説明

C型肝炎ウイルスに対する組換え抗体、並びにそれを得る方法及び使用する方法

キメラ抗体を含めて、C型肝炎(HCV)抗原タンパク質に特異的な組換え抗体を提供する。組換え抗体は、HCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合し、したがって、例えば、HCV検出用診断試薬として、及び/又はHCV検出アッセイにおける標準化試薬若しくは正の対照試薬としての使用に適切である。組換え抗体は、HCV感染症の治療又は予防に使用することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、組換え抗体の分野に関し、特に、C型肝炎ウイルス(HCV)に対するキメラ抗体を含めた組換え抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)は、現在、輸血後非A非B(NANB)肝炎の主因とされている。HCVは、フラビウイルス及びペスチウイルスと類似点を有する一本鎖プラス鎖RNAウイルスであり(Miller RH and Purcell RH. Proc Natl Acad Sci. (1991) 87, 2057; Weiner AJ, et al. Virology (1990) 180, 842)、全世界に分布する。HCVは、約3000個のアミノ酸のポリタンパク質前駆体をコードする約10,000ヌクレオチドのプラス鎖RNAゲノムを含む。ポリタンパク質は、細胞及びウイルスプロテアーゼによって成熟構造及び非構造タンパク質に同時翻訳及び翻訳後処理される。構造タンパク質としては、コアタンパク質、エンベロープ糖タンパク質E1及びE2などが挙げられる。非構造タンパク質としては、NS2−3自己プロテアーゼ、NS3セリンプロテアーゼ、NS3のカルボキシ末端2/3中のNTPase/RNAヘリカーゼドメイン、NS4Aポリペプチド、NS4B及びNS5Aタンパク質、NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼなどが挙げられる。HCVゲノムは、不均質であり、6つの主要な遺伝子型(1−6)に分類され、そのヌクレオチド及び推定アミノ酸配列は、ゲノム全体にわたって約30%変動する(Neville, J.A. et al., J. Clin. Microbiol., 35: 3062−3070(1997)参照)。
【0003】
HCV感染は、現在、PCRによるウイルスRNAの直接検出によって、又は(一般に、HCV構造コアタンパク質又は非構造NS3タンパク質に対する)抗HCV抗体の検出によって、診断される。より最近では、HCV抗原アッセイが開発され、抗体を検出するよりも速く試料中のHCVコアタンパク質抗原を検出することができることを示した。研究によれば、最初のウイルス血症性出血から最初のHCV抗原陽性出血までの平均時間は2.0日と推定され、最初のHCV抗体陽性出血までの平均時間は50.8日と推定される(Courouce AM, et al. Transfusion, (2000) 40, 1198−1202)。
【0004】
抗HCV抗体を用いた現在利用可能なHCV試験キットは、モノクローナル抗体を使用する。モノクローナル抗体(mAb)は、近年ますます重要な市販試薬となってきており(Smith, K.A., et al., J. Clin. Pathol., 57: 912−917(2004)参照)、特に診断学及び治療学の領域では、mAbが示す極めて高度な定方向性結合がその成功に寄与している。
【0005】
組換えDNA技術における最近の進歩によって、mAbをコードする配列をクローン化し、抗体又は抗体断片を組換えタンパク質として発現させることが可能になった。組換え抗体は、元のハイブリドーマよりも組換え構築物からより一貫して、より確実に製造できることが多い。組換えDNA技術によって、所望の非ヒトmAbの重鎖及び軽鎖可変領域とヒト定常領域を組み合わせて、キメラ抗体を作製することもできる(例えば、米国特許第4,816,567号及び同6,331,415号参照)。キメラ抗体は、元の非ヒトモノクローナル抗体の特異性及び親和性を保持するが、治療投与したときにヒト抗ネズミ抗体(HAMA)反応が低下し、ヒト免疫グロブリンを測定する既存の診断アッセイ形式においても反応し得る。
【0006】
HCVに対するモノクローナル及び組換え抗体は、記述されている。例えば、米国特許第5,595,868号、同7,049,060号及び米国特許出願公開第2003/0148333号は、HCVコアタンパク質に対するモノクローナル抗体を記載し、米国特許出願公開第2004/0208887号は、HCV E1タンパク質に対するモノクローナル抗体を記載し、米国特許第5,308,750号及び同7,091,324号は、HCV E2タンパク質に対するモノクローナル抗体を記載し、米国特許第5,753,430号は、HCVコアタンパク質、NS3タンパク質及びNS4タンパク質に対するモノクローナル抗体を記載する。HCV NS3タンパク質に特異的なヒト組換え抗体、特にヒト抗体由来のFab断片は、米国特許出願公開第2004/0214994号に記載されている。HCVの超可変領域1(HVR1)に対するキメラ抗体は記述されている(Li, C. and Allain, J−P., J. Gen. Virol., 86: 1709−1716(2005))。HVR1は、E2タンパク質のN末端における27個の残基からなる高度変異領域である。
【0007】
「異種」キメラ抗体を免疫測定法の品質管理試薬又は較正用物質として使用することは記述されている(Hamilton, R.G., Ann. Biol. Clin., 48: 473−477(1990); Hamilton, R.G., Ann. Biol. Clin., 49: 242−248(1991); Naess, L.M., et al., J. of Immunol. Methods, 196: 41−49; Schuurman, J., et al., J. Allergy Clin. Immunol., 99: 545−550(1997))。本明細書では異種とは、キメラ抗体が、抗体検出アッセイに用いられる抗原とは無関係な抗原に結合することを指す。ヒト抗体を測定するアッセイ及びキットにおける較正用物質又は正の対照としての、同じ又は「相同」抗原に結合する組換えマウス−ヒトキメラ抗体、特にトキソプラズマ ゴンヂ(Toxoplasma gondii)に対する組換えマウス−ヒトキメラ抗体の使用も記述されている(米国特許第6,015,662号及びHackett, J. Jr., et al., J. Clin. Microbiol., 36: 1277−1284))。
【0008】
さらに、多くのHCV免疫測定法は、HCV感染患者の血液試料を使用して、HCV感受性パネルを調製する。感受性パネルなどの品質管理試薬は、特定のエピトープに対する抗体の存在に関してスクリーニングされたヒト血しょう/血清である。しかし、ヒト血清/血しょうの使用は、高まった法規制上の問題、高力価及び特異性を有する大容量を供給する困難さ、ロット間変動、特性分析に関する限界、並びにコストを含めて、幾つかの重大な欠点を有する。
【0009】
この背景情報は、出願人が考える公知情報を本発明に関連し得るようにする目的で提供するものである。前述の情報のいずれかが本発明に対する従来技術を構成することを必ずしも認めるものではなく、構成すると解釈すべきでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,816,567号明細書
【特許文献2】米国特許第6,331,415号明細書
【特許文献3】米国特許第5,595,868号明細書
【特許文献4】米国特許第7,049,060号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0148333号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0208887号明細書
【特許文献7】米国特許第5,308,750号明細書
【特許文献8】米国特許第7,091,324号明細書
【特許文献9】米国特許第5,753,430号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2004/0214994号明細書
【特許文献11】米国特許第6,015,662号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Miller RH and Purcell RH. Proc Natl Acad Sci. (1991) 87, 2057
【非特許文献2】Weiner AJ, et al. Virology (1990) 180, 842
【非特許文献3】Neville, J.A. et al., J. Clin. Microbiol., 35: 3062−3070(1997)
【非特許文献4】Courouce AM, et al. Transfusion, (2000) 40, 1198−1202
【非特許文献5】Smith, K.A., et al., J. Clin. Pathol., 57: 912−917(2004)
【非特許文献6】Li, C. and Allain, J−P., J. Gen. Virol., 86: 1709−1716(2005)
【非特許文献7】Hamilton, R.G., Ann. Biol. Clin., 48: 473−477(1990)
【非特許文献8】Hamilton, R.G., Ann. Biol. Clin., 49: 242−248(1991)
【非特許文献9】Naess, L.M., et al., J. of Immunol. Methods, 196: 41−49
【非特許文献10】Schuurman, J., et al., J. Allergy Clin. Immunol., 99: 545−550(1997)
【非特許文献11】Hackett, J. Jr., et al., J. Clin. Microbiol., 36: 1277−1284)
【発明の概要】
【0012】
本発明の一目的は、キメラ抗体を含めて、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する組換え抗体、及びその使用を提供することである。本発明の一態様によれば、キメラ抗体を含めて、HCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合可能である1種類以上の組換え抗体を含む、免疫診断試薬を提供する。キメラ抗体を含めた1種類以上の組換え抗体は、HCVコアタンパク質に特異的な組換え抗体、HCV E2タンパク質に特異的な組換え抗体、HCV NS3タンパク質に特異的な組換え抗体、HCV NS4タンパク質に特異的な組換え抗体、及びHCV NS5タンパク質に特異的な組換え抗体からなる群から選択してもよい。
【0013】
本発明の別の一態様によれば、キメラ抗体を含めて、HCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合する組換え抗体を提供する。該診断関連領域は、HCVコアタンパク質、HCV NS3タンパク質、HCV NS4タンパク質及びHCV NS5タンパク質からなる群から選択してもよい。
【0014】
本発明の別の一態様によれば、HCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合するキメラ抗体を発現する能力のある細胞系を提供する。該細胞系は、HCVコアCHO 201−603−486−333、HCVコアCHO 14−153−229sc152、HCV NS3 CHO 17−903−132sc171、HCV NS4 CHO E99H6C34sc203及びHCV NS5 CHO 48−311−271−455からなる群から選択してもよい。C型肝炎ウイルスタンパク質の診断関連領域に特異的に結合するマウスモノクローナル抗体を発現する細胞系も提供する。該細胞系は、抗HCVコア201−603−195、抗HCVコア14−153−462、抗HCV NS3 17−903−127、抗HCV NS4 E99H6C34及び抗HCV NS5 48−311−387からなる群から選択してもよい。
【0015】
本発明の別の一態様によれば、組換えキメラ抗体を含めて、HCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合可能である1種類以上の組換え抗体を含んでもよい免疫診断試薬を感受性パネルとして使用することを含む、HCV抗体検出アッセイを標準化する方法を提供する。かかるパネルにおいては、1種類以上の組換え抗体を、HCVコアタンパク質に特異的な組換え抗体(例えば、キメラ抗体)、HCV E2タンパク質に特異的な組換え抗体(例えば、キメラ抗体)、HCV NS3タンパク質に特異的な組換え抗体(例えば、キメラ抗体)、HCV NS4タンパク質に特異的な組換え抗体(例えば、キメラ抗体)、及びHCV NS5タンパク質に特異的な組換え抗体(例えば、キメラ抗体)からなる群から選択してもよい。
【0016】
本発明の別の一態様によれば、HCV抗原を含む疑いのある試料などの試験試料を、組換えキメラ抗体を含めて、その各々がHCV抗原に特異的に結合可能である1種類以上の組換え抗体を含む免疫診断試薬と接触させることを含む、HCV抗原の存在を検出する方法を提供する。接触は、組換え抗体:抗原複合体の形成を可能にする条件下で行ってもよい。また、方法は、形成された任意の組換え抗体:抗原複合体を検出することを含んでもよい。
【0017】
本発明の別の一態様によれば、HCVに対する抗体を含む疑いのある試料などの試験試料を、HCV抗体に特異的な1種類以上の抗原と接触させることを含む、HCV抗体の存在を検出する方法を提供する。この接触は、抗原:抗体複合体の形成を可能にする条件下で行ってもよく、また、方法は、抗原:抗体複合体を検出することを含んでもよい。さらに、方法は、組換えキメラ抗体を含めて、1種類以上の組換え抗体を含む免疫診断試薬を使用することを含んでもよく、抗体の各々は、例えば、正の対照又は標準化試薬として、方法に使用される抗原の1種類に特異的に結合可能である。
【0018】
本発明の別の一態様によれば、組換えキメラ抗体を含めて、その各々がHCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合可能である1種類以上の組換え抗体を含む免疫診断試薬を含む、HCV検出用診断キットを提供する。かかるキットにおいては、1種類以上の組換え抗体を、HCVコアタンパク質に特異的な組換え抗体(例えば、キメラ抗体)、HCV E2タンパク質に特異的な組換え抗体(例えば、キメラ抗体)、HCV NS3タンパク質に特異的な組換え抗体(例えば、キメラ抗体)、HCV NS4タンパク質に特異的な組換え抗体(例えば、キメラ抗体)、及びHCV NS5タンパク質に特異的な組換え抗体(例えば、キメラ抗体)からなる群から選択してもよい。
【0019】
本発明の更に別の一態様によれば、HCVタンパク質エピトープに特異的に結合する抗体によって結合される、HCVタンパク質エピトープ内のアミノ酸残基を特定する方法を提供する。方法は、(a)宿主細胞(すなわち、酵母細胞)の表面に提示された一連のペプチドを含む酵母ディスプレイライブラリーを得る段階であって、ペプチドがエピトープのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有し、エピトープの個々のアミノ酸がアラニンで順次置換されている段階、(b)酵母ディスプレイライブラリーを、エピトープに特異的に結合可能である抗体と、抗体とエピトープの結合を可能にする条件下で接触させる段階、及び(c)段階(b)において前記抗体によって結合されない、酵母細胞上に提示されたペプチドを特定する段階を含んでもよく、抗体結合の欠如によって、酵母によって提示されたペプチドが、エピトープ中の前記抗体によって結合されるアミノ酸位置にアラニン残基を含むことが示される。
【0020】
本発明のこれら及び別の特徴、態様、目的及び実施形態は、以下の詳細な説明によってより明白になるはずである。かかる特徴、態様、目的及び実施形態の例示である添付図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態において抗HCVコアキメラ抗体(HCVコア201−603−486−333)の調製に用いられる発現プラスミドのプラスミドマップを示す図である。
【図2】図2のA−Dは、抗HCVコアキメラ抗体(HCVコア201−603−486−333)の軽鎖及び重鎖可変領域の本発明の一実施形態における核酸及びアミノ酸配列を示す図であり、下線は、それぞれの相補性決定領域(CDR)を示す。A:V核酸配列(配列番号7)、B:V核酸配列(配列番号8)、C:Vアミノ酸配列(配列番号1)及びD:Vアミノ酸配列(配列番号2)。
【図3】本発明の一実施形態において抗HCV NS3キメラ抗体(HCV NS3 CHO 17−903−132sc171)の調製に用いられる発現プラスミドのプラスミドマップを示す図である。
【図4】図4のA−Dは、抗HCV NS3キメラ抗体(HCV NS3 CHO 17−903−132sc171)の軽鎖及び重鎖可変領域の本発明の一実施形態における核酸及びアミノ酸配列を示す図であり、下線は、それぞれの相補性決定領域(CDR)を示す。A:V核酸配列(配列番号15)、B:V核酸配列(配列番号16)、C:Vアミノ酸配列(配列番号9)及びD:Vアミノ酸配列(配列番号10)。
【図5】本発明の一実施形態において抗HCV NS4キメラ抗体(HCV NS4 CHO E99H6C34sc203)の調製に用いられる発現プラスミドのプラスミドマップを示す図である。
【図6】図6のA−Dは、抗HCV NS4キメラ抗体(HCV NS4 CHO E99H6C34sc203)の軽鎖及び重鎖可変領域の本発明の一実施形態における核酸及びアミノ酸配列を示す図であり、下線は、それぞれの相補性決定領域(CDR)を示す。A:V核酸配列(配列番号23)、B:V核酸配列(配列番号24)、C:Vアミノ酸配列(配列番号17)及びD:Vアミノ酸配列(配列番号18)。
【図7】本発明の一実施形態において抗HCV NS5キメラ抗体(HCV NS5 CHO 48−311−271−455)の調製に用いられる発現プラスミドのプラスミドマップを示す図である。
【図8】図8のA−Dは、抗HCV NS5キメラ抗体(HCV NS5 CHO 48−311−271−455)の軽鎖及び重鎖可変領域の本発明の一実施形態における核酸及びアミノ酸配列を示す図であり、下線は、それぞれの相補性決定領域(CDR)を示す。A:V核酸配列(配列番号31)、B:V核酸配列(配列番号32)、C:Vアミノ酸配列(配列番号25)及びD:Vアミノ酸配列(配列番号26)。
【図9】図9のA−Dは、本発明の一実施形態においてコア、NS3、NS4及びNS5キメラ抗体によって結合されるエピトープを示す図である。Aは、抗HCVコアキメラ抗体(HCVコア201−603−486−333)によって結合されるエピトープ(配列番号34)を示し、Bは、抗HCV NS3キメラ抗体(HCV NS3 CHO 17−903−132sc171)によって結合されるエピトープ(配列番号35)を示し、Cは、抗HCV NS4キメラ抗体(HCV NS4 CHO E99H6C34sc203)によって結合されるエピトープ(配列番号36)を示し、Dは、抗HCV NS5キメラ抗体(HCV NS5 CHO 48−311−271−455)によって結合されるエピトープ(配列番号37)を示し、それぞれのキメラ抗体によって結合される特異的残基には下線が引かれ、付番されている。
【図10】抗HCVコアキメラ抗体(「コア」、HCVコア201−603−486−333)、抗HCV NS3キメラ抗体(「NS3」、HCV NS3 CHO 17−903−132sc171)、抗HCV NS4キメラ抗体(「NS4」、HCV NS4 CHO E99H6C34sc203)及び抗HCV NS5キメラ抗体(「NS5」、HCV NS5 CHO 48−311−271−455)についての3週齢培養物のHPLC分析によって評価した典型的な研究開発規模での平均キメラ抗体産生を示すグラフである(すなわち生細胞は約20−10%であった。)。
【図11】図11のA−Dは、抗HCVコアキメラ抗体(HCVコア14−153−229sc152)の軽鎖及び重鎖可変領域の本発明の一実施形態における核酸及びアミノ酸配列を示す図であり、下線は、それぞれの相補性決定領域(CDR)を示す。A:V核酸配列(配列番号40)、B:V核酸配列(配列番号41)、C:Vアミノ酸配列(配列番号38)及びD:Vアミノ酸配列(配列番号39)。
【図12】本発明の一実施形態において抗HCVコアキメラ抗体(HCVコア14−153−229sc152)の調製に用いられる発現プラスミドのプラスミドマップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、とりわけ、キメラ抗体を含めて、C型肝炎(HCV)抗原タンパク質に特異的な組換え抗体を提供する。本発明の一実施形態によれば、キメラ抗体を含めた組換え抗体は、HCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合し、したがって、例えば、HCV検出用診断試薬として、及び/又はHCV検出アッセイにおける標準化試薬若しくは正の対照試薬としての使用に適切である。
【0023】
したがって、本発明は、キメラ抗体を含めて、1種類以上の組換え抗体を含み、各抗体がHCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合可能である、免疫診断試薬も規定する。組換え抗体は、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体断片などであり得る。別の一実施形態においては、免疫診断試薬は、キメラ抗体を含めて、2種類以上の組換え抗体を含む。免疫診断試薬に使用される抗体は、免疫診断試薬が複数のHCV抗原を検出可能であるように、異なるHCV抗原タンパク質に各々特異的であってもよい。免疫診断試薬は、HCVコアタンパク質に特異的な組換え抗体、HCV E2タンパク質に特異的な組換え抗体、HCV NS3タンパク質に特異的な組換え抗体、HCV NS4タンパク質に特異的な組換え抗体、及びHCV NS5タンパク質に特異的な組換え抗体からなる群から選択される、HCVタンパク質に特異的な1種類以上又は2種類以上の組換え抗体を含んでもよい。
【0024】
一実施形態においては、本発明は、例えばヒト血清の代わりに、HCV検出アッセイにおける標準化試薬としての免疫診断試薬の使用を規定する。これに関連して、免疫診断試薬を使用して、例えば、現在及び将来のHCV抗原検出アッセイの性能を評価し、標準化してもよい。
【0025】
別の一実施形態においては、本発明は、さらに、HCV感染症の治療又は予防における組換え抗体の使用を規定する。
【0026】
本発明のこれら及び追加の実施形態、特徴、態様、説明図及び実施例を以下の項で更に記述する。特に断らない限り、本明細書において使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。
【0027】
定義
本明細書では「組換え抗体」又は「複数の組換え抗体」という用語は、組換え技術によって1種類以上のモノクローナル抗体の全部又は一部をコードする核酸配列を適切な発現ベクターにクローニングすること、及び続いて適切な宿主細胞中で抗体を発現することを含む1つ以上の段階によって調製された抗体を指す。したがって、この用語は、モノクローナル抗体、モノクローナル抗体断片を含めた抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体(完全又は部分ヒト化)、抗体断片から形成される多重特異性又は多価構造、及び二機能性抗体である、組換え産生された抗体を含むが、これらだけに限定されない。
【0028】
本明細書では「抗体断片」又は「複数の抗体断片」という用語は、完全抗体の抗原結合部位又は可変領域を含む、完全抗体の一部を指し、該一部は、完全抗体のFc領域の定常重鎖ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプに応じてC2、C3及びC4)を含まない。抗体断片の例としては、Fab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、F(ab’)断片、Fv断片、二重特異性抗体、単鎖Fv(scFv)分子、1個の軽鎖可変ドメインしか含まない単鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3個のCDRを含む単鎖ポリペプチド、1個の重鎖可変領域しか含まない単鎖ポリペプチド、及び重鎖可変領域の3個のCDRを含む単鎖ポリペプチドが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0029】
本明細書では「キメラ抗体」(又は「cAb」)という用語は、一宿主種由来の抗体定常領域の少なくとも一部と結合した別の宿主種由来の抗体の重鎖及び軽鎖可変領域の全部又は一部を含むポリペプチドを指す。
【0030】
本明細書では「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体の改変された可変領域を含むポリペプチドを指し、可変領域の一部は、非ヒト種由来の対応する配列で置換されており、改変された可変領域は、ヒト抗体の定常領域の少なくとも一部に結合している。一実施形態においては、可変領域の一部は、相補性決定領域(CDR)の全部又は一部である。この用語は、ハイブリッド抗体が所望の生物活性(すなわち、HCV抗原タンパク質に特異的に結合する能力)を示す限り、起源の種、タンパク質タイプ、免疫グロブリンクラス又はサブクラスの指定にかかわらず、非ヒト抗体の可変領域又は1個以上のCDRを異種タンパク質と接合することによって産生されるハイブリッド抗体も含む。
【0031】
本明細書では「二機能性抗体」という用語は、一抗原性部位に対して特異性を有する第1の腕と、異なる抗原性部位に対して特異性を有する第2の腕とを含む抗体を指す。すなわち、二機能性抗体は二重特異性を有する。
【0032】
本明細書では、HCVタンパク質の領域に関連した「診断関連」という用語は、単独で、又はHCVの別の診断関連領域と組み合わせて、それを検出することによって、6つの主要なHCV遺伝子型(例えば、Neville et al.、同書)の少なくとも3つを検出することが可能になる、タンパク質の領域を指す。診断関連領域の例としては、当分野で公知の免疫優性領域、及び本明細書に記載の領域などの領域が挙げられる。
【0033】
本明細書では「エピトープ」、「複数のエピトープ」又は「目的エピトープ」という用語は、認識され、その特異的結合相手の相補的部位に結合可能である、任意の分子上の部位を指す。該分子と特異的結合相手は、特異的結合対の一部である。例えば、エピトープは、ポリペプチド、タンパク質、ハプテン、(糖脂質、糖タンパク質、リポ多糖など、ただしこれらだけに限定されない)炭水化物抗原又は多糖であり得、その特異的結合相手は、抗体であり得るが、これだけに限定されない。典型的には、エピトープは、より大きい抗原性断片(すなわち、抗体に結合可能な領域又は断片)内に含まれ、特異的結合相手に接触することが知られている正確な残基を指す。抗原性断片は、1個を超えるエピトープを含み得る。
【0034】
本明細書では、特異的結合対(例えば、抗原と抗体)のメンバー間の相互作用に関連した「特異的」又は「特異性」とは、相互作用の選択的反応性を指す。「に特異的に結合する」という句及びその類似用語は、HCVタンパク質に特異的に結合するが、別の実体には特異的に結合しない抗体の能力を指す。HCVタンパク質に特異的に結合する抗体又は抗体断片は、例えば、診断的免疫測定法(例えば、放射性免疫測定法(「RIA」)及び酵素結合免疫吸着検定法(「ELISA」)(例えば、Paul, ed., Fundamental Immunology, 2nd ed., Raven Press, New York, 332−336ページ(1989)参照)、BIAcore(登録商標)(生体分子間相互作用解析、BIAcore International AB、Uppsala、Swedenから入手可能な手段(instrument))、KinExA(登録商標)(Sapidyne Instruments(Boise、Idaho)から入手可能なKinetic Exclusion Assay)、又は当業者に公知の他の技術によって、特定することができる。
【0035】
本明細書では「平衡解離定数」又は「K」という用語は、区別なく使用され、解離速度定数(koff)を会合速度定数(kon)で除算して得られる値を指す。会合速度定数、解離速度定数及び平衡解離定数は、抗原に対する抗体の結合親和性を表すのに用いられる。これらの定数を決定する方法は、当分野で周知である。例えば、Biacore(登録商標)又はKinExA(登録商標)アッセイを使用することができる。
【0036】
本明細書に記載のように、免疫測定法は、例えば、較正用物質、対照及び感受性パネルを含めて、ただしこれらだけに限定されない、「品質管理試薬」を含む。「較正用物質」又は「標準」は、典型的には、抗体濃度の内挿のための較正(標準)曲線を設定するために(例えば、1種類以上又は複数)使用される。単一の較正用物質は、正/負のカットオフ付近で使用してもよい。複数の較正用物質(すなわち、1種類を超える較正用物質、又は可変量の較正用物質)は、「感受性パネルを含むように組み合わせて使用することができる。「正の対照」は、アッセイ性能特性を確立するために使用され、試薬(例えば、抗原)の完全性の有用な指標である。
【0037】
本明細書では、核酸又はアミノ酸配列に関連した「実質的に同一」という用語は、例えば下記方法を用いて、最適に整列させたときに、核酸又はアミノ酸配列が、定義された第2の核酸又はアミノ酸配列(すなわち、「基準配列」)と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列相同性を有することを示す。「実質的同一性」は、完全長配列、エピトープ又は免疫原性ペプチド、機能ドメイン、コード及び/又は制御配列、エキソン、イントロン、プロモーター、ゲノム配列などの配列の種々のタイプ及び長さを指すのに使用することができる。2個のアミノ酸又は核酸配列間の同一パーセントは、当業者の技術範囲内の種々の方法で、例えば、Smith Watermanアラインメント(Smith, T.F. and M.S. Waterman (1981) J Mol Biol 147: 195−7)、GeneMatcher Plus(商標)、Schwarz and Dayhof (1979) Atlas of Protein Sequence and Structure, Dayhof, M.O., Ed pp353−358に組み込まれた「BestFit」(Smith and Waterman, Advances in Applied Mathematics, 482−489(1981))、BLASTプログラム(Basic Local Alignment Search Tool(Altschul, S.F., W. Gish, et al. (1990) J Mol Biol 215: 403−10)並びにBLAST−2、BLAST−P、BLAST−N、BLAST−X、WU−BLAST−2、ALIGN、ALIGN−2、CLUSTAL及びMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを含めたその変形物などの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを用いて、決定することができる。また、当業者は、比較する配列の長さ全体にわたって最大のアラインメントを得るのに必要なアルゴリズムを含めて、アラインメントを測定する適切なパラメータを決定することができる。一般に、アミノ酸配列の場合、比較配列の長さは、少なくとも約10アミノ酸である。当業者は、実際の長さが比較する配列の全長に依存し、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、若しくは少なくとも約350アミノ酸であり得、又はアミノ酸配列の完全長であり得ることを理解されたい。核酸の場合、比較配列の長さは、一般に、少なくとも約25ヌクレオチドであるが、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約550、少なくとも約600、少なくとも約650、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、若しくは少なくとも約1000ヌクレオチドでもよく、又は核酸配列の完全長でもよい。
【0038】
「に対応している(corresponding to)」又は「に対応する(corresponds to)」という用語は、核酸配列が基準核酸配列の全部又は一部と同一であることを示す。「に相補的」という用語は、本明細書では、核酸配列が基準核酸配列の相補鎖の全部又は一部と同一であることを示すのに用いる。例として、核酸配列「TATAC」は、基準配列「TATAC」に対応し、基準配列「GTATA」と相補的である。
【0039】
別段の記載がない限り、すべての核酸配列を5’から3’方向に記述し、すべてのアミノ酸配列をアミノからカルボキシ末端方向に記述する。
【0040】
本明細書では、「約」という用語は、示した値から約a+/−10%の変動を指す。かかる変動は、具体的に言及したか否かにかかわらず、本明細書に示す任意の所与の値に常に含まれることを理解されたい。
【0041】
1. 免疫診断試薬
本発明の免疫診断試薬は、組換えキメラ抗体を含めて、HCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合する1種類以上の組換え抗体を含む。したがって、一実施形態においては、本発明によって提供される免疫診断試薬は、HCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合可能である単一のキメラ抗体を含む。別の実施形態においては、免疫診断試薬は、HCVタンパク質の診断関連領域(例えば、同じ領域又は異なる領域)に各々特異的に結合可能である複数のキメラ抗体を含む。複数のキメラ抗体の1種類以上は、同じHCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合可能であり得る。或いは、複数のキメラ抗体の各々は、異なるHCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合し得る。
【0042】
本発明の一実施形態においては、免疫診断試薬は、複数のHCV抗原を検出可能であり、異なるHCV抗原タンパク質に各々特異的に結合可能である2種類以上の組換え抗体を含んでもよい。更なる一実施形態においては、免疫診断試薬は、異なるHCV抗原タンパク質に各々特異的に結合可能である3種類以上の組換え抗体を含んでもよい。別の一実施形態においては、免疫診断試薬は、異なるHCV抗原タンパク質に各々特異的に結合可能である4種類以上の組換え抗体を含んでもよい。
【0043】
免疫診断試薬に含まれる組換え抗体は、例えば、検出目的で、固体支持体上に固定するために、安定性の改善及び/又は薬物動態学的諸性質の改善のために、改変されてもよく、又は当分野で公知の手段などの別の手段によって改変されてもよい。
【0044】
2. HCV抗原及びその診断関連領域
HCVは、3011個のアミノ酸のポリタンパク質前駆体をコードする約10,000ヌクレオチドのプラス鎖RNAゲノムを含む。ポリタンパク質は、細胞及びウイルスプロテアーゼによって成熟構造及び非構造タンパク質に同時翻訳及び翻訳後処理される。構造タンパク質としては、コアタンパク質(ポリタンパク質のアミノ酸1から192)、エンベロープ糖タンパク質E1(ポリタンパク質のアミノ酸193から384)及びE2(ポリタンパク質のアミノ酸385から747)などが挙げられる。非構造(NS)タンパク質2−5Bとしては、NS2−3自己プロテアーゼ(ポリタンパク質のアミノ酸811から1027)、NS3セリンプロテアーゼ(ポリタンパク質のアミノ酸1028から1658)、NS3のカルボキシ末端2/3中のNTPase/RNAヘリカーゼドメイン、NS4Aポリペプチド(ポリタンパク質のアミノ酸1659から1712)、NS4B及びNS5Aタンパク質(それぞれ、ポリタンパク質のアミノ酸1713から1973及びアミノ酸1974から2421)、NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼ(ポリタンパク質のアミノ酸2422から3011)などが挙げられる。
【0045】
これらのタンパク質のうちの多数のタンパク質の診断関連領域が決定された。コアタンパク質の場合、例えばアミノ酸1−150によって規定された領域、及びアミノ酸2から120、アミノ酸10から53、アミノ酸1から50などのそのサブ領域は、診断に関連すると判断された。NS3タンパク質の場合、例えばアミノ酸1192から1457によって規定された領域は、診断に関連すると判断された。NS4タンパク質の場合、例えばアミノ酸1920から1935及びアミノ酸1676から1931によって規定された領域、及びアミノ酸1696−1931、アミノ酸1694から1735などのそのサブ領域は、診断に関連すると判断された。NS5の場合、例えばアミノ酸2054から2995によって規定された領域、及びアミノ酸2188から2481、アミノ酸2212から2313などのそのサブ領域(Dou, X−G., et al., J. Clin. Microbiol. (2002) 40: 61−67)は、診断に関連すると判断された。それぞれアミノ酸303−320及びアミノ酸405−444によって定義されたE1及びE2領域は、診断に関連すると判断された。別の例としては、アミノ酸1192から1931によって規定された領域(にわたるNS3及びNS4)、アミノ酸1569から1931によって規定された領域(にわたるNS3及びNS4)及びアミノ酸1932から2191によって規定された領域(にわたるNS4及びNS5)が挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0046】
3. 組換え抗体
本発明の組換え抗体は、HCV抗原タンパク質に特異的に結合可能である未変性抗体のV及び/又はVドメインに由来する抗原結合領域を含む。組換え抗体は、例えば、組換え産生されたモノクローナル抗体、モノクローナル抗体の断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体断片から形成される多重特異性若しくは多価構造、又は二機能性抗体であり得る。
【0047】
一実施形態においては、組換え抗体は、マウスモノクローナル抗体の特異性及び親和性を保持するキメラ抗体であって、ヒト免疫グロブリンを測定する免疫測定法形式で反応するキメラ抗体であってもよい。マウス−ヒトキメラ抗体は、HCVコア、NS3、NS4及び/又はNS5抗原に対するものであってもよい。かかるキメラ抗体は、Abbott LaboratoriesのEIA(Bead)用HCVアッセイ、AxSYM(登録商標)、ARCHITECT(登録商標)及びPRISM(登録商標)プラットホームを含めて、ただしこれらだけに限定されない既存の免疫測定法形式で反応してもよい。
【0048】
組換え抗体に含まれる抗原結合領域は、未変性抗体由来のV及び/又はV配列全体を含み得、又は1種類以上の別の抗体由来の配列と一緒にCDRなどのその1個以上の部分を含み得る。一実施形態においては、組換え抗体は、未変性抗体の完全長V及びV配列を含む。
【0049】
抗原結合領域が由来する未変性抗体は、一般に脊椎動物抗体である。例えば、未変性抗体は、げっ歯類(例えば、マウス、ハムスター、ラット)抗体、ニワトリ抗体、ウサギ抗体、イヌ抗体、ネコ抗体、ウシ抗体、ウマ抗体、ブタ抗体、類人猿(例えば、チンパンジー)抗体又はヒト抗体であり得る。抗体源は、主に利便性に基づく。一実施形態においては、未変性抗体は非ヒト抗体である。
【0050】
組換え抗体は、同じ未変性抗体又は異なる抗体に由来する1個以上の定常領域、例えば、C、C1、ヒンジ、C2、C3及び/又はC4領域も含み得る。定常領域は、上記の種を含めて、ただしこれらだけに限定されない幾つかの脊椎動物種の1種から得られる抗体に由来し得る。本発明の一実施形態においては、組換え抗体は、少なくとも1個の定常領域を含む。別の一実施形態においては、組換え抗体は、ヒト抗体に由来する1個以上の定常領域を含む。本発明の特定の一実施形態においては、組換え抗体は、ヒト抗体の定常領域に結合した非ヒト抗体の可変領域を含む。
【0051】
組換え抗体に含まれる定常領域は、1つ以上の免疫グロブリンクラス又はアイソタイプに由来し得る。例えば、ヒト免疫グロブリンに由来する定常領域の場合、定常領域は、IgM、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2又はIgE定常領域の1個以上に由来し得る。定常領域が、IgG軽鎖に由来する領域を含むとき、この領域はカッパ鎖又はラムダ鎖に由来し得る。組換え抗体は、1つを超えるクラス又はアイソタイプに由来する配列を含み得る。組換え抗体の所望の機能を最適化する特定の定常ドメインの選択は、当分野の通常の技術の範囲内である。本発明の一実施形態においては、組換え抗体は、IgGに由来する1個以上の定常ドメインを含む。別の一実施形態においては、組換え抗体は、IgG定常ドメインの重鎖と軽鎖の両方に由来する領域を含む。
【0052】
本発明の一実施形態においては、抗原結合領域は、HCV抗原タンパク質の診断関連領域内のエピトープに特異的に結合する未変性抗体に由来する。HCVタンパク質の診断関連領域の非限定的例は上述した。別の一実施形態においては、抗原結合領域は、コアタンパク質のアミノ酸1−150によって規定された領域、NS3タンパク質のアミノ酸1192から1457によって規定された領域、NS4タンパク質のアミノ酸1920から1935若しくはアミノ酸1676から1931によって規定された領域、又はNS5タンパク質のアミノ酸2054から2995によって規定された領域内のエピトープに特異的に結合する未変性抗体に由来する。更なる一実施形態においては、抗原結合領域は、HCVポリタンパク質のアミノ酸1−50によって規定されたコアタンパク質の領域内、HCVポリタンパク質のアミノ酸1192−1457によって規定されたNS3タンパク質の領域内、HCVポリタンパク質のアミノ酸1676−1931によって規定されたNS4タンパク質の領域内、又はHCVポリタンパク質のアミノ酸1932−2191若しくはアミノ酸2188−2481によって規定されたNS5タンパク質の領域内のエピトープに特異的に結合する未変性抗体に由来する。別の一実施形態においては、抗原結合領域は、配列番号33(GGVYL)若しくは配列番号34(GGQIVGGVYLLPR)で表されるコアタンパク質の領域、配列番号35(AKAVDFVPVESLETTMRSPVFTDNSSP)で表されるNS3タンパク質の領域、配列番号36(PAIIPDREVLYREFDEMEECSQ)で表されるNS4タンパク質の領域、又は配列番号37(AESYSSMPPLEGEPGDPDLSDGSWSTV)で表されるNS5タンパク質の領域に特異的に結合する未変性抗体に由来する。
【0053】
本発明の特定の一実施形態においては、組換え抗体の抗原結合領域は、配列番号1、2、9、10、17、18、25、26、38及び39のいずれか1つで表されるV又はV配列の全部又は一部と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む(表1参照)。別の一実施形態においては、組換え抗体の抗原結合領域は、V又はV配列の相補性決定領域(CDR、すなわち、CDR1、CDR2及びCDR3)を含む。特定の一実施形態においては、組換え抗体の抗原結合領域は、配列番号42、43及び44で表されるCDR、配列番号45、46及び47で表されるCDR、配列番号48、49及び50で表されるCDR、配列番号51、52及び53で表されるCDR、配列番号54、55及び56で表されるCDR、配列番号57、58及び59で表されるCDR、配列番号60、43及び61で表されるCDR、配列番号62、58及び63で表されるCDR、配列番号64、65及び66で表されるCDR、又は配列番号67、46及び68で表されるCDRの1個以上と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む(表1参照)。
【0054】
【表1】


【0055】
本発明の一実施形態においては、組換え抗体の抗原結合領域は、配列番号7、8、15、16、23、24、31、32、40又は41のいずれか1つによってコードされるアミノ酸配列の全部又は一部と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む(表2参照)。別の一実施形態においては、組換え抗体の抗原結合領域は、V又はV配列の相補性決定領域(CDR、すなわち、CDR1、CDR2及びCDR3)をコードする核酸配列を含む。特定の一実施形態においては、組換え抗体の抗原結合領域は、配列番号69、70及び71の1つ以上、配列番号72、73及び74の1つ以上、配列番号75、76及び77の1つ以上、配列番号78、79及び80の1つ以上、配列番号81、82及び83の1つ以上、配列番号84、85及び86の1つ以上、配列番号87、70及び88の1つ以上、配列番号89、85及び90の1つ以上、配列番号91、92及び93の1つ以上、又は配列番号94、73及び95の1つ以上によってコードされるアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するCDRを含む(表2参照)。
【0056】
本発明の別の特定の一実施形態においては、組換え抗体の抗原結合領域は、配列番号7、8、15、16、23、24、31、32、40又は41のいずれか1つで表される配列の全部又は一部と実質的に同一である核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含む。更なる特定の一実施形態においては、組換え抗体の抗原結合領域は、配列番号69、70及び71で表される配列、配列番号72、73及び74で表される配列、配列番号75、76及び77で表される配列、配列番号78、79及び80で表される配列、配列番号81、82及び83で表される配列、配列番号84、85及び86で表される配列、配列番号87、70及び88で表される配列、配列番号89、85及び90で表される配列、配列番号91、92及び93で表される配列、又は配列番号94、73及び95で表される配列と実質的に同一である核酸配列によってコードされるCDRを含む。
【0057】
【表2】




【0058】
組換え抗体のアミノ酸配列は、親配列に正確に対応する必要がなく、すなわち「変種配列」であり得る。例えば、組換え抗体に含まれるドメインに応じて、該当する場合には、V、V、C、C1、ヒンジ、C2、C3及びC4の1個以上を、その部位の残基が親(又は基準)配列に対応しないように、1個以上のアミノ酸残基の置換、挿入又は欠失によって変異誘発することができる。しかし、当業者は、かかる変異が大規模ではなく、組換え抗体とその標的HCVタンパク質との結合に劇的に影響しないことを理解されたい。本発明によれば、組換え抗体が変種配列を含むときには、変種配列は基準配列と少なくとも約70%同一である。一実施形態においては、変種配列は、基準配列と少なくとも約75%同一である。別の実施形態においては、変種配列は、基準配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%又は少なくとも約90%同一である。特定の一実施形態においては、基準配列は、配列番号1、2、9、10、17、18、25、26、38及び39のいずれか1つで表される配列に対応する。別の一実施形態においては、基準配列は、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67及び68のいずれか1つで表される配列に対応する。
【0059】
一般に、組換え抗体が、1個以上のアミノ酸置換を含む変種配列を含むときには、該アミノ酸置換は「保存的」置換である。保存的置換は、1個のアミノ酸残基が類似の側鎖特性を有する別の残基で置換されるものである。当分野で公知のように、20種類の天然アミノ酸は、その側鎖の物理化学的性質に応じて分類することができる。適切な分類は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン及びトリプトファン(疎水性側鎖)、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン及びグルタミン(極性無電荷側鎖)、アスパラギン酸及びグルタミン酸(酸性側鎖)、並びにリシン、アルギニン及びヒスチジン(塩基性側鎖)を含む。別のアミノ酸分類は、フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン(芳香族側鎖)である。保存的置換は、アミノ酸が、同じ分類の別のアミノ酸で置換される。
【0060】
したがって、本発明は、別の実施形態においては、本明細書に開示する新規組換え抗体配列に対応する単離ポリペプチドを更に提供する。単離ポリペプチドは、HCVコアタンパク質、HCV NS3タンパク質、HCV NS4タンパク質及びHCV NS5タンパク質からなる群から選択されるHCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合する組換え(例えば、キメラ)抗体の一部を含んでもよい。一実施形態においては、ポリペプチドは、配列番号1、9、17、25及び38のいずれか1つ以上で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域を含む。別の一実施形態においては、ポリペプチドは、配列番号42、43及び44で表される配列の1個以上、配列番号48、49及び50で表される配列の1個以上、配列番号54、55及び56で表される配列の1個以上、配列番号60、43及び61で表される配列の1個以上、及び/又は配列番号64、65及び66で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域を含む。別の一実施形態においては、ポリペプチドは、配列番号2、10、18、26及び39のいずれか1つ以上で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域を含む。更に別の一実施形態においては、ポリペプチドは、配列番号45、46及び47で表される配列の1個以上、配列番号51、52及び53で表される配列の1個以上、配列番号57、58及び59で表される配列の1個以上、配列番号62、58及び63で表される配列の1個以上、及び/又は配列番号67、46及び68で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域を含む。
【0061】
更に別の一実施形態においては、ポリペプチドは、配列番号7、15、23、31及び40のいずれか1つ以上によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域を含む。更に別の一実施形態においては、ポリペプチドは、配列番号69、70及び71によってコードされる配列の1個以上、配列番号75、76及び77によってコードされる配列の1個以上、配列番号81、82及び83によってコードされる配列の1個以上、配列番号87、70及び88によってコードされる配列の1個以上、及び/又は配列番号91、92及び93によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域を含む。別の一実施形態においては、ポリペプチドは、配列番号8、16、24、32及び41のいずれか1つ以上によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域を含む。更に別の一実施形態においては、ポリペプチドは、配列番号89、85及び90によってコードされる配列、配列番号84、85及び86によってコードされる配列、配列番号72、73及び74によってコードされる配列、配列番号78、79及び80によってコードされる配列、及び/又は配列番号94、73及び95によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域を含む。
【0062】
同様に、可変領域をコードする核酸配列は、親の基準配列に正確に対応する必要がなく、遺伝コードの縮重のために変化し得、及び/又は上述した変種アミノ酸配列をコードするように変化し得る。したがって、本発明の一実施形態においては、組換え抗体の可変領域をコードする核酸配列は、基準配列と少なくとも約70%同一である。別の一実施形態においては、組換え抗体の可変領域をコードする核酸配列は、基準配列と少なくとも約75%同一である。別の実施形態においては、組換え抗体の可変領域をコードする核酸配列は、基準配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%又は少なくとも約90%同一である。特定の一実施形態においては、基準配列は、配列番号7、8、15、16、23、24、31、32、40又は41のいずれか1つで表される配列に対応する。別の一実施形態においては、基準配列は、配列番号69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94及び95のいずれか1つで表される配列に対応する。
【0063】
したがって、本発明は、別の実施形態においては、本明細書に開示する(キメラ抗体配列を含めた)新規組換え抗体配列をコードする単離ポリヌクレオチドを更に提供する。単離ポリヌクレオチドは、HCVコアタンパク質、HCV NS3タンパク質、HCV NS4タンパク質及びHCV NS5タンパク質からなる群から選択されるHCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合する組換え(例えば、キメラ)抗体の一部をコードしてもよい。一実施形態においては、ポリヌクレオチドは、配列番号1、9、17、25及び38のいずれか1つ以上で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域をコードする。別の一実施形態においては、ポリヌクレオチドは、配列番号42、43及び44で表される配列の1個以上、配列番号48、49及び50で表される配列の1個以上、配列番号54、55及び56で表される配列の1個以上、配列番号60、43及び61で表される配列の1個以上、及び/又は配列番号64、65及び66で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域をコードする。別の一実施形態においては、ポリヌクレオチドは、配列番号2、10、18、26及び39のいずれか1つ以上で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域をコードする。更に別の一実施形態においては、ポリヌクレオチドは、配列番号45、46及び47で表される配列の1個以上、配列番号51、52及び53で表される配列の1個以上、配列番号57、58及び59で表される配列の1個以上、配列番号62、58及び63で表される配列の1個以上、及び/又は配列番号67、46及び68で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域をコードする。
【0064】
更に別の一実施形態においては、ポリヌクレオチドは、配列番号7、15、23、31及び40のいずれか1つ以上によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域をコードする。更に別の一実施形態においては、ポリヌクレオチドは、配列番号69、70及び71によってコードされる配列の1個以上、配列番号75、76及び77によってコードされる配列の1個以上、配列番号81、82及び83によってコードされる配列の1個以上、配列番号87、70及び88によってコードされる配列の1個以上、及び/又は配列番号91、92及び93によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域をコードする。別の一実施形態においては、ポリヌクレオチドは、配列番号8、16、24、32及び41のいずれか1つ以上によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域をコードする。更に別の一実施形態においては、ポリヌクレオチドは、配列番号89、85及び90によってコードされる配列、配列番号84、85及び86によってコードされる配列、配列番号72、73及び74によってコードされる配列、配列番号78、79及び80によってコードされる配列、及び/又は配列番号94、73及び95によってコードされる配列の1個以上のうちの1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域をコードする。
【0065】
一実施形態においては、ヒト免疫系に曝露されたときに抗体の免疫原性を解消又は低減するために、抗体は、ヒトT細胞に対する潜在的エピトープである抗体の非ヒト部分中の1個以上のアミノ酸を変異させることによって、ヒトに対する免疫原性が未変性抗体よりも低下するように更に改変することができる。適切な変異としては、例えば、1個以上のアミノ酸の置換、欠失及び挿入が挙げられる。
【0066】
一実施形態においては、本発明の組換え抗体は、適切な固相上に固定するために更に改変することができる。固定化は、固相との共有結合性又は非共有結合性(例えば、イオン、疎水性など)付着によって実施することができる。適切な改変は、当分野で公知であり、組換え抗体に含まれるアミノ酸配列の1個のC末端又はN末端に官能基又は化学部分を付加して、組換え抗体と固体支持体の架橋又は付着を促進することを含む。例示的な改変としては、S−アセチルメルカプトコハク酸無水物(SAMSA)、S−アセチルチオアセタート(SATA)などの官能基の付加、又はアミノ酸配列のN若しくはC末端への1個以上のシステイン残基の付加が挙げられる。別の架橋試薬が当分野で公知であり、多数市販されている(例えば、Pierce Chemical Co.及びSigma−Aldrichのカタログ参照)。例としては、1,6−ジアミノヘキサンなどのジアミン;グルタルアルデヒドなどのジアルデヒド;エチレングリコール−ビス(コハク酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、グルタル酸ジスクシンイミジル、スベリン酸ジスクシンイミジル、エチレングリコール−ビス(スクシンイミジルスクシナート)などのビス−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル;ヘキサメチレンジイソシアナートなどのジイソシアナート;1,4ブタンジイルジグリシジルエーテルなどのビスオキシラン;スクシニルジサリチラートなどのジカルボン酸;3−マレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0067】
別の改変としては、Ni2+誘導体化表面との結合を可能にするヒスチジン残基、ジスルフィド架橋形成又はSulfolink(商標)アガロースとの結合を可能にするシステイン残基など、N又はC末端における1個以上のアミノ酸の付加が挙げられる。或いは、抗体は、組換え抗体を固体支持体から最適に離隔するために、N末端又はC末端に1個以上の化学スペーサーを含むように改変することができる。使用することができるスペーサーとしては、6−アミノヘキサン酸、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノエタン、及びポリグリシン配列などの1から5個のアミノ酸の短鎖アミノ酸配列などが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0068】
別の一実施形態においては、組換え抗体は、組換え抗体を固相上に固定するために、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、チログロブリンなどの担体タンパク質と複合化されていてもよい。
【0069】
別の一実施形態においては、本発明は、検出可能標識を組み込むための組換え抗体の改変を規定する。本発明による検出可能標識は、好ましくは、直接的又は間接的に検出することができる分子又は部分であり、検出可能標識と組換え抗体の複合化が抗体とその標的HCVタンパク質の特異的結合と好ましくは干渉しないように選択される。抗体を標識する方法は、当分野で周知であり、例えば、SAMSA(S−アセチルメルカプトコハク酸無水物)など、組換え抗体を検出可能標識と連結する二官能性架橋剤の使用を含む。当分野で公知の架橋試薬、上記と類似の架橋試薬などの別の架橋試薬も同様に使用することができる。
【0070】
本発明の組換え抗体と一緒に使用される検出可能標識としては、例えば、放射性同位体、蛍光団、化学発光団(chemiluminophore)、酵素、コロイド粒子、蛍光微粒子など、直接検出することができる標識が挙げられる。検出可能標識は、それ自体検出可能であり、又は1種類以上の追加の化合物と反応して検出可能生成物を生成することができる。したがって、当業者は、本発明の直接検出可能な標識が、基質、誘発試薬、光など、標識の検出を可能にする追加の成分を必要とし得ることを理解されたい。検出可能標識の例としては、色素原、(例えば、125I、131I、32P、H、35S、14Cなどの)放射性同位体、(フルオレセイン、ローダミン、ルテニウムトリスビピリジル、ランタニドキレート誘導体などの)蛍光化合物、(例えば、アクリジニウム、ルミノールなどの)化学発光化合物、可視又は蛍光粒子、核酸、錯化剤、(例えば、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ、βラクタマーゼ、ルシフェラーゼなどの)酵素などの触媒が挙げられるが、これらだけに限定されない。酵素を使用する場合には、例えば、発色基質、蛍光発生基質又は発光性(lumogenic)基質の添加は、検出可能信号の発生を好ましくはもたらす。時間分解蛍光法、内部反射蛍光、ラマン分光法などの別の検出系も有用であり得る。
【0071】
本発明は、間接的に検出される標識の使用も規定する。間接的に検出可能な標識は、典型的には、「親和性対」、すなわち、対の第1のメンバーが本発明の組換え抗体に結合し、対の第2のメンバーが第1のメンバーに特異的に結合する2種類の分子の使用を要する。対の2つのメンバーの結合は、典型的には、本質的に化学的又は物理的である。かかる結合対の例としては、抗原と抗体、アビジン/ストレプトアビジンとビオチン、ハプテンとハプテンに特異的な抗体、相補的ヌクレオチド配列、酵素補因子/基質と酵素などが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0072】
4. 組換え抗体の調製
本発明の組換え抗体は、例えば、ヒト、又はげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、類人猿、ニワトリなどの非ヒト動物によって産生されたモノクローナル抗体に由来する抗原結合ドメイン配列(例えば、V及び/又はV配列、又はその一部)を含み得る。或いは、所望の結合活性を有する抗原結合ドメインは、ラムダファージ中で発現されるコンビナトリアルライブラリーを用いて、バクテリオファージ、細菌若しくは酵母の表面で選択することができ、又は別の生物系(例えば、レトロウイルス又はポリソーム)若しくは非生物系上で標準技術を用いて表示することによってスクリーニングすることができる(例えば、Marks, J.D. et. al., J. Mol. Biol. 222: 581−597(1991); Barbas, C.F.III et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4457−4461(1992)参照)。ライブラリーは、免疫若しくは非免疫宿主から単離された未変性抗原結合ドメイン、合成若しくは半合成抗原結合ドメイン、又は改変抗原結合ドメインで構成され得る。
【0073】
本発明の一実施形態においては、組換え抗体は、目的HCVタンパク質に結合するモノクローナル抗体に由来する抗原結合ドメインを含む。所望の抗原に対してモノクローナル抗体を産生させる方法は、当分野で周知である。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256: 495(1975)によって最初に記述されたハイブリドーマ法を用いて作製することができる。一般にハイブリドーマ法では、マウス、又はハムスター、マカクザルなどの別の適切な宿主動物を、複数の部位における抗原及び担体及び/又はアジュバントの複数の皮下又は腹腔内注射によって免疫する。2週間後、動物を追加免疫し、約7から14日間後に動物から採血し、血清の抗抗原力価(anti−antigen titer)を評価する。力価が横ばい状態になるまで、動物を追加免疫することができる。
【0074】
マウスひ細胞を抽出し、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を用いて骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する(例えば、Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp.59−103(Academic Press, 1986); Galfre et al., Nature, 266: 550(1977)参照)。適切な骨髄腫細胞系は、当分野で公知であり、(Salk Institute Cell Distribution Center、San Diego、CAから入手可能な)MOP−21及びMC−11マウス腫よう並びに(アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)、Manassas、VAから入手可能な)SP−2、SP2/0及びX63−Ag8−653細胞に由来する系などのネズミ骨髄腫系が挙げられるが、これらだけに限定されない。ヒト骨髄腫及びマウス−ヒト異種骨髄腫細胞系もヒトモノクローナル抗体産生用に記述された(例えば、Kozbor, J. Immunol., 133: 3001(1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.51−63(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。こうして調製されたハイブリドーマ細胞を、非融合親骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する1種類以上の物質を好ましくは含む適切な培地に蒔き、増殖させることができる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含み(HAT培地)、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の増殖を防止する。
【0075】
次いで、かかる選択によって得られるハイブリドーマ細胞を、例えば、免疫沈降、又は放射性免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA又はELISA)などのインビトロ結合アッセイによって評価して、初期免疫化に用いられるHCV抗原に結合可能である抗体を分泌するクローンを特定する。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al., Anal. Biochem., 107: 220(1980)のScatchard分析によって求めてもよい。
【0076】
所望の特異性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を特定した後、クローンを限界希釈手順、例えば、Wands et al.(Gastroenterology 80: 225−232(1981))によって記述された手順によってサブクローニングし、標準方法(例えば、Goding、同書参照)によって増殖させることができる。この目的に適切な培地としては、例えば、D−MEM、IMDM又はRPMI−1640培地が挙げられる。或いは、ハイブリドーマ細胞を動物において腹水腫ようとして生体内で増殖させることができる。
【0077】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えば、プロテインAクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、アフィニティークロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培地、腹水又は血清から単離してもよい。
【0078】
本発明の一実施形態においては、組換え抗体は、HCVタンパク質の診断関連領域に由来するHCV抗原に対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。別の一実施形態においては、組換え抗体は、HCVコア、E2、NS3、NS4又はNS5タンパク質の診断関連領域に由来するHCV抗原に対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。更なる一実施形態においては、組換え抗体は、(a)HCVポリタンパク質のアミノ酸1−150によって規定されたコアタンパク質の領域、(b)HCVポリタンパク質のアミノ酸1192から1457によって規定されたNS3タンパク質の領域、(c)HCVポリタンパク質のアミノ酸1920から1935若しくはアミノ酸1676から1931によって規定されたNS4タンパク質の領域、又は(d)HCVポリタンパク質のアミノ酸2054から2995によって規定されたNS5タンパク質の領域の全部又は断片を含むHCV抗原に対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。別の一実施形態においては、組換え抗体は、(a)HCVポリタンパク質のアミノ酸1−50によって規定されたコアタンパク質の領域、(b)HCVポリタンパク質のアミノ酸1192−1457によって規定されたNS3タンパク質の領域、(c)HCVポリタンパク質のアミノ酸1696−1931によって規定されたNS4タンパク質の領域、及び/又は(d)アミノ酸1932から2191若しくはアミノ酸2188から2481によって規定されたNS5タンパク質の領域の全部又は断片(例えば、1個以上のエピトープを含む断片)を含むHCV抗原に対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。更なる一実施形態においては、組換え抗体は、配列番号33、34、35、36又は37のいずれか1つで表される配列と実質的に同一である配列を含むHCV抗原に対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。
【0079】
更なる一実施形態においては、組換え抗体は、(a)配列番号100で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープ、(b)配列番号101で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープ、及び(c)配列番号102で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープからなる群から選択されるHCVコアタンパク質由来のエピトープに対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。更に別の一実施形態においては、組換え抗体は、(a)配列番号103で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープ、(b)配列番号104で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープ、及び(c)配列番号105で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープからなる群から選択されるHCV NS3タンパク質由来のエピトープに対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。更に別の一実施形態においては、組換え抗体は、(a)配列番号106で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープ、(b)配列番号107で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープ、及び(c)配列番号108で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープからなる群から選択されるHCV NS4タンパク質由来のエピトープに対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。別の一実施形態においては、組換え抗体は、(a)配列番号109で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープ、(b)配列番号110で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープ、及び(c)配列番号111で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープからなる群から選択されるHCV NS5タンパク質由来のエピトープに対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。
【0080】
モノクローナル抗体は、抗HCVコア201−603−195、抗HCVコア14−153−462、抗HCV NS3 17−903−127、抗HCV NS4 E99H6C34及び抗HCV NS5 48−311−387からなる群から選択される細胞系によって発現されてもよい。
【0081】
モノクローナル抗体を調製した後、モノクローナル抗体又はその可変領域をコードするDNAは、標準技術、例えば、モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖若しくは可変領域をコードする遺伝子に特異的に結合可能であるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって、又は保存領域に対するプライマー(例えば、Novagen(EMD Biosciences, Inc.)、San Diego、CAから入手可能なigGプライマーセット)を用いた、モノクローナル抗体をコードするmRNAのRT−PCRによって、容易に単離することができる。
【0082】
単離後、DNAは、組換えモノクローナル抗体を産生するために、例えば、適切な発現ベクターにクローニングし、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しないE.コリ(E. coli)細胞、酵母細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚性腎臓(HEK)細胞(例えば、HEK 293)、骨髄腫細胞などの適切な宿主細胞に導入することができる。一実施形態においては、本発明の抗HCVマウス−ヒトキメラ抗体は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系中で産生されてもよく、これは、商業用途に十分な量で抗体を産生することができる点で有利である。好ましくは、ほ乳動物宿主細胞は、CHO細胞系及びHEK 293細胞系である。別の好ましい宿主細胞は、B3.2細胞系(例えば、Abbott Laboratories、Abbott Bioresearch Center、Worcester、MA)、又は(例えば、Invitrogen Corp.、Carlsbad、CAから入手可能な)別のジヒドロ葉酸還元酵素欠損(DHFR−)CHO細胞系である。
【0083】
或いは、モノクローナル抗体又はその可変領域をコードするDNAを使用して、当分野で公知の標準方法によって、キメラ抗体、ヒト化抗体及び抗体断片を産生することができる。
【0084】
例えば、キメラモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体の可変領域をコードするDNAを、異なる宿主種に由来する抗体重鎖及び軽鎖定常領域遺伝子を含むほ乳動物発現ベクターにクローニングすることによって産生することができる。安定に組み込まれる、又は染色体外因子として存在する、多数の真核生物抗体発現ベクターが記述され、当業者に知られている。一般に、抗体発現ベクターは、重鎖定常領域をコードする遺伝子及び/又は軽鎖定常領域をコードする遺伝子と、上流のエンハンサーエレメントと、適切なプロモーターとを含むプラスミドである。例えば、ヒト定常領域の場合、ベクターは、ヒトIgG1(ヒトCγ1)及びヒトカッパ定常領域(ヒトCκ)遺伝子並びに免疫グロブリンH鎖エンハンサーエレメントを含み得る。ベクターは、細菌複製開始点及び選択マーカーも含み得る。選択マーカーを任意選択で含むと、当分野で公知のように、規定の増殖条件下で選択及び増幅が可能になり、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子は、メトトレキサートを用いたほ乳動物細胞における選択及び増幅を規定する。市販ほ乳動物発現ベクターから出発する抗体発現に適切な構成は、熟練技術者が容易に達成することができる。組換え抗体発現ベクターの代表例を図1、3、5、7及び12に示す。
【0085】
適切な宿主細胞に発現構築物を導入すると、明確な特異性の完全なキメラ抗体が生成する(例えば、Morrison, S.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851−6855(1984)参照)。重鎖及び軽鎖コード配列は、別々のプラスミドで個々に、又は同じベクターで一緒に、宿主細胞に導入することができる。
【0086】
利用するベクター系に応じて、多数の異なる不死化細胞系が適切な宿主として働き得る。この不死化細胞系としては、骨髄腫(例えば、X63−Ag8.653)、ハイブリドーマ(例えば、Sp2/0−Ag14)、リンパ腫、昆虫細胞(例えば、sf9細胞)、ヒト胎児腎細胞(例えば、HEK 293)及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられるが、これらだけに限定されない。発現構築物は、リン酸カルシウム沈殿、原形質体融合、リポフェクション、レトロウイルス由来のシャトルベクター、及び電気穿孔法を含めて、ただしこれらだけに限定されない当分野で公知の種々の技術を用いて、宿主細胞に導入することができる。
【0087】
キメラ抗体及び抗体断片は、バキュロウイルス、酵母、(E.コリなどの)細菌、及びウサギ網状赤血球溶解物などのインビトロでの無細胞系を含めて、ただしこれらだけに限定されない別の発現系で産生することもできる。
【0088】
組換え抗体は、例えば、クロスフローろ過、硫酸アンモニウム沈殿、プロテインAクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、アフィニティークロマトグラフィー、これらの組合せなどの標準免疫グロブリン精製手順によって、宿主細胞から単離することができる。
【0089】
或いは、抗体断片は、従来の酵素法によって精製抗体調製物から産生することができ、例えば、F(ab’)断片は、完全抗体のペプシン切断によって産生することができ、Fab断片は、完全抗体をパパインで短時間消化することによって産生することができる。
【0090】
少なくとも2種類の抗原に対して特異性を有する組換え二重特異性及び異種複合(heteroconjugate)抗体断片は、完全長抗体又は(F(ab’)二重特異性抗体断片などの)抗体断片として調製することができる。2価を超える抗体断片(例えば、3価以上の抗体断片)も企図される。二重特異性抗体、異種複合抗体及び多価抗体は、当業者に公知の標準方法によって調製することができる。
【0091】
5. 組換え抗体の試験
標的HCV抗原に特異的に結合する組換え抗体の能力は、標準免疫学的技術によって評価することができる(例えば、Current Protocols in Immunology, Coligan, J.E., et al.(ed.), J. Wiley & Sons, New York, NY参照)。例えば、放射性免疫測定法(RIA)又は酵素免疫測定法(EIA又はELISA)によって。本発明の一実施形態においては、組換え抗体は、抗原結合ドメインが由来するモノクローナル抗体と実質的に同じ特異性を示す。
【0092】
組換え抗体も、標準技術によって平衡解離定数(K)を測定することによって、標的HCV抗原に対するその結合親和性を試験することができる。本発明の一実施形態においては、組換え抗体(例えば、キメラ抗体)は、約1μM未満のKを有する。別の一実施形態においては、組換え抗体(例えば、キメラ抗体)は、約100nM未満のKを有する。更に別の一実施形態においては、組換え抗体は、HCVタンパク質エピトープに特異的に結合するキメラ抗体であってもよく、前記キメラ抗体は、以下からなる群から選択される。
【0093】
(a)(例えば、実施例9に記載のように)約0.1nMから約1.0nM、場合によっては約0.4nM、約0.5、nM、約0.6nM、約0.7nM又は約0.8nMの平衡解離定数(K)を有するHCVコアキメラ抗体、
(b)(例えば、実施例10に記載のように)約10.0nMから約100.0nM、場合によっては約50nM、約56nM、約62nM、約68nM又は約74nMの平衡解離定数(K)を有するHCV NS3キメラ抗体、
(c)(例えば、実施例11に記載のように)約0.1nMから約1.0nM、場合によっては約0.3nM、約0.4nM、約0.5nM又は約0.6nMの平衡解離定数(K)を有するHCV NS4キメラ抗体、
(d)(例えば、実施例12に記載のように)約1.0nMから約10.0nM、場合によっては約8.4nM、約8.6nM、約8.8nM又は約9.0nMの平衡解離定数(K)を有するHCV NS5キメラ抗体。
【0094】
別の標準試験を抗体に対して実施することもでき、例えば、キメラ抗体などの抗体のpI値を実施例13に記載のように得ることができる。一実施形態においては、HCVタンパク質エピトープに特異的に結合する本発明によるキメラ抗体は、約7.8から約9.0のpI値を各々含んでもよい。別の一実施形態においては、キメラ抗体は、(a)約8.8から約9.2、場合によっては約9.0のpI値を有するHCVコアキメラ抗体、(b)約8.5から約9.0のpI値を有するHCV NS3抗体、(c)約7.8から約8.7のpI値を有するHCV NS4キメラ抗体、及び(d)約8.0から約8.9のpI値を有するHCV NS5キメラ抗体からなる群から選択される。
【0095】
組換え抗体(例えば、キメラ抗体)をエピトープマッピング手順に供して、組換え抗体が結合する標的抗原領域を特定してもよい。エピトープマッピングの種々の方法は当分野で公知であり(例えば、Current Protocols in Immunology, Coligan, J.E., et al.(ed.), J. Wiley & Sons, New York, NY参照)、例えば、ファージ及び酵母ディスプレイ法が挙げられる。ファージ及び酵母ディスプレイ法は、抗体結合に関与する標的抗原の残基をより正確に位置づけるために、ランダム変異導入技術と組み合わせることもできる(例えば、Chao, G., et al., J. Mol. Biol., 10: 539−50(2004)参照)。
【0096】
本発明の一実施形態においては、組換え抗体が結合する標的抗原の残基は、アラニン置換変異(scanning alanine mutagenesis)と酵母ディスプレイを組み合わせた技術によって特定される。この手順の非限定的例を下記実施例の項に記載する。この技術は、一般に、各々が抗原の標的領域であり、この領域の個々のアミノ酸がアラニンで順次置換されたペプチドをコードする一連のオリゴヌクレオチドの調製を含む。抗原の標的領域は、初期免疫化において親モノクローナル抗体を調製するのに用いられた抗原から、又は酵母若しくはファージディスプレイを用いた予備的「低分解能」スクリーニングから、決定される。抗原の野生型バージョンを対照として使用する。各オリゴヌクレオチドを適切な酵母ディスプレイベクターにクローニングし、各アラニン変異体をE.コリなどの適切な宿主に転換する。プラスミドDNAを抽出し、配列決定し、クローンを配列決定に基づいて選択する。酵母ディスプレイベクターは当分野で公知であり、市販されている(例えば、Invitrogen Corp.、Carlsbad、CAから入手可能なpYD1)。
【0097】
次いで、選択されたクローンをサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevesiae)細胞、例えば、EBY100細胞(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)に転換し、個々の酵母クローンを培養し、ペプチド発現を誘導する。細胞表面でアラニン変異体を発現する誘導された酵母細胞を組換え抗体と一緒に温置し、結合した抗体を従来の方法によって、例えば標識二次抗体を用いて、検出する。次いで、組換え抗体に結合することができないアラニン変異体の特定に基づいて、標的抗原領域中の重要な残基を決定することができる。抗体結合活性の低下は、変異体が、組換え抗体に対するエピトープの一部を形成する位置にアラニン残基を含むことを示す。
【0098】
6. 組換え抗体の使用
本発明の組換え抗体は、例えば、伝統的な血しょう又は血清の代わりに、HCV抗体の検出用アッセイ又はキットにおいて、HCV検出用診断試薬として、及び/又は標準化試薬、正の対照試薬若しくは較正用物質試薬としての使用に適切である。標準化試薬は、例えば、抗体濃度の内挿のための検量線を設定するために使用することができる。正の対照は、アッセイ性能特性を設定するために、及び/又はアッセイに使用する抗原の完全性を定量及びモニターするために、使用することができる。本発明は、各組換え抗体が異なるHCV抗原に特異的に結合可能である複数の組換え抗体の標準化抗体感受性パネルとしての使用も規定する。かかる感受性パネルは、例えば、HCV抗体検出キットの品質管理のための伝統的な血しょう又は血清の代わりに、アッセイ性能特性を設定するために、及び/又はアッセイに使用する抗原の完全性を定量及びモニターするために、使用することができる。本発明は、HCV感染症の治療又は予防における組換え抗体の使用も企図する。
【0099】
したがって、本発明の一実施形態は、各々がHCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合可能である1種類以上の組換え抗体を含む免疫診断試薬を規定する。
【0100】
本発明の一実施形態においては、免疫診断試薬は、異なるHCV抗原を各々検出可能である複数(例えば、2種類以上)の組換え抗体を含む。
【0101】
免疫診断試薬は、免疫診断試薬が含む組換え抗体を適切に選択することによって、特定の最終用途に合わせることができ、したがって免疫診断試薬を幾つかの既存のHCV検出アッセイ形式及びキットに適合させることができる。このようにして用途に合わせて作製される免疫診断試薬は、HCV感染症のある段階の検出に対して試薬を最適化することもできる。例えば、HCVコア及びNS3タンパク質、場合によってはHCV E2タンパク質に対する組換え抗体を含む免疫診断試薬は、例えば血液製剤のスクリーニングに特に重要であり得る早期HCV感染症の検出を可能にする。したがって、本発明の一実施形態は、早期HCV感染症の検出に、及び/又は早期HCV感染症用キット及びアッセイの標準化に適切である、HCVコアタンパク質に特異的な組換え抗体と、HCV NS3タンパク質に特異的な組換え抗体とを含み、場合によってはE2タンパク質に特異的な組換え抗体、HCV NS4タンパク質に特異的な組換え抗体、及びHCV NS5タンパク質に特異的な組換え抗体のうち1つ以上を更に含んでもよい、免疫診断試薬を規定する。
【0102】
本発明の一実施形態においては、免疫診断試薬に含まれる各抗体は、その標的抗原に対して、実質的に同一のアッセイ条件下でヒト血清起源の対照の反応性よりも高い又は同等の反応性を示す。
【0103】
本発明は、さらに、異なるHCV抗原タンパク質に各々特異的に結合可能である複数の組換え抗体を含む免疫診断試薬を感受性パネルとして用いたHCV抗体検出アッセイを標準化する方法を規定する。
【0104】
本発明は、さらに、HCV抗原を含む疑いのある試験試料を、HCV抗原に各々特異的に結合可能である1種類以上の組換え抗体を含む免疫診断試薬と、組換え抗体:抗原複合体の形成を可能にする条件下で接触させること、及び形成された任意の組換え抗体:抗原複合体を検出することを含む、HCV抗原の存在を検出する方法を規定する。
【0105】
本発明は、HCV抗体を含む疑いのある試験試料を、HCV抗体に特異的な1種類以上の抗原と、抗原/抗体複合体の形成を可能にする条件下で接触させること、抗原:抗体複合体を検出すること、及び方法に使用される抗原の1種類に各々特異的に結合可能である1種類以上の組換え抗体を含む免疫診断試薬を正の対照又は標準化試薬として使用することを含む、HCV抗体の存在を検出する方法も包含する。
【0106】
本発明の免疫診断試薬は、ヒト、及びHCV感染に感受性があり、HCV感染に対して抗体応答を生じ得る別の脊椎動物種において、HCV応答をモニターするアッセイ及びキットを用いた使用に適切である。したがって、免疫診断試薬は、ヒトの医用及び獣医学用途を有する。
【0107】
本発明の別の一態様は、それぞれHCVコア、NS3、NS4及びNS5タンパク質に特異的である抗体の可変領域のアミノ酸及び対応する核酸配列を提供する。これらの配列は、当分野で公知である別の組換え抗体の生成に有用であり、ヒト又はヒト化抗体のライブラリー又はバンクに含まれる可変領域など、ヒト又はヒト化抗体のかなり相同である可変領域の特定に有用である。
【0108】
本発明は、新規組換え抗体をインビトロで生成するための、ファージディスプレイ技術、細菌及び酵母細胞表面ディスプレイ技術などの定方向分子進化技術における、本明細書に記載の組換え抗体及び可変領域の使用も包含する(例えば、Johnson et al., Current Opinion in Structural Biology 3: 564(1993)、及びClackson et al., Nature 352: 624(1991)参照)。
【0109】
本発明の免疫診断試薬、例えばキメラ抗体は、例えば実施例14に記載のように、市販プラットホームの免疫測定法に使用してもよい。例えば、本明細書に記載のように調製される4種類のキメラ抗体(HCVコア、NS3、NS4及びNS5)は、Prism(登録商標)、AxSYM(登録商標)、ARCHITECT(登録商標)及びEIA(Bead)プラットホームの種々のAbbott Laboratories HCV血液スクリーニングアッセイに使用することができ、別の市販及び/又はインビトロ診断アッセイに品質管理試薬(例えば、感受性パネル、較正用物質及び正の対照)として使用することもできる。
【0110】
7. 組換え抗体を含む組成物
上述したように、本発明の組換え抗体は、診断及び/又は治療に使用することができる。したがって、本発明の一態様は、1種類以上の組換え抗体と適切な担体、希釈剤及び/又は賦形剤とを含む、診断及び薬剤組成物も規定する。適切な担体、希釈剤及び/又は賦形剤は、当分野で周知である。したがって、医薬品製造用の1種類以上の本発明の組換え抗体の使用も提供する。薬剤組成物の調製のために、担体、希釈剤及び賦形剤は薬学的に許容されるものである。必要に応じて、アジュバント又は他の活性成分を薬剤組成物に含めることができる。
【0111】
動物に投与する場合、薬剤組成物は、種々の経路による投与用に処方することができる。例えば、組成物は、経口、局所、直腸若しくは非経口投与、又は吸入若しくは噴霧投与用に処方することができる。本明細書では非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、鞘内、胸骨内注射又は注入技術を含む。上述したように、かかる薬剤組成物は、ヒトを含めた動物における種々の症状の治療に使用される。
【0112】
薬剤組成物は、好ましくは、本発明の組換え抗体の治療有効量を含む。本明細書では「治療有効量」という用語は、目的の疾患若しくは症状の治療、改善若しくは予防に必要な治療薬の量を指し、又は検出可能な治療若しくは予防効果を示すのに必要な治療薬の量を指す。抗体の場合、治療有効量は、例えば、細胞培養アッセイ又は動物モデル、通常げっ歯類、ウサギ、イヌ、ブタ若しくは霊長目において、初期に推定することができる。動物モデルを使用して、適切な濃度範囲及び投与経路を決定することもできる。次いで、かかる情報を使用して、ヒトを含めて、治療すべき動物における投与の有用な用量及び経路を決定することができる。
【0113】
異なる投与経路に適切な種々の診断組成物及び薬剤組成物、並びに薬剤組成物の調製方法は当分野で公知であり、例えば、”Remington: The Science and Practice of Pharmacy”(以前は”Remingtons Pharmaceutical Sciences”); Gennaro, A., Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA(2000)に記載されている。
【0114】
8. 組換え抗体を含むキット
本発明は、さらに、1種類以上の本発明の組換え抗体を含む治療、診断及び品質管理キットを規定する。
【0115】
a. 診断及び品質管理キット
本発明の一態様は、HCV検出用診断キットを提供する。キットは、1種類以上の本発明の組換え抗体を含む。組換え抗体は、HCV抗原の捕捉及び/又は検出に使用するために、又は抗原:抗体複合体の検出用二次抗体として使用するために、検出試薬としてキット中に用意することができる。或いは、組換え抗体は、正の対照試薬、標準化試薬、較正試薬又は感受性パネルとしてキット中に用意することができる。種々の実施形態においては、診断キットは、HCV抗原の検出用試薬、又はHCV抗体の検出用試薬を更に含み得る。一実施形態においては、本発明は、HCV抗体に特異的な1種類以上の抗原を含めた、HCV抗体の検出用試薬と、キットに含まれる1種類以上の抗原の1つに各々特異的に結合可能である1種類以上の本発明の組換え抗体を含む正の対照又は標準化試薬とを含む、診断キットを提供する。
【0116】
上述したように、本発明の免疫診断試薬、例えばキメラ抗体、並びにアッセイ、キット及びキット成分自体は、市販プラットホームでの使用に対して最適化されていてもよい(例えば、Abbott Laboratories、Abbott Park、ILのPrism(登録商標)、AxSYM(登録商標)、ARCHITECT(登録商標)及びEIA(Bead)プラットホームで使用されるHCV血液スクリーニングアッセイなどの免疫測定法、並びに他の市販及び/又はインビトロ診断アッセイ)。さらに、アッセイ、キット及びキット成分は、別の形式で、例えば、電気化学的若しくは別の手持ち型又は診療現場(point−of−care)でのアッセイシステムに使用することができる。本発明は、例えば、TnI、CKMB及びBNPを含めた幾つかの心臓マーカーに対してサンドイッチ免疫測定法を実施する市販Abbott Point of Care(i−STAT(登録商標)、Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)電気化学的免疫測定システムに適用可能である。免疫センサー、及び使い捨て試験装置におけるその操作方法は、例えば、参照により本明細書に組み入れる、米国特許出願公開第20030170881号、同20040018577号、同20050054078号及び同20060160164号に記載されている。電気化学的免疫センサー及び別のタイプの免疫センサーの製造の別の背景は、やはり参照により本明細書に組み入れる米国特許第5,063,081号に記載されている。
【0117】
免疫診断試薬及び別のキット成分は、品質管理試薬(例えば、感受性パネル、較正用物質及び正の対照)として使用してもよい。品質管理試薬の調製は、当分野で周知であり、例えば種々の免疫診断製品挿入シートに記載されている。HCV感受性パネルメンバーは、例えば、本発明によるキメラ抗体の既知量を適切なアッセイ緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤)に添加(spike)することによって、「低」から「高」の範囲のHCV抗体の既知量を含む可変量を調製してもよい。これらの感受性パネルメンバーは、アッセイ性能特性を設定するのに使用してもよく、さらに、免疫測定法キット試薬の完全性、及びアッセイの標準化の有用な指標であってもよい。
【0118】
別の一実施形態においては、本発明は、アッセイ性能特性を評価する、及び/又はアッセイに用いられる抗原の完全性を定量及びモニターする感受性パネルとして使用するための1種類以上の本発明の組換え抗体を含む、品質管理キットを規定する。
【0119】
キットに備えられた組換え抗体は、蛍光団、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジン標識、発色団、化学発光標識などの検出可能標識を組み入れることができ、又はキットは、組換え抗体を標識する試薬、若しくは組換え抗体を検出する試薬を含むことができる。組換え抗体は、別々の容器で提供することができ、又は適切なアッセイ形式、例えばマイクロタイタープレートに前もって分配することができる。
【0120】
キットは、診断アッセイを実施するのに必要な別の試薬を含んでもよく、又は緩衝剤、塩、酵素、酵素補因子、基質、検出試薬など、品質管理評価を容易にするのに必要な別の試薬を含んでもよい。緩衝剤、試験試料の単離及び/又は処理のための溶液などの別の成分を、キットに含めることもできる。キットは、1種類以上の対照を更に含むことができる。キットの成分の1個以上は、凍結乾燥させることができ、キットは、凍結乾燥成分の再構成に適切である試薬を更に含むことができる。
【0121】
キットの種々の成分は、適切な容器で提供される。上述したように、容器の1個以上をマイクロタイタープレートとすることができる。必要に応じて、キットは、反応器、混合容器、及び試薬又は試験試料の調製を容易にする他の成分を含んでもよい。キットは、シリンジ、ピペット、ピンセット、正確に計ったスプーンなど、試験試料を得るのを助ける1個以上の器具を含んでもよい。
【0122】
キットは、紙形式、又はディスク、CD、DVDなどのコンピュータ読み取り可能な形式で提供することができる使用説明書を含んでもよい。
【0123】
b. 治療キット
本発明は、本発明の組換え抗体の1種類以上、又はHCV感染症の治療若しくは予防に用いられる組換え抗体の1種類以上を含む薬剤組成物を含む、治療キット又はパックを更に規定する。キットの個々の成分は、別々の容器に包装することができ、適用可能なときには、医薬品又は生物学的製剤の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知を添付することができ、この通知は、ヒト又は動物投与のための製造、使用又は販売の機関による承認を示す。キットは、本発明の組換え抗体と併用される1種類以上の別の治療薬を更に含んでもよい。キットは、組換え抗体及び/又は追加の治療薬の使用方法又は投与計画を概説する説明書又は指示書を含んでもよい。
【0124】
キットの1個以上の成分を溶液、例えば水溶液又は無菌水溶液として提供するときには、容器手段自体を吸入器、シリンジ、ピペット、点眼器又は別の同様の装置とすることができ、容器から溶液を対象に投与することができ、又はキットの別の成分に適用し、混合することができる。
【0125】
キットの成分は、乾燥又は凍結乾燥体として提供することもでき、キットは、凍結乾燥成分の再構成に適切な溶媒を更に含むことができる。容器の数又はタイプと無関係に、本発明のキットは、患者への組成物の投与を助ける器具を含むこともできる。かかる器具は、吸入器、シリンジ、ピペット、ピンセット、正確に計ったスプーン、点眼器、又は類似の医学的に認可された送達ビヒクルであり得る。
【0126】
本明細書に記載の発明をより理解するために、以下に実施例を記載する。これらの実施例は、本発明の説明のための実施形態を記述するものであって、本発明の範囲を限定するものでは決してないことを理解されたい。
【0127】
実施例
【実施例1】
【0128】
C型肝炎ウイルスコアタンパク質に特異的なヒト−マウスキメラ抗体の調製#1
ハイブリドーマ細胞系の調製
ハイブリドーマ細胞系抗HCVコア201−603−195を、Galfre et al., Nature, 266: 550(1977)に記載のPEG媒介性融合技術を用いて作製した。手短に述べると、BALB/c雌性マウスを、(HCVポリタンパク質のアミノ酸1−50に対応する)pλコアとして知られる精製HCV組換えコア抗原で免疫した。動物追加免疫投薬計画はフロイントアジュバント系を利用し、抗HCV力価が確認されるまで、HCV酵素免疫測定法(EIA)で血清試料をモニターした。EIAの場合、コアアミノ酸1−150(及びNS3アミノ酸1192−1457)を含むHCV組換えコア抗原を、96ウェルEIAプレートに室温で少なくとも1時間塗布し、次いで2%BSA/PBS緩衝剤で1時間ブロックした。被覆ウェルにマウス血清試料を添加し、プレートを室温で少なくとも1時間温置した。温置後、プレートを洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ヤギ抗マウスIgG抗体と一緒に約1時間温置した。プレートをO−フェニレンジアミン−2HCl(OPD)を用いて現像し、492nmの光学濃度で読んだ。
【0129】
次いで、マウスひ臓細胞をSP2/0骨髄腫と融合させ、10%ウシ胎児血清を含み、HATが補充されたイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)(GIBCO)中で37℃で培養した。ハイブリドーマの抗HCV反応性をEIAによって10−14日後に試験した。抗HCVモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを標準単細胞希釈技術によってクローン化し、続いてクローンの反応性をEIAによって試験した。陽性培養物を、10%FBSを含むIMDM中で増殖させ、次いで液体窒素中で長期貯蔵するために凍結保存剤中で凍結させた。
【0130】
(「HCV 201−603−195」としても知られる)ネズミハイブリドーママウスひ臓細胞系抗HCVコア201−603−195をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VAに2006年11月21日にPatent Deposit Designation PTA−8027のもとに寄託した。
【0131】
mRNAの単離、並びにマウスV及びV配列の特定
上述したように得られた抗HCVコア201−603−195ハイブリドーマ細胞系をハイブリドーマ無血清培地(HSFM)中で培養して、約5×10個の細胞をmRNA精製用に得た。ポリA+mRNAを細胞から単離し、Oligotex Direct mRNA Micro Kit(QIAGEN Inc.、Valencia、CA)を製造者の指示に従って用いて精製した。
【0132】
次いで、Mouse Ig−Primer(登録商標)セット(EMD Biosciences Inc.(Novagen)、San Diego、CA)を用いたRT−PCR反応に精製mRNAをテンプレートとして用いた。各Mu Ig V 5’−Aプライマー、Mu Ig V 5’−Bプライマー、Mu Ig V 5’−Cプライマー、Mu Ig V 5’−Dプライマー、Mu Ig V 5’−Eプライマー及びMu Ig V 5’−FプライマーをV RT−PCR反応用Mu IgG V 3’−2プライマーと個々に組み合わせた。各Mu IgカッパV 5’−Aプライマー、Mu IgカッパV 5’−Bプライマー、Mu IgカッパV 5’−Cプライマー、Mu IgカッパV 5’−Dプライマー、Mu IgカッパV 5’−Eプライマー、Mu IgカッパV 5’−Fプライマー及びMu IgカッパV 5’−GプライマーをV RT−PCR反応用Mu IgカッパV 3’−lプライマーと個々に組み合わせた。各RT−PCR反応を2×反応緩衝剤(dNTP)、各5’と3’プライマー対及びRT−Platinum Taq HiFi Mix(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)2.5単位中で実施した。cDNA合成及び予備変性を50℃30分間1サイクル及び94℃2分間1サイクルで実施し、続いて変性94℃1分間、アニーリング50℃1分間及び伸長68℃2分間、更に最終伸長72℃6分間を含むPCR反応を実施した。合計45サイクルを実施した。
【0133】
陽性PCR産物は、BとCの重鎖(H)プライマーセット(VH−B、VH−C)及びA、B、E、F、Gの軽鎖(L)プライマーセット(VL−A、VL−B、VL−E、VL−F、VL−G)から認められた。すべての陽性PCR産物をゲル精製し、pCR TOPO 2.1 TAベクター(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)にクローニングし、E.コリDH5αに転換した。QIAprep spin miniprep Kit(QIAGEN Inc.、Valencia、CA)を製造者の指示に従って用いてプラスミドDNAをE.コリ細胞から抽出し、各PCR産物についてV又はV挿入をEcoR I消化によって確認した。V又はV挿入断片の各々の最終TAクローンを、Vector NTI Advance(商標)ソフトウェア(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)を用いて、軽鎖可変又は重鎖可変領域の配列アラインメントによって選択した。手短に述べると、各TAクローンをLBブロス中で終夜振とうしながら37℃で増殖させた。各クローン由来のプラスミドDNAをQIAprep spin miniprep kit(QIAGEN)によって精製し、M13順方向及び逆方向プライマー並びにBig Dye Terminator v3.1サイクル配列決定キット(Applied Biosystems、Foster City、CA)によって配列決定した。配列をVector NTI Advanceソフトウェアに入力し、整列させた。完全に整列した、すなわち変異、挿入又は欠失のない配列を正しいクローンと考え、更なる発生用に選択した。配列結果によって、VL−G TAクローン番号1がハイブリドーマ細胞系からの(配列番号2で示すポリペプチドをコードする)正しいV配列(配列番号8)を含むことを確認し、VH−C TAクローン番号1が(配列番号1で示すポリペプチドをコードする)正しいV配列(配列番号7)を含むことを確認した(図2A−D参照)。
【0134】
pBOSベクターへのV及びV遺伝子のクローニング
pBOSベクターは当分野で公知であり、例えば、(これらのベクター及びベクター自体の使用に関するその教示を参照により本明細書に組み入れる)米国特許出願公開第2005/0227289号に記載されている。
【0135】
VL−G TAクローン番号1をテンプレートとして用いて、マウスV配列のクローンを作製するように1対のPCRプライマー、すなわち、配列
5’−GCTCGCGATGCGACATTGTGATGTCACAGTCT−3’[配列番号3]
を含むHCVコア抗体V 5’末端プライマーと配列
5’−CACCGTACGTTTTATTTCCAGCTTGGT−3’[配列番号4]
を含むHCVコア抗体V 3’末端プライマーを設計した。
【0136】
5’末端プライマー(配列番号3)は、部分的カッパシグナル配列及びNru I制限酵素切断部位を含み、3’末端プライマー(配列番号4)はBsiW I制限酵素切断部位を含んだ。また、VH−C TAクローン番号1をテンプレートとして用いて、マウスV配列のクローンを作製するように1対のプライマー、すなわち、配列
5’−TTGTCGCGATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCCAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCT−3’[配列番号5]
を含むHCVコア抗体V 5’末端プライマーと配列
5’−TTGGTCGACGCTGAGGAGACGGTGACTGAGGTT−3’[配列番号6]
を含むHCVコア抗体V 3’末端プライマーを設計した。
【0137】
このプライマー対の場合、5’末端プライマー(配列番号5)は部分的重鎖シグナル配列及びNru I制限酵素切断部位を含み、3’末端プライマー(配列番号6)はSal I制限酵素切断部位を含んだ。
【0138】
5’末端及び3’末端プライマーの各々15pmol、Pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)1.25単位、並びにTAクローンプラスミドDNA 100ngを用いて、PCRを2×Pfx増幅緩衝剤中で実施した。PCRを94℃15秒間、続いて68℃1分間の30サイクル実施した。
【0139】
上記プライマー対、並びにそれぞれVL−G TAクローン番号1及びVH−C TAクローン番号1をテンプレートとして用いたPCRによって、V及びV配列を独立に増幅した。V及びV PCR産物を制限酵素によってそれぞれNru I/BsiW I及びNru I/Sal I消化により切り取り、次いで(V配列の場合)pBOS−hckベクター又は(V配列の場合)pBOS−hcgベクターにクローニングし、E.コリDH5αに転換した。pBOS−hckベクターは、アンピシリン耐性遺伝子、pUC複製開始点、SV40複製開始点、EF−1aプロモーター、カッパシグナルペプチド及びヒトカッパ遺伝子(hck)を含む。pBOS−hcgベクターは、アンピシリン耐性遺伝子、pUC複製開始点、SV40複製開始点、EF−1aプロモーター、重鎖シグナルペプチド及びヒト定常IgG遺伝子(hcg1,2,非a)を含む。
【0140】
転換されたE.コリクローンをLBブロス中で終夜振とうしながら37℃で増殖させた。プラスミドDNAをQIAprep spin miniprep kit(QIAGEN)によって個々のクローンから精製し、続いてBigdye Terminator v3.1サイクル配列決定キット(Applied Biosystems)によって配列決定した。(V配列を含む)プラスミドpBOS 201−603−195−L−T9及び(V配列を含む)pBOS 201−603−195−H−T4を配列決定によって選択した。それぞれのpBOSクローンを確認した後、pBOS 201−603−195−L−T9プラスミド又はpBOS 201−603−195−H−T4プラスミドを含む別々のE.コリDH5α細胞バンクを作製して、pBOSクローンを保存した。
【0141】
キメラ抗体機能試験
pBOS 201−603−195−L−T9及びpBOS 201−603−195−H−T4プラスミドDNAを、Endofree plasmid Maxi−kit(QIAGEN、CA)を用いて標準技術によって調製した。次いで、こうして得られた高純度プラスミドDNAをCOS 7L細胞に電気穿孔法(Gene Pulser、BIO−RAD)によって一過性導入した。移入されたCOS 7L細胞を5%CO恒温器中で37℃で3日間温置し、次いで遠心分離によって4000rpmで20分間回収し、上清を収集した。ろ過し、標準プロテインAアガロース(Invitrogen Corp.)親和性精製後、精製抗HCVコアキメラ抗体を酵素免疫測定法(EIA)によって評価して、HCVコア抗原との反応性を確認した。西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒト(「GAH」)IgG抗体を検出抗体として用い、キメラ抗体濃度を変えて、EIAを上述したように実施した。EIAの結果によれば、一過性発現から得られるHCVコアキメラ抗体は、HCVコア抗原に対して反応性であった。
【0142】
安定な発現ベクターへのV及びV配列のクローニング
pBOS 201−603−195−L−T9及びpBOS 201−603−195−H−T4クローンを用いて、安定な細胞系移入用のプラスミドクローンを構築した。まず、それぞれのベクター中のV及びV配列に隣接するSrf I及びNot I制限酵素切断部位を用いて、V及びV配列の各々をベクターから切り出した。切り出した配列をゲル精製し、次いで(V配列の場合)pBVベクター又は(V配列の場合)pJVベクターにクローニングした。pJVスタッファープラスミドは、Abbott Laboratories(Abbott Bioresearch Center、Worcester、MA)から得られ、SV40プロモーター、ネズミDHFR遺伝子、CMVエンハンサー、アデノウイルス主要後期(AML)プロモーター及びラムダスタッファーを含む。(やはりAbbott Laboratories、Abbott Bioresearch Center、Worcester、MAから得られる)pBVスタッファープラスミドは、CMVエンハンサー、アデノウイルス主要後期(AML)プロモーター及びラムダスタッファーを含む。
【0143】
pBV及びpJVクローンをSrf I/Not I制限酵素消化によってスクリーニングして、正しい挿入断片を含むクローンを特定した。正しいpBV及びpJVクローンを特定した後、各プラスミドをAsc I及びPac Iで消化することによって、(pBV由来の)重鎖遺伝子及び(pJV由来の)軽鎖遺伝子を1つのプラスミドにクローニングした。軽鎖遺伝子プラスミド(pJV)の場合、Pac I/Asc I消化によって、2個の明確なバンドが4.8Kb及び1.5kbに生成した。重鎖遺伝子プラスミド(pBV)の場合、Pac I/Asc I消化によって、2個の明確なバンドが4.6kb及び1.2kbに生成した。pJVプラスミド由来の4.8kb DNA断片及びpBV由来の4.6kb DNA断片をゲル精製し、連結して、VとVの両方の配列を含むpBJプラスミドを形成させた。形質転換後、最終pBJクローンのpBJ HCVコア201−603−195をSrf I/Not I消化によるスクリーニングに基づいて選択して、pBJ HCVコア201−603−195がVとVの両方の配列を含むことを確認した。こうして得られたHCVコアキメラ抗体の最終pBJクローン(pBJ HCVコア201−603−195)のプラスミドマップを図1に示す。V及びV遺伝子配列を図2A−Bに示す(それぞれ配列番号7及び8)。pBJ HCVコア201−603−195クローンを含むE.コリ細胞バンクを作製した。
【0144】
安定なCHO細胞系の樹立及びHCVコアキメラ抗体の発現
ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子を欠くチャイニーズハムスター卵巣(CHO、B3.2、Abbott Laboratories、Abbott Bioresearch Center、Worcester、MA)細胞系を、以下に示す移入及び安定なキメラ抗体発現に使用した。CHO細胞を培養し、標準的リン酸カルシウム媒介性移入によってpBJ HCVコア201−603−195プラスミドを移入した。移入されたHCVコアCHO細胞を数週間培養後、BD FACSAriaフローサイトメーター選別機を用いて96ウェルプレートに単細胞クローニングした。CHOクローンが50%を超える培養密度に増殖した後、上清を抗原特異的EIAによって試験して、CHOクローンの性能をランク付けした。EIAを、種々の濃度のキメラ抗体を用いて上述したように実施した。EIAで最高シグナルを与えた16種類のCHOクローンを増殖させ、再評価した。次いで、クローンCHO 201−603−486を含めて、10種類のCHOクローンをEIAアッセイで得られた最高シグナルに基づいて選択し、CD CHO無血清組織培地に切り換えた(wean)。フローサイトメーターを用いたもう1回の単細胞サブクローニング後、キメラ抗体の産生、及び液体窒素中での長期貯蔵用の細胞バンクの開発のために、HCVコアCHOクローン201−603−486−333を増殖させた。標準プロテインA(POROS A50、Applied Biosystems)精製手順、続いてSephadex G−25 Superfine脱塩カラム精製によって、キメラ抗体をこの細胞系から精製した。
【0145】
HCVコアCHO 201−603−486−333細胞系をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VAに2006年5月2日にPatent Deposit Designation PTA−7570のもとに寄託した。
【実施例2】
【0146】
C型肝炎ウイルスNS3タンパク質に特異的なヒト−マウスキメラ抗体の調製
ハイブリドーマ細胞系の調製
ハイブリドーマ細胞系抗HCV NS3 17−903−127を、コア抗原の代わりにCKS−33C−BCDとして知られる精製HCV組換えNS3抗原を用いて、実施例1に記載のように作製した。CKS−33C−BCD組換え抗原は、HCVポリタンパク質のアミノ酸1192−1457+1676−1931に対応する。動物免疫化投薬計画は、フロイントアジュバント系中の1回の追加免疫200μgと2週間後の食塩水中の融合前追加免疫を利用した。
【0147】
(「HCV 17−903−127」としても知られる)ネズミハイブリドーママウスひ臓細胞系抗HCV NS3 17−903−127をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VAに2006年11月21日にPatent Deposit Designation PTA−8023のもとに寄託した。
【0148】
mRNAの単離、並びにマウスV及びV配列の特定
HCVコア201−603−195ハイブリドーマ細胞系に関して実施例1に記載したように、ハイブリドーマ細胞系抗HCV NS3 17−903−127並びにRT−PCRによって得られたマウスV及びV配列からmRNAを単離した。陽性PCR産物は、AとFの重鎖(H)プライマーセット(VH−A、VH−F)及びB、C及びGの軽鎖(L)プライマーセット(VL−B、VL−C、VL−G)から認められた。すべての陽性PCR産物をゲル精製し、pCR TOPO 2.1 TAベクターにクローニングし、E.コリに転換した。コロニーPCR反応によってクローン挿入断片を確認した。手短に述べると、M13順方向及びM13逆方向プライマー(Invitrogen Corp.)、Taq DNAポリメラーゼ、並びにテンプレートとして煮沸したE.コリコロニーを用いてPCRを実施した。PCRは、変性94℃1分間、アニーリング50℃1分間及び伸長72℃2分間、更に最終伸長72℃6分間を合計30サイクル含んだ。正しいサイズのPCR産物を産生するクローンをLBブロス中で増殖させた。各プラスミドDNAをQIAprep spin miniprep Kit(QIAGEN)によって精製し、M13順方向及び逆方向プライマーとBig Dye Terminator v3.1サイクル配列決定キット(Applied Biosystems)を用いて配列決定した。
【0149】
最終TAクローンを、実施例1に記載のように配列アラインメントによって選択した。配列結果によって、VL−Gクローンが正しいV配列(配列番号10で示されるポリペプチドをコードする配列番号16)を含み、VH−A及びFクローンが正しいV配列(配列番号9で示されるポリペプチドをコードする配列番号15)を含むことが確認された(図4A−Dも参照)。
【0150】
pBOSベクターへのV及びV遺伝子のクローニング
VL−G TAクローン番号5をテンプレートとして用いて、マウスV配列のクローンを作製するように1対のPCRプライマー、すなわち、配列
5’−CTGTGGTTCCCCGGCTCGCGATGCGATGTTGTGATGGCCCAAACTCCACTCTCCCC−3’[配列番号11]
を含むHCV NS3抗体V 5’末端プライマーと配列
5’−GCGCATGCGTCGTACGTTTTATTTCCAGCTTGGTCCCCCC−3’[配列番号12]
を含むHCV NS3抗体V 3’末端プライマーを設計した。
【0151】
5’末端プライマーは、部分的カッパシグナル配列及びNru I制限酵素切断部位を含み、3’末端プライマーはBsiW I制限酵素切断部位を含んだ。また、VH TAクローン番号2をテンプレートとして用いて、マウスV配列のクローンを作製するように1対のプライマー、すなわち、配列
5’−GGCTTTTTCTTGTCGCGATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCGAAGTGAAGCTGGTGGAGTCTG GGGGAGGC−3’[配列番号13]
を含むHCV NS3抗体V 5’末端プライマーと配列
5’−GCGCATGCATGCATTGTCGACGCGAGGAGACTGTGAGAGTGGTGCCTTGGCCC−3’[配列番号14]
を含むHCV NS3抗体V 3’末端プライマーを設計した。
【0152】
このプライマー対の場合、5’末端プライマーは部分的重鎖シグナル配列及びNru I制限酵素切断部位を含み、3’末端プライマーはSal I制限酵素切断部位を含んだ。
【0153】
上記プライマー対、並びにそれぞれVL−G TAクローン番号5及びVH TAクローン番号2をテンプレートとして用いたPCRによって、V及びV配列を独立に増幅した。5’末端及び3’末端プライマーの各々20pmol、Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen Corp.)1単位、並びにテンプレートとして細菌コロニー2μlを用いて、PCRを1×PCR増幅緩衝剤中で実施した。PCRを94℃30秒間及び55℃30秒間、続いて72℃1分間の30サイクル実施した。
【0154】
及びV PCR産物を、実施例1に記載のように、制限酵素によってそれぞれNru I/BsiW I及びNru I/Sal I消化により切り取り、次いで(V配列の場合)pBOS−hckベクター又は(V配列の場合)pBOS−hcgベクターにクローニングした。実施例1に記載のように、(V配列を含む)プラスミドpBOS 17−903−127−L及び(V配列を含む)pBOS 17−903−127−Hを配列決定によって選択した。それぞれのpBOSクローンを確認した後、pBOS 17−903−127−L−T3プラスミド又はpBOS 17−903−127−H−T2プラスミドを含む別々のE.コリDH5α細胞バンクを作製して、pBOSクローンを保存した。
【0155】
キメラ抗体機能試験
実施例1に記載のように、pBOS 17−903−127−L−T3及びpBOS 17−903−127−H−T2プラスミドDNAを調製し、COS 7L細胞に一過性導入した。実施例1に記載のように、移入されたCOS 7L細胞から抗HCV NS3キメラ抗体を調製し、EIAによって評価してHCV NS3抗原との反応性を確認した。実施例1に記載のように、コア抗原の代わりにCKS−33C−BCD HCV NS3抗原を用いてEIAを実施した。EIAの結果によれば、一過性発現から得られるキメラ抗体は、HCV NS3抗原に対して反応性であった。
【0156】
安定な発現ベクターへのV及びV配列のクローニング
pBOS 17−903−127−L−T3及びpBOS 17−903−127−H−T2クローンを用いて、実施例1に記載のように、配列を(V配列の場合)pBVベクター又は(V配列の場合)pJVベクターにまずクローニングし、続いてPac I/Asc I制限酵素消化から得られたベクター断片を連結して、VとVの両方の配列を含むpBJプラスミドpBJ HCV NS3 17−903−127を生成させることによって、安定な細胞系移入用のプラスミドクローンを構築した。pBJクローンをSrf I/Not I消化によってスクリーニングして、pBJクローンが両方の配列を含むことを確認した。HCV NS3キメラ抗体の最終pBJクローン(pBJ HCV NS3 17−903−127)のプラスミドマップを図3に示す。V及びV遺伝子配列を図4に示す(それぞれ、配列番号15及び配列番号16)。HCV pBJ HCV NS3 17−903−127クローンを含むE.コリDH5α細胞バンクを作製した。
【0157】
安定なCHO細胞系の樹立及びHCVキメラ抗体の発現
実施例1に記載のように、pBJ HCV NS3 17−903−127プラスミドをリン酸カルシウム媒介性移入によって、DHFR欠損チャイニーズハムスター卵巣細胞系に移入した。実施例1に記載のように、培養及び単細胞クローニングを実施した。96ウェルプレートを抗原特異的EIAによって試験し、クローン番号132を更なる発生用に選択した。EIAを上述したように実施した。HCV NS3 17−903−132 CHO細胞クローンを培養し、BD FACSAriaフローサイトメーター選別機を用いて単細胞を96ウェルプレートに選別した。CHOサブクローン番号171を選択して、CD−CHO無血清培地(Invitrogen Corp.)に切り換えた。キメラ抗体の産生、及び液体窒素中での貯蔵用の発見細胞バンク(discovery cell bank)の開発のために、最終CHO細胞系(HCV NS3 17−903−132sc171)を増殖させた。実施例1に記載のように、キメラ抗体を標準プロテインA精製手順によってこの細胞系から精製した。
【0158】
HCV NS3 CHO 17−903−132sc171細胞系をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VAに2006年5月2日にPatent Deposit Designation PTA−7573のもとに寄託した。
【実施例3】
【0159】
C型肝炎ウイルスNS4タンパク質に特異的なヒト−マウスキメラ抗体の調製
ハイブリドーマ細胞系の調製
ハイブリドーマ細胞系抗HCV NS4 E99H6C34を、コア抗原の代わりにCKS−C100として知られる精製HCV組換えNS4抗原を用いて、実施例1に記載のように作製した。CKS−C100組換え抗原は、HCVポリタンパク質のアミノ酸1676−1931に対応する。動物追加免疫投薬計画はフロイントアジュバント系を使用し、抗HCV力価が確認されるまでHCV EIAで血清試料をモニターした。実施例1に記載のように、コア抗原の代わりにCKS−C100 HCV NS4抗原を用いてEIAを実施した。マウスひ臓細胞をSP2/0骨髄腫と融合させ、20%ウシ胎児血清を含み、HATが補充されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(GIBCO)中で37℃で培養した。ハイブリドーマの抗HCV反応性をEIAによって10−14日後に試験した。抗HCVモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを単細胞希釈技術によってクローン化し、続いてクローンの反応性をEIAによって試験した。陽性培養物を、10%FBSを含むDMEM中で増殖させ、液体窒素中で長期貯蔵するために凍結保存剤中で凍結させた。
【0160】
(「HCV E99H6C34」としても知られる)ネズミハイブリドーママウスひ臓細胞系抗HCV NS4 E99H6C34をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VAに2006年11月21日にPatent Deposit Designation PTA−8021のもとに寄託した。
【0161】
mRNAの単離、並びにマウスV及びV配列の特定
HCVコア201−603−195ハイブリドーマ細胞系に関して実施例1に記載したように、ハイブリドーマ細胞系抗HCV NS4 E99H6C34並びにRT−PCRによって得られたマウスV及びV配列からmRNAを単離した。陽性PCR産物は、Cの重鎖(H)プライマーセット(VH−C)及びB、C及びGの軽鎖(L)プライマーセット(VL−B、VL−C、VL−G)から認められた。すべての陽性PCR産物をゲル精製し、pCR TOPO 2.1 TAベクターにクローニングし、E.コリDH5αに転換した。プラスミドDNAをE.コリ細胞から抽出し、V又はV挿入断片をEcoR I消化によって各PCR産物について確認した。最終TAクローンを、実施例1に記載のように配列アラインメントによって選択した。配列結果によって、VL−G TAクローン番号5が正しいV配列(配列番号18で示されるポリペプチドをコードする配列番号24)を含み、VH−C TAクローン番号16が正しいV配列(配列番号17で示されるポリペプチドをコードする配列番号23)を含むことが確認された(図6A−Dも参照)。
【0162】
pBOSベクターへのV及びV配列のクローニング
VL−G TAクローン番号5をテンプレートとして用いて、マウスV配列のクローンを作製するように1対のPCRプライマー、すなわち、配列
5’−GCTCGCGATGCGATGTTGTGATGACCCAAAC−3’[配列番号19]
を含むHCV NS4抗体V 5’末端プライマーと配列
5’−CACCGTACGTTTGATTTCCAGCTTGGTGC−3’[配列番号20]
を含むHCV NS4抗体V 3’末端プライマーを設計した。
【0163】
5’末端プライマーは、部分的カッパシグナル配列及びNru I制限酵素切断部位を含み、3’末端プライマーはBsiW I制限酵素切断部位を含んだ。また、VH−C TAクローン番号16をテンプレートとして用いて、マウスV配列のクローンを作製するように1対のプライマー、すなわち、配列
5’−TACTTCGCGACAGATCCAGTTGGTGCAGTC−3’[配列番号21]
を含むHCV NS4抗体V 5’末端プライマーと配列
5’−TGGTCGACGCTGAGGAGACTGTGAGAGTGGT−3’[配列番号22]
を含むHCV NS4抗体V 3’末端プライマーを設計した。
【0164】
このプライマー対の場合、5’末端プライマーは部分的重鎖シグナル配列及びNru I制限酵素切断部位を含み、3’末端プライマーはSal I制限酵素切断部位を含んだ。
【0165】
上記プライマー対、並びにそれぞれVL−G TAクローン番号5及びVH−C TAクローン番号16をテンプレートとして用いたPCRによって、V及びV配列を独立に増幅した。5’末端及び3’末端プライマーの各々15pmol、Pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen Corp.)1.25単位、並びにテンプレートとしてTAクローンプラスミドDNA 100ngを用いて、PCRを2×Pfx増幅緩衝剤中で実施した。PCRを94℃15秒間、続いて68℃1分間の30サイクル実施した。
【0166】
及びV PCR産物を、実施例1に記載のように、制限酵素によってそれぞれNru I/BsiW I及びNru I/Sal I消化により切り取り、次いで(V配列の場合)pBOS−hckベクター又は(V配列の場合)pBOS−hcgベクターにクローニングした。(V配列を含む)プラスミドpBOS E99H6C34−L−T4及び(V配列を含む)pBOS E99H6C34−H−T2を配列決定によって選択した。それぞれのpBOSクローンを確認した後、pBOS E99H6C34−L−T4プラスミド又はpBOS E99H6C34−H−T2プラスミドを含む別々のE.コリDH5α細胞バンクを作製して、pBOSクローンを保存した。
【0167】
キメラ抗体機能試験
実施例1に記載のように、pBOS E99H6C34−L−T4及びpBOS E99H6C34−H−T2プラスミドDNAを調製し、COS 7L細胞に一過性導入した。実施例1に記載のように、移入されたCOS 7L細胞から抗HCV NS3キメラ抗体を調製し、EIAによって評価してHCV NS4抗原(C100 Ag)との反応性を確認した。EIAを上述したように実施した。EIAの結果によれば、一過性発現から得られるキメラ抗体は、HCV NS4抗原に対して反応性であった。
【0168】
安定な発現ベクターへのV及びV配列のクローニング
pBOS E99H6C34−L−T4及びpBOS E99H6C34−H−T2クローンを用いて、実施例1に記載のように、配列を(V配列の場合)pBVベクター又は(V配列の場合)pJVベクターにまずクローニングし、続いてPac I/Asc I制限酵素消化から得られたベクター断片を連結して、VとVの両方の配列を含むpBJプラスミドpBJ HCV NS4 E99H6C34を生成させることによって、安定な細胞系移入用のプラスミドクローンを構築した。pBJクローンをSrf I/Not I消化によってスクリーニングして、pBJクローンが両方の配列を含むことを確認した。HCV NS4キメラ抗体の最終pBJクローン(pBJ HCV NS4 E99H6C34)のプラスミドマップを図5に示す。V及びV遺伝子配列を図6A−Bに示す(それぞれ、配列番号23及び配列番号24)。pBJ HCV NS4 E99H6C34クローンを含むE.コリDH5α細胞バンクを作製した。
【0169】
安定なCHO細胞系の樹立及びHCVキメラ抗体の発現
実施例1に記載のように、pBJ HCV NS4 E99H6C34プラスミドをリン酸カルシウム媒介性移入によって、DHFR欠損チャイニーズハムスター卵巣細胞系に移入した。実施例1に記載のように、培養及び単細胞クローニングを実施した。CHOクローンが50%を超える培養密度に増殖した後、上清を抗原特異的EIAによって試験して、CHOクローンの性能をランク付けした。EIAを上述したように実施した。最高シグナルを示した16種類のCHOクローンを増殖させ、抗原特異的EIAによって再評価した。6種類のCHOクローンを選択して、CD CHO無血清組織培地に切り換えた。精製キメラ抗体の産生及び液体窒素中での貯蔵用の発見細胞バンクの開発のために、HCV NS4 CHOクローン#203を増殖させた。実施例1に記載のように、キメラ抗体を標準プロテインA精製手順によってこの細胞系から精製した。
【0170】
HCV NS4 CHO E99H6C34sc203細胞系をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VAに2006年5月2日にPatent Deposit Designation PTA−7569のもとに寄託した。
【実施例4】
【0171】
C型肝炎ウイルスNS5タンパク質に特異的なヒト−マウスキメラ抗体の調製
ハイブリドーマ細胞系の調製
ハイブリドーマ細胞系抗HCV NS5 48−311−387を、CKS EFとして知られるHCV組換え抗原を用いて実施例1に記載のように作製した。CKS−EF組換え抗原は、HCVポリタンパク質のアミノ酸1932−2191+2188−2481に対応する。BALB/c雌性マウスを、フロイントアジュバント系を用いた精製HCV組換え抗原(CKS−EF)200μgによって1回免疫した。3匹のマウスを3日間融合前追加免疫した後、ひ臓を採取した。
【0172】
(「HCV 48−311−387」としても知られる)ネズミハイブリドーママウスひ臓細胞系抗HCV NS5 48−311−387をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VAに2006年11月21日にPatent Deposit Designation PTA−8022のもとに寄託した。
【0173】
mRNAの単離、並びにマウスV及びV配列の特定
HCVコア201−603−195ハイブリドーマ細胞系に関して実施例1に記載したように、ハイブリドーマ細胞系抗HCV NS5 48−311−387並びにRT−PCRによって得られたマウスV及びV配列からmRNAを単離した。陽性PCR産物は、Cの重鎖(H)プライマーセット(VH−C)及びB、C及びGの軽鎖(L)プライマーセット(VL−B、VL−C、VL−G)から認められた。すべての陽性PCR産物をゲル精製し、pCR TOPO 2.1 TAベクターにクローニングし、E.コリDH5αに転換した。プラスミドDNAをE.コリ細胞から抽出し、V又はV挿入断片をEcoR I消化によって各PCR産物について確認した。最終TAクローンを、実施例1に記載のように配列アラインメントによって選択した。配列結果によって、VL−G TAクローン番号8が正しいV配列(配列番号26で示されるポリペプチドをコードする配列番号32)を含み、VH−C TAクローン番号13が正しいV配列(配列番号25で示されるポリペプチドをコードする配列番号31)を含むことが確認された(図8A−Dも参照)。
【0174】
pBOSベクターへのV及びV配列のクローニング
VL−G TAクローン番号8をテンプレートとして用いて、マウスV配列のクローンを作製するように1対のPCRプライマー、すなわち、配列
5’−GCTCGCGATGCGACATTGTGATGTCACAGT−3’[配列番号27]
を含むHCV NS5抗体V 5’末端プライマーと配列
5’−CACCGTACGTTTCAGCTCCAGCTTGGT−3’[配列番号28]
を含むHCV NS5抗体V 3’末端プライマーを設計した。
【0175】
5’末端プライマーは、部分的カッパシグナル配列及びNru I制限酵素切断部位を含み、3’末端プライマーはBsiW I制限酵素切断部位を含んだ。また、VH−C TAクローン番号13をテンプレートとして用いて、マウスV配列のクローンを作製するように1対のプライマー、すなわち、配列
5’−TACTTCGCGAGAGGTTCAGCTGCAGCAGT−3’[配列番号29]
を含むHCV NS5抗体V 5’末端プライマーと配列
5’−TGGTCGACGCTGCAGAGACAGTGACCAG−3’[配列番号30]
を含むHCV NS5抗体V 3’末端プライマーを設計した。
【0176】
このプライマー対の場合、5’末端プライマーは部分的重鎖シグナル配列及びNru I制限酵素切断部位を含み、3’末端プライマーはSal I制限酵素切断部位を含んだ。
【0177】
上記プライマー対、並びにそれぞれVL−G TAクローン番号5及びVH−C TAクローン番号16をテンプレートとして用いたPCRによって、V及びV配列を独立に増幅した。5’末端及び3’末端プライマーの各々15pmol、Pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen Corp.)1.25単位、並びにテンプレートとしてTAクローンプラスミドDNA 100ngを用いて、PCRを2×Pfx増幅緩衝剤中で実施した。PCRは、94℃15秒間、続いて68℃1分間の30サイクルから成った。
【0178】
及びV PCR産物を、実施例1に記載のように、制限酵素によってそれぞれNru I/BsiW I及びNru I/Sal I消化により切り取り、次いで(V配列の場合)pBOS−hckベクター又は(V配列の場合)pBOS−hcgベクターにクローニングした。(V配列を含む)プラスミドpBOS 48−311−387−L−T4及び(V配列を含む)48−311−387−H−T2を配列決定によって選択した。それぞれのpBOSクローンを確認した後、pBOS 48−311−387−L−T4プラスミド又はpBOS 48−311−387−H−T2プラスミドを含む別々のE.コリ細胞バンクを作製して、pBOSクローンを保存した。
【0179】
キメラ抗体機能試験
実施例1に記載のように、pBOS 48−311−387−L−T4及びpBOS 48−311−387−H−T2プラスミドDNAを調製し、COS 7L細胞に一過性導入した。実施例1に記載のように、移入されたCOS 7L細胞から抗HCV NS5キメラ抗体を調製し、EIAによって評価してHCV NS5抗原(SOD−NS5;Chiron Corporation)との反応性を確認した。実施例1に記載のように、コア抗原の代わりにCKS EF HCV NS5抗原を用いてEIAを実施した。EIAの結果によれば、一過性発現から得られるキメラ抗体は、HCV NS5抗原に対して反応性であった。
【0180】
安定な発現ベクターへのV及びV配列のクローニング
pBOS 48−311−387−L−T4及びpBOS 48−311−387−H−T2クローンを用いて、実施例1に記載のように、配列を(V配列の場合)pBVベクター又は(V配列の場合)pJVベクターにまずクローニングし、続いてPac I/Asc I制限酵素消化から得られたベクター断片を連結して、VとVの両方の配列を含むpBJプラスミドpBJ HCV NS5 48−311−387を生成させることによって、安定な細胞系移入用のプラスミドクローンを構築した。pBJクローンをSrf I/Not I消化によってスクリーニングして、pBJクローンが両方の配列を含むことを確認した。HCV NS5キメラ抗体の最終pBJクローン(pBJ HCV NS5 48−311−387)のプラスミドマップを図7に示す。V及びV遺伝子配列を図8A−Bに示す(それぞれ配列番号31及び32)。pBJ HCV NS5 48−311−387クローンを含むE.コリDH5α細胞バンクを作製した。
【0181】
安定なCHO細胞系の樹立及びHCVキメラ抗体の発現
実施例1に記載のように、pBJ HCV NS5 48−311−387プラスミドをリン酸カルシウム媒介性移入によって、DHFR欠損チャイニーズハムスター卵巣細胞系に移入した。実施例1に記載のように、培養及び単細胞クローニングを実施した。CHOクローンが50%を超える培養密度に増殖した後、上清を抗原特異的EIAによって試験して、CHOクローンの性能をランク付けした。EIAを上述したように実施した。最高シグナルを示した6種類のCHOクローンを増殖させ、抗原特異的EIAによって再評価した。4種類のCHOクローンをBD FACSAriaフロー選別機を用いて単細胞クローニング用に選択した。コンフルエントな成長が明白になった後、培養物をEIAによってスクリーニングして、CHO 48−311−271と命名されたクローンを含めて、無血清培地に切り換える5種類のクローンを選択した。1回の最終サブクローニングによって、細胞バンク目的でHCV NS5 CHOクローン48−311−271−455を選択した。キメラ抗体の産生及び液体窒素中での貯蔵用の発見細胞バンクの開発のために、細胞系を増殖させた。実施例1に記載のように、キメラ抗体を標準プロテインA精製手順によってこの細胞系から精製した。
【0182】
HCV NS5 CHO 48−311−271−455細胞系をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VAに2006年5月2日にPatent Deposit Designation PTA−7572のもとに寄託した。
【実施例5】
【0183】
HCVコアキメラモノクローナル抗体のエピトープマッピング
実施例1に記載の抗HCVコアマウスモノクローナル抗体の結合部位を、アミノ酸32−36(GGVYL、配列番号33)を含むHCVコアタンパク質領域に合成ペプチドを用いて位置づけた。手短に述べると、合成短鎖ペプチドを用いてEIAプレートのウェルを被覆し、2%BSA/PBS緩衝剤でブロックした。抗HCVコアマウスモノクローナル抗体をEIAプレートに添加し、少なくとも1時間温置した。次いで、EIAプレートを洗浄し、ヤギ抗マウス(「GAM」)HRP標識抗体と一緒に更に1時間温置した。プレートを洗浄し、O−フェニレンジアミン−2HCl(OPD)を用いて現像し、492nmの光学濃度で読んだ。
【0184】
続いて、アラニンスキャンニングと酵母ディスプレイ技術の組合せを精密エピトープマッピングに使用した。手短に述べると、各々がコア抗原の27−39領域(GGQIVGGVYLLPR、配列番号34)であるペプチドであって、この領域の個々のアミノ酸がアラニンで順次置換されたペプチドをコードする1組の合成DNAオリゴヌクレオチドを用いて、アラニン変異体のライブラリーを構築した。野生型コア27−39断片を対照として用いた。DNAオリゴヌクレオチドを(Invitrogen Corp.から入手可能なベクターpYD1に基づく)酵母ディスプレイベクター(pYD41)のNco I及びNot I制限酵素部位にクローニングした。次いで、各HCVコアアラニン変異体をE.コリに転換し、プラスミドDNAを抽出し、配列決定した。最終クローンの選択は、配列決定に基づいた。選択したクローンをEBY100サッカロミセス セレビシエ細胞(Invitrogen Corp.)に転換した。個々の酵母クローンを培養し、HCVコアペプチド発現を誘導した。誘導した酵母細胞をHCVコアキメラ抗体及び二次抗体(Alexa Fluor 633ヤギ抗ヒトIgG、Invitrogen Corp.)と一緒に温置し、蛍光活性化細胞選別装置(FACS Calibur)によって分析して、抗体結合活性の低下したアラニン変異体を求めた。抗体結合活性の低下は、変異体が、キメラ抗体に対するエピトープの一部を形成する位置にアラニンを含むことを示した。データによれば、(図9Aに示すように)HCVコア抗原位置29(Gln)、31(Val)、32(Gly)、33(Gly)、36(Leu)がHCVコアキメラ抗体の結合部位である。
【0185】
これらの結果によって、配列QIVGGVYL(配列番号100)で表されるこの領域が、HCVコアキメラ抗体と結合するエピトープを含むことが確認される。これらの結果によって、HCVコアキメラ抗体と結合するためには、配列QXVGGXXL(式中、Xは任意のアミノ酸(配列番号101)であり、又はXはAla若しくはGly(配列番号102)である。)のように、他の残基は変化し得ても、これらの抗原性残基は不変でなければならないことが確認される。
【実施例6】
【0186】
HCV NS3キメラモノクローナル抗体のエピトープマッピング
ハイブリドーマ細胞系抗HCV NS3 17−903−127によって産生されるHCV NS3マウスモノクローナル抗体は、アミノ酸1192−1457(265aa)にわたるHCV NS3抗原の領域に対して産生された。NS3キメラ抗体がこの領域内で結合するエピトープを位置づけるために、12対のDNAオリゴヌクレオチドを構築することによって265aa領域を12個の重複断片に分解した。具体的には、これらのオリゴヌクレオチドは、以下の断片であった:1190−1216、1212−1239、1235−1257、1251−1272、1273−1301、1297−1323、1321−1347、1341−1367、1364−1387、1388−1414、1411−1438及び1434−1459。DNAオリゴヌクレオチド対をアニールし、酵母ディスプレイベクター(pYD41)のNco I及びNot I制限酵素部位にクローニングした。HCV NS3ベクターの各々をE.コリに転換し、プラスミドDNAを抽出し、配列決定した。最終クローンの選択は、配列決定に基づいた。選択したクローンをEBY100サッカロミセス セレビシエ細胞に転換した。個々の酵母クローンを培養し、HCV NS3ペプチド発現を誘導した。誘導した酵母細胞をHCV NS3キメラ抗体及び二次抗体(Alexa Fluor 633ヤギ抗ヒトIgG)と一緒に温置し、蛍光活性化細胞選別装置(FACS Calibur)によって分析して、キメラ抗体に対して正の結合を示す、したがってエピトープの位置を示す、断片を決定した。データによれば、HCV NS3断片1190−1216(AKAVDFVPVESLETTMRSPVFTDNSSP、配列番号35)のみが正の結合を示した。
【0187】
次いで、アラニンスキャンニング及び酵母ディスプレイ技術を精密エピトープマッピングに使用した。コア抗原に対して実施例5に概説したように、1190−1216領域であるアラニン変異体のライブラリーを、1組の合成DNAオリゴヌクレオチドを用いて構築した。野生型NS3 1190−1216断片を対照として用いた。酵母ディスプレイを実施例5に記載のように実施し、誘導した酵母細胞をHCV NS3キメラ抗体及び二次抗体(Alexa Fluor 633ヤギ抗ヒトIgG)と一緒に温置し、蛍光活性化細胞選別装置(FACS Calibur)によって分析して、抗体結合活性の低下したアラニン変異体を求めた。データによれば、(図9Bに示すように)HCV NS3抗原位置1194(Asp)、1195(Phe)、1196(Val)、1197(Pro)、1199(Glu)、1201(Leu)、1202(Glu)及び1205(Met)がHCV NS3キメラ抗体の結合部位である。
【0188】
これらの結果によって、配列DFVPVESLETTM(配列番号103)で表されるこの領域が、HCV NS3キメラ抗体と結合するエピトープを含むことが確認される。これらの結果によって、HCV NS3キメラ抗体と結合するためには、配列DFVPXEXLEXXM(式中、Xは任意のアミノ酸(配列番号104)であり、又はXはAla若しくはGly(配列番号105)である。)のように、他の残基は変化し得ても、これらの抗原性残基は不変でなければならないことが確認される。
【実施例7】
【0189】
HCV NS4キメラモノクローナル抗体のエピトープマッピング
実施例5及び6に概説したように、HCV NS4 CHO E99H6C34sc203細胞系によって産生されたHCV NS4キメラモノクローナル抗体を、合成DNAオリゴヌクレオチド及び標準酵母ディスプレイ技術を用いて、アミノ酸1692−1713(PAIIPDREVLYREFDEMEECSQ、配列番号36)で表されるHCV NS4抗原の領域に位置づけた。次いで、アラニンスキャンニング及び酵母ディスプレイ技術を精密エピトープマッピングに使用した。コア抗原に対して実施例5に概説したように、1692−1713領域であるアラニン変異体のライブラリーを、1組の合成DNAオリゴヌクレオチドを用いて構築した。野生型NS4 1692−1713断片を対照として用いた。酵母ディスプレイを実施例5に記載のように実施し、誘導した酵母細胞をHCV NS4キメラ抗体及び二次抗体(Alexa Fluor 633ヤギ抗ヒトIgG)と一緒に温置し、蛍光活性化細胞選別装置(FACS Calibur)によって分析して、抗体結合活性の低下したアラニン変異体を求めた。データによれば、(図9Cに示すように)HCV NS4抗原位置1701(Leu)、1702(Tyr)、1704(Gly)、1705(Phe)、1706(Asp)がHCV NS4キメラ抗体の結合部位である。
【0190】
これらの結果によって、配列LYREFD(配列番号106)で表されるこの領域が、HCV NS4キメラ抗体と結合するエピトープを含むことが確認される。これらの結果によって、HCV NS4キメラ抗体と結合するためには、配列LYXEFD(式中、Xは任意のアミノ酸(配列番号107)であり、又はXはAla若しくはGly(配列番号108)である。)のように、他の残基は変化し得ても、これらの抗原性残基は不変でなければならないことが確認される。
【実施例8】
【0191】
HCV NS5キメラモノクローナル抗体のエピトープマッピング
ハイブリドーマ細胞系抗HCV NS5 48−311−387によって産生されるHCV NS5マウスモノクローナル抗体は、アミノ酸2054−2481(428aa)領域にわたるHCV NS5抗原の領域に対して産生された。NS5キメラ抗体がこの領域内で結合するエピトープを位置づけるために、18対のDNAオリゴヌクレオチドを構築することによって428aa領域を18個の重複断片に分解した。具体的には、これらのオリゴヌクレオチドは以下の断片であった:2048−2076、2075−2101、2098−2124、2120−2146、2144−2177、2169−2196、2193−2221、2220−2247、2245−2272、2271−2296、2292−2318、2313−2339、2336−2363、2360−2386、2382−2408、2408−2436、2435−2462及び2457−2486。これらの18対のオリゴヌクレオチド及びHCV NS5キメラ抗体を利用したエピトープマッピングを実施例6に記載のように実施した。データによれば、HCV NS5断片2382−2408(2382−AESYSSMPPLEGEPGDPDLSDGSWSTV−2408、配列番号37)のみが正の結合を示した。
【0192】
次いで、アラニンスキャンニング及び酵母ディスプレイ技術を精密エピトープマッピングに使用した。コア抗原に対して実施例5に概説したように、2382−2408領域であるアラニン変異体のライブラリーを、1組の合成DNAオリゴヌクレオチドを用いて構築した。野生型NS5 2382−2408断片を対照として用いた。酵母ディスプレイを実施例5に記載のように実施し、誘導した酵母細胞をHCV NS5キメラ抗体及び二次抗体(Alexa Fluor 633ヤギ抗ヒトIgG)と一緒に温置し、蛍光活性化細胞選別装置(FACS Calibur)によって分析して、抗体結合活性の低下したアラニン変異体を求めた。データによれば、(図9Dに示すように)HCV NS5抗原位置2390(Pro)、2391(Leu)、2392(Glu)、2393(Gly)、2394(Glu)、2395(Pro)、2397(Asp)、2398(Pro)及び2400(Leu)がHCV NS5キメラ抗体の結合部位である。
【0193】
これらの結果によって、配列PLEGEPGDPDL(配列番号109)で表されるこの領域が、HCV NS5キメラ抗体と結合するエピトープを含むことが確認される。これらの結果によって、HCV NS5キメラ抗体と結合するためには、配列PLEGEPXDPXL(式中、Xは任意のアミノ酸(配列番号110)であり、又はXはAla若しくはGly(配列番号111)である。)のように、他の残基は変化し得ても、これらの抗原性残基は不変でなければならないことが確認される。
【実施例9】
【0194】
HCVコアキメラモノクローナル抗体の平衡解離定数(K)の測定
実施例5から得られる野生型HCV 27−39コア断片を含む酵母細胞を培養し、細胞表面のエピトープの発現を誘導した。誘導した酵母細胞を種々の濃度のHCVコアキメラ抗体(100nM、33nM、11nM、3.7nM、1.2nM、0.4nM、0.14nM及び0nM)と一緒に温置した。次いで、結合したHCVコアキメラ抗体を、Alexa 633蛍光団と複合化されたヤギ抗ヒトIgGを用いて標準フローサイトメトリー分析によって検出した。HCVコアキメラ抗体の各濃度における平均蛍光強度(MFI)を、蛍光団の励起後に、適切なレーザー及び検出光学を備えたフローサイトメーターによって測定した。
【0195】
MFIと[Ag]をプロットし、最適曲線を決定することによって、見かけの平衡解離定数(K)を計算し、それによってKを求めた。最適曲線は、式:Fbkg+Fsat×[抗原]/(K+[抗原])(式中、Fbkg:バックグラウンドシグナル及びFsat:最大シグナル)によって定義されることが知られている。その結果、HCVコアキメラ抗体のKは約0.7nMであった。
【実施例10】
【0196】
HCV NS3キメラモノクローナル抗体の平衡解離定数(K)の測定
HCV NS3キメラ抗体の平衡解離定数(K)を、(実施例6から得られる)野生型HCV 1190−1216 NS3断片を含む酵母細胞及び種々の濃度のHCV NS3キメラ抗体(33nM、11nM、3.7nM、1.2nM、0.4nM、0.14nM及び0nM)を用いて、実施例9に記載のように測定した。その結果、HCV NS3キメラ抗体のKは約68nMであった。
【実施例11】
【0197】
HCV NS4キメラモノクローナル抗体の平衡解離定数(K)の測定
HCV NS4キメラ抗体の平衡解離定数(K)を、(実施例7から得られる)野生型HCV 1692−1713 NS4断片を含む酵母細胞及び種々の濃度のHCV NS4キメラ抗体(100nM、33nM、11nM、3.7nM、1.2nM、0.4nM、0.14nM及び0nM)を用いて、実施例9に記載のように測定した。その結果、HCV NS4キメラ抗体のKは約0.5nMであった。
【実施例12】
【0198】
HCV NS5キメラモノクローナル抗体の平衡解離定数(K)の測定
HCV NS5キメラ抗体の平衡解離定数(K)を、(実施例8から得られる)野生型HCV 2382−2408 NS5断片を含む酵母細胞及び種々の濃度のHCV NS5キメラ抗体(100nM、33nM、11nM、3.7nM、1.2nM、0.4nM、0.14nM及び0nM)を用いて、実施例9に記載のように測定した。その結果、HCV NS5キメラ抗体のKは約8.8nMであった。
【実施例13】
【0199】
HCVキメラ抗体及びHCVキメラ抗体を分泌するCHO系の特性分析
実施例1−4で調製したHCVコアCHO 201−603−486−333、HCV NS3 CHO 17−903−132sc171、HCV NS4 CHO E99H6C34sc203及びHCV NS5 CHOクローン48−311−271−455細胞系を、細胞の生存、安定な抗体産生による細胞系の安定性、及びマイコプラズマ試験による外来性媒介物(adventitious agent)のないことを含めて、製造性について分析した。細胞系の単クローン性についても試験した。キメラ抗体を等電点電気泳動(IEF)、SDS−PAGE及びゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって特徴づけた。
【0200】
その結果、すべての細胞系が>90%クローンであり、外来性媒介物を含まなかった。>3週間にわたるキメラ抗体産生の分析によって、すべての細胞系が、培養において安定な又は高いキメラ抗体産生を有することが示された。3週齢培養物のHPLC分析によって評価した、最終R&D規模(すなわち、生細胞は20−10%であった。)の平均キメラ抗体産生を図10に示す。
【0201】
すべてのHCVキメラ抗体のSDS−PAGEゲル電気泳動を還元条件下で実施した。各キメラ抗体約3ugを還元剤を含むローディングバッファーと混合し、10分間煮沸し、次いで12%SDS−PAGEゲルに載せ、80ボルトで1.5時間泳動させた。66.2kDから45kDの重鎖が移動するはずであり、31kDから21.5kDの軽鎖が移動するはずであった。HCVキメラ抗体のすべてが、SDS−PAGEによって、抗体重鎖及び軽鎖に対応する2本の明確に区別できるバンドを示した。
【0202】
HCVキメラ抗体を更に特徴づけるために、全4種類のHCVキメラ抗体について等電点(IEF)ゲル電気泳動を実施した。IEFは、タンパク質をその実効電荷に応じて分離する技術である。所与のpHにおいて、タンパク質の実効電荷は、その正電荷と負電荷の相対数に依存する。タンパク質上の正電荷が負電荷と等しいpHは、タンパク質の等電点(pI)を規定する。4種類のHCVキメラ抗体のIEFプロファイルによれば、HCVキメラ抗体のpI値は7.8から9.0であった。具体的には、HCVコアキメラ抗体のpIは約9.0であり、HCV NS3抗体のpIは8.5から9.0であり、HCV NS4キメラ抗体のpIは7.8から8.7であり、HCV NS5キメラ抗体のpIは8.0から8.9であった。
【0203】
HCVコアキメラ抗体を、Tosohaas 3000カラムを備えたWatersシステムを用いたゲル浸透高速液体クロマトグラフィー(GPC−HPLC)によっても分析した。GPC−HPLCは、タンパク質又はポリペプチドの純度及びその凝集状態を分子サイズ及び形状に基づくクロマトグラフィー分離によって測定するのに用いられる標準技術である。アルブミン、キメラ抗体及びゲルろ過標準の各々3回の10ugの注射に基づいて、各キメラ抗体ロットの最終平均純度を計算した。HCV NS3 CHO 17−903−132sc171ロットの純度は97%であった。HCV NS4 CHO E99H6C34sc203ロットの純度は58%であった。HCV NS5 CHO 48−311−271−455ロットの純度は90%であり、HCVコアCHO 201−603−486−333ロットの純度は88%であった。
【実施例14】
【0204】
標準HCV検出アッセイにおけるHCVキメラ抗体の抗原反応性
実施例1−4に記載のように調製した4種類のキメラ抗体(HCVコア、NS3、NS4及びNS5)を、Prism、AxSYM、ARCHITECT及びEIA(Bead)プラットホームのAbbott HCV血液スクリーニングアッセイによって試験した。Prismプラットホームアッセイは、抗体検出にNS3、NS4、NS5及びコア抗原を使用するのに対して、AxSYM、ARCHITECT及びEIA(Bead)プラットホームアッセイは抗体検出にNS3、NS4及びコア抗原を使用する。すべてのプラットホームで、抗原は、現在、ヒトドナーから提供されるエピトープ反応性血しょう/血清試料を用いて適格とされる。
【0205】
Abbott HCV EIAは、ヒト血清、血しょう又は死体血清中のC型肝炎抗体(抗HCV)の定性的検出のためのインビトロ酵素免疫測定法である。ヒト試料を試料希釈剤で希釈し、組換えHCV抗原で被覆されたポリスチレンビーズと一緒に温置する。抗体が試料中に存在する場合、患者試料中の免疫グロブリンは、ビーズに塗布された抗原に結合する。ビーズを洗浄して非結合材料を除去した後、O−フェニレンジアミン−2HCl(OPD)を用いて、ヒト免疫グロブリンに対する西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗体を含有する溶液と一緒にビーズ−抗原−抗体複合体を温置し、492nmの発色強度を読むことによって、ビーズに結合したままのヒト免疫グロブリンを検出する。最終試料/カットオフ(S/Co)を計算する。カットオフを以下のように計算する。
【0206】
カットオフ値=NCx+(0.25)PCx (式中、NCx(負の平均吸光度)=全吸光度/複製数、及びPCx(正の平均の計算値)=全吸光度/複製数)
【0207】
吸光度値が0.005以上カットオフ未満である試料を陰性とみなす。吸光度値がカットオフ値以上である試料を初期反応性とみなす。Abbott HCV EIA 2.0アッセイキットを用いてこの手順に従うと、表3に示すように、抗HCVコア、NS3及びNS4キメラ抗体はすべて反応性であった。抗HCV NS5キメラ抗体は、アッセイに含まれるHCV NS5組換え抗原がないので、陰性である。
【0208】
Abbott AXSYM抗HCVアッセイは、ヒト血清又は血しょう中のHCV組換えタンパク質に対する抗HCV IgGの定性的検出用微粒子免疫測定法(MEIA)である。アッセイの実施に用いられるAxSYMシステムは、2種類の指標較正用物質複製(Index Calibrator replicate)の平均率からカットオフ率を計算し、結果を保存する。カットオフ率(CO)は、AxSYM抗HCV指標較正用物質平均率に0.12を掛けて求められる。
【0209】
試料は、S/CO値が1.21以上である場合に反応性とみなされる。S/CO値が0.8から1.20である試料は「灰色域」試料とみなされ、S/CO値が0.79未満である試料は非反応性とみなされる。Abbott HCV AxSYM抗HCVアッセイ添付文書に記載のプロトコルに従うと、抗HCVコア、NS3及びNS4キメラ抗体は、表3に示すように反応性であった。また、抗HCV NS5キメラ抗体は、アッセイに含まれるHCV NS5組換え抗原がないので、陰性であった。
【0210】
Abbott ARCHITECT抗HCVアッセイは、ヒト血清及び血しょう中の抗HCV抗体の定性的検出用の化学発光微粒子免疫測定法(CMIA)である。ARCHITECT抗HCVアッセイは、試料中の抗体に結合する、微粒子表面に塗布された組換えHCV抗原を使用する。ARCHITECT抗HCV最終反応では、結合したアクリジニル化複合体を使用して、化学発光シグナルを発生する。アッセイの実施に用いられるARCHITECT iシステムは、3種類の抗HCV較正用物質1複製の平均化学発光シグナルからカットオフRLUを計算し、結果を保存する。カットオフRLUは、抗HCV較正用物質1平均RLUに0.074を掛けて求められる。次いで、ARCHITECT iシステムは、各試料及び対照に対する試料RLUとカットオフRLUの比(S/CO)に基づく結果を計算する。
【0211】
試料は、S/CO値が1.00以上である場合に反応性とみなされる。S/CO値が0.8から0.99である試料は「灰色域」試料とみなされ、S/CO値が0.79未満である試料は非反応性とみなされる。Abbott ARCHITECT抗HCVアッセイ添付文書に記載のプロトコルに従うと、抗HCVコア、NS3及びNS4キメラ抗体は、表3に示すように反応性である。抗HCV NS5キメラ抗体は、アッセイに含まれるHCV NS5組換え抗原がないので、陰性であった。
【0212】
Abbott Prism HCVアッセイは、ヒト血清及び血しょう中の抗HCV抗体の定性的検出用の化学発光微粒子免疫測定法である。カットオフ値を以下のように計算する。
【0213】
カットオフ値=負の平均較正用物質正味カウント+0.55×正の平均較正用物質正味カウント
【0214】
試料は、S/CO値がカットオフ値以上である場合に初期反応性とみなされる。Abbott Prism HCVアッセイ添付文書に記載のプロトコルに従うと、抗HCVコア、NS3、NS4及びNS5キメラ抗体すべては、表3に示すように反応性であった。
【0215】
【表3】


【0216】
その結果、Abbott AxSYM、EIA、Prism及びARCHITECTプラットホーム上で、HCVキメラ抗体は、抗原に対してヒト由来の対照以上の反応性を示す。表3において、抗NS5キメラ抗体は、EIA、AxSYM及びARCHITECTアッセイで反応しないが、これは、NS5抗原がビーズ/微粒子に塗布されていないためにすぎない。
【実施例15】
【0217】
C型肝炎ウイルスコアタンパク質に特異的なヒト−マウスキメラ抗体の調製#2
第2の抗コアキメラ抗体HCVコアCHO 14−153−229sc152をハイブリドーマ14−153−462から調製した。(「HCV 14−153−462」としても知られる)ネズミハイブリドーママウスひ臓細胞系抗HCVコア14−153−462をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VAに2006年11月21日にPatent Deposit Designation PTA−8028のもとに寄託した。
【0218】
ハイブリドーマ細胞系の調製
ハイブリドーマ細胞系抗HCVコア14−153−462を、コアCKS−33C−BCD抗原の代わりにpL−コアとして知られる精製HCV組換えコア抗原を用いて、実施例1に記載のように作製した。pL−コア組換え抗原は、HCVポリタンパク質のアミノ酸1−150に対応する。動物免疫化投薬計画は、フロイントアジュバント系中の1回の追加免疫200μgと2週間後の食塩水中の融合前追加免疫を利用した。
【0219】
mRNAの単離、並びにマウスV及びV配列の特定
HCVコア201−603−195ハイブリドーマ細胞系に関して実施例1に記載したように、ハイブリドーマ細胞系抗HCVコア14−153−462並びにRT−PCRによって得られたマウスV及びV配列からmRNAを単離した。陽性PCR産物は、Cの重鎖(H)プライマーセット(VH−C)及びB及びCの軽鎖(L)プライマーセット(VL−B、VL−C)から認められた。すべての陽性PCR産物をゲル精製し、pCR TOPO 2.1 TAベクターにクローニングし、E.コリに転換した。コロニーPCR反応によってクローン挿入断片を確認した。手短に述べると、M13順方向及びM13逆方向プライマー(Invitrogen Corp.)、Taq DNAポリメラーゼ、並びにテンプレートとして煮沸したE.コリコロニーを用いてPCRを実施した。PCRは、変性94℃1分間、アニーリング50℃1分間及び伸長72℃2分間、更に最終伸長72℃6分間を合計30サイクル含んだ。正しいサイズのPCR産物を産生するクローンをLBブロス中で増殖させた。各プラスミドDNAをQIAprep spin miniprep Kit(QIAGEN)によって精製し、M13順方向及び逆方向プライマーとBig Dye Terminator v3.1サイクル配列決定キット(Applied Biosystems)を用いて配列決定した。
【0220】
最終TAクローンを、実施例1に記載のように配列アラインメントによって選択した。配列結果によって、VL−Bクローンが正しいV配列(配列番号39で示されるポリペプチドをコードする配列番号41)を含み、VH−Cクローンが正しいV配列(配列番号38で示されるポリペプチドをコードする配列番号40)を含むことが確認された(図11A−Dも参照)。
【0221】
pBOSベクターへのV及びV遺伝子のクローニング
VL−B TAクローン番号5をテンプレートとして用いて、マウスV配列のクローンを作製するように1対のPCRプライマー、すなわち、HCVコア抗体V 5’末端プライマー
5’−AAATTTTCGCGATGCGACATTGTGCTGACCCAATCTC−3’[配列番号96]
とHCVコア抗体V 3’末端プライマー
5’−ACTACTCGTACGTTTGATTTCCAGCTTGGTGCCT−3’[配列番号97]
を設計した。
【0222】
5’末端プライマーは、部分的カッパシグナル配列及びNru I制限酵素切断部位を含み、3’末端プライマーはBsiW I制限酵素切断部位を含んだ。また、VH TAクローン番号1をテンプレートとして用いて、マウスV配列のクローンを作製するように1対のプライマー、すなわち、HCVコア抗体V 5’末端プライマー
5’−AAATTTTCGCGATTTTAAAAGGTGTCCAGTGTCAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGG−3’[配列番号98]
とHCVコア抗体V 3’末端プライマー
5’−TCCTTTGTCGACGCTGAGGAGACGGTGACTGAGGTT−3’[配列番号99].
を設計した。
【0223】
このプライマー対の場合、5’末端プライマーは部分的重鎖シグナル配列及びNru I制限酵素切断部位を含み、3’末端プライマーはSal I制限酵素切断部位を含んだ。
【0224】
上記プライマー対、並びにそれぞれVL−B TAクローン番号5及びVH−C TAクローン番号1をテンプレートとして用いたPCRによって、V及びV配列を独立に増幅した。5’末端及び3’末端プライマーの各々20pmol、Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen Corp.)1単位、並びにテンプレートとして細菌コロニー2μlを用いて、PCRを1×PCR増幅緩衝剤中で実施した。PCRを94℃30秒間及び55℃30秒間、続いて72℃1分間の30サイクル実施した。
【0225】
及びV PCR産物を、実施例1に記載のように、制限酵素によってそれぞれNru I/BsiW I及びNru I/Sal I消化により切り取り、次いで(V配列の場合)pBOS−hckベクター又は(V配列の場合)pBOS−hcgベクターにクローニングした。実施例1に記載のように、(V配列を含む)プラスミドpBOS 14−153−462−L及び(V配列を含む)pBOS 14−153−462−Hを配列決定によって選択した。それぞれのpBOSクローンを確認した後、pBOS 14−153−462−L−T0プラスミド又はpBOS 14−153−462−H−T0プラスミドを含む別々のE.コリDH5α細胞バンクを作製して、pBOSクローンを保存した。
【0226】
キメラ抗体機能試験
実施例1に記載のように、pBOS 14−153−462−L−T0及びpBOS 14−153−462−H−T0プラスミドDNAを調製し、COS 7L細胞に一過性導入した。実施例1に記載のように、移入されたCOS 7L細胞から抗HCVコアキメラ抗体を調製し、EIAによって評価してHCVコア抗原との反応性を確認した。EIAを実施例1に記載のように実施した。EIAの結果によれば、一過性発現から得られるキメラ抗体は、HCVコア抗原に対して反応性であった。
【0227】
安定な発現ベクターへのV及びV配列のクローニング
pBOS 14−153−462−L−T0及びpBOS 14−153−462−H−T0クローンを用いて、実施例1に記載のように、配列を(V配列の場合)pBVベクター又は(V配列の場合)pJVベクターにまずクローニングし、続いてPac I/Asc I制限酵素消化から得られたベクター断片を連結して、VとVの両方の配列を含むpBJプラスミドpBJ HCVコア14−153−462を生成させることによって、安定な細胞系移入用のプラスミドクローンを構築した。pBJクローンをSrf I/Not I消化によってスクリーニングして、pBJクローンが両方の配列を含むことを確認した。HCVコアキメラ抗体の最終pBJクローン(pBJ HCVコア14−153−462)のプラスミドマップを図12に示す。V及びV遺伝子配列を図11A−Bに示す(それぞれ、配列番号40及び配列番号41)。pBJ 14−153−462−T4クローンを含むE.コリDH5α細胞バンクを作製した。
【0228】
安定なCHO細胞系の樹立及びHCVキメラ抗体の発現
実施例1に記載のように、pBJ 14−153−462−T4プラスミドをリン酸カルシウム媒介性移入によって、DHFR欠損チャイニーズハムスター卵巣細胞系に移入した。実施例1に記載のように、培養及び単細胞クローニングを実施した。96ウェルプレートを抗原特異的EIAによって試験し、クローン番号229を更なる発生用に選択した。EIAを上述したように実施した。HCVコア14−153−462 CHO細胞クローンを培養し、BD FACSAriaフローサイトメーター選別機を用いて単細胞を96ウェルプレートに選別した。CHOサブクローン番号152を選択して、CD−CHO無血清培地(Invitrogen Corp.)に切り換えた。キメラ抗体の産生、及び液体窒素中での貯蔵用の発見細胞バンクの開発のために、最終CHO細胞系(HCVコア14−153−229sc152)を増殖させた。実施例1に記載のように、キメラ抗体を標準プロテインA精製手順によってこの細胞系から精製した。
【0229】
HCVコアCHO 14−153−229sc152細胞系をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VAに2006年5月2日にPatent Deposit Designation PTA−7571のもとに寄託した。
【0230】
すべての特許、公表された特許出願を含めた刊行物、及び本明細書で参照するデータベース登録事項の開示を、かかる個々の特許、刊行物及びデータベース登録事項が参照により組み入れられるように具体的かつ個々に示されたごとく、同じ程度に参照によりその全体を具体的に組み入れる。
【0231】
本発明をある特定の実施形態に関連して説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その種々の改変が当業者には明らかであるはずである。当業者に明らかであるかかる改変はすべて、以下の特許請求の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C型肝炎ウイルス(HCV)タンパク質の診断関連領域に特異的に結合する1種類以上の組換え抗体を含む免疫診断試薬であって、前記1種類以上の組換え抗体がHCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体、HCV E2タンパク質に特異的なキメラ抗体、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体、及びHCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体からなる群から選択される、免疫診断試薬。
【請求項2】
前記免疫診断試薬が、
(a)HCVポリタンパク質のアミノ酸1−150によって規定されたHCVコアタンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)アミノ酸1192から1457 HCVポリタンパク質によって規定されたHCV NS3タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(c)アミノ酸1920から1935又はアミノ酸1676から1931 HCVポリタンパク質によって規定されたHCV NS4タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(d)HCVポリタンパク質のアミノ酸2054から2995によって規定されたHCV NS5タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択されるキメラ抗体を含む、請求項1に記載の免疫診断試薬。
【請求項3】
前記免疫診断試薬が、
(a)配列番号34で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)配列番号35で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(c)配列番号36で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(d)配列番号37で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択されるキメラ抗体を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項4】
前記免疫診断試薬が、
(a)配列番号100で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)配列番号101で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(c)配列番号102で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択されるキメラ抗体を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項5】
前記免疫診断試薬が、
(a)配列番号103で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)配列番号104で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(c)配列番号105で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択されるキメラ抗体を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項6】
前記免疫診断試薬が、
(a)配列番号106で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)配列番号107で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(c)配列番号108で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択されるキメラ抗体を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項7】
前記免疫診断試薬が、
(a)配列番号109で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)配列番号110で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(c)配列番号111で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択されるキメラ抗体を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項8】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号1で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号38で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号42、43及び44で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号48、49及び50で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項9】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号2で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号39で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号45、46及び47で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号51、52及び53で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項10】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号9で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号54、55及び56で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項11】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号10で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号57、58及び59で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項12】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号17で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号60、43及び61で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項13】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号18で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号62、58及び63で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項14】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号25で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号64、65及び66で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項15】
前記キメラ抗体が、
配列番号26で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
配列番号67、46及び68で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項16】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号7によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号40によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号69、70及び71によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号75、76及び77によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項17】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号8によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号41によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号72、73及び74によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号78、79及び80によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項18】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号15によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号81、82及び83によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項19】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号16によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号84、85及び86によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項20】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号23によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号87、70及び88によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項21】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号24によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号89、85及び90によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項22】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号31によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号91、92及び93によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項23】
前記キメラ抗体が、
配列番号32によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
配列番号94、73及び95によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項2に記載の免疫診断試薬。
【請求項24】
前記免疫診断試薬が前記組換え抗体の2種類以上を含む、請求項1から23のいずれかに記載の免疫診断試薬。
【請求項25】
前記免疫診断試薬が、検出試薬、標準化試薬及び正の対照試薬からなる群から選択される試薬である、請求項24に記載の免疫診断試薬。
【請求項26】
HCVコアタンパク質、HCV NS3タンパク質、HCV NS4タンパク質及びHCV NS5タンパク質からなる群から選択されるHCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合する、キメラ抗体。
【請求項27】
前記キメラ抗体が、
(a)HCVポリタンパク質のアミノ酸1−150によって規定されたHCVコアタンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)アミノ酸1192から1457 HCVポリタンパク質によって規定されたHCV NS3タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(c)アミノ酸1920から1935又はアミノ酸1676から1931 HCVポリタンパク質によって規定されたHCV NS4タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(d)HCVポリタンパク質のアミノ酸2054から2995によって規定されたHCV NS5タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択される、請求項26に記載のキメラ抗体。
【請求項28】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号34で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)配列番号35で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(c)配列番号36で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(d)配列番号37で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択される、請求項26に記載のキメラ抗体。
【請求項29】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号100で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)配列番号101で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(c)配列番号102で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択される、請求項26に記載のキメラ抗体。
【請求項30】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号103で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)配列番号104で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(c)配列番号105で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択される、請求項26に記載のキメラ抗体。
【請求項31】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号106で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)配列番号107で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(c)配列番号108で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択される、請求項26に記載のキメラ抗体。
【請求項32】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号109で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)配列番号110で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(c)配列番号111で表されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択される、請求項26に記載のキメラ抗体。
【請求項33】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号1で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号38で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号42、43及び44で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号48、49及び50で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項34】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号2で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号39で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号45、46及び47で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号51、52及び53で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項35】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号9で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号54、55及び56で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域。
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項36】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号10で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号57、58及び59で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項37】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号17で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号60、43及び61で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項38】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号18で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号62、58及び63で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項39】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号25で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号64、65及び66で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項40】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号26で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号67、46及び68で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項41】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号7によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号40によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号69、70及び71によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号75、76及び77によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項42】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号8によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号41によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号72、73及び74によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号78、79及び80によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項43】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号15によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号81、82及び83によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項44】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号16によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号84、85及び86によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項45】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号23によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号87、70及び88によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項46】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号24によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号89、85及び90によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項47】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号31によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号91、92及び93によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項48】
前記キメラ抗体が、
(a)配列番号32によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号94、73及び95によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項27に記載のキメラ抗体。
【請求項49】
前記キメラ抗体が、HCVコアCHO 201−603−486−333、HCVコアCHO 14−153−229sc152、HCV NS3 CHO 17−903−132sc171、HCV NS4 CHO E99H6C34sc203及びHCV NS5 CHO 48−311−271−455からなる群から選択される細胞系によって発現されるキメラ抗体と実質的に同一である、請求項26から48のいずれかに記載のキメラ抗体。
【請求項50】
抗HCVコア201−603−195、抗HCVコア14−153−462、抗HCV NS3 17−903−127、抗HCV NS4 E99H6C34及び抗HCV NS5 48−311−387からなる群から選択される細胞系によって発現される、マウスモノクローナル抗体。
【請求項51】
C型肝炎ウイルスタンパク質の診断関連領域に特異的に結合するキメラ抗体を発現する細胞系であって、HCVコアCHO 201−603−486−333、HCVコアCHO 14−153−229sc152、HCV NS3 CHO 17−903−132sc171、HCV NS4 CHO E99H6C34sc203及びHCV NS5 CHO 48−311−271−455からなる群から選択される、前記細胞系。
【請求項52】
C型肝炎ウイルスタンパク質の診断関連領域に特異的に結合するマウスモノクローナル抗体を発現する細胞系であって、抗HCVコア201−603−195、抗HCVコア14−153−462、抗HCV NS3 17−903−127、抗HCV NS4 E99H6C34及び抗HCV NS5 48−311−387からなる群から選択される、前記細胞系。
【請求項53】
請求項1から25のいずれかに記載の免疫診断試薬を感受性パネルとして使用することを含む、HCV抗体検出アッセイを標準化する方法。
【請求項54】
HCV抗原の存在を検出する方法であって、
(a)試験試料を得る段階、
(b)前記試験試料を請求項1から25のいずれかに記載の免疫診断試薬と、キメラ抗体:抗原複合体の形成を可能にする条件下で接触させる段階、及び
(b)前記HCV抗原の存在を示すものとして、形成されたキメラ抗体:抗原複合体を検出する段階
を含む、方法。
【請求項55】
HCV抗体の存在を検出する方法であって、
(a)試験試料を得る段階、
(b)前記試験試料をHCV抗体に特異的な1種類以上のHCV抗原と、抗原:抗体複合体の形成を可能にする条件下で接触させる段階、及び
(c)前記HCV抗原の存在を示すものとして、形成された抗原:抗体複合体を検出する段階
を含み、改善が、請求項1から25のいずれかに記載の免疫診断試薬が前記方法において正の対照又は標準化試薬として用いられることを含む、方法。
【請求項56】
請求項1から25のいずれかの免疫診断試薬を含む、C型肝炎ウイルス検出用診断キット。
【請求項57】
HCVタンパク質エピトープに特異的に結合する抗体によって結合される、HCVタンパク質エピトープ内のアミノ酸残基を特定する方法であって、
(a)宿主細胞(すなわち、酵母細胞)の表面に提示された一連のペプチドを含む酵母ディスプレイライブラリーを得る段階であって、酵母によって提示された前記一連のペプチドが、前記エピトープのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、前記エピトープの個々のアミノ酸はアラニンで順次置換されている段階、
(b)前記酵母ディスプレイライブラリーを、前記エピトープに特異的に結合する抗体と、前記抗体と前記エピトープの結合を可能にする条件下で接触させる段階、及び
(c)段階(b)において前記抗体によって結合されない、酵母細胞上に提示されたペプチドを特定する段階
を含み、抗体結合の欠如によって、酵母によって提示されたペプチドが、エピトープ中の前記抗体によって結合されるアミノ酸位置にアラニン残基を含むことが示される、方法。
【請求項58】
HCVコアタンパク質、HCV NS3タンパク質、HCV NS4タンパク質及びHCV NS5タンパク質からなる群から選択されるHCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合するキメラ抗体の一部を含む、単離ポリペプチド。
【請求項59】
前記キメラ抗体が、
(a)HCVポリタンパク質のアミノ酸1−150によって規定されたHCVコアタンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)アミノ酸1192から1457 HCVポリタンパク質によって規定されたHCV NS3タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(c)アミノ酸1920から1935又はアミノ酸1676から1931 HCVポリタンパク質によって規定されたHCV NS4タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(d)HCVポリタンパク質のアミノ酸2054から2995によって規定されたHCV NS5タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択される、請求項58に記載の単離ポリペプチド。
【請求項60】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号1で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号38で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号42、43及び44で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号48、49及び50で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項61】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号2で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号39で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号45、46及び47で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号51、52及び53で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項62】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号9で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号54、55及び56で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項63】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号10で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号57、58及び59で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項64】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号17で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号60、43及び61で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項65】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号18で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号62、58及び63で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項66】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号25で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号64、65及び66で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項67】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号26で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号67、46及び68で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項68】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号7によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号40によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号69、70及び71によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号75、76及び77によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項69】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号8によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号41によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号72、73及び74によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号78、79及び80によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項70】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号15によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号81、82及び83によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項71】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号16によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号84、85及び86によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項72】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号23によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号87、70及び88によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項73】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号24によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号89、85及び90によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項74】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号31によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号91、92及び93によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項75】
前記ポリペプチドが、
(a)配列番号32によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号94、73及び95によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域を含む、請求項59に記載の単離ポリペプチド。
【請求項76】
HCVコアタンパク質、HCV NS3タンパク質、HCV NS4タンパク質及びHCV NS5タンパク質からなる群から選択されるHCVタンパク質の診断関連領域に特異的に結合するキメラ抗体の一部をコードする、単離ポリヌクレオチド。
【請求項77】
前記キメラ抗体が、
(a)HCVポリタンパク質のアミノ酸1−150によって規定されたHCVコアタンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCVコアタンパク質に特異的なキメラ抗体、
(b)アミノ酸1192から1457 HCVポリタンパク質によって規定されたHCV NS3タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS3タンパク質に特異的なキメラ抗体、
(c)アミノ酸1920から1935又はアミノ酸1676から1931 HCVポリタンパク質によって規定されたHCV NS4タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS4タンパク質に特異的なキメラ抗体、及び
(d)HCVポリタンパク質のアミノ酸2054から2995によって規定されたHCV NS5タンパク質の領域に含まれるエピトープに特異的に結合する、HCV NS5タンパク質に特異的なキメラ抗体
からなる群から選択される、請求項76に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項78】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号1で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号38で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号42、43及び44で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号48、49及び50で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項79】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号2で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号39で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号45、46及び47で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号51、52及び53で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項80】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号9で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号54、55及び56で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項81】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号10で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号57、58及び59で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項82】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号17で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号60、43及び61で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項83】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号18で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号62、58及び63で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項84】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号25で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号64、65及び66で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項85】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号26で表される配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号67、46及び68で表される配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項86】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号7によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号40によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号69、70及び71によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号75、76及び77によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項87】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号8によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(b)配列番号41によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、
(c)配列番号72、73及び74によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域、並びに
(d)配列番号78、79及び80によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項88】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号15によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号81、82及び83によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項89】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号16によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号84、85及び86によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項90】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号23によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号87、70及び88によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項91】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号24によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号89、85及び90によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項92】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号31によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号91、92及び93によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項93】
前記ポリヌクレオチドが、
(a)配列番号32によってコードされる配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域、並びに
(b)配列番号94、73及び95によってコードされる配列の1個以上と実質的に同一である相補性決定領域配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域をコードする、請求項77に記載の単離ポリヌクレオチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−511410(P2010−511410A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540452(P2009−540452)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/086516
【国際公開番号】WO2008/070727
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】