説明

2枚以上のウェブ材料を接合する継ぎ目

第1接合パターン(5)と、第2接合パターンは長手方向に沿ってかつ重複部分の少なくとも一方の側端(1a、2a)の隣に延在する少なくとも一つの第2接合パターン(6)と、を具備する接合パターン(4)において超音波溶接、熱接合などにより少なくとも二つのウェブ材料を重ね合わせ様式において接合する継ぎ目。第2接合パターン(6)の接合面積は、第1及び第2パターンを合わせた接合面積の30%以上を占める。第1接合パターン(5)の接合素子(5a)は、第2接合パターン(6)の接合素子(6a)の平均面積の少なくとも2倍の平均面積を有する。継ぎ目に直交する方向で見ると接合パターン(4)の接触面積は、接合パターン長に沿った任意の点で接合パターン(4)の幅の10%から30%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも第1及び第2ウェブ材料を接合する継ぎ目に関し、ウェブ材料の少なくとも一方が熱融解性であり、第1ウェブ材料は第2ウェブ材料と重なり合う側端を有し、重複部分は前記ウェブ材料が重なり合うところで形成される。前記重複部分のウェブ材料は、少なくとも重複部分の一部分上に延在する接合パターンで接合され、継ぎ目を形成する。接合パターンは、ウェブ材料を超音波溶接装置や熱接合装置などの接合装置に搬送することによって実施される。
【背景技術】
【0002】
ファイバー織物、フィルムまたはラミネートいずれかの熱融解性材料を含むウェブ材料は、保護布及び衛生物品、特に、おむつ、生理用ナプキンそして失禁ガードのような、使い捨て吸収性パーソナルケア物品などの多様な用途に使用される。そのような用途のほとんどにおいてウェブ材料は接合される必要があり、便宜的に超音波溶接、熱接合、レーザー溶接または粘着によって接合される。超音波溶接、熱接合またはレーザー溶接による接合は通常、複数個の接合素子からなる接合パターンを形成することによって行われ、ウェブ材料の融解解構成材を融解し、これにより接合される。
【0003】
接合は工程ライン上で行われる。工程の変動同様、材料の変動も起こることがあり、それはウェブ材料の側端を重ね合わせることに関して、接合パターンの正確な位置決めをすることに影響する。もし接合パターンが重複部分に対して少しずれて配置された結果になる場合には、重複部分の側端が接合されたウェブ材料の表面から突出することがある。これは継ぎ目とその物品の品質を落としてしまうし、もし物品が、使用者の肌にあたるように身につけられて使用される場合に、そのような突出した側端は肌の不快感の原因になりうる。
【0004】
特許文献1は例えば保護服に使われる、スパンボンド式不織(spunbonded)ポリオレフィンシートの超音波接合を開示している。重複するシートの端部は、超音波ホーンと、所望の接合パターンに対応する浮き出されたパターンを持っているパターンロールと、の間に搬送される。ワッフルのような接合パターンが作られ、継ぎ目に沿って突出した端部を除去するためにシートの側端は再溶接される。
【0005】
特許文献2はサイド継ぎ目を形成するよう超音波溶接で互いを接合したフロント及びバックボディのパネルを有する使い捨ておむつに関する。溶接されたサイド継ぎ目は断続的に配置された異なる形状の接合素子のパターンにより画定される。目的は、溶接区域に沿って破り開けるようにする継ぎ目の溶接パターンを形成することである。
【0006】
特許文献3は二つの重複するウェブ材料を接合するための溶接パターンを開示しており、前記溶接パターンは生地の端部に平行して延在する短い点線を備える。
【0007】
特許文献4は使い捨てインナーウェアを開示しており、強固な超音波溶接継ぎ目が重複部分の端部から内向きに離れて位置する重複部分の側端の長手方向に延在した複数本の溶接ラインにより形成される。
【0008】
特許文献5は吸収性物品の継ぎ目の防断裂接合パターンを開示しており、前記接合パターンは、長手方向に隔てるように配向された接合素子であって継ぎ目の各側端に近接する接合素子の第1サブアレイと、側端の内側に配置され、長手方向に隔てるように配向された接合素子の第2サブアレイと、を備える。接合素子の第1サブアレイは応力受容素子として振る舞い、接合素子の第2サブアレイは伝送・消失素子として振る舞う。
【0009】
特許文献6は、吸収性物品の継ぎ目の接合パターンを開示しており、前記接合パターンは接合パターンの面積が8%から30%に拡張させるように配向された複数個の接合ポイントからなる。
【0010】
特許文献7は二つのサーモプラスティック布地間の溶接継ぎ目を開示しており、接合パターンが継ぎ目の両端において二本のラインに沿って配置された複数個の接合素子と、これらの二本のライン間に配置されるさらなる接合素子と、を備える。
【0011】
特許文献8は、メイン接合パターンと、重複部分の少なくとも一側端における少なくとも一部分に沿って延在する少なくとも一つのエッジ接合パターンと、を備える接合パターンを有する継ぎ目に関し、前記エッジ接合パターンの接合面積は、メイン接合パターンの接合面積とエッジ接合パターンの接合面積とを合わせた面積の30%以下を占める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5919539号明細書
【特許文献2】米国特許第5626574号明細書
【特許文献3】米国特許第4938817号明細書
【特許文献4】米国特許第4205679号明細書
【特許文献5】米国特許第6713159号明細書
【特許文献6】国際公開第2204/017885号パンフレット
【特許文献7】英国特許第1332037号明細書
【特許文献8】国際公開第2008/008004号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしまだ、前述の種類の少なくとも二つのウェブ材料を接合する継ぎ目のための改善された接合パターンが必要であり、前記接合パターンは、重複部分に沿った強固な継ぎ目と、継ぎ目に沿って端部が突出するリスク削減と、の双方を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述の課題を解決することと、強度特性及び継ぎ目の端部の仕上げを最適化した接合パターンを提供することと、を目的とする。これらのそしてさらなる目的は、繰り返しパターン内で互いに離間した複数個の接合素子からなる接合パターンによって与えられ、前記重複部分はウェブ材料の前記重複部分側端と定義される一対の長手方向の側端を有しており、前記接合パターンは接合パターンの第1及び第2側端によって決まる幅と長さを有している。接合パターンは重複部分の少なくとも一部に沿って長手方向に延在する第1接合パターンと、長手方向に沿って、そして前記重複部分の前記側端(1a、2a)の少なくとも一方の一部に隣接して延在する少なくとも一つの第2接合パターンと、からなる。前記第2接合パターンの接合面積は、第1、第2接合パターン面積を合わせた接合面積の30%以上を占める。第1接合パターンの接合素子は第2接合パターンの接合素子の平均面積の少なくとも2倍以上の平均面積を有し、継ぎ目と直交方向に見たときの接合パターンの接合面積は、接合パターン長に沿った任意の点で接合パターン幅の10%から30%である。
【0015】
併用された第1及び第2接合パターンは継ぎ目に高強度と側端に沿って破れる傾向の減少と供えると、同時に継ぎ目に沿って側端が突出する危険性削減と側端に沿って美しい仕上げを有する。
【0016】
実施形態では第2接合パターンの接合面積は第1及び第2接合パターンを合わせたものが占める総接合面積の50%以上、好ましくは60%以上を占める。
【0017】
本発明の一つの様態において第2接合パターンの接合面積は第1及び第2接合パターンを合わせたものが占める総接合面積の75%以下である。
【0018】
第1接合パターンの接合素子は、実施形態では、第2接合パターンの接合素子の平均面積の少なくとも2.5倍以上、好ましくは3倍以上、そしてより好ましくは4倍以上の平均面積を有する。
【0019】
第2接合パターンの接合素子は、他の実施形態では、それぞれが4mm以下、好ましくは3mm以下、そしてより好ましくは2mm以下の面積を有する。
【0020】
本発明の一つの様態において接触面積は、第1及び第2接合パターンの重複部分に直交する方向(x)で見ると、接合パターン長に沿って任意の点で接合パターン幅wの10%から25%、さらに好ましくは13%から20%である。
【0021】
第2接合パターンは、実施形態では複数個の小さな接合素子からなり、それぞれが2mm以下の平均面積を有し、前記接合素子は少なくとも2列の長手方向の列に配置されており、接合素子は隣列の接合素子に対して互い違いの関係で配置され、第2接合パターン内の接合素子の数は8個/cmから50個/cmである。
【0022】
また、第1接合パターンは少なくとも2列の長手方向の列に配置された複数個の接合素子からなり、接合素子は互いに互い違いの関係で配置される。第1接合パターンの接合素子はさらに横にある第2接合パターンの接合素子に対してオフセットして設置される。
【0023】
他の実施形態では第1接合パターン内の接合素子の数は4個/cmから25個/cmである。
【0024】
本発明の一つの態様では第2接合パターンの接合素子は円状である。他の態様では第1接合パターンの接合素子は円状である。
【0025】
ある実施形態では前記接合パターンは、センター接合パターンのそれぞれの側に一つずつ、二つのエッジ接合パターンを備える。
【0026】
直交方向xの重複部分の幅はある実施形態では5mmから40mm、好ましくは6mmから20mmである。接合パターンの幅w、つまり第1及び第2接合パターンの重複部分、他の実施形態では5mmから40mm、好ましくは6mmから20mmである。
【0027】
ある実施形態では第1接合パターンは少なくとも2%で60%以下、好ましくは40%以下の接合密度を有する。さらに第2接合パターンは他の実施形態では5%から60%、好ましくは10%から50%の接合密度を有する。本発明のある態様では第2接合パターンは第1接合より高い接合密度を有する。
【0028】
本発明のある態様ではウェブ材料は前記重複部分で25g/mから130g/mの総重量を有する。
【0029】
本発明の他の様態では少なくとも一つのウェブ材料は伸張性材料である。
【0030】
ある実施形態では継ぎ目はウェブ材料が接合される同じ平面に位置する。
【0031】
他の様態では継ぎ目は吸収性構造を具備するパーソナルケア吸収性物品に使用され、熱溶解性材料からなる第1及び第2ウェブ材料を接合して前記継ぎ目を形成する。
【0032】
ある実施形態ではパーソナルケア吸収性物品は第1ボディパネル、第2ボディパネル及びその間の股部分を具備するパンツ式衣服であり、前記第1及び第2ボディパネルは接合パターンにより重ね合わせ様式において接合され、前述の側端接合を形成し、継ぎ目を形成する。
【0033】
他の実施形態ではパーソナルケア吸収性物品は第1ボディパネル、第2ボディパネル及びその間の股部分を具備するパンツ式衣服であり、前記第1及び第2ボディパネルは接合されて側端接合部を形成し、さらに伸張性ウェストバンドを備え、前記ウェストバンドは第1及び/または第2ボディパネルに前述の接合パターンによって重ね合わせ様式において接合され、継ぎ目を形成する。
【0034】
また他の実施形態ではパーソナルケア吸収性物品はおむつや失禁ガードなどの吸収性衣類であり、第1ボディパネル、第2ボディパネル及びその間の股部分を具備し、第1及び第2ボディパネルはそれぞれ腰部分を有し、前記吸収性衣類はさらに、向かい合う横方向に延在し、第1ボディパネルの腰部分に付着するベルト部材を備え、吸収性衣類の着用者の腰の周りに巻かれるようになっており、第1固定手段で固定され、第2ボディパネルの腰部分には第2固定手段が備えられ、ベルト部材に固定されるようになっており、吸収性衣類がパンツ式の形を呈するように、前記ベルト部材は第1ボディパネルに接合パターンにより重ね合わせ様式において接合され、前述のように継ぎ目を形成する。
【0035】
本発明は添付図面に示されたいくつかの実施形態を参照しながら、以下により詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による接合パターンを有する二つの重なり合うウェブ材料の溶接接合を示す図である。
【図2】図1の接合パターンの長手方向における表面被服率を示すグラフである。
【図3】二つのウェブ材料間の継ぎ目であり、当該継ぎ目はウェブ材料と同じ平面に位置する継ぎ目を示す側面図である。
【図4】二つのウェブ材料間に突合せ(Butt)継ぎ目であって当該継ぎ目がウェブ材料の平面から垂直に突出している突合せ継ぎ目を示す側面図である。
【図5】接触面積測定を図示する(本発明の一部ではない)接合パターンを示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態による接合パターンを有する継ぎ目を示す図である。
【図7】図6の接合パターンの長手方向における表面被服率を示すグラフである。
【図8】パンツ式の吸収性物品を示す斜視図である。
【図9】ベルト状おむつを示す平面図である。
【図10】図9の拡大詳細図であってすなわちベルトの付着部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[定義]
「接合素子面積」は、一つの接合素子に占有される幾何学的な面積である。異なる面積の接合素子の場合、平均接合素子面積が算出可能である。例えばリング形状の、窪んだ接合素子の場合、接合素子面積は、(孔も含む)接合素子を外周で閉じられる面積と定義される。
【0038】
「接合面積」は、接合素子によって占有された接合パターンの面積である。
【0039】
「接合密度」は、接合素子間にある接合されていない面積を含む接合パターンによって包囲された全面積に対する接合素子の占有面積として定義される。
【0040】
接合パターンの直交方向の「接触面積」は、接合装置(例えば超音波ホーン及びパターンロール)と、継ぎ目の直交方向にあるウェブ材料と、の間における接触面積の加重平均値であり、そして下記の説明のように決定される。
【0041】
[実施形態]
図1は、少なくとも一方が熱融解材料を含む、二枚の重なり合うウェブ材料1及び2を概略的に図示している。ウェブ材料はファイバー状の不織布、プラスチックフィルムまたはこれらのラミネートである。さらにウェブ材料は二つ以上の材料レイヤーを備えている。二つのウェブ材料間の重複部分は符号3で示される。重複部分におけるウェブ材料1及び2は、複数個の接合素子を備える接合パターン4によって接合されている。接合は、例えば超音波溶接や、熱接合など熱融解材料が融解されてウェブ材料1及び2を接合させる当該分野で既知の方法によってなされる。こうして、接合された重複部分3は、二つのウェブ材料1及び2を接合する継ぎ目を形成する。この継ぎ目は、図1の二つのウェブ材料と同平面に位置する。両ウェブ材料は重複部分の外側まで延在する部分を有する。
【0042】
図3及び図4は、二つのウェブ材料を接合する、継ぎ目の二つの主なタイプを図示しており、図3は、図1のような「平面」継ぎ目を示し、図4は接合によりウェブ材料1及び2の平面から突出する「突合せ(Butt)」継ぎ目を示す。本発明による接合は、両タイプの継ぎ目に使用されてもよいが、特に図1及び図3における「平面」継ぎ目に適用できる。
【0043】
図1において、接合パターン4は重複部分3の幅全体にわたって延在する。つまり両ウェブ材料の側端1a及び2aそれぞれは、接合パターン4の両端近傍に位置しており、接合パターン4の長手方向の外側を限定する余白間の距離として定義される接合パターン4の幅w、は重複部分3の幅と基本的には同意義である。これは、継ぎ目に対して魅力的に見えるが、高速運転する製造ライン内で達成することは容易ではない。
【0044】
両ウェブ材料1及び2を接合パターン4全体に重ねることが好ましい。接合パターン4が重複部分の外側まで延在する場合、この領域において接合が発生せず、これは、接合面積が縮小して実際の接合面積でのエネルギーレベルが増幅することを意味し、これは、材料を融解させてしまう原因となる。一方もし接合パターンが重複部分の側端のかなり内側で終端すると、この接合されない側端は、継ぎ目の平面から突出することがあり、これは審美的な見解からも、また、特にこの突出した端部が着用者の肌に接触して位置する場合において快適さの理由からも、好ましくない。
【0045】
本発明による接合パターンの一例が図1で示されている。接合パターン4は、重複部分3に沿って長手方向yに延在する第1接合パターン5と、ウェブ材料の重複部分3の一方の側端1aに沿って長手方向に延在する第2接合パターン6と、を備える。図1で示される実施形態では、第1接合パターン5が重複部分の反対側の側端2aに沿って延在する。別の実施形態では第1接合パターン1はその第2接合パターン6の間に位置した状態で、第2接合パターンが両側のエッジ1aと2aに沿って設けられてもよい。したがって、本明細書で使用されるような「接合パターン4」という用語は、第1接及び第2接合パターン6間の面積を含む第1及び第2接合パターン5及び6を合わせたものを意味する。
【0046】
第1及び第2接合パターン5及び6は、互いにほぼ平行に延在する。
【0047】
メイン接合パターンとして示されている第1接合パターン5は、強い接合効果を保障するために相対的に大きい接合素子5aを有する一方、エッジ接合パターンである第2接合パターン6は相対的により小さな接合素子6aを有する。一般的に第1接合パターン5の接合素子5aは、第2接合パターン6の接合素子6aにおける平均接合面積の二倍以上の平均接合面積を有する。さらなる実施形態では、第1接合パターン5の接合素子5aが第2接合パターン6の接合素子6aにおける平均接合面積の2.5倍以上、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上の平均接合面積を有する。
【0048】
第2接合パターン6は、比較的密集して配置された接合素子6aを具備し、第2接合パターン6の接合面積は、第1接合パターン5の接合面積と第2接合パターン6の接合面積とを合わせた面積の30%以上を占有している。これは一つのみ第2接合パターン6が存在する場合と、二つの第2接合パターン6が設けられる場合と、の双方に適用される。二つの第2接合パターン6が設けられる場合、この二つの第2接合パターンの総接合面積が、第1接合パターン5の接合面積と、二つの第2接合パターン6の接合面積とを合わせた面積の30%以上を占有する。
【0049】
特定の実施形態では、第2接合パターン6の接合面積は、第1接合パターンと第2接合パターンとを合わせた面積の50%以上、好ましくは60%以上を占有している。本発明のさらなる様態では、第2接合パターンの接合面積は、第1及び第2接合パターンに占有される総面積の75%以下を占有している。
【0050】
第2接合パターンの接合素子6は、本発明の一様態において、4mm以下、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下の平均面積を有する。
【0051】
このように、第2接合パターン6は、複数個の比較的小さな接合素子6aを比較的高密度で具備する。小さな接合素子は二つのウェブ材料1及び2を、常に溶接するわけではないいくらかのリスクがあることから、比較的高密度で配置された多くの小さな接合素子を有することは、第2接合パターンで十分な溶接効果を得ることを確実にするために有利である。一定のわずかな割合の接合素子6aがウェブ材料1、2を溶接しないことがあるという事実はこの接合パターンにおいてウェブ材料を溶接するある程度の接合素子6aがある限り、それなら大問題ではない。
【0052】
第2接合パターン6は、突出した端部のないかつ破れる兆候のない好ましい仕上げを継ぎ目端部において実現する。
【0053】
第1接合パターン5は、継ぎ目に全体的な接合力を供給するメイン接合パターンを構成する。比較的大きな接合素子5aは、ウェブ材料1、2の十分な溶接効果をもたらさないリスクがかなり低く、接合素子5aは、接合力を落とすことなく、第2接合パターン6の接合素子6aより間隔をあけて配置される。
【0054】
本発明は、ウェブ材料を超音波溶接装置や熱接合装置などの接合装置に搬送することでなされるすべての接合パターンに適用される。そのような接合装置は、大抵一つ以上のパターンロールを具備する。
【0055】
接合パターン4の長手方向の任意の点で継ぎ目を横断して比較的均等な接触面積があることは、本発明による接合パターンの重要な特徴である。この接触面積は、例えば超音波ホーンやパターンアンビルロールなどの接合装置と、接合されるウェブ材料と、の間の接触面積の加重平均値である。
【0056】
接触面積計算を示す(本発明の一部ではない)接触パターンの図である図5を参照すると、パラメータXeffは、例えば超音波ホーンとパターンアンビルロールとの間におけるニップ(nip)において、接合されるウェブ材料と接合装置との間の所定の接触長に基づいて定義される。パラメータXeffは、この計算では4mmとみなされ、これは、この種の一般的に利用できる接合装置の基準値であると示されている。総接触面積がウェブ材料と最大限に接触するわけではないことから、加重関数W(X)は導入され、そしてつまり総接触面積が加重関数として作られた。加重関数の選択は、一定の区間にわたって定義され、そして下記の式(1)で定義される。
【0057】
【数1】

【0058】
上記のように、本発明の目的においてXeffは4(mm)とみなされる。定数A及びBには次の値、A=500、そしてB=0、1が計算で使われる。例え接合装置が4mmより小さいまたは大きいXeffを有していても、いずれにせよXeff、A及びBの上記値が本発明のために使用される。
【0059】
境界条件W(X)は、接触面積の中心で圧縮が最大になるようにかつ接触面積の外端部における圧縮がかなり減少するように設定される。
【0060】
加重関数W(X)は、接合装置(例えば超音波ホーンやパターンロール)と、継ぎ目の直交方向にあるウェブ材料と、の間における接触面積の加重平均値を計算するために使用される。この加重平均値は本発明における接触面積と定義され、そして例えば下述のような接合パターンの画像解析手段によって計算される。
【0061】
接合パターンのスキャンニングは、1200dpi(dot per inch)の解像度で作成する。そのパターンは、パターン部を黒色に反転した規格化された白黒画像として値を求められる。そこでパターン画像を定義する関数が導入される(式2)。
【数2】

正規化されかつ加重された接触面積は次のように定義され、
【数3】

ここで、
【数4】

であり、εは、パターン画像の長さXeff/2以内のピクセル整数である。
【0062】
接合パターンの接触面積は、接合パターン長に沿って任意の点で接合パターン4の幅wの10%から30%である。好ましい実施形態では、接触面積が、接合パターン長に沿って任意の点で接合パターン4の幅wの10%から25%、好ましくは13%から20%である。
【0063】
図1に示される接合パターン4の接触面積は、%で図2に図示されており、この特別な接合パターンの接触面積は、15.4%から16%というとても狭い範囲内で変位することがわかる。
【0064】
接合パターン4の長さに沿って均等な接触面積とは、継ぎ目に沿った接合力が均等であり、破れやすいポイントが最小化されることを意味する。
【0065】
図1に示される接合パターンは、側端1aに沿って、各平均面積が2mm以下の小さな接合素子6aを複数具備する第2接合パターン6を有する。これらの接合素子6aは、2列以上の長手方向の列に配置されており、この列において接合素子6aは、隣列の接合素子に対して互い違いの関係に位置する。第2接合パターンの接合素子6aの数は、好ましくは8個/cmから50個/cmである。第1接合パターン5は、複数の接合素子5aを具備しており、接合素子5aは、第2接合パターンの接合素子6aより大きくより広い間隔で配置されている。第1接合パターン5の接合素子の数は4個/cmから25個/cmである。接合素子5aは、2列(またはもっと多い)の長手方向の列に配置されており、この列において、接合素子は、互い違いの関係で配置されており、継ぎ目の直交方向にある第2接合パターン6の接合素子6aに対してずらして配置される。この接合素子5a及び6aの構成により上述のような均等な接触面積が設けられる。
【0066】
第1接合パターンの接合密度は少なくとも2%かつ60%以下、好ましくは40%以下である。第2接合パターンの接合密度は5%から60%であり、好ましくは10%から50%である。好ましくは第2接合パターン6の接合密度が第1接合パターン5よりも高い。
【0067】
第2及び/または第1接合パターンの接合素子は、円状をなす、または他の幾何学的形状を有してもよい。円状接合素子は、細長い接合素子より、破れる兆候を与えにくく、継ぎ目の接合力を向上させる。
【0068】
接合パターン4の直交方向の幅、w、は、重複部分3の直交方向の幅と同じか若干小さく作られる。これはウェブ材料1及び2の側端1a及び2aがウェブ材料の面から突出することを防ぎながら、接合パターン5及び6によって効果的に接合されること意味する。
【0069】
接合パターン4の幅は、重複部分3の直交方向の幅同様、好ましくは5mmから40mm、より好ましくは6mmから20mmである。
【0070】
図6は、本発明による接合パターン4の他の実施形態を示す。
【0071】
図6の接合パターンは、複数個の「バナナ」状の接合素子5aの形態をなす第1接合パターン5を具備し、接合素子5aは継ぎ目の長手方向に配向され、接合素子5aの凹状の側面が互いに向かい合うように、二つの互い違いの列に配置される。
【0072】
接合パターン4は、継ぎ目の長手方向に配向された短線形状の複数個の小さな接合素子6aからなる第2接合パターン6をさらに具備する。接合素子6aは、接合素子5aの互い違いの列それぞれにおいて隣り合った接合素子5a間のあきに向かい合って位置する直交方向の列に配置される。
【0073】
この図6に示される接合素子5a及び6aの構成は、同様に、上述の継ぎ目に沿って均等な接触面積を設ける。図6の接合パターンによる接合面積は、図7に図示されており、17%から18%である。
【0074】
本発明は特に、重複部分で25g/mから130g/mの総重量を有するウェブ材料に適用される。本発明のある実施形態では、少なくとも一つのウェブ材料が、伸縮性フィルム、伸縮性不織布または伸縮性ラミネートなどの、伸縮性材料である。伸縮性材料とは、下記の伸縮性テストにおいて30%以上の伸張性を有する材料と定義される。
【0075】
ひとつの重要な適用例は、おむつや失禁ガードや生理用ナプキンのようなパーソナルケアの吸収性物品であり、吸収構造と、吸収性物品の異なる構成部品を形成する接合されたウェブ材料と、を備える。本発明による接合パターンを使用する吸収性物品の継ぎ目の例が図8から図10で図示される。
【0076】
図8は、パンツ式の吸収性物品10を図示しており、吸収性物品10は、画成された腰用開口部11及び二つの脚用開口部12を有し、脚を脚用開口部に通し、物品を腰の上まで引き上げることによって着用者の身に付けられる。そのようなパンツ式の吸収性物品の例は、おむつ、トレーニングパンツ、水泳パンツ、生理用パンツそして高齢者に着用される高齢者用パンツである。物品は後述で「パンツダイパー(pant diaper)」と呼ばれる。この物品は長手方向yと横方向xとを有する。
【0077】
パンツダイパーは、フロントボディパネル13を具備し、フロントボディパネル13は、使用時に着用者の腹部と股間部とを覆うように延在することを意図されるパンツダイパーの一部分である。パンツダイパーは、またバックボディパネル14を具備し、バックボディパネル14は、使用時に使用者の背中と臀部を覆うように延在することを意図されるパンツダイパーの一部分である。パンツダイパー物品の股部分15は、両足間の着用者の股部分を覆うように延在するようすることを意図されるパンツダイパーの一部分である。
【0078】
吸収コア16は股部分15の中に配置され、フロント及びバックボディパネルの中に延在する。吸収コアはインナーカバーシート17とアウターカバーシート18との間に配置される。
【0079】
「インナーカバーシート」という用語は、吸収性物品の内側カバーを形成する液体透過性材料シートを意味しており、使用時において、着用者の肌に直接接触するように配置される。インナーカバーシートは、例えばスパンボンド(spunbond)、メルトブローン式、カーディング式、水流交絡(hydroentangle)式、湿式などの不織材料である。好適な不織材料は、ウッドパルプや綿の繊維のような天然繊維、ポリエステル、ポリチレン、ポリプロピレン、ビスコース、レイヨンなどの化学繊維、または天然繊維と化学繊維との混合物で構成されうる。インナーカバーシート材料は、他には欧州特許出願公開第1035818号明細書で開示されているような接合パターンで互いに接合されるトウ繊維(tow fiber)で構成されることもある。ほかのインナーカバーシート材料の例は、多孔体、孔開きプラスチックフィルムなどである。インナーカバーシートに適した材料はやわらかくかつ肌に刺激がなく、例えば尿及び生理などの体液が迅速に浸透される。インナーカバーシートは吸収性物品の異なる部分によってさらに異なることがある。
【0080】
「アウターカバーシート」は、吸収性物品の外側カバーを形成する材料を意味する。アウターカバーシートは吸収性物品の異なる部分により、同じであったり、または異なったりする。少なくとも吸収コアのエリアでは、アウターカバーシートは、液体不浸透性材料、ポリエチレンもしくはポリプロピレンフィルムのような薄いプラスチックフィルム、液体不浸透性材料で被覆された不織材料、液体の浸透を防ぐ疎水性不織材料、またはプラスチックフィルム及び不織材のラミネートである。アウターカバーシート材料は、液体が通過することを防止しながら、吸収コアから蒸気を逃がすように通気性を有してもよい。通気性を有するアウターカバーシートの材料例は、多孔性ポリメリックフィルム、スパンボンド及びメルトブローンレイヤーの不織ラミネート、多孔性ポリメリックフィルムと不織材料のラミネートである。好ましくはアウターカバーシートが少なくともその衣服側の表面に不織材料を具備する。
【0081】
「吸収コア」は、少なくとも股部分において吸収性物品の二つのカバーシートの間に配置された吸収性構造体である。吸収コアは任意の既存の種類であってよい。例えば一般的な吸収コアは、セルロース系綿毛パルプ、織物レイヤー、高吸収性パリマー(いわゆる超吸収材)、吸収体材料、吸収性不織材料などである。セルロース系綿毛パルプを超吸収性ポリマーと組み合わせて一つの吸収コアにすることは一般的である。超吸収性ポリマーは、自重の少なくとも約20倍の、0.9重量%塩化ナトリウムを含む水溶液を吸収することができる水膨張性、水不溶性の有機または無機材料である。超吸収材性材料の用途に好適な有機材料は、多糖類、ポリビニールアルコールなどの天然材料を含み、水素ポリマーなどの合成材料も同様である。そのような水素ポリマーは、例えばポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、ポリビニール・ピリジンなどを含む。他の好適なポリマーは、加水分解アクリロニトリル・グラフトスターチ(hydrolyzed acrylonitrile grafted starch)、アクリル酸グラフトスターチ、イソブチレン金属無水コポリマー及びその混合物などである。ヒドロゲルポリマーは好ましくは水不溶性を十分に材料に与えるように軽度に架橋されている。好ましい超吸収性材料はさらに表面も架橋されていて、超吸収性粒子、繊維、薄片、球体などの外側の表面や外殻が、超吸収体の内側部分より高い架橋密度を有する。超吸収材料は吸収性構造体の用途に好適であれば、粒子、繊維、薄片、球体などを含む、任意の形状であってもよい。
【0082】
高い液体貯蓄容量は多量の超吸収性材料を使うことで与えられる。セルロース繊維のような親水性繊維と超吸収性材料とのマトリックスを備える吸収コアの超吸収性材料比率は、好ましくは重量で10%から90%、より好ましくは重量で30%から70%である。
【0083】
吸収性物品が、液体の受け取り、許容量、液体分布許容量、そして貯蓄量に対して異なる性質のレイヤーを具備することは一般的である。幼児用おむつ及び失禁ガードの例で一般的である薄い吸収性ボディはよく、セルロースの柔らかいパルプと超吸収性ポリマーを圧縮したり、組み合わせたり、またはレイヤーにした構造を具備する。吸収コアのサイズと吸収量とは、幼児または大人の失禁など異なる用途に適するように変更される。
【0084】
吸収コアは、普通の吸収体の上に置いた捕捉分布レイヤーをさらに含むことがある。これは、メインの吸収体が吸収する前に、排出された液体を迅速に受け取ることができそして一時的に貯蓄できるようになっている。そのような捕捉分布レイヤーは既知の技術であり、複数の繊維状詰めものや構造体材料から成る。
【0085】
フロント及びバックボディパネル13、14、またはそのように吸収コア領域の外側に位置するフロント及びバックボディパネルのパーツは、股部分15と異なる材料構成を有することがある。つまり、一実施形態において、吸収コア領域外に位置するフロント及びバックボディパネル13、14の領域は、例えば身体向き側と衣服向き側とを有するラミネート材料で構成されることがある一方、不浸透性のアウターカバーシート及び/または浸透性のインナーカバーシートのみは、吸収コア領域に存在している。他の実施形態では、フロント及びバックボディパネル13、14のインナー及びアウターカバーシートは、股部分15と同じ材料である。
【0086】
フロント及びバックボディパネル全体または一部分は、伸張性材料である。伸張性ウェブ材料は伸張性不織材料や、それ自体は伸張性ではないが、ファイバー性材料の外側レイヤーと中の伸張性フィルムレイヤーとからなる伸張性ラミネートなどの伸張性糸によって伸張する不織材料から形成される。
【0087】
フロント及びバックボディパネル13及び14は長手方向側端に沿って接合されることでサイド継ぎ目19を形成する。フロント及びバックボディパネル13及び14は、フロントまたはバックボディパネルのインナーカバーシートを、反対のボディパネルのアウターカバーシート18に向かい合わせたように接合されてもよい。そのような場合、図8に示されるように、サイド継ぎ目は、継ぎ目において内に向き合うフロント及びバックボディパネルの近接部分と同じ平面になる。あるいは、フロント及びバックボディパネル13及び14は、両パネルのインナーカバーシートが内側で向かい合うように接合され、サイド継ぎ目19は、フロント及びバックボディパネルの平面から突出する。
【0088】
フロント及びバックパネル13及び14は、第1接合パターン5と第2エッジ接合パターン6とを具備する本発明の接合パターン4によってサイド継ぎ目19に沿って接合される。
【0089】
伸張性ウェストバンド20は、ウェスト開口部に沿ってフロント及びバックパネル13及び14にしっかり固定される。そのもっとも一般的な形として、伸張性ウェストバンド20は、不織材料のような材料レイヤー間を収縮して固定する伸張性紐またはバンドなどの伸張した伸張性部材21によって伸張性を有するほぼ伸張性を有さない不織材料を含む。あるいは伸張性ウェストバンド20は、伸張性不織材料か伸張性フィルム不織ラミネートを含む。伸張性ウェストバンド20は、本発明による接合パターン4によってフロント及びバックパネル13及び14に接合される。本発明による接合パターンは特にフロント及びバックパネルへのウェストバンドの接合に適用され、強固な継ぎ目と達成し、同時に、突出する端部がないことで継ぎ目の端に沿った仕上がりが魅力的である。
【0090】
脚用開口部もまた伸張性を有する。伸張性はアウター及びインナーカバーシートの間に収縮して固定された伸張性紐などの複数の伸張性部材12aによって通常達成される。
【0091】
図9及び図10は、おむつまたは第1ボディパネル23及び第2ボディパネル24と、その間にある股部分25と、を備えるおむつまたは失禁ガード22の形態をなす吸収性衣類の実施形態を示している。吸収コア26は大抵、股部分25内にあり、フロント及びバックボディパネル23、24に延在する。吸収コア26は大抵、インナーカバーシート27とアウターカバーシート28との間にある。インナー及びアウターカバーシートと、吸収コアとはパンツダイパーについて上述された材料である。該衣類は長手方向yと横方向xとを有する。
【0092】
一対のベルト部材29は第2ボディパネルのウェスト部分に取り付けられており、衣類の着用者の腰に巻いて、例えばメカニカルファスナーや特にフックアンドループ固定手段によるフックファスナーなどの第1固定手段30によって固定されるように意図されている。特にもしこれがファイバー状不織材料を含むときは、反対側のベルト部材の外表面はループ部材として機能する。
【0093】
「フックアンドループファスナー」は「フック」部と「ループ」部とを有する相補的な固定手段を意味し、再固定可能である。本明細書で使われる用語「フック」は、「ループ」と呼ばれる他の素子に係合するあらゆる素子を意味する。この「フック」という言葉は普通の意味である「引っ掛ける」ということだけに限定されず、一方向性であろうと両方向性であろうとも接合素子のあらゆる形態を包括的に含む。「ループ」も同様に普通の「ループする」という意味だけに限定されず、例えば不織材料のような「フック」と係合可能なあらゆる構造体を包括的に含む。フックアンドループファスナーは例えば米国のVelcro社から入手可能である。
【0094】
あるいは第1固定手段30は、テープタブのような粘着固定手段であり、向かい合うベルト部材29の外面は、例えば国際公開第01/00129号パンフレットで記述するような、テープが粘着できる材料であってもよい。
【0095】
ベルト部材29の幅は5cmから20cm、好ましくは7cmから15cmであるべきである。ベルト部材29は、好ましくは、ベルトの外面を形成するキャリア材料のラミネートと、使用者の肌に直接接触するベルトの内側を形成する柔らかい不織材と、で作られる。
【0096】
好適な不織材料は、ポリプロピレンやポリエチレンファイバーなどのスパンボンド材料である。接合(conjugate)ファイバーも使用される。他の好適な不織材料は、例えばポリプロピレン、ポリエステルまたは接合ファイバーなどのカーディングされた熱接合材料から形成される。
【0097】
キャリア材料は、固定手段30の受け取り面として機能するようになっているべきである。固定手段30がフックファスナーの場合、不織材料はキャリア材料として使用されることがある。固定手段30がテープタブの場合、プラスチックフィルムがキャリア材料として好適である。
【0098】
通常フロントパネルである第1ボディパネル23は、着用者の脚の間に渡されて、フロントパネル23の腰部の両横側に設けられる第2固定手段31でベルト部材29の外側に固定される。これらの第2固定手段31は、フックファスナーのような機械的ファスナーか、または粘着テープファスナーである。
【0099】
各ベルト部材29は、第1ボディパネル24に近接する基端部において、伸張領域29aを備えている。前記伸張領域29aは伸張性フィルム、伸張性不織材、伸張性ラミネートまたは同種の伸張性ウェブ材料で形成される。伸張性ラミネートは、二層またはそれ以上の不織材レイヤー、二層またはそれ以上のフィルムレイヤーまたはフィルム及び不織材の複合レイヤーである。
【0100】
前記伸張領域29aを形成するのに好適な伸張性ラミネートの例は、既知の技術であるあらゆる伸張性ラミネートである。伸張性ラミネートの一つのグループは「延伸(stretch-bonded)ラミネート」と呼ばれるものであり、その伸張性レイヤーは、一層以上の不伸張性レイヤーをラミネートする前に、少なくとも一つ以上の方向に延伸される。伸張性レイヤーから張力を解除すると、それは張力のかかっていない状態に自由に縮み、そこでラミネートされた不伸張性レイヤーが集合して、三次元のしわ(puckering)ができる。
【0101】
他の伸張性ラミネートのグループは「ネック接合ラミネート」と呼ばれるものであり、その幅が小さくなる(ネックされる)状態のもとで不伸張性ラミネートが延ばされている間に、伸張性材料が不伸張性材料に接合されるラミネートである。「ネック接合ラミネート」は、一つのレイヤーはネックされる不伸張性レイヤーで、他のレイヤーは伸張性レイヤーである、少なくとも二層以上のレイヤーを有する複合材料を意味する。
【0102】
他の伸張性ラミネートのグループは例えば国際公開第047488号パンフレットで開示されており、不伸張性不織レイヤーが一つの伸張性フィルムレイヤーにラミネートされたものであり、このラミネートは不織材料の不良ポイント上で伸張されると、不伸張性レイヤーが破れる。
【0103】
欧州特許第0646062号明細書、国際公開第98/29251号パンフレット、国際公開第03/000165号パンフレット及び米国特許出願公開第5226992号明細書において、伸張性ラミネートの例が記述されている。商業的に入手可能な伸張性ラミネートの例は、TredegarのFabriflex306や、NoedeniaのPK6358である。
【0104】
伸張領域29aは、好ましくは下述の伸張性テストで測定される30%以上の伸張性を有する。
【0105】
あるいは伸張領域29aは、ウェブ材料レイヤー間に収縮して固定された一つ以上の伸張性糸や細片を具備する。
【0106】
他の実施形態では、一つのみのベルト部材29が、一つの伸張領域29aを備える。
【0107】
ウェスト伸張部材32は、ボディパネル23及び24各々の少なくとも腰部の一部に沿って横方向に延在する。ウェスト伸張部材は伸張性ラミネートや伸張性フィルムなどのようなインナー及びアウターカバーシート間に収縮して固定された伸張性ウェブ材料であり、アウターカバーシートの外側か、またはインナーカバーシートの着用者を向く側にある。あるいはウェスト伸張領域32はアウター及びインナーカバーシートの間に収縮して固定された二つ以上の伸張性糸や細片を備える。
【0108】
脚用開口部もまた伸張性があり、前記伸張性は通常アウター及びインナーカバーシートの間に収縮して固定される伸張性糸などの複数の伸張性部材33によって得られる。
【0109】
伸張領域29aは対応するベルト部材29及び/または第1ボディパネル24の側端に本発明による接合パターン4によって接合される。
【0110】
[伸張性テスト]
この方法は、繰り返されるロード/アンロードサイクルで伸張性材料がどのように振舞うかを測定する。サンプルは所定の伸張長まで伸張され、0と該所定の伸張長との間での周期運動が実施される。要求されたロード/アンロード張力が記録される。恒久的な、すなわち残存している弛緩した材料の伸張長が測定される。
【0111】
周期運動を実施可能で、プリンター/プロッターまたはソフト表示部を備える張力テスターLloid LRXが使用される。サンプルは、幅25mmに、そして好ましくは張力テスターのクランプ間の距離より20mm長い長さにサンプルを切断することによって用意される。
【0112】
張力テスターは装置マニュアルにより校正されている。テストに必要なパラメータ(ロード及びアンロード圧)は、
・クロスヘッドスピード:500mm/min
・クランプ距離:50mm
・プリロード:0.05N
のように、調整されている。
【0113】
サンプルは基準に従ってクランプ間に設置され、サンプルが中央にあり、クランプに垂直に固定されていることが確認される。張力テスターが開始され、0と、最長規定された第1ロード長と等しい所定の伸張長と、の間を3サイクル実施される。最後のサイクルの前にサンプルは1分間弛緩され、それからサンプルを0.1Nの張力になるまで伸張し、伸張長を読み取ることによって恒久的伸張長が測定される。
【0114】
弛緩した後の恒久的な伸張長は10%未満であり、上記の方法により測定される。つまり、30%の伸張性とは、ウェブ材料が上記の張力テスターで30%の伸張長まで延伸された後、10%以下の伸張長になった後に、恒久的な弛緩を有するものと定義される。30%の伸張長とはサンプルの初期の長さより30%長い伸張長を意味する。
【0115】
本発明による、二つのみの接合パターンの例と数個の接合パターンの適用例が上記詳細に示されてきたが、当業者であれば、接合パターンの構成と応用との両方により、多くの改良が可能であることが容易に理解できるだろう。
【符号の説明】
【0116】
1 第1ウェブ材料、 1a 側端
2 第2ウェブ材料、 2a 側端
3 重複部分
4 接合パターン
5 第1接合パターン、5a 第1接合パターン素子
6 第2接合パターン、6a 第2接合パターン素子
10 パンツダイパー
11 腰用開口部
12 脚用開口部
13 フロントボディパネル
14 バックボディパネル
15 股部分
16 吸収コア
17 インナーカバーシート
18 アウターカバーシート
19 サイド継ぎ目
20 ウェストバンド
21 伸張性部材
22 失禁ガード
23 第1ボディパネル
24 第2ボディパネル
25 股部分
26 吸収コア
27 インナーカバーシート
28 アウターカバーシート
29 ベルト部材、 29a伸張領域
30 第1固定手段
31 第2固定手段
32 ウェスト伸張部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1及び第2のウェブ材料(1、2)の接合する継ぎ目であって、
前記第1及び第2のウェブ材料の少なくとも一方が熱融解材料を備え、
前記第1ウェブ材料(1)は、前記第2ウェブ材料(2)の側端(2a)と重なり合う側端(1a)とを有しており、
重複部分(3)は前記ウェブ材料が重なり合うところに形成され、
前記重複部分(3)における前記ウェブ材料は、超音波溶接、熱接合または同種の接合装置の中に搬送され、少なくとも前記重複部分(3)の一部分に延在する接合パターン(4)において接合されて当該継ぎ目を形成し、
前記接合パターンは、繰り返しパターンで互いに離間した複数の接合素子(5a、6a)を具備しており、
前記重複部分は、ウェブ材料の重なり合う前記側端(1a、2a)によって画定される一対の長手方向の側端を有しており、
前記接合パターン(4)は、当該接合パターン(4)の外側を限定する余白により画定される幅(w)を有しており、
前記接合パターン(4)は、前記重複部分(3)の少なくとも一部分に沿って長手方向に延在する第1接合パターン(5)と、前記重複部分(3)の少なくとも一方の前記側端(1a、2a)の少なくとも一部分に沿ってかつ近接して長手方向に延在する少なくとも一つの第2接合パターン(6)と、を備え、
前記第2接合パターン(6)の接合面積は、前記第1接合パターン(5)と第2接合パターン(6)の接合面積とを合わせた接合面積の30%以上を占め、
前記第1接合パターン(5)の前記接合素子(5a)は、前記第2接合パターン(6)の前記接合素子(6a)の平均面積より少なくとも2倍以上大きい平均面積を有し、
接合パターン(4)の接合面積は、継ぎ目に直交する方向で見ると、接合パターン(4)の長さに沿った任意の点において接合パターン(4)の幅(w)の10%から30%であり、前記接合面積は、明細書に定義されることを特徴とする継ぎ目。
【請求項2】
前記第2接合パターン(6)の接合面積が、前記第1及び第2接合パターン(5、6)を合わせた接合面積の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%を占めることを特徴とする請求項1に記載の継ぎ目。
【請求項3】
前記第2接合パターン(6)の接合面積が、前記第1及び第2接合パターン(5、6)を合わせた接合面積の75%より小さいことお特徴とする請求項1または2に記載の継ぎ目。
【請求項4】
前記第1接合パターン(5)の前記接合パターン(5a)それぞれが、前記第2接合パターン(6)の前記接合素子(6a)の平均接合素子面積の2.5倍以上、好ましくは3.5倍以上、より好ましくは4倍以上の平均接合面積を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項5】
前記第2接合パターン(6)の前記接合素子それぞれの接合素子面積が4mm以下、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項6】
前記接合パターン(4)の接触面積が、当該継ぎ目と直交する方向で見ると、前記接合パターン(4)の長さに沿う任意の点で、前記接合パターン(4)の幅(w)の10%から25%、好ましくは13%から20%であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項7】
前記第2接合パターン(6)が、それぞれが2mm以下の平均面積を有する複数の小さな前記接合素子(6a)を具備し、
前記接合素子は、少なくとも2つの長手方向の列に配置され、当該接合素子は隣接する前記列の接合素子に対して互い違いに配置され、
前記第2接合パターンにおける前記接合素子の数が5個/cmから50個/cmであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項8】
前記第1接合パターン(5)が、複数の前記接合素子(5a)を具備し、前記接合素子は、少なくとも2つの長手方向の列に配置され、当該接合素子が互い違いの関係で配置されかつ前記第2接合パターン(6)の前記接合素子(6a)に対して直交方向にずらして配置されること特徴とする請求項7に記載の継ぎ目。
【請求項9】
前記第1接合パターン(5)における前記接合素子の数が、4個/cmから25個/cmであることを特徴とする請求項8に記載の継ぎ目。
【請求項10】
前記第2接合パターン(6)の前記接合素子が、円状であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項11】
前記第1接合パターン(5)の前記接合素子が、円状であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項12】
前記接合パターン(4)が、前記第1接合パターン(5)の両側に一つずつ二つの前記第2接合パターン(6)を具備することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項13】
前記重複部分(3)の直交方向における幅が、5mmから40mm、好ましくは6mmから20mmであることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項14】
前記接合パターン(4)の幅が、5mmから40mm、好ましくは6mmから20mmであることを特徴とする請求項13に記載の継ぎ目。
【請求項15】
前記第1接合パターン(5)が、少なくとも2%かつ60%以下、好ましくは40%以下の接合密度を有することを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項16】
前記第2接合パターン(6)が、5%から60%、好ましくは10%から50%の接合密度を有することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項17】
前記第2接合パターン(6)が、前記第1接合パターン(5)より高い接合密度を有することを特徴とする請求項15及び16に記載の継ぎ目。
【請求項18】
前記ウェブ材料(1、2)が、前記重複部分(3)において25g/mから130g/mの総重量を有することを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項19】
前記ウェブ材料(1、2)の少なくとも一つが、伸張性材料であることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項20】
当該継ぎ目が、接合されたウェブ材料(1、2)と同じ平面に位置することを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項21】
当該継ぎ目が、吸収構造(16、26)を具備するパーソナルケア吸収物品であり、
前記第1及び第2ウェブ材料が、前記接合パターン(4)により接合された熱融解性材料であることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の継ぎ目。
【請求項22】
前記パーソナルケア吸収性物品は、第1ボディパネル(13)と、第2ボディパネル(14)と、前記第1及び第2ボディパネルの間にある股部分(15)と、を具備するパンツ式の衣類であり、
前記第1及び第2ボディパネルが重ね合わせ様式において接合され、請求項1から20のいずれか一項に記載のような前記接合パターン(4)によって接合されたサイド継ぎ目(19)を形成することを特徴とする請求項21に記載の継ぎ目。
【請求項23】
前記パーソナルケア吸収性物品は、第1ボディパネル(13)と、第2ボディパネル(14)と、前記第1及び第2ボディパネルの間にある股部分(15)と、を具備するパンツ式衣類であり、
前記1及び第2ボディパネルは、接合されてサイド継ぎ目(19)を形成し、伸張性ウェストバンド(20)をさらに備え、
前記ウェストバンドが、第1及び/または第2ボディパネルに重ね合わせ様式において接合され、請求項1から20のいずれか一項に記載のような前記接合パターン(4)によって画成される当該継ぎ目を形成することを特徴とする請求項21または22に記載の継ぎ目。
【請求項24】
前記パーソナルケア吸収性物品は、第1ボディパネル(23)と、第2ボディパネル(24)と、前記第1及び第2ボディパネルの間にある股部分と、を具備するおむつや失禁ガードのような吸収性衣類であり、
前記第1及び第2ボディパネルが、それぞれ腰部を有しており、
前記吸収性衣類は、前記第2ボディパネル(24)の前記腰部に付着して横方向に延在するベルト部材(29)を備え、前記吸収性衣類の着用者の腰の周りに巻かれて第1固定手段(30)で固定されるように構成されており、
前記第1ボディパネル(23)は、前記吸収性衣類がパンツ状の形状をとるように、当該第1ボディパネルの前記腰部において、前記ベルト部材(29)に固定されるように構成された第2固定手段(31)を備えており、
少なくとも一つの前記ベルト部材(29)が、前記第2ボディパネル(24)の腰部分に隣接する当該ベルト部材の基端部に配置された伸張領域(29a)を具備しており、
前記伸張領域(29a)は、残りの対応する前記ベルト部材にかつ/または第2ボディパネル(24)に、重ね合わせ様式において接合されて、請求項1から20のいずれか一項に記載のような前記接合パターン(4)によって画成される当該継ぎ目を形成することを特徴とする請求項21に記載の継ぎ目。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−510690(P2011−510690A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539347(P2010−539347)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/SE2007/001144
【国際公開番号】WO2009/082277
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】