説明

2成分形シーリング材組成物

【課題】ポリサルファイド系シーリング材の代替物となり、優れた作業性、優れた硬化速度に加えて、優れた物性(例えば、接着性、硬度、耐久性、耐候性等)を兼ね備えたシーリング材組成物を提供すること。
【解決手段】(A)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含んでなる基剤成分と、(B)ポリカーボネートポリオールを含んでなる硬化剤成分とからなり、
JIS A 1439 5.20「引張接着性試験」(2004)による養生後の50%引張り強度が0.3Nmm以上である、2成分形シーリング材組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場でのシーリング施工のための適正な接着面を部材に確保すべく、部材に対して工場内で施されるシーリング施工(工場シール)、および土間目地のシーリング施工に使用することができる、2成分形シーリング材組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高層ビル用のサッシ(ノックダウンカーテンウォール)部材等は、運搬、熱伸縮、耐震性等の構造上の問題により、一定の長さに分解されて運搬され、現場で組み立てながら外壁に取り付けられている。この場合、サッシ部材の分解点を連続化させ、水密性および気密性を得るためにシーリング材を打設するが、サッシ部材小口は、押出し型材特有のホロー(中空)になっており、ジョイント(分解点)のシーリング材接着面がないため、予め工場にて部材小口にシーリング材を充填施工して受け面を設け、現場で適正な接着面を確保することが行われている。一般に、このような工場内で施されるシーリング施工を、工場シールと呼ぶ。また、工場シールに使用されるシーリング材は、先打ち材と呼ばれ、現場でのシーリング施工に使用されるシーリング材は、後打ち材と呼ばれる。
【0003】
従来、現場での後打ち材としては、シリコーン系、変成シリコーン系、ポリイソブチレン系、ポリウレタン系、ポリサルファイド系のシーリング材が用いられ、これに対し、先打ち材としては、前者の後打ち材全般との接着性(打ち継ぎ接着性)がよいという理由から、ポリサルファイド系シーリング材が多用されてきた。しかしながら、このポリサルファイド系シーリング材には、硬化剤として酸化鉛が使用されており、環境汚染や毒性の点で問題があるのに加え、耐候性も十分ではなかった。さらに、硬化触媒として酸化鉛を使用しないイソシアネート架橋型ポリサルファイド系シーリング材が用いられたが、各種アルミサッシ(主としてフッ素塗装、アクリル電着アルミ)への接着性、表面タック等の課題があった。
【0004】
一方、ポリサルファイド系シーリング材の代替物として、エポキシ樹脂系、シリコーン系、ウレタン系等の各種シーリング材が開発されている(例えば、特許文献1および2)。しかしながら、これらのシーリング材も、各種アルミサッシ(主としてフッ素塗装、アクリル電着アルミ)への接着性、後打ち材との打ち継ぎ性、耐久性および耐候性等の点で満足できるものではなかった。
【0005】
また、ポリサルファイド系シーリング材は、オフィスビル、集合住宅、滑走路、大型駐車場、駅等の床に存在する土間目地のシーリング施工にも使用されている。しかしながら、これまで土間目地に使用されているシーリング材は、ポリサルファイド系シーリング材を含め、硬化速度が遅く、また、硬度が低く、ハイヒールがささる等の問題があった。
【特許文献1】特開平1−165847号公報
【特許文献2】特開2001−240844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ポリサルファイド系シーリング材の代替物となり、優れた作業性、優れた硬化速度に加えて、優れた物性(例えば、接着性、硬度、耐久性、耐候性等)を兼ね備えたシーリング材組成物、特に、各種アルミサッシへの優れた接着性、後打ち材との良好な打ち継ぎ接着性、高い耐久性および耐候性を兼ね備えた工場シール用シーリング材組成物、および優れた作業性、優れた硬化速度および高硬度を兼ね備えた土間目地用シーリング材組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、(A)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含んでなる基剤成分と、(B)ポリカーボネートポリオールを含んでなる硬化剤成分からなり、JIS A 1439 5.20「引張接着性試験」(2004)による養生後の50%引張り強度が0.3Nmm以上であるシーリング材組成物によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明には、以下のものが含まれる。
〔1〕(A)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含んでなる基剤成分と、
(B)ポリカーボネートポリオールを含んでなる硬化剤成分とからなり、
JIS A 1439 5.20「引張接着性試験」(2004)による養生後の50%引張り強度が0.3Nmm以上である、
2成分形シーリング材組成物。
〔2〕末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの含有率がシーリング材組成物の15〜45重量%であり、且つ、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基含有率が2.0〜6.0重量%である、上記〔1〕に記載の2成分形シーリング材組成物。
〔3〕ポリカーボネートポリオールの重量平均分子量が、400〜8000である、上記〔1〕または〔2〕に記載の2成分形シーリング材組成物。
〔4〕硬化剤成分(B)は、(メタ)アクリル系化合物をさらに含んでなる、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
〔5〕さらに、(C)有機錫化合物および有機カルボン酸アルカリ土類金属塩を含んでなる硬化触媒を含んでなる、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
〔6〕有機カルボン酸アルカリ土類金属塩は、有機カルボン酸バリウムおよび/または有機カルボン酸カルシウムである、上記〔5〕に記載の2成分形シーリング材組成物。
〔7〕さらに、(D)フッ素系シランカップリング剤を含んでなる、上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
〔8〕さらに、(E)水素原子が−OR基〔式中、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示す〕で置換されたピペリジン骨格を含有するヒンダードアミン化合物を含んでなる、上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
〔9〕JIS K 6253 6.「デュロメータ硬さ試験」に準じたタイプAデュロメータによる硬度が25以上である、上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
〔10〕工場シール用である、上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
〔11〕土間目地用である、上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の2成分形シーリング材組成物は、優れた作業性、優れた硬化速度に加えて、優れた物性(例えば、接着性、硬度、耐久性、耐候性等)を兼ね備えている。特に、本発明の2成分形シーリング材組成物は、各種アルミサッシへの優れた接着性、後打ち材との良好な打ち継ぎ接着性、高い耐久性および耐候性を兼ね備えているので、工場シールに有利に使用することができ、さらに、優れた作業性、優れた硬化速度および高硬度を兼ね備えているので、土間目地のシールに有利に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の2成分形シーリング材組成物(以下、「本発明のシーリング材組成物」と略す)の基剤成分(A)に用いる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(以下、「NCOプレポリマー」と略す)は、各種のポリオールに対して過剰量のポリイソシアネートを反応(通常、OH/NCO=1/1.3〜1/3.0)させることによって製造されるウレタンプレポリマーである。
上記ポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール(PPGと称す)、ポリエーテルポリオール変性体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール;縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等のポリエステルポリオール;アクリルポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体等の主鎖がC−C結合よりなるポリオール;その他難燃化用ポリオール、含リンポリオール、含ハロゲンポリオール等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添XDI等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0010】
上記NCOプレポリマーの具体例としては、例えば、上記PPGおよび過剰のイソシアネート化合物を2.0≦NCO/OH≦10.0となるように配合し、要すれば触媒存在下にて通常50〜120℃で2〜12時間反応させることにより得られる活性NCO含有ウレタンプレポリマー等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、難黄変、および比較的高い反応性の点から、PPGとXDIの組み合わせが好ましい。
また、本発明のシーリング材組成物におけるNCOプレポリマーの使用量は、通常、シーリング材組成物の15〜45重量%、好ましくは20〜40重量%である。
【0011】
本発明のシーリング材組成物の硬化剤成分(B)に用いるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1分子中に2以上のヒドロキシル基および1以上のカーボネート結合を有する化合物であり、下記一般式:
HO−(R−O−COO)−(R−O−COO)−R−OH
〔式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有していてもよい炭素数2〜30の直鎖状、分岐状または環状炭化水素基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に、0または1〜100の整数を表し、mとnの合計は1以上である。〕
で示される化合物が好ましい。前述のR、RおよびRは好ましくは炭素数2〜12のアルキレン基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロへキシレン基、1,4−シクロへキシレン基等である。これらポリカーボネートジオールは、例えばジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートとエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリンまたはソルビトール等のポリオールとの反応により得ることができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、機械的特性および耐久性の点から、重量平均分子量(Mw)が400〜8000、特に500〜5000であるものが好ましい。
また、本発明のシーリング材組成物におけるポリカーボネートポリオールの使用量は、通常、硬化剤成分(B)の5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%である。
【0012】
本発明のシーリング材組成物の硬化剤成分(B)は、さらに、(メタ)アクリル系化合物を含んでいてもよい。当該(メタ)アクリル系化合物を配合した場合、本発明のシーリング材組成物は、耐候性が良好となる。
上記(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシルおよび(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル等の多価アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシニルおよび(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の(メタ)アクリル酸脂環式アルキル;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸クロロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル等のヘテロ原子含有(メタ)アクリル酸エステルおよびこれらの重合体、共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、耐候性の点からトリメチロールプロパントリアクリル酸エステル等の多価アクリル酸エステルが好ましい。
また、本発明のシーリング材組成物におけるアクリル系化合物の使用量は、通常、硬化剤成分(B)の0.1〜3.0重量%、好ましくは0.3〜1.5重量%である。
【0013】
本発明のシーリング材組成物において、上記基剤成分(A)のイソシアネート基含有率は2.0〜6.0重量%であり、特に2.0〜5.0重量%であることが好ましい。また、硬化剤成分(B)のヒドロキシル基との当量比(NCO/OH)は0.5〜2.0、特に1.0〜1.5とすることが好ましい。この場合、本発明のシーリング材組成物は、機械的特性、接着性、耐久性に優れたシーリング材組成物となる。
【0014】
本発明のシーリング材組成物は、さらに、硬化触媒(C)として、有機錫化合物および有機カルボン酸アルカリ土類金属塩を含んでいてもよい。硬化触媒(C)は、基剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)に必要に応じて含ませることができる。
上記有機錫化合物としては、例えば、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジオレイルマレート、ジブチル錫ビス(メルカプト酸エステル)、ジブチル錫ジアセテート、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサン、ジブチル錫オキシビスエトキシシリケート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチル錫オキサイドとマレイン酸ジエステルとの反応物、ジブチル錫ジアセチルアセトナート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、作業性および硬化性の点から、ジブチル錫ビス(メルカプト酸エステル)が好ましい。
上記有機カルボン酸アルカリ土類金属塩としては、例えば、有機カルボン酸(例えば、オクチル酸、ネオデカン酸、ナフテン酸等)のベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウム塩等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、作業性、硬化性の点から、有機カルボン酸バリウムおよび/または有機カルボン酸カルシウムが好ましい。
また、本発明のシーリング材組成物における硬化触媒(C)の使用量は、通常、硬化剤成分(B)の0.03〜3.0重量%、好ましくは0.05〜2.0重量%である。
【0015】
本発明のシーリング材組成物は、さらに、フッ素系シランカップリング剤(D)を含んでいてもよい。フッ素系シランカップリング剤(D)は、主剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)に必要に応じて含ませることができる。当該フッ素系シランカップリング剤を配合した場合、本発明のシーリング材組成物は、フッ素塗装系アルミサッシに対する接着性が良好となる。
上記フッ素系シランカップリング剤としては、例えば、トリフルオルプロピルトリメトキシシラン、トリフルオルプロピルトリエトキシシラン、トリフルオルプロピルトリクロロシラン、ヘプタフルオルプロピルトリメトキシシラン、ヘプタフルオルプロピルトリエトキシシラン、ヘプタフルオルプロピルメチルジメトキシシラン、ヘプタフルオルプロピルトリクロロシラン、ヘプタフルオルイソプロポキシプロピルトリメトキシシラン、ヘプタフルオルイソプロポキシプロピルトリエトキシシラン、ヘプタフルオルイソプロポキシプロピルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオルオクトキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、接着性の点から、トリフルオル系が好ましい。
また、本発明のシーリング材組成物におけるフッ素系シランカップリング剤(D)の使用量は、通常、硬化剤成分(B)の0.05〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0016】
本発明のシーリング材組成物は、さらに、水素原子が−OR基〔式中、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示す〕で置換されたピペリジン骨格を含有するヒンダードアミン化合物(E)を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン化合物(E)は、基剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)に必要に応じて含ませることができる。当該ヒンダードアミン化合物を配合した場合、本発明のシーリング材組成物は、耐候性が良好となる。
【0017】
上記Rにおける炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基等の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が挙げられる。なかでも、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。また、これらのアルキル基は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシル基等で置換されていてもよい。
【0018】
上記ヒンダードアミン化合物としては、例えば、従来既知のヒンダードアミン系光安定剤(HALS)として使用される化合物等が挙げられ、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2,2,6,6−トリメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)=1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)=1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,3−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、水素原子が−OR基[式中Rは、炭素数1〜18のアルキル基を示す]で置換されたピペリジン骨格を含有するヒンダードアミン化合物が、シリコーン系シーリング材と打ち継いだ場合の接着安定性の点から好ましい。−OR基で置換されたHALSとしては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のデカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルを主成分とした反応生成物(TINUVIN123)、トリアジン誘導体(TINUVIN NOR 371FF)、過酸化処理したN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの反応生成物シクロヘキサンを反応させ、その生成物とN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンとの反応生成物(FLAMESTAB NOR 116FF)がある。
また、本発明のシーリング材組成物における上記ヒンダードアミン化合物(E)の使用量は、通常、硬化剤成分(B)に対して0.05〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0019】
本発明のシーリング材組成物は、必要に応じて、当該技術分野において一般的な添加剤、例えば、充填剤(重質炭酸カルシウム、脂肪酸処理炭酸カルシウム、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック、タルク、マイカ、クレーや、ガラスビーズ、シラスバルーン、ガラスバルーン、シリカバルーン、プラスチックバルーン、粉体コーティングプラスチックバルーン等のバルーン類、プラスチック粒子、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等の有機繊維、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、グラファイト、針状結晶性炭酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、二ホウ化チタン、クリソタイル、ワラストナイト等の針状結晶性フィラー、アルミフレーク、アルミ粉、鉄粉等)、可塑剤(フタル酸エステル類(ジイソノニルフタレート(DINP)等)、エポキシ化ヘキサヒドロフタル酸エステル類、アルキレンカルボン酸エステル類、アルキルベンゼン類、ポリオキシアルキレンエーテル類、石油系炭化水素類等)、着色剤(ベンガラ、酸化チタン、カーボンブラック、他の着色顔料、染料等)、有機溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、リグロイン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、ヘプタン、イソパラフィン系高沸点溶剤等)、密着剤(アミノシラン、メルカプトシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤、エポキシ化合物等)、紫外線吸収剤・光安定剤(ベンゾトリアゾール類等)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール類等)、揺変剤(コロイダルシリカ、有機ベントナイト、脂肪酸アマイド、水添ひまし油等)、溶剤(脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等)等を適量範囲で含有していてもよい。これらは、基剤成分(A)および/または硬化剤成分(B)に必要に応じて含ませることができる。
【0020】
本発明のシーリング材組成物は、上記基剤成分(A)と上記硬化剤成分(B)から構成され、これらの成分を、例えば、室温条件下で混合し硬化させて使用することができる。
【0021】
本発明のシーリング材組成物は、優れた硬化性を示す。例えば、低温(例えば20℃)条件下おいて、施工後のシーリング材の上を歩行可能な物性まで硬化が進むのに要する時間は、施工後24時間以内である。
【0022】
本発明のシーリング材組成物は、優れた作業性を示す。例えば、低温(例えば20℃)下における硬化性を確保しようとした場合、高温下では作業が可能な性状を維持する時間(可使時間)は短くなり、硬化性と可使時間の両立は困難であった。本発明のシーリング材組成物は、上記の低温硬化性を確保しながら、高温(例えば40℃)下においても十分な可使時間を維持し、好ましくは60分以上、より好ましくは80分以上の可使時間を維持する。
【0023】
本発明のシーリング材組成物は、JIS A 1439 5.20「引張接着性試験」(2004)による養生後の50%引張り強度が0.3Nmm以上、好ましくは0.4Nmm以上である。かかる引張り強度を有することで本発明のシーリング材組成物は、打ち継ぎ接着性、および耐久性に優れたシーリング材組成物となる。
【0024】
本発明のシーリング材組成物は、JIS K 6253 6.「デュロメータ硬さ試験」に準じたタイプAデュロメータによる硬度が好ましくは25以上、より好ましくは30以上である。かかる硬度を有することで本発明のシーリング材組成物は、特に土間目地用のシーリング材組成物として好適に使用することができる。
【0025】
本発明のシーリング材組成物は、例えば、サッシ(ノックダウンカーテンウォール)部材、コンクリート部材等のシーリング施工において、現場でのシーリング材(後打ち材)の接着面を部材に確保するために、予め工場において部材に充填施工されるシーリング材(先打ち材)として、また、オフィスビル、集合住宅、滑走路、大型駐車場、駅等の床に存在する土間目地のシーリング材として有利に使用することができる。
【実施例】
【0026】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
なお、実施例および比較例において使用したシーリング材組成物(基剤/硬化剤混合比は/)の性能試験方法を以下に示す。
【0027】
[性能試験方法]
1.50%引っ張り強度
JIS A 1439 5.20「引張接着性試験」(2004)の「養生後」条件による。
【0028】
2.打ち継ぎ接着性
洗浄したアルミサッシにプライマー(商品名:プライマーUM−3:サンスター技研(株)製)を塗布し、先打ち材として工場シール用2成分形シーリング材を打設する。養生(条件:20℃×7日+50℃×7日)後、後打ち材に合わせたプライマー(商品名:プライマーSS−2:サンスター技研(株)製)を塗布し、後打ちシーリング材(商品名:ペンギンシール7000:サンスター技研(株)製)を打設する。養生(条件:20℃×7日+50℃×7日)後、JIS A 1439 5.20「引張接着性試験」(2004)に準じ引っ張り試験を実施する。
判定基準:○;破壊状態が凝集破壊または薄層凝集破壊、×;界面破壊
【0029】
3.アルミサッシに対する接着性
JIS A 1439 5.20「引張接着性試験」(2004)の「養生後」条件による。
判定基準:○;破壊状態が凝集破壊または薄層凝集破壊、×;界面破壊
【0030】
4.接着耐久性
上記打ち継ぎ接着性試験に準じて試験体を作製する。その後、シーリング材疲労試験機(東洋精機株式会社製)に試験体を装着し、23℃雰囲気下にて10000回(5回/分)の伸縮疲労を与える(伸縮率は後打ちシーリング材のJIS耐久性区分に準じる)。
判定基準:○;破壊しない、×;破壊する
【0031】
5.硬度
所定の割合で基剤と硬化剤を混合し、20℃×3日間+50℃×3日間の条件で養生後、JIS K 6253 6.「デュロメータ硬さ試験」に準じタイプAデュロメータにて測定する。
【0032】
6.可使時間
試験温度(40℃)に調温した基剤と硬化剤を所定の割合で混合し、ポリカップに気泡が入らないように充填する。その後、試験温度下に放置し、経時での粘度変化をBS型粘度計にて測定する。粘度が550,000mPa・sを超えるまでの時間を可使時間とする。
【0033】
7.硬化性
試験温度(20℃)に調温した基剤と硬化剤を所定の割合で混合し、ポリカップに気泡が入らないように充填する。24時間試験温度下に放置後、JIS K 2220 7.「ちょう度試験方法」に準拠してちょう度を測定する。ちょう度が50以下であれば硬化性が良好(○)と判断し、50を超える場合、不良(×)と判断する。
【0034】
[製造例1:(A)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成]
水酸基価110のポリオキシプロピレンジオール210gおよび水酸基価55のポリオキシプロピレントリオール280gを90℃に加熱後、XDI100gを加え、窒素雰囲気下に90℃で8時間反応させて、NCO基含有率3.8重量%の末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(以下、「プレポリマーA」と称する)を得た。
【0035】
[実施例1〜2および比較例1〜2]
下記表1に示す重量部の各成分を用い、基剤と硬化剤を均一混合してポリウレタン系シーリング材を調製した。かかるポリウレタン系シーリング材について、それぞれ上記の性能試験に供した。なお、それぞれの試験方法は以下の通りである。結果を表1中に併記した。
【0036】
【表1】

【0037】
(注1)旭化成ケミカルズ(株)製「PCDL(T5650J)」(重量平均分子量800)
(注2)三洋化成工業(株)製「サンニックスGH5000」
(注3)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「TINUVIN123」
(注4)東レ・ダウコーニング(株)製「Z−6333」
(注5)東亞合成(株)製「アロニックスST−300」
(注6)備北粉化工業(株)製「ホワイトンSB」
(注7)竹原化学工業(株)製「ネオライトSP−T」
【0038】
[実施例3および4並びに比較例3]
下記表2に示す重量部の各成分を用い、基剤と硬化剤を均一混合してポリウレタン系シーリング材を調製した。かかるポリウレタン系シーリング材について、それぞれ上記の性能試験に供した。なお、それぞれの試験方法は前記の通りである。結果を表2中に併記した。
【0039】
【表2】

【0040】
(注1)旭化成ケミカルズ(株)製「PCDL(T5651)」(重量平均分子量1000)
(注2)三洋化成工業(株)製「サンニックスGH3000」
(注3)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「TINUVIN123」
(注4)東レ・ダウコーニング(株)製「Z−6333」
(注5)東亞合成(株)製「アロニックスST−300」
(注6)備北粉化工業(株)製「ホワイトンSB」
(注7)竹原化学工業(株)製「ネオライトSP−T」

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含んでなる基剤成分と、
(B)ポリカーボネートポリオールを含んでなる硬化剤成分とからなり、
JIS A 1439 5.20「引張接着性試験」(2004)による養生後の50%引張り強度が0.3Nmm以上である、
2成分形シーリング材組成物。
【請求項2】
末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの含有率がシーリング材組成物の15〜45重量%であり、且つ、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基含有率が2.0〜6.0重量%である、請求項1に記載の2成分形シーリング材組成物。
【請求項3】
ポリカーボネートポリオールの重量平均分子量が、400〜8000である、請求項1または2に記載の2成分形シーリング材組成物。
【請求項4】
硬化剤成分(B)は、(メタ)アクリル系化合物をさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
【請求項5】
さらに、(C)有機錫化合物および有機カルボン酸アルカリ土類金属塩を含んでなる硬化触媒を含んでなる、請求項1〜4のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
【請求項6】
有機カルボン酸アルカリ土類金属塩は、有機カルボン酸バリウムおよび/または有機カルボン酸カルシウムである、請求項5に記載の2成分形シーリング材組成物。
【請求項7】
さらに、(D)フッ素系シランカップリング剤を含んでなる、請求項1〜6のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
【請求項8】
さらに、(E)水素原子が−OR基〔式中、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示す〕で置換されたピペリジン骨格を含有するヒンダードアミン化合物を含んでなる、請求項1〜7のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
【請求項9】
JIS K 6253 6.「デュロメータ硬さ試験」に準じたタイプAデュロメータによる硬度が25以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
【請求項10】
工場シール用である、請求項1〜9のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。
【請求項11】
土間目地用である、請求項1〜9のいずれかに記載の2成分形シーリング材組成物。

【公開番号】特開2009−52035(P2009−52035A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195767(P2008−195767)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(305032254)サンスター技研株式会社 (97)
【Fターム(参考)】