説明

3D医用画像データの非線形投影

本発明は、ボリュームデータの投影像の表示を改善する。最小値投影法(MinIP)を使用し、液体で満たされた領域または低反射組織の他の領域を表示する。投影をボリューム内のパーシャルボリュームに限定することにより、特定の領域内の散乱強度の差を分離する。このようにして、弱く散乱する組織の高反射性を評価することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D医用画像データの非線形投影に関し、具体的には細胞の状態を診断し、監視する際に使用する光コヒーレンス断層撮影法(「Optical Coherence Tomography:OCT」)などの光学医用撮像に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像法、磁気共鳴画像法、コンピュータ断層撮影法、光コヒーレンス断層撮影法などの医用画像診断法において、ボリューム画像データが浸透している。ボリュームデータは体、特に人体の内部構造を安全かつ非侵襲的に直接観察することを可能にし、医療分野に革新をもたらした。近年、ボリュームレンダリング画像処理技法が使用されて、ボリュームデータを医療診断用に表示する画像を削減している。ボリュームレンダリングは、3D構造の2D投影像を市販の2Dディスプレイ上に表示することにより、三次元構造を視覚化できるようにする。
【0003】
光コヒーレンス断層撮影法(OCT)とは、限局された場所において高分解能の実時間光学撮像を行う技術である。OCTは、広帯域光源からの低コヒーレント光または可変波長レーザからの掃引光(sweeping light)を使用して、サンプル経路に沿った深部における後方散乱強度を測定する干渉信号を作り出す光学測定および撮像技法である。この深さプロファイルは一般に「Aスキャン」と呼ばれる。一連の隣接するAスキャン上でサンプルビームを横方向にスキャンすることにより断面像が合成され、一般にBスキャンと呼ばれる2D断層像が作り出される。典型的には、ボリュームは一連のBスキャン上でサンプルビームを横方向にスキャンすることによって取得されるが、ボリュームデータを取得するために、螺旋スキャンパターンなどの代替的スキャンパターンが提案されている。
【0004】
OCTを使用した生体物質の評価については、1990年代初頭に最初に開示された(スワンソン(Swanson)らの米国特許第5,321,501号明細書を参照されたい)。最近では、周波数領域OCT(frequency domain-OCT:FD−OCT)が、速さおよび信号対雑音比の点で時間領域OCTに比べて著しい利点を有することが証明されている(ライトゲープ、アール、エー(Leitgeb,R.A.)ら(2003年)光学エクスプレス(Optics Express) 11:889−894)。周波数領域OCT(FD−OCT)と呼ばれることがあり、スペクトルレーダと呼ばれることもある(ヒースラー,ジー(Haeusler,G)およびリンダー,ムウ(Linder,MW)、生物医学光学ジャーナル(Journal of Biomedical Optics) Vol.3 No.1(1998年)21−31)スペクトル領域OCT(SD−OCT)では、干渉計からの干渉縞のスペクトル成分を調べることにより測定を実現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボリュームデータは、画面上に表示するために、または紙に印刷するときに3Dから2Dに引き下げられる。米国特許第7,301,644号明細書では、キングストン(Knighton)らがエンフェイス画像法(en−face imaging)と呼ばれる、3Dデータを2Dで表示するために引き下げる方法を開示している。この技法は、ボリュームデータ(または3Dデータセットのうちの関心を引くボリュームサブセット)を取得し、そのデータを各Aラインに沿って積分(integrate)し、3Dデータセットから2D画像を作成する。この技法は、OCTのボリュームデータを見るための非常に有用なツールであることが証明されている。上記の内容に照らして、3DボリュームOCTデータの2D画像を見るためのさらなる方法が当技術分野で求められている。本発明は、3Dボリュームデータセットから2D画像を作成して医療関連情報を表示するさらなる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は特許請求の範囲によって定められ、この節の中のいかなる内容も特許請求の範囲に対する限定として解釈すべきでない。有利には、本発明の諸実施形態はボリュームデータから抽出される医療関連情報を取得し、表示するさらなる手段を提供する。
【0007】
本発明の一態様によれば、データのボリューム内の液体で満たされた領域または網膜断裂領域を検出するために、最小値投影法(MinIP)が使用される。
本発明の別の態様によれば、ボリューム情報は、パーシャルボリュームを通過した投影の前に減らされる、低強度のスペックルアーティファクトを有する。
【0008】
本発明のさらに別の態様によれば、投影情報が、表示前に照度のばらつきに関して補償される。
本発明のさらに別の態様によれば、MinIPは、Aラインの集合に沿って見出され、最小強度点の座標位置が記憶される。これらの位置は、平滑化してから、平滑化済みの位置を最小強度高さマップとして表示する。
【0009】
本発明のさらに別の態様によれば、MinIPが計算されるパーシャルボリュームは、少なくとも1つの特定の位置に少なくとも部分的に応じて決定される。その特定の位置は、ユーザによって定義されても、ボリューム画像データから自動的に計算されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ILMとRPEとの間のパーシャルボリュームを使用したMinIP表示の概略図である。
【図2】OPLとRPEとの間のパーシャルボリュームを使用したMinIP表示の概略図である。
【図3】具体化されたMinIP表示アプリケーションのフローチャートである。
【図4】表示する強度を決定する元になる表面を求めるために、最小強度の位置を使用する、具体化された表示アプリケーションのフローチャートである。
【図5】高反射組織を示す画像である。
【図6】高反射組織および低反射組織の両方を示す画像である。
【図7】光コヒーレンス断層撮影システムの一設計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に示す諸実施形態は例であり、提示する説明は本発明の定義としてではなく、本発明の原理およびその実際の応用例を例示するために選択している。本発明の修正形態および改変形態が当業者には明らかになるであろう。本発明の範囲は、本出願の出願時に知られている等価物および予見できない等価物を含む、特許請求の範囲によって定める。
【0012】
本明細書では、画像ボリュームの強度投影像は、投影射線をボリュームの中を通して投射し、各射線を表す単一の強度を決定することにより画像ボリュームに由来する、二次元強度画像である。最大値投影像(maximum intensity projection:MIP)は、各射線において最も高い強度を有する画素をまず特定することによって作成される。次いで、それらの射線の位置を画像内の位置にマッピングし、各位置における画素の強度をその射線に関連する最も高い強度に設定することにより画像が作成される。同様に最小値投影像(minimum intensity projection:MinIP)は、結果が、射線に沿った最小強度であるように選択される強度投影像である。概して、MIPおよびMinIPは、x軸、y軸、もしくはz軸、または任意のあらゆる方向に沿って投影射線を投射することで形成することができる。MIPでは、選択されるそれぞれの点(point)は、その強度が投影射線に沿った他の任意の点の強度以上であるという特性を有する。同様に、MinIPでは最小値の特性に従って点を選択する。投影アレイ(projection array)に沿った一部の点に、他の多くの特性があるとみなすことができる。例えば、投影射線に沿った中央強度に等しい強度で投影射線が投射されるボリュームの上部表面に最も近い位置は、投影射線ごとに単一の像点を選択するための別の特性を提供する。最大値、最小値、および中央値は非線形汎関数であり、線形汎関数の加法性(additivity property)は満たさない。対照的に、加法および積分は線形汎関数である。説明を簡単にするために、MinIPをこの説明の全体にわたって使用する主な例とし、射線は通常はz軸に平行に投射する。
【0013】
液体で満たされた領域が周囲組織よりも反射しない画像診断法では、最小値投影法(MinIP)が固有の表示技法を提供する。MinIPは、液体で満たされた領域の境界の2D投影像を提供する。1990年代初頭、最小値投影法は、液体で満たされた領域を見つけるために核磁気共鳴画像法で使用されていた(米国特許第5,189,369号明細書、タカネ(Takane)ら)。眼科画像は独自の課題を示し、それは眼球自体が液体で満たされており、OCT画像が、画像内の強度のばらつきを引き起こす後方散乱光の中の干渉縞であるスペックルを含むからである。スペックルは、高反射組織の真中に非常に低強度の反射を作り出すことができる。90年代後半までには、スペックルを減らした超音波ボリュームによる射線投射投影のシステムが開示された(パットフィードらの米国特許第5,779,641号明細書)。スペックルは、空間合成もしくは周波数合成、画像データの低域フィルタリング、または他の手段によって減らすことができる。しかしこれらのシステムは、投影をパーシャルボリュームの中を通して(すなわち限られたボリューム領域を通して)投射する重要性を認識していない。
【0014】
OCTにおいて、液体を視覚化する好ましい方法は、黄斑の全体的な厚さを測定することであった。この方法は、液体のポケットの輪郭を描くことができるが、輪郭を不正確に描く。MinIPを使用する、本明細書に開示する本発明は、極めて小さな液体のポケット(pocket)を検出し得る。従来技術の取組みでは、液体のポケットを自動的に区分することを確実に行うのは困難であり、自動的に区分する際の誤りを訂正するための手動介入は多くの時間がかかり、かつオペレータに依拠する。本明細書に含める諸実施形態は、ボリューム情報は提供しないが、薬物治療を決定するために最も重要なことである、液体で満たされた領域を視覚化することを可能にする。レーザ治療では、液体病変の横位置および程度を知ることは、治療目標を必要な場所に精密に設定するために不可欠である。
【0015】
最小値投影法(MinIP)は、データのボリューム内の投影経路に沿った最小輝度を探す投影アルゴリズムである。MinIPは、弱い反射または深い陰影を探すときの、ボリューム画像を見る問題を解決する。後方散乱線を撮像する撮像システム、すなわちOCTのような撮像システムでは、より反射的な領域で囲まれた低反射領域を容易に検知することができる。関心のあるすべての生体構造が強く反射しているとは限らない。往々にして、網膜内の低反射の液体ポケットなど、関心のある生体構造は弱く反射している。そのような生体構造は、最小値投影法を使用して最もよく視覚化することができる。
【0016】
外核層(Outer Nuclear Layer:ONL)は、通常は他の網膜組織ほど反射しない。通常よりも多くの光を後方散乱する組織は高反射である。逆に、通常よりも少ない光を後方散乱する組織は低反射である。ONLにおいて高反射性を引き起こすことがある、病気の網膜または断裂した網膜がある状態でも、ONLは近傍の網膜組織よりも低反射のままであることが多々ある。したがって、高反射のONLでさえ投影線に沿って見つかる最も低反射の組織である可能性があり、それ故に高反射のONLはMinIP内に依然として現れるが、通常よりは明るくなる。網膜の外核層および通常暗い他の領域における高反射性は、網膜断裂領域上におよびその周囲に現れる可能性もある。
【0017】
最も近代的な画像処理手順と同様に、好ましいMinIPの実装形態は、電子計算処理装置すなわちCPUを用いる。そのCPUは、PCやワークステーションなどの汎用コンピュータ、またはデジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)などの専用CPU、または単一パッケージに完全に含まれる、もしくは複数のチップにわたって分散される他の任意の集積回路とすることができる。
【0018】
本発明の一実施形態では、OCT画像ボリュームと、2つの区分化された網膜の表面(例えばILMとRPE、またはILMとIS/OS)とが必要である。2つの区分化された表面は、最小値投影を投射するパーシャルボリュームの境界を定める。表面の選択は、結果として生じるMinIPの表示に著しく影響を与えることがある。図1に示すデータは、MinIP160を、内境界膜(inner limiting membrane:ILM)110と網膜色素上皮(retinal pigment epithelium:RPE)150との間のパーシャルボリュームから生成する一例を示す。MinIPを表す図示のストリップ(strip)160は、説明のために拡幅してある。射線に沿って投射される投影像は、単一の点または画素である。図1に示す広いバンドは、MinIPの強度値をより見やすくする。
【0019】
図1に示すデータの一例では、ILM110とRPE160との間のパーシャルボリュームから生成されようと、ILMと光受容体の内節/外節(IS/OS)140間の境界との間のパーシャルボリュームから生成されようと、MinIP160は同じである。その理由は、IS/OSについて示す強度が、IS/OSの両側の隣接組織について示す強度よりも大きいからである。したがってIS/OSの強度は、選択される最小値にはならない。さらに、図示のデータは、IS/OSの上の組織に劣らないほどの、IS/OSとRPEとの間の散乱組織の強度を有する。したがってこの例では、IS/OSからRPEまでのデータが、投影射線に沿った最小強度の強度を変えることはない。このデータは説明目的で選択したものであり、IS/OSの下から返される後方散乱が、IS/OSの上の後方散乱に由来する強度未満の強度を有し得ないことを決して含意するものではない。可能性はあるが、この例では有さない。
【0020】
図2は、投影射線を投射するパーシャルボリュームを変えることにより、MinIPがどのように変わり得るのかを示す。図2は、図1と同じ理論上の眼球を示す。つまり、図1および図2に示すデータは同じである。しかし、図1のMinIP160が、ILM110とRPE150との間のパーシャルボリュームから生成されたのに対し、MinIP260は、OPL230とRPE250との間のパーシャルボリュームから生成される。液体で満たされた領域235は、外核層(ONL)240の中にある。この例では、OPLとRPEとの間でMinIPを投射したので、液体で満たされた領域235はMinIPストリップ260内で容易に識別することができる。しかし、MinIPストリップ160内に現れた低反射領域225は、この表示を生成するために使用したパーシャルボリュームの中にはないので、MinIPストリップ260内では検出することができない。
【0021】
本発明の代替的実施形態では、OCT画像ボリュームと、網膜の1つの区分(例えばILM、RPE、ILM、またはIS/OS)とが必要である。この場合、区分化された表面および定義済みのもしくは計算されたパラメータまたは表面が、最小値投影を行う際のパーシャルボリュームを定めることができる。このボリュームは、表面の所与の距離の範囲内にあるすべての点とすることができ、または表面の固定深度下(もしくは上)の範囲内にあるすべての点、もしくは固定オフセットから表面までの範囲内にあるすべての点、もしくは表面を基準にして定められる他のボリュームとすることができる。あるいは、表面は、区分化された表面に滑面を適合させることによって定めることができる。ボリュームは、複数の表面の間の空間として、または区分化された表面から固定距離オフセットされた表面と、計算された表面から固定距離オフセットされた表面との間の空間として、または2つの表面を基準にして定められる他のボリュームとして定めることができる。本発明のさらに別の実施形態では、画像ボリュームと、事前に定めたボリュームのサブセットとが必要である。この場合、最小値投影を行う際のパーシャルボリュームは、完全な画像ボリュームのうちの事前に定められたサブセットであるように選択される。
【0022】
図3は、具体化されたMinIP表示アプリケーションのフローチャートである。ボリュームデータ310をアプリケーションに入力する。上記に記載した方法の1つにより、または実際のボリュームのうちのサブボリュームを選択するための他の何らかの手段により、パーシャルボリュームを選択しまたは選ぶ(320)。一実施形態では、好ましくはスペックルセルよりも大きくかつ撮像しようとする物体よりも小さい平滑化フィルタにより、または他の実施形態では他の画像処理手段により、パーシャルボリューム内のスペックルを減らす(330)。パーシャルボリュームを通過させて射線を投射し(340)、各射線に沿った最小強度の位置および強度を求める(350)。最小強度から画像を形成し、その画像を表示する(360)。表示される画像は、最小強度値、または照度のばらつきに関して補償された正規化済みの最小強度値からなることができる。射線内の強度は、光がパーシャルボリュームに入る前に何を通過したのかによって影響を受ける。したがって、射線を照明光の方向に(z軸に沿って)投射する場合、局所補償を、最小値を計算する前に投影射線に適用し、また特に補償が線形の場合は射線から選択される最小値に単純に適用することができる。例えば、表示される値は、パーシャルボリューム内の投影射線に沿った平均強度によって正規化される最小強度値とすることができる。この正規化係数は、投影射線の局所的近傍の範囲内にあるパーシャルボリューム内の点、または投影射線の局所的近傍の範囲内にある全ボリューム内の点からでさえ計算することができる。さらに、より魅力的な画像を提示するために、表示画素を平滑化することができる。この実施形態が、おそらくは本明細書に開示する本発明の最も単純な実施形態である。
【0023】
前節の処理に従って決定される最小値投影像は「不自然な」見た目を有することがあり、その理由の一つは、画像内に表示される強度を得るための深さが非常に不規則であり、X−Yにおける小さな変化についてさえ、深さに関して大きく跳ね上がる可能性があるからである。最小強度を求める間、最小強度を得た画像ボリューム内の位置を保存し、その後使用することができる。最小強度を得る深さを、zmin(x,y)で表す。つまりzmin(x,y)は、MinIP画像の(x,y)画素において表示される最小強度位置の深さである。点の集合(x,y,zmin(x,y))に滑面を適合させ、平滑化された表面の一定マージンだけ上および一定マージンだけ下のボリューム画像の強度を積分することより、表示される画像の視覚的印象を改善し、より自然な見た目のエンフェイス(en-face)画像を得ることができる。二次元の二次曲面または四次曲面は概して十分に滑らかな輪郭線を与えるが、場合によっては適合させることにより所望の生体構造をなぞらないことがあり、その理由は、その生体構造が滑らか過ぎる、または異常な生体構造の領域が適合させることから適切に除外されていなかったからである。技術的には、滑らかに適合する表面の近傍において積分することにより生成されるエンフェイス画像は、もはや最小値投影法の表示画像ではない。ただし、そのような画像は、表示画像を計算するために最小値投影ボクセルを探すことを必要とする。エンフェイスが単一画素のみに関する極限では、滑面上の強度値が表示される。
【0024】
あるいは、深さzmin(x,y)の位置を局所的近傍の範囲内にあるように制約する場合、表示画像の視覚的印象はより自然に見える。例えば、点の集合(x,y,zmin(x,y))に適合される平滑化された表面を使用して新たなパーシャルボリュームを定めることが可能であり、そのボリュームについてMinIPを再計算することができる。あるいは、視覚的印象をより自然にすることは、まずMinIPの点の集合を同じようにうまく選択し、近傍のMinIPが、選択される近傍の位置の固定距離の範囲内にある1組の点から選択されるように、近傍位置における最小強度点を得るための検索をパーシャルボリューム内でさらに制約することにより残りの点を再計算することで実現することができる。
【0025】
さらに別の代替策では、投影射線に沿った最小強度以外の強度を選択することができる。グレースケール画像データの強度は、平均値付近の強度を有するボクセルの数が、分布の末端における強度を有するボクセルの数よりもはるかに多いという点で、ガウス状の分布に準じて分布する。一部の領域では、射線に沿った画像データの最小値が射線ごとに統計的に変動し、その理由は、強度分布のうちの僅かな場所しか占めない末端に最小値が生じるからである。第5百分位数の強度など、最小値よりも僅かに高い強度水準を選択することで、より多くの場所を占め、したがって統計変動により左右されず、さらに最小値の特徴の大部分を保つ強度分布の一部を選択する。したがって、投影射線に沿った第5百分位数の強度値を選択することは、最小値投影法よりも滑らかで雑音の少ない画像を作り出すが、液体で満たされた領域の全高が網膜の厚さの5%未満の場所では液体を示すことができない可能性がある。
【0026】
図4は、開示する本発明の代替的実施形態を示す。ボリュームデータを取得し(410)、パーシャルボリュームを選択する(420)。データ内のスペックルを減らしてから(430)射線を投射し(440)、投射する射線に沿った最小強度の位置および強度を求める(450)。この実施形態では、投射する射線に沿った最小値から表示強度を間接的に決定するので、この方法を実施するために必要な射線だけを投射する(460)。ほとんどの場合、画像ボリュームの分解能以下の射線を多く投射すればするほど、最終的な表示はより優れ、より正確なものになる。投射した射線に沿う最小強度が見つかった位置は、パーシャルボリューム内の点である。これらの位置から表面を求める(470)。その表面は、位置の点自体の集合とすることができ、またはそれらの位置に適合される表面、もしくは最小強度点の位置から別の方法で決定される任意の表面とすることができる。480の平滑化された表面が470の表面と同じであるように複数の点から直接滑面を求め(480)、または滑面を470の表面から求める。この滑面は、ボリューム内になければならない。ボリューム内の画像画素の強度を使用して滑面上の位置における強度を求め(490)、その滑面上の強度を使用して表示用の画像を作成する(495)。先の例にあるように、表示画像は、計算された強度値、または照度のばらつきに関して補償された正規化済みの計算された強度値からなることができる。さらに、より魅力的な画像を提示するために、表示画素を平滑化することができる。
【0027】
あるいは、最小強度画素の位置を使用して最小強度高さマップを作成することができる。つまり、最小強度位置の高さのマップを求めることができる。投影射線をZ軸に平行に投射する場合、高さは単にその射線に沿った位置(または高さを計算する起点に応じた、その位置からの一定のオフセット)に過ぎない。投影射線がZ軸に対して平行ではなく、むしろZ軸に対して角度θにある場合、起点の適切な選択に関し、実際の高さは射線に沿った最小強度の位置に比例する。その比例関係は、すべての射線について一定である。この最小強度高さマップは、高さが色または輝度によってエンコードされる、3Dボリュームからレンダリングされる表面として、または2D画像として表示することができる。この高さは、RPEの位置、または他の何らかの区分化されもしくは適合された画像ボリュームの表面の位置を基準にして有益に表示することができる。
【0028】
図4に照らして、470に示す投影射線に沿った最小強度の位置の代わりに、強度が例えば第5百分位数の値を得る、投影射線に沿った位置を選択することができる。これらの値を得た位置を取得し、(最小値の位置の代わりに)それらの位置を使用して470の表面を求めることができる。当然ながら、統計的に、第50百分位数に近づくにつれ、同じ強度を有する複数の位置を見つける尤度は高くなる。この場合、図4の様式に従う方法を実施するとき、複数の位置のうちの1つを選ぶ選択を行わなければならない。この選択は、明らかなバイアスが付随する、単に最初に見つけたそのような点とすることができ、または局所クラスタリングの近似に基づいて位置を選択することができる。位置の集合から1つの位置を選択する他の手段が、当業者には明らかになるであろう。
【0029】
取得画像データの多くの形式は、スペックルと呼ばれる画像アーティファクトを含む。画像スペックルは、概してウェーブイメージングに関連する現象であり、検出器における波の干渉の結果として生じる。OCT画像データおよび超音波画像データ(2Dまたはボリューム)は、概してスペックルを含む。様々な波形の干渉が、画像ボリューム内の検出強度の変動を引き起こす。最小値投影を行う前に、スペックルを有するボリューム画像データには、高強度反射の近傍に作り出されるヌル強度を減らすために、少なくとも軽いスペックル低減処理を行うべきである。軽いスペックル低減が好ましい理由は、強反射の近傍の深いヌルを除去するのに軽いスペックル低減で大抵十分であり、より強いスペックル低減技法は、概してより多くのデータを必要とし、より長い時間がかかること及びデータが劣化する(smear)ことのうちの少なくとも一方である。概して、スペックル直径の2倍にわたり平均すれば十分である。スペックルを減らした後、区分境界間のまたはパーシャルボリュームの端から端までの最小強度、すなわち最も暗い階調レベルを得るためにそれぞれの軸方向スキャンを分析する。
【0030】
あるいは、軸方向スキャンの方向とは異なる方向に、パーシャルボリュームを通過させて投影を行うことができる。この異なる方向の投影は、概して補間を必要とし、計算速度の点で効率の悪さを招く。したがって、軸方向に沿って投影することが好ましい。
【0031】
先に論じたように、MinIP表示の「不自然な」見た目を除去する1つの手法は、最小強度を得た位置の集合に由来する滑面周囲のエンフェイスを積分することである。表示のこの「不自然な」見た目を除去するもう1つの代替策は、最小値を全体的に定めることである。つまり、ある強度投影像の集合にわたるメトリック(metric)を定め、最小強度の強度投影像を選択して表示することができる。
【0032】
例えば、zILM(x,y)がILMの区分を表し、zRPE(x,y)がRPEの区分を表す場合、ILMとRPEとの間の一群の表面は次式で表される。
mix(f,x,y)=fILM(x,y)+(1−f)RPE(x,y)
ただしfは、概してONL内に収まる暗画像を作成するために選択される0から1の間の所望の小数である。例えば、f=0.1,0.2,...,0.9についての1組の画像を生成することができ、最も小さい中央強度を有する画像を選択することが可能である。
【0033】
ボリュームの表面投影像の任意の一群を選択することができ、それにより、最小値表面を選択可能なメトリックを適用することができる。そのメトリックは、投影像の中央強度、または表面の平均強度、または表面の絶対最小強度、または他の任意のメトリックとすることができる。一群の投影像のメトリックを比較し、最も小さいメトリックを有する投影像を表示用に選択する。複数の表面がそのメトリックと同じ極小値を有する場合、これらのうちの1つを選ぶためのシステムを選択しなければならない。最小値を有する最初の表面、または最小値を有する最後の表面を選択することができる。あるいは選択肢を表示することができ、オペレータが1つ選択することも可能である。あるいは、その一群がパラメータで表される場合、固定値に最も近いパラメータを有する表面を選択することができる。
【0034】
最小強度が見つかる位置の集合を平滑化し、その平滑化した表面周囲のエンフェイスを積分しようと、最小強度が見つかる位置の集合に滑面を適合させ、その滑面周囲のエンフェイスを積分しようと、滑面の集合を選択し、それらのうちで最も小さいものを探そうと、投影像はMinIPのような画像を提供するが、表示データの変化する深さに由来する、より少ない不連続性を有する。とはいえ、画像化した表面の滑らかさの制約が原因で、小さな液体のポケットまたは他の小さな暗い領域を示すことができない点で、それらはMinIPとは異なる。
【0035】
外核層(ONL)240は、一つには区分化するのが困難であるという理由で、OCTの研究ではほとんど注目されなかった。健康な黄斑における最小強度は通常この層の中にある。このONLは、網膜の断裂が生じる場所、例えば網膜の液体ポケット付近または網膜下色素上皮液上で、明らかに一層反射する。長期臨床研究は、この高反射性が将来の異変位置を予測するかどうかを示すことができる。RPEを基準にした最小強度の軸方向位置も、高さの増加が網膜外側の高反射性を示すことで、網膜の限局性断裂を示すことができる。
【0036】
最小値投影(MinIP)における興味深い情報の一部は、網膜の断裂によって引き起こされる可能性があるONLの高反射性を検出することによってもたらされる。この種の撮像では、最小強度を投影するパーシャルボリュームがONLを含まなければならない。最小強度は、網膜の健康な領域において、約99%の確率でONLの中にある。良好で信頼できるONLの区分を有さない場合、MinIPが、ONLの高反射性を調べるための代替的方法である(とはいえ、MinIPにおける明るい領域は、ONLが完全に萎縮して消えた(atrophied away)ことを意味することもできる)。ONLを見ていることを確実にするために、OPLの表面とIS/OSの表面との間の領域にパーシャルボリュームを限定するのが最善策である。IS/OSは場合によっては存在しない、またはOCT画像の中で見えないことがあるので、パーシャルボリュームをOPLとRPEとの間に限定することがより確実である。OPLでさえ区分化するのは困難であり、パーシャルボリュームをILMとRPEとの間に取得する場合にも結果は依然として興味深い。あるいはパーシャルボリュームを、RPEの固定距離上までの、RPEよりも上のボリューム、またはRPEからILMまでの一定の割合の距離にある表面までの、RPEよりも上のボリュームとなるように取得することができる。これらのパーシャルボリュームは、ONLの全部ではないが、大部分を取り入れるために概して使用することができる。パーシャルボリュームは他の組織を含むことがあるが、周囲組織は概してより明るく、したがってONLがひどく断裂し、MinIPがその断裂した場所で示すよりも一層高反射である場合にのみMinIP内に現れる。
【0037】
図5は、ILMとRPEとの間に取り、ONL内の高反射組織を含むパーシャルボリュームを使用したMinIP画像である。高反射領域は、円510の中に見られる。領域510内の平均強度が通常領域520の平均強度よりも著しく高いので、この領域は高反射性を有すると判定される。高反射性は、中央値など、平均値以外の統計値を使用して判定することができる。普通に反射する組織と異常に反射する組織との間で統計的に有意味の区別をもたらす任意の統計値で十分だが、結果の質は異なり得る。
【0038】
図6は、もう1つのMinIP画像であり、ここでもILMとRPEとの間に取り、ONL内の高反射組織および低反射組織を含むパーシャルボリュームを使用する。高反射領域は、円610の中に見られる。領域610内の平均強度が通常領域630の平均強度よりも著しく高いので、この領域は高反射性を有すると判定される。低反射領域は、円620の中に見られる。領域620内の平均強度が通常領域630の平均強度よりも著しく低いので、この領域は低反射率を有すると判定される。普通に反射する組織と異常に反射する組織との間で統計的に有意味の区別をもたらす任意の統計値で十分だが、結果の質は異なり得る。
【0039】
図7は、本発明を実装するために使用することができるOCT装置を示す。この種のOCT装置に関するさらなる情報は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0291277号明細書に開示されている。低コヒーレンス光源700、典型的には超放射発光ダイオード(SLD)が光源ファイバ705に結合され、その光源ファイバ705は光を方向性結合器710に送る。結合の最適な方向強度はシステムの設計上の選択によって決まり、(図7に示すように)90/10もしくは70/30、またはSLDの後方反射許容差(back reflection tolerance)、サンプルを撮像するために必要な光源照度、および他のシステム設計パラメータに応じ、他の選択肢とすることができる。方向性結合器710は、光をサンプルファイバ715および参照ファイバ735に分離する。サンプル経路は、サンプル経路の長さを調節するための遅延機器(不図示)を含むことができる。横断スキャナ720は、OCTビームを偏向させ、好ましくはサンプル730内の注目領域の近くにビームの焦点を作る。横断スキャナは、サンプルのボリュームを撮像するために、サンプルを横断して光ビームを横方向にスキャンする。
【0040】
サンプル730から散乱される一部の光が、スキャナおよび遅延機器を介してサンプルファイバ715に戻る。結合器710は、この光をループ760を介してファイバ結合器750に送り、ファイバ結合器750においてこの光は参照光と干渉する。組合せ結合器750は、2つの出力をもたらす。これらの出力は、平衡検出のために使用することができる(米国特許第5,321,501号明細書、図10参照)。あるいは、結合器750の結合比は、干渉光の大部分を単一のOCT検出器770に送るように調節することができる。各OCT検出器は、時間領域OCTまたは波長掃引型OCTで使用する単一の光検出器、またはスペクトル領域OCTで使用する分光計とすることができる。
【0041】
オプションのタップ740が、光源のパワーを監視するために使用することができる検出器745に参照光の一部を転送する。監視することを含んで、サンプルの安全性が監視されるか、または光源700の劣化が検出されることができる。あるいは、監視することをシステム内に全く含めなくてもよい。タップは、参照ファイバ735から光パワーのある一部分を除去し、結合器750に到達するパワーを低減する。参照パワーが、干渉信号を受信機雑音より上に至らせるのに十分大きいが、強度雑音またはビート雑音をショット雑音の水準より上に至らせる程大きくない場合、OCTの感度はショット雑音限界に達することができる。
【0042】
方向性結合器710、740、および750の結合比は、サンプルへの照度の安全な水準を設定し、1以上の検出器における適切な参照パワーを設定するように選択される。例えば、ほぼ850nmの波長を有する光を使用する網膜の眼科用OCTの場合、安全な照射水準は約0.5mWであり、検出器における最適な参照水準は約0.005mWである。光源は、約5mWの出力パワーを有するこの波長範囲内で利用可能である。これらの条件では、光源のパワーのうちの10%がサンプルに到達するように、分配結合器710においてほぼ90%/10%の結合比を使用することになる。後方散乱光の90%はループ760に送られる。単一のOCT検出器770がある場合には、組合せ結合器750は、好ましくはサンプル光の大部分をその検出器に送る。分配結合器710は、光源光の90%、4.5mWを参照ファイバ735に送るのに対し、検出器では0.005mWしか必要でない。参照光の0.1%を単一のOCT検出器770内に結合する組合せ結合器750を使用することができるが、製造の際に0.1%の結合係数を管理するのは困難である。好ましい解決策は、組合せ結合器750において99%/1%の分配比を使用し、タップ740におけるさらなる自由度をうまく活用して参照パワーを調節することである。この例では、公称上は参照ファイバ735からのパワーの89%をタップすることにより、OCT検出器770において0.005mWの適切な参照水準がもたらされる。
【0043】
オプションのタップ740のタップ比を調節する代替策として、参照経路内に減衰ファイバ(米国特許第5,633,974号明細書)を含めることにより、参照水準を調節することができる。
【0044】
検出器770の出力は、プロセッサ780に送られる。このプロセッサは、その処理部分について優先的に最適化される単一の装置または複数の装置とすることができる。プロセッサ780は、ディスプレイ790などのユーザインターフェイス装置を提供する1台以上の周辺機器に接続される。プロセッサは、不図示の他のユーザインターフェイス装置(キーボード、マウス、ジョイスティックなど)、および1つまたは複数の外部通信装置(USBまたはネットワークコネクタ、光学記憶媒体、プリンタ、インターネットなど)にも接続される場合があり、さらには、他の撮像ハードウェア(カメラ、固視標、眼底ビューワなど)または患者用周辺装置(ヘッドサポート、高さ調整器など)に接続される。プロセッサ780は、医療用の撮像および分析に必要な像形成、ボリュームレンダリング、区分化、重ね合せ、費用関数の評価、および他の計算タスクなどの機能のうちの少なくとも一つを処理する(1以上のモジュール内の)計算能力を提供する。処理された結果は、ディスプレイ790上に表示し、またはローカル記憶装置(不図示)上に局所的に記憶し、またはプロセッサの外部通信装置の1以上を使用して外部に記憶もしくは表示させることができる。
【0045】
これらの実施形態、例、および説明は、本発明の原理およびその実際の応用例を例示するために選択して記載したものであり、網羅的であることも、本発明を開示した厳密な形態に限定することも意図しないことを理解すべきである。上記の教示に照らし、本発明の修正形態および改変形態が当業者には明らかになるであろう。例えば、本明細書では極値を最小値として記載したが、代わりの設計基準の下では、最大値を使用して本発明を実行することができる。これらの実施形態は、本発明の原理およびその実際の応用例を説明して、当業者が本発明を様々な実施形態で、および考えられた特定の使用法に適した様々な修正を加えて最もよく利用できるようにするために選択して記載した。本発明の範囲は、本出願の出願時に知られている等価物および予見できない等価物を含む、特許請求の範囲によって定める。
【0046】
以下の参照文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
米国特許文献
米国特許第5,189,369号明細書 Takaneら NMR imaging method of low flow rate fluid
米国特許第5,321,501号明細書 Swansonら Method and apparatus for optical imaging with means for controlling the longitudinal range of the sample
米国特許第5,779,641号明細書 Hatfieldら Method and apparatus for three−dimensional ultrasound imaging by projecting filtered pixel data
米国特許第6,436,049号明細書 Kamiyamaら Three−dimensional ultrasound diagnosis based on contrast echo technique
米国特許第6,501,272号明細書 Haackeら Application−specific optimization of echo time in MR pulse sequences for investigating materials with susceptibilities different from that of the background in which they are embedded
米国特許第6,505,064号明細書 Liuら Diagnostic imaging systems and methods employing temporally resolved intensity tracing
米国特許第6,658,280号明細書 Haacke;E.Mark Susceptibility weighted imaging
米国特許第7,301,644号明細書 Knightonら Enhanced optical coherence tomography for anatomical mapping
米国特許出願公開第2008/0100612号明細書 Dastmalchi;Shahram Shawnら User interface for efficiently displaying relevant OCT imaging data
米国特許出願公開第2007/0291277号明細書 Everett;Matthew Jら Spectral domain optical coherence tomography system
他の刊行物
Leitgeb,R.A.,et al.(2003)「Performance of Fourier domain vs. time domain optical coherence tomography」 Optics Express 11(8):889−894
Hausler,G.and M.W.Lindner(1998)「”Coherence Radar” and ”Spectral Radar”−New Tools for Dermatological Diagnosis」 Journal of Biomedical Optics 3(1):21−31
Napel S,Rubin GD,Jeffrey RB Jr.「STS−MIP:a new reconstruction technique for CT of the chest」 J.Comput Assist Tomogr 1993;17:832−838
Narayana DLV Rao,Manpreet Singh Gulati,Shashi Bala Paul,Girish Kumar Pande,Peush Sahni and Tushar Kanti Chattopadhyay「Three−dimensional helical computed tomography cholangiography with minimum intensity projection in gallbladder carcinoma patients with obstructive jaundice:Comparison with magnetic resonance cholangiography and percutaneous transhepatic cholangiography」 Journal of Gastroenterology and Hepatology,Volume 20,Issue 2,Pages 304−308,19 Jan 2005.
A.Salles,M.Nino−Murcia,R.Jeffrey「CT of pancreas:minimum intensity projections」 Abdominal Imaging,Volume 33,Number 2,March 2008,pp.207−213(7).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼球の中の解剖領域の画像を生成する方法であって、前記眼球は光コヒーレンス断層撮影(OCT)システムによって検査され、前記OCTシステムは、光のビームを生成する光源、サンプルアーム、参照アーム、ならびに前記サンプルアームおよび参照アームから組み合わせられる光を測定する検出器を含み、前記方法は、
前記サンプルアームにより前記眼球の領域上に前記光のビームをスキャンするステップと、
a.前記サンプルアームおよび参照アームからの前記光を組み合わせるステップと、
b.前記組み合わせた光を測定して前記眼球の三次元ボリューム画像データを生成するステップと、
c.前記画像データの中の第1の表面を特定するステップと、
d.前記画像データのサブボリュームを特定するステップであって、前記サブボリュームは、前記第1の表面の前記特定に基づいて特定され、前記サブボリュームは、前記解剖領域を含む、前記サブボリュームを特定するステップと、
e.前記サブボリュームの中の1組の像点を選択するステップであって、前記サブボリュームを通過する複数の射線投影を評価して、各投影において1つの像点を特定することによって、前記像点が選択され、且つ前記特定される像点のそれぞれは、共通の強度特性を有する、前記選択するステップと、
f.前記選択した1組の像点に関連する情報に基づいて画像を生成するステップと、
g.前記画像を記憶し、または表示するステップと
を備える、方法。
【請求項2】
前記共通の強度特性が、関連する射線投影の最小強度に相当する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共通の強度特性が、関連する射線投影の最大強度に相当する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記共通の強度特性が、関連する射線投影の中央強度に相当する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記生成される画像が、前記選択した1組の像点のそれぞれの強度に直接基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記画像の生成が、関連する射線投影の範囲内の、前記選択した1組の像点のそれぞれに関連する位置情報に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記生成される画像が、基準面に対する最小強度位置の高さマップである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記高さマップが、3Dボリューム内の表面として表示される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
サンプルの前記ボリューム画像内の第2の表面を特定するステップをさらに含み、前記サブボリュームが前記第1の表面および第2の表面に基づいて特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記選択した1組の像点の位置に基づいて第2の表面を特定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の表面が、前記選択した1組の像点に適合される滑面である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記生成される画像が、少なくとも1つの網膜断裂領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記サブボリューム内の像点を選択する前に、前記サブボリューム内のデータを平滑化する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記画像を表示する前に局所的正規化係数を適用することにより、前記画像ボリューム内の局所的な強度のばらつきを補償する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記正規化係数は、関連する像点を選択した射線投影内の点の関数である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
眼球の画像を得るための機器であって、
a.光のビームを生成するための光源、サンプルアーム、参照アーム、前記サンプルアームおよび参照アームから組み合わせられる光を測定するための検出器、ならびに前記眼球上に前記光のビームをスキャンするためのスキャナを含む、光コヒーレンス断層撮影(OCT)システムと、
b.強度情報のボリュームから強度画像情報のサブボリュームを選択して、前記サブボリュームを通過する複数の射線投影のそれぞれに関連する単一の像点を特定することによって得られる二次元画像を生成するプロセッサと、
c.ディスプレイまたはメモリのうちの一方であって、前記ディスプレイは前記画像を表示し、前記メモリは前記画像を記憶する、前記ディスプレイまたはメモリのうちの一方と
を備える、機器。
【請求項17】
前記射線投影のそれぞれに関連する前記像点が、共通の強度特質を有する、請求項16に記載の機器。
【請求項18】
前記共通の強度特質が最小強度である、請求項17に記載の機器。
【請求項19】
眼科用の撮像方法であって、
a.眼球のボリューム画像を得ること、
b.前記ボリューム画像内の画像情報のサブボリュームを特定すること、
c.前記サブボリューム内の1組の二次元強度投影像を生成することであって、前記サブボリュームを通過する複数の射線投影のそれぞれに関連する単一の像点を特定することによって、前記強度投影像が得られる、前記1組の二次元強度投影像を生成すること、
d.前記1組の強度投影像のうちの1つを選択すること、
e.前記決定した強度投影像を記憶し、または表示すること
を備える、方法。
【請求項20】
眼科用の撮像方法であって、
a.眼球のボリューム画像を得ること、
b.画像情報のサブボリュームを特定すること、
c.前記サブボリュームを通過させて複数の投影射線を投射すること、
d.各投影射線に沿った位置の集合を特定することであって、前記集合は、前記サブボリューム内の前記投影射線の前記位置のすべてよりも少ない位置を含む、前記特定すること、
e.射線ごとの前記位置の集合に関連する画像強度の非線形関数として、強度値を求めること、
f.前記求めた強度値の画像を生成すること、
g.前記画像を表示すること
を備える、方法。
【請求項21】
眼球の中の解剖領域の画像を生成する方法であって、前記眼球は光コヒーレンス断層撮影(OCT)システムによって検査され、前記OCTシステムは光のビームを生成する光源、サンプルアーム、参照アーム、ならびに前記サンプルアームおよび参照アームから組み合わせられる光を測定する検出器を含み、前記方法は、
a.前記サンプルアームにより前記眼球の領域上に前記光のビームをスキャンするステップと、
b.前記サンプルアームおよび参照アームからの前記光を組み合わせるステップと、
c.前記組み合わせた光を測定して前記眼球の中の三次元ボリューム画像データを生成するステップと、
d.前記眼球の中の1対の表面の間に位置するデータのサブボリュームを特定するステップと、
e.前記サブボリュームの中の1組の像点を選択するステップであって、前記像点は、前記サブボリュームを通過する複数の射線投影を評価し、各投影において1つの像点を特定することによって選択され、前記特定される像点のそれぞれは最小強度を有する、前記選択するステップと、
f.前記選択した1組の像点に基づいて画像を生成するステップと、
g.前記画像を記憶し、または表示するステップと
を備える、方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−500799(P2013−500799A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523233(P2012−523233)
【出願日】平成22年7月31日(2010.7.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004694
【国際公開番号】WO2011/015319
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(503078265)カール ツァイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト (51)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss Meditec AG
【住所又は居所原語表記】Goeschwitzer Strasse 51−52, D−07745 Jena, Germany
【Fターム(参考)】