説明

C型肝炎ウイルスペプチドの単離方法

【課題】C型肝炎の予防・治療に有効なワクチンの作成に役立つ、C型肝炎ウイルス(HCV)のT細胞エピトープペプチドを提供する
【解決手段】HCV−ペプチドプールを、ヒトのT細胞上のMHC/HLA分子と接触させ、複合体を形成、検出し、該MHC/HLA分子との結合能によりスクリーニングして得られた、HCVのT細胞エピトープペプチド。また、該HCVペプチドおよび該MHC/HLA分子を含む複合体の単離方法。さらに該ペプチドを含む、HCV感染防御用ワクチン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HCVペプチド、特にMHC/HLA分子に対する結合能を有するHCV T細胞エピトープの単離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫系は、感染性微生物から多細胞生物を保護するために発達した相互に関連する細胞種および分子の複雑なネットワークである。免疫系は、進化的により古い先天性(すなわち天然の)免疫または適応的(獲得)免疫に分けることができる。該先天性免疫系は、通常、病原体に共通および本質的なパターンを認識する。この限られた数の分子構造について、生殖系列がコードするレセプターが発達した。反対に、適応的免疫系の細胞(BおよびT細胞)は、多様な抗原構造を認識することができる。レセプター、それらを発現する細胞種に従って名付けられたB細胞レセプター(BCR、その可溶性のものは抗体と呼ばれる)、およびT細胞レセプター(TCR、細胞表面結合形のみ)は、体細胞組換えにより生じ、クローン性分布を示す。したがって、最初はある種の特異性を有する少数の細胞のみが存在する。抗原に出会うとこれらの細胞は分裂(クローン性増殖)を始め、抗原に対抗することができるエフェクターポピュレーションを生じる。抗原を排除後、この抗原を特異的に認識する細胞の分化したサブポピュレーションが免疫記憶として残る。これらをもとに、適応的免疫系は特異的であるが遅く(先天性免疫に比べて)、該病原体/抗原に対する反復暴露を改善する。
【0003】
T細胞は適応的免疫に中心的役割を持つ。そのレセプター(TCR)は、細胞表面上の「主要組織適合複合体」(MHCまたはHLA):ペプチド複合体を認識する。これらペプチドは、T細胞エピトープと呼ばれ、抗原の分解産物を提示する。T細胞には2つの主要なクラスがあり、CD8陽性細胞傷害性T細胞(CTL)はMHCクラスIに制限される。CD4陽性ヘルパーT細胞(HTL)はMHCクラスIIに制限される。HTLは適応的免疫の多くの特徴:いわゆる「専門的抗原提示細胞」(APC)、免疫グロブリン(Ig)クラススイッチ、胚中心反応、およびIg親和性成熟、CTLの活性化、免疫記憶、免疫応答の調節、その他に必須である。
【0004】
MHC分子は細胞内側のペプチドを収集し、細胞表面上のそれらをT細胞のTCRに提示する。MHCには2つの主要なクラス、CD8陽性CTLにより認識されるクラスIおよびCD4陽性HTLにより認識されるクラスIIがある。
【0005】
MHCクラスI分子は、45kDaの膜固定α鎖および12kDaの非共有結合b2マイクログロブリン(b2m)からなる。X線結晶学(SternおよびWiley 1994)による三次元構造分析は、α鎖が、両端が閉じ、8〜11アミノ酸長のペプチドに適合する割れ目(クレフト)を有することを明らかにした。クラスI分子は偏在性に発現し、それらが提示する該ペプチドは細胞質タンパク質に由来する。これらはプロテオソームにより分解され、生じたペプチドは小胞体(ER)に能動的に輸送される。そこで、種々のシャペロンの助けにより、MHC:ペプチド複合体が形成され、細胞表面に輸送される(Heemels 1995)。すなわち、MHCクラスIは細胞のプロテオームをその表面上に反映させ、細胞が細胞内病原体または悪性細胞を認識するのを可能にする。
【0006】
MHCクラスII分子は、それぞれ35kDaおよび30kDaの2つの膜固定タンパク質(αおよびβ鎖)からなる。これらは一緒になって通常12〜25アミノ酸の可変長のペプチドに適合することができる両端が開いたクレフトを形成する。これらの違いにも関わらず、クラスIおよびII分子は、驚くべき構造的類似性を共有する(SternおよびWiley 1994)。クラスII分子は、樹状細胞(DC)、B細胞、およびマクロファージ/単球を含む専門的APC上にのみ発現する。これらの細胞は、エンドソーム経路中で抗原の利用およびプロセシングを専門にしている。それらの生合成直後にクラスII分子は、ER中のペプチドの結合を抑制するいわゆる不変鎖(Ii)により複合体を形成する。クラスII:Ii複合体を含む小胞が外来性抗原の分解産物を含むエンドソームと融合すると、MHC結合クレフトがいわゆるCLIPペプチドによってのみ複合体を形成するまでIiが分解される。後者は、HLA-DMのようなシャペロンの助けにより抗原性ペプチドにより交換される(Villadangos 2000)。最終的に、MHC:ペプチド複合体は、HTLと多くの方法で相互作用するAPCの表面上に再度提示される。
【0007】
多遺伝子性であり、きわめて多形性であるMHC系は非常に複雑である。ヒトのクラスIα鎖にはHLA-A、-B、および-Cと呼ばれる3つの遺伝子座がある。同様に、3つのクラスIIα鎖遺伝子座(DRA、DQA、DPA)があり、クラスIIβ鎖遺伝子座に関しては4つの異なるDRβ鎖(DRB1、2、3、5)に加えてDQBおよびDPBがあるのでより複雑である。単一形のDRα鎖DRAを除き、各遺伝子座は該ポピュレーション中の多くの種々の対立遺伝子(数10〜数100)中に存在する(Klein 1986)。異なる対立遺伝子は、ペプチドに対する大きく異なる結合特異性を有する。対立遺伝子は、例えばHLA-A*0201またはHLA-DRB1*0401またはHLA-DPA*0101/DPB*0401で表される。
【0008】
T細胞エピトープは、種々のアプローチにより同定されている(Van den Eynde 1997)。T細胞系およびクローンは、例えば、例えば適切なHLA分子でトランスフェクトしたCOS細胞に関連してcDNA発現ライブラリーをスクリーニングするのに用いられてきた。あるいはまた、生化学的アプローチが行われてきた。後者には、標的細胞表面上のMHC分子由来の天然リガンドの溶出、種々のクロマトグラフィ工程によるこれらペプチドの分離、エピトープ再構成アッセイにおけるそれらとリンパ球との反応性の分析、および質量分析によるシーケンシングが含まれた(Woelfelら1994、Coxら1994)。
【0009】
最近、IFN-γ ELIspot(エリスポット)アッセイのような高感度サイトカイン検出アッセイの出現は、オーバーラッピング合成ペプチドのスクリーニングのためにリンパ球をex vivoで直接使用するのを可能にした(Maecker 2001、Kern 2000、Tobery 2001)。最初に、Kernら(1999 & 2000)は、オーバーラッピング9量体ペプチドプールのアレイを用い、in vitroでCD8+ T細胞エピトープをマッピングした。その後、Toberyら、2001は、このアプローチを修飾し、64もの20量体ペプチドを含むプールがマウスでCD8+およびCD4+T細胞両エピトープのスクリーニングに用いることができることを示した。これら方法はともに、細胞内染色(Kernら 2000)またはELIspotアッセイ(Toberyら、2001)を用いるINF-γ生成の測定による抗原特異反応のモニターに基づいた。15量体の混合物を用いることによるCD4+T細胞の反応は、全可溶性タンパク質を抗原に用いた時に検出されるものとほぼ同等であり、驚くことではないがCD8+T細胞の反応は、可溶性タンパク質刺激を用いて検出されるしばしばごくわずかな反応より有意に高い。さらに、CD8+T細胞の15アミノ酸ペプチド混合物に対する反応は、既知のMHCクラスI最小エピトープを示すために選ばれた8-12アミノ酸ペプチド混合物を用いて得られたものと同様である。該細胞膜と結合したほとんどのペプチダーゼは、これら環境下でペプチドを最適な長さに「切る(clipping)」のに関与する(Maeckerら、2001)。
【0010】
興味深い別の方法は、特異的リンパ球を用いて合成コンビナトリアルペプチドライブラリーをスクリーニングすることである。例えば、ポジショナルスキャンニングフォーマットを用いて配置した200混合物からなるデカペプチドライブラリーは、T細胞のクロノタイプポピュレーションを刺激するペプチドリガンドの同定にうまく用いられてきた(Wilsonら、J.Immunol.、1999、163: 6424-6434)。
【0011】
多くのT細胞エピトープは、いわゆる「逆免疫学的アプローチ(Reverse immunological approaches)」(Rammensee 1999)により同定された。この場合は、潜在的T細胞エピトープを生じるタンパク質が知られており、その一次配列をHLA結合モチーフについて精査する。典型的には、数十〜数百の候補ペプチドまたはフルセットのオーバーラッピングペプチドを合成し、HLA分子に対する結合を試験する。通常、最良の結合物質を選び、そのT細胞との反応をさらに特徴づける。これは、例えばHLAトランスジェニックマウスの助けによりin vivoまたはin vitroでT細胞をプライミングすることにより行うことできる。
【0012】
C型肝炎ウイルス(HCV)は、世界中で約17000万人が慢性感染しているフラビウイルス科のメンバーである。少なくとも6種のHCV遺伝子型があり、50以上のサブタイプが記載されている。アメリカ、ヨーロッパ、および日本では遺伝子型1、2、および3が最も一般的である。HCV遺伝子型の地理的分布は、遺伝子型1aがアメリカ合衆国および西ヨーロッパの一部で優性であるのに対し、1bは南および中央ヨーロッパで優性というように大きく異なる(Bellentani 2000)。
【0013】
HCVは、非経口的または経皮経路を介して伝搬し、肝細胞で複製される。患者の約15%はウイルス浄化および回復に付随する急性自己限定性肝炎を経験する。感染患者の約80%が慢性的キャリアとなる。感染は無症候性に持続し、数年で徐々に進行するが、最終的にHCVは肝硬変、末期肝臓病、および肝癌の主要原因となる(Liang 2000)。HTLおよびCTL両反応の強さと質は、患者が回復するか(自然にか、または治療の結果として)、または慢性感染を生じるかどうかを決定する(Liang 2000)。
【0014】
HCVの標準的治療には、ペギレート化インターフェロン-αと抗ウイルス薬のリバビリンの併用が含まれる。ウイルス学的応答は、遺伝子型に応じてHCV患者の約50%で達成される。この療法は耐容性が低く、副作用がかなりあるため、治療用ワクチンを含む新規治療的介入が必要であることは明らかである(Cornberg 2002)。しかしながら、現在、MHCの組み合わせにおいてどのエピトープが有効な免疫応答をもたらすかに関する詳細な理解は得られていない(Ward 2002)。したがって、全HCVに対するT細胞反応の総合的な分析がエピトープベースの治療用ワクチンの開発に必要である。
【0015】
HCVビリオンは約3000アミノ酸の大きな単一ポリプロテインをコードする9.5キロベースのポジティブ一本鎖RNAゲノムを含む。後者は宿主およびHCVがコードするタンパク質分解活性により少なくとも10タンパク質にプロセシングされる(Liang 2000)。重要なことは、HCV RNA依存性RNAポリメラーゼは間違いを起こしやすく(error prone)、ウイルス多様性(quasispecies)の進化を生じ、免疫回避変異体に寄与することである(Farci 2000)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開WO 01/24822
【特許文献2】米国特許US 5,723,335
【特許文献3】米国特許US 5,663,153
【特許文献4】オーストラリア特許出願A 1973/2000
【特許文献5】オーストラリア特許出願A 805/2001
【特許文献6】欧州特許出願EP 0468520 A2
【特許文献7】国際公開WO 96/02555
【特許文献8】国際公開WO 98/16247
【特許文献9】国際公開WO 98/18810
【特許文献10】国際公開WO 98/37919
【特許文献11】国際公開WO 98/40100
【特許文献12】国際公開WO98/52581
【特許文献13】国際公開WO 98/52962
【特許文献14】国際公開WO 99/51259
【特許文献15】国際公開WO 99/56755
【特許文献16】国際公開WO 01/93903
【特許文献17】国際公開WO 01/93905
【特許文献18】国際出願PCT/EP 02/05448
【特許文献19】国際出願PCT/EP01/12041
【特許文献20】国際公開WO 02/32451 A1
【特許文献21】国際出願PCT/EP01/06433
【特許文献22】国際公開WO 01/93905 A1
【特許文献23】国際公開WO 01/93905
【特許文献24】国際公開WO 02/32451
【非特許文献】
【0017】
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【非特許文献43】Wongら、2001, J. Virol. 75:1229
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、好ましくは該MHC分子に対する特異性が未知の種々のHCV-ペプチドから選ばれる適切な特異的HCV T細胞エピトープを供給するための特定のMHC分子に対するHCV-ペプチドのスクリーニング方法を提供することにより、HCV感染を予防し、対抗する有効な手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明は、以下の工程を含むMHC/HLA分子に対する結合能を有するHCV-ペプチド、または該HCV-ペプチドおよび該MHC/HLA分子を含む複合体の単離方法を提供する:
−該MHC/HLA分子と結合するHCV-ペプチドおよび該MHC/HLA分子と結合しないHCV-ペプチドを含むHCV-ペプチドプールを得、
−該MHC/HLA分子を該HCV-ペプチドプールと接触させて該MHC/HLA分子に対する結合能を有するHCV-ペプチドを該MHC/HLA分子と結合させて該HCV-ペプチドおよび該MHC/HLA分子を含む複合体を形成させ、
−該MHC/HLA分子と結合しないHCV-ペプチドから該複合体を検出し、所望により分離し、
−所望により該複合体からHCV-ペプチドを単離し、特徴づける。
【0020】
本発明は、以下の工程を含むMHC/HLA分子に対する結合能を有するHCV T細胞エピトープ、または該エピトープおよび該MHC/HLA分子を含む複合体の単離方法も提供する:
−該MHC/HLA分子と結合するHCV-ペプチドおよび該MHC/HLA分子と結合しないHCV-ペプチドを含むHCV-ペプチドプールを得、
−該MHC/HLA分子を該HCV-ペプチドプールと接触させて該MHC/HLA分子に対する結合能を有するHCV-ペプチドを該MHC/HLA分子と結合させて該HCV-ペプチドおよび該MHC/HLA分子を含む複合体を形成させ、
−該MHC/HLA分子と結合しないHCV-ペプチドから該複合体を検出し、所望により分離し、
−所望により該複合体からHCV-ペプチドを単離し、特徴づけ、
−該所望により単離されたHCV-ペプチドまたは該複合体のT細胞活性化能をT細胞アッセイを用いてアッセイし、
−T細胞活性化能を有する所望により単離されたHCV-ペプチドをHCV T細胞エピトープまたは複合体として得る。
【0021】
本発明の方法は、特定のMHC/HLA分子に対する結合能をスクリーニングするためのスクリーニング系を可能にする。MHC結合分子の同定は、病原体、腫瘍などの分子的特徴づけのための重要な手段である。したがって、本発明を用い、リガンドとして種々(「プール」)の可能性のあるHCV-ペプチドのMHC分子に対する結合親和性を同時にスクリーニングすることができる。MHC分子に対する結合親和性も、十分条件ではないがT細胞エピトープとして用いることを目的とするHCV-ペプチドの必要条件である。適切なHCV T細胞エピトープ候補もスクリーニングし、そのT細胞活性化能をアッセイしなければならない。したがって、本発明の結合のスクリーニング方法と適切なT細胞アッセイの組み合わせは、HCV T細胞エピトープがMHC結合アッセイを用いて可能性のあるHCV-ペプチドプールから同定可能である、本発明のHCV T細胞エピトープの単離方法を提供する。
【0022】
そのようなアッセイが常に既知の結合/MHC特異性を有するリガンドを用いて行われる先行技術と対照的に、本発明の方法は、未知の特異性のリガンドを含むプールに対するスクリーニング手段として該アッセイを提供する。先行技術において、該アッセイは典型的には個々の単一リガンドを用い、そのMHC/HLA分子に対する結合親和性を試験するために実施されてきた。Kwokら(2001)において、最大5までのオーバーラッピング合成ペプチドプールを用いてMHCクラスIIテトラマーを得、次いで後者を用い、5ペプチドのプールとの結合反応において生じた特定のMHCクラスII:ペプチド複合体に特異的なT細胞についてPBMCを染色した。しかしながら、そのようなアプローチにおける1プールあたりのリガンド数の増加は、感受性および特異性両方の理由から可能であると考えなかった(Novakら2001)。特異性に関する問題は、2以上の結合物質が該プール中に存在する場合、1テトラマーあたり2以上の結合物質を有するMHCテトラマーが生成することであろう。これは先行技術に記載のアプローチにおいてエピトープの同定に使用するT細胞の染色を排除するであろう。それとは大きく異なり、本発明のアプローチは2以上の結合物質を含むきわめて複雑な混合物の中から2以上の結合物質を同定することができる。
【0023】
本発明を用いてスクリーニングすべきプールの性質は重要ではなく、該プールは、
a)MHC/HLA分子と特異的に結合し、そして/または
b)T細胞により特異的に認識されるであろうあらゆる天然または非天然のHCV-ペプチドを含んでいてよい。該プールのHCV-ペプチドのセットのMHC分子に対する結合特性は知られておらず、通常該MHC分子の結合物質および少なくとも非結合物質が該プール中に含まれる。したがって、該プールは少なくとも10の異なるHCV-ペプチドを含む。実質的に、例えば20またはそれ以上、100またはそれ以上、1.000またはそれ以上、または10.000またはそれ以上の著しく異なるHCV-ペプチド種を含むプールを本発明にしたがって使用する。より大きいライブラリーをスクリーニングすることもできる(例えば、106以上、108以上、または1010以上の異なるHCV-ペプチド種を使用)。しかしながら、これは主としてそのようなHCV-ペプチドライブラリーの利用可能性に依存する。
【0024】
本発明の方法に用いるリガンドの好ましいプールは、ペプチド、特にオーバーラッピングペプチドのプール、タンパク質断片プール、修飾ペプチドプール、好ましくは抗原提示細胞の全溶解物またはその分画、特に該細胞の表面から溶出した分画またはMHC/HLA分子の形の抗原提示細胞から得られるプール、細胞、特にHCV含有細胞、腫瘍細胞、または組織(特に肝臓由来のもの)の断片からなるプール、ペプチドライブラリーからなるプール、特に病原体または(肝臓)腫瘍細胞由来の組換えDNAライブラリーから得た(ポリ)-ペプチドのプール、HCV由来のタンパク質および/またはタンパク質断片のプール、またはその混合物からなる群から選ばれる。
【0025】
該プールのHCV-ペプチドは、天然供給源から誘導するか(天然および/または誘導体形)、合成的に製造する(例えば化学合成または組換え技術による)ことができよう。(ポリ)ペプチドリガンドがプール中に提供される場合は、それらペプチドは好ましくはペプチド合成装置または組換え技術により生じる。好ましい態様によれば、(ポリ)ペプチドのプールは、例えばHCVまたはHCV含有(腫瘍)細胞由来の組換えDNAライブラリーからin vitro翻訳(例えばリボソーム表現により)、またはE.coliその他のようなヘテロローガスな宿主を通して発現することにより生成することができよう。
【0026】
本発明の方法のために選ばれる特定MHC分子(もちろん、MHC様分子はこの用語に含まれる)の性質も重要ではない。したがって、これら分子は原則的にあらゆる種、特に霊長類、例えばヒト(HLA、下記参照)、チンパンジー、他の哺乳動物、例えばマカーク(maquaques)、ウサギ、ネコ、イヌ、またはマウス、ラット、モルモットなどの齧歯類、ウシ、ウマ、ヒツジ、および魚のような農業的に重要な動物から選んでよいが、もちろんヒト(または「ヒト化」)分子がヒトのワクチンを得るのに好ましい。特定動物、特に農業的に重要な動物、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、および魚用のワクチンを得るには、これら動物に特異的なMHC分子を用いるのが好ましい。
【0027】
したがって、好ましいHLA分子は、HLA-A、-B、または-C遺伝子座由来のクラスI分子、特にA1、A2、A3、A24、A11、A23、A29、A30、A68; B7、B8、B15、B16、B27、B35、B40、B44、B46、B51、B52、B53; Cw3、Cw4、Cw6、Cw7; HLA-DP、-DQ、または-DR遺伝子座由来のクラスII分子、特にDR1、DR2、DR3、DR4、DR7、DR8、DR9、DR11、DR12、DR13、DR51、DR52、DR53; DP2、DP3、DP4; DQ1、DQ3、DQ5、DQ6; およびリガンドと特異的に結合することができる非古典的MHC/HLAおよびMHC/HLA様分子、特にHLA-E、HLA-G、MICA、MICB、Qa1、Qa2、T10、T18、T22、M3、およびCD1ファミリーのメンバーを含む。
【0028】
好ましい態様によれば、本発明方法は、該MHC/HLA分子がHLAクラスI分子、HLAクラスII分子、非古典的MHC/HLAおよびMHC/HLA様分子またはその混合物、またはその混合物から選ばれることを特徴とする。
【0029】
好ましくは、該複合体のHCV-ペプチドの任意的特徴付け工程は、質量分析、ポリペプチドシーケンシング、結合アッセイ、特にSDS-安定性アッセイ、クロマトグラフィ、特にHPLC、または他の分光学的技術、特に紫外線(UV)、遠赤外線(IR)、核磁気共鳴(NMR)、円偏光二色性(circular dichroism、CD)、または電子スピン共鳴(ESR)によるそれら保持因子の決定によるリガンドの同定、またはその組み合わせからなる群から選ばれる方法を用いて行われる。
【0030】
好ましい態様によれば、本発明方法は、サイトカイン分泌アッセイ、好ましくはELIspotアッセイ、細胞内サイトカイン染色、FACS、またはELISA(酵素免疫測定法)と組み合わせることを特徴とする(例えばCurrent Protocols in Immunology参照)。
【0031】
好ましいT細胞アッセイは、該複合体と単離T細胞との混合およびインキュベーション、次いで該単離T細胞のサイトカイン分泌または増殖を測定し、および/または活性化マーカー、特にCD69、CD38の上方制御または表面マーカー、特にCD3、CD8もしくはTCRの下方制御の測定、および/またはT細胞活性化に関与するmRNAの上方/下方制御の特にリアルタイムRT-PCRによる測定を含む(例えばCurrent Protocols in Immunology、Current Protocols in Molecular Biology参照)。
【0032】
さらに好ましいT細胞アッセイは、T細胞レセプター、特にp56 lck、TCRのITAMSおよびzeta鎖、ZAP70、LAT、SLP-76、fyn、およびlynの下流成分のリン酸化/脱リン酸化を測定するT細胞アッセイ、細胞内Ca++濃度またはCa++依存性タンパク質の活性化を測定するT細胞アッセイ、免疫学的シナプスの形成を測定するT細胞アッセイ、エフェクター分子、特にパーフォリン、グランザイム、またはグラヌロリシンの放出を測定するT細胞アッセイ、または該T細胞アッセイの組み合わせから選ばれる。(例えばCurrent Protocols in Immunology、Current Protocols in Cell Biology参照)。
【0033】
HCVに対する免疫防御の分子決定基を同定するため、HCV遺伝子型1、2、および3の保存部分を表す合成ペプチドを用いる特異的なエピトープ捕捉法を適用した。保存領域に焦点をあてることで該エピトープの広い利用性が保証される。さらに、これら領域は、おそらくウイルスにより容易に突然変異させることができず、免疫回避変異体の進化の危険性を最小限にする。
【0034】
本発明方法を用いて新規HCVエピトープを検出する。したがって、さらなる局面において本発明は、本発明方法により同定可能なHCV T細胞エピトープも提供し、該T細胞エピトープは、表1または2のペプチドA120-A124、B25-B30、B46-B48、B84-B92、C106、C113-C114、1627、1628、1629、1604を含むポリペプチドからなる群から選ばれることが好ましい。これらペプチドは、少なくともHLA-DRB1*0101、*0401、*0404、*0701の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも45-55%に及ぶ(表2参照)。
【0035】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチド1630、C97、1547、B94-B98、A272-A276を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0101、*0401、*0701の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも40-50%に及ぶ(表2参照)。
【0036】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチドB120、B122、C108、C134、C152を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0101、*0404、*0701の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも45%に及ぶ(表2参照)。
【0037】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチド1606、1607、1577、1578を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0101、*0401、*0701の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも45%に及ぶ(表2参照)。
【0038】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチドB50-52、1623、C130を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0101、*0401、*0404の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも40%に及ぶ(表2参照)。
【0039】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチド1603、C96を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0101、*0701の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも40%に及ぶ(表2参照)。
【0040】
好ましいポリペプチドは、表1のペプチドC191を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0101、*0701の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも40%に及ぶ(表2参照)。
【0041】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチドA216-A224、A242-A244、C92-C93を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0101、*0401の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも35%に及ぶ(表2参照)。
【0042】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチドA174を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0404、*0701の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも25-30%に及ぶ(表2参照)。
【0043】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチドB32-B38、B100-B102、C135を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0101、*0404の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも20-25%に及ぶ(表2参照)。
【0044】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチドC162を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0401、*0404の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも20-25%に及ぶ(表2参照)。
【0045】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチド1618、1622、1624、1546、1556を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0701の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも25%に及ぶ(表2参照)。
【0046】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチドA114、B58、B112-B118、B18-B22、C112、C116、C122、C127、C144、C159-C160、C174、1558、1581を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0101の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも20%に及ぶ(表2参照)。
【0047】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチドC95を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0401の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも20%に及ぶ(表2参照)。
【0048】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチドC129、C157-C158、A254-A258、1605、C109、C161を含む群から選ばれる。これらペプチドは少なくともHLA-DRB1*0404の新規リガンドであり、主要ポピュレーションの少なくとも5%に及ぶ(表2参照)。
【0049】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチド1547、1555、1558、1559、1560、1563、1592、1604、1605、1616、1621、1623、1625、1627、1630、1649、1650、1651、1652、1654、1655、1656を含む群から選ばれ、これらペプチドは、HLA-DRB1*0401トランスジェニックマウスにおける免疫原性を表現し(実施例II参照)、少なくともHLA-DRB1*0401と結合する確認されたHLAクラスII T細胞エピトープを表すかまたは含む(表3参照)。
【0050】
好ましいポリペプチドは、表1または2のペプチド1545、1552、1555、1558、1559、1560、1577、1592、1604、1605、1615、1617、1621、1627、1631、1632、1641、1647、1650、1651、1652、1653、1654、1655を含む群から選ばれ、これらペプチドは、HLA-DRB1*0201トランスジェニックマウスにおける免疫原性を表現し(実施例II参照)、少なくともHLA-DRB1*0201と結合する確認されたHLAクラスI T細胞エピトープを表すかまたは含む(表3参照)。
【0051】
T細胞活性化能を有するHLA-B*0702エピトープであることが示されている好ましいポリペプチドは、最小HLA-B*0702エピトープとして配列LPRRGPRL(1506中に含まれる)を有するポリペプチド1506、1526、1547、1552、1553、1555、1558、1562、1563、1565、1577、1578、1580、1587、1592、1604、1605、1621、1623、1624、1627、1628、1647、1650、1651、1843、および配列SPGALVVGVI(1587中に含まれる)を有する1838からなる群から選ばれる。
【0052】
ペプチド1526、1565、1631は、HLA-DRB1*0401トランスジェニックマウスにおいて免疫原性であることも示され、既知のクラスIIエピトープを含む。ペプチド1526、1553、1565、1587、1623、1630もHLA-A*0201トランスジェニックマウスにおいて免疫原性であることも示され、既知のA2エピトープを含む。
【0053】
好ましいポリペプチドは、表3、5に記載のペプチドおよび7の太字ペプチド(「ホットスポット」)を含む群から選ばれる。
【0054】
上記好ましいポリペプチドは、該エピトープの最小配列、すなわちMHC/HLA分子に結合するのに必要な8量体または9量体を含むすべての断片も含む。
【0055】
好ましくは、本発明のエピトープまたはペプチドは、さらに、N末端、C末端またはNおよびC末端に1〜30、好ましくは2〜10、特に2〜6個の天然のアミノ酸残基を含む。本発明の目的において、用語「天然の」アミノ酸残基は、エピトープまたはペプチドに関して特定の位置に天然のタンパク質中に存在するアミノ酸残基に関する。例えば、ペプチドID1565(表1)内に含まれるアミノ酸配列HMWNFISGIを有するHLA-A2エピトープに関して、N末端の天然のアミノ酸残基は-Kであり、C末端の3個の天然のアミノ酸残基は-QYLである。したがって、「非天然の」アミノ酸残基は、該エピトープまたはペプチドに関して特定の位置の該アミノ酸残基と異なるアミノ酸残基である。
【0056】
本発明の好ましい態様によれば、本発明のエピトープまたはペプチドは、さらに特にN末端、C末端、またはNおよびC末端に非天然のアミノ酸、好ましくは1〜1000、より好ましくは2〜100、特に2〜20個の非天然のアミノ酸を含む。非天然または天然のアミノ酸残基の組み合わせもこの特定の好ましい態様下で可能である。本発明のエピトープは、さらなるアミノ酸残基としてかまたは天然のアミノ酸残基の代わりに修飾アミノ酸(すなわち、20個の「古典的」アミノ酸と異なるアミノ酸残基、例えばD-アミノ酸またはCysのS-S結合物)を含んでいてもよい。
【0057】
該エピトープのT細胞活性化能を改善するか、保存する、または少なくとも有意に妨げることのないアミノ酸置換により本発明のエピトープまたはペプチドから誘導されるエピトープまたはペプチドも本発明のエピトープまたはペプチドの範囲内であることは明らかである。したがって、本発明のエピトープまたはペプチドは、特定のHCV株由来の最初の配列を含まないが、同じか、好ましくは改良されたT細胞反応を誘発するエピトープまたはペプチドにも及ぶ。これらエピトープは「ヘテロクリティック」と呼ばれる。これらには、最初のエピトープと同じT細胞をもたらすことができ、好ましくは、好ましくはin vivoまたはin vitroでもT細胞のより強力な活性化能を有するあらゆるエピトープを含む。他のHCV株由来の個々のホモローガスなエピトープも本発明に含まれる。
【0058】
ヘテロクリティックエピトープは、理論的設計により、すなわち、例えばRamenseeら1999またはSturnioloら1999に記載の個々の残基のMHC/HLAとの結合への寄与を考慮し、潜在的にTCRと相互作用する残基の計画的置換と組み合わせ、得られた配列を最初のエピトープに対するT細胞を用いて試験して得ることができる。そのような設計は当業者が多大な実験を行うことなく可能である。
【0059】
別の可能性には、最初のエピトープに対するT細胞によるペプチドライブラリーのスクリーニングが含まれる。好ましい方法は、合成ペプチドライブラリーの位置的スキャンニングである。そのようなアプローチは、例えばBlakeら1996およびHemmerら1999、およびその中に記載の参考文献に詳細に記載されている。
【0060】
同族CMV pp65由来アミノ酸配列で示されるエピトープ、またはヘテロクリティックエピトープに代わるものとして、これらエピトープによく似た配列、例えば「ペプチドミメティカ」または「レトロ-インバーソ-ペプチド」も適用できる。
【0061】
改良されたエピトープを設計する別の局面は、T細胞を刺激する能力を増大させる物質を用いるそれらの製剤化または修飾である。これらには、WO 01/78767に記載のTヘルパー細胞エピトープ、脂質、またはリポソーム、または好ましい修飾が含まれる。
【0062】
エピトープのT細胞刺激能を増大する別の方法は、免疫刺激物質、例えばサイトカインまたはケモカイン、例えばインターロイキン-2、-7、-12、-18、クラスIおよびIIインターフェロン(IFN)、特にIFN-γ、GM-CSF、TNF-α、flt3-リガンドなどを用いるそれらの製剤化である。
【0063】
さらなる局面において、本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療または予防するためのHLA制限ワクチンを製造するための本発明のHCVエピトープまたはHCVペプチドの使用に関する。
【0064】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療または予防するためのワクチンを製造するための本発明のエピトープの使用も含む。
【0065】
したがって、本発明は、本発明のエピトープを含むC型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療または予防するためのワクチンも含む。
【0066】
さらに、本発明のエピトープまたはペプチドを含むC型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療または予防するためのHLA特異的ワクチンも本発明の局面である。
【0067】
好ましくは、さらにそのようなワクチンは、好ましくはポリカチオニック物質、特にポリカチオニックポリペプチド、免疫調節核酸、特にデオキシイノシンおよび/またはデオキシウラシル含有オリゴデオキシヌクレオチド、またはその混合物からなる群から選ばれる免疫調節物質を含む。
【0068】
好ましくは、該ワクチンはさらにポリカチオニックポリマー、好ましくはポリカチオニックペプチド、特にポリアルギニン、ポリリジン、または抗菌ペプチドを含む。
【0069】
本発明に用いるポリカチオニック化合物は、WO 97/30721記載の特徴的効果を示すあらゆるポリカチオニック化合物であってよい。好ましいポリカチオニック化合物は、塩基性ポリペプチド、有機ポリカチオン、塩基性ポリアミノ酸、またはその混合物から選ばれる。これらのポリアミノ酸は、少なくとも4アミノ酸残基の鎖長を有するべきである。特に好ましいのは、アミノ酸残基が8以上、特に20以上の範囲の、20%以上、特に50%以上の塩基性アミノ酸を含むポリリジン、ポリアルギニン、およびポリペプチドの様なペプチド結合を含む物質、またはその混合物である。他の好ましいポリカチオン、およびその医薬組成物は、WO 97/30721(例えばポリエチレンイミン)およびWO 99/38528に記載されている。好ましくは、これらのポリペプチドは、20〜500アミノ酸残基、特に30〜200残基を含む。
【0070】
これらポリカチオニック化合物は、化学的にもしくは組換えにより製造するか、または天然供給源から得ることができよう。
【0071】
カチオニック(ポリ)ペプチドは、ポリカチオニック抗菌ペプチドであってもよい。これらの(ポリ)ペプチドは、原核性または動物もしくは植物由来であるか、化学的もしくは組換え的に製造することができよう。ペプチドはデフェンシンのクラスに属するかもしれない。そのような宿主防御ペプチドまたはデフェンシンも本発明のポリカチオニックポリマーの好ましい形である。一般的に、最終産物として好ましくはAPC(樹状細胞を含む)が介在する養子免疫系の活性化(または下方制御)をもたらす化合物は、ポリカチオニックポリマーとして用いられる。
【0072】
本発明のポリカチオニック物質として用いるのに特に好ましいのは、カテリシジン由来抗菌ペプチドまたはその誘導体(A 1416/2000、本明細書の一部を構成する)、特に哺乳動物、好ましくは、ヒト、ウシ、またはマウス由来のカテリシジン由来の抗菌ペプチド、または神経活性化合物、例えば(ヒト)成長化合物(例えばWO 01/24822に記載の)である。
【0073】
天然供給源由来のポリカチオニック化合物には、HIV-REVまたはHIV-TAT(由来カチオニックペプチド、アンテナペディアペプチド、キトサン、またはキチンの他の誘導体)、またはこれらのペプチド由来の他のペプチド、または生化学的または組換え生成によるタンパク質が含まれる。他の好ましいポリカチオニック化合物は、カテリン、またはカテリン関連または誘導物質、特にマウス、ウシ、または特にヒトカテリン、および/またはカテリシジンである。関連または誘導カテリン物質は、少なくとも15〜20アミノ酸残基を有するカテリン配列の部分またはすべてを含む。誘導体化には、20の標準アミノ酸でないアミノ酸による天然アミノ酸の置換または修飾が含まれよう。さらに、さらなるカチオニック残基をそのようなカテリン分子に導入してよい。これらカテリン分子は本発明の抗原/ワクチン組成物と混合することが好ましい。しかしながら、これらカテリン分子は、驚くべきことにさらなるアジュバントを加えることなく抗原用のアジュバントとしても有効であることがわかってきた。したがって、そのようなカテリン分子をさらに免疫活性物質を含むか含まないワクチン製剤において有効なアジュバントとして用いることができる。
【0074】
本発明に用いる別の好ましいポリカチオニック物質は、3〜7個の疎水性アミノ酸のリンカー、特にLにより分けられる少なくとも2のKLKモチーフを含む合成ペプチドである(WO 02/32451、本明細書の一部を構成する)。
【0075】
本発明で用いる免疫調節(または免疫原性)核酸は、合成、原核性、および真核性起源であり得る。真核性起源の場合、DNAは系統発生樹に基づきより下等な種(例えば昆虫など)由来であるべきである。本発明の好ましい態様において、免疫原性オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)は、合成的に製造されたDNA分子またはそのような分子の混合物である。ODNの誘導体化または修飾、例えば、米国特許US 5,723,335およびUS 5,663,153に記載のチオホスフェート置換類似体(ホスフェートをチオホスフェート残基で置換)、および好ましくは免疫刺激組成物を安定化するがその免疫特性は変化しない他の誘導体および修飾物も含まれる。好ましい配列モチーフは、2つの5’プリンおよび2つの3’ピリミジンと隣り合った(非メチル化)CpGジヌクレオチドを含む6塩基のDNAモチーフである(5'-Pur-Pur-C-G-Pyr-Pyr-3')。本発明のODNに含まれるCpGモチーフは、より高等な脊椎動物のDNAより微生物のDNAにより一般的であり、メチル化のパターンの違いを表現する。驚くべきことに、マウスAPC刺激配列は、ヒト細胞にあまり有効ではない。本発明で用いる好ましい反復性または非反復性ODNは、例えばオーストラリア特許出願A 1973/2000、A 805/2001、EP 0468520 A2、WO 96/02555、WO 98/16247、WO 98/18810、WO 98/37919、WO 98/40100、WO98/52581、WO 98/52962、WO 99/51259、およびWO 99/56755(すべて本明細書の一部を構成する)に記載されている。免疫系の刺激以外に、ある種のODNはある免疫反応を中和する。これら配列も、例えば自己免疫病治療のための用途で本発明に含まれる。ODN/DNAは化学的または組換え的に生成するか、または天然供給源由来であってよい。好ましい天然の供給源は昆虫である。
【0076】
あるいはまた、イノシンおよびシチジンに基づく核酸(例えばWO 01/93903に記載)、またはデオキシイノシンおよび/またはデオキシウリジン残基を含むデオキシ核酸(WO 01/93905およびPCT/EP 02/05448に記載、本明細書の一部を構成する)も、本発明の免疫刺激性核酸として用いるのが好ましいかもしれない。
【0077】
もちろん、種々の免疫原性核酸の混合物も本発明にしたがって用いることができよう。
【0078】
好ましくは、本発明はさらに医薬的に許容される担体を含む。
【0079】
さらなる好ましい態様では、本発明のワクチンは、ペプチド、ペプチド類似体、タンパク質、裸DNA、RNA、ウイルスベクター、ウイルス様粒子、組換え/キメラウイルス、タンパク質/ペプチド/RNAでパルスするかまたはエピトープまたはペプチドを含むDNAでトランスフェクトした組換え細菌または樹状細胞から選ばれる形で提供されるエピトープまたはペプチドを含む。
【0080】
さらなる局面において、本発明は、本発明のあらゆるエピトープまたはペプチド、特に上記CMVエピトープを特異的に認識するT細胞、T細胞クローンまたはT細胞ポピュレーション(調製物)に関する。そのようなT細胞の好ましい適用は、そのin vitroでの増殖、および例えば養子移植による患者の治療への使用である。したがって、本発明は、HCV患者の治療用組成物を製造するためのT細胞、T細胞クローンまたはT細胞ポピュレーション(調製物)の使用も提供する。
【0081】
本発明の該T細胞(クローンまたは系)、具体的には前記HCVペプチドを認識するものは、最初に同定されたエピトープと異なるが、該T細胞を誘発する(trigger)ヘテロクリティックエピトープを同定するのにも有用である。
【0082】
本発明の該細胞、組成物、またはワクチンは、有効量で個体に投与される。
【0083】
さらなる局面において、本発明は、特にHLA-B*08特異的ワクチン用の医薬製剤を製造するための、HLA-B*08エピトープとして式QRKTKRNTNまたはQRKTKRNTを有するペプチド、または1615、1616、1617、特に式SAKSKFGYG、SAKSKYGYG、またはSARSKYGYGを有する後者の3ペプチド由来の9量体ペプチドの使用;特にHLA-B*2705特異的ワクチン用の医薬製剤を製造するための、HLA-B*2705エピトープとして式RKTKRNTNRを有するペプチドの使用;およびHLAB*2705およびHLA-B*2709特異的ワクチンとして式ARLIVFPDLを有するペプチドの使用にも関する。さらに本発明は、表7記載のペプチド1835、84EX、87EX、89EX、1426、1650、1836、1846、1651、1800、1799、C114、1827、C112、C114EX、1827EX、1798、1604、1829、1579、1624、1848、1547、A1A7、A122EX、A122、1825、A241、B8B38、C70EX、C92、C97、C106、およびC134の群から選ばれるホットスポットエピトープを、そのようなエピトープの合成ペプチド、組換えタンパク質、および/またはDNA成分を含むワクチンを製造するために使用することにも関する。
【0084】
特に、2またはそれ以上のエピトープをリンカー配列を用いるか用いることなく結合することができる。好ましいリンカー配列は、例えば3〜5個のグリシン、またはアラニンもしくはリジン残基からなる。これは、ペプチド合成により達成することができるが、ホットスポットの結合は非常に長いポリペプチドを生じることがある。この場合、そのような構築物をコードするDNAのクローニング、対応する組換えタンパク質の発現および精製が別の手段である。そのような組換えタンパク質は、適切なアジュバント(IC31、pR、...)と組み合わせて、それらが含まれるすべてのエピトープに対するT細胞反応を刺激することができる抗原として用いることができる。同時に、そのような人工的ポリペプチドは天然のHCV抗原が有するかもしれない活性(酵素的、毒性、免疫抑制的...)を持たない。
【0085】
T細胞エピトープホットスポットまたはその組み合わせを供給する種々の他の方法がある。これらには、組換えウイルスベクター、例えばワクシニアウイルス、カナリーポックスウイルス、アデノウイルス;自己複製RNAベクター;ホットスポットまたはその組み合わせをコードするプラスミドによる「裸DNA」ワクチン接種(ワクチネーション);組換え細菌(例えばSalmonella);合成ペプチド、または組換えタンパク質、もしくはRNAでパルスするか、またはそれぞれT細胞エピトープホットスポットまたはその組み合わせをコードするDNAでトランスフェクトした樹状細胞が含まれる。
【0086】
本発明を以下の実施例および図面によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】20までのHCV由来15〜23量体ペプチドをそれぞれ含む40ペプチド混合物を示す。
【図2】ペプチドプールおよびエンプティDRB1*0401分子を用いるエピトープ捕捉アプローチを示す。
【図3】ペプチドプールおよびエンプティDRB1*0404分子を用いるエピトープ捕捉アプローチを示す。
【図4】DRB1*0401に対する個々のペプチドの結合を示す。
【図5】DRB1*0404に対する個々のペプチドの結合を示す。
【図6】DRB1*0101に対する個々のペプチドの結合を示す。
【図7】DRB1*0701に結合するペプチドを示す。
【図8】Ipep1604+IC31でワクチネーションしたHLA-A*0401 tgマウス由来の脾細胞または分離CD8+またはCD4+細胞を用いるマウスIFN-γELIspotを示す。
【図9】Ipep1604+IC31でワクチネーションしたHLA-A*0201 tgマウス由来の脾細胞または分離CD8+またはCD4+細胞を用いるマウスIFN-γELIspotを示す。
【図10】Ipep1604+IC31でワクチネーションしたHLA-A*0702 tgマウス由来の脾細胞または分離CD8+またはCD4+細胞を用いるマウスIFN-γELIspotを示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
本実施例は、特異的病原体、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する本発明の成績を示す。
【0089】
第一部では、「エンプティHLA分子」の使用に基づく本発明の方法を適用した。これら分子を潜在的HCV由来ペプチドリガンドの混合物とインキュベーションし、特異的結合事象をスクリーニングした。非常に複雑な混合物を用いる可能性により、数100または数1000の潜在的リガンドからわずかな結合物質を非常に速やかに同定することができる。これはHLA-DRB1*0101、-DRB1*0401、-DRB1*0404、-DRB1*0701分子およびオーバーラッピング15〜23量体のプールを用いて証明される。重要なことは、多様な異なるHLAアレル(対立遺伝子)を用いるこのアッセイにより1またはそれ以上のHLAアレルと結合することができる無差別なリガンドを同定することができる。無差別なT細胞エピトープはエピトープベースのワクチンの特に有益な成分である。該エピトープは1つのHLAアレルに制限されたエピトープよりポピュレーションのより高い部分の治療を可能にする。
【0090】
同じ方法は、クラスI分子、および適切な長さ、すなわち8〜11量体のペプチドに適用することができる。リガンドプールは合成オーバーラッピングペプチドでありうる。別の可能性は、該抗原を酵素的または非酵素的に消化することである。アルカリ加水分解により達成される後者は、すべての潜在的分解産物を生じ、T細胞エピトープの同定にうまく用いられている(Gavin 1993)。酵素的消化はプロテアーゼを用いて行うことができる。ある合理的方法は、さらにクラスI制限エピトープについてはプロテオソーム(Heemels 1995)またはクラスII制限エピトープについてはカテプシン(Villadangos 2000)のような天然の抗原プロセシング経路に関与するプロテアーゼを用いることであろう。リガンドプールは、例えば、各エピトープを保持する細胞の溶解または該細胞からの溶出により得ることができる天然リガンドからなるかもしれない。これに関して、例えば糖脂質のような非ペプチドリガンドを適用しうることに注意することが重要である。MHC(例えばHLA-G、HLA-E、MICA、MICB)によりコードされ得るかまたはMHC外部(例えばCD1ファミリー)にあり得る非古典的クラスI分子はリンパ球に対する種々の非ペプチドリガンドをもたらしうることが知られている(Kronenberg 1999)。組換え「エンプティ」非古典的クラスI分子の使用は、本明細書の記載と同様にして結合反応および結合物質の同定を可能にするだろう。
【0091】
HLA分子と結合することができるリガンドを速やかに同定した後、本発明の方法はこれら結合物質に対する特異的T細胞反応を直接特徴づける方法も提供する。一つの可能性は、いわゆる「合成T細胞アッセイ」に単離HLA:リガンド複合体を直接用いることである。後者は、活性化抗体によるCD28の活性化のような同時刺激をもたらす第二シグナルとともに、HLA:リガンド複合体によるT細胞の抗原特異的再刺激を含む。本アッセイはELIspot計測値(read out)を用いて行うことができる。
【0092】
別の可能性は、HLAトランスジェニックマウスを免疫することにより、実施例IIに記載のエピトープ捕捉アプローチにより同定したリガンドの免疫原性を証明することである。
材料と方法
ペプチド
【0093】
HCV遺伝子型1、2、および3間の保存領域を同定するため、Genebankから公的に利用可能な約90の完全ゲノムをアラインメントした。HCVのコーディング領域の43%が臨床分離株の少なくとも80%に保存されていることがわかった。ある位置に2つの異なるアミノ酸(例えばアルギニンまたはリジン)がみられる場合、両変異体の分析が考慮された。8アミノ酸より長い保存領域が全部で148同定された。保存領域は、〜500の15アミノ酸残基(15量体)ペプチドに及び、各ペプチドは15アミノ酸のうち14アミノ酸がその前駆体とオーバーラップしていた。長さ8〜14アミノ酸の保存領域は、さらに80の(非オーバーラッピング)15量体に及んだ。15量体はSyro II合成装置(Multisyntech、Witten、Germany)を用い、標準的F-moc化学を用いて同時に合成した(一度に288)。各第四15量体を質量分析法によりチェックした。15量体はさらに精製せずに実験に適用した。さらに16-xx aaの63ペプチドを、標準的F-moc化学を用い、ABI 433A合成装置(Applied Biosystems、Weiterstadt、Germany)を用いて合成し、C18カラム(ODS ACU(YMC)または218TP(Vydac))を用い、RP-HPLC(Biocut 700E、Applied Biosystems、Langen、Germany)により精製した。純度と同一性はReflex III質量分析器(Bruker、Bremen、Germany)を用いるMALDI-TOFにより特徴づけた。ペプチドを100% DMSOに〜10mg/ml(〜5mM)で可溶化した。ペプチドプール(各20ペプチド)のストックを、100% DMSOで各ペプチドにつき最終濃度0.5mg/ml(〜0.25mM)で作製した。本発明に用いるすべてのペプチドを表1に示す。ペプチドYAR(YARFQSQTTLKQKT)、HA(PKYVKQNTLKLAT)、P1(GYKVLVLNPSVAAT)、P2(HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA)、P3(KFPGGGQIVGVYLLPRRRGPRL)、P4(DLMGYIPAV)、およびCLIP(KLPKPPKPVSKMRMATPLLMQALPM)を結合アッセイのコントロールペプチドに用いた。
エピトープ捕捉およびペプチド結合アッセイ
【0094】
可溶性HLAクラスII DRA1*0101/DRB1*0101/Ii、DRA1*0101/DRB1*0401/Ii、DRA1*0101/DRB1*0404/Ii、およびDRA1*0101/DRB1*0701/Ii分子をSC-2細胞中に発現させ、Aichingerら、1997に記載のごとく精製した。ペプチド結合反応では、可溶性DRB1*0101、DRB1*0401、DRB1*0404分子を〜0.5μMの濃度で用い、各単一ペプチドを10倍モル過剰(5μM)で加えた。結合反応中のDMSO濃度は4%以下であった。プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)および0.1%オクチル-β-D-グルコピラノシド(Sigma)存在下のPBS緩衝液(pH7.4)中で室温にて48時間反応を行った。ペプチド結合は、SDS安定性アッセイ(Gorgaら、1987)を用いて評価した: 三量体HLAクラスII α:β:ペプチド複合体はSDS抵抗性であるため、SDS-PAGEウエスタンブロット分析で〜60kDaバンドとして出現する。結合ペプチドにより安定化しない個々のHLAクラスIIαおよびβ鎖は、それぞれ〜35kDaおよび〜25kDaバンドとして移動する。簡単には、HLA-ペプチド複合体を室温で1%SDSで処理し、SDS-PAGEにて室温で約2.5時間20mAで分離した。タンパク質をエレクトロブロッティングでPVDF膜上に移し、抗α鎖TAL.1B5および/またはβ鎖 MEM136抗体で染色した。ウエスタンブロットシグナルの検出にはECL溶液(Amersham)を用いた。DRB1*0101分子については、HAおよびP1ペプチドを強い結合を評価するためのコントロールに、中間の結合にはP2ペプチドを、またYARを陰性コントロールに用いた。DRB1*0401については、最も強い結合コントロールにYARおよびHAペプチドを、また中間および弱い結合物質としてそれぞれP1およびP2を用いた。DRB1*0404分子の場合、P1およびP2ペプチドを強い結合の評価に用い、YARペプチドを中間の結合のコントロールに、またHAペプチドを陰性コントロールに用いた。DRB1*0701に対する結合親和性は、ペプチド競合アッセイ(Reayら、1992)により試験した。簡単には、高親和性のビオチン化CLIP ペプチド(標準ペプチド)の結合をHLA:ペプチド複合体形成のモニターに用いた。CLIPペプチドと等モル濃度で結合反応に加えた被検ペプチドは、その親和性がより高ければCLIPと競合(compete out)し得るか、またはその親和性がCLIPの親和性と等しい場合は結合を50%阻害する。低親和性ペプチドの場合は、それを標準ペプチドに過剰に加えてHLA結合グローブの占有に競合させるべきである。標準ペプチド(ビオチン化CLIP)の結合を50%阻害するのに必要な競合ペプチドの濃度(IC50)をペプチド結合親和性の評価に用いることができる。あるいはまた、競合ペプチドの存在下または非存在下でHLA分子と結合した標準ペプチドの量を比較することにより目的とするペプチドの結合活性を決定することができる。本発明のペプチド競合アッセイにおいてペプチド結合の条件は上記と同様であった。DRB1*0701分子を〜0.5μMの濃度で用い、ビオチン化CLIPをすべての試料に2μMの最終濃度で加えた。競合ペプチドを異なる3濃度、2nM、20μM、および200μMで加えた。結合反応をPBS緩衝液(pH7.4)中で37℃で18時間行った。可溶性DRB1*0701分子と結合したビオチン化CLIPの量をELISAで測定した。簡単には、MaxiSorb 96ウェルプレート(Nunc、Denmark)をPBSで10μg/mlに希釈したマウス抗DR抗体L243 50μlで4℃で一夜インキュベーションしてコートした。プラスチックへの非特異結合は、37℃で2時間、3% BSA含有T-PBSとインキュベーションしてブロックし、次いで、結合反応を室温で2時間「捕捉(captured)」した。広範に洗浄した後、HLA結合ペプチド複合体を、アルカリホスファターゼ-ストレプトアビジンコンジュゲート(Dako)およびSigma104ホスファターゼ基質を用いて検出した。405nmの光学密度をマイクロプレートリーダー(VICTORY)で測定した。非ビオチン化CLIP、P1およびP2ペプチドを強い結合を評価するための陽性コントロールに用いた。ペプチドP3およびP4をそれぞれ弱い結合および非結合コントロールに用いた。
HLAトランスジェニックマウスの免疫
【0095】
合成HCV由来ペプチドの免疫原性をHLA-DRB1*0401-およびHLA-A*0201-トランスジェニックマウスを用いて以下のごとく試験した。マウス3匹の群(雌、8週齢)の脇腹に皮下注射した(総量ペプチド100μg + オリゴヌクレオチドCpI(Purimex、Goettingen、Germany)30μg/マウス)。ワクチン接種の1週間後、脾臓を取り出し、脾細胞をワクチン接種に用いたペプチドおよび無関係の陰性コントロールペプチドを用いてex vivoで活性化し、IFN-γ産生特異細胞を決定した(マウスELIspotアッセイ)。
単細胞IFN-γ放出のマウス脾細胞ELIspotアッセイ
【0096】
ELIspotプレート(MAHAS4510、Millipore、Germany)をPBS(200μl/ウェル)でリンスし、抗マウスIFN-γmAb(クローンR46A2;0.1M NaHCO3中5μg/ml(pH9.2-9.5)を100μl/ウェル)でコートし、4℃で一夜インキュベーションした。プレートをPBS/0.1% Tween20で4回洗浄し、次いで室温で2時間PBS/1% BSA(200μl/ウェル)とインキュベーションして非特異結合をブロックした。ワクチン接種マウスから脾細胞を調製し、1x106〜3x105細胞/ウェルをプレートにまき、免疫用抗原(ペプチド)またはコントロールペプチドの存在下、または培地のみと37℃/5%CO2で一夜インキュベーションした。次に、プレートを4回洗浄し、37℃で2時間ビオチン化抗マウスIFN-γ mAb(クローンAN18.17.24、PBS/1%BSA中の2μg/mlを100μl/ウェル)とインキュベーションした。洗浄後、ストレプトアビジン-パーオキシダーゼ(Roche Diagnostics、Vienna、Austria)を加え(1/5000、PBS中、100μl/ウェル)、プレートを室温でさらに2時間インキュベーションした。次に、基質を洗浄したプレートに加えた(50μlの80mg/ml NiCl2ストックおよび5μlの30%H2O2を含有する40mg/ml DABストック200μlを添加した10ml 100mM Tris(pH7.5)の混合物100μl/ウェル)。20〜30分後、プレートを水道水で洗浄して反応を止めた。乾燥したプレートをELIspotリーダー(BIOREADER 2000、BioSys、Karben、Germany)で評価した。
ヒトPBMCを用いるIFN-γ ELIspot
【0097】
HCV RNA陰性の治療応答者または自然に回復した対象からPBMCを回収し、HLAを血清学的にタイピングした。全血をACD Vacutainerチューブ(Becton Dickinson Europe、Erembodegem、Germany)に回収した。PBMCを、Lymphoprep(Nycomed Pharma AS、Oslo、Norway)でLeuco-sepチューブ(Greiner、Frickenhausen、Germany)を用いて単離し、PBS(Invitrogen Life Technologies(以前はGIBCOBRL)、Carlsbad、CA、USA)で3x洗浄し、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L-グルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、50μM 2-メルカプトエタノール(すべてInvitrogen Life Technologies)を添加したRPMI1640 4部分、ウシ胎児血清(FCS(PAA、Linz、Austria))9部分、およびDMSO(SIGMA、Deisenhofen、Germany)1部分からなる凍結用培地に濃度2x107/mLで再浮遊させた。PBMCを1℃凍結容器(Nalgene Nunc International、Rochester、New York、USA)に-80℃で一夜保存し、次いで液体窒素に移した。ELIspotアッセイは本質的に記載のごとく行った(Lalvaniら)。簡単には、Multi Screen 96ウェルろ過プレートMAIPS4510(Millipore、Bedford、MA)を10μg/ml(0,75μg/ウェル)抗ヒトIFN-γモノクローナル抗体(Mab)B140(Bender Med Systems、Vienna、Austria)で4℃、一夜コーティングした。プレートをPBS(Invitrogen Life Technologies)で2回洗浄し、ELIspot培地(1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L-グルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、50μM 2-メルカプトエタノール(すべてInvitrogen Life Technologies)、および10%ヒトAB型血清(PAA、Linz、Austria)を添加したRPMI1640)でブロックした。凍結保存PBMCを37℃水浴で急速に解凍し、ELISPOT培地で1回洗浄し、一夜インキュベーションした(37℃、5%CO2)。翌日、細胞を200,000 PBMC/ウェルでプレートにまき、個々のペプチド(10μg/ml)またはペプチドプール(各ペプチドの最終濃度、5μg/ml)で20時間インキュベーションした。細胞を除去し、洗浄用緩衝液(PBS; 0,1% Tween20(SIGMA))で6回洗浄した後、ビオチン化ヒトIFN-γ MAb B308-BT2(Bender Med Systems)の1:10000希釈(0.015μg/ウェル)100μlを加え、37℃で2時間または4℃で一夜インキュベーションした。洗浄後、ストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(DAKO、Glostrup、Denmark)を1.2μg/mlで37℃1時間加えた。該アッセイを100μl/ウェル BCIP/NBTアルカリホスファターゼ基質(SIGMA)を加えて発現させた。
ヒトPBMCのin vitroプライミング
【0098】
ヒトPBMCをIL-2およびIl-7の存在下、抗原(ペプチドまたはペプチド混合物)で繰り返し刺激する。これは抗原特異的T細胞の選択的オリゴクローナル増殖をもたらす。個々のエピトープに対する反応は、例えばIFN-γ ELIspotアッセイにより評価することができる。新鮮解凍PBMCを、6ウェルプレート(生細胞2-4x106/mL)を用い、RPMI-1640(GibcoBRL)、1%非必須アミノ酸(GibcoBRL、cat#11140-035)、1%ペニシリン(10,000U/ml)-ストレプトマイシン(10,000μg/ml)(GibcoBRL、cat#15140-122)、1% L-グルタミン(GibcoBRL)、0.1% β-メルカプトエタノール(GibcoBRL)、1% ピルビン酸Na(GibcoBRL)、および10%ヒトAB型血清(PAA、Linz、Austria)中で培養した。ペプチド(各10μM)を各ウェルに加えた。rhIL-7(Strathmann Biotech)を最終濃度10ng/mLで加えた。20-30 U/mL rhIL-2(Strathmann Biotech)を第4日目に加えた。第10日目にすべての細胞をプレートから除去し、培地(上記)で1回洗浄し、算定した。in vitroプライミングの次のサイクルのために生細胞をフィーダーとして上記のごとく自己γ照射(1.2gray/min、20分間)PBMC(100,000/ウェルでプレートにまく)、および上記ペプチド、rh-IL-2と同時培養した。200,000リスポンダー細胞(2回のin vitroプライミングで予備刺激)を60,000自己照射リスポンダー細胞として用いる以外は上記のごとくELIspotを行った。
【実施例】
【0099】
実施例1
マトリックスフォーマットに配列したペプチドプールを測定することによりHCV由来の無差別なHLA結合ペプチドの急速同定
【0100】
HCVポリプロテイン内の保存領域を測定する(span)ため640以上のペプチドを合成した(表1)。HLAリガンドおよび新規T細胞エピトープを急速同定するため、それぞれ20の単一プチドを含む40ペプチドプールを調製した。各ペプチドが2プール中に存在するように該プールを構築した(マトリックスフォーマット)。これは、横列および縦列混合物の交差点の反応性ペプチドの同定を可能にする(図1 HCVペプチドマトリックス)。
表1. HCVの保存領域由来の合成ペプチド
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
【表3】

【0104】
エピトープ捕捉のために、各ペプチドプールを可溶性組換えHLAクラスII分子とインキュベーションし、特異結合をSDS安定性アッセイにより評価した。HLA分子DRB1*0401、RB1*0404、およびDRB1*0101を用いる結果をそれぞれ図2および3に示す。28ペプチドプールが「横列」プールからDRB1*0401分子:no.1、2、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、および「縦列」プールからno.23、25、26、27、29、30、31、34、36、38、39、および40の28ペプチドプールがみいだされた(図2)。試験した40のうち35ペプチドプールがDRB1*0404分子に対する結合陽性であった(図3)が、すべてのペプチドプールがDRB1*0101分子に対する結合活性を示した。アレイ中の反応性プールの交差点を見いだすことにより、個々の潜在的結合物質を決定し、その結合親和性を個々に再チェックした。
【0105】
すべての個々に確認したペプチドを表2に示す。DRB1*0401に対する結合を図4に示す。54の個々のペプチドをこのHLA型のリガンドとして同定した。しばしば、横列の種々のオーバーラッピング15量体はそのコア結合領域の同定を可能にするHLAと結合した。1または2アミノ酸のみが異なるペプチドを示す変異体(表1参照)は共に通常可溶性HLAクラスII変異体と結合した。そのような「デュプリケート」は同じエピトープを示すと考えられた。すなわち、DRB1*0401と結合することができる31リガンドが同定され、それには11のすでに知られたクラスIIエピトープが含まれた。しかしながら、後者から、2つ(A202-A206およびB60-B68)のみがDR4に制限されることが知られていた(表2参照)。20リガンドが新規エピトープの候補である。DRB1*0404について、28の潜在的エピトープとして指定された64結合物質が決定され、そのうち4つがすでに知られたエピトープに属する(図5、表2)。それらのうち7つは先に記載されているがHLA制限が異なる。
【0106】
3つの上記HLA型の少なくとも1つと結合するすべての個々の確認されたペプチドのDRB1*0701分子に対する親和性もペプチド競合アッセイで試験した(図7、表2)。50リガンドが同定された。それらのうち7つがすでに知られたクラスIIエピトープに相当したが、1つのみがDRB1*0701エピトープ(A202-A206)として記載された。
表2. 可溶性HLAクラスII分子と結合するHCV由来ペプチド。HCVの保存領域由来の約400の15〜23量体ペプチドをマトリックスフォーマット(図1参照)に配列した20ペプチドまでのプール、および4つの異なるHLAクラスII分子を用いてエピトープ捕捉法により分析した。個々のペプチドについて特異的結合を確認した。
【0107】
【表4】

【0108】
【表5】

【0109】
【表6】

*** 強結合
** 中間の結合
* 弱結合
nb 結合なし
【0110】
太字ペプチドIDは、HLAトランスジェニックマウスで免疫原性が確認されたHLA-リガンドを示す。
【0111】
太字ペプチド配列は、テキスト中に記載の予測アルゴリズムに基づく推定コア結合領域を示す。
1)DRB1*0401トランスジェニックマウスに免疫原性
【0112】
きわめて不規則なペプチドのいくつかおよび/またはコンピュータアルゴリズム(SYFPEITHI、TEPITOPE)推定親和性を、HLA-DRB1*0701について記載のごとくペプチド競合アッセイを用いて可溶性HLA-DRB1*1101分子に対する結合についてチェックした。種々の既知のDR11エピトープをコントロールに用い、in vitroでHLA-DRB1*1101分子と結合することを確認した。新たに同定されたHLA-DRB1*1101結合物質のうち、高親和性リガンドのID A120、A122、A141、C114、C134、1426、1628、1629のペプチド、中程度親和性リガンドのID C106、C135、1578、1547、1604の4ペプチド、弱親和性リガンドのID B46、B48、B86、B96の4ペプチドがある。
【0113】
要約すると、少なくともHLA-DRB1*0101、*0401、*0404、*0701、および*1101と結合する新規8リガンド(表2: ペプチドID A120、A122、A141、1604、1547、1628、1629、および表6: ペプチドID 1426);少なくともHLA-DRB1*0101、*0401、*0404、および*0701と結合する新規10リガンド(表2:ペプチド ID A120-A124、B25-B30、B46-B48、B84-B92、C106、C113-C114、1627、1628、1629、1604);少なくともHLA-DRB1*0101、*0401、および*0701と結合する5新規リガンド;少なくともHLA-DRB1*0101、*0404、および*0701と結合する4新規リガンド;少なくともHLA-DRB1*0401、*0404、および*0701と結合する5新規リガンド;少なくともHLA-DRB1*0101、*0401、および*0404と結合する3新規リガンド;少なくともHLA-DRB1*0101、および*0701と結合する2新規リガンド;少なくともHLA-DRB1*0401、および*0701と結合する1新規リガンド;少なくともHLA-DRB1*0101、*0401と結合する3新規リガンド;少なくともHLA-DRB1*0404、および*0701と結合する1新規リガンド;少なくともHLA-DRB1*0101、および*0404と結合する4新規リガンド;少なくともHLA-DRB1*0701と結合する5新規リガンド;少なくともHLA-DRB1*0101と結合する13新規リガンド;少なくともHLA-DRB1*0401と結合する1新規リガンド;および少なくともHLA-DRB1*0404と結合する6新規リガンド。
【0114】
さらに、12の既知HLAクラスIIエピトープが、種々の例においてまだ報告されていない対立遺伝子に対する結合を示すことが確認された(表2、最終群)。
【0115】
HLAクラスIIに対する物理的結合が確立されているので、特定リガンドに対する免疫原性を立証するのは容易であり、例えばすべて1またはそれ以上のHLAクラスII対立遺伝子と結合するペプチドID A120-A124、B46-B48、1627、1604、1630、1547、1623、B112-118、1558が、HLA-DRB1*0401トランスジェニックマウスにおいて免疫原性であることも示された(実施例II参照)。
【0116】
より長いポリペプチド内の最適エピトープを決定するため、マウスを候補エピトープ配列を組み込んだより長いポリペプチドでワクチネーションすることができる。次に、天然にプロセシングされ、提示されるエピトープに対する特異的CD4+ T細胞反応の発生をネズミ脾細胞またはリンパ節細胞をオーバーラッピング15量体による再刺激およびIFN-γ ELIspotでアッセイすることができる。新規に同定されたHLA-リガンドの最終確認および/または検証は、これらペプチドをヒト由来T細胞で試験することにより達成することができる。理想的には、これらは治療応答者または感染からの自然回復対象を含む。
実施例II
HLAトランスジェニックマウスにおけるHCV由来ペプチドの免疫原性
【0117】
合成HCV由来ペプチド(保存領域からの)のHLAトランスジェニックマウスにおける免疫原性について試験し、試験した68ペプチドのうち36ペプチドは、ワクチネーション実験においてペプチド特異的IFN-γ産生細胞を誘導することがわかった。表3に要約しているように、いくつかのペプチドは、DR4-および/またはA*0201トランスジェニックマウスにおいて免疫原性(+、脾細胞106個につきペプチド特異的細胞が100個未満)、またはさらに強免疫原性(++、脾細胞106個につきペプチド特異的細胞が100個以上)であった。
表3
【0118】
【表7】

【0119】
【表8】

【0120】
HLA-DRB1*0401トランスジェニックマウスにおいて免疫原性であることも示されているペプチド1526、1565、1631は既知のクラスIIエピトープを含む。HLA-A*0201 トランスジェニックマウスにおいて免疫原性であることも示されているペプチドID 1526、1553、1565、1587、1623、1630は既知のA2エピトープを含む。
【0121】
本発明を用いて得られる新規エピトープをさらに特徴づけるために、これらエピトープの正確なHLA制限およびT細胞により認識される配列内の最小エピトープを定義することができよう。いずれも当業者に知られた種々のよく確立されたアプローチにより行うことができる(Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons、Inc.)。
【0122】
最初に、公的に利用可能なプログラムを用いて結合モチーフに基づくT細胞エピトープを推定することができる。これらには、例えば、http://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla bind/(Parkerら、1994)、http://134.2.96.221/scripts/MHCServer.dll/home.htm(Rammenseeら、1999)、http://mypage.ihost.com/usinet.hamme76/(Sturnioloら、1999)がある。後者の予想アルゴリズムは、不規則なTヘルパーエピトープ、すなわち種々のHLAクラスII分子と結合するペプチドを同定する可能性をもたらす。これら予測により該ペプチドの各HLAに対する結合を試験することにより立証することができる。
【0123】
ペプチドに対する反応がクラスIまたはクラスIIに制限されているか否かを速やかに識別する方法は純粋なCD4+またはCD8+ T細胞エフェクターポピュレーションを用いてELIspotアッセイを反復することである。これは例えば磁気細胞ソーティングにより各サブセットを単離することにより達成することができる。純粋なCD8+ T細胞は、目的の1 HLA分子のみを発現する人工抗原提示細胞とともにELIspotアッセイで試験することもできる。一例は、HLA-A*0201陽性T2細胞である(174CEM.T2、Nijmanら、1993)。あるいはまた、CD4+またはCD8+ T細胞サブポピュレーションを特異的にブロックするモノクローナル抗体の存在下で全PBMCとともにELIspotアッセイを用いることができる。正確なHLA制限はある種の対立遺伝子に特異的なモノクローナル抗体のブロッキングを用いて同様に決定することができる。例えば、HLA-A24制限エピトープに対する反応は、HLA-A24特異的モノクローナル抗体を加えることにより特異的にブロックすることができる。
【0124】
T細胞により認識されるペプチド配列内の最小エピトープを定義するため、免疫トランスジェニックマウス由来脾細胞、または各エピトープを認識するヒト由来のT細胞を用いてオーバーラッピングおよび切断ペプチド(例えば8、9、および10量体)を試験することができる。
実施例III
トランスジェニックマウスで調査した免疫原性HCV由来ペプチドのHLA制限
【0125】
マウス5匹の群(HLA-A*0201-、HLA-DRB1*0401-、およびHLA-B*0702トランスジェニックマウス、雄、8-14週齢)の後足蹠に100μgのペプチド+IC31/マウス(50μg/足蹠)を皮下注射した。(PCT/EP01/12041、WO 02/32451 A1、およびPCT/EP01/06433、WO 01/93905 A1;IC31はWO 01/93905およびWO 02/32451に記載のイムナイザー(immunizer)の混合物である)。
【0126】
ワクチネーション後6日目にプールした脾細胞の単細胞浮遊液を調製し、さらにA2およびB7tgマウスの場合はCD8+の純粋な分画(B7マウスのCD8+分画はCD8細胞97%およびCD4細胞1.5%を含み、A2tgマウスではCD8細胞83%およびCD4細胞8%を含む)、およびDR4tgマウスのCD4+(DR4tgマウスのCD4+分画はCD4細胞98%およびCD8細胞0.2%を含む)をMACS分離キット(Miltenyi、Germany)を用いて脾細胞浮遊液から分離した。すべての細胞(非分離細胞、陽性および対応陰性分画)を関連ペプチド(例えばIpep1604)および陰性コントロールとして無関係なペプチド(既知HLA-DRB1*0401 CMV由来エピトープIpep1505、HLA-B*0702 HIV由来エピトープIpep1787、またはHLA-A*0201チロシナーゼ由来エピトープIpep1l24)でex vivoで再刺激し、ELIspotアッセイでIFN-γ産生細胞を検出した。
【0127】
図8〜10に示す例として、Ipep1604(VVCCSMSYTWTGALITPC、イムナイザーIC31と組み合わせて)はすべての3トランスジェニッククラスIおよびIIマウス系において多数の特異的IFN-γ産生細胞を誘導することができた。これは全脾臓由来細胞、ならびにA2およびB7では対応するCD8+細胞の、およびDR4tgマウスではCD4+細胞の豊富化分画を用いて示された。弱いが同様の反応がIpep1605(VVCCSMSYSWTGALITPC)、スレオニンの代わりにセリンを有する配列変異体においてみられた。
【0128】
すなわち、Ipep1604は、HLA-A*0201およびHLA-B*0702分子についてはクラスIエピトープ、およびHLA-DRB1*0401分子についてはクラスIIエピトープを含む。
【0129】
表2および6に示すように、Ipep1604は、不規則にクラスII分子と結合する。すなわち、それは少なくともHLA-DRB1*0101、DRB1*0404、DRB1*0701、およびDRB1*1101についてさらにエピトープを含む。
【0130】
他のペプチドを同様に分析した。
Ipep1605、1623、1547、1558、1559、1560、1565、1592、1650、1654、および1655がヒトHLA-DRB1*0401エピトープを含むことが確認された。さらに、これらエピトープのほとんどで、表2および6に示すように結合はHLA-DRB1*0401に制限されない。
【0131】
Ipep1565、1605、および1650はヒトHLAA*0201エピトープを含むことが確認された。
【0132】
Ipep1506、1587はヒトHLA-B*0702エピトープを含むことが確認された。
【0133】
配列LPRRGPRLを有するIpep1843は1506中に含まれるHLA-B*0702最小エピトープであることが示された。
図10は、Ipep1506+IC31またはIpep1835+IC31でワクチネーションしたHLA-A*0702トランスジェニックマウス由来の脾細胞または分離CD8+またはCD4+細胞を用いるIFN-γELIspotを示す。
【0134】
図10A)およびB)は、Ipep1506+IC31またはIpep1835+IC31で一回ワクチネーションした後にオーバーラッピング15量体で再刺激すると15量体A30〜A37が反応することを示す(表1参照)。これら15量体の共通配列はLPRRGPRLである(Ipep1843、表4参照)。
【0135】
図10C)はこれら所見を確認する。すなわち、Ipep1506+IC31またはIpep1835+IC31で単回ワクチネーション後、Ipep1843に対する有意なIFN-γの誘導を検出することができる。いずれの場合もIpep1790、HIV NEF由来HLA-B*0702エピトープ(配列RPMTYKAAL)を再刺激の陰性コントロールに用いた。
【0136】
配列SPGALVVGVIを有するIpep1838(表4参照)が1587に含まれるHLA-B*0702最小エピトープであることが示された。
Ipep1587の場合、異なるアプローチをとった。すなわち、Ipep1587の配列をHLA-B*0702結合モチーフについて検討し、2〜3の短ペプチドを合成した。これらを、可溶性HLA-B*0702、およびEBV由来の既知のHLA-B*0702エピトープであるFITC標識標準ペプチドLPCVLWPVLを用いる競合型ペプチド結合アッセイにおいて試験した(Stuberら、1995)。ペプチドpepl838を80倍モル過剰で37℃で48時間用いると〜30%の競合を示した。すなわち、Ipep1587に含まれる最小HLA-B*0702エピトープが存在するようである。
実施例IV
HCV治療応答者または自然回復患者由来のヒトPBMCを用いるIFN-γ ELIspotにおいて反応する新規HCVペプチドの同定および確認
【0137】
HCVの保存領域由来の合成ペプチドを含むマトリックスフォーマット(図1)中の40ペプチド混合物(表1)を、インターフェロン/リバビリン標準療法に対する応答者であるか、またはHCVが自然に除去された50以上の個体(すなわち、すべての対象者はHCV抗体陽性であるが、HCV-RNA陰性である)由来のPBMCを用いるIFN-γELIspotを用いてスクリーニングした。そのような個体由来のPBMCはHCV除去に関与する関連T細胞ポピュレーションを含むと思われる。すなわち、これらPBMCを用いて発見または確認されるペプチドは、HCVに対する免疫保護/HCV除去の構造的決定基を表すようである。この一次マトリックススクリーニングの結果に基づいて多くのペプチドを、選択したドナー由来のPBMCを用いるIFN-γELIspotにおける個体の再試験のために選んだ。さらに、オーバーラッピング反応性ペプチド由来の、またはシステインのような重要な残基を欠く種々の新規ペプチドを合成した。これらを表4にまとめている。
表4: HCVの保存領域由来のさらなるペプチド
【0138】
【表9】

個々のペプチドを用いる二次スクリーニングの結果を表5にまとめる。全体で〜20%の対象(G05、G18、H02、H03、H04、H10、H12、H19、H32、H38)が、1またはそれ以上のペプチドに対する有意なIFN-γT細胞反応を示した。いくつかの例で、観察されたELIspotの数が明らかに増加し、バックグラウンドより統計的に有意に高かった。これらの例では、ペプチド特異反応を増大させるためにPBMC(ドナーH03、H10、H33、H38)をin vitroで反応性ペプチドで刺激した(in vitroプライミング2回、材料と方法参照)。種々のペプチドをこのようにして確認した。その結果も表5にまとめている。
【0139】
ペプチドA3-A7は、配列TNPKPQRKTKRNTNRRPQDにおよぶオーバーラッピング15量体を表す。それらはすべてドナーH03由来のPBMCと反応するので、該エピトープの最小配列は配列PQRKTKRNTNR内に位置する。予測アルゴリズムは、QRKTKRNTNおよびQRKTKRNTはHLA-B*08のリガンドを表すが、RKTKRNTNRはほぼHLA-B*2705と結合することを示す。
ペプチドC64-C70は、配列KGGRKPARLIVFPDLGVRVCEに及ぶオーバーラッピング15量体を表す。C64およびC70はそれぞれドナーH32およびH38由来のPBMCと反応する。したがって、該エピトープの最小配列は配列ARLIVFPDL内に位置する。予測アルゴリズムは、ARLIVFPDLがHLA-HLA-B*2705およびHLA-B*2709のリガンドを表すことを示す。
表5. PBMCと反応するHCVペプチドのまとめ
【0140】
数字は、ELIspotの結果から計算したペプチド特異的IFN-γ分泌T細胞/106PBMCを表し(デュプリケート測定値)、値>8(バックグラウンドの>3x)を統計的に有意とみなした。ドナーH32およびH33は、自然回復患者である。
【0141】
【表10】

【0142】
【表11】

【0143】
【表12】

実施例V. HCV由来ペプチドのHLAクラスII分子に対する結合
【0144】
表1に記載のペプチドに加え、オーバーラッピング反応性ペプチド由来の配列を組み込むかまたはシステインのような重要な残基を避ける種々の新規ペプチドを合成した(表4)。これらのクラスII可溶性HLA分子に対する親和性を再試験し、結果を最初に得られたものと比較した(表6)。
表6. 選択したHCV由来ペプチドおよびその15量体対応物の可溶性HLAクラスII分子に対する結合(「+++」強親和性、「++」中程度の親和性、「+」弱親和性、「-」無親和性、「nd」せず。コア結合モチーフに下線を付す。)
【0145】
【表13】

【0146】
【表14】

【0147】
ペプチド1798について、そのより短い対応物(B84〜B96)と比較してDRB1*0101およびDRB1*0401分子に対する親和性が欠如しているのは、おそらく結合を抑制する二次構造を有し得る長い配列(26アミノ酸)による。in vivoではタンパク質分解による開裂によりペプチド1798は2つのより短いクラスIIエピトープを生じると予想される。ペプチド1827および1829におけるシステイン(C)残基の除去(各ペプチドC114および1604の誘導体)は、DRB1*0401分子との結合に不可欠であるが、試験した他のDRサブタイプに対する親和性は本質的に変化しないようである。
実施例VI. HCVエピトープホットスポットの同定および特徴付け
【0148】
T細胞エピトープホットスポット(以後「ホットスポット」という)は少なくとも2以上のT細胞エピトープを含む短ペプチド配列と定義される。例えば、2またはそれ以上のエピトープは、互いの直ぐ後に(直ぐは5〜10アミノ酸以下と定義する)、または互いの後に直接、または部分的もしくは完全に重複(オーバーラッピング)して位置するかもしれない。ホットスポットは、クラスIまたはクラスIIエピトープ、または両者の組み合わせを含むかもしれない。ホットスポット中のエピトープは異なるHLA制限を有しているかもしれない。序論に記載のようにクラスIおよびクラスII抗原プロセシングの経路が非常に複雑で選択的であるため、T細胞エピトープをポリペプチドの配列内に予測することは簡単ではない。T細胞エピトープを予測するためのコンピューターアルゴリズムは広く用いられているが、偽陰性や偽陽性になる率が高い。
【0149】
すなわち、個々のT細胞エピトープがポリペプチドの配列内で明白ではないので、ホットスポットの場合はなおさらそうである。T細胞エピトープを同定するため、エピトープ捕捉、HLAトランスジェニック動物、およびヒト単核細胞のin vitro刺激を含む種々の根本的に異なる実験的アプローチを本発明に従って組み合わせる。すべての3アプローチを目的の抗原に及ぶオーバーラッピングペプチドに計画的に適用し、エピトープの広範な同定を可能にする(CMV Epitope Capture(エピトープ捕捉)特許という)。そのような広範な分析を用いて、特定HLA対立遺伝子に限らず、あるポピュレーション内のすべてのおそらく標的とするエピトープを解明することによりエピトープホットスポットを明らかにすることができよう。ある抗原内においてホットスポットの特性を示す配列はあるとしてもわずかである。すなわち、ホットスポットの同定はいつも驚くべき事象である。
【0150】
T細胞エピトープホットスポットは重要な利点をもたらす。すなわち、ホットスポットは活性化し、対象の異なるT細胞クローンにより認識されることができる。ホットスポットは(HLA制限が異なるエピトープを含むとき)、異なる非HLA適合個体由来のT細胞と相互作用することができる。
【0151】
今までのところ、エピトープベースのワクチンは、白人の約半分に発現するHLA-A2のような選択した一般的HLA対立遺伝子を目的としてきた。他の対立遺伝子は頻繁ではないので、広く世界的なポピュレーションを対象にしたエピトープベースのワクチンは、多くの異なるエピトープを含まなくてはならないであろう。ワクチンの化学的構成要素(例えばペプチド)の数は、製造、製剤化、および製品安定性に起因する制約により制限される。
【0152】
ホットスポットは、限られた数のペプチドにより潜在的に多数のエピトープを提供するので、広く世界的なポピュレーションを対象とするそのようなエピトープベースのワクチンを可能にする。
表7. HCVの保存領域におけるT細胞エピトープホットスポット
【0153】
ホットスポット(いくつかの変化を含む)を太字で、ホットスポット内に含まれるエピトープを通常の文字で示す。ペプチド番号および配列、並びにHLAクラスIおよびクラスIIの対象を示す。出典情報は、本明細書内の実施例および表、または参考文献を表す。
【0154】
【表15】

【0155】
【表16】

【0156】
【表17】

実施例VII. HCVエピトープホットスポットIpep1426は、少なくともHLA-A*0201、および種々の不規則なクラスII T細胞エピトープを含む。
【0157】
本実験の主な目的は、少なくとも1のHLA-A*0201エピトープ(Ipep1334)、および2つの不規則なクラスIIエピトープ(Ipeps1006および1425)を含む「ホットスポット」Ipep1426の免疫原性を個々のエピトープと比較することであった。このために、種々の健康なHLA分類した血液ドナー由来の末梢血単核細胞(PBMC)を1426、または1334、1006、1425混合物とin vitroで刺激した。3回の刺激を行い、オリゴクローナルT細胞系を得た。次に、すべての4ペプチドに対する反応をインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)ELIspotアッセイにより評価した。
ペプチド1426は、その配列内に含まれる個々のエピトープと同様にうまくT細胞反応を誘導する。特に、HLA-A*0201制限エピトープ1334に対するCD8陽性T細胞を生じさせるのに成功した。
表8. オリゴクローナルT細胞系のペプチド誘導IFN-γ分泌
【0158】
HLA分類した健康個体2人から、ペプチド1426またはペプチド1006+1425+1334混合物で3回in vitroプライミングすることにより系を得た。これらの系においてCD4およびCD8陽性T細胞の反応性をIFN-γELIspotにより評価した(「+++」非常に強い、「++」強い、「+」有意な、「-」IFN-γ分泌なし)。
【0159】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記表に記載のポリペプチドA120-A124、B25-B30、B46-B48、B84-B92、C106、C113-C114、1627、1628、1629、1604、1630、C97、1547、B94-B98、A272-A276、B120、B122、C108、C134、C152、1606、1607、1577、1578、B50-52、1623、C130、1603、C96、C191、A216-A224、A242-A244、C92-C93、A174、B32-B38、B100-B102、C135、C162、1618、1622、1624、1546、1556、A114、B58、B112-B118、B18-B22、C112、C116、C122、C127、C144、C159-C160、C174、1558、1581、C95、C129、C157-C158、A254-A258、1605、C109、C161、1547、1555、1558、1559、1560、1563、1592、1605、1616、1621、1623、1625、1649、1650、1651、1652、1654、1655、1656、1545、1552、1557、1615、1617、1631、1632、1641、1647、1653、A141、C114、C134、C135、および1426からなる群から選ばれる、T細胞エピトープ:
【表1】

【表2】

【表3】


【請求項2】
下記表に記載のポリペプチド1545、1552、1555、1558、1559、1560、1577、1592、1604、1605、1615、1617、1621、1627、1631、1632、1641、1647、1650、1651、1652、1653、1654、1655からなる群から選ばれる、T細胞活性化能を有するHLA A0201結合エピトープ:
【表4】


【請求項3】
下記表に記載の、最小HLA-B*0702エピトープとして配列LPRRGPRL(1506に含まれる)を有するポリペプチド1506、1526、1547、1552、1553、1555、1558、1562、1563、1565、1577、1578、1580、1587、1592、1604、1605、1621、1623、1624、1627、1628、1647、1650、1651、および配列LPRRGPRL(1506に含まれる)を有する1843、および配列SPGALVVGVI(1587に含まれる)を有する1838からなる群から選ばれる、T細胞活性化能を有するHLA-B*0702結合エピトープ:
【表5】


【請求項4】
さらに、特にN末端、C末端、またはNおよびC末端に1〜30、好ましくは2〜10、特に2〜6の天然アミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエピトープ。
【請求項5】
さらに、N末端、C末端、またはNおよびC末端に非天然アミノ酸、好ましくは1〜1000、より好ましくは2〜100、特に2〜20の非天然アミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエピトープ。
【請求項6】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療または予防するためのワクチン、特にHLA制限ワクチンを製造するための請求項1〜5のいずれかに記載のエピトープの使用。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のエピトープを含むC型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療または予防するためのワクチン。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載のエピトープを含むC型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療または予防するためのHLA特異的ワクチン。
【請求項9】
さらに、好ましくはポリカチオニック物質、特にポリカチオニックポリペプチド、免疫調節核酸、特にデオキシイノシンおよび/またはデオキシウラシル含有オリゴデオキシヌクレオチド、またはその混合物からなる群から選ばれる免疫調節物質を含むことを特徴とする請求項7または8に記載のワクチン。
【請求項10】
さらに、医薬的に許容される担体を含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のワクチン。
【請求項11】
該エピトープが、ペプチド、ペプチド類似体、タンパク質、裸DNA、RNA、ウイルスベクター、ウイルス様粒子、組換え/キメラウイルス、組換え細菌、またはタンパク質/ペプチド/RNAでパルスするか、または該エピトープを含むDNAでトランスフェクトした樹状細胞から選ばれる形で提供されることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のワクチン。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれかに記載のエピトープを特異的に認識するT細胞、T細胞クローン、またはT細胞ポピュレーションもしくは調製物。
【請求項13】
ヘテロクリティックエピトープを同定するための請求項12記載のT細胞、T細胞クローン、またはT細胞ポピュレーションもしくは調製物の使用。
【請求項14】
HCV患者を治療するための組成物を製造するための請求項12記載のT細胞、T細胞クローン、またはT細胞ポピュレーションもしくは調製物の使用。
【請求項15】
特にHLA-B*08特異的ワクチン用の医薬製剤を製造するための、HLA-B*08エピトープとして式QRKTKRNTNまたはQRKTKRNTを有するペプチド、または下記表中の1615、1616、1617、特に式SAKSKFGYG、SAKSKYGYG、またはSARSKYGYGを有する後者の3ペプチド由来の9量体ペプチドの使用:
【表6】


【請求項16】
特にHLA-B*2705特異的ワクチン用の医薬製剤を製造するための、HLA-B*2705エピトープとして式RKTKRNTNRを有するペプチドの使用。
【請求項17】
HLAB*2705およびHLA-B*2709特異的ワクチンとして式ARLIVFPDLを有するペプチドの使用。
【請求項18】
T細胞エピトープホットスポットを表す、下記表中のペプチド1835、84EX、87EX、89EX、1426、1650、1836、1846、1651、1800、1799、C114、1827、C112、C114EX、1827EX、1798、1604、1829、1579、1624、1848、1547、A1A7、A122EX、A122、1825、A241、B8B38、C70EX、C92、C97、C106、およびC134の群から選ばれるペプチドの使用:
【表7】

【表8】

【表9】



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−265262(P2010−265262A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97189(P2010−97189)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【分割の表示】特願2004−535180(P2004−535180)の分割
【原出願日】平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願人】(502270718)インターツェル・アクチェンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】INTERCELL AG
【Fターム(参考)】