説明

2次電池の充電制御装置

【課題】高電圧バッテリ28の充電電力を増大させると、高電圧バッテリ28の充電電流が大きくなり、ひいては高電圧バッテリ28の内部抵抗による充電損失が大きくなる傾向がある。このため、特に、冬季等、高電圧バッテリ28の温度が低いときには、内部抵抗が大きくなるため、充電損失が大きくなり、ひいては低コストでの発電による燃料消費低減効果を上回って燃料の利用効率の低下を招くおそれがあること。
【解決手段】高電圧バッテリ28の温度Tbatが低い場合、エンジン20の動力をモータジェネレータ10によって電気エネルギに変換して高電圧バッテリ28を充電する充電電力量を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵された燃料によって駆動される原動機と、該原動機によって前記燃料から生じたエネルギを電気エネルギに変換する発電手段と、変換された電気エネルギを蓄える2次電池とを備える車両に適用される2次電池の充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の充電制御装置としては、たとえば下記特許文献1に見られるように、単位電力当たりの燃料増加量であるコストを目標コスト以下とすることのできる最大の電力に応じて、2次電池の充電電力を設定するものも提案されている。ここで、一般に、駆動輪に要求される動力が小さいときには、発電機の発電電力を増加させることでエンジンの動作点がより高負荷側にシフトするため、エンジンの燃料利用効率が向上する。このため、上記装置では、駆動輪に要求される動力が小さい場合に、発電電力を増大させてバッテリに充電することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−166639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、バッテリの充電電力を増大させると、バッテリの充電電流が大きくなり、ひいてはバッテリの内部抵抗による充電損失が大きくなる傾向がある。特に、冬季等、2次電池の温度が低いときには、2次電池の内部抵抗値が大きくなるため、充電損失が大きくなり、ひいては低コストでの発電による燃料消費低減効果を上回って燃料の利用効率の低下を招くおそれのあることが発明者らによって見出された。
【0005】
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、車両に貯蔵された燃料によって駆動される原動機と、該原動機の動力を電気エネルギに変換する発電手段と、変換された電気エネルギを蓄える2次電池とを備える車両に適用される2次電池の充電制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
【0007】
請求項1記載の発明は、貯蔵された燃料によって駆動される原動機と、該原動機によって前記燃料から生じたエネルギを電気エネルギに変換する発電手段と、変換された電気エネルギを蓄える2次電池とを備える車両に適用される2次電池の充電制御装置において、前記2次電池の温度が低い場合、前記燃料から生じたエネルギを前記2次電池に充電することを制限する制限手段を備えることを特徴とする。
【0008】
2次電池の温度が低いほど、充電に際して実際に蓄えられることなく熱エネルギとなる量(損失)が増加する。上記発明では、この点に鑑み、温度が低い場合に、燃料から生じたエネルギの2次電池への充電を制限することで、燃料の利用効率の低下を好適に抑制することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記2次電池の充電状態および前記2次電池によって給電される負荷の要求電力の少なくとも一方に基づき、前記2次電池の充電要求度合いの指標を3段階以上または連続的な量として定量化する要求指標設定手段と、前記2次電池の充電電力の上限値を直接定めることなく前記2次電池の充電の制限要求度合いの指標を前記2次電池の温度に基づき3段階以上または連続的な量として定量化する制限指標設定手段とを備え、前記制限手段は、前記要求指標設定手段によって定量化された前記充電要求度合いの指標と前記制限指標設定手段によって定量化された前記制限要求度合いの指標との双方を用いた演算に基づき、前記2次電池の充電電力を可変設定することを特徴とする。
【0010】
上記発明では、充電要求度合いの指標と制限要求度合いの指標との双方を用いた演算を行うことで、充電すべきとの要求と充電に伴う損失の観点から充電を制限すべきとの要求との双方が適切に反映された充電電力を設定することができる。しかも、制限要求度合いの指標を、充電電力の上限値を直接定めるものとしないことで、上記演算によって双方の要求を十分に反映することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記制限指標設定手段は、前記2次電池の温度に基づき、前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際に熱として失われる損失を算出する損失算出手段を備え、前記算出される損失が大きいほど前記制限要求度合いが大きいとすることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記損失算出手段は、前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際の充電電力を複数通りに仮設定した際のそれぞれについての前記損失を算出することを特徴とする。
【0013】
2次電池に充電する際に熱として失われる損失は、充電電流に依存するため、充電電力に応じて変化しうる。上記発明では、この点に鑑み、充電電力を複数通りに仮設定することで、充電に伴う損失をいっそう適切に反映しつつ充電電力を設定することができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の発明において、前記制限指標設定手段は、前記制限要求度合いの指標として、前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際の充電電力を生成するために要した前記原動機の燃料量を前記2次電池に実際に蓄えられる単位電力当たりの量に規格化したものであるコストを算出する手段を備え、前記要求指標設定手段は、前記充電要求度合いの指標として、前記コストの上限値を設定するものであり、前記制限手段は、前記コストが前記上限値以下となるように前記充電電力を設定することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、貯蔵された燃料によって駆動される原動機と、該原動機によって前記燃料から生じたエネルギを電気エネルギに変換する発電手段と、変換された電気エネルギを蓄える2次電池とを備える車両に適用される2次電池の充電制御装置において、前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際の充電電力を生成するために要した前記原動機の燃料量を前記2次電池に実際に蓄えられる単位電力当たりの量に規格化したものであるコストを算出する制限指標設定手段と、前記2次電池の充電状態および前記2次電池によって給電される負荷の要求電力の少なくとも一方に基づき、前記コストの上限値を設定する要求指標設定手段と、前記コストが前記上限値以下となるように前記2次電池の充電電力を設定する制限手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
2次電池に充電する際の充電電力と、2次電池に実際に蓄えられる電力との間には、相違が生じうる。具体的には、温度が低いほどまた充電電流が大きいほどこの差は大きくなり、燃料の利用効率が低下する。上記発明では、こうした事態をコストを用いて定量評価可能なため、燃料の利用効率の低下を好適に抑制することが可能な充電電力を設定することができる。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記制限指標設定手段は、前記2次電池の温度に基づき、前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際に熱として失われる損失を算出する損失算出手段を備え、前記実際に蓄えられる電力を前記充電電力から前記損失を減算することで算出することを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項3,4,7のいずれか1項に記載の発明において、前記損失算出手段は、前記2次電池の温度に応じた前記2次電池の内部抵抗に基づき前記損失を算出することを特徴とする。
【0019】
上記発明では、2次電池が電気回路モデルを用いてモデル化されるため、損失を比較的簡易に算出することができる。
【0020】
請求項9記載の発明は、請求項5〜8のいずれか1項に記載の発明において、前記制限指標設定手段は、前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際の充電電力を複数通りに仮設定する仮設定手段を備えて且つ、該仮設定された充電電力のそれぞれについてのコストを算出することを特徴とする。
【0021】
2次電池に充電する際に熱として失われる損失は、充電電流に依存するため、充電電力に応じて変化しうる。上記発明では、この点に鑑み、充電電力を複数通りに仮設定することで、充電に伴う損失をいっそう適切に反映しつつ充電電力を設定することができる。
【0022】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明において、前記原動機は、前記車両の駆動輪に機械的に連結されており、前記車両は、前記車両の駆動輪の回転速度と前記原動機の回転速度との比を可変とする変速手段を備え、前記仮設定手段は、前記複数通りに設定される充電電力毎に、前記駆動輪の回転速度を保ちつつ前記変速手段によって変更可能な前記原動機の回転速度領域の中から特定の回転速度を設定することで前記原動機の動作点を設定する動作点設定手段を備えることを特徴とする。
【0023】
原動機のエネルギ利用効率がトルクおよび回転速度によって定まる動作点によって相違する場合、回転速度を変更することで燃料の利用効率を向上させることができることがある。上記発明では、この点に鑑み、変速手段を利用する。
【0024】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記動作点設定手段は、前記複数通りに設定される充電電力毎に、前記原動機の燃料消費率が最小となる動作点である回転速度およびトルクの組を設定することを特徴とする。
【0025】
請求項12記載の発明は、貯蔵された燃料によって駆動されて且つ駆動輪に機械的に連結されている原動機と、該原動機によって前記燃料から生じたエネルギを電気エネルギに変換する発電手段と、変換された電気エネルギを蓄える2次電池とを備える車両に適用される2次電池の充電制御装置において、前記2次電池の充電状態、前記駆動輪に要求される動力、および前記発電手段から前記2次電池以外に出力される電力が同一である状況下、前記2次電池の温度と前記発電手段から前記2次電池への充電電力との間に正の相関関係を設定し、該正の相関関係は、前記2次電池の温度に応じて前記充電電力が3段階以上または連続的に変化しうる関係であることを特徴とする。
【0026】
2次電池の温度が低いほど、充電に際して実際に蓄えられることなく熱エネルギとなる量(損失)が増加する。上記発明では、この点に鑑み、温度が低い場合に、燃料から生じたエネルギの2次電池への充電を制限することで、燃料の利用効率の低下を好適に抑制することができる。特に、2次電池の温度に応じて充電電力が3段階以上または連続的に別の値に設定可能とされるため、温度に応じた充電を制限すべきとの要求を適切に反映することもできる。
【0027】
請求項13記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明において、前記原動機は、前記車両の駆動輪に機械的に連結されていることを特徴とする。
【0028】
原動機のエネルギ利用効率がトルクおよび回転速度によって定まる動作点によって相違する場合、回転速度を変更することで燃料の利用効率を向上させることができることがある反面、原動機の回転速度は駆動輪の回転速度によって規制されやすい。このため、上記発明は、請求項10記載の動作点設定手段を備えるメリットが特に大きい。
【0029】
請求項14記載の発明は、請求項1〜13のいずれか1項に記載の発明において、前記原動機は、内燃機関であることを特徴とする。
【0030】
内燃機関は燃料利用効率が動作点に応じて大きく変化する。このため、制限要求度合いの指標を、たとえば請求項5,6のコスト等によって定量化することのメリットが特に大きい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかる充電制御の処理手順を示す流れ図。
【図3】上記充電制御の詳細を示す図。
【図4】上記充電制御の詳細を示す流れ図。
【図5】上記充電制御の詳細を示す流れ図。
【図6】上記充電制御の効果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明にかかる2次電池の充電制御装置をパラレルハイブリッド車に適用した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図示されるモータジェネレータ10は、車載主機であり、無段変速装置(CVT;トランスミッション12)およびディファレンシャルギア14を介して駆動輪16に機械的に連結されている。モータジェネレータ10には、クラッチ18を介して内燃機関(エンジン20)が機械的に連結されている。ここで、クラッチ18は、モータジェネレータ10およびエンジン20間の締結および解除を行う電子制御式の締結手段である。
【0034】
モータジェネレータ10は、主機インバータ22を介して高電圧バッテリ28との間で電力の授受を行う。ここで、高電圧バッテリ28は、その端子電圧がたとえば100V以上の高電圧となるリチウムイオン2次電池である。主機インバータ22は、モータジェネレータ用制御装置(MGECU24)によって操作される。MGECU24は、主機インバータ22を操作することでモータジェネレータ10の制御量を制御する制御装置である。
【0035】
エンジントランスミッション用制御装置(EG/TMECU26)は、エンジン20の制御量を制御したり、トランスミッション12の変速比を操作したりする制御装置である。
【0036】
一方、ハイブリッド制御装置(HVECU34)は、MGECU24やEG/TMECU26よりも上位(ユーザインターフェースから入力されるユーザの要求からみて上流側)の制御装置である。HVECU34は、ブレーキペダル40の操作量の検出値や、アクセルペダル42の操作量の検出値、さらには、電流センサ36によって検出される高電圧バッテリ28の充放電電流や温度センサ38によって検出される高電圧バッテリ28の温度等に基づき、モータジェネレータ10やエンジン20の制御量を算出する。そして、MGECU24にモータジェネレータ10の制御量指令値(要求される動力等)を指示したり、EG/TMECU26にエンジン20の制御量指令値(要求される動力)を指示したりする。
【0037】
なお、高電圧バッテリ28には、補機インバータ30を介して空調装置32のコンプレッサを駆動する電動機が接続されているが、図1では、補機インバータ30の操作主体の記載を省略した。
【0038】
上記HVECU34は、駆動輪16の動力源として、モータジェネレータ10のみを用いるか、エンジン20を用いるか等の選択を行う機能を有する。そして、エンジン20を用いる場合には、所定の条件下、モータジェネレータ10を発電機として用いて高電圧バッテリ28を充電する。
【0039】
図2に、HVECU34によって行なわれる本実施形態にかかる充電制御の処理手順を示す。この処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。
【0040】
この一連の処理では、まずステップS10において、ブレーキペダル40の操作量やアクセルペダル42の操作量から、車両の走行動力である要求駆動動力Pwを算出する。ここで、要求駆動動力Pwは、駆動輪16に正の動力を供給する場合を正とする。続くステップS12においては、要求駆動動力Pwがエンジン20の最大動力Pemaxよりも大きいか否かを判断する。この処理は、車両の走行動力としてモータジェネレータ10の動力が必須であるか否かを判断するためのものである。そして、ステップS12において肯定判断される場合、ステップS14において、エンジン20に対する指令動力Pecmdとモータジェネレータ10に対する指令動力Pmgとを算出する。ここでは、指令動力Pmgを、「Pw−Pemax」として且つ、指令動力Pecmdを最大動力Pemaxとすればよい。ここで、指令動力Pecmdは、EG/TMECU26に出力され、EG/TMECU26では、指令動力Pecmdに基づきエンジン20を制御する。また、指令動力Pmgは、MGECU24に出力され、MGECU24では、指令動力Pmgに基づきモータジェネレータ10の制御量を制御すべく主機インバータ22を操作する。
【0041】
一方、上記ステップS12において否定判断される場合、ステップS16において、要求駆動動力Pwが負であるかEV走行条件が成立するかを判断する。ここで、EV走行条件が成立するのは、基本的には、図3(a)に示すように駆動輪16に要求される駆動トルクが小さい領域である。図3(a)では、要求される駆動トルクが小さくなるほど車両の走行速度(車速)が大きい領域までEV走行を行う例を示している。
【0042】
上記ステップS16において肯定判断される場合、ステップS18において、エンジン20に対する指令動力Pecmdをゼロとして且つ、モータジェネレータ10に対する指令動力Pmgを要求駆動動力Pwとする。
【0043】
一方、上記ステップS16において否定判断される場合、ステップS20において、発電電費Cgenを算出する。ここで、発電電費Cgenは、エンジン20の動力をモータジェネレータ10によって電気エネルギに変換した場合の単位電力の生成に必要なコストである。詳しくは、単位電力の生成に要するエンジン20の燃料消費量の増加量「g/kWh」とされる。
【0044】
図4に、発電電費Cgenの算出処理の詳細を示す。
【0045】
この一連の処理では、まずステップS21において、負荷要求電力Preqを取得する。ここで、負荷要求電力Preqは、基本的には、高電圧バッテリ28を直接の電源とする負荷(補機インバータ30等)によって要求される動力のこととする。なお、こうした負荷としては、補機インバータ30以外にもたとえば高電圧バッテリ28の電圧を降圧して低電圧バッテリ(図示略)に出力するDCDCコンバータ等がある。
【0046】
続くステップS22においては、発電電力Pgenを、負荷要求電力Preqに仮設定する。そして、ステップS23では、発電電力Pgenを発電するうえでモータジェネレータ10に要求される動力(発電要求動力Pmgen)を算出する。これは、発電電力Pgenを発電効率で除算することで算出する。
【0047】
続くステップS24では、エンジン20の動力を要求駆動動力Pwとする場合の燃料消費率FAと、エンジン20の動力を要求駆動動力Pwに発電要求動力Pmgenを加算したものとする場合の燃料消費率FBと、を算出する。ここでは、図示されるように、トルクおよび回転速度によって定まる動作点と効率情報(燃料消費率)との関係が規定されるマップを用いて燃料消費率を算出する。なお、図において、実線は、燃料消費率が同一の動作点を示し、破線は、動力が同一の動作点を示している。
【0048】
詳しくは、本実施形態では、図示されるように、駆動輪16の回転速度を固定しつつもトランスミッション12によってエンジン20の回転速度を変化させた場合に燃料消費率が最小となる動作点群が規定されるTM動作線上における燃料消費率として、上記燃料消費率FA,FBを算出する。すなわち、要求駆動動力Pwと動力が一致するTM動作線上の点Aの燃料消費率を、燃料消費率FAとし、要求駆動動力Pwに発電要求動力Pmgenを加算した値に一致するTM動作線上の点Bの燃料消費率を、燃料消費率FBとする。
【0049】
続くステップS25においては、動作点Aから動作点Bに移行することでエンジン20によって消費される燃料増加量ΔFを算出する。これは、以下の式(c1)によって算出することができる。
ΔF=FB・(Pw+Pmgen)−FA・Pw …(c1)
続くステップS26では、仮設定された発電電力Pgenについての発電電費Cgenを「ΔF/Pgen」として算出する。
【0050】
続くステップS27においては、仮設定されている発電電力Pgenが閾値電力Pth以上であるか否かを判断する。ここで閾値電力Pthは、発電可能な上限値とされる。すなわち、モータジェネレータ10の最大発電電力とエンジン20の動力の余裕量(Pemax−Pw)とのうち小さい方とされる。ステップS27において否定判断される場合、ステップS28において発電電力Pgenを規定量Δだけ増加させた値に仮設定してステップS23に戻る。これに対し、ステップS27において肯定判断される場合、先の図3のステップS20の処理が完了し、図3に示すステップS30の処理に移行する。
【0051】
ステップS30においては、蓄電電費Cchgを算出する処理を行う。ここで蓄電電費Cchgは、エンジン20の動力によって生じたエネルギが高電圧バッテリ28に蓄えられる場合の単位蓄電電力の生成に必要なコストである。詳しくは、単位電力の生成に要するエンジン20の燃料消費量の増加量「g/kWh」とされる。
【0052】
図5に、蓄電電費Cchgの算出処理の詳細を示す。
【0053】
この一連の処理では、ステップS31において、温度センサ38によって検出される高電圧バッテリ28の温度Tbatを取得する。続くステップS32においては、温度Tbatに基づき高電圧バッテリ28の内部抵抗rを算出する。本実施形態では、温度Tbatと内部抵抗rとの関係が予め実験によって求められることで作成されたマップを用いて内部抵抗rを算出する。ここで、マップは、温度Tbatが低いほど内部抵抗rを大きい値に定めている。
【0054】
続くステップS33では、先の図4に示した処理において、仮設定された発電電力Pgenのそれぞれ毎に、充電電力Pbatを算出する。ここで、充電電力Pbatは、発電電力Pgenから負荷要求電力Preqを減算した値とする。続くステップS34では、充電電力Pbatで高電圧バッテリ28を充電する場合の充電電流Ibatを算出する。ここでは、充電電流Ibatを、以下の式(c2)によって表現される2次方程式の正の解とする。
【0055】
Pbat=Ibat・(Ibat・r+OCV) …(c2)
ただし、上記の式(c2)においては、高電圧バッテリ28の開放端電圧(OCV)を用いている。OCVは、高電圧バッテリ28の充電率(SOC)に基づきマップを用いて算出される。
【0056】
続くステップS35では、充電損失Lbatを算出する。充電損失Lbatは、内部抵抗rに充電電流Ibatの2乗を乗算した値である。そして、ステップS36では、仮設定された発電電力Pgen毎に、蓄電電費Cchgを算出する。ここで、蓄電電費Cchgは、仮設定された発電電力Pgenに関する発電電費Cgenに仮設定された発電電力Pgenに対応する充電電力Pbatを乗算したものを、この充電電力Pbatから対応する充電損失Lbatを減算したもので除算した値である。
【0057】
なお、ステップS36の処理が完了する場合、先の図2に示したステップS30の処理が完了したとして、図2に示すステップS40に移行する。ステップS40では、基準電費Crefを算出する。基準電費Crefは、高電圧バッテリ28の充電要求度合いの指標となるパラメータである。ここでは、図3(b)に示すように、高電圧バッテリ28のSOCが小さいほど基準電費Crefを大きい値とする。これは、高電圧バッテリ28のSOCが少ないほど高電圧バッテリ28の充電要求度合いが大きいことを表現したものである。また、負荷要求電力Preqが大きいほど基準電費Crefを大きい値とする。これは、負荷要求電力Preqが大きいほど高電圧バッテリ28から持ち出される電力が大きくなると想定されることに鑑みたものであり、持ち出される電力が大きくなると想定されるほど充電要求度合いが大きいことを表現したものである。
【0058】
先の図2に示すステップS42においては、要求充電電力Pbatreqを算出する。ここでは、図3(c)に示すように、上記仮設定された発電電力Pgen毎に定まる蓄電電費Cchgのうち基準電費Cref以下であって且つ高電圧バッテリ28の充電電力の上限値Pchgmax以下となる最大の充電電力Pbatを要求充電電力Pbatreqとする。図では、仮設定された発電電力Pgen毎に定まる蓄電電費Cchgを結んだ曲線と基準電費Crefとの交点のうち、充電電力Pbatが大きい方を要求充電電力Pbatreqとする例を示した。ちなみに、上限値Pchgmaxは、高電圧バッテリ28の温度TbatおよびSOCの関数である。
【0059】
先の図2のステップS44では、モータジェネレータ10に対する指令動力Pmgと、エンジン20に対する指令動力Pecmdとを算出する。ここで、指令動力Pmgは、要求充電電力Pbatreqを実現するための動力とされる。ここでは、指令動力Pmgが力行側を正として定義されている関係上、指令動力Pmgは、「(−1)・(Pbatreq+Preq)/(発電効率)」とされる。一方、指令動力Pecmdは、「Pw−Pmg」とされる。
【0060】
上記ステップS44,S14,S16の処理が完了する場合、ステップS46において、トランスミッション12の変速比を設定する。ここで、ステップS44からステップS46に移行する場合には、最終的に採用された発電電力Pgenに対応する動作点となるように変速比を設定する。これに対し、ステップS14,S16からステップS46に移行する場合、変速比は所定値に固定される。
【0061】
図6に、本実施形態の効果を示す。
【0062】
図6(a)に示されるように、基準電費Crefが同一であっても、高電圧バッテリ28の温度Tbatが低くなるにつれて要求充電電力Pbatreqは漸減する。これは、温度Tbatが低くなるにつれて内部抵抗rが大きくなるためである。すなわち、充電損失Lbatが大きくなると、単位電力を高電圧バッテリ28に蓄える際に要する燃料増加量である蓄電電費Cchgが大きくなる。このため、基準電費Crefが同一であったとしても要求充電電力Pbatreqが小さくなる。このように、蓄電電費Cchgは、充電の制限要求度合いの指標となるパラメータである。しかも、この制限要求度合いは、連続的な量(実際にはデジタル処理に起因して離散化された量)として定量化されるため、温度Tbatに応じて制限要求度合いを適切に表現することができる。しかも、制限要求度合いを単に充電電力の上限値として定量化することがないため、充電の要求度合いと充電の制限要求度合いとに鑑み、双方の要求の好適な両立を果たすことができる要求充電電力Pbatreqを算出することができる。
【0063】
なお、図6(b)は、上限値Pchgmaxとなる際の充電電力Pbatの方が基準電費Crefと一致する充電電力Pbatのうちの大きい方よりも小さい場合を示す。この場合、要求充電電力Pbatreqは、上限値Pchgmaxとされる。また、図6(c)は、基準電費Cref以下となる蓄電電費Cchgが存在しない場合を示す。この場合、要求充電電力Pbatreqはゼロとされる。
【0064】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0065】
(1)充電損失Lbatを考慮して蓄電電費Cchgを算出し、蓄電電費Cchgが基準電費Cref以下となるように高電圧バッテリ28の要求充電電力Pbatreqを設定した。これにより、燃料の利用効率の低下を好適に抑制することが可能な充電電力を設定することができる。
【0066】
(2)高電圧バッテリ28の温度Tbatに基づき、充電損失Lbatを算出した。これにより、温度Tbatが低下するほど充電損失Lbatが大きくなることを考慮して要求充電電力Pbatreqを算出できる。
【0067】
(3)高電圧バッテリ28の温度Tbatに応じた内部抵抗rに基づき充電損失Lbatを算出した。これにより、高電圧バッテリ28が電気回路モデルを用いてモデル化されるため、充電損失Lbatを比較的簡易に算出することができる。
【0068】
(4)モータジェネレータ10の発電電力Pgenを複数通りに仮設定し、仮設定された各発電電力Pgenに対応する蓄電電費Cchgを算出した。これにより、充電に伴う損失をいっそう適切に反映しつつ要求充電電力Pbatreqを設定することができる。
【0069】
(5)発電電力Pgenの仮設定に応じたエンジン20の動作点を、TM動作線上に設定した。これにより、回転速度の変更によって燃料の利用効率を極力高くした場合についての蓄電電費Cchgを算出することができる。
【0070】
(6)エンジン20が駆動輪16に機械的に連結される構成とした。この場合、エンジン20の回転速度が駆動輪16の回転速度によって規制される傾向があるため、エンジン20の燃料利用効率が制限されやすい。したがって、トランスミッション12を用いてTM動作線上で動作点を設定することの利用価値が特に大きい。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0071】
「制限指標設定手段について」
充電電力を複数通りに仮設定する仮設定手段を備えるものに限らない。たとえば、現在の充電電力から所定量だけ離間した充電電力に仮設定するものであってもよい。この場合、仮設定された充電電力に基づき算出された蓄電電費Cchgが基準電費Cref以下であることに基づきこの充電電力への変更を許可する一方、基準電費Crefを上回る場合には、最終的な充電電力を現在の充電電力に維持し、次回の仮設定時における充電電力を現在の充電電力よりも小さい側の値とする旨を指示するものとすればよい。
【0072】
制限指標設定手段としては、蓄電電費Cchgを算出するものに限らない。たとえば内部抵抗のとり得る最大値rmaxと最小値rminと、現在の内部抵抗rとに基づき、「(rmax−r)/(rmax−rmin)」を制限要求度合いの指標として算出するものであってもよい。この際、要求指標設定手段が充電要求度合いの指標として要求充電電力量を算出するものとするなら、これに上記制限要求度合いの指標を乗算したものを最終的な充電電力量とすることができる。もっとも、充電に伴う損失が充電電流の2乗に比例することに鑑みれば、充電電流量をも加味することが望ましい。これはたとえば、適宜定められた充電電力としての最大値PMAXと上記要求充電電力量Prとによって、「(PMAX−Pr)/PMAX」の2乗を算出し、これと「(rmax−r)/(rmax−rmin)」を乗算したものを最終的な指標とすることで行うことができる。さらに、エンジンのように動作点に応じて燃料の利用効率が大きく変化するものである場合、この燃料の利用効率をさらに加味し、利用効率が小さいほど制限要求度合いを大きくすることが望ましい。これは、たとえば、利用効率(燃料消費率の逆数等)の最大値Emaxと最小値Eminと充電時の動作点の利用効率Eとを用いて「(E−Emin)/(Emax−Emin)」によって定量化することができる。なお、充電時の動作点を定めるに当たっては、要求充電電力量Pr以下の電力量となるように充電電力を複数通りに仮設定し、これら各充電電力毎に上記実施形態の要領で動作点を設定することが望ましい。この場合、上記制限要求度合いの指標が乗算されることで算出される電力量の最大値を実際の充電電力として決定すればよい。
【0073】
ちなみに、制限要求度合いの指標としては、連続的な量に限らず、3段階以上の離散的なものであってもよい。
【0074】
「要求指標設定手段について」
基準電費Crefとしては、負荷要求電力PreqとSOCとの双方に基づき算出されるものに限らず、これら一方のみに基づき算出されるものであってもよい。また、基準電費Crefを算出するうえで入力パラメータとなる充電状態としては、SOCに限らず、たとえば充電量であってもよい。さらに、基準電費Crefを算出するための入力パラメータとしては、これらにも限らず、たとえばナビゲーションシステムからの情報をさらに加味してもよい。ここでは、たとえば現在地から近距離で下り坂となる場合には、基準電費Crefを低下させることで燃料消費による発電の要求度合いを低減すればよい。
【0075】
また、上記「制限指標設定手段について」の欄に記載したように、要求指標設定部としては、コストの上限値を算出する手段に限らない。たとえば、SOCと満充電時の充電率との差が大きいほど要求充電量を大きい値として算出するものであってもよい。
【0076】
なお、充電要求度合いの指標としては、連続的な量に限らず、3段階以上の離散的なものであってもよい。
【0077】
「制限手段について」
制限手段としては、充電要求度合いの指標と制限要求度合いの指標とを用いた演算に基づき充電電力量を算出するものに限らない。たとえば2次電池の温度が規定温度以下であるか否かで、充電電力量の上限値を可変とするものであってもよい。
【0078】
もっとも、充電要求度合いの指標と制限要求度合いの指標とを用いた演算を制御装置(HVECU34)上で行なわないものとしては、充電電力量の上限値を可変とするものに限らない。たとえば先の図2に示した処理によれば、その入力パラメータ群(温度Tbat,SOC,負荷要求電力Preq,要求駆動動力Pw、駆動輪16の回転速度)と要求充電電力Pbatreqとの間に1対1の対応関係が存在することがわかる。このため、入力パラメータ群と要求充電電力Pbatreqとについて上記関係を定めたマップを備えるなら、充電要求度合いの指標と制限要求度合いの指標とを用いた演算を制御装置で行うことなく、上記実施形態と同一の効果を奏することができる。
【0079】
「損失算出手段について」
損失算出手段としては、2次電池の温度に応じた内部抵抗に基づき損失を算出するものに限らない。たとえば2次電池のモデルとして電気回路モデルに代えて化学反応モデルを用いるものにあっては、線形素子としての内部抵抗をモデル内において用いることが無いこともありうる。しかしこの場合であっても、2次電池の損失が温度の低下に応じて大きくなることを定量化することができるなら、このモデルに基づき損失を算出することも可能と考えられる。
【0080】
「動作点設定手段について」
動作点設定手段としては、トランスミッション12による変速処理によって実現可能なエンジン20の回転速度領域のうち、燃料消費率が最小となる動作点である回転速度およびトルクの組を設定するものに限らない。たとえば上記回転速度領域のうち現在の回転速度との乖離量が規定値以下の領域の中から燃料消費率が最小となる動作点である回転速度およびトルクの組を設定するものであってもよい。また、回転速度が固定された状態で充電電力を生成可能な動力となるようにトルクを増大させるものであってもよい。
【0081】
「変速手段について」
変速手段としては、CVTに限らず、有段変速装置であってもよい。また、回転体間の機械的な連結態様を変更する装置にも限らない。たとえば遊星歯車機構のサンギアにモータジェネレータを機械的に連結し、キャリアにエンジンを機械的に連結し、リングギアにモータジェネレータおよび駆動輪を機械的に連結することで実現してもよい。この場合であっても、エンジンから駆動輪までの変速比を可変とすることができる。
【0082】
なお、変速手段を備えなくてもよい。
【0083】
「2次電池について」
2次電池としては、リチウムイオン2次電池に限らない。たとえばニッケル水素2次電池であってもよい。また鉛蓄電池であってもよい。
【0084】
2次電池としては、車載主機に電力を供給する電力変換回路(主機インバータ22)に接続される高電圧バッテリ28に限らない。たとえば車載主機として内燃機関のみを搭載する車両においては、補機バッテリを対象とすることもできる。
【0085】
「燃料について」
燃料としては、内燃機関によって燃焼エネルギに変換されるものに限らない。たとえば車載電動機に電力を供給するための燃料電池内の燃料等であってもよい。この場合であっても、燃料電池から2次電池へと充電する要求がある場合、2次電池の温度に応じた充電時の損失に応じて充電電力を設定することは有効である。
【0086】
「原動機について」
原動機としては、車載主機に限らない。たとえばシリーズハイブリッド車における内燃機関であってもよい。この場合であっても、2次電池の温度が低い場合には、充電電力を大きくすることで損失が増大し、燃料の利用効率が低下するおそれがあるため、本発明の適用は有効である。
【0087】
なお、燃料を消費する原動機が内燃機関に限らないことについては、「燃料について」の欄を参照のこと。
【0088】
「発電手段について」
発電手段としては、回転エネルギを電気エネルギに変換する手段に限らない。たとえば、内燃機関の廃熱を電気エネルギに変換する手段であってもよい。
【0089】
「そのほか」
上記実施形態において、内部抵抗値を温度によらず一定としても、充電電流量に応じた損失の大小に基づき損失を抑制する充電電力を設定することは可能である。
【符号の説明】
【0090】
10…モータジェネレータ(発電手段の一実施形態)、20…エンジン、28…高電圧バッテリ、34…HVECU(充電制御装置の一実施形態)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵された燃料によって駆動される原動機と、該原動機によって前記燃料から生じたエネルギを電気エネルギに変換する発電手段と、変換された電気エネルギを蓄える2次電池とを備える車両に適用される2次電池の充電制御装置において、
前記2次電池の温度が低い場合、前記燃料から生じたエネルギを前記2次電池に充電することを制限する制限手段を備えることを特徴とする2次電池の充電制御装置。
【請求項2】
前記2次電池の充電状態および前記2次電池によって給電される負荷の要求電力の少なくとも一方に基づき、前記2次電池の充電要求度合いの指標を3段階以上または連続的な量として定量化する要求指標設定手段と、
前記2次電池の充電電力の上限値を直接定めることなく前記2次電池の充電の制限要求度合いの指標を前記2次電池の温度に基づき3段階以上または連続的な量として定量化する制限指標設定手段とを備え、
前記制限手段は、前記要求指標設定手段によって定量化された前記充電要求度合いの指標と前記制限指標設定手段によって定量化された前記制限要求度合いの指標との双方を用いた演算に基づき、前記2次電池の充電電力を可変設定することを特徴とする請求項1記載の2次電池の充電制御装置。
【請求項3】
前記制限指標設定手段は、前記2次電池の温度に基づき、前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際に熱として失われる損失を算出する損失算出手段を備え、前記算出される損失が大きいほど前記制限要求度合いが大きいとすることを特徴とする請求項2記載の2次電池の充電制御装置。
【請求項4】
前記損失算出手段は、前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際の充電電力を複数通りに仮設定した際のそれぞれについての前記損失を算出することを特徴とする請求項3記載の2次電池の充電制御装置。
【請求項5】
前記制限指標設定手段は、前記制限要求度合いの指標として、前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際の充電電力を生成するために要した前記原動機の燃料量を前記2次電池に実際に蓄えられる単位電力当たりの量に規格化したものであるコストを算出する手段を備え、
前記要求指標設定手段は、前記充電要求度合いの指標として、前記コストの上限値を設定するものであり、
前記制限手段は、前記コストが前記上限値以下となるように前記充電電力を設定することを特徴とする請求項3または4記載の2次電池の充電制御装置。
【請求項6】
貯蔵された燃料によって駆動される原動機と、該原動機によって前記燃料から生じたエネルギを電気エネルギに変換する発電手段と、変換された電気エネルギを蓄える2次電池とを備える車両に適用される2次電池の充電制御装置において、
前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際の充電電力を生成するために要した前記原動機の燃料量を前記2次電池に実際に蓄えられる単位電力当たりの量に規格化したものであるコストを算出する制限指標設定手段と、
前記2次電池の充電状態および前記2次電池によって給電される負荷の要求電力の少なくとも一方に基づき、前記コストの上限値を設定する要求指標設定手段と、
前記コストが前記上限値以下となるように前記2次電池の充電電力を設定する制限手段とを備えることを特徴とする2次電池の充電制御装置。
【請求項7】
前記制限指標設定手段は、前記2次電池の温度に基づき、前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際に熱として失われる損失を算出する損失算出手段を備え、前記実際に蓄えられる電力を前記充電電力から前記損失を減算することで算出することを特徴とする請求項6記載の2次電池の充電制御装置。
【請求項8】
前記損失算出手段は、前記2次電池の温度に応じた前記2次電池の内部抵抗に基づき前記損失を算出することを特徴とする請求項3,4,7のいずれか1項に記載の2次電池の充電制御装置。
【請求項9】
前記制限指標設定手段は、前記変換された電気エネルギを前記2次電池に充電する際の充電電力を複数通りに仮設定する仮設定手段を備えて且つ、該仮設定された充電電力のそれぞれについてのコストを算出することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の2次電池の充電制御装置。
【請求項10】
前記原動機は、前記車両の駆動輪に機械的に連結されており、
前記車両は、前記車両の駆動輪の回転速度と前記原動機の回転速度との比を可変とする変速手段を備え、
前記仮設定手段は、前記複数通りに設定される充電電力毎に、前記駆動輪の回転速度を保ちつつ前記変速手段によって変更可能な前記原動機の回転速度領域の中から特定の回転速度を設定することで前記原動機の動作点を設定する動作点設定手段を備えることを特徴とする請求項9記載の2次電池の充電制御装置。
【請求項11】
前記動作点設定手段は、前記複数通りに設定される充電電力毎に、前記原動機の燃料消費率が最小となる動作点である回転速度およびトルクの組を設定することを特徴とする請求項10記載の2次電池の充電制御装置。
【請求項12】
貯蔵された燃料によって駆動されて且つ駆動輪に機械的に連結されている原動機と、該原動機によって前記燃料から生じたエネルギを電気エネルギに変換する発電手段と、変換された電気エネルギを蓄える2次電池とを備える車両に適用される2次電池の充電制御装置において、
前記2次電池の充電状態、前記駆動輪に要求される動力、および前記発電手段から前記2次電池以外に出力される電力が同一である状況下、前記2次電池の温度と前記発電手段から前記2次電池への充電電力との間に正の相関関係を設定し、
該正の相関関係は、前記2次電池の温度に応じて前記充電電力が3段階以上または連続的に変化しうる関係であることを特徴とする2次電池の充電制御装置。
【請求項13】
前記原動機は、前記車両の駆動輪に機械的に連結されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の2次電池の充電制御装置。
【請求項14】
前記原動機は、内燃機関であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の2次電池の充電制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−125027(P2012−125027A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272750(P2010−272750)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】