説明

2−(多置換アリール)−6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボン酸および除草剤としてのそれらの使用

多置換アリール置換基を2位に有する6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボン酸、ならびにそれらのアミン誘導体および酸誘導体は、広範な雑草防除を示す強力な除草剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年1月13日に出願された米国仮出願第60/758,671号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、一定の新規の2−(多置換アリール)−6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボン酸およびそれらの誘導体、ならびにこれらの化合物の除草剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野において、いくつかのピリミジンカルボン酸およびそれらの殺虫剤特性が記載されてきた。WO2005/063721A1には、2−置換−6−アミノ−4−ピリミジンカルボン酸類およびそれらの誘導体ならびに除草剤としてのそれらの使用が開示されている。ここで、WO2005/063721A1に開示された類の特定のサブクラスは、除草力および選択性が著しく改善されていることが見いだされた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここで、一定の2−(多置換アリール)−6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボン酸およびそれらの誘導体は、木本植物、草およびカヤツリグサ科草木ならびに広葉に対する広範な雑草防除力を有し、優れた作物選択性を有する優れた除草剤であることが見いだされた。該化合物は、優れた毒性プロファイルまたは環境的プロファイルをさらに有する。
【0005】
本発明は、式Iの化合物、およびそのカルボン酸基の農薬として許容し得る誘導体を含む。
【化8】


(式中、
Qは、ハロゲンを表し;
およびRは、独立に、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、C〜Cアシル、C〜Cカルボアルコキシ、C〜Cアルキルカルバミル、C〜Cアルキルスルホニル、C〜CトリアルキルシリルまたはC〜Cジアルキルホスホニルを表し、あるいはRおよびRは、Nと一緒になって、5員または6員飽和環を表し;
Arは、
a)
【化9】


(式中、
は、FまたはClを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表し;
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはXおよびYが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
およびRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す)、
b)
【化10】


(式中、
は、FまたはClを表し、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表し;
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはXおよびYが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
およびRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す)、および
c)
【化11】


(式中、
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはYおよびZが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表し;
およびRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す)からなる群から選択される多置換アリール基を表す)。
【0006】
QがClおよびBrを表し、XまたはXがアルコキシまたは−NRを表し、Y、YまたはYがClを表し、Arが2,3,4−三置換フェニルまたは2−フルオロ−(4,5,6)−四置換フェニルを表す式Iの化合物が、独立に好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、式Iの化合物およびそのカルボン酸基の農薬として許容し得る誘導体の除草剤として有効な量を農薬として許容し得る補助剤または担体と混合して含む除草剤組成物を含む。本発明は、また、化合物の除草剤としての量を植物または植物の植生地ならびに植物が発生する前の土壌に散布することによって、望ましくない植物を撲滅または防除するための本発明の化合物および組成物の使用方法を含む。
【0008】
本発明の除草剤化合物は、以下の式の6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボン酸の誘導体である。
【0009】
【化12】


(式中、
Qは、ハロゲンを表し:
Arは、
a)
【化13】


(式中、
は、FまたはClを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表し;
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはXおよびYが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
およびRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す)、
b)
【化14】


(式中、
は、FまたはClを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表し;
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはXおよびYが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
およびRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す)、および
c)
【化15】


(式中、
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはYおよびZが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表し;
およびRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す)からなる群から選択される多置換アリール基を表す)。
【0010】
これらの化合物は、ピリミジン環の5位にハロゲンを有し、2位に三または四置換アリール基を有することを特徴とする。好ましい置換アリール基としては、2,3,4−三置換フェニルおよび2−フルオロ−(4,5,6)−四置換フェニル基が挙げられる。
【0011】
ピリミジン環の6位のアミノ基は、非置換、または1つまたは複数のC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシまたはアミノ置換基で置換され得る。アミノ基をアミド、カルバマート、尿素、スルホンアミド、シリルアミンまたはホスホラミデートとして誘導することができる。当該誘導体は、アミンに分解することが可能である。非置換のアミノ基、または1つもしくは2つのアルキル置換基で置換されたアミノ基が好ましい。
【0012】
式Iのカルボン酸は、望ましくない植物を実際に撲滅または防除する化合物であると考えられ、典型的に好ましい。ピリミジンカルボン酸の酸基が、植物または環境内で酸基に変換され得る関連置換基を形成するように誘導されるこれらの化合物の類似体も実質的に同じ除草剤効果を有し、本発明の範囲内にある。したがって、「農薬として許容し得る誘導体」は、4位のカルボン酸官能基を説明するのに用いられる場合は、(a)活性成分、すなわち2−アリール−6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボン酸の除草剤活性に実質的に影響せず、(b)pHに応じて会合または非会合形態で存在する式Iの4−ピリミジンカルボン酸に植物または土壌内で加水分解、酸化または代謝される、またはされ得る任意の塩、エステル、アシルヒドラジド、イミデート、チオイミデート、アミジン、アミド、オルトエステル、アシルシアニド、ハロゲン化アシル、チオエステル、チオノエステル、ジチオールエステル、ニトリルまたは当該技術分野で良く知られている任意の他の酸誘導体と定義される。カルボン酸の農薬として許容し得る好ましい誘導体は、農薬として許容し得る塩、エステルおよびアミドである。同様に、「農薬として許容し得る誘導体」は、6位のアミン官能基を説明するのに用いられる場合は、(a)活性成分、すなわち2−アリール−6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボン酸の除草剤活性に実質的に影響せず、(b)植物または土壌内で式Iの遊離アミンに加水分解される、またはされ得る、任意の塩、シリルアミン、ホスホリルアミン、ホスフィンイミン、ホスホラミデート、スルホンアミド、スルフィルイミン、スルホキシミン、アミナル、ヘミアミナル、アミド、チオアミド、カルバマート、チオカルバマート、アミジン、尿素、イミン、ニトロ、ニトロソ、アジドまたは任意の他の窒素含有誘導体と定義される。式Iの親ピリミジンに分解することも可能であるN−オキシドも本発明の範囲に包括される。
【0013】
好適な塩としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属から誘導される塩ならびにアンモニアおよびアミンから誘導される塩が挙げられる。好ましいカチオンとしては、以下の式のナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアミニウムカチオンが挙げられる。
NH
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、あるいはR、RおよびRが立体的に適合することを前提に、それぞれ1つまたは複数のヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオまたはフェニル基で場合によって置換されているC〜C12アルキル、C〜C12アルケニルまたはC〜C12アルキニルを表す)。また、R、RおよびRのいずれか2つは、一緒になって、1個から12個の炭素原子および2個までの酸素または硫黄原子を含む脂肪族二官能成分を表していてもよい。式Iの化合物を水酸化ナトリウムのような水酸化金属、またはアンモニア、トリメチルアミン、ジエタノールアミン、2−メチルチオプロピルアミン、ビスアリルアミン、2−ブトキシエチルアミン、モルホリン、シクロドデシルアミンもしくはベンジルアミンのようなアミンで処理することによって式Iの化合物の塩を調製することができる。アミン塩は、水溶性であり、望ましい水性除草剤組成物の調製に役立つため、式Iの化合物の好ましい形態であることが多い。
【0014】
好適なエステルとしては、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、ブトキシエタノール、メトキシプロパノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコールまたはシクロヘキサノールのようなC〜C12アルキル、C〜C12アルケニルまたはC〜C12アルキニルアルコールから誘導されるエステルが挙げられる。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはカルボニルジイミダゾール(CDI)等のペプチドカップリングに使用される活性化剤の如きいくつかの好適な活性化剤を使用して、4−ピリミジンカルボン酸をアルコールとカップリングさせることによって、式Iの4−ピリミジンカルボン酸の対応する酸塩化物を適切なアルコールと反応させることによって、式Iの対応する4−ピリミジンカルボン酸を適切なアルコールと、酸触媒の存在下で反応させることによって、またはエステル交換によって、エステルを調製することができる。好適なアミドとしては、アンモニア、あるいはジメチルアミン、ジエタノールアミン、2−メチルチオプロピルアミン、ビスアリルアミン、2−ブトキシエチルアミン、シクロドデシルアミン、ベンジルアミン、またはアジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピロール、イミダゾール、テトラゾールもしくはモルホリンのような(ただし、それに限定されない)さらなるヘテロ原子を有する、または有さない環式もしくは芳香族アミンのような(ただし、それに限定されない)C〜C12アルキル、C〜C12アルケニルまたはC〜C12アルキニル一または二置換アミンから誘導されたアミドが挙げられる。式Iの対応する4−ピリミジンカルボン酸塩化物、混合無水物またはカルボン酸エステルをアンモニアまたは適切なアミンと反応させることによってアミドを調製することができる。
【0015】
「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」という用語、ならびに「アルコキシ」、「アシル」、「アルキルチオ」および「アルキルスルホニル」のような派生用語は、本明細書に用いられているように、それらの範囲内で、直鎖、分枝鎖および環式成分を含む。「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、1つまたは複数の不飽和結合を含むことを意図する。
【0016】
「アリール」という用語、ならびに「アリールオキシ」のような派生用語は、フェニルを指す。
【0017】
特に指定がない限り、「ハロ」のような派生用語を含む「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0018】
「ハロアルキル」および「ハロアルコキシ」という用語は、1個から最大可能数のハロゲン原子で置換されたアルキルおよびアルコキシ基を指す。
【0019】
良く知られた化学的手順を用いて式Iの化合物を製造することができる。必要な出発材料は、商業的に入手可能であるか、または標準的な手順を利用して容易に合成される。以下の合成スキームにおいて、式Iのメチルエステルは、目標化合物として示され、式IAで表される(スキーム1参照)。実施例37に示される方法によって、式Iの化合物を式IAの化合物から調製することができる。
【0020】
スキーム1に示されるように、式IAの2−アリール−6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボン酸エステルをクロロホルムのような溶媒中N−ブロモスクシンイミドのようなハロゲン化試薬との反応、またはアセトニトリルのような溶媒中1−(クロロメチル)−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2,2,2]−オクタンビス(テトラフルオロボレート)(F−TEDA;SELECTFLUOR(商標)フッ化剤)との反応によって式IIの化合物から製造することができる。スキーム1の方法を実施例33および34で説明する。
【化16】

【0021】
スキーム2に示されるように、易脱離基Lを有する適切に置換された式IIIのピリミジンと、不活性溶媒中IV型の有機金属化合物とを遷移金属触媒の存在下で反応させることによって、式IA(Q=ハロゲン)の2−アリール−6−アミノ−4−ピリミジンカルボン酸エステルならびに式II(Q=H)の化合物を調製することができる。
【化17】

【0022】
この場合、Qは、水素またはハロゲンであってもよく;Lは、塩素、臭素、ヨウ素またはトリフルオロメタンスルホネートであってもよく;Mは、トリ−(C〜Cアルキル)錫またはB(OR)(OR)であってもよく;RおよびRは、互いに独立に、水素、C〜Cアルキルであり、あるいは一緒になる場合は、エチレン基またはプロピレン基を形成し;「触媒」は、遷移金属触媒、特に二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)のようなパラジウム触媒であってもよい。スキーム2の方法を実施例31および32で説明する。
【0023】
あるいは、スキーム3に示されるように、不活性溶媒中IV型の有機金属化合物と遷移金属触媒の存在下で反応させ、次に中間体チオエーテルVIをスルホキシドまたはスルホンに酸化し、次に様々なアミン(VII)と反応させることによって、2位に易脱離基を有する適切に置換されたV型化合物から式IAの2−アリール−6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボン酸エステルを調製することができる。この場合、Qは、ハロゲンであり;R10は、アルキル基またはアリール基であってもよく、Lは、塩素、臭素、ヨウ素またはトリフルオロメタンスルホネートであってもよく、Mは、トリ−(C〜Cアルキル)錫またはB(OR)(OR)であってもよく;RおよびRは、互いに独立に、水素、C〜Cアルキルであり、あるいは一緒になる場合は、エチレン基またはプロピレン基を形成し;「触媒」は、遷移金属触媒、特に二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)のようなパラジウム触媒であってもよい。スキーム3の方法を実施例27および28で説明する。
【化18】

【0024】
あるいは、スキーム4に示されるように、不活性溶媒中IX型のアリール化合物と遷移金属触媒の存在下で反応させ、次に中間体チオエーテルVIをスルホキシドまたはスルホンに酸化し、次に様々なアミン(VII)と反応させることによって、2位が金属で置換された適切に置換されたVIII型化合物から式IAの2−アリール−6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボン酸エステルを調製することができる。この場合、Qは、ハロゲンであり;R10は、アルキル基またはアリール基であってもよく、Lは、塩素、臭素、ヨウ素またはトリフルオロメタンスルホネートであってもよく、Mは、トリ−(C〜Cアルキル)錫であってもよく;RおよびRは、互いに独立に、水素、C〜Cアルキルであり、あるいは一緒になる場合は、エチレン基またはプロピレン基を形成し;「触媒」は、遷移金属触媒、特に二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)のようなパラジウム触媒であってもよい。スキーム4の方法を実施例29および30で説明する。
【化19】

【0025】
III+IV、V+IVおよびVIII+IXのカップリングに続いて、いずれかの環に対する反応を適宜、行って、式IAの化合物のさらなる誘導体を得ることができる。
【0026】
スキーム5に示されるように、ピリミジンXI(Qがハロゲンであり、Lがクロロまたはブロモである)をVII型のアミンと反応させることによって、Qがハロゲンであり、Lがクロロまたはブロモである式IIIの適切に置換されたピリミジンを得ることができる。また、スキーム5に示されるように、ピリミジンXI(Qがハロゲンであり、Lがクロロまたはブロモである)を、ベンゼンと水の混合物からなる溶媒系中でXII型のチオレート塩と反応させることによって、Qがハロゲンであり、R10がアルキル基またはアリール基であり、Lがクロロまたはブロモである式Vの適切に置換されたピリミジンを容易に得ることができる。
【化20】

【0027】
また、図5に示されるように、式XI(Qが水素であり、Lがクロロまたはブロモである)のピリミジンを、ベンゼンと水の混合物からなる溶媒系中でXII型のチオレート塩と反応させ、次に中間体チオエーテルXIIIを酸化し、VII型のアミンと反応させることによって、Qが水素であり、Lがクロロまたはブロモである式IIIの適切に置換されたピリミジンを調製することができる。
【0028】
最後にスキーム5に示されるように、V(Qがハロゲンであり、Lがクロロまたはブロモである)を二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)のような遷移金属触媒の存在下で不活性触媒中ヘキサメチル二錫と反応させることによって、Qがハロゲンであり、R10がアルキル基またはアリール基であり、Mがトリメチル錫である式VIIIの適切に置換されたピリミジンを製造することができる。スキーム5の方法を実施例21〜26で説明する。
【0029】
スキーム6に示されるように、Qが水素またはハロゲンであり、Lがクロロまたはブロモである式XIの適切に置換されたピリミジンを、オキシ塩化リンまたはオキシ臭化リンのような試薬との反応によって、式XIVの化合物(Qは水素またはクロロである;調製についてはH.Gershon、J.Org.Chem.1962、27、3507〜3510頁参照)から調製することができる。反応をニートで、またはスルホランのような溶媒の存在下で実施することができる。スキーム6の方法を実施例20で説明する。
【化21】

【0030】
式Iの化合物を調製するための他の方法については、WO2005/063721A1を参照されたい。
【0031】
式Iの化合物を調製するためのいくつかの上記試薬および反応条件は、中間体に存在する一定の官能基に適合しなくてもよいことが認識される。これらの場合、保護/脱保護手順または官能基相互変換を合成に導入すると、所望の生成物を得るのに役立つ。保護基の使用および選択は、合成化学の専門家にとって明らかになるであろう。
【0032】
場合によっては、式Iの化合物の合成を完了させるために、所定の試薬を個々のスキームに示されるように導入した後に、詳細に記載されていないさらなる慣例の合成工程を実施することが必要な場合もあることを当業者なら認識するであろう。式Iの化合物を調製するために、提示されている特定の手順に示唆されたもの以外に上記スキームに示された工程の組合せを順に実施することが必要であり得ることも当業者なら認識するであろう。
【0033】
最後に、式Iの化合物および本明細書に記載されている中間体に対して様々な求電子反応、求核反応、ラジカル反応、有機金属反応、酸化反応および還元反応を行って、置換基を付加する、または既存の置換基を改質できることも当業者なら認識するであろう。
【0034】
式Iの化合物は、発芽前除草剤および発芽後除草剤として有用であることが見いだされた。それらを、ある地域における広範な植物を防除するために非選択的な(より高い)散布量で採用することもできるし、望ましくない植物を選択的に防除するためにより低い散布量で採用することもできる。散布地域としては、牧草地および放牧地、路傍および公用道路、電線、ならびに望ましくない植物の防除が求められるあらゆる工業地域が挙げられる。別の用途は、トウモロコシ、米および穀物のような作物における望ましくない植物の防除である。それらを柑橘類、リンゴ、ゴム、油ヤシおよび森林等の樹木作物における望ましくない植物の防除に使用することもできる。発芽後に該化合物を採用するのが通常好ましい。さらに、広範な木本植物、広葉および雑草およびカヤツリグサ科草木を防除するために該化合物を使用するのが通常好ましい。樹立した作物における望ましくない植物を防除するための該化合物の使用が特に必要とされる。式Iに包括される2−アリール−6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボン酸化合物の各々が本発明の範囲内にあるが、除草力の程度、作物選択性および得られる雑草防除の範囲は、存在する置換基に応じて異なる。本明細書に提示される情報および慣例の試験を用いることによって、任意の具体的な除草用途に応じた適切な化合物を識別することができる。
【0035】
除草剤という用語は、本明細書では、植物を撲滅する、防除する、またはその生長を不利に改変する活性成分を意味するように用いられている。除草剤として有効な量または植物防除量は、不利に改変する効果をもたらし、自然の発育からの逸脱、撲滅、規制、枯渇および抑制などを含む活性成分の量である。植物(plant)および植物(vegetation)という用語は、発芽する種子、発生する苗および樹立した植物を含む。
【0036】
任意の生長段階で、または植付けまたは発芽の前に、本発明の化合物を植物に直接散布する、または植物の植生地に散布すると、本発明の化合物による除草力が発揮される。観察される効果は、防除すべき植物種、植物の生長段階、希釈度および散布滴サイズの散布パラメータ、個体成分の粒径、使用時の環境条件、採用される具体的な化合物、採用される具体的な補助剤および担体、および土壌タイプ等、ならびに散布される化学物質の量に依存する。当該技術分野で知られているように、これらの要因および他の要因を調整して、非選択的または選択的除草作用を促進することができる。一般に、雑草の最大の防除を達成するために、比較的未成熟の望ましくない植物に対して式Iの化合物を発芽後に散布するのが好ましい。
【0037】
発芽後の操作では1から1000g/Haの散布量が一般に採用され、発芽前の散布では、10から2000g/Haの散布量が一般に採用される。より高い指定散布量は、一般には、幅広い望ましくない植物の非選択的な防除を与える。より低い散布量は、選択的な防除を与え、作物の植生地に採用され得る。
【0038】
本発明の除草剤化合物は、より広い種類の望ましくない植物を防除するために、しばしば1つまたは複数の他の除草剤と併用して散布される。他の除草剤と併用される場合は、ここに特許請求する化合物を他の1つまたは複数の除草剤と処方するか、他の1つまたは複数の除草剤と槽混合するか、あるいは他の1つまたは複数の除草剤とともに順次散布することができる。本発明の化合物と併用して採用できる除草剤のいくつかは、アリドクロール、ベフルブタミド、ベンザドクス、ベンジプラム、ブロモブチド、カフェンストロール、CDEA、クロルチアミド、シプラゾール、ジメテンアミド、ジメテンアミド−P、ジフェナミド、エプロナズ、エトニプロミド、フェントラザミド、フルポキサム、フォルネサフェン、ハロサフェン、イソカルバミド、イソキサベン、ナプロパミド、ナプタラム、ペトキサミド、プロピザミド、キノナミドおよびテブタムのようなアミド系除草剤;クロラノクリル、シサニリド、クロメプロプ、シプロミド、ジフルフェニカン、エトベンザニド、フェナスラム、フルフェナセト、フルフェニカン、メフェナセト、メフルイジド、メタミホップ、モナリド、ナプロアニリド、ペンタノクロール、ピコリナフェンおよびプロパニルのようなアニリド系除草剤;ベンゾイルプロップ、フラムプロップおよびフラムプロップ−Mのようなアリールアラニン系除草剤;アセトクロール、アラクロール、ブタクロール、ブテナクロール、デラクロール、ジエタチル、ジメタクロール、メタザクロール、メトラクロール、S−メトラクロール、プレチラクロール、プロパクロール、プロピソクロール、プリナクロール、テルブクロール、テニルクロールおよびキシラクロールのようなクロロアセトアニリド系除草剤;ベンゾフルオール、パーフルイドン、ピリミスルファンおよびプロフラゾールのようなスルホンアニリド系除草剤;アシュラム、カルバシュラム、フェナシュラムおよびオリザリンのようなスルホンアミド系除草剤;ビラナホスのような抗菌性除草剤;クロルアンベン、ジカンバ、2,3,6−TBAおよびトリカンバのような安息香酸系除草剤;ビスピリバクおよびピリミノバクのようなピリミジニルオキシ安息香酸系除草剤;ピリチオバクのようなピリミジニルチオ安息香酸系除草剤;クロルタールのようなフタル酸系除草剤;アミノピラリド、クロピラリドおよびピクロラムのようなピコリン酸系除草剤;キンクロラックおよびキンメラックのようなキノリンカルボン酸系除草剤;カコジル酸、CMA、DSMA、ヘキサフルレート、MAA、MAMA、MSMA、亜砒酸カリウムおよび亜砒酸ナトリウムのような砒素系除草剤;メソトリオン、スルコトリオン、テフリルトリオンおよびテムボトリオンのようなベンゾイルシクロヘキサンジオン系除草剤;ベンフレセートおよびエトフメセートのようなアルキルスルホン酸ベンゾフラニル系除草剤;アシュラム、カルバキサゾール、クロルプロカルブ、ジクロロメート、フェナシュラム、カルブチレートおよびテルブカルブのようなカルバマート系除草剤;バルバン、BCPC、カルバシュラム、カルベタミド、CEPC、クロルブファム、クロルプロファム、CPPC、デスメジファム、フェニソファム、フェンメジファム、フェンメジファム−エチル、プロファムおよびスウェップのようなカルバニレート系除草剤;アロキシジム、ブトロキシジム、クレトジム、クロプロキシジム、シクロキシジム、プロフォキシジム、セトキシジム、テプラロキシジムおよびトラルコキシジムのようなシクロヘキセンオキシム系除草剤;イソキサクロルトールおよびイソキサフルトールのようなシクロプロピルイソキサゾール系除草剤;ベンズフェンジゾン、シニドン−エチル、フルメジン、フルミクロラック、フルミオキサジンおよびフルミプロピンのようなジカルボキサミド系除草剤;ベンフルラリン、ブトラリン、ジニトラミン、エタルフルラリン、フルクロラリン、イソプロパリン、メタルプロパリン、ニトラリン、オリザリン、ペンジメタリン、プロジアミン、プロフラリンおよびトリフルラリンのようなジニトロアニリン系除草剤;ジノフェネート、ジノプロップ、ジノサム、ジノセブ、ジノテルブ、DNOC、エチノフェンおよびメジノテルブのようなジニトロフェノール系除草剤;エトキシフェンのようなジフェニルエーテル系除草剤;アシフルオフェン、アクロニフェン、ビフェノックス、クロロメトキシフェン、クロルニトロフェン、エトニプロミド、フルオロジフェン、フルオログリコフェン、フルオロニトロフェン、ホメサフェン、フリルオキシフェン、ハロサフェン、ラクトフェン、ニトロフェン、ニトロフルオルフェンおよびオキシフルオルフェンのようなニトロフェニルエーテル系除草剤;ダゾメットおよびメタムのようなジチオカルバマート系除草剤;アロラック、クロロポン、ダラポン、フルプロパネート、ヘキサクロロアセトン、ヨードメタン、臭化メチル、モノクロロ酢酸、SMAおよびTCAのようなハロゲン化脂肪族系除草剤;イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキンおよびイマゼタピルのようなイミダゾリノン系除草剤;スルファミン酸アンモニウム、ホウ砂、塩素酸カルシウム、硫酸銅、硫酸第一鉄、アジ化カリウム、シアン化カリウム、アジ化ナトリウム、塩素酸ナトリウムおよび硫酸のような無機系除草剤;ブロモボニル、ブロモキシニル、クロロキシニル、ジクロロベニル、ヨードボニル、イオキシニルおよびピラクロニルのようなニトリル系除草剤;アミプロホス−メチル、アニロホス、ベンスリド、ビラナホス、ブタミホス、2,4−DEP、DMPA、EBEP、ホサミン、グルホシネート、グリホサートおよびピペロホスのような有機リン系除草剤;ブロモフェノキシム、クロメプロップ、2,4−DEB、2,4−DEP、ジフェノペンテン、ジスル、エルボン、エトニプロミド、フェンテラコルおよびトリホプシムのようなフェノキシ系除草剤;4−CPA、2,4−D、3,4−DA、MCPA、MCPA−チオエチルおよび2,4,5−Tのようなフェノキシ酢酸系除草剤;4−CPB、2,4−DB、3,4−DB、MCPBおよび2,4,5−TBのようなフェノキシ酪酸系除草剤;クロプロップ、4−CPP、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ−P、3,4−DP、フェノプロップ、メコプロップおよびメコプロップ−Pのようなフェノキシプロピオン酸系除草剤;クロラジホップ、クロジナホップ、クロホップ、シハロホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ−P、フェンチアプロップ、フルアジホップ、フルアジホップ−P、ハロキシホップ、ハロキシホップ−P、イソキサピリホップ、メタミホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップ−Pおよびトリホップのようなアリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤;ジニトラミンおよびプロジアミンのようなフェニレンジアミン系除草剤;ベノフェナップ、ピラゾリネート、ピラスルフォトール、ピラゾキシフェン、ピロキサスルホンおよびトプラメゾンのようなピラゾリル系除草剤;フルアゾレートおよびピラフルフェンのようなピラゾリルフェニル系除草剤;クレダジン、ピリダフォルおよびピリデートのようなピリダジン系除草剤;ブロムピラゾン、クロリダゾン、ジミダゾン、フルフェンピル、メトフルラゾン、ノルフルラゾン、オキサピラゾンおよびピダノンのようなピリダジノン系除草剤;アミノピラリド、クリオジネート、クロピラリド、ジチオピル、フルロキシピル、ハロキシジン、ピクロラム、ピコリナフェン、ピリクロール、チアゾピルおよびトリクロピルのようなピリジン系除草剤;イプリミダムおよびチオクロリムのようなピリミジンジアミン系除草剤;サイパークアト、ジエタムクアト、ジフェンゾクアト、ジクアト、モルファムクアトおよびパラクアトのような四級アンモニウム系除草剤;ブチレート、シクロエート、ジアレート、EPTC、エスプロカルブ、エチオレート、イソポリネート、メチオベンカルブ、モリネート、オルベンカルブ、ペブレート、プロスルホカルブ、ピリブチカルブ、スルファレート、チオベンカルブ、チオカルバジル、トリアレートおよびバーナレートのようなチオカルバマート系除草剤;ジメキサノ、EXDおよびプロキサンのようなチオカルボネート系除草剤;メチウロンのようなチオ尿素系除草剤;ジプロペトリン、トリアジフラムおよびトリヒドロキシトリアジンのようなトリアジン系除草剤;アトラジン、クロラジン、シアナジン、シプラジン、エグリナジン、イパジン、メソプラジン、プロシアジン、プログリナジン、プロパジン、セブチラジン、シマジン、テルブチラジンおよびトリエタジンのようなクロロトリアジン系除草剤;アトラトン、メトメトン、プロメトン、セクブメトン、シメトンおよびテルブメトンのようなメトキシトリアジン系除草剤;アメトリン、アジプロトリン、シアナトリン、デスメトリン、ジメタメトリン、メトプロトリン、プロメトリン、シメトリンおよびテルブトリンのようなメチルチオトリアジン系除草剤;アメトリジオン、アミブジン、ヘキサジノン、イソメチオジン、メタミトロンおよびメトリブジンのようなトリアジノン系除草剤;アミトロール、カフェンストロール、エプロナズおよびフルポキサムのようなトリアゾール系除草剤;アミカルバゾン、ベンカルバゾン、カルフェントラゾン、フルカルバゾン、プロポキシカルバゾン、スルフェントラゾンおよびチエンカルバゾン−メチルのようなトリアゾロン系除草剤;クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム、ペノキシスラムおよびピロキシスラムのようなトリアゾロピリミジン系除草剤;ブタフェナシル、ブロマシル、フルプロパシル、イソシル、レナシルおよびテルバシルのようなウラシル系除草剤;3−フェニルウラシル;ベンズチアズロン、クミルロン、シクルロン、ジクロラル尿素、ジフルフェンゾピル、イソノルロン、イソウロン、メタベンズチアズロン、モニソウロンおよびノルロンのような尿素系除草剤;アニスロン、ブツロン、クロルブロムロン、クロレツロン、クロロトルロン、クロロクスロン、ダイムロン、ジフェノクスロン、ジメフロン、ジウロン、フェヌロン、フルオメツロン、フルオチウロン、イソプロツロン、リヌロン、メチウロン、メチルジムロン、メトベンズロン、メトブロムロン、メトクスロン、モノリウヌン、モヌロン、ネブロン、パラフルロン、フェノベンズロン、シズロン、テトラフロンおよびチジアズロンのようなフェニル尿素系除草剤;アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロロリムロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルセトスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、メソスルフロン、ニコスルフロン、オルトスルファムロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロンおよびトリフロキシスルフロンのようなピリミジニルスルホニル尿素系除草剤;クロルスルフロン、シノスルフロン、エタメトスルフロン、ヨードスルフロン、メトスルフロン、プロスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリベヌロン、トリフルスルフロンおよびトリトスルフロンのようなトリアジニルスルホニル尿素系除草剤;ブチウロン、エチジムロン、テブチウロン、チアザフルロンおよびチジアズロンのようなチアジアゾリル尿素系除草剤;ならびにアクロレイン、アリルアルコール、アザフェニジン、ベナゾリン、ベンタゾン、ベンゾビシクロン、ブチダゾール、カルシウムシアナミド、カムベンジクロール、クロルフェナック、クロルフェンプロップ、クロルフルラゾール、クロルフルレノール、シンメチリン、クロマゾン、CPME、クレゾール、オルト−ジクロロベンゼン、ジメピペレート、エンドタル、フルオロミジン、フルリドン、フルロクロリドン、フラータモン、フルチアセット、インダノファン、メタゾール、イソチオシアン化メチル、ニピラクロフェン、OCH、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサジクロメホン、ペンタクロロフェノール、ペントキサゾン、酢酸フェニル水銀、ピノ
キサデン、プロスルファリン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、キノクラミン、ロデタニル、スルグリカピン、チジアジミン、トリジファン、トリメツロン、トリプロピンダンおよびトリタックのような非分類除草剤を含む。さらに、グリホサート耐性作物、グルホシネート耐性作物または2,4−D耐性作物に対して本発明の除草剤化合物をグルホサート、グルホシネートまたは2,4−Dと併用することができる。本発明の化合物を、処理される作物に対して選択的であり、採用される散布量でこれらの化合物により防除される雑草の範囲を補足する除草剤と併用するのが一般的に好ましい。さらに、本発明の化合物と他の相補的な除草剤とを複合処方または槽混合物として同時に散布するのが一般的に好ましい。
【0039】
一般には、本発明の化合物を、それらの選択性を向上させるためにベノキサコール、ベンチオカルブ、ブラシノリド、クロキントセット(メキシル)、シオメトリニル、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジメピペレート、ジスルホトン、フェンクロラゾール−エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルキソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン−エチル、メフェンピル−ジエチル、MG191、MON4660、ナフタル酸無水物(NA)、オキサベトリニル、R29148およびN−フェニル−スルホニル安息香酸アミドのような既知の除草剤毒性緩和剤と組み合わせて採用することができる。遺伝子操作または突然変異および選択によってそれらの除草剤または他の除草剤に対する耐性または抵抗性を有するようになった多くの作物中の望ましくない植物を防除するためにそれらを追加的に採用することができる。例えば、トウモロコシ、小麦、米、大豆、サトウダイコン、綿、アブラナ、および敏感な植物におけるアセトラクテート合成酵素阻害剤である化合物に対する耐性または抵抗性を有するようになった他の作物を処理することができる。多くのグリホサートおよびグルホシネート耐性作物も単独、またはこれらの除草剤と組み合わせて処理することができる。いくつかの作物(例えば綿)が、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸のようなオーキシン除草剤に対する耐性を有するようになった。これらの除草剤を使用して、当該抵抗性作物または他のオーキシン耐性作物を処理することができる。
【0040】
式Iの2−アリール−6−アミノ−5−ハロ−4−ピリミジンカルボキシレート化合物を除草剤としてそのまま利用することが可能であるが、少なくとも1つの農薬として許容し得る補助剤または担体とともに、該化合物の除草剤として有効な量を含む混合物でそれらを使用するのが好ましい。好適な補助剤または担体は、特に、選択的な雑草防除のための組成物を作物の存在下で散布するのに採用される濃度において、価値ある作物に対する植物毒性を有するべきでなく、式Iの化合物または他の組成物成分と化学反応すべきでない。当該混合物を雑草またはそれらの植生地に直接散布するように設計することができ、あるいは散布前にさらなる担体および補助剤で通常希釈される濃縮物または処方物とすることができる。それらは、例えば、微粒子、顆粒、水分散性顆粒または湿潤性粉末のような固体、あるいは例えば乳化性濃縮物、溶液、エマルジョンまたは懸濁液のような液体であり得る。
【0041】
本発明の除草剤混合物を調製するのに有用である好適な農業用補助剤および担体は、当業者に良く知られている。
【0042】
採用できる液体担体としては、水、トルエン、キシレン、石油ナフサ、植物油、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アミルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセリン等が挙げられる。水は、一般的に、濃縮物の希釈に最適の担体である。
【0043】
好適な固体担体としては、タルク、パイロフィライトクレー、シリカ、アタパルガスクレー、カオリンクレー、多孔質珪藻土、白墨、珪藻土、石灰、炭酸カルシウム、ベントナイトクレー、フラー土、綿実殻、小麦粉、大豆粉、軽石、木粉、クルミ殻粉およびリグニンが挙げられる。
【0044】
1つまたは複数の界面活性剤を本発明の組成物に混入することが通常望ましい。当該界面活性剤は、固体組成物および液体組成物の双方、特に散布前に担体で希釈されるように設計された組成物に有利に採用される。界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性または非イオン性であり、乳化剤、湿潤剤、懸濁剤として、または他の目的に採用され得る。典型的な界面活性剤としては、硫酸ジエタノールアンモニウムラウリルのような硫酸アルキルの塩;ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩;ノニルフェノール−C18エトキシレートのようなアルキルフェノール−酸化アルキレン付加生成物;トリデシルアルコール−C16エトキシレートのようなアルコール−酸化アルキレン付加生成物;ステアリン酸ナトリウムのような石鹸;ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルナフタレンスルホン酸塩;ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムのようなスルホコハク酸塩のジアルキルエステル;オレイン酸ソルビトールのようなソルビトールエステル;塩化ラウリルトリメチルアンモニウムのような四級アミン;ステアリン酸ポリエチレングリコールのような脂肪酸のポリエチレングリコールエステル;酸化エチレンと酸化プロピレンのブロック共重合体;モノおよびジアルキルリン酸エステルの塩が挙げられる。
【0045】
農業用組成物に広く使用される他の補助剤としては、相溶化剤、消泡剤、金属封鎖剤、中和剤および緩衝剤、腐食防止剤、染料、臭気剤、展着剤、浸透補助剤、固着剤、分散剤、増粘剤、凝固点降下剤および抗菌剤等が挙げられる。該組成物は、他の適合する成分、例えば、他の除草剤、植物生長抑制剤、殺真菌剤および殺虫剤等を含有していてもよく、液体肥料、または硝酸アンモニウムおよび尿素等の固体微粒子肥料担体と処方され得る。
【0046】
本発明の除草剤組成物における活性成分の濃度は、一般には、0.001から98重量パーセントである。0.01から90重量パーセントの濃度がしばしば採用される。濃縮物として採用されるように設計された組成物において、活性成分は、一般には5から98重量パーセント、好ましくは10から90重量パーセントの濃度で存在する。当該組成物は、典型的には、散布前に水のような不活性担体で希釈される。雑草または雑草の植生地に通常散布される希釈組成物は、一般には0.0001から1重量パーセントの活性成分、好ましくは0.001から0.005重量パーセントの活性成分を含有する。
【0047】
これらの組成物を従来の地上または空中散布器、噴霧器および散粒器の使用によって、灌漑用水への添加によって、かつ当業者に知られている他の従来の手段によって雑草またはそれらの植生地に散布することができる。
【実施例】
【0048】
1.3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロフェノールの調製
1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロベンゼン(20.4g、0.100mol)のテトラヒドロフラン(THF;50mL)溶液を−50℃でTHF(600mL)中リチウムジイソプロピルアミド(LDA;0.125mol)に徐々に添加した。添加後に、溶液を−20℃まで加温し、次いで−50℃まで冷却した。ホウ酸トリメチル(13.5g、0.130mol)のTHF(20mL)溶液を徐々に添加し、温度を−20℃まで上昇させた。次いで、混合物を−70℃まで冷却し、過酢酸の溶液(酢酸中32パーセント、0.150mol)を徐々に添加し、混合物を室温まで加温した。水(250mL)を添加し、溶液を酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、濃縮した。黒色油をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中20パーセントの酢酸エチル)によって精製して、3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロフェノール(14.1g、0.063mol)を得た。H NMR(CDCl):δ7.05(m,2H)、 5.5(brs,1H)
【0049】
実施例1の手順に従って調製された別のフェノールは、3−ブロモ−2,6−ジクロロフェノールであった(融点:69〜70℃)。
【0050】
2.1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシベンゼンの調製
3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロフェノール(14.4g、0.064mol)、ヨウ化メチル(13.5g、0.096mol)および炭酸カリウム(8.8g、0.064mol)をアセトニトリル(100mL)に含めた不均一混合物を還流下で2時間加熱した。混合物を冷却し、水(100mL)で希釈し、ジエチルエーテル(2×150mL)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ、濃縮した。暗色の油をクロマトグラフィー(ヘキサン中5パーセントの酢酸エチル)によって精製して、1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシベンゼン(14.8g、0.062mol)を得た。H NMR(CDCl):δ7.20(m,1H)、7.10(dd,1H)、4.0(s,3H)。
【0051】
実施例2の手順に従って調製された他の化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
1−ブロモ−4−クロロ−3−エトキシ−2−フルオロベンゼン:H NMR(CDCl)δ7.20(m,1H)、7.10(dd,1H)、4.20(q,2H)、1.50(t,3H)。

1−ブロモ−2,4−ジクロロ−3−メトキシベンゼン:H NMR(CDCl)δ7.35(d,1H)、7.15(d,1H)、3.95(s,3H)。

1−クロロ−3,5−ジフルオロ−2−メトキシベンゼン:GC−MS(m/z=178)
【0052】
3.1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシベンゼンの調製
4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシアニリン(25.0g、0.143mol)の10パーセントHBr(250mL)溶液を0℃まで冷却し、硝酸ナトリウム(15.0g、0.218mol)の水(20mL)溶液を徐々に添加した。添加後、塩化メチレン(50mL)および臭化銅(30.0g、0.244mol)を徐々に添加した。次いで、反応混合物を室温まで加温し、1時間撹拌し、セライト床で濾過し、塩化メチレン(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、濃縮した。暗色の油のクロマトグラフィー(ヘキサン中5パーセントの酢酸エチル)によって、1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシベンゼン(16.6g、0.070mol)を得た。H NMR(CDCl):δ7.20(m,1H)、7.05(dd,1H)、4.00(s,3H)。
【0053】
4.1−クロロ−3,5−ジフルオロ−4−ヨード−2−メトキシベンゼンの調製
2−クロロ−4,6−ジフルオロアニソール(2.0g、11mmol)を20mL無水THFに溶解させ、−70℃〜−75℃に冷却した。ヘキサン中2.5Mのn−ブチルリチウム(6.7mL、17mmol)を一滴ずつ添加した。−75℃で75分間撹拌した後、ヨウ素(5.1g、20mmol)の10mLのTHF溶液で混合物を一滴ずつ処理した。20分間撹拌した後、反応溶液を40分間にわたって25℃まで加温させた。反応混合物をEtO(50mL)で希釈し、希NaHSO溶液とともに撹拌して、余剰のヨウ素を破壊した。分離した水相を20mLのEtOで抽出した。合わせたエーテル相を飽和NaClで洗浄し、乾燥させ、蒸発させて、1−クロロ−3,5−ジフルオロ−4−ヨード−2−メトキシベンゼン(3.1g、収率91パーセント)を得た(融点:62〜64℃);GC−MS(m/z=304)。
【0054】
5.1−ブロモ−4−クロロ−3−(2,2−ジフルオロエトキシ)−2−フルオロベンゼンの調製
3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロフェノール(15.4g、0.068mmol)のジメチルホルムアミド(DMF;25mL)溶液を、水素化ナトリウム(鉱油中60パーセント分散液)(4.0g、0.10mol)をDMF(100mL)に含めた懸濁液に徐々に添加し、反応混合物を1時間撹拌した。メタンスルホン酸2,2−ジフルオロエチルエステル(17.5g、0.109mol)のDMF(10mL)溶液を徐々に添加した。得られた溶液を70℃で18時間加熱した。冷却した溶液を水(200mL)で希釈し、エチルエーテルで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、濃縮した。残油をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中)によって精製して、1−ブロモ−4−クロロ−3−(2,2−ジフルオロエトキシ)−2−フルオロベンゼン(9.0g、0.031mol)を得た。H NMR(CDCl):δ7.26(m,1H)、7.09(m,1H)、6.12(tt,1H),4.30(td,2H)。
【0055】
6.1−ブロモ−4−クロロ−3−メチルチオ−2−フルオロベンゼンの調製
1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロベンゼン(20.4g、0.100mol)のTHF(50mL)溶液を−50℃でTHF(600mL)中LDA(0.125mol)に徐々に添加した。添加後、溶液を−20℃まで加温し、次いで−50℃まで冷却した。次いで、ジメチルジスルフィド(18.8g、0.20mol)のTHF(50mL)溶液を徐々に添加し、混合物を室温まで加温した。反応物を水(200ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×150mL)で抽出し、合わせた有機相を乾燥させ、濃縮した。赤色の残油をクロマトグラフィー(ヘキサン中5パーセント酢酸エチル)によって精製して、1−ブロモ−4−クロロ−3−メチルチオ−2−フルオロベンゼン(23.9g、0.094mol)を得た。H NMR(CDCl):δ7.40(m,1H)、7.15(dd,1H)、2.50(s,3H)。
【0056】
7.1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロ−3−メチルベンゼンの調製
ジイソプロピルアミン(15.2g、150mmol)を100mLのTHFに溶解させ、溶液を−50℃まで冷却した。2.5Mのn−ブチルリチウム(50mL、125mmol)を添加漏斗によって一滴ずつ添加し、溶液を再び−50℃まで冷却した。次いで、温度を−25℃未満に保ちながら、25mLのTHF中1−ブロモ−4−クロロ−3−フルオロベンゼン(20.95g、100mmol)をLDA溶液に−50℃で徐々に添加した後、溶液を−15℃まで加温した。次いで、反応混合物を再び−60℃まで冷却し、ヨードメタン(9.33ml、150mmol)を一滴ずつ添加した。得られた溶液を室温まで加温させ、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチルと水の間で分離させた。有機相を水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮した。ヘキサンを単独溶媒として使用したカラムクロマトグラフィーによって生成物を精製して、1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロ−3−メチルベンゼン(19.3g、収率86パーセント)を得た。H NMR(CDCl):δ7.30(m,1H)、7.05(dd,1H)、2.35(d,3H)。
【0057】
8.3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロベンズアルデヒドの調製
1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロベンゼン(20.4g、0.100mol)のTHF(50mL)溶液を−50℃でTHF(600mL)中LDA(0.125mol)に徐々に添加した。次いで、得られた溶液を−20℃まで加温し、再び−50℃まで冷却した。DMF(14.6g、0.20mol)のTHF(50mL)溶液を徐々に添加し、反応混合物を室温まで加温した。反応物を水(250ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×150mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、濃縮した。生成物をヘキサンから再結晶させて、3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロベンズアルデヒド(40.0g、0.169mol)を得た(融点:92〜93℃)。
【0058】
9.1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロ−3−ジフルオロメチルベンゼンの調製
3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロベンズアルデヒド(7.50g、0.032mol)の塩化メチレン溶液に0℃でジエチルアミノ三フッ化硫黄(15.3g、0.096mol)を徐々に添加した。得られた溶液を1時間撹拌し、次いで室温まで加温させた。反応物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液(100ml)で注意深くクエンチし、塩化メチレン(2×75ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ、濃縮して、1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロ−3−ジフルオロメチルベンゼン(7.20g、0.028mol)を得た。H NMR(CDCl):δ7.60(m,1H)、7.05(m,1H)、7.00(d,1H)。
【0059】
10.2,4−ジクロロ−3−メトキシフェニルホウ酸の調製
−70℃まで冷却した、1−ブロモ−2,4−ジクロロ−3−メトキシベンゼン(5.12g、20mmol)のジエチルエーテル溶液に対して、温度を−60℃未満に保ちながら2.5Mのn−ブチルリチウム(8.8mL、22mmol)を少しずつ添加した。次いで、得られた反応混合物を10分間撹拌してから、温度を−60℃に保ちながら、トリイソプロピルボレート(6.9ml、30mmol)を少しずつ添加した。次いで、反応混合物を室温まで加温させ、塩化アセチル(60mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、濃縮した。残渣を酢酸エチルと1NのNaOH(40mL)の間で分離させ、有機相をさらなる1NのNaOH(10mL)で抽出した。水酸化ナトリウム抽出物を合わせ、氷を添加し、溶液を濃HClでpH3〜4まで酸性化した。次いで、生成物を酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥させ、濃縮して、2,4−ジクロロ−3−メトキシフェニルホウ酸(3.27g、14.8mmol)を得た。
【0060】
実施例10の手順に従って調製された他のホウ酸としては、以下のホウ酸が挙げられる。
4−クロロ−2−フルオロ−3−メチルチオフェニルホウ酸:H NMR(CDCl):δ8.39(brs,2H)、7.49(m,1H)、7.35(m,1H)、2.43(s,3H)。

4−クロロ−2−フルオロ−3−メチルフェニルホウ酸:H NMR(DMSO−δ):δ8.27(brs,2H)、7.5-7.2(m,2H)、2.25(m,3H)。

4−クロロ−3−(2,2−ジフルオロエトキシ)−2−フルオロフェニルホウ酸:H NMR(DMSO−δ):δ8.38(brs,2H)、7.52(m,1H)、7.29(M,1H)、6.33(tt,1H)、4.32(m,2H)。
【0061】
11.2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−[1,3,2]−ジアキサボリナンの調製
1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシベンゼン(10.4g、0.043mol)のジエチルエーテル(150mL)溶液に対して、−78℃でn−ブチルリチウム(2.5M、19.0mL、0.0475mol)を徐々に添加し、溶液を30分間撹拌した。ホウ酸トリイソプロピル(12.0g、0.064mL)のTHF(25mL)溶液を徐々に添加し、溶液を0℃まで加温した。塩化アセチル(10.0g、0.13mol)を添加した。1時間撹拌した後、溶液を濃縮し、固体残渣を酢酸エチル(150mL)と1N水酸化ナトリウム(50mL)の間で分離させた。水相に氷を添加し、続いてそれを十分な濃塩酸で酸性化して、pHを2とした。不均一混合物を酢酸エチル(2×150mL)で抽出し、合わせた有機相を乾燥させ、濃縮した。得られた固体をトルエン中でスラリー化し、プロパン−1,3−ジオール(6.6g、0.09mol)を添加し、得られた混合物を還流下で加熱して、ディーン・スタークトラップを介して水を除去した。2時間後、混合物を冷却させ、真空下で濃縮した。得られた油を塩化メチレン(50mL)に溶解させ、水(25mL)で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボリナン(6.4g、0.062mol)を得た。1HNMR (CDCl3): δ 7.15 (m, 1H), 6.95 (dd, 1H), 4.05 (t, 4H), 3.8 (s, 3H), 1.95 (t, 2H).
【0062】
実施例11の手順に従って調製された他の化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
2−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボリナン: 1H NMR (CDCl3): δ 7.25 (d, IH), 7.05 (d, IH), 4.20 (t, 4H), 4.15 (s, 3H), 2.10 (t, 2H).

2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−ジフルオロメチルフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボリナン:1H NMR (CDCl3): δ 7.75 (m, 1H), 7.15 (dd, 1H), 6.90-7.15 (t, 1H) 4.20 (t, 4H), 2.05 (t, 2H).
【0063】
12.トリメチルスタナン(4−クロロ−3−エトキシ−2−フルオロフェニル)の調製
1−ブロモ−4−クロロ−3−エトキシ−2−フルオロベンゼン(3.55g、14mmol)およびヘキサメチル二錫(5.9g、18mmol)を25mLのp−ジオキサンに溶解させ、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(491mg、0.70mmol)を添加した。反応混合物を100℃で5時間加熱して、室温まで冷却させ、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(0〜5パーセント酢酸エチル/ヘキサン勾配)によって精製して、トリメチルスタナン(4−クロロ−3−エトキシ−2−フルオロフェニル)(4.3g、12.7mmol)を得た(純度85パーセントのGC−MS m/z338(M))。
【0064】
13.1−フルオロ−2,3−メチレンジオキシベンゼンの調製
アリコット336(塩化メチルトリオクチルアンモニウム(0.63g、0.0016mol)、ジブロモメタン(40.7g、234.2mmol)および水(31mL)を、添加漏斗、凝縮器および撹拌棒が装備された500mL三口フラスコに入れた。3−フルオロカテコール(20.0g、6.1mmol)の5Mの水酸化ナトリウム(80mL)溶液を添加漏斗に充填した。フラスコ内の混合物を加熱して還流させ、カテコールの溶液を1.5時間にわたって十分に撹拌しながら一滴ずつ添加した。得られた暗色の混合物を還流させながらさらに2時間加熱した。室温まで冷却した後、反応物を塩化メチレンおよび水で希釈した。水層を塩化メチレンで抽出し、合わせた有機層を乾燥させ、濃縮して、暗黄色の油として1−フルオロ−2,3−メチレンジオキシベンゼン(14.6g、104.2mmol)を得た。1H NMR (CDCl3): δ 6.80 (m, 1H), 6.68 (m, 2H), 6.04 (s, 2H).
【0065】
14.2−フルオロ−3,4−メチレンジオキフェニルホウ酸の調製
1−フルオロ−2,3−メチレンジオキシベンゼン(5.0g、35.7mmol)をTHF(70mL)に溶解させ、溶液をドライアイスアセトン浴で−65℃まで冷却した。n−ブチルリチウム(2.5g、15.7mL、39.3mmol)を撹拌しながらシリンジで溶液に添加した。反応物を1時間にわたって−35℃まで加温させ、次いで−65℃まで冷却し、シリンジを介してトリメチルボレート(4.1g、39.3mmol)で処理した。反応物を室温まで徐々に加温させ、1NのHCl(50mL)でクエンチし、15分間撹拌し、次いでエーテルで抽出した。次いで、有機相を1N水酸化ナトリウムで抽出し、次いでこの水性抽出物を1N塩酸で酸性化した。次いで、酸性の水溶液を2部のエーテルで抽出し、合わせたこれらのエーテル抽出物を乾燥させ、濃縮して油状固体とし、それを塩化メチレンで粉砕した。得られた固体を濾過によって回収し、塩化メチレンで洗浄し、乾燥させて、黄褐色の固体として1−フルオロ−2,3−メチレンジオキシフェニルホウ酸(1.4g、7.6mmol)を得た。 1H NMR (DMSO-d6): δ 8.05 (br s, 2H), 7.08 (dd, 1H, J=7.8, 5.1 Hz), 6.76 (d, 1H, J=7.8 Hz), 6.08 (s, 2H).
【0066】
15.3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロベンゾニトリルの調製
3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロベンズアルデヒド(9.0g、0.04mol)およびヒドロキシルアミン−O−スルホン酸(7.50g、0.07mol)を水(300ml)に含めた懸濁液を50℃で18時間加熱した。懸濁液を冷却し、固体を回収して、3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロベンゾニトリル(8.8g、0.04mol)を得た。1H NMR (CDCl3): δ 7.75 (m, 1H), 7.25 (m, 1H).
【0067】
16.3−ブロモ−2−フルオロ−6−クロロベンズアミドの調製
内部温度計が装備された100mLの三口フラスコに濃硫酸(15mL)を入れ、55℃まで加熱した。温度を50℃より高く保ちながら、3−ブロモ−2−フルオロ−6−クロロベンゾニトリル(11.0g、47mmol)を撹拌しながら酸に少しずつ添加した。暗色の溶液を65℃で24時間加熱し、室温まで冷却させ、氷上に注ぎ、濃水酸化アンモニウムで注意深く中和した。混合物を2部の酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を乾燥させ、濃縮して、薄い橙色の固体として3−ブロモ−2−フルオロ−6−クロロベンズアミド(11.5g、45.5mmol)を得た(融点:157〜158℃)。mp 157-158° C, 1H NMR (CDCl3): δ 7.54 (t, 1H), 7.14 (dd, 1H), 6.03 (br s, 1H) 5.81 (br s, 1H).
【0068】
17.3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロアニリンの調製
水酸化ナトリウム(4g、100.0mmol)を水(70mL)に溶解させ、得られた溶液を氷浴で冷却し、臭素(4.7g、29.7mmol)で処理した。固体の3−ブロモ−2−フルオロ−6−クロロベンゼンカルボキサミド(5.0g、19.9mmol)を十分に撹拌しながら徐々に添加し、橙色の混合物を加熱して、2時間還流させた。冷却した反応混合物を塩化メチレンで抽出し、有機相を乾燥させ、濃縮した。生成物を低温ヘキサンから再結晶させて、オフホワイトの固体として3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロアニリン(2.8g、12.6mmol)を得た(融点:61〜62℃)。1H NMR (CDCl3): δ 6.94 (dd, 1H), 6.83 (dd, 1H), 4.16 (br s, 2H).
【0069】
18.N−(3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロフェニル)−N,N−ジメチルアミンの調製
3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロアニリン(2.5g、11.1mmol)をTHF(25mL)に溶解させ、37パーセントのホルムアルデヒド(0.84g、2.1mL、27.8mmol)、ジブチル錫ジクロリド(0.07g、0.22mmol)およびフェニルシラン(1.33g、12.3mmol)で処理した。次いで、得られた溶液を室温にて窒素下で48時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン)によって精製して、油としてN−(3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロフェニル)−N,N−ジメチルアミン(2.0g、7.9mmol)を得た。1H NMR (CDCl3): δ 7.19 (dd, 1H), 7.04 (dd, 1H), 2.88 (s, 3H), 2.87 (s, 3H).
【0070】
19.4−クロロ−3−(ジメチルアミノ)−2−フルオロフェニルホウ酸の調製
N−(3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロフェニル)−N,N−ジメチルアニリン(0.88g、3.5mmol)をエーテル(10mL)に溶解させ、窒素下で−60℃まで冷却した。温度を−55℃未満に保ちながら、シリンジを介してn−ブチルリチウム(0.23g、3.6mmol、2.5M溶液1.45mL)を一滴ずつ添加した。0.5時間後、シリンジを介してトリメチルボレート(0.40g、0.38mmol)を添加し、反応物を室温まで加温した。1NのHCl(3.5mL)を添加し、混合物を0.5時間撹拌した。混合物を水で希釈し、エーテルで抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮して、0.75gの泡を得て、それをヘキサンで粉砕した。得られた固体を濾過によって回収し、乾燥させて、オフホワイトの固体として4−クロロ−3−(ジメチルアミノ)−2−フルオロフェニルホウ酸(0.5g、2.3mmol)を得た。H NMR(DMSO−d)により、該固体は、ホウ酸と無水物と見なされる混合物であることがわかった。後に、さらなる精製または特徴付けを行うことなく該固体を使用した。
【0071】
20.2,6−ジブロモ−5−クロロピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製
5−クロロオロト酸メチル(33.8g、165mmol、調製についてはH.Gerhon、J.Org.Chem.1962、27、3507〜3510頁参照)およびオキシ臭化リン(100g、349mmol)をスルホラン(200mL)中で合わせた。得られた懸濁液を100〜110℃で2時間加熱し、次いで室温まで冷却した。冷却した反応混合物を氷に注ぎ、生成物をヘキサン(4×150mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、濃縮して、2,6−ジブロモ−5−クロロピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(32.0g、収率58.7パーセント)を得て、それをさらに精製することなく後の反応に使用した。分析サンプルをヘプタンから再結晶させた(融点:92〜93℃)。
【0072】
21.2−ブロモ−5−クロロ−6−メチルチオピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製
2,6−ジブロモ−5−クロロピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(4.96g、15mmol)のベンゼン(100mL)溶液に対してナトリウムチオメトキシド(1.37g、19.5mmol)の水溶液(15mL)を一滴ずつ添加した。二相溶液を室温で2時間撹拌し、その時点で、出発材料が完全に消費されたことがGC分析によって示された。有機相を塩水で2回洗浄し、乾燥させ、濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって精製して、2−ブロモ−5−クロロ−6−メチルチオピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(4.2g、収率94パーセント)を得た(融点:105〜106℃)。
【0073】
22.5−クロロ−6−メチルチオ−2−トリメチルスタンナニルピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製
ヘキサメチル二錫(5.0g、15.3mmol)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(448mg、0.64mmol)および2−ブロモ−5−クロロ−6−メチルチオピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(3.8g、12.75mmol)をジオキサン中で合わせ、100℃で3時間加熱した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、濃縮し、生成物をカラムクロマトグラフィーによって単離した(注:生成物の分解を回避するために、カラムを迅速に完了させなければならない)。この処理により、透明な油生成物として5−クロロ−6−メチルチオ−2−トリメチルスタンナニルピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(2.0g、収率41パーセント)を得た。1H NMR (CDCl3): δ 3.98 (s, 3H), 2.58 (s, 3H), 0.39 (s, 9H).
【0074】
23.6−アミノ−2,5−ジクロロピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製
2,5,6−トリクロロピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(15.94g、66mmol、調製についてはH.Gerhon、J.Org.Chem.1962、27、3507〜3510頁参照)のp−ジオキサン(150mL)溶液に30分間にわたってアンモニアを吹き込んだ。次いで、溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルと水の間で分離させた。有機相を乾燥させ、真空下で濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、6−アミノ−2,5−ジクロロピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(12.74g、収率87パーセント)を得た(融点:164〜166℃)。
【0075】
24.2−クロロ−6−メチルチオピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製
2,6−ジクロロ−ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(12.5g、60.4mmol)のベンゼン(300mL)溶液に対して、ナトリウムチオメトキシド(4.4g、67mmol)の水溶液(45mL)を一滴ずつ添加した。二相溶液を室温で2時間撹拌し、その時点で、出発材料が完全に消費されたことがGC分析によって示された。有機相を塩水で2回洗浄し、乾燥させ、濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって精製して、2−クロロ−6−メチルチオピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(5.6g、収率42.6パーセント)を得た(融点:90〜92℃)。1H NMR (CDCl3): δ 7.78 (s, 1H), 4.00 (s, 3H), 2.63 (s, 3H).
【0076】
25.2−クロロ−6−メタンスルホニルピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製
2−クロロ−6−メチルチオピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(4.38g、20mmol)を塩化メチレンに溶解させ、m−クロロパーオキシ安息香酸(MCPBA;70パーセント)(12.3g、50mmol)を添加した。反応混合物を室温で3日間撹拌し、真空下で濃縮し、残渣を酢酸エチルと水の間で分離させた。有機相を重亜硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/酢酸エチル勾配)によって精製して、2−クロロ−6−メタンスルホニルピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(3.8g、収率76パーセント)を得た(融点:127〜129℃)。1H NMR (CDCl3): δ 8.56 (s, 1H), 4.09 (s, 3H), 3.34 (s, 3H).
【0077】
26.6−アミノ−2−クロロピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製
2−クロロ−6−メタンスルホニルピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(3.7g、14.75mmol)をジオキサンに溶解させ、メタノール中7Nアンモニアを添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、真空下で濃縮し、残渣を酢酸エチルと水の間で分離させた。有機相を乾燥させ、濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、6−アミノ−2−クロロピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(2.35g、収率85パーセント)を得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 7.6 (br s, 1H), 7.00 (s, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.33 (s, 3H).
【0078】
27.5−クロロ−2−(4−クロロ−3−エトキシ−2−フルオロフェニル)−6−メタンスルホニルピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製
2−ブロモ−5−クロロ−6−メチルチオピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(2.98g、10mmol)と、(4−クロロ−3−エトキシ−2−フルオロフェニル)−トリメチルスタナン(3.37g、10mmol)と、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(351mg、0.5mmol)とを20mLのN−メチルピロリジノン中で合わせ、110℃で3時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、次いで水で希釈した。水を粘着性の残渣からデカントし、残渣をさらなる水で洗浄した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン勾配)によって精製し、中間生成物を塩化メチレン中で2.5当量のMCPBAと合わせ、一晩撹拌した。重亜硫酸ナトリウム溶液を添加することによって余剰のMCPBAをクエンチし、生成物をジエチルエーテルで抽出した。有機相を重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン勾配)によって精製した。カラムクロマトグラフィー(塩化メチレンのみ)によって2回目の精製をして、5−クロロ−2−(4−クロロ−3−エトキシ−2−フルオロフェニル)−6−メタンスルホニルピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(350mg、収率8.3パーセント)を得た(融点:164〜166℃)。
【0079】
28.6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−3−エトキシ−2−フルオロフェニル)−ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物1)の調製
5−クロロ−2−(4−クロロ−3−エトキシ−2−フルオロフェニル)−6−メタンスルホニルピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(350mg、0.83mmol)を10mLのp−ジオキサンに溶解させ、メタノール(0.43mL、3mmol)中7Nアンモニアを添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を酢酸エチルと水の間で分離させ、有機相を乾燥させ、濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−3−エトキシ−2−フルオロフェニル)−ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(160mg、収率54パーセント)を得た。1HNMR (CDCl3): δ 7.65 (dd, 1H), 7.24 (dd, 1H), 5.67 (br s, 2H), 4.22 (q, 2H), 4.03 (s, 3H), 1.46 (t, 3H).
【0080】
29.5−クロロ−2−(4−クロロ−2,6−ジフルオロ−3−メトキシフェニル)−6−メチルチオピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製
5−クロロ−6−メチルチオ−2−トリメチルスタンナニルピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(500mg、1.3mmol)と、1−クロロ−3,5−ジフルオロ−4−ヨード−2−メトキシベンゼン(475mg、1.6mmol)と、Pd[P(o−Tol)]Cl(100mg、0.13mmol)を脱気された3mLの1,2−ジクロロエタン中で合わせた。得られた溶液をCEM Discoverマイクロウェーブにて130℃で20分間加熱した。スタナンの別の500mgサンプルを用いてこの処理を繰り返した。合わせた反応混合物から溶媒を除去し、75パーセントアセトニトリルと25パーセント0.1パーセントv/vHPOを使用した50mm×250mmYMC AQカラムによるクロマトグラフィー処理を残渣に施して、5−クロロ−2−(4−クロロ−2,6−ジフルオロ−3−メトキシフェニル)−6−メチルチオ−ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(153mg、収率15パーセント)を得た(融点:144〜146℃;MS:m/z=394)。
【0081】
30.6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2,6−ジフルオロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物2)の調製
5−クロロ−2−(4−クロロ−2,6−ジフルオロ−3−メトキシフェニル)−6−メチルチオピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(150mg、0.38mmol)を10mlの塩化メチレンに溶解させ、70パーセントMCPBA(240mg、0.95mmol)で処理した。2時間撹拌した後、さらに100mgのMCPBAを添加し、撹拌を18時間続けた。混合物を5mLの10パーセントNaHSOとともに20分間撹拌した。分離した有機相を10パーセントNaHSO(5mL)で洗浄し、水(5mL)で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。残渣をジオキサン中10mLの0.5Mアンモニアに溶解させ、25℃で20時間撹拌し、次いで真空下で濃縮した。残渣を10mLの酢酸エチルに溶解させ、10mLの水で洗浄し、5mLの塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2,6−ジフルオロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(51mg、収率37パーセント)を得た。1HNMR (CDCl3): δ 7.03 (dd, 1H), 5.87 (br s, 2H), 4.0 (s, 3H), 3.93 (d, 3H).
【0082】
31.6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物3)の調製
6−アミノ−2,5−ジクロロピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(888mg、4mmol)と、2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−[1,3,2]−ジオキサボリナン(1.47g、6mmol)と、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(280mg、0.4mmol)と、フッ化セシウム(1.21g、8mmol)とを8mLの1,2−ジメトキシエタンおよび8mLの水中で合わせた。反応混合物を80℃で3時間加熱し、冷却した反応混合物を酢酸エチルと水の間で分離させた。有機相を水で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン勾配)によって精製し、次いでカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/酢酸エチル勾配)によって再び精製して、6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(738mg、収率53.5パーセント)を得た。1H NMR (CDCl3): δ 7.64 (dd, 1H), 7.22 (dd, 1H), 5.64 (br s, 2H), 4.01 (s, 3H), 3.99 (d, 3H).
【0083】
ホウ酸エステルまたはホウ酸を利用して、実施例31の手順に従って、以下の化合物を調製した。
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メチルチオフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物4): 1H NMR (CDCl3): δ 7.83 (dd, 1H), 7.33 (dd, 1H), 5.71 (br s, 2H), 4.01 (s, 3H), 2.5 (d, 3H).

6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物5): 1H NMR (CDCl3): δ 7.53 (d, 1H), 7.22 (d, 1H), 5.71 (br s, 2H), 4.02 (s, 3H), 3.95 (s, 3H).

6−アミノ−5−クロロ−2−(2,4−ジクロロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物6): 1HNMR (CDCl3): δ 7.39 (m, 2H), 5.71 (br s, 2H), 4.02 (s, 3H), 3.95 (s, 3H).

6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−3−ジフルオロメチル−2−フルオロフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物7)(融点:155〜157℃)
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−3−ジメチルアミノ−2−フルオロフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物8)(融点:143〜144℃)
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−フルオロベンゾ[1,3]ジオキソ−5−イル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物9): 1HNMR (CDCl3): δ 7.59 (dd, 1H), 6.72 (dd, 1H), 6.08 (s, 2H), 5.6 (br s, 2H), 4.03 (s, 3H).

6−アミノ−5−クロロ−2−[4−クロロ−3−(2,2−ジフルオロエトキシ)−2−フルオロフェニル]−ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物10)(融点:139〜141℃)
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メチルフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物11)(融点:166〜168℃)
【0084】
32.6−アミノ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製
6−アミノ−2−クロロ−ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(2.25g、12mmol)と、4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニルホウ酸(3.27g、16mmol)と、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(842mg、1.2mmol)とを12mLのジメトキシエタンおよび12mLの水中で合わせた。反応混合物を80℃で2時間加熱し、冷却した反応混合物を酢酸エチルと水の間で分離させた。有機相を水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、6−アミノ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(2.0g、収率53.5パーセント)を得た(融点:188〜190℃)。1HNMR (CDCl3): δ 7.66 (dd, 1H), 7.22 (dd, 1H), 7.14 (s, 1H), 5.25 (br s, 2H), 4.0 (s, 3H), 3.99 (s, 3H).
【0085】
33.6−アミノ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−5−フルオロピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物12)の調製
6−アミノ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(778mg、2.5mmol)とF−TEDA(974mg、2.75mmol)をアセトニトリル中で合わせ、還流させながら4時間加熱した(1時間後反応がほとんど進行しなくなった)。反応混合物を室温まで冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し、次いで分取HPLCによって2回目の精製を行って、6−アミノ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−5−フルオロピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(26mg、収率3.2パーセント)を得た(融点:200〜202℃)。1HNMR (CDCl3): δ 7.62 (dd, 1H), 7.21 (dd, 1H), 5.40 (br s, 2H), 4.02 (s, 3H), 4.0 (d, 3H)
【0086】
34.6−アミノ−5−ブロモ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物13)の調製
6−アミノ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(778mg、2.5mmol)とN−ブロモスクシンイミド(489mg、2.75mmol)をクロロホルム中で合わせ、還流させながら12時間加熱した。冷却した反応混合物を濃縮し、生成物をカラムクロマトグラフィーによって単離して、6−アミノ−5−ブロモ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(752mg、収率77パーセント)を得た(融点:173〜175℃)。1HNMR (CDCl3): δ 7.66 (dd, 1H), 7.24 (dd, 1H), 5.73 (br s, 2H), 4.03 (s, 3H), 4.01 (d, 3H).
【0087】
35.6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルフィニルフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステルの調製
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メチルチオフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(2.4g、6.63mmol)を加熱しながら最小限の量のトリフルオロエタノール(50mL)に溶解させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、30パーセントの過酸化水素(3.0mL、26.5mmol)を添加し、反応混合物を2日間撹拌した。亜硫酸ナトリウムの水溶液(10パーセント溶液)を添加して、余剰の酸化体をクエンチし(発熱量を確認)、反応混合物を1時間撹拌した。次いで、さらなる水を添加し、反応混合物を濾過した。沈殿は、純粋な6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルフィニルフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(2.13g、収率85パーセント)であることがわかった(融点:256〜258℃)。1H NMR (CDCl3): δ 8.03 (dd, 1H), 7.54 (dd, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.13 (s, 3H).
【0088】
36.6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−トリフルオロメチルチオフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物14)の調製
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルフィニルフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(378mg、1mmol)を無水トリフルオロ酢酸(5mL)に懸濁させ、反応混合物を密封管中にて60℃で3時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、余剰の無水トリフルオロ酢酸を減圧下で除去した。残渣に対して、0℃まで冷却されたトリエチルアミンとメタノールの1:1混合物を40mL添加した。反応混合物を真空下で直ちに濃縮し、得られた生成物をアセトニトリルに再溶解させた。この溶液に対して、コールドフィンガーで凝縮されたトリフルオロメチルヨージド(1.96g、10mmol)を添加した。反応混合物をガラス製密封反応器に入れ、UV光を15分間照射した。次いで、反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をメタノール中で一晩撹拌して、アミン保護基を除去した。反応混合物をもう一度濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−トリフルオロメチルチオフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(238mg、収率57パーセント)を得た(融点:167〜169℃)。: 1H NMR (CDCl3): S 8.13 (dd, 1H), 7.47 (dd, 1H), 5.69 (br s, 2H), 4.02 (s, 3H).
【0089】
37.6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸(化合物15)の調製
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸メチルエステル(156mg、0.45mmol)を15mLのメタノールに溶解させ、1mLの2N水酸化ナトリウム(2mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いでわずかに過剰の2NのHClで酸性化した。得られた溶液を窒素流下で濃縮し、この処理を通じていくつかの結晶群を回収して、6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸(100mg、収率66.7パーセント)を得た(融点:172〜173℃)。1H NMR (DMSO-d6): δ 8.0 (br, 1H), 7.63 (dd, 1H), 7.43 (dd, 1H), 3.92 (s, 3H).
【0090】
実施例37の方法によって調製された他の化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メチルチオフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸(化合物16)(融点:139〜141℃)
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸(化合物17)(融点:202〜204℃)
6−アミノ−5−クロロ−2−(2,4−ジクロロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸(化合物18)(139〜141℃)
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−3−エトキシ−2−フルオロフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸(化合物19)(融点:132〜134℃)
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メチルフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸(化合物20)(融点:210〜212℃)
6−アミノ−5−クロロ−2−[4−クロロ−3−(2,2−ジフルオロエトキシ)−2−フルオロフェニル]−ピリミジン−4−カルボン酸(化合物21):1HNMR (DMSO-d6+ D2O): δ 7.7 (dd, 1H), 7.46 (dd, 1H), 6.34 (tt, 1H), 4.41 (td, 2H).

6−アミノ−5−クロロ−2−(4−フルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)ピリミジン−4−カルボン酸(化合物22): 1H NMR (DMSO-d6+ D2O): δ 7.48 (dd, 1H), 6.91 (d, 1H), 8.2 (s, 2H).

6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−3−ジメチルアミノ−2−フルオロフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸(化合物23)(融点:181〜183℃)
6−アミノ−5−クロロ−2−(4−クロロ−3−ジフルオロメチル−2−フルオロフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸(化合物24)(融点:166〜168℃)
6−アミノ−5−ブロモ−2−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−カルボン酸(化合物25)(融点:173〜175℃)
【0091】
38.除草剤組成物の調製
以下の例示的な組成物において、部およびパーセントは、重量部および重量パーセントである。
乳化性濃縮物
処方A
重量%
化合物1 26.2
Polyglycol 26−3 5.2
非イオン性乳化剤−(オキシエチレン)との(ジ−sec−ブチル)−フェニル−ポリ(オキシプロピレン)ブロックポリマー。ポリオキシエテレン含有量は12モルである。
Witconate P12−20(陰イオン性乳化剤−スルホン酸カルシウムドデシルベンゼン−60重量パーセント活性) 5.2
Aromatic 100(キシレン系芳香族溶媒) 63.4
処方B
重量%
化合物3 3.5
Sunspray 11N(パラフィン油) 40.0
Polyglcol 26−3 19.0
オレイン酸 1.0
キシレン系芳香族溶媒 36.5
処方C
重量%
化合物6 13.2
Stepon C−65 25.7
Ethomeen T/25 7.7
Ethomeen T/15 18.0
キシレン系芳香族溶媒 35.4
処方D
重量%
化合物2 30.2
Agrimer A1−10LC(乳化剤) 3.0
N−メチル−2−ピロリドン 67.0
処方E
重量%
化合物4 10.0
Agrimul 70−A(分散剤) 2.0
Amsul DMAP60(増粘剤) 2.0
Emulsogen M(乳化剤) 8.0
Attagel 50(懸濁補助剤) 2.0
作物油(crop oil) 76.0
【0092】
これらの濃縮物を水で希釈して、雑草を防除するのに好適な濃度のエマルジョンを得ることができる。
湿潤性粉末
処方F
重量%
化合物15 26.0
Polyglycol 26−3 2.0
Polyfon H 4.0
Zeosyl 100(沈殿水和SiO) 17.0
バーデンクレー(barden clay)+不活性成分 51.0
処方G
重量%
化合物19 2.4
Polyfon H(リグニンスルホン酸のナトリウム塩) 6.0
Sellogen HR(ナフタレンスルホン酸ナトリウム) 4.0
Zeosyl 100 27.6
処方H
重量%
化合物21 1.4
Kunigel V1(担体) 30.0
Stepanol ME Dry(湿潤剤) 2.0
Tosnanon GR31A(結着剤) 2.0
Kaolin NK−300 Clay(充填剤) 64.6
【0093】
活性成分を対応する担体に塗布し、次いでこれらを混合し、挽いて、優れた湿潤性および懸濁力を有する湿潤性粉末を得る。これらの湿潤性粉末を水で希釈することによって、雑草を防除するのに好適な濃度の懸濁液を得ることが可能である。
【0094】
水分散性顆粒
処方I
重量%
化合物25 26.0
Sellogen HR 4.0
Polyfon H 5.0
Zeosyl 100 17.0
カオリナイトクレー 48.0
【0095】
活性成分を水和シリカに添加し、次いでそれを他の成分と混合し、挽いて粉末にする。粉末を水で凝集させ、篩にかけて、−10から+60メッシュの範囲の顆粒を得る。これらの顆粒を水に分散させることによって、雑草を防除するのに好適な濃度の懸濁液を得ることが可能である。
【0096】
顆粒
処方J
重量%
化合物20 5.0
Celetom MP−88 95.0
【0097】
活性成分をN−メチルピロリジノン、シクロヘキサノン、ガンマ−ブチロラクトン等の極性溶媒中でセレトムMP−88担体または他の好適な担体に塗布する。雑草を防除するために、得られた顆粒を手、散粒器、飛行機等によって散布することができる。
【0098】
処方K 重量%
化合物18 1.0
Polyfon H 8.0
Nekal BA77 2.0
ステアリン酸亜鉛 2.0
バーデンクレー 87.0
【0099】
すべての材料を混合し、挽いて粉末にし、次いで水を添加し、ペーストが形成されるまでクレー混合物を撹拌する。ダイを通じて混合物を押し出して、適正な粒径の顆粒を得る。
【0100】
水溶性液体
処方L 重量%
化合物23 3.67
モノエタノールアミンpH緩衝剤 0.5
水 95.83
【0101】
活性成分を適切な量の水に溶解させ、追加的なモノエタノールアミンを緩衝剤として添加する。水溶解性界面活性剤を添加してもよい。物理特性、化学特性および/または処方特性を向上させるために他の補助剤を混入してもよい。
【0102】
39.一般的な発芽後除草力の評価
所望の試験植物種の種子または小堅果を、表面積が64平方センチメートルのプラスチックポット中で、典型的にはpHが6.0から6.8であり、有機物含有量が30パーセントのSun Gro MetroMix(登録商標)306植栽混合物に植え付けた。良好な発芽および健康な植物を確保するために必要である場合は、殺真菌処理および/または他の化学的処理もしくは物理的処理を施した。日中は23〜29℃に維持され、夜間は22〜28℃に維持される約15時間の光周期の温室で7〜21日間にわたって植物を生長させた。栄養分および水を規則的に添加し、必要に応じて、オーバーヘッドハロゲン化金属100ワットランプで補助的な照明を与えた。植物が第1または第2の本葉段階に達したときに、それらを試験用に採用した。
【0103】
試験対象の最大量によって求められた重量の各試験化合物を25mLガラスバイアルに入れ、97:3v/v(体積/体積)のアセトンとジメチルスルホキシド(DMSO)の混合物4mLに溶解させて、高濃度原液を得た。試験化合物が容易に溶解しない場合は、混合物を加温かつ/または超音波処理した。得られた高濃度原液を、アセトン、水、イソプロピルアルコール、DMSO、アトプラス411F植物油濃縮物およびTriton(登録商標)X−155界面活性剤を48.5:39:10:1.5:1.0:0.02のv/v比で含有する20mLの水性混合物で希釈して、最大散布量を含むスプレー溶液を得た。大量溶液の12mLを、97:3v/vのアセトンとジメチルスルホキシド(DMSO)の混合物2mLを含有する溶液と、アセトン、水、イソプロピルアルコール、DMSO、アトプラス411F植物油濃縮物およびTritonX−155界面活性剤を48.5:39:10:1.5:1.0:0.02のv/v比で含有する水性混合物10mLとに順次希釈して、該大量に対する1/2X、1/4X、1/8Xおよび1/16X量を求めることによって、さらなる散布量を得た。化合物要件は、187L/haの量における12mL散布容量に基づく。平均的な植物冠高さより18インチ(43cm)高いスプレー高さで、0.503平方メートルの散布面積に対して187L/haを送達するように較正された8002Eノズルを装備したオーバーヘッドMandelトラック噴霧器により、処方化合物を植物材料に散布した。対照植物には、同様にして溶媒ブランクを散布した。
【0104】
処理された植物および対照植物を上記のように温室に入れ、試験化合物の流出を防止するために部分灌漑によって散水した。14日後に、試験植物の状態を未処理植物の状態と比較して目視測定し、0が無傷に対応し、100が完全撲滅に対応する0から100のスケールで採点した。
【0105】
J.Berkson、Journal of the American Statistical Society、48、565 (1953)およびD.Finney、「Probit Analysis」、Cambridge University Press(1952)に記載されている良く受け入れられているプロビット解析を応用することにより、上記データを用いて、標的植物の撲滅、またはそれぞれ50パーセントもしくは80パーセントを防除するのに必要な有効量の除草剤に対応する生長抑制因子と定義されるGR50およびGR80値を計算することができる。
【0106】
試験した化合物、採用した散布量、試験した植物種および結果の一部を表1および表2に示す。
【0107】
【表1】

【0108】
【表2】

【0109】
40.一般的な発芽前除草力の評価
壌土(沈泥:43パーセント、粘土:19パーセント、砂:38パーセント、pH:8.1、有機物含有量:1.5パーセント)と砂を70対30の比率で混合することによって調製された土壌マトリックスに所望の試験縮物種の種子を植え付けた。土壌マトリックスを表面積が113平方センチメートルのプラスチックポットに収容した。良好な発芽および健康な植物を確保するために必要である場合は、殺真菌処理および/または他の化学的処理もしくは物理的処理を施した。
【0110】
試験対象の最大量によって求められた重量の各試験化合物を25mLガラスバイアルに入れ、97:3v/v(体積/体積)のアセトンとDMSOの混合物6mLに溶解させて、高濃度原液を得た。試験化合物が容易に溶解しない場合は、混合物を加温かつ/または超音波処理した。得られた原液を18mLの0.1容量パーセントのTween(登録商標)20界面活性剤の水溶液で希釈して、最大散布量を含むスプレー溶液を得た。大量溶液の12mLを、97:3v/vのアセトンとDMSOの混合物3mLと、0.1容量パーセントのTween(登録商標)20界面活性剤9mLとに順次希釈して、該大量に対する1/2X、1/4X、1/8Xおよび1/16X量を求めることによって、さらなる散布量を得た。化合物要件は、187L/haの量における12mL散布容量に基づく。土壌表面より18インチ(43cm)高いスプレー高さで、0.503平方メートルの散布面積に対して187L/haを送達するように較正された8002Eノズルを装備したオーバーヘッドMandelトラック噴霧器により、処方化合物を植物材料に散布した。対照植物には、同様にして溶媒ブランクを散布した。
【0111】
約15時間の光周期、ならびに日中は23〜29℃および夜間は22〜28℃の温度が維持された温室に処理ポットおよび対照ポットを入れた。栄養分および水を規則的に添加し、オーバーヘッドハロゲン化金属1000ワットランプで補助的な照明を与えた。トップ灌漑によって水を加えた。20〜22日後に、発芽・生長した試験植物の状態を、発芽・生長した未処理植物の状態と比較して目視測定し、0が無傷に対応し、100が完全撲滅または発芽なしに対応する0から100のスケールで採点した。
【0112】
試験した化合物、採用した散布量、試験した植物種および結果の一部を表3に示す。
【0113】
【表3】

【0114】
41.一般的な作物における発芽後除草力の評価
所望の試験植物種の種子を、表面積が103.2平方センチメートルのプラスチックポット中で、典型的にはpHが6.0から6.8であり、有機物含有量が30パーセントのSun Gro MetroMix(登録商標)306植栽混合物に植え付けた。良好な発芽および健康な植物を確保するために必要である場合は、殺真菌処理および/または他の化学的処理もしくは物理的処理を施した。日中は18℃に維持され、夜間は17℃に維持される約14時間の光周期の温室で7〜36日間にわたって植物を生長させた。栄養分および水を規則的に添加し、必要に応じて、オーバーヘッドハロゲン化金属1000ワットランプで補助的な照明を与えた。植物が第2または第3の本葉段階に達したときに、それらを試験用に採用した。
【0115】
試験対象の最大量によって求められた重量の各試験化合物を25mLガラスバイアルに入れ、97:3v/vのアセトンとDMSOの混合物8mLに溶解させて、高濃度原液を得た。試験化合物が容易に溶解しない場合は、混合物を加温かつ/または超音波処理した。得られた高濃度原液を、アセトン、水、イソプロピルアルコール、DMSO、アグリデックス植物油濃縮物およびTriton(登録商標)X−77界面活性剤を64.7:26.0:6.7:2.0:0.7:0.01のv/v比で含有する16mLの水性混合物で希釈して、最大散布量を含むスプレー溶液を得た。大量溶液の12mLを、97:3v/vのアセトンとDMSOの混合物4mLを含有する溶液と、アセトン、水、イソプロピルアルコール、DMSO、アグリデックス植物油濃縮物およびTritonX−77界面活性剤を48.5:39.0:10.0:1.5:1.0:0.02のv/v比で含有する水性混合物8mLとに順次希釈して、該大量に対する1/2X、1/4X、1/8Xおよび1/16X量を求めることによって、さらなる散布量を得た。化合物要件は、187L/haの量における12mL散布容量に基づく。平均的な植物冠高さより18インチ(43cm)高いスプレー高さで、0.503平方メートルの散布面積に対して187L/haを送達するように較正された8002Eノズルを装備したオーバーヘッドMandelトラック噴霧器により、処方化合物を植物材料に散布した。対照植物には、同様にして溶媒ブランクを散布した。
【0116】
処理された植物および対照植物を上記のように温室に入れ、試験化合物の流出を防止するために部分灌漑によって散水した。20〜22日後に、試験植物の状態を未処理植物の状態と比較して目視測定し、0が無傷に対応し、100が完全撲滅に対応する0から100のスケールで採点した。
【0117】
試験した化合物、採用した散布量、試験した植物種および結果の一部を表4に示す。
【0118】
【表4】

【0119】
42.移植水稲における除草力の評価
非滅菌鉱質土壌(沈泥:28パーセント、粘土:18パーセント、砂:54パーセント、pH:7.3から7.8、有機物含有量:1.0パーセント)と水を水19Lに対して土壌100kgの割合で混合することによって調製された湛水土壌(泥)に、所望の試験植物種の雑草種子または小堅果を植え付けた。調製された泥を、表面積が91.6平方センチメートルの480mL穴なしプラスチックポットに、各ポットにおいて3センチメートルのヘッドスペースを残して250mLのアリコットで分配した。プラスチックプラグトレー中で、典型的にはpHが6.0から6.8であり、有機物含有量が30パーセントであるSun Gro MetroMix(登録商標)306植栽混合物に米種子を植え付けた。除草剤散布の4日前に、第2または第3の葉生長段階における苗を、表面積が91.6平方センチメートルの960mL穴なしプラスチックポットに収容された650mLの泥に移植した。ポットの3センチメートルのヘッドスペースを水で満たすことによって稲田を造った。良好な発芽および健康な植物を確保するために必要である場合は、殺真菌処理および/または他の化学的処理もしくは物理的処理を施した。日中は29℃に維持され、夜間は26℃に維持される約14時間の光周期の温室で4〜14日間にわたって植物を生長させた。カップ毎に2g(グラム)ずつ、オスモコート(17:6:10、N:P:K+少量栄養分)として栄養分を添加した。稲田灌漑を維持するために規則的に水を加え、必要に応じて、オーバーヘッドハロゲン化金属1000ワットランプで補助的な照明を与えた。植物が第1または第2の本葉段階に達したときに、それらを試験用に採用した。
【0120】
試験対象の最大量によって求められた重量の各試験化合物を120mLガラスバイアルに入れ、20mLのアセトンに溶解させて、高濃度原液を得た。試験化合物が容易に溶解しない場合は、混合物を加温かつ/または超音波処理した。得られた高濃度原液を、0.01容量パーセントのTween20(v/v)を含有する20mLの水性混合物で希釈した。適切な量の原液を稲田の水層に注入することによって、該大量に対する1/2X、1/4X、1/8Xおよび1/16Xの散布量を得た。対照植物を同様にして溶媒ブランクで処理した。
【0121】
処理された植物および対照植物を上記のように温室に入れ、稲田灌漑を維持するのに必要なときに水を加えた。20〜22日後に、試験植物の状態を未処理植物の状態と比較して目視測定し、0が無傷に対応し、100が完全撲滅に対応する0から100のスケールで採点した。
【0122】
試験した化合物、採用した散布量、試験した植物種および結果の一部を表5に示す。
【0123】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、およびそのカルボン酸基の農薬として許容し得る誘導体
【化1】


(式中、
Qは、ハロゲンを表し;
およびRは、独立に、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、C〜Cアシル、C〜Cカルボアルコキシ、C〜Cアルキルカルバミル、C〜Cアルキルスルホニル、C〜CトリアルキルシリルまたはC〜Cジアルキルホスホニルを表し、あるいはRおよびRは、Nと一緒になって、5員または6員飽和環を表し;
Arは、
a)
【化2】


(式中、
は、FまたはClを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表し;
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはXおよびYが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
およびRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す)、
b)
【化3】


(式中、
は、FまたはClを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表し;
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはXおよびYが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
およびRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す)、および
c)
【化4】


(式中、
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはYおよびZが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表し;
およびRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す)からなる群から選択される多置換アリール基を表す)。
【請求項2】
およびRが、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Qが、ClまたはBrを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Arが、
【化5】


を表す、請求項1に記載の化合物
(式中、
は、FまたはClを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表し;
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはXおよびYが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
およびRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す)。
【請求項5】
が、C〜Cアルコキシまたは−NRを表す、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、Clを表す、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
Arが、
【化6】


を表す、請求項1に記載の化合物
(式中、
は、FまたはClを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表し;
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはXおよびYが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
およびRは、独立に、HまたはC〜Cアルキルを表す)。
【請求項8】
が、C〜Cアルコキシまたは−NRを表す、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、Clを表す、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
Arが、
【化7】


を表す、請求項1に記載の化合物
(式中、
は、ハロゲンまたはC〜Cハロアルキルを表し、あるいはYおよびZが一緒になる場合は、−O(CHO−(n=1または2)を表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cハロアルキルチオまたは−NRを表す)。
【請求項11】
が、C〜Cアルコキシを表す、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、Clを表す、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1に記載の式Iの化合物の除草剤として有効な量を、農薬として許容し得る補助剤または担体と混合して含む除草剤組成物。
【請求項14】
望ましくない植物を防除する方法であって、請求項1に記載の式Iの化合物の除草剤として有効な量を植物またはその植生地と接触させる、または植物の発芽を防止するために土壌に散布する工程を含む方法。

【公表番号】特表2009−519981(P2009−519981A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546005(P2008−546005)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/000916
【国際公開番号】WO2007/082076
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】