説明

2方式カード共通リーダライタ及び2方式カード管理システム

【課題】2方式カード共通リーダライタ並びにこれを用いた2方式カード管理システムを提供する。
【解決手段】第1、第2の変調方式で各々送受信を行いかつ電子マネーチャージ額を記憶するカード記憶部をそれぞれ備えた第1及び第2方式カードの双方との間で非接触にてデータ送受信を行う2方式カード共通カードリーダライタであって、第1方式ポーリング手段と、第2方式ポーリング手段と、カードに対して前記第1及び第2方式ポーリング手段によるデータ送受信を試み、応答信号の検出により第1方式か第2方式かを判定する手段と、品目と価格とを対応付けて予め記憶部に記憶する手段と、購入品目の指定の入力を受け付け、指定された品目の価格を前記記憶部から取得する手段と、カード記憶部の電子マネーチャージ額を書き換えさせるべく、各方式のカードに対し各変調方式で送受信を行うように制御する手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICカードのリーダライタであって、変調方式の異なる2種のカードの読取り書込みを行う共通リーダライタ、並びに、2種のカードを管理するカード管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近接型ICカードの1つに、ISO/IEC14443のTypeAがあり、TypeAの代表的なものとしては、Mifare(登録商標)がある。一方、日本国内で交通機関を中心として普及しているFeliCa(登録商標)がある。Mifare(登録商標)は、FeliCa(登録商標)に比べて簡易な認証方法を用いているが、低コストであり、一般的なプリペイドカードとしての利用が多い。Felica(登録商標)は、高機能、高セキュリティであるが、イニシャルコスト及びランニングコストともに高くなる。
【0003】
これら2つの方式のカードが混在する環境では、それぞれのカードに対応するリーダライタ(カード読取書込機)が必要となり、コストが掛かる上に、双方のカードの利用者を混乱させるおそれがある。そこで特許文献1、2のように異なる2つの変調方式のカードのいずれも読み書き可能なリーダライタが、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−342725号公報
【特許文献2】特開2004−220117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、病院という環境には、大きく分けて患者と職員の2つのグループが存在する。患者は、病室内のテレビやインターネットの利用あるいはランドリーの利用の精算のためにプリペイドカードを利用することが中心となる。この目的には、Mifare(登録商標)カードが適している。一方、職員は、病院内の各部屋への入退室や各施設の利用可否の管理あるいは就業管理などセキュリティ確保を中心としかつ食堂や売店での精算のためのプリペイド機能を付加した多機能カードを利用することになる。この目的には、Felica(登録商標)カードが適している。病院以外にも、教師と生徒の存在する学校や、管理職と一般職の存在する職域などでも同様の状況がある。
【0006】
従来、病院等の環境下において、上記2種類の非接触ICカードを導入し、共通利用範囲と専用利用範囲を使い分け、特に双方の非接触ICカードを同じ用途(カード精算や入退室管理)に共通利用させるシステムは、具体的に提案されていない。本発明は、2方式カード共通リーダライタ並びにこれを用いた2方式カード管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、Mifare(登録商標)カードを「第1方式カード」と称し、Felica(登録商標)カードを「第2方式カード」と称する。
【0008】
本発明による2方式カード共通リーダライタは、第1の変調方式で送受信を行いかつ電子マネーチャージ額を記憶するカード記憶部を備えた第1方式カード及び第2の変調方式で送受信を行いかつ電子マネーチャージ額を記憶するカード記憶部を備えた第2方式カードの双方との間で非接触にてデータ送受信を行う2方式カード共通リーダライタであって、第1の変調方式でポーリングを行う第1方式ポーリング手段と、第2の変調方式でポーリングを行う第2方式ポーリング手段と、カードに対して前記第1方式ポーリング手段及び第2方式ポーリング手段によるデータ送受信を試み、応答信号の検出により当該カードの変調方式を決定し、第1方式カードか第2方式カードかを判定する手段と、品目と価格とを対応付けて予め記憶部に記憶する手段と、購入する品目の指定の入力を受け付け、指定された品目の価格を前記記憶部から取得する手段と、カード記憶部の電子マネーチャージ額を前記品目の価格に基づいて書き換えさせるべく、第1方式カードと判定されたカードに対しては第1の変調方式で当該カードと送受信を行うように、第2方式カードと判定されたカードに対しては第2の変調方式で当該カードと送受信を行うように制御する手段とを有することを特徴とする。
【0009】
上記2方式カード共通リーダライタにおいて、前記品目と価格とを対応付けて予め記憶部に記憶する手段が、1つの品目に対して第1方式カードと第2方式カードの各々に対して別々の価格を対応付けて予め記憶部に記憶しており、前記指定された品目の価格を前記記憶部から取得する手段が、カードが前記第1方式カードと判定された場合には第1方式カードに対応付けられた価格を取得し、カードが前記第2方式カードと判定された場合には第2方式カードに対応付けられた価格を取得することが好適である。
【0010】
上記2方式カード共通リーダライタにおいて、第1方式カード及び第2方式カードの各々のカード記憶部に個々のカード固有の識別情報が記憶されており、前記非接触カードリーダライタは、カード固有の識別情報と入退室可否とを対応付けて予め記憶部に記憶する手段と、入退室要求を受け付け、当該カードの識別情報を読み取り、前記記憶部を参照して入退室可否を判定する手段とをさらに備えたことが好適である。
【0011】
また、本発明による2方式カード管理システムの一形態は、上記のいずれかの2方式カード共通リーダライタと、前記第1方式カードまたは第2方式カードのいずれかのみとの間で非接触にてデータ送受信を行う専用リーダライタと、前記2方式カード共通リーダライタ、前記専用リーダライタとネットワークを介して接続されたカード管理サーバとを備えた2方式カード管理システムであって、前記カード管理サーバが、前記リーダライタの各々の行った処理結果を該リーダライタから受信する手段と、受信した前記処理結果をデータベースに記録する手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
さらにまた、本発明による2方式カード管理システムの別の形態は、上記のいずれかの2方式カード共通リーダライタと、前記第1方式カードのみとの間で非接触にてデータ送受信を行う第1方式カード専用リーダライタと、前記第2方式カードのみとの間で非接触にてデータ送受信を行う第2方式カード専用リーダライタと、前記2方式カード共通リーダライタ、前記第1方式カード専用リーダライタ及び前記第2方式カード専用リーダライタとネットワークを介して接続されたカード管理サーバとを備えた2方式カード管理システムであって、前記カード管理サーバが、前記リーダライタの各々の行った処理結果を該リーダライタから受信する手段と、受信した前記処理結果をデータベースに記録する手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1つの非接触カードリーダライタにより、低コストの第1方式カードと、セキュリティ性及び機能性の高い高コストの第2方式カードとを同時に利用することができる。特に、単にカード方式を判別してそれぞれの専用用途に利用させるのではなく、異なる方式のカードを共通する用途に利用させることで、効率的なシステム運用が可能となる。必要に応じて低コストカードと高コストカードを使い分けることで、システムコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の非接触カードリーダライタ(共通リーダライタ)を用いた実施例のシステム構成図である。
【図2】(A)は第1方式カードの、(B)は第2方式カードの概略構成図である。
【図3】(A)(B)は、カード管理サーバのデータベースを構成する種々のテーブルの一例を示す。
【図4】(A)(B)は、カード管理サーバのデータベースを構成する種々のテーブルの一例を示す。
【図5】(A)(B)は、カード管理サーバのデータベースを構成する種々のテーブルの一例を示す。
【図6】(A)(B)(C)(D)は、共通リーダライタの記憶部に予め格納される種々のテーブルの一例を示している。
【図7】共通リーダライタのカード発行/チャージ処理フローの一例を示している。
【図8】共通リーダライタのカード方式判定処理フローの一例を示している。
【図9】共通リーダライタのカード精算処理フローの一例を示している。
【図10】共通リーダライタのカード精算処理フローの別の例を示している。
【図11】共通リーダライタの入退室管理処理フローの一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を示した図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明を病院の環境に適用した実施例について説明するが、本発明は、学校や職域など同様の環境においても適用可能である。
図1は、本発明による2方式カード共通リーダライタ、第1方式カード専用リーダライタ及び第2方式カード専用リーダライタを含むカード管理システムの一実施例の概略構成図である。以下、2方式カード共通リーダライタを「共通リーダライタ」と、第1方式カード専用リーダライタを「第1方式リーダライタ」と、第2方式カード専用リーダライタを「第2方式リーダライタ」と、略称する。
【0016】
第1方式カード1は、ISO/IEC14443のTypeAのMifare(登録商標)カードであり、第2方式カード2は、FeliCa(登録商標)カードである。共通リーダライタ3は、非接触カードリーダライタであり、第1方式カード1及び第2方式カード2の双方と非接触にてデータ送受信を行う機能を備えている。実施例のシステムには、その他のリーダライタとして、第1方式カードのみに対応した第1方式リーダライタ6、第2方式カードのみに対応した第2方式リーダライタ7が設置されているが、この2つの専用リーダライタは、必要に応じていずれか一方のみを設置してもよい。
【0017】
これらのリーダライタ3、6、7は、システムを設ける環境に応じてそれぞれ複数台を設置してもよい。共通リーダライタ3としては、売店POSレジ端末、食券機、自動販売機、入退室管理機などがある。第1方式リーダライタ6としては、病室の床頭台端末、生徒施設専用端末などがある。第2方式リーダライタ7としては、病院職員施設専用端末、教師施設専用端末などがある。
【0018】
本実施例では、共通利用施設におけるカード精算機能をもつ共通リーダライタ3(売店POSレジ端末、食券機、自動販売機等)は、共通利用施設に関するプリペイド機能すなわちカード精算処理を行う。入退室管理機である共通リーダライタ3は、入退室管理処理を行う。カード発行/チャージ機能を有する共通リーダライタ3は、カード発行及び電子マネーチャージ処理を行う。なお、1つの共通リーダライタ3が2つの機能を備えていてもよい。例えば、食券機にチャージ機能を付加する等である。
【0019】
第1方式リーダライタ6は、第1方式カード固有の機能に関する処理を行い、例えば、病院における床頭台端末の場合は、テレビ、冷蔵庫、インターネット等の病室内施設利用に関するリペイド機能すなわちカード精算処理を行う。また例えば、ランドリー端末の場合は、ランドリー利用に関するプリペイド機能すなわちカード精算処理を行う。
【0020】
第2方式リーダライタ7は、第2方式カード固有の機能に関する処理を行い、例えば、職員のみが利用するキャビネットやコピー機等の施設利用記録処理、職員の就業履歴記録処理等を行う。、
【0021】
カード管理サーバ4は、これらのリーダライタ3、6、7と、LAN等のネットワーク8を介して接続されている。カード管理サーバ4は、これらのリーダライタ3、6、7を統括するセンターサーバであり、これらのリーダライタ3、6、7との間でデータ送受信を行い、必要な情報を提供したり、送られてきた情報をデータベース5に格納したりする。
【0022】
共通リーダライタ3は、主たる構成要素として、制御部31、送信部32、受信部33、方式判定部34、記憶部35、入力部36、表示部37、ネットワーク部38及びカード発行部39を備えている。
【0023】
制御部31は、CPUとメモリ(図示せず)とを有し、記憶部35に格納された適宜のプログラムをメモリに読み出しCPUが実行することにより、種々の機能のための演算処理を行ったり、他の構成要素を制御するための制御信号を発生する。送受信/ネットワーク制御部31aは、2種類のカード1、2との送受信の制御及びカード管理サーバ4との送受信の制御を行う。カードアプリケーション制御部31bは、各カードに搭載された種々のアプリケーションプログラムに関連する処理を行う。例えば、カード発行/チャージ処理部31b1、カード精算処理部31b2、入退室管理処理部31b3がある。
【0024】
送信部32は、搬送波発振回路32aと変調回路32bを備え、制御部31の制御に従って所定の周波数の発振信号を所定のパターンで変調してアンテナを駆動する。受信部33は、復調回路33aと2値化回路33bを備え、アンテナで受信した信号を検波してアナログデジタル変換を行って2値化して所定のコードとし、制御部31へ送る。
【0025】
方式判定部34は、共通リーダライタ3に対してかざされたカードが、第1方式カード1であるか第2方式カード2であるかを判定するために設けられ、第1カード方式でポーリングするための信号を発生する第1ポーリング発生部34aと、第2カード方式でポーリングするための信号を発生する第2ポーリング発生部34bとを備える。第1ポーリング発生部34a及び第2ポーリング発生部34bの各々からの信号発生タイミングは、制御部31により制御され、送信部32へ送られる。
【0026】
記憶部35は、共通リーダライタ3の全ての機能に必要なプログラムを格納し、また、特にカードアプリケーションに関連する必要な情報を適宜のテーブル形式で予め格納している。
【0027】
入力部36は、カード保有者や共通リーダライタ3の管理者が所定の情報を入力するために設けられ、多様な形態を採りうる。例えば、共通リーダライタ3が売店POSレジ端末の場合はバーコードリーダやキーボード、食券機や自動販売機の場合は選択ボタンやタッチスクリーン、入退室管理機の場合はキーボードや生体情報検出器等である。
【0028】
表示部37は、カード保有者や共通リーダライタ3の管理者に対して必要な情報を表示するために設けられ、多様な形態を採りうる。テキスト情報のみ表示する画面、画像表示可能な画面、LED素子等である。
【0029】
ネットワーク部38は、ネットワーク8を介したデータ送受信機能を有する。
【0030】
カード発行部39は、共通リーダライタ3が、第1方式カード1または第2方式カード2の発行機能を有する場合に設けられる。図示しないが、複数の未発行カードを蓄積したカード蓄積空間、カード送出口、現金投入口、現金保管空間等のカード発行に必要な部品を有する。
【0031】
カード管理サーバ4は、適宜のコンピュータにより実施され、主たる構成要素として、制御部41及びネットワーク部42を備える。
制御部41は、データ処理部として、患者施設カード精算記録部41aのように第1方式リーダライタ6に関連した処理を行う部分と、カード発行/チャージ記録部41b、共通施設カード精算記録部41c及び入退室記録部41dのように共通リーダライタ3に関連した処理を行う部分と、職員施設利用記録部41e及び就業履歴記録部41gのように第2方式リーダライタ7に関連した処理を行う部分とを有する。
ネットワーク部42は、ネットワーク8を介したデータ送受信機能を有する。
【0032】
図2(A)は第1方式カードの、(B)は第2方式カードの概略構成図である。(A)に示すように、第1方式カード1は、リーダライタからの電磁波を送受信するアンテナ13を有する。リーダライタからの電磁波の搬送波はカードへの電力供給用であり、電力生成回路14は、アンテナ13で受信した電磁波を整流して直流電力に変換し制御部11に供給する。これにより制御部11が起動する。受信部15はアンテナ13で受信した電磁波を復調してリーダライタからのコマンドを生成し制御部11へ送る。送信部16は、制御部11から受け取ったコマンドに基づき、第1カード方式により搬送波を変調してアンテナ13を駆動する。記憶部12は、制御用プログラムとアプリケーションプログラムが格納されている。呼出コード12aは、第1方式カード1が、自身がリーダライタから呼び出されているか否かを判断するために予め格納されているコードである。データエリアには、カード固有の識別情報であるカードID、プリペイド機能や入退室管理機能のためのアプリケーションプログラムも格納されている。図示しないが、プリペイド機能に関連して電子マネーチャージ金額の記憶エリアも設けられている。
【0033】
図2(B)に示す第2方式カードも基本構成は、第1方式カードと共通している。セキュリティ機能は、第2方式カードの方が高度であり、アプリケーションプログラムの種類も豊富に設定できる。
【0034】
図3〜図5は、カード管理サーバ4と連携して動作するデータベース5を構成する種々のテーブルの一例を示すが、データベース5の構成はこれに限られない。各テーブルは共通するデータ項目を介してリンクしており、関係データベースを形成している。
【0035】
図3(A)は、第1方式カード管理テーブル51である。このテーブル51においては、カード発行機能を有する共通リーダライタから第1方式カードのカード発行情報を受信したときに新規レコードが作成される。データ項目としては、例えば「カードID」、「発行年月日」、「初回チャージ額」がある。本実施例では、第1方式カードについてはセキュリティ性をあまり重視せず、主としてプリペイドカードとして利用することを想定しており、基本的には個々のカード毎にカード保有者を特定する管理を行わない。なお、第1方式カードの別の実施例として、個々のカード毎にカード保有者を特定して管理してもよく、その場合は、第1方式カード管理テーブル51に、カード保有者の個人情報(氏名、患者ID等)に関するデータ項目を設ける。
【0036】
図3(B)は、第2方式カード管理テーブル52である。このテーブル52においては、カード発行機能を有する共通リーダライタから第2方式カードのカード発行情報を受信したときに新規レコードが作成される。データ項目としては、例えば「カードID」、「パスワード」、「職員ID」、「職員名」「部署名」、「発行年月日」、「初回チャージ額」がある。本実施例では、第2方式カードについてはセキュリティ性を重視し、プリペイド機能は付加的なものと想定しており、個々のカード毎にカード保有者を特定して管理する。
【0037】
図4(A)は、第1方式カード及び第2方式カードの双方について、個々のカード毎にカード精算履歴及びチャージ履歴を記録するカード精算/チャージ記録テーブル53である。本実施例では、プリペイド機能に関する処理を行うのは、第1方式リーダライタと共通リーダライタである。このテーブル53は、発行済みの全てのカードの各々についてレコードを作成しており、第1方式リーダライタまたは共通リーダライタからカード精算情報及びチャージ情報を受信したときに、その情報を逐次記録する。
【0038】
図4(B)は、第1方式カード及び第2方式カードの双方について、入退室履歴を記録する入退室記録テーブル54である。このテーブル54においては、入退室管理機である共通リーダライタから入退室情報を受信したときに、その情報を逐次記録する。
【0039】
図5(A)は、職員施設利用記録テーブル55である。このテーブル55においては、キャビネットやコピー機等の職員施設に設けた端末である第2方式リーダライタから利用情報を受信したときに、その情報を逐次記録する。
【0040】
図5(B)は、就業記録テーブル56である。このテーブル56においては、職員の出退勤を管理するタイムカード機等である第2方式リーダライタから出退勤情報を受信したときに、その情報を逐次記録する。
【0041】
図6は、共通リーダライタの記憶部に予め格納される種々のテーブルの一例を示している。共通リーダライタの具体的機能(売店POSレジ端末、食券機、入退室管理機、カード発行/チャージ端末)に応じて格納されるテーブルの内容が異なる。
【0042】
図6(A)は、売店POSレジ端末である共通リーダライタの記憶部に格納されるテーブル35Aである。データ項目として「品目」と「単価」がある。本実施例では、カード方式に依らず同じ単価を設定している。
【0043】
図6(B)は、食券機である共通リーダライタの記憶部に記憶されるテーブル35Bである。データ項目として「品目」、「第1方式カード用単価」、「第2方式カード用単価」、「現金単価」がある。本実施例では、カード方式により異なる単価を設定している。また、現金の場合も、異なる単価を設定している。
【0044】
図6(C)は、入退室管理機である共通リーダライタの記憶部に記憶されるテーブル35Cである。データ項目として「カード方式」、「入退室許可ID」がある。「入退室許可ID」は、入退室を許可されるカードIDであり、共通リーダライタの入力部から直接入力する方法、あるいは、カード管理サーバ4で設定して共通リーダライタに設定情報を配信する方法がある。
【0045】
図6(D)は、カード発行/チャージ端末である共通リーダライタの記憶部に記憶されるテーブル35Dである。データ項目として「カード方式」、「上限金額」がある。「上限金額」は、カード発行時の電子マネーの初期チャージ額及び再チャージ額の上限金額であり、カード方式毎に異なる金額を設定できる。
【0046】
図7〜図11は、共通リーダライタ3の処理フローの一例を示している。
図7は、カード発行/チャージ機能を有する共通リーダライタ3における処理フローである。
・カード発行の場合は、ユーザが共通リーダライタの入力部からカード発行要求を入力する。カードチャージの場合は、カード保有者が共通リーダライタにカードをかざし、チャージ要求を入力する。共通リーダライタは、カード発行要求であるか、カードチャージ要求であるを判断する。(ステップ701)
・カード発行要求の場合、希望するカード方式の指定を入力させる(ステップ702)。
・第2方式カードが指定された場合は、さらにカード保有者の個人情報を入力させる(ステップ703)。
・次に、第1方式及び第2方式のいずれの場合も、初期チャージ額を入力させる。また、ステップ701においてチャージ要求であった場合も、チャージ額を入力させる。(ステップ704)
・入力されたチャージ額が、図6(D)のテーブル35Dに設定されている上限金額を超えているか否かを判断する(ステップ705)。上限金額を超えている場合は、ステップ704へ戻り、チャージ額を訂正入力する。
・上限金額を超えていない場合は、現金の投入を促し、現金投入口から現金を投入させる(ステップ706)。
・チャージ額と同額の現金が投入されたことを確認した後、カード発行の場合は、未発行カードに入力された初期チャージ額を書き込み、カードを発行する。未発行カードは、いずれもカードIDが既に設定されているものとし、カード発行したときは、発行したカードのカードIDを記録しておく。また、カードチャージの場合は、入力されたチャージ額でカード残額を更新する書込みを行う。(ステップ707)
・サーバ4へ、カード発行情報またはカードチャージ情報を送信する(ステップ708)。
・サーバ4は、図3(A)のテーブル51または図3(B)のテーブル52に新規カードの発行情報を記録する。または、図4(A)のテーブル54にカードチャージ情報を記録する。(ステップ709)
【0047】
図8は、共通リーダライタ3のカード方式判定処理フローの一例を示している。
第1方式カードでは、リーダライタからカードに対して送信される信号は、中心搬送周波数13.56MHz、通信速度106kb/s、変調方式はASK(振幅変調)、AM変調度100%、符号化方法はミラー方式である。一方、カードからリーダライタに対して返信される信号は、中心搬送周波数13.56MHz、通信速度106kb/s、AM変調度100%、変調方式は副搬送波848kHzのASK(振幅変調)、符号化方式はマンチェスター方式である。
第2方式カードでは、リーダライタからカードに対して送信される信号は、中心搬送周波数13.56MHz、通信速度212kb/s、変調方式はASK(振幅変調)、AM変調度10%、符号化方法はマンチェスター方式である。一方、カードからリーダライタに対して返信される信号は、中心搬送周波数13.56MHz、通信速度212kb/s、変調方式はASK(振幅変調)、AM変調度10%、符号化方式はマンチェスター方式である。
・先ず、共通リーダライタ3は、方式不明のカードに対して第1方式のポーリングを送信する(ステップ801)。図2(A)または(B)のいずれかである方式不明のカードは、第1方式のポーリングをアンテナで受信すると、電力供給により起動した制御部が、コード化されたポーリング信号を予め格納されている呼出コードと比較して、自身が呼び出されているか否かを判断する。自身が呼び出されていると判断した場合は、応答コードを変調して共通リーダライタ3に対して返信する。自身が呼び出されていないと判断した場合は、応答コードを返信しない。
・共通リーダライタ3は、第1方式のポーリング送信に対して方式不明のカードから応答コードを受信したか否かを判断する(ステップ802)。
・ステップ802で応答コードがあった場合は、第1方式カードであると判断し、以後、第1方式で送受信を行い、種々のアプリケーションを実行する(ステップ803)。
・ステップ802で応答コードが無かった場合は、第2方式のポーリングを送信する(ステップ804)。
・共通リーダライタ3は、第2方式のポーリング送信に対して方式不明のカードから応答コードを受信したか否かを判断する(ステップ805)。
・ステップ805で応答コードがあった場合は、第2方式カードであると判断し、以後、第2方式で送受信を行い、種々のアプリケーションを実行する(ステップ806)。
・ステップ805で応答コードが無かった場合は、送受信状態不良と判断し、ステップ801へ戻り、再度試みる。
【0048】
図9は、共通リーダライタ3のカード精算処理フローの一例を示している。本実施例の共通リーダライタ3は、例えば図6(A)に示したテーブル35Aが格納された売店POSレジ端末である。
・共通リーダライタ3は、図8で示したカード方式判定処理を実行し、適用されたカードが第1方式カードであるか、第2方式カードであるかを判定する(ステップ901)。
・次に、カードIDを読み取る(ステップ902)。
・図6(A)のテーブル35Aを参照し、表示部に品目と価格を表示する(ステップ903)。
・カード保有者が購入を希望する品目の指定を、入力部から入力させる。例えば、タッチスクリーンを兼ねた表示部に表示された品目にタッチする。あるいは、商品に添付されたバーコードを、バーコードリーダーで読み取ってもよい。(ステップ904)
・図6(A)のテーブル35Aから、指定された品目の価格を取得し、数量に基づき精算金額を決定する(ステップ905)。
・精算金額に基づいて、カードの記憶部のチャージ残額を書き換える(ステップ906)。
・サーバ4へ、カード精算情報を送信する(ステップ907)。
・サーバ4は、図4(A)のテーブル53にカード精算情報を記録する(ステップ908)。
【0049】
図10は、共通リーダライタ3のカード精算処理フローの別の例を示している。本実施例の共通リーダライタ3は、例えば図6(B)に示したテーブル35Bが格納された食券機末である。
・共通リーダライタ3は、図8で示したカード方式判定処理を実行し、適用されたカードが第1方式カードであるか、第2方式カードであるかを判定する(ステップ1001)。
・次に、カードIDを読み取る(ステップ1002)。
・図6(B)のテーブル35Bを参照し、カード方式に応じて、対応する品目と価格を表示部に表示する(ステップ1003)。カード方式によって表示される価格が異なる。
・カード保有者が購入を希望する品目の指定を、入力部から入力させる。例えば、タッチスクリーンを兼ねた表示部に表示された品目にタッチする。あるいは、商品に添付されたバーコードを、バーコードリーダーで読み取ってもよい。(ステップ1004)。
・図6(B)のテーブル35Bから、指定された品目についてカード方式に対応した価格を取得し、数量に基づき精算金額を決定する(ステップ1005)。
・精算金額に基づいて、カードの記憶部のチャージ残額を書き換える(ステップ1006)。
・サーバ4へ、カード精算情報を送信する(ステップ1007)。
・サーバ4は、図4(A)のテーブル53にカード精算情報を記録する(ステップ1008)。
【0050】
図11は、共通リーダライタ3の入退室管理処理フローの一例を示している。本実施例の共通リーダライタ3は、入退室管理機である。入退室管理機は、その部屋の出入口に設置され、ロックの開閉を制御する機能を備えている。
・共通リーダライタ3は、図8で示したカード方式判定処理を実行し、適用されたカードが第1方式カードであるか、第2方式カードであるかを判定する(ステップ1101)。
・次に、カードIDを読み取る(ステップ1102)。
・図6(C)のテーブル35Cを参照し、読み取ったカードIDが入室可であるか否かを判断する(ステップ1103)。
・入室不可と判断した場合は、表示部にその旨を表示し、ロック解除しない(ステップ1104)。
・入室可と判断した場合は、ロック解除する(ステップ1105)。カード保有者が入室した後は、再ロックする。
・その後、サーバ4に入室情報を送信する(ステップ1106)。
・サーバ4は、図4(B)のテーブル54に入室情報を記録する(ステップ1107)。
・カード保有者が退室するときは、再度カード方式判定及びカードIDの読取りを行ってロック解除し、カード保有者が退室した後、再ロックする(ステップ1108)。
・その後、サーバ4に退室情報を送信する(ステップ1109)。
・サーバ4は、図4(B)のテーブル54に退室情報を記録する(ステップ1110)。
【符号の説明】
【0051】
1 第1方式カード
2 第2方式カード
3 2方式カード共通リーダライタ
31 制御部
32 送信部
33 受信部
34 方式判定部
35 記憶部
36 入力部
37 表示部
38 ネットワーク部
39 カード発行部
4 カード管理サーバ
41 制御部
42 ネットワーク部
5 データベース
6 第1方式カード専用リーダライタ
7 第2方式カード専用リーダライタ
8 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の変調方式で送受信を行いかつ電子マネーチャージ額を記憶するカード記憶部を備えた第1方式カード及び第2の変調方式で送受信を行いかつ電子マネーチャージ額を記憶するカード記憶部を備えた第2方式カードの双方との間で非接触にてデータ送受信を行う2方式カード共通カードリーダライタであって、
第1の変調方式でポーリングを行う第1方式ポーリング手段と、
第2の変調方式でポーリングを行う第2方式ポーリング手段と、
カードに対して前記第1方式ポーリング手段及び第2方式ポーリング手段によるデータ送受信を試み、応答信号の検出により当該カードの変調方式を決定し、第1方式カードか第2方式カードかを判定する手段と、
品目と価格とを対応付けて予め記憶部に記憶する手段と、
購入する品目の指定の入力を受け付け、指定された品目の価格を前記記憶部から取得する手段と、
カード記憶部の電子マネーチャージ額を前記品目の価格に基づいて書き換えさせるべく、第1方式カードと判定されたカードに対しては第1の変調方式で当該カードと送受信を行うように、第2方式カードと判定されたカードに対しては第2の変調方式で当該カードと送受信を行うように制御する手段とを有することを特徴とする
2方式カード共通リーダライタ。
【請求項2】
前記品目と価格とを対応付けて予め記憶部に記憶する手段が、
1つの品目に対して第1方式カードと第2方式カードの各々に対して別々の価格を対応付けて予め記憶部に記憶しており、
前記指定された品目の価格を前記記憶部から取得する手段が、
カードが前記第1方式カードと判定された場合には第1方式カードに対応付けられた価格を取得し、カードが前記第2方式カードと判定された場合には第2方式カードに対応付けられた価格を取得することを特徴とする、請求項1に記載の2方式カード共通リーダライタ。
【請求項3】
第1方式カード及び第2方式カードの各々のカード記憶部に個々のカード固有の識別情報が記憶されており、
前記非接触カードリーダライタは、
カード固有の識別情報と入退室可否とを対応付けて予め記憶部に記憶する手段と、
入退室要求を受け付け、当該カードの識別情報を読み取り、前記記憶部を参照して入退室可否を判定する手段とをさらに備えたことを特徴とする、請求項1または2に記載の2方式カード共通リーダライタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の2方式カード共通リーダライタと、
前記第1方式カードまたは第2方式カードのいずれかのみとの間で非接触にてデータ送受信を行う専用リーダライタと、
前記2方式カード共通リーダライタ、前記専用リーダライタとネットワークを介して接続されたカード管理サーバとを備えた2方式カード管理システムであって、
前記カード管理サーバが、前記リーダライタの各々の行った処理結果を該リーダライタから受信する手段と、
受信した前記処理結果をデータベースに記録する手段とを備えたことを特徴とする2方式カード管理システム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の2方式カード共通リーダライタと、
前記第1方式カードのみとの間で非接触にてデータ送受信を行う第1方式カード専用リーダライタと、
前記第2方式カードのみとの間で非接触にてデータ送受信を行う第2方式カード専用リーダライタと、
前記2方式カード共通リーダライタ、前記第1方式カード専用リーダライタ及び前記第2方式カード専用リーダライタとネットワークを介して接続されたカード管理サーバとを備えた2方式カード管理システムであって、
前記カード管理サーバが、前記リーダライタの各々の行った処理結果を該リーダライタから受信する手段と、
受信した前記処理結果をデータベースに記録する手段とを備えたことを特徴とする2方式カード管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−165192(P2010−165192A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7113(P2009−7113)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(502257605)アーバン ベンディックス ネットワーク株式会社 (2)
【Fターム(参考)】