説明

3次元造形装置、3次元造形物の製造方法及び3次元造形物

【課題】無駄に使用される粉体材料を減らすことができる3次元造形装置、3次元造形物の製造方法及び3次元造形物を提供すること。
【解決手段】3次元造形物60の本体61だけでなく、枠体62も3次元造形物60の一部として、造形ボックス21内に形成される。これにより、少なくとも、その枠体62自身の体積とその枠体62内の容積との合計分の粉体4が造形ステージ22上に供給されればよいので、造形ボックス21内に均一に粉体4を敷き詰める必要がなくなる。したがって、無駄に使用される粉体4を減らすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面画像データの積層により3次元形状を形成する3次元造形装置及びその3次元造形装置により造られた造形物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の3次元造形装置は、ラピッドプロトタイピングと呼ばれる装置として知られており、業務用として広く使われている。3次元造形装置の主な方式として、光造形方式、シート積層造形方式、そして、粉体造形方式がある。
【0003】
光造形方式は、光硬化型の樹脂に高出力レーザを照射して、断面形状を形成し、その積層によって3次元形状を造るものである。シート積層造形方式は、薄厚シートを層状に切り抜き、接着して積層して、3次元形状を造るものである。粉体造形方式は、粉体材料を層状に敷き詰めて、断面形状を作り、それを積層して3次元形状を造るものである。
【0004】
粉体造形方式は、更に、粉体を溶融または焼結するものと、接着剤を使って粉体を固化させるものとに大分される。前者は、ナイロン材料にレーザを照射して断面を形成することにより3次元形状を造るものである。後者は、石膏を主成分とする粉末に、印刷機等に用いられるインクジェットのヘッドを用いて、接着剤を吐出して固化させ、断面層を形成し、それを積層することによって3次元形状を造るものである。
【0005】
インクジェットヘッドを利用した粉体造形方式では、インクジェットプリンタのヘッドが、石膏の粉体が敷き詰められたシート上であたかも印刷をするように移動しながら、粉体を結合させる結合剤溶液を吐出する。
【0006】
このような粉体造形方式を採用した装置が特許文献1に開示されている。特許文献1では、特許文献1では、その図2に示されるように、粉体を吐出するヘッド(41)(粉体分散ヘッド(13))が、粉体が収容される領域(フォーム)(14及び42)上を移動しながら粉体を供給する。そして、粉体粒子同士を結合させるための結合剤材料を吐出するヘッド(43)(インクジェット印刷ヘッド(15))が、その領域(42)上を移動しながら、結合剤材料を粉体に選択的に吐出することで、結合剤層が形成される(特許文献1の明細書のページ7に記載。)。また、この装置は、その図7に示されるように、供給された粉体の表面をレベリングするための水平ローラ(101)も走行する構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表平7−507508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような粉体造形方式による造形装置では、粉体が収容される領域であるボックス全体に粉体が均一に敷き詰められ、そのボックス内で造形物が形成される。したがって、形成される造形物の容積に比べ、ボックス内に収容されなければならない粉体の容積は大きくなる。特に、特許文献1の図1に示されるように、ボックス(フォーム)内に複数の同じ造形物を一度に形成する装置ではボックス内の容積が大きいため、大量の粉体を必要とし、使用されない無駄な粉体が多くなる。
【0009】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、無駄に使用される粉体材料を減らすことができる3次元造形装置、3次元造形物の製造方法及び3次元造形物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る3次元造形装置は、供給機構と、堆積領域と、可変機構と、吐出機構と、制御手段とを具備する。
前記供給機構は、粉体材料を供給する。
前記堆積領域は、前記供給機構により供給された前記粉体材料が堆積される領域である。
前記可変機構は、前記粉体材料を所定の層厚ごとに前記堆積領域内に堆積させるために、前記層厚ごとに前記堆積領域の容積を変える。
前記吐出機構は、前記粉体材料を硬化させることが可能な、3次元造形物を形成するための液剤を、前記堆積領域内に堆積された前記層厚ごとの前記粉体材料に吐出する。
前記制御手段は、前記3次元造形物のうち、造形対象物体の造形物である本体と、前記本体の周囲に形成される造形物である枠体とを形成するように、前記粉体材料に前記液剤を前記吐出機構により吐出させる。
【0011】
本発明では、供給機構により、少なくとも、その枠体自身の体積とその枠体内の容積との合計分の粉体材料が堆積領域内に供給されればよいので、堆積領域に均一な厚さで粉体材料を敷き詰める必要がなくなる。したがって、無駄に使用される粉体材料を減らすことができる。
【0012】
前記堆積領域は、第1の側と、前記第1の側の反対側の第2の側とを有する。その場合、前記供給機構は、供給ボックスと、搬送機構とを有してもよい。
【0013】
前記供給ボックスは、前記堆積領域の前記第1の側に隣接するように配置され、前記粉体材料を貯留することが可能である。
前記搬送機構は、前記堆積領域の全領域のうち、前記第2の側より前記第1の側に近い領域に前記粉体材料が多く偏るように、前記供給ボックスに貯留された前記粉体材料を搬送する。
【0014】
本体及び枠体を含む全体の3次元造形物が、堆積領域の全領域より小さい領域に形成される場合、堆積領域の全領域ではなく、全体の3次元造形物が形成される領域である、堆積領域の少なくとも一部の領域(第1の側に近い領域)に粉体材料が供給されればよい。この場合に、堆積領域の全領域のうち、供給ボックス側に近い領域に粉体材料が多く偏るように搬送機構が粉体材料を堆積領域に搬送することができる。
【0015】
前記吐出機構は、複数色のインクを前記液剤として吐出可能であってもよい。その場合、前記制御手段は、前記枠体を形成する前記粉体材料に複数色のインクを前記吐出機構に吐出させることにより、前記複数色で色付けられた前記枠体が形成される。これにより、上記複数色で色付けられた枠体を、作業者またはコンピュータが認識して、所望の色のインクが吐出されているか等を検査することができる。
【0016】
前記制御手段は、少なくとも前記粉体の積層方向に垂直な面内で見て、前記枠体の外形が等方形状を有するように、前記吐出機構に前記液剤を吐出させてもよい。仮に枠体がない場合であって、造形物である本体の本来の形状が等方形状を有していない場合、本体の完成後に本体が歪む場合がある。本発明では、枠体が形成されることにより、その歪みが発生することを抑制することができる。
【0017】
前記制御手段は、前記枠体を含む造形物を複数形成するように、前記吐出機構に前記液剤を吐出させてもよい。
【0018】
前記3次元造形装置は、前記形成された枠体を撮影するカメラをさらに具備してもよい。例えば、カメラにより得られた枠体の画像を、作業者が確認することにより、液剤の吐出状態を把握することができる。あるいは、枠体の画像情報がコンピュータにフィードバックされ、液剤の吐出機構のメンテナンス等の調整が行われてもよい。
【0019】
本発明に係る3次元造形物の製造方法では、粉体材料が堆積領域に供給される。
前記粉体材料を所定の層厚ごとに前記堆積領域内に堆積させるために、前記層厚ごとに前記堆積領域の容積が変えられる。
3次元造形物のうち、造形対象物体の造形物である本体と、前記本体の周囲に形成される造形物である枠体とを形成するように、前記粉体材料を硬化させることが可能な、前記3次元造形物を形成するための液剤が、前記堆積領域内に堆積された前記粉体材料に吐出される。
【0020】
本発明に係る3次元造形物は、上記製造方法により得られたものである。
【0021】
本発明の他の観点に係る3次元造形装置は、供給機構と、堆積領域と、可変機構と、吐出機構と、制御手段とを具備する。
前記供給機構は、粉体材料を供給する。
前記堆積領域は、前記供給機構により供給された前記粉体材料が堆積される領域である。
前記可変機構は、前記粉体材料を所定の層厚ごとに前記堆積領域内に堆積させるために、前記層厚ごとに前記堆積領域の容積を変える。
前記吐出機構は、前記粉体材料を硬化させることが可能な、3次元造形物を形成するための液剤を、前記堆積領域内に堆積された前記層厚ごとの前記粉体材料に吐出する。
前記制御手段は、前記3次元造形物のうち、造形対象物体の造形物である本体と、前記堆積領域内を仕切るための仕切体とを形成するように、前記粉体材料に前記液剤を前記吐出機構により吐出させる。
【0022】
本発明では、供給機構により、少なくとも、本体自身の体積、その仕切体自身の体積、及び、本体と仕切体との間の容積との合計分の粉体材料が堆積領域内に供給されればよいので、堆積領域に均一な厚さで粉体材料を敷き詰める必要がなくなる。したがって、無駄に使用される粉体材料を減らすことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上、本発明によれば、無駄に使用される粉体材料を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る3次元造形装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す3次元造形装置の平面図である。
【図3】図3は、その側面図である。
【図4】図4は、主に3次元造形装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、3次元造形装置の機械的な動作を順に示す、側面から見た模式図である。
【図6】図6は、3次元造形装置により形成される、造形ボックス内の3次元造形物を示す平面図である。
【図7】図7は、その3次元造形物を示す斜視図である。
【図8】図8(A)〜(D)は、造形物が形成された後、作業者がその造形物を3次元造形装置から取り出す手順を示す図である。
【図9】図9は。インクジェットヘッドによる吐出不良により描かれる造形物の例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施形態に係る3次元造形装置の一部を模式的に示す図である。
【図11】図11は、枠体の形状の他の実施形態を説明するための平面図である。
【図12】図12は、枠体の形状のさらに別の実施形態を示す平面図である。
【図13】図13は、枠体の形状のさらに別の実施形態を示す平面図である。
【図14】図14(A)〜(E)は、1つの造形ボックスで、本体及び四角の枠体を含む造形物が複数形成される例を示す平面図である。
【図15】図15(A)及び(B)は、さらに別の実施形態に係る枠体の配置を示す平面図である。
【図16】図16は、一部の側壁がない枠体を示す平面図である。
【図17】図17は、上記各実施形態で説明した枠体に代えて、造形物としての仕切体が形成される例を示す平面図である。
【図18】図18は、本発明の第3の実施形態に係る3次元造形装置の一部を模式的に示す図である。
【図19】図19は、枠体が形成されない場合に、本体が歪む方向を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0026】
[第1の実施形態]
(3次元造形装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る3次元造形装置を示す斜視図である。図2は、図1に示す3次元造形装置100の平面図であり、図3は、その側面図である。
【0027】
3次元造形装置100は、立体格子状のフレーム1と、このフレーム1上に固定されたプレート2とを備える。プレート2の中央部には、プレート2の長手方向であるY方向に沿って造形作業用の開口部2aが設けられている。その開口部2aの下部には、粉体材料(以下、単に粉体4という。)の供給機構としての供給部10、粉体4による造形物が形成される造形部20、粉体4の回収ボックス31が配置されている。これら供給部10、造形部20及び回収ボックス31は、図2及び図3に示すように、それらの図中左側からY方向に沿って順に並ぶように配置されている。
【0028】
供給部10は、粉体4を貯留することが可能な供給ボックス11、供給ボックス11内に配置され供給ボックス11に貯留された粉体4を下から押し上げることで、開口部2aを介してプレート2上に粉体4を供給する供給ステージ12、供給ステージ12を昇降させる昇降シリンダ13を有する。
【0029】
粉体4としては、例えば、食塩、石膏、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの無機物が用いられる。塩化ナトリウムとにがり成分(硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムなど)が混合されたものが用いられてもよい。すなわち、これは塩化ナトリウムを主成分とするものである。あるいは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸アンモニウム、メタアクリル酸ナトリウムやその共重合体などの有機物を用いることもできる。粉体4の平均粒子径は、典型的には10μm以上100μm以下である。食塩が用いられることにより、例えば金属またはプラスチック等の粉体材料を用いる場合に比べ、粉体材料の抽出や加工等に要するエネルギーが低いので環境に良い。しかしながら、粉体として金属またはプラスチックが用いられてもよい。
【0030】
供給部10に隣接して配置された造形部20は、粉体4を貯留することが可能な造形ボックス21、造形ボックス21内に配置され、粉体4が堆積され、形成される造形物を下から支持する造形ステージ22、造形ステージ22を昇降させる昇降シリンダ23を有する。昇降シリンダ13及び23は、例えばボイスコイルモータを利用するもの、あるいは流体圧を利用するものが用いられる。造形ステージ22を底面として、造形ボックス21内の領域が、粉体4の堆積される堆積領域となる。
【0031】
図2に示すように、造形部20は、Y方向で第1の側201とその反対側の第2の側202とを有する。造形ボックス21は、第1の側201が供給部10に隣接するように配置されている。
【0032】
図2で見て、造形ボックス21のX方向の長さは10〜50cm、そのY方向の長さは20〜100cmに設定されるが、この範囲に限られない。
【0033】
供給ボックス11及び造形ボックス21のそれぞれの底面には、余剰な粉体4を排出するための排出口12a及び22aが設けられている。排出口12a及び22aには、粉体4の排出路を形成する部材5が接続されている。それらの部材5の下方には、排出口12a及び22a及びその排出路を形成する部材5を介して自重により排出されてきた粉体4を回収するボックス6がそれぞれ配置されている。
【0034】
各ボックス11、12及び31の上部は開口され、それらの開口面は、プレート2の開口部2aにそれぞれ対面するように配置されている。
【0035】
プレート2の開口部2aの供給部10側の端部付近には、供給部10から供給された粉体4を造形部20に搬送する搬送機構としてのローラ16が配置されている。ローラ16は、各ボックス11、12及び31の配列方向とは水平面内で直交する方向、すなわちX方向に沿って設けられた回転軸17を有する。また、プレート2上にはローラ16をY方向に移動させる移動機構26が設けられている。
【0036】
移動機構26は、開口部2aのX方向での両側でY方向に沿って延設されたガイドレール25と、これらのガイドレール25の上部に配置された駆動機構とを有する。駆動機構としては、例えばラックアンドピニオンによる駆動機構が用いられる。この場合、図4に示すように、駆動機構は、移動モータ32、この移動モータ32により駆動されるギア28、このギア28と噛み合うラックギア27を有する。ラックギア27は、ガイドレール25またはプレート2上の適切な位置に配置されている。
【0037】
また、図4に示すように、3次元造形装置100は、ローラ16を回転させるための回転モータ29を備えている。ローラ16を回転させるために、移動モータ32の駆動力が図示しないギア等を介してローラ16の回転軸17に伝達されるようにしてもよい。
【0038】
上記駆動機構として、ラックアンドピニオン駆動機構に限られず、ボールネジ駆動機構、ベルト駆動機構、チェーン駆動機構、電磁的または静電気的な作用によるリニアモータ駆動機構が用いられもよい。
【0039】
また、造形部20において造形ステージ22上の粉体4にインクを吐出することが可能な吐出機構としてのインクジェットヘッド41が、プレート2上で移動可能に設けられている。インクジェットヘッド41は、移動機構26に接続された駆動ユニット40に搭載されており、駆動ユニット40は、移動機構26によりY方向に移動可能に設けられている。例えば、駆動ユニット40は、図4に示すように、Y方向移動モータ33、このY方向移動モータ33により駆動されるギア48、及び上記ラックギア27によりY方向に移動する。このような構成により、インクジェットヘッド41は、プレート2の開口部2a上で、X−Y平面内でスキャン移動が可能となる。
【0040】
図1〜3に示すように、駆動ユニット40は、移動体43と、移動体43上に搭載されたボールネジ42とを備えている。インクジェットヘッド41は、このボールネジ42により移動体43上をX方向に移動可能とされている。駆動ユニット40は、ボールネジ駆動機構に代えて、上記した他の駆動機構を有していてもよい。
【0041】
インクジェットヘッド41は、一般的なプリンタ用のインクジェットヘッド41の構成及び機能と同様のものが用いられればよい。インクジェットの発生機構として、例えばピエゾ素子やサーマル素子が用いられる。インクジェットヘッド41は、例えば、シアン、マゼンダ及びイエローの各色(以下CMYという。)のインクを吐出することができ、つまり、カラーのインクを吐出することができる。
【0042】
インクの材料としては、例えば水性インクが用いられ、市販のインクジェットプリンタ用のインクを用いることも可能である。インクには接着剤であるPVP(ポリビニルピロリドン)が混ざったものが用いられもよい。インクは、粉体4の材料に応じて油性であってもよい。無色インクも用いられてもよい。例えば、純水とエチルアルコールを重量比で1対1に混合したもの、純水にグリセリンを重量比5〜20%混合したもの、これらの混合物にさらに微量の界面活性剤を混合したものが用いられる。
【0043】
本実施形態では、例えばインク中の水分により粉体4が硬化(つまり、粉体粒子同士が結合)するような、インク及び粉体4の各材料が選定される。
【0044】
図4は、主に3次元造形装置100の制御システムの構成を示すブロック図である。
【0045】
この制御システムは、ホストコンピュータ51、メモリ52、画像処理コンピュータ90、粉体供給コントローラ53、造形ステージコントローラ54、回転モータコントローラ56、移動モータコントローラ55、ヘッド駆動コントローラ57、ヘッドスキャンコントローラ58を備える。
【0046】
ホストコンピュータ51は、上記メモリ52及び各種コントローラの駆動を統括的に制御する。メモリ52は、ホストコンピュータ51に接続され、揮発性または不揮発性のどちらでもよい。
【0047】
画像処理コンピュータ90は、後述するように造形対象物体の断層化画像としてCT(Computed Tomography)の画像データを取り込み、このCT画像データについてBMP(ビットマップ)形式に変換する等の画像処理を実行する。画像処理コンピュータ90は、典型的には3次元造形装置100とは別体のコンピュータであり、ホストコンピュータ51に例えばUSB(Universal Serial Bus)により接続され、記憶された画像処理後の画像データをホストコンピュータ51に送信する。
【0048】
ホストコンピュータ51と画像処理コンピュータ90の接続形態は、USBに限られず、SCSI(Small Computer System Interface)、その他の形態でもよい。また、有線及び無線のどちらでもよい。なお、画像処理コンピュータ90は、3次元造形装置100内に搭載された画像処理用のデバイスであってもよい。また、画像処理コンピュータ90が3次元造形装置100と別体の装置である場合、画像処理コンピュータ90は、CT装置と一体となっていてもよい。
【0049】
粉体供給コントローラ53は、供給ステージ12の昇降駆動を制御することで、プレート2の開口部2aを介してプレート2上に盛り出る粉体4の量を制御するため、昇降シリンダ13の昇降駆動量を制御する。
【0050】
造形ステージコントローラ54は、インクジェットヘッド41による1層分の粉体4へのプリント動作ごとに、後述するように造形ステージ22を所定の高さ単位で下降させていくために、昇降シリンダ13の昇降駆動量を制御する。
【0051】
ヘッド駆動コントローラ57は、ヘッドのX−Y平面内での駆動信号をヘッドスキャンコントローラ58に出力する。また、ヘッド駆動コントローラ57は、各色のインクの吐出量を制御するために、インクジェットヘッド41内のインクジェットの発生機構に駆動信号を出力する。
【0052】
ヘッドスキャンコントローラ58は、Y方向移動モータ33及び駆動ユニット40に搭載された、上記ボールネジ駆動機構のX方向駆動用のモータの駆動を制御する。
【0053】
上記ホストコンピュータ51、画像処理コンピュータ90、造形ステージコントローラ54、粉体供給コントローラ53、回転モータコントローラ56、移動モータコントローラ55、ヘッド駆動コントローラ57及びヘッドスキャンコントローラ58は、例えば次のようなハードウェア、または、そのハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより実現されればよい。そのハードウェアは制御手段の一部または全部として構成され、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、あるいはこれらに類するものが用いられる。
【0054】
メモリ52は、固体(半導体、誘電体または磁気抵抗)メモリのほか、磁気ディスク、光ディスク等の記憶デバイスでもよい。
【0055】
(3次元造形装置の動作)
以上のように構成された3次元造形装置100(及び画像処理コンピュータ90)の動作について説明する。
【0056】
画像処理コンピュータ90により、例えば造形の対象物体の断層化画像のデータであるCT画像データが読み込まれる。CT画像データは、医療分野において、典型的にはDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)データとして扱われる。CTとは、X線を用いたCTに限られず、SPECT(Single Photon Emission CT)、PET(Positron Emission Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等を含む広義のCTを意味する。
【0057】
画像処理コンピュータ90により読み込まれたCT画像データは、カラーによるビットマップ化等の所定の処理が施されて上記DICOMデータが生成され、このDICOMデータがホストコンピュータ51に読み込まれる。ビットマップ画像データまたはDICOMデータの作成時において、作成者は色の選択を自由に行えばよい。例えば造形対象物が人体の一部、例えば臓器等の場合、血管を赤、脂肪を黄色というように色付けすることができる。3次元造形装置100では、その画像データに対応して複数色で色付けされた3次元造形物60が形成される。あるいは、ビットマップ画像データは、白黒の2値、またはグレースケールで作成されてもよい。ホストコンピュータ51は、このDICOMデータによる1層ごとの画像に基づき、以下のように3次元造形装置100を動作させる。
【0058】
図5は、その3次元造形装置100の機械的な動作を順に示す、側面から見た模式図である。図5(A)〜(D)では、後述するように、インクが吐出されることで粉体4が硬化される層が1層分(所定の層厚分)形成される工程が示されている。粉体4及び未硬化の粉体4がドットのハッチングで示され、硬化層が黒塗りで示されている。
【0059】
図6は、3次元造形装置100により形成される、造形ボックス21内の3次元造形物を示す平面図である。図7は、この3次元造形物60を示す斜視図である。図6及び7に示すように、本実施形態では、造形の対象物体の造形物である本体61と、この本体61の周囲に形成される造形物である枠体62とが形成される。図6に示した例では、造形対象物体は人間の顎骨とされている。枠体62は、上記ホストコンピュータ51により予め設定された形状に形成され、本実施形態では、上壁及び底壁がない四方の側壁で構成された、外形が直方体形状でなるものである。
【0060】
また、枠体62のX−Y平面で見た形状は、等方性(等方形状)を有している。ここで、等方性を有するとは、少なくとも1つの面であるX−Y平面内において、2つの直交する直線を軸にした場合、それぞれの軸に対して軸対称形状を有することを意味する。例えば2つの直線はX及びYの両方向にそれぞれ沿った軸であるが、これに限られない。等方性については、Y−Z平面及びZ−X平面についても同様である。図6に示した枠体62は、例えば実質的に正方形を有している。このように枠体62の少なくとも1平面での形状が等方性を有することにより、後に詳述するように、本体61の形状の歪みが発生することを抑制することができる。
【0061】
本実施形態では、図5(A)〜(D)に示すように、造形ステージ22及び造形ボックス21内の全領域のうち、第2の側202より第1の側201に粉体4が多く偏るように、ローラ16により粉体4が造形ボックス21内に搬送される。これは、粉体4の使用量を極力減らすためである。これにより、粉体4が堆積される、造形ボックス21内の堆積領域の全領域のうち、供給部10に近い側に偏るように、本体61及び枠体62を含む3次元造形物60が形成される。
【0062】
図5(A)に示すように、造形部20の造形ステージ22には、硬化層及び未硬化の粉体層が積層された状態となっており、この状態から、硬化層を1層形成する工程が開始される。図5(A)において、ローラ16及びインクジェットヘッド41が示されている位置が、ぞれぞれの待機位置とされる。
【0063】
まず、図5(B)に示すように、供給部10の供給ステージ12に堆積している粉体4が昇降シリンダ13により押し上げられ、1層分の粉体層よりも少し過剰な量の粉体4が、プレート2の上面より高い位置まで供給される。また、造形部20において、造形ステージ22が降下することで、硬化層及び未硬化の粉体層の上面とプレート2の上面との間に、粉体層(硬化層)の1層分の厚さの間隔が設けられる。この場合、例えば造形ステージコントローラ54及び昇降シリンダ13は、粉体4の堆積領域の容積を変える可変機構として機能する。
【0064】
図5(B)において粉体層の1層分の厚さuは、積層のCT画像データのピッチである1mmと同じか、それより小さい1/10(0.1mm)とされるが、これに限られない。粉体層の1層分の厚さuがCT画像データのピッチより小さい場合、画像処理コンピュータ90は、CT画像データに基づき補間等の処理を実行するソフトウェアによって、2層分のCT画像データの間を形成する1枚または複数枚のDICOMデータを生成してもよい。
【0065】
図5(C)に示すように、図5(C)においてローラ16が反時計回りに回転しつつ、白抜きの矢印の方向に移動することにより、供給部10から供給された粉体4が搬送される。ここで、ローラ16の回転方向は、ローラ16を回転自在にして(ローラ16の回転軸にかかる回転力をフリーにして)白抜きの矢印の方向に移動させたとしたときに、ローラ16と造形部20との摩擦によりローラ16が回転するであろう方向に対して逆の方向である。このようなローラ16の回転により粉体4が搬送されることで、造形部20の硬化層及び未硬化の粉体層の上面に設けられた間隔に粉体4が、少なくとも3次元造形物60が形成される領域において、均一に均された粉体層が形成される。
【0066】
図5(D)に示すように、ローラ16が造形部20を通過して、過剰な量の粉体4を回収ボックス31に排出して待機位置まで戻る動作と連動するように、インクジェットヘッド41が移動しながら、カラー画像を描くようにインクを吐出する。この場合、ヘッド駆動コントローラ57等は、ホストコンピュータ51からの指令に応じて、本体61及び枠体62を形成するように、1層分の粉体層に、インクジェットヘッド41からインクを選択的に吐出する。これにより、粉体層にインクが浸透し、インクが吐出された部分の粉体4が互いに接着され、硬化層が形成される。
【0067】
なお、ローラ16が粉体4を搬送し終えて待機位置に戻った後に、ヘッド駆動コントローラ57は、インクジェットヘッド41の移動を開始し、インクの吐出を開始させてもよい。しかし、上記のように、ローラ16の戻り動作の時間帯とヘッドの移動動作の時間帯とが重なることにより、処理時間を短縮することができる。
【0068】
インクジェットヘッド41が待機位置まで戻ると、図5(A)に示す状態に戻り、1層分の着色されたDICOM画像データに対応する、造形物が形成される。そして、次の層の多値化画像が、図5(B)〜(C)の示した動作により、粉体4に描かれ、硬化層が積層される。このような動作によって、枠体62を含む3次元造形物60を形成することができる。
【0069】
造形物60が形成された後、作業者は図8(A)〜(D)に順に示すような手順で作業する。図8(A)に示すように、作業者は、本体61及び枠体62を含む造形物60を、造形ステージ22のプレート22aごと造形ボックス21内から取り出す。なお、プレート22aは造形ステージ22とは別体であって、造形ステージ22上にプレートが載置され、そのプレート上に造形物60が形成されてもよい。作業者は、図8(B)に示すように、枠体62の外側にある余分な粉体4を取り除き、本体61及び枠体62を含む造形物60をプレート22aごと図示しない加熱処理装置により加熱する。そして、図8(C)及び(D)に示すように、枠体62と本体61とを分離する。このような加熱処理によって、水分が蒸発した、すなわち硬度を高められた造形物を得ることができる。
【0070】
なお、本実施形態ではカラーインクが吐出されることにより、粉体4がカラーで着色され、カラーの3次元造形物60が形成される。造形物60の領域ごとに異なるカラーで着色できれば、完成した造形物60の各領域を観察しやすくしたりすることができるなど、利便性が向上する。ここでいう造形物60の領域とは、造形物60の表面だけでなく内部の領域の意味も含む。
【0071】
以上のように、本実施形態では、本体61だけでなく、枠体62も3次元造形物60の一部として形成される。これにより、少なくとも、その枠体62自身の体積とその枠体62内の容積との合計分の粉体4が造形ステージ22上に供給されればよいので、造形ボックス21内に均一に粉体4を敷き詰める必要がなくなる。したがって、無駄に使用される粉体4を減らすことができる。
【0072】
また、枠体62の外形が等方性を有することにより、次のような効果を得ることができる。仮に枠体62がない場合であって、本体61の本来の形状が等方的でない場合は、例えば図19に示すように、方向によって本体61の加熱処理時に本体61での熱の伝わり方が部分によって異なり、本体61が伸びたり縮んだりして形状が歪む場合がある。本実施形態では、等方性の外形を有する枠体62が形成されることにより、加熱処理時の熱の伝わり方が均一になるため、伸縮を起こす力の発生を抑え、本体61の形状の歪みの発生を抑えることができる。
【0073】
本実施形態では、造形部20の第2の側202まで均一に粉体4を供給する必要がないので、ローラ16がその第2の側202まで移動する必要がない。したがって、ローラ16の移動時間を短縮することができ、その結果、造形物60の形成に要する時間を短縮することができる。1つの造形物60が形成されるまでには、1層分の厚さにもよるが数百層の硬化層が必要になるため、1層分の処理時間を少しでも減らすことができればメリットは大きい。
【0074】
本実施形態では、枠体62が形成されることにより、枠体62の形状が立方体や直方体等であり単純であるため、形成された造形物(枠体62)のサイズを測定しやすい。また、それによって本体61のサイズの管理も容易になる。
【0075】
本実施形態では、枠体62が形成され、かつ、本体61及び枠体62を含む造形物60が、造形部20の第1の側201に近い側に形成されることにより、回収ボックス31の容積を小さくできるか、または回収ボックス31が不要になる、というメリットもある。これにより、3次元造形装置100を小型化することができる。すなわち、造形ボックス21内における、第2の側202側に近い領域での粉体4の量をその他の領域に比べ少なくすることができるので、回収ボックス31に収容される粉体4の量も少なくなる。これにより、回収ボックス31の容積を小さくできるか、または回収ボックス31が不要になる。
【0076】
本実施形態では、枠体62の一部にもカラーで着色された領域が形成される。図6に示した例では、枠体62の、Y方向に沿った2つの側壁62aがカラーで着色されている。この場合、2つの側壁62aの全部またはZ方向における上層部(所定厚さの表面部)がカラーで着色されればよい。このようなカラーで着色された側壁62aはカラーバーとして機能する。すなわち、作業者がこのカラーバーを見ることにより、インクジェットヘッド41のインクのカラー調整を行うことができる。カラーバーとして機能するためには全色が着色されていることが望ましいが、必ずしも全色でなくてもよい。
【0077】
また本実施形態では、図6に示すように、枠体62の、X方向に沿った2つの側壁62b及び62cのうち、1つの側壁62bには所定の連続するパターンで、図形や模様等が印刷されている。例えば図9に示すように、その連続したパターンを作業者が観察することにより、点状または線状にインクが抜ける欠陥である点欠陥64または線欠陥63等、インクジェットヘッド41による吐出不良を容易に発見することができる。インクの吐出不良が起こると、造形物60に割れたり欠けたりするおそれがある。
【0078】
また本実施形態では、図6に示すように、枠体62の、X方向に沿った2つの側壁62b及び62cのうち、側壁62cに造形物60(の本体61)の管理番号が印刷されている。これにより、造形物60の管理が容易になる。管理番号が印刷されることにより、後述するように、1つの造形ボックス21内に複数の造形物60が形成される場合にも有効である。
【0079】
これら枠体62の、X方向に沿った2つの側壁62b及び62cは1色でそれぞれ着色されてもよく、その場合、比較的濃い色が用いられればよい。
【0080】
[第2の実施形態]
図10は、本発明の第2の実施形態に係る3次元造形装置の一部を模式的に示す図である。これ以降の説明では、図1等に示した実施形態に係る3次元造形装置100が含む部材や機能等について同様のものは説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0081】
本実施形態に係る3次元造形装置は、造形部20上に配置されたカメラ71を備えている。カメラ71は図示しないCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の光電変換素子を有する。カメラ71は、図10に示すように複数、例えば2つでもよいが、1つでもよい。
【0082】
カメラ71により、少なくとも、造形物60の一部として形成された枠体62が撮影され、その画像データがホストコンピュータ51に送られる。ホストコンピュータ51は、この画像データを解析することにより、上述した点欠陥64及び線欠陥63を認識することができる。この解析結果の情報に基づき、作業者またはホストコンピュータ51は、インクジェットヘッド41を含むインクの供給装置のメンテナンス等の調整を行うことができる。
【0083】
カメラ71が本体61のみを撮影して、点欠陥64及び線欠陥63を認識する場合に比べ、枠体62を撮影してそれらを認識する場合の方が、それらの欠陥がはっきりと現れるので、その認識の精度を高めることができる。
【0084】
[枠体62の形状等に関する他の実施形態]
図11は、枠体の形状の他の実施形態を説明するための図である。この実施形態に係る枠体621は、上壁及び底壁がない円筒形状を有する。この場合、Y−Z平面(あるいはZ−X平面)で見た形状は、長方形または正方形である。枠体621は、上記実施形態の枠体62と同様にカラーバーの機能を有する。このような枠体621の形状によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0085】
別の実施形態として図12に示す枠体622は、X−Y平面で見て正六角形状を有する。さらに別の実施形態として図13に示す枠体623は、X−Y平面で見て正五角形状を有する。これらの他、正三角形、正八角形、その他の多角形の枠体62を実現可能である。
【0086】
[枠体の個数及び造形ステージ上での配置に関する他の実施形態]
図14(A)〜(E)に示すように、1つの造形ステージ上(1つの造形ボックス21内)で、本体61及び四角の枠体62を含む1つの造形物が複数形成されてもよい。これらの実施形態でも、複数の造形物が第1の側201に近い領域で形成されている。また、各造形物の配置形態についても、図14(A)〜(E)で示されるように種々の形態が実現可能である。
【0087】
図15(A)に示す実施形態では、円筒状枠体621を含む造形物が複数、例えば2つ形成されている。図15(B)に示す実施形態では、互いに異なる形状の枠体62及び621を含む複数の造形物が形成されている。これら図15(A)及び(B)の実施形態における造形物の形状、個数及び配置は、図12(A)、(B)及び図14(B)〜(E)のように適宜変更可能である。
【0088】
[枠体の形状等に関するさらに別の実施形態]
(例1)
図16に示す実施形態に係る枠体162は、造形部20の第1の側201に近い方の側壁を有していない。その代わり、枠体162は、Y方向に沿った2つの側壁162aの端部が、造形ボックス21の壁に近接するように形成され、造形物の形成時において、この造形ボックス21の壁が枠体162の一部の機能を有する。
【0089】
(例2)
図17は、上記各実施形態で説明した枠体に代えて、造形物としての仕切体68により造形ボックス21内の堆積領域が仕切られている。この仕切体68も、上記各実施形態に係る枠体と同様に、カラー、模様、形状、個数、配置等、種々の変形が可能である。
【0090】
[第3の実施形態に係る3次元造形装置]
図18は、本発明の第3の実施形態に係る3次元造形装置の一部を模式的に示す図である。
【0091】
この3次元造形装置200は、吐出機構としてのインクジェットヘッド41と、粉体4を貯留する供給ユニット110と、供給ボックス113の下部を通るように、それらインクジェットヘッド41及び供給ユニット110の並ぶ方向で移動可能な造形ユニット120とを備える。
【0092】
供給ユニット110は、供給ボックス113と、供給ボックス113の下部に設けられた、粉体4の排出口111と、回転可能に設けられ、排出口111から粉体4の自重を利用して粉体4を下方に排出させる供給ローラ112とを有する。供給ローラ112は、例えば2つ設けられ、これらの供給ローラ112は互いに逆回転するようになっている。
【0093】
造形ユニット120は、造形ボックス121及び昇降可能な造形ステージ122を有する。上記供給ローラ112は、造形ステージ122上の粉体をならす機能も有する。すなわち、供給ローラ112は、供給ボックス113の下方あたりで造形ユニット120が移動している間に、回転することにより、粉体4を造形ボックス121内に供給するとともに、造形ステージ122上の粉体をならす。
【0094】
このように構成された3次元造形装置200では、供給ユニット110により、実質的に1層分ずつの粉体4が造形ステージ122上に供給され、インクジェットヘッド41によりインクが吐出される。インクジェットヘッド41は、本体61及び枠体62を含む3次元造形物60を形成するように、インクを粉体4に吐出する。形成される枠体62として、図6及び7に示した形態に限られず、上記各実施形態に係る枠体が形成されてもよい。
【0095】
[その他の実施形態]
本発明に係る実施形態は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態が実現される。
【0096】
例えば図6及び7に示した枠体62は4つの側壁で形成され、底壁を有しないものであったが、底壁を有していてもよい。この場合、図8に示したプレート22aはなくてもよい。
【0097】
図6及び7に示した枠体62、その他の上記各実施形態に係る枠体は、図17に示すように仕切体68としての機能を有する。この場合において、例えば、複数の造形物を形成する場合は、その仕切体によりマトリクス上に仕切られてもよい。
【0098】
上記実施形態では、造形部20において、昇降シリンダ13により造形ステージ22が昇降される形態を示した。しかし、造形ステージ22が固定で、造形ボックス21が昇降する形態であってもよい。すなわち、粉体4の堆積領域の容積が変化すればよい。
【0099】
インクジェットヘッド41は、インクの吐出時に一方向にのみ移動するライン型ヘッド、あるいは、インクの吐出時に移動しない面型ヘッドであってもよい。面型ヘッドとは、例えば造形ボックス21において造形物が形成される範囲に対応した、インクの吐出範囲を持つヘッドである。
【0100】
上記インクジェットヘッド41から吐出されるインクはCMYのカラーインクであった。しかし、上述のシアン、マゼンダ及びイエローの3色に代えて、または、これらに加えて、黒、白または無色のインクが用いられてもよい。特に、黒、白または無色のインクタンクを有するインクジェットヘッドは、粉体4自体の色に応じて適宜設置されればよい。
【符号の説明】
【0101】
10…供給部
11、113…供給ボックス
16…ローラ
20…造形部
23…昇降シリンダ
41…インクジェットヘッド
51…ホストコンピュータ
60…3次元造形物
61…本体
62、162、621、622、623…枠体
62a、62b、62c…側壁
68…仕切体
71…カメラ
100、200…3次元造形装置
110…供給ユニット
120…造形ユニット
162…枠体
162a…側壁
201…第1の側
202…第2の側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体材料を供給する供給機構と、
前記供給機構により供給された前記粉体材料が堆積される堆積領域と、
前記粉体材料を所定の層厚ごとに前記堆積領域内に堆積させるために、前記層厚ごとに前記堆積領域の容積を変える可変機構と、
前記粉体材料を硬化させることが可能な、3次元造形物を形成するための液剤を、前記堆積領域内に堆積された前記層厚ごとの前記粉体材料に吐出する吐出機構と、
前記3次元造形物のうち、造形対象物体の造形物である本体と、前記本体の周囲に形成される造形物である枠体とを形成するように、前記粉体材料に前記液剤を前記吐出機構により吐出させる制御手段と
を具備する3次元造形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の3次元造形装置であって、
前記堆積領域は、第1の側と、前記第1の側の反対側の第2の側とを有し、
前記供給機構は、
前記堆積領域の前記第1の側に隣接するように配置され、前記粉体材料を貯留することが可能な供給ボックスと、
前記堆積領域の全領域のうち、前記第2の側より前記第1の側に近い領域に前記粉体材料が多く偏るように、前記供給ボックスに貯留された前記粉体材料を搬送する搬送機構と
を有する3次元造形装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の3次元造形装置であって、
前記吐出機構は、複数色のインクを前記液剤として吐出可能であり、
前記制御手段は、前記枠体を形成する前記粉体材料に複数色のインクを前記吐出機構に吐出させることにより、前記複数色で色付けられた前記枠体が形成される3次元造形装置。
【請求項4】
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の3次元造形装置であって、
前記制御手段は、少なくとも前記粉体の積層方向に垂直な面内で見て、前記枠体の外形が等方形状を有するように、前記吐出機構に前記液剤を吐出させる3次元造形装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の3次元造形装置であって、
前記制御手段は、前記枠体を含む造形物を複数形成するように、前記吐出機構に前記液剤を吐出させる3次元造形装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の3次元造形装置であって、
前記形成された枠体を撮影するカメラをさらに具備する3次元造形装置。
【請求項7】
粉体材料を堆積領域に供給し、
前記粉体材料を所定の層厚ごとに前記堆積領域内に堆積させるために、前記層厚ごとに前記堆積領域の容積を変え、
3次元造形物のうち、造形対象物体の造形物である本体と、前記本体の周囲に形成される造形物である枠体とを形成するように、前記粉体材料を硬化させることが可能な、前記3次元造形物を形成するための液剤を、前記堆積領域内に堆積された前記粉体材料に吐出する
3次元造形物の製造方法。
【請求項8】
粉体材料を堆積領域に供給し、
前記粉体材料を所定の層厚ごとに前記堆積領域内に堆積させるために、前記層厚ごとに前記堆積領域の容積を変え、
3次元造形物のうち、造形対象物体の造形物である本体と、前記本体の周囲に形成される造形物である枠体とを形成するように、前記粉体材料を硬化させることが可能な、前記3次元造形物を形成するための液剤を、前記堆積領域内に堆積された前記粉体材料に吐出する
製造方法により得られる3次元造形物。
【請求項9】
粉体材料を供給する供給機構と、
前記供給機構により供給された前記粉体材料が堆積される堆積領域と、
前記粉体材料を所定の層厚ごとに前記堆積領域内に堆積させるために、前記層厚ごとに前記堆積領域の容積を変える可変機構と、
前記粉体材料を硬化させることが可能な、3次元造形物を形成するための液剤を、前記堆積領域内に堆積された前記層厚ごとの前記粉体材料に吐出する吐出機構と、
前記3次元造形物のうち、造形対象物体の造形物である本体と、前記堆積領域内を仕切るための仕切体とを形成するように、前記粉体材料に前記液剤を前記吐出機構により吐出させる制御手段と
を具備する3次元造形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図18】
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【図6】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−156783(P2011−156783A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21139(P2010−21139)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】