説明

BACクローンを用いる腎細胞癌の予後予測方法

【課題】組織学的分類など既存の基準では予測不可能な腎細胞癌の予後不良リスクを決定するための新規な方法を提供する。
【解決手段】本発明は、(a)被験体の腎組織由来のゲノムDNAを準備するステップ、(b)(a)で準備したゲノムDNAについて、腎細胞癌関連領域でのDNAメチル化の有無を調べるステップ、及び(c)ステップ(b)で明らかになったDNAメチル化パターンから、該被験体が予後不良群に分類されるか否かを決定するステップを含む、腎細胞癌の予後不良リスクを検出する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎細胞癌関連領域でのDNAメチル化の有無を決定することを含む、腎細胞癌の予後不良リスクの検出方法に関する。特に、本発明は、特定のBACクローンに含まれるゲノム領域でのDNAメチル化の有無を決定することを含む、腎細胞癌の予後不良リスクの検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腎細胞癌(renal cell carcinoma)は、腎臓実質に発生する悪性腫瘍のうち最もよく見られる腫瘍である。通常は尿細管上皮細胞が癌化して発生したものを指す。この癌は、40歳以上の人々、特に50〜60歳代で発見されることが多く、女性よりも男性に多い。
【0003】
腎細胞癌は、その病理学的特徴から、淡明細胞癌、顆粒細胞癌、嫌色素細胞癌、紡錘細胞癌、嚢胞随伴腎細胞癌、嚢胞由来腎細胞癌、嚢胞性腎細胞癌、乳頭状腎細胞癌などに分類される。最も多く見られるものは淡明細胞癌である。紡錘細胞癌は組織学的異型度が高く、予後が不良である。
【0004】
現在では、上記のように腎細胞癌のうち紡錘細胞癌については組織型から予後不良との予測が行われる。しかし、最も発生頻度が高い淡明細胞癌に分類された患者では、腎摘除術により根治し、予後良好なケースがある一方で、急速に遠隔転移を生じる症例が観察される場合がある。そのようなケースを考慮すると、組織学的分類などの既存の臨床病理学的因子から、特に淡明細胞型の腎細胞癌の予後を予測することは不可能である。
【0005】
癌細胞ではゲノム配列の欠失及び増幅、CpGアイランドのメチル化による発現抑制、ヒストンタンパク質の脱アセチル化による遺伝子の発現抑制、遺伝子点突然変異等が起こっていることが、頻繁に報告されている。
【0006】
本発明者らは、C型CpGアイランドにおけるDNAメチル化の蓄積が腎細胞癌の予後と有意に相関することを報告した(非特許文献1)。この文献では、他の臓器の癌に関してもメチル化が調べられている9箇所のCpGアイランドのDNAメチル化状態を、PCRを用いる方法で解析している。この知見は、DNAメチル化異常が腎細胞癌の発生に重要な影響を及ぼすことを示している。
【0007】
【非特許文献1】Arai E.et al.,Int.J.Cancer,119:288−296,2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のとおり、腎細胞癌の予後は、組織学的分類など既存の基準では予測不可能であり、腎細胞癌の予後不良リスクを決定するための有効な方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、腎細胞癌検体でのゲノム配列のメチル化について、以下に詳細に説明するようにBAMCA法を用いて網羅的に解析し、複数の腎細胞癌関連領域を特定した。
【0010】
本発明は、具体的には以下の特徴を有する。
〔1〕以下のステップ:
(a)被験体の腎組織由来のゲノムDNAを準備するステップ、
(b)(a)で準備したゲノムDNAについて、腎細胞癌関連領域でのDNAメチル化の有無を調べるステップ、及び
(c)ステップ(b)で明らかになったDNAメチル化パターンから、該被験体が予後不良群に分類されるか否かを決定するステップ
を含む、腎細胞癌の予後不良リスクを検出する方法。
〔2〕DNAメチル化を、BAMCA法によって調べる、上記〔1〕に記載の方法。
【0011】
〔3〕前記腎細胞癌関連領域が、少なくとも、BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、及びRP11−44F3に含まれるゲノム領域を包含する、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
【0012】
〔4〕前記腎細胞癌関連領域が、少なくとも、BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、RP11−44F3;RP11−14J15、RP11−253O10、RP11−359H18(GenBank登録番号:AC073544)、RP11−260E18(GenBank登録番号:AC024588)、RP11−3D15、RP11−89N14、RP11−110L13、RP11−160D13、RP11−170O16、RP11−319E16(GenBank登録番号:AC006206)、RP11−141N1、RP11−416A14(GenBank登録番号:AL356055)、RP11−126J14、RP11−277E18(GenBank登録番号:AC007536)、RP11−469J7、RP11−213C20、RP11−3J10(GenBank登録番号:AL138752)、RP11−230A13、RP11−18B14、RP11−90J14、RP11−79E22、RP11−87C16、RP11−264N7、RP11−273J10、RP11−80H4、RP11−91E24、RP11−516C1(GenBank登録番号:AC025043)、RP11−3N16(GenBank登録番号:AC011212)、RP11−110I16(GenBank登録番号:AC105178)、RP11−40C6(GenBank登録番号:AL161787)、RP11−80F13、RP11−15C9、RP11−328J12(GenBank登録番号:AC012475)、RP11−140K16、RP11−75H6、RP11−301K17、RP11−139E19(GenBank登録番号:AC009248)、RP11−51O5、RP11−48M7、RP11−22B24、RP11−81D1、RP11−120O11、RP11−59H1(GenBank登録番号:AC007215)、RP11−7G2、RP11−89P8、RP11−128J2、RP11−117N14、RP11−397D12(GenBank登録番号:AL158155)、RP11−14C18(GenBank登録番号:AL159991)、RP11−122K22(GenBank登録番号:AC007489)、RP11−442O1(GenBank登録番号:AC026469)、RP11−120C17、RP11−63P12(GenBank登録番号:AL135924)、RP11−80J16、RP11−429A8(GenBank登録番号:AC073364)、及びRP11−79E11に含まれるゲノム領域を包含する、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
【0013】
〔5〕前記腎細胞癌関連領域が、BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、RP11−44F3;RP11−14J15、RP11−253O10、RP11−359H18(GenBank登録番号:AC073544)、RP11−260E18(GenBank登録番号:AC024588)、RP11−3D15、RP11−89N14、RP11−110L13、RP11−160D13、RP11−170O16、RP11−319E16(GenBank登録番号:AC006206)、RP11−141N1、RP11−416A14(GenBank登録番号:AL356055)、RP11−126J14、RP11−277E18(GenBank登録番号:AC007536)、RP11−469J7、RP11−213C20、RP11−3J10(GenBank登録番号:AL138752)、RP11−230A13、RP11−18B14、RP11−90J14、RP11−79E22、RP11−87C16、RP11−264N7、RP11−273J10、RP11−80H4、RP11−91E24、RP11−516C1(GenBank登録番号:AC025043)、RP11−3N16(GenBank登録番号:AC011212)、RP11−110I16(GenBank登録番号:AC105178)、RP11−40C6(GenBank登録番号:AL161787)、RP11−80F13、RP11−15C9、RP11−328J12(GenBank登録番号:AC012475)、RP11−140K16、RP11−75H6、RP11−301K17、RP11−139E19(GenBank登録番号:AC009248)、RP11−51O5、RP11−48M7、RP11−22B24、RP11−81D1、RP11−120O11、RP11−59H1(GenBank登録番号:AC007215)、RP11−7G2、RP11−89P8、RP11−128J2、RP11−117N14、RP11−397D12(GenBank登録番号:AL158155)、RP11−14C18(GenBank登録番号:AL159991)、RP11−122K22(GenBank登録番号:AC007489)、RP11−442O1(GenBank登録番号:AC026469)、RP11−120C17、RP11−63P12(GenBank登録番号:AL135924)、RP11−80J16、RP11−429A8(GenBank登録番号:AC073364)、及びRP11−79E11に含まれるゲノム領域からなる群より選択される1つ以上のゲノム領域である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
【0014】
〔6〕前記腎細胞癌関連領域が、BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、及びRP11−44F3に含まれるゲノム領域からなる群より選択される1つ以上のゲノム領域である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
【0015】
〔7〕BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、RP11−44F3;RP11−14J15、RP11−253O10、RP11−359H18(GenBank登録番号:AC073544)、RP11−260E18(GenBank登録番号:AC024588)、RP11−3D15、RP11−89N14、RP11−110L13、RP11−160D13、RP11−170O16、RP11−319E16(GenBank登録番号:AC006206)、RP11−141N1、RP11−416A14(GenBank登録番号:AL356055)、RP11−126J14、RP11−277E18(GenBank登録番号:AC007536)、RP11−469J7、RP11−213C20、RP11−3J10(GenBank登録番号:AL138752)、RP11−230A13、RP11−18B14、RP11−90J14、RP11−79E22、RP11−87C16、RP11−264N7、RP11−273J10、RP11−80H4、RP11−91E24、RP11−516C1(GenBank登録番号:AC025043)、RP11−3N16(GenBank登録番号:AC011212)、RP11−110I16(GenBank登録番号:AC105178)、RP11−40C6(GenBank登録番号:AL161787)、RP11−80F13、RP11−15C9、RP11−328J12(GenBank登録番号:AC012475)、RP11−140K16、RP11−75H6、RP11−301K17、RP11−139E19(GenBank登録番号:AC009248)、RP11−51O5、RP11−48M7、RP11−22B24、RP11−81D1、RP11−120O11、RP11−59H1(GenBank登録番号:AC007215)、RP11−7G2、RP11−89P8、RP11−128J2、RP11−117N14、RP11−397D12(GenBank登録番号:AL158155)、RP11−14C18(GenBank登録番号:AL159991)、RP11−122K22(GenBank登録番号:AC007489)、RP11−442O1(GenBank登録番号:AC026469)、RP11−120C17、RP11−63P12(GenBank登録番号:AL135924)、RP11−80J16、RP11−429A8(GenBank登録番号:AC073364)、及びRP11−79E11のいずれか1以上を含む、腎細胞癌の予後不良リスクを決定するためのアレイ。
【0016】
〔8〕BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、及びRP11−44F3のいずれか1以上を含む、上記〔7〕に記載のアレイ。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、組織学的観察などの既存の分類基準では検知し得ない、腎摘除術後の腎細胞癌の予後不良リスクを判定することができる。腎細胞癌の治療方法としては腎摘除術が第一選択であるが、転移・再発を早期に発見できれば、それらに対して免疫療法や分子標的治療薬などの奏効が期待できる。よって、本発明により腎摘除術の対象となる大多数の腎細胞癌症例において、予後不良リスクが高い患者にはより精密な転移・再発スクリーニングを行い、その場合には早期発見により治療成績を向上させ得ると期待され、一方で、予後不良リスクが低い患者では転移・再発スクリーニングの負担を軽減させることができる。したがって、本発明は医療・健康科学分野で非常に大きな利益をもたらすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一態様では、本発明は、以下のステップ:
(a)被験体の腎組織由来のゲノムDNAを準備するステップ、
(b)(a)で準備したゲノムDNAについて、腎細胞癌関連領域でのDNAメチル化の有無を調べるステップ、及び
(c)ステップ(b)で明らかになったDNAメチル化パターンから、該被験体が予後不良群に分類されるか否かを決定するステップ
を含む、腎細胞癌の予後不良リスクを検出する方法に関する。
好ましい実施形態では、ステップ(b)において、DNAメチル化をBAMCA法によって調べる。
【0019】
BAMCA法
本明細書中、BAMCA法とは、acterial rtificial chromosome array−based ethylated pG island mplification(BACアレイに基づくメチル化CpGアイランド増幅法)の略称であり、特定のゲノム領域におけるメチル化を検出することができるアッセイ方法である。
【0020】
以下に、BAMCA法の代表的な態様を例示する。腎細胞癌組織と正常腎組織から、フェノール/クロロホルム法などによりDNAを調製し、各々のDNAを制限酵素SmaI(メチル化感受性制限酵素;切断後に平滑末端を形成させる)で消化する。この場合、SmaI認識部位がメチル化されている場合には、当該メチル化部位はSmaIで消化されないために、次のステップのXmaI(メチル化非感受性制限酵素;SmaIと同じ配列を認識し、切断後に突出末端を形成させる)で消化される。XmaI切断末端特異的アダプターライゲーションを行い、PCR法で腎細胞癌組織に由来するXmaI断片を、例えば蛍光色素Cy3にて標識し、増幅する。一方、正常腎組織に由来するXmaI断片を、例えば蛍光色素Cy5にて標識する。その両者を混合し、数多くのBAC(Bacterial Artificial Chromosome)DNAを搭載した高密度ゲノムアレイ上で競合ハイブリダイゼーション(Comparative Genomic Hybridization)を行う。ここで、腎細胞癌組織由来DNAにおいて、ある領域の両端のSmaI認識部位がメチル化されていると、当該メチル化部位はSmaIによっては切断されず、当該領域に対応したXmaI断片が生成される。XmaI断片はアダプターライゲーション後のPCRにより標識を伴って増幅される。当該領域が腎細胞癌組織由来DNAのみでメチル化されており、正常対照ではメチル化されていない場合、当該プローブ配列に対応する配列を含むBACクローンを担持するスポットで、Cy3(腎細胞癌)/Cy5(正常対照)の比が上昇する。例えば、この値が1.0以上となることを指標として、癌特異的にメチル化されたDNA断片に一致する配列を含むBACクローンを同定することができる。この一連のBAMCA法の過程を、図1に示す。
【0021】
競合ハイブリダイゼーションは、例えば、以下の条件により行うことができる:上記のように蛍光色素で標識したDNA断片を、場合により、反復配列をブロックするCot−1DNA(Invitrogen)などの存在下にてエタノール沈殿する。DNAをハイブリダイゼーション溶液(ホルムアミド5mL、硫酸デキストラン1g、20×SCCを混合し滅菌水で7mLに調整)に再懸濁し、SDS及び酵母tRNAを加え、75℃にて10分間変性させる。37℃にて30分間インキュベートした後、DNA溶液を自動マイクロアレイハイブリダイゼーション装置(Hyb4、Genomic Solutions社)にセットしたアレイにアプライし、43℃にて48〜72時間インキュベートし、DNA断片をアレイにハイブリダイズさせる。インキュベート終了後、ハイブリダイゼーション装置を用いて、50%ホルムアミド+2×SSC(pH7.0)で45℃、30秒間の洗浄を6回、0.1×リン酸ナトリウムバッファー+NP40で25℃、30秒間の洗浄を2回、0.2×SSCで25℃、30秒間の洗浄を2回、0.1×SSCで25℃、30秒間の洗浄を2回行う。ハイブリダイゼーション装置からアレイを取り出し、0.1×SSCで室温、5分間の洗浄を行う。
【0022】
ハイブリダイゼーションが完了したアレイにおける蛍光を、例えば、スキャナ(Axon社のGenePix Personal 4100A等)で読み取った後、数値化ソフト(Axon社のGenePix Pro 5.0等)によって数値化し、腎細胞癌検体及び対照検体における各BACクローンの蛍光強度比を算出することができる。
【0023】
腎細胞癌関連領域
好ましい実施形態では、本発明において用いる「腎細胞癌関連領域」は、以下に示すようにBAMCA法などの適切な方法により、そのDNAメチル化と腎細胞癌との関連が示されたゲノム領域である。
【0024】
本発明者らは、全染色体領域を網羅的に解析するために、約4500種類のBAC DNAを搭載した高密度ゲノムアレイであるMCG Whole Genome Array−4500(Inazawa et al.,Cancer Sci.,95(7):559−563,2004)を用いてBAMCA法を実施して、階層的クラスタリング(教師なし法)により腎細胞癌検体を予後良好クラスターと予後不良クラスターとに分類し、これらのクラスターへの高感度及び特異的な検体の分類を可能とする腎細胞癌関連領域を含むBACクローンを特定した。すなわち、本発明において、「腎細胞癌関連領域」とは、限定するものではないが、以下の70のBACクローンに含まれるゲノム領域を包含する:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、RP11−44F3;RP11−14J15、RP11−253O10、RP11−359H18(GenBank登録番号:AC073544)、RP11−260E18(GenBank登録番号:AC024588)、RP11−3D15、RP11−89N14、RP11−110L13、RP11−160D13、RP11−170O16、RP11−319E16(GenBank登録番号:AC006206)、RP11−141N1、RP11−416A14(GenBank登録番号:AL356055)、RP11−126J14、RP11−277E18(GenBank登録番号:AC007536)、RP11−469J7、RP11−213C20、RP11−3J10(GenBank登録番号:AL138752)、RP11−230A13、RP11−18B14、RP11−90J14、RP11−79E22、RP11−87C16、RP11−264N7、RP11−273J10、RP11−80H4、RP11−91E24、RP11−516C1(GenBank登録番号:AC025043)、RP11−3N16(GenBank登録番号:AC011212)、RP11−110I16(GenBank登録番号:AC105178)、RP11−40C6(GenBank登録番号:AL161787)、RP11−80F13、RP11−15C9、RP11−328J12(GenBank登録番号:AC012475)、RP11−140K16、RP11−75H6、RP11−301K17、RP11−139E19(GenBank登録番号:AC009248)、RP11−51O5、RP11−48M7、RP11−22B24、RP11−81D1、RP11−120O11、RP11−59H1(GenBank登録番号:AC007215)、RP11−7G2、RP11−89P8、RP11−128J2、RP11−117N14、RP11−397D12(GenBank登録番号:AL158155)、RP11−14C18(GenBank登録番号:AL159991)、RP11−122K22(GenBank登録番号:AC007489)、RP11−442O1(GenBank登録番号:AC026469)、RP11−120C17、RP11−63P12(GenBank登録番号:AL135924)、RP11−80J16、RP11−429A8(GenBank登録番号:AC073364)、及びRP11−79E11。
【0025】
ここで、上記のBACクローンは、RPCI BACライブラリー11に含まれるクローンであり、該ライブラリー中での参照番号により示されている。RPCI BACライブラリー11は、ヒト男性の血液から採取したゲノムを、制限酵素EcoRIで消化し、BACベクターに挿入することにより作製されたライブラリーである。RPCI BACライブラリーはRPCI(Roswell Park Center Institute)から入手可能である。また、一部のクローンについては、その全長配列をデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から入手可能である。全長配列がデータベースに登録されていないクローンについても、NCBI Clone Registryデータベースから、ゲノム上の位置、末端配列などについての情報を得ることができる(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/clone/index.html)。全長配列又は末端配列がデータベースから入手可能な60クローンについての、全長配列又は末端配列のGenBank登録番号を以下に挙げる:
【0026】
全長配列 末端配列
RP11−71H20 AQ265601
RP11−90M23 AC092417
RP11−90B23 AZ518384
AQ283568
AQ283571
RP11−79C6 AC112204
RP11−110L1 AL449305
RP11−42B19 AL358791
RP11−87P3 AC016042
RP11−408L20 AC067746
RP11−453D5 AZ081789
AZ081819
AZ564738
AQ585998
RP11−444F15 AZ081967
AZ081968
RP11−44F3 AQ198855
AQ198856
RP11−14J15 B82309
B87972
RP11−359H18 AC073544
RP11−260E18 AC024588
RP11−3D15 B63743
B63744
RP11−89N14 AQ286651
AQ286653
RP11−110L13 AQ319014
AQ350774
RP11−160D13 AQ376826
RP11−170O16 AQ417948
RP11−319E16 AC006206
RP11−141N1 AQ387427
AQ387430
RP11−416A14 AL356055
RP11−126J14 AQ353803
AQ353804
RP11−277E18 AC007536
RP11−213C20 AQ484364
AQ484365
RP11−3J10 AL138752
RP11−18B14 B82848
RP11−90J14 AQ286220
AQ318556
RP11−79E22 AZ519162
AQ282629
AQ282631
AQ581335
AQ629606
RP11−264N7 AQ488215
AQ488217
RP11−80H4 AQ284053
RP11−91E24 AQ285550
AQ285553
RP11−516C1 AC025043
RP11−3N16 AC011212
RP11−110I16 AC105178
RP11−40C6 AL161787
RP11−80F13 AQ282461
AQ282463
RP11−15C9 B82391
RP11−328J12 AC012475
RP11−140K16 AQ386727
AQ386729
RP11−75H6 AQ266694
AQ266693
RP11−139E19 AC009248
RP11−51O5 AQ053447
AQ053449
RP11−48M7 CL423351
CL423352
AQ198007
AQ198009
RP11−22B24 B86130
RP11−81D1 AZ521520
AQ281003
AQ281006
RP11−120O11 AQ349760
AQ349761
RP11−59H1 AC007215
RP11−7G2 B71295
RP11−89P8 AQ286722
AQ286725
RP11−117N14 AQ350584
AQ350586
RP11−397D12 AL158155
RP11−14C18 AL159991
RP11−122K22 AC007489
RP11−442O1 AC026469
RP11−120C17 AQ342490
AQ349061
RP11−63P12 AL135924
RP11−80J16 AZ521466
AQ284128
AQ317765
RP11−429A8 AC073364
RP11−79E11 AZ520711
AQ282491
AQ282493
【0027】
データベースに配列情報が開示されていない以下の10クローン:RP11−508N16、RP−11−182P7、RP11−3A9、RP11−253O10、RP11−469J7、RP11−230A13、RP11−87C16、RP11−273J10、RP11−301K17、RP11−128J2に関しては、それぞれについてSTS(Sequence−tagged site)配列が特定されている。STS配列については、以下に示すコード番号を用いてデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=unists)を検索することにより、具体的な情報を得ることができる。それぞれのクローンに対して特定されているSTS配列についての情報を、以下に挙げる:
【0028】
RP11−508N16
UniSTS:181791
stSG67508
フォワードプライマー:TGCAGCAGCTCTGTGATTG(配列番号1)
リバースプライマー:TTATGGGGATGTGGCAGG(配列番号2)
PCR産物サイズ:87bp,Homo sapiens
【0029】
RP11−182P7
UniSTS:80028
D10S1199
フォワードプライマー:TTGCTGTGGGCATTCTATTT(配列番号3)
リバースプライマー:TCCTTTACTCCTATTTTCAATTCA(配列番号4)
PCR産物サイズ:304bp,Homo sapiens
GenBank登録番号:G03246
【0030】
RP11−3A9
UniSTS:77647
D16S3311
フォワードプライマー:TTCAAGCACACACTCCAAGC(配列番号5)
リバースプライマー:CCAGAGTTCTGGACCCATGT(配列番号6)
PCR産物サイズ:126bp,Homo sapiens
GenBank登録番号:G14612 T56923
【0031】
RP11−253O10
UniSTS:62212
D16S3016
フォワードプライマー:TAGCAGAGAGAGAGAGATCAGG(配列番号7)
リバースプライマー:ACAGATTCCCGAGTTAAATATGATAG(配列番号8)
PCR産物サイズ:151bp,Homo sapiens
GenBank登録番号:G07461
【0032】
RP11−469J7
UniSTS:181743
stdJ621N11SP6
フォワードプライマー:TTTAGTGTGGCAGGGAAAGG(配列番号9)
リバースプライマー:ACATGTTTTGGGGTAAATCCC(配列番号10)
PCR産物サイズ:143bp,Homo sapiens
【0033】
RP11−230A13
UniSTS:45061
SHGC−5900
フォワードプライマー:GAGTGCAACTCTGTCTCAAAA(配列番号11)
リバースプライマー:AAAGGCTCAGGATTTTATGC(配列番号12)
PCR産物サイズ:110bp,Homo sapiens
GenBank登録番号:G17436
【0034】
RP11−87C16
UniSTS:14175
D2S145
フォワードプライマー:AGCTTATGGCAAGATTGTCC(配列番号13)
リバースプライマー:GGGCATTGTTGAAATGGA(配列番号14)
PCR産物サイズ:248−275bp,Homo sapiens
GenBank登録番号:Z16847
【0035】
RP11−273J10
UniSTS:2658
SHGC−24378
フォワードプライマー:AACAGCACAGTGGAAGAATGG(配列番号15)
リバースプライマー:AGCTGTACATATAAGCCTTCCTTTG(配列番号16)
PCR産物サイズ:90bp,Homo sapiens
GenBank登録番号:Z39901
【0036】
RP11−301K17
UniSTS:26475
D3S3114
フォワードプライマー:CAGGATACAGACTTCAGACAGGG(配列番号17)
リバースプライマー:TCACCATGTCCATAATCTGTTAGA(配列番号18)
PCR産物サイズ:175−176bp,Homo sapiens
GenBank登録番号:G02693
【0037】
RP11−128J2
UniSTS:38907
HUMXT00863
フォワードプライマー:CTGGGATAGAGTCTGGTATTCTG(配列番号19)
リバースプライマー:ATTTGCTCTCGTCTTTCTTGTTGG(配列番号20)
PCR産物サイズ:179bp,Homo sapiens
GenBank登録番号:M78715
【0038】
当業者であれば、上記の入手可能な配列情報をもとに、前記BACライブラリーから、本発明に係るBACクローンを入手することが可能である。
繰り返して言うが、本発明の方法を実施するために用いる腎細胞癌関連領域は、上記のBACクローンに含まれるゲノム領域には限定されず、BAMCA法などの適切な方法によりそのメチル化が腎細胞癌と関連付けられる他の領域であり得る。
【0039】
腎細胞癌関連領域でのDNAメチル化を、BAMCA法をはじめとする、下記で例示するような公知の手法を用いて検査することにより、腎細胞癌の予後不良リスクを決定することが可能である。
【0040】
DNAメチル化
本明細書中、「CpGアイランド」とは、高等生物、特に哺乳動物のゲノム配列中、非翻訳領域に存在するG(グアニン)C(シトシン)含量が多い領域である。「CpGアイランド」の「C」はシトシン、「G」はグアニン、「p」はシトシンとグアニンとの間のホスホジエステル結合を表している。すなわち、CpGアイランドには、隣接したシトシンとグアニンとがホスホジエステル結合で結合されたジヌクレオチドの繰り返し配列が含まれる。CpGアイランドの長さは約300〜3000塩基対である。CpGアイランドは、一般に、全配列中にCpG配列を統計的に期待される6%と同じか又はそれを上回る割合で含む。CpGアイランド以外のゲノム領域では、CGサプレッションのため、CpG配列の含量は1%以下である。
【0041】
本明細書中、「DNAメチル化」(又は単に「メチル化」)とは、上記のCpG配列において、シトシンの5位の炭素がメチル化されていることを意味する。
【0042】
淡明細胞型腎細胞癌の51検体について、上記のBAMCA法により解析し、結果を階層的クラスタリング(教師なし法)により分析すると、腎細胞癌検体は2つのクラスター(クラスターA及びクラスターB)に分類された(図2)。この2つのクラスターは、臨床病理学的悪性度において互いに異なり(図3)、予後も異なっていた(図4)。すなわち、これらクラスターと臨床像とを対比させた結果、組織学的分類においては区別し得なかったこれら2つのクラスターのうち、クラスターAは予後良好であり、クラスターBは予後不良であることが明らかとなった。
【0043】
続いて、腎細胞癌検体が予後不良クラスターに属するかの判定を可能とする上記の70のBACクローンを同定した。これらのBACクローンに含まれるゲノム領域の1又は複数についてのDNAメチル化の有無を判定することにより、腎細胞癌の予後不良リスクを決定することができる。腎細胞癌の予後に関わるそれらの領域でのメチル化の有無の判定基準を、例としてBAMCA法を用いて求めた。その例を図5に示す。また、各BACクローンについて求めた判定基準を、以下の実施例中の表1に示す。
【0044】
これらの結果は、本実施例に記載の方法により特定された腎細胞癌関連領域に関してDNAメチル化の有無を解析することにより、これらの領域のうちの1つについてのみ検査した場合でさえ、多くの場合予後良好である淡明細胞型腎細胞癌の中から、予後不良な群を非常に高感度かつ特異性高く分類することが可能であることを意味している。
【0045】
すなわち、例えば上記の70クローンに含まれるゲノム領域について、メチル化の有無を検査し、その結果を陽性対照及び陰性対照と比較することにより、腎細胞癌の予後不良リスクを決定することができる。
【0046】
ゲノム領域におけるDNAメチル化の状態を調べるためには、上記のBAMCA法(図1)の他に、PCRを利用する別の方法、及びサザンブロッティングを利用する方法などを用いることができる。
【0047】
PCRを利用する別の方法としては、以下のものなどを挙げることができる:
(a)バイサルファイトシークエンシング法:ゲノムDNAをバイサルファイト変換するとシトシンがウラシルに変換されるが、メチル化シトシンにおいてはこの反応がほとんど進まず、シトシンのままとなる。この反応を利用すれば、DNAメチル化状態の差が塩基配列に変換される。バイサルファイト変換したゲノム領域をPCR増幅してクローン化するなどし、塩基配列を決定することにより、DNAメチル化の有無を知ることができる。
(b)COBRA法(Combined bisulfite restriction analysis、バイサルファイト変換−制限酵素法):(a)と同様にゲノムDNAをバイサルファイト変換して塩基配列を変化させた後に、当該ゲノムDNAを制限酵素で切断して制限酵素の認識部位が残っているか残っていないかを調べることにより、DNAメチル化の有無を知ることができる。
(c)メチル化特異的PCR法:(a)と同様にゲノムDNAをバイサルファイト変換し、塩基配列を変化させた後に、当該ゲノムDNAを鋳型として、塩基配列が変化している場合(メチル化がない)に増幅できるプライマー、又は塩基配列が変化していない場合(メチル化がある)に増幅できるプライマーを用いてそれぞれPCR反応を行い、PCR産物の有無によってDNAメチル化の有無を知ることができる。
【0048】
サザンブロッティングを利用する方法は、以下のように実施することができる。試験する検体中のゲノムDNAをメチル化感受性制限酵素で消化すると、メチル化されている認識部位は切断されず、メチル化されていない認識部位は切断される。消化済みのDNAをアガロースゲル電気泳動により分離し、DNA断片をナイロンメンブレンなどにトランスファーし、32Pなどで標識した標的特異的なプローブをハイブリダイズさせる。このとき、検出されるバンドの長さの違いから、対象となる領域のメチル化の有無を知ることができる。
【0049】
これらの方法において用いる「メチル化感受性制限酵素」とは、例えばSmaI及びHpaIIであり、好ましくはSmaIである。それらのメチル化感受性酵素と同じ認識配列を認識する非メチル化感受性酵素は当業者が容易に知ることができ、これをメチル化感受性酵素と組み合わせて上記のようなDNAメチル化の検査方法において用いることができる。
【0050】
これらの方法を用いるメチル化の検査における、腎細胞癌関連領域でのメチル化の有無の判定基準は、当業者ならば公知の統計学的手法等を用いて適宜決定することができる。具体的には、腎細胞癌検体の予後不良群を陽性対照とし、予後良好群を陰性対照として、所望のDNAメチル化検査法により腎細胞癌関連領域のDNAメチル化状態を調べる。その結果を陽性対照と陰性対照とで比較することにより、各腎細胞癌関連領域について有意な測定値の閾値を決定する。それにより、その閾値を用いたメチル化検査で陽性(又は陰性)と判定された場合に、検査対象の検体を予後不良群に含めるべきであると規定することができる。
【0051】
アレイ
本発明は、さらに、上記のように特定された14のBACクローン又は70のBACクローンを搭載した、腎細胞癌の予後不良リスクを決定するためのアレイにも関する。
この場合、「アレイ」とは、適切な基板上にゲノム配列を含む複数のDNAを位置特異的な様式で定着(スポット)させたデバイスを意味する。基板は、好ましくは固体基板であり、具体的には、ガラス、プラスチック、メンブレン等が挙げられる。好ましい基板はスライドガラスのようなガラス基板である。ガラス製の固体基板には、DNAの定着の前に、ポリ−L−リジン、アミノシラン、金・アルミニウム等の凝着によるコーティングを施すことが望ましい。
【0052】
また、この関連で、「腎細胞癌」とは特に組織学的分類により淡明細胞癌に分類されたものを指す場合がある。
【0053】
本発明を、実施例を用いて以下により詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
【実施例1】
【0054】
腎細胞癌(淡明細胞癌)検体のクラスタリング
BAMCA法の結果に基づく階層的クラスタリング(教師なし法)により、51の淡明細胞型腎細胞癌組織検体を、43検体(クラスターA)と8検体(クラスターB)の2クラスターに分類した(図2)。以下に説明するBAMCA法の実施については、文献(Misawa A. et al., Cancer Research,65:10233−10242,2005;Sugino Y et al.,Oncogene,26:7401−13,2007;Tanaka K et al.,Oncogene,26:6456−68,2007)にも記載されている。
【0055】
腎細胞癌組織と正常腎組織から、フェノール/クロロホルム法によりDNAを調製し、各々のDNAを制限酵素SmaI(メチル化感受性制限酵素;切断後に平滑末端を形成させる)で消化した。この場合、SmaI認識部位がメチル化されている場合には、当該メチル化部位はSmaIで消化されないために、次のステップのXmaI(メチル化非感受性制限酵素;SmaIと同じ配列を認識し、切断後に突出末端を形成させる)で消化される。XmaI切断末端特異的アダプターライゲーションを行い、PCR法で腎細胞癌組織に由来するXmaI断片を蛍光色素Cy3にて標識し、増幅した。一方、正常腎組織に由来するXmaI断片を蛍光色素Cy5にて標識した。蛍光色素での標識は、BioPrime array CGH genomic labeling system(Invitrogen)を用いて行った。アダプターライゲーション及びPCRに用いたオリゴヌクレオチドの配列は、以下の通りである:
Adaptor−L:AGCACTCTCCAGCCTCTCACCGAC(配列番号21)
Adaptor−S:CCGGGTCGGTGA(配列番号22)
PCRはAdaptor−Lと同一の配列を有するプライマーを用いて行った。
【0056】
腎細胞癌組織由来のDNA断片と正常腎組織由来のDNA断片の両者を混合し、4361種類のBACクローンを搭載した高密度CGHアレイ(MCG Whole Genome Array−4500;Inazawa et al.,Cancer Sci.,95(7):559−563,2004)上で競合ハイブリダイゼーション(Comparative Genomic Hybridization)を行った。競合ハイブリダイゼーションは、以下の条件により行った:上記のように蛍光色素で標識したDNA断片を、反復配列をブロックするCot−1DNA(Invitrogen)の存在下にてエタノール沈殿した。DNAをハイブリダイゼーション溶液(ホルムアミド5mL、硫酸デキストラン1g、20×SCCを混合し滅菌水で7mLに調整)に再懸濁し、SDS及び酵母tRNAを加え、75℃にて10分間変性させた。37℃にて30分間インキュベートした後、DNA溶液を自動マイクロアレイハイブリダイゼーション装置(Hyb4、Genomic Solutions社)にセットしたアレイにアプライし、43℃にて48〜72時間インキュベートし、DNA断片をアレイにハイブリダイズさせた。インキュベート終了後、ハイブリダイゼーション装置を用いて、50%ホルムアミド+2×SSC(pH7.0)で45℃、30秒間の洗浄を6回、0.1×リン酸ナトリウムバッファー+NP40で25℃、30秒間の洗浄を2回、0.2×SSCで25℃、30秒間の洗浄を2回、0.1×SSCで25℃、30秒間の洗浄を2回行った。ハイブリダイゼーション装置からアレイを取り出し、0.1×SSCで室温、5分間の洗浄を行った。
【0057】
ハイブリダイゼーションが完了したアレイにおける蛍光を、スキャナ(Axon社のGenePix Personal 4100A)で読み取った後、数値化ソフト(Axon社のGenePix Pro 5.0)によって数値化し、腎細胞癌検体及び対照検体における各BACクローンの蛍光強度比を算出した。
【0058】
ここで、腎細胞癌組織由来DNAにおいて、ある領域の両端のSmaI認識部位がメチル化されていると、当該メチル化部位はSmaIによっては認識されず、当該領域に対応したXmaI断片が生成される。XmaI断片はアダプターライゲーション後のPCRにより標識を伴って増幅され、プローブが生成される。その結果、当該プローブ配列に対応する配列を含むBACクローンを担持するスポットで、Cy3(腎細胞癌)/Cy5(正常対照)の比が上昇する。例えば、この値が1.0以上となることを指標として、癌特異的にメチル化されたDNA断片に一致する配列を含むBACクローンを同定することができる。BAMCA法の過程を、図1に示す。
【0059】
階層的クラスタリング(教師なし法)の詳細は、例えば、宮本定明著「クラスター分析入門−ファジィクラスタリングの理論と応用(森北出版、1999)」などに記載されている。階層的クラスタリング(教師なし法)は、似ているものを集めて分類するデータマイニングの手法のひとつである。階層的クラスタリングでは、まず、N個の対象からなるデータが与えられた場合、1個の対象だけを含むN個のクラスターがある初期状態をつくり出し、対象間の距離(非類似度)からクラスター間の距離を計算し、この距離が最も近い2つのクラスターを逐次併合する。この併合をすべての対象がひとつのクラスターに併合されるまで繰り返すことで階層構造を獲得し、この階層構造をデンドログラムによって表示する。教師なし法は、与えられたデータを外的基準なしに自動的に分類する手法である。
【0060】
この階層的クラスタリング(教師なし法)により、上記のBAMCA法を用いて得られた測定結果を分析し、51の検体をクラスターA及びクラスターBに分類した。非常に簡略化して言えば、これらのクラスターはDNAメチル化パターンの違いにより分類されたと言うことができる。
【0061】
クラスターAとクラスターBについて、臨床病理学的因子(顕微鏡的静脈侵襲、肉眼的腎静脈腫瘍栓及び臨床病期)を比較した(図3)。これらの因子に基づく悪性度では、クラスターBの方がより悪性であり、その差異は統計学的に有意であった。
【0062】
また、これらのクラスターについて、術後生存期間を比較すると、クラスターBの方が顕著に予後が悪かった(図4)。
【0063】
以上の結果から、実施例1でBAMCA法を用いるゲノム領域のDNAメチル化パターンの階層的クラスタリング(教師なし法)から特定されたクラスターA及びBは、臨床的悪性度及び術後生存期間に関して顕著な差異を有することが明らかとなった。このことは、ゲノム領域のDNAメチル化パターンから、組織学的観察からは予測し得ない、腎細胞癌の予後不良リスクを決定することが可能であることを示している。
【実施例2】
【0064】
腎細胞癌関連領域の同定
DNAメチル化パターンの解析により腎細胞癌の予後不良リスクを決定するのに有効なゲノム領域を特定するために、上記51検体の腎細胞癌検体を実施例1で特定した予後良好クラスターA及び予後不良クラスターBに分類するのに有効なBACクローンを同定した。同定の手順は以下の通りである。
(1)はじめに、各検体が予後不良クラスターBに属することを判定するときの「感度」及び「特異性(特異度)」を、以下のように規定した:
感度=既定の判定基準により予後不良リスクが高いと判定される症例数/階層的クラスタリングで実際にクラスターBに属していた症例数×100(%)
特異度=既定の判定基準により予後不良リスクが低いと判定される症例数/階層的クラスタリングで実際にクラスターAに属していた症例数×100(%)。
(2)上記51検体の腎細胞癌検体のうち階層的クラスタリングでクラスターBに振り分けられた症例を予後不良群に分類する際の感度及び特異度が、総合して最も高くなるように、アレイ上の各BACクローンに対して検出値の閾値を設定した。具体的には、アレイ上のすべてのBACクローンに関して、クラスターAに属する43検体とクラスターBに属する8検体の間で、Cy3/Cy5蛍光強度比についてウィルコクソン検定を行った。検定から導き出されたP値を参考にして、両クラスター間に有意差がある約120クローンを抜き出した。それらのクローンについて、蛍光強度比を縦軸にとった散布図を描き、該散布図から予後不良リスク判別の閾値を導いて、各クローンについての判定基準を定めた。
散布図の一例を図5に示す。この中で、例えば、RP11−71H20については、BAMCA法での蛍光測定値のCy3/Cy5比が1.0未満であるとき、クラスターBに属する検体を感度100%、特異度100%で予後不良群に分類することができる。
(3)上記(2)で設定した判定基準を用いた場合、クラスターBに属する症例を予後不良群に分類する際の感度及び特異度が、感度100%、特異性90%以上となったBACクローンを特定した。それらのクローンに含まれるゲノム領域を、腎細胞癌関連領域と称した。
【0065】
同定された腎細胞癌関連領域のBACクローンは、以下の70クローンである:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、RP11−44F3;RP11−14J15、RP11−253O10、RP11−359H18(GenBank登録番号:AC073544)、RP11−260E18(GenBank登録番号:AC024588)、RP11−3D15、RP11−89N14、RP11−110L13、RP11−160D13、RP11−170O16、RP11−319E16(GenBank登録番号:AC006206)、RP11−141N1、RP11−416A14(GenBank登録番号:AL356055)、RP11−126J14、RP11−277E18(GenBank登録番号:AC007536)、RP11−469J7、RP11−213C20、RP11−3J10(GenBank登録番号:AL138752)、RP11−230A13、RP11−18B14、RP11−90J14、RP11−79E22、RP11−87C16、RP11−264N7、RP11−273J10、RP11−80H4、RP11−91E24、RP11−516C1(GenBank登録番号:AC025043)、RP11−3N16(GenBank登録番号:AC011212)、RP11−110I16(GenBank登録番号:AC105178)、RP11−40C6(GenBank登録番号:AL161787)、RP11−80F13、RP11−15C9、RP11−328J12(GenBank登録番号:AC012475)、RP11−140K16、RP11−75H6、RP11−301K17、RP11−139E19(GenBank登録番号:AC009248)、RP11−51O5、RP11−48M7、RP11−22B24、RP11−81D1、RP11−120O11、RP11−59H1(GenBank登録番号:AC007215)、RP11−7G2、RP11−89P8、RP11−128J2、RP11−117N14、RP11−397D12(GenBank登録番号:AL158155)、RP11−14C18(GenBank登録番号:AL159991)、RP11−122K22(GenBank登録番号:AC007489)、RP11−442O1(GenBank登録番号:AC026469)、RP11−120C17、RP11−63P12(GenBank登録番号:AL135924)、RP11−80J16、RP11−429A8(GenBank登録番号:AC073364)、及びRP11−79E11。
【0066】
70クローンについての判定基準
上記(3)で特定した腎細胞癌関連領域70クローンについて、予後不良の判定基準を以下の表1に示す。判定基準の数値は、実施例1で詳述したBAMCA法で得られる蛍光測定値のCy3/Cy5比である。
【0067】
【表1】


【0068】
上記(3)で同定した70クローンについて、上記(2)で設定した判定基準を用いた場合の感度及び特異度を、図6に示す。
【0069】
上記のとおり、感度100%、特異性90%以上で予後不良リスクの高い検体を選定できるように判定基準及び腎細胞癌関連領域を定めているが、特に、RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、及びRP11−44F3の14のBACクローンを用いると、感度100%、特異性100%で判定を行うことができた(図6)。
【0070】
考察
これらの結果は、本実施例に記載の方法により特定された腎細胞癌関連領域に関してDNAメチル化の有無を解析することにより、これらの領域のうちの1つについてのみ検査した場合でさえ、多くの場合予後良好である淡明細胞型腎細胞癌の中から、予後不良な群を非常に高感度かつ特異性高く分類することが可能であることを意味している。
【0071】
すなわち、上記の70クローン又は14クローンに含まれるゲノム領域について、メチル化の有無を検査し、その結果を陽性対照及び陰性対照と比較することにより、腎細胞癌の予後不良リスクを決定することができる。
【0072】
本発明によれば、組織学的観察などの既存の分類基準では検知し得ない、腎摘除術後の腎細胞癌の予後不良リスクを判定することができる。腎細胞癌の治療方法としては腎摘除術が第一選択であるが、転移・再発を早期に発見できれば、それらに対して免疫療法や分子標的治療薬などの奏効が期待できる。よって、本発明により腎摘除術の対象となる大多数の腎細胞癌症例において、予後不良リスクが高い患者にはより精密な転移・再発スクリーニングを行い、その場合には早期発見により治療成績を向上させ得ると期待され、一方で、予後不良リスクが低い患者では転移・再発スクリーニングの負担を軽減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、組織学的観察などの既存の分類基準では検知し得ない、腎細胞癌の予後不良リスクを判定することができる。したがって、本発明は医療・健康科学分野で用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】BAMCA法の概略を示す模式図である。
【図2】淡明細胞型腎細胞癌検体についての腎細胞癌関連領域のDNAメチル化パターンに基づく階層的クラスタリング(教師なし法)を示す図である。
【図3】DNAメチル化状態に基づく淡明細胞型腎細胞癌のクラスター分類が、腎細胞癌症例の臨床病理的悪性度と相関することを示す表である。
【図4】DNAメチル化状態に基づく淡明細胞型腎細胞癌のクラスター分類が、腎細胞癌症例の予後と相関することを示すグラフである。
【図5】各BACクローンにおける、予後不良クラスターの判定のための判断基準を示す図である。BAMCA法における蛍光強度比の散布図として示されている。
【図6】各BACクローンを用いる予後不良群の判定での感度及び特異性を表す表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
(a)被験体の腎組織由来のゲノムDNAを準備するステップ、
(b)(a)で準備したゲノムDNAについて、腎細胞癌関連領域でのDNAメチル化の有無を調べるステップ、及び
(c)ステップ(b)で明らかになったDNAメチル化パターンから、該被験体が予後不良群に分類されるか否かを決定するステップ
を含む、腎細胞癌の予後不良リスクを検出する方法。
【請求項2】
DNAメチル化を、BAMCA法によって調べる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記腎細胞癌関連領域が、少なくとも、BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、及びRP11−44F3に含まれるゲノム領域を包含する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記腎細胞癌関連領域が、少なくとも、BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、RP11−44F3;RP11−14J15、RP11−253O10、RP11−359H18(GenBank登録番号:AC073544)、RP11−260E18(GenBank登録番号:AC024588)、RP11−3D15、RP11−89N14、RP11−110L13、RP11−160D13、RP11−170O16、RP11−319E16(GenBank登録番号:AC006206)、RP11−141N1、RP11−416A14(GenBank登録番号:AL356055)、RP11−126J14、RP11−277E18(GenBank登録番号:AC007536)、RP11−469J7、RP11−213C20、RP11−3J10(GenBank登録番号:AL138752)、RP11−230A13、RP11−18B14、RP11−90J14、RP11−79E22、RP11−87C16、RP11−264N7、RP11−273J10、RP11−80H4、RP11−91E24、RP11−516C1(GenBank登録番号:AC025043)、RP11−3N16(GenBank登録番号:AC011212)、RP11−110I16(GenBank登録番号:AC105178)、RP11−40C6(GenBank登録番号:AL161787)、RP11−80F13、RP11−15C9、RP11−328J12(GenBank登録番号:AC012475)、RP11−140K16、RP11−75H6、RP11−301K17、RP11−139E19(GenBank登録番号:AC009248)、RP11−51O5、RP11−48M7、RP11−22B24、RP11−81D1、RP11−120O11、RP11−59H1(GenBank登録番号:AC007215)、RP11−7G2、RP11−89P8、RP11−128J2、RP11−117N14、RP11−397D12(GenBank登録番号:AL158155)、RP11−14C18(GenBank登録番号:AL159991)、RP11−122K22(GenBank登録番号:AC007489)、RP11−442O1(GenBank登録番号:AC026469)、RP11−120C17、RP11−63P12(GenBank登録番号:AL135924)、RP11−80J16、RP11−429A8(GenBank登録番号:AC073364)、及びRP11−79E11に含まれるゲノム領域を包含する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記腎細胞癌関連領域が、BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、RP11−44F3;RP11−14J15、RP11−253O10、RP11−359H18(GenBank登録番号:AC073544)、RP11−260E18(GenBank登録番号:AC024588)、RP11−3D15、RP11−89N14、RP11−110L13、RP11−160D13、RP11−170O16、RP11−319E16(GenBank登録番号:AC006206)、RP11−141N1、RP11−416A14(GenBank登録番号:AL356055)、RP11−126J14、RP11−277E18(GenBank登録番号:AC007536)、RP11−469J7、RP11−213C20、RP11−3J10(GenBank登録番号:AL138752)、RP11−230A13、RP11−18B14、RP11−90J14、RP11−79E22、RP11−87C16、RP11−264N7、RP11−273J10、RP11−80H4、RP11−91E24、RP11−516C1(GenBank登録番号:AC025043)、RP11−3N16(GenBank登録番号:AC011212)、RP11−110I16(GenBank登録番号:AC105178)、RP11−40C6(GenBank登録番号:AL161787)、RP11−80F13、RP11−15C9、RP11−328J12(GenBank登録番号:AC012475)、RP11−140K16、RP11−75H6、RP11−301K17、RP11−139E19(GenBank登録番号:AC009248)、RP11−51O5、RP11−48M7、RP11−22B24、RP11−81D1、RP11−120O11、RP11−59H1(GenBank登録番号:AC007215)、RP11−7G2、RP11−89P8、RP11−128J2、RP11−117N14、RP11−397D12(GenBank登録番号:AL158155)、RP11−14C18(GenBank登録番号:AL159991)、RP11−122K22(GenBank登録番号:AC007489)、RP11−442O1(GenBank登録番号:AC026469)、RP11−120C17、RP11−63P12(GenBank登録番号:AL135924)、RP11−80J16、RP11−429A8(GenBank登録番号:AC073364)、及びRP11−79E11に含まれるゲノム領域からなる群より選択される1つ以上のゲノム領域である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記腎細胞癌関連領域が、BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、及びRP11−44F3に含まれるゲノム領域からなる群より選択される1つ以上のゲノム領域である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、RP11−44F3;RP11−14J15、RP11−253O10、RP11−359H18(GenBank登録番号:AC073544)、RP11−260E18(GenBank登録番号:AC024588)、RP11−3D15、RP11−89N14、RP11−110L13、RP11−160D13、RP11−170O16、RP11−319E16(GenBank登録番号:AC006206)、RP11−141N1、RP11−416A14(GenBank登録番号:AL356055)、RP11−126J14、RP11−277E18(GenBank登録番号:AC007536)、RP11−469J7、RP11−213C20、RP11−3J10(GenBank登録番号:AL138752)、RP11−230A13、RP11−18B14、RP11−90J14、RP11−79E22、RP11−87C16、RP11−264N7、RP11−273J10、RP11−80H4、RP11−91E24、RP11−516C1(GenBank登録番号:AC025043)、RP11−3N16(GenBank登録番号:AC011212)、RP11−110I16(GenBank登録番号:AC105178)、RP11−40C6(GenBank登録番号:AL161787)、RP11−80F13、RP11−15C9、RP11−328J12(GenBank登録番号:AC012475)、RP11−140K16、RP11−75H6、RP11−301K17、RP11−139E19(GenBank登録番号:AC009248)、RP11−51O5、RP11−48M7、RP11−22B24、RP11−81D1、RP11−120O11、RP11−59H1(GenBank登録番号:AC007215)、RP11−7G2、RP11−89P8、RP11−128J2、RP11−117N14、RP11−397D12(GenBank登録番号:AL158155)、RP11−14C18(GenBank登録番号:AL159991)、RP11−122K22(GenBank登録番号:AC007489)、RP11−442O1(GenBank登録番号:AC026469)、RP11−120C17、RP11−63P12(GenBank登録番号:AL135924)、RP11−80J16、RP11−429A8(GenBank登録番号:AC073364)、及びRP11−79E11のいずれか1以上を含む、腎細胞癌の予後不良リスクを決定するためのアレイ。
【請求項8】
BACクローン:RP11−71H20、RP11−90M23(GenBank登録番号:AC092417)、RP11−90B23、RP11−79C6(GenBank登録番号:AC112204)、RP11−110L1(GenBank登録番号:AL449305)、RP11−508N16、RP11−42B19(GenBank登録番号:AL358791)、RP11−182P7、RP11−87P3(GenBank登録番号:AC016042)、RP11−408L20(GenBank登録番号:AC067746)、RP11−453D5、RP11−444F15、RP11−3A9、及びRP11−44F3のいずれか1以上を含む、請求項7に記載のアレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−63413(P2010−63413A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233491(P2008−233491)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究、「健康安心プログラム/個別化医療の実現のための技術融合バイオ診断技術開発/染色体解析技術開発/癌の染色体構造異常の解析と診断のコンテンツ開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(803000056)財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 (341)
【出願人】(504179255)国立大学法人 東京医科歯科大学 (228)
【Fターム(参考)】