説明

2次元コード付き帳票

【課題】コピー機を利用した2次元コードが付された帳票の複製を防止するとともに、帳票からの2次元コードの読み取り性能を向上させた2次元コード付き帳票を提供する。
【解決手段】基材であるサーマル紙11の印字面の2次元コード印字欄12に印字する2次元コード13の上に、この2次元コード13を隠蔽する混色黒インキからなる隠蔽ベタ印刷層14を設け、更に、この隠蔽ベタ印刷層14の上に、2次元コード13の視覚的認識を困難にする混色黒インキからなる第1のカモフラージュ印刷層15、および透明マット系色材であるマットインキによる第2のカモフラージュ印刷層16を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機による2次元コードの複製を防ぐとともに、帳票からの2次元コードの読み取り性能が劣化することのない2次元コード付き帳票に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元コード付き帳票としては、QRコード(登録商標、以下同じ。)が付された帳票が広く知られている。このQRコードが付された帳票は、QRコードのシンボルを、紙やラベル等からなる基材の上に、トナー印字、サーマル印字、墨インキや色インキによる印刷等の方法により形成されている(例えば、下記の特許文献1を参照。)。
【0003】
また、上記帳票に付されたQRコードを読み取る方法としては、CCDカメラで画像を撮影し、そのコントラスト値(背景セルと色セルとの差異)を取得して読み取る方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−307154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記QRコードが付された帳票をコピー機で複写すると、複写後の帳票のQRコードは、上記方法によりそのデータが読み取れてしまう。このため、コピー機を利用すれば、正規のQRコードが付された帳票と同じものを簡単に複製することができるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、コピー機を利用した2次元コードが付された帳票の複製を防止するとともに、帳票からの2次元コードの読み取り性能を向上させた2次元コード付き帳票を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明に係る2次元コード付き帳票は、基材上に形成され、特定の波長の光で読み取る2次元コードと、前記2次元コードの上に形成され、前記特定の波長の光を吸収しない色材からなる隠蔽ベタ印刷層と、前記隠蔽ベタ印刷層の上に形成され、かつ前記特定の波長の光を吸収しない色材で印刷され、前記2次元コードの視覚的認識を困難にする第1のカモフラージュ印刷層と、前記第1のカモフラージュ印刷層の上に形成され、かつ透明マット系色材で印刷され、前記2次元コードの視覚的認識を困難にする第2のカモフラージュ印刷層と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、基材は、使用するプリンタに合わせて、例えば上質紙、再生紙、サーマル紙、熱転写用コート紙、ラベルなどの紙類や、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの樹脂フィルムを使用することができる。また、2次元コードを印刷するプリンタについては、例えばインクジェットプリンタ、レーザープリンタ、サーマルプリンタ、熱転写プリンタ等、各種印字方式のプリンタを使用することができる。
【0009】
上記の構成からなる2次元コード付き帳票において、前記2次元コードは、赤外発色サーマル紙の発光層に形成され、前記特定の波長の光は、赤外色であり、前記特定の波長の光を吸収しない色材は、混色黒インキで構成することができる。
【0010】
また、上記の構成からなる2次元コード付き帳票において、前記第1のカモフラージュ印刷層は、ランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列、前記2次元コードとは異なる内容の2次元コードの配列から選択された1つの配列の印刷を含み、前記第2のカモフラージュ印刷層は、前記第1のカモフラージュ印刷層の印刷のそれぞれの間隙を埋める印刷からなる構成を採用することができる。
【0011】
また、上記の構成からなる2次元コード付き帳票において、前記第1のカモフラージュ印刷層は、ランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列、前記2次元コードとは異なる内容の2次元コードの配列から選択された1つの配列の印刷を含み、前記第2のカモフラージュ印刷層は、前記第1のカモフラージュ印刷層の上に形成され、ランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列、前記2次元コードとは異なる内容の2次元コードの配列の印刷から選択された1つの配列を含む構成を採用することができる。
【0012】
また、上記の構成からなる2次元コード付き帳票において、前記第2のカモフラージュ印刷層は、前記第1のカモフラージュ印刷層を覆うとともに、前記基材の全面を覆うように形成することができる。
【0013】
また、上記の構成からなる2次元コード付き帳票において、前記2次元コードが形成される前記基材の裏面に形成され、遮光性インキからなる透過防止層を更に具備する構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る2次元コード付き帳票によれば、以下のような効果を奏する。
1)隠蔽ベタ印刷層の存在により、この帳票をコピー機で複写しても、2次元バーコードを再現することはできず、また、リーダによる2次元コードの読み取り性能を向上させることができる。
2)第1のカモフラージュ印刷層および第2のカモフラージュ印刷層の存在により、目視で帳票上の2次元コードを認識することができなくなるので、この2次元コード付き帳票の複製は困難になる。
3)隠蔽ベタ印刷層および第1のカモフラージュ印刷層は、2次元コードを読み取る特定の波長の光を吸収しない色材で印刷され、また、第2のカモフラージュ印刷層は、透明マット系色材で印刷されるので、隠蔽ベタ印刷層、上記第1および第2のカモフラージュ印刷層が存在しても、帳票からの2次元コードの読み取り性能は劣化しない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係る2次元コード付き帳票の実施例1を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示した実施例1の2次元コード付き帳票のA−A断面図である。
【図3】図3は、図1に示した実施例1の2次元コード付き帳票の変形例を示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示した実施例1の2次元コード付き帳票の他の変形例を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る2次元コード付き帳票の実施例2を示す平面図である。
【図6】図6は、図5に示した実施例2の2次元コード付き帳票のB−B断面図である。
【図7】図7は、図5に示した実施例2の2次元コード付き帳票の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための実施例について、願書に添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1〜4に本発明に係る2次元コード付き帳票の実施例1を示す。図1および図2に示すように、実施例1の2次元コード付き帳票10は、基材であるサーマル紙11の印字面の2次元コード印字欄12に印字する2次元コード13の上に、この2次元コード13を隠蔽する隠蔽ベタ印刷層14を設け、更に、この隠蔽ベタ印刷層14の上に、2次元コード13の視覚的認識を困難にする第1のカモフラージュ印刷層15および第2のカモフラージュ印刷層16を設け、コピー機による2次元コード13の複製を防止するとともに、目視による2次元コード13の認識を困難にする機能を持たせ、更に、2次元コード13の読み取り性能の劣化も防止するようにしたものである。
【0018】
さて、本実施例では、2次元コードをサーマルプリンタで印字できるように、赤外発色するサーマル紙11を使用している。すなわち、図2に示すように、このサーマル紙11は、用紙11aの上にサーマル層11bを積層一体化したものである。サーマル層11bは、赤外発色するロイコ染料(電子供与体)と酸性物質(電子受容体)を樹脂バインダ中に固体微粒子として分散させ、これを用紙11aの上に均一に塗布することにより構成されている。そして、このサーマル層11bをサーマルヘッドで加熱すると、ロイコ染料と酸性物質の両成分が互いに反応して赤外発色し、特定波長域光を吸収する特性を有するようになっている。
【0019】
サーマル紙11の中央には2次元コード印字欄12が設けられており、この2次元コード印字欄12には、所定の情報を光学読取装置で読み取るための2次元コード13が印字される。本実施例では、2次元コード13の一例としてモデル1のQRコードを採用し、このQRコードのシンボルのうちファインダパターン、タイミングパターン及びデータセルが、サーマル層11bを加熱することでサーマル印字される。QRコードのデータセルには、各種のデータがコード変換されて記録される。
【0020】
2次元コード印字欄12には、印字される2次元コード13を外部から視認できないように隠蔽するために、隠蔽ベタ印刷層14が設けられている。隠蔽ベタ印刷層14は、特定波長域の赤外光を吸収しない赤外光非吸収インキからなり、このインキをサーマル層11bの上から2次元コード13のサイズに合わせて被覆ベタ印刷することにより構成されている。
【0021】
ここで、特定波長域の赤外光を吸収しない赤外光非吸収インキとしては、例えば、カラーインキを混色した混色黒インキを用いることができる。
【0022】
さて、2次元コード13をサーマル印字する際には、サーマルヘッドで熱擦過するため、隠蔽ベタ印刷層14の表面状態が熱収縮等により変形し、隠蔽ベタ印刷層14を構成する赤外光非吸収インキが素抜け状態になることがある。このような熱擦過の影響を受けると、隠蔽ベタ印刷層14の上から目視で2次元コード13のシンボル形状を認識することができるため、2次元コード13を複製されてしまうことがある。
【0023】
そこで本実施例では、隠蔽ベタ印刷層14の上に、2次元コード13の視覚的認識を困難にする第1のカモフラージュ印刷層15および第2のカモフラージュ印刷層16を更に設ける。
【0024】
第1のカモフラージュ印刷層15は、隠蔽ベタ印刷層14の印刷に用いる特定波長域の赤外光を吸収しない赤外光非吸収インキ、例えば、混色黒インキを用い、ランダムな形状の配列、または所定形状の繰り返し配列、または2次元コード13とは異なる内容の2次元コードの配列が印刷される。
【0025】
また、第2のカモフラージュ印刷層16は、透明マット系色材であるマットインキにより、第1のカモフラージュ印刷層15の印刷のそれぞれの間隙を埋める印刷、すなわち毛抜き合わせを行うことにより、第1のカモフラージュ印刷層15の表面が凹凸状態(マット状態)になるようにして形成される。このようなマットインキの一例として、UVマットOPニス(T&K TOKA製、商品名)を使用することができる。
【0026】
なお、上記実施例においては、隠蔽ベタ印刷層14の存在により、この2次元コード付き帳票10から2次元コード13を読み取るリーダ側の読み取り性能を向上させることができる。
【0027】
上記構成において、隠蔽ベタ印刷層14がない場合には、リーダ側は用紙11aの白色と、サーマル層11bの赤外発色と第1のカモフラージュ印刷層15の混色黒色の3値化が必要となるが、隠蔽ベタ印刷層14が存在すると、リーダ側は、サーマル層11bの赤外発色と隠蔽ベタ印刷層14および第1のカモフラージュ印刷層15の混色黒色の2値化を行えばよい。すなわち、隠蔽ベタ印刷層14を設けることにより、リーダ側では、2次元コード13を読み取る場合の背景色が混色黒色に統一されることになり、これにより、帳票10から2次元コード13を読み取るリーダ側の読み取り性能を向上させることができる。
【0028】
また、2次元コード13を形成する赤外発色体(ロイコ染料)は、耐光性がよくないが、隠蔽ベタ印刷層14を設けることにより、2次元コード13を形成する赤外発色体の耐光性が向上し、発色部の濃度のばらつきを抑えることができる。
【0029】
更に、第2のカモフラージュ印刷層16を毛抜き合わせに用いることにより、カモフラージュ印刷層の積層数の差がなくなるため2次元コード13を形成するための発色濃度に差異がなくなり、発色濃度を安定させることができる。また、発色に必要な印字エネルギーを軽減することができ、印字かすれ、抜けの防止ができるとともに、印字ヘッドの寿命が短くなるのを防止することができる。
【0030】
図3は、図1および図2に示した実施例1の2次元コード付き帳票の変形例を示す断面図である。この変形例においては、第2のカモフラージュ印刷層16が、毛抜き合わせを行うように印刷されるのではなく、第1のカモフラージュ印刷層15と同様に、ランダムな形状の配列、または所定形状の繰り返し配列、または2次元コード13とは異なる内容の2次元コードの配列の印刷を行うことにより形成される。この場合も、第2のカモフラージュ印刷層16は、第1のカモフラージュ印刷層15の上に、透明マット系色材であるマットインキにより印刷することにより形成され、これにより、第1のカモフラージュ印刷層15の表面が凹凸状態(マット状態)になり、2次元コード13の視覚的認識を困難にすることができる。
【0031】
図4は、図1および図2に示した実施例1の2次元コード付き帳票の他の変形例を示す断面図である。
【0032】
用紙11aに薄紙(例.紙厚80μm程度)を使用した場合、サーマル紙11を光にかざすことにより、隠蔽ベタ印刷層14で被覆された2次元コード13が用紙11aの裏側から透けて見えてしまうことも考えられる。
【0033】
これを回避するために、この変形例においては、サーマル紙11の非印字面の、2次元コード印字欄12と対応する位置に透過防止層17を設ける。この透過防止層17は、光を遮る遮光性インキを用紙11aの裏面にベタ塗りで全面印刷するか、あるいは地紋等で部分印刷することにより構成することができる。
【0034】
本実施例の2次元コード付き帳票10は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。この2次元コード付き帳票10によれば、2次元コード印字欄12に印字される2次元コード13を外部から視認できないように隠蔽するための隠蔽ベタ印刷層14が設けられているので、この隠蔽ベタ印刷層14の存在により、この帳票10をコピー機で複写しても、2次元コード13を再現することはできない。
【0035】
また、隠蔽ベタ印刷層14の上に、2次元コード13の視覚的認識を困難にする第1のカモフラージュ印刷層15および第2のカモフラージュ印刷層16を更に設けているので、この第1のカモフラージュ印刷層15および第2のカモフラージュ印刷層16の存在により、目視で帳票10上の2次元コード13を認識することはできなくなり、これにより、この2次元コード付き帳票10の複製は困難になる。
【0036】
また、隠蔽ベタ印刷層14および第1のカモフラージュ印刷層15は、2次元コード13を読み取る特定の波長の光を吸収しない色材で印刷され、また、第2のカモフラージュ印刷層16は、透明マット系色材で印刷されるので、隠蔽ベタ印刷層14、第1カモフラージュ印刷層15、第2のカモフラージュ印刷層16が存在しても、帳票10からの2次元コード13の読み取り性能が劣化するという事態は生じない。
【0037】
また、用紙11aの裏面に設けられた透過防止層17によって、光の透過が遮られるようになっているので、この帳票10を光にかざしても2次元コード13が裏側から透けて見えることがなく、不正な読み取りを防ぐこともできる。
【0038】
なお、実施例1に示した2次元コード付き帳票10においては、2次元コード13をサーマル紙11のサーマル層11bの赤外発色により形成したが、この構成に代えて、例えば上質紙、再生紙、コート紙等の紙類や、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の樹脂フィルムからなる基材の上に、IRインキ(赤外線乾燥型インキ)、炭素系の黒色顔料を含有したインキ、あるいは赤外光吸収剤を補助剤として添加したインキ等の、赤外光吸収インキで2次元コード13を印刷するようにしてもよい。
【0039】
また、隠蔽ベタ印刷層14は、混色黒インキに代えて、赤外光吸収特性を有しない黒色インキにマット剤(粒子径の大きい無色顔料)を添加した混合インキを使用して形成してもよい。
【実施例2】
【0040】
図5〜7に本発明に係る2次元コード付き帳票の実施例2を示す。図2に示す2次元コード付き帳票20は、実施例1の第2のカモフラージュ印刷層16をサーマル紙11の全面に形成した点が実施例1の2次元コード付き帳票10と異なる。その他の構成は、図1に示した2次元コード付き帳票10と同様である。
【0041】
すなわち、この実施例2の2次元コード付き帳票20は、図5および図6に示すように、基材であるサーマル紙21の印字面の2次元コード印字欄22に印字する2次元コード23の上に、この2次元コード23を隠蔽する隠蔽ベタ印刷層24を設け、更に、この隠蔽ベタ印刷層24の上に、2次元コード13の視覚的認識を困難にする第1のカモフラージュ印刷層25および第2のカモフラージュ印刷層26を設ける。ここで、第2のカモフラージュ印刷層26は、第1のカモフラージュ印刷層25を覆うとともに、サーマル紙21の全面を覆って形成されている。
【0042】
本実施例においても、2次元コードをサーマルプリンタで印字できるように、赤外発色するサーマル紙21を使用している。すなわち、図6に示すように、このサーマル紙21は、用紙21aの上にサーマル層21bを積層一体化したものである。
【0043】
サーマル紙21の中央には2次元コード印字欄22が設けられており、この2次元コード印字欄22には、所定の情報を光学読取装置で読み取るための2次元コード23が印字される。本実施例では、2次元コード23の一例としてモデル1のQRコードを採用し、このQRコードのシンボルのうちファインダパターン、タイミングパターン及びデータセルが、サーマル層21bを加熱することでサーマル印字される。QRコードのデータセルには、各種のデータがコード変換されて記録される。
【0044】
2次元コード印字欄22には、印字される2次元コード23を外部から視認できないように隠蔽するために、隠蔽ベタ印刷層24が設けられている。隠蔽ベタ印刷層24は、特定波長域の赤外光を吸収しない赤外光非吸収インキからなり、このインキをサーマル層21bの上から2次元コード23のサイズに合わせて被覆ベタ印刷することにより構成されている。
【0045】
ここで、特定波長域の赤外光を吸収しない赤外光非吸収インキとしては、例えば、カラーインキを混色した混色黒インキを用いることができる。
【0046】
また、隠蔽ベタ印刷層24の上に、2次元コード23の視覚的認識を困難にする第1のカモフラージュ印刷層25および第2のカモフラージュ印刷層26を更に設ける。
【0047】
第1のカモフラージュ印刷層25は、隠蔽ベタ印刷層24の印刷に用いる特定波長域の赤外光を吸収しない赤外光非吸収インキ、例えば、混色黒インキを用い、ランダムな形状の配列、または所定形状の繰り返し配列、または2次元コード23とは異なる内容の2次元コードの配列が印刷される。
【0048】
また、第2のカモフラージュ印刷層26は、透明マット系色材であるマットインキにより、第1のカモフラージュ印刷層25の印刷のそれぞれの間隙を埋める印刷、すなわち毛抜き合わせを行うことにより、第1のカモフラージュ印刷層25の表面が凹凸状態(マット状態)になるようにして形成される。このようなマットインキの一例として、UVマットOPニス(T&K TOKA製、商品名)を使用することができる。
【0049】
ここで、第2のカモフラージュ印刷層26は、第1のカモフラージュ印刷層25を覆うとともに、サーマル紙21の全面を覆って形成される。
【0050】
なお、図5および図6に示す2次元コード付き帳票20においては、第2のカモフラージュ印刷層26が毛抜き合わせを行うように印刷されたが、この第2のカモフラージュ印刷層26を、第1のカモフラージュ印刷層25と同様に、ランダムな形状の配列、または所定形状の繰り返し配列、または2次元コード13とは異なる内容の2次元コードの配列の印刷を行うことにより形成してもよい。この場合も、第2のカモフラージュ印刷層26は、第1のカモフラージュ印刷層25の上に、透明マット系色材であるマットインキにより印刷することにより形成されるので、第1のカモフラージュ印刷層25の表面が凹凸状態(マット状態)になり、2次元コード23の視覚的認識を困難にすることができる。
【0051】
図7は、図5および図6に示した実施例2の2次元コード付き帳票の変形例を示す断面図である。
【0052】
図7に示す変形例においては、用紙21aに薄紙(例.紙厚80μm程度)を使用した場合、サーマル紙21を光にかざすことにより、隠蔽ベタ印刷層24で被覆された2次元コード23が用紙11aの裏側から透けて見えてしまうことを回避するために、サーマル紙21の非印字面の、2次元コードコード印字欄22と対応する位置に透過防止層27を設ける。この透過防止層27は、光を遮る遮光性インキを用紙21aの裏面にベタ塗りで全面印刷するか、あるいは地紋等で部分印刷することにより構成することができる。
【0053】
本実施例の2次元コード付き帳票20は以上のように構成されているので、実施例1の2次元コード付き帳票10と同様の作用、効果を有する。
【0054】
すなわち、本実施例の2次元コード付き帳票20においては、2次元コード印字欄22に印字される2次元コード23を外部から視認できないように隠蔽するための隠蔽ベタ印刷層24が設けられているので、この隠蔽ベタ印刷層24の存在により、この帳票20をコピー機で複写しても、2次元バーコード23を再現することはできない。
【0055】
また、隠蔽ベタ印刷層24の上に、2次元コード23の視覚的認識を困難にする第1のカモフラージュ印刷層25および第2のカモフラージュ印刷層26を更に設けているので、この第1のカモフラージュ印刷層25および第2のカモフラージュ印刷層26の存在により、目視で帳票20上の2次元コード23を認識することはできなくなり、これにより、この2次元コード付き帳票20の複製は困難になる。
【0056】
また、隠蔽ベタ印刷層24および第1のカモフラージュ印刷層25は、2次元コード23を読み取る特定の波長の光を吸収しない色材で印刷され、また、第2のカモフラージュ印刷層26は、透明マット系色材で印刷されるので、隠蔽ベタ印刷層24、第1カモフラージュ印刷層25、第2のカモフラージュ印刷層26が存在しても、帳票20からの2次元コード23の読み取り性能は劣化しない。
【0057】
また、用紙21aの裏面に設けられた透過防止層27によって、光の透過が遮られるようになっている。このため、この帳票20を光にかざしても2次元コード23が裏側から透けて見えることがなく、不正な読み取りを防ぐこともできる。
【0058】
なお、実施例2に示した2次元コード付き帳票20においては、2次元コード23をサーマル紙21のサーマル層21bの赤外発色により形成したが、この構成に代えて、例えば上質紙、再生紙、コート紙等の紙類や、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の樹脂フィルムからなる基材の上に、IRインキ(赤外線乾燥型インキ)、炭素系の黒色顔料を含有したインキ、あるいは赤外光吸収剤を補助剤として添加したインキ等の、赤外光吸収インキで2次元コード23を印刷するようにしてもよい。
【0059】
また、隠蔽ベタ印刷層24は、混色黒インキに代えて、赤外光吸収特性を有しない黒色インキにマット剤(粒子径の大きい無色顔料)を添加した混合インキを使用して形成してもよい。
【0060】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内であれば、当業者の通常の創作能力によって多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10…2次元コード付き帳票
11…サーマル紙(基剤)
11a…用紙
11b…サーマル層
12…2次元コード印字欄
13…2次元コード
14…隠蔽ベタ印刷層
15…第1のカモフラージュ印刷層
16…第2のカモフラージュ印刷層
17…透過防止層
20…2次元コード付き帳票
21…サーマル紙(基剤)
21a…用紙
21b…サーマル層
22…2次元コード印字欄
23…2次元コード
24…隠蔽ベタ印刷層
25…第1のカモフラージュ印刷層
26…第2のカモフラージュ印刷層
27…透過防止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に形成され、特定の波長の光で読み取る2次元コードと、
前記2次元コードの上に形成され、前記特定の波長の光を吸収しない色材からなる隠蔽ベタ印刷層と、
前記隠蔽ベタ印刷層の上に形成され、かつ前記特定の波長の光を吸収しない色材で印刷され、前記2次元コードの視覚的認識を困難にする第1のカモフラージュ印刷層と、
前記第1のカモフラージュ印刷層の上に形成され、かつ透明マット系色材で印刷され、前記2次元コードの視覚的認識を困難にする第2のカモフラージュ印刷層と、
を備えたことを特徴とする2次元コード付き帳票。
【請求項2】
前記2次元コードは、
赤外発色サーマル紙の発光層に形成され、
前記特定の波長の光は、
赤外色であり、
前記特定の波長の光を吸収しない色材は、
混色黒インキであることを特徴とする請求項1記載の2次元コード付き帳票。
【請求項3】
前記第1のカモフラージュ印刷層は、
ランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列、前記2次元コードとは異なる内容の2次元コードの配列から選択された1つの配列の印刷を含み、
前記第2のカモフラージュ印刷層は、
前記第1のカモフラージュ印刷層の印刷のそれぞれの間隙を埋める印刷からなることを特徴とする請求項1または2に記載の2次元バーコード付き帳票。
【請求項4】
前記第1のカモフラージュ印刷層は、
ランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列、前記2次元コードとは異なる内容の2次元コードの配列から選択された1つの配列の印刷を含み、
前記第2のカモフラージュ印刷層は、
前記第1のカモフラージュ印刷層の上に形成され、ランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列、前記2次元コードとは異なる内容の2次元コードの配列から選択された1つの配列の印刷を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の2次元コード付き帳票。
【請求項5】
前記第2のカモフラージュ印刷層は、
前記第1のカモフラージュ印刷層を覆うとともに、前記基材の全面を覆うように形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の2次元コード付き帳票。
【請求項6】
前記2次元コードが形成される前記基材の裏面に形成され、遮光性インキからなる透過防止層
を更に具備する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2次元コード付き帳票。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−1078(P2013−1078A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137679(P2011−137679)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000186566)小林クリエイト株式会社 (169)
【Fターム(参考)】