説明

ADAM−9モジュレータ

本発明は、疾患および癌関連抗原KID24の同定および性質決定を提供する。本発明は、抗原KID24に結合するモノクローナル抗体のファミリを含むKID24のモジュレータと、KID24に関連する各種のヒトの癌および疾患の診断および処置の方法も提供する。本発明により、KID24に特異的に結合して、抗体μ−抗KID24が優先的に結合するのと同じKID24のエピトープに優先的に結合し、次の特徴:a.癌細胞上のKID24に結合する能力;b.試験管内または生体内で生癌性細胞の表面に露出されているKID24の部分に結合する能力;c.治療剤または検出可能なマーカーを、KID24を発現する癌細胞へ送達する能力;d.治療剤または検出可能なマーカーを、KID24を発現する癌細胞内へ送達する能力、の少なくとも1つ以上を有する、実質的に精製された免疫グロブリンまたはその抗原結合断片が、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学および免疫療法の分野に存する。さらに詳細には、既知の抗体であるADAM−9、ならびにこの抗原に結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体および他の作用物質に関する発見に関する。本発明は、アゴニストおよびアンタゴニストを含むADAM−9モジュレータ、ならびに抗ADAM−9抗体を含む、ADAM−9に結合するペプチドを使用する、ADAM−9に関連する各種のヒトの疾患および癌の診断および/または処置の方法をさらに提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
診断でのその公知の使用に加えて、抗体は治療剤として使用されることが示されている。たとえば癌を処置するための免疫療法、または治療目的の抗体の使用が近年使用されている。受動免疫療法は、癌処置でのモノクローナル抗体の使用を含む。たとえば非特許文献1を参照。これらの抗体は、腫瘍細胞成長または生存の直接阻害と、体の免疫系の自然細胞殺活性を補充するその能力との両方による、固有の治療生物活性を有することができる。これらの作用物質は、単独で、または放射線および化学療法剤と併せて投与できる。それぞれ非ホジキンリンパ腫および乳癌の処置のために承認されたリツキシマブおよびトラスツズマブは、そのような治療剤の2つの例である。あるいは抗体は、抗体が毒性剤に連結されている抗体接合体を作製するために使用でき、腫瘍へ特異的に結合することによってその薬剤を腫瘍に向かわされる。ゲムツズマブオゾガマイシンは、白血病の処置に使用される承認抗体接合体の例である。癌細胞に結合して、診断および治療への潜在的用途を有するモノクローナル抗体は、公報に開示されている。たとえば特に、標的タンパク質の一部の分子量を開示する次の特許出願:特許文献1(200kD c−erbB−2(Her2)/and other unknown antigens 40〜200KD in size)および特許文献2(50kD and 55kD oncofetal protein)を参照。臨床試験でのおよび/または固形腫瘍の処置のために承認された抗体の例は:トラスツズマブ(抗原:180kD、HER2/neu)、エドレコロマブ(抗原:40〜50kD、Ep−CAM)、抗ヒト乳脂肪球(HMFG1)(抗原>200kD、HMWムチン)、セツキシマブ(抗原:150kDおよび170kD、EGFレセプタ)、アレムツズマブ(抗原:21〜28kD、CD52)、およびリツキシマブ(抗原:35kD、CD20)を含む。
【0003】
乳癌を処置するために使用されるトラスツズマブ(Her−2レセプタ)の、そして複数の癌を処置するための臨床試験におけるセツキシマブ(EGFレセプタ)の抗原標的は、皮膚、結腸、肺、卵巣、肝臓、および膵臓を含む多数の正常ヒト成人組織に、ある検出可能なレベルで存在する。これらの治療薬での安全域はおそらく、これらの部位における抗体の発現レベルまたはアクセスまたは活性の相違によって与えられる。
【0004】
癌標的に加えて、抗体治療薬は慢性炎症および他の免疫障害に対して有効であることも示されている。免疫障害の処置に承認された抗体治療薬の例は、インフリキシマブである(抗原:TNFα)。
【0005】
別の種類の免疫療法は、抗原の発現を指示して、次に個体での免疫反応を誘起する、すなわち個体にその独自の癌に対する抗体を能動的に産生させる、特定の癌またはDNA構築物に存在する抗原を用いる、能動免疫療法、すなわちワクチン接種である。能動免疫化は、受動免疫療法または免疫毒素ほど頻繁に使用されていない。
【0006】
疾患(癌を含む)進行の複数のモデルが示唆されている。理論は、単一の感染性/形質転換イベントによる因果関係から、完全な病原性または悪性能力を備えた組織タイプに最終的に達する、増加する「疾患様」または「癌様」組織タイプの発生までに及ぶ。一部の人々が癌に関してはたとえば単一の突然変異イベントが悪性腫瘍を引き起こすのに十分であると主張しているのに対して、他の人々は、次の変更も必要であることを主張している。一部の他の人々は、細胞レベルでの突然変異選択イベントの連続を介した新形成の開始はもちろんのこと進行にも、増加する突然変異負荷および腫瘍異型度が必要であることを示唆している。一部の癌標的は腫瘍組織のみに見出されるが、他の癌標的は正常組織に存在しており、腫瘍組織にてアップレギュレートおよび/または過剰発現される。このような状況で、一部の研究者は過剰発現が悪性腫瘍の獲得に結び付いていることを示唆したが、他の研究者は、過剰発現が高まりつつある疾患状態への経路に沿った傾向の単なるマーカーであることを示唆している。
【0007】
理想的な診断および/または治療抗体は、非常に多数の癌に存在する抗原に対して特異性であるが、正常組織には存在しないか、または非常に低いレベルで存在する。癌と特異的に結合する新規な抗原の発見、性質決定、および単離は、多くの方法で有用である。第1に、抗原は抗原に対するモノクローナル抗体を作製するために使用できる。抗体は理想的には癌細胞に対する生物活性を有し、外来性の抗原に対する免疫系の反応を補充することができる。抗体は、治療剤として単独で、または現在の処置と組合せて投与できるか、あるいは毒性剤に連結した免疫接合体を調製するために使用できる。同じ特異性を有するが、単独投与時には生物活性が低い、または生物活性のない抗体も、放射性同位体、毒素、あるいは化学療法剤または化学療法剤を含有するリポソームとの免疫接合体を調製するために有用であり、接合形は、毒素を抗原含有細胞へ向ける抗体のために生物活性である。
【0008】
理想的な診断および/または治療抗体にとって望ましい1つの態様は、各種の癌と関連する抗原の発見および性質決定である。非癌性細胞での制限された発現を有する、多くの種類の癌にて発現する抗原(たとえば「汎癌」抗原)はわずかしかない。そのような抗原の単離および精製は、抗原を標的化する抗体(たとえば診断および治療)抗体を作製するのに有用である。「汎癌」抗原に結合する抗体は、1つの特定の種類の癌のみに関連した抗原に対する抗体とは対照的に、異なる組織で見出された各種の癌を標的化することができる。抗原は、薬物送達(たとえば小型分子)に、そして細胞の調節、成長および分化のさらなる性質決定にも有用である。
【0009】
ADAM(A Disintegrin and Metalloprotease Domain、ディスインテグリンおよびメタロプロテアーゼドメイン)は、広範囲に亘る生物過程、たとえば細胞接着、細胞融合およびタンパク質分解で重要と考えられるタンパク質のファミリである。一般に、それらは基底膜成分を分解して、インテグリンに結合し、それゆえ細胞−マトリクス相互作用を混乱させる能力を有するヘビ毒タンパク質に相同性を有する膜貫通タンパク質である。ヘビ毒タンパク質への機能類似性のために、ADAMはMDCタンパク質(Mettalloprotease−like,Disintegrin,Cystein−rich、メタロプロテアーゼ様、ディスインテグリン、システインリッチ)としても既知である。
【0010】
MDC9またはADAM−9(メルトリンγ)は、ADAM/MDCタンパク質ファミリのメンバである。タンパク質配列は、特許文献3および特許文献4に述べられている。ADAM−9発現がラット腎臓で見出され、タンパク質マイクロアレイを使用して肝細胞癌中でアップレギュレートされることも示されているが、癌進行に対するこの発見の重要性は不明である。ADAM−9は、アミロイド前駆タンパク質の処理において、複数のインテグリンのリガンドとして、ヘパリン結合上皮細胞成長因子(HB−EGF)の放出に関与することも示されている。それはマウス、ヒトおよびツメガエル間で高度に保存されており、異なる組織で広範に発現され、ADAM−9を欠失したノックアウトマウスは明らかな病理学的異常を示さない。ADAM−9に対するポリクローナルおよびモノクローナル抗体は、タンパク質アレイ内の肝細胞癌に関連する新規なタンパク質の同定(非特許文献2)で、そしてADAM−9発現をアッセイするための静脈血管平滑筋細胞(VSMC)を使用するアテローム性動脈硬化モデル(非特許文献3)でも使用されているが、ADAM−9のマーカーとしての重要性は不明である。この従来技術は、治療剤としてのADAM−9抗体を、あるいはADAM−9の発現が癌において原因となる影響を果たすことを教示または示唆していない。
【0011】
必要なのは、細胞表面標的を特異的に認識する抗体および他の作用物質によって、そのような疾患および/または癌を診断および処置するために使用できる罹患細胞および/または癌細胞の表面における新規な標的である。ADAM−9の疾患促進活性を低下または向上させることによって調節できる、細胞表面上の標的を特異的に認識する新規な抗体および他の作用物質に関する、本明細書で開示された発見に基づいて、さらなる要求がある。本発明の目的は、その疾患関連活性を阻害することができるヒトADAM−9のアンタゴニストを同定することである。本発明の別の目的は、ADAM−9のアッセイで使用するための、そして免疫原として使用するための、または抗ヒトADAM−9抗体を選択するための新規な化合物を提供することである。
【0012】
以下でさらに詳細で述べるように、本発明者らは、我々が本明細書でKID24と呼び、本明細書で提供される新規なアンタゴニスト、モジュレータおよび抗体の抗原標的として同定された、既知のポリペプチドADAM−9に関する発明を行った。
【0013】
本明細書で開示する参考文献、公報および特許出願はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み入れられている。
【特許文献1】米国特許第6,054,561号明細書
【特許文献2】米国特許第5,656,444号明細書
【特許文献3】米国特許出願第20040091473号明細書
【特許文献4】米国特許出願第20020042368号明細書
【非特許文献1】Cancer:Principles and Practice of Oncology,第6版,2001年、第20章,p.495−508
【非特許文献2】Tannapfelら著,J of Pathology,2003年,201,p.238−49
【非特許文献3】Al−Fakhriら著,J Cellular Biochem,2003年,89,p.808−823
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本明細書で開示する本発明は、本明細書で示すような既知のポリペプチドADAM−9(本明細書ではKID24とも呼ばれる)が各種の原発性および転移性ヒト癌の両方に存在するという発見と、抗KID24抗体をそのような癌を処置するために使用できるという発見に関する。本発明は、KID24アンタゴニスト、モジュレータ、各種のヒト癌で発現される、KID24に結合するモノクローナル抗体を提供する。
【0015】
1つの態様において、本発明は、KID24に結合するモノクローナル抗体のファミリである。別の態様において、本発明は、American Type Culture CollectionにPTA# 5174のPatent Deposit Designationと共に、2003年5月2日に寄託された宿主細胞系KIDNEY.5.3F2.2G8によって産生されるモノクローナル抗体抗KTD24である。
【0016】
なお別の態様において、本発明は:(a)宿主哺乳類を免疫原で免疫化するステップと;(b)哺乳類からリンパ球を取得するステップと;(c)リンパ球(b)を骨髄腫細胞系と融合してハイブリドーマを産生するステップと;(d)(c)のハイブリドーマを培養してモノクローナル抗体を産生するステップと;(e)罹患細胞および/あるいは癌性細胞または細胞系に結合するが、非癌性あるいは正常細胞または細胞系に結合しない、あるいは正常細胞により低いレベルで、または異なる方式で結合する抗体のみを選択するために、抗体をスクリーニングするステップと;から成る、罹患細胞および/または癌性細胞と反応性のモノクローナル抗体抗KID24を産生する方法である。
【0017】
別の態様において、本発明は、そのような抗体またはその子孫をコードする宿主細胞を、該抗体の産生を可能にする条件下で培養するステップと、抗KID24抗体を精製するステップとから成る、抗KID24抗体を産生する方法である。
【0018】
別の態様において、本発明は、適切な細胞中で抗体(単鎖または重鎖として別個に発現できるか、あるいは軽鎖および重鎖の両方が1個のベクターから発現される)をコードする1個以上のポリヌクレオチドを発現させて、一般に続いて興味のある抗体またはポリペプチドを回収および/または単離することによって、本明細書で述べた抗体(またはポリペプチド)のいずれかを産生する方法を提供する。
【0019】
別の態様において、本発明は、抗KID24抗体のKID24への優先的結合を競合的に阻害する、抗KID24抗体またはポリペプチド(抗体でも、抗体でなくてもよい)である。一部の実施形態において、本発明は、KID24上の同じまたは異なるエピトープに他の抗KID24抗体として優先的に結合する抗体またはポリペプチド(抗体でも、抗体でなくてもよい)である。
【0020】
別の態様において、本発明は、抗KID24抗体のKID24への優先的結合を競合的に阻害する、KID24モジュレータ(ポリペプチドでも、ポリペプチドでなくてもよい)である。一部の実施形態において、本発明は、KID24上の同じまたは異なるエピトープに他の抗KID24抗体として優先的に結合する小型分子または化学化合物でもありうる。
【0021】
なお別の態様において、本発明は、KID24のエピトープに対して特異性である抗体によって結合されたKID24を含む組成物である。1つの実施形態において、抗体は抗KID24である。他の実施形態において、2つ以上の抗KID24抗体が投与され、そのような抗体はKID24上の2つ以上の異なるエピトープにマッピングされる。一部の実施形態において、抗KID24抗体は治療剤または検出可能な標識に連結される。
【0022】
別の態様において、本発明は、抗KID24抗体の断片または領域を含む抗体である。1つの実施形態において、断片は抗体の軽鎖である。別の実施形態において、断片は抗体の重鎖である。なお別の実施形態において、断片は抗体の軽鎖および/または重鎖からの1つ以上の可変領域を含有する。なお別の実施形態において、断片は、抗体の軽鎖および/または重鎖からの1つ以上の相補性決定可変領域(CDR)を含有する。
【0023】
別の態様において、本発明は、次のいずれかを含むポリペプチド(抗体でも、抗体でなくてもよい)を提供する:抗KID24抗体の(a)軽鎖または重鎖からの1個以上のCDR(またはその断片);(b)軽鎖からの3個のCDR;(c)重鎖からの3個のCDR;(d)軽鎖から3個のCDRおよび重鎖からの3個のCDR;(e)軽鎖可変領域;(f)重鎖可変領域。
【0024】
別の態様において、本発明はヒト化抗体である。一部の実施形態において、ヒト化抗体は非ヒト抗KID24抗体の1個以上のCDRを含む。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、他の抗KID24抗体と同様に同じまたは異なる(複数の)エピトープに結合する。概して本発明のヒト化抗体は、同じおよび/または元の非ヒト抗KID24抗体のCDRに由来する1個以上(1、2、3、4、5、6個またはその断片)のCDRを含む。一部の実施形態において、ヒト抗体は、他の抗KID24抗体と同様に同じまたは異なる(複数の)エピトープに結合する。別の態様において、本発明は、非ヒト抗KID24抗体の重鎖および軽鎖の可変領域に由来する可変領域と、ヒト抗体の重鎖および軽鎖の定常領域に由来する定常領域とを含むキメラ抗体である。
【0025】
別の態様において、本発明は、寄託番号ATCC PTA# 5174の宿主細胞、またはその子孫によって産生される抗体μ−抗KID24をコードする単離ポリヌクレオチドである。本発明は、上で規定した抗体のいずれかの固有の結合および生物活性を有する抗体ポリペプチドを含む。別の態様において、本発明は、抗体(抗体断片を含む)のいずれかをコードするポリヌクレオチドはもちろんのこと、本明細書で述べる他のいずれかのポリペプチドを提供する。
【0026】
別の態様において、本発明は、本明細書で述べるポリペプチド(本明細書で述べる抗体のいずれかを含む)またはポリヌクレオチドのいずれかを含む製薬組成物、たとえば化学療法剤に連結された抗KID24抗体、抗KID24抗体の断片を含む抗体、非ヒトKID24抗体のヒト化抗体、非ヒト抗KID24抗体の可変領域に由来する可変領域およびヒト抗体に由来する定常領域を含むキメラ抗体、あるいは化学療法剤(たとえば放射性部分)に連結された、非ヒト抗KID24抗体の、または本明細書で述べる抗KID24抗体の1つ以上の特性を備えたヒト抗体と、製薬的に許容される賦形剤とを含む製薬組成物である。
【0027】
1つの態様において、本発明は、罹患または癌性細胞に存在するKID24に結合した抗KID24を含む組成物である。好ましい実施形態において、癌細胞は腎臓、卵巣、肺、前立腺、膵臓、結腸および乳房の癌細胞から成る群より選択される。一部の実施形態において、癌性細胞は単離される。一部の実施形態において、癌細胞は生体サンプル内にある。概して生体サンプルは、個体、たとえばヒトからである。
【0028】
別の態様において、本発明は、個体からの細胞のKID24を検出することによって個体の疾患、特に個体の炎症または自己免疫反応に関連する疾患または障害を診断する方法である。本発明の他の態様において、個体の炎症または免疫反応を調節するための方法が提供される。本発明の組成物および方法を使用して処置を受けることができる炎症および自己免疫障害から生じた疾患および状態は、一例として、そして限定せず、多発性硬化症、髄膜炎、脳炎、脳卒中、他の脳外傷、潰瘍性大腸炎およびクーロン病を含む炎症腸疾患、重症筋無力症、狼瘡、関節リウマチ、喘息、急性若年型糖尿病、AIDS認知症、アテローム性動脈硬化、腎炎、網膜炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、心筋虚血および急性白血球介在肺傷害を含む。
【0029】
本発明の抗体および他の療法剤の治療用途のためのなお他の効能は、臓器または移植片拒絶のリスクに瀕した個体への投与を含む。ここ数年、組織および臓器、たとえば皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓および骨髄を移植するための外科技法の効率においてかなりの改善がある。おそらく主要な未解決の問題は、移植された同種移植片または臓器に対してレシピエントにおいて免疫寛容を誘発するための満足な作用物質の不足である。同種細胞または臓器が宿主に移植されるとき(すなわちドナーおよび被提供者は、同じ種とは異なる個体である)、宿主の免疫系は移植片中の外来性抗原に対して免疫反応を開始しやすく(宿主対移植片疾患)、移植組織の破壊を引き起こす。
【0030】
別の態様において、本発明は、個体からの選択した細胞でのKID24の発現があるかどうかを判定するステップを含む、個体が癌を有するかどうかを診断する方法であり、前記細胞でのKID24の発現が前記「癌」を示す。一部の実施形態において、KID24の発現は、抗KID24抗体を使用して判定される。一部の実施形態において、方法は、細胞からのKID24発現のレベルを検出するステップを含む。「検出」という用語は本明細書で使用されるように、対照への参照を含む、または含まない定性的および/または定量的検出(レベルを測定する)を含む。
【0031】
なお別の態様において、本発明は、個体からの細胞上の、または個体からの細胞より放出されたKID24を検出するステップを含む、個体の癌を診断する方法を含み、癌は、これに限定されるわけではないが、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌および移行上皮癌)、骨癌(エナメル上皮腫、動脈瘤性骨嚢、骨軟骨腫,骨肉腫)、脳および脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈球腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫(dhordoma)、嫌色素細胞性腎癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌,皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング肉腫、骨外性粘液型軟骨肉腫、骨性線維形成不全症(fibrogenesis imperfecta ossium)、線維性骨異形成、胆嚢および胆管癌、妊娠性絨毛性疾患、胚細胞性腫瘍、頭部および頸部癌、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌(小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌など)、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、上皮小体腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後部ブドウ膜黒色腫、まれな血液疾患、転移性腎臓癌,ラブドイド腫瘍,横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌胸腺癌、胸腺腫、転移性甲状腺癌、ならびに子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)を含む群より選択される。
【0032】
別の態様において、本発明は、個体からの生体サンプルにおけるKID24の発現を判定するステップを含む、個体の癌(たとえばこれに限定されるわけではないが、腎臓、卵巣、肺、前立腺、膵臓、結腸、または乳癌)の診断を補助する方法である。一部の実施形態において、KID24の発現は抗KID24抗体を使用して判定される。一部の実施形態において、該方法は、細胞からのKID24発現のレベルを検出することである。癌から放出されたKID24は、体液(たとえば血液、唾液または腸粘液分泌物)中で検出できるKID24またはその部分のレベル上昇に寄与しうる。
【0033】
なお別の態様において、本発明は、癌性細胞の成長を低減するのに十分なKID24に結合する抗体の有効量を投与することによって、癌を処置する方法である。一部の実施形態において、抗体は抗KID24抗体である。ある実施形態において、癌性細胞はこれに限定されるわけではないが、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌および移行上皮癌)、骨癌(エナメル上皮腫、動脈瘤性骨嚢、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳および脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈球腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫(dhordoma)、嫌色素細胞性腎癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、骨性線維形成不全症(fibrogenesis imperfecta ossium)、線維性骨異形成、胆嚢および胆管癌、妊娠性絨毛性疾患、胚細胞性腫瘍、頭部および頸部癌、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌(小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌など)、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群,神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、上皮小体腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後部ブドウ膜黒色腫、まれな血液疾患、転移性腎臓癌、ラブドイド腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌胸腺癌、胸腺腫、転移性甲状腺癌、および子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)を含む群より選択される。ある好ましい実施形態において、癌性細胞は、これに限定されるわけではないが、乳癌、結腸癌、前立腺癌、肺癌、肉腫、転移性腎臓癌、転移性甲状腺癌、および明細胞癌を含む固形腫瘍の群より選択される。
【0034】
なお別の態様において、本発明は、KID24モジュレータの有効量を投与するステップを含む、原発性腫瘍を有する、または有してきた個体における転移の発生を防止または遅延する方法である。このモジュレータは、単独で、または他の療法、たとえば放射線、化学療法、または外科手術と併せて与えることができる。ある好ましい実施形態において、原発性腫瘍はKID24モジュレータの投与前に、少なくとも1回の外科手術、放射線、および/または化学療法を受けている。他の実施形態において、KID24モジュレータは、外科手術、放射線、および/または化学療法による個体の処置の前に、またはそれと同時に投与される。ある特に好ましい実施形態において、そのKID24モジュレータは少なくとも1つの抗KID24抗体である。
【0035】
別の態様において、本発明は、化学療法剤に結合した(「連結した」を含む)抗KID24抗体を含む組成物の有効量を細胞培養物またはサンプル、あるいは個体に投与するステップを含む、試験管内または個体での癌細胞の成長および/または増殖を阻害する方法である。
【0036】
なお別の態様において、本発明は、KID24に特異的に結合する抗体のファミリの少なくとも1つのメンバの有効量を個体に投与するステップを含む、治療剤を個体の癌性細胞に送達する方法である。他の実施形態において、抗KID24抗体は、別の治療剤と組合せて(「連結した」を含む)個体に送達される。
【0037】
一部の実施形態において、抗KID24抗体は、本明細書で指定された抗体(概して、しかし必ずというわけではないが、抗体の1個以上の部分または無傷CDRを含む)に由来するヒト化抗体である。一部の実施形態において、抗KID24抗体は、指定された抗体の1つ以上の特性を備えたヒト抗体である。一部の実施形態において、化学療法剤(たとえば毒素または放射性分子)が癌細胞に送達される(内部移行される)。一部の実施形態において、薬剤はサポリンである。
【0038】
別の態様において、本発明は、化学療法剤に結合した(「連結した」を含む)抗KID24抗体を含む組成物の有効量を個体に投与するステップを含む、個体の癌を処置する方法である。
【0039】
本発明は、KID24の細胞質シグナル伝達パートナーとの結合を向上あるいは低下させることによって調節する方法をさらに提供する。KID24の細胞質シグナル伝達パートナーとの結合は、細胞表面に提示されるKID24分子に、シグナル伝達パートナーのKID24への結合を調節する薬剤を接触させることによって影響を及ぼされうる。その結合および/またはシグナル伝達パートナーとのKID24の結合を遮断または低下させる薬剤は、KID24介在炎症または免疫反応に関与する生物および病理プロセスを調節するために使用できる。この作用に関与する病理プロセスは、腫瘍関連細胞成長を含む。
【0040】
薬剤は、KID24と結合パートナー、たとえば抗KID24抗体との結合を遮断、低下、向上、またはそうでなければ調節するその能力について試験できる。特に薬剤は、KID24相互作用部位(それが無傷の生細胞に存在するときの、通例その未変性配座における)を含むペプチドを結合パートナーおよび試験薬剤によってインキュベートして、試験薬剤が結合パートナーのKID24ペプチドへの結合を低下または向上させたかを判定することによって、そのような相互作用を調節する能力について試験できる。
【0041】
KID24機能のアゴニスト、アンタゴニスト、および他のモジュレータは、本発明の範囲内に明示的に含まれる。これらのアゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレータは、KID24に抗原決定部位の1個以上を含む、あるいはそのような部位の1つ以上の断片、そのような部位の改変体、またはそのような部位のペプチド模倣薬を含むポリペプチドである。これらのアゴニスト性、アンタゴニスト性、およびKID24調節性化合物は、直鎖形または環形で提供され、場合により普通は天然に見出されない少なくとも1個のアミノ酸残基または少なくとも1個のアミドイソスターを含む。これらの化合物はグリコシル化できる。本発明のKID24機能のアゴニスト、アンタゴニスト、および他のモジュレータは望ましくは、抗体を参照して上述した実施形態および方法のすべてで使用される。
【0042】
本発明の他の態様は、本明細書ではKID24と呼ばれる、同定された抗原ADAM−9に関する。この抗原は、免疫原としての使用に、そして各種の研究、診断および治療目的に適切である。
【0043】
ある態様において、本発明は、(i)個体から得た血液または組織サンプル中のKID24の存在をアッセイするステップと;(ii)前記サンプルが正常な(非罹患)血液または組織サンプルと比較してKID24マーカーの増加した量を有するかどうかを検出するステップと;(iii)前記マーカーの増加した量を陽性診断と相関させる、または前記マーカーの増加した量の非存在を疾患の陰性診断と相関させるステップとを含む、個体の疾患の診断を補助する方法である。ある実施形態において、マーカーは抗KID24抗体を使用して検出される。ある実施形態において、該方法は、放射性核種撮像、フローサイトメトリー、および免疫組織化学から成る群より選択された技法によって実施される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
(発明の詳細な説明)
本発明は、これに限定されるわけではないが、膵臓、結腸、肺、および前立腺癌を含む、各種の組織タイプの癌性細胞で発現される抗原、ADAM−9(KID24)を提供する。さらに本発明は、KID24に結合するモノクローナル抗体およびポリペプチドならびにこれに限定されるわけではないが、KID24の発現および/または過剰発現に関連するヒト癌を含む各種の疾患を診断および処置するために、これらの抗体およびポリペプチドを作製および使用する方法を提供する。
I.一般技法
本発明の常法は、別途指摘しない限り、当分野の範囲内である分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技法を採用するであろう。そのような技法は、文献、たとえばMolecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993−8)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and CC.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M. Ausubel et al.,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E. Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immnunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988−1989);Monoclonal antibodies: a practical approach(P.Shepherd and C. Dean,eds.,Oxford University Press,2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995);and Cancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al,eds.,J.B.Lippincott Company,1993)に十分に述べられている。
II.定義
「KID24」は、本発明の抗体がそれに対して作られる分子量約75kDaの新規なポリペプチド抗原(還元条件下)を指す。KID24抗原は、抗KID24抗体によって結合され、膵臓および癌の複数のタイプに存在する細胞表面タンパク質である。この抗原は1つを超える異なるエピトープを有することができ、本発明の一部の実施形態は、2つ以上のKID24抗原特異性エピトープの2つ以上のうちの1つに対して作られるKID24モジュレータを含む。KID24は、その正常組織対応物と比較して、ある癌細胞で過剰発現できると現在考えられている。
【0045】
KID24機能のアゴニスト、アンタゴニスト、および他のモジュレータは、本発明の範囲内に明示的に含まれる。これらのアゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレータは、KID24の抗原決定部位の1つ以上を含む、あるいはそのような部位の1つ以上の断片、そのような部位の改変体、またはそのような部位のペプチド模倣薬を含むポリペプチドである。これらのアゴニスト性、アンタゴニスト性、およびKID24調節性化合物は、直鎖形または環形で提供され、場合により普通は天然に見出されない少なくとも1個のアミノ酸残基または少なくとも1つのアミドイソスターを含む。これらの化合物はグリコシル化できる。
【0046】
さらに詳細には、「KID24モジュレータ」という用語は本明細書で使用するように、(1)ヒトKID24とその未変性リガンドまたは抗KID24抗体との間の相互作用を混乱または遮断できる;(2)ヒトKID24およびその未変性リガンドまたは抗KID24抗体に結合することができる;(3)ヒトKID24およびその未変性リガンドまたは抗KID24抗体に結合できる抗体の産生で使用できる抗原部位を含有する;(4)ヒトKID24およびその未変性リガンドまたは抗KID24抗体に結合できる抗体のスクリーニングに使用できる抗原部位を含有する;(5)ヒトKID24とその未変性リガンドまたは抗KID24抗体との相互作用を混乱または遮断できる抗体の産生に使用できる抗原部位を含有する;(6)ヒトKID24とその未変性リガンドまたは抗KID24抗体との相互作用を混乱または遮断できる抗体のスクリーニングに使用できる抗原部位を含有する、いずれかの化合物として定義される。KID24モジュレータは、その活性が正常KID24生物活性をそれぞれ向上または阻害するかどうかに応じて、「KID24アゴニスト」または「KID24アンタゴニスト」でありうる。
【0047】
KID24アゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレータは、KID24改変体、KID24ペプチドアンタゴニスト、ペプチド模倣薬、および小型分子、抗KID24抗体および免疫グロブリン改変体、アミノ酸置換、欠失、および付加改変体を含むアミノ酸改変体、あるいはそのいずれかの組合せ、ならびにキメラ免疫グロブリンを含む。本発明のKID24アゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレータは、ヒトKID24のその未変性リガンドまたは抗KID24抗体への結合に関与するKID24の発明者の同定に基づく。それゆえ本発明は、ヒトKID24の抗KID24結合ドメインの1つ以上を複製または模倣する分子構造を備えたKID24アゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレータを提供する。
【0048】
本明細書で使用するように、「KID24改変体」という用語は、アミノ酸置換、欠失、および付加改変体、またはそのいずれかの組合せを含む、ヒトKID24のいずれかのアミノ酸改変体を示す。定義は、ヒトKID24/非ヒトキメラおよび他のハイブリッド分子などのキメラ分子を含む。定義には、分子の改変体またはハイブリッド領域を含むKID24改変体分子のいずれかの断片も含まれる。
【0049】
「抗体」は、標的、たとえば炭化水素、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどへの、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を通じた特異的結合が可能である免疫グロブリン分子である。本明細書で使用するように、該用語は無傷のポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、その断片(たとえばFab、Fab’、F(ab’)、Fv)、単鎖(ScFv)、そのミュータント,天然発生型改変体、要求された特異性の抗原認識部位を備えた抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、および要求された特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他のいずれかの修飾配置も含む。
【0050】
「モノクローナル抗体」は、モノクローナル抗体が抗原の選択的結合に関与するアミノ酸(天然発生型および非天然発生型)より成る、同種抗体個体群を指す。モノクローナル抗体は高度に特異性であり、単一の抗原部位に対して作られる。「モノクローナル抗体」という用語は、無傷のモノクローナル抗体および全長モノクローナル抗体だけでなく、その断片(たとえばFab、Fab’、F(ab’)、Fv)、単鎖(ScFv)、そのミュータント、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、要求された特異性の抗原認識部位および抗原に結合する能力を含む免疫グロブリン分子の他のいずれかの修飾配置も含む。それは抗体源またはそれが作製される方式(たとえばハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物などによる)に関して制限されるものではない。該用語は、免疫グロブリン全体はもちろんのこと、「抗体」の定義によって上述された断片なども含む。
【0051】
「ヒト化」抗体は概して、組換え技法を使用して調製され、非ヒト種からの免疫グロブリンに由来する抗原結合部位と有し、分子の該残存免疫グロブリン構造がヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づいているキメラ分子を指す。抗原−結合部位は、定常ドメインに融合された完全可変ドメインまたは可変ドメイン内の適切なフレームワーク可変領域にグラフトされた相補性決定可変領域(CDR)のみのどちらかを含むことができる。抗原結合部位は野生種であるか、または1つ以上のアミノ酸置換によって修飾できる。これはヒト個体における免疫原として定常領域を除去するが、外来性可変領域に対する免疫反応の可能性は残存する(LoBuglio,A.F.et al,(1989)Proc Natl Acad Sci USA 86:4220−4224)。別の手法は、ヒト由来定常領域を提供することだけでなく、ヒト形にできるだけ近く再形成するために可変領域を修飾することにも注目している。重鎖および軽鎖の両方の可変領域が、問題の抗原に反応して変化して、結合能力を決定する相補性決定可変領域(CDR)を含有することが既知であり、CDRには、所与の種で比較的保存され、CDRの足場を推定的に提供する4つのフレームワーク可変領域(FR)が隣接する。非ヒト抗体が特定の抗原に関して調製されるとき、可変領域は、修飾されるヒト抗体に存在するFR上の非ヒト抗体に由来するCDRをグラフトすることによって、「再形成」または「ヒト化」することができる。各種の抗体へのこの手法の応用は、Sato,K.,et al,(1993)Cancer Res 53:851−856.Riechmann,L.,et al.,(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyen,M.,et al,(1988)Science 239:1534−1536;Kettleborough,C.Α.,et al,(1991)Protein Engineering 4:773−3783;Maeda,H.,et al,(1991)Human Antibodies Hybridoma 2:124−134;Gorman,S.D.,et al,(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:4181−4185;Tempest,P.R.,et al,(1991) Bio/Technology 9:266−271;Co,M.S.,et al,(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:2869−2873;Carter,P.,et al.,(1992)Proc Natl Acad Sci USA 89:4285−4289;およびCo,M.S.et al,(1992)J Immunol 148:1149−1154によって報告されている。一部の実施形態において、ヒト化抗体はすべてのCDR配列を保存する(たとえばマウス抗体から6つすべてのCDRを含有するヒト化マウス抗体)。他の実施形態において、ヒト化抗体は、元の抗体からの1つ以上のCDRに「由来する」1つ以上のCDRとも呼ばれる、元の抗体に関して改変される1つ以上のCDR(1、2、3、4、5、6)を有する。
【0052】
抗体またはポリペプチドに「特異的に結合する」または「優先的に結合する」(本明細書では互換的に使用される)エピトープは、当分野で十分に理解されている用語であり、そのような特異的または優先的結合を判定する方法も当分野で公知である。分子は、それが代わりの細胞または物質よりも頻繁に、より迅速に、より高い耐久性でおよび/またはより大きい親和性で、特定の細胞または物質と反応または結合する場合に、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと言われる。抗体は、それが他の物質よりも大きい親和性、結合活性で、より容易に、および/またはより高い耐久性で結合する場合に、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。たとえばKID24エピトープに特異的にまたは優先的に結合する抗体は、他のKID24エピトープまたは非KID24エピトープに結合するよりも、このKID24エピトープにより大きい親和性、結合活性で、より容易に、および/またはより高い耐久性で結合する抗体である。この定義を読むことにより、たとえば第1の標的に特異的にまたは優先的に結合する抗体(あるいは部分またはエピトープ)は、第2の標的に特異的にまたは優先的に結合するか、または結合しないことも理解される。そういうものとして、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を(含むことはできるが)必ずしも必要としない。概して、しかし必ずではないが、結合への言及は優先的結合を意味する。
【0053】
エピトープに関する「免疫活性の」または「免疫活性を維持する」という用語は、抗体(たとえば抗KID24抗体)が異なる条件下で、たとえばエピトープが還元および変性条件を受けた後に、エピトープに結合する能力を指す。
【0054】
これに限定されるわけではないが、KID24(これに限定されるわけではないが、膵臓,結腸、肺または前立腺癌細胞を含む癌細胞上のKID24を含む)に結合する能力;試験管内または生体内生細胞(特に癌細胞)の表面に露出されたKID24の部分に結合する能力;化学療法剤をKID24を発現する癌性細胞(たとえば膵臓、結腸、肺または前立腺癌細胞)に送達する能力;治療剤または検出可能なマーカーをKID24を発現する癌細胞に送達する能力を含む各種の生物機能は、抗KID24抗体に関連している。本明細書で述べるように、本発明のポリペプチド(抗体を含む)はこれらの特徴の1つ以上を有しうる。
【0055】
「抗KID24同等抗体」または「抗KID24同等ポリペプチド」は、抗KID24抗体に関連する1つ以上の生物機能、たとえば結合特異性を有する抗体またはポリペプチドを指す。
【0056】
本明細書で使用するように、「薬剤」は生物的、製薬的、または化学的化合物を指す。非制限的な例は、単一または複合有機または無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体断片、ビタミン誘導体、炭化水素、毒素、または化学療法化合物を含む。各種の化合物、たとえば小型分子およびオリゴマー(たとえばオリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチド)、および各種のコア構造に基づく合成有機化合物を合成できる。加えて各種の天然源、たとえば植物および動物抽出物などは、スクリーニングのための化合物を提供できる。当業者は、本発明の薬剤の構造的性質に関して制限がないことをただちに認識できる。
【0057】
本発明の方法で利用される薬剤は、ランダムに選択、あるいは合理的に選択または設計できる。本明細書で使用するように、薬剤がKID24とその未変性結合パートナーまたは既知の抗体との結合に関与する特異的配列を考慮することなくランダムに選択されるときに、薬剤はランダムに選択されると言われる。ランダムに選択された薬剤の例は、化学ライブラリまたはペプチドコンビナトリアルライブラリの使用である。
【0058】
本明細書で使用するように、薬剤がその薬剤の作用に関連して標的部位の配列および/またはその配座を考慮する非ランダムベースで選択されるときに、薬剤は合理的に選択または設計されると言われる。抗KID24薬剤に関して、抗体を産生させることができる少なくとも3つのエピトープがKID24にあり、したがってKID24/抗KID24相互作用を遮断する薬剤のための少なくとも3つの作用部位があると現在考えられている。本発明は、KID24とその未変性結合パートナーとの間の相互作用部位にて作用する薬剤も含むが、他のリガンドおよびその活性KID24相互作用部位も、現在既知であるか、後で同定されるかどうかにかかわらず本発明の範囲に含まれる。薬剤は、レセプタ/リガンドおよび/またはKID24/抗KID24抗体複合体の接触部位を構成するペプチド配列を利用することによって合理的に選択または合理的に設計できる。たとえば合理的に選択されたペプチド薬剤は、生細胞の表面にその未変性環境で露出されたときにアミノ酸配列がKID24に出現するエピトープと同一であるペプチドでありうる。そのような薬剤は、抗KID24抗体または未変性リガンドに結合することによって、抗KID24抗体のKID24との結合、またはKID24とその未変性リガンドとの結合を要望通りに低減または遮断するであろう。
【0059】
本明細書で使用するように、抗体に関して「標識された」という用語は、検出可能な物質、たとえば放射性薬剤またはフルオロフォア(たとえばフルオレセインイソチオシアナート(FITC)またはフィコエリトリン(PE))を抗体にカップリングする(たとえば物理的に連結する)ことによる抗体の直接標識はもちろんのこと、検出可能な物質との反応性によるプローブまたは抗体の直接標識を含むものとする。
【0060】
本明細書で使用するように、抗体に関して「結合(association)」という用語は、薬剤(たとえば化学療法剤)への共有または非共有付着または結合を含む。抗体が結合する癌性細胞への薬剤の局在化を抗体が指示して、抗体および薬剤が生理的条件下で実質的に解離しないように、薬剤が抗体の結合する同じ癌性細胞に標的化されないように、または薬剤の効力が低下しないように、抗体は直接結合または共通プラットフォームへの付着を介した間接結合によって薬剤(たとえば化学療法剤)と結合できる。
【0061】
「生体サンプル」は個体から得られた各種のサンプルタイプを含み、診断または監視アッセイで使用できる。定義は、唾液、血液または生物起源の他の液体サンプル、固体組織サンプル、たとえば生検試料あるいは組織培養物またはそれに由来する細胞、およびその子孫、たとえば癌を有することが疑われる個体から収集した組織サンプル、好ましい実施形態では、卵巣、肺、前立腺、膵臓,結腸、および乳房組織より得た細胞を含む。定義は、その調達後に何らかの方法、たとえば試薬による処置、可溶化、またはある成分、たとえばタンパク質またはポリヌクレオチドの濃縮、あるいは切断目的での半固体または固体マトリクスへの埋め込みによって操作されているサンプルも含む。「生体サンプル」という用語は臨床サンプルを含み、培養中の細胞、細胞上澄み、細胞溶解液、血清、血漿、生体液、および組織サンプルも含む。
【0062】
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチドインサートの包含のための(複数の)ベクターのレシピエントと成りうる、またはレシピエントであった個体細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は単一の宿主細胞の子孫を含み、子孫は天然の、偶発的な、または計画的な突然変異のために、元の親細胞(形態で、またはゲノムDNA補体で)と完全に同一である必要はない。宿主細胞は、本発明の(複数の)ポリヌクレオチドを用いて生体内で形質移入された細胞を含む。
【0063】
本明細書で使用するように、「転移(または複数の転移)の発生を防止または遅延する」は、転移の発生を停止、猶予、妨害、遅滞、安定化および/または延期することを意味する。この遅延は、癌および/または処置される個体の履歴に応じて、可変長の時間でありうる。当業者に明らかであるように、十分なまたは著しい遅延は実際に、個体が転移を発症しないという意味で防止を含むことができる。
【0064】
製薬組成物の「有効量」は1つの実施形態において、制限なく、腫瘍サイズの縮小などの臨床結果(癌の状況では、たとえば乳癌または前立腺癌)、癌性細胞成長の遅滞、転移の発生の遅延、疾患から発生する症状の軽減、疾患に罹患している人々の生活の質の向上、疾患を処置するために必要な他の医薬品の用量の減少、標的化および/または内部移行を介してなどの別の医薬品の効果の向上、疾患の進行の遅延、および/または個体生存の延長を含む、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与で投与できる。本発明では、薬物、化合物、または製薬組成物の有効量は、癌性細胞の増殖を低減(または破壊)するのに、そして癌性細胞の発生、成長または転移を直接または間接的に低減および/または遅延するのに十分な量である。一部の実施形態において、薬物、化合物、または製薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または製薬組成物と併せて達成できる、または達成できない。それゆえ「有効量」は、1つ以上の化学療法剤を投与する状況で考慮でき、1つ以上の他の薬剤と併せて所望の結果が達成できる、または達成される場合、単一の薬剤が有効量で投与されるように考慮できる。個体の要求が異なるときは、各成分の有効量の最適範囲の判定は、当業者の範囲内である。代表的な投薬量は、0.1〜100mg/kg/体重を含む。好ましい投薬量は、1〜100mg/kg/体重を含む。好ましい投薬量は10〜20mg/kg/体重および10〜100mg/kg/体重を含み、最も好ましい投薬量は約1〜10mg/kg/体重を含む。
【0065】
本明細書で使用するように、核酸分子または薬剤、抗体、組成物または細胞などは、その核酸分子、薬剤、抗体、組成物、または細胞などが元の供給源による汚染物質核酸分子、抗体、薬剤、組成物、または細胞などから実質的に分離されるときに、「単離」されると言われる。
【0066】
「個体」は脊椎動物、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはヒトである。哺乳類はこれに限定されるわけではないが、家畜、競技用動物、ペット、霊長類、マウスおよびラットを含む。
【0067】
「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、いずれかの長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。ポリマーは直鎖または分岐であり、修飾アミノ酸を含むことがあり、非アミノ酸に割り込まれることがある。該用語は、自然に、または介入により修飾されたアミノ酸ポリマー;たとえばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ホスホリル化、または他のいずれかの操作または修飾、たとえば標識成分による接合も含む。定義にはたとえば、アミノ酸の1個以上の類似体(たとえば不自然アミノ酸など)を含有するポリペプチドはもちろんのこと、当分野で既知の他の修飾も含まれる。本発明のポリペプチドは抗体に基づいているので、ポリペプチドが単鎖または結合鎖として生じうることが理解される。
【0068】
抗体の「可変領域」は、単独の、または組合された抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。
【0069】
抗体の「定常領域」は、単独の、または組合された抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を指す。
【0070】
本発明の範囲内には、本明細書で述べるKID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレータ(抗KID24抗体を含む)のペプチド模倣薬も含まれる。そのようなペプチド模倣薬は、少なくとも1個のアミノ酸残基が普通は天然に見出されないアミノ酸残基、たとえばアミノ酸のD異性体またはアミノ酸のN−アルキル化種によって置換されているペプチドを含む。他の実施形態において、ペプチド模倣薬は、KID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストまたはモジュレータ内の少なくとも1個のアミド結合(−C(.dbd.O)−NH−)をアミドイソスターでリプレイスすることによって構築される。適切なアミドイソスターは、−CH.sub.2−NH−、−CH.sub.2−S−、−CH.sub.2−S(O).sub.n−(nは1または2である)、−CH.sub.2−CH.sub.2−、−CH.dbd.CH−(EまたはZ)、−C(.dbd.O)−CH.sub.2−、−CH(CN)−NH−、−C(OH)−CH.sub.2−、および−O−C(.dbd.O)−NH−を含む。アミドイソスターとのリプレイスに適した候補であるKID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストまたはモジュレータ内のアミド結合は、KID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストまたはモジュレータ処置の所期の対象の内在性エステラーゼまたはプロテアーゼによって加水分解できる結合である。
【0071】
本明細書で使用するように、「実質的に純粋な」は、少なくとも50%純粋(すなわち汚染物質を含まない)である、さらに好ましくは少なくとも90%純粋である、さらに好ましくは少なくとも95%純粋である、さらに好ましくは少なくとも98%純粋である、さらに好ましくは少なくとも99%純粋である、またはそれ以上純粋である物質を指す。
【0072】
「毒素」は、細胞内で不利な反応に影響するいずれかの物質を指す。たとえば癌性細胞に向けられた毒素は、癌性細胞に対する不利な、場合により有害な影響を有する。毒素の例はこれに限定されるわけではないが,放射性同位体、カリケアマイシン、およびメイタンシノイドを含む。
【0073】
本明細書で使用するように、「処置」または「処置する」は、好ましい臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るための手法である。本発明では、有益なまたは所望の臨床結果は、これに限定されるわけではないが、次の1つ以上:癌性細胞または他の罹患細胞の増殖低減(または破壊)、癌に見出される癌性細胞の低減、腫瘍サイズの縮小、疾患から生じる症状の低減、疾患に苦しむ人々の生活の質の向上、疾患を処置するのに必要な他の医薬品の用量の低減、疾患の進行の遅延、および/または個体の生存の延長を含む。
【0074】
本明細書で使用するように、「治療剤」とは、抗腫瘍薬、毒素、細胞毒、細胞毒性剤、および放射性薬剤を含む治療に有用な薬剤を意味する(ここでは概して癌の状況における)。
【0075】
「能動免疫反応」は、抗原、またはその抗原についてコードするDNAベクターの宿主哺乳類への静脈内、筋肉内、皮下または他の投与方式による、アジュバントを含む、または含まない投与に反応して、抗原に対して作られた、生体内での抗体の発生および進行中の産生を指す。能動免疫反応は、免疫反応の他の態様、たとえば細胞免疫反応も含むことができる。
III.抗体およびポリペプチドを作製する方法
モノクローナル抗体を作製する方法は、当分野で既知である。利用される1つの方法は、Kohler and Milstein,Nature 256:495−497 (1975)の方法またはその改良である。通例、モノクローナル抗体は非ヒト種、たとえばマウスから開発される。概してマウスまたはラットは免疫化に使用されるが、他の動物も使用できる。抗体は、ヒトKID24を含有する細胞、細胞抽出物、またはタンパク質調製物の免疫原性量によってマウスを免疫化することによって産生される。免疫原は、これに限定されるわけではないが、一次細胞、培養細胞系、癌性細胞、核酸、または組織でありうる。1つの実施形態において、ヒト胎児腎臓上皮細胞が使用される。別の実施形態において、ヒト膀胱または膵臓前駆細胞が使用される。ヒト胎児腎臓細胞を単離および培養する方法は実施例1で詳説する。免疫化に使用する細胞、たとえばヒト胎児腎臓細胞は、免疫原としてのその使用の前にある期間(少なくとも24時間)に亘って培養できる。細胞(たとえばヒト胎児腎臓細胞)は、単独で、または非変性アジュバント、たとえばRibiと組合せて免疫原として使用できる。概して免疫原として使用するときに、無傷で維持され、好ましくは生存可能であるべきである。無傷の細胞は破裂細胞よりも免疫化動物によって抗原を良好に検出させることができる。変性または刺激の強いアジュバント、たとえばフロイトアジュバントの使用はヒト胎児腎臓または他の細胞を破裂させることがあり、したがって阻止される。免疫原は定期間隔で、たとえば隔週、または毎週、複数回投与できるか、または動物において(たとえば組織組換えにおいて)生存能を維持するような方法で投与できる。実施例2は、抗KID24抗体を産生させるために使用する方法について述べており、KID24に結合する他のモノクローナル抗体を産生させるために使用される。
【0076】
1つの実施形態において、KID24に結合するモノクローナル抗体は、KID24を免疫原として過剰発現する宿主細胞を使用して得られる。そのような細胞は、一例として、制限せずに、ヒト胎児腎臓細胞およびヒト膵臓癌細胞を含む。
【0077】
抗体反応を監視するために、小さな生体サンプル(たとえば血液)を動物から得て、免疫原に対する抗体力価について試験できる。脾臓および/または複数の大リンパ節を除去して、単一の細胞に解離させることができる。所望ならば、細胞懸濁物を抗原によってコーティングしたプレートまたはウェルに塗布することによって、脾臓細胞をスクリーニングすることができる(非特異的付着細胞の除去後)。抗原に特異的な膜結合免疫グロブリンを発現するB細胞はプレートに結合して、残りの懸濁液によってすすぎ流されない。生じたB細胞、またはすべての解離脾臓細胞は次に、骨髄腫細胞(たとえばX63−Ag8.653およびSalk Institute,Cell Distribution Center、サンディエゴ、カリフォルニア州からの細胞)と融合させることができる。ポリエチレングリコール(PEG)は、ハイブリドーマを形成するために、脾臓またはリンパ球に骨髄腫細胞を融合させるために使用できる。ハイブリドーマは次に、選択的培地(たとえばヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン培地、そうでなければ「HAT培地」として既知)で培養される。生じたハイブリドーマは次に限界希釈によってプレーティングされ、FACSまたは免疫組織化学(IHCスクリーニング)を使用して、免疫原(たとえばヒト胎児腎臓細胞の表面、癌細胞系の表面、Ag−KID24など)に特異的に結合する抗体の産生についてアッセイされる。選択したモノクローナル抗体分泌ハイブリドーマは次に試験管内(たとえば組織培養ボトルまたは中空ファイバリアクタ内)、または生体内(たとえばマウスの腹水として)のどちらかで培養される。実施例3は、抗KID24抗体を得てスクリーニングするために利用される方法に関するさらなる詳細事項を提供する。
【0078】
細胞融合技法の別の代案として、EBV不死化B細胞を使用して本発明のモノクローナル抗体を産生できる。所望ならばハイブリドーマを拡張およびサブクローニングして、在来のアッセイ手順(たとえばFACS、IHC、放射線免疫測定法、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法など)によって上澄みを抗免疫原活性に関してアッセイする。
【0079】
別の代案において、モノクローナル抗体抗KID24および他の同等抗体は、当分野で既知のいずれかの手段(たとえばヒト化、全ヒト抗体を産生するためのトランスジェニックマウスの使用、ファージ提示技術など)によって配列決定および組換え産生できる。1つの実施形態において、抗KID24モノクローナル抗体を配列して、次にポリヌクレオチド配列を発現または繁殖のためにベクター内へクローニングする。興味のある抗体をコードする配列は、宿主細胞内のベクターに維持でき、宿主細胞は次に拡張して、将来使用するために凍結できる。
【0080】
モノクローナル抗体抗KID24のいずれかの他の同等抗体のポリヌクレオチド配列を遺伝子操作に使用して、抗体の親和性、または他の特徴を改善するために「ヒト化」抗体を産生できる。抗体をヒト化する場合の一般原理は、抗体の抗原結合部分の塩基性配列を保持することと、同時に抗体の非ヒトの残りをヒト抗体配列と交換することを含む。モノクローナル抗体をヒト化するために4つの一般的なステップがある。これらは:(1)開始抗体軽鎖および重鎖可変ドメインのヌクレオチドおよび予測アミノ酸配列を決定するステップ、(2)ヒト化抗体を設計する、すなわちヒト化プロセス中に使用する抗体フレームワーク領域を決定するステップ、(3)実際のヒト化方法/技法および(4)ヒト化抗体の形質移入および発現である。たとえばU.S.Patent Nos.4,816,567;5,807,715;5,866,692;および6,331,415を参照。
【0081】
非ヒト免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を含む多数の「ヒト化」抗体分子が、げっ歯類または修飾げっ歯類V可変領域およびヒト定常ドメインに融合したその結合相補性決定可変領域(CDR)を有するキメラ抗体を含めて述べられている。たとえばWinter et al.Nature 349:293−299(1991),Lobuglio et al.Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220−4224(1989),Shaw et al.J Immunol. 138:4534−4538(1987),およびBrown et al.Cancer Res.47:3577−3583(1987)。他の参考文献は、適切なヒト抗体定常ドメインとの融合の前にヒト支持フレームワーク領域(FR)内へグラフトされたげっ歯類CDRについて述べている。たとえばRiechmann et al.Nature 332:323−327(1988),Verhoeyen et al.Science 239:1534−1536(1988),およびJones et al.Nature 321:522−525(1986)を参照。別の参考文献は、組換え修飾されたげっ歯類フレームワーク可変領域によって支持されたげっ歯類CDRについて述べている。たとえばEuropean Patent Publication No.519,596を参照。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントのこれらの部分の治療利用の期間および有効性を制限する、げっ歯類抗ヒト抗体分子に対する望ましくない免疫反応を最小限にするように設計されている。利用できるヒト化抗体の他の方法は、Daugherty et al.,Nucl.Acids Res.,19:2471−2476(1991)ならびにU.S. Patent Nos.6,180,377;6,054,297;5,997,867;および5,866,692によって開示されている。
【0082】
本発明は、本発明の抗体の単鎖可変領域断片(「scFv」)、たとえばμ−抗KID24も含む。単鎖可変領域断片は、軽鎖および/または重鎖可変領域を短い連結ペプチドを使用して連結することによって作製される。Bird et al.(1988)Science 242:423−426は、1つの可変領域のカルボキシ末端と他の可変領域のアミノ末端との間の約3.5mmに橋掛けする連結ペプチドの例を述べる。他の配列のリンカは、設計および使用されている、Bird et al.(1988)。リンカは次に、追加機能、たとえば薬物の付着または固体支持への付着のために修飾できる。単鎖改変体は、組換えまたは合成のどちらかによって産生できる。scFvの合成産生では、自動合成器を使用できる。scFvの組換え産生では、scFvをコードするポリヌクレオチドを含有する適切なプラスミドを適切な宿主細胞、酵母、植物、昆虫または哺乳類細胞などの真核、またはE.coliなどの原核のどちらかに導入できる。興味のあるscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの連結などの日常的な操作によって作製できる。得られたscFvは、当分野で既知の標準タンパク質精製技法を使用して単離できる。
【0083】
本発明は、その特性および活性の上昇または低下を有する改変体に著しく影響しない、機能的同等抗体およびポリペプチドを含む、KID24アゴニスト、アンタゴニスト、モジュレータおよび抗体に対する修飾を含む。ポリペプチドの修飾は当分野で日常的な常法であり、本明細書で詳細に説明する必要はない。修飾ポリペプチドの例は、アミノ酸残基の保存的置換、機能活性を著しく有害に変化させないアミノ酸の1つ以上の欠失または付加、あるいは化学類似体の使用を伴うポリペプチドを含む。相互に保存置換できるアミノ酸残基はこれに限定されるわけではないが:グリシン/アラニン;バリン/イソロイシン/ロイシン;アスパラギン/グルタミン;アスパラギン酸/グルタミン酸;セリン/トレオニン;リジン/アルギニン;およびフェニルアラニン/チロシンを含む。これらのポリペプチドもグリコシル化および非グリコシル化ポリペプチドはもちろんのこと、たとえば異なる糖によるグリコシル化、アセチル化、およびホスホリル化などの他の翻訳後修飾を持つポリペプチドを含む。好ましくはアミノ酸置換は保存的であり、すなわち置換アミノ酸は、元のアミノ酸と同様の化学的特性を持つ。そのような保存的置換は当分野で既知であり、例は上に挙げた。アミノ酸修飾は、1つ以上のアミノ酸の変更または修飾から可変領域などの領域の完全な再設計までに及ぶことができる。可変領域の変化は、結合親和性および/または特異性を変化させることができる。修飾の他の方法は、これに限定されるわけではないが、酵素的手段、酸化置換およびキレート化を含む、当分野で既知のカップリング技法を含む。たとえば免疫測定法の標識の付着、たとえば放射線免疫測定法での放射性部分の付着のために修飾が使用できる。修飾ポリペプチドは、当分野で樹立された手順を使用して作製され、当分野で既知の標準アッセイを使用してスクリーニングできる。
【0084】
本発明は、本発明のポリペプチドおよび抗体からの1つ以上の断片または可変領域を含む融合タンパク質も含む。1つの実施形態において、可変軽鎖領域の少なくとも10の近接アミノ酸および可変重鎖領域の少なくとも10のアミノ酸を含む融合ポリペプチドが提供される。別の実施形態において、融合ポリペプチドは非相同免疫グロブリン定常領域を含有する。別の実施形態において、融合ポリペプチドは、本明細書で述べるようにATCCに寄託されたハイブリドーマから産生された抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する。本発明では、抗体融合タンパク質は、1つ以上の抗KID24ポリペプチドおよび未変性分子内ではそれが付着しない別のアミノ酸配列、たとえば別の領域からの非相同配列または相同配列を含有する。
【0085】
抗KID24ポリペプチド、および他のKID24アゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレータは当分野で既知の方法、たとえば合成または組換えにより作製できる。KID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレータを産生する1つの方法は、ポリペプチドの化学合成と、続いての未変性配座、すなわち正確なジスルフィド結合連鎖を得るのに適切な酸化条件下での処置を含む。これは当業者に公知の方法を使用して実施できる(Kelley,R.F.& Winkler,M.E.in Genetic Engineering Principles and Methods,Setlow,J.K.,ed.,Plenum Press,N.Y.,vol.12,pp1−19(1990);Stewart,J.M.& Young,J.D.Solid Phase Peptide Synthesis Pierce Chemical Co.Rockford,Ill.(1984)を参照;U.S.Pat.Nos.4,105,603;3,972,859;3,842,067;および3,862,925も参照)。
【0086】
本発明のポリペプチドは、固相ペプチド合成を使用して好都合に調製できる(Merrifield,J.Am.Chem.Soc,85:2149(1964);Houghten,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5132(1985))。
【0087】
なお別の代案では、完全ヒト抗体は、特異性ヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように組換えられた市販のマウスを使用して得られる。さらに所望の(たとえば完全ヒト抗体)またはより強い免疫反応を生じるように設計されたトランスジェニック動物も、ヒト化またはヒト抗体の産生に使用できる。そのような技術の例は、Abgenix,Inc.(フレモント、カリフォルニア州)によるXenomouseTMならびにMedarex,Inc.(プリンストン、ニュージャージー州)によるHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC MouseTMである。
【0088】
代案において、抗体は当分野で既知のいずれかの方法を使用して組換え作製および発現できる。抗体は、最初に宿主動物から作製した抗体を単離して、遺伝子配列を得て、該遺伝子配列を使用して宿主細胞(たとえばCHO細胞)内で抗体を組換え発現させることによって組換え作製できる。利用できる別の方法は、植物(たとえばタバコ)またはトランスジェニック乳の中で抗体配列を発現させるものである。植物または乳の中で抗体を組換え発現させるための方法が開示されている。たとえばPeeters,et al.(2001)Vaccine 19:2756;Lonberg,N.およびD.Huszar(1995)Int.Rev.Immunol 13:65;ならびにPollock,et al.(1999)J Immunol Methods 231:147を参照。抗体の誘導体、たとえばヒト化、単鎖などを作製する方法は当分野で既知である。別の代案において、抗体はファージ提示技術によって組換え作製できる。たとえばU.S.Patent Nos.5,565,332;5,580;717;5,733,743;6,265,150;およびWinter et al.,Annu.Rev.Immunol.12:433−455(1994)を参照。
【0089】
興味のある抗体またはタンパク質は、当業者に公知であるエドマン分解による配列決定を受けることができる。質量分析法またはエドマン分解から生成されたペプチド情報を使用して、興味のあるタンパク質をクローニングするために使用されるプローブまたはプライマーを設計できる。
【0090】
興味のあるタンパク質をクローニングする代わりの方法は、精製KID24またはその部分を使用して興味のある抗体またはタンパク質を発現する細胞について「パニング」することによる。「パニング」手順は、興味のある抗体またはタンパク質を発現する組織または細胞をcDNAライブラリから得て、該cDNAを第2の細胞タイプにて発現させて、第2の細胞タイプの形質移入細胞KID24への特異的結合についてスクリーニングすることによって実施される。「パニング」によって細胞表面タンパク質をコードする哺乳類遺伝子のクローニングで使用する方法の詳細な説明は、当分野で見出すことができる。たとえばAruffo,A.and Seed,B.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,8573−8577(1987)およびStephan,J.et al.,Endocrinology 140:5841−5854(1999)を参照。
【0091】
抗KID24抗体をコードするcDNA、ならびに他のKID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレータは、当分野の標準方法によって特定の細胞タイプからmRNAを逆転写することによって得られる。特にmRNAは、Sambrook,et al.supraで述べられている手順による各種の溶解酵素または化学溶液を使用して単離できるか、または市販の核酸結合樹脂により、製造者(たとえばQiagen、Invitrogen、Promega)が提供する添付説明書に従って抽出できる。合成したcDNAを次に発現ベクター内に導入して、第2のタイプの細胞内で興味のある抗体またはタンパク質を産生する。発現ベクターは、エピソーム、または染色体DNAの不可欠な部分のどちらかとして宿主細胞内で複製する必要があることが示唆される。適切な発現ベクターは、これに限定されるわけではないが、プラスミド、アデノウィルス、アデノ関連ウィルス、レトロウィルスを含むウィルスベクター、およびコスミドを含む。
【0092】
興味のあるポリヌクレオチドを含有するベクターは、電気穿孔、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、または他の物質を利用する形質移入;微粒子銃;リポフェクション;および感染(たとえばベクターがワクシニアウィルスなどの感染性因子である場合)を含む多数の適切な手段のいずれかによって、宿主細胞内に導入できる。導入するベクターまたはポリヌクレオチドの選択は、宿主細胞の特徴に応じて変わることが多い。
【0093】
異種DNAを過剰発現できるいずれの宿主細胞も、興味のある抗体、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的で使用できる。哺乳類宿主細胞の非制限的な例は、これに限定されるわけではないが、COS、HeLa、およびCHO細胞を含む。好ましくは、宿主細胞は、宿主細胞内に存在する場合は、興味のある相当する内在性抗体またはタンパク質よりも約5倍高い、さらに好ましくは10倍高い、なおさらに好ましくは20倍高いレベルでcDNAを発現する。KID24への特異的結合についての宿主細胞のスクリーニングは、免疫測定法またはFACSによって実施できる。興味のある抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞を同定できる。
【0094】
親KID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストまたはモジュレータ分子に対する得られたタンパク質のアミノ酸配列内の付加、欠失、または変化をコードするミュータントKID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレータを産生するために現在利用できる各種の技法も利用できる。
【0095】
本発明は、本発明の抗体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドは、当分野で既知の手順によって作製できる。ポリペプチドは抗体のタンパク分解または他の分解、上述のような組換え法(すなわち単一または融合ポリペプチド)によって、あるいは化学合成によって産生できる。抗体のポリペプチド、とりわけ約50アミノ酸までの短いポリペプチドは、化学合成によって好都合に作製できる。化学合成の方法は当分野で既知であり、市販されている。たとえば抗KID24ポリペプチドは、固相法を利用する自動ポリペプチド合成器によって製造できる。
IV.ポリペプチドおよびモノクローナル抗体をスクリーニングする方法
KID24に結合するポリペプチドおよびモノクローナル抗体をスクリーニングするために複数の方法を使用できる。「結合」が生物的または免疫学的に関連する結合、すなわち免疫グロブリン分子がコードされる、またはポリペプチドが作製される独自の抗原に対して特異性である結合を指すことが理解される。それは免疫グロブリンが非特異性標的に対して非常に高い濃度で使用されるときに発生する非特異性結合は指さない。1つの実施形態において、モノクローナル抗体はKID24への結合について標準スクリーニング技法を使用してスクリーニングされる。この方式では、抗KID24モノクローナル抗体を得た。ブダペスト条約に従って、抗KID24モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、2003年5月2日にAmerican Type Culture Collection(ATCC)10801 University Blvd.、マナッサス、バージニア州20110−2209へ、Patent Deposit Designation PTA# 5174で寄託されている。
【0096】
KID24に結合するモノクローナル抗体は、癌性組織および非癌性細胞への結合についてスクリーニングする。1つの実施形態において、KID24に結合して、ヒト癌性細胞または組織にも交差反応性であるが、正常細胞または組織には同じ程度まで交差反応性でないモノクローナル抗体が選択される。スクリーニング利用できる1つの方法は、免疫組織化学(IHC)である。標準免疫組織化学技法は当業者に既知である。たとえばAnimal Cell Culture,Methods(J.P.Mather and D. Barnes,eds.,Academic Press,Vol.57,Ch.18 and 19,pp.314−350,1998)を参照。生体サンプル(たとえば組織)は、生検、剖検、または検死から得られる。癌性細胞のみに存在するかを確認するために、抗KID24抗体を使用して、癌のある個体からの組織でのKID24の存在を検出することができると同時に、癌に罹患している個体からの他の非癌性組織または癌のない個体からの組織を対照として使用する。組織は凍結中の損傷を防止する固体または半固体物質(たとえばアガロースゲルまたはOCT)に埋め込んで、次に染色のために切断できる。各種の臓器からの各種の段階の癌を使用して、モノクローナル抗体をスクリーニングできる。スクリーニング目的で使用できる組織の例は、これに限定されるわけではないが、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨、上部消化管、および膵臓を含む。スクリーニング目的で使用できる各種の癌のタイプの例は、これに限定されるわけではないが、癌腫、腺癌、肉腫、腺肉腫、リンパ腫、および白血病を含む。
【0097】
なお別の代案では、癌性細胞系、たとえばBT474(ATCC# HTB−20)、MCF7(ATCC# HTB−22)、ES−2(ATCC# CRL−1978)、SKOV3(ATCC# HTB−77)、SKMES−I(ATCC# HTB−58)、CA130(Raven専売の肺腺癌細胞系)、CaLu3(ATCC# HTB−55)、9926(Raven専売の膵臓腺癌細胞系、AsPC−1(ATCC# CRL−1682)、Hs700T(ATCC# HTB−147)、Colo205(ATCC# CCL−222)、HT−29(HTB−38)、Cos7(ATCC# CRL−1651)、RL−65(ATCC# CRL−10345)、A204ATCC# HTB−82)、G292(ATCC# CRL−1423)、HT1080(ATCC# CCL−121)、MG63(ATCC# CRL−1427)、RD(ATCC# CCL−136)、RD−ES(ATCC# HTB−166)、SKES−1(ATCC# HTB−86)、SKLMS−1(ATCC# HTB−88)、SKUT−1(ATCC# HTB−114)、SW684(ATCC# HTB−91)、SW872(ATCC# HTB−92)、786−O(ATCC# CRL−1932)、A498(ATCC# HTB−44)、Caki−2(ATCC# HTB−47)、22RV1(ATCC# CRL−2505)、DU145(ATCC# HTB−81)、LNCaP(ATCC# CRL−1740)、HMEC(BioWhittaker CC−2251)、HuVEC(一次内皮細胞)、MDA−MB−175−VII(ATCC# HB−25)、MDA−MB−361(ATCC# HB−27)、SK−BR−3(ATTC# HTB−30)、9979(Raven専売の肺癌細胞系)、A549(ATCC# CCL−185)、SW480(ATCC# CCL−228)、SW948(ATCC# CCL−237)、293(ATCC# CRL−1573)、PC3(ATCC# CRL−1435)、TDH−1(Raven専売の前立腺癌細胞系)、Hs746T(ATCC# HTB−135)、NCI−N87(ATCC# CRL−5822)およびそのそれぞれの組織からの正常細胞を使用して、癌性組織に対して特異性であるモノクローナル抗体をスクリーニングするのに使用できる。これに限定されるわけではないが、腎臓、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、大動脈平滑筋、および内皮細胞を含む各種臓器からの正常細胞に由来する一次または低継代細胞培養物は、負の対照として使用できる。癌性または非癌性細胞は、ガラススライドまたはカバースリップ、あるいはプラスチック表面上で培養するか、あるいはWO 01/43869で述べられているようにCellArrayTMで調製して、組織に関して上述したようにIHCを使用して抗体の結合についてスクリーニングできる。あるいは細胞を成長表面から非タンパク分解手段を使用して除去して、スピンしてペレットにすることができ、次にこれを埋め込んで、上述したようにIHC解析の組織として処理できる。細胞を免疫不全動物に接種して、腫瘍を成長させ、次にこの腫瘍を収集して、埋め込んで、IHC解析の組織源として使用できる。別の代案では、単一の細胞を一次抗体でインキュベートすることによってスクリーニングして、二次「レポータ」抗体を蛍光分子に連結させ、次に蛍光標示式細胞分取(FACS)装置を使用して解析できる。なお別の代案において、生細胞ELISAは、癌細胞系(たとえば上で挙げた癌細胞系)およびその各組織からの正常細胞に対して特異性である抗体についてスクリーニングするために使用できる。細胞を96ウェルプレートにプレーティングして、次にコンフルエントまで増殖させることができる。次に成長培地を除去して、細胞はブロッキングバッファによって遮断される。一次抗体を添加して、次にプレートを洗浄し、二次抗体を添加して、基質を添加することによってプレートを展開させて、プレートリーダーを使用して色変化を検出できる。
【0098】
複数の各種の検出システムを利用して、抗体の組織切片への結合を検出できる。通例、免疫組織化学は一次抗体の組織への結合を含み、次に一次抗体からの種に対して反応性である二次抗体を産生して、検出可能なマーカー(たとえばホースラディッシュペルオキシダーゼ、HRP、ジアミノベンゼジン、DAB)に接合させた。使用できる1つの代わりの方法は、ポリクローナル鏡像相補性抗体すなわちpolyMICAである。D.C.Mangham and P.G.Isaacson(Histopathology(1999)35(2):129−33)に述べられているpolyMICA(ポリクローナル鏡像相補性抗体)技法は、一次抗体(たとえば抗KID24抗体)の正常および癌性組織への結合を試験するために使用できる。複数の種類のpolyMICATM検出キットがThe Binding Site Limited(P.O.Box 4073 バーミンガム B29 6AT 英国)から市販されている。製品番号HK004.Dは、DAB 色素原(chromagen)を使用するpolyMICATM検出キットである。製品番号HK004.Aは、AEC 色素原(chromagen)を使用するpolyMICATM検出キットである。あるいは一次抗体は、検出可能なマーカーによって直接標識できる。
【0099】
適切な抗体を選択するIHCスクリーニングの最初のステップは、マウス内で産生された一次抗体(たとえば抗KID24抗体)の1つ以上の免疫原(たとえば細胞または組織サンプル)への結合である。1つの実施形態において、組織サンプルは、各種の臓器からの凍結組織の切片である。細胞または組織サンプルは、癌性または非癌性のどちらかでありうる。
【0100】
当業者に既知の多数の方法のいずれかによって、凍結組織を調製、切断し、固定して、または固定せずにIHCを実施できる。たとえばStephan et al.Dev. Biol.212:264−277(1999)、およびStephan et al.Endocrinology 140:5841−54(1999)を参照。
V.抗KID24抗体を性質決定する方法
抗KID24抗体を性質決定する複数の方法を使用できる。1つの方法を、それが結合するエピトープを同定することである。エピトープマッピングは、各種の販売元、たとえばPepscan Systems(Edelhertweg 15,8219 PH Lelystad,オランダ)から販売されている。エピトープマッピングを使用して抗KID24抗体が結合する配列を決定できる。エピトープは、直鎖エピトープ、すなわちひと続きのアミノ酸に含有されるか、または必ずしも一続きのアミノ酸に含有されなくてもよい、アミノ酸の三次元相互作用によって形成された配座エピトープである。可変長のペプチド(たとえば少なくとも4〜6アミノ酸長)を単離または合成(たとえば組換えにより)して、抗KID24抗体による結合アッセイに使用できる。抗KID24抗体が結合するエピトープは、細胞外配列に由来する重複ペプチドを使用して、抗KID24抗体による結合を決定することによる体系的スクリーニングで決定できる。
【0101】
抗KID24抗体を性質決定するなお別の方法は、抗KID24抗体が同じエピトープに他の抗体のように結合するかどうかを判定するために、同じ抗原、すなわちKID24に結合することが既知である他の抗体を用いた競合アッセイを使用することである。KID24に対する市販の抗体の例は利用可能であり、本明細書で教示する結合アッセイを使用して同定できる。競合アッセイは当業者に公知であり、そのような手順および例示的データを実施例でさらに詳説する。抗KID24抗体は、それらが結合する組織、癌のタイプまたは腫瘍のタイプによってさらに性質決定することができる。
【0102】
抗KID24抗体を性質決定する別の方法は、それが結合する抗原による。抗KID24抗体は、各種のヒト癌からの細胞溶解液を用いたウェスタンブロットで使用した。当業者に既知であるように、ウェスタンブロッティングは、細胞溶解液および/または細胞画分を変性または未変性ゲルへ注入して、タンパク質をニトロセルロース紙に移して、次に抗体によって結合されたタンパク質を確認するためにブロットを抗体(たとえば抗KID24抗体)によってプローブすることを含みうる。この手順は実施例4でさらに詳説する。KID24は、これに限定されるわけではないが、結腸、乳房、卵巣、膵臓および肺を含む各種の組織の各種のヒト癌と関連している。KID24のさらなる説明は実施例6および7に与える。
VI.抗KID24抗体およびKID24モジュレータを使用して癌を診断する方法
本明細書で開示した方法によって作製したKID24に対するモノクローナル抗体は、これに限定されるわけではないが、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、膵臓、皮膚、甲状腺、脳、心臓、肝臓、胃、神経、血管、骨、および上部消化管を含む各種の組織における癌性細胞の存在または非存在を同定するために診断の目的で使用できる。本明細書で開示した方法によって作製したKID24に対するモノクローナル抗体は、固形腫瘍からのその放出後に血液中を循環している癌性細胞の存在または非存在を、あるいはそのレベルを同定するためにも使用できる。そのような循環抗原は、無傷のKID24抗原、または本明細書で教示した方法に従って検出できる能力を保持するその断片でありうる。そのような検出は、当分野で一般的な標準方法を使用してFACS解析によって実施される。
【0103】
これらはKID24とKID24に特異的に結合する抗体との間の複合体の形成を含むことができる。そのような抗体の例は、これに限定されるわけではないが、ATCCにdesignation PTA# 5174で寄託したハイブリドーマによって産生したこれらの抗KID24モノクローナル抗体を含む。そのような複合体の形成は、試験管内または生体内で可能である。理論に縛られることなく、モノクローナル抗体抗KID24はKID24の細胞外ドメインを通じてKID24に結合でき、次に内部移行させることができる。
【0104】
本発明の診断方法の好ましい実施形態において、抗体は検出可能な標識を持つ。使用できる標識の例は、放射性薬剤またはフルオロフォア、たとえばフルオレセインイソチオシアナートまたはフィコエリトリンを含む。
【0105】
診断および治療目的で商業的に使用される他の既知の抗体と同様に、本発明の標的抗原は正常組織で幅広く発現される。それは一部の腫瘍でもアップレギュレートされる。したがって診断または治療剤に使用するときの本発明の抗体の特定の投薬量および投与経路は、処置されている特定の個体と同様に、当面の特定の腫瘍または疾患状態に合せて調整できる。
【0106】
診断に抗体を使用する1つの方法は、抗原を発現する癌細胞表面での標識抗体の局在化を描出するために、抗体を放射性剤または放射線不透過性剤に連結させて、抗体を個体に投与し、x線または他の撮像装置を使用することによる生体内腫瘍撮像である。抗体は生理的条件での結合を促進する濃度で投与される。
【0107】
KID24の検出の試験管内技法は当分野では日常的であり、酵素結合免疫吸着測定(ELISA)、免疫沈降、免疫蛍光法、酵素免疫測定法(EIA)、放射線免疫測定法(RIA)、およびウェスタンブロット解析を含む。
【0108】
本発明の態様において、本発明の常法に従って放射性標識された腫瘍特異性抗体を個体に投与するステップを含む、腫瘍または新生物の放射線撮像の方法、あるいは放射性標識抗体を用いた処置方法の有効性を測定する方法。放射性標識抗体は、好ましくはテクネチウム−99m、インジウム−111、ヨウ素−131、レニウム−186、レニウム−188、サマリウム−153、ルテチウム−177、銅−64、スカンジウム−47、イットリウム−90から成る群より選択される放射性標識を含むモノクローナルまたはポリクローナル抗体である。抗体の免疫反応性を損なわず、生体内で分解しないヨウ素−131、レニウム−188、ホルミウム−166、サマリウム−153およびスカンジウム−47などの治療用放射性核種によって標識されたモノクローナル抗体が、とりわけ好ましい。当業者は他の放射性同位体が既知であり、特定の用途に適切であることを認識するであろう。放射線撮像は、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、Position放出断層撮影(PET)、コンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴撮像(MRI)を使用して実施できる。放射線撮像により探知された転移位置のより良好な解剖学的定義を可能にする相関撮像も考慮される。
【0109】
他の方法では、癌性細胞を除去して、組織は当分野で公知の方法(たとえば固定を用いる、または用いない、凍結化合物への埋め込み、凍結および切断;抗原回収および対比染色の各種の方法を用いる、または用いない固定およびパラフィン埋め込み)によって免疫組織化学用に調製される。モノクローナル抗体は、発生の各種の段階で癌性細胞を同定するためにも使用できる。抗体を使用して、規定レベルでその表面で抗原を発現して、それゆえ前記抗原に対して作られた抗体を使用する免疫療法の候補である個体の腫瘍を判定することもできる。抗体は、腎臓、卵巣、前立腺および膵臓の原発性および転移性癌と、KID24を発現する肺の原発性癌の両方を認識できる。本明細書で使用するように、検出は定性的および/または定量的検出を含み、癌性細胞でのKID24の発現レベルの上昇について、測定したレベルを正常細胞と比較することを含みうる。
【0110】
本発明は、KID24に結合するいずれかの抗体を使用して個体における癌(たとえば膵臓、結腸、肺、または前立腺癌)の診断を補助する方法、およびKID24発現のレベルを判定するために使用できる他のいずれかの方法も提供する。本明細書で使用するように、「診断を補助する」方法は、これらの方法が癌の分類、または性質に関する臨床的判定を行うのを助けて、最終的な診断に関して決定的であるか、決定的でないことを意味する。したがって癌の診断を補助する方法は、個体からの生体サンプル中のKID24のレベルを検出するステップおよび/またはサンプルでのKID24発現のレベルを判定するステップを含みうる。抗原またはその部分を認識する抗体は、これに限定されるわけではないが、血液、唾液、尿、肺液、または腹水液を含む体液中の生きている癌細胞または瀕死の癌細胞から放出または分泌された抗原を検出するための診断免疫測定法を作るためにも使用される。
【0111】
興味のある特定の腫瘍中のすべての細胞がKID24を発現するわけではなく、他の組織中の癌性細胞はKID24を発現でき、それゆえ個体を個体における免疫療法の有用性を判定するために癌性細胞でのKID24の存在または非存在についてスクリーニングするべきである。本明細書で開示した方法によって作製した抗KID24抗体を使用して、癌と診断された個体がKID24に対して作られた抗体を使用する免疫療法の候補と見なせるかどうかを判定できる。1つの実施形態において、KID24に対して作られた抗体を使用して、癌性腫瘍または生検サンプルをKID24の発現について試験できる。KID24を発現する癌細胞を持つ個体は、KID24に対して作られた抗体を使用する免疫療法の適切な候補である。抗KID24抗体による染色も癌性組織を正常組織から識別するために使用できる。
【0112】
診断目的に抗KID24抗体を使用する方法は、与えられた処置に最も反応しやすい腫瘍、癌を持つ個体の予後、転移性疾患の腫瘍サブタイプまたは起源、および処置に対する疾患または反応の進行を判定するために、いずれかの形の抗癌処置、たとえば化学療法または放射線療法の前後両方で有用である。
【0113】
本発明の組成物は、他の罹患(非癌性)細胞を用いる用途で概して上述した方法を使用した、癌以外の疾患状態の診断にも適切である。本発明の方法での使用に適切な疾患状態は、これに限定されるわけではないが、個体の炎症または自己免疫反応に関連する疾患または障害を含む。上述の方法は、個体の炎症または自己免疫反応を調節するのに使用できる。本発明の組成物および方法を使用する診断および/または処置を受けることができる炎症および自己免疫障害から生じる疾患および状態は、一例として、そして限定せず、多発性硬化症、髄膜炎、脳炎、脳卒中、他の脳外傷、潰瘍性大腸炎およびクーロン病を含む炎症性腸疾患、重症筋無力症、狼瘡、関節リウマチ、喘息、急性若年型糖尿病、AIDS認知症、アテローム性動脈硬化、腎炎、網膜炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、心筋虚血および急性白血球介在肺傷害を含む。
【0114】
本発明の抗体および他の治療剤の診断および/または治療使用のためのなお他の効能は、臓器または移植片拒絶のリスクに瀕した個体への投与を含む。ここ数年、組織および臓器、たとえば皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓および骨髄を移植するための外科技法の効率においてかなりの改善がある。おそらく主要な未解決の問題は、移植された同種移植片または臓器に対してレシピエントにおいて免疫寛容を誘発するための満足な作用物質の不足である。同種細胞または臓器が宿主に移植されるとき(すなわちドナーおよび被提供者は、同じ種とは異なる個体である)、宿主の免疫系は移植片中の外来性抗原に対して免疫反応を開始しやすく(宿主対移植片疾患)、移植組織の破壊を引き起こす。
【0115】
抗KID24抗体へのその使用を挙げる本出願の別の箇所で述べる使用も、本明細書で述べる他のKID24アゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレータの使用を含む。そのような実施形態において、KID24アゴニスト、アンタゴニストまたは他の非抗体モジュレータが上述したステップのKID24抗体と置換され、置換されたKID24調節性組成物に合せるために当業者の範囲内の変更が行われる。
VII.本発明の組成物
本発明は、抗KID24抗体、抗KID24抗体に由来するポリペプチド、抗KID24抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチド、および本明細書で述べる他の薬剤から成る製薬組成物を含む組成物も含む。本明細書で使用するように、組成物はさらに1つ以上の抗体、KID24に結合するポリペプチドおよび/またはタンパク質、KID24アゴニスト、アンタゴニスト、モジュレータ、および/またはKID24に結合する1つ以上の抗体、ポリペプチドおよびタンパク質をコードする配列を含む1つ以上のポリヌクレオチドを含む。
【0116】
本発明は、いずれかのKID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストまたはモジュレータと、特定のKID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストまたはモジュレータの所期の1つまたは複数の機能を補助する追加の化学構造との接合体を提供する。これらの接合体は、本明細書で述べる診断、スクリーニングまたは精製手順で使用するいずれかの不溶性固体支持マトリクスなどの巨大分子に共有結合した、KID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストまたはモジュレータを含む。適切なマトリクス材料は、化学的に不活性であり、高い多孔性を有し、ペプチドリガンドとの共有連結を形成できる多数の官能基を有するいずれかの物質を含む。マトリクス材料およびマトリクス−リガンド接合体の調製手順の例は、Dean et al.(eds)Affinity Chromatography:A Practical Approach,IRL Press(1985);Lowe,“An Introduction to Affinity Chromatography”,in Work et al.(eds)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Vol.7,Part II,North−Holland(1979);Porath et al.,“Biospecific Affinity Chromatography”,in Neurath et al.(eds),The Proteins,3rd ed.,Vol.1,pp.95−178(1975);およびSchott,Affinity Chromatography,Dekker(1984)に述べられている。
【0117】
本明細書で議論した診断手順で使用された、KID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレータと、いずれかのレポータ部分との接合体も本明細書で提供される。
【0118】
抗KID24抗体を含む、本発明のKID24ペプチドアゴニスト、アンタゴニストまたはモジュレータ剤、ポリペプチドおよびタンパク質は、次の基準のいずれか(1つ以上)によってさらに同定および性質決定される:(a)KID24(これに限定されるわけではないが、膵臓、結腸、肺または前立腺癌細胞を含む癌細胞上のKID24を含む)に結合する能力;(b)元の抗体が優先的に結合する同じKID24エピトープに、優先的に結合する能力を含む、既知の抗KID24抗体のKID24への優先的結合を競合的に阻害する能力;(c)試験管内または生体内で生細胞の表面に露出されたKID24の部分に結合する能力;(d)生癌細胞、たとえばこれに限定されるわけではないが、卵巣、前立腺、膵臓、肺、結腸、または乳癌細胞の表面に露出されたKID24の部分に結合する能力;(e)化学療法剤または検出可能なマーカーを、KID24を発現する癌性細胞(たとえばこれに限定されるわけではないが、卵巣、前立腺、膵臓、肺、結腸、または乳癌細胞)に送達する能力;(f)治療剤を、KID24を発現する癌性細胞(たとえば、これに限定されるわけではないが、肺癌細胞)内に送達する能力。
【0119】
一部の実施形態において、本発明の抗体は、寄託番号ATCC No.PTA#5174の宿主細胞、またはその子孫によって産生される抗体である。本発明は、これらの寄託されたハイブリドーマおよび同等抗体またはポリペプチド断片(たとえばFab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、単鎖(ScFv)、そのミュータント、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、抗原(KID24)を含むこれらまたは同等の抗体のいずれかの他のいずれかの修飾配置、要求された特異性の認識部位によって産生された抗体の各種の調合物も含む。本発明は、抗KID24ファミリメンバの生物的特徴の1つ以上を提示するヒト抗体も提供する。抗KID24ファミリ(ヒト化抗体およびヒト抗体を含む)の同等抗体、ポリペプチド断片、およびこれらの断片のいずれかを含むポリペプチドは、上述の5つの基準のいずれか(1つ以上)によって同定および性質決定される。
【0120】
一部の実施形態において、KID24に結合する本発明の抗体、ポリペプチドおよびタンパク質は、本明細書で規定した抗KID24抗体のKID24への優先的結合を競合的に阻害する抗体、ポリペプチドおよびタンパク質である。一部の実施形態において、抗体、ポリペプチドおよびタンパク質は、抗体μ−抗KID24が優先的に結合するのと同じKID24上のエピトープに、優先的に結合する。
【0121】
したがって本発明は、次のいずれか(または次のいずれかを含む製薬組成物を含む、組成物):(a)上で明示した寄託番号の宿主細胞またはその子孫によって産生された抗体;(b)そのような抗体のヒト化形;(c)そのような抗体の軽鎖および/または重鎖可変領域の1つ以上を含む抗体;(d)そのような抗体の重鎖および軽鎖の可変領域と相同であるか、またはそれに由来する可変領域と、ヒト抗体の重鎖および軽鎖の定常領域と相同であるかまたはそれに由来する定常領域とを含むキメラ抗体;(e)そのような抗体の軽鎖および/または重鎖CDR(少なくとも1、2、3、4、5、または6)の1つ以上を含む抗体;(f)そのような抗体の重鎖および/または軽鎖を含む抗体;(g)そのような抗体と同等のヒト抗体を提供する。抗体のヒト化形は、その元の抗体、または上で定義した寄託番号の宿主細胞によって産生された抗体と同一のCDRを有しても、有さなくても良い。CDR可変領域の判定は、十分に当業者の範囲内である。一部の実施形態において、本発明は、上で明示した寄託ハイブリドーマによって産生された抗体の少なくとも1つのCDR、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つのCDRと実質的に相同である1つのCDRを含む(または一部の実施形態では、これらの抗体の1つの6つすべてのCDRと実質的に相同である、またはこれらの抗体の1つに由来する)抗体、または上で明示した寄託番号の宿主細胞によって産生された抗体を提供する。他の実施形態は、本明細書で明示するように寄託されたハイブリドーマから産生された、またはそのような抗体に由来する抗体の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRと実質的に相同である、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを有する抗体を含む。本発明では、結合特異性および/または全体の活性(癌細胞の成長および/または増殖を低下させるために、癌細胞でのアポトーシス性細胞死を誘発するために、転移の発生を遅延させるために癌性細胞へ、または癌性細胞内へ化学療法剤を送達するということ、および/または緩和的に処置するということに関して)は概して保持されるが、活性の程度は寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体と比較して変化しうる(高くまたは低くなることがある)ことが理解される。本発明は、これらの抗体のいずれかを作製する方法も提供する。抗体を作製する方法は当分野で既知であり、本明細書で述べる。
【0122】
本発明は、本発明の抗体のアミノ酸配列を含むポリペプチドも提供する。一部の実施形態において、ポリペプチドは抗体の軽鎖および/または重鎖可変領域の1つ以上を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、抗体の軽鎖および/または重鎖CDRの1つ以上を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは抗体の軽鎖および/または重鎖の3つのCDRを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、次のいずれか:元の抗体の配列の少なくとも5つの近接アミノ酸、少なくとも8つの近接アミノ酸、少なくとも約10個の近接アミノ酸、少なくとも約15個の近接アミノ酸、少なくとも約20個の近接アミノ酸、少なくとも約25個の近接アミノ酸、少なくとも約30個の近接アミノ酸を有する抗体のアミノ酸配列を含み、アミノ酸の少なくとも3つは抗体の可変領域からである。1つの実施形態において、可変領域は元の抗体の軽鎖からである。別の実施形態において、可変領域は抗体の重鎖からである。別の実施形態において、5個(またはそれ以上)の近接アミノ酸は抗体の相補性決定領域(CDR)からである。
【0123】
本発明の一部の実施形態において、本発明のKID24、KID24の部分、抗KID24抗体または他のKID24結合ポリペプチドを発現する本発明の細胞は、個体の内在性生体内KID24生物活性を調節するために、個体に直接投与される。
VIII.治療目的のKID24モジュレータおよび抗KID24抗体の使用方法
KID24に対するモノクローナル抗体は、癌または他の疾患を持つ個体にて治療目的で使用できる。抗KID24抗体による療法は、上述のように試験管内および生体内の両方で複合体の形成を含むことができる。1つの実施形態において、モノクローナル抗体抗KID24は、癌性細胞に結合して、その増殖を低減することができる。生理学的(たとえば生体内)条件での結合を促進する濃度で投与されることが理解される。別の実施形態において、KID24に対するモノクローナル抗体は、各種の組織、たとえば膵臓、結腸、肺または前立腺の癌性細胞および他のタイプの癌、たとえば肉腫に向けられた免疫療法で使用できる。別の実施形態において、モノクローナル抗体抗KID24は単独で癌性細胞に結合して、癌細胞での細胞分裂を低減することができる。別の実施形態において、モノクローナル抗体抗KID24は癌性細胞に結合して、転移の発生を遅延させることができる。なお別の実施形態において、癌を持つ個体に抗KID24抗体を用いた緩和処置が与えられる。癌個体の緩和処置は、癌の進行に直接影響を及ぼすことなく、疾患の不利な症状、または疾患に与えた他の処置から発生する医原性症状を処置または弱めることを含む。これは疼痛の軽減、栄養補助、性的問題、心理的苦悩、うつ、疲労、精神障害、吐き気、嘔吐などの処置を含む。
【0124】
そのような状況では、抗KID24抗体は、個体独自の免疫反応を向上または指示する薬剤、たとえば抗体依存性細胞傷害(ADCC)を強化する薬剤と共に投与できる。
【0125】
他の実施形態において、抗KID24抗体に存在する少なくとも1個のフコース残基が、ADCCを向上させる修飾である、抗体のオリゴサッカライドから除去される。同様の実施形態において、抗KID24抗体に存在するフコース残基は、元の未修飾抗体と比較してADCCを向上させるのに必要な程度までその組成を変化させるために修飾される。
【0126】
なお別の実施形態において、これらの化合物を抗体によって認識された抗原を含有する癌細胞に標的化して、それゆえ癌性または罹患細胞を除去するために、抗KID24抗体は、放射性分子、毒素(たとえばカリケアマイシン)、化学療法分子、化学療法化合物を含有するリポソームまたは他のベシクルと接合または結合されて、そのような処置が必要な個体に投与される。いずれかの特定の理論に限定されることなく、抗KID24抗体は、KID24をその表面に保持する細胞によって内部移行され、それゆえ接合部分を細胞に送達して、治療効果を誘発する。なお別の実施形態において、抗体は、転移の発生を遅延させるために、抗原を発現する癌の外科的除去時にアジュバント療法として利用できる。抗体は、腫瘍のサイズを縮小して、それゆえ外科手術を可能または単純化するために、外科手術中の組織を残すために、および/または生じる傷を減少させるために、外科手術前に、抗原を発現する腫瘍を持つ個体に投与することもできる(ネオアジュバント療法)。
【0127】
細胞周期投薬は本発明の常法で検討される。そのような実施形態では、化学療法剤は規定の段階の腫瘍または他の標的罹患細胞の細胞周期と同期するために使用される。続いて、本発明の抗KID24抗体の投与を(単独で、または追加の治療部分と共に)行う。代わりの実施形態において、抗KID24抗体を使用して、細胞周期に同期させて、2回目の処置前の細胞分裂を減少させる;2回目は、抗KID24抗体および/または追加治療部分でもよい。
【0128】
化学療法剤は、放射性分子、癌性細胞の生存能に有害であるいずれかの薬剤を含む、細胞毒素または細胞毒性剤とも呼ばれる毒素、薬剤、および化学療法化合物を含有するリポソームまたは他のベシクルを含む。適切な化学療法剤の例は、これに限定されるわけではないが、1−デヒドロテストステロン、5−フルオロウラシルデカルバジン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アルデスロイキン、アルキル化剤、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、アントラマイシン(AMC))、有糸分裂阻害剤、シスジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)シスプラチン)、ジアミノジクロロプラチナ、アントラサイクリン、抗生物質、代謝拮抗剤、アスパラギナーゼ、生BCG(膀胱内)、ベータメタゾンリン酸ナトリウムおよび酢酸ベータメタゾン、ビカルタミド、硫酸ブレオマイシン、部スルファン、カルシウムロイクオリン、カリケアマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、ロムスチン(CCNU)、カルムスチン(BSNU)、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、コルチシン、接合エストロゲン、シクロホスファミド、Cyclothosphamide、シタラビン、シタラビン、サイトカラシンB、シトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウニルビシンHCl、クエン酸ダウノルビシン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ジブロモマンニトール、ジヒドロキシアントラシンジオン、ドセタキセル、ドラセトロンメシラート、ドキソルビシンHCL、ドロナビノール、E.coli L−アスパラギナーゼ、エメチン、エポエチンアルファ、エルウィニアL−アスパラギナーゼ、エステル化エストロゲン、エストラジオール、エラムスチンリン酸ナトリウム、臭化エチジウム、エチニルエストラジオール、エチドロネート、エトポシドcitrororum因子、リン酸エトポシド、フルグラスチム、フロクスウリジン、フルコナゾール、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォリン酸、ゲムシタビンHCL、グルココルチコイド、ゴセレリンアセテート、グラミシジンD、グラニセトロンHCL、ヒドロキシ尿素、イダルビシンHCL、イホスファミド、インターフェロンアルファ−2b、イリノテカンHCL、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、ロイプロリドアセテート、レバミソールHCL、リドカイン、ロムスタチン、メイタンシノイド、メクロレタミンHCL、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファランHCL、メルカプトプリン(mercaptipurine)、メスナ、メトトレキサート、メチルテストステロン、ミトラマイシン、ミトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、酢酸オクトレオチド、オンダンセトロンHCL、パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、ペントスタチン、ピロカルピンHCL、ピリミシン、カルムスチンインプラントを備えたポリフェフロサン20、ポリフィマーナトリウム、プロカイン、プロカルバジンHCL、プロプラノロール、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド、テノポシド、テストラクトン、テトラカイン、thioepaクロランブシル、チオグアニン、チオテパ、トポテカンHCL、クエン酸トレミフェン、トラスツズマブ、トレチノイン、バルルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、および酒石酸ビノレルビンを含む。
【0129】
好ましい態様において、細胞毒は、未分裂細胞が毒性効果を比較的免れるように、分裂または高速分裂細胞でとりわけ有効である。
【0130】
本発明の抗体は、それらが結合する罹患または癌腫細胞内で内部移行できるので、たとえばその不利な活性のために内部移行させる必要のある毒素を細胞内へ送達する治療用途に特に有用である。そのような毒素の例は、これに限定されるわけではないが、サポリン、カリケアマイシン、オーリスタチン、およびメタインシノイドを含む。
【0131】
本発明の抗体またはポリペプチドは、放射性分子、毒素、または他の治療剤に、あるいは治療剤を含有するリポソームまたは他のベシクルに、共有的または非共有的に、直接または間接的に結合(接合または連結を含む)させることができる。抗体がその標的KID24を結合できる限り、抗体は放射性分子、毒素、または化学療法分子に、抗体に沿ったいずれかの位置で連結させることができる。
【0132】
毒素または化学療法剤は、適切なモノクローナル抗体に直接または間接的に(たとえばリンカ基を介して、あるいは適切な付着部位を持つ連結分子、たとえばU.S.patent 5,552,391で述べられているプラットフォーム分子を介して)のどちらかで、結合(たとえば共有結合)させることができる。本発明の毒素および化学療法剤は、当分野で既知の方法を使用して、特定の標的化タンパク質に直接結合させることができる。たとえば薬剤と抗体との間の直接反応は、それぞれが他方と反応できる置換基を持つときに可能である。たとえば一方にある求核基、たとえばアミノまたはスルフヒドリル基は、他方にあるカルボニル含有基、たとえば無水物または酸ハライドと、あるいは良好な離脱基(たとえばハライド)を含有するアルキル基と反応することができる。
【0133】
抗体またはポリペプチドはマイクロキャリアを介して化学療法剤に連結することもできる。マイクロキャリアは、水に不溶性であり、サイズが約150、120または100mmの、さらに普通には約50〜60μm未満の、好ましくは約10、5、2.5、2または1.5μm未満のサイズを有する、生分解性または非生分解性粒子を指す。マイクロキャリアは、約1μm未満、好ましくは約500nm未満のサイズを有するマイクロキャリアである「ナノキャリア」を含む。そのような粒子は当分野で既知である。固相マイクロキャリアは、アガロースまたは架橋アガロースから形成されたマイクロキャリアはもちろんのこと、当分野で既知の他の生分解性材料を含む、または除外しうる、生体適合性天然発生型ポリマー、合成ポリマーまた合成コポリマーから形成できる。生分解性固相マイクロキャリアは、哺乳類の生理的条件下で分解性(たとえばポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)およびそのコポリマー)または腐食性(たとえばポリ(オルトエステル、たとえば3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(DETOSU)またはポリ(無水物)、たとえばセバシン酸のポリ(無水物))であるポリマーから形成できる。液相マイクロキャリアが生分解性であるという条件で、マイクロキャリアは、液相(たとえば油または脂質ベース)、たとえばリポソーム、抗原を含まないiscom(コレステロール、およびリン脂質、アジュバント活性サポニンとの安定な複合体である免疫刺激複合体)、あるいは水中油型または油中水型エマルジョン中に見出される液滴またはミセルでもよい。生分解性液相マイクロキャリアは通例、スクアレンおよび植物油を含む、その多数が当分野で既知である生分解性油を含む。マイクロキャリアは通例、球形形状であるが、球形形状に由来するマイクロキャリアも許容される(たとえば楕円形、ロッド形状など)。その不溶性性質のために(水に関して)、マイクロキャリアは水および水ベース(水)溶液から濾過できる。
【0134】
本発明の抗体またはポリペプチド接合体は、毒性剤または化学療法剤に結合可能な基および抗体に結合可能な基の両方を含有する2官能性リンカを含みうる。リンカは、結合能力の妨害を避けるために、抗体を薬剤から離間するスペーサとして機能できる。リンカは開裂性または非開裂性でありうる。リンカは、薬剤または抗体の置換基の化学反応性を向上させるように作用することもでき、それゆえ結合効率を上昇させる。化学反応性の向上は、そうでなければ可能ではない薬剤、または薬剤の官能基の使用も促進させる。2官能性リンカは、当分野で既知の手段によって抗体に結合させることができる。たとえば活性エステル部分を含有するリンカ、たとえばN−ヒドロキシスクシンイミドエステルは、アミド連結を介した抗体内のリジン残基への結合のために使用できる。別の例において、求核アミンまたはヒドラジン残基を含有するリンカは、抗体炭水化物残基の解糖酸化によって生成されたアルデヒド基に結合できる。これらの直接結合方法に加えて、リンカはアミノデキストランなどの中間キャリアによって抗体に間接的に結合できる。これらの実施形態において、修飾された連結は、リジン、炭水化物、または中間キャリアのいずれかを介してである。1つの実施形態において、リンカはタンパク質中の遊離チオール残基に部位選択的に結合される。タンパク質のチオール基への選択的結合に適切である部分は、当分野で公知である。例はジスルフィド化合物、α−ハロカルボニルおよびα−ハロカルボキシ化合物、およびマレイミドを含む。求核アミン機能がα−ハロカルボニルまたはカルボキシ基と同じ分子に存在するとき、環化がアミンの分子内アルキル化を介して起こる可能性が存在する。たとえば望ましくない環化を立体化学的に不利にする非柔軟性基、たとえばアリール基またはトランスアルケンによってアミンおよびα−ハロ官能基が隔離される分子の調製による、この問題を妨げる方法は当業者に公知である。メイタンシノイドと抗体とのジスルフィド部分を介した接合体の調製については、たとえばU.S.Patent No.6,441,163を参照。
【0135】
抗体−薬物接合体の調製に使用できる開裂性リンカの1つは、レセプタ仲介エンドサイトーシス中に遭遇したエンドソームおよびリソソームなどの各種の細胞内コンパートメントの酸性環境を利用する、シス−アコニット酸をベースとする酸不安定性リンカである。たとえばダウノルビシンの巨大分子キャリアとの接合体の調製については、Shen et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.102:1048−1054(1981);ダウノルビシンの抗黒色腫抗体への接合体の調製については、Yang et al.,J.Natl.Cane.Inst.80:1154−1159(1988);ダウノルビシンと抗T細胞抗体との接合体を調製するための同様の方法で酸不安定性リンカを使用するためには、Dillman et al.,Cancer Res.48:6097−6102(1988);ペプチドスペーサアームを介してダウノルビシンを抗体に連結するためには、Trouet et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.79:626−629(1982)を参照。
【0136】
本発明の抗体(またはポリペプチド)は、当分野で既知のいずれかの方法によって放射性分子に接合(連結)できる。抗体を放射性標識する方法の議論については、“Cancer Therapy with Monoclonal Antibodies T”,D.M.Goldenberg ed.(CRC Press,Boca Raton,1995)を参照。
【0137】
あるいはSegalがU.S.Patent No.4,676,980で述べているように、抗体を二次抗体に接合して、抗体ヘテロ接合体を形成することができる。架橋抗体の形成は、特定のタイプの細胞、たとえばKID24を発現する癌または罹患細胞に対する免疫系を標的化できる。
【0138】
本発明は、抗KID24抗体または他のKID24モジュレータを投与することによって、原発性腫瘍(これに限定されるわけではないが、膵臓、結腸、肺、または前立腺癌を含む)を有する、または有してきた個体での転移の発生を防止または遅延する方法も提供する。このモジュレータは単独で、または放射線、化学療法、または外科手術などの他の療法と併せて与えることができる。ある好ましい実施形態において、原発性腫瘍は、KID24モジュレータの投与前に、少なくとも1回の外科手術、放射線、および/または化学療法を受けている。ある状況では、原発性腫瘍は以前の処置によって完全に除去されているように見えることがある。他の実施形態において、KID24モジュレータは、外科手術、放射線、および/または化学療法による個体の処置の前に、または処置と同時に投与される。一部の実施形態において、癌を有する、または有してきた個体での転移の発生を防止または遅延するこれらの方法は、検出可能なマーカーまたは化学療法剤などの別の治療部分に接合した(または連結された)KID24モジュレータ(たとえばKID24に結合する抗体)の投与を含む。一部の実施形態において、抗体は非ヒト抗KID24抗体のヒト化またはキメラ形である。
【0139】
なお別の実施形態において、抗体は、転移の発生を遅延させるために、抗原を発現する癌の外科的除去時にアジュバント療法として利用できる。抗体または化学療法剤と結合した抗体は、腫瘍のサイズを縮小して、それゆえ外科手術を可能または単純化するために、外科手術中の組織を残すために、および/または生じる傷を減少させるために、抗原を発現する腫瘍を持つ個体に外科手術前に投与できる(ネオアジュバント療法)。
【0140】
別の実施形態において、KID24モジュレータのいずれか、たとえば抗KID24抗体は、転移の発生を遅延または防止するために、原発性腫瘍の処置(たとえば外科、放射線、化学療法処置など)後に療法として利用できる。KID24モジュレータは、単独で投与するか、または化学療法剤に連結させることができる。一部の実施形態において、抗体は非ヒト抗KID24抗体のヒト化またはキメラ形である。
【0141】
なお別の実施形態において、本明細書で述べるKID24結合実施形態のいずれもKID24発現癌性細胞に結合させることができ、KID24を発現する癌性細胞に対する能動免疫反応を誘発する。一部の場合では、能動免疫反応は、癌性細胞の死を引き起こすか(たとえば抗体癌細胞に結合して、アポトーシス性細胞死を誘発する抗体)、または癌性細胞の成長を阻害することができる(たとえば細胞周期進行を遮断)。他の場合では、本明細書で述べる新規な抗体のいずれも癌性細胞に結合することが可能であり、抗体依存性細胞傷害(ADCC)は抗KID24が結合する癌性細胞を除去する。したがって本発明は、本明細書で述べる組成物のいずれかを投与するステップを含む、免疫反応を刺激する方法を提供する。
【0142】
一部の場合では、抗体結合はまた、細胞および体液性免疫反応の両方を活性化して、さらなるナチュラルキラー細胞または癌性細胞を破壊する個体の免疫系をさらに活性化するサイトカイン(たとえばIL−2、IFN−g、IL−12、TNF−a、TNF−bなど)の産生向上を増強する。なお別の実施形態において、抗KID24抗体は癌性細胞に結合することができ、マクロファージおよび他の食細胞は癌性細胞をオプソニン化できる。
【0143】
抗KID24抗体またはその断片の各種の調合物を投与に使用できる。一部の実施形態において、抗KID24抗体またはその断片は何も加えずに投与できる。薬理的活性剤に加えて、本発明の組成物は、当分野で公知であり、薬理的有効物質の投与を促進する、または活性化合物の、作用部位への送達のために製薬的に使用できる調製物への加工を促進する比較的不活性な物質である賦形剤および助剤を含む適切な製薬的に許容される担体を含有できる。たとえば賦形剤は形または粘度を与えるか、あるいは希釈剤として作用できる。適切な賦形剤は、これに限定されるわけではないが、安定化剤、湿潤および乳化剤、浸透圧モル濃度を変化させるための塩、カプセル化剤、緩衝剤、ならびに皮膚浸透促進剤を含む。
【0144】
非経口投与のために適切な調合物は、水溶形活性化合物、たとえば水溶性塩の水溶液を含む。加えて、必要に応じた油性注射懸濁物用の活性化合物の懸濁物も投与できる。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、脂肪油、たとえばゴマ油、または合成脂肪酸エステル、たとえばオレイン酸エチルまたはトリグリセリドを含む。水性注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を上昇させる物質を含有し、たとえばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、および/またはデキストランを含む。場合により、懸濁物は安定剤も含有できる。リポソームを使用して、細胞内への送達のための薬剤をカプセル化することもできる。
【0145】
本発明による全身投与の製薬調合物は、経腸、非経口または局所投与用に調合できる。実際に3つの種類の調合物を同時に使用して、活性成分の全身投与を達成できる。賦形剤はもちろんのこと、非経口および経口薬物送達用の調合物もRemington,The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed.Mack Publishing(2000)で述べられている。
【0146】
経口投与用の適切な調合物は、硬または軟ゼラチンカプセル、丸剤、コーティング錠を含む錠剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤または吸入剤およびその制御放出形を含む。
【0147】
概してこれらの薬剤は、注射(たとえば腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与用に調合できるが、他の投与形(たとえば経口、粘膜など)も使用できる。したがって抗KID24抗体は好ましくは、製薬的に許容されるビヒクル、たとえば生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液などと組合される。
【0148】
詳細な投薬計画、すなわち用量、タイミングおよび反復は、特定の個体およびその個体の病歴によって変わるであろう。概して少なくとも約100ug/kg体重、さらに好ましくは少なくとも約250ug/kg体重、なおさらに好ましくは少なくとも約750ug/kg体重、なおさらに好ましくは少なくとも約3mg/kg体重、なおさらに好ましくは少なくとも約5mg/kg体重、なおさらに好ましくは少なくとも約10mg/kg体重の用量が投与される。
【0149】
経験的考慮事項、たとえば半減期は概して、投薬量の決定に寄与するであろう。抗体、ヒト免疫系に適合性である抗体、たとえばヒト化抗体または完全ヒト抗体を使用すると、抗体の半減期が延長され、宿主の免疫系によって攻撃されるのを防止できる。投与の頻度は、治療過程に関して決定および調整でき、癌性細胞の数を減少させること、癌性細胞の減少を維持すること、癌性細胞の増殖を低減させること、または転移の発生を遅延させることに基づいている。あるいは抗KID24抗体の持続連続放出調合物が適切でありうる。持続放出を達成するための各種の調合物およびデバイスが当分野で既知である。
【0150】
1つの実施形態において、抗KID24抗体の投薬量は、1回以上の投与を与えられた個体で経験的に決定できる。個体には抗KID24抗体の増加する投薬量が与えられる。抗KID24抗体の有効性を評価するために、特定の癌疾患状態のマーカーを追跡できる。これらは目視観察による腫瘍サイズの直接測定、x線または他の撮像技法による腫瘍サイズの間接測定;腫瘍サンプルの直接腫瘍生検および顕微鏡検査によって評価された改善;間接腫瘍マーカー(たとえば前立腺癌のPSA)、疼痛または麻痺の減少の測定;腫瘍に関連する発声、視力、呼吸または他の欠陥の改善;食欲増進;または許容された試験によって測定されたような生活の質の向上および生存の延長を含む。投薬量がn個体、癌のタイプ、癌の段階、癌が個体の他の場所に転移を開始しているかどうか、および使用される過去および同時の処置によって変わるであろうことは、当業者に明らかとなるであろう。
【0151】
他の調合物は、これに限定されるわけではないが、リポソームなどの担体を含む当分野で既知の適切な送達形を含む。たとえばMahato et al.(1997)Pharm.Res.14:853−859を参照。リポソーム調製物は、これに限定されるわけではないが、サイトフェクチン、多層膜ベシクルおよび単層膜ベシクルを含む。
【0152】
一部の実施形態において、1を超える抗体が存在できる。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルでありうる。そのような組成物は癌腫、腺癌、肉腫、または腺肉腫に対して反応性である、少なくとも1つの、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの異なる抗体を含有できる。抗KID24抗体は、これに限定されるわけではないが、卵巣、乳房、肺、前立腺、結腸、腎臓、皮膚、甲状腺、骨、上部消化管、および膵臓を含む臓器における癌腫、腺癌、肉腫、または腺肉腫に対して反応性である1つ以上の抗体と混合できる。1つの実施形態において、異なる抗KID24抗体の混合物が使用できる。抗体の混合物は、当分野でよく示されるように、より広範な個体の個体群を処置するのに特に有用でありうる。
【0153】
以下の実施例は、本発明を限定するのではなく、説明するために提供されている。
【実施例】
【0154】
(実施例1)
免疫原としてのヒト腎臓細胞の調製
在胎期間10〜18週のヒト胎児腎臓をカリフォルニア州アラメダ群のAdvanced Biosciences Researchから入手した。腎臓を調達し、氷水中の組織培地に入れて実験室に出荷した。到着時ただちに腎臓を洗浄培地(ペニシリン/ストレプトマイシンおよびゲンタマイシンを含有する冷PBS)に移した。外膜を鉗子で除去して、腎臓を70%エタノールで短時間洗浄し、次に洗浄培地で2回すすいだ。腎臓を100mmの乾いた培養皿で外科用ハサミによって1mmの立方体に刻んだ。組織片を本明細書ではI/3Fと呼ばれる定義された無血清培地10mlにプレーティングした。この培地はU.S.Provisional Application No.60/504,674に述べられており、その開示は参照により本明細書に組み入れられている。各種の一般的に使用される細胞培地が本発明の常法で使用できるが、現在好ましい実施形態は無血清フルクトースベース細胞培地を使用する。
【0155】
組織片を15ml遠心管に移し、組織片を1000xgで5分間遠心分離した。組織片をインスリン(10ug/ml)、トランスフェリン(10ug/ml)、上皮成長因子(20ng/ml)、ソマトトロピン(0.005IU/ml)、ブタ下垂体抽出物(0.2%)、ニワトリ血清(0.1%)、ゲンタマイシン(100ug/ml)、ペニシリン/ストレプトマイシン(1x)およびコラゲナーゼ/ディスパーゼ(0.1%)を含有するI/3F培地に再懸濁させて、4℃で一晩インキュベートした。翌日、消化した組織片を1000xgで5分間遠心分離して、I/3F培地で2回洗浄した。ペレットをインスリン(10ug/ml)、トランスフェリン(10ug/ml)、上皮成長因子(20ng/ml)、ソマトトロピン(0.005IU/ml)、ブタ下垂体抽出物(0.2%)およびニワトリ血清(0.1%)を含有するI/3F培地10mlに再懸濁させて、フィブロネクチンでプレコートした10cmプレートで培養した。
【0156】
これらの培養条件下で、ヒト胎児腎臓細胞を基質コートしたプレートに付着させて、単層として成長させた。培地を週2回交換した。
【0157】
細胞を収集するために、細胞単層をカルシウムおよびマグネシウムを含まないハンクス液で1回すすぎ、37℃のハンクス液中の10mM EDTAで15分間インキュベートした。静かにピペットで採取して、細胞を培養表面から分離した。細胞懸濁物を1000xgで5分間の遠心分離によってペレット化した。上澄みを除去して、細胞は、必要に応じて非変性アジュバントを含む無血清培地(I/3F培地)に再懸濁させた。
【0158】
(実施例2)
モノクローナル抗体の産生
非変性アジュバント(Ribi、R730、Corixa、ハミルトン、モンタナ州)をリン酸緩衝生理食塩水で2mlまで再懸濁させて、次にこの再水和アジュバント100μlを免疫化に使用される実施例1からの細胞ペレットの一部と静かに混合した。マウス1匹に付きヒト胎児腎臓細胞約10をBalb/cマウスの足蹠に、週にほぼ1回または2回注射した。正確な免疫化スケジュールは次の通りである:第0日、Ribiを加えて免疫化。第3日、Ribiを加えて免疫化。第7日、Ribiを加えて免疫化。第24日、Ribiを除いて免疫化。第29日、Ribiを除いて免疫化。第32日、Ribiを除いて免疫化。第36日、Ribiを除いて免疫化。第44日、Ribiを除いて免疫化。第51日、Ribiを除いて免疫化。第69日、力価試験のために採血。第71日、Ribiを加えて免疫化。第74日、Ribiを加えて免疫化。第81日、Ribiを加えて免疫化。第91日、融合前ブースト(Ribiなし)。第104日、融合のために結節を収集。
【0159】
第69日に、血液1滴を各免疫化動物の尾から吸引し、FACS解析を使用してヒト胎児腎臓細胞に対する抗体の力価を試験した。力価が少なくとも1:2000に達したときに、CO、続いて頸椎脱臼を使用してマウスを殺処分した。ハイブリドーマ調製のためにリンパ節を収集した。
【0160】
マウスによるリンパ球を、35%ポリエチレングリコール4000を使用して、マウス骨髄腫系X63−Ag8.653と融合させた。融合10日後に、ハイブリドーマ上澄みをヒト胎児腎臓細胞特異性モノクローナル抗体の存在について蛍光標示式細胞分取(FACS)によってスクリーニングした。各ハイブリドーマによる調節培地をヒト胎児腎臓細胞の分割量と共に30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞サンプルを洗浄して、希釈剤0.1ml中に再懸濁させて、1μg/mlのヤギ抗マウスIgGのFITC接合F(ab’)2断片に4℃にて30分間インキュベートした。細胞を洗浄してFACS希釈剤0.2mlで再懸濁させて、FACScan細胞解析装置(Becton Dickinson;サンノゼ、カリフォルニア州)を使用して解析した。さらなる拡張、クローニング、および性質決定のために、ヒト胎児腎臓細胞の表面へのその結合に基づいてFACSによってハイブリドーマクローンを選択した。KID24と呼ばれる抗原に結合する、μ−抗KID24と呼ばれるモノクローナル抗体を作製するハイブリドーマを選択した。μ−抗KID24抗体を作製するハイブリドーマを、ハイブリドーマ成長の維持および抗体精製に適した成長培地中でさらn拡張させた。
【0161】
(実施例3)
μ−抗KID24を含む抗KID24抗体の精製
ヒト胎児腎臓細胞を組織培養フラスコから10.0mM EDTAの存在下で分離して、1400rpmで5分間遠心分離し、1% BSAおよび2mM EDTA(FACS希釈剤)を含有するPBSで再懸濁させた。細胞をカウントして、10細胞/mlに調整した。細胞約0.1mlをFACS希釈剤100μlで37℃にて30分間インキュベートした。ヒト胎児腎臓細胞に結合したモノクローナル抗体をタンパク質Gアフィニティクロマトグラフィーを使用して組織培養上澄みから精製した。所望ならば、組織培養上澄みを最初にウシIgGカラムに通過させて、上澄み中の過剰なウシIgGを除去した。次の物質は抗体精製プロセスに使用した:ハイブリドーマ組織培養上澄み、Immunopure(G)IgG結合緩衝液(Pierce #21011 ロックフォード、イリノイ州)、Immunopure IgG溶離緩衝液(Pierce #21009)、濃HCl(pH調整用)、Corning 1リットルPES(ポリエーテルスルホン)、0.22μmフィルタ(Corning #431098、Corning、ニューヨーク州)、Amersham Pharmacia AKTA Explorer System(Amersham Biosciences、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)、タンパク質Gセファロース 4 Fast Flow(Amersham Biosciences #17−0618−03)、3Mチオシアン酸カリウム/50mM Tris pH7.8より成るストリッピング緩衝液、およびPBS(リン酸緩衝生理食塩水)、3M Tris pH9.0.
本明細書でμ−抗KID24と呼ばれるマウス抗ヒトKID24抗体を精製するために、上澄みの体積を測定して、等体積の結合緩衝液を上澄みに添加した。混合物を室温まで平衡にさせた。上澄みを0.22μmフィルタへの通過により浄化した。AKTA Explorer system(Amersham Biosciences)を使用して上澄みをタンパク質Gセファロースカラムへ注入して、次に5〜10カラム体積の結合緩衝液で洗浄した。モノクローナル抗体を溶離緩衝液で溶離させて、画分を収集した。溶離時に3M Tris、pH9.0の添加により画分を中和して、チューブを空にした(画分の1/60体積)。モノクローナル抗体を含有するピーク画分をプールした。プールしたサンプルを予め湿らせたslidealyzerカセット(10,000MWカットオフ;Pierce #66810)に注入して、4℃の1xPBS中で透析した(緩衝液を3回交換して、交換ごとに少なくとも4時間の透析)。精製したモノクローナル抗体を滅菌濾過して(0.2μm Acrodisc)、2〜8℃で貯蔵した。
【0162】
UV吸収(A280)およびSDS−ポリアクリルイミド電気泳動(SDS−PAGE)による濃度決定のために、精製抗体のサンプルを採取した。SDS−PAGEは、分子量の解析、モノクローナル抗体の代表的なバンドパターンの同定および純度の評価のために、非還元および還元条件の両方で実施した。
【0163】
ハイブリドーマ上澄みからのμ−抗KID24モノクローナル抗体の精製の後、ヒト胎児腎臓細胞への結合に関してそれを再試験した。細胞サンプルを上述のように調製して、精製抗体を各種の濃度でインキュベートした。インキュベーション後、細胞を洗浄して、希釈剤0.1ml中で再懸濁させて、ヤギ抗マウスIgGのFITC接合F(ab)’2断片1μgと共に4℃にて30分間インキュベートした。細胞を洗浄して、FACS希釈剤0.5mlで再懸濁させて、FACScan細胞分取装置(Becton Dickinson、サンノゼ、カリフォルニア州)を使用して解析した。FACScanヒストグラムでの右側への移動は、精製抗体がヒト胎児腎臓細胞になお結合していることを示した。
【0164】
他の実験において、生細胞ELISAを使用してKID24へのμ−抗KID24抗体の結合を試験した。次の方法を使用したが、当分野で一般的に既知の他の方法を利用できる。細胞(HT−29、SKOV3、SKMES−1、SW480、SKBR−3、およびHPAFII)を組織培養処置96ウェルプレートで(Falcon)、10%ウシ胎児血清(FBS)含有培地中でコンフルエンシーまで培養した。細胞をPBSで洗浄して、次に1% BSAおよび0.1%アジ化ナトリウムを含有するハンクス液(HBSS)中で所望の濃度の所望の抗体50μlで室温にて1時間インキュベートした。次に細胞をウェル当りHBSS 100μlで3回洗浄してから、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)二次抗体(HBSSで希釈して、ウェル当り50μl)によって室温にて30分間インキュベートした。最後に細胞をHBSSで3回洗浄して、色変化基質(TMB基質、KPL)を各ウェルにウェル当り100μlにて添加した。色変化反応をウェル当り1Mリン酸100μlの添加によって停止させた。次にプレートをO.D.450nmで読み取った。結果を下の表4にまとめた。
【0165】
(実施例4)
癌細胞系A498におけるKID24発現の免疫沈降解析
腎臓癌細胞系A498を175cm培養皿でコンフルエンシーまで培養した。細胞をPBSですすいで、次に溶解緩衝液(HBSSに加えて2% Triton X−100、2mM PMSF、0.1%アジ化ナトリウム、および溶解緩衝液5ml当り、無EDTA完全ミニプロテアーゼカクテルの錠剤1個(Roche Molecular Biochemicals))中へ掻き落として、溶解物を収集した。溶解物を14,000xgで4℃にて1時間遠心分離した。次に澄んだ溶解物を、ヒトIgG接合(1mg/ml)CNBr 4MBセファロースビーズ(Amersham Pharmacia)5μlによって4℃にて2時間予備除去した。ヒトIgGビーズを遠心分離および除去して、次に予備除去した溶解物を次いでCNBr 4MBセファロースビーズに接合したモノクローナル抗体μ−抗KID24(1mg/mlにて接合)によって4℃にて2時間インキュベートした。2時間のインキュベーションの後、μ−抗KID24ビーズを遠心分離および除去した。ヒトIgGおよびμ−抗KID24ビーズの両方を溶解緩衝液1mlによって個別に3回洗浄して、次に1ml HBSS+で3回洗浄した。洗浄したビーズをSDS−PAGEサンプル緩衝液30μlの添加および99℃で5分間の沸騰によって溶離させた。
【0166】
次にサンプルを4〜20% Novex勾配ゲル(Invitrogen)で分解して、0.2μmニトロセルロース膜(Invitrogen)に移し、5μg/ブロットのμ−抗KID24または5μg/ブロットのヤギ抗ADAM−9抗体のどちらかを使用して、ウェスタンブロッティングによって描出した。
【0167】
HRP接合ストレプトアビジンによる検出のために、ニトロセルロースを最初にブロッキング緩衝液(0.05% Tween−20を含有するTris緩衝食塩水中の5%脱脂粉乳(TBST,Sigma Chemicals)で1時間遮断した。HRP接合ストレプトアビジンをPBST中に1μg/mlで希釈して、ニトロセルロースに室温にて30分間暴露した。次にニトロセルロースをECL+による描出の前にPBSTによって3回洗浄した。
【0168】
このプロトコルおよびμ−抗KID24抗体を使用した結果は、還元条件下で約75kDaに特異的な分子量バンドを示す。ヤギ抗ADAM−9抗体を使用したときにも同じ分子量に特異的バンドが存在する。この実験による結果を図1に示す。
【0169】
(実施例5)
(MS/MS)を使用するμ−抗KID24が結合する抗原の性質決定
μ−抗KID24が結合する抗原を単離して、Kane et al.,J Bio Chem.2002 June 21;277(25):22115−8の方法に従ってタンデム質量分析を受けさせる。タンパク質をSDS−PAGEによって分離して、ゲルをコロイド状クマシーブルー試薬(Invitrogen)で染色した。興味のあるタンパク質をゲル中でトリプシンによって消化した。Wu et al., Nature 405:477−82(2000)に述べられているように、トリプシンペプチドをイオントラップ質量分析計(Thermo−Finnigan LCDQ DECA XP)でマイクロキャピラリー液体クロマトグラフィーMS/MSによって配列決定した。あるいは質量分析法の他の一般的に既知の方法、たとえばMALDI質量分析法も本発明の常法で使用できる。
【0170】
(実施例6)
免疫組織化学方法
癌患者による凍結組織サンプルをOCT化合物に埋め込んで、ドライアイスを含むイソペンタン中で高速凍結した。凍結切片をLeica 3050 CM mictrotomeを用いて、厚さ8〜10μmに切断して、SuperFrost Plusスライド(VWR #48311−703)で解凍マウントした。切片を75%アセトン/25%エタノールを用いて10℃にて固定して、室温にて2〜4時間空気乾燥させた。固定切片を−80℃にて使用まで貯蔵した。
【0171】
免疫組織化学のために組織切片を回収して、Tris緩衝0.05% Tween(TB−T)で洗浄し、ブロッキング緩衝液(TB−T、5%正常ヤギ血清および100μg/mlアビジン)で室温にて30分間遮断した。次にスライドをブロッキング緩衝液(1μg/ml)で希釈したμ−抗KID24および対照モノクローナル抗体によって、室温にて60〜90分間インキュベートした。次に切片はブロッキング緩衝液で3回洗浄した。結合モノクローナル抗体は、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液 pH5.05および0.003%過酸化水素(Sigma cat.No.H1009)中のヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)F(ab’)−ペルオキシダーゼ接合体およびペルオキシダーゼ基質ジアミノベンジジン(1mg/ml、Sigma cat.No.D5637)によって検出した。染色スライドをヘマトキシリンによって逆染色して、Nikon顕微鏡で検査した。
【0172】
一部の場合では、適切な抗原回収方法を利用した後に、パラフィン埋め込みホルムアルデヒド固定組織を免疫組織化学に使用できる。1つのそのような抗原回収方法は、Mangham and Isaacson,Histopathology 35:129−33(1999)に述べられている。抗原回収および/または検出の他の方法は、当業者によって使用できる。実凍結組織を、適切な場合には抗原回収およびpolyMICA検出を伴う固定組織を使用して実施した実験からの結果を実施した。抗KID24抗体の各種の正常および癌組織への結合を評価した。すべての場合で対照固定組織における抗体結合を凍結組織の抗体結合と相関させた。凍結組織による結果は、対照で2つが一致しない場合にのみ使用される。
【0173】
便宜上、各種の供給源からの凍結外科組織を使用した複数の実験の組合せ結果のまとめを表1、表2、および表3に示す。
【0174】
【表1】

(実施例7)
免疫組織化学の結果
モノクローナル抗体μ−抗KID24を使用して、異なる組織タイプからの各種の細胞系との反応性を試験した。結果は、弱い陽性染色では「+」、中程度の陽性染色では「++」、強い陽性染色では「+++」、陰性染色では「−」として評価した。
【0175】
免疫組織化学の結果は、WO 01/43869に述べられているようにCellArrayTM技術を使用して得た。異なる樹立細胞系からの細胞を成長表面からプロテアーゼを使用せずに除去して、OCT化合物に充填および埋め込んだ。細胞を凍結および切断して、次に標準IHCプロトコルを使用して染色した。
【0176】
μ−抗KID24抗体の各種の樹立ヒト正常および腫瘍細胞系への結合の結果を便宜上、表4にまとめる。表4に示した実験は、本明細書で述べる方法を使用する生細胞ELISAおよびCellArrayTM結合実験を含む。
【0177】
【表2】

【0178】
【表3】

【0179】
【表4】

当分野で公知である標準フローサイトメトリープロトコルを使用して、追加の正常ヒトおよび腫瘍細胞系をμ−抗KID24結合について試験した。結果を下の表5にまとめる。
【0180】
【表5】

(実施例8)
μ−抗KID24は固定化ヒトADAM−9に結合する
μ−抗KID24のさらなる性質決定は、標準ELISA手順および精製ヒトADAM−9を使用して実施した。簡潔には、精製ヒトADAM−9を96ウェルプレートに飽和濃度でコーティングした。μ−抗KID24の用量曲線が結合されて(0〜150ng/ウェル)、標準ELISAプロトコルを使用してADAM−9に結合したμ−抗KID24抗体を描出した。結果は、μ−抗KID24が精製ヒトADAM−9に用量反応性方式で結合することを示した。これらの結果は、μ−抗KID24が抗ADAM−9特異的バンドを免疫沈降できることを示した以前のウェスタンブロット結果(上の実施例4を参照)と一致する。
【0181】
(実施例9)
μ−抗KID24は、試験管内でADAM−9酵素活性を遮断することができる
試験管内酵素活性アッセイは、組換えヒトADAM−9細胞外ドメイン(ECD)およびμ−抗KID24抗体を使用して実施した。ADAM−9 ECDは、試験管内で亜鉛の存在下でペプチド基質(R&D Systems #E S003)を開裂させることができる。いったん開裂すると、ペプチドは、励起波長320nm(および発光波長405nm)で蛍光プレートリーダーを使用して検出できる蛍光発生シグナルを発生する。試験管内酵素アッセイは、製造者のプロトコルに従って実施した。簡潔には、200ng/rxnのrhADAM−9 ECD(R&D Systems #939−AD−020)を25mM Tris、2.5μm ZnCl2、および0.005% Brij 35にpH9.0にて添加した。μ−抗KID24の各種濃度を添加して、この反応物を軽く撹拌しながら室温にて5分間インキュベートした。最終体積を100μl/ウェルとするために、蛍光発生ペプチド基質(R&D Systems #ES003)10μmを添加した。反応物を37℃にて一晩インキュベートした。次にプレートを蛍光プレートリーダーでO.D.405nmにて読み取った。ADAM−9 ECMを含まない対照条件(酵素なし)は蛍光を示さず、このことは基質が開裂した場合にのみ蛍光発生性であるために予想された。μ−抗KID24を用いない正の対照条件は、最大蛍光を示した。μ−抗KID24は、用量依存方式でADAM−9 ECM活性を遮断することができた。これらの結果は、μ−抗KID24がADAM−9酵素活性を試験管内で遮断できることを示した。
【0182】
(実施例10)
μ−抗KID24は、結腸腫瘍細胞系HCT116、SW620およびHT29による軟寒天コロニー形成を阻害できる
μ−抗KID24の試験管内効果は、3つ結腸腫瘍細胞系HCT116、SW620およびHT29で試験した。当分野で公知の軟寒天コロニー形成に関する標準プロトコルを使用した。最終濃度1μg/mlのμ−抗KID24は、HCT116細胞の軟寒天コロニー形成を対照と比較して約60%阻害することができた。同様の結果は、SW620細胞(対照と比較して14%阻害)およびHT29細胞(対照と比較して22%阻害)で見られた。
【0183】
(実施例11)
μ−抗KID24および毒素接合抗マウスIgGの内部移行
Mab−ZAP(Advanced Targeting Systems、サンディエゴ、カリフォルニア州)は、タンパク質合成を阻害する毒素であるサポリンに接合した抗マウスIgGである。この毒素は、細胞膜に不浸透性である。モノクローナル抗体が内部移行可能な細胞表面抗原に結合した場合、毒素接合体は結合モノクローナルに結合して、内部移行し、最終的に細胞を死滅させることができる。毒性活性の証明のための内部移行に依存して、Mab−ZAPは、所与の表面抗原が細胞毒性効果を発現するために内部移行に依存するいずれかの毒素のための適切な標識として作用するかどうかを評価するように作用できる。そのようなものとしてMab−ZAPは、そのような内部移行依存性毒素、たとえばメイタンシノイドおよびカリケアマイシンのモデルとして作用する。
【0184】
μ−抗KID24およびサポリン接合抗マウスIgGの腫瘍細胞による内部移行およびサポリンの内部移行後の腫瘍細胞を死滅させる効果を試験するために、ヒト卵巣癌細胞系ES−2およびヒト膵臓腺癌細胞系HPAF−IIをストックフラスコから10mM EDTAと共に取り出して、遠心分離した。細胞を適切な成長培地中50,000細胞/mlで再懸濁させて、100μlを96ウェルプレートのウェルごとにプレーティングした。抗体μ−抗KID24を適切なウェルに10x濃縮物としてただちに添加して、最終濃度を10μg/mlとした。室温での15分後、Mab−ZAP(Cat.#IT−04)を適切なウェルに10x濃縮物として添加して、最終濃度を0.001nM〜10nMとした。成長の4日後、MTTを37℃にて4時間に亘って添加した(PBS中のストック5mg/ml、ウェル中1:10希釈)。次に培地をすべてのウェルから除去して、100μl/ウェルのDMSOを添加した。プレートを静かに回して青色MTT沈殿物を溶解させて、プレートをプレートリーダーでO.D.540nmにて読み取った。
【0185】
0.01nMを超えてMab−ZAPを添加したときには、μ−抗KID24の非存在下での染色と比較して、μ−抗KID24の存在下でES−2およびHPAF−II細胞の両方でMTT染色の低下があり、ヒト癌細胞ES−2およびHPAF−IIの成長がμ−抗KID24およびMab−ZAPの存在下で阻害され、μ−抗KID24および毒素接合抗マウスIgGを内部移行されたことを示した。この実施例の方法による内部移行実験の結果を図2に示し、μ−抗KID24が内部移行されるが示されている。
【0186】
(実施例12)
ヒト腫瘍の皮下側腹部モデルでのμ−抗KID24抗体の抗腫瘍有効性
本試験は、D54細胞(グリオーマ細胞系)より成るヒト腫瘍を使用する皮下側腹部モデルでの抗KID24抗体の用量反応性抗腫瘍活性を試験するために設計された。
【0187】
培養D54細胞をMatrigel(無フェノールレッド、Becton Dickinson Biosciences Discovery Labware)およびPBS(1:1)溶液に5x10細胞の密度で懸濁させて、ヌードマウスの側腹部に皮下注射にインプラントした。接種19日後に、得られた異種移植片は100mm3であり、マウスをランダムにグループ分けして、秤量し、100mg/kg μ−抗KID24抗体またはMAb対照のどちらかで処置した。抗体をIP注射によって週3回投与した。投薬によって引き起こされるストレスを同じにするために、ビヒクルの偽注射を対照群に与えた。処置に動物を毎日検査して、平均腫瘍体積(MTV)を週3回概算した。動物毒性を体重および死亡率の変化の決定により評価した。
【0188】
μ−抗KID24処置マウスは、試験の終了時(接種42日後)に、ビヒクルおよび対照抗体処置マウスと比較して著しく小さい細胞サイズを有していた(約45%小さい、p<0.02)。同様の傾向はμ−抗KID24抗体の60mg/kg用量でも認められた。
【0189】
ヒト線維肉腫細胞、HT1080を使用する追加の実験もSCID−Beigeマウスで実施した。5x10細胞をPBSに懸濁させて、等体積のMatrigel(無フェノールレッド、Becton Dickinson Biosciences Discovery Labware)と混合して、SCID−Beigeマウスの側腹部に接種した。接種5日後、マウスをビヒクル(PBS)、100mg/kg対照抗体または100mg/kg μ−抗KID24抗体のIP注射によって処置した。腫瘍体積は平均±SEM、n=10動物/群として表現される。腫瘍サイズによって測定されるような腫瘍成長の阻害パーセントは、試験の終わりに決定した(接種16日後)。
【0190】
μ−抗KID24処置マウスは、ヒビクルおよび対照抗体処置マウスと比較して著しくより小さい腫瘍サイズ(19%小さい、p<0.05)を有した。
【0191】
(実施例13)
腎臓下カプセル腫瘍モデル内のμ−抗KID24抗体の抗腫瘍および抗転移有効性
本試験は、メルケル細胞癌(皮膚の神経内分泌癌)から培養したメルケル細胞を使用する腎臓下カプセル腫瘍モデルでの抗KID24抗体の用量反応性抗腫瘍活性を試験するために設計された。
【0192】
タイプIラット尾コラーゲンは標準方法によって調製した。簡潔には、成熟飼育ラットによる尾を除去して、腱を単離および秤量した。腱1グラムはコラーゲン溶液100mlを生成し、各尾は腱約1〜1.5グラムを生じる。コラーゲンを抽出するために、腱をペニシリン、ストレプトマイシンおよびフンギソンを含有する希酢酸溶液(水100ml中腱1グラム当り氷酢酸200μl)に入れ、4℃にて少なくとも1週間静かに撹拌した。次に溶液を遠心分離して、コラーゲン上澄みを使用するまで4℃で貯蔵した。
【0193】
この試験のために、ラット尾コラーゲンをアール平衡塩類溶液(EBSS)、NaOHおよびNaHCOを含有する凝固溶液中で重合させることによって、コラーゲンボタン50μlを調製した。重合後、コラーゲンボトル1個当り5x10メルケル細胞を添加した。インプラントの前に細胞をコラーゲン中で一晩37℃インキュベートした。
【0194】
腎臓カプセルの下に細胞をインプラントするために、マウスをトリブロモエタノールによって全身麻酔した。細胞の配置のために腎臓カプセル内にポケットを作製して、それは傍腰部外科手法によって右および/または左腎臓に作製された。一部の試験では、どちらの腎臓も異種移植片を収容した。外科手術に続いて、動物を加熱表面上で回復させて、麻酔から完全に回復するまで観察した。手術10日後に創傷クリップを除去した。
【0195】
各処置用量群で、μ−抗KID24をPBSで適切な濃度まで希釈して、0.01ml/グラム体重を投与した。対照群にはPBS(0.01ml/グラム体重)を与えた。インプラント後、第2日に投薬を開始して、μ−抗KID24およびPBS対照の用量を週2回、3週間に亘って、腹腔内への単急速注射として投与した。
【0196】
投薬期間の終わりに、動物を安楽死させて、腫瘍および隣接組織を取り出して、プロテイナーゼK(1.45mg/ml)およびRNAse A(0.07mg/ml)を含有する消化緩衝液中でPCR解析のために55℃にて一晩インキュベートした。
【0197】
PCR解析のテンプレートを生成するために、Wizard SV Genomic Purification System(Promega)を製造者の説明書に従って使用して、ゲノムDNAを腫瘍から単離した。各DNAサンプルを最終体積200μlで再懸濁させた。
【0198】
腫瘍内のヒトDNAの量は、ヒトリボソーム遺伝子RPL19に対して特異性であるプライマーおよびプローブと共にApplied Biosystems SDS7000システムでリアルタイムPCRを使用して定量した。
【0199】
効率的な増幅を確実にするために、各サンプルをBstX1で最初に消化した。各反応混合物は、テンプレートDNA 5μl、Taqman Gold 10x反応緩衝液(Applied Biosystems)5μl、BstX1 5単位、MgCl 4mM、各デオキシヌクレオチド混合物2.5mM、各プライマー250mM、プローブ150nM、Taqgold(Applied Biosystems)1.5単位および最終体積50μlとする水を含有していた。使用した熱サイクル条件は、BstX1消化には45℃で30分間、BstX1不活性化およびTaqホットスタートには95℃で10分間、続いて95℃で20秒間(変性)および60℃で1分間(伸長)の40サイクルであった。
【0200】
標準曲線は、400〜0.09ng DNA/反応の範囲に亘るヒトゲノムDNA(BD Biosciences Clonetech)の4倍連続希釈を使用して作成した。サンプルDNA濃度を標準曲線から内挿した。各腫瘍サンプルは3通りのPCR反応で解析し、平均DNA濃度を決定した。これらの実験から、50mg/kg濃度のμ−抗KID24で処置したメルケル細胞腫瘍は、対照PBS処置腫瘍と比較したときに、ヒトDNAの量の50%の低下を示した。
【0201】
同様の腎臓下カプセル実験を樹立メルケル細胞腫瘍に対して実施した。メルケル細胞を上述のように処置して、腫瘍を上述のようにインプラントした。腫瘍を抗体投与前に21日間に渡って成長させた。腫瘍インプラント21日後、マウスに50mg/kg μ−抗KID24またはPBS対照を週2回、3週間に渡って投薬した。試験の終わりにマウスを殺処分して、腫瘍を取り出した。図3に示すように、μ−抗KID24処置マウスからの腫瘍は、PBS処置マウスに見出された腫瘍よりも著しく小さい。PBS処置マウスと比較して、μ−抗KID24によって処置されたマウスに見出される転移の数も有意であった。転移はPBS処置マウスの網、横隔膜、脾臓、卵巣および肺にも見出すことができた。μ−抗KID24処置マウスでは転移は見出されなかった。図4Aは、PBS処置マウスからの網を示す。矢印/矢じりは、組織に見出される転移を指す。図4Bは、μ−抗KID24処置マウスからの網を示す。組織に転移は見られない(解剖顕微鏡下で)。
【0202】
本明細書で述べる実施例および実施形態は例示目的のためのみであることと、それに照らした各種の修正形態または変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲に含まれるものであることとが理解される。それにより本明細書で引用したすべての刊行物、特許および特許出願は、あらゆる目的のために、各個々の刊行物、特許または特許出願が特に、そして個別に参照によりそのように組み入れられているのと同じ程度まで、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】腎臓癌細胞系A498からの細胞溶解液にμ−抗KID24を使用する免疫沈降(ippt)と、続いてのμ−抗KID24抗体を用いたウェスタンブロッティングの結果を示す。矢印はμ−抗KID24 ipptサンプルの〜75kDa特異的バンドを指す。図1は、A498細胞溶解液に市販のADAM9抗体を使用した免疫沈降(ippt)と、続いてのμ−抗KID24抗体を用いたウェスタンブロッティングの結果も示す。「PG」のマークを付けたレーンは、タンパク質G予備除去対照条件のサンプルを表す。「IgG」のマークを付けたレーンは、対照IgG抗体によって免疫沈降されたサンプルを表す。「KID24」のマークを付けたレーンは、μ−抗KID24抗体によって免疫沈降されたサンプルを表す。
【図2】ヒト卵巣癌細胞系ES−2およびヒト膵臓癌細胞系HPAF−IIの成長に対するμ−抗KID24およびMab−ZAP(サポリンに接合した抗IgG抗体)の効果のグラフ化された結果を示す。図2Aは、ES−2細胞の成長に対するμ−抗KID24およびMab−ZAPの効果のグラフ化された結果を示し、図2Bは、HPAF−II細胞の成長に対するμ−抗KID24およびMab−ZAPの効果のグラフ化された結果を示す。
【図3】ヌードマウスの腎臓下カプセルに移植したメルケル細胞からの代表的腫瘍を示す。マウスは、PBS対照または50mg/kg μ−抗KID24抗体のどちらかによって、腫瘍移植21日後に開始して週2回、3週間に亘って処置した。
【図4】腎臓下カプセル内のメルケル細胞腫瘍を移植したヌードマウスから切開した代表的な網を示す。マウスは、PBS対照または50mg/kg μ−抗KID24抗体のどちらかによって、腫瘍移植21日後に開始して週2回、3週間に亘って処置した。図4Aは、PBS対照処置マウスからの切開網を示す。矢印/矢じりは、網に存在する転移を示している。図4Bは、μ−抗KID24処置マウスからの切開網を示す。目視できる転移は認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
KID24に特異的に結合して、抗体μ−抗KID24が優先的に結合するのと同じKID24のエピトープに優先的に結合し、次の特徴:
a.癌細胞上のKID24に結合する能力;
b.試験管内または生体内で生癌性細胞の表面に露出されているKID24の部分に結合する能力;
c.治療剤または検出可能なマーカーを、KID24を発現する癌細胞へ送達する能力;
d.治療剤または検出可能なマーカーを、KID24を発現する癌細胞内へ送達する能力;
の少なくとも1つ以上を有する、実質的に精製された免疫グロブリンまたはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌および移行上皮癌)、骨癌(エナメル上皮腫、動脈瘤性骨嚢、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳および脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈球腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、嫌色素細胞性腎癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍,上衣細胞腫、ユーイング腫瘍,骨外性粘液型軟骨肉腫、骨性線維形成不全症、線維性骨異形成、胆嚢および胆管癌、妊娠性絨毛性疾患、胚細胞性腫瘍、頭部および頸部癌、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫,乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌(小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌など)、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、上皮小体腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後部ブドウ膜黒色腫、まれな血液疾患、転移性腎臓癌、ラブドイド腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、転移性甲状腺癌、ならびに子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)由来の癌細胞から成る群より選択される、請求項1に記載の精製免疫グロブリンまたは抗原結合断片。
【請求項3】
請求項1に記載の免疫グロブリンまたはその抗原結合断片をコードする単離核酸配列。
【請求項4】
前記核酸がプロモータに作動可能に連結している、請求項3に記載の核酸。
【請求項5】
前記プロモータおよび前記核酸が発現ベクター内に含有されている、請求項4に記載の核酸。
【請求項6】
前記免疫グロブリンがモノクローナル抗体である、請求項3に記載の核酸。
【請求項7】
請求項3に記載の核酸を含有するベクターによって形質移入、形質転換、または感染された細胞系。
【請求項8】
a.免疫グロブリンポリペプチドまたは抗原結合断片が発現される条件下で、請求項3に記載の核酸によって形質転換された細胞系を増殖させるステップと;
b.該発現された免疫グロブリンポリペプチドまたは断片を収集するステップと;
から成る、実質的に精製された免疫グロブリン、またはその抗原結合断片を産生する方法。
【請求項9】
前記細胞系がハイブリドーマである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハイブリドーマがATCC No.PTA# 5174である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
免疫グロブリンがモノクローナル抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の精製免疫グロブリンまたは抗原結合断片の治療的有効量を製薬的に許容される担体と共に含む、製薬組成物。
【請求項13】
KID24に特異的に結合して、次の特徴:
a.癌細胞上のKID24に結合する能力;
b.試験管内または生体内で生癌性細胞の表面に露出されているKID24の部分に結合する能力;
c.治療剤または検出可能なマーカーを、KID24を発現する癌細胞へ送達する能力;
d.治療剤または検出可能なマーカーを、KID24を発現する癌細胞内へ送達する能力;
の少なくとも1つ以上を有するモノクローナル抗体またはその抗原結合断片の治療的有効量を、製薬的に許容される担体と共に含む、製薬組成物。
【請求項14】
前記組成物が追加の治療部分を含む、請求項13に記載の製薬組成物。
【請求項15】
ATCC No.PTA# 5174より成る単離細胞系、またはその子孫。
【請求項16】
化学療法剤を癌細胞に送達する方法であって、該化学療法剤と結合した抗KID24抗体を含む組成物を投与するステップを含み、該癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌および移行上皮癌)、骨癌(エナメル上皮腫、動脈瘤性骨嚢、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳および脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈球腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、嫌色素細胞性腎癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌,皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍,上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、骨性線維形成不全症、線維性骨異形成、胆嚢および胆管癌、妊娠性絨毛性疾患、胚細胞性腫瘍、頭部および頸部癌、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫,乳頭状腎細胞癌)、白血病s、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌(小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌など)、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、上皮小体腫瘍,小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後部ブドウ膜黒色腫、まれな血液疾患、転移性腎臓癌、ラブドイド腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌胸腺癌、胸腺腫、転移性甲状腺癌、ならびに子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)由来の癌細胞から成る群より選択される、方法。
【請求項17】
前記化学療法剤が個体に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
個体における癌細胞の増殖を阻害する方法であって、該個体に化学療法剤に結合する抗KID24抗体を含む組成物の有効量を投与するステップを含み、該癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌および移行上皮癌)、骨癌(エナメル上皮腫、動脈瘤性骨嚢、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳および脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈球腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、嫌色素細胞性腎癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、骨性線維形成不全症、線維性骨異形成、胆嚢および胆管癌、妊娠性絨毛性疾患、胚細胞性腫瘍、頭部および頸部癌、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫,乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌(小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌など)、髄芽腫,黒色腫,髄膜腫,多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、上皮小体腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後部ブドウ膜黒色腫、まれな血液疾患、転移性腎臓癌、ラブドイド腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌胸腺癌、胸腺腫、転移性甲状腺癌、ならびに子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)由来の癌細胞から成る群より選択される、方法。
【請求項19】
前記化学療法剤が前記癌細胞内に送達される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記抗KID24抗体がハイブリドーマATCC No.PTA# 5174またはその子孫によって発現されたモノクローナル抗体である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
個体における癌細胞の存在または非存在を検出する方法であって、該個体由来の細胞に抗KID24抗体を接触させるステップと、該細胞由来のKID24および該抗体の複合体を検出するステップとを含み、該癌細胞が、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌および移行上皮癌)、骨癌(エナメル上皮腫、動脈瘤性骨嚢、骨軟骨腫,骨肉腫)、脳および脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈球腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、嫌色素細胞性腎癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌,皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍,上衣細胞腫,ユーイング肉腫,骨外性粘液型軟骨肉腫、骨性線維形成不全症、線維性骨異形成、胆嚢および胆管癌、妊娠性絨毛性疾患、胚細胞性腫瘍、頭部および頸部癌s、膵島細胞腫瘍,カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌(小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌など)、髄芽腫,黒色腫,髄膜腫,多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群,神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、上皮小体腫瘍,小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後部ブドウ膜黒色腫、まれな血液疾患、転移性腎臓癌、ラブドイド腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌胸腺癌、胸腺腫、転移性甲状腺癌、ならびに子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫).由来の癌細胞から成る群より選択される、方法。
【請求項22】
KID24とKID24結合パートナーとの間の次の相互作用:
a.癌細胞上のKID24に結合する能力;
b.試験管内または生体内で生細胞の表面に露出されているKID24の部分に結合する能力;
c.治療剤または検出可能なマーカーを、KID24を発現する癌細胞へ送達する能力;
d.治療剤または検出可能なマーカーを、KID24を発現する癌細胞内へ送達する能力;
の少なくとも1つを遮断するKID24モジュレータ。
【請求項23】
請求項22に記載の薬剤の治療的有効用量を、製薬的に許容される担体と共に含む製薬組成物。
【請求項24】
KID24改変体、KID24ペプチドアンタゴニスト、ペプチド模倣薬、小型分子、抗KID24抗体および免疫グロブリン改変体、アミノ酸置換、欠失、および付加改変体、またはそのいずれかの組合せを含むヒトKID24のアミノ酸改変体、ならびにキメラ免疫グロブリンから成る群より選択される、請求項22に記載のKID24モジュレータ。
【請求項25】
請求項23に記載の製薬組成物の投与を含む、原発性腫瘍を有している個体での転移の発生を防止または遅延させる方法。
【請求項26】
前記製薬組成物が追加の診断部分または治療部分を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記原発性腫瘍が外科手術、放射線または化学療法によって以前に処置されている、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記原発性腫瘍が副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞状軟部肉腫、星状細胞腫瘍、膀胱癌(扁平上皮癌および移行上皮癌)、骨癌(エナメル上皮腫、動脈瘤性骨嚢、骨軟骨腫,骨肉腫)、脳および脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈球腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、嫌色素細胞性腎癌、明細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣細胞腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、骨性線維形成不全症、線維性骨異形成、胆嚢および胆管癌、妊娠性絨毛性疾患、胚細胞性腫瘍、頭部および頸部癌、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞癌)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓癌(肝芽腫、肝細胞癌)、リンパ腫、肺癌(小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌など)、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫,多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、乳頭状甲状腺癌、上皮小体腫瘍,小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後部ブドウ膜黒色腫、まれな血液疾患、転移性腎臓癌、ラブドイド腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、胸腺腫、転移性甲状腺癌、および子宮癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、および平滑筋腫)から成る群より選択される、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−529494(P2008−529494A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554221(P2007−554221)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/003748
【国際公開番号】WO2006/084075
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(504258240)レイベン バイオテクノロジーズ,インコーポレイティド (9)
【Fターム(参考)】