説明

2,4−ジ置換フェノール誘導体の微粉砕組成物

【課題】慢性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、喘息、乾癬及び疱疹の如きロイコトリエンで介在される疾病に対する薬剤の薬物動態及び、治療効果の改善された組成物の提供。
【解決手段】微粉砕した形での2,4−ジ置換フェノール誘導体(2,4,6−トリヨードフェノール)を含有してなる組成物及びロイコトリエンで介在される疾病、胃腸炎症疾病又は肺線維症を処置するのに使用する。2,4,6−トリヨードフェノールの微粉砕化は一般常識の一部を成す標準法により行なう。好ましい具体例においては該方法によって20ミクロンより小さい粒度と1%より低い水分とが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微粉砕した形(micromized form)での2,4−ジ置換フェノール誘導体を含有する組成物及びロイコトリエンで介在される疾病、胃腸炎症疾病又は肺線維症の処置にその使用に関する。詳しく言えば、本発明は肺線維症及び関節炎の処置に2,4,6−トリヨードフェノールの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2,4−ジ置換フェノールの或る種の誘導体は、PCT公開出願番号WO95/21610に記載される通り、酸化窒素シンターゼの誘発性異形(iNOS)の抑制剤として及び白血球の血漿膜の表面上にL-選択接着分子の発現の抑制剤として該誘導体の強力な活性に因り、慢性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、喘息、乾癬及び疱疹の如きロイコトリエンで介在される疾病に対する薬剤の製造に用いられていた。
【0003】
然しながら、これらの誘導体は適当な治療指数内である濃度範囲を維持する困難に因り多数の投与方式である薬物動態、治療及び耐性の欠点を呈する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は2,4,6−トリヨードフェノールを含有する微粉砕組成物及びロイコトリエンで介在される疾病、胃腸炎症疾病、関節炎又は肺線維症の処置にその使用に関する。
【0005】
本発明の目的化合物は、非−微粉砕組成物よりも薬物動態並びに効率及び可耐性の両方で明白な利点を呈する。これを証明するのに健康な志願者においてフェーズ(Phase)I臨床試験を行ない、該試験では、240、350及び500mgの投薬量の非−微粉砕化合物を多数の投与方式で経口投与した(実施例4参照)。この研究からは線状薬物動態分布に対応する集積よりも該化合物の大きな集積があると結論できる(図9参照)。これによって多数の投与方式後に、該化合物の血漿濃度を所望の範囲内に維持できる目的を提案する可能性を防止する。然しながら、本発明の組成物はこの問題を解決する。
【0006】
それ故、本発明の第1の要旨は、組成物中の2,4,6−トリヨードフェノールがその微粉砕した形で存在することを特徴とする、次式;

の2,4,6−トリヨードフェノールを含有してなる組成物に関する。
【0007】
2,4,6−トリヨードフェノールの微粉砕化は一般常識の一部を成す標準法により行なう。本発明の好ましい具体例においては該方法によって20ミクロンより小さい粒度と1%より低い水分とが得られる。より好ましくは該方法によって15ミクロンより小さい粒度が得られ、更により好ましい具体例では平均粒度は2〜5ミクロンであり、0.5%より低い水分を有する。
【0008】
本発明の第2の要旨は医薬として用いるための前記の組成物に関する。ロイコトリエンで介在される疾病、胃腸炎症疾病の処置に用いるためであるのが好ましい。
【0009】
その際、ロイコトリエンで伝達される疾病は、慢性関節リウマチ、骨関節症、脊椎炎、若年性関節炎、痛風、扁平股異形成、関節症、椎間板脊椎炎(discoespondylitis)、滑液包炎、腱炎又は馬尾を包含するリストから選ばれ、胃腸炎症疾病は慢性の腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、直腸炎又はリンパ血漿関連腸炎(lymphoplasmacitarial euteritis)を包含するリストから選ばれる。
【0010】
本発明の別の特徴は、肺線維症の処置に用いるための2,4,6−トリヨードフェノール含有組成物に関する。
【0011】
本発明の組成物は場合によっては、物性、肉眼での外観又は製薬組成物の香気を改良するための何れか慣用の諸成分を含有することができる。
【0012】
用語「製薬上許容しうる」は、該化合物又は組成物が製剤を構成する別の成分と及び/又はこれで処置される哺乳動物と科学的に及び/又は中毒学的に相溶性でなければならないことを示している。
【0013】
次の実施例を参照して本発明はより良く理解されるものであるが例示目的であり本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】2,4,6−トリヨードフェノールの微粉砕化した試料によりラットの全血における5−リポキシゲナーゼ活性の生体外抑制と2,4,6−トリヨードフェノールの非−微粉砕試料の該活性抑制との比較。
【図2】気管支肺胞洗浄液中のマクロファージの鑑別計算。結果は一群当り1〜9匹の動物の平均値±平均値の標準誤差として示す(結果は洗浄液中の全細胞計算におけるマクロファージの%として表わす)。
【図3】気管支肺胞洗浄液中のリンパ球の鑑別計算。結果は一群当り1〜9匹の動物の平均値±平均値の標準誤差として示す(結果は洗浄液中の全細胞計算におけるリンパ球の%として表わす)。
【図4】気管支肺胞洗浄液中の好中球の鑑別計算。結果は一群当り1〜9匹の動物の平均値±平均値の標準誤差として示す(結果は洗浄液中の全細胞計算における好中球の%として表わす)。
【図5】気管支肺胞洗浄液(BALF)中のCCCL5濃度。結果は平均値(n=1〜9)±平均値の標準誤差として示す。**p<0.01対グループA(スチューデントのt−試験)。
【図6】気管支肺胞洗浄液(BALF)中のTGFβ1濃度。結果は平均値(n=1〜9)±平均値の標準誤差として示す。***p<0.001対グループA(スチューデントのt−試験)。
【図7】実験群D、E、及びF(投与B.I.D.)の後肢の全体積の変化。結果は平均値(n=10)±平均値の標準誤差として示す。
【図8】実験期間に亘って実験群D、E、及びF(投与B.I.D.)について両後肢の合計として示した浮腫(20日後に基底値からの肢体積の差)。結果は平均値(n=10)±平均値の標準誤差として示す。
【図9】時間;240mg(点、連続線)、350mg(円、点及びダッシュ)、500mg(三角、ダッシュ)の関数として直系薬物動態モデル(ライン)から得られた平均で見出される濃度分布及び典型的な推計母集団値。
【発明を実施するための形態】
【0015】
【実施例1】
【0016】
ラットの全血における生体外での5−リポキシゲナーゼについての阻害活性の測定
本実施例はラットの全血における生体外での5−リポキシゲナーゼ酵素について2,4,6−トリヨードフェノールの微粉砕化試料の阻害活性を証明し、その阻害活性を同じ物質の非−微粉砕化試料の阻害活性と比較する。
【0017】
本実施例では3群の動物(ラット)を用い、各々の群に6匹のラットを用いる。3群は次の通りである;
1. グループ1:対照(担体)
2. グループ2:微粉砕した供試物質(10mg/kg)で処置した。
【0018】
3. グループ3:微粉砕されていない供試物質(10mg/kg)で処置した。
【0019】
各々のグループに対する動物の分布は研究の開始時に無作為の要領で行なう。
【0020】
供試物質及び参考物質は経口カニューレを介して4ml/kgの投薬容量で0.25%のカルボキシメチルセルロース中の懸濁液として経口投与する。
【0021】
供試物質の投与は連続して5日間24時間毎に(9時00分)1回行なう。5日目に供試物質及び参考物質の投与から1時間後に各々の動物から血液試料を採取する(1ml)。血液試料は抗凝固剤としてクエン酸ナトリウム(4%)を含有する。無菌注射器中に後の(腹の)大静脈から得られる。各々の血液試料は0.5mlの分量で2つに分割する(2回分)。供試物質を投与してから1時間経過後に血液試料を得ているが、これは供試物質によるロイコトリエン合成の阻害がより大きい時であることが予備実験で測定されたからである。
【0022】
血液試料の採取直後に、2回分の分量を37℃で10分間インキュベートする。この期間後に、該分量を37℃で30分間カルシウムイオノフォア(30μM、最終濃度)で刺激する。インキュベーション期間が終了したからには該分量を12,000gで2分間遠心分離する。得られる結晶を分離し、その次後の分析のため−20℃で貯蔵する。これらの試料においてロイコトリエンB4の濃度を酵素免疫検定法により測定する(キットEIA;アメルシャム社)。
【0023】




得られた結果が示す処によれば(表I、II及び図1)、10mg/kgの用量で微粉砕生成物は、経口治療の5日目にカルシウム イオノフォアで刺激したラットの全血において生体外で5−リポキシゲナーゼによりロイコトリエンB4(LTB4)を統計上有意な要領で(*p<0.05、ANOVA+ダンネット試験)阻害する。更に、阻害の程度は非−微粉砕生成物で得られた程度よりも優れており、結果の変動性はまた劣っている(より少ない変動性)。
【0024】
実施例2 マイスにおけるブレオマイシンによって誘発された肺線維症のモデルにおける活性の予備研究
本実施例は、肺線維症を特徴付けしかもマイスに対してブレオマイシンの単独気管内投与によりマイスで誘発される疾病のモデルで再現できる、気管支肺胞の洗浄液(組織浸潤のインジケーターとして)で見られる細胞浸潤を低減するのに微粉砕した2,4,6−トリヨードフェノールの能力を証明する。
【0025】
ブレオマイシンを投与することによって21日後に気管支肺胞洗浄液の全細胞充実性が増大される。特に、前記洗浄液からの細胞分布でリンパ球及び好中球の割合(%)が増大され、マクロファージの割合(%)が減少される。
【0026】
同様に、ブレオマイシンの投与により21日後には気管支肺胞洗浄液における前炎症系ケモカインCCL5及びTGFBの濃度が有意な程に増大される。
【0027】
この動物モデルにおける肺線維症の典型的な特徴であり疾病の重篤度及び肺の炎症応答を示している。
【0028】
ブレオマイシンを投与してから7日後に開始して(肺の炎症が確認されたからには治療処置)10mg/kgの用量で(1日につき2回)微粉砕した2,4,6−トリヨードフェノールを経口投与することにより、気管支肺胞の洗浄液におけるリンパ球及び好中球の割合(%)のブレオマイシンで誘発される増大の低減及び健康な対照動物で見出される値に対してマクロファージの割合(%)の増大が得られる。同様に、微粉砕した化合物での処置により、気管支肺胞の洗浄液でのCCL5及びTGFβの両方の濃度のブレオマイシンで誘発される増大がきわめて有意な程に抑制される。これらの結果はマウスにおける肺線維症のモデルに微粉砕した化合物の抗炎症活性を証明するものである。
【0029】
該研究においては、実験段階の開始時に大体9〜10週令の雄の若い、健常なC57/BL6マイスを用いる。C57/BL6マイスを選択したのはこれが肺線維症のモデルに最も普通に用いるマウス種であるからである。
【0030】
3つの実験群を該研究に用いる;
グループA;(正の対照);ブレオマイシン+ビヒクル(PBS) n=10
グループB;ブレオマイシン+微粉砕した2,4,6−トリヨードフェノール 10mg/kg 毎日(12時間毎) n=10
グループC;処置せず(健常な動物) n=1
但しnは各々の実験群における動物の個体数である。
【0031】
試験品を0.25%のメチルセルロース(ビヒクル)に入れた懸濁液として投与する。正の対照群はビヒクルを受入れる。
【0032】
試験品とビヒクルとを12時間毎に1日につき2回(毎日)5ml/kgの容量で経口投与する。
【0033】
0日目に各々の動物の肺に50μlの無菌塩溶液中の0.075単位のブレオマイシンを気管内滴注により肺線維症を誘発する。その後直ちに150μlの空気を各々のマウスの気管内に導入してブレオマイシンの肺分散を助力する。
【0034】
ブレオマイシンを投与してから7日目に供試品又はビヒクルでの処置を経口投与により開始する。該処置は1日につき2回(12時間毎)行ない、15日間続行する。
【0035】
ブレオマイシンを投与してから21日後に、気管支肺胞の洗浄を全ての動物について行なう。これを行なうにはマイスにナトリウムペントバルビタールで麻酔をかけ、各々の動物の気管にカニューレを挿入する。その後に1mlの37℃でのPBSを各々の肺に滴注し、注射器を用いて再吸引する。この手法を5回反復し、各々の回毎に小ビンに吸引した液体を収集し、5回の洗浄から得られた液体を合する。回収した気管支肺胞洗浄の容量を全ての動物について5mlに調節する。
【0036】
気管支肺胞の洗浄液が得られたからには、試料を採取してトリパンブルー排除(exclusion)により細胞生存能力を測定する。更に洗浄液の試料をELISAによるCCL5及びTGF−β濃度の次後の測定のため凍結し続ける(−20℃)。
【0037】
残りの気管支肺胞洗浄液を細胞遠心分離機で回転し、着色(Diff−Quick)して鑑別細胞計算を行なう。
【0038】
全ての動物は実験室への到着時に且つ研究の終了まで実験期間の処置段階の各日に秤量する。
【0039】
各々の動物について、気管支肺胞洗浄液の細胞生存能力はトリパンブルー排除により測定し、鑑別細胞計算は細胞遠心分離した思料をDiff-Quick着色液で着色することにより行なう(これは1個の試料当り大体200個の細胞の母集団について行なう)。更に。CCL5及びTGF−βの濃度はR&Dシステムからマイスの化学運動性(chemokines)に固有の市販されて入手しうるELISAキットの使用により気管支肺胞洗浄液試料で測定する。
【0040】

表IIIは細胞の総数から細胞の各々の型式の百分率(%)として表わした気管支肺胞洗浄液の鑑別細胞計算を示す。該データは各々の実験グループについて平均値、平均値の標準偏差(S.D.)及び平均値の標準誤差(S.E.M.)として示される。この結果は図21にも図示される。
【0041】
CCL5の濃度は、21日目に各々の実験群から全ての生存動物の気管支肺胞洗浄液試料で測定する。得られた結果を表IVに要約し、図5に図示する。
【0042】

TGFβ1の濃度は21日目に各々の実験グループからの全ての生存動物の気管支肺胞洗浄液の試料で測定する。得られた結果を表Vに要約し、図6に図示する。
【0043】

該結果の統計的な意義は統計的なパッケージのグラフパッドインスタット(Graphpad Instat)3の使用により評価する。全ての比較はスチューデントt−試験(2方式、対でないデータ)の使用により評価する。p≦0.05の値は有意義であると考えられる。
【0044】
実施例3 マイスにおけるコラーゲン投与により誘発された関節炎のモデルにおける抗炎症活性
該研究の目的はマウス(CIA)における型式IIコラーゲンの注射により誘発された関節炎のモデルで供試品の抗炎症活性を測定するものであり且つ2つの異なる組成物;微粉砕した且つ非微粉砕組成物の活性を比較するものである
関節炎の誘発は尾の基部に皮下注射により型式IIの牛のコラーゲンに最初暴露することによって行なう(誘発段階)。21日の回復期間後に、供試動物は追加の注射を受け、最初の注射から大体4〜5週間後に大多数の場合に四肢で見られる関節炎について免疫応答がある。参考品インドメタシン(1mg/kgQ.D)で供試動物を処置すると研究中の或る日数で、観察される浮腫(後肢の炎症)について有意な抗炎症応答が得られる。
【0045】
供試品2,4,6−トリヨードフェノールの微粉砕組成物10mg/kgBIDで供試動物を処置すると48、50、56、58及び65日で観察された浮腫の有意な(p<0.05)低下が得られる(対照群に対してそれぞれ68.72±8.98、70.56±9.88、71.49±7.19、66.29±5.13、64.95±7.58の抑制百分率(%)で)。高度に有意な抑制が51日目に観察される(77.59±9.08)。
【0046】
対照的に供試品2,4,6−トリヨードフェノールの非微粉砕組成物10mg/kgBIDで動物を処置すると、実験期間の日数の何れでも後肢浮腫の有意な抑制が得られなかった。
【0047】
結論として、本研究で得られた結果は、供試品の抗炎症活性が微粉砕した組成物は最良の結果を与えながら、用いられる医薬組成物(微粉砕及び非−微粉砕)に応じて変化することを証明する。
【0048】
4つの実験群を各々の群において10匹の動物での研究に用いる;
グループD:正の対照;FCA+ビヒクルB.I.D.
グループE:微粉砕した供試品(ミクロ)10mg/kg B.I.D.
グループF:非微粉砕供試品10mg/kgB.I.D.
グループG:参考品;インドメタシン 1mg/kgQ.D.
グループE及びFに投与した用量は10mg/kgである。
【0049】
グループGに投与した用量は1mg/kgである。
【0050】
供試品及び参考品の用量は各々の動物に投与した化合物のmg/kgとして表わす。
【0051】
供試品及び参考品はメチルセルロースの溶液(0.25%ビヒクル)で投与する。
【0052】
正の対照群はビヒクル(メチルセルロース0.25%)を受ける。
【0053】
供試品及び参考品並びにビヒクルは5ml/kgの投与容量で経口投与する。
【0054】
用いた投与方式は胃内カニューレの使用により経口である。
【0055】
研究の開始日に、各々のマウスを、フロインド完全補助液に入れた。牛の型式IIコラーゲン(1mg/mL)の乳濁液の0.1mlの最初の用量で尾の基部に皮下注射する。その後に、この最初の注射から21日後に、型式IIコラーゲンの第2の追加注射液を全ての動物に投与する。この場合には、コラーゲン懸濁液はフロインドの不完全補助液を用いて行なう。
【0056】
21日目に第2の追加注射と一致して、供試品又は参考品での処置を対応の動物に開始する。供試品又は参考品での処置は連続して31日間(実験期間の21〜51日)行なう。更には処置期間の終了時に52日から65日までの回復期間を設けて投与が終了した際に見出される抗炎症活性効果の期間を評価する。
【0057】
動物の後肢の容積はコラーゲンの最初の注射の1日前に、また第2の(追加)コラーゲンの注射の1日前に(基底値)及び次いで研究の終了迄供試品/参考品の投与後に毎日体積変動測定法により測定する。研究の終了時の回復期間中は、後肢の体積は1週につき3回測定する。
【0058】
研究中に得られたデータを表として要約する。更に、該データはグラフで表わされ、後肢の全体積の変化並びに浮腫を描写する(基底(21日)値からの差異)。
【0059】




実施例4 多重投与後の健常な志願者における非微粉砕形での2,4,6−トリヨードフェノールの母集団 薬物動態分析(図9)
該研究の目的は健常な志願者から得られた血漿試料において微粉砕した形での2,4,6−トリヨードフェノールの母集団(population)薬物動態分析を行なうものである。
【0060】
多数の因子が新規薬物の開発を中断させてしまう。失敗の大体50%が効力の欠如、悪影響又は動物毒性によって生起されるけれども、不十分な薬物動態特性は、失敗の殆んど40%に基因するので薬物開発中のきわめて重大な問題である。緩慢な吸収率、低い生体利用性、不十分な組織浸透、非直線挙動、有毒な代謝産物の存在又は高い変動性は限定された薬物動態特性の例であり、現在利用し得る手段でこれらを克服できるかどうかを見出すことは1つのチャレンジである。吸収及び分布特性を改良するのに定常的に用いられる医薬技術に加えて、データモデル(data modelling)はライバルの仮説、開始及びオフセット及び非直線性の臨床衝撃の間で識別することにより原因を同定するのに非直線的動態の場合には役立つ。
【0061】
2,4,6−トリヨードフェノールは、現在臨床開発下にある強力なロイコトリエンB4(LTB4)合成阻害剤である。2,4,6−トリヨードフェノールの作用の正確なメカニズムは完全には解消されていないが、酵素5−リポキシゲナーゼの阻害を伴なうことは知られている。第1段階Iの臨床試験(単一の用量を健常な志願者に経口投与する)から得られた結果が示す処によれば2,4,6−トリヨードフェノールはきわめて良好な安全性と耐性プロフィールを示した(6mg〜1200mg)。更には、予期しうる且つ用量非依存性(少なくとも240〜700mgの範囲)の薬物動態挙動は吸収モデル及び1区室配置モデル(one-compartment disposition model)の一次率(first-order rate)で記載し得る。結晶濃度と16.6μg/mlのIC50値(最大のLTB4合成抑制の半分を引出す血漿中の薬物濃度)のLTB4合成抑制との間で直接的で非線状(E-maxタイプ)の関連が見出される。
【0062】
多重投与方式で2,4,6−トリヨードフェノールを与える第2段階Iの研究においては、該薬物は濃度対時間曲線(AUC)下の領域で薬物の開発過程を弱化するかもしれない減少である全く予期せぬ増大を示した。
【0063】
この研究では32名の志願者が参加した。全ての志願者は臨床試験計画書の十分な説明後に且つ入会前に告知同意書が渡された。Santa Creu i Sant Pau病院の倫理委員会及びスペイン薬局方から承認が得られた。該研究はヘルシンキ及び東京並びにGCPの宣誓により行なった。健常な男性志願者は年令18〜45才であり、正常な範囲内のケテレー指数(Quetelet index)が該研究に認められた。
【0064】
医療検査又は実験試験が正常な臨床値から有意な程に異なるならばあるいは既知の胃腸疾病、肝臓疾病、腎疾病、呼吸器疾病、心臓血管疾病、代謝疾病、免疫学的疾病、ホルモン系疾病、中枢神経系疾病又は精神病の疾病の症例には、志願者は該研究には適格でない。慢性の又は関連のある急性の感染症、アレルギーの病歴/NSAIOSを含めて薬物に対する過敏性、1日当り10本より多い喫煙、1日当り45gより多い飲酒又は薬物依存性のある志願者は除外される。該研究前の2週間で何れか他の薬物の摂取は許されない。最後に、細菌6ヵ月で外科手術を受けた志願者又は該研究に先立つ2ヵ月以内に調査薬物で別の研究に参加した志願者は除外される。
【0065】
研究の設計。 これは無作為で、二重盲検の、擬薬で調節した、平行な単一及び多重用量段階Iの研究である。目的は2,4,6−トリヨードフェノールの3回の異なる経口投与の薬物動態学及び耐性を評価するものである。研究前に4週間以内に行なった1日のスクリーニング段階後に、志願者を無作為に各々8名の被検者からなる4つの群に分け、10時間の断食後に125mlの無味水と共に経口により240、350又は500mgの2,4,6−トリヨードフェノール又は擬薬を摂取する。各々の志願者は7つの用量を受容し、単一の用量は1日で与えられ次いで8〜13日間毎日2,4,6−トリヨードフェノール又は擬薬を投与した。1日および13日の午前7時に志願者は薬理学研究単位(Pharmacology Research Unit)に到達し、24時間残置した。参加者は朝食、昼食及び夕食について標準の食事を給仕された。2日〜12日に志願者は7時に到達し、予備用量(pre-dose)の血液採取(2日〜12日)及び次の用量の摂取(8日〜12日)後に臨床を残した。
【0066】
試料の採取及び分析測定;血液試料(3ml)は次の時期に、前腕静脈に差し込んだヘパリン加カテーテルから採取する;(i)予備用量、単一の経口投与してから2、4、4.5、5、5.5、6、12、24、48、72、96、120、144時間後
(ii)予備用量 8日〜12日及び(iii)予備用量、最後の投与用量(13日)から2、4、4、4.5、5、5.5、6、12、24、48、72、96、120及び144時間後。
【0067】
これらの試料をヘパリン加管に収集し、室温で15分間遠心分離する(3500r.p.m.)。次いで血漿を分析まで−40℃で貯蔵する。
【0068】
血漿中の2,4,6−トリヨードフェノールの濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により分析する。
【0069】
データの分析;全ての薬物動態データはソフトウェアNONMEMバージョンV(Beal及びSheiner、1992)で実施した相互作用(INTERACTION)オプションを有する一次状態の推定法(First Order Conditional Estimation method)を用いて非直線混合作用のモデル化方式により同時に分析した。
【0070】
体内中の2,4,6−トリヨードフェノールの配置特性は、データにモノ及びマルチ(2個又は3個の)区室モデルを取付けることにより測定した。薬物の摂取量を記録するのに、吸収の1次率又は零率又はこれら2つの混合物を推定するモデルを試験した。吸収プロセスにおける遅延時間の存在も研究する。
【0071】
予備的な探求分析は、第一段階Iの研究(2,4,6−トリヨードフェノールは6〜1200mgの単一の用量で健常な志願者に投与される)から得られた薬物動態のモデル及びモデルパラメーターの推定値に基いた単一及び多重の240、350及び500mgの用量方式後の典型的な薬物動態プロフィールを模倣することにより行なう。図9はこの模倣実施からの結果を示す。前もって確立したモデルは単一用量の投与後には十分に相応に挙動するのが明白であるが、多重用量処置中は所見は明らかに予測不十分である(under-predicted)。2つのパラメーターはAUC、生体利用性(F)及び薬物クリアランス(CL)に影響してしまい、更にCLは薬物の半減期に影響する。これらの両方共、他の因子のうちで固有の酵素活性(CLINT)の変化によって改質される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物中の2,4,6−トリヨードフェノールがその微粉砕した形で存在することを特徴とする2,4,6−トリヨードフェノール含有組成物。
【請求項2】
医薬として用いるための請求項1記載の微粉砕組成物。
【請求項3】
ロイコトリエンで介在される疾病の処置に用いるための請求項1記載の組成物。
【請求項4】
疾病は、慢性関節リウマチ、骨関節症、脊椎炎、若年性関節炎、痛風、扁平股異形成、関節症、椎間板脊椎炎、滑液包炎、腱炎又は馬尾である請求項3記載の使用。
【請求項5】
胃腸炎症疾病の処置に用いるための請求項1記載の組成物。
【請求項6】
疾病は慢性の腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、直腸炎又はリンパ血漿関連腸炎である請求項5記載の使用。
【請求項7】
肺線維症の処置に用いるための請求項1記載の微粉砕組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−106020(P2010−106020A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−235256(P2009−235256)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(509282387)
【Fターム(参考)】