説明

2つの異なる水素化機能を含むゼオライト触媒を使用する水素化分解方法

【課題】本発明は、触媒を用いる、炭化水素供給原料の水素化分解および/または水素化処理のための方法に関する。
【解決手段】触媒は、単独でまたは混合して使用される、周期律表の第VIB族元素および第VIII族非貴金属元素を含む群から選択される少なくとも1種の水素化脱水素元素と、少なくとも1種の多孔性鉱物マトリクスおよび少なくとも1種の脱アルミニウムUSYゼオライトを含む担体とを含む。脱アルミニウムUSYゼオライトは、全体的なケイ素対アルミニウムの原子比が2.5〜10であり、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合がゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して10%超であり、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積が0.07mL・g−1超であり、元素のメッシュの結晶パラメータaが24.28Å超であり、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%である元素ニッケルの量が前記USYゼオライト上に沈着させられ、前記触媒は硫化物の形態である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の多孔性鉱物マトリクスと、特定の表面組織的特徴(textural characteristics)を有する少なくとも1種の脱アルミニウムYゼオライト(USY)とを含むゼオライト触媒を用いる、水素化転化方法、特に、水素化分解および/または水素化処理方法であって、前記触媒は、2つの異なる水素化活性相を含む、方法に関する。特定の表面組織的特徴を有する前記脱アルミニウムYゼオライト(USY)は、その多孔性ネットワーク中に、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%の量のニッケルによって構成される第1の水素化活性相を含む。さらに、前記触媒はまた、担体上に沈着させられているか、あるいは、担体を構成している多孔性鉱物マトリクス中に含有されている、第2の水素化活性相を有している。第2の水素化活性相は、周期律表の第VIB族元素および第VIII族非貴金属元素を含む群から選択され、単独でまたは混合して用いられる少なくとも1種の水素化脱水素元素を含む。
【0002】
特に、本発明は、周期律表の第VIB族元素および第VIII族非貴金属元素を含む群から選択され、単独でまたは混合して用いられる、少なくとも1種の水素化脱水素元素と、少なくとも1種の多孔性鉱物マトリクスおよび少なくとも1種の脱アルミニウムYゼオライト(USY)を含む担体とを含む触媒を用いる、炭化水素供給原料の水素化分解および/または水素化処理のための方法であって、脱アルミニウムYゼオライト(USY)は、全体的なケイ素対アルミニウムの原子比が2.5〜10であり、ネットワーク外のアルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して10%超であり、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積が0.07mL・g−1超であり、かつ、元素のメッシュの結晶パラメータaが24.28Å超であり、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%の量の元素ニッケルが前記USYゼオライト上に沈着させられ、前記触媒は、硫化物の形態である、方法に関する。
【0003】
本発明が関連する水素化分解および/または水素化処理の炭化水素供給原料は、例えば、芳香族、および/またはオレフィン、および/またはナフテン、および/またはパラフィン化合物を含有するが、フィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)法に由来する供給原料は除かれ、場合により金属、および/または窒素、および/または酸素、および/または硫黄を含有する。
【0004】
したがって、本発明は、少なくとも1種の多孔性鉱物マトリクスと、特定の表面組織的特徴を有する少なくとも1種の脱アルミニウムYゼオライト(USY)とを含むゼオライト触媒を用いる、水素化転化方法、特に、水素化分解および/または水素化処理方法であって、前記触媒は2つの異なる水素化活性相を含む、方法に関する。
【0005】
本発明による水素化分解方法の目的は、本質的に、中間留分、すなわち、沸点が150〜250℃であるケロセン(kerosene)留分と、沸点が250〜380℃であるガスオイル(gas oil)留分を製造することである。
【背景技術】
【0006】
重質石油留分の水素化分解は非常に重要な精製方法であり、これにより、余剰かつ低価値の重質供給原料から、精製業者の製造を需要の構成に適合させるように精製業者によって求められている、より軽質なフラクション、例えば、ガソリン、ジェット燃料、および軽質ガスオイルを製造することが可能である。所定の水素化分解方法により、高度精製残油を得ることも可能であり、この残油により優れたオイル用ベースを得ることが可能である。接触分解と比較して、接触水素化分解の利点は、非常に良好な質の中間留分を得ることにある。逆に、製造されるガソリンのオクタン価は、接触分解由来のものより格段に低い。
【0007】
水素化分解は、その柔軟性が、3つの主要な要素に由来する方法である。3つの要素とは、用いられる操作条件、用いられる触媒のタイプ、および炭化水素供給原料の水素化分解が単一または二段階で行われ得るという事実である。
【0008】
水素化分解方法において用いられる水素化分解触媒は、全て、酸機能と水素化機能とを組み合わせた二機能性タイプのものである。酸機能は、表面積が一般的に150m・g−1から800m・g−1にわたる酸性担体によって提供され、この担体は、例えば、ハロゲン化(特に、塩化またはフッ化)アルミナ、ホウ素およびアルミニウムの酸化物の組み合わせ、より多くの場合、無定形シリカ−アルミナ、およびバインダ(一般的にアルミニウム)と組み合わされたゼオライトである。水素化機能は、元素周期律表の第VIB族の1種以上の金属によるか、または、周期律表の第VIB族の少なくとも1種の金属と第VIII族の少なくとも1種の金属との組み合わせによって提供され、これらの金属は担体上に沈着させられる。
【0009】
触媒の二機能性、すなわち、酸機能と水素化機能との間の関係、力、および距離は、当業者に公知のキーパラメータであり、これは、触媒の活性および選択性に影響を及ぼす。弱い酸機能と強い水素化機能から低活性の触媒が得られ、これは、一般的に高温(390〜400℃以上)で、かつ、供給原料の低い空間速度(触媒の体積単位当たりかつ時間当たりの、処理されるべき供給原料の体積で表されるHSVが、一般的に2以下である)で作用するが、中間留分(ケロセンおよびガスオイル)の選択性は非常に高い。逆に、強い酸機能と弱い水素化機能から活性な触媒が得られるが、中間留分の選択性はより低い。
【0010】
従来のタイプの水素化分解触媒は、例えば、中程度に酸性の無定形担体、例えば、シリカ−アルミナをベースとする。これらの系は、良好な質の中間留分、および、場合による、基油を製造するために用いられる。これらの触媒は、例えば、1段階方法において用いられる。無定形担体をベースとするこれらの触媒の欠点は、それらの弱い活性である。
【0011】
例えば、一部がFAU構造型のYゼオライトを含む触媒は、シリカ−アルミナのものより良好な触媒活性を有するが、中間留分(ケロセンおよびガスオイル)の選択性はより弱い。この差異は、2つのタイプの材料上の酸点(acid site)の力の差異に起因する。
【0012】
従来技術として、ゼオライト触媒の中間留分選択性を向上させることを目的とする、数多くの研究が報告されている。この触媒は、非常に可変の組成の、すなわち、種々の金属を含有してもよい、水素化相を有する化合物であり、前記水素化相は、Yゼオライトおよびバインダによって一般的に構成されるゼオライト担体上に沈着させられる。そのような触媒は、次いで、水素化分解反応において活性にするために硫化される。
【0013】
例えば、Yゼオライトが施され得る種々の処理に関する研究、例えば、Yゼオライトの水蒸気処理または酸攻撃(acid attack)による脱アルミニウム化(例えば、特許文献1の教示による)、あるいはまた、特許文献2の教示によるプロモータの添加または特許文献3の教示によるYゼオライトの小結晶の使用に関する研究が挙げられ得る。
【0014】
触媒中の金属相の性質についてなされてきた研究は少ない。水素化分解触媒において用いられる金属の量は一般的に多く、しばしば触媒の全質量に対して15重量%超である。金属は、一般的に、担体のバインダ(好ましくは無定形であり)上に分散しており、前記担体は、バインダおよびゼオライトによって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第7192900号明細書
【特許文献2】米国特許第6524470号明細書
【特許文献3】米国特許第5401704号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
出願人の調査研究により、非常に特定的な表面組織的特徴を有する脱アルミニウムUSYゼオライトを使用すること、および、ニッケルによって構成される特定の水素化相を前記ゼオライト上に沈着させ、これによって、マトリクス上に沈着させられた水素化脱水素相が補強されるという事実によって、向上した中間留分収率を得ながら、同等の活性を維持することができることを発見するに至った。非常に特定的な表面組織的特徴を有する前記脱アルミニウムUSYゼオライト上に沈着させられた水素化機能は、前記ゼオライトの全質量に対するニッケル金属の重量で0.5〜3%の量で前記ゼオライト上に沈着させられた金属元素ニッケルによって確実なものとされる。
【0017】
本発明の目的は、したがって、炭化水素供給原料の水素化分解および/または水素化処理のための方法であって、従来技術の触媒と比較して向上した等転化(iso-conversion)中間留分収率を得ることを可能とし、非常に特定的な表面組織的特徴を有する脱アルミニウムUSYゼオライトを用いるゼオライト触媒を用い、前記触媒は、2つの異なる水素化相を含み、そのうちの一方は、ゼオライト上に沈着させられる、方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
より正確には、本発明は、周期律表の第VIB族元素および第VIII族非貴金属元素を含む群から選択され、単独でまたは混合して用いられる、少なくとも1種の水素化脱水素元素と、少なくとも1種の多孔性鉱物マトリクスおよび少なくとも1種の脱アルミニウムUSYゼオライトを含む担体とを含む触媒を用いる、炭化水素供給原料の水素化分解および/または水素化処理のための方法であって、脱アルミニウムUSYゼオライトは、全体的なケイ素対アルミニウムの原子比が2.5〜10であり、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して10%超であり、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積が0.07mL・g−1超であり、かつ、元素のメッシュの結晶パラメータaが24.28Å超であり、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%の量の元素ニッケルが前記USYゼオライト上に沈着させられ、前記触媒は硫化物の形態である、方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の利点は、炭化水素留分の水素化分解の非常に高い活性が得られること、中間留分収率の向上、ならびに、先行技術において公知の触媒配合より高い中間留分の選択性にある。
【0020】
あらゆる理論に縛られることを望むことなく、本発明による方法の終わりに得られるこの特定の高い活性は、非常に特定的な表面組織的特徴を有し、特に、全体的なケイ素対アルミニウムの原子比が2.5〜10である脱アルミニウムUSYゼオライトの使用と、マトリクス上に沈着させられた水素化機能および前記ゼオライト上に沈着させられたニッケル、特に、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%の量の元素ニッケルによって構成された水素化機能の共存との双方に起因するようである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明によると、炭化水素供給原料の水素化分解および/または水素化処理のための方法は、周期律表の第VIB族元素および第VIII族非貴金属元素を含む群から選択され、単独でまたは混合して用いられる少なくとも1種の水素化脱水素元素と、少なくとも1種の多孔性鉱物マトリクスおよび少なくとも1種の脱アルミニウムYゼオライト(USY)を含む担体とを含む触媒を用い、脱アルミニウムYゼオライト(USY)は、全体的なケイ素対アルミニウムの原子比が2.5〜10であり、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合がゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して10%超であり、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積が0.07mL・g−1超であり、かつ、元素のメッシュの結晶パラメータaが24.28Å超であり、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%の量の元素ニッケルが前記USYゼオライト上に沈着させられ、前記触媒は硫化物の形態である。
【0022】
本明細書の以降全体を通して、メソ細孔容積は、径が2〜50nmである細孔の容積を意味する。また、ミクロ細孔容積は、径が2nm未満である細孔の容積を意味する。本発明による方法において用いられる触媒担体において使用される脱アルミニウムUSYゼオライトのミクロ細孔およびメソ細孔の容積は、窒素の吸着/脱着によって測定される。この測定方法については、後に説明することとなる。
【0023】
同様に、本明細書の以降全体と通して、本発明による方法において用いられる触媒担体は、少なくとも1種の多孔性鉱物マトリクスと、上記に規定した特定の表面組織的特徴を有する少なくとも1種の脱アルミニウムUSYゼオライトとを含み、好ましくは、これらによって構成され、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%の量の元素ニッケルが前記USYゼオライト上に沈着させられる。
【0024】
好ましくは、前記担体は、以下を含み、かつ、好ましくは以下によって構成される:
− 上記に規定した特定の表面組織的特徴を有する脱アルミニウムUSYゼオライトであって、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%の量の元素ニッケルが前記USYゼオライト上に沈着されている、脱アルミニウムUSYゼオライト:前記担体の全質量に対して0.1〜80重量%、好ましくは0.1〜70重量%、好ましくは0.1〜50重量%;および
− 少なくとも1種の多孔性鉱物マトリクス:触媒の全質量に対して20〜99.9重量%、好ましくは30〜99.9重量%、好ましくは50〜99.9重量%。
【0025】
本発明による方法において用いられる触媒担体において使用される多孔性鉱物マトリクスは、有利には、少なくとも1種の耐火性酸化物によって構成され、この耐火性酸化物は、好ましくは、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、粘土、酸化チタン、酸化ホウ素、およびジルコニウムを含む群から選択され、単独でまたは混合して用いられる。好ましくは、多孔性鉱物マトリクスは、アルミナ、およびシリカ−アルミナから選択され、単独でまたは混合して用いられる。より好ましくは、多孔性鉱物マトリクスは、アルミナである。アルミナは、有利には、当業者に公知の全ての形態で存在し得る。非常に好ましくは、アルミナは、ガンマアルミナである。
【0026】
本発明によると、本発明による方法において用いられる触媒担体において使用される脱アルミニウムUSYゼオライトは、全体的なケイ素対アルミニウムの原子比が2.5〜10であり、好ましくは3〜10であり、好ましくは3〜8であり、初期のネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して10%超、好ましくは15%超、好ましくは20%超であり、窒素ポロシメトリによって測定される初期メソ細孔容積が0.07mL・g−1超、好ましくは0.10mL・g−1超、好ましくは0.14mL・g−1超であり、元素のメッシュの初期結晶パラメータaが24.28Å超、好ましくは24.29Å超、好ましくは24.30Åである。
【0027】
好ましくは、本発明による方法において用いられる触媒担体において使用される前記脱アルミニウムUSYゼオライトは、窒素ポロシメトリによって測定されるミクロ細孔容積が0.20mL・g−1超、好ましくは0.23mL・g−1超である。
【0028】
(前記脱アルミニウムUSYゼオライトの取得)
上記に規定した特定の表面組織的特徴を有し、かつ、本発明による方法において用いられる触媒担体中での使用に適した、脱アルミニウムUSYゼオライトは、有利には、FAU構造型のYゼオライトから調製され、Yゼオライトは、合成後の全体的なSi/Al原子比が好ましくは2.3〜2.8であり、有利には合成後にNaY型で存在する。FAU構造型タイプの前記Yゼオライトは、有利には、脱アルミニウム化段階に付される前に、1回以上のイオン交換に付される。
【0029】
FAU構造型の前記Yゼオライトの脱アルミニウム化処理は、有利には、当業者に公知の全ての方法によって行われ得る。好ましくは、脱アルミニウム化は、水蒸気の存在下の熱処理(蒸気処理)によって、および/または、1回以上の酸攻撃によって行われる。酸攻撃は、有利には、無機または有機の酸の水溶液を用いた処理によって行われる。
【0030】
好ましくは、脱アルミニウム化は、熱処理およびその後に続くに1回以上の酸攻撃によって行われるか、または、1回以上の酸攻撃のみによって行われる。
【0031】
好ましくは、前記Yゼオライトが施される、水蒸気の存在下での熱処理は、200〜900℃、好ましくは300〜900℃、さらにより好ましくは400〜750℃の温度で行われる。前記熱処理の期間は、有利には、0.5時間以上、好ましくは0.5〜24時間、非常に好ましくは1〜12時間である。熱処理の間の水蒸気の体積による百分率は、有利には5〜100%、好ましくは20〜100%、好ましくは40〜100%である。場合により存在する水蒸気以外の体積部分は、空気によって形成される。水蒸気、および場合による空気によって形成されるガスの流量は、有利には0.2〜10L・h−1・g(Yゼオライト)−1である。
【0032】
熱処理により、処理されるゼオライトの全体的なSi/Al原子比を一定に保ちながら、Yゼオライトの骨格からアルミニウム原子を抜き出すことが可能となる。
【0033】
水蒸気の存在下の熱処理は、有利には、本発明による方法において用いられる触媒担体中における使用に適した、所望の表面組織的特徴を有し、かつ、特に、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が前記ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して10重量%超である、脱アルミニウムUSYゼオライトを得るのに必要なだけ何回も繰り返される。熱処理の回数は、有利には4回未満である。好ましくは、単一回の熱処理が行われ、その終わりに、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、アルミニウムのNMRによって測定される。
【0034】
前記Yゼオライトの脱アルミニウム化を行うために、かつ、脱アルミニウムYゼオライトの全体的なSi/Al原子比を、本発明による3〜10の値に調整するために、酸攻撃の各段階の操作条件を注意深く選択し、制御する必要がある。特に、無機または有機の酸の水溶液を用いる処理が行われる温度、用いられる酸の性質および濃度、酸溶液の量と処理されるゼオライトの重量との比、酸攻撃処理の期間、および行われる処理の回数は、酸攻撃の各段階の実施のための重要なパラメータである。
【0035】
前記酸攻撃の段階の実施のために選択される酸は、有利には無機酸または有機酸のいずれかであり、好ましくは、酸は硝酸HNO、塩酸HCl、硫酸HSOから選択される無機酸である。非常に好ましくは、用いられる酸は、硝酸である。酸攻撃のために有機酸が用いられる場合、酢酸CHCOHが好ましい。
【0036】
好ましくは、無機酸または有機酸の水溶液を用いる前記Yゼオライトの酸攻撃処理は、30〜120℃、好ましくは50〜120℃、好ましくは60〜100℃温度で行われる。水溶液中の酸の濃度は、有利には、0.05〜20mol・L−1、好ましくは0.1〜10mol・L−1、より好ましくは0.5〜5mol・L−1である。酸溶液の体積V(mL)と処理されるYゼオライトの重量P(グラム)の比は、有利には1〜50、好ましくは2〜20である。酸攻撃の期間は、有利には1時間超、好ましくは2〜10時間、好ましくは2〜8時間である。酸水溶液を用いる、前記Yゼオライトの連続する酸攻撃処理の回数は、有利には4回未満である。数回の連続する酸攻撃処理が行われる場合、異なる酸濃度の無機または有機の酸の水溶液が用いられ得る。
【0037】
脱アルミニウムUSYゼオライトの全体的なSi/Al原子比を3〜10の値に調整するように、前記比は、行われる各酸攻撃処理の終わりに蛍光X線によって測定される。
【0038】
酸攻撃処理(単数または複数)を行った後に、得られた前記ゼオライトは、次いで、有利には蒸留水で洗浄され次いで80〜140℃の温度で10〜48時間の期間にわたり乾燥されられる。
【0039】
本発明による方法において用いられる触媒担体における使用に適した、得られた脱アルミニウムUSYゼオライトは、場合により脱シリカ化段階に付される。前記脱シリカ化段階において、前記ゼオライトの骨格中に含有されたケイ素原子の一部が抜き出されて、構造中にスペースを生み出してメソ多孔性を形成し、および/または、前記脱アルミニウムUSYゼオライト中に存在するネットワーク外アルミニウム原子の少なくとも一部を、前記ケイ素原子の代わりに再挿入することを可能にする。これにより、新しいブレンステッド酸点の形成が可能となる。この第2の現象は、再アルミニウム化と呼ばれる。
【0040】
任意の脱シリカ化段階は、以下に記載の前記脱アルミニウムUSYゼオライトの改変方法からなる。
【0041】
脱アルミニウムUSYゼオライトは、したがって、有利には、a)前記脱アルミニウムYゼオライトを塩基性水溶液と混合することからなる塩基処理の段階を含む特定の改変方法によって改変される。前記塩基性水溶液は、アルカリ塩基および非アルカリ強塩基から選択される塩基性化合物の溶液であり、前記段階a)は、40〜100℃の温度で5分〜5時間の期間にわたり行われ、少なくとも1回の熱処理段階c)が200〜700℃の温度で行われる。
【0042】
塩基処理の段階a)により、構造からケイ素原子を取り出して、ネットワーク外アルミニウム原子を骨格中に挿入することが可能となる。
【0043】
前記脱アルミニウムUSYゼオライトの前記改変方法は、前記脱アルミニウムUSYゼオライトを、塩基性水溶液と混合することからなる塩基処理の段階a)を含み、前記塩基性水溶液は、アルカリ塩基および非アルカリ強塩基から選択される塩基性化合物の溶液であり、前記段階a)は、40〜100℃の温度で5分〜5時間の期間にわたり行われる。
【0044】
アルカリ塩基から選択される塩基性化合物は、好ましくは、アルカリ炭酸塩およびアルカリ水酸化物から選択され、アルカリ炭酸塩およびアルカリ水酸化物のアルカリカチオンは、有利には周期律表の第IA族または第IIA族に属し、非アルカリ強塩基は、好ましくは、第四級アンモニウムから選択され、単独でまたは混合して用いられ、好ましくは、非アルカリ強塩基は、水酸化テトラメチルアンモニウムである。
【0045】
有利には周期律表の第IA族または第IIA族に属するアルカリ炭酸塩およびアルカリ水酸化物の前記アルカリカチオンは、好ましくは、Na、Li、K、Rb、Cs、Ba2+、およびCa2+のカチオンから選択され、非常に好ましくは、前記カチオンは、NaまたはKのカチオンである。
【0046】
好ましくは、水溶液は、炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムの溶液であり、好ましくは、水溶液は、水酸化ナトリウムの溶液である。
【0047】
前記塩基性水溶液の濃度は、0.001〜12mol・L−1、好ましくは0.005〜11mol・L−1、さらにより好ましくは0.01〜9mol・L−1である。
【0048】
前記脱アルミニウムUSYゼオライトの改変方法の塩基処理段階a)は、40〜100℃(還流)、好ましくは40〜90℃の温度条件下、5分〜5時間、好ましくは15分〜4時間、さらにより好ましくは15分〜3時間の期間にわたり行われる。
【0049】
前記ゼオライトの塩基処理が完了した時点から、溶液は、周囲温度に急速に冷却され、次いで前記ゼオライトは、当業者に公知のあらゆる技術によって液体から分離される。分離は、ろ過または遠心分離によって、好ましくは遠心分離によって行われ得る。得られた改変USYゼオライトは、次いで、20〜100℃、好ましくは40〜80℃、非常に好ましくは50℃の温度で蒸留水により洗浄されて、80〜150℃、好ましくは100〜130℃、非常に好ましくは120℃の温度で乾燥させられる。
【0050】
塩基処理段階a)が、前記脱アルミニウムUSYゼオライトを、アルカリ塩基から選択される化合物の塩基性水溶液と混合することからなる場合、本発明による方法において用いられる触媒担体中に含有されるゼオライトは、改変方法の段階a)の終わりに、アルカリイオンの一部分または全部分をカチオン位置に含有する。
【0051】
塩基処理段階a)が、前記脱アルミニウムUSYゼオライトを、非アルカリ塩基から選択される化合物の塩基性水溶液と混合することからなる場合、本発明による方法において用いられる触媒担体中に含有されるゼオライトは、改変方法の段階a)の終わりに、第四級アンモニウムイオンの一部分または全部分をカチオン位置に含有する。
【0052】
脱アルミニウムUSYゼオライトの改変方法の塩基処理段階a)の間に、前記ゼオライトの骨格中に含有されるケイ素原子の一部が抜き出される。この現象は、脱シリカ化と呼ばれ、構造中にスペースを生み出してメソ多孔性を形成し、および/または、前記脱アルミニウムされた初期のYゼオライト中に存在するネットワーク外アルミニウム原子の少なくとも一部を、脱シリカ化によって抜き出されたケイ素原子に代えて再挿入することを可能とし、したがって、新しいブレンステッド酸点の形成が可能となる。この第2の現象は、再アルミニウム化と呼ばれる。
【0053】
塩基処理段階a)が、前記脱アルミニウムUSYゼオライトを、アルカリ塩基から選択される塩基性化合物の塩基性水溶液、好ましくはアルカリ炭酸塩およびアルカリ水酸化物から選択される塩基性化合物の塩基性水溶液、非常に好ましくは水酸化ナトリウム(NaOH)の溶液と混合することからなる場合、前記初期の脱アルミニウムUSYゼオライトの改変方法は、有利には、周期律表の第IA族および第IIA族に属し、段階a)の間に導入され、かつカチオン位置中に存在する前記アルカリカチオンを、NHカチオンと、少なくとも1回の部分的なまたは完全な交換を行う段階b)を含み、該交換は、好ましくは、NaカチオンのNHカチオンとの交換である。
【0054】
アルカリカチオンの、NHカチオンとの部分的または完全な交換とは、前記アルカリカチオンの、NHカチオンとの、80〜100%、好ましくは85〜99.5%、より好ましくは88〜99%の交換を意味する。ゼオライト中に初期に存在するNHカチオンの量に対する、改変されたゼオライト中に残っているアルカリカチオン、好ましくはNaカチオンの量は、段階b)の終わりにおいて、有利には0〜20%、好ましくは0.5〜15%、好ましくは1〜12%である。
【0055】
好ましくは、この段階のために、数回のイオン交換が、アンモニウムのクロラート、スルファート、ニトラート、ホスファート、またはアセタートの塩から選択される少なくとも1種のアンモニウム塩を含有する溶液を用いて行われて、ゼオライト中に存在するアルカリカチオン、好ましくはNaカチオンが少なくとも部分的に取り除かれる。好ましくは、アンモニウム塩は硝酸アンモニウムNHNOである。
【0056】
したがって、段階b)の終わりに、改変されたゼオライト中に残っているアルカリカチオン、好ましくはNaカチオンの含有量は、アルカリカチオン/アルミニウムのモル比、好ましくはNa/Alモル比が、0.2:1〜0:1、好ましくは0.15:1〜0.005:1、より好ましくは0.12:1〜0.01:1であるように好ましくはされる。
【0057】
所望のNa/Al比は、カチオン交換溶液のNH濃度、カチオン交換の温度、およびカチオン交換の回数を調整することにより得られる。溶液中のNHの濃度は、有利には0.01〜12mol・L−1、好ましくは1〜10mol・L−1の間で変動する。交換段階の温度は、有利には20〜100℃、好ましくは60〜95℃、好ましくは60〜90℃、より好ましくは60〜85℃、さらにより好ましくは60〜80℃である。カチオン交換の回数は、有利には1〜10回、好ましくは1〜4回の間で変動する。
【0058】
塩基処理段階a)が、前記脱アルミニウムUSYゼオライトを、単独でまたは混合して用いられる、非アルカリ強塩基から選択され、好ましくは第四級アンモニウムから選択される塩基性化合物の水溶液と混合することからなり、好適には、非アルカリ強塩基が水酸化テトラメチルアンモニウムである場合、段階a)に由来する改変されたゼオライトは、第四級アンモニウムの一部分または全部分をカチオン位置に含有する。
【0059】
この場合、前記脱アルミニウムUSYゼオライトの改変方法は、有利には、少なくとも1回の中間の部分的なまたは完全な交換を行う段階b)を含まず、段階a)に由来する改変されたゼオライトは、直接熱処理段階c)に付される。
【0060】
本発明によると、脱アルミニウムUSYゼオライトの改変方法は、次いで、少なくとも1回の熱処理段階c)を含む。
【0061】
塩基処理段階a)が、前記脱アルミニウムUSYゼオライトを、アルカリ塩基から選択され、好ましくはアルカリ炭酸塩およびアルカリ水酸化物から選択される化合物の塩基性水溶液と、非常に好ましくは水酸化ナトリウム(NaOH)の溶液と混合することからなる場合、熱処理段階c)により、乾燥と、段階b)の間に交換されたNHカチオンの、プロトンへの転換との両方が可能となる。
【0062】
塩基処理段階a)が、前記脱アルミニウムUSYゼオライトを、非アルカリ強塩基から選択され、好ましくは、第四級アンモニウムから選択され、単独でまたは混合して用いられる化合物の塩基性水溶液と混合することからなり、好適には、非アルカリ強塩基が水酸化テトラメチルアンモニウムである場合、熱処理段階c)により、乾燥と、対イオン位置における第四級アンモニウムカチオンの分解およびプロトンの形成との両方が可能となる。
【0063】
全ての場合において、前記熱処理段階c)の終わりに、ゼオライトのプロトンが、部分的にまたは完全に再生される。
【0064】
本発明による熱処理段階c)は、200〜700℃、より好ましくは300〜500℃の温度で行われる。前記熱処理段階は、有利には、空気下、酸素下、水素化、窒素下、またはアルゴン下で、あるいはこれらの気体の2種以上の混合物下で実施される。前記処理の期間は、有利には1〜5時間である。
【0065】
酸攻撃による脱アルミニウム化処理によって、骨格からアルミニウム原子を抜き出すこと、および、ゼオライト固体物の細孔からアルミニウム原子を抜き出すことの両方が可能となり、脱アルミニウムUSYゼオライトの改変方法の塩基処理により、前記ゼオライトの骨格中に含有されるケイ素原子の一部を抜き出すことが可能となり、この現象は脱シリカ化と呼ばれる。脱シリカ化により、構造にスペースが生み出され、かつ、メソ多孔性の形成が誘発されて、これにより前記初期の脱アルミニウムYゼオライト中に存在する、ネットワーク外アルミニウム原子の少なくとも一部の再挿入が可能となる。この第2の現象は、再アルミニウム化と呼ばれる。
【0066】
したがって、得られた脱アルミニウムおよび場合による脱シリカ化USYゼオライトの全体的なSi/Al原子比は、2.5〜10の値まで増加し、前記ゼオライトは、本発明による方法において用いられる触媒担体における使用に適している。
【0067】
さらに、前記得られた脱アルミニウム化および適宜脱シリカ化USYゼオライトは、上記に規定した、他の特定の表面組織的特徴をも有しており、すなわち、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合は、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して10%超、好ましくは15%超、好ましくは20%超であり、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積は、0.07mL・g−1超、好ましくは0.10mL・g−1超、好ましくは0.14mL・g−1超であり、かつ、元素のメッシュの結晶パラメータaは、24.28Å超、好ましくは24.29Å超、好ましくは24.30Å超である。
【0068】
本発明によると、こうして得られた、かつ、本発明による方法において用いられる触媒担体における使用に適した、前記脱アルミニウムおよび適宜脱シリカ化USYゼオライト上に、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%、好ましくは0.8〜3重量%、好ましくは1.2〜3重量%の量の元素ニッケルが沈着させられる。
【0069】
前記ゼオライト上に沈着させられる水素化活性相は、有利にはニッケルのみによって構成される。
【0070】
前記ゼオライト上に沈着させられた水素化活性相とは、前記ゼオライトの表面全体上に、すなわち、前記ゼオライトのミクロ細孔、メソ細孔、および外表面上に沈着させられた活性相を意味する。
【0071】
元素ニッケルは、有利には、乾式含浸技術またはカチオン交換技術のいずれかによって、前記脱アルミニウムおよび適宜脱シリカ化USYゼオライト上に沈着させられ、あるいは、前記元素ニッケルは、ゼオライトの合成の間に導入される。
【0072】
乾式含浸技術は、前記脱アルミニウムおよび適宜脱シリカ化USYゼオライトの細孔容積を、その成形処理前に、少なくとも1種のニッケルの前駆体を所与の濃度で含有する金属溶液で満たすことからなる。ニッケルの前駆体は、有利には、当業者に公知のニッケルの前駆体から選択され、好ましくは、前記前駆体は、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸ニッケル、および水酸化ニッケルから選択される。
【0073】
カチオン交換技術は、ゼオライト上でHプロトンをNi2+カチオンと交換することからなる。ニッケルの場合、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸ニッケル、または水酸化ニッケルが従来用いられている。このカチオン交換技術は、有利には、ゼオライトがマトリクスと混合される前に、ゼオライト粉体上にニッケル金属を直接沈着させるために用いられる。
【0074】
あるいは、前記元素ニッケルは、有利には、FR 2 869 894の教示により、ゼオライトの合成の間にも導入され得る。
【0075】
前記脱アルミニウムおよび適宜脱シリカ化USYゼオライト上に沈着させられた水素化相の存在の実証は、有利には、当業者に公知の種々の方法、例えば、電子マイクロプローブ法およびゼオライト結晶上および多孔性鉱物マトリクス中に存在する元素の特定および定量化を可能にする検出器を有する、エネルギー分散X線分光計を備えた透過電子顕微鏡法によって行われ得る。
【0076】
(水素化相)
本発明によると、本発明による方法において用いられる触媒は、周期律表の第VIB族元素および第VIII族非貴金属元素を含む群から選択され、単独でまたは混合して用いられる少なくとも1種の水素化脱水素元素と、上記に規定の担体とを含む。
【0077】
好ましくは、周期律表の第VIB族の元素は、タングステンおよびモリブデンを含む群から選択され、単独でまたは混合して用いられる。好ましい実施形態によると、周期律表の第VIB族の元素を含む群から選択される水素化脱水素元素は、モリブデンである。
【0078】
別の好ましい実施形態によると、周期律表の第VIB族の元素を含む群から選択される水素化脱水素元素は、タングステンである。
【0079】
好ましくは、周期律表の第VIII族非貴金属元素は、コバルトおよびニッケルを含む群から選択され、単独でまたは混合して用いられる。好ましい実施形態によると、第VIII族非貴金属の元素を含む群から選択される水素化脱水素元素は、コバルトである。
【0080】
別の好ましい実施形態によると、第VIII族非貴金属の元素を含む群から選択される水素化脱水素元素は、ニッケルである。
【0081】
好ましくは、前記触媒は、少なくとも1種の第VIB族金属を、少なくとも1種の第VIII族非貴金属と組み合わせて含み、第VIII族非貴金属元素は、コバルトおよびニッケルを含む群から選択され、単独でまたは混合して用いられ、第VIB族の元素は、タングステンおよびモリブデンを含む群から選択され、単独でまたは混合して用いられる。
【0082】
有利には、金属の以下の組み合わせが用いられる:ニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル−タングステン、コバルト−タングステン。好ましい組み合わせは、ニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、コバルト−タングステン、ニッケル−タングステンであり、さらにより有利には、ニッケル−モリブデンおよびニッケル−タングステンである。
【0083】
触媒が、少なくとも1種の第VIB族金属を、少なくとも1種の第VIII族非貴金属と組み合わせて含む場合、第VIB族金属の含有量は、有利には、元素の酸化物の百分率で、前記触媒の全質量に対して5〜40重量%、好ましくは8〜35重量%、非常に好ましくは10〜35重量%であり、第VIII族非貴金属の含有量は、有利には、元素の酸化物の百分率で、前記触媒の全質量に対して0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、非常に好ましくは1.5〜6重量%であり、脱アルミニウムUSYゼオライト上に沈着させられた元素ニッケルの含有量は、第VIII族非貴金属の前記含有量中に含まれない。
【0084】
3種の金属の組み合わせ、例えば、ニッケル−コバルト−モリブデン、ニッケル−モリブデン−タングステン、およびニッケル−コバルト−タングステンの組み合わせを用いることも可能である。
【0085】
前記触媒は、有利には以下のものも含有し得る:
− ケイ素、ホウ素、およびリンによって構成される群より選択される少なくとも1種のドーピング元素(ゼオライト骨格中に含有されるケイ素を含まない):触媒の全質量に対して、前記元素の酸化物重量で0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、さらにより好ましくは0.1〜10重量%、および場合による
− 第VB族から選択される少なくとも1種の元素、好ましくはニオブ:触媒の全質量に対する前記元素の酸化物重量で0〜60重量%、好ましくは0.1〜50重量%、一層より好ましくは0.1〜40重量%:およびさらに場合による
− 第VIIA族からから選択される少なくとも1種の元素、好ましくはフッ素:触媒の全質量に対する前記元素の酸化物重量で、0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、さらにより好ましくは0.1〜10重量%。
【0086】
好ましくは、前記触媒は、前記触媒の全質量に対して0.1〜75重量%、好ましくは0.1〜66重量%、好ましくは0.1〜47重量%の含有量の脱アルミニウム化および適宜脱シリカ化USYゼオライトを含み、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%の量の元素ニッケルが前記ゼオライト上に沈着させられる。
【0087】
(触媒の調製)
本発明による方法において用いられる触媒は、有利には、以下の段階を含む調製方法に従って調製される:
a) 脱アルミニウムおよび適宜脱シリカ化USYゼオライトを調製する段階であって、このゼオライトは、上記の方法によって、特許請求された特定の表面組織的特徴を有する、段階、
b) 上記のうち1つの方法に従って、前記脱アルミニウムおよび適宜脱シリカ化USYゼオライト上に、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%の量の元素ニッケルを沈着させる段階、
c) 多孔性鉱物マトリクスと混合しかつ成形して、担体を得る段階、
d) 以下のうち少なくとも1つの方法によって、少なくとも1種の水素化脱水素元素を、マトリクス上に導入する段階:
− 成形の間に前記元素の少なくとも1種の化合物を添加して、前記元素の少なくとも一部を導入する方法、
− 担体に前記元素の少なくとも1種の化合物を含浸させる方法、および
e) 得られた最終生成物の乾燥および焼成を行い、場合により、段階a)またはb)の終わりにあるいは含浸の後に得られた生成物の乾燥および/または焼成を行う段階。
【0088】
好ましくは、前記触媒の調製方法は、段階a)と段階b)との間に、段階a)の終わりに得られた前記脱アルミニウムUSYゼオライトを脱シリカ化させる段階を含み、この脱シリカ化段階は、前記脱アルミニウムUSYゼオライトを塩基性水溶液と混合することからなる塩基処理からなり、この後、上記の熱処理が行われる。
【0089】
より正確には、本発明の触媒は、有利には、以下の4つの段階に従って調製される:
a) 脱アルミニウムおよび適宜脱シリカ化USYゼオライトを調製する段階であって、このゼオライトは、上記の方法によって、特許請求された特定の表面組織的特徴を有する、段階、
b) 上記のうち1つの方法に従って、前記脱アルミニウムおよび適宜脱シリカ化USYゼオライト上に、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%の量の元素ニッケルを沈着させる段階、
段階b)に続いて、場合により、乾燥および/または焼成、あるいは、事前の乾燥無しでの焼成が行われる。乾燥は、有利には、60〜250℃の温度で行われ、焼成は、250〜800℃の温度で30分〜6時間の期間にわたり行われる。
【0090】
含浸後のゼオライトは、有利には、粉体、粉砕粉体(crushed powder)、懸濁液の形態であり得るが、これは限定的ではなく、懸濁液は、脱凝集化処理に付さる。したがって、含浸後のゼオライトは、有利には、担体上の想定される最終ゼオライト含有量に調整された濃度で、酸性にされているかあるいはされていない懸濁液中に配置され得る。一般にスラリーと呼ばれるこの懸濁液は、次いで、有利にはマトリクスの前駆体と混合される。
【0091】
c) 段階b)の終わりに得られた前記含浸ゼオライトと多孔性鉱物マトリクスとの混合物を成形して、担体を得る段階。
【0092】
好ましい成形方法の一つは、好ましくはアルミナの湿潤ゲル中で、数十分間にわたり前記ゼオライトを混練することと、次いで、このように得られたペーストをダイに通すことからなり、これにより、好ましくは0.4〜5mmの径の押出物が形成される。
【0093】
別の好ましい成形方法によると、前記ゼオライトは、多孔性鉱物マトリクスの合成の間に導入され得る。例えば、本発明のこの好ましい実施例によると、前記ゼオライトは、マトリクス、例えば、シリコ−アルミナマトリクスの合成の間に添加される:この場合、前記ゼオライトは、有利には、完全に可溶なシリカ化合物と共にアルミナ化合物を酸媒質中に含む混合物に添加され得る。
【0094】
前記ゼオライト上に沈着させられていない、第VIB族および/または第VIII族の元素の導入は、前記元素の少なくとも1種の化合物を添加することにより、この成形段階c)において場合により行われ得、これにより、前記元素の少なくとも一部が導入される。この導入には、有利には、リン、ホウ素、およびケイ素から選択される少なくとも1種のプロモータ元素の導入、および場合による、第VIIA族および/または第VB族の元素の導入が伴われ得る。成形された固体は、次いで、場合により、60〜250℃の温度で乾燥させられ、250〜800℃の温度で30分から6時間の期間にわたり焼成される。
【0095】
担体は、有利には、当業者に公知のあらゆる技術によって成形され得る。成形は、例えば、押出、ペレット化、油滴凝固(oil drop coagulation)方法、ターンテーブル造粒(turntable granulation)、または、当業者に周知のあらゆる他の方法によって行われ得る。
【0096】
d) 第VIB族および/または第VIII族の元素、場合による少なくとも1種のプロモータ元素(例えば、リン)、場合による第VIIA族の少なくとも1種の元素、および場合による第VB族の少なくとも1種の元素が全体として段階b)の間に導入されなかった場合、それらを、段階b)で得られた、焼成されるかまたは乾燥させられた担体、好ましくは焼成された担体上での含浸によって、導入する段階。
【0097】
段階d)は、有利には当業者に周知の方法によって、すなわち、成形されかつ焼成された担体に、第VIB族および/または第VIII族の元素の前駆体、場合による少なくとも1種のプロモータ元素の前駆体、および場合による第VIIA族および/または第VB族の少なくとも1種の元素の前駆体を含有する溶液を含浸させる1回以上の操作によって行われる。
【0098】
本発明の触媒が第VIII族非貴金属を含有する場合、第VIII族金属は、好ましくは、第VIB族金属の後または第VIB族の金属と同時の、成形されかつ焼成された担体の1回以上の含浸操作によって導入される。
【0099】
段階d)の後に、場合により、60〜250℃の温度での乾燥および場合による250〜800℃の温度での焼成が行われる。
【0100】
モリブデンおよびタングステンの源は、有利には、酸化物および水酸化物、モリブデン酸およびタングステン酸およびこれらの塩、特に、アンモニウム塩、例えば、モリブデン酸アンモニウム、七モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、およびそれらの塩、シリコモリブデン酸、シリコタングステン酸、およびそれらの塩から選択される。好ましくは、酸化物およびアンモニウム塩、例えば、モリブデン酸アンモニウム、七モリブデン酸アンモニウム、およびタングステン酸アンモニウムが用いられる。
【0101】
用いられ得る第VIII族非貴金属元素の源は、当業者に周知である。例えば、非貴金属には、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、およびフッ化物)、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩)、およびカルボナートが用いられることとなる。
【0102】
好ましいリンの源は、オルトリン酸HPOであるが、その塩およびエステル、例えば、リン酸アンモニウムも適している。リンは、例えば、リン酸と、窒素を含有する塩基性有機化合物、例えば、アンモニア、第一級および第二級アミン、環状アミン、ピリジン族およびキノリン族の化合物、およびピロール族の化合物との混合物の形態で導入され得る。タングストリン酸またはタングストモリブデン酸が用いられ得る。
【0103】
リン含有量は本発明の範囲を限定するものではないが、リン含有量は、溶液中に、および/または、担体上に、混合化合物、例えば、タングステン−リン、またはモリブデン−タングステン−リンを形成するように調節される。これらの混合化合物は、ヘテロポリアニオンであり得る。これらの化合物は、例えば、アンダーソン型ヘテロポリアニオン(Anderson heteropolyanion)であり得る。
【0104】
ホウ素の源は、ホウ酸(好ましくは、オルトホウ酸HBO)、二ホウ酸アンモニウムまたは五ホウ酸アンモニウム、酸化ホウ素、ホウ酸エステルであり得る。ホウ素は、例えば、ホウ酸、過酸化水素、および窒素を含有する塩基性有機化合物(例えば、アンモニア、第一級および第二級アミン、環状アミン、ピリジン族およびキノリン族の化合物、およびピロール族の化合物)の混合物の形態で導入され得る。ホウ素は、例えば、水/アルコール混合物中のホウ酸の溶液によって導入され得る。
【0105】
数多くのケイ素の源が用いられ得る。したがって、オルトケイ酸エチルSi(OEt)、シロキサン、ポリシロキサン、シリコーン、シリコーンエマルジョン、ケイ酸ハロゲン化物、例えば、フルオロケイ酸アンモニウム(NHSiFまたはフルオロケイ酸ナトリウムNaSiFを用いることが可能である。シリコモリブデン酸およびその塩、シリコタングステン酸およびその塩も有利には用いられ得る。ケイ素は、例えば、水/アルコール混合物溶液中のケイ酸エチルの含浸によって添加され得る。ケイ素は、例えば水中懸濁液中に置かれたシリコーンタイプのケイ素化合物またはケイ酸の含浸によって添加され得る。
【0106】
用いられ得る第VB族の元素の源は、当業者に周知である。例えば、ニオブの源のうち、酸化物、例えば、五酸化二ニオブNb、ニオブ酸Nb・HO、水酸化ニオブおよびポリオキソニオブ酸塩、式Nb(OR1)(式中、R1はアルキル基である)のニオブアルコキシド、シュウ酸ニオブNbO(HC、ニオブ酸アンモニウムを用いることが可能である。シュウ酸ニオブまたはニオブ酸アンモニウムが好ましくは用いられる。
【0107】
用いられ得る第VIIA族元素の源は、当業者に周知である。例えば、フッ化物アニオンが、フッ化水素酸またはその塩の形態で導入され得る。これらの塩は、アルカリ金属、アンモニウム、または有機化合物を用いて形成される。有機化合物の場合、塩は、有利には、有機化合物とフッ化水素酸との間の反応によって、反応混合物中に形成される。また、水中にフッ化物アニオンを放出することが可能な加水分解性化合物、例えば、フルオロケイ酸アンモニウム(NHSiF、四フッ化ケイ素SiF、またはフルオロケイ酸ナトリウムNaSiFを用いることも可能である。フッ素は、例えば、フッ化水素酸またはフッ化アンモニウムの水溶液の含浸によって導入され得る。
【0108】
本発明による方法において用いられる触媒は、有利には球体または押出物の形態である。しかし、触媒が、0.4〜5mm、より具体的には0.7〜2.5mmの径の押出物の形態で存在することは有利である。それらは、円柱形(それらは中空であってもなくてもよい)、捻れた円柱形、多葉状(例えば、2、3、4または5葉)またはリング状である。円柱形の形状が好適に用いられるが、任意の他の形状が採用され得る。本発明による触媒は、場合により、粉砕粉体、タブレット、リング、ビーズ、ホイールの形態で製造されかつ使用され得る。
【0109】
本発明によると、本発明による方法において用いられる触媒は、硫化物の形態である。したがって、前記触媒の第VIB族金属および/または第VIII族非貴金属は硫化物の形態で存在する。
【0110】
本発明によると、供給原料の注入の前に、本発明による方法において用いられる触媒は、事前に硫化処理に付され、この硫化処理は、処理されるべき供給原料と接触させる前に、少なくとも部分的に金属種を硫化物に転化することを可能にする。硫化によるこの活性化処理は、当業者に周知であり、文献にすでに記載されているあらゆる方法によって、現場で(in situ)、すなわち反応器内で、または現場外(ex situ)で行われ得る。
【0111】
当業者に周知の標準的な硫化方法は、一般的に流動床反応帯域内で、(高純度の、または、例えば水素/硫化水素混合物の流れの下での)硫化水素の存在下に、150〜800℃、好ましくは250〜600℃の温度へ触媒を加熱することからなる。
【0112】
(特徴付け技術)
本発明による方法において用いられる触媒担体において使用される脱アルミニウムUSYゼオライトの全体的なSi/Al原子比は、蛍光X線によって測定される。蛍光X線は、ホウ素から出発する周期律表の全ての元素の分析を可能にする、全元素分析技術である。数ppmから100%までアッセイすることが可能である。本発明において、この技術は、ゼオライト中のケイ素およびアルミニウムを(質量による百分率で)アッセイするために用いられ、したがって、これにより、Si/Al原子比を計算することが可能となる。
【0113】
前記脱アルミニウムUSYゼオライト中に存在する四配位および六配位のアルミニウム原子の重量による割合は、固体状態での27Al核磁気共鳴(NMR)によって測定される。アルミニウムのNMRは、実際、この核の種々の配位状態の位置判定および定量化のために用いられることが知られている。(“Analyse physico-chimiques des catalyseurs industriels”, J. Lynch, Editions Technip (2001) chap. 13, pages 290 and 291)。四配位のアルミニウム原子AlIVは、+40〜+75ppmのケミカルシフトで共鳴し、六配位の、あるいは、ネットワーク外のアルミニウム原子AlVIは、−15〜+15ppmのケミカルシフトで共鳴する。2つのアルミニウム種AlIVおよびAlVIの重量による割合は、これらの種のそれぞれに対応するシグナルの積算によって定量化される。
【0114】
より正確には、前記脱アルミニウムUSYゼオライトは、27Al用に最適化された4−mmのプローブを用いるBruecker Avance 400MHz分光計を用いる、固体状態の27AlのNMR−MASによって分析された。サンプルの回転速度は、14kHz前後である。アルミニウム原子は、スピンが5/2に等しい四極子核である。いわゆる選択的分析条件下、すなわち、30kHzに等しい弱い無線周波数磁場、π/2に等しい小さいパルス角、および水で飽和したサンプルの存在下に、NMR−MASで示されるマジック角スピニング(magic angle spinning:MAS)のNMR技術は定量技術である。各NMR−MASスペクトルの分解によって、種々のアルミニウム種、すなわち、四配位のアルミニウム原子AlIVならびに六配位またはネットワーク外のアルミニウム原子AlVIの量に直接アクセスすることが可能となる。各スペクトルは、アルミニウムシグナルがゼロppmである硝酸アルミニウムの1M溶液に対して、固定されたケミカルシフトを有している。四配位のアルミニウム原子AlIVを特徴付けるシグナルは、エリア1に相当する+40〜+75ppmの間で積算され、六配位のアルミニウム原子AlVIを特徴付けるシグナルは、エリア2に相当する−15〜+15ppmの間で積算される。六配位のアルミニウム原子AlVIの重量による割合は、エリア2/(エリア1+エリア2)の比に等しい。
【0115】
前記脱アルミニウムUSYゼオライトのメッシュの結晶パラメータaは、X線回折(X-ray diffraction:XRD)によって測定される。FAU型のYゼオライトについて、メッシュパラメータaは、Miller指数533、642、および555に相当するピークの位置から計算される。Al−O結合の長さは、Si−O結合の長さより長く、ゼオライトの骨格中の四面体位置におけるアルミニウム原子の数が多いほど、パラメータaは大きくなる。立方晶系メッシュによって構成される結晶、例えばFAUタイプのYゼオライトについて、メッシュパラメータaとSi/Al比との間に線形の関係が存在する。
【0116】
前記脱アルミニウムUSYゼオライトのミクロ細孔およびメソ細孔の容積は、窒素吸着/脱着によって測定される。ミクロ多孔性およびメソ多孔性の固体の窒素吸着等温線曲線の分析により、容積測定技術と呼ばれる技術による細孔容積の計算が可能となる。種々のタイプのモデルが用いられ得る。窒素吸着によって測定される細孔分布は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)モデルによって測定された。BJHモデルによる窒素吸着−脱着等温線は、定期刊行物“The Journal of American Society”, 73, 373, (1951)(E. P. Barrett, L. G. JoynerおよびP. P. Halenda記述)に記載されている。本発明の以下の開示において、窒素吸着容積とは、P/P0=0.95で測定される容積を意味する。ミクロ細孔容積は、「T−プロット」方法によるかあるいはP/P0=0.35で吸着させられる容積を測定することにより求められる。メソ細孔容積は、全細孔容積からミクロ細孔容積を減算することにより得られる。
【0117】
本発明による触媒の調製の完成時に、2つの水素化相は明確に異なっている。2つの水素化相は、ゼオライト結晶中に存在する元素の特定および定量化を可能にするエネルギー分散X線分光計を備えた透過電子顕微鏡法によって実証される。このため、JEOL 2100 HR透過電子顕微鏡が用いられ、これは、JEOL EX-2300-BU エネルギー分散X線分光計を備えている。触媒押出物は、モルタル中で微細に粉砕される。粉体は樹脂に組み入れられて、2つの触媒のために700Å厚の超微細切片が生じさせられる。生じさせられた切片は、調製物のための支持体として機能する孔を有するC膜で覆われたCuグリッド上に集められる。これらの調製物は、赤外線ランプ下で乾燥させられた後、透過電子顕微鏡に導入される。ここで、調製物は、数分にわたり一次真空に付され、次いで観測の間中、二次真空に付される。電子顕微鏡により、アルミナマトリクス中に分散した約0.4ミクロンのサイズを有するゼオライト結晶を正確に特定することが可能となる。次いで、種々のマトリクス帯域上および種々のゼオライト結晶上で、径が0.1ミクロンであるプローブビームにより所定数(15〜20)の局所分析が行われる。シグナルの定量処理により、元素の相対濃度(原子%)を得ることが可能となる(酸素を除く)。
【0118】
(水素化分解および水素化処理の方法)
本発明は、水素存在下200℃超の温度で、1MPa超の圧力下に行われる水素化分解および/または水素化処理方法に関し、空間速度は、0.1〜20h−1であり、導入される水素の量は、水素の体積(リットル)/炭化水素の体積(リットル)の比が80〜5000L/Lであるようにされる。
【0119】
より具体的には、本発明は、上記の触媒を用いる、炭化水素供給原料の水素化転化方法に関し、特に、水素化分解方法、並びに、水素化処理のための方法に関する。
【0120】
好ましくは、本発明による水素化分解方法は、水素の存在下、200℃超、好ましくは250〜480℃、好ましくは320〜450℃、非常に好ましくは330〜435℃の温度で、1MPa超、好ましくは2〜25MPa、好ましくは3〜20MPaの圧力下に、0.1〜20h−1、好ましくは0.1〜6h−1、好ましくは0.2〜3h−1の空間速度で行われ、導入される水素の量は、水素の体積(リットル)/炭化水素の体積(リットル)の比が80〜5000L/L、ほとんどの場合100〜2000L/Lであるようにされる。
【0121】
本発明による方法において用いられるこれらの操作条件により、一般的に、各通過において、各通過において、340℃未満、より良好には370℃未満の沸点を有する生成物への転化率15重量%超、一層より好ましくは20〜95重量%超を達成することが可能となる。
【0122】
本発明はまた、上記の触媒を用いる、炭化水素供給原料の水素化処理方法に関し、前記水素化処理方法は、有利には、単独でまたは水素化分解方法の上流に配置され得る。前記水素化処理方法が以下に記載される。
【0123】
(供給原料)
非常に多様な供給原料が、上記の本発明による方法によって処理され得る。それらは、有利には、340℃超で沸騰する化合物を、少なくとも20体積%、好ましくは少なくとも80体積%で含有している。
【0124】
供給原料は、有利には、LCOs(Light Cycle Oils:軽質サイクルオイル=接触分解装置に由来する軽質ガスオイル)、常圧留出液、真空留出液(例えば、原油の直接蒸留に由来する、あるいは、FCC、コーキング、またはビスブレーキング装置(unit)等の転化装置に由来するガスオイル)、潤滑油ベースから芳香族を抜き出すための装置に由来するかまたは潤滑油ベースの溶媒脱ろうに由来する供給原料、脱硫に由来するかあるいはATRs(atmospheric residues:常圧残油)および/またはVRs(vacuum residues:真空残油)および/または脱アスファルト化されたオイルの固定床または流動床での水素化転化方法に由来する留出液、および脱アスファルト化されたオイルから選択され、単独でまたは混合して用いられる。上記のリストは限定を加えるためのものではない。フィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)プロセスに由来するパラフィンは除外される。前記供給原料は、好ましくは、340℃超、好ましくは370℃超の沸点T5を有し、すなわち、供給原料中に存在する化合物の95%が、340℃超、好ましくは370℃超の沸点を有する。
【0125】
本発明による方法において処理される供給原料の窒素含有量は、有利には500重量ppm超、好ましくは500〜10000重量ppm、より好ましくは700〜4000重量ppm、さらにより好ましくは1000〜4000重量ppmである。本発明による方法において処理される供給原料の硫黄含有量は、有利には0.01〜5重量%、好ましくは0.2〜4重量%、さらにより好ましくは0.5〜3重量%である。
【0126】
供給原料は、場合により金属を含有し得る。本発明による方法において処理される供給原料のニッケルおよびバナジウムの累積含有量は、好ましくは1重量ppm未満である。
【0127】
供給原料は、場合によりアスファルテンを含有し得る。アスファルテン含有量は、一般的に3000重量ppm未満、好ましくは1000重量ppm未満、さらにより好ましくは200重量ppm未満である。
【0128】
(保護床(Guard bed))
供給原料が樹脂タイプおよび/またはアスファルテンタイプの化合物を含有する場合、事前に供給原料を、水素化分解または水素化処理の触媒とは異なる触媒または吸着の床に通すことが有利である。有利には本発明による水素化分解および/または水素化処理方法の上流で有利に用いられ得る触媒または保護床は、FR 2 888 584に記載されている。
【0129】
(実施形態)
上記の触媒を用いる本発明による水素化分解方法では、圧力および転化の範囲が、穏やかな(mild)水素化分解から高圧の水素化分解にまで及ぶ。穏やかな水素化分解とは、中程度の、一般的に40%未満の転化に至り、低圧、一般的に2〜6MPaで操作する水素化分解を意味する。
【0130】
本発明による水素化分解方法は、有利には、上記の前記触媒を単独で、単一または複数の固定触媒床で、1個以上の反応器内で、いわゆる単一段階水素化分解システムにおいて、未転化フラクションの液体の再循環を伴ってあるいは伴わずに、本発明による方法において用いられる触媒の上流に位置する標準的な水素化処理触媒と場合により組み合わせて用い得る。
【0131】
本発明による水素化分解方法はまた、有利には、上記の前記触媒を単独で、単一またはいくつかの流動床反応器内で、いわゆる単一段階水素化分解システムにおいて、未転化フラクションの液体の再循環を伴ってあるいは伴わずに、本発明による方法において用いられる触媒の上流の固定床または流動床の反応器内に位置する標準的な水素化処理触媒と場合により組み合わせて用い得る。
【0132】
流動床は、触媒活性を安定に保つために、日常的な使用済の触媒の取り出しと新しい触媒の追加を伴って作動する。
【0133】
本発明により記載された触媒はまた、有利には、第1の水素化処理反応帯域内で、転化予備処理において、単独で、あるいは、本発明により記載された触媒の上流に位置する別の標準的な水素化精製触媒と組み合わせて、1個以上の触媒床で、1個以上の反応器内で、固定床あるいは流動床で、用いられ得る。
【0134】
(いわゆる単一段階方法)
本発明による水素化分解方法は、有利にはいわゆる単一段階方法で用いられ得る。
【0135】
いわゆる単一段階水素化分解は、主にかつ一般的に、厳密な水素化精製を含む。この水素化精製の目的は、特に供給原料がゼオライトを含む場合、供給原料が実際の水素化分解触媒に通される前に、供給原料の厳密な水素化脱窒および脱硫を行うことである。供給原料のこの厳密な水素化精製により、供給原料のより軽質なフラクションへの限られた転化だけが行われるに至るが、これでは未だ不十分であるため、上記のより活性な水素化分解触媒で完了されなければならない。しかし、2つのタイプの触媒の間で分離が起こらないことに留意されたい。反応器を出る流出物は全て、前記実際の水素化分解触媒上へと注入され、形成された生成物の分離が行われるのはその後だけである。「ワンススルー(Once Through)」とも呼ばれる、このバージョンの水素化分解は、供給原料のより厳密な転化のために未転化フラクションの反応器への再循環を伴う変形例を有する。
【0136】
したがって、本発明により記載された触媒は、有利には、いわゆる単一段階水素化分解方法において、水素化精製帯域の下流に配置された水素化分解帯域内で用いられ、2つの帯域の間で中間分離は行われない。
【0137】
好ましくは、第1の水素化精製反応帯域内で、単独であるいは本発明により記載された水素化分解触媒の上流に位置する別の標準的な水素化精製触媒と組み合わされて用いられる、水素化精製触媒は、アルミナまたはシリカ−アルミナ担体上の第VIII族非貴金属元素をベースとし、かつ場合により第VIB族の元素を組み合わせた触媒である。好ましくは、前記水素化精製触媒は、ニッケルおよびタングステン、または、ニッケルおよびモリブデン、または、コバルトおよびモリブデン、のいずれかを含む。前記触媒はまた、場合により、リン、ホウ素、およびケイ素から選択されるドーピング元素も含む。
【0138】
本発明により記載された触媒はまた、有利には第1の水素化精製反応帯域内で、転化予備処理の際に、単独であるいは本発明により記載された前記触媒の上流に位置する別の標準的な水素化精製触媒と組み合わせて、1個以上の触媒床で、1個以上の反応器内で用いられ得る。
【0139】
(中間分離を伴う、固定床でのいわゆる単一段階方法)
本発明による水素化分解方法は、有利には、中間分離を伴う、固定床でのいわゆる単一段階方法で用いられ得る。
【0140】
前記方法は、有利には、水素化精製帯域と、例えばホットフラッシュによってアンモニアの部分除去を可能にする帯域と、本発明による前記水素化分解触媒を含む帯域とを含む。中間留分および場合による基油の製造のための炭化水素供給原料の水素化分解のためのこの単一段階方法は、有利には、少なくとも1個の第1の水素化精製反応帯域と、第1の反応帯域の流出物の少なくとも一部の水素化分解が行われる少なくとも1個の第2の反応帯域とを含む。この方法はまた、有利には第1の帯域を出る流出物からの、アンモニアとの不完全な分離を含む。この分離は、有利には、中間のホットフラッシュによって行われる。第2の反応帯域において行われる水素化分解は、有利には、供給原料中に存在する量より少ない、好ましくは窒素の重量で1500重量ppm未満、より好ましくは1000重量ppm未満、一層より好ましくは800重量ppm未満の量のアンモニアの存在下に行われる。
【0141】
したがって、本発明により記載された触媒は、有利には、いわゆる単一段階水素化分解方法において、中間分離を伴う固定床で、水素化精製帯域の下流に配置された水素化分解帯域内で用いられ、アンモニアの部分除去の中間分離は、2つの帯域の間で実施される。
【0142】
好ましくは、第1の水素化精製反応帯域内で、単独であるいは本発明により記載された触媒の上流に位置する別の標準的な水素化精製触媒と組み合わせて用いられる水素化精製触媒は、いわゆる単一段階方法の場合の水素化精製触媒と同一である。
【0143】
本発明により記載された触媒はまた、有利には、第1の水素化精製反応帯域内で、転化予備処理の際に、単独であるいは本発明により記載された触媒の上流に位置する別の標準的な水素化精製触媒と組み合わせて、1つ以上の触媒床で、1つ以上の反応器内で用いられ得る。
【0144】
(いわゆる二段階方法)
本発明による水素化分解方法は、有利には、いわゆる二段階方法で用いられ得る。
【0145】
二段階水素化分解は、第1の段階を含み、この第1の段階は、「単一段階」方法において記載のような、供給原料の水素化精製を行うという目的だけでなく、一般的に40〜60%程度の、供給原料の転化率を実現するという目的も有している。第1の段階に由来する流出物は、次いで、ほとんどの場合中間分離と呼ばれる分離(蒸留)に付され、この中間分離は、未転化フラクションから転化生成物を分離するという目的を有する。二段階水素化分解方法の第2の段階において、第1の段階の間に転化されなかった供給原料の部分のみが処理される。この分離により、二段階水素化分解方法における中間留分(ケロセン+ディーゼル)の選択性が単一段階方法より高いことが可能となる。実際、転化生成物の中間分離により、水素化分解触媒上での第2の段階においてそれらがナフサおよびガスに「過剰分解(overcracking)」されるのを防いでいる。さらに、第2の段階で処理された供給原料の未転化部分は、一般的に、非常に低い含有量のNH、並びに、非常に低い含有量の有機窒素化合物を有することに留意されたい(一般に20重量ppm未満、あるいはさらに10重量ppm未満)。
【0146】
いわゆる単一段階方法の場合において記載された固定または流動触媒床の構成は、有利には、本発明による触媒が単独で用いられるかあるいは標準的な水素化精製触媒と組み合わせて用いられるかにかかわらず、いわゆる二段階システムの第1の段階において用いられ得る。
【0147】
したがって、本発明により記載された触媒は、有利には、いわゆる二段階水素化分解方法において、第1の水素化精製段階の下流に置かれた第2の水素化分解段階で用いられ、中間分離が2つの帯域の間で実施される。
【0148】
いわゆる単一段階方法、ならびに、いわゆる二段階水素化分解方法の第1の水素化精製段階のために、有利に用いられ得る標準的な水素化精製触媒は、いわゆる単一段階方法の場合に記載された水素化精製触媒と同一の触媒である。
【0149】
(炭化水素供給原料の水素化処理/水素化精製)
本発明はまた、上記の触媒を用いる炭化水素供給原料の水素化処理のための方法に関し、前記水素化処理方法は、有利には、単独であるいは水素化分解方法の上流に配置されることが可能である。
【0150】
炭化水素供給原料、例えば、石油留分、石炭からの留分、または天然ガスから製造された炭化水素の水素化処理および水素化精製は、芳香族、および/またはオレフィン、および/またはナフテン、および/またはパラフィンの化合物を含有する炭化水素供給原料の水素化、水素化脱硫、水素化脱窒、水素化脱酸素、水素化脱芳香族、および水素化脱金属を含む(前記供給原料は、場合により金属、および/または窒素、および/または酸素および/または硫黄を含有する)。
【0151】
より具体的には、本発明による水素化処理方法において用いられる供給原料は、ガソリン、ガスオイル、真空ガスオイル、常圧残油、真空残油、常圧留出液、真空留出液、重質燃料、油、ろうおよびパラフィン、使用済みオイル、脱アスファルト化された残油またはクルード、熱的または触媒的転化方法に由来する供給原料、ならびに、それらの混合物である。それらは、好ましくは、ヘテロ原子、例えば、硫黄、酸素、窒素および/または少なくとも1種の金属を含有する。
【0152】
本発明による水素化処理方法は、有利には、温度:200〜450℃、好ましくは250〜440℃、圧力:1〜25Mpa、好ましくは1〜18Mpa、毎時空間速度:0.1〜20h−1、好ましくは0.2〜5h−1、標準(normal)の温度および圧力条件下で測定され、液体供給原料の体積当たりの水素の体積で表される水素/供給原料比:一般的に80〜5000L/L、好ましくは100〜2000L/Lで行われる。
【0153】
前記水素化処理方法が、単独であるいは水素化分解方法の上流に配置される場合、本発明により記載された触媒は、有利には、水素化処理反応帯域内で、転化予備処理の際に、単独であるいは本発明により記載された触媒の上流に配置された別の標準的な水素化処理触媒と組み合わせて、1個以上の触媒床で、1個以上の反応器内で用いられ得る。本発明による水素化処理方法の下流に配置された水素化分解方法において用いられる触媒は、有利には、本発明による水素化処理方法において用いられる触媒と同一であるかまたは異なり得る。
【0154】
以下の実施例は、本発明を例証するが、本発明の範囲を制限するものではない。
【0155】
(実施例1−ゼオライトZ1の調製)
市販のUSYゼオライトについて考慮した。このゼオライトは、蛍光X線によって測定される全体的なSi/Al原子比=5.5であり、アルミニウムのNMRによって測定される、初期のネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して40重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定される初期メソ細孔容積が0.14mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される、元素のメッシュの初期結晶パラメータaが24.34Åに等しかった。このUSYゼオライト30gに、硝酸ニッケルの溶液を乾式含浸させて、乾燥ゼオライトの重量に対して2.2重量%のニッケルを沈着させた。含浸させられたUSYゼオライトを、次いで120℃で終夜乾燥させ、次いで、1時間毎に、150℃、250℃、350℃の一定温度に維持した後に、2時間にわたる450℃での熱処理を施した。熱処理は、2L・h−1・g(ゼオライト)−1の流量の空気を用いて行った。得られたゼオライトZ1は、全体的なSi/Al原子比=5.5であり、蛍光X線によって測定されるNi含有量が、乾燥ゼオライトの質量に対して2.2重量%に等しく、アルミニウムのNMRによって測定される、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して39重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積が0.14mL・g−1に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるミクロ細孔容積が0.28mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される元素のメッシュの結晶パラメータaが24.34Åに等しかった。これらの特徴を表1に報告する。
【0156】
(実施例2−ゼオライトZ2の調製)
市販のUSYゼオライトについて考慮した。このゼオライトは、蛍光X線によって測定される全体的なSi/Al原子比=13.8であり、アルミニウムのNMRによって測定される、初期のネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して15重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定される初期メソ細孔容積が0.15mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される、元素のメッシュの初期結晶パラメータaが24.29Åに等しかった。このUSYゼオライト30gに、硝酸ニッケルの溶液を乾式含浸させて、乾燥ゼオライトの重量に対して2.2重量%のニッケルを沈着させた。含浸させられたUSYゼオライトを、次いで120℃で終夜乾燥させ、次いで、1時間毎に、150℃、250℃、350℃の一定温度に維持した後に、2時間にわたる450℃での熱処理を施した。熱処理は、2L・h−1・g(ゼオライト)−1の流量の空気を用いて行った。得られたゼオライトZ2は、全体的なSi/Al原子比=13.8であり、蛍光X線によって測定されるNi含有量が、乾燥ゼオライトの質量に対して2.2重量%に等しく、アルミニウムのNMRによって測定される、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して14重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積が0.14mL・g−1に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるミクロ細孔容積が0.32mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される元素のメッシュの結晶パラメータaが24.29Åに等しかった。これらの特徴を表1に報告する。
【0157】
(実施例3:ゼオライトZ3の調製)
市販のUSYゼオライトについて考慮した。このゼオライトは、蛍光X線によって測定される全体的なSi/Al原子比=5.5であり、アルミニウムのNMRによって測定される、初期のネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して40重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定される初期メソ細孔容積が0.14mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される、元素のメッシュの初期結晶パラメータaが24.34Åに等しかった。このUSYゼオライト30gに、硝酸ニッケルの溶液を乾式含浸させて、乾燥ゼオライトの重量に対して3.5重量%のニッケルを沈着させた。含浸させられたUSYゼオライトを、次いで120℃で終夜乾燥させ、次いで、1時間毎に、150℃、250℃、350℃の一定温度に維持した後に、2時間にわたる450℃での熱処理を施した。熱処理は、2L・h−1・g(ゼオライト)−1の流量の空気を用いて行った。得られたゼオライトZ3は、全体的なSi/Al原子比=5.5であり、蛍光X線によって測定されるNi含有量が、乾燥ゼオライトの質量に対して3.6重量%に等しく、アルミニウムのNMRによって測定される、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して39重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積が0.14mL・g−1に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるミクロ細孔容積が0.27mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される元素のメッシュの結晶パラメータaが24.34Åに等しかった。これらの特徴を表1に報告する。
【0158】
(実施例4−ゼオライトZ4の調製)
市販のUSYゼオライトについて考慮した。このゼオライトは、蛍光X線によって測定される全体的なSi/Al原子比=13.8であり、アルミニウムのNMRによって測定される、初期のネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して15重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定される初期メソ細孔容積が0.15mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される、元素のメッシュの初期結晶パラメータaが24.29Åに等しかった。このUSYゼオライト30gに、硝酸ニッケルの溶液を乾式含浸させて、乾燥ゼオライトの重量に対して3.5重量%のニッケルを沈着させた。含浸させられたUSYゼオライトを、次いで120℃で終夜乾燥させ、次いで、1時間毎に、150℃、250℃、350℃の一定温度に維持した後に、2時間にわたる450℃での熱処理を施した。熱処理は、2L・h−1・g(ゼオライト)−1の流量の空気を用いて行った。得られたゼオライトZ4は、全体的なSi/Al原子比=13.8であり、蛍光X線によって測定されるNi含有量が、乾燥ゼオライトの質量に対して3.5重量%に等しく、アルミニウムのNMRによって測定される、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して14重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積が0.14mL・g−1に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるミクロ細孔容積が0.32mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される元素のメッシュの結晶パラメータaが24.29Åに等しかった。これらの特徴を表1に報告する。
【0159】
(実施例5−ゼオライトZ5の調製)
市販のUSYゼオライトについて考慮した。このゼオライトは、蛍光X線によって測定される全体的なSi/Al原子比=5.5であり、アルミニウムのNMRによって測定される、初期のネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して40重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定される初期メソ細孔容積が0.14mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される、元素のメッシュの初期結晶パラメータaが24.34Åに等しかった。このUSYゼオライト30gに、硝酸コバルトの溶液を乾式含浸させて、乾燥ゼオライトの重量に対して2.2重量%のコバルトを沈着させた。含浸させられたUSYゼオライトを、次いで120℃で終夜乾燥させ、次いで、1時間毎に、150℃、250℃、350℃の一定温度に維持した後に、2時間にわたる450℃での熱処理を施した。熱処理は、2L・h−1・g(ゼオライト)−1の流量の空気を用いて行った。得られたゼオライトZ5は、全体的なSi/Al原子比=5.5であり、蛍光X線によって測定されるCo含有量が、乾燥ゼオライトの質量に対して2.2重量%に等しく、アルミニウムのNMRによって測定される、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して39重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積が0.14mL・g−1に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるミクロ細孔容積が0.28mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される元素のメッシュの結晶パラメータaが24.34Åに等しかった。これらの特徴を表1に報告する。
【0160】
(実施例6−ゼオライトZ6の調製)
市販のUSYゼオライトについて考慮した。このゼオライトは、蛍光X線によって測定される全体的なSi/Al原子比=5.5であり、アルミニウムのNMRによって測定される、初期のネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して39重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定される初期メソ細孔容積が0.14mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される、元素のメッシュの初期結晶パラメータaが24.34Åに等しかった。
【0161】
この脱アルミニウムゼオライト30gを、0.1N水酸化ナトリウム(NaOH)溶液300mLと、60℃で30分間にわたって混合した。氷水での迅速な急冷後、懸濁液をろ過して、ゼオライトを50℃で洗浄し、120℃で終夜乾燥させた。次いで、改変された脱アルミニウムYゼオライトを、80℃の温度でNHNOの1N溶液により3回交換して、部分的に交換されたNH型を得た。ゼオライトを、450℃で2時間にわたり1L・h−1・g(ゼオライト)−1の空気流下で最終的に焼成した。
【0162】
次いで、この脱アルミニウムおよび脱シリカ化USYゼオライトに、乾燥ゼオライトの重量に対して2.2重量%のニッケルを沈着させるように、硝酸ニッケル溶液を乾式含浸させた。含浸させられた脱アルミニウムおよび脱シリカ化USYゼオライトを、次いで、120℃で終夜乾燥させ、次いで、1時間毎に、150℃、250℃および350℃の一定温度に維持した後に、2時間にわたる450℃での熱処理を施した。熱処理は、2L・h−1・g(ゼオライト)−1の空気の流量を用いて行った。
【0163】
得られたゼオライトZ6は、全体的なSi/Al原子比=4.7であり、蛍光X線によって測定されるNi含有量が乾燥ゼオライトの質量に対して2.1重量%に等しく、アルミニウムのNMRによって測定される、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合が、ゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して33重量%に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積が0.28mL・g−1に等しく、窒素ポロシメトリによって測定されるミクロ細孔容積が0.25mL・g−1に等しく、かつ、XRDによって測定される元素のメッシュの結晶パラメータaが24.39Åに等しかった。これらの特徴を表1に報告する。
【0164】
【表1】

【0165】
(実施例7−触媒の調製)
ゼオライトZ1〜Z6を含有する本発明による触媒担体を、ゼオライト12gを用い、これを超微細平板状ベーマイトまたはCondea Chemie GmbHによってPural SB3の名で販売されているアルミナゲルからなるマトリクス88gと混合して製造した。次いで、この粉体の混合物を、60重量%の硝酸を含有する水溶液と混合し、次いで30分間にわたり混練した後、20重量%のアンモニアを含有する水溶液を添加した。得られた混合物を、次いで15分間にわたり混練し、次いで押出を行った。次いで、押出物を600℃で2時間にわたり空気下で焼成した。ガス流量は、1.5L.h−1・g(担体)−1であった。
【0166】
このようにして調製された押出物は、12重量%のゼオライトZ1〜Z6を含有していた。ゼオライトZ1〜Z6は、上記表1に示したように、前記担体の全質量に対してそれぞれ順に11.66、11.66、11.47、11.45、11.64、および11.68重量%のUSYゼオライトに相当する量の元素ニッケルをそれぞれ含んでいた。次いで、13重量%のMoOおよび2.7重量%のNiO(ゼオライト上にすでに存在するNiを考慮に入れない)を沈着させるように、それらに、酸化モリブデンと水酸化ニッケル混合物の溶液を乾式含浸させた。次いで、押出物を空気下に500℃で2時間にわたり焼成し、ガス流量は1L・h−1・g(触媒)−1であった。このようにして、本発明に合致する触媒C1およびC6、並びに、本発明に合致しない触媒C2、C3、C4、およびC5を、それぞれ、ゼオライトZ1およびZ6、並びに、ゼオライトZ2、Z3、Z4、およびZ5から調製した。
【0167】
(実施例8:触媒の分析)
触媒C1、C2、C3、C4、C5、およびC6を分析し、2つの異なる水素化相(一方は、ニッケルから構成されかつゼオライト上に沈着させられ、他方は、ニッケルおよびモリブデンから構成されかつアルミナ酸化物マトリクス上に沈着させられている)の存在を実証した。
【0168】
用いた方法は、ゼオライト結晶中に存在する元素の特定および定量化を可能にするエネルギー分散X線分光計を備えた透過電子顕微鏡法であった。
【0169】
このために、JEOL EX-2300-BU エネルギー分散X線分光計を備えた、JEOL 2100 HR透過電子顕微鏡を用いた。触媒押出物を、モルタル中で微細に粉砕した。粉体を樹脂に組み入れて、両方の触媒について700Å厚の超微細切片を生じさせた。生じた切片を、調製物のための支持体として機能する孔を有するC膜で覆われたCuグリッド上に集めた。これらの調製物を、赤外線(IR)ランプ下で乾燥させた後、透過電子顕微鏡に導入した。ここで、それらを、数分にわたり一次真空に付し、次いで観測の間中、二次真空に付した。電子顕微鏡により、アルミナマトリクス中に分散した約0.4ミクロンのサイズのゼオライト結晶を正確に特定することが可能であった。次いで、径が0.1ミクロンであるプローブビームにより種々のマトリクス帯域上および種々のゼオライト結晶上で、所定数(15〜20)の局所分析を行った。シグナルの定量処理により、元素の相対濃度(原子%)を得ることが可能であった(酸素を除く)。
【0170】
上記実施例に記載の触媒について得られた結果を、表2に要約する。
【0171】
【表2】

【0172】
表2には、全ての触媒が、Yゼオライト結晶上に担持されたニッケルまたはコバルト(C5の場合)を有することが示されている。担体押出物の乾式含浸の間に導入されたモリブデンは、アルミナ上にのみ見られた。したがって、この調製方法により、最終触媒上に、ニッケルまたは触媒C5の場合のコバルトと第二活性相の両方を有することが可能であり、ニッケルまたは触媒C5の場合のコバルトは、ゼオライト上に存在し、ゼオライトの事前乾式含浸に由来し、第二活性相は、モリブデンおよびニッケルを含み、このモリブデンおよびニッケルは、アルミナ上に存在し、担体押出物の乾式含浸に由来する。
【0173】
(実施例9:モデル分子スクアランの水素化分解における触媒の比較)
調製が前の実施例に記載された触媒を、高い転化率(60−100%)の水素化分解条件下で用いた。石油供給原料は、モデル分子であるスクアランと、窒素含有分子であるアニリンと、硫黄含有分子であるジメチルジスルフィド(dimethyl disulphide:DMDS)とから構成されていた。これら2つの化合物により、実際の水素化分解条件下に存在するHSとNHの分圧をシミュレートすることが可能となった。供給原料の特徴を表3に示す。
【0174】
【表3】

【0175】
このようにして調製された供給原料を、水素化分解試験装置に注入した。この水素化分解試験装置は、固定床反応器を含み、供給原料は、下方に流れ、この装置に、触媒20cmを導入した。触媒を、シクロヘキサン/トルエン/DMDS+アニリンの混合物で、350℃までで硫化した。次いで、試験供給原料を触媒上に注入して、その後試験手順を表4に示される操作条件下で行った。
【0176】
【表4】

【0177】
温度を調整して、触媒による粗製転化率(crude conversion)70%を得た。触媒性能を、この粗製転化率レベル70%の達成が可能となった温度と、中間留分(ケロセン+ガスオイル)の収率で表した。
【0178】
原料転化率(crude conversion:CC)は、
CC=流出物中の370℃以下の重量%
に等しい:
ここで「370℃以下」は、370℃以下の温度で蒸留されたフラクションを表す。
【0179】
ケロセン収率(150−250)は、流出物中での沸点が150〜250℃である化合物の重量%に等しい。ガスオイル収率(250−370)は、流出物中での沸点が250〜370℃である化合物の重量%に等しい。中間留分収率(middle-distillates yield;以下、MD収率と表示される)は、これら2つの収率の合計に等しい。
【0180】
表5に、上記実施例に記載の触媒について、反応温度および中間留分の収率を報告する。
【0181】
【表5】

【0182】
ゼオライトZ1〜Z6から調製された本発明による触媒C1〜C6は、ゼオライトZ2、Z3、およびZ4からそれぞれ調製される本発明に合致しない触媒C2、C3、C4、およびC5に対して向上した活性および中間留分の選択性(ケロセン+ガスオイル)を得ることが可能であった。ゼオライトZ2、Z3、Z4およびZ5については、本発明によって要求されたSi/Al比を超える全体的なSi/Al比、すなわちZ2の場合10超、または、要求されたNi含有量を超えるNi含有量、すなわちZ3の場合3%超、のいずれかを有していて、あるいはまた、Z4の場合は両方を有していて、さらにまた、ゼオライトZ5から調製された本発明に合致しない触媒C5については、これに、発明によって要求されたニッケルにではなくコバルトを含浸させた。
【0183】
これらの結果は、非常に特定的な表面組織的特徴、特に、全体的なケイ素対アルミニウムの原子比が3〜10であること、および、これに関連付けられた、マトリクス上に沈着させられた水素化機能および前記ゼオライト上に沈着させられたニッケル、特に、ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%の量の元素ニッケルによって構成される水素化機能との共存、を有する脱アルミニウムUSYゼオライトを使用することにより、要求された条件を満たさないゼオライトを含む先行技術の触媒と比較して、増加した収率および中間留分の選択性を得ることが可能になることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期律表の第VIB族元素および第VIII族非貴金属元素を含む群から選択され、単独でまたは混合して用いられる少なくとも1種の水素化脱水素元素と、少なくとも1種の多孔性鉱物マトリクスおよび少なくとも1種の脱アルミニウムUSYゼオライトを含む担体とを含む触媒の調製方法であって、
a) 脱アルミニウムゼオライトを調製する段階であって、該脱アルミニウムゼオライトは、全体的なケイ素対アルミニウムの原子比が2.5〜10であり、ネットワーク外アルミニウム原子の重量による割合がゼオライト中に存在するアルミニウムの全質量に対して10%超であり、窒素ポロシメトリによって測定されるメソ細孔容積が0.07mL・g−1超であり、元素のメッシュの結晶パラメータaが24.28Å超である、段階;
b) ゼオライトの全質量に対して0.5〜3重量%である量の元素ニッケルを、前記脱アルミニウムゼオライト上に沈着させる段階;
c) 多孔性鉱物マトリクスと混合しかつ成形して担体を得る段階;
d) 以下のうち少なくとも1つの方法によって、少なくとも1種の水素化脱水素元素を、マトリクス上に導入する段階:
− 成形の間に前記元素の少なくとも1種の化合物を添加して、前記元素の少なくとも一部を導入する方法、
− 担体に前記元素の少なくとも1種の化合物を含浸させる方法;および
e) 得られた最終生成物を乾燥および焼成する段階
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の調製方法であって、前記脱アルミニウムUSYゼオライトは、前記脱アルミニウムUSYゼオライトを塩基性水溶液と混合することからなる塩基処理の段階a)を含む脱シリカ化段階に付され、前記塩基性水溶液は、アルカリ塩基および非アルカリ強塩基から選択される塩基性化合物の溶液であり、前記段階a)は、40〜100℃の温度で5分〜5時間の期間にわたり行われ、少なくとも1回の熱処理段階c)は、200〜700℃の温度で行われる、方法。
【請求項3】
元素ニッケルは、乾式含浸技術またはカチオン交換技術によって前記脱アルミニウムUSYゼオライト上に沈着させられるか、あるいは、前記元素ニッケルは、ゼオライトの合成の間に導入される、請求項1または2に記載の調製方法。
【請求項4】
段階b)の後に、乾燥および/または焼成が、あるいは事前の乾燥無しで焼成が行われる、請求項1〜3のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項5】
乾燥は60〜250℃の温度で行われ、焼成は250〜800℃の温度で30分〜6時間の期間にわたり行われる、請求項4に記載の調製方法。
【請求項6】
ゼオライトの全質量に対して1.2〜3重量%の量の元素ニッケルが、前記脱アルミニウムゼオライト上に沈着させられる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項7】
第VIB族の金属の含有量は、元素の酸化物の百分率で、前記触媒の全質量に対して5〜40重量%であり、第VIII族非貴金属含有量は、元素の酸化物の百分率で、前記触媒の全質量に対して0.5〜10重量%であり、脱アルミニウムUSYゼオライト上に沈着させられた元素ニッケルの含有量は、第VIII族非貴金属の前記含有量に含まれない、請求項1〜6のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の調製方法に従って調製された触媒を用いる、炭化水素供給原料の水素化分解および/または水素化処理のための方法であって、前記触媒は、硫化物の形態である、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の水素化分解および/または水素化処理のための方法であって、200℃超の温度で、1MPa超の圧力下に、0.1〜20h−1の空間速度で行われ、水素の体積(リットル)/炭化水素の体積(リットル)の比が80〜5000L/Lであるようにされる、方法。
【請求項10】
前記炭化水素供給原料は、340℃超で沸騰する化合物を少なくとも20体積%含有する、請求項8または9に記載の水素化分解および/または水素化処理のための方法。
【請求項11】
いわゆる単一段階方法で実施される、請求項8〜10のいずれか1つに記載の水素化分解および/または水素化処理のための方法。
【請求項12】
前記触媒は、水素化精製帯域の下流に配置された水素化分解帯域内で用いられ、2つの帯域の間で中間分離は行われない、請求項11に記載の水素化分解および/または水素化処理のための方法。
【請求項13】
いわゆる二段階方法で実施される、請求項8〜10のいずれか1つに記載の水素化分解および/または水素化処理のための方法。
【請求項14】
前記触媒は、第1の水素化精製段階の下流に配置された第2の水素化分解段階内で用いられ、中間分離が2つの帯域の間で行われる、請求項13に記載の水素化分解および/または水素化処理のための方法。

【公開番号】特開2012−143751(P2012−143751A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−856(P2012−856)
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】