説明

1,3,5−トリアジン誘導体とその製造方法、及びそれらを構成成分とする有機電界発光素子

【課題】有機電界発光素子の低電圧駆動を可能にする1,3,5−トリアジン誘導体と、それを電子輸送材とする長寿命を備えた有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】一般式(1)


(Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体を製造し、これを有機電界発光素子の構成成分として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子の構成成分として有用なピリジル基を含むクアテルアリーレニル基を有する1,3,5−トリアジン誘導体とその製造方法、及びそれを含有する有機電界発光素子に関するものである。本発明の1,3,5−トリアジン誘導体は、良好な電荷輸送特性を有することから有機電界発光素子の構成成分として有用であり、本発明は、これらを有機電界発光素子の有機化合物層の少なくとも一層に用いた、駆動性及び耐久性に優れた有機電界発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、発光材料を含有する発光層を、正孔輸送層と電子輸送層で挟み、さらにその外側に陽極と陰極を取付け、発光層に注入された正孔及び電子の再結合により生ずる励起子が失活する際の光の放出(蛍光又は燐光)を利用する素子であり、ディスプレー等へ応用されている。
【0003】
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体は新規であり、トリアジン環の2,4位にピリジル基を含むクアテルアリーレニル基を有することを特徴とすると共に、6位に芳香族炭化水素基を有することを特徴とする。
【0004】
最近、1,3,5−トリアジン誘導体を有機電界発光素子に用いる例(例えば、特許文献1〜4参照)が開示されているが、これらのトリアジン誘導体は、トリアジン環の2,4,6位に2,4−二置換フェニル基又は3,4−二置換フェニル基を有している点で、2,4位にクアテルアリーレニル基を有する本発明の1,3,5−トリアジン誘導体とは異なるものである。
【0005】
また、1,3,5−トリアジン誘導体を有機電界発光素子に用いる例(例えば、特許文献5、6参照)が開示されているが、トリアジン環の2,4,6位のフェニル基上の置換基の位置は限定されておらず、2,4位にピリジル基を含むクアテルアリーレニル基を有することを特徴とする本発明の1,3,5−トリアジン誘導体は具体的に示されていない。
【0006】
また、有機電界発光素子に用いるトリアジン環にピリジル基を含むクアテルアリーレニル基を有するトリアジン誘導体の例(例えば、特許文献7参照)が開示されているが、これらはクアテルアリーレニル基の末端部分がトリアジン環に結合した構造であり、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体とは全く異なるものである。
【0007】
さらに、有機電界発光素子に用いる1,3,5−トリアジン誘導体の例(例えば、特許文献8参照)が開示されているが、これらはトリアジン環の2位に3,5−二置換フェニル基を有するトリアジン誘導体であり、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体とは異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6057048号明細書
【特許文献2】米国特許第6229012号明細書
【特許文献3】米国特許第6225467号明細書
【特許文献4】特開2004−63465号公報
【特許文献5】特開2004−22334号公報
【特許文献6】特開2007−137829号公報
【特許文献7】特開2007−314503号公報
【特許文献8】特開2008−280330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有機電界発光素子は様々な表示機器に利用されているが、電源供給に制限のある携帯機器への有機電界発光素子の利用に関しては、より低消費電力を達成することが求められている。また、同時に有機電界発光素子の商業利用を行う際には、安定した性能を得るために素子寿命をどのように伸長するかが問題となる。
【0010】
特に電子輸送材料については、素子を低電圧で駆動せしめ消費出力を低減させるための優れた電荷注入及び輸送特性と、素子の長寿命化を可能にする耐久性を併せ持った材料は、従来の化合物の中には見出すことができず、新たな材料が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明の非対称型の1,3,5−トリアジン誘導体(1)は、真空蒸着等の一般的な方法で非晶質の薄膜形成が可能であり、またこれらを電子輸送層として用いた有機電界発光素子が、汎用の有機電界発光素子に比べて消費電力の低減、及び長寿命化が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
非対称型のトリアジン誘導体とは、1,3,5−トリアジンに結合している置換基が全て同一ではないトリアジン誘導体のことである。
【0013】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体に関するものである。
【0016】
また本発明は、一般式(2)
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Xは脱離基を表す。)で示される化合物と、一般式(3)
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物とを、場合によっては塩基の存在下に、パラジウム触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法に関するものである。
【0023】
また本発明は、一般式(4)
【0024】
【化5】

【0025】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。)で示される化合物と、一般式(5)
【0026】
【化6】

【0027】
(式中、V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。Xは脱離基を表す。)で示される化合物とを、塩基及びパラジウム触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0028】
【化7】

【0029】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法に関するものである。
【0030】
さらに本発明は、一般式(1)
【0031】
【化8】

【0032】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体を構成成分とする有機電界発光素子に関するものである。
【0033】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0034】
における水素原子は、有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で好ましい。
【0035】
で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができ、合成容易であり有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、メチル基が好ましい。
【0036】
で表される置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、メシチル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,4−ジプロピルフェニル基、3,5−ジプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2,4−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、2,4−ジブチルフェニル基、3,5−ジブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、2−メチルビフェニル−4−イル基、3−メチルビフェニル−4−イル基、2’−メチルビフェニル−4−イル基、4’−メチルビフェニル−4−イル基、2,2’−ジメチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−4−イル基、6−メチルビフェニル−3−イル基、5−メチルビフェニル−3−イル基、2’−メチルビフェニル−3−イル基、4’−メチルビフェニル−3−イル基、6,2’−ジメチルビフェニル−3−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−3−イル基、5−メチルビフェニル−2−イル基、6−メチルビフェニル−2−イル基、2’−メチルビフェニル−2−イル基、4’−メチルビフェニル−2−イル基、6,2’−ジメチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−2−イル基、2−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、3−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、6−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、5−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、5−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、6−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、3−エチルビフェニル−4−イル基、4’−エチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリエチルビフェニル−4−イル基、6−エチルビフェニル−3−イル基、4’−エチルビフェニル−3−イル基、5−エチルビフェニル−2−イル基、4’−エチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリエチルビフェニル−2−イル基、3−プロピルビフェニル−4−イル基、4’−プロピルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリプロピルビフェニル−4−イル基、6−プロピルビフェニル−3−イル基、4’−プロピルビフェニル−3−イル基、5−プロピルビフェニル−2−イル基、4’−プロピルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリプロピルビフェニル−2−イル基、3−イソプロピルビフェニル−4−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−4−イル基、6−イソプロピルビフェニル−3−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−3−イル基、5−イソプロピルビフェニル−2−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−2−イル基、3−ブチルビフェニル−4−イル基、4’−ブチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリブチルビフェニル−4−イル基、6−ブチルビフェニル−3−イル基、4’−ブチルビフェニル−3−イル基、5−ブチルビフェニル−2−イル基、4’−ブチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリブチルビフェニル−2−イル基、3−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリ−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、6−tert−ブチルビフェニル−3−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−3−イル基、5−tert−ブチルビフェニル−2−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリ−tert−ブチルビフェニル−2−イル基等を挙げることができる。合成容易であり、有機電界発光素子用材料としての性能がよい点でフェニル基が好ましい。
【0037】
Arで表される置換されていてもよい芳香族炭化水素基としては、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいナフチル基、置換されていてもよいアントリル基、置換されていてもよいペリレニル基及び置換されていてもよいトリフェニレニル基等を挙げることができる。有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよいナフチル基が好ましく、合成容易である点で、無置換、メチル置換、フェニル置換又はフェニル二置換のフェニル基、又はナフチル基がさらに好ましい。以下、具体的な例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基のほか、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、メシチル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,4−ジプロピルフェニル基、3,5−ジプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2,4−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、2,4−ジブチルフェニル基、3,5−ジブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,4−ジブロモフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基等の置換フェニル基、4−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、2−ビフェニリル基のほか、2−メチルビフェニル−4−イル基、3−メチルビフェニル−4−イル基、2’−メチルビフェニル−4−イル基、4’−メチルビフェニル−4−イル基、2,2’−ジメチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−4−イル基、6−メチルビフェニル−3−イル基、5−メチルビフェニル−3−イル基、2’−メチルビフェニル−3−イル基、4’−メチルビフェニル−3−イル基、6,2’−ジメチルビフェニル−3−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−3−イル基、5−メチルビフェニル−2−イル基、6−メチルビフェニル−2−イル基、2’−メチルビフェニル−2−イル基、4’−メチルビフェニル−2−イル基、6,2’−ジメチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−2−イル基、2−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、3−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、6−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、5−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、5−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、6−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、3−エチルビフェニル−4−イル基、4’−エチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリエチルビフェニル−4−イル基、6−エチルビフェニル−3−イル基、4’−エチルビフェニル−3−イル基、5−エチルビフェニル−2−イル基、4’−エチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリエチルビフェニル−2−イル基、3−プロピルビフェニル−4−イル基、4’−プロピルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリプロピルビフェニル−4−イル基、6−プロピルビフェニル−3−イル基、4’−プロピルビフェニル−3−イル基、5−プロピルビフェニル−2−イル基、4’−プロピルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリプロピルビフェニル−2−イル基、3−イソプロピルビフェニル−4−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−4−イル基、6−イソプロピルビフェニル−3−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−3−イル基、5−イソプロピルビフェニル−2−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−2−イル基、3−ブチルビフェニル−4−イル基、4’−ブチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリブチルビフェニル−4−イル基、6−ブチルビフェニル−3−イル基、4’−ブチルビフェニル−3−イル基、5−ブチルビフェニル−2−イル基、4’−ブチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリブチルビフェニル−2−イル基、3−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリ−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、6−tert−ブチルビフェニル−3−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−3−イル基、5−tert−ブチルビフェニル−2−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリ−tert−ブチルビフェニル−2−イル基等の置換ビフェニリル基、1,1’:4’,1”−ターフェニル−3−イル基、1,1’:4’,1”−ターフェニル−4−イル基、1,1’:3’,1”−ターフェニル−3−イル基、1,1’:3’,1”−ターフェニル−4−イル基、1,1’:3’,1”−ターフェニル−5’−イル基、1,1’:2’,1”−ターフェニル−3−イル基、1,1’:2’,1”−ターフェニル−4−イル基、1,1’:2’,1”−ターフェニル−4’−イル基等のターフェニリル基、3−(1−ナフチル)フェニル基、4−(1−ナフチル)フェニル基、3−(2−ナフチル)フェニル基、4−(2−ナフチル)フェニル基、3−(1−アントリル)フェニル基、3−(2−アントリル)フェニル基、3−(9−アントリル)フェニル基、4−(1−アントリル)フェニル基、4−(2−アントリル)フェニル基、4−(9−アントリル)フェニル基、3−(1−ペリレニル)フェニル基、3−(2−ペリレニル)フェニル基、4−(1−ペリレニル)フェニル基、4−(2−ペリレニル)フェニル基、3−トリフェニレニルフェニル基、4−トリフェニレニルフェニル基等が挙げられる。有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、2−ビフェニリル基、1,1’:4’,1”−ターフェニル−4−イル基、1,1’:2’,1”−ターフェニル−4−イル基、1,1’:3’,1”−ターフェニル−5’−イル基、4−(1−ナフチル)フェニル基、4−(9−アントリル)フェニル基が好ましく、合成が容易な点でフェニル基、p−トリル基、4−ビフェニリル基、2−ビフェニリル基、1,1’:3’,1”−ターフェニル−5’−イル基がさらに好ましい。
【0039】
また、置換されていてもよいナフチル基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基のほか、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−トリフルオロメチルナフタレン−1−イル基、4−エチルナフタレン−1−イル基、4−プロピルナフタレン−1−イル基、4−ブチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、5−トリフルオロメチルナフタレン−1−イル基、5−エチルナフタレン−1−イル基、5−プロピルナフタレン−1−イル基、5−ブチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、6−トリフルオロメチルナフタレン−2−イル基、6−エチルナフタレン−2−イル基、6−プロピルナフタレン−2−イル基、6−ブチルナフタレン−2−イル基、6−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、7−メチルナフタレン−2−イル基、7−トリフルオロメチルナフタレン−2−イル基、7−エチルナフタレン−2−イル基、7−プロピルナフタレン−2−イル基、7−ブチルナフタレン−2−イル基、7−tert−ブチルナフタレン−2−イル基等が挙げられる。有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、置換されていてもよいナフチル基としては、1−ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、2−ナフチル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、6−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、7−メチルナフタレン−2−イル基又は7−tert−ブチルナフタレン−2−イル基が好ましく、合成が容易な点で2−ナフチル基がさらに好ましい。
【0040】
Arで表される置換されていてもよいアントリル基、置換されていてもよいペリレニル基及び置換されていてもよいトリフェニレニル基としては、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−ペリレニル基、2−ペリレニル基又は1−トリフェニレニル基等を挙げることができる。
【0041】
次に、本発明の製造方法について説明する。
【0042】
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)は、次の反応式
【0043】
【化9】

【0044】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。Xは脱離基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される方法により製造することができる。
【0045】
で表される脱離基は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。収率がよい点で、臭素原子又は塩素原子が好ましい。
【0046】
一般式(2)で示される化合物は、例えば、参考例−1から7に示した方法を用いて製造することができる。
【0047】
一般式(3)で示される化合物は、例えば、J.Tsuji著、「Palladium Reagents and Catalysts」,John Wiley & Sons,2004年、Journal of Organic Chemistry,60巻,7508−7510,1995年、Journal of Organic Chemistry,65巻,164−168,2000年、Organic Letters,10巻,941−944,2008年、又はChemistry of Materials,20巻,5951−5953,2008年に開示されている方法を用いて製造することができる。化合物(3)の好ましい例として、次の3−1〜3−37(式中、Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)を例示することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
【化10】

【0049】
Mで表される金属基としては、一般的なカップリング反応に用いられるものであれば特に制限はなく、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又は8〜13族原子を挙げることができ、これらは各々ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6=10のアリールオキシ基、炭素数3〜16の第三級アミン類、炭素数6〜20の芳香族イミン類で置換されていてもよい。具体的には、Li、Na、MgCl、MgBr、MgI、CuCl、CuBr、CuI、AlCl、AlBr、Al(Me)、Al(Et)、Al(Bu)、Sn(Me)、Sn(Bu)、ZnR等が例示でき、ZnRとしては、ZnCl、ZnBr、ZnI等が例示できる。収率が良い点で、金属基としては、ZnClが好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが配位しているZnCl(TMEDA)がより好ましい。
【0050】
Mで表されるヘテロ原子基としては、一般的なカップリング反応に用いられるものであれば特に制限はなく、ホウ素原子、ケイ素原子、ゲルマン原子又はスズ原子等を挙げることができ、これらは各々ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6=10のアリールオキシ基で置換されていてもよい。具体的には、Si(Ph)、SnF、B(OR等が例示でき、B(ORとしては、B(OH)、B(OMe)、B(OPr)、B(OBu)、B(OPh)等が例示できる。また、2つのRが一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成した場合のB(ORの例としては、次の(I)から(VI)で示される基が例示でき、収率がよい点で(II)で示される基が好ましい。
【0051】
【化11】

【0052】
「工程1」は、化合物(2)を場合によっては塩基の存在下に、パラジウム触媒の存在下に化合物(3)と反応させ、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)を製造する方法であり、鈴木−宮浦反応、根岸反応、玉尾−熊田反応、スティレ反応等の、一般的なカップリング反応の反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0053】
「工程1」で用いることのできるパラジウム触媒としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム等の塩を例示することができる。さらに、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及びジクロロ(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム等の錯化合物を例示することができる。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は収率がよい点で好ましく、入手容易であり、収率がよい点で、トリフェニルホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体がさらに好ましい。「工程1」で用いるパラジウム触媒の量は、いわゆる触媒量であれば特に制限はないが、収率がよい点で、パラジウム触媒と化合物(2)とのモル比は、1:50〜1:10が好ましい。
【0054】
なお、これらの第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。パラジウム塩又は錯化合物に添加できる第三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリス(2,5−キシリル)ホスフィン、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル等を例示することができる。入手容易であり、収率がよい点で、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル又はトリ(tert−ブチル)ホスフィンが好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。
【0055】
「工程1」の反応は、MがB(ORである鈴木−宮浦反応の場合には塩基の存在に反応を実施することにより、収率を向上させることができる。この際、用いることのできる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、収率がよい点で炭酸セシウム又は水酸化ナトリウムが好ましい。塩基と化合物(3)とのモル比に特に制限はないが、1:2〜10:1が好ましく、収率がよい点で1:1〜3:1がさらに好ましい。
【0056】
「工程1」で用いる化合物(2)と化合物(3)とのモル比に特に制限はないが、1:1〜5:1が好ましく、収率がよい点で2:1〜3:1がさらに好ましい。
【0057】
「工程1」の反応は溶媒中で実施することができる。「工程1」で用いることのできる溶媒として、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル又はキシレン等を例示することができ、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でテトラヒドロフランを用いることが好ましい。
【0058】
化合物(1)は、「工程1」の終了後に通常の処理を行うことで得ることができる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0059】
また本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)は、次の反応式
【0060】
【化12】

【0061】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。Xは脱離基を表す。)で示される工程によっても製造することができる。
【0062】
で表される脱離基は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。収率がよい点で、臭素原子が好ましい。
【0063】
一般式(4)で示される化合物は、例えば、参考例−8に示した方法を用いて製造することができる。
【0064】
一般式(5)で示される化合物は、例えば、Synlett,6巻,852−854,2003年に開示されている方法を用いて製造することができる。化合物(5)の好ましい例として、次の5−1〜5−37(式中、Xは脱離基を表す。)を例示することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0065】
【化13】

【0066】
「工程2」は化合物(4)を、パラジウム触媒及び塩基の存在下に化合物(5)と反応させ、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)を得る方法であり、一般的な鈴木−宮浦反応の反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0067】
「工程2」で用いることのできるパラジウム触媒としては、「工程1」で例示したパラジウム塩及び錯化合物を例示することができる。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は収率がよい点で好ましく、入手容易であり、収率がよい点で、トリフェニルホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体が特に好ましい。「工程2」で用いるパラジウム触媒の量は、いわゆる触媒量であれば特に制限はないが、収率がよい点で、パラジウム触媒と化合物(4)とのモル比は、1:50〜1:10が好ましい。
【0068】
なお、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。パラジウム塩又は錯化合物に添加できる第三級ホスフィンとしては、「工程1」で例示した第三級ホスフィンを例示することができる。中でも入手容易であり、収率がよい点で、トリフェニルホスフィンが好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。
【0069】
「工程2」は塩基の存在下に実施することが必須である。「工程2」で用いることのできる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、収率がよい点で炭酸ナトリウムが望ましい。塩基と化合物(4)とのモル比に特に制限はないが、1:2〜10:1が好ましく、収率がよい点で1:1〜3:1がさらに好ましい。
【0070】
「工程2」の反応は溶媒中で実施することができる。「工程2」で用いることのできる溶媒として、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノール、メタノール又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でトルエン及び水の混合溶媒を用いることが望ましい。
【0071】
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)は、「工程2」の終了後に通常の処理をすることで得られる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0072】
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)を製造する「工程2」の原料である化合物(4)は、例えば、次の反応式
【0073】
【化14】

【0074】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Xは脱離基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。)で示した方法により製造することができる。
【0075】
「工程3」は、化合物(2)を塩基及びパラジウム触媒の存在下に、一般式(6)で示されるボラン化合物、又は一般式(7)で示されるジボロン化合物と反応させることにより、「工程2」で用いる化合物(4)を製造する工程であり、例えば、The Journal of Organic Chemistry,60巻,7508−7510,1995年又はJournal of Organic Chemistry,65巻,164−168,2000年に開示されている反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0076】
「工程3」で用いることのできるパラジウム触媒としては、「工程1」で例示したパラジウム塩又は錯化合物と同様のものを例示することができる。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は収率がよい点で好ましく、入手容易であり、収率がよい点で、トリフェニルホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体が特に好ましい。「工程3」で用いるパラジウム触媒の量は、いわゆる触媒量であれば特に制限はないが、収率がよい点で、パラジウム触媒と化合物(2)とのモル比は、1:50〜1:10が好ましい。
【0077】
なお、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。パラジウム塩又は錯化合物に添加できる第三級ホスフィンとしては、「工程1」で例示した第三級ホスフィンを例示することができる。中でも入手容易である点で、トリフェニルホスフィンが好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。
【0078】
「工程3」の反応は塩基の存在下に実施することが必須である。「工程3」で用いることのできる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、収率がよい点で酢酸カリウムが望ましい。塩基と化合物(2)とのモル比に特に制限はないが、1:2〜10:1が好ましく、収率がよい点で1:1〜3:1がさらに好ましい。
【0079】
「工程3」で用いるボラン化合物(6)又はジボロン化合物(7)と化合物(2)とのモル比に特に制限はないが、1:1〜5:1が好ましく、収率がよい点で2:1〜3:1がさらに好ましい。
【0080】
「工程3」の反応は溶媒中で実施することができる。「工程3」で用いることのできる溶媒として、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノール、メタノール又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でテトラヒドロフランを用いることが望ましい。
【0081】
本工程で得られた化合物(4)は、反応後単離してもよいが、単離せずに「工程2」に供してもよい。
【0082】
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)から成る有機電界発光素子用薄膜の製造方法に特に限定はないが、真空蒸着法による成膜が可能である。真空蒸着法による成膜は、汎用の真空蒸着装置を用いることにより行うことができる。真空蒸着法で膜を形成する際の真空槽の真空度は、有機電界発光素子作製の製造タクトタイムや製造コストを考慮すると、一般的に用いられる拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ等により到達し得る1×10−2〜1×10−5Pa程度が好ましい。蒸着速度は、形成する膜の厚さによるが0.005〜1.0nm/秒が好ましい。また、1,3,5−トリアジン誘導体(1)は、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、酢酸エチル又はテトラヒドロフラン等に対する溶解度が高いため、汎用の装置を用いたスピンコート法、インクジェット法、キャスト法又はディップ法等による成膜も可能である。
【発明の効果】
【0083】
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)から成る薄膜は、高い表面平滑性、アモルファス性、耐熱性、電子輸送能、正孔ブロック能、酸化還元耐性、耐水性、耐酸素性、電子注入特性等を有するため、有機電界発光素子の材料として有用であり、とりわけ電子輸送材、正孔ブロック材、発光ホスト材等として用いることができる。従って、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)から成る薄膜は、低電圧で駆動可能であり、かつ長寿命の有機電界発光素子の構成成分として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】試験例−1で作製する有機電界発光素子の断面図である。
【実施例】
【0085】
以下、実施例及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0086】
以下、実施例及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例−1
【0087】
【化15】

【0088】
アルゴン下、還流管を取り付けた300mL三口反応容器に、ベンゾイルクロリド(4.93g)と5−クロロビフェニル−3−カルボニトリル(15.0g)を取り、クロロベンゼン(100mL)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(10.5g)を滴下した。混合物を室温で20分、さらに100℃で2時間還流した。得られた橙色の懸濁液を−20℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(50mL)を加えた。乳白色懸濁液を室温で一晩攪拌した後、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(65mL)と水(33mL)を留去した。クロロベンゼン(100mL)を加え、130℃で加熱ろ過した。ろ液を放冷後、メタノール(100mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(30mL×2)で洗浄した後、乾燥することで2,4−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量12.8g、収率69%)を得た。
【0089】
H−NMR(CDCl):δ7.46−7.51(m,2H),7.56(dd,J=7.8,7.3Hz,4H),7.59−7.63(m,2H),7.64−7.69(m,1H),7.73(dd,J=7.8,1.4Hz,4H),7.81(dd,J=1.8,1.6Hz,2H),8.68(dd,J=1.8,1.6Hz,2H),8.75(dd,J=7.0,1.5Hz,2H),8.84(dd,J=1.81.6Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ125.9(CH×2),127.3(CH×4),127.6(CH×2),128.3(CH×2),128.8(CH×2),129.1(CH×4),129.2(CH×2),131.3(CH×2),133.0(CH),135.3(quart.×2),135.7(quart.),138.1(quart.×2),139.4(quart.×2),143.4(quart.×2),170.7(quart.×2),172.0(quart.).
参考例−2
【0090】
【化16】

【0091】
アルゴン下、還流管を取り付けた200mL三口反応容器に、ベンゾイルクロリド(1.23g)と5−クロロ−4’−メチルビフェニル−3−カルボニトリル(4.00g)を取り、クロロベンゼン(40mL)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(2.63g)を滴下した。混合物を室温で20分、さらに100℃で2.5時間還流した。得られた赤色の溶液を−20℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(15mL)を加えた。乳白色懸濁液を室温で一晩攪拌した後、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(25mL)と水(5mL)を留去した。クロロベンゼン(50mL×2)を加え、130℃で加熱ろ過した。ろ液を放冷後、メタノール(100mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(30mL×2)で洗浄した後、乾燥することで2,4−ビス(3−クロロ−4’−メチルビフェニル−5−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量1.94g、収率39%)を得た。
【0092】
H−NMR(CDCl):δ2.49(s,6H),7.33−7.39(m,1H),7.37(d,J=8.0Hz,4H),7.59−7.68(m,6H),7.81(brs,2H),8.68(dd,J=1.6,1.8Hz,2H),8.77(d,J=7.1Hz,2H),8.85(dd,J=1.5,1.6Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ21.3(CH×2),125.6(CH×2),127.1(CH×4),127.3(CH×2),128.8(CH×2),129.1(CH×2),129.8(CH×4),131.0(CH×2),133.0(CH),135.3(quart.×2),135.6(quart.),136.6(quart.×2),138.2(quart.×2),138.3(quart.×2),143.4(quart.×2),170.8(quart.×2),172.0(quart.).
参考例−3
【0093】
【化17】

【0094】
アルゴン下、還流管を取り付けた100mL三口反応容器に、ベンゾイルクロリド(218mg)と5−クロロ−1,1’:4’:1”−ターフェニル−3−カルボニトリル(900mg)を取り、クロロベンゼン(15mL)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(469mg)を滴下した。混合物を室温で10分撹拌し、さらに100℃で3時間還流した。得られた黒色の溶液を−20℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(4mL)を加えた。茶色懸濁液を室温で12時間撹拌した後、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム:ヘキサン=1:2〜3:2)で精製し、目的の2,4−ビス(5−クロロ−1,1’:4’:1”−ターフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量0.052g、収率5%)を得た。
【0095】
H−NMR(CDCl):δ7.41−7.46(m,1H),7.50−7.55(m,1H),7.62−7.72(m,4H),7.72(d,J=7.2Hz,4H),7.81(d,J=8.2Hz,4H),7.85(d,J=8.2Hz,4H),7.91(dd,J=1.9,1.7Hz,2H),8.76(dd,J=1.9,1.4Hz,2H),8.84(brd,J=6.9Hz,2H),8.97(brs,2H).
参考例−4
【0096】
【化18】

【0097】
4−メチルベンゾイルクロリド(5.42g)と5−クロロビフェニル−3−カルボニトリル(15.0g)をクロロホルム(84mL)に溶解し、0℃に冷却した後、5塩化アンチモン(10.5g)を滴下した。混合物を室温で10分間攪拌後、4時間還流した。室温まで冷却後、溶媒を減圧下留去し、2,4−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−6−(4−メチルフェニル)−1,3,5−オキサジアジン−1−イウム=ヘキサクロロアンチモン酸を黄色固体として得た。
【0098】
得られた黄色固体を0℃に冷却した28%アンモニア水溶液(300mL)に徐々に加えると白色固体が生成した。室温で1時間攪拌し、ろ過後、得られた白色固体を水、メタノールで洗浄した。白色固体を乾燥後、クロロホルム(80mL)を加え、加熱ろ過した。ろ液のクロロホルムを減圧下留去し、得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶し、2,4−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−6−p−トリル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量2.81g、収率15%)を得た。
【0099】
H−NMR(CDCl):δ2.51(s,3H),7.41(d,J=8.1Hz,2H),7.48(m,2H),7.57(m,4H),7.74(d,J=7.1Hz,4H),7.83(dd,J=1.9,1.5Hz,2H),8.66(d,J=8.1Hz,2H),8.69(dd,J=1.9,1.5Hz,2H),8.86(t,J=1.5Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ21.8(CH),125.3(CH×2),127.3(CH×4),127.6(CH×2),128.2(CH×2),129.0(CH×4),129.1(CH×2),129.5(CH×2),131.1(CH×2),133.0(quart.),135.3(quart.×2),138.3(quart.×2),139.5(quart.×2),143.5(quart.×2),143.7(quart.),170.7(quart.×2),172.1(quart.).
参考例−5
【0100】
【化19】

【0101】
2−ナフトイルクロリド(6.69g)と5−クロロビフェニル−3−カルボニトリル(15.0g)をクロロホルム(84mL)に溶解し、0℃に冷却した後、5塩化アンチモン(10.5g)を滴下した。混合物を室温で10分間攪拌後、7時間還流した。室温まで冷却後、溶媒を減圧下留去し、2,4−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−6−(2−ナフチル)−1,3,5−オキサジアジン−1−イウム=ヘキサクロロアンチモン酸を黄色固体として得た。
【0102】
得られた黄色固体を0℃に冷却した28%アンモニア水溶液(300mL)に徐々に加えると白色固体が生成した。室温で1時間攪拌し、ろ過後、得られた白色固体を水、メタノールで洗浄した。白色固体を乾燥後、クロロホルム(300mL)を加え、加熱ろ過した。さらに、ろ別した不溶成分にクロロホルム(100mL)を加え、再度、加熱ろ過した。全てのろ液を集め、クロロホルムを減圧下留去し、得られた固体をキシレンで再結晶し、2,4−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−6−(2−ナフチル)−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量7.80g、収率36%)を得た。
【0103】
H−NMR(CDCl):δ7.47−7.53(m,2H),7.55−7.62(m,4H),7.59−7.68(m,2H),7.76(brd,J=7.2Hz,4H),7.85(dd,J=1.9,1.7Hz,2H),7.97(d,J=7.8Hz,1H),8.05(d,J=8.6Hz,1H),8.15(d,J=8.7Hz,1H),8.76(dd,J=1.7,1.5Hz,2H),8.81(dd,J=8.6,1.5Hz,1H),8.91(brs,2H),9.33(brs,1H).
13C−NMR(CDCl):δ125.0(CH),125.9(CH×2),126.6(CH),127.3(CH×4),127.6(CH×2),127.9(CH),128.2(CH),128.3(CH×2),128.6(CH),129.1(CH×4),129.7(CH),130.3(CH),131.3(CH×2),132.9(quart.),133.1(quart.),135.4(quart.×2),135.9(quart.),138.3(quart.×2),139.5(quart.×2),144.5(quart.×2),170.9(quart.×2),172.1(quart.).
参考例−6
【0104】
【化20】

【0105】
アルゴン下、還流管を取り付けた300mL三口反応容器に、3,5−ジブロモベンゾイルクロリド(10.5g)と5−クロロビフェニル−3−カルボニトリル(15.0g)を取り、クロロベンゼン(100mL)を加えた。得られた溶液を0℃に冷却し、5塩化アンチモン(10.5g)を滴下した。混合物を室温で20分、さらに100℃で2.5時間還流した。得られた赤色の溶液を−20℃に冷却し、28%アンモニア水溶液(50mL)を加えた。乳白色懸濁液を室温で3時間撹拌した後、油浴を用いてゆっくり140℃まで加熱し、有機溶媒(80mL)と水(28mL)を留去した。クロロベンゼン(100mL×3)を加え、130℃で加熱ろ過した。ろ液を放冷後、メタノール(300mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール(50mL×2)で洗浄した後、乾燥することで4,6−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−2−(3,5−ジブロモフェニル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量2.21g、収率9%)を得た。
【0106】
H−NMR(CDCl):δ7.37(brt,J=7.1Hz,2H),7.44(brt,J=7.1Hz,4H),7.59(brdd,J=8.1,1.6Hz,4H),7.69(t,J=1.7Hz,2H),7.79(t,J=1.8Hz,1H),8.47(t,J=1.7Hz,2H),8.60(t,J=1.8Hz,2H),8.63(t,J=1.7Hz,2H).
参考例−7
【0107】
【化21】

【0108】
アルゴン気流下、フェニルボロン酸(904mg)、4,6−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−2−(3,5−ジブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(1.70g)、炭酸セシウム(2.41g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(114mg)をテトラヒドロフラン(80mL)に懸濁し、18時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム:ヘキサン=1:2〜1:0)で精製し、目的の2,4−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−6−[(1,1’;3’,1’’)−ターフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンの黄白色粉末(収量1.42g、収率84%)を得た。
【0109】
H−NMR(CDCl):δ7.35−7.51(m,12H),7.65(brd,J=6.8Hz,4H),7.62−7.71(m,6H),7.99(t,J=1.7Hz,1H),8.62(t,J=1.5Hz,2H),8.82(t,J=1.5Hz,2H),8.87(t,J=1.7Hz,2H).
参考例−8
【0110】
【化22】

【0111】
アルゴン気流下、2,4−ビス(5−ブロモビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン (3.00g)、ビスピナコラートジボロン(2.70g)、酢酸カリウム(2.09g)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)(0.136g)をテトラヒドロフラン(100mL)に懸濁し、21時間還流した。室温まで冷却後、減圧下で低沸点成分を除去し、得られた固体にクロロホルム(100mL)を加え、有機層を水(100mL)で洗浄した後に、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別し、クロロホルムを減圧留去し得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム)で精製し、2−フェニル−4,6−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジンの黄色固体(収量2.77g,収率80%)を得た。
【0112】
H−NMR(CDCl):δ1.49(s,24H),7.33(tt,J=7.3,1.4Hz,2H),7.44(t,J=7.3Hz,4H),7.51−7.57(m,3H),7.74(brdd,J=7.3,1.4Hz,4H),8.23(dd,J=1.8,1.2Hz,2H),8.77(brdd,J=7.3,1.4Hz,2H),9.06(t,J=1.8Hz,2H),9.11(brdd,J=1.8,1.2Hz,2H).
実施例−1
【0113】
【化23】

【0114】
アルゴン気流下、4−(2−ピリジル)フェニルボロン酸(2.25g)、2,4−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(2.00g)、炭酸セシウム(3.68g)、酢酸パラジウム(33.9mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(143mg)をテトラヒドロフラン(150mL)に懸濁し、19時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=1:100〜1:75)で精製し、目的の6−フェニル−2,4−ビス[4−(2−ピリジル)−1,1’;3’,1”−ターフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量2.47g,収率85%)を得た。
【0115】
H−NMR(CDCl):δ7.26−7.30(m,2H),7.45(brt,J=7.3Hz,2H),7.53−7.64(m,7H),7.79−7.85(m,8H),7.93(d,J=8.4Hz,4H),8.12(t,J=1.7Hz,2H),8.19(d,J=8.4Hz,4H),8.75(brd,J=5.0Hz,2H),8.84(brdd,J=7.5,1.7Hz,2H),9.01(t,J=1.7Hz,2H),9.06(t,J=1.7Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ120.6(CH×2),122.3(CH×2),126.6(CH×2),126.9(CH×2),127.6(CH×4),127.7(CH×4),127.78(CH×4),127.81(CH×2),128.7(CH×2),129.0(CH×4),129.1(CH×2),130.1(CH×2),132.7(CH),136.0(quart.×2),136.9(CH×2),137.4(quart.×2),138.8(quart.×2),140.8(quart.×2),141.2(quart.),141.4(quart.×2),142.4(quart.×2),149.8(CH×2),157.0(quart.×2),171.76(quart.×2),171.84(quart.).
実施例−2
【0116】
【化24】

【0117】
アルゴン気流下、4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ピリジン(420mg)、2,4−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(263mg)、炭酸セシウム(485mg)、酢酸パラジウム(5.6mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(23.7mg)をテトラヒドロフラン(15mL)に懸濁し、22時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=1:100〜1:50)で精製し、目的の6−フェニル−2,4−ビス[4−(4−ピリジル)−1,1’:3’,1”−ターフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量232mg,収率61%)を得た。
【0118】
H−NMR(CDCl):δ7.49(brt,J=7.1Hz,2H),7.57(d,J=7.5Hz,4H),7.61−7.66(m,7H),7.82−7.86(m,8H),7.94(d,J=8.5Hz,4H),8.10(t,J=1.7Hz,2H),8.73(dd,J=4.5,1.6Hz,4H),8.84(brdd,J=7.7,1.7Hz,2H),9.04(d,J=1.7Hz,4H).
13C−NMR(CDCl):δ121.5(CH×4),126.5(CH×2),127.1(CH×2),127.4(CH×4),127.6(CH×4),127.9(CH×2),128.1(CH×4),128.7(CH×2),129.0(CH×4),129.1(CH×2),130.0(CH×2),132.8(CH),136.1(quart.),137.5(quart.×2),137.6(quart.×2),140.7(quart.×2),141.4(quart.×2),141.6(quart.×2),142.6(quart.×2),147.8(quart.×2),150.4(CH×4),171.8(quart.×2),171.9(quart.).
実施例−3
【0119】
【化25】

【0120】
アルゴン気流下、4−(2−ピリジル)フェニルボロン酸(2.47g)、2,4−ビス[5−クロロ−4’−メチルビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(2.30g)、炭酸セシウム(4.04g)、酢酸パラジウム(37.0mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(157mg)をテトラヒドロフラン(200mL)に懸濁し、17時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=0:100〜1:100)で精製し、目的の6−フェニル−2,4−ビス[4−(2−ピリジル)−4”−メチル−1,1’:3’,1”−ターフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量3.10g,収率95%)を得た。
【0121】
H−NMR(CDCl):δ2.46(s,6H),7.24−7.30(m,2H),7.36(d,J=8.0Hz,4H),7.57−7.65(m,3H),7.72(d,J=8.0Hz,4H),7.78−7.85(m,4H),7.92(d,J=8.4Hz,4H),8.09(t,J=1.6Hz,2H),8.18(d,J=8.4Hz,4H),8.74(brd,J=4.6Hz,2H),8.83(brdd,J=7.6,1.6Hz,2H),8.99(t,J=1.6Hz,2H),9.02(t,J=1.6Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ21.3(CH×2),120.6(CH×2),122.2(CH×2),126.4(CH×2),126.8(CH×2),127.3(CH×4),127.5(CH×4),127.8(CH×4),128.7(CH×2),129.1(CH×2),129.7(CH×4),130.0(CH×2),132.7(CH),136.1(quart.×2),136.8(CH×2),137.4(quart.×2),137.6(quart.×2),137.9(quart.×2),138.7(quart.),141.7(quart.×2),141.8(quart.×2),142.8(quart.×2),149.8(CH×2),157.0(quart.×2),171.82(quart.×2),171.84(quart.).
実施例−4
【0122】
【化26】

【0123】
アルゴン気流下、4−(2−ピリジル)フェニルボロン酸(116mg)、2,4−ビス(5−クロロ−1,1’:4’:1”−ターフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(100mg)、炭酸セシウム(190mg)、酢酸パラジウム(3.3mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(14mg)をテトラヒドロフラン(15mL)に懸濁し、17時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=0:100〜1:100)で精製し、目的の6−フェニル−2,4−ビス[4−(2−ピリジル)−1,1’:3’,1”:4”,1”’−クアテルフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量125mg,収率93%)を得た。
【0124】
H−NMR(CDCl):δ7.19−7.22(m,2H),7.29−7.35(m,2H),7.42(brt,J=7.3Hz,4H),7.55−7.65(m,7H),7.71−7.79(m,8H),7.85(d,J=7.3Hz,4H),7.88(d,J=8.4Hz,4H),8.10(t,J=1.8Hz,2H),8.13(d,J=8.4Hz,4H),8.68(brd,J=4.7Hz,2H),8.78(brd,J=7.9Hz,2H),9.01(d,J=1.7Hz,4H).
実施例−5
【0125】
【化27】

【0126】
アルゴン気流下、4−(2−ピリジル)フェニルボロン酸(1.21g)、2,4−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−6−p−トリル−1,3,5−トリアジン(1.50g)、炭酸セシウム(1.97g)、酢酸パラジウム(24.7mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(105mg)をテトラヒドロフラン(135mL)に懸濁し、16時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:クロロホルム=2:3)で精製し、目的の2,4−ビス[4−(2−ピリジル)−1,1’:3’,1”−ターフェニル−5’−イル]−6−p−トリル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量1.85g,収率86%)を得た。
【0127】
H−NMR(CDCl):δ2.41(s,3H),7.16−7.22(m,2H),7.31(brd,J=8.1Hz,2H),7.37(brt,J=7.3Hz,2H),7.47(brt,J=7.3Hz,4H),7.67−7.76(m,8H),7.83(d,J=8.4Hz,4H),8.00(t,J=1.6Hz,2H),8.09(d,J=8.4Hz,4H),8.62(d,J=8.2Hz,2H),8.67(brddd,J=4.6,1.3,1.3Hz,2H),8.91(t,J=1.6Hz,2H),8.94(t,J=1.6Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ21.8(CH),120.5(CH×2),122.2(CH×2),126.6(CH×2),126.9(CH×2),127.45(CH×4),127.47(CH×4),127.7(CH×4),127.8(CH×2),129.0(CH×4),129.1(CH×2),129.5(CH×2),130.0(CH×2),133.5(quart.),136.8(CH×2),137.6(quart.×2),138.8(quart.×2),140.9(quart.×2),141.4(quart.×2),141.7(quart.×2),142.4(quart.×2),143.4(quart.),149.8(CH×2),157.1(quart.×2),171.7(quart.×2),171.9(quart.).
実施例−6
【0128】
【化28】

【0129】
アルゴン気流下、4−(2−ピリジル)フェニルボロン酸(1.19g)、2,4−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−6−(1,1’;3’,1”−ターフェニル−5’−イル)−1,3,5−トリアジン(1.36g)、炭酸セシウム(1.95g)、酢酸パラジウム(17.9mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(75.9mg)をテトラヒドロフラン(160mL)に懸濁し、19時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=0:100〜1:66)で精製し、目的の2,4−ビス[4−(2−ピリジル)−1,1’;3’,1”−ターフェニル−5’−イル]−6−(1,1’;3’,1’’−ターフェニル−5’−イル)−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量890mg,収率49%)を得た。
【0130】
H−NMR(CDCl):δ7.27−7.32(m,2H),7.44−7.50(m,4H),7.53−7.60(m,8H),7.78−7.87(m,12H),7.94(d,J=8.4Hz,4H),8.09(t,J=1.7Hz,1H),8.14(t,J=1.7Hz,2H),8.19(d,J=8.4Hz,4H),8.78(brddd,J=4.6,1.3,1.3Hz,2H),9.03(d,J=1.7Hz,2H),9.05(t,J=1.7Hz,2H),9.08(t,J=1.7Hz,2H).
実施例−7
【0131】
【化29】

【0132】
アルゴン気流下、4−(2−ピリジル)フェニルボロン酸(2.06g)、2,4−ビス(5−クロロビフェニル−3−イル)−6−(2−ナフチル)−1,3,5−トリアジン(2.00g)、炭酸セシウム(3.68g)、酢酸パラジウム(31.0mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(132mg)をテトラヒドロフラン(150mL)に懸濁し、22時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=1:100〜1:66)で精製し、目的の2−(2−ナフチル)−4,6−ビス[4−(2−ピリジル)−1,1’;3’,1”−ターフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量2.67g,収率95%)を得た。
【0133】
H−NMR(CDCl):δ7.26−7.33(m,2H),7.49(brt,J=7.3Hz,2H),7.56−7.67(m,6H),7.80−7.87(m,8H),7.94−7.97(m,1H),7.95(d,J=8.4Hz,4H),8.05(d,J=8.7Hz,1H),8.12(t,J=1.6Hz,2H),8.12−8.14(m,1H),8.23(d,J=8.4Hz,4H),8.78(brddd,J=4.6,1.3,1.3Hz,2H),8.87(dd,J=8.7,1.6Hz,1H),9.06(t,J=1.6Hz,2H),9.10(t,J=1.6Hz,2H),9.34(brs,1H).
13C−NMR(CDCl):δ120.5(CH×2),122.2(CH×2),125.2(CH),126.4(CH),126.6(CH×2),126.9(CH×2),127.5(CH×8),127.7(CH×4),127.77(CH×2),127.84(CH),127.9(CH),128.4(CH),129.0(CH×4),129.7(CH),130.0(CH×2),130.2(CH),133.1(quart.),133.5(quart.),135.8(quart.),136.8(CH×2),137.4(quart.×2),138.8(quart.×2),140.8(quart.×2),141.3(quart.×2),141.6(quart.×2),142.4(quart.×2),149.8(CH×2),157.0(quart.×2),171.7(quart.×2),171.9(quart.).
実施例−8
【0134】
【化30】

【0135】
アルゴン気流下、3−(2−ピリジル)フェニルボロン酸(149mg)、2,4−ビス(5−ブロモビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(179.7mg)、酢酸パラジウム(1.4mg)、1mol/Lのトリ−tert−ブチルホスフィン トルエン溶液(18.0μL)をテトラヒドロフラン(5mL)に懸濁し、4mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(1.16mL)を5分間かけて滴下した後、19時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、析出した固体をろ別し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、目的の6−フェニル−2,4−ビス[3−(2−ピリジル)−1,1’;3’,1”−ターフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量200mg,反応収率90%)を得た。
【0136】
H−NMR(CDCl):δ7.33−7.39(m,2H),7.44−7.48(m,2H),7.53−7.57(m,4H),7.61−7.69(m,5H),7.85−7.93(m,10H),8.12(d,J=7.4Hz,2H),8.19(s,2H),8.45(s,2H),8.78(d,J=4.8Hz,2H),8.86(d,J=7.7Hz,2H),9.06(s,2H),9.09(s,2H).
実施例−9
【0137】
【化31】

【0138】
アルゴン気流下、3−(3−ピリジル)フェニルボロン酸(1.04g)、2,4−ビス(5−ブロモビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(1.24g)、酢酸パラジウム(9.0mg)、1mol/Lのトリ−tert−ブチルホスフィン トルエン溶液(120μL)をテトラヒドロフラン(50mL)に懸濁し、4mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(2.0mL)を5分間かけて滴下。その後、19時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、析出した固体をろ別し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、目的の6−フェニル−2,4−ビス[3−(3−ピリジル)−1,1’;3’,1”−ターフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量1.52g,反応収率99%)を得た。
【0139】
H−NMR(CDCl):δ7.29−7.49(m,4H),7.54(t,J=7.4Hz,4H),7.60−7.68(m,7H),7.80−7.84(m,6H),7.96(s,2H),8.03(d,J=7.9Hz,2H),8.07(s,2H),8.67(d,J=4.7Hz,2H),8.81(d,J=7.7Hz,2H),8.99(s,2H),9.02(s,4H).
13C−NMR(CDCl):δ124.0,125.8,126.6,126.7,127.1,127.5,128.0,128.8,129.1,129.2,129.9,130.4,132.8,135.2,136.9,137.5,138.4,140.6,141.9,141.9,142.5,147.9,148.2,171.7,171.9.
実施例−10
【0140】
【化32】

【0141】
アルゴン気流下、6−フェニルピリジン−3−イルボロン酸(1.29g)、2,4−ビス(5−ブロモビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(1.55g)、酢酸パラジウム(11.2mg)、1mol/Lのトリ−tert−ブチルホスフィン トルエン溶液(150μL)をテトラヒドロフラン(50mL)に懸濁し、4mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(4.7mL)を5分間かけて滴下した後、19時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、析出した固体をろ別した。固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:クロロホルム=2:1〜1:2)で精製した後、トルエンから再結晶し、目的の2,4−ビス[5−(6−フェニルピリジン−3−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量1.20g,収率63%)を得た。
【0142】
H−NMR(CDCl):δ7.49−7.69(m,15H),7.84(d,J=7.4Hz,4H),7.96(d,J=8.2Hz,2H),8.10(s,2H),8.14(d,J=7.5Hz,4H),8.23(d,J=8.0Hz,2H),8.84(d,J=7.1Hz,2H),9.04(s,2H),9.07(s,2H),9.19(s,2H).
実施例−11
【0143】
【化33】

【0144】
アルゴン気流下、テトラヒドロフラン(3mL)を−78℃に冷却し、1.58mol/Lのtert−ブチルリチウム テトラヒドロフラン溶液(1.18mL)を加えた。続いて、2−ブロモ−6−フェニルピリジン(211mg)のテトラヒドロフラン溶液(2mL)を滴下し、−78℃に保持したまま15分攪拌した。その後、塩化亜鉛テトラメチルエチレンジアミン錯体(530mg)を加え室温まで自然昇温した。ここに、2,4−ビス(5−ブロモビフェニル−3−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(185.8mg)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(13.9mg)のテトラヒドロフラン懸濁液(2mL)を滴下した後、50℃で19時間撹拌した。反応混合物を放冷後、低沸点分を減圧留去し、メタノールを加えた。析出した固体をろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:クロロホルム=2:1)で精製し、目的の2,4−ビス[5−(6−フェニルピリジン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色粉末(収量120mg,収率52%)を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.29−7.60(m,15H),7.82(d,J=7.7Hz,2H),7.91(d,J=7.8H,4H),7.91(t,J=7.7Hz,2H),7.98(d,J=7.7Hz,2H),8.27(d,J=7.2Hz,4H),8.72(s,2H),8.94(d,J=6.4Hz,2H),9.15(s,2H),9.60(s,2H).
実施例−12
【0145】
【化34】

【0146】
アルゴン気流下、2−フェニル−4,6−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジン(1.50g)、5−ブロモ−2,2’−ビピリジン(1.23g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(194mg)、2M−炭酸ナトリウム水溶液(25mL)をトルエン(50mL)に懸濁し、53時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点成分を減圧留去し、水を加え、析出した固体をろ別し、メタノールで洗浄した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=1:100〜1:50)で精製し、目的の2,4−ビス[5−(2,2’−ビピリジン−5−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量1.32g,収率81%)を得た。
【0147】
H−NMR(CDCl):δ7.39(brt,J=5.7Hz,2H),7.51(t,J=7.2Hz,2H),7.58−7.69(m,7H),7.86(d,J=7.3Hz,4H),7.88−7.94(m,2H),8.14(t,J=1.8Hz,2H),8.27(dd,J=8.3,2.3Hz,2H),8.54(d,J=8.0Hz,2H),8.62(d,J=8.5Hz,2H),8.77(brd,J=4.1Hz,2H),8.87(brd,J=7.8Hz,2H),9.09(t,J=1.8Hz,4H),9.18(d,J=1.8Hz,2H).
実施例−13
【0148】
【化35】

【0149】
アルゴン気流下、2−フェニル−4,6−ビス[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジン(1.17g)、6−ブロモ−2,2’−ビピリジン(925mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(152mg)、2M−炭酸ナトリウム(20mL)をトルエン(50mL)に懸濁し、72時間還流した。反応混合物を放冷後、低沸点成分を減圧留去し、メタノールを加え、析出した固体をろ別し、水、メタノールで洗浄した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=1:77〜1:50)で精製し、目的の2,4−ビス[5−(2,2’−ビピリジン−6−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量976mg、収率77%)を得た。
【0150】
H−NMR(CDCl):δ7.48−7.51(m,2H),7.59(t,J=7.8Hz,4H),7.66−7.73(m,7H),7.91(brd,J=8.3Hz,4H),7.97(t,J=7.8Hz,2H),8.06(d,J=7.4Hz,2H),8.49(d,J=7.7Hz,2H),8.70(t,J=1.6Hz,2H),8.73−8.75(m,2H),8.76(d,J=7.7Hz,2H),8.94(brd,J=4.2Hz,2H),9.17(t,J=1.6Hz,2H),9.65(t,J=1.6Hz,2H).
試験例−1
1,3,5−トリアジンを構成成分とする有機電界発光素子の作製と性能評価
基板には、2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、断面図を図1に示すような発光面積4mm有機電界発光素子を作製した。
【0151】
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10−4Paまで減圧した。その後、図1の1で示す前記ガラス基板上に有機化合物層として、正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5を順次成膜し、その後陰極層6を成膜した。正孔注入層2としては、昇華精製したフタロシアニン銅(II)を25nmの膜厚で真空蒸着した。正孔輸送層3としては、N,N’−ジ(ナフチレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)を45nmの膜厚で真空蒸着した。発光層4としては、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)ビフェニル(DPVBi)と4,4’−ビス(4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル)ビフェニル(DPAVBi)を97:3(質量%)の割合で40nmの膜厚で真空蒸着した。電子輸送層5としては、本発明の実施例1で合成した6−フェニル−2,4−ビス[4−(2−ピリジル)−1,1’;3’,1”−ターフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンを20nmの膜厚で真空蒸着した。なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜し、加熱した化合物を0.3〜0.5nm/秒の成膜速度で真空蒸着した。最後に、ITOストライプと直行するようにメタルマスクを配し、陰極層6を成膜する。陰極層6は、フッ化リチウムとアルミニウムをそれぞれ0.5nmと100nmの膜厚で真空蒸着し、2層構造とした。それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと前記成膜基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
【0152】
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度20mA/cmを流した時の電圧(V)、輝度(cd/m)、電流効率(cd/A)、電力効率(lm/W)を測定し、連続点灯時の輝度半減時間を測定した。
【0153】
作製した素子の測定値は、5.5V、2240cd/m、11.2cd/A、6.3lm/Wであった。また、この素子の輝度半減時間は、178時間であった。
試験例−2
試験例−1の発光層4に代えて、Alqを40nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を試験例−1と同様に作製した。作製した素子の測定値は、4.6V、953cd/m、4.8cd/A、3.2lm/Wであった。また、この素子の輝度半減時間は、3510時間であった。
試験例−3
試験例−1と同様に、図1の1で示す試験例−1に記載のガラス基板上に有機化合物層として、正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5を順次成膜し、その後陰極層6を成膜した有機電界発光素子を作製した。正孔注入層2としては、昇華精製したフタロシアニン銅(II)を10nmの膜厚で真空蒸着した。正孔輸送層3としては、N,N’−ジ(ナフチレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)を30nmの膜厚で真空蒸着した。発光層4としては、4−4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)とトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy))を94:6(質量%)の割合で30nmの膜厚で真空蒸着した。電子輸送層5としては、本発明の実施例1で合成した6−フェニル−2,4−ビス[4−(2−ピリジル)−1,1’;3’,1”−ターフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンを50nmの膜厚で真空蒸着した。
【0154】
作製した素子の測定値は、10.1V、2690cd/m、13.5cd/A、4.2lm/Wであった。また、この素子の輝度半減時間は、105時間であった。
試験例−4
試験例−3の電子輸送層5に代えて、本発明の実施例7で合成した2−(2−ナフチル)−4,6−ビス[4−(2−ピリジル)−1,1’;3’,1”−ターフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジンを50nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を試験例−3と同様に作製した。作製した素子の測定値は、9.7V、1588cd/m、7.9cd/A、2.6lm/Wであった。また、この素子の輝度半減時間は、133時間であった。
試験例−5
試験例−3の電子輸送層5に代えて、本発明の実施例12で合成した2,4−ビス[5−(2,2’−ビピリジン−5−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンを50nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を試験例−3と同様に作製した。作製した素子の測定値は、9.1V、2070cd/m、10.4cd/A、3.6lm/Wであった。また、この素子の輝度半減時間は、131時間であった。
試験例−6
試験例−3の電子輸送層5に代えて、本発明の実施例13で合成した2,4−ビス[5−(2,2’−ビピリジン−6−イル)ビフェニル−3−イル]−6−フェニル−1,3,5−トリアジンを50nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を試験例−3と同様に作製した。作製した素子の測定値は、8.6V、3850cd/m、19.3cd/A、7.1lm/Wであった。また、この素子の輝度半減時間は、103時間であった。
比較例−1
試験例−1の電子輸送層5に代えて、汎用電子輸送材料であるAlqを20nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を試験例−1と同様に作製した。作製した素子の測定値は、6.8V、1939cd/m、9.7cd/A、4.5lm/Wであった。また、この素子の輝度半減時間は、163時間であった。
比較例−2
試験例−2の電子輸送層5に代えて、汎用電子輸送材料であるAlqを20nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を試験例−2と同様に作製した。作製した素子の測定値は、5.4V、917cd/m、4.6cd/A、2.7lm/Wであった。また、この素子の輝度半減時間は、1680時間であった。
比較例−3
試験例−3の電子輸送層5に代えて、汎用電子輸送材料であるAlqを50nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を試験例−3と同様に作製した。作製した素子の測定値は、10.4V、3450cd/m、17.3cd/A、5.2lm/Wであった。また、この素子の輝度半減時間は、108時間であった。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の化合物を用いた有機電界発光素子は、既存材料に比較して、低消費電力化、長寿命化を達成できることを確認した。また、本発明の化合物は、本実施例の電子輸送層以外にも、発光ホスト層などにも適用可能である。更に、蛍光発光材料や燐光発光材料を用いた様々な有機電界発光素子への適用も可能である。さらに、フラットパネルディスプレイなどの用途以外にも、低消費電力と長寿命の両立が求められる照明用途などにも有用である。
【符号の説明】
【0156】
1.ITO透明電極付きガラス基板
2.正孔注入層
3.正孔輸送層
4.発光層
5.電子輸送層
6.陰極層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体。
【請求項2】
が水素原子、メチル基又はフェニル基であることを特徴とする請求項1に記載の1,3,5−トリアジン誘導体。
【請求項3】
Arが置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよいナフチル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の1,3,5−トリアジン誘導体。
【請求項4】
Arが無置換、メチル置換、フェニル置換若しくはフェニル二置換のフェニル基、又はナフチル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の1,3,5−トリアジン誘導体。
【請求項5】
一般式(2)
【化2】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Xは脱離基を表す。)で示される化合物と、一般式(3)
【化3】

(式中、V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物とを、場合によっては塩基の存在下に、パラジウム触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化4】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法。
【請求項6】
Mで表される金属基又はヘテロ原子基が、ZnR又はB(OR(但し、Rは、ハロゲン原子を表し、Rは水素原子、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。)で示される基であることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
一般式(4)
【化5】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(ORの2つのRは同一又は異なっていてもよい。又、2つのRは一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。)で示される化合物と、一般式(5)
【化6】

(式中、V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。Xは脱離基を表す。)で示される化合物とを、塩基及びパラジウム触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化7】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法。
【請求項8】
パラジウム触媒が、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法。
【請求項9】
第三級ホスフィンが、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルであることを特徴とする請求項8に記載の1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法。
【請求項10】
一般式(1)
【化8】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜3の整数を表し、nが2又は3の時、Rは同一又は相異なっていてもよい。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。V及びYは、各々窒素原子又は炭素原子を表す。但し、V及びYは同時に炭素原子とはなり得ない。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体を構成成分とする有機電界発光素子。

【図1】
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【公開番号】特開2010−155826(P2010−155826A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273647(P2009−273647)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【出願人】(000173762)公益財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】