポリカプロラクトンである。ポリカプロラクトンは、容易に商業的に入手可能である。
【0024】
別の好ましいタイプの高当量二官能性化合物は、ポリエーテルジオールである。種々のタイプのポリエーテルジオールが適しており、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシドなどのポリマーが挙げられる。これらのうちの2種以上のコポリマーが使用され得る。好ましいポリエーテルジオールとしては、プロピレンオキシドのホモポリマー、プロピレンオキシドおよび20重量%までのエチレンオキシドのランダムコポリマー、末端ポリ(エチレンオキシド)エンドキャップを有するプロピレンオキシド−エチレンオキシドランダムコポリマー、ならびにポリ(テトラメチレンオキシド)が挙げられる。これらタイプのポリエーテルジオールは、「Polyurethanes: Chemistry and Technology」,Part 1. Chemistry, J.H.Saunders and K.C.Frisch,Interscience,New York,1962,pp.36−37,および「Advances in Urethane Science and Technology」 K.C.Frisch and S.L.Reegan,Technomic Publishing Company,Westport,Conn.1973,pp.188−193に記載される。
【0025】
特定の市販のポリエーテルジオール(特に、プロピレンオキシドのポリマーおよびコポリマー)は、特定の量のモノ官能性不純物を含む傾向があり、そしてその理由から、2.0よりいくらか少ない(例えば、1.6〜1.99)実際のヒドロキシル官能基を有する傾向がある。これら市販のポリエーテルジオールは、本明細書での使用に適している。このような場合において、上記ポリエーテルジオールと別の高当量ポリエーテルポリオール(より高い名目上官能性を有する、特に、3.0の名目上官能性を有するもの)とを混合することはまた、本発明の範囲内である。望ましい場合、上記ジオールおよびより高い官能性のポリオールの相対的割合は、上記混合物の実際の平均官能性は、2.0に近い(例えば、1.9〜2.2もしくは1.9〜2.05)ように、選択され得る。
【0026】
同様に、低レベルのモノ官能性不純物を有する1種以上のポリエーテルジオールを使用することは、本発明の範囲内である。上記モノ官能性不純物は、通常、不飽和末端基を有する。従って、ポリエーテルジオールもしくはポリオール中のモノ官能性不純物のレベルは、その末端不飽和の量の観点から表され得る。望ましい場合、上記ポリエーテルジオールもしくはポリオールは、1gあたり0.02ミリ当量(meq)以下の末端不飽和を有し得る。1gあたりの末端不飽和の量は、0.01meq/g以下、もしくは0.002〜0.008meq/gであり得る。このような低レベルの不飽和を有するポリエーテルジオールおよびポリオールは、種々の周知の二重金属シアニド触媒(DMC)複合体を使用して調製され得る。
【0027】
本発明のTPUの硬質セグメントを調製することにおける使用に適したジイソシアネートは、当該分野で周知であり、芳香族、脂肪族、およびシクロ脂肪族のジイソシアネートならびにこれらの組み合わせが挙げられる。これらジイソシアネートの代表例は、米国特許第4,385,133号;同第4,522,975号;および同第5,167,899号(これらの教示は、本明細書に参考として援用される)に見いだされ得る。好ましいジイソシアネートとしては、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(4,4’−MDI)、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(2,4’−MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,4−ジイソシアナト−シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタン、2,6−トルエンジイソシアネートおよび2,4−トルエンジイソシアネートが挙げられる。4,4’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタンおよび4,4’−ジイソシアナト−ジフェニルメタンが好ましい。4,4’−MDIが最も好ましい。
【0028】
前述の物質に加えて、少量の架橋剤は、上記TPUエラストマーを作製することにおいて使用され得る。これら物質は、最初の重合もしくはその後の溶融処理操作の間にゲルの形成を生じない量で使用され得る。架橋剤は、1分子あたり3個以上のイソシアネート反応性基およびイソシアネート反応基あたり300未満、好ましくは、200未満、および特に、30〜150の当量を有する物質である。架橋剤の例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、テトラエチレントリアミン、ソルビトール、グルコース、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、前述のうちのいずれかのアルコキシル化誘導体などが挙げられる。
【0029】
さらに、3個以上のイソシアネート反応性基を有する少量の高当量物質は、上記TPUエラストマーを作製するために使用され得る。先で議論されたように、これらは、いくつかの実施形態において、いくつかのジオールに存在するモノ官能性不純物を補償するために添加され得る。それらはまた、上記溶融TPUのレオロジー特性を改変するために使用され得るか、または処理に関連する他の目的で使用され得る。これら物質は、最初の重合もしくはその後の溶融処理操作の間にゲルの形成を生じない量で使用され得る。これら物質を省くことは、好ましい。
【0030】
同様に、3個以上のイソシアネート基を有する少量のポリイソシアネートは、上記TPUエラストマーを作製するために使用され得る。本当に存在する場合、これら物質は、全てのイソシアネート化合物の上記平均イソシアネート官能性が、1分子あたり2.3、好ましくは、2.1のイソシアネート基を超えないような量で、適切に使用される。これら物質を省くことは、好ましい。
【0031】
前述の成分の比は、熱可塑性かつエラストマー性であるポリマーを形成するように、一緒に選択される。TPUエラストマーは、それらのShoreデュロメーター硬度によって特徴づけられ得る。上記TPUエラストマーは、適切には、少なくとも60のShore Aデュロメーター硬度を有する。上記TPUエラストマーは、最大75までもしくはさらにより高いShore Dデュロメーター高度を有し得る。上記TPUエラストマーのShore Aデュロメーター硬度は、いくつかの適用については、好ましくは、少なくとも75およびより好ましくは、少なくとも80である。いくつかの適用については、上記Shore Aデュロメーター硬度は、高くても100であることが好ましく、そして高くても95であることがより好ましい。
【0032】
上記TPUエラストマーの硬度は、通常、その「硬質セグメント」含有量に関連する。「硬質セグメント」含有量とは、重合化イソシアネート、鎖伸長剤および存在し得る任意の架橋剤から構成される上記TPUエラストマーの割合をいう。上記TPUエラストマーは、一般に、上記硬質セグメント含有量が上記TPUエラストマー(上記ポリウレタンポリマーの一部を形成しない添加剤を数えない)の総重量のうちの約20〜約80%である場合、先に記載されるようなShore A硬度を有する。すなわち、
【0033】
【数1】

ここでWCEは、全ての鎖伸長剤を合わせた重量であり、Wは、全てのイソシアネート化合物を合わせた重量であり、WXLは、全ての架橋剤(あるとすれば)を合わせた重量であり、WHEWは、全ての高当量イソシアネート反応性物質を合わせた重量である。好ましくは、上記硬質セグメント含有量は、30〜70重量%である。特に好ましい硬質セグメントは、35〜55重量%である。本発明の利点は、良好な光学的透明性が、いくらか高い硬質セグメント含有量(例えば、35重量%より高い)を有するエラストマーにおいても得られ得ることである。
【0034】
軟質セグメント含有量は、上記TPUエラストマーを作製するために使用される高当量イソシアネート反応性物質の割合に対応し、そして100%−(マイナス)上記硬質セグメント含有量、に等しい。従って、上記軟質セグメント含有量は、一般に、20〜80重量%、より好ましくは、30〜70重量%およびより好ましくは、45〜65重量%である。
【0035】
イソシアネート指数は、上記TPUエラストマーを作製するために使用される反応性混合物中のイソシアネート反応性基の当量あたりのイソシアネート基の当量の比である。上記イソシアネート指数は、好ましくは、0.95〜1.20である。上記イソシアネート指数は、より好ましくは、約1.08以下、さらにより好ましくは、約1.05以下、そしてなおより好ましくは、約1.01以下である。
【0036】
本発明のTPUエラストマーは、都合の良いことには、上記高当量二官能性化合物、上記鎖伸長剤混合物、および上記ジイソシアネート(および選択肢的な反応性物質(例えば、あるとすれば、上記のもの)を含む反応混合物を、それらが反応して、高当量熱可塑性ポリマーを形成するような条件下で形成することによって、調製される。このような出発物質の反応のための条件は周知であり、例えば、米国特許第3,214,411号、同第4,371,684号、同第4,980,445号、同第5,013,811号、同第5,648,447号、同第6,521,164号および同第7,045,650号に記載されている。上記反応条件は、上記重合反応を起こすための熱の適用を包含し、そして重合触媒の存在を包含し得る。上記物質は、それらを一緒に反応させて、上記TPUエラストマーを形成する前に、別々に加熱され得る。上記出発物質は、好ましくは、実質的に水の非存在下で反応させられる。なぜなら、水は、上記ジイソシアネートと反応して、ポリ尿素結合を形成し、二酸化炭素を生成するからである。
【0037】
望ましい場合、上記重合は、最初に、上記ジイソシアネートと、上記鎖伸長剤混合物もしくは上記高当量二官能性化合物の全てもしくは一部とを反応させて、プレポリマーを形成することによって、段階的に行われ得る。上記プレポリマーは、次いで、上記イソシアネート反応性物質の残りと反応させられて、上記プレポリマーを促進し上記TPUエラストマーを形成させる。
【0038】
上記重合は、好ましくは、反応性押し出しプロセスにおいて行われる。このようなプロセスにおいて、上記出発物質は、押し出しデバイス(例えば、シングルスクリュー押し出し機もしくはツインスクリュー押し出し機)に充填され、上記押し出しデバイスは、重合温度へと加熱される。上記出発物質は、それらを上記装置に充填する前に、上記重合温度へ加熱され得る。上記反応混合物は、次いで、上記重合が起こる加熱ゾーンを通過する。上記溶融ポリマーは、次いで、ダイを通して押し出される。大部分の場合、上記溶融ポリマーが冷却され、そしてその後の溶融処理操作において使用するために、フレークもしくはペレットに形成されるが、上記重合反応と組み合わせて上記溶融処理操作を行うことは可能である。
【0039】
種々のタイプの選択肢的成分は、上記重合反応の間に存在し得、そして/または上記TPUエラストマーに組み込まれ得る。
【0040】
上記TPUエラストマーに1種以上の抗酸化剤を組み込むことは、通常、好ましい。これらは、上記重合反応の間に添加され得るか、または予め形成されたポリマーにブレンドされ得る。適切な抗酸化剤としては、フェノールタイプ、有機ホスファイト、ホスファイトおよびホスホナイト、ヒンダードアミン、有機アミン、有機イオウ化合物、ラクトンおよびヒドロキシルアミン化合物が挙げられる。透明性が求められる適用については、上記抗酸化剤は、好ましくは、上記TPUエラストマー中で溶解性であるか、または非常に微細な小滴もしくは粒子として上記TPUエラストマー中で分散性である。多くの適切な抗酸化剤物質は、市販されている。これらとしては、IrganoxTM 1010、IrganoxTM MD1024、IrgaphosTM168、IrgphosTM126が挙げられ、全てCIBA Specialty Chemicalsなどから市販されている。
【0041】
UV安定化剤は、特に、透明性が求められるかまたは一部が日光もしくは他の紫外線源に曝される適用において、別の好ましい添加剤である。UV安定化剤としては、置換されたベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールおよびベンゾオキサジノン、置換されたトリアジン、ヒンダードアミン、ならびにジフェニルアクリレート基が挙げられる。これら物質は、Cytek Industries、Ciba Specialty ChemicalsおよびBASFなどから市販されている。
【0042】
1種以上の重合触媒は、上記重合反応の間に存在し得る。ポリイソシアネートと、ポリオールおよびポリアミン化合物との反応のための触媒は周知であり、三級アミン、三級ホスフィン、種々の金属キレート化合物、および酸性金属塩、強塩基、種々の金属アルコラートならびにフェノレートおよび有機酸の金属塩が挙げられる。最も重要な触媒は、三級アミンおよび有機スズ触媒である。このような触媒を省くことは、少なくとも2つの理由からしばしば好ましい。第1に、このような触媒は、しばしば、上記TPUエラストマーが溶融処理される場合に脱重合反応を触媒する傾向があり、このことは、上記ポリマーの分解および特性の喪失をもたらす。第2に、触媒残渣は、上記TPUエラストマーに対して所望されない色を付与し得る。
【0043】
充填剤および補強剤は、上記TPUエラストマーに組み込まれ得るが、透明部分が望まれる場合には、これらは、好ましくは、省かれる。充填剤としては、広い範囲の粒状物質(タルク、マイカ、モンモリロナイト、大理石、花崗岩、粉砕した硝子、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、炭素、アラミド、シリカ、シリカ−アルミナ、二酸化ジルコニウム、タルク、ベントナイト、三酸化アンチモン、カオリン、コールベースのフライアッシュ(coal−based fly ash)、窒化ホウ素、ならびに種々の再要求されかつ再度すりつぶされた熱硬化性ポリウレタンおよび/もしくはポリ尿素ポリマーが挙げられる)が挙げられる。強化としては、小板および線維のような高アスペクト比の物質が挙げられ、この物質は、硝子、炭素、アラミド、種々の他のポリマーなどのものであり得る。
【0044】
他の選択肢的添加剤は、滑剤、離型剤、可塑剤、レオロジー改変剤、着色剤、殺生物剤などを含む。
【0045】
本発明のTPUエラストマーは、広い範囲の適用において有用である。本発明のTPUエラストマーは、成形物品(例えば、コーティング、フィルム、シーラント、ギア、ベアリング、精密機械用の継手、電子機器用の部品、ソール、運動靴およびスキーブーツの内袋およびアッパー、自動車部品、シール、油圧流体系統用のガスケットおよびパッキング、ホースジャケット、チュービング、カスターホイール、病院用ガウンのバリア層および多くの他の部品を形成するために、多くの方法で溶融処理され得る。
【0046】
本発明のTPUエラストマーは、良好な光学的透明性が必要とされる適用に特によく適している。1,4−ブタンジオール単独で鎖伸長されたTPUエラストマーは、ときおり、光学的に曇った部分を形成する傾向がある。このことは、特に、より厚い(約6mm以上)の部品が作製される場合である。それらのより厚みのある部品は、同じ物質から作製されたより厚みのある部品と比較して、予期されるよりも顕著に透明性が低い傾向がある。本発明に関して、より厚みのある部品が不釣り合いに低い透明性を示す傾向は、減少させられるか、またはさらには排除される。結果として、本発明のTPUエラストマーは、特に、6mm以上の厚みを有し、非常に透明である部品を作製するために有用である。
【0047】
本発明のTPUエラストマーの良好な透明性は、比較目的から、以下のように調製される射出成形部品に対して評価され得る:上記TPUエラストマーは、200ppm未満の水分になるまで乾燥され、次いで、80°F(27℃)ツールを用いて、6.25×87.5×162mmの試験片に射出成形される。射出成形機バレル温度は、ノズルにおいて220℃および供給のど部において190℃であり、供給のど部からノズルへと漸増温度プロフィールを有する。射出速度は、25.4 mm/秒であり、そして型内滞留時間は、110秒間である。このように調製された上記試験片の透明性は、ASTM D 1003−95に従って、Hunterlab Colorquest Instrumentもしくは等価なデバイスを使用して、都合良く評価される。このような様式で作製されかつ試験された透明なTPUエラストマーは、しばしば、30%より低い、ときおり、20%より低い、および好ましい場合には、10%以下の%ヘイズを示す。
【0048】
望ましい場合、本発明のTPUエラストマーは、少なくとも1種の他の有機ポリマーを含むポリマーブレンドの成分として使用され得る。上記他の有機ポリマーは、好ましくは、透明な部分が望ましい場合に、本発明のTPUエラストマーと混和性であるが、本発明のTPUエラストマーはまた、本発明のTPUエラストマーが混和性でない他のポリマーとブレンドして使用され得る。上記ブレンド中の上記他の有機ポリマーは、エラストマー性であってもそうでなくてもよい。
【0049】
以下の実施例は、例示目的に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図しない。全ての部およびパーセンテージは、別段示されなければ、重量単位である。
【実施例】
【0050】
(実施例1および2ならびに比較サンプルA)
TPUエラストマーの実施例1および2、ならびに比較サンプルAは、表1に記載される処方から調製される。その成分は乾燥され、そして220℃までの温度で完全に反応することが可能であるツインスクリュー押し出し機の供給のど部に直接射出される。上記押し出し物をダイに通し、その後、水中で切断し、ペレットを形成する。スピンドライヤーを使用して、上記ペレットから上記水を除去する。上記ペレットを乾燥剤による80℃の乾燥器に移し、200ppm未満の水分になるまで乾燥させる。次いで、上記乾燥させた物質を、80°F(27℃)ツールを使用して、6.25mm厚×87.5mm幅×162mm長の板へと、220℃で射出成形する。射出成形機バレル温度は、ノズルにおいて220℃および供給のど部において190℃にあり、供給のど部からノズルへと漸増熱プロフィールを有する。射出速度は25.4mm/秒であり、型内滞留時間は110秒間である。上記板を、較正したHunterlab Colorquest Instrumentを使用して、ASTM D1003−95に従って、ヘイズについて試験する。結果は、表1に示されるとおりである。
【0051】
【表1】

2000分子量ポリカプロラクトンジオール。13% ポリ(エチレンオキシド)エンドキャップおよび分子量2000を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)。約56% 1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび44% 1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物。上記1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールはともに、cis−異性体およびtrans−異性体の混合物として存在する。滑動剤、1種以上の抗酸化剤および1種以上のUV安定化剤の混合物。
【0052】
表1におけるデータは、1,3−CHDM鎖伸長剤および1,4−CHDM鎖伸長剤の混合物のうちの約11〜20当量%を含む鎖伸長剤混合物の使用が、光学的透明性(より低いヘイズ値によって示される)における非常に顕著な改善を有するTPUエラストマーを生じることを示す。
【0053】
(実施例3〜5および比較サンプルB)
TPUエラストマーの実施例3〜5および比較サンプルBは、実施例1および2に記載される一般的方法を使用して、表2に記載される処方から調製される。結果は、表2に示されるとおりである。
【0054】
【表2】

2000分子量ポリカプロラクトンジオール。13% ポリ(エチレンオキシド)エンドキャップおよび分子量2000を有する名目上二官能性ポリ(プロピレンオキシド)。約56% 1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび44% 1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物。上記1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールはともに、cis−異性体およびtrans−異性体の混合物として存在する。滑動剤、1種以上の抗酸化剤および1種以上のUV安定化剤の混合物。
【0055】
実施例3〜5は全て、比較サンプルBよりも実質的に良好な光学的透明性を有する。このことは、上記CHDM異性体混合物の10〜15当量%を含む鎖伸長剤混合物を使用することの効果を示す。実施例3および比較サンプルBは、実施例4および5(Shore A硬度は、約85 対 約95)より軟質のポリマーである。従って、光学的透明性に対する効果は、ある範囲のエラストマー硬度値および硬質セグメントのレベルの範囲に対して認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーであって、該熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、(1)少なくとも1種の高当量二官能性化合物、(2)鎖伸長剤混合物、および(3)少なくとも1種のジイソシアネートのポリマーであり、ここで該鎖伸長剤混合物は、約400までの分子量を有する少なくとも60モル%の非環式ジオールもしくは非環式ジアミンおよび少なくとも8モル%の、シクロヘキサンジメタノール異性体の混合物を含み、該シクロヘキサンジメタノール異性体の混合物は、該シクロヘキサンジメタノール異性体の重量に基づいて、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの各々を少なくとも20重量%含む、熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項2】
前記シクロヘキサンジメタノール異性体の混合物は、cis−1,3−シクロヘキサンジメタノール、trans−1,3−シクロヘキサンジメタノール、cis−1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびtrans−1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項3】
前記鎖伸長剤混合物は、1,4−ブタンジオールおよび前記シクロヘキサンジメタノール異性体の混合物を含む、請求項1または2に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項4】
前記高当量二官能性化合物は、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、もしくはこれらの混合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項5】
前記高当量二官能性化合物は、グリコールとアジピン酸との反応性生物に対応するA−Bタイプのポリエステルジオールを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項6】
少なくとも60のShore Aデュロメーター硬度かつ最大75までのShore Dデュロメーター硬度を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項7】
35〜55重量%の硬質セグメント含有量を有する、請求項6に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項8】
射出成形物品の形態で存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項9】
押し出し成形物品の形態で存在する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項10】
6.25×87.5×162mm試験片に対してHunterlab Colorquest Instrumentを用いて測定した場合、30%以下のヘイズ値を示し、該試験片は、80°F(27℃)のツール、供給のど部からノズルへの漸増温度プロフィールとともに、ノズルにおいて220℃および供給のど部において190℃の射出成形機バレル温度を使用して、25.4mm/秒の射出速度において、110秒間の型内滞留時間で射出成形される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項11】
10%以下のヘイズ値を示す、請求項10に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項12】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーであって、該熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、(1)少なくとも1種の高当量ポリ(カプロラクトン)ジオールもしくは該少なくとも1種の高当量ポリ(カプロラクトン)ジオールと1種以上の他の高当量ジオールとの混合物、(2)少なくとも60モル%の1,4−ブタンジオールおよび少なくとも8モル%のシクロヘキサンジメタノール異性体の混合物を含む鎖伸長剤混合物、ならびに(3)少なくとも1種のジイソシアネートのポリマーであり、ここで該シクロヘキサンジメタノール異性体の混合物は、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの各々を少なくとも40重量%含む、熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項13】
前記シクロヘキサンジメタノール異性体の混合物は、cis−1,3−シクロヘキサンジメタノール、trans−1,3−シクロヘキサンジメタノール、cis−1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびtrans−1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む、請求項12に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項14】
少なくとも60のShore Aデュロメーター硬度かつ最大75までのShore Dデュロメーター硬度を有する、請求項13に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項15】
35〜55重量%の硬質セグメント含有量を有する、請求項14に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項16】
射出成形物品の形態で存在する、請求項15に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項17】
6.25×87.5×162mm試験片に対してHunterlab Colorquest Instrumentを使用して測定した場合、該試験片は、80°F(27℃)ツール、供給のど部からノズルへの漸増温度プロフィールとともに、ノズルにおいて220℃および供給のど部において190℃の射出成形機バレル温度を使用して、25.4mm/秒の射出速度において、および110秒間の型内滞留時間で射出成形される、請求項16に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項18】
10%以下のヘイズ値を示す、請求項17に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
【請求項19】
押し出し成形物品の形態で存在する、請求項14に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー。

【公表番号】特表2010−522799(P2010−522799A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500892(P2010−500892)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/024753
【国際公開番号】WO2008/121133
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(506347528)ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド (74)
【Fターム(参考)】