説明

5,9b−ジヒドロ−5,9b−ベンゾナフト[1,2−b]カルコゲノフェン誘導体及びその製造方法

【課題】比較的少ない段階で合成でき、有機溶媒への溶解性が良好であり、青色発光強度が強い、発光性有機化合物及び発光性有機化合物を用いる発光生成方法も提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で示される5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体。


(式中、Xは、SeまたはSであり、R1およびR2は、水素原子、アルキル基、または置換アリール基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い蛍光性を示す5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL素子の発光層に用いられる有機発光材料の開発が盛んに行われており、低分子発光材料としてスチレンやクマリンなどの芳香族化合物の誘導体や芳香族化合物とアルミニウムやイリジウムとの金属錯体、高分子発光材料としては共役系の導電性高分子がよく知られている(特許文献1〜3)。
【0003】
発光性化合物が水溶性の場合は、生体中での特定物質の移動を追跡するトレーサーとして(化学トレーサー)(非特許文献1)、また、特定の物質との相互作用する機能を持たせることによりその物質のセンサー(化学センサー)(非特許文献2)として利用される。薄膜有機太陽電池では、電子供与体としてポルフィリンやフタロシアニン誘導体の金属錯体、電子受容体としてフラーレン誘導体が用いられている(特許文献4、非特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−267378号公報
【特許文献2】特開2007−318063号公報
【特許文献3】WO2005/115950パンフレット
【特許文献4】特開2009−206470号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. Yoshino, A. Furuta, T. Kambe, H. Itoi, N. Kano, T. Kawashima, Y. Ito, M. Asashima, CHEM. EUR. J. 2010, 16, 5026-5035.
【非特許文献2】T. Agou, M. Sekine, J. Kobayashi, T. Kawashima, CHEM. EUR. J. 2009, 15, 5056-5062.
【非特許文献3】Y. Matsuo, Y. Sato, T. Niinomi, I. Soga, H. Tanaka, E. Nakamura, J. AM. CHEM. SOC. 2009, 131, 16048-16050.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機化合物が発光性をもつためには、π結合が連なった平面性の高い共役系が必要であり、そのような化合物の合成には多段階を要し、さらには往々にして有機溶媒への溶解性が低下する。同時に、疎水性部が大きくなるため、親水性置換基を導入しても、水溶性が低い、水中で凝集する、などの問題が生じる。
【0007】
また、リン光色素としてよく用いられる金属錯体や薄膜有機太陽電池の有機色素にはイリジウムやルテニウムのようなレアメタルが用いられており、元素戦略の上での課題である。
【0008】
一方、発光材料のうち、特に青色発光素子は、低駆動電圧と長寿命の両立が困難であり(特許文献1参照)、現在でも盛んに研究開発が行われている。
【0009】
本発明は、比較的少ない段階で合成でき、有機溶媒への溶解性が良好であり、青色発光強度が強い、発光性有機化合物を提供することを目的とする。さらに、本発明は、この発光性有機化合物を用いる発光生成方法も提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下のとおりである。
[1]下記一般式(1)で示される5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体。
【化1】

(式中、Xは、SeまたはSであり、R1およびR2は、独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルキル基、または以下の一般式(4)で示されるアリール基である。)
【化2】

(式中、R3は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルキル基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルコキシル基、ハロゲン、ニトロ基、またはアミノ基である。)
[2]
一般式(3)で示されるジカルコゲニドを還元してカルコゲノラートを生成させ、生成したカルコゲノラートと一般式(4)で示されるブタジイン誘導体を加熱して、一般式(1)で示される5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体を得ることを含む、一般式(1)で示される5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体の製造方法。
【化3】

(式中、Xは、SeまたはSであり、R1およびR2は、独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルキル基、または以下の一般式(2)で示されるアリール基である。)
【化4】

(式中、R3は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルキル基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルコキシル基、ハロゲン、ニトロ基、またはアミノ基である。)
[3]
[1]に記載の5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体に励起光を照射して蛍光発光を得る、蛍光発光生成方法。
[4]
有機エレクトロルミネッセンス素子用発光材料である[1]に記載の5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体。
【発明の効果】
【0011】
本発明の5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体は、高い光発光(フォトルミネッセンス)を示す。特に、化合物1(X = Se、 R1 = R2 = 一般式(2)のフェニル基、R3 = H)は重原子(セレン)を含むにも関わらず,0.90という高い絶対蛍光量子収率を示す。さらに本発明の5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体は、短い反応経路で収率よく、大量に合成することができる。さらに、R1およびR2が一般式(2)のアリール基で示される場合、ベンゼン環上の置換基R3を換えることで、多彩な発光色をもつ誘導体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1で合成した2,4-ジフェニル-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェンの紫外可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す。
【図2】実施例2で合成した2,4-ジフェニル-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェンの紫外可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す。
【図3】実施例3で合成した2,4-ジ(4-メトキシフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェンの紫外可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す。
【図4】実施例4で合成した2,4-ジ(4-メトキシフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェンの紫外可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す。
【図5】実施例5で合成した2,4-ジ(4-フルオロフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェンの紫外可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す。
【図6】実施例6で合成した2,4-ジ(4-フルオロフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェンの紫外可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体]
本発明は、下記一般式(1)で示される5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体に関する。
【化5】

【0014】
一般式(1)中、Xは、SeまたはSであり、R1およびR2は、独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルキル基または無置換若しくは置換基を有するアリール基である。R1およびR2は、同一の原子または基であることも、互いに異なる原子または基であることもできる。炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(C3以上のアルキル基は、直鎖状または分岐状である)を挙げることができる。アルキル基が有することができる置換基としては、例えば、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基等を挙げることかできる。無置換若しくは置換基を有するアリール基は、例えば、以下の一般式(2)で示される。
【化6】

一般式(2) 中、R3は、例えば、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルキル基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルコキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基等であることができる。アルキル基およびアルコキシル基が有することができる置換基としては、例えば、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基等を挙げることかできる。
【0015】
一般式(1)で示される5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体は例えば、以下の式で示される化合物であることができる。
【化7】

【0016】
本発明の化合物の吸収極大(λmax)、蛍光極大(λem)、及び絶対蛍光量子収率(ФF)を以下の表1にまとめて示す。
【0017】
【表1】

【0018】
[5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体の製造方法]
一般式(1)で示される5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体は、一般式(3)で示されるジカルコゲニドを還元してカルコゲノラートを生成させ、生成したカルコゲノラートと一般式(4)で示される対称(R1 = R2)若しくは非対称(R1 ≠ R2)1,3-ブタジイン誘導体を加熱することで製造することができる。
【化8】

【0019】
一般式(1)、(3)および(4)中のX、R1およびR2は、上記一般式(1)で説明したものと同様である。
【0020】
原料となる一般式(3)で示されるジカルコゲニドは文献(下記に示す)既知物であるが、別法により9-ブロモアントラセン及び単体セレン若しくは単体硫黄を原料として合成することができる。9-ブロモアントラセンは市販品として入手可能である(例えば東京化成工業株式会社)。
<文献>
ジ(9-アントリル)ジスルフィド:玉野美智子, 青山雅彦, 纐纈銃吾, 日本化学会誌, 1985, 4, 731.
ジ(9-アントリル)ジセレニド:C. Thobie-Gautier, C. Degrand, J. Org. Chem., 56 (1991), 5703-5707.
【0021】
原料となる一般式(4)で示される1,3-ブタジイン誘導体は、1,4-ジフェニル-1,3-ブタジインは市販品として入手可能であり(例えば東京化成工業株式会社)、その他のものは以下の文献に記載の方法に従って、一置換アセチレンを原料として合成することができる。一置換アセチレンとして、例えばp-メトキシフェニルアセチレン及びp-フルオロフェニルアセチレンは市販品として入手可能である(例えば和光純薬工業株式会社)。
<文献>
M.J.Dabdoub et al. Tetrahedoron 57 (2001) 4271-4276
【0022】
一般式(2)で示されるジカルコゲニドの還元は、例えば、水素化ホウ素ナトリウムを用いて行うことができる。水素化ホウ素ナトリウム以外に、水素化アルミニウムリチウムなどを用いても上記ジカルコゲニドの還元は可能である。
【0023】
上記製造方法は、以下のスキームに基づいて説明する。
(1) ジアントリルジカルコゲニド3を、例えば、水素化ホウ素ナトリウムでエタノールとテトラヒドロフランの混合溶媒中で還元してカルコゲノラート5とする。ジアントリルジカルコゲニド3に対する水素化ホウ素ナトリウムの使用量(モル比)は、例えば、1.0〜1.5の範囲である。溶媒としては、上記混合溶媒以外に例えば、メタノールとテトラヒドロフランの混合溶媒を用いることもできる。反応温度は例えば、0〜10℃の範囲とすることが適当である。この還元反応の時間は、例えば、20〜30分程度である。但し、これらの数値範囲に限定される意図ではない。
【0024】
(2) カルコゲノラート5を1,3-ブタジイン4と反応させてエンイン6を得る。カルコゲノラート5は分離精製することなく、反応液に1,3-ブタジイン4を添加して、反応を進めることができる。この反応の反応温度は例えば、80〜90℃の範囲、反応時間は例えば、5〜40時間程度である。但し、これらの数値範囲に限定される意図ではない。
【0025】
(3) 上記反応で生成するエンイン6は、分子内Diels-Alder反応により,本発明のカルコゲノフェン1を得る。上記分子内Diels-Alder反応は、カルコゲノラート5と1,3-ブタジイン4との反応と並行して進行する。本発明のカルコゲノフェン1は必要に応じて、常法により精製することができる。
【0026】
下記反応スキーム中の化合物4、6、1中のR3a及びR3bは、一般式(2)で示されるアリール基の置換基R3に相当する。
【0027】
【化9】

【0028】
本発明の5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体は、励起光を照射すると蛍光を発光する。励起光は、例えば、300〜450nmの範囲であり、蛍光は、励起光より長波長側であって、例えば、400〜600nmの範囲である。
【0029】
例えば、実施例1で得られた2,4-ジフェニル-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェンは、ジクロロメタン溶液中において絶対蛍光量子収率が0.90(励起光384 nm、発光479 nm)であり、実施例2で得られた2,4-ジフェニル-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェンはジクロロメタン溶液中において絶対蛍光量子収率が0.91(励起光378 nm、発光491 nm)であり、いずれも青色の発光を示す。
【0030】
本発明の5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体は、有機発光素子(有機EL)の発光層(短波長発光素子)、水溶性化学トレーサー、化学センサー、薄膜有機太陽電池の色素、酸化チタン系太陽電池の色素としての利用や光触媒への応用が可能である。また、一般の蛍光顔料、蛍光色素としても利用可能である。
【0031】
特に、本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子用発光材料、有機エレクトロルミネッセンス素子用ホスト材料またはゲスト材料として有用である。
【0032】
本発明の5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層に用いることができる。例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子であることができる。そして、前記有機薄膜層を構成する発光層が本発明の5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体から選ばれる少なくとも1種類を単独もしくは混合物の成分として含有するものである。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定される意図ではない。
【0034】
以下の実施例における物性の測定に用いた装置は、以下のとおりである。
1H-NMR Bruker DRX-400またはBruker AVANCE500
13C-NMR Bruker DRX-400またはBruker AVANCE500
77Se-NMR Bruker AVANCE500
【0035】
融点 Laboratory Devices MEL-TEMP(直熱式毛細管融点測定装置)
紫外可視吸収スペクトル JASCO V-560 Spectrophotometer
蛍光スペクトル JASCO FP-6300 Spectrofluorometer
絶対蛍光量子収率 Hamamatsu Photonics PMA-12
元素分析 Thermo Electron Co. FlashEA 1112
【0036】
参考例1
ジ(9-アントリル)ジセレニドの合成
【化10】

【0037】
還流管、セプタム、および単体セレン1.248 g (15.8 mmol)の入ったL字管を取り付けた三口フラスコに9-ブロモアントラセン3.176 g (12.4 mmol)を入れ、アルゴン置換し、THF 150 mlを加える。この三口フラスコを -78℃に冷却し、t-ブチルリチウム(1.58 Mペンタン溶液)15 ml(23.7 mmol)を徐々に加える。冷却したまま1時間攪拌し、L字管内の単体セレンを加え、徐々に昇温し、60℃で12時間攪拌する。アルゴン置換を開放し、室温で1時間攪拌する。反応溶液をセライトを詰めた桐山ロートを用いてろ過し、ろ液をジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン = 4/1)で精製し、ジ(9-アントリル)ジセレニドを1.473 g (46%)得た。
【0038】
参考例2
ジ(9-アントリル)ジスルフィドの合成
【化11】

【0039】
還流管、セプタム、および単体硫黄690 mg(21.5 mmol)の入ったL字管を取り付けた三口フラスコに9-ブロモアントラセン5.026 g (19.5 mmol)を入れ、アルゴン置換し、THF 150 mlを加える。この三口フラスコを-78℃に冷却し、t-ブチルリチウム(1.59 Mペンタン溶液)24 ml(38.2 mmol)を徐々に加える。冷却したまま1時間攪拌し、L字管内の単体硫黄を加え、徐々に昇温し、60℃で14時間攪拌する。塩化アンモニウム水溶液を少しずつ加え反応を停止し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去する。ここで得られた橙色粉末をナスフラスコに入れ、DMF 80 ml及びトリエチルアミン3 mlを加え(文献)、20分間超音波照射し、溶媒を留去する。得られた橙色粉末をジクロロメタンから室温で再結晶することによりジ(9-アントリル)ジスルフィドを2.449 g (60%)得た。
参考文献:J. L. Garcia Ruano, A. Parra, J. Aleman, GREEN CHEM. 2008, 10, 706.
【0040】
実施例1
2,4-ジフェニル-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェンの合成
【化12】

【0041】
ジ(9-アントリル)ジセレニド153 mg(0.30 mmol)を二口フラスコに入れ、アルゴン置換し、THF 11 mlを加える。別の二口フラスコに水素化ホウ素ナトリウム12 mg(0.30 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール5 mlを加える。両方の二口フラスコを氷冷(0℃)し、ジセレニドのTHF溶液をテフロンチューブを用いて、水素化ホウ素ナトリウムのエタノール溶液に加え、氷冷したまま20分間攪拌する。別の二口フラスコに1,4-ジフェニルブタジイン128 mg(0.63 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール8 mlを加える。ブタジインのエタノール溶液をテフロンチューブを用いて、反応溶液に加え、80℃で5時間攪拌する。0℃で1.2 M塩酸を少しずつ加え反応を停止し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン = 8/1)で精製し、2,4-ジフェニル-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェンを245 mg(89%)得た。
【0042】
2,4-ジフェニル-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェン
黄色結晶, m.p. 190-191℃ (hexane-CH2Cl2).
1H-NMR (400 MHz, δ, ppm, CDCl3)
5.53 (s, 1H), 7.04-7.11 (m, 5H), 7.28-7.42 (m, 10H), 7.54-7.60 (m, 4H).
13C-NMR (100.7 MHz, δ, ppm, CDCl3)
57.0, 70.6, 117.9, 123.1, 125.3, 125.5, 126.1, 126.79, 126.81, 127.2, 128.56, 128.62, 128.7, 135.9, 138.7, 141.9, 143.6, 145.5, 146.6, 155.5.
元素分析:計算値(C30H20Se)C, 78.43%; H, 4.39%.
実測値:C; 78.01%; H; 4.32%.
紫外可視吸収スペクトル(図1) (CH2Cl2, c = 1.6×10-5 M) λmax 384 nm (モル吸光係数16,000 M-1cm-1).
蛍光スペクトル(図1) ジクロロメタン溶液 (c = 1.6×10-5 M, 励起光384 nm) λem 479 nm.
絶対蛍光量子収率 ジクロロメタン溶液 (c = 5.8×10-5 M, 励起光384 nm) 0.90.
【0043】
実施例2
2,4-ジフェニル-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェンの合成
【化13】

【0044】
ジ(9-アントリル)ジスルフィド350 mg (0.84 mmol)を二口フラスコに入れ、アルゴン置換し、THF 16 mlを加える。別の二口フラスコに水素化ホウ素ナトリウム170 mg (4.49 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール15 mlを加える。両方の二口フラスコを氷冷(0℃)し、ジスルフィドのTHF溶液をテフロンチューブを用いて、水素化ホウ素ナトリウムのエタノール溶液に加え、氷冷したまま20分間攪拌する。別の二口フラスコに1,4-ジフェニルブタジイン365 mg (1.76 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール20 mlを加える。ブタジインのエタノール溶液をテフロンチューブを用いて、反応溶液に加え、80℃で17時間攪拌する。0℃で1.2 M塩酸を少しずつ加え反応を停止し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン = 8/1)を行い、再沈殿(ヘキサン/ジクロロメタン)により精製する。2,4-ジフェニル-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェンを506 mg (73%)得た。
【0045】
2,4-ジフェニル-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェン
黄色結晶, m.p. 189-190℃ (hexane-CH2Cl2).
1H-NMR (500 MHz, δ, ppm, CDCl3)
5.57 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 7.04-7.10 (m, 4H), 7.23-7.27 (m, 1H), 7.31-7.43 (m, 9H), 7.58 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 7.67 (d, J = 7.5 Hz, 2H).
13C-NMR (100.7 MHz, δ, ppm, CDCl3)
56.5, 72.2, 114.0, 123.0, 123.6, 125.3, 126.1, 126.4, 126.6, 127.0, 128.6 (2C), 128.9, 134.2, 138.3, 138.4, 142.9, 146.1, 148.7, 154.1.
元素分析:計算値(C30H20Se): C, 87.34%; H, 4.89%
実測値:C; 87.23%; H, 4.85%.
紫外可視吸収スペクトル(CH2Cl2, c = 7.3×10-5 M) λmax 378 nm (モル吸光係数23,000 M-1cm-1).
蛍光スペクトル ジクロロメタン溶液 (c = 7.3×10-5 M, 励起光378 nm) λem 491 nm.
絶対蛍光量子収率 ジクロロメタン溶液 (c = 5.8×10-5 M, 励起光378 nm) 0.91.
【0046】
実施例3
2,4-ジ(4-メトキシフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェンの合成
【化14】

【0047】
ジ(9-アントリル)ジセレニド64 mg (0.12 mmol)を二口フラスコに入れ、アルゴン置換し、THF 5 mlを加える。別の二口フラスコに水素化ホウ素ナトリウム26 mg (0.69 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール10 mlを加える。両方の二口フラスコを氷冷(0℃)し、ジセレニドのTHF溶液をテフロンチューブを用いて、水素化ホウ素ナトリウムのエタノール溶液に加え、氷冷したまま20分間攪拌する。別の二口フラスコに1,4-ジ(4-メトキシフェニル)ブタジイン(文献)69 mg (0.26 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール8 mlとTHF 1 mlを加える。ブタジインの混合溶液をテフロンチューブを用いて、反応溶液に加え、80℃で40時間攪拌する。0℃で1.2 M塩酸を少しずつ加え反応を停止し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン = 3/1)で精製し、2,4-ジ(4-メトキシフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェンを26 mg (21%)得た。
(文献)D. Li, K. Yin, J. Li, X. Jia, Tetrahedron Letters, 2008, 49, 5918.
【0048】
2,4-ジ(4-メトキシフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェン
黄色結晶
1H-NMR (500 MHz, δ, ppm, CDCl3)
3.83 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 5.45 (s, 1H), 6.86-6.92 (m, 5H), 7.01-7.08 (m, 4H), 7.30-7.33 (m, 2H), 7.36-7.39 (m, 2H), 7.45-7.49 (m, 2H), 7.55-7.58 (m, 2H).
13C-NMR (100.7 MHz, δ, ppm, CDCl3)
55.31, 55.34, 57.0, 70.7, 114.0 (2C), 116.3, 122.9, 125.2, 125.4, 126.0, 127.99, 128.04, 128.8, 131.4, 140.6, 143.8, 144.1, 146.7, 154.3, 158.7, 160.0.
77Se-NMR (95.4 MHz, δ, ppm, CDCl3)
324.3.
紫外可視吸収スペクトル (CH2Cl2, c = 1.9×10-5 M) λmax 389 nm (モル吸光係数23,000 M-1cm-1).
蛍光スペクトル ジクロロメタン溶液 (c = 1.9×10-5 M, 励起光389 nm) λem 487 nm.
絶対蛍光量子収率 ジクロロメタン溶液 (c = 3.3×10-5 M, 励起光389 nm) 0.86
【0049】
実施例4
2,4-ジ(4-メトキシフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェンの合成
【化15】

【0050】
ジ(9-アントリル)ジスルフィド70 mg (0.17 mmol)を二口フラスコに入れ、アルゴン置換し、THF 5 mlを加える。別の二口フラスコに水素化ホウ素ナトリウム34 mg (0.86 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール10 mlを加える。両方の二口フラスコを氷冷(0℃)し、ジセレニドのTHF溶液をテフロンチューブを用いて、水素化ホウ素ナトリウムのエタノール溶液に加え、氷冷したまま20分間攪拌する。別の二口フラスコに1,4-ジ(4-メトキシフェニル)ブタジイン(文献) 93 mg (0.36 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール5 mlとTHF 1 mlを加える。ブタジインの混合溶液をテフロンチューブを用いて、反応溶液に加え、80℃で29時間攪拌する。0℃で1.2 M塩酸を少しずつ加え反応を停止し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン = 4/1)で精製し、2,4-ジ-(4-メトキシフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェンを42 mg (26 %)得た。
(文献)D. Li, K. Yin, J. Li, X. Jia, Tetrahedron Letters, 2008, 49, 5918.
【0051】
2,4-ジ(4-メトキシフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェン
黄色結晶
1H-NMR (500 MHz,δ, ppm, CDCl3)
3.82 (s, 3H), 3.85 (s, 3H), 5.51 (s, 1H), 6.70 (s, 1H), 6.90-6.94 (m, 4H), 7.03-7.09 (m, 4H), 7.33-7.35 (m, 2H), 7.39-7.41 (m, 2H), 7.56-7.58 (m, 2H), 7.59-7.61 (m, 2H).
13C NMR (100.7 MHz,δ, ppm, CDCl3)
55.3, 55.4, 56.5, 72.1, 112.4, 113.9 (2C), 122.9, 123.5, 125.2, 126.0, 127.1, 127.7 (2C), 131.0, 137.1, 143.1, 146.3, 147.3, 152.9, 158.6, 160.1.
紫外可視吸収スペクトル(CH2Cl2, c = 3.8×10-6 M) λmax 388 nm (モル吸光係数23,000 M-1cm-1).
蛍光スペクトル ジクロロメタン溶液 (c = 3.8×10-6 M, 励起光388 nm) λem 497 nm.
絶対蛍光量子収率 ジクロロメタン溶液 (c = 4.9×10-5 M, 励起光388 nm) 0.88.
【0052】
実施例5
2,4-ジ(4-フルオロフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェンの合成
【化16】

【0053】
ジ(9-アントリル)ジセレニド93 mg (0.18 mmol)を二口フラスコに入れ、アルゴン置換し、THF 5 mlを加える。別の二口フラスコに水素化ホウ素ナトリウム22 mg (0.58 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール5 mlを加える。両方の二口フラスコを氷冷(0℃)し、ジセレニドのTHF溶液をテフロンチューブを用いて、水素化ホウ素ナトリウムのエタノール溶液に加え、氷冷したまま15分間攪拌する。別の二口フラスコに1,4-ジ(4-フルオロフェニル)ブタジイン(文献)164 mg (0.69 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール5 mlとTHF 2 mlを加える。ブタジインの混合溶液をテフロンチューブを用いて、反応溶液に加え、80℃で23時間攪拌する。0℃で1.2 M塩酸を少しずつ加え反応を停止し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン = 8/1)で精製し、2,4-ジ-(4-フルオロフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェンを157 mg (88%)得た。
(文献)D. Li, K. Yin, J. Li, X. Jia, Tetrahedron Letters, 2008, 49, 5918.
【0054】
2,4-ジ(4-フルオロフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェン
黄色結晶, m.p. 223-224℃ (hexane-CH2Cl2).
1H-NMR (500 MHz, δ, ppm, CDCl3)
5.44 (s, 1H), 6.90 (s, 1H), 7.03-7.12 (m, 8H), 7.30-7.37 (m, 2H), 7.38-7.43 (m, 2H), 7.48-7.60 (m, 4H).
13C-NMR (125.8 MHz, δ, ppm, CDCl3)
57.2, 71.0, 115.6 (d, J = 22 Hz), 115.7 (d, J= 22 Hz), 117.5, 123.0, 125.3, 125.6, 126.2, 128.4 (d, J = 8 Hz), 128.5 (d, J = 8 Hz), 132.2 (d, J = 4 Hz), 134.8 (d, J = 3 Hz), 141.0, 143.5, 144.4, 146.5, 155.4, 162.0 (d, J = 248 Hz), 162.9 (d, J = 249 Hz).
元素分析:計算値(C30H18F2Se)C, 72.73%; H, 3.66%.
実測値:C; 72.16%; H; 3.61%.
紫外可視吸収スペクトル(CH2Cl2, c = 5.5×10-5 M) λmax 381 nm (モル吸光係数17,000 M-1cm-1).
蛍光スペクトル ジクロロメタン溶液 (c = 5.5×10-5 M, 励起光381 nm) λem 476 nm.
絶対蛍光量子収率 ジクロロメタン溶液 (c = 4.4×10-5 M, 励起光381 nm) 0.90.
【0055】
実施例6
2,4-ジ(4-フルオロフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェンの合成
【化17】

【0056】
ジ(9-アントリル)ジスルフィド136 mg (0.32 mmol)を二口フラスコに入れ、アルゴン置換し、THF 8 mlを加える。別の二口フラスコに水素化ホウ素ナトリウム40 mg (1.06 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール5 mlを加える。両方の二口フラスコを氷冷(0℃)し、ジスルフィドのTHF溶液をテフロンチューブを用いて、水素化ホウ素ナトリウムのエタノール溶液に加え、氷冷したまま20分間攪拌する。別の二口フラスコに1,4-ジ(4-フルオロフェニル)ブタジイン(文献)164 mg (0.69 mmol)を入れ、アルゴン置換し、エタノール5 mlとTHF 1 mlを加える。ブタジインの混合溶液をテフロンチューブを用いて、反応溶液に加え、80℃で15時間攪拌する。0℃で1.2 M塩酸を少しずつ加え反応を停止し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン = 8/1)で精製し、2,4-ジ-(4-フルオロフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]セレノフェンを216mg (75%)得た。
(文献)D. Li, K. Yin, J. Li, X. Jia, Tetrahedron Letters, 2008, 49, 5918.
【0057】
2,4-ジ(4-フルオロフェニル)-5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]チオフェン
黄色結晶, m.p. 236-237℃ (hexane-CH2Cl2).
1H-NMR (400 MHz, δ, ppm, CDCl3)
5.50 (s, 1H), 6.69 (s, 1H), 7.03-7.12 (m, 8H), 7.32-7.43 (m, 4H), 7.55-7.66 (m, 4H).
13C NMR (100.7 MHz, δ, ppm, CDCl3)
56.6, 72.4, 113.6, 115.6 (d, J = 22 Hz), 115.7 (d, J = 22 Hz), 123.0, 123.5, 125.4, 126.2, 128.1 (d, J = 8 Hz). 128.2 (d, J = 8 Hz), 130.4, 134.7 (d, J = 3 Hz), 134.4 (d, J = 3 Hz), 137.5, 142.7, 146.0, 147.6, 154.0, 161.8 (d, J = 248 Hz), 163.0 (d, J = 251 Hz).
元素分析:計算値(C30H18F2S)C, 80.33%; H, 4.05%.
実測値:C; 79.77%; H; 3.94%.
紫外可視吸収スペクトル(CH2Cl2, c = 6.9×10-5 M) λmax 378 nm (モル吸光係数17,000 M-1cm-1).
蛍光スペクトル ジクロロメタン溶液 (c = 6.9×10-5 M, 励起光378 nm) λem 486 nm.
絶対蛍光量子収率 ジクロロメタン溶液 (c = 6.7×10-5 M, 励起光378 nm) 0.91.
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は蛍光性物質が関連する種々の技術分野に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体。
【化1】

(式中、Xは、SeまたはSであり、R1およびR2は、独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルキル基、または以下の一般式(2)で示されるアリール基である。)
【化2】

(式中、R3は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルキル基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルコキシル基、ハロゲン、ニトロ基、またはアミノ基である。)
【請求項2】
一般式(3)で示されるジカルコゲニドを還元してカルコゲノラートを生成させ、生成したカルコゲノラートと一般式(4)で示されるブタジイン誘導体を加熱して、一般式(1)で示される5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体を得ることを含む、一般式(1)で示される5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体の製造方法。
【化3】

(式中、Xは、SeまたはSであり、R1およびR2は、独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルキル基、または以下の一般式(2)で示されるアリール基である。)
【化4】

(式中、R3は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルキル基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の無置換若しくは置換基を有するアルコキシル基、ハロゲン、ニトロ基、またはアミノ基である。)
【請求項3】
請求項1に記載の5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体に励起光を照射して蛍光発光を得る、蛍光発光生成方法。
【請求項4】
有機エレクトロルミネッセンス素子用発光材料である請求項1に記載の5,9b-ジヒドロ-5,9b-ベンゾナフト[1,2-b]カルコゲノフェン誘導体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−41295(P2012−41295A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183588(P2010−183588)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504190548)国立大学法人埼玉大学 (292)
【Fターム(参考)】