説明

B型肝炎ウイルスの検出方法

【課題】 B型肝炎ウイルスの感染の診断のために、病原ウイルスであるB型肝炎ウイルスを遺伝子型にかかわらず高感度かつ迅速に検出する方法を提供すること。
【解決手段】 B型肝炎ウイルスのS領域の塩基配列から設計された任意の塩基配列と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマー、該プライマーを用いた核酸増幅法、核酸増幅の検出によるB型肝炎ウイルス感染の診断方法、並びにB型肝炎ウイルス感染を診断するためのキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、B型肝炎ウイルス(以下、「HBV」という場合がある。)の検出方法に関し、さらに詳しくは、B型肝炎ウイルスを検出するためのオリゴヌクレオチドプライマー、当該プライマーを用いたB型肝炎ウイルスの検出方法、B型肝炎ウイルス感染の診断方法及びB型肝炎ウイルス感染を診断するためのキットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
B型肝炎は、HBVによって引き起こされ、急性肝炎だけでなく、慢性肝炎、肝硬変の原因や、さらには肝癌に至る場合もある疾患であり、その感染者数は世界でおよそ4億人に達すると見積もられている。
【0003】
B型肝炎の感染の診断は主として、ヒト血清中に存在するウイルス抗原または抗体の有無により行われている。また、HBV DNAを測定する核酸検出法も高感度法として用いられている。最近では、Amplicor(商標)HBVモニター検査及びリアルタイム検出用のTaqman(商標)技術の双方を用い、より感度の高いPCR法において、HBV DNAを検出し、定量化を行っている。
【0004】
輸血用血液において、献血時の血液スクリーニングには、核酸検出法であるPCR法が用いられている。しかしながら、これらのウイルス検査であってもすり抜けが起こり、輸血による感染が発生するという社会的に大きな問題となっている。
【0005】
そこで、迅速かつ高感度にB型肝炎ウイルスを検出できる検査法が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】公開平03−43100号公報
【特許文献2】公開2000−201698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、現在知られている全ての遺伝子型のHBV(A−H)に特異的な塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを作製し、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法によりB型肝炎ウイルスに特異的な塩基配列を増幅することで、B型肝炎ウイルスのみを高感度に検出できることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(8)を提供する。
(1) 配列番号1で示されるB型肝炎ウイルスのS領域の、304番〜526番の塩基配列から選ばれた任意の塩基配列、又はそれらと相補的な塩基配列から設計されたオリゴヌクレオチドプライマー。
(2) 以下の(a)〜(c)より選ばれたオリゴヌクレオチドを含む、(1)記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
(a)配列番号2〜9で示される塩基配列又はそれらと相補的な塩基配列から選ばれた、少なくとも連続する15塩基を含むオリゴヌクレオチド。
(b)前記(a)に記載のオリゴヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチド。
(c)前記(a)又は(b)に記載のオリゴヌクレオチドのうち、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入もしくは付加された塩基配列を含み、プライマー機能を有するオリゴヌクレオチド。
(3)B型肝炎ウイルスのS領域の標的核酸上の3'末端側からF3c、F2c、F1cという塩基配列領域を、5'末端側からB3、B2、B1という塩基配列領域を選択し、それぞれの相補的塩基配列をF3、F2、F1、そしてB3c、B2c、B1cとしたときに、以下の(a)〜(d)から選ばれた塩基配列から成ることを特徴とする(1)〜(2)記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
(a)標的核酸のF2領域を3'末端側に有し、5'末端側に標的核酸のF1c領域を有する塩基配列。
(b)標的核酸のF3領域を有する塩基配列。
(c)標的核酸のB2領域を3'末端側に有し、5'末端側に標的核酸のB1c領域を有する塩基配列。
(d)標的核酸のB3領域を有する塩基配列。
(4)B型肝炎ウイルスに特異的な塩基配列を増幅でき、5'末端から3'末端に向かい以下の(a)〜(b)から選ばれた塩基配列から成ることを特徴とする(1)〜(3)記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
(a)5'−(配列番号2の塩基配列に相補的な塩基配列)−(塩基数0〜50の任意の塩基配列)−(配列番号3の塩基配列)−3'。
(b)5'−(配列番号6の塩基配列)−(塩基数0〜50の任意の塩基配列)−(配列番号7の塩基配列に相補的な塩基配列)−3'。
(5) (1)〜(4)記載のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、B型肝炎ウイルスの標的核酸領域の増幅反応を行うことを特徴とするB型肝炎ウイルスの検出方法。
(6) B型肝炎ウイルスの標的核酸領域の増幅反応がLAMP法であることを特徴とする(5)記載のB型肝炎ウイルスの検出方法。
(7) (1)〜(4)記載のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてB型肝炎ウイルスの標的核酸領域の増幅を検出することにより、B型肝炎ウイルス感染の有無を診断することを特徴とするインフルエンザの診断方法。
(8) B型肝炎ウイルスの感染を診断するための、(1)〜(4)記載のオリゴヌクレオチドプライマーを含むことを特徴とするキット。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、B型肝炎ウイルスに特異的な塩基配列と選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを作製し、LAMP法によりB型肝炎ウイルスに特異的な塩基配列を増幅することで、現在知られている全ての遺伝子型のHBV(A−H)を高感度かつ迅速に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において使用される試料としては、B型肝炎ウイルス感染が疑われる人間又は他の動物の生体由来の検体、例えば、血液、血清、血漿、髄液、精液、喀痰、うがい液、唾液、尿、糞便、組織などが挙げられる。また、感染実験などに用いられた細胞やその培養液、あるいは生体由来の検体や培養細胞などから分離したウイルスを含む検体なども試料となりうる。これらの試料は分離、抽出、濃縮、精製などの前処理を行っても良い。
【0011】
このような核酸の増幅は、納富らが開発した、PCR法で不可欠とされる温度制御が不要な新しい核酸増幅法:LAMP法と呼ばれるループ媒介等温増幅法(国際公開第00/28082号パンフレット)で達成される。この方法は、鋳型となるヌクレオチドに自身の3'末端をアニールさせて相補鎖合成の起点とするとともに、このとき形成されるループにアニールするプライマーを組み合わせることにより、等温での相補鎖合成反応を可能とした核酸増幅法である。また、LAMP法は、最低6つの領域を認識する4つのプライマーを使う特異性の高い核酸増幅法である。
【0012】
LAMP法で使用されるオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型核酸の塩基配列の計6領域、すなわち3'末端側からF3c、F2c、F1cという領域と、5'末端側からB3、B2、B1という領域の塩基配列を認識する少なくとも4種類のプライマーであって、各々インナープライマーF及びBとアウタープライマーF及びBと呼ぶ。また、F1c、F2c、F3cの相補配列をそれぞれF1、F2、F3、またB1、B2、B3の相補鎖をB1c、B2c、B3cと呼ぶ。インナープライマーとは、標的塩基配列上の「ある特定のヌクレオチド配列領域」を認識し、かつ合成起点を与える塩基配列を3'末端に有し、同時にこのプライマーを起点とする核酸合成反応生成物の任意の領域に対して相補的な塩基配列を5'末端に有するオリゴヌクレオチドである。ここで、「F2より選ばれた塩基配列」及び「F1cより選ばれた塩基配列」を含むプライマーをインナープライマーF(以下、FIPと略す)、そして「B2より選ばれた塩基配列」と「B1cより選ばれた塩基配列」を含むプライマーをインナープライマーB(以下、BIPと略す)と呼ぶ。一方、アウタープライマーとは、標的塩基配列上の『「ある特定のヌクレオチド配列領域」の3'末端側に存在するある特定のヌクレオチド配列領域』を認識かつ合成起点を与える塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである。ここで、「F3より選ばれた塩基配列」を含むプライマーをアウタープライマーF(以下、F3と略す)、「B3より選ばれた塩基配列」を含むプライマーをアウタープライマーB(以下、B3と略す)と呼ぶ。ここで、各プライマーにおけるFとは、標的塩基配列のセンス鎖と相補的に結合し、合成起点を提供するプライマー表示であり、一方Bとは、標的塩基配列のアンチセンス鎖と相補的に結合し、合成起点を提供するプライマー表示である。ここで、プライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドの長さは、10塩基以上、好ましくは15塩基以上で、化学合成あるいは天然のどちらでも良く、各プライマーは単一のオリゴヌクレオチドであっても良く、複数のオリゴヌクレオチドの混合物であっても良い。
【0013】
LAMP法においては、インナープライマーとアウタープライマーに加え、さらにこれとは別のプライマー、すなわちループプライマーを用いる事ができる。ループプライマー(Loop Primer)は、ダンベル構造の5'末端側のループ構造の一本鎖部分の塩基配列に相補的な塩基配列を持つプライマーである。このプライマーを用いると、核酸合成の起点が増加し、反応時間の短縮と検出感度の上昇が可能となる(国際公開第02/24902号パンフレット)。ループプライマーの塩基配列は上述のダンベル構造の5'末端側のループ構造の一本鎖部分の塩基配列に相補的であれば、標的遺伝子の塩基配列あるいはその相補鎖から選ばれても良く、他の塩基配列でも良い。また、ループプライマーは1種類でも2種類でも良い。
【0014】
オリゴヌクレオチドは、公知の方法により製造することができ、例えば化学的に合成することができる。あるいは、天然の核酸を制限酵素などによって切断し、所望の塩基配列で構成されるように改変し、あるいは連結することも可能である。具体的には、オリゴヌクレオチド合成装置等を用いて合成することができる。また、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入もしくは付加された塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの合成法も、公知の製法を使用することができる。例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法又はPCR法を単独又は適宜組合せて、かかるオリゴヌクレオチドを合成することが可能である。
【0015】
本明細書における「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」としては、一般的に知られたものを選択することができる。ストリンジェントな条件として、例えば、50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハーツ溶液、10%デキストラン硫酸、及び20μg/mlのDNAを含む溶液中、42℃で一晩ハイブリダイゼーションした後、室温で2×SSC・0.1%SDS中で一次洗浄し、次いで、約65℃において0.1×SSC・0.1%SDSで二次洗浄する、という条件があげられる。
【0016】
本発明者らはB型肝炎ウイルスに特異的な塩基配列を迅速に増幅できるLAMP法のプライマーの塩基配列とその組み合わせを鋭意研究した結果、B型肝炎ウイルスのS領域の塩基配列(配列番号1で示される塩基配列)から、プライマーセットとして次の1組を選定した。
(プライマーセット)
FIP:5'-GATAAAACGCCGCAGACACATCCCCAACCTCTTGTCCTCCAA-3' (配列番号10)
BIP:5'-CCTGCTGCTATGCCTCATCTTCTGACAAACGGGCAACATACCTT-3' (配列番号11)
F3 :5'-CCAAAATTCGCAGTCCCCAA-3' (配列番号4)
B3 :5'-GCAGGTTTTGCATGGTCC-3' (配列番号8)
LF :5'-CAGCGATAACCAGGACAA-3' (配列番号5)
LB :5'-TGTTGGTTCTTCTGGA-3' (配列番号9)
【0017】
核酸合成で使用する酵素は、鎖置換活性を有する鋳型依存性核酸合成酵素であれば特に限定されない。このような酵素としては、Bst DNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)、Bca(exo−)DNAポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント等が挙げられ、好ましくはBst DNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)が挙げられる。
【0018】
核酸合成で使用する酵素や逆転写酵素は、ウイルスや細菌などから精製されたものでも良く、遺伝子組み換え技術によって作製されたものでも良い。またこれらの酵素はフラグメント化やアミノ酸の置換などの改変をされたものでも良い。
【0019】
LAMP反応後の核酸増幅産物の検出には公知の技術が適用できる。例えば、増幅された塩基配列を特異的に認識する標識オリゴヌクレオチドや蛍光性インターカレーター法(特開2001−242169号公報)を用いて検出することができ、また、反応終了後の反応液をそのままアガロースゲル電気泳動にかけても容易に検出できる。アガロースゲル電気泳動では、LAMP増幅産物は、塩基長の異なる多数のバンドがラダー(はしご)状に検出される。また、LAMP法では核酸の合成により基質が大量に消費され、副産物であるピロリン酸イオンが、共存するマグネシウムイオンと反応してピロリン酸マグネシウムとなり、反応液が肉眼でも確認できる程に白濁する。したがって、この白濁を、反応終了後あるいは反応中の濁度上昇を経時的に光学的に観察できる測定機器、例えば400nmの吸光度変化を通常の分光光度計を用いて確認することで、核酸増幅反応を検出することも可能である(国際公開第01/83817号パンフレット)。
【0020】
本発明のプライマーを用いて核酸増幅の検出を行う際に必要な各種の試薬類は、あらかじめパッケージングしてキット化する事ができる。具体的には、本発明のプライマーあるいはループプライマーとして必要な各種のオリゴヌクレオチド、核酸合成の基質となる4種類のdNTPs、核酸合成を行うDNAポリメラーゼ、逆転写活性を持つ酵素、酵素反応に好適な条件を与える緩衝液や塩類、酵素や鋳型を安定化する保護剤、さらに必要に応じて反応生成物の検出に必要な試薬類がキットとして提供される。
【実施例】
【0021】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0022】
実施例1:プライマーの反応性の確認
HBVの全ての遺伝子型(A〜H)を同感度に検出するため、Genbankより遺伝子型8種類を含む計29サンプルをもとに遺伝子型で共通なS領域を選定し、プライマーを作製した。プライマーの反応性の確認を以下の方法で行った。LAMP法により核酸の増幅を行うための反応溶液の組成は以下の通りである。なお、プライマーの合成はQIAGEN社に依頼し、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)精製したものを使用した。
20mM Tris−HCl pH8.8
10mM KCl
8mM MgSO
1.4mM dNTPs
10mM (NHSO
0.8M Betaine(SIGMA)
0.1% Tween20
1.6μM FIP
1.6μM BIP
0.2μM F3
0.2μM B3
0.8μM LF
0.8μM LB
Bst DNA polymerase 16U(NEB)
【0023】
上記反応溶液に、HBVプラスミドDNA(栄研化学で作製)を10から10コピーまでの希釈系列を加えて、60℃で60分間LAMP反応を行った。リアルタイム濁度測定装置LA−200(栄研化学)を用いて、リアルタイムに反応を検出した。図1は、HBVプラスミドDNAを使用した場合の検出感度の結果を表すグラフである。図1に示したように、このプライマーセットについて、HBVプラスミドDNA10コピーまでの増幅が確認された。
【0024】
実施例2:増幅産物の確認
上記プライマーセットで増幅したLAMP産物について、電気泳動及び制限酵素FokIでの確認を行った。図2は、電気泳動の結果を表す図である。図2のレーン2から明らかなように、LAMP産物特有のラダーパターンが確認された。また、FokIで処理したサンプル(レーン3)では、消化が確認された。以上の結果から、標的配列が特異的に増幅されていることが明らかとなった。
【0025】
実施例3:プライマーの評価(特異性試験)
市販されているHBVジェノタイプ別陽性検体(Genotype A,B,C,D,E,F,G,H)各1サンプルずつの合計8種類をヒト正常血清で希釈しサンプルとした。サンプル濃度としては、あらかじめこれら検体をAmplicor(商標)HBVモニター(Roche社)で定量し、ヒト正常血清でそれぞれ30、100,1000コピー/mLに希釈した。各検体の詳細は以下の通りである。Genotype A(Code Number:536550、ProMedDx社)、Genotype B(Code Number:339347、ProMedDx社)、Genotype C(Code Number:536863、ProMedDx社)、Genotype D(Code Number:536461、ProMedDx社)、Genotype E(Code Number:44858、teragenix社)、Genotype F(Code Number:27485、teragenix社)、Genotype G(Code Number:61827、teragenix社)、Genotype H(Code Number:78621、teragenix社)。
【0026】
血清中のHBV―DNAを単離するために以下の方法で抽出した。HBV陽性検体100μLに300μLの溶解試薬[5.76M グアニジンチオシアン酸塩、194mM DTT、10mM Tris−HCl(pH8.8)]を加え混合し、室温で5分間放置した後、95℃、10分間インキュベートした。次に、氷上で3分間急冷し、1μLのPellet Paint(Novagen社)と400μLのイソプロパノールを加え混合し、15000rpmで15分間遠心した。上清を除去した後、70%エタノールを適量加え、混合し、15000rpmで10分間遠心した。最後に、上清を除去し、室温で5分間放置して、5μLの滅菌水で溶解した。この溶液をすべてLAMP反応に持ち込んだ。
【0027】
【表1】

【0028】
表1よりすべてのジェノタイプの検体について100コピー/mLまで100%検出でき、ジェノタイプ間で検出感度が一定であることが確認された。
【0029】
実施例4:プライマーの評価(感度試験)
WHOの国際標準品であるWHO standard HBV DNA 97/746(NIBSC)をヒト正常血清で希釈したサンプルを用いた。抽出及びLAMP反応は、実施例3と同じ操作を行った。
【0030】
【表2】

【0031】
表2よりウイルス濃度が15IU/mLまで100%検出することができた。
【0032】
実施例5:感度比較
市販品のHBV Sero-conversion panels(Impath-BCP)3セット(Catalog No.6277,6290,6291)を用いて、他の検出法[Amplicor HBVモニター(Roche社)、PCR、PRISM HBsAg test (Abott社)]との感度比較を行なった。なお、Amplicor HBVモニターは株式会社エスアールエルに測定依頼を行い、PCRとPRISM HBsAg testは、Impath-BCP社での測定結果が添付されていた。
【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
LAMP法による結果を○または×で表した。表3〜5に示すようにLAMP法が最も検出感度が良く、ウインドウピリオドが短縮された。まとめとして、LAMP法>Amplicor HBVモニター>PCR>PRISM HBsAg testの順で検出感度が高かった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】感度試験の結果を表すグラフである。10〜10は、アッセイ当たりのプラスミドDNAのコピー数を表す。
【図2】電気泳動の結果を表す図である。レーン1は100bp ladder markerであり、レーン2はLAMP産物のサンプルであり、レーン3はLAMP産物をFokIで処理したサンプルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1で示されるB型肝炎ウイルスのS領域の、304番〜526番の塩基配列から選ばれた任意の塩基配列、又はそれらと相補的な塩基配列から設計されたオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項2】
以下の(a)〜(c)より選ばれたオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項1記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
(a)配列番号2〜9で示される塩基配列又はそれらと相補的な塩基配列から選ばれた、少なくとも連続する15塩基を含むオリゴヌクレオチド。
(b)前記(a)に記載のオリゴヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチド。
(c)前記(a)又は(b)に記載のオリゴヌクレオチドのうち、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入もしくは付加された塩基配列を含み、プライマー機能を有するオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
B型肝炎ウイルスのS領域の標的核酸上の3'末端側からF3c、F2c、F1cという塩基配列領域を、5'末端側からB3、B2、B1という塩基配列領域を選択し、それぞれの相補的塩基配列をF3、F2、F1、そしてB3c、B2c、B1cとしたときに、以下の(a)〜(d)から選ばれた塩基配列から成ることを特徴とする請求項1〜2記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
(a)標的核酸のF2領域を3'末端側に有し、5'末端側に標的核酸のF1c領域を有する塩基配列。
(b)標的核酸のF3領域を有する塩基配列。
(c)標的核酸のB2領域を3'末端側に有し、5'末端側に標的核酸のB1c領域を有する塩基配列。
(d)標的核酸のB3領域を有する塩基配列。
【請求項4】
B型肝炎ウイルスに特異的な塩基配列を増幅でき、5'末端から3'末端に向かい以下の(a)〜(b)から選ばれた塩基配列から成ることを特徴とする請求項1〜3記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
(a)5'−(配列番号2の塩基配列に相補的な塩基配列)−(塩基数0〜50の任意の塩基配列)−(配列番号3の塩基配列)−3'。
(b)5'−(配列番号6の塩基配列)−(塩基数0〜50の任意の塩基配列)−(配列番号7の塩基配列に相補的な塩基配列)−3'。
【請求項5】
請求項1〜4記載のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、B型肝炎ウイルスの標的核酸領域の増幅反応を行うことを特徴とするB型肝炎ウイルスの検出方法。
【請求項6】
B型肝炎ウイルスの標的核酸領域の増幅反応がLAMP法であることを特徴とする請求項5記載のB型肝炎ウイルスの検出方法。
【請求項7】
請求項1〜4記載のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてB型肝炎ウイルスの標的核酸領域の増幅を検出することにより、B型肝炎ウイルス感染の有無を診断することを特徴とするB型肝炎ウイルスの感染の診断方法。
【請求項8】
B型肝炎ウイルスの感染を診断するための、請求項1〜4記載のオリゴヌクレオチドプライマーを含むことを特徴とするキット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−40(P2007−40A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181584(P2005−181584)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000120456)栄研化学株式会社 (67)
【Fターム(参考)】