説明

ACE阻害ジカルボン酸の塩を含むマトリクス制御経皮システム

本発明は、ACE阻害ジカルボン酸と有機アミン及び/又はアルカリ化合物との塩、該塩を含む経皮治療システム、該経皮治療システムの作成方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝物質がジカルボン酸であるACE阻害剤を投与するための安定した活性成分含有経皮治療システムに関する。ACE阻害ジカルボン酸の安定した中性誘導体は、有機アミン及び/又はアルカリ化合物との塩形成により得ることができる。好ましくは、ACE阻害ジカルボン酸の安定した中性誘導体は、有機アミンとの、特に好ましくは等モル量の有機アミンとの塩形成により得ることができる。
【背景技術】
【0002】
アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)による高血圧症の長期治療が急速に広く普及している。
ACE阻害剤は、確実な作用を有しながら、同時に薬剤の作用によく耐ええることが知られている。ACE阻害剤は、今のところ、注射剤又は錠剤又はカプセル等の経口剤としてのみ市販されている。注射剤を使用する場合の欠点は、患者のコンプライアンスが低いことである。経口投与の場合には、患者が毎日少なくとも1個の錠剤又はカプセルを飲み込む必要があり、血漿中濃度が常に変化するという欠点がある。経口投与によって一定の血漿中濃度を保証することは殆ど不可能である。
【0003】
一方、経皮投与はACE阻害剤に以下のような多くの利点を与える。
皮膚へのアクセスが制限されない。
経口投与のような環境の変化がない。
取り扱いが簡単で使い勝手が良い。
1日に数回投与する代りに、通常は少なくとも3日に1回の投与で十分である。
患者のコンプライアンスが実質的に改善される。
継続的な長期治療が可能である。
有効成分の放出がほぼ0次の速度論である。
治療をより迅速に中断することができる。
比較的長期間にわたって一定の血漿中濃度が確保される。
静脈内投与のように初期に増加しすぎる血漿中濃度が回避される。
時間をかけて体内を通過するため、場合によっては経口投与よりも少ない投与量が要求され、その結果副作用の発生率が減少する。
過剰投与又は過少投与の危険性を減少する。
【0004】
欧州特許公開第0439430号は、ACE阻害剤を含む経皮リザーバシステムを開示し、当該システムはa)活性成分を透過しない上層(閉鎖外層)、b)担体又は溶媒と必要に応じて膜を含む活性成分含有リザーバ、c)接着層、及びd)除去可能な保護層(剥離性保護層)を含んでいる。双性イオンの塩が活性成分として働き、ここで、双性イオンとして、例えばベナゼプリレート、及び塩形成成分として、例えばクロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メチルグルカミン、プロカイン、又は例えばリチウム又はカリウムのアルカリ金属水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩を使用することができ、記載するジ塩の例としてジリチウムベナゼプリレートとジカリウムベナゼプリレート(表)が挙げられている。
【0005】
欧州特許公開第0452837号は、特に活性成分としてACE阻害剤を含む硬膏用マトリックスを開示している。使用することができるACE阻害剤として、塩酸デラプリル、マレイン酸エナラプリル、カプトプリル、アラセプリル及び(R)−3−[(S)−1−カルボキシ−5−(4−ピペリジル)−ペンチル]−アミノ−4−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,5−ベンゾチアピン−5−酢酸(ジカルボン酸)を挙げている。塩基性物質はそこで溶解剤として少量のみで使用される。
【0006】
国際公開第WO96/29999号は、トランドラプリル及び/又はラミプリルを含むポリイソブチレン又はブチルゴムに基づくマトリックスを有するTTSを開示している。
【0007】
国際公開第WO02/03970号は、マトリックス層が、ジエステル、塩基を使用して得られるジ塩、酸を使用して得られるモノ塩からなる群から誘導体に変換されたジカルボン酸のかたちでACE阻害剤を含むマトリックス−TTSを開示している。しかし、塩基のジ塩を含むTTSは高い皮膚刺激性を示す。
【0008】
ACE阻害剤はしばしば低い安定性を示し、各種の分解反応を被る場合がある。以下の構造要素を有するACE阻害ジカルボン酸は、例えば、置換ジケトピペラジンに変換される。窒素原子の求核攻撃により、次の式に示すように分子内ラクタム生成が生じる。
【化1】

【0009】
分子内ラクタム生成は、第二級アミン基をブロックすることができる酸を添加することにより防ぐことができる。そのように方法(国際公開第WO02/03790参照)で酸を使用して形成されたACE阻害ジカルボン酸の塩は、pH値が低いために皮膚刺激の可能性が増加するという欠点がある。
【0010】
塩基を有するACE阻害ジカルボン酸のジ塩(国際公開第WO02/03790参照)を使用する場合には、分子内ラクタム生成は同様に防ぐことができるが、全体としての製剤は塩基性pH値を有し、皮膚刺激をもたらし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、ACE阻害ジカルボン酸の塩を含み、高い安定度と低い皮膚刺激の可能性を有するマトリックス−TTSを提供することにある。活性成分の含有は比較的長い期間にわたって安定にすることであり、分解工程に関してはできる限り少なくすることである。経皮システムは高い流束を示し、すなわち活性成分は高い皮膚透過速度で排出される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明根底にある問題は、ACE阻害ジカルボン酸の塩、好ましくはモノ塩を有機アミン及び/又はアルカリ化合物を使用して調製することにより解決される。
【0013】
本発明に係る塩は、有機アミンとしてモノアミンを使用して調製することができる。
【0014】
本発明に係る塩は、したがって、有機アミンとして第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンを使用して調製することができる。
【0015】
本発明に係る塩は、したがって、脂肪族第一級C〜C12アミンを使用して調製することができる。
【0016】
本発明に係る塩は、脂肪族第一級C4〜〜C12アミンとして、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン又はトロメタモール(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)を使用して調製することができる。
【0017】
また、本発明に係る塩は、第二級アミンとしてピロリドン又はその誘導体を使用して調製することができる。
【0018】
また、本発明に係る塩は、第三級アミンとしてトリエタノールアミンを使用して調製することができる。
【0019】
本発明に係る塩はアルカリ化合物を使用して調製することができる。ここで、この化合物との関連でアルカリ化合物は、アルカリ金属カチオンを含む任意の化合物である。従って、ACE阻害ジカルボン酸の塩は好ましくはアルカリ金属カチオンを使用して形成され、ACE阻害ジカルボン酸のアルカリ塩ともいう。好適なアルカリ金属カチオンの例としては、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、及びルビジウムカチオンが挙げられ、この中でリチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンが特に好ましい。また、カチオンとしてはアンモニウム(NH+)(疑似アルカリ金属カチオン)も好ましい。好ましくは、アルカリ化合物(特にアルカリ金属カチオン)の対アニオンは、プロトン受容性を有し、アルカリ化合物は、特に好ましくは無機又は有機の強酸又は弱酸のアルカリ金属カチオン含有塩である。好ましい例としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、例えばリチウムメタノラート、リチウムエタノラート、ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、カリウムメタノラート、又はカリウムエタノラート等のアルカリ金属アルコラート、例えば炭酸ナトリウム、又は炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸水素ナトリウム、又は炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、例えば酒石酸ナトリウム、又は酒石酸カリウム等のアルカリ金属酒石酸塩、又は例えばマレイン酸ナトリウム、又はマレイン酸カリウム等のアルカリ金属マレイン酸塩等のアルカリ化合物が挙げられる。アンモニウム化合物としては水酸化アンモニウムが好ましい。
【0020】
本発明に係る塩はアルカリ土類化合物を使用して調製することができる。ここで、この化合物との関連でアルカリ土類化合物は、アルカリ土類金属カチオンを含む任意の化合物である。従って、ACE阻害ジカルボン酸の塩は好ましくはアルカリ土類金属カチオンを使用して形成され、ACE阻害ジカルボン酸のアルカリ土類塩ともいう。好適なアルカリ土類金属カチオンの例としては、マグネシウムカチオン又はカルシウムカチオンが挙げられる。好ましくは、アルカリ土類化合物(特にアルカリ土類金属カチオン)の対アニオンはプロトン受容性を有し、アルカリ土類化合物は、特に好ましくは無機又は有機の強酸又は弱酸のアルカリ土類金属カチオン含有塩である。好ましい例としては、例えば水酸化マグネシウム又は水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、又は、例えば炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩等のアルカリ土類化合物が挙げられる。アルカリ土類化合物を有する本発明に係る塩の場合、ACE阻害ジカルボン酸:アルカリ土類化合物のモル比は、好ましくは1:0.5〜1:1未満、より好ましくは1:0.5〜1:0.9、特に好ましくは1:0.5〜1:0.55である。
【0021】
本発明に係る塩は、1種以上の有機アミン、好ましくは1、2又は3種の有機アミン、あるいは1種以上のアルカリ化合物、好ましくは1、2又は3種のアルカリ化合物、あるいは1種以上のアルカリ土類化合物、好ましくは1、2又は3種のアルカリ土類化合物、及びそれらの任意の所望の混合物を含む。好ましくは、本発明に係る塩は、互いに異なる2種の有機アミン、又は互いに異なる2種のアルカリ化合物、又は互いに異なる2種のアルカリ土類化合物、又は1種の有機アミンと1種のアルカリ化合物等の塩を含む。
【0022】
本発明に係る塩は、イミダプリル、フォシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、スピラプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、リシノプリル、キナプリル、エナラプリル、デラプリル、ラミプリル及びトランドラプリルのジカルボン酸からなる群から選択されるACE阻害ジカルボン酸の塩であってもよい。
【0023】
したがって、本発明に係る、トランドラプリル又はラミプリルのACE阻害ジカルボン酸の塩が考慮される。
【0024】
本発明に係る塩について、ACE阻害ジカルボン酸:アミンのモル比又はACE阻害ジカルボン酸:アルカリ化合物のモル比は、1:2未満であってもよい。
【0025】
したがって、本発明に係る塩において、ACE阻害ジカルボン酸:アミンのモル比又はACE阻害ジカルボン酸:アルカリ化合物のモル比は、1:0.5〜1:2未満、好ましくは1:0.5〜1:1.9、より好ましくは1:0.9〜1:1.5、さらに好ましくは1:1〜1.5、特に好ましくは1:1.1、及び特には約1:1であってもよい。
【0026】
また、本発明の課題は、ACE阻害ジカルボン酸と少なくとも1種の有機アミン及び/又は少なくとも1種のアルカリ化合物の少なくとも1種の塩を活性成分として含む経皮治療システムにより解決される。特に好ましくは、本発明の課題は、ACE阻害ジカルボン酸と少なくとも1種の有機アミン及び/又は少なくとも1種のアルカリ化合物の少なくとも1種のモノ塩を活性成分として含む経皮治療システム、特にはACE阻害ジカルボン酸と有機アミンのモノ塩を活性成分として含む経皮治療システムにより解決される。
【0027】
本発明に係る経皮治療システムでは、有機アミンとしてモノアミンを使用することができる。
【0028】
したがって、本発明に係る経皮治療システムでは、有機アミンとして第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンを使用することができる。
【0029】
したがって、本発明に係る経皮治療システムでは、脂肪族第一級C〜C12アミンを使用することができる。
【0030】
したがって、本発明に係る経皮治療システムでは、脂肪族第一級C〜C12アミンとして、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン又はトロメタモール(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)を使用することができる。
【0031】
また、本発明に係る経皮治療システムは、第二級アミンとしてピロリドン又はその誘導体を使用して作成することができる。
【0032】
また、本発明に係る経皮治療システムは、第三級アミンとしてトリエタノールアミンを使用して作成することができる。
【0033】
本発明に係る経皮治療システムはアルカリ化合物を使用して作成することができる。ここで、この化合物との関連でアルカリ化合物は、アルカリ金属カチオンを含む任意の化合物である。好適なアルカリ金属カチオンの例としては、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、及びルビジウムカチオンが挙げられ、この中でリチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンが特に好ましい。また、カチオンとしてはアンモニウム(NH+)(疑似アルカリ金属カチオン)も好ましい。好ましくは、アルカリ化合物(特にアルカリ金属カチオン)の対アニオンは、プロトン受容性を有し、アルカリ化合物は、特に好ましくは無機又は有機の強酸又は弱酸のアルカリ金属カチオン含有塩である。好ましい例としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、例えばリチウムメタノラート、リチウムエタノラート、ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、カリウムメタノラート、又はカリウムエタノラート等のアルカリ金属アルコラート、例えば炭酸ナトリウム、又は炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸水素ナトリウム、又は炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、例えば酒石酸ナトリウム、又は酒石酸カリウム等のアルカリ金属酒石酸塩、又は例えばマレイン酸ナトリウム、又はマレイン酸カリウム等のアルカリ金属マレイン酸塩等のアルカリ化合物が挙げられる。アンモニウム化合物としては水酸化アンモニウムが好ましい。
【0034】
本発明に係る経皮治療システムはアルカリ土類化合物を使用して作成することができる。ここで、この化合物との関連でアルカリ土類化合物は、アルカリ土類金属カチオンを含む任意の化合物である。好適なアルカリ土類金属カチオンの例としては、マグネシウムカチオン及びカルシウムカチオンが挙げられる。好ましくは、アルカリ土類化合物(特にアルカリ土類金属カチオン)の対アニオンはプロトン受容性を有し、アルカリ土類化合物は、好ましくは無機又は有機の強酸又は弱酸のアルカリ土類金属カチオン含有塩である。好ましい例としては、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、あるいは炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩等のアルカリ土類化合物等が挙げられる。本発明に係るアルカリ土類化合物を有する塩の場合、ACE阻害ジカルボン酸:アルカリ土類化合物のモル比は、好ましくは1:0.5〜1:1未満、より好ましくは1:0.5〜1:0.9、特には1:0.5〜1:0.55である。
【0035】
さらに、本発明に係る経皮治療システムは、1種以上の有機アミン、好ましくは1、2又は3種の有機アミン、又は1種以上のアルカリ化合物、好ましくは1、2又は3種のアルカリ化合物、又は1種以上のアルカリ土類化合物、好ましくは1、2又は3種のアルカリ土類化合物、及びそれらの任意の所望の混合物を使用して作成することができる。好ましくは、本発明に係る塩は、互いに異なる2種の有機アミン、又は互いに異なる2種のアルカリ化合物、又は互いに異なる2種のアルカリ土類化合物、又は1種の有機アミンと1種のアルカリ化合物等の塩を含む。
【0036】
さらに、本発明に係る経皮治療システムは、イミダプリル、フォシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、スピラプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、リシノプリル、キナプリル、エナラプリル、デラプリル、ラミプリル及びトランドラプリルのジカルボン酸からなる群から選択されるACE阻害ジカルボン酸の少なくとも1種の塩を使用して作成することができる。
【0037】
好ましくは、本発明に係る経皮治療システムは、イミダプリル、フォシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、スピラプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、リシノプリル、キナプリル、エナラプリル、デラプリル及びラミプリル、トランドラプリルのジカルボン酸及びそれらの2種、3種又はそれ以上の混合物からなる群から選択されるACE阻害ジカルボン酸の少なくとも1種のモノ塩を使用して作成することができる。
【0038】
本発明に係る経皮治療システムは、トランドラプリル及び/又はラミプリルのACE阻害ジカルボン酸の塩を使用して作成することができる。
【0039】
好ましくは、本発明に係る経皮治療システムは、トランドラプリル及び/又はラミプリルのACE阻害ジカルボン酸のモノ塩を使用して作成することができる。
【0040】
本発明に係る経皮治療システムにおけるACE阻害ジカルボン酸:アミンのモル比又はACE阻害ジカルボン酸:アルカリ化合物のモル比は、1:2未満であってもよい。
【0041】
本発明に係る経皮治療システムにおけるACE阻害ジカルボン酸:アミンのモル比又はACE阻害ジカルボン酸:アルカリ化合物のモル比は、1:0.5〜1:2未満、好ましくは1:0.5〜1:1.9、より好ましくは1:0.9〜1:1.5、さらに好ましくは1:1〜1.5、特に好ましくは1:1.1、特には約1:1であってもよい。
【0042】
本発明に係る経皮治療システムは、
活性成分を透過しない上層、
1以上の活性成分含有自己粘着性マトリックス層、及び
剥離性保護層、
を含むことができる。
【0043】
さらに、本発明に係る経皮治療システムは、
活性成分を透過しない上層、
塗布面に接触接着剤層を有する1以上の活性成分含有マトリックス層、及び
剥離性保護層、
を含むことができる。
【0044】
したがって、本発明に係る経皮治療システムは、非自己接着性マトリックス層及び接触接着剤のセパレート層を含むことができる。
【0045】
本発明に係る経皮治療システムで、活性成分又は複数の活性成分、すなわち、ACE阻害ジカルボン酸と少なくとも1種の有機アミン及び/又は少なくとも1種のアルカリ化合物との1種以上の塩、特に1種以上のモノ塩は、マトリックス内に溶解及び/又はエマルションの液滴として存在していることができる。
【0046】
本発明に係る経皮治療システムについてACE阻害ジカルボン酸の含有量は、マトリックスの重量を基準にして2〜35重量%であってもよい。
【0047】
したがって、本発明に係る経皮治療システムについてACE阻害ジカルボン酸の含有量は、マトリックスの重量を基準にして10〜25重量%であってもよい。
【0048】
本発明に係る経皮治療システムは、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリアクリレート、シリコーン、スチレンブロック共重合体又はそれらの混合物に基づく感圧接着剤を使用して作成することができる。
【0049】
本発明に係る経皮治療システムは、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)又はスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体に基づく感圧接着剤を使用して作成することができる。
【0050】
また、本発明に係る経皮治療システムは、ポリアクリレート又はポリイソブチレンに基づく感圧接着剤を使用して作成することもできる。
【0051】
さらに、本発明に係る経皮治療システムは、ポリアクリレート、ポリイソブチレン、シリコーン、スチレンブロック共重合体及びそれらの混合物からなる群から選択されるマトリックス形成材料を使用して作成することができる。
【0052】
したがって、本発明に係る経皮治療システムは、マトリックス形成材料としてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)を使用して作成することができる。
【0053】
また、本発明に係る経皮治療システムは、ポリアクリレートに基づく自己粘着性マトリックスを使用して作成することもできる。
【0054】
さらに、本発明に係る経皮治療システムは、ポリアクリレートに基づく接触接着剤及び/又はマトリックスを使用して作成することができ、ポリアクリレートはホモポリマー、コポリマー又はターポリマーであってもよい。
【0055】
また、本発明に係る経皮治療システムは、各種のアクリル酸誘導体を含むまたは該誘導体からなるポリアクリレートに基づく接触接着剤及び/又はマトリックスを使用して作成することができる。
【0056】
したがって、本発明に係る経皮治療システムは、以下の成分を含むアクリレートポリマーからなるポリアクリレートに基づく接触接着剤及び/又はマトリックスを使用して作成することができる。
・少なくとも50重量%のアクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アルキルアクリレートモノマー、アルキルメタクリレートモノマー又はアクリルアミドモノマー
・0〜20重量%のアクリレートと共重合可能な機能性モノマー
・0〜50重量%の他のモノマー
【0057】
さらに、本発明に係る経皮治療システムは、以下により形成される群から選択される透過促進剤を使用して作成することができる。
各々8〜18個の炭素原子を有する飽和及び/又は不飽和脂肪族アルコール;
ティーツリー油;
飽和及び/又は不飽和環状ケトン;
アルキルメチルスルホキシド;
各々8〜18個の炭素原子を有する飽和及び/又は不飽和の脂肪酸;
各々8〜18個の炭素原子を有する飽和及び/又は不飽和脂肪酸のエステル;
各々8〜18個の炭素原子を有する飽和及び/又は不飽和脂肪酸の塩;
天然ビタミンE;
合成ビタミンE及び/又はビタミンE誘導体;
ソルビタン脂肪酸エステル;
エトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル;
アゾン、特にラウロカプラム;
1−アルキルピロリドン;
片末端にカチオン基を有するジメチルシロキサンとポリエチレングリコールのブロック共重合体;
ポリオキシエチレン−10ステアリルエーテル;
ポリオキシエチレン−10ステアリルエーテルとグリセリルジラウレートの混合物;
ドデシル2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロパノールテトラデカノエート及び/又はドデシル2−(N,N−ジメチルアミノ)プロピオネート;
8個を超える炭素原子を有するN−アセチルプロリナートエステル(N−アセチル−ピロリドン−2−カルボン酸エステル);
非イオン界面活性剤、特にラウリルエーテル;
ポリオキシエチレンのエステル;
ジメチル(アリールイミノ)スルフラン;
オレイン酸類似体とプロピレングリコールの混合物;
パジメート 0、サリチル酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸オクチル、ラウロカプラムの混合物;
高分散二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標));
ポリオキシエチレン−7−グリセリンモノココエート(Cetiol(登録商標)HE);
2−オクチルドデカノール(Eutanol(登録商標)G);及び
それらの混合物。
【0058】
したがって、本発明に係る経皮治療システムは、透過促進剤としてポリオキシエチレン−7−グリセリンモノココエート(Cetiol(登録商標)HE)又は2−オクチルドデカノール(Eutanol(登録商標)G)を使用して作成することができる。
【0059】
本発明に係る経皮治療システムでは、自己粘着性マトリックスにおける接着剤の含有量は、各々のケースでマトリックスの重量を基準にして、20〜90重量%、好ましくは30〜80重量%、特には40〜60重量%であり、残部は活性成分、任意選択で透過促進剤、任意選択で充填剤である。
【0060】
最後に、本発明の課題は、本発明に係る経皮治療システムを作成する方法により解決され、当該方法において、有機アミン(複数可)とACE阻害ジカルボン酸(複数可)はともにマトリックス溶液又は懸濁液に組み込まれ、アミン塩(複数可)はマトリックス溶液又は懸濁液内でin situ形成される。
【0061】
本発明に係る経皮治療システムを作成する本発明に係る方法では、ACE阻害ジカルボン酸(複数可)のアミン塩(複数可)をマトリックスに直接導入することができる。
【0062】
また、本発明は、同様に本発明に係る経皮治療システムを作成する方法を提供する。この方法において、アルカリ化合物(複数可)とACE阻害ジカルボン酸(複数可)をマトリックス溶液又は懸濁液に一緒に組み込まれ、アルカリ化合物塩(複数可)をマトリックス溶液又は懸濁液内でin situ形成される。
【0063】
本発明に係る経皮治療システムを作成する本発明に係る方法では、ACE阻害ジカルボン酸(複数可)のアルカリ化合物塩(複数可)をマトリックスに直接導入することができる。
【0064】
本発明に係る経皮治療システムを作成する本発明に係る任意の方法の最中に、マトリックスは溶液又は懸濁液のかたちで存在していてもよく、溶媒(複数可)又は懸濁剤(複数可)を後の処理工程で必要に応じて蒸発させることができる。
【0065】
意外なことに、有機アミン及び/又はアルカリ化合物との反応によって形成されるACE阻害ジカルボン酸の塩は、分解、特に分子内ラクタム形成に対して非常に安定であることが分かった。また、意外なことに、モル等価量の有機アミン及び/又はアルカリ化合物との反応によって形成されるACE阻害ジカルボン酸の塩は、分解、特に分子内ラクタム形成に対して特に非常に安定であることが分かった。分子内ラクタム形成は、アミン又はアルカリ化合物によってカルボキシル基X(式を参照)を封鎖することによって、場合により、防止される。カルボキシレート基XはACE阻害ジカルボン酸においてより酸性が高いため、できるだけ少ないモル量のアミン又はアルカリ化合物によって分子内ラクタム形成を防止することができる。ACE阻害ジカルボン酸の塩、特にモノ塩は、皮膚に対して中性となる範囲で存在し、皮膚を刺激する可能性は最小となる。ACE阻害ジカルボン酸のアミン塩又はアルカリ化合物塩は、高い流束でマトリックス形成材料から排出される。
【0066】
好ましくは、本発明に係るACE阻害ジカルボン酸と有機アミン及び/又はアルカリ化合物との塩、特にモノ塩を含む経皮治療システムの塗布において得られるpH値は、5.0〜7.5、好ましくは5.0〜7.0、特に好ましくは5.0〜6.8である。pH値は、適当な量の、例えば25mlの水中で経皮治療システムを十分長い時間にわたって振盪し、例えば2時間後に、従来の測定方法を使用してpH値を測定することによって近似的に確定することができる。皮膚のpH値は約4.9〜5.5であるため、このようなpH値の範囲は特に有利である。
【0067】
また、驚くべきことに、ACE阻害ジカルボン酸と有機アミン及び/又はアルカリ化合物との本発明に係る塩を含む本発明に係る経皮治療システムは、例えば長期保管時に特に安定していることも分かった。また、ACE阻害ジカルボン酸と有機アミン及び/又はアルカリ化合物との本発明に係る塩を含む本発明に係る経皮治療システムは、塗布時における活性成分の驚くほど高い流束(浸透性)により特徴付けられ、例えばACE阻害ジカルボン酸のみの場合よりも浸透性は高い。これらの効果は、本発明に係るACE阻害ジカルボン酸と有機アミンとの本発明に係る塩、特にACE阻害ジカルボン酸と有機アミンとの本発明に係るモノ塩を含む本発明に係る経皮治療システムにおいて特に顕著である。
【0068】
本発明に係る経皮治療システムは、活性成分を透過しない上層(1)、活性成分及び/又は任意選択で透過促進剤を含有する1以上の自己粘着性層(複数可)(2)、接触接着剤(5)で被覆された1以上のマトリックス層(複数可)(4)、及び剥離性保護層(3)からなる。
【0069】
本発明に係る経皮治療システムでは、有機アミンとACE阻害ジカルボン酸の反応によって得られる、ACE阻害ジカルボン酸の少なくとも1種の安定したアミン塩を使用することができる。有機アミンとしては、4〜12個の炭素原子を有する第一級脂肪族アミンを好ましく使用することができる。特に、1個のアミノ基を有するアミン(モノアミン)を使用することが好ましい。例えば、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン又はトロメタモール(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)を使用することができる。第一級脂肪族アミンとしてトロメタモールを使用することが特に好ましい。また、ピロリドン又はその誘導体等の第二級アミンを使用することもできる。同様に、トリエタノールアミン等の第三級アミンを使用することもできる。
【0070】
本発明に係る経皮治療システムは、活性成分として、ACE阻害剤を含むことができ、その活性代謝物質は、例えば、イミダプリル、フォシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、スピラプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、リシノプリル、キナプリル、エナラプリル、デラプリル、ラミプリル及び/又はトランドラプリル等のジカルボン酸を構成する。ACE阻害剤のジカルボン酸とは、分子中に存在するカルボン酸エステル基が加水分解されたACE阻害剤の活性代謝物質を意味する。従って、ACE阻害ジカルボン酸は、例えば、イミダプリレート、フォシノプリレート、モエキシプリレート、ペリンドプリレート、スピラプリレート、ベナゼプリレート、シラザプリレート、リジノプリレート、キナプリレート、エナラプリレート、デラプリレート、ラミプリレート及び/又はトランドラプリレートを含む。好ましくは、トランドラプリレート及び/又はラミプリレートのアルカリ化合物塩又はアミン塩が活性成分として使用され、アミン塩が好ましい。
【0071】
本発明に係るアミン塩は、アミンに対するACE阻害ジカルボン酸のモル比が1未満:2、特に1:0.5〜1:2未満、好ましくは1:0.5〜1:1.9である塩、好ましくはモノ塩である。1:0.9〜1:1.5のモル比での使用が好ましく、特に好ましくは1:1.1、特には約1:1である。
【0072】
マトリックス溶液又は懸濁液においてACE阻害ジカルボン酸の安定したアミン塩は、対応する有機アミンとACE阻害ジカルボン酸を一緒にマトリックスに組み込むことによってin situ形成することができる。
【0073】
ただし、ACE阻害ジカルボン酸の安定したアミン塩は、マトリックスに直接導入することもできる。
【0074】
本発明に係るACE阻害ジカルボン酸のアミン塩は、ポリマーマトリックスに溶解及び/又はエマルションの液滴として存在することができる。
【0075】
本発明に係る経皮治療システムでは、アルカリ化合物とACE阻害ジカルボン酸との反応によって得られる、ACE阻害ジカルボン酸の少なくとも1種の安定したアルカリ化合物塩を使用することができる。アルカリ化合物としては、アルカリ金属カチオンを含む化合物が好ましく使用される。好適なアルカリ金属カチオンの例としては、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、及びルビジウムカチオンが挙げられ、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンが特に好ましい。また、カチオンとしてはアンモニウム(NH+)(疑似アルカリ金属カチオン)も好ましい。好ましくは、アルカリ化合物(特にアルカリ金属カチオン)の対アニオンはプロトン受容性を有し、アルカリ化合物は、特に好ましくは無機又は有機の強酸又は弱酸のアルカリ金属カチオン含有塩である。好ましい例としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、又は、例えばリチウムメタノラート、リチウムエタノラート、ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、カリウムメタノラート、カリウムエタノラート等のアルカリ金属アルコラート、又は、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、又は、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、又は、例えば酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム等のアルカリ金属酒石酸塩、又は、例えばマレイン酸ナトリウム、マレイン酸カリウム等のアルカリ金属マレイン酸塩等のアルカリ化合物が挙げられる。アンモニウム化合物としては水酸化アンモニウムが好ましい。アルカリ化合物は、単独で又は他の適当な成分又は溶媒との混合物で使用することができる。
【0076】
本発明に係る経皮治療システムは、活性成分として、1種以上のACE阻害剤を含むことができ、その活性代謝物質は、例えば、イミダプリル、フォシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、スピラプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、リシノプリル、キナプリル、エナラプリル、デラプリル、ラミプリル及び/又はトランドラプリル等のジカルボン酸を構成する。ACE阻害剤のジカルボン酸とは、分子中に存在するカルボン酸エステル基が加水分解されたACE阻害剤の活性代謝物質を意味する。従って、ACE阻害ジカルボン酸は、例えば、イミダプリレート、フォシノプリレート、モエキシプリレート、ペリンドプリレート、スピラプリレート、ベナゼプリレート、シラザプリレート、リジノプリレート、キナプリレート、エナラプリレート、デラプリレート、ラミプリレート及び/又はトランドラプリレートを含む。好ましくは、トランドラプリレート及び/又はラミプリレートのアルカリ化合物塩及び/又はアミン塩が活性成分として使用される。
【0077】
本発明に係るアルカリ化合物塩は、アルカリ化合物に対するACE阻害ジカルボン酸のモル比が1未満:2、特に1:0.5〜1:2未満、より好ましくは1:0.5〜1:1.9である塩、好ましくはモノ塩である。1:0.9〜1:1.5のモル比での使用が好ましく、より好ましくは1:1.1、特には約1:1である。
【0078】
マトリックス溶液又は懸濁液におけるACE阻害ジカルボン酸の安定したアルカリ化合物塩は、対応するアルカリ化合物とACE阻害ジカルボン酸をマトリックス溶液又は懸濁液に一緒に組み入れることによってin situ形成することができる。
【0079】
しかし、ACE阻害ジカルボン酸の安定したアルカリ化合物塩は、マトリックスに直接導入することもできる。
【0080】
本発明に係るACE阻害ジカルボン酸のアルカリ化合物塩は、ポリマーマトリックス中に溶解及び/又はエマルションの液滴として存在することができる。
【0081】
特に好ましくは、本発明に係る経皮治療システムのマトリックスは、非水性マトリックス、すなわち、水の含有量又は残留含有量が、マトリックスの重量を基準にして、2重量%未満、好ましくは1重量%未満、さらに好ましくは0.9重量%未満、特には約0.7重量%以下であるマトリックスである。
【0082】
ACE阻害ジカルボン酸の含有量は、マトリックスの重量を基準にして2〜35重量%、特に10〜25重量%であってもよい。
【0083】
接触接着剤層としては、例えばポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリアクリレート、シリコーン、スチレンブロック共重合体(例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)又はスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)又はそれらの混合物に基づく感圧接着剤を選択することができる。アクリレート又はポリイソブチレンに基づく接着剤を使用することが好ましい。
【0084】
マトリックスには、ポリアクリレート、ポリイソブチレン、シリコーン、スチレンブロック共重合体(例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS))又はそれらの混合物等の医薬に使用されるマトリックス形成材料が使用される。マトリックス形成材料及び接着剤を兼ねるポリアクリレートの自己粘着性マトリックスを使用することが好ましい。
【0085】
ACE阻害ジカルボン酸のアミン塩は、高い流束でマトリックス形成材料、例えばポリアクリレートから排出される。トランドラプリレートを使用する場合、高い流束とは0.25〜25μg/cm/h、好ましくは0.5〜5μg/cm/hである。ラミプリレートを使用する場合、高い流束とは0.6〜63μg/cm/h、好ましくは1.2〜12μg/cm/hである。
【0086】
ポリアクリレートに基づく接着剤は、各種アクリル酸誘導体を含む任意のホモポリマー、コポリマー又はターポリマーであってもよい。
【0087】
したがって、ポリアクリレートは、1種以上のアクリル酸モノマーとアクリル酸と他の共重合可能なモノマーのポリマーであってもよい。さらに、ポリアクリレートは、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレート及び/又はそれらと共重合可能な第2のモノマー又は官能基を有するモノマーのコポリマーであってもよい。添加するモノマーの量を変化すると、得られるアクリレートポリマーの粘着性を変化させることができる。通常、アクリレートポリマーは、少なくとも50重量%のアクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アルキルアクリレートモノマー、アルキルメタクリレートモノマー又はアクリルアミドモノマー、0〜20重量%のアクリレートと共重合可能な機能性モノマー、及び0〜50重量%の他のモノマーからなる。
【0088】
単独又は混合物として重合させることができる各種のアクリレートモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、へキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、及びトリデシルメタクリレートなどが挙げられる。
【0089】
また、上記アクリレートと共重合可能な機能性モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、ヒドロキシメチルアクリレート、酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、tert−オクチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルアクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、及びメトキシエチルメタクリレートなどを共重合に使用することができる。
【0090】
本発明に好適な感圧性アクリレートのさらなる詳細と例は、Satas感圧接着技術ハンドブック、「アクリル接着剤」、第3版(D. Satas編)、Van Nostrand Reinhold、ニューヨーク(1999)に記載されている。
【0091】
自己粘着性マトリックスにおける接着剤の含有量は、マトリックスの重量を基準にして20〜90重量%、30〜80重量%、特に40〜60重量%であってもよい。
【0092】
剥離性保護層に関して、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシロキサン(例えば、フルオロシリコンコーティングを有する)、ポリアクリレート、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、ポリイソブテン、又はシリコーン及び/又はポリエチレンで普通コーティングされた紙、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0093】
不透過性の上層としては、
アクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル(メチルメタクリレート)共重合体、アクリロニトリル共重合体、エチレンエチルアクリレート、エチレンメチルアクリレート、エチレン酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコールポリマー、アイオノマー、ナイロン(ポリアミド)、ナイロン(ポリアミド)共重合体、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、熱可塑性ポリエステル共重合体、ポリエチレン共重合体(高密度)、ポリエチレン(高分子量、高密度)、ポリエチレン(中間分子量、高密度)、ポリエチレン(直鎖低密度)、ポリエチレン(低密度)、ポリエチレン(中密度)、ポリエチレンオキシド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリプロピレン(被覆)、ポリプロピレン(配向)、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン及び/又はスチレン−アクリロニトリルのシートが挙げられ、必要に応じて金属化されていても又は着色されていてもよい。 活性成分を透過しない上層としては、ポリウレタン、エチレン−ビニルアルコールポリマー、ポリエステルが好ましい。
【0094】
透過促進剤としては、各々8〜18個の炭素原子を有する飽和及び/又は不飽和脂肪族アルコール;ティーツリー油;飽和及び/又は不飽和環状ケトン;アルキルメチルスルホキシド;各々8〜18個の炭素原子を有する飽和及び/又は不飽和脂肪酸;それらのエステル又は塩;天然ビタミンE;合成ビタミンE及び/又はビタミンE誘導体;ソルビタン脂肪酸エステル及びエトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル;アゾン(ラウロカプラム);1−アルキルピロリドン;片末端にカチオン基を有するジメチルシロキサンとポリエチレングリコールのブロック共重合体;ポリオキシエチレン−10ステアリルエーテル;ポリオキシエチレン−10ステアリルエーテルとグリセリルジラウレートの混合物;ドデシル2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロパノールテトラデカノエート及び/又はドデシル2−(N,N−ジメチルアミノ)プロピオネート;8個を超える炭素原子を有するN−アセチルプロリナートエステル;ラウリルエーテル等の非イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンのエステル;ジメチル(アリールイミノ)スルフラン;オレイン酸類似体とプロピレングリコールの混合物;パジメート 0、サリチル酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸オクチル、ラウロカプラムの混合物;高分散二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標));ポリオキシエチレン−7−グリセリンモノココエート(Cetiol(登録商標)HE);2−オクチルドデカノール(Eutanol(登録商標)G);又はそれらの混合物が必要に応じて用いることができる。本発明に係る経皮治療システムにおいて、ポリオキシエチレン−7−グリセリンモノココエート(Cetiol(登録商標)HE)又は2−オクチルドデカノール(Eutanol(登録商標)G)が透過促進剤として好ましい。
【0095】
以下の物質又はそれらの混合物を充填剤として使用することができる:酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機塩、タルク、カオリン、ベントナイト等の粘土成分、又は高分子充填剤。
【0096】
充填剤として、特に酸化亜鉛及び/又はAerosilを使用することができる。
【0097】
また、自己粘着性マトリックスを含む本発明に係る経皮治療システムは、以下のように構成することができる。最上層は、活性成分を透過しない上層である。次いで活性成分及び任意選択で透過阻害剤及び/又は充填剤を含む自己粘着性マトリックス層が続く。その場合、マトリックス形成材料は接着剤である。剥離性保護層が最後の層である。
【0098】
あるいは、経皮治療システムは、接触接着剤のセパレート層が設けられた非自己接着性マトリックス層を含むことができる。
【0099】
特に好ましくは、本発明に係る経皮治療システムは、水の含有量又は残留含有量が、マトリックスの重量を基準にして、2重量%未満、好ましくは1重量%未満、さらに好ましくは0.9重量%未満、特には約0.7重量%以下であるマトリックス層である非水性マトリックス層である活性成分含有マトリックス層を含む。
【0100】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例によって制限されるものではない。
【0101】
実施例では以下の組成物を使用した。
ポリアクリレートに基づく接着剤:Durotak(登録商標)78-2353;アクリレートと酢酸ビニルの共重合体に基づく接着剤:Durotak(登録商標)87-4098;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体に基づく接着剤:Durotak(登録商標)87-6173;ポリイソブチレンに基づく接着剤:Durotak(登録商標)87-6430;シリコーン接着剤:BioPSA Hex 7-4302、透過促進剤:Cetiol(登録商標)HE、ポリオキシエチレン−7−グリセリンモノココエート
【実施例1】
【0102】
トランドラプリレート及びトロメタモールのモノ塩を含むTTSの本発明に係る自己粘着性マトリックスの組成物
【0103】
【表1】

【0104】
重量割合はマトリックスの重量に基づく。トランドラプリレートとトロメタモールの化学量論比は1:1.5である。
【0105】
製造工程:
撹拌槽内において、トランドラプリレートとトロメタモールを適当な溶媒に溶解した。次いで、まずCetiol(登録商標)HEを、次に接着剤(Durotak(登録商標))を添加し、均質化した。得られた混合物は剥離性フィルムに塗布し、乾燥した。つぎに、活性成分を透過しない上層として得られたマトリックス上にPETフィルムを配置した。そして、TTSを打ち抜き、袋に詰めた。
【実施例2】
【0106】
トランドラプリレート及びトロメタモールのモノ塩を含むTTSの本発明に係る自己粘着性マトリックスの組成物
【0107】
【表2】

【0108】
重量割合はマトリックスの重量に基づく。トランドラプリレートとトロメタモールの化学量論比は1:1である。
製造は実施例1と同様に行った。
【0109】
安定性
トランドラプリレートとトロメタモール(トロメタモールに対するトランドラプリレートの比は1:1である)のモノ塩を含む経皮治療システムの安定性
【0110】
【表3】

【0111】
上記表から明らかなように、トランドラプリレートのモノ塩を含むTTSは高い安定度を示した。
【0112】
皮膚刺激性
トランドラプリレートとトロメタモール(トロメタモールに対するトランドラプリレートの比は1:1である)のモノ塩を含む経皮治療システムは、紅斑(充血によって引き起こされた炎症性の皮膚発赤)平均値1を示す。
プラセボの紅斑平均値は1であった。
DRAIZE(食品、医薬品、化粧品の化学物質の安全評価(Appraisal of the Safety of Chemicals in Food, Drugs and Cosmetics)、食品・医薬品検査官協会(Association of Food and Drug Officials)、米国、テキサス州オースチン、1959)によれば、紅斑は以下のように分類することができる。
【0113】
【表4】

【0114】
従って、トランドラプリレートのモノ塩を含む経皮治療システムは、低い紅斑値を有し、皮膚刺激性は示さなかった。プラセボと比較して差がなかった。
【0115】
pH値
経皮治療システムのpH値を測定するために、積層体の10cmの部分を適切な時間、すなわちpH値が一定となるまで25mlの水中で振盪した。pH値は通常のpH計を使用して測定した。
【0116】
【表5】

【実施例3】
【0117】
ポリアクリレートマトリックス内にラミプリレートと水酸化ナトリウム(NaOH)の塩を含むTTSの本発明に係る自己粘着性マトリックスの組成物
【0118】
【表6】

【0119】
重量割合はマトリックスの重量に基づく。ラミプリレートと水酸化ナトリウム(NaOH)の化学量論比は1:1.3である。
製造は実施例1と同様に行った。
【実施例4】
【0120】
シリコーンマトリックス内にトランドラプリレートとオクチルアミンの塩を含むTTSの本発明に係る自己粘着性マトリックスの組成物
【0121】
【表7】

【0122】
重量割合はマトリックスの重量に基づく。トランドラプリレートとオクチルアミンの化学量論比は1:1.5である。
製造は、フルオロシリコーン被覆剥離性フィルムを使用して実施例1と同様に行った。
経皮治療システムのpH値(測定は実施例2を参照)は5.0である。
【実施例5】
【0123】
スチレンブロック共重合体マトリックス又はPIBマトリックス内にトランドラプリレートとドデシルアミンの塩を含むTTSの本発明に係る自己粘着性マトリックスの組成物
【0124】
【表8】

【0125】
重量割合はマトリックスの重量に基づく。トランドラプリレートとドデシルアミンの化学量論比は1:1.2である。
製造は実施例1と同様に行った。
【実施例6】
【0126】
シリコーンマトリックス内にトランドラプリレートとブチルアミンの塩を含むTTSの本発明に係る自己粘着性マトリックスの組成物
【0127】
【表9】

【0128】
重量割合はマトリックスの重量に基づく。トランドラプリレートとブチルアミンの化学量論比は1:1.5である。
製造は、フルオロシリコーン被覆剥離性フィルムを使用して実施例1と同様に行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ACE阻害ジカルボン酸と、少なくとも1種の有機アミン及び/又は少なくとも1種のアルカリ化合物との塩。
【請求項2】
前記有機アミンがモノアミンである、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
前記有機アミンが第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンである、請求項1又は2に記載の塩。
【請求項4】
第一級アミンが脂肪族第一級C〜C12アミンである、請求項3に記載の塩。
【請求項5】
前記脂肪族第一級C〜C12アミンが、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン又はトロメタモール(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)である、請求項4に記載の塩。
【請求項6】
前記第二級アミンがピロリドン又はその誘導体である、請求項3に記載の塩。
【請求項7】
前記第三級アミンがトリエタノールアミンである、請求項3に記載の塩。
【請求項8】
前記アルカリ化合物がアルカリ金属カチオンを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塩。
【請求項9】
前記アルカリ化合物がリチウムカチオン、ナトリウムカチオン又はカリウムカチオンを含む、請求項8に記載の塩。
【請求項10】
イミダプリル、フォシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、スピラプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、リシノプリル、キナプリル、エナラプリル、デラプリル、ラミプリル及びトランドラプリルのジカルボン酸からなる群から選択されるACE阻害ジカルボン酸を有する、請求項1〜9の少なくとも1項に記載の塩。
【請求項11】
トランドラプリル又はラミプリルのACE阻害ジカルボン酸を有する、請求項10に記載の塩。
【請求項12】
ACE阻害ジカルボン酸:アミンのモル比又はACE阻害ジカルボン酸:アルカリ化合物のモル比が1:2未満である、請求項1〜11の少なくとも1項に記載の塩。
【請求項13】
ACE阻害ジカルボン酸:アミンのモル比又はACE阻害ジカルボン酸:アルカリ化合物のモル比が、1:0.5〜1:2未満、好ましくは1:0.5〜1:1.9、さらに好ましくは1:0.9〜1:1.5、さらに好ましくは1:1.1、そして特に好ましくは約1:1である、
請求項12に記載の塩。
【請求項14】
ACE阻害ジカルボン酸:アミンのモル比又はACE阻害ジカルボン酸:アルカリ化合物のモル比が約1:1である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の塩。
【請求項15】
少なくとも1種の請求項1〜14の少なくとも1項に記載の塩を活性成分として含む経皮治療システム。
【請求項16】
前記有機アミンがモノアミンである、請求項15に記載の経皮治療システム。
【請求項17】
前記有機アミンが第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンである、請求項15又は16に記載の経皮治療システム。
【請求項18】
第一級アミンが脂肪族第一級C〜C12アミンである、請求項17に記載の経皮治療システム。
【請求項19】
前記脂肪族第一級C〜C12アミンが、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン又はトロメタモール(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)である、請求項18に記載の経皮治療システム。
【請求項20】
前記第二級アミンがピロリドン又はその誘導体である、請求項17に記載の経皮治療システム。
【請求項21】
前記第三級アミンがトリエタノールアミンである、請求項17に記載の経皮治療システム。
【請求項22】
イミダプリル、フォシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、スピラプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、リシノプリル、キナプリル、エナラプリル、デラプリル、ラミプリル及びトランドラプリルのジカルボン酸からなる群から選択されるACE阻害ジカルボン酸の少なくとも1種の塩を含む、請求項15〜21の少なくとも1項に記載の経皮治療システム。
【請求項23】
トランドラプリル又はラミプリルのACE阻害ジカルボン酸の塩を含む、請求項22に記載の経皮治療システム。
【請求項24】
ACE阻害ジカルボン酸:アミンのモル比又はACE阻害ジカルボン酸:アルカリ化合物のモル比が1:2未満である、請求項15〜23の少なくとも1項に記載の経皮治療システム。
【請求項25】
ACE阻害ジカルボン酸:アミンのモル比又はACE阻害ジカルボン酸:アルカリ化合物のモル比が、1:0.5〜1:2未満、好ましくは1:0.5〜1:1.9、さらに好ましくは1:0.9〜1:1.5、特に好ましくは1:1.1、及び特には約1:1である、請求項24に記載の経皮治療システム。
【請求項26】
ACE阻害ジカルボン酸:アミンのモル比又はACE阻害ジカルボン酸:アルカリ化合物のモル比が約1:1である、請求項15〜24のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項27】
活性成分を透過しない上層、
1以上の活性成分含有自己粘着性マトリックス層、及び
剥離性保護層、
を有する、請求項15〜26の少なくとも1項に記載の経皮治療システム。
【請求項28】
活性成分を透過しない上層、
塗布面に接触接着剤層を有する1以上の活性成分含有マトリックス層、及び
剥離性保護層、
を有する、請求項15〜26の少なくとも1項に記載の経皮治療システム。
【請求項29】
非自己接着性マトリックス層及び接触接着剤のセパレート層を有する、請求項28に記載の経皮治療システム
【請求項30】
前記活性成分又は複数の活性成分が、前記マトリックス内に溶解及び/又は前記マトリックス内にエマルションの液滴のかたちで存在している、請求項15〜29の少なくとも1項に記載の経皮治療システム。
【請求項31】
前記ACE阻害ジカルボン酸の含有量が、前記マトリックスの重量を基準にして2〜35重量%である、前記請求項15〜30の少なくとも1項に記載の経皮治療システム。
【請求項32】
前記ACE阻害ジカルボン酸の含有量が、前記マトリックスの重量を基準にして10〜25重量%である、請求項31に記載の経皮治療システム。
【請求項33】
ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリアクリレート、シリコーン、スチレンブロック共重合体又はそれらの混合物に基づく感圧接着剤を有する、請求項15〜32のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項34】
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)又はスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体に基づく感圧接着剤を有する、請求項33に記載の経皮治療システム。
【請求項35】
ポリアクリレート又はポリイソブチレンに基づく感圧接着剤を有する、請求項33に記載の経皮治療システム。
【請求項36】
ポリアクリレート、ポリイソブチレン、シリコーン、スチレンブロック共重合体及びそれらの混合物からなる群から選択されるマトリックス形成材料を有する、請求項15〜35のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項37】
前記マトリックス形成材料がスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)である、請求項36に記載の経皮治療システム。
【請求項38】
ポリアクリレートに基づく自己粘着性マトリックスを有する、請求項36に記載の経皮治療システム。
【請求項39】
ホモポリマー、コポリマー又はターポリマーであってもよいポリアクリレートに基づく接触接着剤及び/又はマトリックスを有する、請求項15〜38のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項40】
各種アクリル酸誘導体を含むか又は該誘導体からなるポリアクリレートに基づく接触接着剤及び/又はマトリックスを有する、請求項39に記載の経皮治療システム。
【請求項41】
以下のポリアクリレートからなる、ポリアクリレートに基づく接触接着剤及び/又はマトリックスを有する、請求項15〜40のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
・少なくとも50重量%のアクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アルキルアクリレートモノマー、アルキルメタクリレートモノマー又はアクリルアミドモノマー
・0〜20重量%のアクリレートと共重合可能な機能性モノマー
・0〜50重量%の他のモノマー
【請求項42】
以下で形成される群から選択される透過促進剤を有する、請求項15〜41のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
各々8〜18個の炭素原子を有する飽和及び/又は不飽和脂肪族アルコール;
ティーツリー油;
飽和及び/又は不飽和環状ケトン;
アルキルメチルスルホキシド;
各々8〜18個の炭素原子を有する飽和及び/又は不飽和脂肪酸;
各々8〜18個の炭素原子を有する飽和及び/又は不飽和脂肪酸のエステル;
各々8〜18個の炭素原子を有する飽和及び/又は不飽和脂肪酸の塩;
天然ビタミンE;
合成ビタミンE及び/又はビタミンE誘導体;
ソルビタン脂肪酸エステル;
エトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル;
アゾン、特にラウロカプラム;
1−アルキルピロリドン;
片末端にカチオン基を有するジメチルシロキサンとポリエチレングリコールのブロック共重合体;
ポリオキシエチレン−10ステアリルエーテル;
ポリオキシエチレン−10ステアリルエーテルとグリセリルジラウレートの混合物;
ドデシル2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロパノールテトラデカノエート及び/又はドデシル2−(N,N−ジメチルアミノ)プロピオネート;
8個を超える炭素原子を有するN−アセチルプロリナートエステル(N−アセチル−ピロリドン−2−カルボン酸エステル);
非イオン界面活性剤、特にラウリルエーテル;
ポリオキシエチレンのエステル;
ジメチル(アリールイミノ)スルフラン;
オレイン酸類似体とプロピレングリコールの混合物;
パジメート 0、サリチル酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸オクチル、ラウロカプラムの混合物;
高分散二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標));
ポリオキシエチレン−7−グリセリンモノココエート(Cetiol(登録商標)HE);
2−オクチルドデカノール(Eutanol(登録商標)G);及び
それらの混合物。
【請求項43】
前記透過促進剤がポリオキシエチレン−7−グリセリンモノココエート(Cetiol(登録商標)HE)又は2−オクチルドデカノール(Eutanol(登録商標)G)である、請求項42に記載の経皮治療システム。
【請求項44】
前記自己粘着性マトリックスにおける接着剤の含有量が、いずれの場合にもマトリックスの重量を基準にして、20〜90重量%、好ましくは30〜80重量%、特に好ましくは40〜60重量%であり、残部が活性成分、任意選択で透過促進剤、任意選択で充填剤である、請求項15〜43のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項45】
請求項15〜44のいずれか1項に記載の経皮治療システムの作成方法であって、前記有機アミンと前記ACE阻害ジカルボン酸をマトリックス溶液又は懸濁液に添加し、前記有機アミン塩を前記マトリックス溶液又は懸濁液内でin situ形成することを含む方法。
【請求項46】
請求項15〜44のいずれか1項に記載の経皮治療システムの作成方法であって、前記ACE阻害ジカルボン酸のアミン塩を前記マトリックスに直接導入する方法。
【請求項47】
請求項15〜44のいずれか1項に記載の経皮治療システムの作成方法であって、前記アルカリ化合物と前記ACE阻害ジカルボン酸を一緒にマトリックス溶液又は懸濁液に添加し、前記アルカリ化合物塩を前記マトリックス溶液又は懸濁液内でin situ形成することを含む方法。
【請求項48】
請求項15〜44のいずれか1項に記載の経皮治療システムの作成方法であって、前記ACE阻害ジカルボン酸のアルカリ化合物塩を前記マトリックスに直接導入する方法。

【公表番号】特表2009−518336(P2009−518336A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543715(P2008−543715)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011672
【国際公開番号】WO2007/065638
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(506405024)へクサル アーゲー (3)
【氏名又は名称原語表記】HEXAL AG
【Fターム(参考)】