説明

3−アミノ−5−フルオロ−4−ジアルコキシペンタン酸エステルを製造する新規な方法

本発明は、3−アミノ−5−フルオロ−4−オキソペンタン酸の前駆体として使用される一般式(1)の3−アミノ−5−フルオロ−4−ジアルコキシペンタン酸エステルの新規な製造方法に関するものである:
【化001】


(式中の、R及びRは明細書の定義と同義である)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記一般式(1)の3−アミノ−5−フルオロ−4−ジアルコキシペンタン酸エステルを製造する新規な方法に関するものである。
【0002】
【化001】

【0003】
式中の、R及びRは下記の定義と同義である。
【背景技術】
【0004】
レーベースらはカスパーゼ阻害剤において重要な役割を果たすことが知られている3−アミノ−5−フルオロ−4−オキソペンタン酸誘導体の合成法を報告した(非特許文献1)。しかし、この合成法は揮発性の中間体2−フルオロアセトアルデヒドを使用し、そのアルドール反応が多量の有機溶媒を必要とする。さらに、固体状として得られる中間体がないので、生成物の精製が難しい。これらの問題を克服するために、本発明者らは一般式(1)の化合物を実用的で、且つ高収率で製造できる下記反応式1のような方法を開発した(特許文献1を参照のこと)。
【0005】
【化002】

【0006】
レーベース方法に比べて重要な改良がなされたが、トリメチルシリルアセチレンのリチウムアニオンとフルオロ酢酸エチルとの縮合反応で一般式(2)の化合物を製造する場合と、一般式(4)の化合物のアニオンとクロロギ酸エチルとの縮合反応で一般式(5)の化合物を製造する場合に、極低温条件(それぞれ、−25℃〜−65℃、及び−40℃以下)を取り除くために更なる改良の余地が、まだ、ある。また、上記反応から得られる中間体は容易に精製することができないので、化合物の大規模の合成に用いることは難しかった。従って、極低温条件を必要とせずに、中間体の精製が容易な新しい製造方法が求められてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許出願第10−2005−016203号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Revesz et al., Tetrahedron Lett. 1994, 35, 9693
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、3−アミノ−5−フルオロ−4−オキソペンタン酸の前駆体として使用される一般式(1)の3−アミノ−5−フルオロ−4−ジアルコキシペンタン酸エステルの新規な製造方法に関するものである:
【0010】
【化003】

【0011】
式中の、R及びRは詳細な説明の定義と同義である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明の目的は、極低温条件を必要とせず、そして中間体が容易に精製できる大規模の合成に適している、式(1)の化合物を製造する方法を提供することである。
【0013】
本発明は、
(a)一般式(3)の化合物を脱保護して、一般式(4)の化合物を製造する工程;
(b)一般式(4)の化合物をROC(=O)ORと反応させ、一般式(9)の化合物を製造する工程;及び
(c)一般式(9)の化合物をNH(R)(R)と反応させる工程;
を含む、一般式(6)の化合物を製造する方法に関する。
【0014】
【化004】

【0015】
式中の、R及びRは独立して、アルキル基を表し;
は独立して、アルキル基を表すか、またはそれらが結合している酸素原子と共に、ジオキソランまたはジオキサンを形成でき;
及びRは独立して、水素、トリアルキルシリル基、アリールメチル基または1−アリールエチル基を表し、そして
Pは保護基を表す。
【0016】
また、本発明は上記方法を含む、一般式(1)の化合物を製造する方法に関するものである。本発明の方法を用いる場合は、極低温条件を必要とせず、精製工程が簡単である。本発明の反応メカニズムは下記反応式2に例示することができる:
【0017】
【化005】

【0018】
反応式2において、一般式(8)のアミド化合物とトリメチルシリルアセチレンとの縮合反応を用いて一般式(2)の化合物を製造する方法と、一般式(4)の化合物を経由して一般式(9)の化合物から一般式(6)の化合物を製造する方法は、極低温条件を必要としない。また、上記の方法によって結晶化された固形の一般式(6)、(10a)及び(10b)の化合物が得られるので、一般式(1)の化合物を高純度で得ることができる。さらに、一般式(9)の化合物は新規な化合物である。
【0019】
以下、本発明を下記の実施例に基づいてより詳しく説明する。しかし、これらは例示の目的のための説明であり、如何なる方法によっても本発明の範囲を制限するものではない。
【0020】
用語定義
本発明の化合物と方法の記述において、主要用語は、特に断らない限り、下記の意味を有する。
【0021】
用語「アルキル」は、直鎖又は分枝状であってよい、C1−8−炭化水素基、またはC3−10−環状炭化水素基を意味しており、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これらに制限されない。
【0022】
用語「アリール」は、芳香族基、ヘテロ芳香族基、またはそれらの部分還元誘導体を意味する。芳香族基は非縮合環または縮合環であってよい、5〜15員の不飽和炭化水素環を示す。芳香族基は、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレンなどを包含するが、これらに制限されない。上のヘテロ芳香族基は酸素、硫黄及び窒素よりなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜15員の芳香族基であり、非縮合環または縮合環であってもよい。単環式ヘテロ芳香族基はチアゾール、オキサゾール、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、イソキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンなどを包含するが、これらに制限されない。二環式ヘテロ芳香族基はインドール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズチアジアゾール、ベンズトリアゾール、キノリン、イソキノリン、プリン、フロピリジンなどを包含するが、これらに制限されない。
【0023】
用語「複素環」は、ベンゾまたはC−C−シクロアルキルと縮合されていてもよく、酸素、硫黄及び窒素よりなる群から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む、4〜8員の飽和環または1又は2つの二重結合を有する4〜8員の環を意味する。複素環はピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジン、イミダゾリジン、テトラヒドロフラン、ピペラジンなどを包含するが、これらに制限されない。
【0024】
ここで、アルキル基とアリール基の一つ以上の水素は、別の置換基によって置換することができ、上記置換基はアシル、アミノ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、チオ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、スルホキシ及びグアニド基を含むが、これらに制限されない。
【0025】
一般式(2)の化合物の合成
一般式(2)の化合物は、反応式3で示されるように、
(i)A−OC(=O)CHFとNH(R)(R)を反応させて、一般式(8)の化合物を製造する工程;及び
(ii)一般式(8)の化合物をトリメチルシリルアセチレンと反応させる工程を経由して得られる。
上記反応は極低温条件を必要としない。
【0026】
【化006】

【0027】
式中の、Aは水素;エチル、メチルのようなアルキル;またはナトリウムのような金属を表し;
及びRは独立して、メチル、フェニルメチルのような置換された又は置換されていないアルキル;またはメトキシ、フェニルメトキシのような置換された又は置換されていないアルコキシを表すか;またはこれらが結合している窒素原子と一緒に、モルホリンのような4〜8員の複素環を形成し得る。
【0028】
上記工程(i)において、一般式(8)のアミド化合物はフルオロ酢酸とNH(R)(R)、好ましくはN,O−ジメチルヒドロキシアミンまたはモルホリンとの縮合によって得られる。縮合反応は、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)によって、A−OC(=O)CHFを活性化させた後に、遂行することが好ましい。
【0029】
モルホリンを使用する縮合反応の場合においては、縮合試薬無しに、モルホリンと、フルオロ酢酸エチルとフルオロ酢酸メチルを含むフルオロ酢酸のエステルとを反応させて、一般式(8)の化合物を容易に得ることができる。この反応で使用されるNH(R)(R)の量は、A−OC(=O)CHFに対して、1.5〜5当量、好ましくは1.5〜3当量である。NH(R)(R)の量が1.5当量未満のときは、反応速度が遅くなり、その量が5当量を超えると、余分のアミンを除去することが難しくなる。好ましくは、縮合反応は、トルエン及びアセトニトリルよりなる群から選択される一つ以上の溶媒の存在下で遂行されるが、これらに制限されない。反応速度の側面から、溶媒の不在下で反応を遂行することが一層好ましい。反応温度は、好ましくは60℃〜100℃、さらに好ましくは65℃〜90℃である。反応温度が60℃未満のときは、反応速度が遅くなり、100℃を超えると、副反応によって収率が減少する。
【0030】
工程(ii)には、一般式(8)の化合物を制限なしに使用することができる。しかし、大規模の合成では、RとRが結合している窒素原子を有するモルホリン環を含有している一般式(8)の化合物を使用することが、安定性と経済性の側面から好ましい。トリメチルシリルアセチレンの量は、一般式(8)の化合物に対して、1〜3当量、好ましくは1.1〜1.5当量である。トリメチルシリルアセチレンの量が3当量を超えると、2分子のトリメチルシリルアセチレンと反応する副産物が相当量形成される。アルキルリチウム、好ましくはメチルリチウム、n−ヘキシルリチウムまたはn−ブチルリチウムを用いて、トリメチルシリルアセチレンから変換されるリチウムトリメチルシリルアセチリドを使用することが好ましい。反応は、反応に悪影響を及ぼさない限り、特に制限されないが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル及び1,2−ジメトキシエタンよりなる群から選択される一つ以上の溶媒の存在下で遂行するのが好ましい。反応温度は−30℃〜20℃、好ましくは−10℃〜20℃である。
【0031】
一般式(4)の化合物の合成
一般式(4)の化合物は、下記反応式4に示すように、一般式(2)の化合物を保護基と反応させて、一般式(3)の化合物を得て、一般式(3)の化合物を脱保護することによって製造される。
【0032】
【化007】

【0033】
式中の、Rは独立して、アルキル基を表すか、またはこれらが結合している酸素原子と共に、ジオキソランまたはジオキサンを形成することができる。
【0034】
上記保護反応のために、オルトギ酸トリアルキルがメタノールまたはエタノール溶媒中で使用される。好ましくは、オルトギ酸トリメチルまたはオルトギ酸トリエチルが使われるが、これらに制限されない。脱保護反応は、MOH、M(OH)、(MCO、(M)HCO及びMCO(ここで、Mはアルカリ金属を表し、Mはアルカリ土類金属を表す)よりなる群から選択される一つ以上の塩基、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの存在下で遂行することが好ましい。脱保護反応に使われる塩基の量は、一般式(2)の化合物に対して、1〜2当量である。
【0035】
また、脱保護反応はメタノールまたはエタノールのような、C−Cアルコール;ジクロロメタン;またはクロロホルムと水との混合物中で遂行することが好ましい。
【0036】
一般式(9)の化合物の合成
一般式(9)の化合物は、下記反応式5に示すように、一般式(4)の化合物をROC(=O)ORと反応させることによって製造される。反応は、好ましくは、塩基の存在下で遂行される。下記反応によって得られる一般式(9)の化合物は新規な化合物である。
【0037】
【化008】

【0038】
式中の、R及びRは独立して、アルキル基を表し;
は独立して、アルキル基を表すか、またはこれらが結合している酸素原子と共に、ジオキソランまたはジオキサンを形成することができる。
【0039】
反応に使われる塩基は、一般式(4)の化合物がROC(=O)ORと反応しうる限り、特に制限されないが、好ましくは、アルカリ金属;アルカリ土類金属の第一級,第二級又は第三級アルコキシド;グリニャール試薬;アルキルリチウム;リチウムジアルキルアミド;リチウムヘキサメチルシラジド;ナトリウムヘキサメチルシラジド;またはカリウムヘキサメチルシラジドである。ここで用いられる塩基の量は、一般式(4)の化合物に対して、0.05〜1.5当量で、好ましくは0.1〜0.5当量である。用いられる塩基の量が0.05当量未満のときは、反応速度が遅くなり、1.5当量を超えると、一般式(4)の化合物の2分子がROC(=O)ORの1分子と反応して不要な副産物が生成する。
【0040】
好ましいROC(=O)OR化合物は、R及びRが独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びイソプロピルよりなる群から選択される。より好ましいROC(=O)OR化合物は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートまたはジイソプロピルカーボネートであるが、これらに制限されない。使われるROC(=O)ORの量は、一般式(4)の化合物に対して、1〜5当量、好ましくは1〜2.5当量、より好ましくは1.05〜1.15当量である。使われるROC(=O)ORの量が5当量を超えると、反応が遅くなり、完結できなくなる。
【0041】
反応溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り、特に制限されないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びN−メチルピロリジノンよりなる群から選択される一つ以上の溶媒、またはこれらとテトラヒドロフランとの混合溶媒を包含する。しかし、テトラヒドロフランだけを反応溶媒として使用することは、反応速度の側面から好ましくない。反応溶媒の量は、特に制限されないが、ROC(=O)ORの量に対して、5倍以上、好ましくは10倍以上である。反応溶媒の量が5倍未満のときは、反応速度が遅くなる。
【0042】
反応温度は−20℃〜50℃、好ましくは−5℃〜30℃である。反応温度が50℃を超えると、収率が減少する。
【0043】
反応式2の反応から得られる一般式(9)の化合物はEとZとの混合物であり、EとZとの比は反応条件によって変わる。しかし、これらの異性体はともに、アミンと反応して一般式(6)の化合物を生成するので、分離工程は必要とされない。
【0044】
一般式(6)の化合物の合成
一般式(6)の化合物は、下記反応式6に示すように、一般式(9)の化合物をNH(R)(R)と反応させることによって製造される。
【0045】
【化009】

【0046】
式中の、R及びRは独立して、アルキル基を表し;
は独立してアルキル基を表すか、またはこれらが結合している酸素原子と共に、ジオキソランまたはジオキサンを形成でき;
及びRは独立して、水素、トリアルキルシリル基、アリールメチル基または1−アリールエチル基を表す。
【0047】
使われるNH(R)(R)は、還元によってアミノ基に変換され得る限り、特に制限されないが、好ましくは、アンモニアまたはベンジルアミンのようなアリールメチルアミン;1−フェニルエチルアミンまたは1−ナフチルエチルアミンのような、1−アリールエチルアミン、またはこれらの保護されたトリアルキルシリル形態を含む第1級アミン;及びジベンジルアミンのようなジ(アリールメチル)アミン、またはジフェニルエチルアミンのようなジ(アリールエチル)アミンを含む第二級アミンである。NH(R)(R)の量は1〜20当量、好ましくは3〜8当量である。NH(R)(R)の量が1当量未満のときは、反応速度が遅くなる。その量が20当量を超えると、反応後に生成されるアミンを除去するために、過量の酸を使用しなければならないので不利である。
【0048】
反応溶媒は、溶媒が反応に悪影響を及ぼさない限り、特に制限されないが、好ましくは、t−ブチルメチルエーテル、トルエン、ジメチルホルムアミド及びアセトニトリルよりなる群から選択される溶媒の存在下で遂行される。 反応速度の側面から、溶媒の不在下で反応を遂行することがさらに好ましい。反応温度は30℃〜150℃、より好ましくは80℃〜110℃である。反応温度が30℃未満であると、反応速度の側面から不利である。150℃を超えると、副反応が問題になる。
【0049】
反応から得られる生成物は、余分のアミンを除去した後、次ぎの反応に使用できる。しかし、一般式(1)の化合物を高純度で製造するためには、結晶化によって一般式(6)の化合物を精製することが好ましい。アミンを除去して得られた生成物を1つ以上の溶媒、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール及びアセトンよりなる群から選択される溶媒に加熱して溶かし、そこに水を加えて、一般式(6)の化合物を結晶化させる。生成した沈澱物は高純度の一般式(6)の化合物を含むので、再結晶のような追加の精製工程は必要とされない。
【0050】
一般式(7)の化合物の合成
一般式(7)の化合物は、下記反応式7に示すように、一般式(6)の化合物に存在する炭素間二重結合を選択的に還元できる還元剤の存在下で、一般式(6)の化合物を還元することによって製造される。
【0051】
【化010】

【0052】
式中の、Rは独立して、アルキル基を表し;
は独立して、アルキル基を表すか、またはこれらが結合している酸素原子と共に、ジオキソランまたはジオキサンを形成でき;
及びRは独立して、水素、トリアルキルシリル基、アリールメチル基または1−アリールエチル基を表す。
【0053】
還元剤が還元反応に悪影響を及ぼさない限り、炭素と窒素の間の二重結合を選択的に還元できる通常の還元剤を反応で使用することができる。好ましくは、(i)トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、(ii)酢酸及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム、または(iii)酢酸及び水素化ホウ素ナトリウムを使用できるが、これらに制限されない。還元剤の量は一般式(6)の化合物に対して、1〜5当量、好ましくは1.5〜3当量である。還元剤の量が1当量未満のときは、反応を完結できない。還元剤の量が5当量を超えると、反応を水で停止するとき、過剰の還元剤から過量の水素ガスが発生するので危険である。還元剤として酢酸及び水素化ホウ素ナトリウムを使用する場合には、それぞれ、1〜20当量及び1〜5当量を使用することが好ましい。反応を酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル及びt−ブチルメチルエーテルよりなる群から選択される一つ以上の溶媒の存在下で遂行することが好ましい。
【0054】
一般式(1)の化合物の合成
一般式(1)の化合物は、下記反応式8に示すように、一般式(7)の化合物を水素化することによって製造される。
【0055】
【化011】

【0056】
式中の、Rは独立して、アルキル基を表し;
は独立して、アルキル基を表すか、またはこれらが結合している酸素原子と共にジオキソランまたはジオキサンを形成でき;
及びRは独立して、水素、トリアルキルシリル基、アリールメチル基または1−アリールエチル基を表す。
【0057】
反応は金属触媒、好ましくはパラジウム系触媒またはラネーニッケル系触媒の存在下で遂行され、これに制限されないが、1〜20重量%範囲のパラジウム(Pd)担持量を有するパラジウム系触媒、または1重量%以上のニッケル担持量を有するラネーニッケル系触媒を、金属成分に基づいて、一般式(7)の化合物に対して0.01〜13重量%の量で使用することができ、当該触媒は炭素、シリカ及びアルミナよりなる群から選択される支持体に担持された形態である。水素化反応は、特に制限されないが、酢酸、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、酢酸エチル及びジクロロメタンよりなる群から選択される1つ以上の溶媒中で遂行されることが好ましい。また、水素化反応は、0〜50℃の温度及び1〜100気圧の水素圧下で遂行されることが好ましい。
【0058】
一般式(10)の化合物の合成、及びそれを用いた一般式(10)の化合物の精製及び光学分割
一般式(10)の化合物(一般式(10a)の異性体、一般式(10b)の立体異性体、または一般式(10a)と一般式(10b)のラセミ体)は、下記反応式9に示すように、一般式(1)の化合物を酒石酸誘導体(必要に応じて、ラセミ体または光学異性体)と反応させて製造される。生成した一般式(10)の化合物は、一般式(1)の化合物の精製及び光学分割工程に利用することができる。
【0059】
【化012】

【0060】
式中の、Rは独立してアルキル基を表し;
は独立して、アルキル基を表すか、またはこれらが結合している酸素原子と共に、ジオキソランまたはジオキサンを形成でき;
は水素、アルキル基またはアシル基を表し、ここでアシル基はRC(=O)−の形態を有し、Rはアルキル基またはアリール基である。
【0061】
一般式(1)の化合物を水、及びC−C−アルコールから選択される一つ以上の溶媒、好ましくはメタノール、エタノール及びイソプロパノールよりなる群から選択される一つ以上の溶媒の存在下で酒石酸誘導体と反応させて、一般式(10)の化合物(一般式(10a)の立体異性体、一般式(10b)の立体異性体、または一般式(10a)と一般式(10b)のラセミ混合物)を得る。反応を40℃〜80℃の温度範囲で遂行することが好ましい。反応が終結した後、反応物の温度を低温、好ましくは室温以下に冷却すると、一般式(10)の化合物が結晶化する。生成した沈澱物は十分な純度を有する一般式(10)の化合物を含んでいる。しかし、必要に応じて、水、及びC−C−アルコール群、好ましくは、メタノール、エタノール及びイソプロパノールよりなる群から選択される一つ以上の溶媒の存在下で再結晶して高純度を有する一般式(10)の化合物を得ることができる。
【0062】
使われる酒石酸誘導体の量は、一般式(1)の化合物に対して、0.9〜1.5当量である。
【0063】
反応に使われる酒石酸誘導体は、特に制限されないが、好ましくは酒石酸、O,O'−ジベンゾイル酒石酸などを包含する。
【0064】
一般式(10)の化合物は、化合物から塩を分離する従来方法を用いて、一般式(1)の化合物と酒石酸誘導体に容易に分離することができる。従って、一般式(1)の化合物を高純度で分離することができる。一般式(1)の化合物のラセミ体またはエナンチオマーが必要な場合には、ラセミ体の酒石酸誘導体または光学活性の酒石酸誘導体を選択的に用いて、一般式(10a)と一般式(10b)のラセミ混合物、一般式(10a)の立体異性体、または一般式(10b)の立体異性体が製造される。特に、光学活性の酒石酸誘導体を用いると、一般式(1)の化合物中の一つのエナチオマーが一般式(10a)または(10b)の ジアステレオマー塩を生成するので、一般式(1)の化合物を光学分割することができる。反応に使われる光学活性の酒石酸誘導体は、D,L−酒石酸、O,O'−ジベンゾイル酒石酸のような光学活性の酒石酸を包含するが、これらに制限されない。
【0065】
以下の実施例を考慮に入れると、本発明に対してより良い理解が得られるであろう、この実施例は説明を目的として述べられているのであって、如何なる方法によっても、本発明を制限するように解釈されてはならない。
【発明の効果】
【0066】
本発明は、極低温条件を必要とせず、そして中間体(6)を、結晶化によって容易に精製して、一般式(1)の化合物を高純度で提供するので、公知の従来技術より優れた利点を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明は、下記の一般式(6)の化合物を製造する方法に関するものである。
これは以下の工程:
(a)下記一般式(3)の化合物を脱保護して、下記一般式(4)の化合物を製造すること;
(b)一般式(4)の化合物をROC(=O)ORと反応させて、下記一般式(9)の化合物を製造すること;及び
(c)一般式(9)の化合物をNH(R)(R)と反応させること:
を含有してなる。
【0068】
【化013】

【0069】
式中の、R及びRは独立して、アルキル基を表し;
は独立して、アルキル基を表すか、またはそれらが結合している酸素原子と共に、ジオキソランまたはジオキサンを形成でき;
及びRは独立して、水素、トリアルキルシリル基、アリールメチル基または1−アリールエチル基を表し、そして
Pは保護基を表す。
【実施例1】
【0070】
2−フルオロ−1−モルホリン−4−イル-エタノン(8)
フルオロ酢酸エチル(50g、472mmol)とモルホリン(82g、944mmol)との混合物を70℃で20時間加熱した。室温に冷却した後、上記混合物に2NのHCl(240mL)とメチレンクロリド(200mL)との混合物を撹拌しながら20分に亘って加えた。有機層を分離し、水層を塩化メチレン(200mL×2回)で抽出した。合わせた有機層を無水MgSOで乾燥し、真空下で濃縮して、表題化合物(51.7g、74.6%)を得た。
H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:4.96 (d, J = 47.2 Hz, 2H), 3.70 (bs, 4H), 3.64 (bs, 2H), 3.47 (bs, 2H).
【実施例2】
【0071】
1−フルオロ−4−トリメチルシラニル−ブタン−3−イン−2−オン(2)
0℃のトリメチルシリルアセチレン(42.0g、429mmol)のTHF(400mL)溶液を、ドライアイス−アセトン浴(−20℃)を用いて内部温度を10℃以下に保持しながら、n−BuLi(n−ヘキサン中2.5M;171mL、428mmol)で20分に亘って処理した。0℃で30分間撹拌した後、上記混合物を2−フルオロ−1−モルホリン−4−イル−エタノン ((8)、48.4g、329mmol)のTHF(50mL+洗浄用10mL)溶液で処理し、0℃でさらに1時間撹拌を続けた。内部温度を5℃以下に保持しながら、上記混合物を0℃の酢酸(250mL)と水(100mL)の混合物に1時間に亘って加えて反応を停止した。水(150mL)をさらに加えた後、有機層を分離し、水(200mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥して、真空下で濃縮した。残渣をトルエン(200mL)で再び蒸留して残っている酢酸を除去し、真空下で蒸留(8mbar、54℃)して、表題化合物(33.7g、64.8%)を得た.
H NMR (500 MHz, CDCl3)δ:4.90 (d, J = 47.1 Hz, 2H), 0.26 (s, 9H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3)δ:181.0 (d, J = 21.5 Hz), 104.0, 98.1, 84.8 (d, J = 187 Hz).
【実施例3】
【0072】
4−フルオロ−3,3−ジメトキシ−ブタン−1−イン(4、R=メチル)
1−フルオロ−4−トリメチルシラニル−ブタン−3−イン−2−オン (50.0g、316mmol)のメタノール(260mL)溶液をオルトギ酸トリメチル(33.6g、316mmol)及びp−TsOH−HO(6.0g,31.5mmol)で処理し、6時間還流(浴温:80℃) した。約130mLの溶媒を減圧下で蒸留除去し、残渣をジクロロメタン(260mL)及び10%のNaHCO溶液(130mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(130mL)で抽出した。有機層を混合し、減圧下で蒸留して、一般式(3)の粗化合物(59.0g、92%)を得た。この化合物は次の反応で用いた。
H NMR (500 MHz, CDCl3)δ:4.38 (d, J = 47.1 Hz, 2H), 3.40 (s, 6H), 0.20 (s, 9H).
【0073】
一般式(3)の粗化合物(59.0g、289mmol)のジクロロメタン(280mL)溶液に、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド(59mg、0.183mmol)と1NのNaOH(347mL、347mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(110mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(110mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して、粗製の表題化合物((4)、R=メチル;40.9g、107%)を得た。
H NMR (500 MHz, CDCl3)δ: 4.42 (d, J = 47.1 Hz, 2H), 3.42 (s, 6H), 2.64 (s, 1H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3)δ:96.1 (d, J = 20.3 Hz), 82.9 (d, J = 180 Hz), 77.5, 75.5, 51.0.
【実施例4】
【0074】
3−エトキシ−5−フルオロ−4,4−ジメトキシペンタン−2−エン酸エチル((9)、R及びR=エチル、R=メチル)
TMF(150mL)中の、4−フルオロ−3,3−ジメトキシ−ブタン−1−イン(4、R=メチル 、20.0g、152mmol)とジエチルカーボネート(20.1mL、167mmol)との混合物を0℃に冷却し、カリウムエトキシド(3.8g、45.2mmol)で処理した。0℃で4時間撹拌した後、上記溶液を飽和NHCl水溶液と水との1:1混合物(200mL)に加え、t−ブチルメチルエーテル(200mL×2回)で抽出した。合わせた有機層を水(100mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥させて、粗製の表題化合物((9)、R及びR=エチル、R=メチル、37.8g、99.7%、Z:E=6.5:1)を得た。
(Z)−異性体:
H NMR (400 MHz, CDCl3)δ:5.84 (s, 1H), 4.48 (d, J = 46.8 Hz, 2H), 4.27 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.17 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.26 (s, 6H), 1.32 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.28 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3)δ:164.9, 162.5, 100.7, 99.2 (d, J = 30 Hz), 78.5 (d, J = 180 Hz), 70.7, 59.7, 48.9, 15.3, 14.0.
(E)−異性体:
H NMR (400 MHz, CDCl3)δ:5.21 (s, 1H), 4.59 (d, J = 46.8 Hz, 2H), 4.16 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.82 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.29 (s, 6H), 1.35 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.29 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3)δ:167.2, 157.3, 99.8 (d, J = 20 Hz), 97.6, 80.6 (d, J = 180 Hz), 64.0, 60.2, 49.4, 14.0.
【実施例5】
【0075】
(Z)−3−ベンジルアミノ−5−フルオロ−4,4−ジメトキシペンタン−2−エン酸エチル((6)、R=エチル、R=メチル、R=ベンジル、R=水素)
3−エトキシ−5−フルオロ−4,4−ジメトキシペンタン−2−エン酸エチル((9)、R及びR=エチル、R=メチル、37.8g、151mmol)とベンジルアミン(99mL、907mmol)との混合物を100℃で20時間加熱した。この混合物を0℃に冷却した後、混合物を酢酸エチル(300mL)で希釈し、内部温度を20℃以下に保持しながら、1NのHCl(360mL)で30分に亘って処理した。分離した有機層を1NのHCl(330mL)で処理し、pHを4程度に調節した。有機層を分離し、飽和NHCl水溶液(60mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥して、真空下で濃縮した。残渣を80℃に加熱して、エタノール(150mL)に溶解し、水(70mL)で処理した。油浴を除去した後、混合物を室温で4時間撹拌し、0℃でさらに1時間撹拌した。生成した沈澱物をろ過し、エタノールと水の2:1混合物(120mL)で洗浄し、窒素パージで乾燥して、表題化合物((6)、R=エチル、R=メチル、R=ベンジル、R=水素、30.2g、収率64%、一般式(4)の化合物から2工程)を得た。
H NMR (500 MHz, CDCl3)δ:8.53 (bs, 1H), 7.33 (m, 5H), 5.07 (s, 1H), 4.64 (d, J = 5.5 Hz, 2H), 4.48 (d, J = 46.5 Hz, 2H), 4.10 (q, J = 7.4 Hz, 2H), 3.30 (s, 6H), 1.25 (t, J = 7.4 Hz, 3H).
【実施例6】
【0076】
3−(ベンジルアミノ)−5−フルオロ−4,4−ジメトキシペンタン酸エチル((7)、R=エチル、R=メチル、R=ベンジル、R=水素)
冷却した(Z)−3−ベンジルアミノ−5−フルオロ−4,4−ジメトキシペンタン−2−エン酸エチル((6)、R=エチル、R=メチル、R=ベンジル、R=水素;30.2g,97mmol)のt−ブチルメチルエーテル(97mL)溶液に、混合物の温度を0℃に保持しながら、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH;7.34g,194mmol)と酢酸(58g、970mmol)を30分に亘って加えた。30分後、3NのNaOH水溶液(194mL、582mmol)を30分に亘ってゆっくり加えた。有機層を分離し、食塩水(97mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して、表題化合物((7)、R=エチル、R=メチル、R=ベンジル、R=水素、32.1g、106%)を得た。この化合物は次の工程で用いた。
H NMR (400 MHz, CDCl3)δ:7.35-7.21 (m, 5H), 4.53 (2dd, J = 46.8, 10.4 Hz, 2H), 4.13 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.80 (2d, J = 12.8 Hz, 2H), 3.53 (dd, J = 8.4, 4.0Hz, 1H), 3.30 (s, 3H), 3.22 (s, 3H), 2.79 (dd, J = 15.6, 3.6 Hz, 1H), 2.40 (ddd, J = 15.6, 8.0, 1.6 Hz, 1H), 1.25 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
【実施例7】
【0077】
3−アミノ−5−フルオロ−4,4−ジメトキシペンタン酸エチル((1)、R=エチル、R=メチル)
3−(ベンジルアミノ)−5−フルオロ−4,4−ジメトキシペンタン酸エチル((7)、R=エチル、R=メチル、R=ベンジル、R=水素、32.1g、103mmol)のメタノール(321mL)溶液を水素雰囲気(1気圧)下で、10%パラジウム触媒(10%Pd/C)で4時間処理した。粗製の混合物をセライト(登録商標、96g)のパッドでろ過し、メタノール(160mL)で洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮して表題化合物((1)、R=エチル、R=メチル、21.4g、94%)を得た。この化合物は次の工程で用いた。
H NMR (500 MHz, CDCl3)δ:4.53 (2dd, J = 46.5, 10.4 Hz, 2H), 4.14 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 3.57 (dd, J = 11.0, 1.9 Hz, 1H), 3.29 (d, J = 11.7 Hz, 6H), 2.73 (dd, J = 16.5, 2.5 Hz, 1H), 2.36 (ddd, J = 16.5, 10.4, 2.5 Hz, 1H), 1.25 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
【実施例8】
【0078】
1−エトキシ−5−フルオロ−4,4−ジメトキシ−1−オキソペンタン−3−アミニウムタートレート
((10)、R=エチル、R=メチル、R=H)
3−アミノ−5−フルオロ−4,4−ジメトキシペンタン酸エチル((1)、R=エチル、R=メチル、4.33g,19.4mmol)のイソプロパノール(40mL)溶液を50℃に加熱し、D,L−酒石酸(2.91g、19.4mmol)の水(6.6mL)溶液で処理した。油浴を除去し、混合物を室温で2時間撹拌した。生成した懸濁液をイソプロパノール(47mL)と水(2mL)との混合物で希釈し、さらに2時間撹拌した。沈澱物をろ過し、イソプロパノール(18mL)で洗浄し、Nパージで乾燥して、表題化合物((10)、R=エチル、R=メチル、R=H 、6.31g、87.1%)を得た。
H NMR (500 MHz, CDCl3)δ:4.58 (dd, J = 11.0 and 46.5 Hz, 1H), 4.40 (dd, J = 11.0 and 46.5 Hz, 1H), 4.09 (s, 2H), 4.04 (q, J = 6.8 Hz, 2H), 3.44 (dd, J = 3.1 and 10.4 Hz, 1H), 3.18 (s, 3H), 3.17 (s, 3H), 2.58 (dd, J = 3.5 and 15.9 Hz, 1H), 2.29 (ddd, J = 1.9, 9.8 and 15.9 Hz, 1H), 1.16 (t, 2.58, J = 7.4 Hz, 3H).
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、一般式(1)の化合物を製造する方法に関する。上記合成方法は極低温条件を必要とせず、そして再結晶によって中間体(6)を容易に精製して、高い純度の一般式(1)の化合物を提供することができるので、大規模の合成をより実行可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)一般式(3)の化合物を脱保護して、一般式(4)の化合物を製造する工程;
(b)一般式(4)の化合物をROC(=O)ORと反応させて、一般式(9)の化合物を製造する工程;及び
(c)一般式(9)の化合物をNH(R)(R)と反応させる工程;
を含有してなる、一般式(6)の化合物を製造する方法:
【化014】

(式中の、R及びRは独立して、アルキル基を表し;
は独立して、アルキル基を表すか、またはそれらが結合している酸素原子と共に、ジオキソランまたはジオキサンを形成でき;
及びRは独立して、水素、トリアルキルシリル基、アリールメチル基または1−アリールエチル基を表し、そして
Pは保護基を表す)。
【請求項2】
工程(a)を、MOH、M(OH)、(MCO、(M)HCO及びMCO(ここで、Mはアルカリ金属を表し、そしてMはアルカリ土類金属を表す)よりなる群から選択される一つ以上の塩基の存在下で遂行する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の第一級、第二級または第三級アルコキシド;グリニャール試薬;アルキルリチウム;リチウムジアルキルアミド;リチウムヘキサメチルシラジド;ナトリウムヘキサメチルシラジド;及びカリウムヘキサメチルシラジドよりなる群から選択される一つ以上の塩基の存在下で遂行する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
塩基の量が、一般式(4)の化合物に対して、0.05〜1.5当量である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)のR及びRが独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びイソプロピルよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)におけるROC(=O)ORの量が、一般式(4)の化合物に対して、1〜5当量である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)を、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びN−メチルピロリジノンよりなる群から選択される一つ以上の溶媒、またはそれらのテトラヒドロフランとの混合溶媒中で遂行する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)におけるR及びRが独立して、水素、トリアルキルシリル、ベンジル、1−フェニルエチル及び1−ナフチルエチルよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)の後に、一般式(6)の化合物をC−C−アルコール及びC−C−ケトンよりなる群から選択される一つ以上の溶媒、及び水の存在下で結晶化させるもう一つの工程を含有してなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
一般式(3)の化合物を製造する工程が、
(d)一般式(8)の化合物をトリメチルシリルアセチレンのアニオンと反応させて、一般式(2)の化合物を製造する工程;及び
(e)一般式(2)の化合物を保護基と反応させる工程;
を含有してなる、請求項1に記載の方法:
【化015】

(式中の、Rは独立して、アルキル基を表すか、またはそれらが結合している酸素原子と共に、ジオキソランまたはジオキサンを形成でき;
及びRは独立して、アルキル基またはアルコキシ基を表すか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒に、4〜8員複素環を形成でき;そして
Pは保護基を表す)。
【請求項11】
工程(d)におけるトリメチルシリルアセチレンのアニオンの量が、一般式(8)の化合物に対して、1〜3当量である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(e)請求項1に記載の方法によって得られる一般式(6)の化合物を、炭素間二重結合を選択的に還元できる還元剤の存在下で還元させて、一般式(7)の化合物を製造する工程;及び
(f)一般式(7)の化合物を水素化する工程;
を含有してなる、一般式(1)の化合物を製造する方法:
【化016】

(式中の、Rはアルキル基を表し;
は独立してアルキル基を表すか、またはそれらが結合している酸素原子と共に、ジオキソランまたはジオキサンを形成でき;そして
及びRは独立して、水素、トリアルキルシリル基、アリールメチル基または1−アリールエチル基を表す)。
【請求項13】
工程(e)の還元剤が、(i)トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム;(ii)酢酸及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム;または(iii)酢酸及び水素化ホウ素ナトリウムよりなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(f)の水素化工程が金属触媒の存在下で遂行される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法で製造された一般式(1)の化合物を酒石酸誘導体と反応させることを含有してなる、一般式(10)の化合物を製造する方法:
【化017】

(式中の、Rはアルキル基を表し;
は独立してアルキル基を表すか、またはそれらが結合している酸素原子と共に、ジオキソランまたはジオキサンを形成でき;
は水素、アルキル基またはアシル基を表し、アシル基はRC(=O)−の形態を有し;そして
Rはアルキル基またはアリール基である)。
【請求項16】
酒石酸誘導体の量が、一般式(1)の化合物に対して、0.9〜1.5当量である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
酒石酸誘導体が酒石酸である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
光学活性の酒石酸またはO,O’−ジベンゾイル酒石酸を酒石酸誘導体として用いて一般式(10)化合物中の一つの立体異性体を製造する、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2010−500403(P2010−500403A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524548(P2009−524548)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際出願番号】PCT/KR2007/003822
【国際公開番号】WO2008/020691
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(503430614)エルジー ライフサイエンス リミテッド (6)
【Fターム(参考)】