説明

2パス多機能トルクコンバータ

【課題】3パス流体回路の機能を提供する2パス流体回路を備えた多機能トルクコンバータを提供し、"ランアウェイ"を回避するためにタービンクラッチが係合させられながらポンプクラッチが係合させられたままである多機能トルクコンバータを提供する
【解決手段】トルクコンバータクラッチのための提供圧力チャンバ116が設けられており、環状空間を有する第1の圧力チャンバ114が設けられており、提供圧力チャンバ及び第1の圧力チャンバと流体連通しておりかつ、第1の圧力チャンバから提供圧力チャンバへの流体の流れを制御するために配置された、弾性的な流れ制御エレメント102が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
本願は、合衆国第35法典第119条(e)に基づいて、2007年7月11日に出願された米国特許仮出願第60/959113号明細書の利益を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、回転駆動ユニット(例えば、自動車のエンジン)と、回転被駆動ユニット(例えば、自動車における変速トランスミッション)との間で力を伝達するための装置の改良に関する。特に、本発明は、3パスシステムとして機能する中実のトランスミッション入力シャフトを使用する2パスシステムを備えた多機能トルクコンバータに関する。
【背景技術】
【0003】
図1は、典型的な車両における、エンジン7と、トルクコンバータ10と、トランスミッション8と、ディファレンシャル/車軸アセンブリ9との関係を示す概略的なブロック線図を示している。自動車のエンジンからトランスミッションへトルクを伝達するためにトルクコンバータが使用されることがよく知られている。
【0004】
トルクコンバータの3つの主要な構成要素は、ポンプ37と、タービン38と、ステータ39とである。トルクコンバータは、ポンプがカバー11に溶接されると、シールされたチャンバとなる。カバーはフレックスプレート41に結合されており、このフレックスプレート41自体はエンジン7のクランクシャフト42にボルト留めされている。カバーは、カバーに溶接されたラグ又はスタッドを用いてフレックスプレートに結合されることができる。ポンプとカバーとの間の溶接された結合はエンジントルクをポンプに伝達する。したがって、ポンプは常にエンジン速度で回転する。ポンプの機能は、この回転運動を利用し、流体を半径方向外方及び軸方向へタービンに向かって送ることである。したがって、ポンプは、流体を小さな半径の入口から大きな半径の出口へ推進する遠心ポンプであり、流体のエネルギを増大させる。トランスミッションクラッチとトルクコンバータクラッチとを係合させるための圧力は、ポンプハブによって駆動される、トランスミッションにおける付加的なポンプによって提供される。
【0005】
トルクコンバータ10において、流体回路は、ポンプ(インペラと呼ばれる場合もある)と、タービンと、ステータ(リアクタと呼ばれる場合もある)とによって構成されている。流体回路は、車両が停止させられている場合にエンジンを回転させ続け、運転手によって望まれた場合に車両を加速する。流体回路は、車両が停止させられている場合にエンジンを回転させ続け、運転手によって望まれた場合に車両を加速する。トルク比は、入力トルクに対する出力トルクの比である。トルク比は、タービン回転速度が低い又はゼロである(ストールとも呼ばれる)場合に最も高くなる。ストールトルク比は通常1.8〜2.2の範囲である。これは、トルクコンバータの出力トルクが入力トルクよりも1.8〜2.2倍だけ大きいことを意味する。しかしながら、出力速度は入力速度よりも著しく低い。なぜならば、タービンは出力部に結合されておりかつ回転していないが、入力部はエンジン速度で回転しているからである。
【0006】
タービン38は、車両を推進するために、ポンプ37から受け取る流体エネルギを利用する。タービンシェル22はタービンハブ19に結合されている。タービンハブ19は、タービントルクをトランスミッションシャフト43に伝達するためにスプライン結合を利用する。入力軸は、トランスミッション8における歯車及び軸と、車軸ディファレンシャル9とを介して、車輪に結合されている。タービン羽根に衝突する流体の力は、トルクとしてタービンから出力される。軸方向スラスト軸受31は、構成要素を、流体によって与えられる軸方向の力から支持する。出力トルクが、静止中の車両の慣性を克服するのに十分であると、車両は動き始める。
【0007】
流体エネルギはタービンによってトルクに変換された後、依然として流体には僅かなエネルギが残されている。小さな半径の出口44から出てくる流体は、通常は、ポンプの回転に対抗するような形式でポンプに進入する。ステータ39は、ポンプの加速を助けるために流体を方向転換させるために使用され、これにより、トルク比を増大させる。ステータ39は一方向クラッチ46を介してステータシャフト45に結合されている。ステータシャフトはトランスミッションハウジング47に結合されており、回転しない。一方向クラッチ46は、ステータ39が低速比(ポンプがタービンよりも速く回転している)において回転するのを阻止する。タービン出口44からステータ39に進入する流体は、ステータ羽根48によって方向転換させられ、回転方向でポンプ37に進入する。
【0008】
羽根の入口角度及び出口角度、ポンプ及びタービンシェルの形状、トルクコンバータの総直径とが、その性能に影響する。設計パラメータは、トルク比と、効率と、エンジンを"ランアウェイ"させることなくエンジントルクを吸収するためのトルクコンバータの能力とを含む。これは、トルクコンバータが小さすぎ、ポンプがエンジンを減速させることができない場合に起こる。
【0009】
低速比においては、トルクコンバータは正常に機能し、車両が静止した状態でエンジンを回転させ、増大した性能のためにエンジントルクを補足する。1よりも小さな速度比では、トルクコンバータの効率は100%に満たない。タービンの回転速度がポンプの回転速度に近づくにしたがって、トルクコンバータのトルク比は、約1.8〜2.2から、約1のトルク比まで次第に減少する。トルク比が1に達したときの速度比はカップリングポイントと呼ばれる。このポイントにおいては、ステータに進入する流体はもはや方向転換される必要はなく、ステータにおける一方向クラッチが、流体を、ポンプ及びタービンと同じ方向に回転させる。ステータが流体を方向転換していないので、トルクコンバータから出力されるトルクは、トルク入力と同じである。流体回路全体はユニットとして回転する。
【0010】
最大トルクコンバータ効率は、流体における損失に基づき92〜93%に限定される。したがって、トルクコンバータクラッチ49は、トルクコンバータ入力部を出力部に機械的に結合するために使用され、効率を100%に改善する。クラッチピストンプレート17は、トランスミッションコントローラによって命令されると、液圧によって作動させられる。ピストンプレート17は、内径においてOリング18によってタービンハブ19に対してシールされており、外径において摩擦材料リング51によってカバー11に対してシールされている。これらのシールは、圧力チャンバを形成し、ピストンプレート17をカバー11と係合させる。この機械的な結合は、トルクコンバータ流体回路をバイパスする。
【0011】
トルクコンバータクラッチ49の機械的結合は、ドライブトレーンに、より多くのエンジンねじれ変動を伝達する。ドライブトレーンが基本的にばね質量系であるので、エンジンからのねじれ変動は、系の固有振動数を励起することができる。ダンパは、ドライブトレーンの固有振動数を、駆動範囲から外れさせるように使用される。ダンパは、エンジン7及びトランスミッション8と直列に配置されたばね15を有しており、これにより、系の有効ばね定数を減衰させ、固有振動数を低下させる。
【0012】
トルクコンバータクラッチ49は、概して、4つの構成要素、すなわちピストンプレート17と、カバープレート12及び16と、ばね15と、フランジ13とを有している。カバープレート12及び16はトルクをピストンプレート17から圧縮ばね15に伝達する。カバープレートウィング52は、軸方向保持のためにばね15の周囲に形成されている。ピストンプレート17からのトルクは、リベット結合部を介してカバープレート12及び16に伝達される。カバープレート12及び16は、ばね窓の縁部と接触することによって、トルクを圧縮ばね15に提供する。両カバープレートは、ばねの中心軸線の両側においてばねを支持するように協働する。ばね力は、フランジばね窓縁部との接触によって、フランジ13に伝達される。時には、フランジは、高トルク時にばねの過剰圧縮を回避するために、カバープレートの一部に係合する回転タブ又はスロットも有している。フランジ13からのトルクは、タービンハブ19と、トランスミッション入力軸43とに伝達される。
【0013】
エネルギ吸収は、望まれるならば、時にはヒステリシスと呼ばれる摩擦によって達せられることができる。ヒステリシスは、ダンパプレートの巻き上げ及び巻出しからの摩擦を含み、したがって実際の摩擦トルクの2倍である。ヒステリシスパッケージは、概して、ダイアフラムばね(又は皿ばね)14から成り、このダイアフラムばね(又は皿ばね)は、フランジ13と、カバープレート16の一方との間に配置されており、フランジ13を他方のカバープレート12と接触させる。ダイアフラムばね14によって加えられる力の大きさを制御することによって、摩擦トルクの大きさも制御されることができる。典型的なヒステリシスの値は、10〜30Nmの範囲である。
【0014】
トルクコンバータのためのロックアップモードにおいて、タービンハブ19に提供されるトルクはほとんど又は全くない。同時に、カバープレート16はダンパを介してエンジントルクを受け取っている。すなわち、プレートとハブとの間のスプライン結合において、カバープレート16とタービンハブとの間の断続的な接触が存在し、望ましくない振動及び騒音を生じる。換言すれば、カバープレートは、エンジントルクの変動によりスプライン結合においてタービンハブに対して衝突し、上述の振動及び騒音を生じる。2006年6月28日に出願された、共同で所有された米国特許仮出願第60/816932号明細書は、トルクコンバータモードにおけるトルクコンバータの作動中の上述の振動及び騒音を回避するための手段を開示している。しかしながら、トルクコンバータモードにおける作動中のトルクコンバータクラッチにおける引きずりをさらに低減することが望ましい。
【0015】
従来の3パストランスミッションシステムは、第3のパスのための中空のトランスミッション入力シャフトを必要とする。2パスシステムにおいて、ポンプクラッチが解離されかつタービンクラッチが係合しない場合にエンジン"フレア"を有することが可能であり、これは、エンジンが"ランアウェイ"する若しくは制限なく自由に回転することを意味する。別のシステムは、トルクコンバータクラッチが適用する場合にポンプクラッチが係合されたままであることを許容するが、中空の入力シャフト及び3パスシステムを必要とし続けている。
【0016】
車両がアイドリングしているときにエンジンから多機能トルクコンバータにおけるポンプを切断するためにデュアルマス構成及びポンプクラッチを使用することが知られている。あいにく、様々な作動モード及び車両作動条件におけるこのようなトルクコンバータの性能は、一貫していない。
【0017】
したがって、タービンクラッチを係合させながらポンプクラッチ係合を維持することができる2パスシステムを備えたトルクコンバータを提供することは長い間必要とされている。さらに、中実の入力シャフトを維持しながらエンジンの"ランアウェイ"を減じるトランスミッションシステムを提供することは長い間必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の全体的な目的は、3パス流体回路の機能を提供する2パス流体回路を備えた多機能トルクコンバータを提供することである。
【0019】
"ランアウェイ"を回避するためにタービンクラッチが係合させられながらポンプクラッチが係合させられたままである多機能トルクコンバータを提供することも本発明の全体的な目的である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の概要
本発明は、広くは、トルクコンバータクラッチのための提供圧力チャンバと、環状空間を有する第1の圧力チャンバと、提供チャンバ及び第1の圧力チャンバと流体連通しておりかつ提供圧力チャンバへの流体を制御するために配置された弾性的な流れ制御エレメントとを有する多機能トルクコンバータを含む。第1の実施形態において、弾性的な流れ制御エレメントは、トルクコンバータのためのトルクコンバータモードにおいて提供圧力チャンバへの流体を遮断するように配置されている。第1の実施形態において、トルクコンバータは第2の圧力チャンバを有しており、クラッチは、少なくとも部分的に提供圧力チャンバと第2の圧力チャンバとを仕切ったピストンプレートを有しており、ピストンプレートは、提供圧力チャンバ及び第2の圧力チャンバと流体連通したオリフィスを有している。
【0021】
第3の実施形態において、トルクコンバータは冷却流体を有しており、クラッチは摩擦材料を有しており、トルクコンバータのためのロックアップモードの間、冷却流体は、オリフィス及び第2の圧力チャンバを介して摩擦材料を通って提供圧力チャンバから流れるように配置されている。第4の実施形態において、第2の圧力チャンバは、トルクコンバータのためのトルクコンバータモード及びロックアップモードの間の圧力解放である。第5の実施形態において、第1の圧力チャンバは、トルクコンバータのためのアイドル切断モードの間の圧力解放である。第6の実施形態において、トルクコンバータはポンプクラッチを有しており、第1の圧力チャンバは、ポンプクラッチのための提供圧力チャンバを有しており、トルクコンバータのためのロックアップモードにおいて、弾性的な流れ制御エレメントは、提供圧力チャンバへの流体連通を可能にするように配置されている。
【0022】
第7の実施形態において、トルクコンバータはポンプクラッチを有しており、第1の圧力チャンバは、ポンプクラッチのための提供圧力チャンバを有しており、第1の圧力チャンバ内の圧力は、トルクコンバータのためのロックアップ及びトルクコンバータモードにおいてポンプクラッチをつなぐように配置されている。第8の実施形態において、トルクコンバータは、第2の圧力チャンバとポンプクラッチとを有しており、第1の圧力チャンバは、ポンプクラッチのための提供圧力チャンバを有しており、トルクコンバータのためのアイドル切断モードの間、第2の圧力チャンバ内の圧力は、トルクコンバータクラッチとポンプクラッチとを切断するように増大されるように配置されている。第9の実施形態において、トルクコンバータは、提供圧力チャンバ及び第1の圧力チャンバに冷却流体を提供するように配置された第1の圧力チャネルを有するか、又はトルクコンバータは、第2の圧力チャンバに冷却流体を提供するように配置された第2の圧力チャネルを有している。
【0023】
本発明は、広くは、トルクコンバータクラッチのための提供圧力チャンバと、弾性的な流れ制御エレメントとを有する多機能トルクコンバータをも含む。トルクコンバータのためのトルクコンバータモードにおいて、弾性的な流れ制御エレメントは、提供圧力チャンバへの流体流れを遮断するように配置されており、トルクコンバータのためのロックアップモードにおいて、弾性的な流れ制御エレメントは、提供圧力チャンバへの流体流れを可能にするように配置されている。1つの実施形態において、トルクコンバータは、トルクコンバータクラッチピストンプレートを有しており、提供圧力チャンバへの流体流れは、トルクコンバータクラッチピストンプレートを軸方向に変位させるように配置されている。別の実施形態において、トルクコンバータは、トルクコンバータクラッチを有しており、トルクコンバータクラッチピストンプレートの軸方向変位は、トルクコンバータクラッチを係合させる。
【0024】
本発明は、さらに、広くは、ポンプクラッチのための提供圧力チャンバとトルクコンバータのための提供圧力チャンバとを有する第1の流体回路が設けられており、トルクコンバータのための個々の提供圧力チャンバとポンプクラッチとを少なくとも部分的に仕切っている第2の流体回路が設けられており、トルクコンバータクラッチのための提供圧力チャンバへの流れを制御するために配置された弾性的な流れ制御エレメントが設けられた、多機能トルクコンバータをも含む。1つの実施形態において、第2の流体回路における圧力が第1の流体回路における圧力よりも大きい場合にポンプクラッチが解離される。別の実施形態において、第2の流体回路における圧力が第1の流体回路における圧力よりも大きい場合にトルクコンバータクラッチが解離される。
【0025】
本発明は、広くは、環状空間を有する第1の圧力チャンバと、第2の圧力チャンバと、トルクコンバータのためのロックアップモードの間、第及び第2の圧力チャンバの間の開口を制御するために軸方向に変位可能な弾性的な流れ制御エレメントとを有する、トルクコンバータをも含む。第1の実施形態において、弾性的な流れ制御エレメントは、トルクコンバータのためのトルクコンバータモードの間、開口を遮断する。第2の実施形態において、トルクコンバータは、第1及び第2の圧力チャンバから独立した切断チャンバを有する。第3の実施形態において、トルクコンバータのためのアイドル切断モードの間、流体圧力が、第1及び第2の圧力チャンバよりも、切断チャンバにおいて大きい。
【0026】
第4の実施形態において、トルクコンバータは、トルクコンバータクラッチと、トルクコンバータクラッチピストンプレートと、ポンプクラッチとを有しており、トルクコンバータクラッチは、トルクコンバータクラッチピストンプレートに回転方向で結合された摩擦プレートを有する。第5の実施形態において、切断チャンバにおける流体圧力が第1及び第2の圧力チャンバにおける流体圧力よりも大きい場合、トルクコンバータクラッチ及びポンプクラッチは、切断位置へ押し付けられる。第6の実施形態において、第2の圧力チャンバ内の流体圧力が増大されると、流体圧力は、トルクコンバータクラッチピストンプレートを第1の流体圧力チャンバに向かって軸方向に押し付け、トルクコンバータクラッチをつなぐ。第7の実施形態において、トルクコンバータクラッチはポンプクラッチに固定されている。
【0027】
本発明は、広くは、第1のチャンバを加圧するためにチャネルに流体を流れさせ、ポンプクラッチをつなぐために第1の圧力を提供し、第2の流体圧力を提供し、第2の流体圧力によって弾性的な流れ制御エレメントを軸方向に変位させ、第2の圧力によってトルクコンバータクラッチピストンプレートを軸方向に変位させるステップを含む、トルクコンバータを制御する方法をも含む。
【0028】
本発明のこれらの目的及び利点並びにその他の目的及び利点は、本発明の好適な実施形態の以下の説明と、添付の図面及び請求項とから容易に認められるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の性質及び態様がここで、添付の図面を参照した発明の以下の詳細な説明により完全に説明される。
【0030】
まず、異なる図面における同じ参照符号は、発明の同じ又は機能的に類似の構造エレメントを表していることが認識されるべきである。本発明は、現時点で好適な態様であると考えられるものに関して説明されるが、請求項に記載の発明は開示された態様に限定されないと理解されるべきである。
【0031】
さらに、発明は、記載された特定の方法、材料及び変化態様に限定されず、もちろん変更することができる。ここで使用されている用語は、特定の態様だけを説明するためのものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではなく、発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定される。
【0032】
特に定義されない限りは、ここで使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者にとって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。ここに説明されたものと同じ又は均等のあらゆる方法、装置又は材料が発明の実施又は試験において使用されることができるが、好適な方法、装置及び材料がここでは説明されている。
【0033】
図7Aは、本願において用いられる空間に関する用語を説明する円筒座標系80の斜視図である。本発明は、少なくとも部分的に円筒座標系に関連して説明される。系80は長手方向軸線81を有しており、この長手方向軸線は、以下の方向及び空間の用語のための基準として使用される。"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という形容詞は、軸線81、半径82(軸線81に対して直交する)及び円周83のそれぞれに対して平行な方向に関する。"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という形容詞は、個々の平面に対して平行な方向にも関する。様々な平面の配置を明らかにするために、物体84,85及び86が用いられている。物体84の面87は軸方向平面を形成している。すなわち、軸線81はこの面に沿った線を形成している。物体85の面88は半径方向平面を形成している。すなわち、軸線82はこの面に沿った線を形成している。物体86の面89は周方向平面を形成している。すなわち、軸線83はこの面に沿った線を形成している。別の例として、軸方向の移動又は配置は軸線81に対して平行であり、半径方向の移動又は配置は半径82に対して平行であり、周方向の移動又は配置は円周83に対して平行である。
【0034】
"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という副詞は、軸線81、半径82又は円周83のそれぞれに対して平行な方向に関する。"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という副詞は、個々の平面に対して平行な方向にも関する。
【0035】
図7Bは、本願において用いられる空間に関する用語を説明する図7Aの円筒座標系における物体90の斜視図である。円筒状物体90は、円筒座標系における円筒状物体を表しており、本願発明をどのようにも限定しようとするものではない。物体90は、軸方向の面91と、半径方向の面92と、周方向の面93とを有している。面91は軸方向平面の一部であり、面92は半径方向平面の一部であり、面93は周方向平面の一部である。
【0036】
図8は、本発明の多機能トルクコンバータ100の断面図である。トルクコンバータ100は、弾性的な流れ制御エレメント102と、トルクコンバータクラッチ106に回転方向で結合されたポンプクラッチ104と、カバー110に回転方向で結合されたダンパ108と、ポンプ112とを有する。ポンプクラッチは、圧力チャンバ114の一部を形成している。チャンバ114の一部を形成するとは、ポンプクラッチ104が圧力チャンバのための境界の少なくとも一部を形成していることを意味する。つまり、ポンプクラッチは、チャンバの外部の一部を形成している。弾性的な流れ制御エレメント102も、圧力チャンバ114のための境界の少なくとも一部を形成している。
【0037】
チャンバ116内の圧力がチャンバ122内の圧力よりも大きい場合にトルクコンバータクラッチピストンプレート118を矢印120の方向に軸方向に変位させるように、提供チャンバ116が操作的に配置されている。チャンバ114内の圧力が、弾性的な流れ制御エレメント102の力を克服した場合、チャンバ116は、流れキー124を介してチャンバ114から流体流れを受け取る。弾性的な流れ制御エレメントは、プランジャ126と、ばね128と、シール130とを有する。ばね128は、コイルばね、波形座金、皿ばね、又は技術分野において知られたあらゆるその他のばねであることができる。流体が流れキー124を介して引き渡されるために、プランジャ126は矢印132の方向に軸方向に変位させられなければならない。プランジャ126が流れキー124を超えて変位させられると、チャンバ114からの流体は、流れキー124を通ってチャンバ116内へ流れる。
【0038】
提供チャンバ116は、少なくとも部分的にトルクコンバータクラッチピストンプレート118と、シール134と、カバー110とによって形成されている。提供チャンバ116内の圧力がチャンバ122内の圧力よりも大きい場合、チャンバ116内の流体圧力は、トルクコンバータクラッチピストンプレート118を軸方向に変位させ、これにより、トルクコンバータクラッチ106を係合させる。チャンバ114内の流体圧力が、弾性的な流れ制御エレメント102の力を克服すると、チャンバの間の流体連通によりチャンバ114と116との間で圧力が平衡される。流体圧力がチャンバ114及び116に提供されると、チャンバ122は圧力解放として作用する。逆に、流体圧力がチャンバ122に提供されると、チャンバ114は圧力解放として作用する。
【0039】
チャンバ114は、少なくとも部分的にポンプ112と、ポンプクラッチ104と、ポンプクラッチピストンプレート136と、タービンハブ138と、プランジャ126とによって形成されている。ポンプクラッチ104は、ピストンプレート136と、支持プレート140と、摩擦材料142とを有する。支持プレート140は、溶接146、リベット、又はあらゆるその他の結合手段であることができる技術分野において知られたあらゆる結合手段によってポンプシェル145に結合されている。支持プレート140は、チャンバ114における移動によって生ぜしめられるピストンプレート136の提供力に対抗するように操作的に配置されている。摩擦材料142は、ピストンプレート136の部分と支持プレート140との間に操作的に配置されている。ポンプクラッチ104は、チャンバ114内の圧力がチャンバ122内の圧力よりも大きい場合につながり、チャンバ122内の圧力がチャンバ144よりも大きい場合に切断されるように作用的に配置されている。幾つかの態様において、チャンバ114は、少なくとも部分的にタービンによって形成されたポンプクラッチ104のための提供圧力チャンバをも有する。
【0040】
ピストンプレート136は、シールを用いてタービンハブ138にシールされておりかつ、結合手段144を介してクラッチ106に回転方向で結合されておりかつ、タービンハブ138に回転方向で結合されていることができる。回転方向での結合は、スプライン結合であることができる。回転方向で結合又は固定されているとは、2つの構成要素が一緒に回転する、すなわち2つの構成要素が回転に関して固定されているようにピストンプレートとクラッチとが結合されていることを意味する。2つの構成要素を回転方向で結合することは、必ずしも他の方向での相対移動を制限するわけではない。例えば、回転方向で結合された2つの構成要素が、スプライン結合を介して互いに対して軸方向移動を行うことが可能である。しかしながら、回転方向での結合は、他の方向での移動が必ずしも存在することを意味すると理解されるべきではない。例えば、回転方向で結合された2つの構成部材は、軸方向で互いに固定されていることができる。回転方向での結合の前記説明は、以下の説明にも適用可能である。
【0041】
ピストンプレート136は、ダンパ108及びカバー110に結合された結合手段144を介してクラッチ106に回転方向で結合されているので、ピストンプレート136は、エンジン速度で回転するように作用的に配置されている。ポンプクラッチ104がつながれている場合、すなわちチャンバ114内の流体圧力がチャンバ122内の流体圧力よりも大きい場合、エンジン回転はポンプクラッチを介してポンプ12に伝達される。ポンプ112がポンプクラッチ104を介して回転方向で結合されている場合、ポンプクラッチが流体ダンプニングを介して係合される又はつながれる場合はいつでもエンジン回転が調整される。調整されるとは、ポンプ112の回転が、チャンバ114内の流体によって抵抗され、これにより、エンジンの"ランアウェイ"を回避する。抵抗されるとは、チャンバ114内の流体がポンプ112の回転に対抗し、その他のダンプニングエレメントがトルク回路から除去された場合に加速を回避する。"ランアウェイ"とは、対抗する力の除去により予想を超えて増大する加速を意味する。言い換えれば、"ランアウェイ"は、ダンプニング力の除去によりエンジン速度が増大する望ましくない条件である。
【0042】
トルクコンバータクラッチ106は、摩擦プレートと、摩擦プレートの間に配置された摩擦材料とを有する。摩擦プレート148A,148B,148Cは、結合手段144に回転方向で結合されておりかつ、摩擦プレート148A−Cと150A−Cとの間の摩擦材料を介して摩擦プレート150A及び150Bと摩擦係合するように配置されている。技術分野において知られたあらゆるタイプの摩擦材料が使用されることができる。摩擦材料は、技術分野において知られたあらゆる形式で構成されることもできる。例えば、摩擦材料は別のコンポーネント、例えば摩擦プレート148に取り付けられることができるか、又は別のコンポーネント、例えば摩擦プレート148A,148B,148C等のその他のコンポーネントの間に配置される別個のエレメントであることができる。作動中、クラッチ106の圧縮は摩擦プレート148及び150を摩擦により係合させ、これにより、結合手段144とトルクコンバータクラッチピストンプレート118とを回転方向で係合させる。チャンバ114及び116の両方における流体圧力がチャンバ122内の流体圧力よりも大きい場合、クラッチ106はピストンプレート118及びピストンプレート136によって圧縮される。
【0043】
ポンプクラッチ104は、以下に説明されるようにトルクコンバータのためのトルクコンバータモード及びトルクコンバータクラッチモードの間は係合させられるように操作的に配置されている。トルクコンバータモードにおいて、ポンプクラッチ104は、チャンバ114と流体連通したチャンバ122における流体圧力よりも大きいチャンバ144内の流体圧力によって係合させられる。クラッチがつながれている場合、冷却流体は、圧力チャンバ114から摩擦材料を通り、例えば摩擦材料(図示せず)における溝を通り、チャンバ122へ流れるように配置されている。つまり、トルクコンバータ100は摩擦材料を通る有利な冷却流れを提供し、環状空間から冷却流れを受け取り続けながら、摩擦材料の性能及び耐久性を高める。幾つかの態様において、ピストンプレート136は、チャンバ114からチャンバ122への冷却流体の流れを可能にするように配置されたオリフィス(図示せず)を有する。例えば、オリフィスは、流れのための寸法的に安定した通路を提供する。幾つかの態様において、ピストンプレート118は、チャンバ116からチャンバ122への冷却流体の流れを可能にするように配置されたオリフィス119をも有する。
【0044】
チャンバ114及び116がチャネル154を介して流体を受け取りながら、チャンバ122はチャネル152を介して流体を受け取る。つまり、弾性的な流れ制御エレメント102を使用することによって、チャネル154は2つのパスチャネルとして作用し、1つのチャネルだけで2つのチャンバに流体圧力を提供する。有利には、この配列は、2つの入力チャネルのみを備えた3つのチャンバの作動を許容する。作動中、流体がチャネル152を介して方向付けられる場合、チャネル154は、放圧チャネルとして作用し、これにより、流体は、チャネル152内の圧力を減じる手段としてチャネル154へ逸らされることができる。同じ形式において、チャネル152は、上述のようにチャネル154における圧力を減じる手段として作用する。
【0045】
図9は、トルクコンバータのためのトルクコンバータモードの間の、トルクコンバータ100の部分的な断面図である。トルクコンバータモードの間、流体圧力はチャネル154を介してチャンバ114に導入され、これにより、チャンバ114内の圧力は、チャンバ122及びチャンバ116内の圧力よりも大きい。トルクコンバータモードにおいて、チャンバ114内の流体圧力は、弾性的な流れ制御エレメント102の力を克服するための十分な力を生ぜしめず、したがって、チャンバ116は、トルクコンバータのためのトルクコンバータモードの間に存在する流体圧力を有しておらず、チャンバ114はチャンバ116と流体連通していない。
【0046】
ピストンプレート136は、チャンバ114内の流体によって矢印132の方向に軸方向に強制される。ピストンプレート136の軸方向の移動は、ポンプクラッチ104を係合させ、ポンプ112とピストンプレート136とを回転方向で結合させる。ピストンプレート136はカバー110に回転方向で結合されているので、ポンプ112は、トルクコンバータモードの間はエンジン速度で回転し、トルクを増大させるように配置されている。ピストンプレート136はクラッチ106に向かって軸方向に移動するが、ピストンプレート136の軸方向の行程はトルクコンバータクラッチを圧縮するのに十分に大きくはないので、クラッチ106は係合しない。
【0047】
図10は、トルクコンバータのためのロックアップモードの間の、トルクコンバータ100の部分的な断面図である。トルクコンバータモードの間のように、ロックアップモードの間、流体圧力はチャネル154を介してチャンバ114に導入され、これにより、チャンバ114内の圧力は、チャンバ122及びチャンバ116内の圧力よりも大きい。しかしながら、チャンバ114内の流体圧力は増大され、これにより、弾性的な流れ制御エレメント102は矢印132の方向にキーホール124を越えて軸方向に移動させられ、これにより、チャンバ114及び116を流体連通するように配置する。この配列において、流体は、チャンバ114からチャンバ116へ受け渡され、弾性的な流れ制御エレメント102が、変位した状態にとどまりながら、2つのチャンバの間で平衡させられる。上述のようなトルクコンバータモードと同様に、チャンバ114内の圧力は依然としてチャンバ122内の圧力よりも大きいのでロックアップモードの間はポンプクラッチ104は係合させられたままである。トルクコンバータモードとロックアップモードとの移行の間はポンプクラッチ104は係合させられたままであるので、エンジン(図示せず)は、ポンプ112によるダンプニングによって調整され続け、これにより、上述のような"ランアウェイ"を回避する。
【0048】
ロックアップモードにおいて、ピストン118は、矢印120の方向に軸方向に変位させられ、トルクコンバータクラッチ106を圧縮し、これにより、カバー110とタービンハブ138とを回転方向で結合する。カバー110とタービンハブ138との回転方向での結合は、最小限のエネルギが損失される、仮想一対一結合を生ぜしめる。ロックアップモードにおいて、トルクコンバータクラッチ106及びポンプクラッチ104が係合したままであり、したがって、ダンパと、クラッチと、タービンと、タービンハブと、ポンプとは全てアセンブリとして回転する。
【0049】
ロックアップモードからトルクコンバータモード変更するために、チャネル154における流体が減じられ、これにより、弾性的な流れ制御エレメント102はチャンバ114内の圧力を克服し、チャンバ114からチャンバ116をシールする。この配列において、チャンバ116はもはや流体圧力を受け取らず、ピストンプレート118はカバー110に向かって軸方向に押し付けられる。しかしながら、依然としてチャンバ114に流体圧力が存在するので、ロックアップモードからトルクコンバータモードへの移行時にはポンプクラッチ104は係合したままである。
【0050】
図11は、トルクコンバータのためのアイドル切断モードの間の、トルクコンバータ100の部分的な断面図である。アイドル切断モードの間、流体はチャネル152を介してチャンバ122に導入され、これにより、チャンバ122内の圧力は、チャンバ114及びチャンバ116内の圧力よりも大きい。チャンバ122内の圧力はチャンバ144内の圧力よりも大きいので、ポンプクラッチ104は切断させられるか、又は言い換えれば、ピストンプレート136はポンプ112の方向に強制される。ポンプクラッチ104が切断されている場合、ピストンプレート136は自由に回転するので、ポンプ112はもはやカバー110と一緒にエンジン速度で回転せず、トルクは支持プレート140及びポンプ120へ伝達されない。幾つかの態様において、チャンバ122は、少なくとも部分的にタービンハブ138及びシール134及び156によってシールされている。好適な実施形態において、チャンバ114内の圧力は一定のままであり、ポンプクラッチ104を切断するために、チャンバ122内の圧力は増大される。有利には、この配列は、圧力が形成されることができるよりも迅速に圧力が減じられることができるので、ポンプクラッチのより迅速な係合を許容する。
【0051】
さらに、チャンバ122内の圧力がチャンバ116におけるよりも大きいので、ピストンプレート118はトルクコンバータクラッチ106を係合させない。クラッチ106が解離、若しくは切断されているので、タービンハブ138は自由に回転させられる。上述のように、クラッチ104及び106は両方とも解離させられているので、カバー110及び外側ポンプシェル147は、トルクコンバータコンポーネントからの制限なく、エンジン速度で自由に回転する。有利には、この配列は、エンジン(図示せず)をより迅速に回転及び加速させ、これにより、アイドル又は減速時にエンジンを停止させ、動力が再び必要な場合に迅速に再始動させることができる。
【0052】
以下の説明は図8から図11までを参照すべきである。本発明は、さらに、トルクコンバータを操作する方法も含む。方法は、分かり易くするためにステップのシーケンスとして説明されているが、明らかに述べられない限り、オーダが推論されるべきではない。トルクコンバータのためのトルクコンバータモードにおいて、第1のステップは、トランスミッションポンプ(図示せず)によってチャネル154を介してチャンバ114に流体を導入し、ポンプクラッチ104を係合させるためにピストンプレート136を軸方向に変位させる。
【0053】
トルクコンバータのためのロックアップモードにおいて、第1のステップは、トランスミッションポンプ(図示せず)によってチャネル154を介してチャンバ114に流体を導入し、ポンプクラッチ104を係合させるためにピストンプレート136を軸方向に変位させる。第2のステップは、チャンバ114及び116の間の流体平衡を可能にするために弾性的な流れ制御エレメント102を矢印132の方向に軸方向に変位させるために、ポンプクラッチが係合させられると、チャンバ114内の流体圧力を増大させる。第3のステップは、トルクコンバータクラッチ106を係合させるためにチャンバ116内の流体圧力とともにピストンプレート136を矢印120の方向に軸方向に変位させる。第4のステップは、ピストンプレートの軸方向変位によりクラッチ106を圧縮し、カバー110からダンパ108へのトルクの伝達を可能にする。第5のステップは、ピストンプレート110を介してダンパ108からタービンハブ138へトルクを伝達する。
【0054】
トルクコンバータのためのアイドル切断モードにおいて、第1のステップは、トランスミッションポンプ(図示せず)によってチャネル152を介してチャンバに流体を導入し、ピストンプレート136を矢印120の方向に軸方向に変位させ、ピストンプレート118を矢印132の方向に軸方向に変位させる。ピストンプレート120及び132の個々の変位は、ポンプクラッチ及びトルクコンバータクラッチを解離、若しくは切断する。両方のクラッチが切断されているので、トルクはトルクコンバータを通じて伝達されない。
【0055】
本発明のトルクコンバータは、図示されたコンポーネントのタイプ、寸法、数又は構成に限定されず、コンポーネントのその他のタイプ、寸法、数又は構成が、請求項に記載された発明の精神及び範囲に含まれている。例えば、本発明のトルクコンバータは、示された構成を備えたトルクコンバータクラッチ又はダンパの使用に限定されず、トルクコンバータクラッチ又はダンパのための、その他のタイプのコンポーネント及びコンポーネントのその他の数、寸法及び構成が、請求された発明の精神及び範囲に含まれる。
【0056】
したがって、本発明の目的は効率的に達成されるが、発明に対する修正及び変更が当業者に容易に明らかであるべきであり、これらの修正は、請求項に記載された発明の精神及び範囲に含まれるものである。前記説明は、本発明の例を示しており、限定するものと考えられるべきでないことも理解される。したがって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明のその他の実施形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ドライブトレーンにおけるトルクコンバータの関係及び機能を説明することを助けるための、自動車における動力伝達経路の概略的なブロック線図である。
【図2】自動車のエンジンに固定されて示されている、従来のトルクコンバータの断面図である。
【図3】図2に示された線3−3に沿って見た、図2に示されたトルクコンバータの平面図である。
【図4】概して図3に示された線4−4に沿って見た、図2及び図3に示されたトルクコンバータの断面図である。
【図5】図2に示されたトルクコンバータの第1の分解図であり、分解されたトルクコンバータを左から見たものとして示されている。
【図6】図2に示されたトルクコンバータの第2の分解図であり、分解されたトルクコンバータを右から見たものとして示されている。
【図7A】本願において用いられた空間的な用語を示している、円筒座標系の斜視図である。
【図7B】本願において用いられる空間に関する用語を説明する図7Aの円筒座標系における物体の斜視図である。
【図8】ポンプクラッチを備えた本発明によるトルクコンバータの部分的な断面図である。
【図9】トルクコンバータのためのトルクコンバータモードの間の、図8に示されたトルクコンバータの部分的な断面図である。
【図10】トルクコンバータのためのロックアップモードの間の、図8に示されたトルクコンバータの部分的な断面図である。
【図11】トルクコンバータのためのアイドル切断モードの間の、図8に示されたトルクコンバータの部分的な断面図である。
【符号の説明】
【0058】
100 トルクコンバータ、 102 流れ制御エレメント、 104 ポンプクラッチ、 106 トルクコンバータクラッチ、 108 ダンパ、 110 カバー、 112 ポンプ、 114 チャンバ、 116 チャンバ、 118 トルクコンバータクラッチピストンプレート、 122 チャンバ、 124 流れキー、 126 プランジャ、 128 ばね、 130 シール、 136 ポンプクラッチピストンプレート、 138 タービンハブ、 140 支持プレート、 142 摩擦材料、 144 結合手段、 145 ポンプシェル、 146 溶接、 147 外側ポンプシェル、 148,150 摩擦プレート、 152,154 チャネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多機能トルクコンバータにおいて、
トルクコンバータクラッチのための提供圧力チャンバが設けられており、
環状空間を有する第1の圧力チャンバが設けられており、
提供圧力チャンバ及び第1の圧力チャンバと流体連通しておりかつ、第1の圧力チャンバから提供圧力チャンバへの流体の流れを制御するために配置された、弾性的な流れ制御エレメントが設けられていることを特徴とする、多機能トルクコンバータ。
【請求項2】
弾性的な流れ制御エレメントがさらにばねとプランジャとを含む、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項3】
トルクコンバータのためのトルクコンバータモードにおいて、弾性的な流れエレメントが、提供圧力チャンバへの流体の流れを遮断するように配置されている、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項4】
第2の圧力チャンバが設けられており、クラッチが、少なくとも部分的に提供圧力チャンバと第2の圧力チャンバとを仕切っているピストンプレートを有しており、該ピストンプレートが、提供圧力チャンバ及び第2の圧力チャンバと流体連通したオリフィスを有する、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項5】
冷却流体が設けられており、クラッチが摩擦材料を有しており、トルクコンバータのためのロックアップモードの間、冷却流体が、オリフィスと第2の圧力チャンバとを介して摩擦材料を通って提供圧力チャンバから流れるように配置されている、請求項4記載のトルクコンバータ。
【請求項6】
トルクコンバータモードからアイドル切断モードへの移行時、第2の圧力チャンバ内の圧力が増大される、請求項4記載のトルクコンバータ。
【請求項7】
ポンプクラッチが設けられており、第1の圧力チャンバが、ポンプクラッチのための提供圧力チャンバを有する、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項8】
トルクコンバータのためのロックアップモードにおいて、弾性的な流れ制御エレメントが、提供圧力チャンバへの流体の流れを可能にするように配置されている、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項9】
ポンプクラッチが設けられており、第1の圧力チャンバが、ポンプクラッチのための提供圧力チャンバを有しており、第1の圧力チャンバ内の圧力が、トルクコンバータのためのロックアップ及びトルクコンバータモードにおいてポンプクラッチをつなぐように配置されている、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項10】
第2の圧力チャンバとポンプクラッチとが設けられており、第1の圧力チャンバが、ポンプクラッチのための提供圧力チャンバを有しており、トルクコンバータのためのアイドル切断モードの間、第2の圧力チャンバ内の圧力が、トルクコンバータクラッチとポンプクラッチとを切断するように増大されるように配置されている、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項11】
トルクコンバータクラッチのための提供圧力チャンバと、第1の圧力チャンバとに冷却流体を提供するように配置された第1の圧力チャネルが設けられている、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項12】
多機能トルクコンバータにおいて、
トルクコンバータクラッチのための提供圧力チャンバが設けられており、
弾性的な流れ制御エレメントが設けられており、トルクコンバータのためのトルクコンバータモードにおいて、弾性的な流れ制御エレメントが、提供圧力チャンバへの流体の流れを遮断するように配置されており、トルクコンバータのためのロックアップモードにおいて、弾性的な流れ制御エレメントが、提供圧力チャンバへの流体の流れを可能にするように配置されていることを特徴とする、多機能トルクコンバータ。
【請求項13】
多機能トルクコンバータにおいて、
ポンプクラッチのための提供圧力チャンバと、トルクコンバータクラッチのための提供圧力チャンバとを有する第1の流体回路が設けられており、
少なくとも部分的にトルクコンバータクラッチ及びポンプクラッチのための個々の提供圧力チャンバを仕切っている第2の流体回路が設けられており、
トルクコンバータクラッチのための提供圧力チャンバへの流れを制御するように配置された弾性的な流れ制御エレメントが設けられていることを特徴とする、多機能トルクコンバータ。
【請求項14】
トルクコンバータにおいて、
環状空間を有する第1の圧力チャンバと、
第2の圧力チャンバと、
第1の圧力チャンバと第2の圧力チャンバとの間の開口を制御するために軸方向に変位可能な弾性的な流れ制御エレメントが設けられていることを特徴とする、トルクコンバータ。
【請求項15】
弾性的な流れ制御エレメントが、トルクコンバータのためのトルクコンバータモードの間、開口を遮断する、請求項14記載のトルクコンバータ。
【請求項16】
第1及び第2の圧力チャンバから独立した切断チャンバが設けられている、請求項14記載のトルクコンバータ。
【請求項17】
トルクコンバータクラッチと、トルクコンバータクラッチピストンプレートと、ポンプクラッチとが設けられている、請求項14記載のトルクコンバータ。
【請求項18】
トルクコンバータクラッチが、ポンプクラッチに回転方向で結合されている、請求項17記載のトルクコンバータ。
【請求項19】
トルクコンバータを制御する方法において、
第1のチャンバを加圧するために流体をチャネルに通過させるステップと、
ポンプクラッチをつなぐために第1のチャンバ内の第1の圧力を提供するステップと、
第2の流体圧力を提供するステップと、
第2の流体圧力によって弾性的な流れ制御エレメントを軸方向に変位させるステップと、
第2の圧力によってトルクコンバータクラッチピストンプレートを軸方向に変位させるステップとを含むことを特徴とする、トルクコンバータを制御する方法。
【請求項20】
トルクコンバータクラッチを圧縮するステップと、
ダンパ及びトルクコンバータクラッチを介してカバーからタービンハブにトルクを伝達するステップとを含む、請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−19772(P2009−19772A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181559(P2008−181559)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau  Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Germany
【Fターム(参考)】