説明

2−メルカプト置換トリアゾロピリミジン類、それらを製造するための方法、病原性菌類を防除するためのそれらの使用、及び、2−メルカプト置換トリアゾロピリミジン化合物を含んでいる薬剤

本発明は、式(I)[式中、置換基は、以下の意味を有する:Lは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲンアルキル、ハロゲンアルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロゲンアルコキシ又は-C(=O)-Aを表し;Aは、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロゲンアルコキシ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノを表し;mは、0、1、2、3、4又は5を表し;Xは、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロゲンアルキル、アルコキシ又はハロゲンアルコキシを表し;R1及びR2は、水素、アルキル、ハロゲンアルキル、シクロアルキル、ハロゲンシクロアルキル、アルケニル、アルカジエニル、ハロゲンアルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ハロゲンアルキニル、シクロアルキニル、フェニル若しくはナフチルを表すか、又は、O、N若しくはSの群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでいる5〜10員の飽和、部分的不飽和若しくは芳香族のヘテロ環を表すか、又は、R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5員若しくは6員の環(ここで、該環は、O、N及びSの群から選択される原子により中断されている)を形成してもよく、ここで、R1及び/若しくはR2は、本明細書に記載されているように置換されていてもよい]で表される、2-メルカプト置換トリアゾロピリミジンに関する。本発明は、さらにまた、上記化合物を製造する方法、上記化合物を含んでいる薬剤、及び、植物病原性菌類を防除するためのそれらの使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I):
【化1】

【0002】
[式中、置換基は下記のように定義される:
Lは、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-C6-アルキル、C2-C10-アルケニル、C2-C10-アルキニル、C1-C6-ハロアルキル、C2-C10-ハロアルケニル、C1-C6-アルコキシ、C2-C10-アルケニルオキシ、C2-C10-アルキニルオキシ、C1-C6-ハロアルコキシ又は-C(=O)-Aであり;
Aは、水素、ヒドロキシル、C1-C8-アルキル、C2-C8-アルケニル、C1-C8-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C8-アルキルアミノ又はジ-(C1-C8-アルキル)アミノであり;
mは、0、1、2、3、4又は5であり;
Xは、ハロゲン、シアノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシ又はC1-C2-ハロアルコキシであり;
R1及びR2は、互いに独立して、水素、C1-C8-アルキル、C1-C8-ハロアルキル、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-ハロシクロアルキル、C2-C8-アルケニル、C4-C10-アルカジエニル、C2-C8-ハロアルケニル、C3-C6-シクロアルケニル、C2-C8-アルキニル、C2-C8-ハロアルキニル、C3-C6-シクロアルキニル、フェニル若しくはナフチルであるか、又は、O、N及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでいる5〜10員の飽和、部分的不飽和若しくは芳香族のヘテロ環であるか、あるいは、
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5員若しくは6員の環(ここで、該環は、O、N及びSからなる群から選択される1個の原子により中断されていてもよく、及び/又は、該環は、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル及びオキシ-C1-C3-アルキレンオキシからなる群から選択される1以上の置換基を有していてもよく、又は、該環内の窒素原子とそれに隣接している炭素原子はC1-C4-アルキレン鎖により連結されていてもよい)を形成してもよく、
ここで、R1及び/又はR2は、1〜4個の同一であるか又は異なっている基Raで置換されていてもよく;
Raは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルカルボニル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-アルキニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、フェニル若しくはナフチルであるか、又は、O、N及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでいる5〜10員の飽和、部分的不飽和若しくは芳香族のヘテロ環であり、その際、これらの脂肪族基、脂環式基又は芳香族基は、それらに関する限り、部分的若しくは完全にハロゲン化されていてもよいか、又は、1〜3個の基Rb(Rbは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、メルカプト、アミノ、カルボキシル、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノチオカルボニル若しくはジアルキルアミノチオカルボニル(ここで、これらの基内のアルキル基は、1〜6個の炭素原子を含んでおり、これらの基内のアルケニル基又はアルキニル基は、2〜8個の炭素原子を含んでいる))、及び/又は、1〜3個の以下の基:シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクリル若しくはヘテロシクリルオキシ(ここで、前記環系は、3〜10の環員を含んでいる)、又は、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリール-C1-C6-アルコキシ、アリール-C1-C6-アルキル、ヘタリール、ヘタリールオキシ若しくはヘタリールチオ(ここで、アルキル基は好ましくは6〜10の環員を含んでおり、ヘタリール基は5又は6の環員を含んでおり、また、これらの環系は、部分的若しくは完全にハロゲン化されていてもよいか又はアルキル基若しくはハロアルキル基で置換されていてもよい)を有していてもよい]
で表される2-メルカプト置換トリアゾロピリミジン及びその塩に関する。
【0003】
本発明は、さらにまた、上記化合物を調製する方法、上記化合物を含有している組成物、及び、有害な植物病原性菌類を防除するための上記化合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
6-フェニル-7-アミノトリアゾロピリミジン類は、欧州特許出願公開第71792号及び欧州特許出願公開第550113号により一般に公知である。国際公開第02/088127号には、2-チオトリアゾロピリミジン類が開示されている。ここで挙げた刊行物に記述されている化合物は、有害な菌類を防除するするのに適していることが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多くの場合、それらの活性は充分ではない。
【0006】
本発明の目的は、改善された活性及び/又はより広い活性スペクトルを有する化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的が、冒頭において定義した化合物によって達成されることを見いだした。さらに、本発明者らは、それらの化合物を調製する方法及びそれらの化合物を調製するための中間体、それらを含有する組成物、並びに、化合物(I)を用いて有害な菌類を防除する方法を見いだした。
【0008】
式(I)で表される化合物は、トリアゾロピリミジン骨格の2位にあるメルカプト基により、上記刊行物に記載されている化合物とは異なっている。
【0009】
式(I)の化合物は、有害な菌類に対して、公知化合物よりも高い活性を有する。
【0010】
本発明の化合物は、種々の経路により得ることができる。本発明化合物は、有利には、文献(J. Fluorine Chem. (1996), 159 及び J. Het. Chem. (1988), 1007)により公知となっている条件下で、式(II)で表されるスルホキシドを無水トリフルオロ酢酸(TFA)と反応させることにより得られる。
【化2】

【0011】
式(II)において、可変部分は式(I)に関して定義されているとおりであり、基Rの形態はあまり重要ではないが、実際上の理由から、Rは、好ましくは、C1-C4-アルキル基(特に、メチル)又はベンジル基(ここで、該ベンジル基は、置換されていないか又は1以上の基Rbで置換されている)である。
【0012】
式(III)で表されるスルホンを用いると、式(I)の化合物を別の経路で得ることができる。文献(J. Het. Chem. (1990), 839 及び Chem. Pharm. Bull. (1976), 136)により公知となっている条件下において、該スルホン基をS2-求核分子又はSH-求核分子で置換することにより、式(I)の化合物が得られる。式(III)における可変部分の定義は、式(II)における可変部分の定義に対応する。
【化3】

【0013】
通常、チオレート(My+)ySH又はスルフィド(My+)2/ySを使用し、ここで、Mは、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属から選択される原子価yのカチオンであるか、又は、アンモニウム基NR4+(ここで、Rは、H又はC1-C4-アルキルである)である。この調製方法では、特に有利には、NaSH×H2O、Na2S又は(NH4)2S、特に、NaSH×H2Oを使用する。
【0014】
式(I)の化合物は、式(IV)で表されるチオ化合物から得ることも可能である。
【化4】

【0015】
式(IV)において、可変部分の定義は式(I)に関する定義に対応するが、基R3は除去可能な保護基である。実際的な理由により、C1-C6-アルキル基又はベンジル基(ここで、該ベンジル基は、置換されていないか又は1以上の基Rbで置換されている)が好ましい[cf. Greene, Protective Groups in Organic Chemistry, J. Wiley & Sons, pp. 195-217 (1981); J. Org. Chem., 43 (1978), 1197; Tetrahedron(2001), 1897]。特に好ましい式(IV)の化合物では、R3は、ベンジル[IV.1]、p-アセトキシベンジル[IV.2]又はp-メトキシベンジル[IV.3]である。
【0016】
式(IV)で表されるチオ化合物(特に、式(IV.1)の化合物)の式(I)の化合物への変換は、例えば、アルカリ金属、特に、ナトリウムで還元することにより行うが、これは、一般に、塩基の存在下で実施する。適する塩基は、特に、液体アンモニアであり、これは、溶媒としても作用する。適する別の溶媒は、エーテル類、例えば、テトラヒドロフラン、又は、アルコール類、例えば、エタノール若しくはブタノール、又は、それらの混合物である[cf.:J. Chem. Soc., Perkin Trans. I (1977), 1421; J. Org. Chem. (1991), 6672; 独国特許出願公開第3545124号]。
【0017】
式(IV)で表されるチオ化合物(特に、式(IV.1)の化合物)から式(I)の化合物を得るための代替的な経路では、文献(J. Chem. Soc., Perkin Trans. I (1980), 1029 及び 特開平5-830316号)により公知となっている条件下、不活性溶媒中で、(IV)をルイス酸(例えば、AlCl3)と反応させる。
【0018】
(IV)(特に、(IV.1))における保護基は、例えばアニソールのなどの溶媒中で、HFを用いても除去することができる[cf.: Bull. Chem. Soc. Jpn. (1967), 2164]。
【0019】
(IV)(特に、(IV.2))における保護基は、有利には、塩基性条件下で、特に、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物(例えば、NaOH)を用いて除去する[cf.: J. Org. Chem. (1978), 1197]。
【0020】
(IV)(特に、(IV.3))における保護基は、有利には、2-クロロスルフェニル-3-ニトロピリジン/Bu3P系を用いて除去する[cf.: Tetrahedron (2001), 1897]。
【0021】
化合物(I)を調製するのに必要な、式中のXがハロゲンである式(II)、式(III)及び式(IV)で表される出発物質は、文献[cf. 国際公開第02/088127号]により公知であるか、又は、引用されている文献に従って調製することができる。
【0022】
式(I)[式中、Xはハロゲン、特に、塩素である]で表される化合物(式(I.A)の化合物)は、本発明の好ましい対象である。
【0023】
式(I)[式中、Xは、シアノ、C1-C4-アルコキシ又はC1-C2-ハロアルコキシである]で表される化合物(式(I.B)の化合物)は、有利な方法で、式(IV)[式中、Xはハロゲンである]で表される出発物質(式(IV.A)で表される出発物質)から、下記に示されている経路により、化合物(IV.B)を介して調製することができる。
【0024】
式(I)[式中、Xは、シアノ、C1-C6-アルコキシ又はC1-C2-ハロアルコキシである]で表される化合物(式(I.B)の化合物)は、有利な方法で、式(IV)[式中、Xは、ハロゲン[Hal]、好ましくは、塩素である]で表される化合物(この化合物は、式(IV.A)の化合物に相当する)から、調製することができる。
【化5】

【0025】
化合物(IV.A)を化合物:M-X'(式(V))と反応させることで、化合物(IV.B)が得られる。導入する基X'の意味に応じて、化合物(V)は、無機シアン化物又はアルコキシドである。該反応は、有利には、不活性溶媒の存在下で行う。式(V)において、カチオンMはあまり重要ではないが、実際上の理由により、通常、アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩又はアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩が好ましい。
【0026】
反応温度は、通常、0〜120℃、好ましくは、10〜40℃である[cf. J. Heterocycl. Chem. 12 (1975), 861-863]。
【0027】
適する溶媒としては、エーテル類、例えば、ジオキサン、ジエチルエーテル、及び、好ましくは、テトラヒドロフラン、ハロゲン化炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、並びに、芳香族炭化水素類、例えば、トルエンなどを挙げることができる。
【0028】
化合物(IV.B)の化合物(I.B)への変換は、化合物(IV)(特に、化合物(IV.1)〜化合物(IV.3))に関して上記で記載した反応条件下で行う。
【0029】
式(I)[式中、Xは、C1-C4-アルキル又はC1-C4-ハロアルキルである]で表される化合物(式(I.C)の化合物)は、有利な方法で、式(IV.A)で表される出発物質から、下記に示されている経路により、化合物(IV.C)を介して調製することができる。
【0030】
式(I.C)[式中、XはC1-C4-アルキルである]で表される化合物は、式(IV.A)の5-ハロトリアゾロピリミジンを式(VI)の有機金属試薬とカップリングさせることにより得ることができる。この調製方法の一実施形態では、該反応は、遷移金属触媒(例えば、Ni触媒又はPd触媒)の存在下で行う。
【化6】

【0031】
式(VI)において、X''はC1-C4-アルキルであり、Mは原子価yの金属イオン、例えば、B、Zn又はSnなどである。この反応は、例えば、下記文献の方法と同様に行うことができる:J. Chem. Soc., Perkin Trans. I (1984), 1187; 同書 (1996), 2345; 国際公開第99/41255号; Aust. J. Chem. 43 (1990), 733; J. Org. Chem. 43 (1978), 358; J. Chem. Soc., Chem. Commun. (1979), 866; Tetrahedron Lett. 34 (1993), 8267; 同書 33 (1992), 413。
【0032】
式(I)[式中、Xは、C1-C4-アルキル又はC1-C4-ハロアルキルである]で表される化合物(式(I.C)の化合物)は、有利には、下記合成経路によって得ることもできる。
【0033】
5-アルキル-7-ヒドロキシ-6-フェニルトリアゾロピリミジン(IX)は、アミノトリアゾール誘導体(VII)とケトエステル(VIII)から得られる。式(VIII)において、Rは、C1-C4-アルキル基、特に、メチル又はエチルである。容易に得ることが可能な式(VIIIa)[式中、X''はCH3である]の2-フェニルアセト酢酸エステル類を用いて、5-メチル-7-ヒドロキシ-6-フェニルトリアゾロピリミジンが得られる[cf. Chem. Pharm. Bull. 9 (1961), 801]。ある種のトリアゾール類(VII)は、市販されているか、又は、一般に知られている条件下で調製することができる。出発物質(VIII)は、有利には、欧州特許出願公開第1002788号により公知となっている条件下で調製する。
【化7】

【0034】
この方法で得られた5-アルキル-7-ヒドロキシ-6-フェニルトリアゾロピリミジン(IX)をハロゲン化剤[HAL]と反応させることにより、式(X)の7-ハロトリアゾロピリミジンが得られる。
【化8】

【0035】
好ましくは、塩素化剤又は臭素化剤、例えば、オキシ臭化リン、オキシ塩化リン、塩化チオニル、臭化チオニル又は塩化スルフリルなどを使用する。該反応は、溶媒の非存在下又は存在下で行うことができる。慣習的な反応温度は、0〜150℃、又は、好ましくは、80〜125℃である。
【化9】

【0036】
(X)とアミン(XI)の反応は、有利には、0℃〜70℃、好ましくは、10℃〜35℃で、好ましくは、不活性溶媒、例えば、エーテル、例えば、ジオキサン、ジエチルエーテル若しくは、特に、テトラヒドロフラン、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、又は、芳香族炭化水素、例えば、トルエンなどの存在下で行う[cf. 国際公開第98/46608号]。
【0037】
好ましくは、塩基、例えば、第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、又は、有機アミン、例えば、炭酸カリウムなどを使用する。式(XI)で表される過剰量のアミンを塩基として作用させることも可能である。
【0038】
あるいは、式(IV.C)の化合物は、化合物(IV.A)と式(XII)のマロン酸エステルから調製することも可能である。式(XII)において、X'''は、水素、C1-C3-アルキル又はC1-C3-ハロアルキルであり、Rは、C1-C4-アルキルである。これらの化合物を式(XIII)の化合物に変換し、脱カルボキシル化することにより、式(IV.C)の化合物が得られる[cf. 米国特許第5994360号]。
【化10】

【0039】
マロン酸エステル(XII)は、文献[J. Am. Chem. Soc. 64 (1942), 2714; J. Org. Chem. 39 (1974), 2172; Helv. Chim. Acta 61 (1978), 1565]により公知であるか、又は、引用されている文献に従って調製することができる。
【0040】
次いで、概して慣習的な条件下で、エステル(XIII)を加水分解する。異なった構造的要素に応じて、化合物(XIII)のアルカリ加水分解が有利であり得るか、又は、酸加水分解が有利であり得る。該エステル加水分解の条件下で、部分的な脱カルボキシル化が起こってしまう場合があり、又は、完全な脱カルボキシル化が起こって(IV.C)が生じてしまう場合がある。
【化11】

【0041】
脱カルボキシル化は、通常、不活性溶媒中、適切な場合には酸の存在下で、20℃〜180℃、好ましくは、50℃〜120℃の温度で行う。
【0042】
適する酸は、塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸及びp-トルエンスルホン酸である。適する溶媒は、水、脂肪族炭化水素類、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及び石油エーテル、芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、o-キシレン、m-キシレン及びp-キシレン、ハロゲン化炭化水素類、例えば、塩化メチレン、クロロホルム及びクロロベンゼン、エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、アニソール及びテトラヒドロフラン、ニトリル類、例えば、アセトニトリル及びプロピオニトリル、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びt-ブチルメチルケトン、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソブタノール及びt-ブタノールなどであり、さらにまた、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドも適している。特に好ましくは、該反応は、塩酸又は酢酸中で行う。上記溶媒の混合物を用いることも可能である。
【0043】
式(II)のスルホキシド又は式(III)のスルホン[式中、Xは、シアノ、C1-C4-アルコキシ若しくはC1-C2-ハロアルコキシである(式(II.B)若しくは式(III.B))か、又は、Xは、C1-C4-アルキル若しくはC1-C4-ハロアルキルである(式(II.C)若しくは式(III.c))]を得るための化合物(IV.B)又は化合物(IV.C)の酸化は、通常、-40℃〜60℃、好ましくは、-40℃〜40℃の温度で、不活性有機溶媒中で行う[cf. Synth. Commun. 16 (1986), 233ff.; 国際公開第02/088127号]。
【0044】
適する酸化剤は、例えば、無機過酸化物、例えば、過酸化水素、又は、ペルオキソカルボン酸、例えば、過酢酸若しくは過安息香酸(特に、メタ-クロロ過安息香酸)などである。
【0045】
該反応混合物の後処理は、慣習的な方法で、例えば、水と混合し、相を分離し、適切な場合には、粗生成物をクロマトグラフィー精製に付すことにより、行う。中間体や最終生成物の中には、無色又は僅かに茶色がかった粘性の油状物の形態で得られるものがあるが、そのような油状物は、減圧下、適度に昇温させた温度で、揮発成分から分離することができるか又は精製することができる。中間体及び最終生成物が固体として得られる場合、再結晶又は温浸により精製することも可能である。
【0046】
個々の化合物(I)が上記経路で得ることができない場合、それらは、別の化合物(I)を誘導体化することにより得ることができる。
【0047】
上記合成により異性体混合物が得られたとしても、場合により、使用のための後処理を行っている間又は施用している間に(例えば、光、酸又は塩基の作用下)、個々の異性体が互いに変換され得るので、そのような異性体を分離することは一般に必ずしも必要ではない。そのような変換は、使用後においても、例えば、植物の処理において、処理された植物体内において、又は、防除対象の有害な菌内において起こり得る。
【0048】
上記式において記載されている記号の定義には集合語を用いた。この集合語は、一般に下記置換基を表す。
【0049】
ハロゲン: フッ素、塩素、臭素及びヨウ素;
アルキル: 1個〜4個、6個、8個又は10個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素基、例えば、C1-C6-アルキル 例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル及び1-エチル-2-メチルプロピルなど;
ハロアルキル: 1個、2個、4個又は6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基(上記)において、該基の水素原子の一部又は全てが上記ハロゲン原子で置き換えられ得るもの、特に、C1-C2-ハロアルキル、例えば、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル又は1,1,1-トリフルオロプロプ-2-イルなど;
アルケニル: 2個〜4個、6個、8個又は10個の炭素原子を有し、且つ、いずれかの位置に二重結合を有する、直鎖又は分枝鎖の不飽和炭化水素基、例えば、C2-C6-アルケニル、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチルエテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-1-ブテニル、2-メチル-1-ブテニル、3-メチル-1-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、3-メチル-3-ブテニル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、1,2-ジメチル-1-プロペニル、1,2-ジメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-プロペニル、1-エチル-2-プロペニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-メチル-1-ペンテニル、2-メチル-1-ペンテニル、3-メチル-1-ペンテニル、4-メチル-1-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-メチル-2-ペンテニル、4-メチル-2-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、3-メチル-3-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、3-メチル-4-ペンテニル、4-メチル-4-ペンテニル、1,1-ジメチル-2-ブテニル、1,1-ジメチル-3-ブテニル、1,2-ジメチル-1-ブテニル、1,2-ジメチル-2-ブテニル、1,2-ジメチル-3-ブテニル、1,3-ジメチル-1-ブテニル、1,3-ジメチル-2-ブテニル、1,3-ジメチル-3-ブテニル、2,2-ジメチル-3-ブテニル、2,3-ジメチル-1-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-3-ブテニル、3,3-ジメチル-1-ブテニル、3,3-ジメチル-2-ブテニル、1-エチル-1-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、2-エチル-1-ブテニル、2-エチル-2-ブテニル、2-エチル-3-ブテニル、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-メチル-2-プロペニル、1-エチル-2-メチル-1-プロペニル及び1-エチル-2-メチル-2-プロペニルなど;
ハロアルケニル: 2個〜10個の炭素原子を有し、且つ、いずれかの位置に1つ又は2つの二重結合を有する、直鎖又は分枝鎖の不飽和炭化水素基(上記)において、該基の水素原子の一部又は全てが上記ハロゲン原子(特に、フッ素、塩素及び臭素)で置き換えられ得るもの;
アルキニル: 2個〜4個、6個、8個又は10個の炭素原子を有し、且つ、いずれかの位置に1つ又は2つの三重結合を有する、直鎖又は分枝鎖の炭化水素基、例えば、C2-C6-アルキニル、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-メチル-2-ブチニル、1-メチル-3-ブチニル、2-メチル-3-ブチニル、3-メチル-1-ブチニル、1,1-ジメチル-2-プロピニル、1-エチル-2-プロピニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、1-メチル-2-ペンチニル、1-メチル-3-ペンチニル、1-メチル-4-ペンチニル、2-メチル-3-ペンチニル、2-メチル-4-ペンチニル、3-メチル-1-ペンチニル、3-メチル-4-ペンチニル、4-メチル-1-ペンチニル、4-メチル-2-ペンチニル、1,1-ジメチル-2-ブチニル、1,1-ジメチル-3-ブチニル、1,2-ジメチル-3-ブチニル、2,2-ジメチル-3-ブチニル、3,3-ジメチル-1-ブチニル、1-エチル-2-ブチニル、1-エチル-3-ブチニル、2-エチル-3-ブチニル及び1-エチル-1-メチル-2-プロピニルなど;
シクロアルキル: 3個〜6個又は8個の炭素環員を有する、単環式又は二環式の飽和炭化水素基、例えば、C3-C8-シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルなど;
O、N及びSからなる群から選択される1個〜4個のヘテロ原子を含んでいる5員〜10員の、飽和、部分的不飽和又は芳香族のヘテロ環:
・ 5員又は6員のヘテロシクリル(これは、1個〜3個の窒素原子、並びに/又は、1個の酸素原子若しくは硫黄原子、又は、1個若しくは2個の酸素原子及び/若しくは硫黄原子を含んでいる)、例えば、2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-テトラヒドロチエニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、3-イソオキサゾリジニル、4-イソオキサゾリジニル、5-イソオキサゾリジニル、3-イソチアゾリジニル、4-イソチアゾリジニル、5-イソチアゾリジニル、3-ピラゾリジニル、4-ピラゾリジニル、5-ピラゾリジニル、2-オキサゾリジニル、4-オキサゾリジニル、5-オキサゾリジニル、2-チアゾリジニル、4-チアゾリジニル、5-チアゾリジニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジニル、2-ピロリン-2-イル、2-ピロリン-3-イル、3-ピロリン-2-イル、3-ピロリン-3-イル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、1,3-ジオキサン-5-イル、2-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-ヘキサヒドロピリダジニル、4-ヘキサヒドロピリダジニル、2-ヘキサヒドロピリミジニル、4-ヘキサヒドロピリミジニル、5-ヘキサヒドロピリミジニル及び2-ピペラジニルなど;
・ 5員ヘテロアリール(これは、1個〜4個の窒素原子、又は、1個〜3個の窒素原子と1個の硫黄原子若しくは酸素原子を含んでいる):5員ヘテロアリール基(これは、環員として、炭素原子の他に、1個〜4個の窒素原子、又は、1個〜3個の窒素原子と1個の硫黄原子若しくは酸素原子を含み得る)、例えば、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル及び1,3,4-トリアゾール-2-イルなど;
・ 6員ヘテロアリール(これは、1個〜3個、又は、1個〜4個の窒素原子を含んでいる):6員ヘテロアリール基(これは、環員として、炭素原子の他に、1個〜3個、又は、1個〜4個の窒素原子を含み得る)、例えば、2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル及び2-ピラジニルなど;
アルキレン: 3〜5個のCH2基からなる二価非分枝鎖、例えば、CH2、CH2CH2、CH2CH2CH2、CH2CH2CH2CH2及びCH2CH2CH2CH2CH2など;
オキシアルキレン: 2〜4個のCH2基からなる二価非分枝鎖において、一方の結合価が酸素原子を介して骨格に結合しているもの、例えば、OCH2CH2、OCH2CH2CH2及びOCH2CH2CH2CH2など;
オキシアルキレンオキシ: 1〜3個のCH2基からなる二価非分枝鎖において、両方の結合価が酸素原子を介して骨格に結合しているもの、例えば、OCH2O、OCH2CH2O及びOCH2CH2CH2Oなど。
【0050】
式(I)の化合物は、それらの農業上有用な塩の形態でも存在し得るが、塩のタイプは、一般に重要ではない。一般に、そのカチオン及びアニオンが、それぞれ、化合物(I)の殺菌作用に悪影響を及ぼさない、カチオンの塩又は酸の酸付加塩が適している。
【0051】
適するカチオンは、特に、アルカリ金属のイオン、好ましくは、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオン、アルカリ土類金属のイオン、好ましくは、カルシウムイオン及びマグネシウムイオン、並びに、遷移金属のイオン、好ましくは、マンガンイオン、銅イオン、亜鉛イオン及び鉄イオンである。さらに、アンモニウム(ここで、望ましい場合には、該アンモニウムの1〜4個の水素原子は、C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、フェニル又はベンジルで置き換えられていてもよい)も適しており、好ましいアンモニウムは、アンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、2-(2-ヒドロキシエト-1-オキシ)エト-1-イルアンモニウム、ジ-(2-ヒドロキシエト-1-イル)アンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウムである。さらにまた、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン(好ましくは、トリ(C1-C4-アルキル)スルホニウム)、及び、スルホキソニウムイオン(好ましくは、トリ(C1-C4-アルキル)スルホキソニウム)も適している。
【0052】
有用な酸付加塩のアニオンは、主として、クロリド、ブロミド、フルオリド、硫酸水素イオン、硫酸イオン、リン酸二水素イオン、リン酸水素イオン、硝酸イオン、重炭酸イオン、炭酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン及び安息香酸イオンである。さらに、C1-C4-アルカン酸のアニオンも有用な酸付加塩のアニオンであり、好ましいC1-C4-アルカン酸のアニオンは、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン及び酪酸イオンである。
【0053】
本発明は、その範囲に、キラル中心を有する式(I)の化合物の(R)-異性体及び(S)-異性体並びにラセミ化合物を包含する。
【0054】
可変部分に関して、中間体の特に好ましい実施形態は、式(I)の基Lm、基R1、基R2及び基Xの実施形態に対応する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
式(I)のトリアゾロピリミジン類の意図される用途に関して、該置換基の下記意味は、いずれの場合も単独で又は組合せにおいて、特に好ましい。
【0056】
好ましい化合物(I)において、R1は、C1-C4-アルキル、C2-C6-アルケニル又はC1-C8-ハロアルキルである。
【0057】
同様に、好ましい化合物(I)において、R1は、5員又は6員の飽和ヘテロ環又は芳香族ヘテロ環であり、ここで、該ヘテロ環は、N、O及びSからなる群から選択される1個又は2個のヘテロ原子を含んでおり、また、該ヘテロ環は、1又は2のアルキル基又はハロアルキル基で置換されていてもよい。
【0058】
特に好ましい化合物(I)において、R1は、基B:
【化12】

【0059】
[式中、
Y1は、水素、フッ素又はC1-C6-フルオロアルキルであり、
Y2は、水素又はフッ素であるか、又は、
Y1とY2は一緒に二重結合を形成しており;
nは、0又は1であり;
及び
R4は、水素又はメチルである]
である。
【0060】
さらにまた、好ましい化合物(I)において、R1はC3-C6-シクロアルキルであり、ここで、該C3-C6-シクロアルキルは、C1-C4-アルキルで置換されていてもよい。
【0061】
特に好ましい化合物(I)において、R2は水素である。
【0062】
同様に、好ましい化合物(I)において、R2は、メチル又はエチルである。
【0063】
R1及び/又はR2が、キラル中心を有するハロアルキル基又はハロアルケニル基を含んでいる場合、それらの基に関して、(S)-異性体が好ましい。キラル中心を有するハロゲンを含まないアルキル基又はアルケニル基がR1又はR2に存在している場合、(R)-配置の異性体が好ましい。
【0064】
さらにまた、好ましい化合物(I)において、R1とR2はそれらが結合している窒素原子と一緒に、飽和又は不飽和の5員若又は6員の環(ここで、該環は、O、N及びSからなる群から選択される原子により中断されていてもよく、及び/又は、該環は、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル及びオキシ-C1-C3-アルキレンオキシからなる群から選択される1以上の置換基を有していてもよく、又は、該環内の隣接している2つの環員はC1-C4-アルキレン鎖により連結されていてもよい)を形成している。
【0065】
特に好ましい化合物(I)において、R1とR2はそれらが結合している窒素原子と一緒に、ピペリジニル環、モルホリニル環又はチオモルホリニル環、特に、ピペリジニル環を形成しており、ここで、該環は、置換されていないか、又は、1〜3個のハロゲン、C1-C4-アルキル基若しくはC1-C4-ハロアルキル基、特に、4-メチルで置換されている。
【0066】
さらにまた、特に好ましい化合物(I)において、R1とR2はそれらが結合している窒素原子と一緒に、ピロリジン環を形成しており、ここで、該環は、置換されていないか、又は、1若しくは2個のハロゲン、C1-C4-アルキル基若しくはC1-C4-ハロアルキル基、特に、2-メチルで置換されている。
【0067】
好ましい化合物(I)において、少なくとも1の基Lは、トリアゾロピリミジン骨格への結合点に対してオルト位に位置しており、特に、好ましい化合物(I)において、nは、1、2又は3である。
【0068】
好ましい化合物(I)において、Lnは、ハロゲン、メチル、エチル、C1-ハロアルキル、メトキシ又は-C(=O)-A(ここで、Aは、水素、ヒドロキシル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C2-アルキルアミノ又はジ-C1-C2-アルキルアミノである)である。
【0069】
さらにまた、特に好ましい化合物(I)において、Lmで置換されているフェニル基は、基A:
【化13】

【0070】
[式中、
#は、トリアゾロピリミジン骨格への結合点であり;
L1は、フッ素、塩素、CH3又はCF3であり;
L2及びL4は、互いに独立して、水素又はフッ素であり;
L3は、水素、フッ素、塩素、シアノ、CH3又はCOOCH3であり;
L5は、水素、フッ素又はCH3である]
である。
【0071】
特に好ましい化合物(I)において、Xは、ハロゲン又はC1-C4-アルキル、例えば、塩素又はメチル、特に、塩素である。
【0072】
特にそれらの用途に関して、下記表に列挙されている化合物(I)が好ましい。さらにまた、置換基に関して下記表に挙げられている基は、それらが挙げられている組合せとは関係なく、それら自体、該置換基の特に好ましい実施形態である。
【0073】
表1
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-フルオロ-6-クロロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0074】
表2
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジフルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0075】
表3
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジクロロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0076】
表4
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-フルオロ-6-メチルであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0077】
表5
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,4,6-トリフルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0078】
表6
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジフルオロ-4-メトキシであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0079】
表7
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmはペンタフルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0080】
表8
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-メチル-4-フルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0081】
表9
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-トリフルオロメチルであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0082】
表10
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-メトキシ-6-フルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0083】
表11
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-クロロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0084】
表12
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-フルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0085】
表13
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,4-ジフルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0086】
表14
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-フルオロ-4-クロロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0087】
表15
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-クロロ-4-フルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0088】
表16
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,3-ジフルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0089】
表17
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,5-ジフルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0090】
表18
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,3,4-トリフルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0091】
表19
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-メチルであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0092】
表20
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,4-ジメチルであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0093】
表21
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-メチル-4-クロロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0094】
表22
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-フルオロ-4-メチルであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0095】
表23
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジメチルであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0096】
表24
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,4,6-トリメチルであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0097】
表25
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジフルオロ-4-シアノであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0098】
表26
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジフルオロ-4-メチルであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0099】
表27
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2,6-ジフルオロ-4-メトキシカルボニルであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0100】
表28
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-トリフルオロメチル-4-フルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0101】
表29
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-トリフルオロメチル-5-フルオロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【0102】
表30
式(I)[式中、Xは塩素であり、Lmは2-トリフルオロメチル-5-クロロであり、R1とR2の組合せは、各化合物について、表Aの1つの列に対応する]で表される化合物。
【表A】




化合物(I)は殺菌剤として適している。化合物(I)は、広範囲の植物病原性菌類、特に、アスコマイセテス(子嚢菌類、Ascomycetes)、デウテロマイセテス(不完全菌類、Deuteromycetes)、フィコマイセテス(藻菌類、Phycomycetes)及びバシディオマイセテス(担子菌類、Basidiomycetes)の類に属する植物病原性菌類に対して顕著な効果を有することを特徴とする。それらの中には浸透移行的な効果を有するものがある。また、それらは、茎葉殺菌剤及び土壌殺菌剤として植物保護に使用することができる。
【0103】
それらは、コムギ、ライムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、トウモロコシ、牧草、バナナ、ワタ、ダイズ、コーヒー、サトウキビ、ブドウ、各種果樹、各種観賞用植物及び各種野菜(例えば、キュウリ、インゲンマメ、トマト、ジャガイモ及びウリ科植物など)などの種々の栽培植物並びにそれら栽培植物の種子における多くの菌類を防除する上で特に重要である。
【0104】
それらは、特に、以下に示す植物病害を防除するのに適している:
・ 果樹及び野菜における、アルテルナリア属(Alternaria species);
・ イチゴ、野菜、観賞用植物及びブドウにおける、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)(灰色カビ病);
・ ラッカセイにおける、セルコスポラ・アラキディコラ(Cercospora arachidicola);
・ ウリ科植物における、エリシフェ・シコラセアルム(Erysiphe cichoracearum)及びスファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea);
・ 禾穀類における、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)(ウドンコ病);
・ 種々植物における、フザリウム属(Fusarium species)及びベルチシリウム属(Verticillium species);
・ 禾穀類における、ヘルミントスポリウム属(Helminthosporium species);
・ バナナ及びラッカセイにおける、マイコスファエレラ属(Mycosphaerella species);
・ ジャガイモ及びトマトにおける、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans);
・ ブドウにおける、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola);
・ リンゴにおける、ポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha);
・ コムギ及びオオムギにおける、シュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides);
・ ホップ及びキュウリにおける、シュードペロノスポラ属(Pseudoperonospora species);
・ 禾穀類における、プッシニア属(Puccinia species);
・ イネにおける、ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae);
・ ワタ、イネ及び芝生における、リゾクトニア属(Rhizoctonia species);
・ コムギにおける、スタゴノスポラ・ノドルム(Stagonospora nodorum);
・ ブドウにおける、ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator);
・ 禾穀類及びサトウキビにおける、ウスチラゴ属(Ustilago species);
及び、
・ リンゴ及び西洋ナシにおける、ベンツリア属(Venturia species)(そうか病)。
【0105】
さらに、化合物(I)は、材料物質(例えば、木材、紙、塗料分散液、繊維又は薄織物など)の保護及び貯蔵生産物の保護における、パエシロマイセス・バリオチイ(Paecilomyces variotii)などの有害な菌類を防除するのにも適している。
【0106】
化合物(I)は、殺菌剤として有効量の該活性化合物で、上記菌類を処理するか、又は、菌類の攻撃から保護すべき植物体、種子、材料物質若しくは土壌を処理することにより使用する。材料物質、植物体又は種子に菌類が感染する前及び感染した後のいずれにおいても施用することができる。
【0107】
該殺菌剤組成物は、一般に、0.1〜95重量%、好ましくは、0.5〜90重量%の活性化合物を含有する。
【0108】
植物の保護に使用する場合、施用量は、所望する効果の質に応じて、1ヘクタール当たり活性化合物0.01〜2.0kgである。
【0109】
種子の処理においては、一般に、種子1kg当たり、0.001〜10gの活性化合物、好ましくは、0.01〜2gの活性化合物が必要である。
【0110】
材料物質又は貯蔵生産物の保護に使用する場合、活性化合物の施用量は、施用領域の種類と所望する効果の質に依存する。材料物質の保護における通常の施用量は、例えば、処理する材料物質1立方メートル当たり活性化合物0.001g〜2kg、好ましくは、0.005g〜1kgである。
【0111】
化合物(I)は、慣習的な製剤、例えば、溶液剤、エマルション剤、懸濁製剤、粉剤(dust)、粉状剤(powder)、ペースト剤及び粒剤などに変換することができる。施用形態は、特定の用途に依存するが、いずれの場合も、本発明化合物が確実に微細且つ均一に分配されるようなものであるべきである。
【0112】
該製剤は、公知方法で、例えば、望ましい場合には乳化剤及び分散剤を用いて、活性化合物を溶媒及び/又は担体で希釈することにより調製する。適する溶媒/補助剤は、本質的に以下のものである:
・ 水、芳香族溶媒(例えば、Solvesso製品、キシレン)、パラフィン(例えば、無機画分)、アルコール類(例えば、メタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン類(例えば、 シクロヘキサノン、ガンマ-ブチロラクトン)、ピロリドン類(NMP, NOP)、酢酸エステル類(グリコールジアセテート)、グリコール類、脂肪酸ジメチルアミド類、脂肪酸類及び脂肪酸エステル類。概ね、溶媒混合物も使用することができる。
【0113】
・ 担体、例えば、粉砕した天然鉱物(例えば、カオリン、粘土、タルク、チョーク)、及び、粉砕した合成鉱物(例えば、高分散シリカ(highly disperse silica)、シリケート); 乳化剤、例えば、非イオン性乳化剤及びアニオン性乳化剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類、アルキルスルホネート類及びアリールスルホネート類)、並びに、分散剤、例えば、リグノスルファイト廃液及びメチルセルロースなどである。
【0114】
適する界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルスルホネート、脂肪アルコールスルフェート、脂肪酸及び硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩、さらに、スルホン化ナフタレンとナフタレン誘導体のホルムアルデヒドとの縮合生成物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル類、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール類、アルコール及び脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル類、リグノスルファイト廃液、並びに、メチルセルロースである。
【0115】
直接散布可能な溶液、エマルション、ペースト又は油性分散液を調製するのに適している物質は、中〜高沸点の鉱油画分、例えば、灯油若しくはジーゼル油、さらに、コールタール油、及び、植物油若しくは動物油、脂肪族炭化水素類、環状炭化水素類及び芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン若しくはそれらの誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、強極性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン及び水などである。
【0116】
粉状剤、分散用物質(materials for spreading)及び散粉用製剤(dustable product)は、活性物質を固体担体と混合するか又は同時に粉砕することにより調製することができる。
【0117】
粒剤、例えば、被覆粒剤(coated granule)、含浸粒剤(impregnated granule)及び均質粒剤(homogeneous granule)などは、活性化合物を固体担体に結合させることにより調製することができる。固体担体の例は、鉱物質土壌(mineral earth)、例えば、シリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、アタクレー(attaclay)、石灰石、石灰、チョーク、膠灰粘土、黄土、粘土、ドロマイト、ケイ藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕された合成材料、肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム又は尿素、及び、植物に由来する生成物、例えば、穀類粉、樹皮粉、木粉及び堅果殻粉、セルロース粉末、並びに、別の固体担体などである。
【0118】
一般に、上記製剤は、0.01〜95重量%、好ましくは、0.1〜90重量%の活性化合物を含有する。該活性化合物は、90%〜100%の純度、好ましくは、95%〜100%の純度(NMRスペクトルによる)のものを使用する。
【0119】
以下に示してあるのは製剤の例である。
【0120】
1.水で希釈するための製剤
A 水溶剤(SL)
10重量部の本発明化合物を、水又は水溶性溶媒に溶解させる。別法として、湿潤剤又は別の補助剤を添加する。水で希釈した際、活性化合物は溶解する。
【0121】
B 分散性濃厚物(dispersible concentrate)(DC)
20重量部の本発明化合物を、分散剤(例えば、ポリビニルピロリドン)を加えてあるシクロヘキサノンに溶解させる。水で希釈することにより、分散液が得られる。
【0122】
C 乳剤(EC)
15重量部の本発明化合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとヒマシ油エトキシレート(いずれも、5%)を加えてあるキシレンに溶解させる。水で希釈することにより、エマルションが得られる。
【0123】
D エマルション剤(EW, EO)
40重量部の本発明化合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとヒマシ油エトキシレート(いずれも、5%)を加えてあるキシレンに溶解させる。この混合物を、乳化剤(Ultraturax)を用いて水に導入し、均質なエマルションとする。水で希釈することにより、エマルションが得られる。
【0124】
E 懸濁製剤(SC, OD)
撹拌下にあるボールミル内で、20重量部の本発明化合物に分散剤、湿潤剤及び水又は有機溶媒を添加し、粉砕することにより、活性化合物の微細懸濁液が得られる。水で希釈することにより、活性化合物の安定した懸濁液が得られる。
【0125】
F 顆粒水和剤及び水溶性粒剤(WG, SG)
50重量部の本発明化合物に分散剤及び湿潤剤を添加し、微粉砕し、専用の装置(例えば、押出機、噴霧塔、流動床など)を用いて顆粒水和剤又は水溶性粒剤とする。水で希釈することにより、活性化合物の安定な分散液又は溶液が得られる。
【0126】
G 水和剤及び水溶剤(WP, SP)
ローター-ステータミル内で、75重量部の本発明化合物に分散剤、湿潤剤及びシリカゲルを添加し、粉砕する。水で希釈することにより、活性化合物の安定な分散液又は溶液が得られる。
【0127】
2.希釈せずに施用する製品
H 散粉性粉状剤(dustable powder)(DP)
5重量部の本発明化合物を微粉砕し、95%の微粉砕カオリンと充分に混合する。これにより粉剤(dust)が得られる。
【0128】
I 粒剤(GR, FG, GG, MG)
0.5重量部の本発明化合物を微粉砕し、95.5%の担体と組み合わせる。現行方法は、押出、噴霧乾燥又は流動床である。これにより、希釈せずに施用する粒剤が得られる。
【0129】
J ULV溶液(UL)
10重量部の本発明化合物を、有機溶媒(例えば、キシレン)に溶解させる。これにより、希釈せずに施用する製品が得られる。
【0130】
該活性化合物は、散布、噴霧、散粉、広幅散布(broadcasting)又は流し込み(pouring)により、それ自体で、それらの製剤形態で、又は、該製剤形態から調製した使用形態で、例えば、直接散布可能な溶液、粉末、懸濁液若しくは分散液、エマルション、油性分散液、ペースト、粉剤、広幅散布用組成物又は粒剤の形態で使用することができる。使用形態は、もっぱらその意図された用途に依存するが、いずれの場合も、本発明の活性化合物が確実に微細に分配され得るようなものであるべきである。
【0131】
水性の使用形態は、水を加えることにより、乳剤、ペースト剤又は水和剤(散布可能粉末(sprayable powders)、油性分散液)から調製することができる。エマルション、ペースト又は油性懸濁液を調製するために、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤又は乳化剤を用いて、該物質をそのまま水中で均質化することができるか、又は、該物質を油若しくは溶媒に溶解させた状態で、水中で均質化することができる。あるいは、活性物質、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤又は乳化剤と、適切な場合には、さらに、溶媒又は油とから構成される、水で希釈するのに適した濃厚物を調製することも可能である。
【0132】
直ぐに使用するための調製物における該活性化合物の濃度は、比較的広い範囲で変えることができる。一般に、それらは、0.0001〜10%、好ましくは、0.01〜1%である。
【0133】
本発明の活性化合物は、微量散布法(ultra-low-volume process)(ULV)に用いて良好な結果を得ることも可能である。微量散布法では、95重量%を超える量の活性化合物を含有する製剤を施用することが可能であり、又は、該活性化合物を添加剤無しで施用することも可能である。
【0134】
本発明の活性化合物には、様々なタイプの油、湿潤剤、アジュバント、除草剤、殺菌剤、別の農薬又は殺細菌剤を添加することが可能であり、適切な場合には、使用直前に添加することもできる(タンクミックス)。これらの物質は、本発明の作用物質と、1:10〜10:1の重量比で混合することができる。
【0135】
本発明の調製物は、殺菌剤としての施用形態において、別の活性化合物、例えば、除草剤、殺虫剤、成長調節剤若しくは殺菌剤と共存させることも可能であり、又は、肥料と共存させることも可能である。化合物(I)又は殺菌剤としての施用形態にある化合物(I)含有調製物を別の殺菌剤と混合することにより、多くの場合、殺菌活性スペクトルが拡大される。
【0136】
本発明化合物と一緒に使用することができる殺菌剤の下記リストは、可能な組合せを例示することを目的とするものであって、それらを限定するものではない。
【0137】
・ アシルアラニン系、例えば、ベナラキシル、メタラキシル、オフラセ、又は、オキサジキシル;
・ アミン誘導体、例えば、アルジモルフ、ドジン、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、グアザチン、イミノクタジン、スピロキサミン、又は、トリデモルフ;
・ アニリノピリミジン系、例えば、ピリメタニル、メパニピリム、又は、シロジニル:
・ 抗生物質、例えば、シクロヘキシミド、グリセオフルビン、カスガマイシン、ナタマイシン、ポリオキシン、又は、ストレプトマイシン;
・ アゾール系、例えば、ビテルタノール、ブロムコナゾール(bromoconazole)、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニトロコナゾール(dinitroconazole)、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、ヘキサコナゾール、イマザリル、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロクロラズ、プロチオコナゾール(prothioconazole)、テブコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、又は、トリチコナゾール;
・ ジカルボキシイミド系、例えば、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、又は、ビンクロゾリン;
・ ジチオカーバメート系、例えば、フェルバム、ナバム、マネブ、マンゼブ、メタム、メチラム、プロピネブ、ポリカーバメート、チラム、ジラム、又は、ジネブ;
・ ヘテロ環化合物、例えば、アニラジン、ベノミル、ボスカリド、カルベンダジン、カルボキシン、オキシカルボキシン、シアゾファミド、ダゾメット、ジチアノン、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモール、フベリダゾール、フルトラニル、フラメトピル、イソプロチオラン、メプロニル、ヌアリモール、プロベナゾール、プロキナジド(proquinazid)、ピリフェノックス、ピロキロン、キノキシフェン、シルチオファム、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート-メチル、チアジニル、トリシクラゾール、又は、トリホリン;
・ 銅殺菌剤、例えば、ボルドー液、酢酸銅、オキシ塩化銅、又は、塩基性硫酸銅;
・ ニトロフェニル誘導体、例えば、ビナパクリル、ジノカップ、ジノブトン、又は、ニトロフタル-イソプロピル;
・ フェニルピロール系、例えば、フェンピクロニル、又は、フルジオキソニル;
・ 硫黄;
・ 別の殺菌剤、例えば、アシベンゾラル-S-メチル、ベンチアバリカルブ、カルプロパミド、クロロタロニル、シフルフェナミド、シモキサニル、ダゾメット、ジクロメジン、ジクロシメット、ジエトフェンカルブ、エジフェンホス、エタボキサム、フェンヘキサミド、酢酸トリフェニルスズ、フェノキサニル、フェリムゾン、フルアジナム、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、イプロバリカルブ、ヘキサクロロベンゼン、メトラフェノン、ペンシクロン、プロパモカルブ、フタリド、トロクロホス-メチル(toloclofos-methyl)、キントゼン、又は、ゾキサミド;
・ ストロビルリン系、例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、又は、トリフロキシストロビン;
・ スルフェン酸誘導体、例えば、キャプタホール、キャプタン、ジクロフルアニド、ホルペット、又は、トリルフルアニド;
・ シンナミド系(cinnamides)及び類似化合物、例えば、ジメトモルフ、フルメトベル(flumetover)、又は、フルモルフ(flumorph)。
【実施例】
【0138】
合成例
以下の合成例に記載されている手順を用いて、出発化合物を適切に変更することにより、さらに別の化合物(I)を調製することができる。そのようにして得られた化合物は、その物理データと一緒に下記表に挙げてある。
【0139】
実施例1: 3-ベンジルチオ-5-アミノ-1,2,4-トリアゾールの調製
0.17molの5-アミノ-3-メルカプト-1,2,4-トリアゾールと0.17molの臭化ベンジルと0.17molのNaOHを100mLのエタノールに溶解させた溶液を、20〜25℃で約4時間撹拌した。溶媒を留去し、残渣を水で洗浄し、乾燥させて、31gの標題化合物(m.p. 107℃)を得た。
【0140】
実施例2: 5,7-ジヒドロキシ-2-ベンジルチオ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製
3-ベンジルチオ-5-アミノ-1,2,4-トリアゾール(0.1mol)と(2,4,6-トリフルオロフェニル)マロン酸ジエチル(0.1mol)とトリブチルアミン(50mL)の混合物を180℃で6時間加熱した。この反応混合物を冷却し、NaOH水溶液(200mLのH2O中の21g)を添加した。得られた混合物を約30分間撹拌した。相を分離し、次いで、水相をジエチルエーテルで洗浄し、濃HCl溶液で酸性化した。沈澱物を濾過し、乾燥させた後、30gの出発化合物(m.p. 273℃)を得た。
【0141】
実施例3: 5,7-ジクロロ-2-ベンジルチオ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製
50mLのオキシ塩化リン中の0.05molの5,7-ジヒドロキシ-2-ベンジルチオ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン(実施例2)を8時間加熱還流した。この間に、オキシ塩化リンの一部が留去された。残渣を、ジクロロメタンと水の混合物中に注ぎ入れ、沸騰させた。次いで、有機相を分離した。脱水し、溶媒を留去することにより、18gの標題化合物(m.p. 106℃)を得た。
【0142】
実施例4: 5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-2-ベンジルチオ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製
撹拌しながら、4-メチルピペリジン(10mmol)とトリエチルアミン(10mmol)とジクロロメタン(10mL)の混合物を、10mmolの5,7-ジクロロ-2-チオメチル-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン(実施例3)を20mLのジクロロメタンに溶解させた溶液に添加した。20〜25℃で16時間撹拌した後、反応溶液を5%HCl溶液で洗浄した。有機相を分離し、脱水し、溶媒を除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した後、4.0gの標題化合物(m.p. 147℃)を得た。
【0143】
実施例5: 5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-2-メルカプト-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製(方法1)
実施例4で得た0.5mmolのトリアゾロピリミジンと1.5mmolのAlCl3を15mLのベンゼン中で混合した混合物を、20〜25℃で約4時間撹拌した。15mLのメチルt-ブチルエーテル(MTBE)及び15mLの水を添加することにより生成物を沈澱させ、次いで、濾過した。残渣をアセトニトリル中で温浸した後、濾過し、乾燥させた。これにより、1.0gの標題化合物(m.p. 194℃)を得た。
【0144】
実施例6: 5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-2-メチルスルホニル-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製
5mmolの5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-2-チオメチル-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン[cf. 国際公開第02/088127号]と15mmolのm-クロロ過安息香酸(MCPA)を20mLのCHCl3中で混合した混合物を20〜25℃で12時間撹拌した。溶媒を留去した後、残渣を酢酸エチルに入れ、飽和NaHCO3溶液で洗浄し、脱水した。溶媒を除去して、2.0gの標題化合物(m.p. 206℃)を得た。
【0145】
実施例7: 5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-2-メルカプト-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製(方法2)
実施例6で得た5mmolのスルホンを10mLのジオキサンに溶解させた溶液を、10mLの20重量%(NH4)2S水溶液に添加した。20〜25℃で16時間撹拌した後、沈澱物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、1.3gの標題化合物(m.p. 194℃)を得た。
【0146】
実施例8: 5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-2-メルカプト-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製(方法3)
実施例6で得た5mmolのスルホンと6mmolのチオール酸ナトリウム水和物を15mLの水に懸濁させた懸濁液を、1時間加熱還流した。この混合物を、冷却した後、酸性化した。次いで、沈澱物を濾過し、乾燥させて、1.2gの標題化合物(m.p. 194℃)を得た。
【0147】
実施例9: 5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-2-メルカプト-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンの調製(方法4)
4.7mmolの5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-2-チオメチル-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン[cf. 国際公開第02/088127号]と4.7mmolのMCPAを20mLのクロロホルムに溶解させた溶液を0℃で約1時間撹拌した。溶媒を留去した後、残渣を酢酸エチルに入れ、飽和NaHCO3溶液で洗浄し、脱水した。溶媒を除去して、1.7gの対応するスルホキシドを得た。このスルホキシドを10mLの無水トリフルオロ酢酸に溶解させた。得られた溶液を40℃で1時間撹拌し、次いで、溶媒を除去し、残渣を、50容量%のメタノールと50容量%のトリエチルアミンの混合物(20mL)に懸濁させた。溶媒を留去した後、残渣を塩化メチレンに入れ、飽和NH4Cl溶液で洗浄し、脱水した。溶媒を除去して、1.7gの標題化合物(m.p. 194℃)を得た。
【0148】
有害な菌類に対する作用についての実施例
式(I)で表される化合物の殺菌作用について、下記実験により実証した。
【0149】
活性化合物は、70重量%のシクロヘキサノンと20重量%のNekanil(登録商標)LN(Lutensol(登録商標)AP6; エトキシル化アルキルフェノール類をベースとする、乳化作用及び分散作用を有する湿潤剤)と10重量%のWettol(登録商標)EM(エトキシル化ヒマシ油をベースとする非イオン性乳化剤)の混合物中の10%エマルションとして調製し、水で希釈して所望の濃度とした。
【0150】
使用実施例: ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に起因するピーマンの葉の灰色かび病に対する活性(保護的施用)
品種「Neusiedler Ideal Elite」のピーマンの実生の4〜5枚の葉が完全に展開した後、該ピーマンの実生に、下記濃度の活性化合物を含んでいる水性懸濁液を、液が流れ落ちるようになるまで散布した。翌日、処理した前記植物に、2%バイオモルト水溶液中に1mL当たり1.7×106個の胞子を含むボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)の胞子懸濁液を用いて接種した。次いで、被験植物を22〜24℃で高大気湿度の環境制御チャンバー内に置いた。5日後、菌による葉上の感染の程度(%)を肉眼により決定することができた。
【0151】
感染した葉の面積(%)を測定することにより評価を行った。得られたパーセントを効力に変換した。
【0152】
効力(E)は、Abbotの式を用いて、以下のように計算した:
E=(1−α/β)×100
αは、処理された植物における菌の感染(%)に相当し;
βは、未処理(対照)植物における菌の感染(%)に相当する。
【0153】
効力「0」では、処理された植物における感染の程度が未処理対照植物における感染の程度に相当し、効力「100」では、処理された植物は、感染しなかった。
【0154】
この試験において、未処理植物は45%感染した。実施例9で得た化合物を250ppmの濃度で含む調製物は、56%の効力を示した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、置換基は下記のように定義される:
Lは、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-C6-アルキル、C2-C10-アルケニル、C2-C10-アルキニル、C1-C6-ハロアルキル、C2-C10-ハロアルケニル、C1-C6-アルコキシ、C2-C10-アルケニルオキシ、C2-C10-アルキニルオキシ、C1-C6-ハロアルコキシ又は-C(=O)-Aであり;
Aは、水素、ヒドロキシル、C1-C8-アルキル、C2-C8-アルケニル、C1-C8-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C8-アルキルアミノ又はジ-(C1-C8-アルキル)アミノであり;
mは、0、1、2、3、4又は5であり;
Xは、ハロゲン、シアノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシ又はC1-C2-ハロアルコキシであり;
R1及びR2は、互いに独立して、水素、C1-C8-アルキル、C1-C8-ハロアルキル、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-ハロシクロアルキル、C2-C8-アルケニル、C4-C10-アルカジエニル、C2-C8-ハロアルケニル、C3-C6-シクロアルケニル、C2-C8-アルキニル、C2-C8-ハロアルキニル、C3-C6-シクロアルキニル、フェニル若しくはナフチルであるか、又は、O、N及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでいる5〜10員の飽和、部分的不飽和若しくは芳香族のヘテロ環であるか、あるいは、
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5員若しくは6員の環(ここで、該環は、O、N及びSからなる群から選択される1個の原子により中断されていてもよく、及び/又は、該環は、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル及びオキシ-C1-C3-アルキレンオキシからなる群から選択される1以上の置換基を有していてもよく、又は、該環内の窒素原子とそれに隣接している炭素原子はC1-C4-アルキレン鎖により連結されていてもよい)を形成してもよく、
ここで、R1及び/又はR2は、1〜4個の同一であるか又は異なっている基Raで置換されていてもよく;
Raは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルカルボニル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-アルキニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、フェニル若しくはナフチルであるか、又は、O、N及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでいる5〜10員の飽和、部分的不飽和若しくは芳香族のヘテロ環であり、その際、これらの脂肪族基、脂環式基又は芳香族基は、それらに関する限り、部分的若しくは完全にハロゲン化されていてもよいか、又は、1〜3個の基Rb(ここで、Rbは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、メルカプト、アミノ、カルボキシル、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノチオカルボニル若しくはジアルキルアミノチオカルボニル(ここで、これらの基内のアルキル基は、1〜6個の炭素原子を含んでおり、これらの基内のアルケニル基又はアルキニル基は、2〜8個の炭素原子を含んでいる)である)、及び/又は、1〜3個の以下の基:シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクリル若しくはヘテロシクリルオキシ(ここで、前記環系は、3〜10の環員を含んでいる)、又は、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリール-C1-C6-アルコキシ、アリール-C1-C6-アルキル、ヘタリール、ヘタリールオキシ若しくはヘタリールチオ(ここで、アルキル基は好ましくは6〜10の環員を含んでおり、ヘタリール基は5又は6の環員を含んでおり、また、これらの環系は、部分的若しくは完全にハロゲン化されていてもよいか又はアルキル基若しくはハロアルキル基で置換されていてもよい)を有していてもよい]
で表される2-メルカプト置換トリアゾロピリミジン又はその塩。
【請求項2】
Xがハロゲンである、請求項1に記載の式(I)で表される化合物。
【請求項3】
R1及びR2が下記のとおり定義される、請求項1又は2に記載の式(I)で表される化合物:
R1は、C1-C6-アルキル、C1-C8-ハロアルキル、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-ハロシクロアルキル、C2-C8-アルケニル、C2-C8-ハロアルケニル又はC2-C8-アルキニルであり;
かつ、
R2は、水素又はC1-C4-アルキルであるか;
又は、
R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5員若しくは6員の飽和若しくは不飽和の環(ここで、該環は、ハロゲン、C1-C6-アルキル及びC1-C6-ハロアルキルからなる群から選択される1個又は2個の置換基を有していてもよい)を形成していてもよい。
【請求項4】
Lmで置換されているフェニル基が、基A:
【化2】

[式中、
#は、トリアゾロピリミジン骨格への結合点であり;
L1は、フッ素、塩素、CH3又はCF3であり;
L2及びL4は、互いに独立して、水素又はフッ素であり;
L3は、水素、フッ素、塩素、シアノ、CH3又はCOOCH3であり;
L5は、水素、フッ素又はCH3である]
である、請求項1〜3の何れかに記載の式(I)で表される化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法であって、式(II):
【化3】

[式中、可変部分は式(I)に関して定義されているとおりであり、RはC1-C4-アルキル基又はベンジル基(ここで、該ベンジル基は、置換されていないか又は1以上の基R6で置換されている]で表されるスルホキシドを無水トリフルオロ酢酸と反応させることによる、前記方法。
【請求項6】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法であって、式(III):
【化4】

[式中、可変部分は式(I)において定義されているとおりである]で表されるスルホンを、チオール酸アルカリ金属と反応させるか、又は、スルフィドM2S[ここで、Mは、アルカリ金属の群から選択されるカチオン又はアンモニウム基である]と反応させることによる、前記方法。
【請求項7】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法であって、式(IV):
【化5】

[式中、R3はベンジル基であり、ここで、該ベンジル基は、置換されていないか又は1以上の基Rbで置換されている]で表されるトリアゾロピリミジンを、ルイス酸と反応させるか、又は、不活性溶媒若しくは希釈剤中、塩基性条件下で反応させることによる、前記方法。
【請求項8】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法であって、液体アンモニア中で、請求項7に記載の式(IV)で表されるトリアゾロピリミジンをナトリウムと反応させることによる、前記方法。
【請求項9】
固体又は液体の担体及び請求項1に記載の式(I)の化合物を含んでなる、有害な菌類を防除するのに適した組成物。
【請求項10】
有害な植物病原性菌類を防除する方法であって、有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物で、該菌類を処理するか、又は、菌類の攻撃から保護すべき材料物質、植物、土壌若しくは種子を処理することを含んでなる前記方法。


【公表番号】特表2006−514676(P2006−514676A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570276(P2004−570276)
【出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012773
【国際公開番号】WO2004/046149
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】