説明

2部品からなる血管内吻合コネクタ

血管導管(66)および供給導管(68)を含む血管内コンポーネント(65)と、カニューレコンポーネント(80)と、を備える吻合コネクタ(60)。血管導管(66)は、血管構造内に存在するように構成された第1および第2の端部(98、100)を有する。供給導管(68)は、近位端および遠位端を有しており、遠位端は、第1の端部と第2の端部(98、100)間で血管導管(66)に流体連通するように接続される。近位端および遠位端を同様に含むカニューレコンポーネント(80)が、供給導管(68)によって受け入れられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2009年10月8日に出願された米国特許仮出願第61/249,704号(係属中)の優先権を主張するものであり、その開示を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、一般に、血管コネクタ装置、およびその血管コネクタ装置を用いる方法に関する。より詳細には、本発明は吻合コネクタおよび送達方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人体の循環系は、代謝物質、ホルモン、および細胞廃棄物などの化学物質を含む血液を細胞から、及び細胞へ移送する。器官系は、心臓、血液、および血管網を含む。静脈は、血液を心臓に向けて搬送する管であり、動脈は心臓から血液を送り出す。ヒトの心臓は、2つの心房腔と2つの心室腔からなる。心房腔は静脈から血液を受け取り、またより大きな筋肉壁を含む心室腔は、心臓から血液をポンプ送りする。血液の動きは以下のようになる。血液は、上大静脈または下大静脈から右心房に入り、右心室へと進む。右心室から、血液は、肺動脈を経由して肺へとポンプ送りされ酸素化される。血液が酸素化されると、血液は、肺静脈を経由して左心房に入ることにより心臓に戻り、左心室へと流入する。最後に、血液は、左心室からポンプ送りされて、大動脈および血管網に入る。
【0004】
いくつかの場合では、血管網と流体連通を維持することが必要になる。例えば、循環補助システムは、血液を、血管網を通してポンプ送りするのを助けるために使用することができ、それによりうっ血性心不全(一般に心疾患と呼ばれる)に関連する症状が軽減される。循環補助システムのポンプは、流入および流出カニューレを含む。流入カニューレは、心臓の左心房をポンプに接続し、流出カニューレは、ポンプを動脈系に接続することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第12/256,911号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
循環補助装置を早期に設けることは、心臓の負荷を軽減し、かつ低下する左心室の機能を有する患者でうっ血性心不全のさらなる進行を妨げる可能性がある。しかし、循環補助装置から最も利益が得られるはずの患者は、外科手術の侵襲性に対して脆弱過ぎることが多い。したがって、外科的手技の侵襲性を減少させる装置および手順が引き続き求められている。例えば、最小の侵襲性で血管構造へと送達され、かつ固定することができ、補助装置に取り付けることもできる装置を有することは有利なはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な一実施形態では、本発明は、血管導管および供給導管を含む血管内コンポーネントと、カニューレコンポーネントとを備える吻合コネクタを対象とする。血管導管は、血管構造内に存在するように構成された第1および第2の端部を有する。供給導管は、近位端および遠位端を有しており、遠位端は、第1の端部と第2の端部の間で血管導管に対して流体連通するように接続される。近位端および遠位端を同様に含むカニューレコンポーネントが、供給導管により受け入れられる。
【0008】
例示の実施形態の他の態様では、カニューレコンポーネントの近位端は、補助装置に接続されるように構成されたハブをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】心臓が断面で示されており、ポンプの流出部が吻合コネクタにより右鎖骨下動脈に接続された循環補助システムの図である。
【図2】図1で示す吻合コネクタの分解斜視図である。
【図3A】吻合コネクタの血管内コンポーネントを右鎖骨下動脈中に移植するための1つの例示的な手順の連続ステップを部分的に横断面で示す図である。
【図3B】吻合コネクタの血管内コンポーネントを右鎖骨下動脈中に移植するための1つの例示的な手順の連続ステップを部分的に横断面で示す図である。
【図3C】吻合コネクタの血管内コンポーネントを右鎖骨下動脈中に移植するための1つの例示的な手順の連続ステップを部分的に横断面で示す図である。
【図3D】バルーンカテーテルを、第2の切開部位から吻合コネクタの血管内コンポーネントへと送る一方法の図である。
【図3E】血管導管のバルーンで支援された拡張を部分的に横断面で示す図である。
【図3F】カニューレコンポーネントを血管内コンポーネントの供給導管内に挿入する図である。
【図4】右鎖骨下動脈内に移植された血管内吻合コネクタの、横断面で示された拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、移植された循環補助システム10を示す。例示のために、右心房16、左心房18、右心室20、および左心室22を有する患者14の心臓12を含む、ある解剖学的構造が示されている。左および右鎖骨下静脈24、26、および左および右頸静脈28、30からの血液は、上大静脈32を通って右心房16に入るが、体の下部からの血液は、下大静脈34を通って右心房16に入る。血液は、右心房16から右心室20に、さらに肺(図示せず)にポンプ送りされて酸素化される。肺から戻った血液は、肺静脈36から左心房18に入り、次いで、左心室22へとポンプ送りされる。左心室22を出た血液は、大動脈38に入り、かつ左鎖骨下動脈40、左総頸動脈42、および右鎖骨下動脈46および右総頸動脈48を含む腕頭動脈44に入る。
【0011】
移植された循環補助システム10に関して、可撓性のあるカニューレ本体50が、左心房18内から心房内中隔52を通り、経皮的に右鎖骨下静脈26の血管アクセス部位54へと延びる。可撓性のあるカニューレ本体50は、移植可能なポンプ58の入力ポート56に取り付けられる。血管内吻合コネクタ60は、移植可能なポンプ58の出力ポート62を、右鎖骨下動脈46などの適切な動脈に接続する。医師は、移植可能なポンプ58を、血管アクセス部位54の近くに位置するポンプポケット64中に皮下的に、また任意選択で、筋肉下に配置することができるが、あるいはポンプ58を外部で維持することもできる。
【0012】
図2は、血管導管66と、血管導管66と共に分岐継手70を形成する供給導管68とからなる血管内コンポーネント65を含む血管内吻合コネクタ60の分解図を示している。分岐継手70は、可撓性を有すると共に血管の自然の撓み性を再現すべきであり、また血管内吻合コネクタ60の意図された用途、および局所的な解剖学的構造に応じて、約5°から約90°(直角)まで変わりうる角度を形成する。
【0013】
血管導管66の構成は、拡張可能な材料からなる補強構造72を含むことができる。拡張可能な材料は、ニッケルチタン(NiTi)などの超弾性および自己拡張性のものとすることができる。代替的には、ニッケルコバルト(NiCo)、またはコバルトクロム(CrCo)などのバルーン拡張可能材料を使用することができる。その場合、補強構造72を、多孔質のポリマー材料のカバー74内に封入することができて、内皮細胞の移行を可能にし、かつ血管導管66を血管壁に固定できるようにする。適切なカバーは、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、織られたポリエステル、ベロア、またはDACRON(ダクロン)ブランドの合成ポリエステル織物を含むことができる。
【0014】
必ずしも必要ではないが、血管導管66は、より広い範囲の血管直径に適合するように、かつ血管導管66と血管の間で滑らかに流れる遷移部を提供するために外側に広げることができる(参照符号75で示す)。
【0015】
供給導管68はまた、多孔質のポリマー材料から構成することができる。いくつかの実施形態では、血管導管66の壁厚は、供給導管68の壁厚よりも薄くすることができる。血管導管66は血管内に移植され、また血流の障害とならないようにその輪郭を最小にすべきであるため、このようにすることはその逆の場合よりも好ましい。ただし、血管導管66と供給導管68の壁は共に、以下でより詳細に述べる方法で、血管内コンポーネント65を折り畳み、かつ送達する可撓性を保証するように最小の厚さで構成すべきである。
【0016】
図で示すように、供給導管68の構成は、大径部76と、大径部76に対して遠位にある小径部78とを含むことができる。小径部78の長さは、血管の壁厚を少なくとも満たすべきであるが、あるいはいくつかの実施形態では、血管の壁厚をわずかに超えることができる。血管内コンポーネント65が、小容積の血管中へと挿入される場合、供給導管68の小径部78は、血管導管66の管腔の直径にほぼ等しい直径の管腔を有するように構成することができ、血管に入る血液量を抑えて血管の自然な容量を超えないようにする。大径部76は、カニューレコンポーネント80の外径を受け入れるために、かつその相対的な動きを可能にするのに十分な内径で構成すべきである。
【0017】
大径部76と小径部78との間の遷移部82は、以下でより詳細に述べる方法で、カニューレコンポーネント80に対する強制停止部として働く。
【0018】
供給導管68中へと送られるカニューレコンポーネント80は、供給導管68に対する構造的安定性と、ポンプ58(図1)または他の補助装置に接続するための近位のハブ84とを共に提供する。カニューレコンポーネント80は、熱可塑性(例えば、ポリウレタンまたはPEBAX)材料もしくは熱硬化性(例えば、シリコーン)材料など、「軟質」であり、かつ高い伸び特性を有する低デュロメータ(例えば、ショアA)の材料から構成することができる。
【0019】
供給導管68に関して上記で述べたように、カニューレコンポーネント80はまた、遷移部90で分離された大径部86および小径部88を含むことができる。大径部86、小径部88、および遷移部90は、供給導管68の対応する部分76、78、82の寸法に対して、供給導管68とカニューレコンポーネント80の間で適正に、かつしっかりと嵌合することを保証するような寸法で構成すべきである。カニューレコンポーネント80の小径部88はまた、血管内コンポーネント65の分岐継手70の望ましい角度を再現するようにも構成すべきである。
【0020】
いくつかの実施形態では、小径部88は、NiTi、ステンレス鋼、または他の同様な生体適合性のある金属から構成された金属支持体92を含むことができる。金属支持体92は、カニューレコンポーネント80が供給導管68に嵌め合わされたときに加えられる外力により、小径部88がつぶれないようにするのを支援する。金属支持体92は、小径部88の壁を構成する多孔質のポリマー材料内に封入された(図2で示す)編組み、または(図3Fで示す)コイルとして形成することができる。大径部86もまた、同様な方法で構成され、かつねじり抵抗を提供する金属支持体94により支持されうる。
【0021】
カニューレコンポーネント80のハブ84は、供給導管68から近位方向に延びており、医師が、特定の個人の解剖学的構造に適合させるために、血管内吻合コネクタ60の全体長を調整できるように長さを変えることができる。調整可能なハブ84を構成する一方法は、長手方向に間隔を空けた環状部材(図示せず)を成形することを含む。長手方向の間隔は、ポンプ58(図1)の出口62(図1)を収容するために十分なものとすることができる。したがって、医師は、適切な長さで、かつ連続する環状部材の間でハブ84を切断することができる。
【0022】
図3A〜3Fは、血管内吻合コネクタ60を使用する例示的な一方法を示している。この方法に対する準備として、医師は、血管内コンポーネント65を送達システム95中に事前に挿入するが、送達システム95は、図示のように送達シース96および送達カテーテル97を含む。折り畳む例示的な一方法は、送達カテーテル97が、供給導管68を通って送られ、血管導管66の第2の端部100から遠位方向に出た後、血管導管66の第1の端部98を供給導管68の周囲に巻き付けることを含む。送達カテーテル97を有する巻き付けられた血管内吻合コネクタ60は、次いで、送達シース96中に挿入される。いくつかの実施形態では、具体的には示していないが、送達カテーテル97は、血管導管66の内面に接触するように、かつ送達中に血管内コンポーネント65の位置の安定化を助けるために、少なくともわずかに膨張するバルーン部分を含むことができる。
【0023】
血管内吻合コネクタ60を使用する例示的な方法において、図3Aは、ここでは右鎖骨下動脈46として示されている血管壁の切開部102を示している。医師は、次いで、ガイドワイヤ104を、切開部102を通して右鎖骨下動脈46の管腔106内へと進ませる。導入器107がガイドワイヤ104上で後部から挿入されて、出血を低減または阻止しながら切開部102を通り動脈46へのアクセスを維持する。適切な導入器は、米国インディアナ州ブルーミントンのCook Medical(クックメディカル社)によるCHECK−FLO PERFORMERなど、市販のものを含むことができるが、あるいは個々の必要性に合わせてカスタム化することもできる。
【0024】
図3Bでは、送達システム95を備える折り畳まれた血管内コンポーネント65が、次いで、ガイドワイヤ104上に後部から挿入され、導入器107を通り、送達シース96が導入器107の遠位端に対してちょうど遠位に配置されるまで動脈46中へと前進する。ガイドワイヤ104は、送達カテーテル97の管腔を通って同軸に延びる。
【0025】
送達シース96および血管内コンポーネント65が適正に配置されると、医師は、送達シース96を部分的に後退させ、血管導管66の第2の端部100を解放し、展開する。次いで、続けて後退させることにより、血管導管66の第1の端部98が解放され、展開されるようになる。代替的に、医師は、血管内コンポーネント65を備える送達カテーテル97を送達シース96から遠位方向に、かつ動脈46の管腔106内へと前進させることもできる。
【0026】
図3Cは、右鎖骨下動脈46の管腔106内に展開された血管導管66を示す。補強構造72(図2)が自己拡張性材料から構成される実施形態では、血管導管66は、解放されると自動的に拡張して、右鎖骨下動脈46の管腔106の容積を満たすことになる。図3Cはさらに、90°未満の角度を有する分岐継手を示している。
【0027】
右鎖骨下動脈46内の血管導管66の位置は、血管導管66が切開部102に対して確実に密封を行うように、送達シース96、供給導管68、および/または送達カテーテル97を動かすことにより操作することができる。送達シース96および送達カテーテル97を、次いで、血管内コンポーネント65から後退させるが、導入器107およびガイドワイヤ104は、配置された状態で残ることができる。
【0028】
血管導管66がバルーン拡張可能材料から構成される実施形態では、図3D〜3Fを参照して説明する方法で、血管導管66を拡張するために従来のバルーンカテーテル108(図3D)を使用することができる。
【0029】
図3Dは、第2の切開部位112に配置された導入器111を通り、血管導管66の管腔へと第2のガイドワイヤ110に沿ってバルーンカテーテル108を送る様子を示している。導入器111は、前に述べた導入器107(図3A)と同様のものとすることができる。図示のように、第2の切開部位112は、右または左大腿動脈114、115に位置することができ、また中隔を横断する可撓性のあるカニューレ本体50を移植するために、心房内中隔52(図1)に経皮的にアクセスするのに使用された大腿静脈アクセス部位(図示せず)の近傍にある。経皮的にアクセスし、移植する一方法は、米国特許出願第12/256,911号でより詳細に述べられており、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。プラグ116は、血液が失われるのを阻止するために、かつ可撓性のあるカニューレ本体50がポンプ58(図1)に流体連通するように接続されるまで、可撓性のあるカニューレ本体50の近位端に一時的に配置することができる。
【0030】
第2のガイドワイヤ110は、第2の切開部位112から、下行大動脈118を上昇し、腕頭動脈44を通り右鎖骨下動脈46へと送られる。次いで、ガイドカテーテル120は、血管導管66のすぐ前の位置へと第2のガイドワイヤ110上で送られうる。バルーンカテーテル108は、次いで、ガイドカテーテル120から遠位方向に延びるまで、かつ図3Eで示すように、そのバルーン部分122が血管導管66の管腔内に存在するように、第2のガイドワイヤ110上でガイドカテーテル120を通って前進する。
【0031】
バルーンカテーテル108が適切に配置されると、医師は、次いで、バルーン部分122を膨張させることができ、バルーン部分122は、血管導管66の内面に接触し、かつ補強構造72(図2)を拡張させることになる。その結果、血管導管66は、右鎖骨下動脈46の管腔106(図3A)を満たす。バルーンカテーテル108のバルーン部分122を、次いで、収縮させて、血管内コンポーネント65から後退させることができる。ガイドカテーテル120および第2のガイドワイヤ110もまた、後退させることができる。
【0032】
具体的に示していないが、バルーンカテーテル108を送る代替方法は、例えば、右橈骨動脈近くの切開部から、または血管内コンポーネント65へのアクセス可能性を提供する任意の他の血管構造からのものとすることができる。
【0033】
図3Fは、次いで、カニューレコンポーネント80を、血管内吻合コネクタ60の供給導管68中へ前進させる様子を示している。カニューレコンポーネント80は、遷移部90がカニューレコンポーネント80に対する強制停止部(positive stop)となる供給導管68の遷移部82と接触し、かつその上に配置されるまで前進する。
【0034】
図4は、組み立てられた装置における1つまたは複数のシールリングによるカニューレコンポーネント80と供給導管68の間の締まり嵌めを示している。図示のように、カニューレコンポーネント80の小径部88は、遠位のシールリング124と、近位のシールリング126とを含む。近位のシールリング126は、供給導管68とカニューレコンポーネント80の間の締まり嵌めを提供することができる。遠位のシールリング124は、分岐継手70において締まり嵌めを提供し、血管導管66とカニューレコンポーネント80との間の滑らかな流体的遷移を保証する。カニューレコンポーネント80の小径部88が、供給導管68の小径部78の中に滑らせて挿入されると、右鎖骨下動脈46の壁は、遠位のシールリング124により伸張される。この伸張により半径方向に圧縮されて、切開部102で血管内吻合コネクタ60を密封することが促進される。
【0035】
医師は、適切な長さにハブ84(図2)を切断し、かつそれをポンプ58(図1)の流出ポート62(図1)に接続することにより手順を完了することができる。プラグ116(図3D)は、可撓性のあるカニューレ本体50(図1)の近位端から取り外され、したがって、可撓性のあるカニューレ本体50(図1)は、ポンプ58(図1)の流入ポート56(図1)に接続されうる。
【0036】
図1で示したように、完了した血液の流れは以下のようになる。すなわち、酸素化された血液は、左心房18から自然な経路を介して左心室22へと進み大動脈38へと移動することになる。大動脈38から、血液は、左鎖骨下動脈40、左総頸動脈42、および腕頭動脈44へと進む。酸素化された血液はまた、左心房18から可撓性のあるカニューレ本体50に入り、可撓性のあるカニューレ本体50の管腔を通ってポンプ58へと移動することになる。ポンプ58は、血液を血管内吻合コネクタ60のカニューレコンポーネント80に、さらに右鎖骨下動脈46へと能動的にポンプ送りする。ここから、血液は、血管網の残りの部分へと送られる。
【0037】
本発明は、様々な好ましい実施形態の説明により示され、かつこれらの諸実施形態が何らかの細部で記述されているが、本出願人は、添付の特許請求の範囲をこのような細部に制限すること、または何らかの形で限定することを意図していない。さらなる利点および変更は、当業者であれば容易に想到するはずである。本発明の様々な特徴は、ユーザの必要性および好みに応じて単独で、または任意の組合せで使用することができる。本明細書は、本発明を、現在知られている本発明を実施する好ましい方法と共に述べたものである。しかし、本発明それ自体は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0038】
10 循環補助システム
12 心臓
14 患者
16 右心房
18 左心房
20 右心室
22 左心室
24 左鎖骨下静脈
26 右鎖骨下静脈
28 左頸静脈
30 右頸静脈
32 上大静脈
34 下大静脈
36 肺静脈
38 大動脈
40 左鎖骨下動脈
42 左総頸動脈
44 腕頭動脈
46 右鎖骨下動脈
48 右総頸動脈
50 カニューレ本体
52 心房内中隔
54 血管アクセス部位
56 入力ポート
58 移植可能なポンプ
60 血管内吻合コネクタ
62 出力ポート、流出ポート
64 ポンプポケット
65 血管内コンポーネント
66 血管導管
68 供給導管
70 分岐継手
72 補強構造
74 カバー
75 外側への広がり
76 大径部
78 小径部
80 カニューレコンポーネント
82 遷移部
84 ハブ
86 大径部
88 小径部
90 遷移部
92 金属支持体
94 金属支持体
95 送達システム
96 送達シース
97 送達カテーテル
98 第1の端部
100 第2の端部
102 切開部
104 ガイドワイヤ
106 管腔
107 導入器
108 バルーンカテーテル
110 第2のガイドワイヤ
111 導入器
112 第2の切開部位
114 右大腿動脈
115 左大腿動脈
116 プラグ
118 下行大動脈
120 ガイドカテーテル
122 バルーン部分
124 遠位のシールリング
126 近位のシールリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)第1の端部および第2の端部、ならびにその間で延びる管腔を含む血管導管であって、血管構造内に存在するように構成される血管導管と、
近位端、遠位端、およびその間で延びる管腔を有する供給導管であって、前記供給導管の前記遠位端が、前記第1の端部と前記第2の端部の間で前記血管導管の前記管腔に対して流体接続される、供給導管と
を備える血管内コンポーネントと、
(ii)近位端、遠位端、およびその間で延びる管腔を有するカニューレコンポーネントであって、前記供給導管によって受け入れられるように適合され、かつそこから近位方向に延びるカニューレコンポーネントと、
を備える吻合コネクタ。
【請求項2】
前記カニューレコンポーネントの前記近位端に結合されるハブであって、補助装置に接続されるように構成されるハブ
をさらに備える、請求項1に記載の吻合コネクタ。
【請求項3】
前記ハブの長さが調整可能である、請求項2に記載の吻合コネクタ。
【請求項4】
前記補助装置が移植可能なポンプである、請求項2に記載の吻合コネクタ。
【請求項5】
前記血管導管の前記第1の端部および前記第2の端部が補強構造を含む、請求項1に記載の吻合コネクタ。
【請求項6】
前記補強構造が、自己拡張性材料から構成される、請求項5に記載の吻合コネクタ。
【請求項7】
前記補強構造が、バルーン拡張性材料から構成される、請求項5に記載の吻合コネクタ。
【請求項8】
前記補強構造が、組織の内部成長を促進できる多孔質ポリマーの生体適合性材料中に封入される、請求項5に記載の吻合コネクタ。
【請求項9】
前記血管導管の前記第1の端部および前記第2の端部が外側に広がっている、請求項1に記載の吻合コネクタ。
【請求項10】
前記供給導管が、
大径部と、
前記大径部に対して遠位にある小径部と
をさらに備える、請求項1に記載の吻合コネクタ。
【請求項11】
前記吻合コネクタが、前記大径部の直径よりも小さい内径を有する血管構造内に送られる場合、遷移部が、より大きい前記大径部をより小さい前記小径部に結合する、請求項10に記載の吻合コネクタ。
【請求項12】
前記遷移部が、前記カニューレコンポーネントに対する強制停止部を提供する、請求項11に記載の吻合コネクタ。
【請求項13】
前記小径部の管腔の直径が、前記血管導管の前記管腔の直径と略同様のものである、請求項10に記載の吻合コネクタ。
【請求項14】
前記小径部の長さが、前記血管構造の壁厚と等しい、または該壁厚を超えるものである、請求項10に記載の吻合コネクタ。
【請求項15】
前記カニューレコンポーネントが、
前記供給導管の前記大径部によって受け入れられる大径部と、
前記大径部に対して遠位にある小径部であって、かつ前記供給導管の前記小径部によって受け入れられる小径部と、
をさらに備える、請求項10に記載の吻合コネクタ。
【請求項16】
前記小径部が、前記供給導管の前記小径部との締まり嵌めにより流体密封を生成する少なくとも1つのシールリングを含む、請求項15に記載の吻合コネクタ。
【請求項17】
前記カニューレコンポーネントの遷移部が、前記カニューレコンポーネントのより大きい前記大径部を、前記カニューレコンポーネントのより小さい前記小径部に結合する、請求項12に記載の吻合コネクタ。
【請求項18】
前記カニューレコンポーネントの前記遷移部が、前記供給導管の遷移部によって受け入れられ、前記供給導管の前記遷移部が、前記供給導管のより大きい前記大径部を、前記供給導管のより小さい前記小径部に結合する、請求項17に記載の吻合コネクタ。
【請求項19】
前記供給導管が、組織の内部成長を促進できる多孔質ポリマーの生体適合性材料から構成される、請求項1に記載の吻合コネクタ。
【請求項20】
前記血管内コンポーネントが送達システム内に挿入され、かつそれに対して移動できるように折畳み可能に構成される、請求項16に記載の吻合コネクタ。
【請求項21】
前記送達システムが、前記血管内コンポーネントを通して送られる送達カテーテルと、前記送達カテーテルおよび前記血管内コンポーネントを受け入れる送達シースと、を含む、請求項20に記載の吻合コネクタ。
【請求項22】
前記カニューレコンポーネントが、前記カニューレコンポーネントの壁に金属支持体を含む、請求項1に記載の吻合コネクタ。
【請求項23】
前記金属支持体が、コイルまたは編組みである、請求項22に記載の吻合コネクタ。
【請求項24】
前記カニューレコンポーネントが、熱可塑性材料または熱硬化性材料から構成される、請求項1に記載の吻合コネクタ。
【請求項25】
前記血管導管の直径が、前記血管構造の直径と略同様のものである、請求項1に記載の吻合コネクタ。
【請求項26】
補助装置を、吻合コネクタを用いて血管構造に接続する方法であって、前記吻合コネクタが、
(a)第1の端部および第2の端部、ならびにその間で延びる管腔を有する血管導管であって、前記血管構造内に存在するように構成された血管導管と、近位端、遠位端、およびその間で延びる管腔を有する供給導管であって、前記供給導管の前記遠位端が、前記第1の端部と前記第2の端部の間で前記血管導管の前記管腔に流体接続される、供給導管と、を備える血管内コンポーネントと、
(b)近位端、遠位端、およびその間で延びる管腔を有するカニューレコンポーネントであって、前記供給導管によって受け入れられるように適合され、かつそこから近位方向に延びており、前記カニューレコンポーネントの前記近位端に結合され、前記補助蔵置に接続されるように構成されたハブを有するカニューレコンポーネントと
を備え、前記方法が、
(i)前記血管内コンポーネントを前記血管構造内へと前進させるステップと、
(ii)前記血管構造内で、前記血管導管の前記第1の端部および前記第2の端部を展開するステップと、
(iii)前記供給導管を展開するステップと、
(iv)前記カニューレコンポーネントを、前記血管内コンポーネントの前記供給導管中へと前進させるステップと、
(v)前記カニューレコンポーネントの前記ハブを前記補助装置に結合するステップと、
を含む方法。
【請求項27】
前記ハブを前記補助装置に結合する前記ステップの前に、前記カニューレコンポーネントの前記ハブの長さを調整するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記供給導管を展開する前記ステップの前に、前記血管内コンポーネントを操作することによって、前記血管構造中の切開部に対して前記血管導管を密封するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記血管導管の前記第1の端部および前記第2の端部が補強構造を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記カニューレコンポーネントを前進させる前記ステップの前に、前記血管導管中にバルーンカテーテルを前進させるステップと、
前記補強構造を拡張するために、前記バルーンカテーテルのバルーン部分を膨張させるステップと、
前記バルーンカテーテルを後退させるステップと、
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
補助装置を、吻合コネクタを用いて血管構造に接続する方法であって、前記吻合コネクタが、
(a)第1の端部および第2の端部、ならびにその間で延びる管腔を有する血管導管であって、前記血管構造内に存在するように構成された血管導管と、近位端、遠位端、およびその間で延びる管腔を有する供給導管であって、前記供給導管の前記遠位端が、前記第1の端部と前記第2の端部の間で前記血管導管の前記管腔に流体接続される、供給導管と、を備える血管内コンポーネントと、
(b)近位端、遠位端、およびその間で延びる管腔を有するカニューレコンポーネントであって、前記供給導管によって受け入れられるように適合され、かつそこから近位方向に延びており、前記カニューレコンポーネントの前記近位端に結合され、前記補助蔵置に接続されるように構成されたハブを有するカニューレコンポーネントと
を備え、前記方法が、
(i)前記血管構造に切開部を作成するステップと、
(ii)前記血管内コンポーネントを送達システム中に挿入するステップと、
(iii)前記血管構造中にガイドワイヤを送り、次いで、前記切開部を維持するために前記ガイドワイヤ上で導入器を前進させるステップと、
(iv)前記送達システムを用いて、前記血管内コンポーネントを前記血管構造へと前記ガイドワイヤ上で前進させるステップと、
(v)前記血管構造内で、前記血管導管の前記第1の端部および前記第2の端部を展開するステップと、
(vi)前記切開部を前記血管内コンポーネントで密封するステップと、
(vii)前記供給導管を展開するステップと、
(viii)前記カニューレコンポーネントを前記供給導管中へと前進させるステップと、
(ix)前記切開部から前記導入器および前記ガイドワイヤを後退させるステップと、
(x)前記カニューレコンポーネントの前記ハブを前記補助装置に結合するステップと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−507179(P2013−507179A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533187(P2012−533187)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/048082
【国際公開番号】WO2011/043888
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(508226322)サーキュライト・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】