説明

3電極ロングアークキセノン放電管ソーラーシミュレータ及びその点灯方法

【課題】長時間点灯を実現し、かつ長寿命の光源を持つソーラーシミュレータの提供。
【解決手段】複数のコンデンサとパワースイッチング素子とを組み合わせた回路により、大出力で長時間のフラッシュ疑似太陽光を実現するソーラーシミュレータにおいて、3電極放電管の長所を活かし、かつ安定した点灯方式を実現する3電極放電管を用いることにより、長寿命化とコスト低減を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば太陽電池モジュール等へ疑似太陽光を照射するための3電極ロングアークキセノン放電管ソーラーシミュレータ及びその点灯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールの特性を測定する際には、ソーラーシミュレータから照射される疑似太陽光によってI−V特性曲線の測定が行われる。太陽電池モジュールは面積が大きいため、大出力の光源を必要とする。そのため、フラッシュ光を太陽電池モジュールに照射することによりI−V特性曲線が測定される。
【0003】
フラッシュ光を発生するソーラーシミュレータの光源には、ロングアークキセノン放電管が使用されている。太陽電池には多様な構造があり、出力特性の測定に長時間、例えば100ms以上の時間を必要とするものもある。長時間の点灯時間は、ロングアークキセノン放電管の劣化および寿命の低下をもたらし、ランニングコストのみならず調整の時間増加による稼働率低下をもたらす。このため、長時間点灯を実現し、かつ長寿命の光源を持つソーラーシミュレータが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−300632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、複数のコンデンサとパワースイッチング素子とを組み合わせた回路により、大出力で長時間のフラッシュ疑似太陽光を実現するソーラーシミュレータ技術が開示されている。
【0006】
しかし、この装置ではフラッシュ光を長時間点灯しようとすると、ロングアークキセノン放電管に電流が長時間流れるため、電極の劣化が早くロングアークキセノン放電管の寿命が短くなるという課題があった。
【0007】
ロングアークキセノン放電管の単位長さあたりの発光量はプラズマ量に依存するため、発光量を増加させるには管径と管長とを増加させればよい。管径を大きくすると、プラズマ内部吸収が増大して発光率が低下するため、最適な管径が必然的に決まってくる。管長と光量とは相関性が高く発光量の増大には管長の延長が有効で様々な提案が行われている。しかし、管長が長くなると印加電圧が増大し、電源電圧が高くなるため電源が高価になる。そこで、最適な管径を有しかつ安価な電源を用いることが可能な放電管が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決は、本発明においては、中央部分に配置された1つの第1の極性を有する第1の電極と、両端にそれぞれ配置された第2の極性を有する第2、第3の電極とを有する3電極ロングアークキセノン放電管と、3電極ロングアークキセノン放電管に供給する点灯電力を生成する電源と、電源の第1、第2の端子と、第1の電極と、第2、第3の電極とにそれぞれ接続され、3電極ロングアークキセノン放電管を点灯するため電源から第1の電極と第2の電極、第1の電極と第3の電極との間への点灯電力の供給を制御する3電極ロングアークキセノン放電管点灯器と、3電極ロングアークキセノン放電管点灯器に接続され、3電極ロングアークキセノン放電管にトリガパルス電圧を印加し、第1の電極と第2の電極、第1の電極と第3の電極との間のそれぞれのアーク放電を起動させるためのトリガ電極とを備え、3電極ロングアークキセノン放電管点灯器は、電源の第1の端子と第2の端子との間に接続されたコンデンサと、第2の端子と第2の極性を有する第2の電極との間に接続され、第2の電極への点灯電力をバランスさせるための第1の抵抗と、第2の端子と第2の極性を有する第3の電極との間に接続され、第3の電極への点灯電力をバランスさせるための第2の抵抗と、第1の端子と第1の極性を有する第1の電極との間に接続され、センサにより検知された光量に基づいて、第1の電極に供給する点灯電力を制御する電流制御器とを有し、コンデンサからの放電により第1、第2の抵抗を介して第2、第3の電極にそれぞれ点灯電力が供給され、3電極ロングアークキセノン放電管を点灯することを特徴とする。
【0009】
あるいは、本発明にあっては、上述の3電極ロングアークキセノン放電管、電源、3電極ロングアークキセノン放電管点灯器、トリガ電極を備え、3電極ロングアークキセノン放電管点灯器は、電源の第1の端子と第2の端子との間に接続されたコンデンサと、第2の端子に入力側が接続され、出力側が第2の極性を有する第2の電極と第3の電極とに接続され、第2の端子と第2の電極又は第3の電極との接続を選択的に切り換える切換器とを有し、切換器により選択された第2の電極又は第3の電極に、コンデンサからの放電により点灯電力が供給され、3電極ロングアークキセノン放電管を点灯することを特徴とする。
【0010】
さらに本発明にあっては、3電極ロングアークキセノン放電管の点灯方法において、3電極ロングアークキセノン放電管に供給する点灯電力を生成する電源の第1の端子と第2の端子との間にコンデンサを接続し、第2の端子と第2の極性を有する第2の電極との間に、第2の電極への点灯電力をバランスさせるための第1の抵抗を接続し、第2の端子と第2の極性を有する第3の電極との間に、第3の電極への点灯電力をバランスさせるための第2の抵抗を接続し、第1の端子と第1の極性を有する第1の電極との間に、センサにより検知された光量に基づいて、第1の電極に供給する点灯電力を制御する電流制御器を接続し、コンデンサからの放電により第1、第2の抵抗を介して第2、第3の電極にそれぞれ点灯電力を供給し、3電極ロングアークキセノン放電管を点灯することを特徴とする。
【0011】
あるいは本発明の点灯方法にあっては、3電極ロングアークキセノン放電管に供給する点灯電力を生成する電源の第1の端子と第2の端子との間にコンデンサを接続し、第2の端子と第2の極性を有する第2の電極又は第3の電極との接続を選択的に切り換える切換器を、第2の端子に入力側を接続し、第2の電極と第3の電極とに出力側を接続し、切換器により選択された第2の電極又は第3の電極陰極に、コンデンサからの放電により点灯電力を供給し、3電極ロングアークキセノン放電管を点灯することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、3電極ロングアークキセノン放電管を低電圧で点灯し、電極の劣化を軽減させることで長寿命化させることができる、これにより、信頼性が向上しランニングコストを低減することができる。また低電圧電源化により電源を低価格化することができ、装置全体のコストを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1による3電極ロングアークキセノン放電管ソーラーシミュレータの全体の概略構成を示した説明図である。
【図2】2電極ロングアークキセノン放電管の構成を示した説明図である。
【図3】3電極ロングアークキセノン放電管の構成を示した説明図である。
【図4】同3電極ロングアークキセノン放電管の外観を示した縦断面図である。
【図5】参考例による3電極ロングアークキセノン放電管点灯器の構成を示した回路図。
【図6】同3電極ロングアークキセノン放電管点灯器におけるトリガ回路で用いられるトリガサイリスタを示す説明図。
【図7】バランス抵抗を挿入した本発明の実施の形態1による3電極ロングアークキセノン放電管点灯器の構成を示した回路図である。
【図8】同3電極ロングアークキセノン放電管の電流電圧特性、直列抵抗の電流電圧特性、放電管に直列抵抗を加えた電流電圧特性をそれぞれ示すグラフである。
【図9】電流制御器を設けた本発明の実施の形態2による3電極ロングアークキセノン放電管点灯器の構成を示した回路図である。
【図10】起動用補助コンデンサを設けた本発明の実施の形態3による3電極ロングアークキセノン放電管点灯器の構成を示した回路図である。
【図11】切換器を設けた本発明の実施の形態4による3電極ロングアークキセノン放電管点灯器の構成を示した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態による3電極ロングアークキセノン放電管ソーラーシミュレータ及びその点灯方法について、図面を参照して説明する。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による3電極ロングアークキセノン放電管ソーラーシミュレータの概略構成を概念図として図1に示す。
【0016】
3電極ロングアークキセノン放電管ソーラーシミュレータは、太陽電池モジュールにフラッシュ疑似太陽光を照射し、I−V特性曲線を得るために用いられる。
【0017】
この3電極ロングアークキセノン放電管ソーラーシミュレータは、ランプヘッド1に設けられた3電極ロングアークキセノン放電管10と、エアマスフィルタ2と、第1バッフル4と、第2バッフル5とを備えている。
【0018】
エアマスフィルタ2と、第1バッフル4と、第2バッフル5とは、光源から太陽電池モジュール6に照射される光路に対してそれぞれ垂直に設置されている。エアマスフィルタ2は、基準太陽光の分光放射照度分布に近似させるためのものである。第1、第2バッフル4、5はそれぞれ遮光板であって、照射範囲を定めるために用いられ、直接照射光以外の光、例えば壁面に反射された光等を遮光するものである。また、ソーラーシミュレータの光源として、3電極ロングアークキセノン放電管10が備えられている。
【0019】
図2に、2電極ロングアークキセノン放電管の構成を示す。この2電極ロングアークキセノン放電管は、放電管112の内部において陽極113と陰極114との間に電圧が印加され、トリガ電極115にトリガパルス電圧が印加されると、陽極113から陰極114にアーク放電が起こり点灯する。
【0020】
図3に、実施の形態1〜4において用いる3電極ロングアークキセノン放電管10の構成を示す。この3電極ロングアークキセノン放電管10は、放電管11の内部において陽極13と陰極14a、14bとのそれぞれの間に電圧が印加され、トリガ電極15に高電圧のトリガパルス電圧が印加されると、印加されたトリガパルス電圧がトリガ電極15から放電管12の管壁を通して管内に伝わりガスがイオン化されて小放電が発生する。これにより、電子雪崩現象が起きて陽極13から2つの陰極14a、14bのそれぞれにアーク放電が起こり、3電極アークキセノン放電管10が点灯する。
【0021】
尚、この3電極ロングアークキセノン放電管10は、片点灯を起こすことなく常に安定して両点灯が実現されるような構成を備えている。通常の使用では所望の光量が得られるように両点灯が必要である。しかし、小型の太陽電池モジュール等の測定のように、片点灯で必要な光量が得られる場合には片点灯を行ってもよい。
【0022】
ここで、3電極ロングアークキセノン放電管10は、図2に示されたような2電極ロングアークキセノン放電管と同じ光量を得るためには、2電極ロングアークキセノン放電管と同じアーク長が必要になる。図4に示された3電極ロングアークキセノン放電管10では、陽極13から陰極14aまでのアーク長と、陽極13から陰極14bまでのアーク長の合計値が、図3に示された2電極ロングアークキセノン放電管の陽極113から陰極114までのアーク長と同じ長さであれば、同量の光を得ることができる。1本のアーク長が短くなることにより、その部分のアーク電圧が低くなり電源電圧も低くすることができる。これにより、低電圧で安価な電源を用いて、3電極ロングアークキセノン放電管10の点灯が可能となる。
【0023】
また、3電極ロングアークキセノン放電管10における片側の消費電力、即ち陽極13から陰極14aにアーク放電されて消費される電力、陽極13から陰極14bにアーク放電されて消費される電力がそれぞれ、2電極ロングアークキセノン放電管の陽極13から陰極14にアーク放電される消費電力の約半分になるため、陰極14a、14bのそれぞれの劣化が小さくなる。一般に劣化が速い陰極14a、14bの劣化を抑制することができるため、3電極ロングアークキセノン放電管全体の寿命を長くすることができる。
【0024】
図4に、この3電極ロングアークキセノン放電管10の外観を縦断面図として示す。放電管12の中央に陽極13、両端に陰極14a、14bが設けられ、外部にトリガ電極15が配置されて全体がガラスグローブ11で覆われている。
【0025】
図5に、参考例による3電極ロングアークキセノン放電管点灯器の回路構成を示す。
【0026】
この3電極ロングアークキセノン放電管点灯器は、放電管12,陽極13、陰極14a、14bを有する3電極ロングアークキセノン放電管10を点灯させるもので、電源71と、点灯電力供給用コンデンサ31a、31bと、トリガサイリスタ21、トリガコンデンサ22、トリガトランス23を含むトリガ回路と、ダイオード41a、41bと、抵抗51、52とを備えている。
【0027】
ここで、トリガ回路に含まれるトリガサイリスタ21は、図6に示されたようなサイリスタで構成され、ゲートに電流を流すことでアノードからカソードへ電流が流れスイッチング素子として機能する。図5の回路において、トリガサイリスタ21のゲートにパルスを印加するとアノードからカソードへ電流が流れてトリガコンデンサ22が放電され、トリガトランス23に電流が流れて昇圧された高電圧のトリガパルスがトリガ電極15に印加される。
【0028】
コンデンサ31aが、電源71、抵抗52、コンデンサ31a、ダイオード41a、電源71を通過する経路で充電される。コンデンサ31bも同様に、電源71、抵抗52、コンデンサ31b、ダイオード41b、電源71を通過する経路で充電される。
【0029】
3電極ロングアークキセノン放電管10の陽極13と陰極14aとの間、陽極13と陰極14bとの間には、コンデンサ31a、31bが充電されることにより、それぞれ電源電圧が印加される。
【0030】
この状態で、トリガ回路のトリガサイリスタ21のゲートにトリガパルスが与えられると、トリガ電極15にトリガパルス電圧が印加され、陽極13と陰極14aとの間、陽極13と陰極14bとの間にそれぞれアーク放電が開始されて点灯する。点灯電力は、コンデンサ31a、31bが放電することにより供給される。
【0031】
コンデンサ31aからの電流はコンデンサ31a、陽極13、放電管12、陰極14a、コンデンサ31aを通過する経路に流れ、同時にコンデンサ31bからの電流はコンデンサ31b、陽極13、放電管12、陰極14b、コンデンサ31bを通過する経路に流れる。
【0032】
このように、陰極14aと陰極14bのそれぞれに対して別個のコンデンサ31a、31bを設けることで2電極同時にアーク放電を開始し点灯することができる。
【0033】
図7に、本実施の形態1による3電極ロングアークキセノン放電管点灯器の回路構成を示す。
【0034】
本実施の形態1の3電極ロングアークキセノン放電管点灯器は、上記参考例と比較しコンデンサ31が1個設けられ、ダイオードが設けられておらず、バランス抵抗61a、61bが追加されている。
【0035】
コンデンサ31が、電源71、抵抗52、コンデンサ31、電源71を通過する経路により充電される。この3電極ロングアークキセノン放電管10の点灯電力は、コンデンサ31が放電することにより供給される。放電された電流は、コンデンサ31、陽極13、放電管12、陰極14a、バランス抵抗61a、コンデンサ31を通過する経路と、コンデンサ31、陽極13、放電管12、陰極14b、バランス抵抗61b、コンデンサ31を通過する経路の2経路に流れる。
【0036】
本実施の形態1による3電極ロングアークキセノン放電管点灯器における放電管と抵抗のI-V特性を図8のグラフに示す。電流が増加するとインピーダンスが減少する負抵抗特性であるため、3電極ロングアークキセノン放電管10のように2回路同時に点灯する場合は先に点灯した方のインピーダンスが下がり、インピーダンスが低い方へ電流が流れて片点灯になる。
【0037】
しかし、抵抗を加えることにより、正抵抗特性にすることができる。このような抵抗をバランス抵抗と称し、上記回路においてバランス抵抗61a、61bが用いられている。即ち、図7における3電極ロングアークキセノン放電管10の陰極14a側にバランス抵抗61a、陰極14b側にバランス抵抗61bをそれぞれ挿入することにより、図8に示されるように放電管+直列抵抗のグラフのように回路の特性が正抵抗特性になる。これにより、両方の回路に電流が流れて3電極ロングアークキセノン放電管10は両方にアーク放電が起こり両点灯する。このようなバランス抵抗61a、61bを使用することで、単一電源71が使用可能となり回路構成が簡易化される。
【0038】
尚、バランス抵抗61a、61bの抵抗値により放電管12に流れる電流が決定され発光光量が決定される。このため、所望の光量が得られるようにそれぞれの抵抗値を設定する必要がある。バランス抵抗61a、61bの抵抗値が等しい場合は、陽極13と陰極14a、陽極13と陰極14bとの間に等しい電源電圧を印加することができる。
【0039】
本実施の形態1によれば、劣化の速い陰極の負荷が2電極に分散されて軽減され、アーク放電距離が短縮されていることでアーク放電電圧が低く3電極ロングアークキセノン放電管の長寿命化により信頼性が向上すると共にランニングコストが低減され、低電圧電源化により電源が低価格化されて装置全体のコストが低減される。さらに、点灯電力供給用コンデンサを1個で構成することで回路構成が簡易化される。さらにまた、高圧コンデンサを用いなくとも低圧放電が可能であり、また電流の制御を容易に行うことができる。
【0040】
(実施の形態2)
図9に、本実施の形態2による3電極ロングアークキセノン放電管点灯器の回路構成を示す。
【0041】
本実施の形態2の3電極ロングアークキセノン放電管点灯器は、上記実施の形態1の回路構成に電流制御器72を付加したものに相当する。この電流制御器72は、電源71から陽極13までの経路に抵抗52と直列に接続されており、点灯時において放電管12に流れる電流を制御することにより、点灯中の光量を制御するものである。
【0042】
本実施の形態2によれば上記実施の形態1と同様に、3電極ロングアークキセノン放電管の長寿命化により信頼性が向上すると共にランニングコストが低減され、低電圧電源化により電源が低価格化されて装置全体のコストが低減され、さらに電流制御器72により点灯中の光量をモニタし所望の光量が得られるように点灯電力を制御することができる。さらにまた、高圧コンデンサを用いなくとも低圧放電が可能であり、また電流の制御を容易に行うことができる。
【0043】
(実施の形態3)
図10に、本実施の形態3による3電極ロングアークキセノン放電管点灯器の回路構成を示す。
【0044】
本実施の形態3では、点灯用電源71とは別個に起動用補助コンデンサ32を設けた点に特徴がある。
【0045】
起動用補助コンデンサ32は、電源71と3電極ロングアークキセノン放電管10の陰極14a、14bとの間に設けられている。尚、抵抗61a、61bは、バランス抵抗として設けられている。
【0046】
電源71内に設けられた起動用補助コンデンサ用電源74は、起動用補助コンデンサ32を充電するための電源である。3電極ロングアークキセノン放電管10には、起動用補助コンデンサ用電源74により充電された起動用補助コンデンサ32の電圧が印加されている。
【0047】
トリガ電極15にトリガパルス電圧が印加されるとアーク放電が開始され、起動用補助コンデンサ32から高電圧の電力が供給されて放電され3電極ロングアークキセノン放電管10が起動する。
【0048】
これにより、起動用補助コンデンサ32、陽極13、放電管12、陰極14a、起動用補助コンデンサ32を通過する経路と、起動用補助コンデンサ32、陽極13、放電管12、陰極14b、起動用補助コンデンサ32を通過する経路とにそれぞれ電流が流れる。起動用補助コンデンサ32の電圧が電流制御器72の出力電圧より低くなると、点灯電力供給用コンデンサ31から出力され電流制御器72により制御された点灯電力が供給される。
【0049】
供給された点灯電力は、コンデンサ31から電流制御器72、ダイオード41e、陽極13、放電管12、陰極14a、バランス抵抗61a、コンデンサ31を通過する経路と、電流制御器72、ダイオード41e、陽極13、放電管12、陰極14b、バランス抵抗61b、コンデンサ31を通過する経路とにそれぞれ流れ、3電極ロングアークキセノン放電管10が点灯する。
【0050】
コンデンサ32は、起動用補助コンデンサ用電源74、抵抗53、起動用補助コンデンサ32、電源71の経路を流れる電流により充電される。
【0051】
3電極ロングアークキセノン放電管10が起動時に必要な高電圧電力を、起動用補助コンデンサ32により供給することができるため、より確実に2電極同時に点灯を開始することができる。
【0052】
本実施の形態3によれば上記実施の形態1〜2と同様に、3電極ロングアークキセノン放電管の長寿命化により信頼性が向上すると共にランニングコストが低減され、低電圧電源化により電源が低価格化されて装置全体のコストが低減される。
【0053】
さらに本実施の形態3によれば、上述したように起動用補助コンデンサ32により3電極ロングアークキセノン放電管10が起動時に必要な高電圧電力を供給することができるため、より確実に2電極同時点灯が行われる。
【0054】
さらにまた本実施の形態3によれば、高圧コンデンサを用いなくとも低圧放電が可能であり、また電流の制御を容易に行うことができる。
【0055】
(実施の形態4)
図11に、本実施の形態4による3電極ロングアークキセノン放電管点灯器の回路構成を示す。
【0056】
本実施の形態4では、3電極ロングアークキセノン放電管点灯器に放電電極を切り換える機能を持たせた点に特徴がある。
【0057】
コンデンサ31の放電側の電極と、3電極ロングアークキセノン放電管10の陰極14a又は14bとの間に、切換器73が接続されている。この切換器73により点灯電力を供給する陰極側として、陰極14a又は14bのいずれか一方を選択して切り換えることにより、3電極ロングアークキセノン放電管10のいずれか片側のみを点灯させることができる。
【0058】
点灯電力供給用コンデンサ31が、電源71、抵抗52、コンデンサ31、電源71を通過する経路を流れる電流により充電される。切換器73により陰極14a又は14bのいずれか一方が選択され、選択された陰極14a又は14bと陽極13との間に、充電されたコンデンサ31により点灯用の電圧が印加される。
【0059】
この状態で、トリガ回路のトリガサイリスタ21のゲート電極にトリガパルスが与えられてトリガ電極15にトリガパルス電圧が印加され、選択された陰極14a又は14bと陽極13との間にアーク放電が発生して点灯が開始される。
【0060】
このように、陰極14a、14bのどちらか1極のみが放電し、他の1極は放電しない。ここで、切換器73による陰極14a、14bの切り換えは、点灯中に交互に行ってもよく、あるいは陰極14a、14bの劣化具合に基づいて選択的に行ってもよい。
【0061】
長時間アーク放電を行うと陰極が大きく劣化する。そこで本実施の形態4によれば、切換器73により点灯中に陰極14a又は14bを切り換えて放電を行わせることにより、陰極14a、14bの劣化を小さくし、3電極ロングアークキセノン放電管10の寿命を延ばすことができる。
【0062】
例えば、切換器73により陰極14aをコンデンサ31の放電側電極に接続した状態で、トリガ電極15にトリガパルス電圧を印加して点灯させる。任意の時間経過後、切換器73により陰極14aと点灯器との接続を遮断し、陰極14bを接続する。これにより、陽極13と陰極14a間のアーク放電が陽極13と陰極14bとの間に移動し、点灯は継続する。このような点灯中における陰極の切換は、1回のみ行ってもよく、あるいは複数回行ってもよい。
【0063】
尚、切換器73における陰極の切換動作は、例えば図2に示された構成においてパルスコントローラ82から出力されるパルス制御信号をランプヘッド1に含まれる3電極ロングアークキセノン放電管点灯器に与えることで行ってもよい。あるいは、消灯時には手動で切り換えることも可能である。
【0064】
本実施の形態4によれば、切換器を用いて点灯中に2つの陰極を切り換えていずれか一方において放電を行わせることにより、陰極の劣化を小さくし3電極ロングアークキセノン放電管10を長寿命化することで信頼性が向上すると共にランニングコストが低減される。さらに、高圧コンデンサを用いなくとも低圧放電が可能であり、また電流の制御を容易に行うことができる。
【0065】
上記実施の形態はいずれも一例であって、本発明の技術的範囲内において様々に変形することが可能である。例えば、上記実施の形態における電極の極性を入れ替えた場合にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ランプヘッド
2 エアマスフィルタ
4 第1バッフル
5 第2バッフル
6 太陽電池モジュール
10 3電極ロングアークキセノン放電管
12 放電管
13 陽極
14a、14b 陰極
15 トリガ電極
21 トリガサイリスタ
22 トリガコンデンサ
23 トリガトランス
31、31a、31b 点灯電力供給用コンデンサ
32 起動用補助コンデンサ
41a、41b、41e ダイオード
51、52、53 抵抗
61a、61b バランス抵抗
71 電源
72 電流制御器
73 切換器
74 起動用補助コンデンサ用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部分に配置された1つの第1の極性を有する第1の電極と、両端にそれぞれ配置された第2の極性を有する第2、第3の電極とを有する3電極ロングアークキセノン放電管と、
前記3電極ロングアークキセノン放電管に供給する点灯電力を生成する電源と、
前記電源の第1、第2の端子と、前記第1の電極と、前記第2、第3の電極とにそれぞれ接続され、前記3電極ロングアークキセノン放電管を点灯するため前記電源から前記第1の電極と前記第2の電極、前記第1の電極と前記第3の電極との間への点灯電力の供給を制御する3電極ロングアークキセノン放電管点灯器と、
前記3電極ロングアークキセノン放電管点灯器に接続され、前記3電極ロングアークキセノン放電管にトリガパルス電圧を印加し、前記第1の電極と前記第2の電極、前記第1の電極と前記第3の電極との間のそれぞれのアーク放電を起動させるためのトリガ電極とを備え、
前記3電極ロングアークキセノン放電管点灯器は、
前記電源の第1の端子と第2の端子との間に接続されたコンデンサと、
前記第2の端子と前記第2の電極との間に接続され、前記第2の電極への点灯電力をバランスさせるための第1の抵抗と、
前記第2の端子と前記第3の電極との間に接続され、前記第3の電極への点灯電力をバランスさせるための第2の抵抗と、
前記第1の端子と前記第1の電極との間に接続され、センサにより検知された光量に基づいて、前記第1の電極に供給する点灯電力を制御する電流制御器と、
を有し、
前記コンデンサからの放電により前記第1、第2の抵抗を介して前記第2、第3の電極にそれぞれ点灯電力が供給され、前記3電極ロングアークキセノン放電管を点灯することを特徴とする3電極ロングアークキセノン放電管ソーラーシミュレータ。
【請求項2】
中央部分に配置された1つの第1の極性を有する第1の電極と、両端にそれぞれ配置された第2の極性を有する第2、第3の電極とを有する3電極ロングアークキセノン放電管と、
前記3電極ロングアークキセノン放電管に供給する点灯電力を生成する電源と、
前記電源の第1、第2の端子と、前記第1の電極と、前記第2、第3の電極とにそれぞれ接続され、前記3電極ロングアークキセノン放電管を点灯するため前記電源から前記第1の電極と前記第2の電極、前記第1の電極と前記第3の電極との間への点灯電力の供給を制御する3電極ロングアークキセノン放電管点灯器と、
前記3電極ロングアークキセノン放電管点灯器に接続され、前記3電極ロングアークキセノン放電管にトリガパルス電圧を印加し、前記第1の電極と前記第2の電極、前記第1の電極と前記第3の電極との間のそれぞれのアーク放電を起動させるためのトリガ電極とを備え、
前記3電極ロングアークキセノン放電管点灯器は、
前記電源の第1の端子と第2の端子との間に接続されたコンデンサと、
前記第2の端子に入力側が接続され、出力側が前記第2の電極と前記第3の電極とに接続され、前記第2の端子と前記第2の電極又は前記第3の電極との接続を選択的に切り換える切換器と、
を有し、
前記切換器により選択された前記第2の電極又は前記第3の電極に、前記コンデンサからの放電により点灯電力が供給され、前記3電極ロングアークキセノン放電管を点灯することを特徴とする3電極ロングアークキセノン放電管ソーラーシミュレータ。
【請求項3】
中央部分に配置された1つの第1の極性を有する第1の電極と、両端にそれぞれ配置された第2の極性を有する第2、第3の電極とを有する3電極ロングアークキセノン放電管の点灯方法において、
前記3電極ロングアークキセノン放電管に供給する点灯電力を生成する電源の第1の端子と第2の端子との間にコンデンサを接続し、前記第2の端子と前記第2の電極との間に、前記第2の電極への点灯電力をバランスさせるための第1の抵抗を接続し、前記第2の端子と前記第3の電極との間に、前記第3の電極への点灯電力をバランスさせるための第2の抵抗を接続し、前記第1の端子と前記第1の電極との間に、センサにより検知された光量に基づいて、前記第1の電極に供給する点灯電力を制御する電流制御器を接続し、
前記コンデンサからの放電により前記第1、第2の抵抗を介して前記第2、第3の電極にそれぞれ点灯電力を供給し、前記3電極ロングアークキセノン放電管を点灯することを特徴とする3電極ロングアークキセノン放電管の点灯方法。
【請求項4】
中央部分に配置された1つの第1の極性を有する第1の電極と、両端にそれぞれ配置された第2の極性を有する第2、第3の電極とを有する3電極ロングアークキセノン放電管の点灯方法において、
前記3電極ロングアークキセノン放電管に供給する点灯電力を生成する電源の第1の端子と第2の端子との間にコンデンサを接続し、前記第2の端子と前記第2の電極又は前記第3の電極との接続を選択的に切り換える切換器を、前記第2の端子に入力側を接続し、前記第2の電極と前記第3の電極とに出力側を接続し、
前記切換器により選択された前記第2の電極又は前記第3の電極に、前記コンデンサからの放電により点灯電力を供給し、前記3電極ロングアークキセノン放電管を点灯することを特徴とする3電極ロングアークキセノン放電管の点灯方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−248822(P2012−248822A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122037(P2011−122037)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(595013427)株式会社エヌ・ピー・シー (54)
【出願人】(591200380)オーク株式会社 (3)
【Fターム(参考)】