6軸力センサ
【課題】歪ゲージに代わって並進力を検出する装置を利用して6軸力センサを形成するとともに、6軸力センサの小型化、軽量化を図る。
【解決手段】6軸力センサにおいて、外力が作用する作用部と、外部からの圧力に応じてその導電率が変化する性質を有する導電率変化部を内部に有し、互いに直交する三軸方向の各々に設けられ、該導電率変化部における導電率の変化を検出する感圧式導電性センサと、三軸方向の各々において感圧式導電性センサと接触し、作用部と連結して設けられた接触部と、を備え、感圧式導電性センサによって検出される導電率の変化に基づいて、三軸方向の各々における並進力を算出し、該並進力に基づいて該三軸周りの各々のモーメントを算出する。
【解決手段】6軸力センサにおいて、外力が作用する作用部と、外部からの圧力に応じてその導電率が変化する性質を有する導電率変化部を内部に有し、互いに直交する三軸方向の各々に設けられ、該導電率変化部における導電率の変化を検出する感圧式導電性センサと、三軸方向の各々において感圧式導電性センサと接触し、作用部と連結して設けられた接触部と、を備え、感圧式導電性センサによって検出される導電率の変化に基づいて、三軸方向の各々における並進力を算出し、該並進力に基づいて該三軸周りの各々のモーメントを算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三軸方向の並進力および各軸周りのモーメントを同時に計測可能ないわゆる6軸力センサであって、例えば、人間の歩行分析やロボットの姿勢制御等に利用可能な6軸力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
6軸力センサにおける6軸力とは、それぞれ直交した三軸方向の並進力と、各軸周りのモーメントをいう。一般的な6軸力センサは、力の成分に対して感度の異なる歪み部を複数配置し、これら歪み部の歪量を歪ゲージによって測定して各軸力を計測している。この中でも代表的な6軸力センサは、三組の平行平板状の構造を直列に三つ組み合わせたものがある。このように、歪み部を直列に組み合わせた構成では、全ての計測部に全ての力がかかることとなる。そのため、非測定成分の力に対する剛性を高くする必要がある。
【0003】
そこで、各軸方向の並進力および各軸周りのモーメントが干渉されないように計測するための6軸力センサに関する技術が公開されている(例えば、特許文献1を参照。)。この技術による6軸力センサおいては、球体を有する起歪み部に対して、直交する三軸方向においてそれぞれ独立して設けられた、点接触する検出部が設けられている。起歪み部に外力が作用すると、それが各軸方向の検出部に伝わり、各検出部に設けられた歪ゲージによって作用した力(並進力)が検出される。
【特許文献1】特開2002−221459号公報
【特許文献2】特開平6−347350号公報
【特許文献3】特開2004−329280号公報
【特許文献4】特開2001−13015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図27に示すように、従来の6軸力センサにおいて三軸方向に働く並進力の検出に歪ゲージが広く利用されている。しかし、この歪ゲージにはその利用に当たって、様々な問題が生じる。例えば、第一に、外力によって歪が生じる歪み部に歪ゲージを正確に設置するのが困難であること、第二に、その歪み部において作用する外力と生じる歪の関係が線形となるように、歪み部の加工に高い精度が要求されること、等が列挙できる。
【0005】
また、歪ゲージを使用する場合、例えば直交する三軸方向にそれぞれ歪を生じる歪み部を設ける必要があり、且つそれぞれの方向の歪が互いに干渉し合わないようにするために、6軸力センサ自体の大きさが比較的大きくなってしまい、その小型化、軽量化が困難となる場合がある。
【0006】
本発明では、上記した問題に鑑み、歪ゲージに代わって並進力とモーメントを検出する装置を利用して6軸力センサを形成するとともに、6軸力センサの小型化、軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、上記した課題を解決するために、感圧式の導電性センサに着目した。この感圧式導電性センサは、外部からの圧力に応じてセンサ内部に有する導電率変化部の導電率が変化し、その導電率変化を検出するセンサである。歪ゲージは、外部からの力に対して構造物を歪ませその歪み量を検出するため、外部からの力を検出する構造物という仲介物が必要になるのに対し、この感圧式導電性センサは外部からの力を導電率変化部
での導電率の変化という形でより直接的に検出することが可能となる。そのため、外部からの力を検出するにあたり、そして検出された力をもとに三軸方向の並進力および三軸周りのモーメントを検出するにあたり、感圧式導電性センサは非常に有用である。
【0008】
詳細には、本発明は、外力が作用する作用部と、外部からの圧力に応じてその導電率が変化する性質を有する導電率変化部を内部に有し、互いに直交する三軸方向、もしくは三次元空間で互いに重ならない三軸方向の各々に設けられ、該導電率変化部における導電率の変化を検出する感圧式導電性センサと、前記三軸方向の各々において前記感圧式導電性センサと接触し、前記作用部と連結して設けられた接触部と、前記作用部に外力が作用するとき、前記感圧式導電性センサによって検出される導電率の変化に基づいて、前記三軸方向の各々における並進力を算出する並進力算出手段と、前記並進力算出手段によって算出された前記三軸方向の各々における並進力に基づいて、該三軸周りの各々のモーメントを算出するモーメント算出手段と、を備えることを特徴とする6軸力センサである。
【0009】
上記の6軸力センサの特徴点は、前記三軸方向に働く並進力と該三軸周りのモーメントを算出にあたり、感圧式導電性センサが利用される点である。この感圧式導電性センサは、その内部に導電率変化部を有している。作用部に外力が作用すると、該作用部に連結された接触部を介して、感圧式導電性センサにその力による圧力が伝わる。その結果、前記三軸方向における感圧式導電性センサの導電率変化部の導電率が変化する。
【0010】
この導電率変化部の導電率は、外部から感圧式導電性センサにかけられる力、即ち三軸方向の各軸方向に作用する並進力との間に、線形や非線形等の何らかの相対関係を有した状態で変化する。従って、この三軸方向における感圧式導電性センサの導電率変化部の導電率の変化に基づいて、三軸方向の各軸方向に作用する並進力を並進力算出手段が算出する。更に、並進力算出手段が算出した三軸方向の並進力と6軸力センサにおける三軸との構造的な相対的な位置関係から、該三軸周りのモーメントを、モーメント算出手段が算出する。
【0011】
本発明に係る6軸力センサでは、このように感圧式導電性センサを利用して三軸方向の並進力と該三軸周りのモーメントが算出されるが、この感圧式導電性センサは上述したように外部からの力を導電率変化部での導電率の変化という形でより直接的に検出するため、6軸力センサをより小型化、軽量化して構成することが可能となる。特に、従来のように歪ゲージを使用する場合と比べて、6軸力センサ内に外力によって歪が生じる歪み部を設ける必要がないため、歪み部形成に起因する上述の不都合の影響を回避することが可能となる。
【0012】
ここで、上記の6軸力センサにおいて、前記接触部は、前記三軸方向の各々において、該接触部と連結され、又は該接触部と分離した、前記感圧式導電性センサと球面で接触する球体接触部材を有するようにしてもよい。球体接触部材を備えることで、球体接触部材が感圧式導電性センサと点接触する。その結果、両者間での摩擦の低減を図り、以て導電率変化部における導電率の変化に反映され、6軸力センサの並進力およびモーメントの算出の精度が向上する。尚、球体接触部材による点接触とすることで、感圧式導電性センサへの荷重が集中荷重となり、該感圧式導電性センサの検出特性によっては十分な精度での検出が困難となる場合がある。そこで、球体接触部と感圧式導電性センサとの間に、該感圧式導電性センサと平面で固定接触する平面部材を介在させてもよい。この平面部材の存在により、球体接触部材によって集中荷重が分布荷重に変換されて感圧式導電性センサへと伝播し、該感圧式導電性センサの検出精度を向上させることが可能となる。
【0013】
また、上述までの6軸力センサの構造において、前記感圧式導電性センサは、前記三軸方向の各々において、前記接触部を両側から挟んだ状態で該接触部と接触しているように
してもよい。即ち、感圧式導電性センサは、該三軸の各軸における+(プラス)方向と−(マイナス)方向で、接触部から外力の各軸への並進力を受けることになる。
【0014】
また、上述までの6軸力センサおいて、少なくとも三組の前記感圧式導電性センサと前記接触部を、一直線上に無い状態で備えると、前記並進力算出手段は、各感圧式導電性センサによって検出される導電率の変化に基づいて、該感圧式導電性センサにおける三軸方向に作用する並進力を算出することができる。このようにすることで、更に外力の作用点である移動重心ZMP(Zero Moment Point)を測定することが可能となる。
【0015】
ここで、上述までの6軸力センサにおいて、前記並進力算出手段は、前記感圧式導電性センサにおける前記導電率変化部は感圧インク層で形成され、前記接触部からの接触圧力によって感圧インク層の導電率が変化することを利用して、前記三軸方向の各々における並進力を算出するようにしてもよい。即ち、外部からの力によって導電率が変化する導電率変化部を、いわゆる感圧インクによって形成することで感圧式導電性センサの小型化、軽量化をより効率的に進め、以て6軸力センサの小型化、軽量化が促進される。尚、感圧インク層に代えて、感圧ゴム層を利用することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
歪ゲージに代わって並進力を検出する装置を利用して6軸力センサを形成するとともに、6軸力センサの小型化、軽量化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここで、本発明に係る6軸力センサの実施の形態について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明に係る6軸力センサ1の概略構成を示すとともに、その把握が容易になるように6軸力センサ1を分解した図である。この6軸力センサ1は、任意に設定される互いに直交する三軸方向における並進力と、該三軸周りのモーメントを検出することが可能なセンサである。尚、図1においては、6軸力センサ1に対応する三軸は、図示するように、紙面の左右方向にX軸、紙面の手前前後方向にY軸、紙面の上下方向にZ軸が設定され、これらの三軸は互いに直交する。
【0019】
6軸力センサ1は、外力が作用する作用部としても機能する上板2と、該センサの多くの部品が固定される下板3と、6軸力センサ1に対応する三軸(以下、単に「三軸」という。)の一部の軸方向における並進力を電気的に検出する第一検出部4と、三軸のうち残りの軸方向における並進力を電気的に検出する第二検出部5とで、主に構成されている。上板2および下板3は、ほぼ同型の板材であり、本実施例においては矩形体である。そして、上板2および下板3の辺は、X軸およびY軸に平行に設定される。また、第一検出部4は、上板2および下板3の各隅に四台設けられ、第二検出部5は上板2および下板3の各辺の中央部に設けられている。
【0020】
この第一検出部4と第二検出部5によって検出される並進力に対応する電気信号が、アンプとAD変換器を介してパソコン6に送られ、パソコン6の演算部によって、三軸方向の並進力および該三軸周りのモーメントが算出される。以下に、更に6軸力センサ1について詳細に説明する。
【0021】
先ず、第一検出部4の構造について、図1および図2に基づいて説明する。一つの第一検出部4は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向にそれぞれ設けられた感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cと、球体のボール4dと、上板2に接着された矩形部材であって
その端面が上板2のX軸方向またはY軸方向の辺と平行なロッド4e、4fで構成される。
【0022】
更に、感圧式導電性センサユニット4aは、下板3に固定されX軸方向にセンサ固定面を有するセンサ取り付け具4a1と、該センサ固定面に固定された感圧式導電性センサ4a2と、該感圧式導電性センサ4a2の表面に接着され該センサを面で受け、且つ保護するセンサ保護板4a3とで構成される。また、感圧式導電性センサユニット4bは、下板3に固定されY軸方向にセンサ固定面を有するセンサ取り付け具4b1と、該センサ固定面に固定された感圧式導電性センサ4b2と、該感圧式導電性センサ4b2の表面に接着され該センサを面で受け、且つ保護するセンサ保護板4b3とで構成される。また、感圧式導電性センサユニット4cは、下板3に固定された感圧式導電性センサ4c2と、該感圧式導電性センサ4c2の表面に接着され該センサを面で受け、且つ保護するセンサ保護板4c3とで構成される。
【0023】
尚、感圧式導電性センサ4a2、4b2、4c2は、その内部に、それぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の外力に対して導電率が変化する導電率変化部を有しており、その導電率の変化に基づいて各軸に作用する並進力の大きさを検出する。その詳細について、図3に基づいて説明する。図3は、本発明に係る6軸力センサ1に使用される感圧式導電性センサの一例について、その構成を示す図である。
【0024】
感圧式導電性センサが並進力fを検出する感圧部は、外表にポリエステルフィルム層、その内部に銅インクあるいは銀インクを該ポリエステルフィルム層にスクリーン印刷機を用いてスクリーンプリントして形成される電極層、更にその電極層に包まれるように位置し、該電極層の上から感圧インクをスクリーンプリントして形成される感圧インク層とで構成される。感圧式導電性センサの外部から並進力fが加わると、その力が板を介して感圧インク層に伝わり、その導電率(抵抗値)が変化する。従って、この感圧インク層が、上記の導電率変化部として機能する。この板は、感圧インク層に伝わる並進力をより広い範囲に分布する分布荷重に変換し、感圧インク層での導電率の変化をより効果的に生じさせることが可能となる。
【0025】
そこで、この感圧インク層の導電率の変化を検出することで、感圧式導電性センサに加えられた並進力fが算出される。尚、外力の算出に当たり、感圧インク層の導電率の変化と並進力fとの間に線形の相対関係があるのが好ましいが、それだけには限られない。図4に基づいて、図3に示す感圧式導電性センサを用いた並進力fの具体的な算出について説明する。
【0026】
図4は、感圧式導電性センサを用いた並進力fを算出するための、基本的な回路構成を示す図である。尚、本実施例においては、感圧インク層の導電率に反比例する該感圧インク層の抵抗値Rと並進力fとの間には、式1で表される関係が存在する。
f = α / R ・・・(式1)
αは、係数である。
【0027】
ここで、図4に示す回路は、固定抵抗値Rfを有する固定抵抗と、感圧インク層による可変抵抗値Rを有する可変抵抗が、電源電圧Vに対して直列に接続されている。ここで、電源電圧Vが一定であるとき、固定抵抗値Rfにかかる電圧Vfは、可変抵抗値Rの値に応じて変動する。その変動をAD変換器を介してパソコン6が検出する。そして、式2に従い、可変抵抗値Rが算出される。
R = (V−Vf)Rf/Vf ・・・(式2)
そして、式1および式2に従って、パソコン6は、並進力fを算出することが可能である。このように、本発明に係る6軸力センサ1は、感圧式導電性センサを用いて並進力を
検出する。
【0028】
再び、図1および図2に戻り、第一検出部4の構造の説明を続ける。第一検出部4は、その完成状態では、感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cのそれぞれが有する各センサ保護板を介してボール4dが接触した状態で、ロッド4e、4fおよび上板2が、該ボール4dをY軸方向、X軸方向、Z軸方向に拘束した状態とする。
【0029】
ここで、上述したように、第一検出部4は、上板2および下板3の四隅に設けられる。そして、各隅において、感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cのそれぞれがボール4dに接触した状態となる。従って、X軸方向においては、二つのロッド4fの端面によって、X軸のプラス側とマイナス側のそれぞれから、それぞれのボール4dを介して感圧式導電性センサユニット4aに接触し、且つその構成が二組存在する。また、Y軸においても、二つのロッド4eの端面によって、Y軸のプラス側とマイナス側のそれぞれから、それぞれのボール4dを介して感圧式導電性センサユニット4bに接触し、且つその構成が二組存在する。また、Z軸方向においては、四つの第一検出部4によって、マイナス側からそれぞれのボール4dを介して、プラス側に位置する感圧式導電性センサユニット4cに接触する。これらの第一検出部4の動作については、後述する。
【0030】
ここで、図2に示す感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cの作成方法について、図5〜図9に基づいて具体的に説明する。図5に示すように、X軸方向とY軸方向においてボール4dと接触する感圧式導電性センサユニット4a、4bと、Z軸方向においてボール4dと接触する感圧式導電性センサユニット4cとは、感圧式導電性センサの感圧面の形状が異なる。これは、感圧式導電性センサの寸法と感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cの寸法上の制限による。即ち、6軸力センサの小型化を図るために、X軸方向とY軸方向の感圧式導電性センサユニット4a、4bの寸法を可及的に小さくすることが好ましいからである。
【0031】
本実施例において使用される感圧式導電性センサは図6に示すように、テープ状になっており、一端(図面の円形部の位置する端部)がセンサの感圧面となっており、他端がリード線を介して電極となっている。これは、一般に市販されている感圧式導電性センサの標準的な形状である。この感圧式導電性センサの感圧面をX軸方向、Y軸方向にそのまま使用すると、感圧面の寸法から感圧式導電性センサユニット4a、4bの大きさが大きくなり6軸力センサの小型化が阻害される。そこで、図6に示すように、センサの感圧面を三つに折り曲げて、その中央部がボール4dと接触するようにして感圧式導電性センサユニット4a、4bを作成する。
【0032】
より具体的には、図5、7に示すように、センサ取り付け具の下にスペーサを設け、折り曲げられたセンサの感圧面の上端部が、スペーサによって作られた空間に収まるようにする。このとき、センサ感圧面の上端部に荷重が作用しないように、該上端部をセンサ取り付け具の底部に貼り付けておく。そして、ボール4dと接触するセンサ感圧面の中央部にはセンサ保護板を取り付ける。また、電極が延出するセンサ感圧面の下端部は上板2に接触しないように、センサ取り付け具の上面に貼り付けておく。このようにすることで、感圧式導電性センサは、センサ感圧面の中央部のみで荷重を受けることになるが、感圧式導電性センサユニット4a、4bの大きさを抑制することが可能となる。尚、Z軸方向の感圧式導電性センサユニット4cについては、センサの寸法による制限は無いためセンサ感圧面を折り曲げることなく、そのままの形状で感圧式導電性センサを利用する。
【0033】
しかし、このように感圧式導電性センサの感圧面を折り曲げて使用すると、感圧式導電性センサには外部から荷重はかかっていないものの、折り曲げによってセンサ感圧面に歪みが生じ無負荷時の感圧式導電性センサの出力が0(V)とならず、バイアス荷重f0(
該センサの出力のVf0(V)に相当)がかかった状態となる。そこで、ボール4dから受ける荷重Δfは以下の式に従って算出される。
Δf = f−f0 = α(1/R−1/R0)
但し、R0 = (V−Vf0)Rf/Vf0である。
【0034】
また、上記のように感圧式導電性センサの感圧面を折り曲げるのではなく、図8に示すように該感圧面が荷重を検知するために適当な大きさ、形状となるように、それを切断してもよい。この場合、感圧式導電性センサの感圧面を構成する電極層、感圧インク層が外気と触れて酸化等によって変質するのを防止するために、ポリエチレンフィルム等でその切断面をコーティングするのが好ましい。
【0035】
次に、第二検出部5の構造について、図1、9、10に基づいて説明する。一つの第二検出部5は、図9に示す、上板2に固定される下側ユニット5aと、図10に示す、下板3に固定される上側ユニット5bによって構成される。下側ユニット5aは、コの字型をした金具5a1と、金具5a1の凹部の中央に螺合されるネジであってその端部に球形部を有するボール付きネジ5a2から構成される。ボール付きネジ5a2は、その球形部が金具5a1の凹部表面から突出した状態で該金具5a1と螺合する。
【0036】
上側ユニット5bは、図10(a)に示すように、凹部形状を有する金具5b1と、金具5b1の凹部に固定される感圧式導電性センサ5b2と、該感圧式導電性センサ5b2の表面に接着され該センサを保護するセンサ保護板5b3とで構成される。尚、図10(b)、(c)は、それぞれ図10(a)のV1、V2方向から、上側ユニット5bを見た図である。尚、感圧式導電性センサ5b2は、上述の感圧式導電性センサ4a2、4b2、4c2と実質的に同質のものである。
【0037】
ここで、上述したように、第二検出部5は、二つの第一検出部4の間の上板2と下板3の辺の中間に設けられる。そして、下側ユニット5aの凹部(コの字の奥の部分)と上側ユニット5bの凹部とが組み合うように上側ユニット5bが下板3に固定される。そして、6軸力センサ1の組み立て時に下側ユニット5aが上板2に固定されると、ボール付きネジ5a2の球形部がセンサ保護板5b3と接触した状態となる。従って、第二検出部5においては、Z軸方向で、プラス側からボール付きネジ5a2の球形部を介して、マイナス側に位置する上側ユニット5bの感圧式導電性センサ5b2に接触する。これらの第二検出部5の動作については、後述する。
【0038】
次に、上述した第一検出部4と第二検出部5を備える6軸力センサ1の具体的な組み立てについて、図11、12に基づいて説明する。先ず、図11に示すように、上述したように下側ユニット5aの凹部と上側ユニット5bの凹部とが組み合うように上側ユニット5bを下板3に固定する。更に、下板3の四隅に設けられた第一検出部4のそれぞれにおいて、ボール4dを各軸方向のセンサ保護板に接触するように配置する。
【0039】
次に、図12に示すように、各第一検出部4のロッド4e、4fが固定された上板2を、各ロッド4e、4fが、対応するボール4dにX軸方向およびY軸方向で接触するように下板3に被せる。それとともに、各第二検出部5の下側ユニット5aの金具5a1の二つの突起部(コの字の両端部)の端面を、上板2に固定する。このとき、各第一検出部4におけるボール4dが対応するX軸、Y軸、Z軸の三軸方向の感圧式導電性センサ(そのセンサ保護板)に接触し、且つ各第二検出部5におけるボール付きネジの球形部がZ軸方向の感圧式導電性センサ(そのセンサ保護板)に接触すべく、第一検出部4および第二検出部5の各構成要素の寸法や形状が設定されている。
【0040】
図13に、組み立て後の6軸力センサ1の概観を示す。上板2と下板3との間には、第
一検出部4と第二検出部5の高さに応じた間隙が形成される。また、図14に、組み立て後の6軸力センサ1を上から(Z軸方向から)見た図を示す。尚、図中斜線が引かれている部分は、上板2に固定されている構成要素である。第一検出部4において、ボール4dは固定はされていないが、ロッド4e、4f、センサ保護板4a3、4b3、4c3および上板2によって拘束された状態となっている。
【0041】
また、図15は、組み立て後の6軸力センサ1を側面から(Y軸方向から)見た図を示す。尚、図中斜線が引かれている部分は、上板2に固定されている構成要素である。第二検出部5において、ボール付きネジ5a2の球形部が適切にセンサ保護板5b3と接触するように、ボール付きネジ5a2と金具5a1のネジの噛み合い量が調整されている。
【0042】
ここで、図15に示すようにボール4dと上板2およびロッド4f(4e)は直接接触しているが、そのような場合、ボール4dと接触する上板2およびロッド4f(4e)の材質を、表面硬さHRCが62程度の鋼とするのが好ましい。硬い材質を上板2およびロッド4f(4e)に使用することで、ボール4dと上板2およびロッド4f(4e)との接触部が、より理想的な点接触となり、ボール4dに発生する摩擦力を低減させることが可能となる。尚、上板2およびロッド4f(4e)全体に、表面硬さHRCが62程度の鋼等の硬い材質が使用できない場合は、図16に示すようにボール4dと上板2およびロッド4f(4e)との接触部7のみに、該硬い材質のあて板を併設してもよい。
【0043】
上述のように組み立てられた6軸力センサ1における、三軸(X、Y、Z軸)方向における並進力と、該三軸周りのモーメントの算出について、以下に説明する。6軸力センサ1の上板2の表面中心が原点となるように、図17のように三軸(X、Y、Z軸)を設定する。そして、作用部である上板2に作用する外力Fの、X軸方向成分をFx、Y軸方向成分をFy、Z軸方向成分をFzとする。更に、X軸周りのモーメントをMx、Y軸周りのモーメントをMy、Z軸周りのモーメントをMzとする。また、外力Fが上板2に作用する作用点の座標を、X−Y平面上の(X、Y)とする。
【0044】
上板2に外力Fが作用すると、第一検出部4においては、外力の三軸方向における並進力がボール4dを介して各感圧式導電性センサにかかり、第二検出部5においては、外力のZ軸方向(紙面の上方向)における並進力がボール付きネジ5a2の球形部を介して感圧式導電性センサ5b2にかかる。そこで、上述したように、これらの感圧式導電性センサによって生じた導電率の変化に対応する電気信号がパソコン6に送られ、パソコン6がその導電率の変化に基づいて、各検出部における外力Fの並進力を算出する。
【0045】
図18に基づいて説明すると、紙面左側手前の第一検出部4によっては、X軸方向の並進力f1x、Y軸方向の並進力f1y、Z軸方向の並進力f1zが検出される。また、紙面右側手前の第一検出部4によっては、X軸方向の並進力f2x、Y軸方向の並進力f2y、Z軸方向の並進力f2zが検出される。また、紙面右側奥の第一検出部4によっては、X軸方向の並進力f3x、Y軸方向の並進力f3y、Z軸方向の並進力f3zが検出される。また、紙面左側奥の第一検出部4によっては、X軸方向の並進力f4x、Y軸方向の並進力f4y、Z軸方向の並進力f4zが検出される。更に、紙面左の第二検出部5によってはZ軸方向の並進力f5zが、紙面手前の第二検出部5によってはZ軸方向の並進力f6zが、紙面右の第二検出部5によってはZ軸方向の並進力f7zが、紙面奥の第二検出部5によってはZ軸方向の並進力f8zが、検出される。
【0046】
ここで、図19に、Y軸方向から見た図18に示した各検出部で検出される各軸方向の並進力と、原点から各検出部までの距離を示す。図19に示すように、原点から左右(X軸方向)の第一検出部4までの距離は、それぞれL1とする。また、原点からボール4dの中心までのZ方向の距離をhとする。更に、図20に、Z軸方向から見た図18に示し
た各検出部で検出される各軸方向の並進力と、原点から各検出部までの距離を示す。図20に示すように、原点から前後(Y軸方向)の第一検出部4までの距離は、それぞれL2とする。また、原点から左右(X軸方向)の第二検出部5までの距離をそれぞれL4とし、原点から前後(Y軸方向)の第二検出部5までの距離はそれぞれL3とする。尚、原点から左右(X軸方向)の第一検出部4までの距離は、左右で必ずしも同一である必要はなく、適宜任意の距離を設定可能である。原点から前後(Y軸方向)の第一検出部4までの距離、原点から前後(Y軸方向)の第二検出部5までの距離についても同様である。
【0047】
以上の設定により、外力FによるX、Y、Z軸の並進力は以下の式に従って、パソコン6の演算部によって算出される。
Fx = −f1x+f2x+f3x−f4x
Fy = f1y+f2y−f3y−f4y
Fz = f1z+f2z+f3z+f4z−f5z−f6z−f7z−f8z
【0048】
更に、X、Y、Z軸周りのモーメントは以下の式に従って、パソコン6の演算部によって算出される。
Mx = f1z・L2+f2z・L2−f3z・L2−f4z・L2−f1y・h
−f2y・h+f3y・h+f4y・h−f6z・L3+f8z・L3
My = −f1z・L1+f2z・L1+f3z・L1−f4z・L1+f1x・h
−f2x・h−f3x・h+f4x・h+f5z・L4−f7z・L4
Mz = −f1x・L2+f2x・L2−f3x・L2+f4x・L2
+f1y・L1−f2y・L1+f3y・L1−f4y・L1
【0049】
また、上記の式より、外力Fが上板2に作用している作用点(X、Y)の座標は、以下の式に従って、パソコン6の演算部によって算出される。
X = My/Fz
Y = Mx/Fz
【0050】
以上より、本実施例に係る6軸力センサ1を用いることで、歪みゲージを用いなくとも直交する三軸における並進力と、該三軸周りのモーメントを検出することが可能となる。更に、この6軸力センサ1には感圧式導電性センサを利用していることにより、6軸力センサ1の小型化および軽量化を劇的に促進することが可能となる。
【0051】
従って、例えば、図21に示すように、この6軸力センサを人間の足裏に取り付けることで、重量やその大きさで人間の歩行に負担をかけることなく、人間の歩行を分析するために必要な足裏にかかる床からの反力(床反力)の作用点(ZMP:Zero Moment Point)等が検出可能となる。また、二足歩行ロボットの足裏にこの6軸力センサを取り付けることで、ロボットの歩行制御にも応用することが可能である。
【0052】
また、この6軸力センサを片足の裏面に一つ取り付けたときに歩行時の安定性が悪くなり歩行が困難となる場合は、図22に示すように6軸力センサを複数個設けることも可能である。このように片足に複数個の6軸力センサを設けた場合の、その足が床から受ける反力は図23に示すように、各6軸力センサで検出された床反力の合力として求められる。
【0053】
ここで、複数の6軸センサを用いて足が床から受ける反力およびZMPをより正確に求めるには、複数の6軸センサの相対位置を正確に検知する必要がある。そこで、例えば、図24に示すように、各6軸力センサの一直線上にない三点(例えば、各6軸力センサの三つの隅)にカメラが認識できるマーカを設置しておき、三台以上のカメラでこのマーカの位置を測定することで各6軸力センサの位置を正確に検知し、それとこれらの6軸力セ
ンサによって検出された床反力とから、足が床から受ける反力およびZMPをより正確に求めることが可能となる。
【実施例2】
【0054】
本発明に係る6軸力センサの第二の実施例について、図25、26に基づいて説明する。本実施例に係る6軸力センサは、上述の第一の実施例に係る6軸力センサにおいて、第一検出部4と第二検出部5の一部構成を変更したものである。尚、第一の実施例に係る6軸力センサの構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0055】
図25は、上述の図15と同様に、組み立て後の6軸力センサ1を側面から(Y軸方向から)見た図を示す。本実施例においても、感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cの構成(センサ取り付け具4a等、感圧式導電性センサ4a2等、センサ保護板4a3等)は、第一の実施例と同一である。
【0056】
ここで、本実施例に係る6軸力センサ1においては、ロッド4e、4fに代わってロッド15が用いられる。このロッド15は、上板2にスペーサ17を介して取り付けられる。スペーサ17の高さは、6軸力センサ1の組み立て時にロッド15がボール4dに適切に負荷を伝えられるように調整される。そして、本実施例では、このロッド15に上述した第二検出部5の下側ユニット5aの機能を付加させている。具体的には、ロッド15の中央付近に、上板2側にボール部分を向けてボール付きネジ16が螺着されている。更に、このボール付きネジ16にボール部分が対向するように、上板2にボール付きネジ18が螺着されている。
【0057】
この一対のボール付きネジ16、18によって、本実施例に係る上側ユニット20上の感圧式導電性センサが負荷を検知する。上側ユニット20は、図26(a)、(b)に示すように、コの字型をした金具20aの凹部の両表面に、感圧式導電性センサ20b、20dを設置し、更に両センサ上にセンサ保護板20c、20eを設置することで形成される。これらの感圧式導電性センサおよびセンサ保護板は、第一の実施例のものと同等の機能を有する。そして、このセンサ保護板20c、20eに、ボール付きネジ16、18のボール部分がそれぞれ接触する。尚、図25は6軸力センサ1をY軸方向から見た図であるが、X軸方向から6軸力センサ1を見ても同様の構成となっている。
【0058】
このように構成される6軸力センサ1では、ロッド15およびボール付きネジ16が、第一の実施例におけるロッド4e、4fおよび下側ユニット5aと同等の機能を発揮する。即ち、ロッド15がX軸方向(Y軸方向)の負荷を感圧式導電性センサ4a2(4b2)に伝え、ボール付きネジ16、18がZ軸方向の負荷を感圧式導電性センサ20b、20dに伝える。従って、第一の実施例における下側ユニット5aを省略できるため、6軸力センサ1の小型化に寄与し得る。
【0059】
更に、本実施例に係る6軸力センサ1では、上板2に作用する力(鉛直下方向の力)を第一検出部4の感圧式導電性センサ4c2と、上側ユニット20に設けられた感圧式導電性センサ20dの二つによって検出することが可能となる。そのため、一つの感圧式導電性センサに掛かる負荷(分力)が小さくなる。ここで、一般に、市販の感圧式導電性センサは、その負荷の測定範囲が広いほど測定精度が低下する傾向がある。従って、本実施例に係る6軸力センサのように上板2に作用する力を二つの感圧式導電性センサで分けて検出することで、一つの感圧式導電性センサに掛かる負荷を小さくし、以て負荷の測定精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例に係る6軸力センサの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係る6軸力センサの第一検出部の、下板側の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例に係る6軸力センサにおいて使用される感圧式導電性センサの概略構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る6軸力センサにおいて、感圧式導電性センサにかかる力を検出するための基本回路を示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る6軸力センサを構成する感圧式導電性センサユニットの詳細な構成を表す第一の図である。
【図6】本発明の実施例に係る6軸力センサで使用する感圧式導電性センサの感圧面の折り曲げの様子を示す図である。
【図7】本発明の実施例に係る6軸力センサを構成する感圧式導電性センサユニットの詳細な構成を表す第二の図である。
【図8】本発明の実施例に係る6軸力センサで使用する感圧式導電性センサの感圧面の切断の様子を示す図である。
【図9】本発明の実施例に係る6軸力センサの第二検出部の下側ユニットの構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例に係る6軸力センサの第二検出部の上側ユニットの構成を示す図である。
【図11】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立工程を示す第一の図である。
【図12】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立工程を示す第二の図である。
【図13】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立後の概観図である。
【図14】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立後の、上板を省略して上から見た図である。
【図15】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立後の側面から見た第一の図である。
【図16】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立後の側面から見た第二の図である。
【図17】本発明の実施例に係る6軸力センサに設定された三軸の状態と、該センサに作用する外力の様子を表す図である。
【図18】本発明の実施例に係る6軸力センサに外力が作用したときの、各検出部によって検出された並進力の様子を表す第一の図である。
【図19】本発明の実施例に係る6軸力センサに外力が作用したときの、各検出部によって検出された並進力の様子を表す第二の図である。
【図20】本発明の実施例に係る6軸力センサに外力が作用したときの、各検出部によって検出された並進力の様子を表す第三の図である。
【図21】本発明の実施例に係る6軸力センサを人間の足の裏に設置し、歩行時に床から受ける床反力の検出の様子を示す図である。
【図22】人間の足の裏への、本発明の実施例に係る6軸力センサの設置方法を示す図である。
【図23】本発明の実施例に係る6軸力センサを複数個人間の足の裏に設置した際の、足にかかる床反力の算出について説明する図である。
【図24】本発明の実施例に係る6軸力センサを複数個人間の足の裏に設置した際の、6軸力センサの位置を検出する様子を示す図である。
【図25】本発明の第二の実施例に係る6軸力センサの組み立て後の側面から見た図である。
【図26】本発明の第二の実施例に係る6軸力センサの上側ユニットの構成を示す図である。
【図27】歪みゲージを使用した従来の6軸力センサの概略構成を示す図である。
【0061】
1・・・・6軸力センサ
2・・・・上板
3・・・・下板
4・・・・第一検出部
4a、4b、4c・・・・感圧式導電性センサユニット
4a1、4b1・・・・センサ取り付け具
4a2、4b2、4c2・・・・感圧式導電性センサ
4a3、4b3、4c3・・・・センサ保護板
4d・・・・ボール
4e、4f・・・・ロッド
5・・・・第二検出部
5a・・・・下側ユニット
5a1・・・・金具
5a2・・・・ボール付きネジ
5b・・・・上側ユニット
5b1・・・・金具
5b2・・・・感圧式導電性センサ
5b3・・・・センサ保護板
6・・・・パソコン
7・・・・接触部
【技術分野】
【0001】
本発明は、三軸方向の並進力および各軸周りのモーメントを同時に計測可能ないわゆる6軸力センサであって、例えば、人間の歩行分析やロボットの姿勢制御等に利用可能な6軸力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
6軸力センサにおける6軸力とは、それぞれ直交した三軸方向の並進力と、各軸周りのモーメントをいう。一般的な6軸力センサは、力の成分に対して感度の異なる歪み部を複数配置し、これら歪み部の歪量を歪ゲージによって測定して各軸力を計測している。この中でも代表的な6軸力センサは、三組の平行平板状の構造を直列に三つ組み合わせたものがある。このように、歪み部を直列に組み合わせた構成では、全ての計測部に全ての力がかかることとなる。そのため、非測定成分の力に対する剛性を高くする必要がある。
【0003】
そこで、各軸方向の並進力および各軸周りのモーメントが干渉されないように計測するための6軸力センサに関する技術が公開されている(例えば、特許文献1を参照。)。この技術による6軸力センサおいては、球体を有する起歪み部に対して、直交する三軸方向においてそれぞれ独立して設けられた、点接触する検出部が設けられている。起歪み部に外力が作用すると、それが各軸方向の検出部に伝わり、各検出部に設けられた歪ゲージによって作用した力(並進力)が検出される。
【特許文献1】特開2002−221459号公報
【特許文献2】特開平6−347350号公報
【特許文献3】特開2004−329280号公報
【特許文献4】特開2001−13015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図27に示すように、従来の6軸力センサにおいて三軸方向に働く並進力の検出に歪ゲージが広く利用されている。しかし、この歪ゲージにはその利用に当たって、様々な問題が生じる。例えば、第一に、外力によって歪が生じる歪み部に歪ゲージを正確に設置するのが困難であること、第二に、その歪み部において作用する外力と生じる歪の関係が線形となるように、歪み部の加工に高い精度が要求されること、等が列挙できる。
【0005】
また、歪ゲージを使用する場合、例えば直交する三軸方向にそれぞれ歪を生じる歪み部を設ける必要があり、且つそれぞれの方向の歪が互いに干渉し合わないようにするために、6軸力センサ自体の大きさが比較的大きくなってしまい、その小型化、軽量化が困難となる場合がある。
【0006】
本発明では、上記した問題に鑑み、歪ゲージに代わって並進力とモーメントを検出する装置を利用して6軸力センサを形成するとともに、6軸力センサの小型化、軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、上記した課題を解決するために、感圧式の導電性センサに着目した。この感圧式導電性センサは、外部からの圧力に応じてセンサ内部に有する導電率変化部の導電率が変化し、その導電率変化を検出するセンサである。歪ゲージは、外部からの力に対して構造物を歪ませその歪み量を検出するため、外部からの力を検出する構造物という仲介物が必要になるのに対し、この感圧式導電性センサは外部からの力を導電率変化部
での導電率の変化という形でより直接的に検出することが可能となる。そのため、外部からの力を検出するにあたり、そして検出された力をもとに三軸方向の並進力および三軸周りのモーメントを検出するにあたり、感圧式導電性センサは非常に有用である。
【0008】
詳細には、本発明は、外力が作用する作用部と、外部からの圧力に応じてその導電率が変化する性質を有する導電率変化部を内部に有し、互いに直交する三軸方向、もしくは三次元空間で互いに重ならない三軸方向の各々に設けられ、該導電率変化部における導電率の変化を検出する感圧式導電性センサと、前記三軸方向の各々において前記感圧式導電性センサと接触し、前記作用部と連結して設けられた接触部と、前記作用部に外力が作用するとき、前記感圧式導電性センサによって検出される導電率の変化に基づいて、前記三軸方向の各々における並進力を算出する並進力算出手段と、前記並進力算出手段によって算出された前記三軸方向の各々における並進力に基づいて、該三軸周りの各々のモーメントを算出するモーメント算出手段と、を備えることを特徴とする6軸力センサである。
【0009】
上記の6軸力センサの特徴点は、前記三軸方向に働く並進力と該三軸周りのモーメントを算出にあたり、感圧式導電性センサが利用される点である。この感圧式導電性センサは、その内部に導電率変化部を有している。作用部に外力が作用すると、該作用部に連結された接触部を介して、感圧式導電性センサにその力による圧力が伝わる。その結果、前記三軸方向における感圧式導電性センサの導電率変化部の導電率が変化する。
【0010】
この導電率変化部の導電率は、外部から感圧式導電性センサにかけられる力、即ち三軸方向の各軸方向に作用する並進力との間に、線形や非線形等の何らかの相対関係を有した状態で変化する。従って、この三軸方向における感圧式導電性センサの導電率変化部の導電率の変化に基づいて、三軸方向の各軸方向に作用する並進力を並進力算出手段が算出する。更に、並進力算出手段が算出した三軸方向の並進力と6軸力センサにおける三軸との構造的な相対的な位置関係から、該三軸周りのモーメントを、モーメント算出手段が算出する。
【0011】
本発明に係る6軸力センサでは、このように感圧式導電性センサを利用して三軸方向の並進力と該三軸周りのモーメントが算出されるが、この感圧式導電性センサは上述したように外部からの力を導電率変化部での導電率の変化という形でより直接的に検出するため、6軸力センサをより小型化、軽量化して構成することが可能となる。特に、従来のように歪ゲージを使用する場合と比べて、6軸力センサ内に外力によって歪が生じる歪み部を設ける必要がないため、歪み部形成に起因する上述の不都合の影響を回避することが可能となる。
【0012】
ここで、上記の6軸力センサにおいて、前記接触部は、前記三軸方向の各々において、該接触部と連結され、又は該接触部と分離した、前記感圧式導電性センサと球面で接触する球体接触部材を有するようにしてもよい。球体接触部材を備えることで、球体接触部材が感圧式導電性センサと点接触する。その結果、両者間での摩擦の低減を図り、以て導電率変化部における導電率の変化に反映され、6軸力センサの並進力およびモーメントの算出の精度が向上する。尚、球体接触部材による点接触とすることで、感圧式導電性センサへの荷重が集中荷重となり、該感圧式導電性センサの検出特性によっては十分な精度での検出が困難となる場合がある。そこで、球体接触部と感圧式導電性センサとの間に、該感圧式導電性センサと平面で固定接触する平面部材を介在させてもよい。この平面部材の存在により、球体接触部材によって集中荷重が分布荷重に変換されて感圧式導電性センサへと伝播し、該感圧式導電性センサの検出精度を向上させることが可能となる。
【0013】
また、上述までの6軸力センサの構造において、前記感圧式導電性センサは、前記三軸方向の各々において、前記接触部を両側から挟んだ状態で該接触部と接触しているように
してもよい。即ち、感圧式導電性センサは、該三軸の各軸における+(プラス)方向と−(マイナス)方向で、接触部から外力の各軸への並進力を受けることになる。
【0014】
また、上述までの6軸力センサおいて、少なくとも三組の前記感圧式導電性センサと前記接触部を、一直線上に無い状態で備えると、前記並進力算出手段は、各感圧式導電性センサによって検出される導電率の変化に基づいて、該感圧式導電性センサにおける三軸方向に作用する並進力を算出することができる。このようにすることで、更に外力の作用点である移動重心ZMP(Zero Moment Point)を測定することが可能となる。
【0015】
ここで、上述までの6軸力センサにおいて、前記並進力算出手段は、前記感圧式導電性センサにおける前記導電率変化部は感圧インク層で形成され、前記接触部からの接触圧力によって感圧インク層の導電率が変化することを利用して、前記三軸方向の各々における並進力を算出するようにしてもよい。即ち、外部からの力によって導電率が変化する導電率変化部を、いわゆる感圧インクによって形成することで感圧式導電性センサの小型化、軽量化をより効率的に進め、以て6軸力センサの小型化、軽量化が促進される。尚、感圧インク層に代えて、感圧ゴム層を利用することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
歪ゲージに代わって並進力を検出する装置を利用して6軸力センサを形成するとともに、6軸力センサの小型化、軽量化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここで、本発明に係る6軸力センサの実施の形態について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明に係る6軸力センサ1の概略構成を示すとともに、その把握が容易になるように6軸力センサ1を分解した図である。この6軸力センサ1は、任意に設定される互いに直交する三軸方向における並進力と、該三軸周りのモーメントを検出することが可能なセンサである。尚、図1においては、6軸力センサ1に対応する三軸は、図示するように、紙面の左右方向にX軸、紙面の手前前後方向にY軸、紙面の上下方向にZ軸が設定され、これらの三軸は互いに直交する。
【0019】
6軸力センサ1は、外力が作用する作用部としても機能する上板2と、該センサの多くの部品が固定される下板3と、6軸力センサ1に対応する三軸(以下、単に「三軸」という。)の一部の軸方向における並進力を電気的に検出する第一検出部4と、三軸のうち残りの軸方向における並進力を電気的に検出する第二検出部5とで、主に構成されている。上板2および下板3は、ほぼ同型の板材であり、本実施例においては矩形体である。そして、上板2および下板3の辺は、X軸およびY軸に平行に設定される。また、第一検出部4は、上板2および下板3の各隅に四台設けられ、第二検出部5は上板2および下板3の各辺の中央部に設けられている。
【0020】
この第一検出部4と第二検出部5によって検出される並進力に対応する電気信号が、アンプとAD変換器を介してパソコン6に送られ、パソコン6の演算部によって、三軸方向の並進力および該三軸周りのモーメントが算出される。以下に、更に6軸力センサ1について詳細に説明する。
【0021】
先ず、第一検出部4の構造について、図1および図2に基づいて説明する。一つの第一検出部4は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向にそれぞれ設けられた感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cと、球体のボール4dと、上板2に接着された矩形部材であって
その端面が上板2のX軸方向またはY軸方向の辺と平行なロッド4e、4fで構成される。
【0022】
更に、感圧式導電性センサユニット4aは、下板3に固定されX軸方向にセンサ固定面を有するセンサ取り付け具4a1と、該センサ固定面に固定された感圧式導電性センサ4a2と、該感圧式導電性センサ4a2の表面に接着され該センサを面で受け、且つ保護するセンサ保護板4a3とで構成される。また、感圧式導電性センサユニット4bは、下板3に固定されY軸方向にセンサ固定面を有するセンサ取り付け具4b1と、該センサ固定面に固定された感圧式導電性センサ4b2と、該感圧式導電性センサ4b2の表面に接着され該センサを面で受け、且つ保護するセンサ保護板4b3とで構成される。また、感圧式導電性センサユニット4cは、下板3に固定された感圧式導電性センサ4c2と、該感圧式導電性センサ4c2の表面に接着され該センサを面で受け、且つ保護するセンサ保護板4c3とで構成される。
【0023】
尚、感圧式導電性センサ4a2、4b2、4c2は、その内部に、それぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の外力に対して導電率が変化する導電率変化部を有しており、その導電率の変化に基づいて各軸に作用する並進力の大きさを検出する。その詳細について、図3に基づいて説明する。図3は、本発明に係る6軸力センサ1に使用される感圧式導電性センサの一例について、その構成を示す図である。
【0024】
感圧式導電性センサが並進力fを検出する感圧部は、外表にポリエステルフィルム層、その内部に銅インクあるいは銀インクを該ポリエステルフィルム層にスクリーン印刷機を用いてスクリーンプリントして形成される電極層、更にその電極層に包まれるように位置し、該電極層の上から感圧インクをスクリーンプリントして形成される感圧インク層とで構成される。感圧式導電性センサの外部から並進力fが加わると、その力が板を介して感圧インク層に伝わり、その導電率(抵抗値)が変化する。従って、この感圧インク層が、上記の導電率変化部として機能する。この板は、感圧インク層に伝わる並進力をより広い範囲に分布する分布荷重に変換し、感圧インク層での導電率の変化をより効果的に生じさせることが可能となる。
【0025】
そこで、この感圧インク層の導電率の変化を検出することで、感圧式導電性センサに加えられた並進力fが算出される。尚、外力の算出に当たり、感圧インク層の導電率の変化と並進力fとの間に線形の相対関係があるのが好ましいが、それだけには限られない。図4に基づいて、図3に示す感圧式導電性センサを用いた並進力fの具体的な算出について説明する。
【0026】
図4は、感圧式導電性センサを用いた並進力fを算出するための、基本的な回路構成を示す図である。尚、本実施例においては、感圧インク層の導電率に反比例する該感圧インク層の抵抗値Rと並進力fとの間には、式1で表される関係が存在する。
f = α / R ・・・(式1)
αは、係数である。
【0027】
ここで、図4に示す回路は、固定抵抗値Rfを有する固定抵抗と、感圧インク層による可変抵抗値Rを有する可変抵抗が、電源電圧Vに対して直列に接続されている。ここで、電源電圧Vが一定であるとき、固定抵抗値Rfにかかる電圧Vfは、可変抵抗値Rの値に応じて変動する。その変動をAD変換器を介してパソコン6が検出する。そして、式2に従い、可変抵抗値Rが算出される。
R = (V−Vf)Rf/Vf ・・・(式2)
そして、式1および式2に従って、パソコン6は、並進力fを算出することが可能である。このように、本発明に係る6軸力センサ1は、感圧式導電性センサを用いて並進力を
検出する。
【0028】
再び、図1および図2に戻り、第一検出部4の構造の説明を続ける。第一検出部4は、その完成状態では、感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cのそれぞれが有する各センサ保護板を介してボール4dが接触した状態で、ロッド4e、4fおよび上板2が、該ボール4dをY軸方向、X軸方向、Z軸方向に拘束した状態とする。
【0029】
ここで、上述したように、第一検出部4は、上板2および下板3の四隅に設けられる。そして、各隅において、感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cのそれぞれがボール4dに接触した状態となる。従って、X軸方向においては、二つのロッド4fの端面によって、X軸のプラス側とマイナス側のそれぞれから、それぞれのボール4dを介して感圧式導電性センサユニット4aに接触し、且つその構成が二組存在する。また、Y軸においても、二つのロッド4eの端面によって、Y軸のプラス側とマイナス側のそれぞれから、それぞれのボール4dを介して感圧式導電性センサユニット4bに接触し、且つその構成が二組存在する。また、Z軸方向においては、四つの第一検出部4によって、マイナス側からそれぞれのボール4dを介して、プラス側に位置する感圧式導電性センサユニット4cに接触する。これらの第一検出部4の動作については、後述する。
【0030】
ここで、図2に示す感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cの作成方法について、図5〜図9に基づいて具体的に説明する。図5に示すように、X軸方向とY軸方向においてボール4dと接触する感圧式導電性センサユニット4a、4bと、Z軸方向においてボール4dと接触する感圧式導電性センサユニット4cとは、感圧式導電性センサの感圧面の形状が異なる。これは、感圧式導電性センサの寸法と感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cの寸法上の制限による。即ち、6軸力センサの小型化を図るために、X軸方向とY軸方向の感圧式導電性センサユニット4a、4bの寸法を可及的に小さくすることが好ましいからである。
【0031】
本実施例において使用される感圧式導電性センサは図6に示すように、テープ状になっており、一端(図面の円形部の位置する端部)がセンサの感圧面となっており、他端がリード線を介して電極となっている。これは、一般に市販されている感圧式導電性センサの標準的な形状である。この感圧式導電性センサの感圧面をX軸方向、Y軸方向にそのまま使用すると、感圧面の寸法から感圧式導電性センサユニット4a、4bの大きさが大きくなり6軸力センサの小型化が阻害される。そこで、図6に示すように、センサの感圧面を三つに折り曲げて、その中央部がボール4dと接触するようにして感圧式導電性センサユニット4a、4bを作成する。
【0032】
より具体的には、図5、7に示すように、センサ取り付け具の下にスペーサを設け、折り曲げられたセンサの感圧面の上端部が、スペーサによって作られた空間に収まるようにする。このとき、センサ感圧面の上端部に荷重が作用しないように、該上端部をセンサ取り付け具の底部に貼り付けておく。そして、ボール4dと接触するセンサ感圧面の中央部にはセンサ保護板を取り付ける。また、電極が延出するセンサ感圧面の下端部は上板2に接触しないように、センサ取り付け具の上面に貼り付けておく。このようにすることで、感圧式導電性センサは、センサ感圧面の中央部のみで荷重を受けることになるが、感圧式導電性センサユニット4a、4bの大きさを抑制することが可能となる。尚、Z軸方向の感圧式導電性センサユニット4cについては、センサの寸法による制限は無いためセンサ感圧面を折り曲げることなく、そのままの形状で感圧式導電性センサを利用する。
【0033】
しかし、このように感圧式導電性センサの感圧面を折り曲げて使用すると、感圧式導電性センサには外部から荷重はかかっていないものの、折り曲げによってセンサ感圧面に歪みが生じ無負荷時の感圧式導電性センサの出力が0(V)とならず、バイアス荷重f0(
該センサの出力のVf0(V)に相当)がかかった状態となる。そこで、ボール4dから受ける荷重Δfは以下の式に従って算出される。
Δf = f−f0 = α(1/R−1/R0)
但し、R0 = (V−Vf0)Rf/Vf0である。
【0034】
また、上記のように感圧式導電性センサの感圧面を折り曲げるのではなく、図8に示すように該感圧面が荷重を検知するために適当な大きさ、形状となるように、それを切断してもよい。この場合、感圧式導電性センサの感圧面を構成する電極層、感圧インク層が外気と触れて酸化等によって変質するのを防止するために、ポリエチレンフィルム等でその切断面をコーティングするのが好ましい。
【0035】
次に、第二検出部5の構造について、図1、9、10に基づいて説明する。一つの第二検出部5は、図9に示す、上板2に固定される下側ユニット5aと、図10に示す、下板3に固定される上側ユニット5bによって構成される。下側ユニット5aは、コの字型をした金具5a1と、金具5a1の凹部の中央に螺合されるネジであってその端部に球形部を有するボール付きネジ5a2から構成される。ボール付きネジ5a2は、その球形部が金具5a1の凹部表面から突出した状態で該金具5a1と螺合する。
【0036】
上側ユニット5bは、図10(a)に示すように、凹部形状を有する金具5b1と、金具5b1の凹部に固定される感圧式導電性センサ5b2と、該感圧式導電性センサ5b2の表面に接着され該センサを保護するセンサ保護板5b3とで構成される。尚、図10(b)、(c)は、それぞれ図10(a)のV1、V2方向から、上側ユニット5bを見た図である。尚、感圧式導電性センサ5b2は、上述の感圧式導電性センサ4a2、4b2、4c2と実質的に同質のものである。
【0037】
ここで、上述したように、第二検出部5は、二つの第一検出部4の間の上板2と下板3の辺の中間に設けられる。そして、下側ユニット5aの凹部(コの字の奥の部分)と上側ユニット5bの凹部とが組み合うように上側ユニット5bが下板3に固定される。そして、6軸力センサ1の組み立て時に下側ユニット5aが上板2に固定されると、ボール付きネジ5a2の球形部がセンサ保護板5b3と接触した状態となる。従って、第二検出部5においては、Z軸方向で、プラス側からボール付きネジ5a2の球形部を介して、マイナス側に位置する上側ユニット5bの感圧式導電性センサ5b2に接触する。これらの第二検出部5の動作については、後述する。
【0038】
次に、上述した第一検出部4と第二検出部5を備える6軸力センサ1の具体的な組み立てについて、図11、12に基づいて説明する。先ず、図11に示すように、上述したように下側ユニット5aの凹部と上側ユニット5bの凹部とが組み合うように上側ユニット5bを下板3に固定する。更に、下板3の四隅に設けられた第一検出部4のそれぞれにおいて、ボール4dを各軸方向のセンサ保護板に接触するように配置する。
【0039】
次に、図12に示すように、各第一検出部4のロッド4e、4fが固定された上板2を、各ロッド4e、4fが、対応するボール4dにX軸方向およびY軸方向で接触するように下板3に被せる。それとともに、各第二検出部5の下側ユニット5aの金具5a1の二つの突起部(コの字の両端部)の端面を、上板2に固定する。このとき、各第一検出部4におけるボール4dが対応するX軸、Y軸、Z軸の三軸方向の感圧式導電性センサ(そのセンサ保護板)に接触し、且つ各第二検出部5におけるボール付きネジの球形部がZ軸方向の感圧式導電性センサ(そのセンサ保護板)に接触すべく、第一検出部4および第二検出部5の各構成要素の寸法や形状が設定されている。
【0040】
図13に、組み立て後の6軸力センサ1の概観を示す。上板2と下板3との間には、第
一検出部4と第二検出部5の高さに応じた間隙が形成される。また、図14に、組み立て後の6軸力センサ1を上から(Z軸方向から)見た図を示す。尚、図中斜線が引かれている部分は、上板2に固定されている構成要素である。第一検出部4において、ボール4dは固定はされていないが、ロッド4e、4f、センサ保護板4a3、4b3、4c3および上板2によって拘束された状態となっている。
【0041】
また、図15は、組み立て後の6軸力センサ1を側面から(Y軸方向から)見た図を示す。尚、図中斜線が引かれている部分は、上板2に固定されている構成要素である。第二検出部5において、ボール付きネジ5a2の球形部が適切にセンサ保護板5b3と接触するように、ボール付きネジ5a2と金具5a1のネジの噛み合い量が調整されている。
【0042】
ここで、図15に示すようにボール4dと上板2およびロッド4f(4e)は直接接触しているが、そのような場合、ボール4dと接触する上板2およびロッド4f(4e)の材質を、表面硬さHRCが62程度の鋼とするのが好ましい。硬い材質を上板2およびロッド4f(4e)に使用することで、ボール4dと上板2およびロッド4f(4e)との接触部が、より理想的な点接触となり、ボール4dに発生する摩擦力を低減させることが可能となる。尚、上板2およびロッド4f(4e)全体に、表面硬さHRCが62程度の鋼等の硬い材質が使用できない場合は、図16に示すようにボール4dと上板2およびロッド4f(4e)との接触部7のみに、該硬い材質のあて板を併設してもよい。
【0043】
上述のように組み立てられた6軸力センサ1における、三軸(X、Y、Z軸)方向における並進力と、該三軸周りのモーメントの算出について、以下に説明する。6軸力センサ1の上板2の表面中心が原点となるように、図17のように三軸(X、Y、Z軸)を設定する。そして、作用部である上板2に作用する外力Fの、X軸方向成分をFx、Y軸方向成分をFy、Z軸方向成分をFzとする。更に、X軸周りのモーメントをMx、Y軸周りのモーメントをMy、Z軸周りのモーメントをMzとする。また、外力Fが上板2に作用する作用点の座標を、X−Y平面上の(X、Y)とする。
【0044】
上板2に外力Fが作用すると、第一検出部4においては、外力の三軸方向における並進力がボール4dを介して各感圧式導電性センサにかかり、第二検出部5においては、外力のZ軸方向(紙面の上方向)における並進力がボール付きネジ5a2の球形部を介して感圧式導電性センサ5b2にかかる。そこで、上述したように、これらの感圧式導電性センサによって生じた導電率の変化に対応する電気信号がパソコン6に送られ、パソコン6がその導電率の変化に基づいて、各検出部における外力Fの並進力を算出する。
【0045】
図18に基づいて説明すると、紙面左側手前の第一検出部4によっては、X軸方向の並進力f1x、Y軸方向の並進力f1y、Z軸方向の並進力f1zが検出される。また、紙面右側手前の第一検出部4によっては、X軸方向の並進力f2x、Y軸方向の並進力f2y、Z軸方向の並進力f2zが検出される。また、紙面右側奥の第一検出部4によっては、X軸方向の並進力f3x、Y軸方向の並進力f3y、Z軸方向の並進力f3zが検出される。また、紙面左側奥の第一検出部4によっては、X軸方向の並進力f4x、Y軸方向の並進力f4y、Z軸方向の並進力f4zが検出される。更に、紙面左の第二検出部5によってはZ軸方向の並進力f5zが、紙面手前の第二検出部5によってはZ軸方向の並進力f6zが、紙面右の第二検出部5によってはZ軸方向の並進力f7zが、紙面奥の第二検出部5によってはZ軸方向の並進力f8zが、検出される。
【0046】
ここで、図19に、Y軸方向から見た図18に示した各検出部で検出される各軸方向の並進力と、原点から各検出部までの距離を示す。図19に示すように、原点から左右(X軸方向)の第一検出部4までの距離は、それぞれL1とする。また、原点からボール4dの中心までのZ方向の距離をhとする。更に、図20に、Z軸方向から見た図18に示し
た各検出部で検出される各軸方向の並進力と、原点から各検出部までの距離を示す。図20に示すように、原点から前後(Y軸方向)の第一検出部4までの距離は、それぞれL2とする。また、原点から左右(X軸方向)の第二検出部5までの距離をそれぞれL4とし、原点から前後(Y軸方向)の第二検出部5までの距離はそれぞれL3とする。尚、原点から左右(X軸方向)の第一検出部4までの距離は、左右で必ずしも同一である必要はなく、適宜任意の距離を設定可能である。原点から前後(Y軸方向)の第一検出部4までの距離、原点から前後(Y軸方向)の第二検出部5までの距離についても同様である。
【0047】
以上の設定により、外力FによるX、Y、Z軸の並進力は以下の式に従って、パソコン6の演算部によって算出される。
Fx = −f1x+f2x+f3x−f4x
Fy = f1y+f2y−f3y−f4y
Fz = f1z+f2z+f3z+f4z−f5z−f6z−f7z−f8z
【0048】
更に、X、Y、Z軸周りのモーメントは以下の式に従って、パソコン6の演算部によって算出される。
Mx = f1z・L2+f2z・L2−f3z・L2−f4z・L2−f1y・h
−f2y・h+f3y・h+f4y・h−f6z・L3+f8z・L3
My = −f1z・L1+f2z・L1+f3z・L1−f4z・L1+f1x・h
−f2x・h−f3x・h+f4x・h+f5z・L4−f7z・L4
Mz = −f1x・L2+f2x・L2−f3x・L2+f4x・L2
+f1y・L1−f2y・L1+f3y・L1−f4y・L1
【0049】
また、上記の式より、外力Fが上板2に作用している作用点(X、Y)の座標は、以下の式に従って、パソコン6の演算部によって算出される。
X = My/Fz
Y = Mx/Fz
【0050】
以上より、本実施例に係る6軸力センサ1を用いることで、歪みゲージを用いなくとも直交する三軸における並進力と、該三軸周りのモーメントを検出することが可能となる。更に、この6軸力センサ1には感圧式導電性センサを利用していることにより、6軸力センサ1の小型化および軽量化を劇的に促進することが可能となる。
【0051】
従って、例えば、図21に示すように、この6軸力センサを人間の足裏に取り付けることで、重量やその大きさで人間の歩行に負担をかけることなく、人間の歩行を分析するために必要な足裏にかかる床からの反力(床反力)の作用点(ZMP:Zero Moment Point)等が検出可能となる。また、二足歩行ロボットの足裏にこの6軸力センサを取り付けることで、ロボットの歩行制御にも応用することが可能である。
【0052】
また、この6軸力センサを片足の裏面に一つ取り付けたときに歩行時の安定性が悪くなり歩行が困難となる場合は、図22に示すように6軸力センサを複数個設けることも可能である。このように片足に複数個の6軸力センサを設けた場合の、その足が床から受ける反力は図23に示すように、各6軸力センサで検出された床反力の合力として求められる。
【0053】
ここで、複数の6軸センサを用いて足が床から受ける反力およびZMPをより正確に求めるには、複数の6軸センサの相対位置を正確に検知する必要がある。そこで、例えば、図24に示すように、各6軸力センサの一直線上にない三点(例えば、各6軸力センサの三つの隅)にカメラが認識できるマーカを設置しておき、三台以上のカメラでこのマーカの位置を測定することで各6軸力センサの位置を正確に検知し、それとこれらの6軸力セ
ンサによって検出された床反力とから、足が床から受ける反力およびZMPをより正確に求めることが可能となる。
【実施例2】
【0054】
本発明に係る6軸力センサの第二の実施例について、図25、26に基づいて説明する。本実施例に係る6軸力センサは、上述の第一の実施例に係る6軸力センサにおいて、第一検出部4と第二検出部5の一部構成を変更したものである。尚、第一の実施例に係る6軸力センサの構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0055】
図25は、上述の図15と同様に、組み立て後の6軸力センサ1を側面から(Y軸方向から)見た図を示す。本実施例においても、感圧式導電性センサユニット4a、4b、4cの構成(センサ取り付け具4a等、感圧式導電性センサ4a2等、センサ保護板4a3等)は、第一の実施例と同一である。
【0056】
ここで、本実施例に係る6軸力センサ1においては、ロッド4e、4fに代わってロッド15が用いられる。このロッド15は、上板2にスペーサ17を介して取り付けられる。スペーサ17の高さは、6軸力センサ1の組み立て時にロッド15がボール4dに適切に負荷を伝えられるように調整される。そして、本実施例では、このロッド15に上述した第二検出部5の下側ユニット5aの機能を付加させている。具体的には、ロッド15の中央付近に、上板2側にボール部分を向けてボール付きネジ16が螺着されている。更に、このボール付きネジ16にボール部分が対向するように、上板2にボール付きネジ18が螺着されている。
【0057】
この一対のボール付きネジ16、18によって、本実施例に係る上側ユニット20上の感圧式導電性センサが負荷を検知する。上側ユニット20は、図26(a)、(b)に示すように、コの字型をした金具20aの凹部の両表面に、感圧式導電性センサ20b、20dを設置し、更に両センサ上にセンサ保護板20c、20eを設置することで形成される。これらの感圧式導電性センサおよびセンサ保護板は、第一の実施例のものと同等の機能を有する。そして、このセンサ保護板20c、20eに、ボール付きネジ16、18のボール部分がそれぞれ接触する。尚、図25は6軸力センサ1をY軸方向から見た図であるが、X軸方向から6軸力センサ1を見ても同様の構成となっている。
【0058】
このように構成される6軸力センサ1では、ロッド15およびボール付きネジ16が、第一の実施例におけるロッド4e、4fおよび下側ユニット5aと同等の機能を発揮する。即ち、ロッド15がX軸方向(Y軸方向)の負荷を感圧式導電性センサ4a2(4b2)に伝え、ボール付きネジ16、18がZ軸方向の負荷を感圧式導電性センサ20b、20dに伝える。従って、第一の実施例における下側ユニット5aを省略できるため、6軸力センサ1の小型化に寄与し得る。
【0059】
更に、本実施例に係る6軸力センサ1では、上板2に作用する力(鉛直下方向の力)を第一検出部4の感圧式導電性センサ4c2と、上側ユニット20に設けられた感圧式導電性センサ20dの二つによって検出することが可能となる。そのため、一つの感圧式導電性センサに掛かる負荷(分力)が小さくなる。ここで、一般に、市販の感圧式導電性センサは、その負荷の測定範囲が広いほど測定精度が低下する傾向がある。従って、本実施例に係る6軸力センサのように上板2に作用する力を二つの感圧式導電性センサで分けて検出することで、一つの感圧式導電性センサに掛かる負荷を小さくし、以て負荷の測定精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例に係る6軸力センサの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係る6軸力センサの第一検出部の、下板側の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例に係る6軸力センサにおいて使用される感圧式導電性センサの概略構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る6軸力センサにおいて、感圧式導電性センサにかかる力を検出するための基本回路を示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る6軸力センサを構成する感圧式導電性センサユニットの詳細な構成を表す第一の図である。
【図6】本発明の実施例に係る6軸力センサで使用する感圧式導電性センサの感圧面の折り曲げの様子を示す図である。
【図7】本発明の実施例に係る6軸力センサを構成する感圧式導電性センサユニットの詳細な構成を表す第二の図である。
【図8】本発明の実施例に係る6軸力センサで使用する感圧式導電性センサの感圧面の切断の様子を示す図である。
【図9】本発明の実施例に係る6軸力センサの第二検出部の下側ユニットの構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例に係る6軸力センサの第二検出部の上側ユニットの構成を示す図である。
【図11】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立工程を示す第一の図である。
【図12】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立工程を示す第二の図である。
【図13】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立後の概観図である。
【図14】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立後の、上板を省略して上から見た図である。
【図15】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立後の側面から見た第一の図である。
【図16】本発明の実施例に係る6軸力センサの組立後の側面から見た第二の図である。
【図17】本発明の実施例に係る6軸力センサに設定された三軸の状態と、該センサに作用する外力の様子を表す図である。
【図18】本発明の実施例に係る6軸力センサに外力が作用したときの、各検出部によって検出された並進力の様子を表す第一の図である。
【図19】本発明の実施例に係る6軸力センサに外力が作用したときの、各検出部によって検出された並進力の様子を表す第二の図である。
【図20】本発明の実施例に係る6軸力センサに外力が作用したときの、各検出部によって検出された並進力の様子を表す第三の図である。
【図21】本発明の実施例に係る6軸力センサを人間の足の裏に設置し、歩行時に床から受ける床反力の検出の様子を示す図である。
【図22】人間の足の裏への、本発明の実施例に係る6軸力センサの設置方法を示す図である。
【図23】本発明の実施例に係る6軸力センサを複数個人間の足の裏に設置した際の、足にかかる床反力の算出について説明する図である。
【図24】本発明の実施例に係る6軸力センサを複数個人間の足の裏に設置した際の、6軸力センサの位置を検出する様子を示す図である。
【図25】本発明の第二の実施例に係る6軸力センサの組み立て後の側面から見た図である。
【図26】本発明の第二の実施例に係る6軸力センサの上側ユニットの構成を示す図である。
【図27】歪みゲージを使用した従来の6軸力センサの概略構成を示す図である。
【0061】
1・・・・6軸力センサ
2・・・・上板
3・・・・下板
4・・・・第一検出部
4a、4b、4c・・・・感圧式導電性センサユニット
4a1、4b1・・・・センサ取り付け具
4a2、4b2、4c2・・・・感圧式導電性センサ
4a3、4b3、4c3・・・・センサ保護板
4d・・・・ボール
4e、4f・・・・ロッド
5・・・・第二検出部
5a・・・・下側ユニット
5a1・・・・金具
5a2・・・・ボール付きネジ
5b・・・・上側ユニット
5b1・・・・金具
5b2・・・・感圧式導電性センサ
5b3・・・・センサ保護板
6・・・・パソコン
7・・・・接触部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力が作用する作用部と、
外部からの圧力に応じてその導電率が変化する性質を有する導電率変化部を内部に有し、互いに直交する三軸方向、もしくは三次元空間で互いに重ならない三軸方向の各々に設けられ、該導電率変化部における導電率の変化を検出する感圧式導電性センサと、
前記三軸方向の各々において前記感圧式導電性センサと接触し、前記作用部と連結して設けられた接触部と、
前記作用部に外力が作用するとき、前記感圧式導電性センサによって検出される導電率の変化に基づいて、前記三軸方向の各々における並進力を算出する並進力算出手段と、
前記並進力算出手段によって算出された前記三軸方向の各々における並進力に基づいて、該三軸周りの各々のモーメントを算出するモーメント算出手段と、
を備えることを特徴とする6軸力センサ。
【請求項2】
前記接触部は、前記三軸方向の各々において、該接触部と連結され、又は該接触部と分離した、前記感圧式導電性センサと球面で接触する球体接触部材を有することを特徴とする請求項1に記載の6軸力センサ。
【請求項3】
前記感圧式導電性センサは、前記三軸方向の各々において、前記接触部を両側から挟んだ状態で該接触部と接触していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の6軸力センサ。
【請求項4】
少なくとも三組の前記感圧式導電性センサと前記接触部を、一直線上に無い状態で備え、
前記並進力算出手段は、各感圧式導電性センサによって検出される導電率の変化に基づいて、該感圧式導電性センサにおける三軸方向に作用する並進力を算出することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の6軸力センサ。
【請求項5】
前記並進力算出手段は、前記感圧式導電性センサにおける前記導電率変化部は感圧インク層で形成され、前記接触部からの接触圧力によって感圧インク層の導電率が変化することを利用して、前記三軸方向の各々における並進力を算出することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の6軸力センサ。
【請求項1】
外力が作用する作用部と、
外部からの圧力に応じてその導電率が変化する性質を有する導電率変化部を内部に有し、互いに直交する三軸方向、もしくは三次元空間で互いに重ならない三軸方向の各々に設けられ、該導電率変化部における導電率の変化を検出する感圧式導電性センサと、
前記三軸方向の各々において前記感圧式導電性センサと接触し、前記作用部と連結して設けられた接触部と、
前記作用部に外力が作用するとき、前記感圧式導電性センサによって検出される導電率の変化に基づいて、前記三軸方向の各々における並進力を算出する並進力算出手段と、
前記並進力算出手段によって算出された前記三軸方向の各々における並進力に基づいて、該三軸周りの各々のモーメントを算出するモーメント算出手段と、
を備えることを特徴とする6軸力センサ。
【請求項2】
前記接触部は、前記三軸方向の各々において、該接触部と連結され、又は該接触部と分離した、前記感圧式導電性センサと球面で接触する球体接触部材を有することを特徴とする請求項1に記載の6軸力センサ。
【請求項3】
前記感圧式導電性センサは、前記三軸方向の各々において、前記接触部を両側から挟んだ状態で該接触部と接触していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の6軸力センサ。
【請求項4】
少なくとも三組の前記感圧式導電性センサと前記接触部を、一直線上に無い状態で備え、
前記並進力算出手段は、各感圧式導電性センサによって検出される導電率の変化に基づいて、該感圧式導電性センサにおける三軸方向に作用する並進力を算出することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の6軸力センサ。
【請求項5】
前記並進力算出手段は、前記感圧式導電性センサにおける前記導電率変化部は感圧インク層で形成され、前記接触部からの接触圧力によって感圧インク層の導電率が変化することを利用して、前記三軸方向の各々における並進力を算出することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の6軸力センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2007−108079(P2007−108079A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300762(P2005−300762)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】
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