説明

2次元アレイ超音波プローブ及び超音波診断システム

【課題】送受信回路の規模を抑えて、グレーティングローブの影響を受けずに高感度な大口径の2次元アレイ超音波プローブ及び超音波診断システムを提供することにある。
【解決手段】2次元アレイ超音波プローブの超音波振動子20は、互いに直交する第1及び第2の方向に格子状に配列されており、振動素子22a〜22dの音響放射面側には音響放射面側電極23a〜23dが、背面側には背面側電極24a〜24dが設けられている。前記音響放射面側電極23a〜23d及び背面側電極24a〜24dのそれぞれには、それぞれ送信回路部26及び受信回路部27が独立に接続されている。そして、音響放射面側電極23aと23c、23bと23dが短絡接続されて送信回路261 、262 に接続されると共に、背面側電極24aと24b、24cと24dが短絡接続されて受信回路271 、272 に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に超音波を送信して反射波を受信し、波形を処理して画像上に断層表示し、診断に供する超音波診断装置に関するものであって、特に、リアルタイムで3次元像が観察できる超音波診断装置に接続される2次元アレイ超音波プローブ及び超音波診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波プローブに於いて、2次元格子状に素子を配列した2次元アレイ振動子がある。図9は、従来の2次元アレイ振動子の構成を示す斜視図である。
【0003】
図9に於いて、2次元アレイ振動子1は、パッキング部材2上に超音波振動子3が2次元の格子状に配列されて構成されている。そして、該振動子3の音響放射面側及びパッキング側には、それぞれ複数の電極が密着して形成され、図示されない送受信回路に接続されている。そして、更に音響放射面側には、図示されない音響整合層、音響レンズまたは、生体接触部材等の音響部材が配されている。
【0004】
図10は、従来の超音波診断装置のシステム構成を示すブロック図の例である。
【0005】
前記システムは、超音波プローブ5と超音波診断装置11より構成されるもので、超音波プローブ5内には、2次元アレイ振動子1、送受信分離回路6、送信回路7、受信回路8、コネクタ9を有し、超音波診断装置11側は制御回路12、信号処理回路13、表示装置14を有している。
【0006】
そして、各振動子1からの信号線には、超音波プローブ5内または超音波診断装置11内で、それぞれ送信回路(バルサ)7、受信回路(レシーバ)8が接続されている(図10の例では超音波プローブ5側)。診断装置11内では、信号処理回路13にてレシーバ8で受け取った信号をA/D変換し、例えば、包絡線検波後に断層像をCRTモニタ等の表示装置14に表示することが可能である。更に、2次元アレイ振動子では3次元的に任意の方向に超音波を送受信できるので、任意の断面の断層像に変換して表示したり、3次元レンダリング処理を行ってリアルタイムで3次元像を表示することもできる。
【0007】
従来の1次元アレイ振動子では、短冊状の振動子を1次元に配列するため、その素子数は約100素子である。これに対し、2次元アレイ振動子では、素子数が数千にもなり、プローブケーブルに全素子の信号線を通すことは、ケーブル径を大きくしてしまい、操作性が悪化する。そのため、超音波プローブ内に送受信回路を設けることが多い。
【0008】
2次元アレイ振動子の各素子には、音響放射面側及び背面側に電極が密着される。通常の構成に於いては、音響放射面側の電極は全素子共通接続とし、背面側の電極を独立として、送信、受信の分離回路を介して、送信回路、受信回路に接続される。その場合、送信パルスの電圧は一般に100V以上となり、一般的な低電圧用プロセスで製造したICでは、耐電圧上の問題が生じる。
【0009】
そこで、高耐圧用の特殊なプロセスで製造するICにより送信、受信分離回路を製造することになる。したがって、高価であると同時に、実装面積や消費電力が増大するため、プローブ外形の大型化による操作性悪化や、温度上昇を一定値以下に抑えて安全性を確保するために、送信電圧を下げて感度を落とさざるを得ないといった、画質上の問題が生じる。
【0010】
そこで、図11に示されるように、振動子1の放射面側の電極1aと背面側の電極1bに、それぞれ送信回路7、受信回路8を接続し、送信時は受信回路8を短絡状態に、受信時は送信回路7を交流的に短絡状態にすることで、送信回路7と受信回路8を分離する超音波プローブ15の技術が、例えば下記特許文献1に開示されている。この技術によれば、振動子そのものにより送信、受信回路の分離ができるため、受信回路には低耐圧のプロセスによる安価なICを使用することができ、また、送信、受信分離回路が必要ないため、実装スペース、消費電力を抑制することができる。
【特許文献1】特開2004−41730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術を用いても、素子数分の送信回路及び受信回路は必要であり、プローブ内の回路規模の増大を避けるためには、一定値以下に総素子数を制限する必要がある。
【0012】
一般に、高分解能を得るためには、周波数を高くするか、口径を大きくする必要がある。ところが、一定以下の素子数で何れかの方策を採ろうとしても、結果として周波数と素子ピッチの積は大きくなり、意図する方向以外への送受信であるグレーティングローブが増大するため、高分解能を得るために、高周波化や大口径化ができないという課題を有している。
【0013】
送受信回路の数を制限し、大口径を得る方法として、間引きによって一定のチャンネル数のみを送受信回路と接続する技術(スパースアレイ)もある。しかしながら、開口面積に対して送受信の有効面積が減少するために、感度が落ちたり、一定の方向ではないもののグレーティングと同原理で発生する多方向へのサイドローブにより、分解能が低下するといった課題を有している。
【0014】
したがって本発明の目的は、送受信回路の規模をできる限り抑えつつ、グレーティングローブの影響を受けずに高感度な大口径の2次元アレイ超音波プローブ及び超音波診断システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち本発明は、互いに直交する第1及び第2の方向に格子状に配列され、音響放射面側及び背面側にそれぞれ複数の第1及び第2の電極を有する複数の超音波振動子から成り、前記複数の第1及び第2の電極のそれぞれにはそれぞれ送信回路及び受信回路が独立に接続され、前記複数の第1及び第2の電極は、互いに異なる複数の超音波振動子を短絡接続していることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、互いに直交する第1及び第2の方向に格子状に配列されるもので、音響放射面側及び背面側にそれぞれ第1及び第2の電極を有する複数の超音波振動子と、前記複数の超音波振動子それぞれの第1の電極に接続された送信回路と、前記複数の超音波振動子それぞれの第2の電極に接続された受信回路と、を具備し、前記第1及び第2の電極は、互いに異なる超音波振動子を短絡接続していることを特徴とする。
【0017】
更に、本発明は、被検体内の組織情報を得るために該被検体に対して超音波送受を行うための2次元アレイ超音波プローブを有する超音波診断システムに於いて、前記2次元アレイ超音波プローブは、互いに直交する第1及び第2の方向に格子状に配列されるもので音響放射面側及び背面側にそれぞれ複数の第1及び第2の電極を有し、前記複数の第1の電極及び第2の電極にはそれぞれ送信回路及び受信回路が接続され、且つ、前記第1及び第2の電極は互いに異なる超音波振動子を短絡接続していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、送受信回路の規模をできる限り抑えつつ、グレーティングローブの影響を受けずに、高感度な大口径の2次元アレイ超音波プローブ及び超音波診断システムを提供することができる。
【0019】
また、望ましい形状比の圧電振動子を得るための素子ピッチを容易に選択することができるので、各素子の超音波送受特性の悪化を抑止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る2次元アレイ超音波プローブの振動子部の構成を示す斜視図である。
【0022】
図2に於いて、2次元アレイ超音波プローブの振動子部18は、パッキング部材25上に超音波振動子20が2次元の格子状に配列されて構成されている。そして、該超音波振動子20の音響放射面側及びパッキング部材25側には、それぞれ複数の電極が密着して形成され、図示されない送受信回路に接続されている。そして、更に音響放射面側には、図示されない音響整合層、音響レンズまたは、生体接触部材等の音響部材が配されている。
【0023】
図3は、本発明の第1の実施形態に於ける上述した超音波振動子22の電極パターンの例を示した斜視図である。この図3は、代表的に圧電体で構成される超音波振動素子(以下、圧電体と記す)22と、音響放射面側電極23と、背面側電極24のみを分離して示している。本実施形態では、圧電体22の、互いに隣接し、且つ音響放射面側と背面側で互いに直交する方向の2素子が、音響放射面側電極23及び背面側電極24で、それぞれ短絡接続される。
【0024】
そして、例えば、音響放射面側電極23には送信回路が、背面側電極24には受信回路が、図示されないフレキシブルプリント基板(FPC)等の信号引き出し手段によって、それぞれ接続される。その結果、回路構成としては、図1に示されるようになる。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波プローブを含む超音波診断装置のシステム構成を示した図である。
【0026】
図1に於いて、圧電体22a〜22d、音響放射面側電極23a〜23d、背面側電極24a〜24dで構成される超音波振動子20a〜20dの4素子に対して、送信回路部26内の送信回路261 ,262 の2系統、受信回路部内の受信回路271 ,272 が2系統接続されている。そして、1つの送信回路が接続される超音波振動子の組と、1つの受信回路が接続される超音波振動子の組は、互いに異なっている。例えば、超音波振動子20a及び20cの音響放射面側電極23a及び23cには送信回路261 が、超音波振動子20b及び20dの音響放射面側電極23b及び23dには送信回路262 が、そして超音波振動子20a及び20bの背面側電極24a及び24bには受信回路271 が、超音波振動子20c及び20dの背面側電極24c及び24dには受信回路272 が、それぞれ接続されている。
【0027】
更に、前記送信回路部26及び受信回路部27は、それぞれ超音波プローブ20内のコネクタ28を介して、超音波診断装置30内の制御回路31と、信号処理回路32及び表示装置33に接続されている。
【0028】
超音波診断装置30内の制御回路31は、この超音波プローブ20の動作を制御するものである。また、信号処理回路32では、超音波振動子20から受信回路27、コネクタ28を介して受け取った信号がA/D変換される。そして、例えば、包絡線検波後の断層像が、CRTモニタ等の表示装置33に表示されるようになっている。
【0029】
送信時には、受信回路271 ,272 は短絡状態となるので、2つの送信回路261 ,262 からの送信パルスのリターン電流は、対応する2つの受信回路271 ,272 を経由して流れることになる。しかしながら、受信回路271 ,272 の両端に電位差はほとんど生じないために、背面側電極24はグラウンド(GND)レベルに等しい。一方、受信時には、送信回路261 ,262 は一定の電圧レベルに保たれているため、交流的にはGND電位と等価な状態である。直流的には、超音波振動子の絶縁性により、分離された状態にある。本実施形態では、受信時に送信回路261 ,262 がGND電位でない可能性があるが、その状態は、各送信回路261 ,262 が別々の電位を発生していたとしても何ら影響を受けない。
【0030】
次に、本実施形態に於ける振動子部の原理と効果について説明する。
【0031】
図4(a)及び(b)は、図2に示される振動子部18の音響放射面側(送信側)及び背面側(受信側)の各電極パターンを、別々に放射面側から見たものを示した図である。
【0032】
これらの電極パターンが、送信時、受信時の素子配列に相当する。図3及び図4に示されるように、音響放射面側電極23はX方向のピッチが圧電体22と同じ、Y方向のピッチが圧電体22の2倍となっている。また、背面側電極24はX方向のピッチが圧電体の2倍、Y方向のピッチが圧電体22と同じとなっている。これらの電極パターンによれば、送信時のY方向の素子ピッチと、受信時のX方向の素子ピッチは、それぞれ図9に示される従来例の2倍になっている。
【0033】
図5は、一般的な2次元アレイプローブの2次元的な指向特性、すなわち音場を示した図である。但し、ここでは、説明の都合上、X方向及びY方向に一定の偏向角(例えば40度)を持たせており、ほぼX−Y平面の1/4について示している。
【0034】
各超音波振動素子には、送信、受信とも隣接した素子とは独立して送信回路、受信回路が接続され、各素子の位置に応じた適切なディレイ時間が設定されるため、送信回路、受信回路の特性や、開口幅が同じであれば、図5(a)に示される送信音場と、図5(b)に示される受信音場は一致する。また、図5(c)は、同図(a)の送信音場と、(b)の受信音場の複素的な積である送受信音場を示している。図5(a)〜(c)に示されるように、グレーティングローブは、X方向、Y方向、更に構造的な周期が現れる斜め方向に生じている。
【0035】
図6は、図4(a)、(b)に示されるように、Y方向に送信回路を2素子、X方向に受信回路を2素子分並列に接続した場合の音場を示したものであり、(a)は送信音場、(b)は受信音場、(c)は(a)の送信音場と(b)の受信音場の複素的な積である送受信音場を示した図である。
【0036】
図6(a)では、送信素子のY方向のピッチが2倍になっているので、Y方向へのグレーティングローブが強く現れると同時に、図5(a)とは異なる、X方向に近い斜め方向へのグレーティングローブも強く現れている。一方、図6(b)では、受信素子のX方向のピッチが2倍になっているので、X方向へのグレーティングローブが強く現れると同時に、図5(b)とは異なる、Y方向に近い斜め方向へのグレーティングローブも強く現れている。
【0037】
しかしながら、(a)の送信音場と(b)の受信音場の強いグレーティングローブが現れる方向が互いに異なるため、それぞれが打ち消しあい、図6(c)に示される送受信音場では、結果的に強いグレーティングローブは現れていない。
【0038】
ここで、図5(c)と図6(c)を比較すると、図6(c)に示される音場の方がやや強いグレーティングローブが現れていることが分かる。しかしながら、送信側、受信側それぞれに隣接素子の電極を短絡接続することによって、送信回路と受信回路の数が、それぞれ従来例の1/2倍になっていることを想起しなければならない。
【0039】
そこで、本実施形態の2次元アレイ振動子のX方向、Y方向の配列数をそれぞれNx、Ny、素子ピッチをそれぞれPx、Pyとして、Nx′=1.4Nx、Ny′=1.4Ny、Px′=Px/1.4、Py′=Py/1.4、という配列数及び素子ピッチの2次元アレイ振動子を考える。そして、上述したように、送信時にはY方向に2素子を短絡、受信時にはX方向に2素子を短絡する。その場合、本実施形態の2次元アレイプローブは、従来例と同一の開口幅を持ち、送信回路、受信回路の総数は、ほぼ等しくなる。
【0040】
図7は、本実施形態に於ける音場を示した図である。素子ピッチが細かくなったために、図7(a)、(b)に示される送信、受信音場で現れるグレーティングローブのレベルは低くなっている。更に、図6(c)で現れていた送受信音場のグレーティングローブは、図7(c)に示されるように、本実施形態では全く見られないことが分かる。
【0041】
すなわち、同じ規模の送受信回路によって、従来と同じ口径であればグレーティングローブの発生を抑止することが可能である。逆に、同じレベルのグレーティングローブを許容すれば、より大きな口径の2次元アレイが得られることになる。したがって、感度や分解等を改善することができる。
【0042】
本実施形態に於けるもう一つの効果は、同じ口径であれば素子ピッチが約0.7倍になることにより、圧電素子の形状比を改善できることである。2次元アレイでは、一般に1次元アレイに比べてX、Y方向の配列数が減少するために、各素子の幅が大きくなり、不要振動である横方向の振動モードの影響を受けやすいが、この現象の対策のために、一般には1素子を縦横に分割するサイブダイス技術を用いる。しかし、2分割すると、逆に圧電素子の幅が小さくなりすぎて、強度が保てなくなるという問題が生じる場合がある。これに対し、本実施形態では、素子ピッチが従来例の約70%であり、不要振動を抑制する形状比と、強度を保つ素子幅を両立することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0044】
図8(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態に係る2次元アレイ超音波プローブの電極パターンの一部を示す平面図であって、(a)は音響放射面側の電極パターン、(b)は背面側の電極パターンをそれぞれ示した図である。
【0045】
この第2の実施形態では、音響放射面側電極23はX方向に2素子、Y方向に3素子、そして背面側電極24は逆にX方向に3素子、Y方向に2素子の、各6素子の圧電体22を、それぞれ短絡接続して振動子部を構成している。この構成は、圧電素子の形状比から、上述した第1の実施形態よりも細かいピッチで素子を配列する必要がある場合に有効である。
【0046】
また、上述した第1の実施形態では、送信、受信時のX方向、Y方向の素子ピッチに大きな差が生じ、各素子の指向性(エレメントファクタ)にアンバランスが生じる可能性があるが、この第2の実施形態では、比較的縦横のピッチが近くなるので、指向性のアンバランスは生じにくい。その分、送受信でグレーティングローブが生じる方向は近付くが、そのアレイとしての指向性の鋭さにより、問題なく送受信でのグレーティングローブ抑制に効果的である。
【0047】
以上述べた実施形態では、1x2、及び2x3の素子構成について説明したが、それ以外にも、さまざまなパターンの短絡接続をすることも可能である。つまり、本願発明では、音響放射面側と背面側の電極パターンを互いに異なるものにすることによって、送信と受信で発生するグレーティングローブの方向を異ならせることが特徴であり、そのような短絡接続パターンと回路構成を持つ場合、本発明の範囲内である。
【0048】
また、以上の説明は、音響放射面側に送信回路、背面側に受信回路を接続する場合について述べたが、当然ながら、背面側に送信回路、音響放射面側に受信回路を接続しても、全く同様の効果を得ることができる。
【0049】
更に、上述した実施形態では、プローブヘッド内に送受信回路を含む構成で説明したが、コネクタ部、または診断装置本体内部に送受信回路を含む場合も、全く同様な効果が得られる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0051】
更に、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波プローブを含む超音波診断装置のシステム構成を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る2次元アレイ超音波プローブの振動子部の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に於ける超音波振動子の電極パターンの例を示した斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る2次元アレイプローブの電極パターンを示す平面図であって、(a)は音響放射面側(送信側)の電極パターンを放射面側から見た図、(b)は背面側(受信側)の電極パターンを放射面側から見た図である。
【図5】一般的な2次元アレイプローブの音場を示した図である。
【図6】Y方向に送信回路を2素子、X方向に受信回路を2素子分並列に接続した場合の音場を示した図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る2次元アレイプローブの音場を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る2次元アレイ超音波プローブの電極パターンの一部を示す平面図であって、(a)は音響放射面側の電極パターン、(b)は背面側の電極パターンをそれぞれ示した図である。
【図9】従来の2次元アレイプローブの構成を示す斜視図である。
【図10】2次元アレイプローブを含む超音波診断装置システムのブロック図である。
【図11】2次元アレイプローブを含む超音波診断装置システムの別の構成に於けるブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
15…超音波プローブ、18…振動子部、20、20a、20b、20c、20d…超音波振動子、22、22a、22b、22c、22d…振動素子(圧電体)、23、23a、23b、23c、23d…音響放射面側電極、24、24a、24b、24c、24d…背面側電極、25…パッキング部材、26…送信回路部、261 、262 …送信回路、27…受信回路部、271 、272 …受信回路、28…コネクタ、30…超音波診断装置、31…制御回路、32…信号処理回路、33…表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1及び第2の方向に格子状に配列され、音響放射面側及び背面側にそれぞれ複数の第1及び第2の電極を有する複数の超音波振動子から成り、
前記複数の第1及び第2の電極のそれぞれにはそれぞれ送信回路及び受信回路が独立に接続され、
前記複数の第1及び第2の電極は、互いに異なる複数の超音波振動子を短絡接続していることを特徴とする2次元アレイ超音波プローブ。
【請求項2】
前記第1及び第2の電極の短絡接続は、それぞれ隣接する少なくとも2つの超音波振動子を短絡するものであって、前記第1の電極により短絡接続された超音波振動子の数と前記第2の電極により短絡接続された超音波振動子の数は等しく、且つ前記第1の電極の長手方向と前記第2の電極の長手方向は互いに直交することを特徴とする請求項1に記載の2次元アレイ超音波プローブ。
【請求項3】
前記複数の第1及び第2の電極の短絡接続は、隣接する2つの超音波振動子を短絡するものであって、それぞれの短絡方向は互いに直交していることを特徴とする請求項2に記載の2次元アレイ超音波プローブ。
【請求項4】
互いに直交する第1及び第2の方向に格子状に配列されるもので、音響放射面側及び背面側にそれぞれ第1及び第2の電極を有する複数の超音波振動子と、
前記複数の超音波振動子それぞれの第1の電極に接続された送信回路と、
前記複数の超音波振動子それぞれの第2の電極に接続された受信回路と、
を具備し、
前記第1及び第2の電極は、互いに異なる超音波振動子を短絡接続していることを特徴とする2次元アレイ超音波プローブ。
【請求項5】
前記第1及び第2の電極の短絡接続は、それぞれ隣接する少なくとも2つの超音波振動子を短絡するものであって、前記第1の電極により短絡接続された超音波振動子の数と前記第2の電極により短絡接続された超音波振動子の数は等しく、且つ前記第1の電極の長手方向と前記第2の電極の長手方向は互いに直交することを特徴とする請求項4に記載の2次元アレイ超音波プローブ。
【請求項6】
前記第1及び第2の電極の短絡接続は、それぞれ隣接する2つの超音波振動子を短絡するものであって、前記第1の電極の短絡方向と前記第2の電極の短絡方向は互いに直交していることを特徴とする請求項5に記載の2次元アレイ超音波プローブ。
【請求項7】
前記第1の電極の短絡接続はそれぞれ隣接する第1の方向に2つ第3の方向に3つの超音波振動子を短絡し、前記第2の電極の短絡接続はそれぞれ隣接する第1の方向に3つ第3の方向に2つの超音波振動子を短絡するものであって、前記第1の電極の長手方向と前記第2の電極の長手方向は互いに直交していることを特徴とする請求項5に記載の2次元アレイ超音波プローブ。
【請求項8】
被検体内の組織情報を得るために該被検体に対して超音波送受を行うための2次元アレイ超音波プローブを有する超音波診断システムに於いて、
前記2次元アレイ超音波プローブは、
互いに直交する第1及び第2の方向に格子状に配列されるもので音響放射面側及び背面側にそれぞれ複数の第1及び第2の電極を有し、前記複数の第1の電極及び第2の電極にはそれぞれ送信回路及び受信回路が接続され、且つ、前記第1及び第2の電極は互いに異なる超音波振動子を短絡接続している
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項9】
前記2次元アレイ超音波プローブの前記第1及び第2の電極の短絡接続は、それぞれ隣接する少なくとも2つの超音波振動子を短絡するものであって、前記第1の電極により短絡接続された超音波振動子の数と前記第2の電極により短絡接続された超音波振動子の数は等しく、且つ前記第1の電極の長手方向と前記第2の電極の長手方向は互いに直交することを特徴とする請求項8に記載の超音波診断システム。
【請求項10】
前記第1及び第2の電極の短絡接続は、それぞれ隣接する2つの超音波振動子を短絡するものであって、前記第1の電極の短絡方向と前記第2の電極の短絡方向は互いに直交していることを特徴とする請求項9に記載の超音波診断システム。
【請求項11】
前記第1の電極の短絡接続はそれぞれ隣接する第1の方向に2つ第3の方向に3つの超音波振動子を短絡し、前記第2の電極の短絡接続はそれぞれ隣接する第1の方向に3つ第3の方向に2つの超音波振動子を短絡するものであって、前記第1の電極の長手方向と前記第2の電極の長手方向は互いに直交していることを特徴とする請求項9に記載の超音波診断システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−178471(P2008−178471A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12842(P2007−12842)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】