説明

14−エピ−19−ノルプレビタミンD3誘導体

【課題】骨粗鬆症治療剤として有用な新規ビタミンD誘導体の提供。
【解決手段】下記式(1)で表される19−ノルプレビタミンD誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物。


[式中、RおよびRは、双方とも水素原子、どちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキル基、双方一緒になってメチレン基、または双方一緒になってC−Cアルキルメチレン基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品として有用な14−エピ−19−ノルプレビタミンD誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物、およびそれらを用いた骨粗鬆症治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
活性型ビタミンD誘導体は、小腸でのカルシウム吸収促進作用を有し、骨では骨吸収、骨形成を調節する等の作用を有し、骨粗鬆症の治療剤として使用されている。また、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌抑制作用を有し、PTHの亢進した二次性副甲状腺機能亢進症の治療に用いられている。さらに、これらの作用に加えて免疫調節作用、細胞増殖抑制作用や細胞分化誘導作用が見いだされ、例えば、癌、乾癬、関節リウマチ、真性糖尿病、高血圧症、アクネ、湿疹、皮膚炎等の疾患治療剤への適応が検討されている。
【0003】
一般にビタミンD誘導体(3)は、下記スキーム1に示すようにプレ体(4)との平衡状態で存在する。なお、下記スキーム1は代表的な活性型ビタミンDである1α,25−ジヒドロキシビタミンDの場合を示している。
【0004】
【化1】

【0005】
この平衡におけるプレ体の存在比は一般に小さいことから、プレ体の医薬品への適用可能性は詳しく研究されていない。
【0006】
ところで、ビタミンD誘導体の14位をエピ化させた14−エピ体は、平衡がプレ体に偏り、これが比較的安定に存在することがオカムラらにより報告されている(下記スキーム2、非特許文献1参照)。
【0007】
【化2】

【0008】
しかしながら、これまでにプレ体(6)についてビタミンDレセプター(VDR)への親和性やin vivoでの小腸カルシウム吸収、骨カルシウム動員などが報告されているものの(非特許文献1、特許文献1参照)、これらの活性は活性型ビタミンD誘導体に比較して非常に弱く、プレ体(6)についてはビタミンD様作用を利用したさまざまな疾患に対する治療剤としての効果は期待できなかった。
【0009】
一方、ビタミンD骨格の2位への化学修飾は、ビタミンDレセプターへの親和性向上をはじめとして様々な活性を向上させることが知られている(非特許文献2参照)。この知見に基づき、上記のプレビタミンD誘導体(6)の2位へ化学修飾したところ、ビタミンD骨格と同様に活性向上することが明らかとなった(化合物(8)、第236回ACS National Meetings、2008年8月)。
【0010】
【化3】

【0011】
しかしながら、この誘導体(8)はスキーム3に示すようにビタミンD骨格(7)への平衡変換があることから単一誘導体として存在せず、医薬品としての適用に課題があると考えられる。
【0012】
【化4】

【0013】
なお、14位が天然型の立体配置で(水素原子が紙面に対して向側)、RおよびRが双方とも水素原子である化合物が知られているが(非特許文献4)、この化合物の生物活性は非常に弱いと報告されている(非特許文献5、6)。この化合物は、本発明化合物と14位がエピ型立体である点、RおよびRとして置換基を有することができる点で異なる。
【0014】
【特許文献1】国際公開第95/017197号パンフレット
【非特許文献1】ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med.Chem.)、37巻、2387−2393頁、1994年
【非特許文献2】ビタミンD・アナログス・イン・キャンサー・プリベンション・アンド・セラピー、リーセント・リザルツ・イン・キャンサー・リサーチ(VitaminD Analogs in Cancer Prevention and Therapy, Recent Results in Cancer Reserch)、164巻、289−317頁、2003年
【非特許文献3】ネイチャー・レビューズ・ドラッグ・ディスカバリー(Nature Reviews Drug Discovery)、3巻、27−41頁、2004年
【非特許文献4】テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)、33巻、5445−5448頁、1992年
【非特許文献5】ジャーナル・オブ・ボーン・アンド・ミネラル・リサーチ(J.Bone.Miner.Res.)、8巻、1009−1015頁、1993年
【非特許文献6】ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、278巻、35476−35482頁、2003年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、ビタミンD様作用を有するプレビタミンD誘導体を提供することである。また、本発明の目的は、骨粗鬆症治療剤を提供することである。また、本発明の目的は、ビタミンD様作用を有するプレビタミンD誘導体の製造中間体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは上記目的で鋭意研究した結果、以下の発明に到達した。
すなわち、本発明は下記式(1)で表される19−ノルプレビタミンD誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物である。
【0017】
【化5】

【0018】
ここで式(1)中のRおよびRは、双方とも水素原子、どちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキル基、双方一緒になってメチレン基、または双方一緒になってC−Cアルキルメチレン基を表す。
【0019】
また、本発明は上記式(1)で表される19−ノルプレビタミンD誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物を有効成分として含有する骨粗鬆症治療剤である。
【0020】
また、本発明は下記式(2)で表される19−ノルプレビタミンD誘導体の製造中間体である。
【0021】
【化6】

【0022】
ここで式(2)中のRおよびRは、双方とも水素原子、どちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキル基、双方一緒になってメチレン基、または双方一緒になってC−Cアルキルメチレン基を表す。
【発明の効果】
【0023】
本発明化合物は、既知の19−天然型プレビタミンD誘導体(6)、(8)に比べて骨芽細胞における強い転写活性能を有している。また、既知の19−天然型プレビタミンD誘導体(6)、(8)に存在するビタミンD骨格との平衡変換がなく、単一化合物として存在する。これらのことから、本発明化合物は骨粗鬆症の治療剤としての有用性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明における用語の定義は以下の通りである。
アルキル基とは、直鎖、分岐鎖、あるいは環状の脂肪族炭化水素基をいう。C−Cのアルキル基とは、炭素数1から6のアルキル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシル基を具体的な基として挙げることができる。
【0025】
メチレン基とは、本発明の場合、RおよびRが双方一緒になって表現されるものであり、具体的には下記のような誘導体である。
【0026】
【化7】

【0027】
アルキルメチレン基とは、本発明の場合、RおよびRが双方一緒になって表現されるものであり、具体的には下記のような誘導体である。なお、アルキルメチレン基に付した炭素数は、アルキルメチレン基のアルキル基部分の炭素数を示す。
【0028】
【化8】

【0029】
上記式(1)中、RおよびRは、双方とも水素原子、どちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキル基、双方一緒になってメチレン基、または双方一緒になってC−Cアルキルメチレン基を表す。これらの中でも、双方とも水素原子、どちらか一方が水素原子で他方がメチル基、双方一緒になってメチレン基が好ましい。
【0030】
上記式(2)中、RおよびRは、双方とも水素原子、どちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキル基、双方一緒になってメチレン基、または双方一緒になってC−Cアルキルメチレン基を表す。これらの中でも、双方とも水素原子、メチル基、双方一緒になってメチレン基が好ましい。
【0031】
上記式(1)および(2)中、RおよびR、RおよびRが、双方一緒になってC−Cアルキルメチレン基の場合、該基中の炭素−炭素二重結合の幾何化学は、(E)体、(Z)体のいずれであってもよく、さらにこれらの混合物でもよい。
【0032】
なお、上記式(1)および(2)中、RおよびR、RおよびRが、どちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキル基の場合、RおよびRの置換する炭素原子の立体化学は、ステロイド立体表記法に従い、上記式(1)の場合、C−Cのアルキル基が紙面に対して向側にあるものをα体、手前にあるものをβ体とし、上記式(2)の場合、C−Cのアルキル基が紙面に対して手前にあるものをα体、向側にあるものをβ体とする。
【0033】
本発明の19−ノルプレビタミンD誘導体は、必要に応じてその医薬上許容される溶媒和物に変換することができる。そのような溶媒としては、水、メタノ−ル、エタノ−ル、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノ−ル、t−ブタノ−ル、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、酢酸エチル、ジエチルエ−テル、t−ブチルメチルエ−テル、ベンゼン、トルエン、DMF、DMSO等を挙げることができる。特に、水、メタノ−ル、エタノ−ル、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルを好ましいものとして挙げることができる。
【0034】
本発明の19−ノルプレビタミンD誘導体(1)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
化合物(1a):14−エピ−1α、25−ジヒドロキシ−19−ノルプレビタミンD
化合物(1b):2−メチル−14−エピ−1α、25−ジヒドロキシ−19−ノルプレビタミンD
化合物(1c):2−メチレン−14−エピ−1α、25−ジヒドロキシ−19−ノルプレビタミンD
【0035】
上記式(1)で表される19−ノルビタミンD誘導体の製造はいかなる方法で行ってもよいが、例えば以下のように行うことができる。
およびRが双方とも水素原子の場合はスキーム5のようにして製造できる。すなわち、文献既知の化合物(10)(ウーら(Y.Wu et al.)、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Eur.J.Org.Chem.)、3779−3818頁、2001年)をトリフレート(11)に導き、これと文献既知の化合物(12a)(サランデセスら(L.A.Sarandeses et al.)、テロラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)、33巻、5445−5448頁、1992年)をカップリングした後、水酸基の保護基を脱保護し、化合物(13a)を得る。これをリンドラー触媒による水素還元を行うことで、(1)(R=R=水素原子)を得ることができる。
【0036】
【化9】

【0037】
とRのどちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキル基、双方一緒になってメチレン基、または双方一緒になってC−Cアルキルメチレン基の場合はスキーム6のようにして製造できる。すなわち、文献既知の化合物(10)(ウーら(Y.Wu et al.)、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Eur.J.Org.Chem.)、3779−3818頁、2001年)をトリフレート(11)に導き、これとスキーム7に示すようにして合成できる(12b)をカップリングした後、水酸基の保護基を脱保護し、化合物(2)(RとRが水素原子とメチレン基、あるいは水素原子とC−Cのアルキルメチレン基)を得る。これをロジウム触媒下で水素還元し、次いでリンドラー触媒下で水素還元を行うことで、(1)(RとRのどちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキル基、RとRのどちらか一方が水素原子で他方がC−Cのメチレン基、あるいはどちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキルメチレン基)、および(2)(RとRのどちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキル基)を得ることができる。
【0038】
【化10】

【0039】
【化11】

【0040】
(スキーム6およぴスキーム7中、Rは水素原子またはC−Cのアルキル基を表す。スキーム7中、R’はフェニル基などのアリール基、メチル基やエチル基などの低級アルキル基を表す。)
【0041】
以上のようにして得られる19−ノルプレビタミンD誘導体(1)は、必要に応じて前述のような医薬上許容される溶媒和物に変換することができる。
かかる溶媒和物は、フリーの化合物(1)を該溶媒、あるいは該溶媒を含有する混合溶媒より再結晶することにより得ることができる。
【0042】
本発明の19−ノルプレビタミンD誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物を有効成分として含有する骨粗鬆症症治療剤は、通常製剤化に用いられる担体や賦形剤、その他の添加剤を用いて調製される。製剤用の担体や賦形剤としては、固体または液体いずれでもよく、例えば乳糖、ステアリン酸マグネシウム、スターチ、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、オリーブ油、ゴマ油、カカオバター、エチレングリコール等やその他常用のものが挙げられる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、あるいは静注、筋注等の注射剤、坐剤、経皮等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0043】
本発明の有効成分の治療有効量は、投与経路、患者の年齢、性別、疾患の程度によって異なるが、通常0.001〜10000μg/日程度であり、投与回数は通常1〜3回/日ないし1〜3回/週であり、このような条件を満足するように製剤を調製するのが好ましい。
なお、本発明の疾患治療剤は、既存の薬剤と併用することも可能である。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって限定され
るものではない。
【0045】
[実施例1]
14−エピ−1α、25−ジヒドロキシ−19−ノルプレビタミンD(化合物(1a))の製造
【化12】

【0046】
(1)ジイソプロピルアミン(80μL、0.57mmol)をTHF(2mL)に溶解し、0℃に冷却した。n−BuLi(206μL、2.77M ヘキサン溶液、0.57mmol)を加え、0℃で40分間攪拌した。その後、−78℃に冷却し、文献既知の方法(ウーら(Y.Wu et al.)、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Eur.J.Org.Chem.)、3779−3818頁、2001年)で得られる(10)(150mg、0.38mmol)のTHF(1mL)溶液を加え、ゆっくりと昇温した。80分後、室温に達したところで再び−78℃に冷却し、THF(2mL)に溶解したPhN(Tf)(272mg、0.76mmol)を加え、ゆっくりと昇温し、室温で終夜攪拌した。14時間後、0℃に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:1−50:1)に付すことにより、(11)(122mg、61%)を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.71 (dt, J = 1.5, 4.2 Hz, 1H), 2.26 (m, 1H), 2.15-2.18 (m, 2H), 1.85-1.99 (m, 2H), 1.28-1.62 (m, 11H), 1.21 (m, 1H), 1.19 (s, 3H), 1.19 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.94 (t, J = 8.1 Hz, 9H), 0.93 (s, 3H), 0.56 (q, J = 8.1 Hz, 6H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 152.5, 120.0, 116.7, 73.4, 51.3, 51.0, 45.5, 44.4, 35.9, 33.8, 33.2, 30.1, 29.9, 28.8, 26.7, 21.6, 21.6, 21.2, 19.5, 7.2, 6.9;
LRMS (ESI+) m/z 549 (M + Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C25H45O4F3SiNaS, 549.2652, found: 549.2653.
【0047】
(2)上記で得られた(11)(22mg、0.05mmol)、文献記載の方法(サランデセスら(Sarandeses et.al)、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)、33巻、5445−5448頁、1992年)で得られる化合物(12a)(26mg、0.06mmol)をDMF(0.5mL)に溶解し、ジエチルアミン(0.5mL)、CuI(4.8mg、0.025mmol)、Pd(PPh(OAc)(5.6mg、0.0075mmol)を順次加え、室温で2時間攪拌した。その後氷冷し、ジエチルエーテルを加え、飽和食塩水で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=200:1−100:1)に付すことにより無色油状物として得た。これを直ちにTHF(2mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(500μL、1M THF溶液、0.5mmol)を加え、室温で14時間攪拌した。その後0℃に冷却し、飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1−0:1)に付すことにより、(13a)(16mg、80%)を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.04-6.09 (m, 2H), 4.43-4.48 (m, 1H), 4.12-4.20 (m, 1H), 2.52 (dd, J = 4.2, 17.3 Hz, 1H), 1.56-2.15 (m, 7H), 1.30-1.60 (m, 10H), 1.20-1.30 (m, 2H), 1.21 (s, 3H), 1.21 (s, 3H), 0.97-1.07 (m, 2H), 0.93 (d, J = 6.3 Hz, 3H), 0.92 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 134.0, 133.0, 124.6, 121.7, 90.9, 87.0, 71.1, 65.1, 63.9, 51.8, 51.3, 44.4, 41.2, 39.1, 38.6, 36.0, 34.1, 33.4, 29.4, 29.3, 28.9, 28.6, 23.1, 21.9, 21.4, 19.4;
[α]D25 = + 18.2 (c 0.54, CHCl3);
LRMS (ESI+) m/z 423 (M + Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C26H40O3Na, 423.2870, found: 423.2851.
【0048】
(3)上記で得られた(13a)(14mg、0.035mmol)をメタノール(2mL)とCHCl(1mL)の混合溶媒に溶解し、Quinoline(0.05mL)、Lindlar触媒(11mg)を順次加え、水素雰囲気下で4.5時間激しく攪拌した。その後、セライトを用いてろ過、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)に付すことにより得られた粗生成物をさらにプレパラティブクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:4)によって分離し、(1a)(5.5mg、39%)を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.86 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 5.81 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 5.55 (m, 1H), 4.56 (m, 1H), 4.07-4.15 (m, 1H), 2.60 (dd, J = 4.5, 17.1 Hz, 1H), 1.96-2.07 (m, 4H), 1.77-1.94 (m, 4H), 1.26-1.58 (m, 12H), 1.21 (s, 3H), 1.21 (s, 3H), 1.12 (m, 1H), 0.95 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.93 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 138.5, 136.6, 133.2, 129.5, 128.1, 125.5, 71.1, 65.7, 64.6, 52.0, 51.5, 44.5, 41.3, 39.8, 37.5, 36.0, 34.3, 33.9, 29.7, 29.2, 29.1, 28.9, 22.8, 21.9, 20.9, 19.7;
[α]D24 = -74.0 (c 0.23, CHCl3);
LRMS (ESI+) m/z 425 (M + Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C26H42O3Na, 425.3026, found: 425.3024.
【0049】
[実施例2]
2−メチル−14−エピ−1α、25−ジヒドロキシ−19−ノルプレビタミンD(化合物(1b))および2−メチレン−14−エピ−1α、25−ジヒドロキシ−19−ノルプレビタミンD(化合物(1c))の製造
【化13】

【0050】
(1)文献記載の方法(シシンスキーら(Sicinski et.al)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、41巻、4662−4674頁、1998年)で得られる(15)(R=水素原子)(600mg、1.39mmol)をピリジン(3mL)に溶解し、POCl(195μL、2.09mmol)を加え、48時間攪拌した。その後0℃に冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:1−50:1)に付すことにより、(16)(R=水素原子)(488mg、85%)を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.75 (m, 1H), 5.08 (s, 1H), 5.02 (s, 1H), 4.91 (m, 1H), 4.56 (dd, J = 5.1, 5.6 Hz, 1H), 3.73 (s, 3H), 2.67 (ddd, J = 1.9, 5.1, 17.6 Hz, 1H), 2.31 (ddd, J = 1.7, 5.6, 17.6 Hz, 1H), 0.91 (s, 9H), 0.89 (s, 9H), 0.12 (s, 3H), 0.09 (s, 3H), 0.07 (s, 3H), 0.06 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 167.1, 148.8, 139.5, 129.2, 108.1, 69.5, 69.0, 51.8, 36.8, 25.9, 25.8, 18.3, 18.2, -4.7, -4.7, -4.8, -4.9;
LRMS (ESI+) m/z 435 (M + Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C21H40O4Si2Na, 435.2363, found: 435.2363.
【0051】
(2)上記で得られた(16)(R=水素原子)(330mg、0.80mmol)をトルエン(3mL)に溶解し、0℃に冷却した。DIBAL−H(2.42mL、0.99M トルエン溶液、2.40mmol)を加え、室温で42時間攪拌した。その後0℃に冷却し、水(0.1mL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(0.1mL)、水(0.3mL)を順次加え、室温で終夜攪拌した。反応液に硫酸マグネシウムを加えて攪拌後、セライトを用いてろ過、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1−6:1)によって分離し、(17)(R=水素原子)(267mg、87%)を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.64 (m, 1H), 5.08 (s, 1H), 4.97 (s, 1H), 4.77 (m, 1H), 4.60 (dd, J = 5.3, 6.7 Hz, 1H), 3.99 (s, 1H), 2.40 (dd, J = 5.3, 16.7 Hz, 1H), 2.06 (dd, J = 6.7, 16.7 Hz, 1H), 0.90 (s, 9H), 0.90 (s, 9H), 0.10 (s, 3H), 0.08 (s, 3H), 0.06 (s, 3H), 0.05 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 150.4, 138.2, 124.1, 107.4, 69.9, 69.1, 66.0, 38.3, 25.9, 25.9, 25.8, 25.7, 18.4, 18.3, -4.5, -4.6, -4.8, -4.9;
LRMS (ESI+) m/z 407 (M + Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C20H40O3Si2Na, 407.2414, found: 407.2418.
【0052】
(3)上記で得られた(17)(R=水素原子)(470mg、1.22mmol)を塩化メチレン(6mL)に溶解し、MS4A(610mg)、NMO(215mg、1.83mmol)、TPAP(21mg、0.061mmol)を順次加え、室温で2時間攪拌した。その後、セライトを用いてろ過、減圧濃縮し、得られた粗生成物を中性のシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:1−50:1)に付すことによりアルデヒドを無色油状物として得た。これを直ちに以下の反応に用いた。TMSCHN(686μL、2.0Mエーテル溶液、1.37mmol)をTHF(4mL)に溶解し、−78℃に冷却した。n−BuLi(479μL、2.77Mヘキサン溶液、1.33mmol)を加え、30分間攪拌した。THF(1mL)に溶解したアルデヒドを加え、ゆっくりと昇温した。2時間後、0℃に達したらその温度でさらに15分間攪拌した。その後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:1−50:1)に付すことにより、(12b)(R=水素原子)(229mg、50%(2steps))を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.05 (m, 1H), 5.09 (s, 1H), 5.01 (s, 1H), 4.80 (m, 1H), 4.56 (dd, J = 5.4, 6.6 Hz, 1H), 2.85 (s, 1H), 2.52 (ddd, J = 1.5, 5.4, 17.1 Hz, 1H), 2.22 (ddd, J = 1.6, 6.6, 17.1 Hz, 1H), 0.90 (s, 9H), 0.90 (s, 9H), 0.10 (s, 3H), 0.08 (s, 3H), 0.08 (s, 3H), 0.06 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 148.9, 137.0, 119.8, 108.0, 83.9, 76.2, 69.5, 68.8, 41.3, 25.9, 25.8, 18.3, 18.3, -4.6, -4.7, -4.8, -4.9;
LRMS (ESI+) m/z 401 (M+ Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C21H38O2Si2Na, 401.2303, found: 401.2304.
【0053】
(4)(12b)(R=水素原子)(162mg、0.428mmol)、実施例1(1)で得られた(11)(150mg、0.285mmol)をDMF(1.5mL)に溶解し、ジエチルアミン(1.5mL)、CuI(27mg、0.143mmol)、Pd(PPh(OAc)(32mg、0.0428mmol)を順次加え、室温で90分間攪拌した。その後氷冷し、ジエチルエーテルを加え、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=200:1−100:1)に付すことにより、無色油状物を得た。これを直ちにTHF(4mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(2.85mL、1M THF溶液、2.85mmol)を加え、室温で19時間攪拌した。その後0℃に冷却し、飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1−1:3)に付すことにより、(2)(R/R=メチレン基)(100mg、85%)を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.07-6.09 (m, 1H), 6.03-6.05 (m, 1H), 5.21 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 5.19 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 4.83 (m, 1H), 4.64 (dd, J = 5.1, 7.1 Hz, 1H), 2.66 (ddd, J = 1.5, 5.1, 17.1 Hz, 1H), 2.28 (ddd, J = 1.5, 7.1, 17.1 Hz, 1H), 1.93-2.09 (m, 4H), 1.78-1.82 (m, 1H), 1.29-1.57 (m, 10H), 1.25 (m, 1H), 1.21 (s, 3H), 1.21 (s, 3H), 1.06 (m, 1H), 0.95 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 0.91 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 148.8, 134.1, 132.4, 124.5, 122.2, 109.2, 91.3, 86.6, 71.1, 69.1, 68.2, 51.8, 51.3, 44.5, 41.3, 40.4, 36.1, 34.2, 33.4, 29.6, 29.5, 27.3, 27.3, 23.2, 22.0, 21.4, 19.5.;
[α]D25 = + 19.2 (c 0.85, CHCl3);
LRMS (ESI+) m/z 435 (M + Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C27H40O3Na, 435.2870, found: 435.2859.
【0054】
(5)(PPhRhCl(105mg、0.114mmol)をベンゼン(2mL)に溶解し、水素気流下で40分間攪拌した。反応液に上記で得られた(2)(R/R=メチレン基)(47mg、0.114mmol)をベンゼン(2mL)と塩化メチレン(1mL)の混合溶媒に溶解したものを加え、水素気流下で2時間激しく攪拌した。その後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1−15:1)に付すことにより得られたものを直ちにメタノール(2mL)と塩化メチレン(1mL)の混合溶媒に溶解し、これにQuinoline(0.05mL)、Lindlar触媒(18mg)を順次加え、水素雰囲気下で15時間激しく攪拌した。その後、セライトを用いてろ過、減圧濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1−1:3)に付すことにより得られた粗精製物をさらにプレパラティブクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)によって分離し、異性体混合物の(1b)を無色油状物として得た。この異性体混合物をHPLC(CHCN:HO=9:1)で分離し、(1b)−1(12mg、25%)、(1b)−2(15mg、32%)を得た。また、合わせて微量の(1c)、(2)(R/R=水素原子/メチル基)の2つの異性体(2)−1、(2)−2を得た。なお、(1b)−1と(1b)−2は一般式(1)のR/Rに相当するメチル基が結合する炭素原子の不斉に基づくもの、(2)−1と(2)−2は一般式(2)のR/Rに相当するメチル基が結合する炭素原子の不斉に基づくものである。
【0055】
(1b)−1:
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.88 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 5.76 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 5.72 (m, 1H), 5.53 (m, 1H), 4.08 (m, 1H), 4.04 (m, 1H), 2.25-2.57 (m, 1H), 2.15 (dd, J = 4.9, 17.8 Hz, 1H), 1.97-2.05 (m, 3H), 1.65-1.88 (m, 3H), 1.32-1.55 (m, 13H), 1.23 (s, 3H), 1.23 (s, 3H), 1.07-1.13 (m, 1H), 1.09 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.95 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.92 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 138.5, 135.4, 132.9, 129.8, 128.7, 125.3, 77.2, 71.2, 69.3, 51.9, 51.6, 44.5, 41.2, 41.1, 36.1, 35.6, 34.3, 33.9, 29.8, 29.1, 29.0, 22.8, 21.9, 20.8, 19.7, 13.1;
[α]D24 = -120.9 (c 0.23, CHCl3);
LRMS (ESI+) m/z 439 (M + Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C27H44O3Na, 439.3183, found: 439.3193.
(1b)−2:
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.83 (s, 1H), 5.83 (s, 1H), 5.74 (m, 1H), 5.56 (m, 1H), 4.26 (m, 1H), 3.77 (m, 1H), 2.64 (dd, J = 4.9, 17.6 Hz, 1H), 1.95-2.08 (m, 4H), 1.74-1.87 (m, 3H), 1.28-1.59 (m, 14H), 1.22 (s, 3H), 1.22 (s, 3H), 1.11 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.95 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.93 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 138.6, 136.9, 133.3, 129.3, 128.0, 125.4, 77.2, 71.1, 69.2, 68.8, 52.0, 51.4, 44.4, 41.3, 40.7, 37.1, 35.9, 34.2, 33.9, 29.7, 29.1, 29.1, 28.8, 22.8, 21.8, 20.8, 19.6, 12.3;
[α]D24 = -39.5 (c 0.62, CHCl3);
LRMS (ESI+) m/z 439 (M + Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C27H44O3Na, 439.3183, found: 439.3176.
(1c):
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.88 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 5.81 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 5.75 (m, 1H), 5.54 (m, 1H), 5.19 (s, 1H), 5.16 (s, 1H), 4.82 (m, 1H), 4.58 (m, 1H), 2.73 (dd, J = 5.2, 16.7 Hz, 1H), 2.18 (dd, J = 7.3, 16.7 Hz, 1H), 1.96-2.06 (m, 4H), 1.76-1.87 (m, 2H), 1.27-1.56 (m, 9H), 1.22 (s, 3H), 1.22 (s, 3H), 1.07-1.14 (m, 1H), 0.95 (d, J = 7.4 Hz, 3H), 0.88 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 138.5, 137.2, 133.5, 129.2, 128.1, 125.7, 108.5, 77.2, 71.2, 69.5, 58.7, 52.0, 51.5, 44.4, 41.2, 39.1, 35.9, 34.2, 33.9, 29.7, 29.7, 29.1, 28.8, 22.8, 21.8, 20.8, 19.6;
[α]D24 = -209.0 (c 0.27, CHCl3);
LRMS (ESI+) m/z 437 (M + Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C27H42O3Na, 437.3026, found: 437.3010.
(2)−1:
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.07-6.09 (m, 1H), 6.03-6.05 (m, 1H), 4.05-4.08 (m, 2H), 2.50 (m, 1H), 2.24 (m, 1H), 1.93-2.09 (m, 4H), 1.95-2.10 (m, 4H), 1.71-1.84 (m, 2H), 1.28-1.57 (m, 13H), 1.22 (s, 3H), 1.22 (s, 3H), 1.09 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 1.06 (m, 1H), 0.93 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.92 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 133.8, 133.4, 124.6, 120.5, 90.7, 87.0, 77.2, 70.6, 68.7, 51.8, 51.3, 44.5, 41.3, 40.8, 37.1, 36.1, 34.2, 33.5, 29.8, 29.5, 29.3, 29.0, 28.6, 23.1, 22.0, 21.4, 19.5, 13.6; [α] D25 = + 28.5 (c 0.15, CHCl3);
LRMS (ESI+) m/z 437 (M + Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C27H42O3Na, 437.3026, found: 437.3017.
(2)−2:
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.06-6.10 (m, 2H), 4.28 (m, 1H), 4.28 (m, 1H), 3.85 (m, 1H), 2.58 (dd, J = 5.4, 17.6 Hz, 1H), 2.11-2.17 (m, 1H), 1.95-2.09 (m, 4H), 1.75-1.85 (m, 2H), 1.20-1.60 (m, 13H), 1.22 (s, 1H), 1.22 (s, 3H), 1.10 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.04-1.09 (m, 1H), 0.94 (d, J = 6.3 Hz, 3H), 0.92 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 133.9, 132.8, 124.5, 121.9, 90.9, 86.9, 77.2, 71.1, 68.7, 68.2, 51.8, 51.3, 44.6, 41.3, 40.2, 38.3, 36.1, 34.2, 33.5, 29.8, 29.3, 29.0, 28.6, 23.1, 22.0, 21.4, 19.5, 12.2;
[α] D25 = -2.2 (c 0.69, CHCl3);
LRMS (ESI+) m/z 437 (M + Na)+;
HRMS (ESI+) calcd for C27H42O3Na, 437.3026, found: 437.3033.
【0056】
[実施例3]
ヒト骨芽細胞(HOS細胞)におけるVDR転写活性
(1)レポーターベクターとしてpGL3ベクター(promega社)を用い、ルシフェラーゼ遺伝子の上流に、文献既知の方法(Ozonoら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)、265巻、21881―21888頁、1990年)で得られるヒトオステオカルシン遺伝子プロモーター部分の配列を、HOS細胞(ATCCより入手)から取得したcDNAよりクローニングし、組み込んだ。発現ベクターはpCDNA3ベクター(Invitrogen社)にヒトVDRおよびヒトRXRをコードするDNA配列を挿入して構築した。HOS細胞は10%F
BSを含むDMEM培地で37℃、5%COの条件で培養し、2日あるいは3日ごとに継代した。
【0057】
(2)継代培養していた細胞を遠心回収し、無血清、フェノールレッド不含のDMEM培地に4×10cells/mlの密度で分散させ、96ウェルプレートに0.1mL/ウェルで播種した。この系に、(1)に記載した各種ベクターをLipofectamin2000(Invitrogen社)試薬を用いてウェルあたり0.05mL添加した。37℃で3時間インキュベートした後、各ウェルに1×10−13〜1×10−7Mの被験化合物エタノール溶液あるいはコントロールとしてエタノールを2μLずつ添加した。37℃で24時間インキュベートした後、培地を取り除き、PBS(−)で一度洗浄した後、DualGlo−Luciferase Assay kit(Promega社)を用いてルミノメーター(ベルトールド社)によりルシフェラーゼ活性を測定した。被験化合物の活性をその処理濃度に対してプロットし、1×10−7Mの1α,25−ジヒドロキシビタミンD処理での活性を100%、コントロールのエタノール処理での活性を0%としたとき、50%となる被験化合物の処理濃度をEC50値(nM)として算出した。結果を表1に示す。また、比較実施例として対応する19位天然型化合物(A)、(B)、(C)の活性を測定した。結果を合わせて表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
(A)14−エピ−1α、25−ジヒドロキシプレビタミンD
(B)2β−メチル−14−エピ−1α、25−ジヒドロキシプレビタミンD
(C)2α−メチル−14−エピ−1α、25−ジヒドロキシプレビタミンD
この結果から、本発明の化合物は、既知のプレビタミンD誘導体(8)に比べ、著しく強い転写活性を有することが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の19−ノルプレビタミンD誘導体は、骨粗鬆症の治療剤の有効成分として用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される19−ノルプレビタミンD誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物。
【化1】

[式中、RおよびRは、双方とも水素原子、どちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキル基、双方一緒になってメチレン基、または双方一緒になってC−Cアルキルメチレン基を表す。]
【請求項2】
前記式(1)のRおよびRが、双方とも水素原子である請求項1に記載の19−ノルプレビタミンD誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物。
【請求項3】
前記式(1)のRおよびRが、どちらか一方が水素原子で他方がメチル基である請求項1に記載の19−ノルプレビタミンD誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物。
【請求項4】
前記式(1)のRおよびRが、双方一緒になってメチレン基である請求項1に記載の19−ノルプレビタミンD誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の19−ノルプレビタミンD誘導体またはその医薬上許容される溶媒和物を有効成分として含有する骨粗鬆症治療剤。
【請求項6】
下記式(2)で表される19−ノルプレビタミンD誘導体の製造中間体。
【化2】

[式中、RおよびRは、双方とも水素原子、どちらか一方が水素原子で他方がC−Cのアルキル基、双方一緒になってメチレン基、または双方一緒になってC−Cアルキルメチレン基を表す。]
【請求項7】
前記式(2)のRおよびRが、双方とも水素原子である請求項6に記載の19−ノルプレビタミンD誘導体の製造中間体。
【請求項8】
前記式(2)のRおよびRが、どちらか一方が水素原子で他方がメチル基である請求項6に記載の19−ノルプレビタミンD誘導体の製造中間体。
【請求項9】
前記式(2)のRおよびRが、双方一緒になってメチレン基である請求項6に記載の19−ノルプレビタミンD誘導体の製造中間体。

【公開番号】特開2010−111593(P2010−111593A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283163(P2008−283163)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(503369495)帝人ファーマ株式会社 (159)
【Fターム(参考)】