説明

2条刈コンバイン

【課題】設定刈取条数よりも多い条数の刈取りを行うことが可能な2条刈コンバインにおいて、3条以上の穀稈の同時刈取作業を行っている際には、オペレータにその旨を自動的に報知することができる2条刈コンバインを提供することを課題としている。
【解決手段】本発明は、デバイダ11で分草された圃場の穀稈を引起こす左右一対の引起し装置9L,9Rを備え、左右両端のデバイダ11L、11Rの間に3条以上の穀稈を同時刈取可能な間隔が形成されるように該デバイダ11を配置した2条刈コンバインにおいて、前記左右両端のデバイダ間に3条以上の穀稈が分草されたことを検出する検出手段を設け、該検出手段によって3条以上の穀稈が左右両端のデバイダ間に分草されてきた状態である多条刈状態が検出された場合には、報知手段を介してオペレータへの報知を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
設定刈取条数よりも多い条数の刈取りを行うことが可能である2条刈コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
デバイダで分草された圃条の穀稈を引起こす左右一対の引起し装置を備え、左右両端のデバイダの間に3条以上の穀稈を同時刈取可能な間隔が形成されるように該デバイダを配置した特許文献1に示すコンバインが公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−220273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献のコンバインでは、設定刈取条数よりも多い条数の刈取りを行うことが可能である一方で、オペレータが設定刈取条数よりも多い条数の穀稈を刈取っていることに気付かずに増速操作等を行うことにより、刈取負荷が不測に上昇し、作業効率が低下する等の不具合が生じる場合があるという課題がある。
本発明は上記問題を解決し、設定刈取条数よりも多い条数の刈取りを行うことが可能な2条刈コンバインにおいて、3条以上の穀稈の同時刈取作業を行っている際には、オペレータにその旨を自動的に報知することができる2条刈コンバインを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明の2条刈コンバインは、第1にデバイダ11で分草された圃場の穀稈を引起こす左右一対の引起し装置9L,9Rを備え、左右両端のデバイダ11L、11Rの間に3条以上の穀稈を同時刈取可能な間隔が形成されるように該デバイダ11を配置した2条刈コンバインにおいて、前記左右両端のデバイダ間に3条以上の穀稈が分草されたことを検出する検出手段を設け、該検出手段によって3条以上の穀稈が左右両端のデバイダ間に分草されてきた状態である多条刈状態が検出された場合には、報知手段(24,32)を介してオペレータへの報知が可能なことを特徴としている。
【0006】
第2に、走行変速操作を行う主変速レバー26の操作位置を検出する操作位置検出手段29又は車体の車速を検出する車速検出手段を備え、前記多条刈状態の検出時、操作位置検出手段により検出される主変速レバー26の操作位置又は車速検出手段により検出される車速が3条以上の穀稈を同時刈取可能な範囲外になっている場合のみ、報知手段(24、32)を介してオペレータへの報知を行うことを特徴としている。
【0007】
第3に、エンジンの停止するエンジン停止手段33を設け、多条刈状態が所定時間以上継続して検出された場合又は多条刈状態での走行距離が所定距離以上になった場合には、エンジン停止手段を介してエンジンを停止させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
以上のように構成される本発明の2条刈コンバインによれば、設定刈取条数である2条
よりも多い3条以上の穀稈の同時刈取作業をする状態である多条刈状態を検出した場合には、報知手段によってオペレータへの報知が行われるため、オペレータが多条刈状態に気付かずに作業を続けることによる作業効率の低下や刈取負荷の不測の上昇等といった不具合が防止され、安定した作業を行うことが可能になるという効果がある。
【0009】
また、走行変速操作を行う主変速レバーの操作位置検出手段により検出される主変速レバーの操作位置又は車体の車速を検出する車速検出手段により検出される車速が、3条以上の穀稈を同時刈取りすることが可能な範囲外となっている場合のみ、報知手段によってオペレータに報知を行うことにより、より適切なタイミングで報知を行うことが可能になるため、より安定した作業を行うことができるという効果がある。
【0010】
さらに、多条刈状態が所定時間以上継続して検出された場合又は多条刈状態での走行距離が所定距離以上になった場合に、エンジン停止手段を介してエンジンを停止させることにより、想定以上の高負荷による故障等を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用した2条刈コンバインの全体斜視図である。
【図2】デバイダの配置構成を示す前処理部の要部平面図である。
【図3】運転席の平面図である。
【図4】制御部のブロック図である。
【図5】制御部が行う制御内容を示すタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示する実施形態につき説明する。
図1は、本発明を適用した2条刈コンバインの全体斜視図である。本2条刈コンバインは、主に、進行方向右(右)側に運転席1を有するとともに、左右一対のクローラ式装置2である走行部によって支持された走行機体3と、上記走行機体3に昇降可能に連結され穀稈の刈取作業等を行う走行機体前方の前処理部4とから構成されている。
【0013】
前処理部4を下降させた状態で、本コンバイン(車体)を走行させ前処理部4によって圃場の穀稈の刈取作業及び刈取った穀稈の走行機体側への搬送作業を行う。前処理部4から走行機体側に搬送された穀稈は、走行機体3の左部に設けられた脱穀部6によって脱穀等され、籾等の穀粒は走行機体3の後部右側に配置されたグレンタンク7内に収容され、排藁等は走行機体3の後端部から機外に排出される。グレンタンク7内の穀粒は、走行機体3の後端部右側に左右旋回駆動可能且つ昇降駆動可能に基端部が支持されたオーガ8の先端部から機外に排出される。
【0014】
なお、本コンバインでは、上記刈取、搬送及び脱穀作業等を行いながら車体を前進側に直進走行させ、車体が圃場の端部に達すると、左旋回により再び前進側に直進走行させる。すなわち、本コンバインの左側が未刈地側になる一方で、右側が既刈地側になる。
【0015】
次に、図1及び2に基づいて前処理部4の構成を説明する。
図2は、デバイダの配置構成を示す前処理部の要部平面図である。前記前処理部4は、正面視上下方向に長い方形状をなして圃場の穀稈を梳き起こす左右一対の引起し装置9L、9Rと、車体の走行過程で圃場の穀稈を掻き分け(分草し)、その一部を引起し装置側に案内する分草体である上下方向のデバイダ11と、引起された穀稈を刈取る刈刃(図示しない)と、刈取られた穀稈を走行機体側に後方搬送する搬送装置12とを備えている。
【0016】
上記左右の引起し装置9L、9Rは、間に掻込みスペースSが形成されるように所定間隔を介して左右並列配置されている。各引起し装置9L,9Rは、掻込みスペースS側で上方移動するように外周縁に沿って環状に循環移動する複数の引起し爪(タイン)13を所定のピッチで複数備えている。各引起し爪13は、上方移動の際に、掻込みスペースS側に突出する作用姿勢に切替えられる一方で、その他の箇所を移動している際には、移動方向に沿って収容倒伏される非作用姿勢に切替えられるように構成されている。
【0017】
この引起し爪13の作用姿勢時の上方移動によって、圃場の穀稈を梳き上げることにより、引起作業を行う。
【0018】
上記デバイダ11は、左右並列配置された状態で3つ設けられており、各デバイダ11は、引起し装置9の下端部から前方に向かって突出するように、前処理部4の枠体側から前方に一体的に延設された前後方向のデバイダフレーム14の前端部に、その後端部が取付固定されている。左右両端のデバイダ11である左デバイダ11L及び右デバイダ11Rは、正面視で前処理部4の左右両端に配置され、この左右両端のデバイダの間には、車体の進行方向を穀稈の条列方向と一致させた場合に3条分の穀稈の株元を同時に位置させることが可能な間隔である分草スペースが形成されている。くわえて、左右両端のデバイダ11L、11R間における圃場旋回時に内側である左寄りに配置されたデバイダ11は、中央デバイダ11Cとなる。
【0019】
そして、分草スペースに2条分の穀稈が分草されて2条の穀稈の同時刈取作業が行われる2条刈取状態では、右デバイダ11Rと中央デバイダ11Cによって右側1条分の穀稈を上記単一の掻込みスペースSにおける右引起し装置9Rの作用端部側に案内するとともに、左デバイダ11Lと中央デバイダ11Cによって左側1条分の穀稈を上記単一の掻込みスペースSにおける左引起し装置9Lの作業端部側に案内する。
【0020】
一方、分草スペースに3条分の穀稈が分草されて3条の穀稈の同時刈取作業が行われる3条刈状態(多条刈取状態)では、右デバイダ11Rと中央デバイダ11Cによって右側2条分の穀稈を上記単一の掻込みスペースSにおける右引起し装置9Rの作用端部側に案内するとともに、左デバイダ11Lと中央デバイダ11Cによって左側1条分の穀稈を上記単一の掻込みスペースSにおける左引起し装置9Lの作業端部側に案内する。
【0021】
すなわち、上記構成の前処理部4では、左右一対の引起し装置9L、9R及び3つのデバイダ11によって、刈取条数を2条に設定するとともに、左右両端の間に3条以上の穀稈を同時刈取可能な間隔が形成されるように左デバイダ11L及び右デバイダ11Rを配置することによって3条の穀稈の同時刈取も可能なように構成されている。
【0022】
そして、本コンバインでは、2条刈状態と、3条刈状態とを、検出スイッチからなる3条刈センサ16(検出手段、多条刈センサ)によって検出するように構成されている。
【0023】
次に、図2に基づき、3条刈センサ16の構成について説明する。3条刈センサ16は、主に、右デバイダ11Rを支持するデバイダフレームである右デバイダフレーム14に取付固定されるスイッチ部17と、スイッチ部17から上記分草スペース側に前後揺動可能に突出する検出アーム18とから構成されている。この3条刈センサ16は、車体の進行方向に対して垂直方向を向いた最前方位置と、分草スペース側に向かって斜め後方に傾斜した最後方位置との間で前後揺動されており、最前方位置側に常時弾性的に付勢されている。そして、検出アーム18が最後方位置又はその近傍に揺動される際には、スイッチ部17(3条刈センサ16)が入(ON)状態になる一方で、上述の付勢力によって最前方位置に揺動されている際には、スイッチ部17(3条刈センサ16)が切(OFF)状態になる。
【0024】
3条刈状態時には、分草スペースに案内された3条分の穀稈の内、右端列の穀稈の株元が、上記検出アーム18を最後方位置に揺動させて、3条刈センサ16を入作動させる。ちなみに、穀稈は条列方向に等間隔で植付けられるため、3条刈状態時には、分草スペースを順次通過する穀稈によって、3条刈センサ16が入状態で保持される。
【0025】
一方、2条刈状態時には、分草スペースに案内された2条分の穀稈は、何れも右デバイダ11R及び右デバイダフレーム14から離間した箇所を通過し、検出アーム18には接触しないか、接触してもスイッチ部17を入作動させる位置までは検出アーム18を後方揺動させず、3条刈センサ16は切状態で保持される。
【0026】
以上、3条刈センサ16のON・OFFによって、3条刈状態の検出が可能であり、本コンバインでは、この検出結果に基づき、マイコン等からなるECU(電子制御ユニット)である制御部34(図4参照)を介した各種制御を行う。
【0027】
次に、図3に基づき、運転席1の構成について説明する。
図3は、運転席の平面図である。運転席1は、オペレータが着座する座席19と、座席前方に配置されたフロント操作パネル21と、座席左側に配置されたサイド操作パネル23とを備えている。前記フロント操作パネル21には、左右揺動によって操向操作を行うとともに前後揺動によって前処理部4の昇降操作を行うマルチステアリングレバー22(操向レバー、昇降レバー)が設置されている。
【0028】
サイド操作パネル23には、3条刈状態であることを点灯によってオペレータに報知する3条刈警報ランプ24(報知手段)と、3条刈警報ランプ24の近傍に配置されて走行変速操作を行う主変速レバー26と、脱穀クラッチレバー27等とが設けられている。
【0029】
主変速レバー26は、前後中立位置が走行部にエンジン動力が伝動されないニュートラル状態とするニュートラル位置になる。このニュートラル位置における左右の一方側(図示する例では右側)への揺動が車体の前進切替操作になる一方で、ニュートラル位置における左右の他方側(図示する例では左側)への揺動が車体の後進切替操作になる。
【0030】
そして、主変速レバー26は、上記前進切替操作によって、ニュートラル位置から前方揺動可能な状態になり、このニュートラル位置からの前方揺動によって、車体前進時の増速操作を行う。一方、主変速レバー26は、上記後進切替操作によって、ニュートラル位置から後方揺動可能な状態になり、このニュートラル位置からの後方揺動によって車体後進時の増速操作を行う。ちなみに、この主変速レバー26を介した車体の走行変速及び前後進切替は、主変速レバー26に機械的に連結された油圧式無段階変速装置である走行HSTを介して行われる。
【0031】
3条刈警報ランプ24は、前進切替操作時における主変速レバー26の前後揺動範囲の側方(図示する例では左側方)に配置されている。そして、主変速レバー26が3条刈警報ランプ24位置よりも前方位置に揺動された場合、上記3条刈状態においても穀稈の刈取り、搬送及び脱穀作業等を効率的に行うことができる速度である3条刈可能速度を超えた走行速度に増速される状態になる。すなわち、ニュートラル位置と3条刈警報ランプ24の前端位置との間の主変速レバー26の前後揺動範囲が、3条分の穀稈を同時且つ効率的に刈取ることのできる3条刈可能操作範囲になり、前進切替時に主変速レバー26が上記3条刈可能操作範囲外に前方揺動された場合には、3条分の穀稈を効率良く同時刈取りすることができない程度に車体の走行速度(車速)が前処理部4の駆動スピードに対して上昇する。
【0032】
脱穀クラッチレバー27は脱穀部側等へのエンジン動力の伝動を断続させる脱穀クラッチ(図示しない)と機械的に連結されており、脱穀クラッチレバー27の前後揺動によって、脱穀クラッチの断続操作を行う。くわえて、本コンバインには、前処理部4側へのエンジン動力の伝動を断続させる刈取クラッチ(図示しない)が設けられている。
【0033】
次に、制御部34の構成について説明する。
図4は、制御部のブロック図である。制御部34の入力側には、前述の3条刈センサ16の他、脱穀クラッチレバー27による脱穀クラッチの断続操作検出を行う脱穀クラッチレバースイッチ28と、主変速レバー26の前後揺動角を検出する主変速レバーポテンショ29とが接続されている。
【0034】
上記脱穀クラッチレバースイッチ28は、脱穀クラッチレバー27を前側に揺動させた脱穀クラッチの接続操作時に入状態になる一方で、脱穀クラッチレバー27を後側に揺動させた脱穀クラッチの切断操作時に切状態になる。
【0035】
上記主変速レバーポテンショ29は、主変速レバー26の前後揺動角を検知することにより、車体の前後進切替操作並びに前進時及び後進時の走行変速操作を検出可能である他、前進切替時に主変速レバー26が3条刈可能操作範囲外に前方揺動操作されていることを検出することも可能である。
【0036】
制御部34の出力側には、前述の3条刈警報ランプ24、音によってオペレータへの報知を行う電子ブザー32(報知手段)と、上記刈取クラッチを断続操作させる刈取クラッチモータ31と、エンジン(図示しない)への燃料供給を遮断することによりエンジンを停止させるエンジン停止ソレノイド33(エンジン停止手段)とが接続されている。
【0037】
図5は、制御部が行う制御内容を示すタイムチャート図である。
本コンバインでは、脱穀クラッチレバースイッチ28によって脱穀クラッチの接続操作状態が検出され且つ主変速レバーポテンショ29によって主変速レバー26をニュートラル位置から前方揺動させた車体の前進走行が検出された場合には、制御部34が、刈取クラッチモータ31を介して、刈取クラッチの接続操作を行うことにより、エンジン動力を伝動させて前処理部4を駆動させる。すなわち、前処理部4は、車体の停止時及び後進時には自動的に駆動停止され、車体の前進走行時には自動的に駆動される。
【0038】
そして、制御部34は、3条刈センサ16による3条刈状態の検出時に、主変速レバー26が3条刈可能操作範囲外に前方揺動されていること(主変速レバー26の操作位置が3条分の穀稈を同時刈取可能な範囲外になっていること)が、主変速レバーポテンショ29によって所定時間(報知待機時間t)以上継続して検出された場合には、3条刈警報ランプ24及び電子ブザー32によって、オペレータへの報知を開始する。一方、この3条刈警報ランプ24及び電子ブザー32を介したオペレータへの報知は、3条刈状態が検出されなくなった場合又は主変速レバー26の3条刈可能操作範囲外への前方揺動操作が検出されなくなった場合に停止するように制御部34が構成されている。
【0039】
言換えると、3条刈センサ16によって3条刈状態が検出されている状態がオペレータへ報知可能な状態になり、この3条刈状態の検出時において、主変速レバーポテンショ29によって3条刈可能操作範囲外に主変速レバー26が前方揺動された状態が検出されても、該状態が報知待機時間t以上継続して検出されない場合には、3条刈警報ランプ24及び電子ブザー32を介したオペレータへの報知は実行されない。
【0040】
また、制御部34は、3条刈センサ16による3条刈状態の検出時に、主変速レバー26が3条刈可能操作範囲外に前方揺動操作されていること(主変速レバー26の操作位置が3条分の穀稈を同時刈取可能な範囲外になっていること)が、主変速レバーポテンショ29によって所定時間(停止待機時間T)以上継続して検出された場合には、エンジン停止ソレノイド33を用いてエンジンを停止状態とし、車体を停止させるとともに前処理部4の駆動を停止させる。ちなみに、制御部34によって、停止待機時間Tは報知待機時間tよりも長くなるように設定されており、オペレータへの報知の後に、エンジン停止が実行される。
【0041】
なお、上記停止待機時間Tに代えて、所定の距離(停止待機距離L)を設定し、3条刈センサ16による3条刈状態の検出時に、主変速レバー26が3条刈可能操作範囲外に前方揺動操作されていること(主変速レバー26の操作位置が3条分の穀稈を同時刈取可能な範囲外になっていること)が、主変速レバーポテンショ29によって検出されている状態で、停止待機距離Lを走行した場合には、エンジン停止ソレノイド33を用いてエンジンを停止状態とし、車体を停止させるとともに前処理部4の駆動を停止させるよう制御部34を構成しても良い。
【0042】
次に、他の実施形態について上記実施形態と異なる構成について説明する。
図4の制御ブロック図において、制御部34の入力側の主変速レバーポテンショ29に代えて又は加えて車速を検出する回転センサ等からなる車速検出手段を設ける。具体的には、車速検出手段は、走行部側への伝動軸の回転数を検知する回転センサによりなり、該回転センサが伝動軸の単位時間当たりの回転数を検知することにより車速を直接的に検出可能に構成されている。
【0043】
そして、制御部34は、3条刈センサ16による3条刈状態検出時に、車速が上述の3条刈可能速度よりも高速な速度になっていること(車速が3条分の穀稈を同時刈取可能な範囲外となっていること)が、車速検出手段によって報知待機時間t以上継続して検出された場合には、上述の例と同様にして、3条刈警報ランプ24及び電子ブザー32によって、オペレータの報知を開始する。
【0044】
また、制御部34は、3条刈センサ16による3条刈状態の検出時に、車速が上述の3条刈可能速度よりも高速な速度になっていること(車速が3条分の穀稈を同時刈取可能な範囲外となっていること)が、車速検出手段により停止待機時間T以上継続して検出された場合には、上述の例と同様にして、エンジン停止ソレノイド33を用いてエンジンを停止状態とし、車体を停止させるとともに前処理部4の駆動を停止させる。
【0045】
なお、上述の例では、上記所定状態が所定時間以上検出された場合にエンジン停止処理を行うが、該所定状態が検出された状態で、車体が所定以上の距離を走行した場合にエンジン停止の処理を行うように制御部34を構成してもよい。具体的には、3条刈センサ16による3条刈状態検出時、車速が3条刈可能速度よりも高速な速度になっていることが車速検出手段により検出されている状態で、車体が所定距離(停止待機距離)以上走行した場合には、制御部34がエンジン停止手段を介してエンジン停止の処理を行う。ちなみに、車体の走行距離は、車速検出手段を構成する回転センサ等によって計測可能である他、停止待機距離は、上述の例と同様にオペレータへの報知後にエンジン停止がされる長さに設定してもよい。
【符号の説明】
【0046】
9L 左引起し装置(引起し装置)
9R 右引起し装置(引起し装置)
11 デバイダ
24 3条刈警報ランプ(報知手段)
26 主変速レバー
29 主変速レバーポテンショ(操作位置検出手段)
32 電子ブザー(報知手段)
33 エンジン停止ソレノイド(エンジン停止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイダ(11)で分草された圃場の穀稈を引起こす左右一対の引起し装置(9L),(9R)を備え、左右両端のデバイダ(11L、11R)の間に3条以上の穀稈を同時刈取可能な間隔が形成されるように該デバイダ(11)を配置した2条刈コンバインにおいて、前記左右両端のデバイダ(11L、11R)間に3条以上の穀稈が分草されたことを検出する検出手段を設け、該検出手段によって3条以上の穀稈が左右両端のデバイダ(11L,11R)間に分草されてきた状態である多条刈状態が検出された場合には、報知手段(24、32)を介してオペレータへの報知を行うことが可能な2条刈コンバイン。
【請求項2】
走行変速操作を行う主変速レバー(26)の操作位置を検出する操作位置検出手段(29)又は車体の車速を検出する車速検出手段を備え、前記多条刈状態の検出時、操作位置検出手段(29)により検出される主変速レバー(26)の操作位置又は車速検出手段により検出される車速が3条以上の穀稈を同時刈取可能な範囲外になっている場合のみ、報知手段(24,32)を介してオペレータへの報知を行う請求項1の2条刈コンバイン。
【請求項3】
エンジン停止するエンジン停止手段(33)を設け、多条刈状態が所定時間以上継続して検出された場合又は多条刈状態での走行距離が所定距離以上になった場合には、エンジン停止手段(33)を介してエンジンを停止させる請求項2の2条刈コンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−259391(P2010−259391A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113745(P2009−113745)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】