説明

2つの同軸の部品を摩擦によって連結する装置

本発明は、2つの同軸の部品(4,5,41,42)、とりわけ、2つのシャフト(41,42)、または、シャフト(4)およびハブ(5)を摩擦によって連結するための装置(1)に関する。前記装置は、円錐状の外側周囲表面(22)を有する第1内側カップリングエレメント(2)と、円錐状の内側周囲表面(32,52)を有する第2外側カップリングエレメント(3)と、を備えている。2つのカップリングエレメント(2,3)は、長さ方向軸(11)の方向において一方が他方の上を可逆的に摺動するのに適したものとなっており、これによって、円錐状の周囲表面(22,32,52)が互いにもたれ合うよう、半径方向において弾性的に変形される。また、2つの同軸の部品(4,5,41,42)は、カップリングエレメント(2,3)の弾性変形により引き起こされる半径方向の力のため、カップリングエレメント(2,3)を介して摩擦によって相互に連結される。外側カップリングエレメント(3)は、円錐状の周囲表面(32)上の長さ方向における端部の各々に、少なくとも1つの周囲シール(35’,35’’)を有している。間の周囲表面(32)は、静摩擦係数を高める被覆(321)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルによる、2つの同軸の部品を摩擦によって連結する装置、ならびに、そのような連結具における組立および分解の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの同軸の部品、例えば2つのシャフト、または、シャフトおよびハブ(hub)における、ねじれに耐える結合のための様々な可能性が知られている。単純かつ迅速な組立、維持および分解を可能とするため、そのような結合はさらに、非破壊的に取り外し可能である必要がある。
【0003】
とりわけ、円錐状の油圧プレス勘合による、摩擦による結合が広く利用されている。この結合においては、例えば、円錐状の内側穴を有するハブが、円錐状の周囲表面を有するシャフト上に押し付けられ、また、オイルが中間のギャップの中へ押し込まれる。これによって、外側の部品が弾性的に拡大され、このことにより、それが、内側の円錐の上に押し出され得る。所望の位置に到達した後、ギャップにおける油圧が開放され、この結果、外側の部品が収縮して、内側の部品の上に適合する。外側の部品における永続的な弾性変形の結果として、接触圧力が、内側の部品の接触表面と外側の部品との間で生じる。そのような油圧プレス勘合に対して伝達され得る最大トルクは、この接触圧力、接触領域および表面間の静的な摩擦に比例している。
【0004】
円錐状のピンを有するシャフトおよび円錐状の内側穴を有するハブの製造は複雑かつ費用のかかるものであり、また、欠陥製造の場合、全体的に、いくつかの場合において、非常に大きくかつ重い部品が使用不可能となり得る。加えて、結合されるべき構成部品は、しばしば異なった製造業者から供給され、それらの構成部品は、正確な調整を必要とする。従って、円筒状の内側または外側の表面を有する部品を両方提供するととともに、これらを対応する油圧プレス勘合のカップリング装置によって結合することが、しばしば、よりコスト効率のよいこととなる。そのような装置は、円筒状の内側のケーシングと円錐状の外側のケーシングとを備えた内側スリーブと、円錐状の内側のケーシングと円筒状の外側のケーシングとを備えた外側スリーブと、からなっている。外側スリーブは、内側スリーブ上へ押し付けられ、この結果、摩擦による連結が、一方では、両方のスリーブ部品間で形成され、他方では、内側スリーブおよびシャフトまたは外側スリーブおよびハブの間で形成される。もし適切であれば、内側または外側スリーブのみが使用され、それは、外側の構成部品の円錐面と直接的に協働する。同様に、内側および外側スリーブを備えたカップリング装置もまた、円筒状のピンを有する2つの同軸のシャフトの摩擦による結合のために使用される。この場合、内側スリーブは、対向するシャフトの端部の上方に変位されており、このため、外側スリーブへの押しつけの後、2つのシャフトは、カップリング装置へ摩擦的に結合され、従って互いに摩擦的に結合される。前述のタイプの円錐状の油圧勘合カップリングは、例えば、ドイツのハイデンハイム(Heidenheim)のボイスターボ(Voith Turbo)によって、ハイコン(Hycon)の名称で供給されている。
【0005】
円錐状のハブまたは外側スリーブを円錐状の内側の部品に押しつけることは、好ましくは、円周が増大する向きにおいて内側の円錐上へ外側の円錐状の部品を押し込むまたは引っ込めることができる油圧ツールによって実現される。外側の部品、随意には外側スリーブを広げるため、オイルが、油圧式に円錐状のギャップの中に押し込まれ、これによって、2つの円錐状の表面において一方が他方にもはやもたれなくなる。対応するオイルクリアランス圧力が、内側の円錐の円周が減少する向きにおける軸方向の力を生じさせる。これは、オイルクリアランス圧力、および長さ方向に沿っての円錐状の周囲表面における突出から生成されるものである。そのような油圧ツールが、例えば、EP1775490A1において開示されている。EP1775490A1においては、油圧式のナットがシャフトにねじ込まれており、また、ローラーベアリングが、加圧されたリングピストンによって円錐状のシャフトの端部に押しつけられている。
【0006】
油圧ツールがカップリング装置において集積化されているシステムもまた知られている。例えば、スウェーデンのホーファー(Hofers)のSFKカップリングシステムABは、OKCまたはOKFという名称でそのようなカップリング装置を供給している。これは、円錐状の内側スリーブと、円錐状の外側スリーブと、内側スリーブに外側端部で連結されるとともに、外側スリーブとともに油圧式のチャンバーを形成するリングピストンと、からなっている。
【0007】
説明のため、図1は、従来技術において知られているカップリング装置の断面を示している。ハブ5をシャフト4に押しつけるため、内側スリーブの形態における第1内側カップリングエレメント2が、外側スリーブ31の形態における第2外側カップリングエレメント3の中に配置されており、これらは、ねじ67によって明確に油圧ツール6に連結されている。引っ込められた位置に静的に配置されているシール63を有するリングピストン62が、油圧ツール6の中に配置されている。リングピストン62および油圧ツール6の本体部は、環状の油圧チャンバー61を形成している。リングピストン62は、内側スリーブ21にもたれている。組立のため、ハブ5が外側スリーブ31の上に持ってこられ、また、シャフト4が内側スリーブ21の中に挿入される。油圧チャンバー62は、このとき、油圧供給ライン69’’を介して圧力Paxで加圧されており、このため、軸方向で左に働く力が、油圧ツール6上に、従って外側スリーブ31上に生成される。また、外側スリーブ31の円錐状の内側の面33上の螺旋状の分配溝34が、第2油圧供給ライン69’および油圧ライン68,38を介して圧力Pspを受けており、このため、円錐状の表面22,32の間にオイルクリアランスが形成され、また、ハブ5とともに外側スリーブ31が弾性的に広げられる。外側スリーブ31は、このとき内側スリーブ21上で浮いており、また、油圧ツールにおける左方向へ作用する引っ張り力の結果として、引っ張り力と、相殺的な力と、がオイルクリアランスによって一致するまで、左に動かされる。オイルクリアランス圧力は、最後に開放され、この結果、外側スリーブ31が、収縮するとともに内側スリーブ21上に位置するようになる。所定の待ち時間の後、円錐状の表面22,32の間のギャップがオイルフリーとなり、また、軸方向における油圧の圧力が開放される。このことが、ハブ5および2つのスリーブ31,21のシャフト4上への摩擦的な押圧勘合を生じさせる。油圧ツール6は、その後、取り除かれ得る。分解プロセスは、ほぼ逆の方法となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既知の円錐状の油圧プレス勘合カップリング装置において、終了位置に達した後にオイルクリアランス圧力を開放するとき、引っ張り力が一定のままとなっている間にオイルクリアランス圧力の軸方向の力を減少させる結果として、スリーブ31が、もう一度左に不意に滑るということが起こりうる。このことは、一方では、外側スリーブ31およびハブ5の拡大のための耐力が限度を超えるという結果を起こすかもしれず、他方では、円錐状の表面22,32の互いへの、非直交の制御されていない配置を導くという結果を起こすかもしれず、それは、表面への損傷を引き起こし得る。同時に、ギャップの端部における漏れを増大させる傷が形成され得る。この傷は、その後の分解のための所要のオイルクリアランス圧力がもはや達成され得ないという結果も引き起こし得る。そのような場合、カップリング装置は、もはや非破壊的な方法によっては取り外され得ない。同様の問題は、カップリング装置の分解の間にも生じ得る。この場合、外側スリーブ31は、油圧ツールの力が大きすぎるかまたは小さすぎるかによってオイルクリアランス圧力を増加させる際の両方の方向において滑ることができる。
【0009】
不規則に形成された外側の部品の場合、とりわけハブ5の場合、半径方向における弾性が長さ方向に関して同一となっていないので、異なった押しつけ力の結果として、オイルクリアランスが不規則に厚くなるということになり得る。そのような場合において、周囲のシール35’,35’’は、有利には、ギャップの端部における漏れを最小化し、より高いオイルクリアランス圧力を達成するため、外側スリーブ31の両端に配置されている。
【0010】
その他の既知の円錐状の油圧プレス勘合カップリング装置において、内側スリーブ21は、静摩擦係数を増大させるよう被覆されており、このため、静摩擦係数のμ=0.14(鋼/鋼)またはμ=0.18(鋼/脱脂された鋼)からμ=0.3までの増大が可能となっている。この改善された値が、より大きいトルクの伝達、または、カップリング装置のより小さなデザインを可能とする。外側スリーブを押し付けるとき、とりわけ、オイル圧力を開放する際の不意の滑りの間、上述のように、特殊な被覆が、プラスチックからなるシール35’,35’’を破壊し得る。静摩擦係数を増大させることは、従って、最大オイルクリアランス圧力を増大させる上でのシールの利用と十分に両立し得るものではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、前述の不利な点を有さない、2つの同軸の部品を摩擦によって連結するための装置を提供することである。
【0012】
これらの、およびその他の目的は、独立請求項による、本発明による装置によって実現される。さらなる好ましい形態が、従属請求項においてもたらされる。
【0013】
本発明による装置において、不意の滑りは、内側で連結するカップリングエレメントの円錐の円周が増大する向きにおける外側カップリングエレメントの最大の変位の終了位置を調整可能に特定する固定手段、または、これが達成された後に外側カップリングエレメントの所望の終了位置を固定する固定手段を提供することにより防がれる。これらの固定手段は後に説明されるように、様々な態様において構成され得る。これらは、例えば、油圧ツール上、または、油圧ツールに対向するカップリング装置の端部に配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、先行技術によるカップリング装置を示す断面図。
【図2】図2は、本発明による、2つのスリーブが設けられている装置の可能な形態を示す断面図。
【図3】図3は、ハブが円錐状の内側の周囲表面を有する図2に類似の、本発明による装置の可能な形態を示す図。
【図4】図4は、本発明による、2つのスリーブが設けられている装置の可能な形態を示す断面図。
【図5】図5は、ハブが円錐状の内側の周囲表面を有する図4に類似の、本発明による装置の可能な形態を示す図。
【図6】図6は、本発明による、2つのスリーブが設けられている装置の可能な形態を示す断面図。
【図7】図7は、ハブが円錐状の内側の周囲表面を有する図6に類似の、本発明による装置の可能な形態を示す図。
【図8】図8は、本発明による、2つの同軸のシャフトを連結するための装置の可能な形態を示す図。
【図9】図9は、本発明による、2つの同軸のシャフトを連結するための装置の可能な形態を示す図。
【図10】図10は、本発明による、静的に摩擦を高める被覆を有する装置の外側および内側スリーブの可能な形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、例として示されている、シャフト4およびハブ5を摩擦により連結する、本発明によるカップリング装置1の可能な形態を断面図で示している。
【0016】
円筒状の内側表面23と円錐状の外側周囲表面22とを有するスリーブ21の形態における第1内側カップリングエレメント2が、シャフト4上に配置されている。また、円錐状の内側周囲表面32と円筒状の外側表面33とを有するスリーブ31の形態における第2外側カップリングエレメント3が、内側スリーブ21上に配置されている。また、ハブ5、ここではフランジがつけられたハブが、外側スリーブ31上に配置されている。油圧ツール6、すなわち油圧ナットが、連結エレメント67、すなわち多数のねじ67によって、外側スリーブ31に明確に連結されており、油圧ツール6が、外側スリーブ31に、長さ方向において左へ働く引っ張り力を及ぼすことができるようになっている。装置1の個々のエレメントは、図1の装置におけるそれらに対応しており、これにより、関連する説明に対する言及がなされる。
【0017】
図2の装置1において、外側スリーブ31は、オイルクリアランス圧力を開放した後にとどまるよう意図されている終了位置にある。この場合、油圧ツール6mによって引っ張られて外側スリーブが偶発的にさらに左に滑るのを防ぐため、固定手段7が設けられている。示されている例において、固定手段7は、停止エレメント71としての周囲の肩部で内側スリーブ21の終端エッジ上に支持され、シャフト4上に配置されたリング7となっている。リング7は、多数のねじ77の形態における連結手段によって、外側スリーブ31に明確に連結されている。
【0018】
組立の間、固定手段7それ自体は、外側スリーブ31に連結されていない。外側スリーブ31およびハブ5が終了位置に到達した後、リングは、それが内側スリーブ21に居合わせるまで、左に押し込まれる。ねじ77が、そのとき、リングの貫通穴に挿入されるとともに、ねじ山が切られた外側スリーブ31の対応する穴の中にねじ込まれ、そして、リング7と内側スリーブ21との間にもはや遊びがなくまるまでゆるやかに締められる。オイルクリアランス圧力pspは、そのとき、均一にゼロまで低減される。オイルクリアランス圧力における右に働く力が、このとき、同様に残っている油圧の圧力pax,1および左への引っ張り力とともに小さくなるが、外側スリーブは、もはや左に滑らない。なぜなら、このことが固定手段7により防がれているからである。
【0019】
オイルが円錐状のギャップから完全に流れ出ることができる待ち時間の後、油圧の圧力paxが開放され、また、油圧ツール6が取り除かれる。固定手段7は、好ましくは、所定位置にとどまっている。しかしながら、それは、2つまたは3つ以上の部分(セグメント)から構成され得る。このため、それは、組立の後に再び取り除かれ得る。
【0020】
本発明による装置1の分解の間、油圧ツール6および、もしまだ存在しているのであれば固定手段7が、外側スリーブ41に明確に締結されている。ツール6の油圧の圧力paxは、そのとき、最大値pax,2まで上げられる。この圧力は、好ましくは、組立の間の軸方向における最大の圧力pax,1よりも高くなっている。従って、生成される引っ張り力は、スリーブ21,31間の静的な摩擦によってはじめに吸収される。オイルクリアランス圧力は、その後、十分なオイルクリアランスが生成される値psp,1まで増大される。引っ張り力は、このとき、固定手段7により吸収され、従って、スリーブ31の左への滑りが、固定手段7によって不可能なものとされる。また、右への滑りが、油圧ツール6の強力な軸方向における引っ張り力によって防がれ、この場合、引っ張り力は、当然に、オイルクリアランス圧力よりも大きくなっている必要がある。油圧の圧力paxが、その後、ゆっくりと低減され得る。引っ張り力がこのとき、オイルクリアランス圧力における反対向きの力よりも小さくなる場合、外側スリーブ31が、分解位置の限りにおいて右に向かって移動し始める。この場合、オイルクリアランスが非常に初期からもたらされるので、損傷が全く生じ得ない。
【0021】
図3は、図2の装置にほぼ対応する、本発明による装置1を示している。示されている例において、しかしながら、外側スリーブは設けられていない。しかし、ハブ5それ自体が外側カップリングエレメント3となっており、また、ハブ5が、分配溝54、油圧ライン58およびシール55’,55’’とともに、円錐状の内側の周囲表面52を有している。
【0022】
当然ながら、本発明による装置は、円錐状のピンを有するシャフトによっても同様に実現され得る。ここで、この円錐状のピンそれ自体は、内側カップリングエレメント2となっている。
【0023】
図4は、図2のものと同様に構成されている、本発明によるカップリング装置のその他の可能な形態を示している。この場合、しかしながら、固定手段は、外側スリーブ31の対応する内側のねじ山に係合する外側のねじ山771を有する固定リング7からなっている。リング7はまた、内側スリーブ21の終端エッジにもたれている周囲の肩部71を有している。固定リング7の寸法決めは、固定リング7が初期位置および終了位置の両方において容易に回転され得るとともに、とりわけ、固定リング7がシャフト4に密着しないよう、選択されるべきである。固定リング7を作動させるため、示されている例は、リングがピンまたはホックレンチによって回転され得る半径方向の穴72を有している。また、軸方向に延びる溝、正面側の軸方向の穴、または、正面側の半径方向の溝も使用され得る。
【0024】
既に述べられた形態と同様に、動作が達成される。オイルクリアランスの油圧の圧力を組立プロセスの最後に開放する前に、または、分解中の油圧ツール6の軸方向の油圧の圧力およびオイルクリアランス圧力を増やす前に、固定リング7が、外側スリーブ31の内側のねじ山の中へ、肩部71が内側スリーブ21の端部にもたれるまでねじ込まれる。外側スリーブ31は、このとき、内側スリーブ21上でさらに左には押し込まれ得ない。組立の後、固定リング7は、好ましくは所定位置にとどまっている。固定リングがシャフトの回転の間に緩くなるのを防ぐため、この目的のため、ねじ山が切られたボルト78が、外側スリーブ31の対応する半径方向の穴の中に設けられており、このボルトは、外側のねじ山771にねじ込まれ、これによって、固定リング7を固定する。
【0025】
図5は、外側スリーブ31の代わりに円錐状のハブ5を外側カップリングエレメント3として有する、図4に基づく装置を示している。
【0026】
図6は、本発明による装置1のその他の変形を示しており、ここで、固定手段7は、油圧ツール6の上に配置されている。これは、環状の油圧チャンバー61を形成する2つの部分62’,62’’からほぼなっている。内側の部分62’’が内側スリーブ21上に支持されており、一方、外側の部分62’が、ねじ67によって外側スリーブ31に明確に連結されている。シャフト4と反対側の端部において、内側の部分62’’は、外側のねじ山または分断された螺旋状の差込口金の輪郭部771を有している。外側スリーブ31の終了位置に到達した後、固定ナット7の形態による固定手段が、内側の部分62’’に、および、回転されて同一面上で62’上へ、適用され得る。これによって、内側の部分62’’に対する外側の部分62’の左へのさらなる変位、すなわち、内側スリーブ21に対する外側スリーブ31のさらなる変位が、もはや可能ではなくなる。作動のため、固定ナット7は、半径方向の穴72’または軸方向の穴72’’を有することができる。
【0027】
この変形例は、外側スリーブ31がより単純に構成され得る、とりわけ、軸方向の穴または内側のねじ山無しで構成され得る、という顕著な利点を有しており、また、固定手段7が、組み立てられたカップリング装置1上にはとどまっておらず、何回も利用され得る取り外し可能な油圧ツール6上にとどまっており、製造コストを低減するという顕著な利点を有している。
【0028】
図7はまた、円錐状のハブ3を外側カップリングエレメント3として有する、図6に基づく装置を示している。
【0029】
図8は、2つの同軸のシャフト41,42を連結するための、本発明によるカップリングエレメント1を示している。油圧ツール6は、多数の部品として構成されており、また、第1シャフト41の周りに組み立てられている。各部品は、連結エレメント65、とりわけねじ連結によって連結されている。油圧ツール6は、示されている例において、のこぎり歯の輪郭64によって、内側スリーブ21に明確に連結されている。また、ねじ山またはその他の適切な締結方法も当然に、この目的のために使用され得る。示されている例において、外側スリーブ31は、圧力が相互に連結された多数の油圧シリンダー61によって、内側スリーブ21の上で右に押し込まれる。油圧シリンダー61は、外側スリーブ31にもたれているピストン62を作動させ、従って、右への軸方向の推進力を生成する。内側21の対向する端部において、のこぎり歯の輪郭74によって内側スリーブ21に連結されるとともに、同様に多数の部品からなる固定手段が配置されている。外側スリーブ31の終了位置に到達した後、ねじ71が外側スリーブ31にもたれ、これによってスリーブの右へのさらなる滑りを防ぐまで、ねじ71が固定リング7の対応する軸方向の穴の中にねじ込まれる。組立を完了した後、油圧ツール6および固定手段7の両方は、取り外しされ得るとともに、さらなるカップリングの組立のために使用され得る。
【0030】
図9は、同様に、2つの同軸のシャフト41,42を図8と同様にして連結するための、本発明によるカップリングエレメント1を示している。この場合、しかしながら、固定手段が、一体の固定ナット7として設計されている。固定ナット7は、それが外側スリーブ31にもたれ、これによって、外側スリーブ31の右へのさらなる滑りを明確に不可能にするまで、内側スリーブ21の対応する外側のねじ山771へねじ込まれる。この変形において、組立の後、固定手段7は所定位置にとどまっており、また固定手段は、ねじ山が切られたボルト78によって、来たるべき緩みに対して固定されている。
【0031】
図10は、内側周囲表面における、静的な摩擦を高める被覆321を有する、本発明による装置の外側スリーブ31および内側スリーブ21の形態を示している。外側スリーブ31の内側周囲表面32は、長さ方向における2つの側端部に配置された2つのシール35’,35’’を有している。2つのシールの間で、周囲表面32は、外側スリーブ31の周囲表面32と、内側スリーブ21の周囲表面22との間の静的な摩擦を高める被覆321を有している。適切なものは、例えば、溶射(flame spraying)による硬質の金属粒子を有する被覆となっており、この場合、金属の部分は、熱的には応力をかけられない。内側スリーブ21の外側の円錐状の周囲表面22は、被覆されていない。μ=0.5−0.7の静摩擦係数が、従って実現され得る。そのような構成は、スリーブの部分における、互いに対する偶発的な滑りの事象において、とりわけ組立または分解中のオイルクリアランス圧力の開放または減少の間、シール35’,35’’が、静的に摩擦が高められた荒い被覆321に当接することが決して無く、従って損傷され得ない、という利点を付加的に有している。静的な摩擦をさらに増大させるため、スリーブ21,31の円筒状の表面23,33はまた、対応する被覆231,331を有することができる。この場合、全体的な表面が被覆され得る。なぜなら、押しつけの圧力の下での横方向の変位が生じず、かつ、円筒状の表面23,33および連結されるべき構成部品4,5の間での横方向の変位が生じるべきでないからである。
【符号の説明】
【0032】
1 カップリング装置
11 回転軸
2 第1内側カップリングエレメント
21 内側スリーブ
22 円錐状の外側周囲表面
23 円筒状の内側表面
231 静的な摩擦が高められた被覆
3 第2外側カップリングエレメント
31 外側スリーブ
32 円錐状の内側周囲表面
321 静的な摩擦が高められた被覆
33 円筒形の外側表面
331 静的な摩擦が高められた被覆
34 分配溝
35’,35’’ シール
38 油圧ライン
4 シャフト
41 第1シャフト
42 第2シャフト
5 ハブ
52 円錐状の内側周囲表面
54 分配溝
55’,55’’ シール
58 油圧ライン
6 油圧ツール
61 油圧チャンバー
62,62’,62’’ ピストンエレメント
63,63’,63’’ シール
64 のこぎり歯の輪郭
65 連結手段
66’,66’’ 油圧式の連結
67 連結手段
68 油圧ライン
69’,69’’ 供給ライン
7 固定手段
71 停止エレメント
72,72’,72’’ 穴
74 のこぎり歯の輪郭
75 連結手段
77 連結手段
771 ねじ山
78 ねじ山が切られたボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの同軸の部品(4,5,41,42)、とりわけ、2つのシャフト(41,42)、または、シャフト(4)およびハブ(5)を摩擦によって連結するための装置(1)において、
円錐状の外側周囲表面(22)を有する第1内側カップリングエレメント(2)と、
円錐状の内側周囲表面(32,52)を有する第2外側カップリングエレメント(3)と、を備え、
2つのカップリングエレメント(2,3)は、長さ方向軸(11)の方向において一方が他方の上を可逆的に摺動するのに適したものとなっており、これによって、円錐状の周囲表面(22,32)が互いにもたれ合うよう、半径方向において弾性的に変形され、
2つの同軸の部品(4,5,41,42)は、カップリングエレメント(2,3)の弾性変形により引き起こされる半径方向の力のため、カップリングエレメント(2,3)を介して摩擦によって相互に連結され、
外側カップリングエレメント(3)が、円錐状の周囲表面(32)上の長さ方向における2つの端部の各々において、少なくとも1つの周囲シール(35’,35’’)を有し、
挿入される対応する周囲表面(32)が、静摩擦係数を高める被覆(321)を有することを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
第1カップリングエレメント(2,21)の円筒状の内側表面(23)、および/または、第2カップリングエレメント(3,31)の円筒状の外側表面(33)が、静摩擦係数を高める被覆(231,331)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
静摩擦係数を高める被覆(321,231,331)は、溶射により塗布された硬質の金属粒子からなることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
第1カップリングエレメント(2)の周囲表面(22)の円周が増加する向きにおいて第2カップリングエレメント(3)に作用する軸方向の力を生成することができる手段(61,62,62’,62’’)を備えた油圧ツール(6)と、
2つのカップリングエレメント(2,3)が互いに低い摩擦で変位するのを可能とするオイルで埋められるギャップを、2つの周囲表面(22,32)の間に生成することができる油圧手段(34,54,66’,68,58,38)と、により特徴付けられる、請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
第1カップリングエレメント(2)の周囲表面(22)の円周が増加する向きにおいて第2カップリングエレメント(3,31,5)の最大の可能な変位位置を調整するよう利用され得る固定手段(7)により特徴付けられる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
固定手段(7)が、第2カップリングエレメント(3,31,5)を第1カップリングエレメント(2)の周囲表面(22)の円周が増加する向きにおいて明確に固定するよう利用され得ることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
第2カップリングエレメント(3,31,5)に連結される油圧ツール(6)の一部(62’)が、第1カップリングエレメント(2)の周囲表面(22)の円周が増加する向きにおいて明確に固定され得るよう、固定手段(7)が油圧ツール(6)と協働することを特徴とする請求項5に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−501796(P2011−501796A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529210(P2010−529210)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000416
【国際公開番号】WO2009/049437
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(510109729)
【氏名又は名称原語表記】JAN WERNECKE
【Fターム(参考)】