説明

3次元製織のための織機およびその製織方法

【課題】3次元生地の製造のための織機と、製織方法を提供する。
【解決手段】横糸が横入れされるとき、あらかじめ所望の二次元の行路が与えられており、たて糸12の位置は、横糸経路23に適合している。横糸経路は、たて糸の間のひ口に延びる筬羽44によって定められ、筬羽は共通のバー45に配置されて互いに独立して位置決めすることができ、筬羽の位置決めによって、所望の横糸経路の調整が可能となる。筬羽およびバーは、同時に筬43を構成し、織り前で横糸を織り出すために用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元製織のための織機およびその製織方法に関する。
【背景技術】
【0002】
織布は複合材料の補強手段としてよく用いられる。その際、織物の繊維は、引っ張り荷重にさらされるのが好ましい。自動車製造または造船において見られるような、三次元的に構成された構成部品では、複合材料に取り入れられた生地(織物)は、所望の構成部品の形に適合しなければならない。
【0003】
生地全体が、個々に切られ、それから3次元部品に重なるように配置され、そして積層よって組み込まれる。このプロセスは時間がかかるし高価である。そのため、二次元の生地にひだをつけることも提案されたが、引っ張られた部分が形成され、引っ張られた部分の生地密度は低い。他に、余剰材料を切り出すかまたはプリーツ状に重畳しなければならない。
【0004】
3次元生地の製織のための機械化された方法および装置も説明されてきている。
【0005】
特許文献1から、筬(リード)に、編み出し方向に、そして横糸方向に、各々に対して位置を変えられように配列された筬羽(細幅鉄板板)を備えることは知られていた。たて糸は筬羽を通して案内され、そして空間的な輪郭が得られるように、それらの距離は調整される。類似の装置は、特許文献2にも記載されている。結果として生じる輪郭は、筬羽が当接する際に、平面、二次元の形から3次元の形にまで、構成を変える。この種の製織工程は、比較的遅い。しばしば、3次元の形への変化を付加的なドレーピングを行うことで補強することが必要である。
【0006】
特許文献3の著者は、3次元生地の形を、球状の巻き取りローラによって生産することを提案する。この場合、生地は、所望の形にするために、製織作業の後引っ張られる。
【0007】
特許文献4から知られた方法によると、三次元的に形成された生地領域は、織り込まれたたて糸または横糸の数が変化するか、または織りのタイプが変えられるように形成されている。たて糸の距離は、筬羽の距離を変えることによって、達成できる。この筬は扇形であるので、2枚の隣接する筬羽間の距離は変化する。従って、筬を移動させることによって、2つの隣接するたて糸の間の距離は、調整され得る。輪郭の変化は、たて糸の編み出しの際、筬によって生じさせられる。
【0008】
特許文献5は、3次元生地の製織のための装置を記載する。そこでは、樋口形成装置と生地の巻き取りとの間に、成形部材が、織り前の上流側に配置され、その成形部材は、製造すべき生地形態の形状を有する。成形部材は、いくつかのディスクか、またはその代わりに、一連の調節可能なタペットからなっていてもよい。また、この方法の場合、所望の形は、横糸の編み出しの際に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許発明第4137082号明細書
【特許文献2】米国特許第5465762号明細書
【特許文献3】欧州特許第0302012号明細書
【特許文献4】欧州特許第0819188号明細書
【特許文献5】独国特許発明第3915085号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明により達成される目的は、3次元生地の製造のためのこれまで知られた方法および装置を改良した、織機と、同様に織物方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の特徴を有する織機と、同様に請求項12の特徴を有する方法により達成される。
【0012】
本発明によれば、3次元生地が直接織られる。横糸は、開かれたひ口に横糸経路に沿って横入れされる。横糸経路は、横入れ方向に対して横断方向に曲がっていて、したがって二次元の形を有する。このように、あらかじめ横糸の行路により、3次元生地の形が得られる。ひ口を開くために、ひ口の同じ側に位置するたて糸は横糸経路に沿う位置に、たて糸が持ってこられることが好ましい。このように、開かれたひ口はたて糸経路の輪郭に適合する。この際、横糸経路からのたて糸の距離は、あらかじめ特定されてもよく、特に、一定でよい。
【0013】
横糸経路は、たて糸の間で、開かれたひ口に延びる筬羽の助けを借りて、定められるのが好ましい。各筬羽は、織り前の方向に開いている横糸切り欠きを有することができる。筬羽の横糸切り欠きは、横糸経路に沿ってひ口に配置される。横糸が入ると、横糸は、筬羽の横糸切り欠きを通して移送され、そのようにして、その所望の二次元の行路が与えられる。このように、横糸切り欠きにより、横糸チャネルが、横糸を案内するために作成される。
【0014】
筬羽は、共通のバーに位置するのが好ましい。筬羽は、それらの延長部分の方向に移動され得るように、バーに配置される。このように、所望の横糸経路は、交互に筬羽を移動することによって、非常に容易に調整され得る。筬羽の位置は、各横糸が入った後に変えられ得る。この結果として、連続的な移行による3次元生地の形が作成され得る。実施例において、筬羽およびバーは、織機の筬(リード)を構成する。横糸を織り出すために、筬は回転可能に支持される。結果的に、筬羽は、横糸経路を定めるためだけでなく、同時に、織り前で横糸を織り出すために設けられる。筬羽は、バー上で互いに平行に支持されているのが好ましい。
【0015】
ヘルドは、ひ口形成のために設けられており、ヘルドのひ口変更方向において、可動である。この結果、たて糸は所望の位置にもたらされ得る。好ましい実施例においては、ヘルド・ドライブが設けられ、その手段により、ヘルドはひ口変更方向に互いに独立してその位置が定められ得る。横糸経路に適合する輪郭をもつひ口を形成するために、1のグループのたて糸は、所望の横糸経路の上方に、あらかじめ特定された距離をもって位置を定められ、そして、他のグループのたて糸は、横糸経路の下方に、あらかじめ特定された距離をもって位置を定められる。この方法により、所望のひ口の開口角度が得られる。
【0016】
ヘルド・ドライブの反対側の端部に、ヘルドは共通のヘルド・ホルダに固定される。ヘルドとヘルド・ホルダとの間に、弾性要素があり、ヘルドは、ヘルド・ホルダの方へ弾性要素の弾性力によって引かれ、そしてヘルド・ドライブによりヘルド・ホルダから離れて反対方向に動くことができる。ヘルド・ドライブがヘルドにいかなる力も作用させないと、ヘルドは弾性要素によって、その休止位置にもたらされる。
【0017】
製織される3次元生地の幅を変えるために、一以上のたて糸ホルダを通して、一以上のたて糸を把握して分離することができる。分離したたて糸を引き続き再利用するために、たて糸グループのたて糸の一以上、好ましくは全てを保持でき、それらを使用可能に保つことができる把持具を設けることができる。この方法により、例えば横入れ方向に、製織された生地の幅を異ならせることができる。生地に結び目のない穴あるいは領域が設けられるべき場合は、例えば、生地の中心から個別のたて糸を取り去ることも可能である。グリッパー、ロボットアーム等の助けを借りて、取り去って保持された使用可能なたて糸を、織物工程に戻すこともできる。
【0018】
織機は、横糸を横入れするための横糸入力装置、または横糸を切るための切断装置を備えてもよい。これらの2つの装置の位置は、所望の横糸経路に適合させることができる。従って、横糸入力装置および/または切断装置は、それらがひ口変更方向に移動できるように配置される。横糸方向の生地の変更幅に合わせて、横糸入力装置および/または切断装置は、それらが横糸入力方向に移動きるように配置されてもよい。
【0019】
二次元の横糸経路に沿った横糸の移送は、流体ノズルの助けによるのが好ましい。流体ノズルは、2枚の筬羽の間に、そして、特に、バーに配置される。具体的には、流体ノズルは、ひ口変更方向に移動できるようにバーに備えられ、流体ノズルによって発生する流体の流れは、それぞれ調整された横糸経路に適合できる。
【0020】
本発明の有利な実施態様は、従属の特許請求の範囲から、同様に記載から明らかである。記載は本発明の本質的な特徴に限定されている。図面は補完参照のために用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ひ口形成の模式的な斜視図である。
【図2】たて糸方向の、開いたひ口の概略図である。
【図3】所望の横糸経路の調整のための筬羽の模式的な斜視図である。
【図4】ブロック図で表現された織機の模式的な側面図である。
【図5】ブロック図で表現された織機の模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図4および図5はブロック図による織機10を示す。織機10は、織機10にたて糸12を供給するスプール・ラック11を備える。保持ラック13は引き込み方向R(図1)に、一様に隣り合うようにたて糸12を揃える。保持ラック13から始まり、各たて糸12はヘルド(そうこう)15のメール(目、アイ)14を通って延びる。たて糸12は、更に、すでに織られた、仕上がった生地が終わる、織り前16にまで延びる。巻き取り装置17はすでに形成された生地を引き取り、その際、織機10の巻き取り方向Aへのたて糸12の移送を確実にする。実施例において、巻き取り装置17は引き込み方向Rの生地幅全体にわたる巻き取りローラ18を備え、当該巻き取りローラ群は、一以上の互い弾性をもって押圧され得るローラの対を形成できる。巻き取りローラの一以上が、駆動される。
【0023】
ヘルド・ドライブ(駆動装置)22はひ口を構成するために備えられ、ヘルド15の各々はそのドライブ(駆動装置)に接続される。ヘルド・ドライブ22は、ヘルド15の各々と、したがってそのメール14を個別に、したがって一つのひ口形成あるいはひ口変更方向Fに、互いに独立に、動かせる。ヘルド15またはメール14の位置は、設定された織りによって決まる。例えば、リネン織の場合には、引き込み方向Rの隣接するメール14は、横糸経路23のどちらか一方側に交替にある(図2)。図2は、リネン織りの場合の開いたひ口21の概略図である。ヘルド・ドライブ22は、例えばジャカード機の駆動装置のように構成されることができ、各ヘルド15は個別に移動できる。ヘルド・ドライブ22として、ダイレクトドライブ、例えばリニア駆動装置を用いることも可能である。
【0024】
ヘルド・ドライブ22の反対側にあるそれらの端部24で、ヘルド15は共通のヘルド・ホルダ26と、間に弾性要素25を入れて接続される。ヘルド・ドライブ22はヘルドを、弾性要素25の力に反して、ヘルド・ホルダ26から引き出すことができる。ヘルド・ドライブ22がヘルド15にいかなる力も作用させない場合、ヘルドは、メール14がヘルド・ホルダ26からその最も小さな距離にある休止位置にある。弾性要素25は、例えば弦巻コイルでもよい。
【0025】
個別のヘルド・ドライブに代わるものとして、少なくとも3つのヘルド枠によっても、ひ口形成が可能である。この場合、各ヘルド枠は、ヘルド・ドライブ22を有し、その中でヘルド15が可動に配置される。織られることとなる3D(3次元)生地の形により、これはヘルド15のメール14の異なる高さの結果であるが、各メールの水準ごとに1つのヘルドが与えられてもよい。このヘルドに、糸の変化する方向Fに一緒に移動することのできる、いくつかのヘルドを配置することが可能である。
【0026】
図1から明らかなように、たて糸12の巻き取り方向Aに見て、入力装置30は、たて糸12のグループの外側でヘルド配置を延長したところに配置される。入力装置30は、横糸32を開かれたひ口21へ横入れするために設けられる。本実施例において、入力装置30は、横糸32を供給するためのスプール本体31と、同様にスプール31からの横糸32を切るための切断装置(例示せず)とを備える。横糸32は、この実施例では、主ノズル33を介して、横糸横入れ方向Rへ発射される。これを達成するため、主ノズル33は横糸の横入れ方向Rに入力する流体の流れ、好ましくは空気流を生成し、その流れは横入れされた糸に沿って運ばれる。代わりとして、入力装置30は、発射体、ひ(杼、シャットル)またはグリッパーを備えることもできる。
【0027】
入力装置30のたて糸の反対側に、横入れされた横糸32を受け取り、その位置を定めるために設けられた受け取り装置37がある。
【0028】
織機10は、製織工程から個別のたて糸を取り去ることができる。本実施例では、織機10は、一以上のたて糸保持具38を備え、それは巻き取り装置17の上流側にある織り前16の領域にある。これは、一以上の個々のたて糸12を分離し、それらを保持する。これを達成するため、図4および図5の実施例の一点鎖線で示されるたて糸12aにより概略的に示されるように、たて糸は、ヘルド・ドライブ22によって、最初にひ口形成領域から移動され、続いてたて糸保持具38により分離されて、待機位置で保持される。たて糸保持具38は、分離されることとなるたて糸12aを握持して配置するために動ける。実施例では、そのたて糸保持具は、第1の旋回軸39について、そしてその第1の旋回軸39に対して半径方向に、回転できように支持される。織機10は、いくつかのたて糸保持具38を備えてもよい。それらは引き込み方向Rに移動できるように配置されてもよい。
【0029】
織機10はいくつかのたて糸を受けることができる把持具40を備えることもできる。たて糸グループの各たて糸12のための把持具40は、いくつかの分離されたたて糸12aが個別に、そして別々に保持され得るように、たて糸の把持位置を構成する手段を備えるのが好ましい。たて糸保持具38により、たて糸13のたて糸グループのいくつかのたて糸12aを取り去って、把持具にそれらを供給することが可能である。このために、たて糸保持具38は、たて糸グループのたて糸の位置によらず、その保持具が、織物工程から取り去られたたて糸12を把持することができ、その糸を切って、その糸の端部を把持具へ移すように構成される。たて糸保持具38は、半径方向および線形可動性を有するベアリングを備え、織物のその位置によらず、たて糸12を把持することができ、把持具にそれを供給できることが好ましい。たて糸保持具38のたて糸を把持するスペースは、たて糸のグループの全ての幅全体に延びていることが好ましい。
【0030】
製織工程でたて糸12を取り去ることによって、例えば、横糸の横入れ方向Rの生地の幅を変えることが可能である。その時は、側面のたて糸12がたて糸保持具38により製織される生地の織り前で分離され、待機位置へ移動される。例えば、穴または結び目のない領域が生地に製作される場合、織り前側にないたて糸12を分離して、製織工程からそれらを取り除くことも可能である。この場合、製織の後、生地の中から不必要な横糸または横糸部分を取り除く必要があるかもしれない。
【0031】
止められたたて糸12がまた製織工程に戻されることになる場合、たて糸保持具38によって、または他の特に示されないグリッパー装置によって工程に戻されるのが好ましいかもしれない
【0032】
たて糸保持具38は、リード43と織り前16との間に設けられるのが好ましい。このようにして、たて糸が織り前16の領域においてのみ直接切り離され、保持されることが確実とされ得、したがって、たて糸12は、従前通り、ヘルド15および筬43のメール14を通過する。
【0033】
図3から明らかなように、筬43は共通のバー45に配置されるいくつかの筬羽44をもち、それらは、それらの延長方向Eに移動され得る。筬羽44は、調整ドライブ42を介して位置が定められる(図4)。たて糸12に割り当てられるそれらの端部領域46において、各筬羽は横糸切り欠き47を有する。横糸切り欠き47は、実施例では、筬羽44の3つの側面によってその範囲を決められる。横糸切り欠き47は、織り前16に向かう方向に開いている。実施例では、横糸切り欠き47は平行パイプ形状(平回6面体)を有する。筬羽も平行パイプ形状の輪郭を有するのが好ましい。説明した実施例の変形例では、横糸切り欠き47の輪郭を異ならせることも可能であり、例えば横断面において見ると、多角形のいずれでも、丸形、特に円の部分の形でも実施できる。筬羽44の形を変更することも可能である。
【0034】
筬羽44の端部領域46は、開かれたひ口21に延びている。これらの端部領域46は、開かれたひ口21を通る横糸32が通ることとなる、横糸経路23を決定する。実施例によれば、横糸切り欠き47は、共に横糸経路23を定める。横糸切り欠き47はそのまま横糸チャネルを形作り、そこを通して横糸32が横糸経路23に沿って案内される。筬羽44がバー45に配置され、それらが互いに対し移動され得る結果、ひ口21を通るいかなる曲がった横糸経路23も実現できる。横糸経路23は、したがって、二次元の行路となる。
【0035】
第2の旋回軸50(図4)について回転できるように、筬43は支持される。横糸が入った後に、筬43は、第2旋回軸50の周りに、横糸32の織り出しのための織り前16の方へ回転する。
【0036】
流体ノズル51が、バー45上、筬羽44の間に配置され得る。流体ノズル51は、横糸経路23に沿って流体の流れを生成する。そのために、流体ノズル51は、横糸切り欠き47に割り当てられるその端部52に、流体出口を有し、横糸32の移送方向の、隣接する横糸切り欠きの方向に、流体を噴射する。流体ノズル51により噴射される流体は、図3の矢印53によって概略示されている。流体ノズル51は、バー45上の延長方向Eにある筬羽44と平行して移動され得るので、流体出口を備えた端部52は、横糸経路23の外側に位置できる。端部52は、例えば、横糸経路23に隣接して2、3ミリメートルまたはセンチメートル離れたところに配置される。調整ドライブ42は流体ノズル51の位置を定めるために設けられる。ここで示される筬43の実施例では、流体ノズル51は2枚の筬羽44の間に各々提供される。しかしながら、流体ノズル51の数はより少なくてもよい。流体ノズル51は、気流を生成するのが好ましい。
【0037】
筬43の筬羽44の数は、用いられるたて糸12の数によって決まる。2枚の隣接する筬羽44との間に少なくとも一のたて糸12があるが、この場合、他の配分も可能であり、隣接する筬羽44の間に2以上の糸12が通る。
【0038】
本発明の織機10は、以下のように動作する。
【0039】
ヘルド・ドライブ22は、ひ口21を開くために、必要とされる位置にヘルド15およびそれらのメール14を移動する。その際、第1のグループ55のメール(図2)は、ひの変更方向Fにおいて、たて糸経路23の一方側にあるのに対して、第2のグループ56のメール14はたて糸経路23の他の側に配置される。横糸経路23からの、メール14を通るグループ55または56のたて糸12の距離は、1つのグループ55または56の中で同じでよい。開いたひ口は、たて糸経路23の間で一定の開口幅を有する結果となる。メール14を通って移動する、一方または両方のグループ55、56のたて糸12の距離が異なり、そのために、異なった開口幅を有するひ口21が横糸経路23の経路に形成さることも可能である。それぞれのグループ55または56に属するメール14の数および種類、および横糸経路23に対するこれらの距離の大きさは、ひが入れられる所望の織りおよび方法による。
【0040】
筬羽44は、調整ドライブ42により位置が定まる。この場合、横糸切り欠き47は、所望の横糸経路23に沿って、開かれたひ口21内に配置される。調整ドライブ42は流体ノズル51の位置を定めるためにも設けられている。
【0041】
横入れ装置30を介して、横糸32は横入れされ、筬羽44の横糸切り欠き47を通して、横糸経路23に沿って移送される。この際、横糸の移送は、流体ノズル51からの流体の流れ53により促進される。受け取り装置37は、横糸を把持しその位置を定める。横糸経路23によってあらかじめ特定された3次元生地を製織するために、入れられた横糸32は、織り前16で織り出される前にしかるべくその所望の行路を描く。それに適合すべく、たて糸12も位置決めされる。この状態で、筬43が第2の旋回軸50について回転し、横糸32は織り前16で織り出される。
【0042】
織り出しの後、筬43は再度回転して、織り前16から離れる。ヘルド・ドライブ22は、次の横糸入力のために必要とされるメール14の位置調整を開始する。調整ドライブ42は、必要とされる横糸経路23に応じて筬羽44を調整する。その横糸経路の行路は、以前の横糸経路の行路および流体ノズル51の位置に対して変えられてもよい。製織工程が改めて始まる。結果として、横糸経路23が構成されることができ、その経路の行路は次に入力される1つの横糸とは異なる。
【0043】
横糸経路23へ適合するよう、入力装置30および/または受け取り装置37は、ひ口変更方向Fにおいて、調節可能に配置され得る。より狭い生地を製織するため、横方向のたて糸12が、適当なたて糸保持具38により製織工程から取り去られることにより、横糸32の長さが短くなったとき、これらの2つの装置30、37の少なくとも1つは、同じく引き入れ方向Rに移動可能であるように調整され得る。
【0044】
本発明は、横糸が横入れされるときに、横糸32にはあらかじめ所望の二次元の行路が与えられている、3次元直接製織のための織機10と製織方法とに関する。たて糸12の位置は、横糸経路23に適合している。横糸経路23は、たて糸12の間の、ひ口21に延びる筬羽44によって定められる。筬羽44は、共通のバー45に配置され、個別に調整されることができ、したがって、筬羽44の位置決めによって、所望の横糸経路23の調整が可能となる。筬羽44およびバー45は、同時に筬43を構成し、織り前16で横糸32を織り出すために用いられる。
【符号の説明】
【0045】
10 織機
11 スプール・ラック
12 たて糸
13 保持ラック
14 メール(目、アイ)
15 ヘルド(そうこう)
16 織り前
17 巻き取り装置
18 巻き取りローラ
21 ひ口
22 ヘルド・ドライブ(駆動装置)
23 横糸経路
24 そうこうの端
25 弾性要素
26 ヘルド・ホルダ
30 入力装置
31 スプール本体
32 横糸
33 主ノズル
37 受け取り装置
38 たて糸保持具
39 第1の旋回軸
40 把持具
42 調整ドライブ
43 筬(リード)
44 筬羽
45 バー
46 筬羽の端領域
47 横糸用切欠き
50 第2の旋回軸
51 流体ノズル
52 流体ノズルの端
53 矢印
55 第1のメールグループ
56 第2のメールグループ
A 巻き取り方向
E 延長方向
F ひの変更方向
R 引き込み方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行して配置されるヘルド(15)であって、当該各ヘルドはたて糸(12)のためのメール(14)を有するものと、
ひ口変更方向(F)に、互いに独立して当該ヘルド(15)の当該メール(14)の位置を定めるヘルド・ドライブ(22)と、
当該たて糸(12)の間にあり、ひ口(21)に延びる筬羽(44)であって、当該筬羽は、当該ひ口変更方向(F)に、互いに独立して位置決めされることができ、二次元の横糸経路(23)を決定するために設けられ、それに沿って横糸(32)が当該ひ口(21)に入力されるもの
からなる3次元製織のための織機。
【請求項2】
前記筬羽(44)の各々は、織り前(16)方向に開いた横糸切り欠き(47)を有し、前記横糸経路(23)を決定すること、を特徴とする請求項1に記載の織機。
【請求項3】
前期筬羽(44)は、移動できるように共通のバー(45)で支えられていること、を特徴とする請求項1に記載の織機。
【請求項4】
前記筬羽(44)と前記バー(45)が筬(43)を構成すること、を特徴とする請求項1に記載の織機。
【請求項5】
ヘルド・ドライブ(22)が、前記横糸経路(23)の一方の側のあらかじめ特定された距離にある前記メール(14)のグループ(55)、および前記横糸経路(23)の他の側のあらかじめ特定された距離にある前記メール(14)の他のグループ(56)の位置を定めること、を特徴とする請求項1に記載の織機。
【請求項6】
前記ヘルド(15)は、その端部(24)が前記ヘルド・ドライブの反対側にあるヘルド保持具(26)に弾性要素(25)を介して固定されること、を特徴とする請求項1に記載の織機。
【請求項7】
たて糸保持具(38)が設けられ、当該保持具は、前記たて糸(12a)を把握し分離できること、を特徴とする請求項1に記載の織機。
【請求項8】
前記たて糸保持具(38)は、前記筬(43)と前記織り前(16)との間に配置されること、を特徴とする請求項7に記載の織機。
【請求項9】
把持具(40)が設けられ、当該把持具は分離された前記たて糸(12a)を受け取ることができること、を特徴とする請求項1に記載の織機。
【請求項10】
前記把持具(40)は、いくつかの分離された前記たて糸(12a)を別々に受け取り、把持できる手段を備えること、を特徴とする請求項9に記載の織機。
【請求項11】
前記横糸(32)を横入れするための入力装置(30)および/または前記横糸(32)を受け取るための受け取り装置(37)は、前記ひ口変更方向(F)に位置を定められ得ること、を特徴とする請求項1に記載の織機。
【請求項12】
流体ノズル(51)が、横糸の移動を補助するために、2枚の前記筬羽(44)の間に配置されること、を特徴とする請求項1に記載の織機。
【請求項13】
たて糸(12)の位置を定めることにより、行路が二次元の横糸経路(23)に従うひ口(21)を開くこと、
開かれた当該ひ口(21)の、当該二次元の横糸経路(23)を決定すること、
当該二次元の横糸経路(23)に沿って当該ひ口(21)に横糸(32)を横入れすること
からなる3次元製織のための方法。
【請求項14】
一方の前記ひ口の境界を定める前記たて糸(12)は、前記二次元の横糸経路(23)の進路に従う経路の方向(R)に位置すること、を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ひ口(21)に延びる前記たて糸(12)の間の前記筬羽(44)は、織り前(16)の方へ開いたそれらの横糸切り欠き(47)が、開かれた前記ひ口(21)の中の前記横糸経路(23)にあるように、互いに独立に位置すること、を特徴とする請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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