説明

2相媒体中での有機ケイ素化合物の製造方法

本発明は、式(I):


の活性化されたアゾ基を少なくとも1個含む官能化有機ケイ素化合物の合成に関する。この方法は、化合物(I)の少なくとも1種のヒドラジノ前駆体(II)(−HN−NH−)を用い、少なくとも1種の酸化剤(Ox)及び少なくとも1種の塩基(B)を含む酸化系を用いて前駆体(II)を酸化して化合物(I)のためのアゾ基にすることから成り、この方法は、前記酸化を水性/有機性2相媒体中で、水性相のpHが3〜11の範囲、好ましくは5〜9の範囲となるように実施することを特徴とする。本発明はまた、該方法によって得ることができる熱安定性化合物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、官能化有機ケイ素化合物の合成の分野である。
【0002】
本発明は、より詳細には、少なくとも1つの活性化されたアゾ基を含む有機ケイ素化合物(以下、「活性アゾ基含有有機ケイ素化合物」と言う)に関する。前記活性化は、例えば窒素の近くのカルボニル基の存在の結果としてもたらすことができる。これらの化合物の有機ケイ素部分は、例えば≡SiOR又は≡SiOHのタイプの加水分解性又は縮合性基を含むことができる。
【背景技術】
【0003】
このような利用できる活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(例えば基−CO−N=N−CO−を有するもの)は、特に農薬及び薬学の分野において用いるための有機活性分子(例えば窒素含有ヘテロ環類)の合成において、例えばヘテロディールスアルダー反応におけるジエノフィルとして、非常に有用である。
【0004】
しかしながら、これらの化合物は特に調製するのが難しいので、いくつかのものしか得られていない。従って、入手できる有機ケイ素化合物の範囲を広げられることが望ましい。
【0005】
数少ない先行技術の中で、フランス国特許第2340323号明細書には、式(I*):
【化1】

{ここで、X及びX1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれイミノ基、酸素原子又は置換若しくは非置換メチレン基を表わし;
Yは置換若しくは非置換アルキル、アリール若しくはアラルキル基であるか、又はZ*と同一であるかであり;
*は式Si(OR)3又はOSi(OR)3の少なくとも1個のシラン基を置換基として有するアルキル、アリール又はアラルキル基であり、ここで、Rは(好ましくは1〜6個の炭素原子を有する)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である}
の有機ケイ素化合物が開示されている。
【0006】
式(II*)及び式(III*):
【化2】

{ここで、R1*及びR2*は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ(好ましくは1〜6個の炭素原子を有する)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表わし、
mは0、1、2又は3であり、
nは1、2又は3である}
の有機ケイ素化合物が挙げられる。
【0007】
式(III*)に従う式エチル−O−CO−N=N−CO−NH−(CH2)3−Si(Oエチル)3のアゾ基を有する有機ケイ素化合物(「アゾ基含有有機ケイ素化合物」と言う)が、例3に開示されている。
【0008】
このタイプの活性アゾ基含有有機ケイ素化合物の合成において鍵となる工程は、ヒドラゾ(NH−NH)タイプの官能基の対応するアゾ(N=N)官能基への酸化にある。
【0009】
フランス国特許第2340323号明細書に従えば、この変換(転化)は、ハロゲン化誘導体(とりわけ塩素、臭素、N−ブロモスクシンイミド)から成る酸化剤及びピリジンタイプの塩基を含む酸化系によって実施される。
【0010】
かくして、フランス国特許第2340323号明細書の例3に記載された方法は、ジクロロメタン中の前駆体のエチル−O−CO−HN−NH−CO−NH−(CH2)3−Si(Oエチル)3及びピリジンの有機溶液を使用することを構想している。この溶液にN−ブロモスクシンイミド(NBS)を添加し、NBSの添加後に2時間撹拌する。溶媒及びピリジンを真空下で蒸発させることによって除去する一方、反応の間に生成した固体状の塩を次いで濾過によって除去する。残渣を洗浄した後に、式(III*)のアゾ基を有する有機ケイ素化合物が濾液中に回収される。この文献に依れば、酸化系NBS−ピリジンは、前駆体に対して過剰(10モル%)に用いられる。
【0011】
この合成は、厳格に無水条件において有機媒体中で実施される。工業的規模で厳格に無水の操作条件を得て維持するのは難しく、制約となることが多い。固体状のNBSの使用及び濾過工程は、工業的プロセスにおいて不利な操作ファクターである。さらに、水の存在下では官能性アルコキシシランが加水分解及び縮合反応を起こしやすく、高分子(マクロ分子)構造の形成を引き起こすことが知られている。これらの加水分解及び縮合反応は、いくつかのパラメーター(アルコキシ基の性状、ケイ素上にグラフトしたアルコキシ以外の官能基の性状、水のpH等)に依存する。最適用途特性を保つためには、加水分解/縮合によるオリゴマーの生成をできる限り抑制するのが好ましい。
【0012】
さらに、この既知の方法は、収率、生産性及びコストの点での改善を必要とする。最後に、最終生成物は純粋ではない。これは、特に産業衛生及び生態毒性の点並びに用途性能の点で、望ましくない厄介な残留物を含有する。
【特許文献1】フランス国特許第2340323号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この背景に対して、本発明の主要な目的の1つは、前駆体のヒドラジノ基をアゾ基に酸化することによるアゾ基含有有機ケイ素化合物の改良型製造方法であって、懸案の化合物への到達手段を提供し、厳格に無水の操作条件及び/又は反応によって発生する塩を分離するための濾過工程を用いることを回避する前記方法を提供することにある。
【0014】
本発明の別の本質的な目的は、特に高温、例えば80〜180℃の範囲においてより安定な(示差走査熱量測定DSCによって測定される安定性)アゾ基含有有機ケイ素化合物の製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明の別の本質的な目的は、アゾ基含有有機ケイ素化合物の製造方法であって、(特に生産性及び目的アゾアルコキシシランの収率の点で)先行技術のものより良好な性能を有する前記方法を提供することにある。
【0016】
本発明の別の本質的な目的は、アゾ基含有有機ケイ素化合物の経済的な製造方法を提供することにある。
【0017】
本発明の別の本質的な目的は、アゾ基含有有機ケイ素化合物の製造方法であって、望ましくない残留物を痕跡量に減らし又はさらには完全に除去することによって、最終生成物の品質を、特に該化合物の純度に関して、特に用途並びに産業衛生及び環境衛生において要求される性能に関して、最適化することができる前記方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的及び他の目的は、本発明によって達成される。本発明は、まず最初に、下記の式(I):
【化3】

{ここで、
m、n、o、pはそれぞれ0又は0より大きい整数又は小数を表わし;
qは1又は1より大きい整数又は小数を表わし;
aは0、1、2及び3から選択される整数を表わし;
a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
aとa'との合計a+a'は0〜3の範囲内であり、
但し、
(C1)aが0である場合には
m、n、o及びpの内の少なくとも1つが0以外の数であり且つqが1若しくは1より大きいか;又は
qが1より大きく且つm、n、o及びpのそれぞれが任意の値を有するか;
であり、且つ
記号G0の少なくとも1つがG2について下に与える定義に相当し;
(C2)a+a'が3である場合には、m=n=o=p=0であり;
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれG2又はG1に対応する基の1つを表わし;
記号G2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれがヒドロキシル基若しくは加水分解性一価基を表わすか、又は2個のG2がそれらが結合しているケイ素と一緒になって3〜5個の炭化水素環員を有する環を形成するか(この環は、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができ、且つこれらの環員の少なくとも1個が少なくとも1つの他の炭化水素環又は芳香族環の環員であることもできる)であり;
記号G1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基を表わし;
記号Zは飽和又は不飽和脂肪族炭化水素;飽和、不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される二価基を表わし、この二価基は随意に酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は窒素原子(この窒素原子は、水素原子;飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;並びに飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される一価基1個を有する)で置換され又は中断されていることができ;
記号Aは、
・飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;
・基−X−G3
(ここで、Xは−O−、−S−又は−NG4−を表わし、ここで、G4はG1について上で与えた意味のいずれかを有し;
3はG4と同一であっても異なっていてもよく、G1について定義した基の内のいずれかを表わし;
さらに基−NG43の置換基G3及びG4はそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜7個の環員を有する単環を形成することもでき、この環は3〜6個の炭素原子及び1又は2個の窒素原子を有し且つ随意に1又は2個の不飽和二重結合を有する);或は
・q=1の時に、次式:
【化4】

(ここで、記号Z、G1、G2、a、a'、m、n、o及びpは上記の定義を有する)
の基:
を表わす}
の1種又はそれより多くの互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物の製造方法であって、
⇒該方法が、
・少なくとも1種の有機ケイ素化合物(I)の少なくとも1種の前駆体(II)を用い、この前駆体が次式(II):
【化5】

(ここで、記号G0、G1、G2、Z、A、m、n、o、p、a、a'及びqは式(I)について上で定義した通りである)
に相当するものであり、
・前駆体(II)のヒドラジノ基を、少なくとも1種の酸化剤(Ox)及び少なくとも1種の塩基(B)を含む酸化系によって酸化して、活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)に属するアゾ基にし、
・条件(C1)の場合に、(単独で又は互いに混合物して用いられる)次式(III):
【化6】

(ここで、
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ:飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;又はポリシロキサン残基:を表わし;
記号G2'は同一であっても異なっていてもよく、式(I)に関して記載した記号G2について上で与えたものと同じ定義に相当する加水分解性一価基を表わし、
p1は1及び2から選択される整数、好ましくは1を表わす)
のシランから選択される追加の試薬を用いる:
ことを含むタイプのものであり、
⇒該方法が、酸化を水性/有機性2相媒体中で、水性相のpHが3〜11の範囲、好ましくは5〜9の範囲となるように実施することを特徴とする、前記方法に関する。
【0019】
この方法は、水/有機溶媒の2相媒体中で操作することから成る。前駆体(II)の活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)への変換は有機相中で実施され、一方、水性相はこの変換によって発生する様々な水溶性化合物を溶解させる。
【0020】
さらに、イオン性化合物、特に酸は、水性相中で特に良好な溶解性を有することが知られている。従って、本発明の方法においては、反応を通じてpHが3〜11の範囲、好ましくは5〜9の範囲にとどまる水性相を用いるのが好ましい。例えば、反応を通じてpHが中性付近(pH≒7)にとどまる水溶液を用いるのが有利であり得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明に従う方法は、無水条件及び/又は濾過工程及び/又は固体状試薬の使用に関連する厄介な工業上の制約を取り除くという点で、先行技術の改良となる。
【0022】
さらに、前記方法は加水分解/縮合の副反応を抑制することができる。特にこの方法はオリゴマーの生成を抑制し、目的物質の活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)についての最適用途特性を維持することができる。
【0023】
さらに、本発明に従う方法によって得られる前記化合物(I)は、著しく純度が高い。特に、これらの化合物はピリジン残留物のような望ましくない残留物を殆ど又は全く(検出不能な痕跡量しか)含有しない。
【0024】
理論に縛られることは望まないが、この純度は、本発明に従う2相法から得られる前記化合物(I)に見られる優れた安定性の根源となっている。「安定性」とは、特に貯蔵時安定性、特に湿り気のある状況における安定性、しかし特に加熱時安定性を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
必要に応じて水性相のpHを制御するために本発明に従って推奨される手段の1つは、少なくとも1種の緩衝剤系を用い且つ/又は少なくとも1種の塩基及び/若しくは少なくとも1種の酸を添加することから成る。
【0026】
有利には、前記緩衝剤系は、リン酸塩、ホウ酸塩及び炭酸塩緩衝剤並びにそれらの混合物を含む群から選択することができる。
【0027】
本発明に従えば、前記酸化剤(Ox)は、ヒドラジン官能基を酸化してアゾ官能基にすることができ且つ酸の生成をもたらすことができる酸化剤から選択されるべきである。
【0028】
好ましくは、前記酸化剤(Ox)は、次のものを含む群から選択される:
(Ox1)水性ハロゲン化酸化剤、例えば次亜臭素酸ナトリウム(NaOBr)及び/又は次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)及び/又は次亜塩素酸t−ブチル;
(Ox2)無水ハロゲン化酸化剤、例えばCl2及び/又はBr2及び/又はN−ブロモスクシンイミド及び/又はハロゲン化(例えば塩素化)シアヌル酸化合物、例えばトリクロロイソシアヌル酸;
(Ox3)(Ox1)及び(Ox2)以外のすべての酸化剤、例えば過酸化水素;並びに
(Ox4)それらの混合物。
【0029】
(Ox1)タイプの酸化剤は、本発明に特に適した酸化剤である。これらは酸化剤であると同時に、ハロゲンとH+との結合によって生じる酸性を必要に応じて中和することができる塩基でもある。従って、これらの酸化剤(Ox1)は、追加の塩基の使用を必要としない。
【0030】
無水ハロゲン化酸化剤(Ox2)の存在下で反応を実施する場合、ヒドラゾ官能基(NH−NH)のアゾ(N=N)への転化には、1又は2当量の酸(例えばHCl又はHBr)の放出が伴う。
【0031】
これらの条件において、pHを所望の範囲内に保つように調節するためには、本発明に従えば、(とりわけ)次の操作手順の内の少なくとも1つを採用することが必要とされる:
a.所望のpHの緩衝水性相を用い、酸化剤(Ox2)と同時に一定量の塩基(B0)を添加して、反応によって放出される酸を中和する;及び/又は
b.非緩衝水性相を用い、反応の間に適切なpHの緩衝剤溶液を形成するように選択される性状及び量の塩基(B1)を添加する。
【0032】
手順aにおいて、塩基B°は好ましくは酸化剤(Ox2)とほぼ同時に、好ましくは段階的に注入する。
【0033】
例えば実施に当たっては、(B0)と(Ox)とを同時に反応混合物に、少量ずつ(例えば滴下)且つ非常にゆっくり(数分〜数時間、例えば0.5〜2時間)添加する。
【0034】
好ましい実施態様に従えば、酸化剤(Ox)は前駆体(II)に対して化学量論的量で用いられる。
【0035】
推奨することができる実際的な態様に従えば、前記の反応は、酸化剤(Ox)の添加の完了後に、反応混合物中で好ましくは撹拌下に保ちながら室温において、数時間(例えば2〜4時間)実施する。
【0036】
次いで有機相を分離し、乾燥させ、次いで濾過してから、例えば減圧下で濃縮する。
【0037】
別の好ましい実施態様に従えば、塩基(B0)又は(B1)は、反応によって放出される酸の量に対して化学量論的割合で用いられる。
【0038】
塩基(B0)又は塩基(B1)は、無機塩基から、好ましくは炭酸塩、リン酸塩(例えばK2HPO4)、ホウ酸塩、ソーダ及びそれらの混合物を含む群から選択されるのが好ましい。
【0039】
本発明の随意であるがしかし興味深い態様に従えば、反応混合物は、少なくとも1種の有機添加剤(A)を含み、これは好ましくは有機塩基から、より一層好ましくは窒素含有塩基から、さらにより一層好ましくはpKaが水性相のpHより小さいものから選択される。
【0040】
これらの添加剤(A)は特に最終生成物の品質をさらに改善する機能を有することができるものであり、反応混合物中に導入することができる。
【0041】
これらの添加剤(A)は、有機化合物であるのが有利である。
【0042】
さらにより一層好ましくは、前記有機添加剤(A)は、有機塩基から、さらにより一層好ましくは窒素含有塩基から、さらにより一層好ましくはpKaが水性相のpHより小さいものから選択される。
【0043】
例えば、pHが約7である水性相を用いる場合には、pKaが5であるピリジンを有利に選択することができる。
【0044】
非限定的な例示として、添加剤(A)はより特定的にはピリジン、キノリン、ニコチネート又はイソニコチネートタイプの誘導体及びそれらの混合物を含む群から選択される。
【0045】
量に関しては、添加剤(A)は、(A)/(II)のモル比として1×10-4〜2の範囲、好ましくは1×10-2〜1.0の範囲の量で存在するのが好ましい。
【0046】
反応混合物中の添加剤(A)の添加の可能性は、酸化剤がOx1、Ox2、Ox3又はOx4の内のどれであろうと、検討することができる。しかしながら、酸化剤Ox1(例えばJavel水(次亜塩素酸ナトリウム水溶液))を1種以上用いる場合には、少なくとも1種の補助剤、好ましくはアルカリ塩から選択されるもの(臭化アルカリが特に好ましい)を触媒量で添加するのもまた特に有益である。
【0047】
かくして、本発明に従えば、(A)/補助剤の比が0.1〜2.0の範囲、好ましくはほぼ1になるような割合で補助剤を用いるのが適切である。
【0048】
アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)を製造するための本発明に従う方法は、少なくとも次の工程を含む合成方法に組み込まれ得る。
(i)式(IV)の前駆体シラン:
【化7】

と式(V)の前駆体ヒドラゾ誘導体:
【化8】

とを反応させる工程
(これら式中、記号G0、G1、G2、m、n、o、p、q、a、a'及びAは上で定義した通りであり、
1及びL2は互いに反応して真ん中の結合−Z−CO−を生成して式(II):
【化9】

の前駆体を与えることができるような構造及び官能基を有する基を表わす);
(ii)式(II)の前駆体をヒドラゾ基−HN−NH−を酸化してアゾ基−N=N−にする反応に付す工程。
【0049】
工程(ii)の酸化は、本発明に従う製造方法に相当する。
【0050】
例えば構造中の記号Zが二価基−(CH2)3−NH−を表わすアゾ基含有有機ケイ素化合物(I)を製造するためには、用いられる合成式は次の通りであることができる。
(i)式(IV)の前駆体シラン:
【化10】

と式(V)の前駆体ヒドラゾ誘導体:
【化11】

とを反応させて式(II):
【化12】

のヒドラゾ化合物を得る;
(ii)式(II)の化合物をヒドラゾ基−HN−NH−を酸化してアゾ基−N=N−にする反応に付す。
【0051】
まとめると、前駆体(II)を得る工程(i)及び(II)を(I)に酸化する工程(ii)は、次の一般的方法に従う。
【0052】
工程(i):
・式(V)の前駆体ヒドラゾ誘導体及び溶媒を反応器中で周囲温度において不活性雰囲気下で用いる。
・数百回転/分で撹拌し、T=40〜100℃に加熱する。
・式(IV)の前駆体シランを数十分で添加する。
・室温に戻す前にT=40〜100℃において撹拌しながら数時間反応させる。
・室温において数時間放置する。
・式(II)の(例えば)固体状の前駆体を回収し、濾過し、洗浄し、乾燥させる。
【0053】
工程(ii):
・前駆体(II)、有機溶媒、水性緩衝液及び/又は水及び/又は添加剤(A)を反応器中で周囲温度において不活性雰囲気下で用いる。
・酸化剤(Ox)及び(B0)、(B1)を同時に、30℃以下の温度(好ましくは室温)において、少量ずつ(例えば滴下)且つ非常にゆっくり(数分〜数時間、例えば0.5〜2時間かけて)反応器に添加する。
・室温において数時間撹拌する。
・水性相を抽出し、有機相を集める。
・有機相を分離する。
・随意に乾燥させる。
・随意に濾過する。
・濃縮する。
・活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)を回収する。
【0054】
水性相を抽出する前には、本発明に従う方法の2相反応混合物は、例えば水性相中の有機相のエマルションの形にあることができるということに留意すべきである。得られる活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)は、本質的に有機相中に、さらにはもっぱら有機相中に、含有されるのが有利である。
【0055】
有機ケイ素最終生成物(I)の純度の最適化を可能にする特定的な実施態様に従えば、1段階又はそれより多くの段階での後処理であって、残留物の完全な又はほぼ完全な除去に貢献することによって最終生成物(I)の品質が有意に改善されることを可能にし、しかも最終生成物(I)に関する収率及び/又は生産性に影響を及ぼすことがない後処理が推奨される。
【0056】
この後処理の精製は、得られる式(I)の有機ケイ素化合物を回収することを含み、この回収は、有機相を少なくとも1回分離し、分離された有機相を随意に少なくとも1回濾過し且つ/又は少なくとも1回濃縮することを含む。
【0057】
さらにより一層好ましくは、前記後処理は本質的に、
(a)イオン親和性を有する基材(好ましくはカーボンブラック)と充填剤の有機溶液とを充填剤に対してイオン親和性基材0.1〜20重量%の割合、好ましくは1〜10重量%の割合で混合し、
(b)数分〜数時間、好ましくは撹拌下で接触させておき、
(c)不純物が付着した基材を充填剤の溶液から好ましくは濾過によって分離し、
(d)溶媒を好ましくは蒸発によって取り除き、
(e)化学的親和性を有する基材(好ましくは酸性状の樹脂、有利にはIR50タイプの僅かに酸性の樹脂)と充填剤の有機溶液とを充填剤に対して化学的親和性基材0.01〜10重量%の割合、好ましくは0.1〜5重量%の割合で混合し、
(f)数分〜数時間、好ましくは撹拌下で接触させておき、
(g)不純物が付着した基材を充填剤の溶液から好ましくは濾過によって分離し、
(h)溶媒を好ましくは蒸発によって取り除く:
ことを含み、随意に工程(e)〜(h)は、工程(a)〜(d)の前に又は同時に実施してもよい。
【0058】
実際、工程(a)〜(d)が第1の処理を構成し、工程(e)〜(h)が第2の処理を構成し、これら2つの処理を任意の順序で順次実施することもでき、同時に実施することもできる。
【0059】
さらに、本発明に従う方法において採用される後処理は、これら2つの処理(a)〜(d)及び(e)〜(h)の内の一方のみを含むことも可能である。
【0060】
上記の一般操作条件に加えて、本発明に従う方法によって得られ又は得ることができる活性アゾ官能基含有有機ケイ素化合物(I)について、もう少々論じる。
【0061】
上記のように、化合物(I)は不純物、特にピリジン残留物を含有しない又はほとんど(検出不能な痕跡量しか)含有しない。従って、本発明は、本発明に従う方法によって得ることができ、不純物、特にピリジン残留物を含有しない又はほとんど(検出不能な痕跡量しか)含有しないことを特徴とする活性アゾ官能基含有有機ケイ素化合物(I)に関する。
【0062】
本発明に従う方法によって得ることができる前記の活性アゾ官能基含有有機ケイ素化合物(I)はまた、加熱時、例えば80〜180℃の範囲の温度において、安定であるということをも特徴とする。
【0063】
本発明はまた、新規物質としての、40モル%以下、好ましくは10モル%以下、さらにより一層好ましくは1モル%以下の官能基G2の加水分解/縮合度によって特徴付けられる活性アゾ官能基含有有機ケイ素化合物(I)にも関する。
【0064】
さらに、以下においては再び上記の式(I)中の記号の意味に戻る。
【0065】
最初に、基(Z−CO−N=N−CO−A)は二価基−Z−を介してSiO(3-a-a')/2単位のSi原子に結合するものと理解されたい。
【0066】
さらに、脂肪族炭化水素基とは、本発明の意味においては、直鎖状又は分岐鎖状の基(好ましくは1〜25個の炭素原子を有するもの)であり、随意に置換されていてよい。
【0067】
有利には、前記脂肪族炭化水素基は1〜18個の炭素原子、より一層好ましくは1〜8個の炭素原子、さらにより一層好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。
【0068】
飽和脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、1−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1−メチル−1−エチルプロピル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、1−プロピルブチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、ノニル、デシル、1−メチルノニル、3,7−ジメチルオクチル及び7,7−ジメチルオクチル、並びにヘキサデシル基を挙げることができる。
【0069】
前記不飽和脂肪族炭化水素基は、エチレンタイプ(二重結合)及び/又はアセチレンタイプ(三重結合)の1つ以上の不飽和、好ましくは1、2又は3個の不飽和を含む。
【0070】
それらの例は、上で定義したアルキル基から2つ以上の水素原子を取り除くことによって誘導されるアルケニル又はアルキニル基である。好ましくは、不飽和脂肪族炭化水素基は、単一の不飽和を含む。
【0071】
本発明の範囲内で、炭素環式基とは、随意に置換された単環式又は多環式基(好ましくはC3〜C50のもの)を意味する。有利には、C3〜C18基、好ましくは単環、二環又は三環式のものである。炭素環式基が(多環式炭素環の場合におけるように)1つより多くの環状核を含む場合、環状核は2つずつ縮合したものである。2つの縮合核はオルト縮合であってもペリ縮合であってもよい。
【0072】
炭素環式基は、別途記載がない限り、飽和部分及び/又は芳香族部分及び/又は不飽和部分を含むことができる。
【0073】
飽和炭素環式基の例には、シクロアルキル基がある。好ましくは、シクロアルキル基はC3〜C18、より一層好ましくはC5〜C10のものである。特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル又はノルボルニル基を挙げることができる。
【0074】
不飽和炭素環又は炭素環式タイプの任意の不飽和部分は、1つ以上のエチレン性不飽和、好ましくは1、2又は3個のエチレン性不飽和を有する。これは、6〜50個の炭素原子、より一層好ましくは6〜20個、例えば6〜18個の炭素原子を有するのが有利である。不飽和炭素環の例には、C6〜C10シクロアルケニル基がある。
【0075】
芳香族炭素環式基の例には、(C6〜C18)アリール基、より一層好ましくは(C6〜C12)アリール基、特にフェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリルがある。
【0076】
上で定義した通りの脂肪族炭化水素部分及び上で定義した通りの炭素環式部分の両方を有する基は、例えばベンジルのようなアラルキル基、又はトリルのようなアルカリール基である。
【0077】
脂肪族炭化水素基又は部分及び炭素環式基又は部分の置換基は、例えばアルコキシ基(そのアルキル部分は上で定義した通りであるのが好ましい)である。
【0078】
記号G2に関して上で論じた加水分解性一価基とは、例えば次のような基を意味する:
・ハロゲン原子、特に塩素原子;
・基−O−G7及び−O−CO−G7(ここで、G7は飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基、又は飽和、不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基、又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基を表わし、G7は随意にハロゲン化されていてもよく且つ/又は1個以上のアルコキシで置換されていてもよい);
・基−O−N=CG89(ここで、G8及びG9は独立的にG7について上で与えた意味のいずれかを持ち、G8及びG9はハロゲン化されていてもよく且つ/又は1個以上のアルコキシで随意に置換されていてもよい);
・基−O−NG89(ここで、G8及びG9は上で定義した通りである)。
【0079】
有利には、前記加水分解性一価基は、次の基:
・直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルコキシ(これは随意にハロゲン化されていてよく且つ/若しくは随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換されていてよい);
・C2〜C9アシルオキシ(これは随意にハロゲン化されていてよく若しくは随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換されていてよい);
・C5〜C10シクロアルキルオキシ;又は
・C6〜C18アリールオキシ:
である。例として、加水分解性基は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ、メトキシエトキシ、β−クロロプロポキシ若しくはβ−クロロエトキシ又はアセトキシである。
【0080】
式(I)において2個の置換基G2がそれらが結合しているケイ素原子と一緒になって形成することができる一価の炭素環式基としては、例えば次の環系を挙げることができる:
【化13】

【0081】
式(I)の記号A中に存在する窒素原子の置換基G3及びG4が一緒になって形成することができる単環、並びに式(III)の記号J中に存在する窒素原子の置換基R2及びR3が一緒になって形成する単環としては、次の環を挙げることができる(これらの環においては窒素原子が自由原子価を有する):ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピロリジン、Δ2−ピロリン、イミダゾリジン、Δ2−イミダゾリン、ピラゾリジン、Δ3−ピラゾリン、ピペリジン。好ましい例は、ピロール、イミダゾール及びピラゾールである。
【0082】
式(I)の好ましい形F1において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基、C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わし;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換された直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C8アルコキシ基を表わし;
・Zは二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖;C5〜C10飽和シクロアルキレン基;C6〜C18アリーレン基;又はこれらの基少なくとも2個の組合せを含む二価基を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子;直鎖状若しくは分岐鎖状のC1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基;C6〜C18アリール基;又は(C6〜C18)アリール−(C1〜C8)アルキル基を表わし;
・Aは基−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わす。
【0083】
式(I)のより一層好ましい形F2において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ及びメトキシエトキシ基を含む群から選択され;
・Zは二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル及びベンジル基を含む群から選択され;
・Aは−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される。
【0084】
式(I)のさらにより一層好ましい形F3において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれG1又はG2について下で選択される基の内の1つを表わし;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシ基を含む群から選択され;
ここで、
・Zは二価基Z'−Z''−を表わし、
・・Z'はメチレン、エチレン及びプロピレン二価基を含む群から選択され;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子であり;
・Aは基−O−G3を表わし、ここで、G3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される。
【0085】
特に好ましい実施態様に従えば、一般式(I)の官能化された有機ケイ素化合物は、次の種を含む群から選択される:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i)式(I)においてa+a'=1又は2;mが1〜2の範囲であり;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1つの種(2i)の混合物。
【0086】
シロキサンオリゴマー(2i)は式(I)の化合物の下位グループを構成する。この下位グループは、式(I)において本発明に従う方法の条件(C1)に相当し、即ちa=0の場合に:
・m、n、o及びpの内の少なくとも1つが0以外の数であり且つqが1若しくは1より大きいか;又は
・qが1より大きく且つm、n、o及びpのそれぞれが任意の値を有するか;
であり、且つ
・記号G0の少なくとも1つがG2について下に与える定義に相当する:
化合物から誘導される。
【0087】
条件(C1)を満たす式(I)の化合物を得るためには、対応する酸化の際に追加の試薬(III)を用いるのが適切である。
【0088】
追加の試薬(III)の使用量は臨界的ではないが、しかし本発明に従えばこの量は前駆体(II)に対して少なくとも0.1M、好ましくは少なくとも1Mであって100Mまで又はそれ以上、さらにより一層好ましくは1〜10Mの範囲にするのが好ましい。
【0089】
追加の試薬(III)の例には、トリメチルエトキシシランがある。
【0090】
有利には、種(2i)は次の下位種に細分される:
・(2i.1)式(I)においてa+a'=2;m=1;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(2i.2)式(I)においてa+a'=1;m=2;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー。
【0091】
特に好ましい実施態様の興味深い変形に従えば、一般式(I)の官能化有機ケイ素化合物は、次の(下位)種の群から選択される:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i.1)式(I)においてa+a'=2;m=1;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(2i.2)式(I)においてa+a'=1;m=2;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.1)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.2)の混合物。
【0092】
この変形の中で、特に好ましい一般式(I)の官能化有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.1)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.2)の混合物(3i)によって構成されるものである。
【0093】
実施に当たっては、本発明に従う有機ケイ素化合物は、式(I)において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、G1、G2について下に与える定義に相当し;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシ基を含む群から選択され;
・Aは基−O−G3を表わし、ここで、G3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され、
・Zは二価基Z'−NR4−を表わし、
ここで、
・・Z'はメチレン、エチレン及びプロピレン二価基を含む群から選択され;
・・R4は水素原子である:
化合物(i)及び/又は(2i.1)及び/又は(2i.2)を含む少なくとも1種の混合物(3i)を含むことができる。
【0094】
本発明はまた、本発明に従う方法によって得ることができる一般式(I)の有機ケイ素化合物自体であって、次の種を含む群から選択されるものにも関する:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン(種(i)が単独で用いられる場合には、上で規定した式(I*)、(II*)及び(III*)の有機ケイ素化合物を除外する);
・(2i)式(I)においてa+a'=1又は2;mが1〜2の範囲であり;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1つの種(2i)の混合物。
【0095】
追加の試薬(III)を用いない場合、製造される化合物は、種(i)のシラン、言い換えれば次式(I')に相当するものである:
【化14】

(ここで、
aは1、2及び3から選択される整数を表わし;
a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
a+a'は3であり;
記号G1、G2、Z及びAは好ましい形F1、F2又はF3について上で与えたものと同じ定義に相当する)。
【0096】
さらにより一層好ましくは、式(I)のシランにおいて、aは整数3を表わし且つ記号G1、G2、Z及びAは好ましい形F3について上で与えたものと同じ定義に相当する。
【0097】
特に好適な式(I')のシラン(i)の例としては、次式の、a=3、a'=0、m=n=o=p=0且つq=1であるタイプ(i)の種を特に挙げることができる。
【化15】

【実施例】
【0098】
以下の実施例から、本発明がよりよく理解され、その利点がよりはっきりわかるだろう。これら実施例は、上で規定した方法及び新規の物質の範囲及び利点を例示する。
【0099】
次の実施例は、上に示した方法の範囲を例示する。
【化16】

【0100】
例1:
【0101】
100ミリリットルの反応器中で化合物(II)(式(II)のヒドラゾ誘導体)10g(28.4ミリモル)をジクロロメタン20ミリリットル中に溶解させる(有機相)。この反応器にpH7の緩衝液(リン酸塩緩衝剤)10gを添加し、撹拌機を始動させる。CH2Cl227ミリリットル中の臭素Br2(Ox2)(4.55g又は28.4ミリモル)の溶液(有機相)及びリン酸水素カリウムの溶液(水28.5ミリリットル中のK2HPO4(塩基B°)19.85g)を同時に1時間で滴下する。臭素(Ox2)の添加終了後に、反応混合物を室温において3時間撹拌し続ける。
【0102】
有機相を分離し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、次いで減圧下で濃縮する。
【0103】
非常に粘性のあるオレンジ色の化合物1.38gが回収された。1H−NMRによる分析は、化合物(II)が完全に消費され、アゾ官能基が選択的に生成し、化合物(I')のSiOEt官能基の約35%が加水分解して部分的に縮合したことを示した。
【0104】
例2:
【0105】
100ミリリットルの反応器中で化合物(II)(式(II)のヒドラゾ誘導体)10g(28.4ミリモル)をジクロロメタン20ミリリットル中に溶解させる(有機相)。この反応器にpH7の緩衝液(リン酸塩緩衝剤)4g及びピリジン(添加剤A)2.25g(28.4ミリモル)を添加し、撹拌機を始動させる。CH2Cl227ミリリットル中の臭素Br2(Ox2)(4.55g又は28.4ミリモル)の溶液(有機相)及びリン酸水素カリウムの溶液(水28.5ミリリットル中のK2HPO4(塩基B°)19.85g)を同時に1時間で滴下する。臭素(Ox2)の添加終了後に、反応混合物を室温において1時間撹拌し続ける。
【0106】
有機相を分離し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、次いで減圧下で濃縮する。
【0107】
オレンジ色の液体8.3gが回収された。1H−NMRによる分析は、化合物(II)が完全に消費され、SiOEt官能基が損失されることなくアゾ官能基が選択的に生成したことを示した。化合物(I')は単離しなかったが、しかし見積もられた収率は65%近かった。
【0108】
例3:
【0109】
ピリジンを2.25gの代わりに113mg(1.42ミリモル)だけ用いて、例2の手順を実施する。
【0110】
これらの条件において、オレンジ色の液体4.9gが回収された。1H−NMRによる分析は、回収された液体が化合物(I')からもっぱら成ることを示した(ピリジンのシグナルは何ら検出できなかった)。収率は49.5%だった。
【0111】
例4:
【0112】
100ミリリットルの反応器中で化合物(II)(式(II)のヒドラゾ誘導体)10g(28.4ミリモル)をトルエン20ミリリットル中に溶解させる(有機相)。この反応器に蒸留水20g及びピリジン(添加剤A)113mg(1.42ミリモル)を添加し、撹拌機を始動させる。臭素の溶液(CH2Cl227ミリリットル中のBr2(Ox2)4.55g又は28.4ミリモル)及びリン酸水素カリウムの溶液(水28.5ミリリットル中のK2HPO4(塩基B°)19.85g)を同時に1時間で滴下する。臭素(Ox2)の添加終了後に、反応混合物を室温において1時間撹拌し続ける。
【0113】
有機相を分離し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、次いで減圧下で濃縮する。
【0114】
これらの条件において、オレンジ色の液体5.6gが回収された。1H−NMRによる分析は、回収された液体が化合物(I')からもっぱら成ることを示した(ピリジンのシグナルは何ら検出できなかった)。収率は57%だった。
【0115】
例5:
【0116】
100ミリリットルの反応器中で化合物(II)(式(II)のヒドラゾ誘導体)15g(42.6ミリモル)をトルエン30ミリリットル中に溶解させる(有機相)。この反応器にpH5の緩衝剤溶液6g及びピリジン(添加剤A)169mg(2.13ミリモル)を添加し、撹拌機を始動させる。活性塩素含有率12.1重量%のJavel水(Ox1)溶液37.5gを1.5時間で滴下する。Javel水(Ox1)の添加終了後に、反応混合物を室温において3時間撹拌し続ける。
【0117】
有機相を分離する。水性相を20ミリリットルずつのトルエンで2回抽出する。有機相を一緒にし、MgSO4で乾燥させ、濾過し、次いで減圧下で濃縮する。
【0118】
完全に無臭のオレンジ色の液体11.7gが回収された。1H−NMRによる分析は、化合物(II)の転化が実質的に完全であり、SiOEt官能基が損失されることなくアゾ官能基が選択的に生成したことを示した。最終混合物は化合物(I')を100モル%含有していた。検出できるほどのピリジン残留物は存在しなかった。単離された化合物(I')の収率は73%だった。
【0119】
例6:
【0120】
1リットルの反応器中で化合物(II)(式(II)のヒドラゾ誘導体)100g(284.5ミリモル)をトルエン185ミリリットル中に溶解させる(有機相)。この反応器にpH5の緩衝剤溶液80g、ピリジン(添加剤A)1.13g(14.2ミリモル)及び臭化ナトリウム1.46g(14.2ミリモル)(添加剤A)を添加し、撹拌機を始動させる。活性塩素含有率12.1重量%のJavel水(Ox1)溶液193gを2時間で滴下する。Javel水(Ox1)の添加終了後に、反応混合物を室温において10分間撹拌し続ける。
【0121】
有機相を分離する。水性相を60ミリリットルずつのトルエンで2回抽出する。有機相を一緒にし、MgSO4で乾燥させ、濾過し、次いで減圧下で濃縮する。
【0122】
完全に無臭のオレンジ色の液体89.5gが回収された。1H−NMRによる分析は、化合物(II)の転化が完全であり、SiOEt官能基が損失されることなくアゾ官能基が選択的に生成したことを示した。最終混合物は化合物(I')を100モル%含有していた。検出できるほどのピリジン残留物は存在しなかった。単離された化合物(I')の収率は89%だった。
【0123】
例7:
【0124】
250ミリリットルの反応器中で化合物(II)(式(II)のヒドラゾ誘導体)30g(85.2ミリモル)をトルエン60ミリリットル中に溶解させる(有機相)。この反応器にpH5の緩衝剤溶液24g、ピリジン0.07g(8.52ミリモル)及び及び臭化ナトリウム0.09g(8.52ミリモル)(添加剤A)を添加し、撹拌機を始動させる。活性塩素含有率12.1重量%のJavel水(Ox1)溶液62.5gを6時間で滴下する。Javel水(Ox1)の添加終了後に、反応混合物を室温において10分間撹拌し続ける。
【0125】
有機相を分離する。水性相を20ミリリットルずつのトルエンで2回抽出する。有機相を一緒にし、MgSO4で乾燥させ、濾過し、次いで減圧下で濃縮する。
【0126】
完全に無臭のオレンジ色の液体22.1gが回収された。1H−NMRによる分析は、化合物(II)の転化が完全であり、SiOEt官能基が損失されることなくアゾ官能基が選択的に生成したことを示した。最終混合物は化合物(I')を100モル%含有していた。検出できるほどのピリジン残留物は存在しなかった。単離された化合物(I')の収率は73.3%だった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I):
【化1】

{ここで、
m、n、o、pはそれぞれ0又は0より大きい整数又は小数を表わし;
qは1又は1より大きい整数又は小数を表わし;
aは0、1、2及び3から選択される整数を表わし;
a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
aとa'との合計a+a'は0〜3の範囲内であり、
但し、
(C1)aが0である場合には
m、n、o及びpの内の少なくとも1つが0以外の数であり且つqが1若しくは1より大きいか;又は
qが1より大きく且つm、n、o及びpのそれぞれが任意の値を有するか;
であり、且つ
記号G0の少なくとも1つがG2について下に与える定義に相当し;
(C2)a+a'が3である場合には、m=n=o=p=0であり;
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれG2又はG1に対応する基の1つを表わし;
記号G2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれがヒドロキシル基若しくは加水分解性一価基を表わすか、又は2個のG2がそれらが結合しているケイ素と一緒になって3〜5個の炭化水素環員を有する環を形成するか(この環は、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができ、且つこれらの環員の少なくとも1個が少なくとも1つの他の炭化水素環又は芳香族環の環員であることもできる)であり;
記号G1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基を表わし;
記号Zは飽和又は不飽和脂肪族炭化水素;飽和、不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される二価基を表わし、この二価基は随意に酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は窒素原子(この窒素原子は、水素原子;飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;並びに飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される一価基1個を有する)で置換され又は中断されていることができ;
記号Aは、
・飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;
・基−X−G3
(ここで、Xは−O−、−S−又は−NG4−を表わし、ここで、G4はG1について上で与えた意味のいずれかを有し;
3はG4と同一であっても異なっていてもよく、G1について定義した基の内のいずれかを表わし;
さらに基−NG43の置換基G3及びG4はそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜7個の環員を有する単環を形成することもでき、この環は3〜6個の炭素原子及び1又は2個の窒素原子を有し且つ随意に1又は2個の不飽和二重結合を有する);或は
・q=1の時に、次式:
【化2】

(ここで、記号Z、G1、G2、a、a'、m、n、o及びpは上記の定義を有する)
の基:
を表わす}
の1種又はそれより多くの互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物の製造方法であって、
⇒該方法が、
・少なくとも1種の有機ケイ素化合物(I)の少なくとも1種の前駆体(II)を用い、この前駆体が次式(II):
【化3】

(ここで、記号G0、G1、G2、Z、A、m、n、o、p、a、a'及びqは式(I)について上で定義した通りである)
に相当するものであり、
・前駆体(II)のヒドラジノ基を、少なくとも1種の酸化剤(Ox)及び少なくとも1種の塩基(B)を含む酸化系によって酸化して、活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)に属するアゾ基にし、
・条件(C1)の場合に、(単独で又は互いに混合物して用いられる)次式(III):
【化4】

(ここで、
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ:飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;又はポリシロキサン残基:を表わし;
記号G2'は同一であっても異なっていてもよく、式(I)に関して記載した記号G2について上で与えたものと同じ定義に相当する加水分解性一価基を表わし、
p1は1及び2から選択される整数、好ましくは1を表わす)
のシランから選択される追加の試薬を用いる:
ことを含むタイプのものであり、
⇒該方法が、酸化を水性/有機性2相媒体中で、水性相のpHが3〜11の範囲、好ましくは5〜9の範囲となるように実施することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記水性相のpHを必要ならば、少なくとも1種の緩衝剤系を用い且つ/又は少なくとも1種の塩基及び/若しくは少なくとも1種の酸を添加することによって制御し、前記緩衝剤系が好ましくはリン酸塩、ホウ酸塩及び炭酸塩緩衝剤並びにそれらの混合物を含む群から選択することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化剤(Ox)がヒドラジン官能基を酸化してアゾ官能基にすることができ且つ酸の生成をもたらすことができる酸化剤から、好ましくは
(Ox1)水性ハロゲン化酸化剤、特に次亜臭素酸ナトリウム(NaOBr)及び/又は次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)及び/又は次亜塩素酸t−ブチル;
(Ox2)無水ハロゲン化酸化剤、特にCl2及び/又はBr2及び/又はN−ブロモスクシンイミド及び/又はハロゲン化(例えば塩素化)シアヌル酸化合物、有利にはトリクロロイソシアヌル酸;
(Ox3)(Ox1)及び(Ox2)以外のすべての酸化剤、例えば過酸化水素;並びに
(Ox4)それらの混合物:
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
反応を無水ハロゲン化酸化剤(Ox2)の存在下で、ヒドラゾ官能基(NH−NH)のアゾ(N=N)への転化に酸の放出が伴うように実施すること、並びに次の操作手順:
a.所望のpHの緩衝水性相を用い、酸化剤(Ox2)と同時に一定量の塩基(B0)を添加して、反応によって放出される酸を中和する;及び/又は
b.非緩衝水性相を用い、反応の間に適切なpHの緩衝剤溶液を形成するように選択される性状及び量の塩基(B1)を添加する:
の内の少なくとも1つを採用することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化剤(Ox)を前駆体(II)に対して化学量論的量で用いることを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記塩基(B0)又は(B1)を反応によって放出される酸の量に対して化学量論的割合で用いることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記塩基(B0)又は(B1)が無機塩基から、好ましくは炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ソーダ及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
反応混合物が少なくとも1種の有機添加剤(A)、好ましくは有機塩基から、より一層好ましくは窒素含有塩基から、さらにより一層好ましくはpKaが水性相のpHより小さいものから選択される少なくとも1種の有機添加剤(A)を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記添加剤(A)がピリジン、キノリン、ニコチネート又はイソニコチネートタイプの誘導体及びそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記添加剤(A)を(A)/(II)のモル比として1×10-4〜2の範囲、好ましくは1×10-2〜1.2の範囲の量で存在させることを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
1種以上の酸化剤Ox1を用いること、並びに少なくとも1種の補助剤も反応混合物に添加し、この補助剤が、好ましくはアルカリ塩から選択され(臭化アルカリが特に好ましく)、さらにより一層好ましくは(A)/補助剤の比が0.1〜2.0の範囲、好ましくはほぼ1になるような割合で添加することを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
製造された(I)充填剤に後処理の精製を施すことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
得られた式(I)のアゾアルコキシシランを回収し、この回収が、有機相を少なくとも1回分離し、分離された有機相を随意に少なくとも1回濾過し且つ/又は少なくとも1回濃縮することを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
式(I)において:
・記号G0が同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1が同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基、C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わし;
・記号G2が同一であっても異なっていてもよく、それぞれ随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換された直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C8アルコキシ基を表わし;
・Zが二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖;C5〜C10飽和シクロアルキレン基;C6〜C18アリーレン基;又はこれらの基少なくとも2個の組合せを含む二価基を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子;直鎖状若しくは分岐鎖状のC1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基;C6〜C18アリール基;又は(C6〜C18)アリール−(C1〜C8)アルキル基を表わし;
・Aが基−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わす:
ことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
式(I)において:
・記号G0が同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1が同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2が同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ及びメトキシエトキシ基を含む群から選択され;
・Zが二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル及びベンジル基を含む群から選択され;
・Aが−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される:
ことを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
式(I)において:
・記号G0が同一であっても異なっていてもよく、それぞれG1又はG2について下で選択される基の内の1つを表わし;
・記号G1が同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2が同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシ基を含む群から選択され;
・Zが二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はメチレン、エチレン及びプロピレン二価基を含む群から選択され;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子であり;
・Aが基−O−G3を表わし、ここで、G3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される:
ことを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
一般式(I)の官能化された有機ケイ素化合物が次の種:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i)式(I)においてa+a'=1又は2;mが1〜2の範囲であり;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1つの種(2i)の混合物:
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
一般式(I)の官能化された有機ケイ素化合物が次の種:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i.1)式(I)においてa+a'=2;m=1;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(2i.2)式(I)においてa+a'=1;m=2;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.1)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.2)の混合物:
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
製造される化合物が種(i)のシラン又は言い換えれば次式(I'):
【化5】

(ここで、
aは1、2及び3から選択される整数を表わし;
a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
a+a'は3であり;
記号G1、G2、Z及びAは請求項14〜16のいずれかに記載の定義に相当する)
に相当するものであることを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって得ることができ、前記の式(I):
【化6】

の1種以上の互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物であって、
不純物、特にピリジン残留物を含有しない又はほとんど含有しないことを特徴とする、前記有機ケイ素化合物。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって得ることができる一般式(I)の有機ケイ素化合物であって、次の種:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン(種(i)が単独で用いられる場合には、上で規定した式(I*)、(II*)及び(III*)の有機ケイ素化合物を除外する);
・(2i)式(I)においてa+a'=1又は2;mが1〜2の範囲であり;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1つの種(2i)の混合物:
を含む群から選択される、前記有機ケイ素化合物。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって得ることができ、前記の式(I):
【化7】

の1種以上の互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物であって、加熱時、好ましくは80〜180℃の範囲の温度に加熱した時に安定であることを特徴とする、前記有機ケイ素化合物。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって得ることができる前記の式(I):
【化8】

の1種以上の互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物であって、
官能基G2の加水分解/縮合度が40モル%未満、好ましくは10モル%未満、さらにより一層好ましくは1モル%未満であることを特徴とする、前記有機ケイ素化合物。

【公表番号】特表2008−542245(P2008−542245A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512862(P2008−512862)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001108
【国際公開番号】WO2006/125888
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】