説明

2,3’−ビピリジル−6’−オンの製造方法

【課題】2,3’−ビピリジル−6’−オンの製造を高価な触媒や特殊な設備を用いることなく、高純度且つ低コストで工業的な規模において生産可能な製造方法の提供。
【解決手段】 アセチルピリジン誘導体と、一般式(II)〜(V)で表される化合物の少なくとも1つを反応させてビピリジン誘導体を合成し、次いで一貫法で加水分解する工程を含む2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法。


式中、R2およびR4は各々独立してアルキル基、アルケニル基、アリール基、カルボニル基などを、R3,R5〜R7は各々独立して、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシル基などを、R8はヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基などを、Xは任意の陰イオンを、Yは酸素原子、硫黄原子、セレン原子などを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、農薬、触媒配位子、有機エレクトロルミネッセンス素子、電化移動体、電子感光体、染料、液晶、太陽電池等の分野において有用な中間体となる2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2,3'−ビピリジル−6'−オンは医薬品、触媒配位子、有機エレクトロルミネッセンス素子、液晶等幅広い分野において有用な中間体であり、特に医薬品の分野ではパーキンソン病、偏頭痛予防、てんかん治療、多発性硬化症等の神経性疾患の医薬品中間体として非常に有用である(特許文献1〜2参照)。
2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法としては、ブチルリチウム等のアルキルリチウムやエチルマグネシウムブロミド等のGrignard試薬存在下、5−ブロモピリジン誘導体と2−スルホニルピリジン誘導体をカップリングする方法(特許文献3)が知られている。しかし、この場合は高価な金属試薬を用いること、低温釜等の特別な設備を必要とすること等のコスト的な問題から、工業的な製造法として相応しくない。
【0003】
一方、2,3'−ビピリジル−6'−オンの互変異性体(Tautomer)(非特許文献1参照)である2,3'−ビピリジル−6'−オール誘導体の製造方法として、パラジウム触媒存在下で6位にホウ素又はスズ原子を有する2−アルコキシピリジンと2−ハロゲン化ピリジンをカップリングする方法(特許文献4〜5)、2位にホウ素又はスズ原子を有するピリジン誘導体と5−ハロゲン化―2−アルコキシピリジンをカップリングする方法(特許文献2、6)が知られている。しかしながら、これら方法ではパラジウム等の高価な金属試薬を使用しており、また廃液の面でも問題がある。
【特許文献1】国際公開第03/047577号
【特許文献2】国際公開第01/96308号
【特許文献3】国際公開第04/009553号
【特許文献4】国際公開第01/81310号
【特許文献5】米国特許第5,693,611号
【特許文献6】国際公開第01/27112号
【非特許文献1】“マーチズ アドバンスト オーガニック ケミストリー(March’s Advanced Organic Chemistry)”、WILEY−INTERSCIENCE社刊、第5版、2001年、73〜77頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、医薬品、農薬、触媒配位子、有機エレクトロルミネッセンス素子、電化移動体、電子感光体、染料、液晶、太陽電池等の分野特にパーキンソン病、偏頭痛予防、てんかん治療、多発性硬化症等の神経性疾患の医薬品中間体として有用な2,3’−ビピリジル−6’−オンの製造を高価な触媒や特殊な設備を用いることなく、高純度且つ低コストで工業的な規模において生産可能な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、前記課題を解決する2,3’−ビピリジル−6’−オンの合成法を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の方法によって達成される。
【0006】
<1>
一般式(I)で表されるアセチルピリジン誘導体と、一般式(II)〜(V)で表される化合物の少なくとも1つを反応させて下記一般式(VI)で表されるビピリジン誘導体を合成し、次いで一貫法で加水分解することを特徴とする2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法。
【化1】

式(I)中、R1はヒドロキシル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
【化2】

式(II)〜(V)中、
R2およびR4は各々独立してアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、シアノ基、またはヘテロ環残基を表す。
R3、R5〜R7は各々独立してアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環残基、またはハロゲン原子を表す。
R4とR5、R6とR7が互いに結合して環を形成してもよい。
R8はヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、カルボニルアミノ基、またはスルホン酸基を表す。
-は任意の陰イオンを表す。
Yは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、または−N(R9)を表す。R9は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、またはヘテロ環残基を表す。
【化3】

式(VI)中、R1は前記と同じ意味を表す。
【0007】
<2>
一般式(VII)で表されるニコチン酸誘導体をニコチン酸クロリドに変換する工程、
該ニコチン酸クロリドと一般式(VIII)で表されるマロン酸誘導体とを反応させて一般式(IX)または(X)で表されるケトエステル誘導体を得る工程、
該ケトエステル誘導体を加水分解し一般式(I)で表されるアセチルピリジン誘導体を得る工程、
該アセチルピリジン誘導体と一般式(II)〜(V)で表される化合物の少なくとも1つを反応させて一般式(VI)で表されるビピリジン誘導体を得る工程、および
該ビピリジン誘導体を加水分解する工程、
を含み、且つ該ニコチン酸誘導体から該アセチルピリジン誘導体までの工程並びに該アセチルピリジン誘導体から2,3'−ビピリジル−6'−オンまでの工程を各々一貫法で行なうことを特徴とする2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法。
【化4】

式(VII)中、R1はヒドロキシル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
【化5】

式(VIII)中、R10およびR11は各々独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カルボニル基、ヘテロ環残基、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、典型金属原子、遷移金属原子、または非金属原子を表す。また、R10とR11が結合して環を形成してもよい。
【化6】

式(IX)および(X)中、R1、R10およびR11は前記と同じ意味を表す。
【0008】
<3>
アセチルピリジン誘導体からビピリジン誘導体を得る工程において、吸着剤を用いることを特徴とする上記<1>または<2>記載の2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法。
<4>
アセチルピリジン誘導体からビピリジン誘導体を得る工程において、一般式(II)〜(V)で表される化合物を分割添加することを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれかに記載の2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法。
<5>
一般式(IX)または(X)で表されるケトエステル誘導体を加水分解する工程において、一般式(XI)で表されるアミド化合物を用いることを特徴とする上記<2>記載の2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法。
【化7】

式(XI)中、
R12は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、シアノ基、またはヘテロ環残基を表す。
R13およびR14は各々独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環残基、またはハロゲン原子を表す。
R12〜R14の任意の2つの基が互いに結合して環を形成してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、医薬品、農薬、触媒配位子、有機エレクトロルミネッセンス素子、電化移動体、電子感光体、染料、液晶、太陽電池等幅広い分野で有用であり、特にパーキンソン病、偏頭痛予防、てんかん治療、多発性硬化症等の神経性疾患の医薬品中間体として有用な2,3’−ビピリジル−6’−オンの製造を高価な触媒や特殊な設備を用いることなく、高純度且つ低コストで工業的な規模において製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明について更に詳しく説明する。
本発明の方法をより詳しく説明するために、本発明の方法の一態様を一例として下記に示すが、本発明の内容がこれに限定されるものではない。
【0011】
【化8】

【0012】
上記各式中、
R1はヒドロキシル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
R2およびR4は各々独立してアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、シアノ基、またはヘテロ環残基を表す。
R3、R5〜R7は各々独立してアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環残基、またはハロゲン原子を表す。
R4とR5、R6とR7が互いに結合して環を形成してもよい。
R8はヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、カルボニルアミノ基、またはスルホン酸基を表す。
-は任意の陰イオンを表す。
Yは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、または−N(R9)を表す。R9は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、またはヘテロ環残基を表す。
R10およびR11は各々独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カルボニル基、ヘテロ環残基、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、典型金属原子、遷移金属原子、または非金属原子を表す。また、R10とR11が結合して環を形成してもよい。
R12は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、シアノ基、またはヘテロ環残基を表す。
R13、R14は各々独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環残基、またはハロゲン原子を表す。
R12〜R14の任意の2つの基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0013】
本発明の、一般式(I)〜(XI)で表される化合物において、R2〜R7、R9〜14が表すアルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
R2〜R7、R9〜14が表すアルケニル基とは、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘキサジエニル、ドデカトリエニル等の直鎖、分岐または環状の炭素数2〜20個のアルケニル基を表す。
R2〜R7、R9〜14が表すアルキニル基とは、エチニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、シクロオクチニル、シクロノニニル、シクロデシニル等の直鎖、分岐または環状の炭素数2〜20個のアルキニル基を表す。
R2〜R7、R9〜14が表すアリール基とは、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル等の6〜10員環の単環式または多環式アリール基を表す。
【0014】
R1、R3、R5〜R8、R12〜14が表すアルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、オクタデシルオキシ等の炭素数1〜20個のアルコキシ基を表す。
R3、R5〜R8、R12〜14が表すアリールオキシ基とは、フェノキシ、ナフチルオキシ等を表す。
R3、R5〜R8、R12〜R14が表すカルボニルオキシ基とは、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、ヘキシルカルボニルオキシ、ドデシルカルボニルオキシ、ベンゾイルカルボニルオキシ、ナフチルカルボニルオキシ等を表す。
【0015】
R2〜R14が表すカルボニル基とは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、バレリル、オクタノイル等のアルキルカルボニル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニル、n−ヘキサデシルオキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等のアリールオキシカルボニル基;N−メチルカルバモイル、N−(tert−ブチル)カルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジヘキシルカルバモイル、N,N−ジドデシルカルバモイル等のアルキル置換カルバモイル基を表す。
R2〜R9、R12〜14が表すスルホニル基とは、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル、オクチルスルホニル、ドデシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル等のアルキルスルホニル基;メトキシスルホニル、エトキシスルホニル、tert−ブトキシスルホニル、n−デシルオキシスルホニル、n−ヘキサデシルオキシスルホニル等のアルコキシスルホニル基;フェノキシスルホニル、ナフチルオキシスルホニル等のアリールオキシスルホニル基;N−エチルスルファモイル、N−(iso−ヘキシル)スルファモイル、N−エチルスルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N,N−ジブトキシスルファモイル、N,N−ジオクチルスルファモイル、N,N−テトラデシルスルファモイル等のアルキル置換スルファモイル基を表す。
【0016】
R2〜R9、R12〜14が表すアミノ基とは、N−メチルアミノ、N−ブチルアミノ、N−ヘキシルアミノ、N−デシルアミノ、N−テトラデシルアミノ、N−オクタデシルアミノ、N−フェニルアミノ、N−ナフチルアミノ等のモノ置換アミノ基;N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジヘプチルアミノ、N,N−ジオクチルアミノ、N,N−ジフェニルアミノ、N,N−メチルプロピルアミノ等のジ置換アミノ基を表す。
R2〜R8、R12〜14が表すカルボニルアミノ基とは、アセチルアミノ、エチルカルボニルアミノ、tert−ブチルカルボニルアミノ、n−オクチルカルボニルアミノ、n−ヘキサデシルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、ナフトイルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、n−オクチルカルボニルアミノ、n−ヘキサデシルオキシカルボニルアミノ等を表す。
R2〜R7、R12〜14が表すスルホニルアミノ基とは、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ、n−オクタデシルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノ、メトキシスルホニルアミノ、iso−プロポキシスルホニルアミノ、n−ドデシルオキシスルホニルアミノ、n−ヘキサデシルオキシスルホニルアミノ等を表す。
【0017】
R1、R3、R5〜R7、R13、R14が表すハロゲン原子とは、具体的には塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等を表す。
R2〜R7、R9〜R14が表すヘテロ環残基とは、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基を表し、例えば、チオフェン、フラン、ピラン、ピリジン、ピロール、ピラジン、アゼピン、アゾシン、アゾニン、アゼシン、オキサゾール、チアゾール、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ピラゾール、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、キノキサリン、フタラジン、キノリジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチルジン、クロメン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を表す。
【0018】
R10、R11が表すアルカリ金属原子とは、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子等を表す。
R10、R11が表すアルカリ土類金属原子とは、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子等を表す。
R10、R11が表す典型金属原子とはアルミニウム原子等を表す。
R10、R11が表す遷移金属原子とはスカンジウム原子、チタン原子、マンガン原子、鉄原子、コバルト原子、銅原子、亜鉛原子、ガリウム原子、銀原子、インジウム原子、スズ原子、アンチモン原子、ビスマス原子等を表す。
R10、R11が表す非金属原子とはホウ素原子、ケイ素原子、リン原子、イオウ原子、テルル原子等を表す。
【0019】
-は具体的には、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン;硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、過塩素酸イオン等の無機酸イオン;テトラクロロアルミニウムイオン、テトラブロモ鉄(III)イオン等の含ルイス酸イオン;酢酸イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、安息香酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、イセチオン酸イオン、グルクロン酸イオン、グルコン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン等の有機酸イオン等を表す。
【0020】
R4とR5、R6とR7とで結合して形成する環とは、炭素数3〜10の芳香環、飽和環、部分飽和環、へテロ環等を表す。
R10とR11とで結合して形成する環とは、炭素数4〜10のヘテロ環がを表し、例えば、メルドラム酸等を表す。
R12〜R14の任意の2つの基が結合して形成する環とは、炭素数3〜10の芳香環、飽和環、部分飽和環、へテロ環等を表す。
【0021】
R1は好ましくは塩素原子、臭素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基またはヒドロキシル基であり、より好ましくは塩素原子、炭素数1〜4のアルコキシ基またはヒドロキシル基であり、特に好ましくは塩素原子である。
R2〜R7、R9は好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはヘテロ環残基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基または6〜12のアリール基であり、特に好ましくはメチル基である。
R8は好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基またはアミノ基である。
R10〜R11は好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基またはアルカリ金属原子である。
R12は好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはヘテロ環残基であり、より好ましくは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。
R13〜R14は好ましくは炭素数1〜12のアルキル基または6〜20のアリール基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基または6〜10のアリール基である。
-は好ましくは塩素イオン、臭素イオン、硫酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、酢酸イオンまたはメタンスルホン酸イオンであり、より好ましくは塩素イオン、テトラフルオロホウ酸イオンまたはメタンスルホン酸イオンである。
【0022】
R1〜R14は更に置換基を有してもよく、反応に関与しないものであれば特に制限されない。具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等のアルキル基;ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、オエンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘキサジエニル、ドデカトリエニル等のアルケニル基;エチニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル等の単環式または二〜四環式アリール基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等のアルコキシ基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;ジメチルアミノ、N−エチル−N−フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、N−フェニル−N−ナフチルアミノ等のジ置換アミノ基;ニトロ基;フリル、チエニル、ピリジル等のヘテロ環残基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が上げられる。好ましくは、アルキル機、アリール基、ヘテロ環残基、ハロゲン原子であり、より好ましくはアルキル基、アリール基である。
尚、本発明の2,3'−ビピリジル−6'−オンには、その互変異性体(Tautomer)である2,3'−ビピリジル−6'−オールも含まれる。
【0023】
次に本発明の製造方法について述べる。
まず、ニコチン酸誘導体(VII)からニコチン酸クロリドを製造する工程について説明する。本発明で用いるニコチン酸誘導体は多種市販されており、容易に入手可能である。
酸クロリド化剤は多種市販されているが、安価で入手し易く、取り扱いの容易な塩化チオニルを用いることが好ましい。塩化チオニルの使用量はニコチン酸誘導体1モルに対して0.1〜10モル、好ましくは0.5〜5.0モル、より好ましくは0.8〜2.0モルである。
本工程は無溶媒で行うことも可能であるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、反応に関与しなければ特に制限はされないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、メシチレン等の芳香族系溶媒が挙げられ、より好ましくは、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトニトリル、トルエンであり、より好ましくはアセトニトリルである。また、2種以上の溶媒を混合して用いることができ、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。上記溶媒の使用量は、ニコチン酸誘導体に対して0.1〜100倍重量の範囲であるが、好ましくは1〜50倍重量、より好ましくは1.5〜10倍重量である。
酸クロリド化の際の反応温度は−20〜200℃の範囲であり、好ましくは0〜150℃、より好ましくは50〜130℃である。
【0024】
ニコチン酸クロリドは単離してもよいが、精製等の操作を行わずにそのまま次の反応に用いる、所謂一貫法で製造・使用することも出来る。反応終了後の反応液をそのまま次の工程に使用しても差し支えないが、過剰の塩化チオニルを濃縮によって留去した後に、濃縮液をそのまま次の反応に用いることが好ましい。
【0025】
次に、エノール化剤及び脱酸剤存在下、ニコチン酸クロリドとマロン酸誘導体(VIII)を縮合し、次いで塩酸処理してケトエステル誘導体(IX)または(X)を製造する工程について説明する。
エノール化剤は使用しなくても反応は進行するが、必要に応じてエノール化剤を添加すると反応の選択性が向上するので好ましい。用いるエノール化剤としては、例えばマグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、マグネシウムジメトキシド、マグネシウムジエトキシド、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム化合物;塩化亜鉛、塩化鉄、塩化スズ、塩化チタン、トリフルオロホウ酸等のルイス酸等が挙げられる。好ましくは、マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、マグネシウムジメトキシド、マグネシウムジエトキシドであり、より好ましくは塩化マグネシウムである。エノール化剤の使用量は、ニコチン酸誘導体1モルに対し0.1〜20モル、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは1〜5モルである。
【0026】
用いる脱酸剤は、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、フェニルエチルアミン、イソプロピルエチルアミン、メチルアニリン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(以下、DBUと略記する)、酢酸カリウム等の有機塩基;n−ブチルリチウム、tert−ブチルマグネシウムクロリド等の有機金属;水素化ホウ素ナトリウム、金属ナトリウム、水素化ナトリウム、酸化カルシウム、水酸化リチウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシドが挙げられる。好ましくは、ピリジン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、炭酸カリウムであり、より好ましくはトリエチルアミンである。脱酸剤の使用量は、ニコチン酸誘導体1モルに対し0.1〜20モル、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは1〜5モルである。
【0027】
マロン酸誘導体は、具体的にはマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、メルドラム酸、マロン酸モノエチルカリウム、マロン酸モノエチルナトリウム、マロン酸ジナトリウム、マロン酸等が挙げられる。好ましくは、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、メルドラム酸、マロン酸モノエチルカリウム、マロン酸モノエチルナトリウムであり、より好ましくはマロン酸モノエチルカリウム、マロン酸モノエチルナトリウムである。マロン酸誘導体の使用量は、ニコチン酸誘導体1モルに対し0.1〜20モル、好ましくは0.8〜10モル、より好ましくは1〜3モルである。
【0028】
ニコチン酸クロリドとマロン酸誘導体との縮合反応の温度は−20〜200℃の範囲であり、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜150℃である。40〜90℃の範囲では、ニコチン酸クロリドの滴下終了直後から3時間以内に反応が完結するので特に好ましい。また、ニコチン酸クロリドの滴下前に、溶媒存在下、エノール化剤、脱酸剤、マロン酸誘導体を混合攪拌し、予め活性化させておくことが好ましい。活性化の際の温度は−20〜200℃であり、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜120℃、特に好ましくは40〜90℃である。ニコチン酸クロリド滴下前の活性化に要する時間は通常10分〜24時間であり、多くの場合は10時間以内に終了する。
【0029】
本工程で使用する溶媒は反応に関与しなければ特に制限されないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、メシチレン等の芳香族系溶媒が挙げられる。好ましくは酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトニトリル、トルエンであり、より好ましくは酢酸エチルである。また、2種以上の溶媒を混合して用いることができ、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。上記溶媒の使用量は、ニコチン酸誘導体に対して1〜200倍重量の範囲であるが、好ましくは3〜100倍重量、より好ましくは5〜30倍重量である。
【0030】
縮合反応終了後、塩酸水溶液を作用させて脱炭酸を行うことによって、ケトエステル誘導体(IX)または(X)が得られる。用いる塩酸水溶液の濃度は通常0.1〜35%v/vであり、好ましくは1〜25%v/v、より好ましくは5〜20%v/vである。塩酸水溶液の使用量は、濃度が10%v/vの場合、ニコチン酸誘導体に対し0.1〜200倍重量の範囲であり、好ましくは1〜100倍重量、より好ましくは5〜50倍重量である。
【0031】
本工程で得られたケトエステル誘導体(IX)または(X)は単離や精製等の操作を行わずに次の反応に用いる、所謂一貫法で製造・使用することが出来る。例えば、前記塩酸水溶液で脱炭酸させた反応液を分液し、反応溶媒で使用した酢酸エチル等の有機溶媒を重曹水溶液で洗浄して中和した後、濃縮し、得られる粗生成物を次の反応工程に用いる。
【0032】
次に、ケトエステル誘導体(IX)または(X)を加水分解(a)し、アセチルピリジン誘導体(I)を製造する工程について説明する。
加水分解(a)反応は、通常加水分解に使われる試薬、例えば塩酸、硫酸等の酸;水酸化ナトリウム水溶液、ナトリウムエトキシド、アンモニア等の塩基;ジメチルスルホキシド等を用いることができるが、アミド化合物(XI)の存在下で行うことがより好ましい。本発明で用いるアミド化合物は、反応に関与しないものであれば特に制限されない。アミド化合物の一例を以下に挙げる。
【0033】
【化9】

【0034】
これらの中でも、好ましくはN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する)、N,N−ジイソプロピルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン(以下、NMPと略記する)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチルピペラジン、N−アセチルモルホリン、N−メチルピリドン、N−メチルピペリドンであり、より好ましくはDMF、NMP、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミドである。
加水分解(a)反応に用いる試薬の量は、ニコチン酸誘導体に対し通常0.1〜100倍重量の範囲であるが、好ましくは0.2〜80倍重量、より好ましくは0.5〜30倍重量である。
【0035】
加水分解(a)反応は水存在下で行われる。水の使用量はニコチン酸誘導体に対し、0.001〜100倍重量の範囲であり、好ましくは0.01〜50倍重量、より好ましくは0.1〜20倍重量である。
加水分解(a)の反応温度は−20〜200℃の範囲であり、好ましくは0〜180℃、より好ましくは50〜150℃である。これらの反応は通常24時間以内で終了し、多くの場合、1〜16時間で原料の消失が確認される。
この工程で得られるアセチルピリジン誘導体(I)は反応終了後、水を添加することにより、容易に結晶として取り出すことが出来る。
本発明においては、ニコチン酸誘導体からアセチルピリジン誘導体を得るにあたり、途中では単離や精製等の操作を行わない、所謂一貫法で合成することが好ましい。
【0036】
次に、酸存在下、アセチルピリジン誘導体(I)と一般式(II)〜(V)で表される化合物、及びアンモニア剤を反応させてピリジン環を形成するビピリジン誘導体(VI)の製造工程について説明する。
一般式(II)〜(V)で表される化合物は多種市販されており、容易に入手可能でそのまま用いることができる。また、公知の方法(特開2005−213239号、特開2003−160550号、特開2001−261646号、特開2001−261653号等)によって容易に合成することができる。
以下に、一般式(II)〜(V)で表される化合物の好ましい具体例を示す。
【0037】
【化10】

【0038】
より好ましくは1,3−ジメチル−2−オキソ−ピリミジニウム クロリド、3−ピペリジノ−2−プロプ−2−エニリデンピペリジニウム テトラフルオロボレートであり、これらの中でも1,3−ジメチル−2−オキソ−ピリミジニウム クロリドは簡便な操作で工業的に有利に製造できるので特に好ましい。
一般式(II)〜(V)で表される化合物の使用量は、アセチルピリジン誘導体1モルに対し0.5〜6モル、好ましくは、0.8〜2.5モル、より好ましくは1.0〜2.0モルである。これら一般式(II)〜(V)で表わされる化合物は1度に添加しても良いが、数回に分割して添加した方がより好ましい。分割して添加する場合、最初の添加量は、アセチルピリジン誘導体1モルに対し0.5〜2.0モルの範囲であり、好ましくは0.8〜1.5モル、より好ましくは1.0〜1.3モルである。残りの量は任意に分割して添加することができる。分割する場合、その回数は通常2〜10回であり、好ましくは2〜5回、より好ましくは2〜3回である。
分割添加する場合、2回目以降の添加のタイミングは初回の添加量や反応温度によって異なるが、通常反応率が45%を超えた時点で添加する。好ましくは反応率が70%を超えた時点、より好ましくは反応率が80%を超えた時点である。
【0039】
本工程で一般式(III)〜(V)の化合物を使用する場合、アセチルピリジン誘導体のアセチル基のプロトンを引き抜いて活性化させるために予め塩基を添加し、活性化した後に酸とアンモニウム剤を添加する。用いる塩基は、具体的にはピリジン、2−メチルピリジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、フェニルエチルアミン、イソプロピルエチルアミン、メチルアニリン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、DBU、酢酸カリウム等の有機塩基;n−ブチルリチウム、tert―ブチルマグネシウムクロリド等の有機金属;水素化ホウ素ナトリウム、金属ナトリウム、水素化カリウム、酸化カルシウム等の無機塩基;カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシドが用いられる。好ましくは、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシドであり、より好ましくはカリウムtert−ブトキシドである。上記塩基の使用量は、アセチルピリジン誘導体1モルに対し0.1〜20モル、好ましくは0.8〜10モル、より好ましくは0.9〜2モルの範囲である。
【0040】
本工程で用いる酸は、反応に関与しないものであれば制限されない。例えば、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸;アンバーライト、アンバーリスト等の強酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。好ましくはギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸であり、より好ましくは酢酸である。酸の使用量は、アセチルピリジン誘導体1モルに対し1〜30モル、好ましくは2〜15モル、より好ましくは3〜10モル、特に好ましくは6.1〜8モルの範囲である。
【0041】
本工程で用いるアンモニア剤は、アンモニアまたはアンモニウム塩等如何なる形態でも使用可能である。例えば、アンモニアガス、アンモニア水、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢アミド、ナトリウムアミド等が挙げられる。好ましくは、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウムであり、より好ましくは酢酸アンモニウムである。アンモニア剤の使用量は、アセチルピリジン誘導体1モルに対し1〜30モルの範囲であり、好ましくは2〜15モル、より好ましくは3〜10モルである。また、2種以上の異なる形態のアンモニアを混合して用いることができ、混合使用の際の混合比は任意に定めることが出来る。
なお、一般式(II)の化合物を用いる場合、アンモニア剤は反応開始前に他の試薬と同時に添加しても、または反応開始3〜6時間後に添加しても良いが、簡便性の点から反応開始前に他の試薬と同時に添加することが好ましい。一般式(III)〜(V)の化合物の場合は、塩基によってアセチルピリジン誘導体のアセチル基を活性化した後、アンモニア剤を添加する。
【0042】
ビピリジン誘導体の製造工程では反応溶媒は使用しなくても、必要に応じて使用してもよい。用いる溶媒は反応に関与しないものであれば制限はない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒;ピリジン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記する)等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(以下、IPAと略記する)、ブチルアルコール等の等のアルコール系溶媒;水等が挙げられる。好ましくはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、IPA、ブチルアルコール等の等のアルコール系溶媒であり、より好ましくはn−プロピルアルコール、IPAである。上記反応溶媒の使用量は、アセチルピリジン誘導体(I)に対し0.1〜100倍重量の範囲であり、好ましくは0.5〜10倍重量、より好ましくは1〜3倍重量である。
本工程の反応温度は−80〜200℃の範囲であり、好ましくは−50〜150℃、より好ましくは−20〜120℃である。通常反応は24時間以内に終了する。
【0043】
一般的に、ビピリジン誘導体(VI)を製造する場合は着色成分や無機物残渣が生じる
ため、シリカゲルカラムや蒸留等により単離・精製等を行うことが好ましいが、より好ましくは吸着剤を使用することである。
吸着剤を用いる場合、反応液を一旦抽出し濃縮後、吸着剤を添加して攪拌することが好ましい。具体的には、反応液をトルエン、酢酸エチル等の有機溶媒で希釈し、水酸化ナトリウム等でアルカリ性にして有機層に抽出し、その抽出液を食塩水で洗浄、有機層を約半分量まで濃縮した後、吸着剤を添加し攪拌することが好ましい。
【0044】
本発明で用いる吸着剤は、例えば、シリカゲル、活性炭素、活性白土、ラジオライト、活性アルミナ、酸性白土等が挙げられる。好ましくはシリカゲル、活性白土、酸性白土であり、より好ましくは酸性白土である。吸着剤の使用量は、ビピリジン誘導体の理論得量に対し通常0.01〜10倍重量の範囲であり、好ましくは、0.1〜5倍重量、より好ましくは0.2〜2倍重量である。吸着剤を添加し攪拌する際の処理時間は通常0.1〜10時間であり、好ましくは0.2〜5時間、より好ましくは0.5〜3時間である。処理回数は1〜10回であり、好ましくは1〜5回、より好ましくは1〜3回である。処理温度は−20〜100℃の範囲であり、好ましくは0〜50℃、より好ましくは10〜35℃である。
【0045】
本発明では、吸着剤で処理後、吸着剤をろ過し、続いて塩酸水溶液で目的物のビピリジン誘導体を水層へ抽出することが好ましい。この操作により得られたビピリジン誘導体は塩酸水溶液としてこのまま次工程に使用することが出来る。用いる塩酸水溶液の濃度は通常0.1〜35%v/vであり、好ましくは0.5〜25%v/v、より好ましくは0.1〜20%v/vである。塩酸水溶液の使用量は、濃度が10%v/vの場合、アセチルピリジン誘導体に対し0.1〜200倍重量の範囲であり、好ましくは1〜100倍重量、より好ましくは5〜50倍重量である。
【0046】
次にビピリジン誘導体(VI)を加水分解(b)し、2,3’−ビピリジル−6’−オンを製造する工程について説明する。
加水分解(b)反応は、前述した塩酸水溶液をそのまま用いてもよいし、酸を追加添加して行ってもよい。用いる酸は反応に関与しなければ特に制限されないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸等のハロゲン化水素酸;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸;酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。好ましくは塩酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸であり、より好ましくは塩酸である。酸の使用量は、アセチルピリジン誘導体に対し0.01〜10倍重量の範囲であり、好ましくは0.1〜5倍重量、より好ましくは0.2〜3倍重量である。
加水分解(b)の反応温度は−20〜200℃の範囲であり、好ましくは0〜150℃、より好ましくは50〜130℃である。通常反応は24時間以内に終了する。
なお、R1がヒドロキシル基の場合、つまり2,3'−ビピリジル−6'−オールは目的物である2,3'−ビピリジル−6'−オンの互変異性体なので、加水分解を行う必要はない。
【0047】
得られた2,3’−ビピリジル−6’−オンは、通常の有機化合物の単離・精製方法を用いることが出来る。例えば、反応液を炭酸カリウム等で中性にし、塩析法によってテトラヒドロフランや1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、アルコール等の溶媒で抽出し、その抽出液を濃縮すれば粗成物が得られる。更にその粗成物は酢酸エチル、トルエン、アルコール、ヘキサン等を用いた再結晶、シリカゲルを用いたカラム精製、減圧蒸留等により精製する。これらの方法は、単独または2つ以上組み合わせて精製を行うことにより目的物を高純度で得ることが可能である。
本発明においては、アセチルピリジン誘導体から2,3’−ビピリジル−6’−オンを得るにあたり、途中では単離や精製等の操作を行わない、所謂一貫法で合成することが好ましい。
【実施例】
【0048】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、純度の評価は高速液体クロマトグラフィー(HPLCと略記する)により行った。なお、HPLC条件は以下の通りである。カラム:YMC−PACK ODS AM−302、検出UV 270nm、流量1.0ml/min、溶離液:メタノール/リン酸緩衝液[pH6.9]=40/60
【0049】
実施例1 3−アセチル−6−クロロピリジン(I−3)の合成
6−クロロニコチン酸50g(0.317mol)のアセトニトリル150ml溶液に塩化チオニル45g(0.378mol)を添加し、70℃で2時間反応した。反応終了後室温まで冷却し、アセトニトリルと過剰の塩化チオニルを減圧下濃縮し、6−クロロニコチン酸クロリドの粗生成物(I−1)を得た。
【0050】
マロン酸モノエチルカリウム76g(0.441mol)と塩化マグネシウム91g(0.951mol)を酢酸エチル1000mlに溶解し、ここにトリエチルアミン45g(0.445mol)を滴下して70℃で1時間攪拌した。50〜60℃まで冷却し、上記で得られた6−クロロニコチン酸クロリド粗製物を酢酸エチルに溶解して滴下し、50〜60℃で1時間攪拌した。反応終了後40〜50℃に冷却し、35%塩酸200mlを水200mlで希釈した溶液を滴下し、1時間攪拌した。分液して得られた有機層を10%食塩水440ml、飽和重曹水500mlで洗浄後、酢酸エチルを濃縮し、3−(6−クロロ−3−ピリジル)−3−オキソプロパン酸エチルの粗生成物(I−2)を得た。
【0051】
次に、得られた粗3−(6−クロロ−3−ピリジル)−3−オキソプロパン酸エチルをDMF50ml及び水10mlに溶解し、110℃で10時間反応した。反応終了後、水200mlを添加し、0〜5℃で1時間晶析して目的物(I−3)を44.6g得た(収率90.3%)。HPLCによる測定の結果、純度は99.6%であった。
【0052】
【化11】

【0053】
実施例2〜13、比較例1〜3
実施例1で使用したマロン酸モノエチルカリウム、塩化マグネシウム、トリエチルアミンを、各々表1に記載した試薬に変更した以外は、実施例1と同様の操作で3−アセチル−6−クロロピリジンを合成した。その結果を表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
表1に示された結果から以下のことが明らかである。
本発明の方法では、高純度、高収率で3−アセチル−6−クロロピリジンを合成することができる。一方、比較例1〜3はマロン酸誘導体の代わりに酢酸やアセト酢酸エチルを用いた例であるが、これらの場合は縮合反応が進行せず、目的物を得ることができない。
【0056】
実施例14〜22
実施例1において、DMFを使用し110℃で10時間行なった加水分解を、表2で記載した条件に変更した以外は、実施例1と同様の操作で3−アセチル−6−クロロピリジンを合成した。その結果を表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
このように、本発明のアミド化合物を用いる方法では、高収率且つ高純度で3−アセチル−6−クロロピリジンを合成することができる。特に、実施例14〜17の方法は、加水分解を酸性条件下で行った場合の実施例18〜21と比べて、収率、純度いずれも高く、より好適である事がわかる。また実施例14〜17の方法は、実施例22のジメチルスルホキシドを用いる方法より低い温度で行え、高温釜の如き特別な設備を用いる必要がなく、収率及び純度に加えて汎用性の点でもより好適である。
【0059】
実施例23 2,3’−ビピリジル−6’−オン(I−5)の合成
3−アセチル−6−クロロピリジン25g(0.161mol)と1,3−ジメチル−2−オキソ−ピリミジニウム クロリド27g(0.168mol)のIPA50ml溶液に、酢酸59g(0.983mol)と酢酸アンモニウムを74g(0.960mol)を添加して100℃で6時間反応した。HPLCで測定したところこの時点での反応率は94.3%であった。反応液を一旦冷却し、1,3−ジメチル−2−オキソ−ピリミジニウム クロリド4g(0.025mol)を添加し、再度100℃で5時間反応した。反応終了後室温まで冷却し、トルエン500mlを添加し、25%苛性ソーダでアルカリ性にしてトルエン層に抽出した。分液した有機層を水250ml、次いで10%食塩水250mlで洗浄し、有機層を濃縮した。濃縮液にトルエン125mlを加え、酸性白土10gを添加し1時間攪拌した。セライトろ過し、6'−クロロ−2,3'−ビピリジル(I−4)の粗生成物のトルエン溶液を得た。
【0060】
次に、得られた6'−クロロ−2,3'−ビピリジル粗生成物のトルエン溶液を2mol/lの塩酸水溶液125mlで2回抽出した。集めた水層に35%塩酸水溶液10mlを添加し、100℃で10時間反応した。反応終了後、炭酸カリウムでpH7〜8に中和し、THF150mlと食塩5gを添加し攪拌した。分液した水層にTHF150mlと食塩10gを添加し、再度分液した。得られた有機層を合わせて濃縮した後、酢酸エチル100mlを添加して溶解し、0〜5℃に冷却して晶析した。結晶をろ過、乾燥して目的物を17.5g得た(収率63.2%)。HPLCによる測定の結果、純度は99.8%であった。
【0061】
【化12】

【0062】
実施例24〜28
実施例23において、1,3−ジメチル−2−オキソ−ピリミジニウム クロリドの分割添加の回数とその添加量を表3に記載した条件に変更した以外は、実施例23と同様の操作を行った。実施例27は初回添加のみで100℃で6時間反応した後、実施例23と同様にその後の操作を行った。実施例28は、実施例23と同様に反応した後一旦冷却し、1,3−ジメチル−2−オキソ−ピリミジニウム クロリド4g(0.025mol)を添加して更に100℃で4時間反応し、実施例23と同様にその後の操作を行った。なお、分割添加はHPLCで反応率を確認した後に行った。
それらの結果を表3に示す。
【0063】
【表3】

【0064】
表3の結果から、1,3−ジメチル−2−オキソ−ピリミジニウム クロリドを分割添加する方法では、分割添加しない方法に比べて収率及び純度が向上することが明らかである。
【0065】
実施例29〜36
実施例23において、酸性白土を表4に記載した吸着剤に変更した以外は実施例23と同様の操作を行った。なお、実施例36は実施例23の晶析操作を行う代わりにシリカゲルによるカラム精製を行った。その結果を表4に示す。
【0066】
【表4】

【0067】
表4の結果から、吸着剤を用いた場合は未添加および従来の精製法を行なった場合に比べ、純度が向上することが明らかである。
【0068】
実施例37〜41
表4に記載したニコチン酸誘導体を用いた以外は、実施例1および23と同様の操作で2,3’−ビピリジル−6’−オンを合成した。実施例37では、直接2,3’−ビピリジル−6’−オンが合成できるため、実施例23における加水分解の操作を省いた。
【0069】
【表5】

【0070】
実施例42 2,3’−ビピリジル−6’−オンの合成
3−アセチル−6−クロロピリジン3g(0.019mol)と3−ピペリジノ−2−プロプ−2−エニリデンピペリジニウム テトラフルオロボレート5.9g(0.020mol)をTHF15mlに溶解し、0℃に冷却した後カリウムtert−ブトキシド2.6g(0.023mol)を添加し、30℃で1時間攪拌した。次いで酢酸7mlと酢酸アンモニウム8.9g(0.115mol)を加え、100℃で5時間反応した。50℃まで冷却し、更に3−ピペリジノ−2−プロプ−2−エニリデンピペリジニウム テトラフルオロボレート1.0g(3.4mmol)を添加し、100℃で4時間反応した。反応終了後室温まで冷却し、トルエン100mlを加え、25%苛性ソーダでアルカリ性にしてトルエン層に抽出した。分液した有機層を水100ml、次いで10%食塩水100mlで洗浄し、有機層を濃縮した。濃縮液にトルエン10mlを加え、酸性白土1gを添加し1時間攪拌した。セライトろ過し、粗製物(I−4)のトルエン溶液を得た。実施例23と同様の方法で加水分解を行い、2,3’−ビピリジル−6’−オン1.9gを得た(収率58.1%)。HPLCによる測定の結果、純度は99.1%であった。
【0071】
【化13】

【0072】
実施例43〜50
実施例42において、3−ピペリジノ−2−プロプ−2−エニリデンピペリジニウム テトラフルオロボレートを表6に記載した化合物に変更した以外は、実施例42と同様の操作で2,3’−ビピリジル−6’−オンを合成した。以上の結果を表6に表す。
【0073】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表されるアセチルピリジン誘導体と、一般式(II)〜(V)で表される化合物の少なくとも1つを反応させて下記一般式(VI)で表されるビピリジン誘導体を合成し、次いで一貫法で加水分解することを特徴とする2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法。
【化1】

式(I)中、R1はヒドロキシル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
【化2】

式(II)〜(V)中、
R2およびR4は各々独立してアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、シアノ基、またはヘテロ環残基を表す。
R3、R5〜R7は各々独立してアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環残基、またはハロゲン原子を表す。
R4とR5、R6とR7が互いに結合して環を形成してもよい。
R8はヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、カルボニルアミノ基、またはスルホン酸基を表す。
-は任意の陰イオンを表す。
Yは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、または−N(R9)を表す。R9は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、またはヘテロ環残基を表す。
【化3】

式(VI)中、R1は前記と同じ意味を表す。
【請求項2】
一般式(VII)で表されるニコチン酸誘導体をニコチン酸クロリドに変換する工程、
該ニコチン酸クロリドと一般式(VIII)で表されるマロン酸誘導体とを反応させて一般式(IX)または(X)で表されるケトエステル誘導体を得る工程、
該ケトエステル誘導体を加水分解し一般式(I)で表されるアセチルピリジン誘導体を得る工程、
該アセチルピリジン誘導体と一般式(II)〜(V)で表される化合物の少なくとも1つを反応させて一般式(VI)で表されるビピリジン誘導体を得る工程、および
該ビピリジン誘導体を加水分解する工程、
を含み、且つ該ニコチン酸誘導体から該アセチルピリジン誘導体までの工程並びに該アセチルピリジン誘導体から2,3'−ビピリジル−6'−オンまでの各工程を各々一貫法で行なうことを特徴とする2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法。
【化4】

式(VII)中、R1はヒドロキシル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
【化5】

式(VIII)中、R10およびR11は各々独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カルボニル基、ヘテロ環残基、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、典型金属原子、遷移金属原子、または非金属原子を表す。また、R10とR11が結合して環を形成してもよい。
【化6】

式(IX)および(X)中、R1、R10およびR11は前記と同じ意味を表す。
【請求項3】
アセチルピリジン誘導体からビピリジン誘導体を得る工程において、吸着剤を用いることを特徴とする請求項1または2記載の2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法。
【請求項4】
アセチルピリジン誘導体からビピリジン誘導体を得る工程において、一般式(II)〜(V)で表される化合物を分割添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法。
【請求項5】
一般式(IX)または(X)で表されるケトエステル誘導体を加水分解する工程において、一般式(XI)で表されるアミド化合物を用いることを特徴とする請求項2記載の2,3'−ビピリジル−6'−オンの製造方法。
【化7】

式(XI)中、
R12は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、シアノ基、またはヘテロ環残基を表す。
R13およびR14は各々独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、スルホニル基、アミノ基、ウレイド基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環残基、またはハロゲン原子を表す。
R12〜R14の任意の2つの基が互いに結合して環を形成してもよい。

【公開番号】特開2007−197339(P2007−197339A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15384(P2006−15384)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000175607)富士フイルムファインケミカルズ株式会社 (34)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】