説明

C型肝炎ウイルス由来ペプチド

【課題】C型肝炎ウイルス(HCV)関連疾患の治療に有用なペプチド等を提供する。
【解決手段】C型肝炎ウイルスに対する抗体により認識されるペプチドであって,特定のアミノ酸配列を有するペプチド。また,このペプチドを有効成分として含有する,HCV関連疾患を有する患者を治療するための医薬組成物,ならびに上述のペプチドを含有する,HCV関連疾患を診断するかまたはHCV関連疾患の進行を予測するための組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はC型肝炎ウイルス(HCV)関連疾患の治療およびHCV関連疾患の診断または進行予測に有用な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
世界の人口の約3%がC型肝炎ウイルス(HCV)に対してセロポジティブであると見積もられている(World Health Organization. Hepatitis C: global prevalence. Wkly. Epidemiol. Rec. 1997; 72(46):341-344)。HCV感染の急性期はしばしば無症状であるが,セロポジティブの個人の約70%は慢性感染を発症し,感染した患者は進行性の肝臓病,例えば,線維症,肝硬変,および肝細胞癌に罹患しやすい(Alter HJ, Seeff LB., Semin Liver Dis. 2000; 20(1):17-35; Shimotohno, K., Semin. Cancer Biol. 2000;10:233-240)。HCV感染の現在の治療法はリバビリンと組み合わせたインターフェロン(IFN)−αであり,最近では,ポリエチレングリコール修飾型のIFN−αが用いられている。しかし,持続性の応答は,治療した患者の約50%にしか見られない(Manns MP, et al, Lancet. 2001; 358:958-965)。さらに重要なことには,抗ウイルス療法は,感染患者の大部分が居住するほとんどの発展途上国では利用できない。したがって,新たな治療法の開発が必要とされている。
【0003】
HCV感染後の肝細胞傷害の病因メカニズムはまだよくわかっていないが,多くの証拠から,ウイルス特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)がHCV感染後の肝臓障害に重要な役割を果たしているかもしれないことが示されている(Chang KM, et al., Springer Semin Immunopathol. 1997; 19:57-68)。一方,CTLは,感染の間にウイルスの広がりを制限しウイルスを排除するのに有効であると考えられている(Kurokohchi K, et al., J Virol. 1996; 70:232-240)。したがって,ワクチンによるCTL誘導は,HCV感染に伴う疾患の管理の有望な戦略であろう。さらに,コストが低いことおよび保存が容易であることから,CTL誘導を指向したペプチドワクチンの開発が求められている。
【0004】
HCVのゲノタイプとしては,1aおよび1bが主であるため,これまでこれらのタイプに関して多くの研究が行われてきた。HCV1aおよび1bに由来するいくつかのHLA拘束性エピトープが,ペプチドワクチンの候補として同定されている(Kurokohchi K, et al., J Hepatol. 2001; 34(6):930-935; Uno-Furuta S, et al., Vaccine. 2001; 19:2190-2196; Dikopoulos N, et al., Hepatology. 2004; 40(2):300-309; Curiel TJ, et al., J Immunol. 2004; 172(12):7425-7431)。しかし,HCV2aは中国,日本およびイタリアにおいて支配的なゲノタイプであるにもかかわらず,HCV2aについてはほとんど知られていない(Zein NN, Clin Microbiol Rev. 2000; 13(2):223-235; Huy TT, Abe K., Pediatr Int. 2004; 46(2):223-230)。
【0005】
したがって,本発明の目的は,C型肝炎ウイルス(HCV)2a感染に対する特異的免疫療法の基礎となる分子を提供することである。
【0006】
【特許文献1】WO2005/028503
【非特許文献1】Kurokohchi K, et al., J Hepatol. 2001; 34(6):930-935
【非特許文献2】Uno-Furuta S, et al., Vaccine. 2001; 19:2190-2196
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は,HCV2aに感染した患者に適用することができる,HCV関連疾患の治療法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは,C型肝炎ウイルス(HCV)2a由来エピトープペプチドがヒト白血球抗原(HLA)−A24陽性のHCV2a感染患者において細胞傷害性Tリンパ球を誘導しうることを見いだした。
【0009】
本発明は,C型肝炎ウイルスに対する抗体により認識されるペプチドであって,以下のいずれかのアミノ酸配列を有するペプチドを提供する:
E1 335-344: AYAMRVPEVI(配列番号1)
E2 576-584: DFNASTDLL(配列番号2)
E2 627-635: NYTIFKIRM(配列番号3)
E2 649-658: NFTRGDRCNL(配列番号4)
NS2 889-897: VFDITKWLL(配列番号5)
NS2 936-945: KYVQMALLAL(配列番号6)
NS3 1085-1094: VYHGAGNKTL(配列番号7)
NS3 1104-1112: MYSSAEGDL(配列番号8)
NS3 1447-1456: GYTGDFDSVI(配列番号9)
NS3 1560-1569: EFWEAVFTGL(配列番号10)
NS5 2445-2453: SYSWTGALI(配列番号11)
E2 576-584: DFN(A/T)S(T/M)DLL(配列番号12)
E2 627-635: N(Y/F)(T/S)(I/T/V)FK(I/V)RM(配列番号13)
NS3 1085-1094: VYHGAG(N/T)(K/R)T(L/I)(配列番号14)
【0010】
特に好ましくは,本発明のペプチドは以下のいずれかの配列を有する:
E2 576-584: DFNASTDLL(配列番号2)
E2 627-635: NYTIFKIRM(配列番号3)
NS3 1085-1094: VYHGAGNKTL(配列番号7)
【0011】
好ましくは,本発明のペプチドは,HLA−A24拘束性細胞傷害性T細胞を誘導することができる。
【0012】
別の観点においては,本発明は,上述の本発明のペプチドを有効成分として含有する,HCV関連疾患を有する患者を治療するための医薬組成物を提供する。本発明はまた,上述の本発明のペプチドを含有する,HCV関連疾患を診断するかまたはHCV関連疾患の進行を予測するための組成物を提供する。
【0013】
本明細書において用いる場合,「HCV関連疾患」とは,C型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる疾患を意味し,例えば,急性および慢性の肝炎,肝硬変,および肝細胞癌が含まれる。HCV関連疾患の進行は,典型的には,慢性肝炎から肝硬変への進行,さらに肝硬変から肝癌への進行である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は,HCV2aに感染した患者の治療に用いることができる免疫原性HCV由来ペプチドを提供する。本発明のC型肝炎ウイルス由来ペプチド(HCVペプチド)は,C型肝炎ウイルスタイプ2a由来の蛋白質の部分アミノ酸配列を含み,かつ,患者のHLAと適合するHLA結合モチーフを配列中に含む。このペプチドは,C型肝炎ウイルス感染患者の血中抗体により認識されることができる。好ましくは,本発明に係るC型肝炎ウイルス由来ペプチドは,CTLを誘導することができ,このようにして誘導されたCTLは,HCV感染細胞を標的にしてこの細胞を攻撃する。
【0015】
下記の実施例に示されるように,本発明においては,HCV2a感染患者の末梢血単核細胞(PBMC)をHLA−A24結合モチーフを有するHCV2a由来ペプチドで刺激して,ペプチド特異的かつHLA−A24拘束性の細胞傷害活性を調べた。また,HCV2aペプチドに対するイムノグロブリンG(IgG)の血漿レベルを蛍光的に測定した。その結果,11種類のペプチドが,HLA−A24陽性HCV2a感染患者のPBMCからペプチド特異的CTLを有効に誘導することが見いだされた。このうち,3つのペプチド(E2蛋白質からのHCV2a 576-584およびHCV2a 627-635およびNS3蛋白質からのHCV2a 1085-1094)が,特に高い頻度でCTLを誘導した。それぞれのペプチドに反応性のペプチド特異的CD8+T細胞により,HLA−A24拘束性の細胞傷害活性が示された。また,HCV2a 1085-1094反応性T細胞はHCV2aNS3−5遺伝子をトランスフェクションした標的細胞に対して細胞傷害活性を有していた。さらに,HCV2a感染患者の血漿中で有意なレベルのHCV2a 627-635ペプチド特異的IgGが検出された。これらの結果は,これらの3つのペプチドを用いて,HLA−A24陽性HCV2a感染患者のペプチドに基づく免疫療法が可能であることを示す。中でも,HCV2a 576-584ペプチドは非常に免疫原性が高いことがわかった。
【0016】
本発明においては,配列番号1−11に示されるアミノ酸配列において,1個,2個または3個のアミノ酸残基が保存的に置換されていてもよい。保存的置換とは,あるアミノ酸が同様の特性を有する別のアミノ酸で置換され,そのためペプチド化学分野の当業者によってポリペプチドの2次構造およびハイドロパシー特性が実質的に変化しないことが予期されるような置換をいう。互いに保存的置換であるアミノ酸の群としては一般に以下のものが知られている:(1)グリシン,アスパラギン,グルタミン,システイン,セリン,トレオニンおよびチロシン;(2)アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン,プロリン,フェニルアラニン,メチオニンおよびトリプトファン;(3)グリシン, アラニン, セリン, トレオニンおよびメチオニン;(4)ロイシン, イソロイシンおよびバリン;(5)グルタミンおよびアスパラギン;(6)グルタミン酸およびアスパラギン酸;(7)アルギニン, リジンおよびヒスチジン;(8)フェニルアラニン, トリプトファンおよびチロシン。
【0017】
さらに,本発明のペプチドは,所望の作用効果を奏する程度に上記のアミノ酸配列を有していればよく,付加的な配列がさらに含まれていてもよい。当業者であれば,抗原ペプチドとして所望の作用効果を奏するためには,そのN末端側およびC末端側にそれぞれどの程度の配列の付加が許容されるかを当然に理解することができる。したがって,例えば,本発明にかかるペプチドのN末端側および/またはC末端側に,免疫感作を促進するのに有用なアミノ酸配列や,製剤化を容易にするアミノ酸配列や,融合蛋白質としてペプチドを発現させるのに便利なアミノ酸配列や,ペプチドの製造および精製に便利なアミノ酸配列などが付加されていてもよい。また,本発明にかかるペプチドは,抗体との結合の特異性が失われない限り,化学的に修飾されていてもよく,ポリマーや糖鎖が付加されていてもよい。
【0018】
本発明に係るHCVペプチドは,通常の化学的合成法,タンパク分子の酵素的分解法,目的のアミノ酸配列をコードする塩基配列を発現するように形質転換した宿主を用いる遺伝子組換え技術などにより製造することができる。
【0019】
目的とするペプチドを化学的合成法で製造する場合には,通常のペプチド化学において公知の慣用されている手法によって製造することができ,例えば,ペプチド合成機を使用して,固相合成法により合成することができる。このようにして得られた粗ペプチドは,タンパク質化学において通常使用されている精製方法,例えば,塩析法,限外ろ過法,逆相クロマトグラフィー法,イオン交換クロマトグラフィー法,アフィニティークロマトグラフィー法などによって精製することができる。
【0020】
一方,所望のペプチドを遺伝子組換え技術で生産する場合には,例えば,合成またはクローニングした目的のアミノ酸配列をコードするDNA断片を適当な発現ベクターに組込み,この発現ベクターを用いて微生物や動物細胞を形質転換して,得られた形質転換体を培養することによって,所望のペプチドを得ることができる。使用できる発現ベクターとしては,当該技術分野において公知であるプラスミド,ウイルスベクターなどを用いることができる。
【0021】
このペプチド生産技術における発現ベクターを用いた宿主細胞の形質転換方法としては,それ自体公知の方法,例えば,塩化カルシウム法,リン酸カルシウム共沈殿法,DEAEデキストラン法,リポフェクチン法,エレクトロポレーション法などが使用でき,使用する宿主細胞に基づいて適宜選択するのがよい。得られたペプチドの精製は,培養した培地から回収した細胞抽出液もしくは培養上清から上記精製法により行うことができる。
【0022】
本発明のペプチドは,HCV関連疾患を有する患者を治療するための医薬組成物,すなわちペプチドワクチンとして有用である。C型肝炎ウイルス由来ペプチドからなるワクチンは,上記のようにして製造したペプチドを,医薬的に許容される補助剤および/または担体と適宜混合することにより調製する。補助剤としては,免疫応答を強化し得るアジュバント,例えばフロイントの不完全アジュバント,水酸化アルミニウムゲルなどを使用することができる。また,担体としては,例えば,リン酸緩衝生理食塩水(PBS),蒸留水などの希釈剤,生理食塩水などを使用することができる。
【0023】
ペプチドワクチンは,その使用形態に応じて,例えば,経口または静脈投与や皮下投与など経皮経路で投与することができる。その剤形としては,例えば,錠剤,顆粒剤,ソフトカプセル剤,ハードカプセル剤,液剤,油剤,乳化剤などが挙げられる。かかる医薬組成物の投与量は,投与する患者の症状などにより,適宜変動し得るが,一般的には,成人に対して1日当たり,ペプチド量として0.1−10mgが好ましく,投与間隔としては数日ないし数ヶ月に1回投与することが好ましい。また,ペプチドワクチンとインターフェロンとを併用してもよい。
【0024】
好ましい態様においては,投与されるC型肝炎ウイルス由来ペプチドは,患者の血液中に存在する抗HCV抗体のペプチド反応性もしくはCTLの存在に基づいて選択される。更に好ましくは抗HCV抗体のペプチド反応性とCTLの両方の存在に基づいて選択される。ここで,「抗HCV抗体のペプチド反応性」とは,投与すべきペプチドのいずれかが,患者の血液中に存在する抗HCV抗体により認識されることをいう。それぞれの患者における抗HCV抗体のペプチド反応性を検査して,各人に適するペプチドのみを投与する,いわゆるテーラーメイド型の投与により,より高い治療効果を期待することができる。癌ペプチドワクチン臨床試験における経験により,テーラーメイド型投与により二次免疫の賦活が速やかに誘導されるため,より安全により良い臨床効果が発現することが立証されている(Mine et al., Clin. Can. Res. 929-937,2004)。
【0025】
HCV関連疾患の治療効果の確認は,HCV関連疾患に罹患している被験者の血中抗体価,すなわちペプチドに対する反応性を有する抗体の血中濃度を,ELISA等の慣用の方法によりモニターすることによって行うことができる。また,HCV RNAの量をRT−PCR等の慣用の方法により測定することにより,ウイルス量をモニターすることができる。
【0026】
本発明のペプチドはまた,HCV関連疾患を有する患者を診断し,あるいは疾患の進行を予測するための組成物としても有用である。本発明のペプチドを用いて,当該技術分野においてよく知られる抗原抗体反応を用いて,被験者の血液中の抗体価を測定することができる。例えば,典型的なELISA法を用いる場合には,以下のようにして測定を行うことができる。抗原であるペプチドを96ウエルなどの慣用のELISAプレートに結合させ,非特異的吸着を防止するためにプレートを適宜ブロッキングする。次に被験者の血液から調製した血清を適宜希釈してプレートの各ウエルに加えて,所定時間反応する。プレートを洗浄して未結合成分を除去した後,ヒト抗体と結合しうる抗体(例えばウサギ抗ヒト抗体)を加える。IgGを検出することが望まれる場合には,γ鎖特異的抗ヒトIgGを用いることができる。所定時間反応した後,プレートを洗浄し,検出可能なように標識した抗体(例えば抗ウサギIgG)を加える。標識は,酵素,蛍光色素,化学発光物質,ビオチン,放射線化合物等を用いて,当業者によく知られる方法により行うことができる。プレートを所定時間反応した後,適当な基質を加えて基質の減少もしくは生成物の増加を測定するか,または蛍光,発光,放射活性を測定することにより,標識を検出する。このようにして,被験者の血清における特定のペプチドに対する抗体の量を測定することができる。さらに,抗体の量をモニターすることにより,HCV関連疾患の進行の予測を行うことができる。
【0027】
このような抗原抗体反応により抗体を検出する方法のうち,感度の高い方法の1つとしてxMAP技術がある。これは,Luminex社が開発した蛍光マイクロビーズアレイシステムによるフローメトリー測定法であり,ペプチドを結合させたマイクロビーズと血清とを接触させ,次に,蛍光標識二次抗体を結合させて,フローメトリーにより蛍光強度を測定する。
【0028】
また,病院の検査室などで抗体価を測定する場合には,免疫クロマト法を用いることができる。この方法は,試験紙上に抗原(または抗体)を線状に分布させた部分を作っておき,検体中の抗体と着色粒子で標識された抗原との複合体が試験紙上を移動する際に,抗原(または抗体)に集中的に捕捉されることで現れる色付きのラインの有無によって定性分析を行う方法である。この方法を用いれば,簡便な設備で短時間(20〜30分以内)に結果を得ることができる。
【実施例】
【0029】
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし,これらの実施例は本発明をより具体的に説明するために例示的に示したものであり,本発明は実施例により限定されるものではない。
【0030】
方法
被験者
HLA−A24陽性の,HCV2a感染による慢性肝炎患者20名および健康なドナー15名を被験者とした。CTL誘導実験には,10名のHLA−A24陽性患者および5名のHLA−A24陽性の健康なドナーのPBMCを用いた。HCV2a患者は,抗HCV抗体(Abs)についてセロポジティブであった。健康なドナーは肝臓の機能障害の症状を有していなかった。末梢血単核細胞(PBMC)を得るためには,20mlの末梢血を採取し,フィコール−コンレー密度勾配遠心分離によりPBMCを調製した。
【0031】
ペプチド
以下の実施例で用いたHCV2a由来ペプチドを表1に示す。これらのペプチドは,HCV−ゲノタイプ2aの蛋白質に由来する,HLA−A24結合モチーフを有する11種類の9量体または10量体の合成ペプチドである。陰性対照としては,HLA−A24結合モチーフを有するインフルエンザウイルス(Flu)由来ペプチド(RFYIQMCYEL(配列番号15)),EBV由来ペプチド(TYGPVFMCL(配列番号16)),およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来ペプチド(RYLRQQLLGI(配列番号17))を用いた。すべてのペプチドは,BIOSYNTHESIS(Lewisville, TX)またはSynPep(Dublin, CA)から購入し,90%以上の純度であった。ペプチドは,10mg/mlの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して−20℃で保存した。
【0032】
【表1】

【0033】
細胞株
C1R-A2402はHLA-A*2402を発現するC1Rリンパ腫のサブラインである(Dr. M. Takiguchi, Kumamoto University, Japan)。この細胞は,10%FCS(牛胎児血清)および500μg/mlのハイグロマイシンB(Gibco BRL, New York, NY, USA)を補充したRPMI−1640培地で維持した。
【0034】
RNA合成
HCV2aサブゲノムJFH−1のNS3−NS5の保存配列を含むプラスミドpSGR−JFH1はKato ら(Gastroenterology. 2003; 125(6):1808-1817)に記載されている。プラスミドをXbaI消化により直線化し,さらにマングビーン・ヌクレアーゼ(New England Biolabs, Beverly, MA)で処理して4ヌクレオチドを除去して,HCV cDNAの3’平滑末端を得た。消化したプラスミドDNAを精製し,これをテンプレートとして,MEGAscript(登録商標)T7キット(Ambion, Austin, TX)を用いるインビトロRNA合成を行った。合成したHCVサブゲノムRNAをDNaseI(RQ1 TM RNase-free DNase, Promega, Madison, WI)で処理し,次に酸フェノール抽出を行って,残留するテンプレートDNAを除去した。
【0035】
RNAトランスフェクション
トリプシン処理したC1R-A2402細胞をPBSで洗浄し,氷冷Cytomixバッファ(van den Hoff MJ, et al., Nucleic Acids Res. 1992; 20(11):2902)に0.5−1x107/mlの濃度で再懸濁した。合成したレプリコンRNA(5μg)を400μlの細胞懸濁液と混合し,エレクトロポレーションキュベット(Bio-Rad, Hercules, CA)に移し,Gene Pulser II装置(Bio-Rad)を用いて300V,950μFでパルスを印加した。次に,トランスフェクションした細胞を10%FCSを含むRPMI1640培地に移し,培養フラスコで培養した。トランスフェクションの18−24時間後に,G418(0.5mg/ml)(Nacalai Tesque, Kyoto, Japan)を培地に加えた。G418を補充した培地を週に2回交換した。トランスフェクションの3週間後,細胞を選択培地で1細胞/200μlの濃度に希釈した。96ウエルプレートにウエルあたり100μlの細胞を播種し,さらに2−3週間培養した。G418耐性コロニーを回収し,10cm培養皿で80−90%コンフルエントとなるまで増殖させて,核酸および蛋白質分析に用いた。
【0036】
HCV2a感染患者のPBMCにおけるHCV2a由来ペプチドを用いるCTLのインビトロ誘導
ペプチド特異的CTLの検出は先の報告にしたがって行った(Maeda Y, et al., Br. J. Cancer. 2002; 87: 796-804)。簡単には,HLA−A24陽性のHCV2a感染患者のPBMC(1X105細胞/ウエル)を10μg/mlの各ペプチドとともにU底96ウエルマイクロ培養プレート(Nunc,Denmark)中で200μlの容量の培養液でインキュベートした。培地は,45%RPMI−1640,45%AIM−V培地(GibcoBRL,NY,USA),10%FCS,100U/mlのインターロイキン−2(IL−2),および40μg/mlのゲンタマイシンからなる。3−4日ごとに培養液の半分を除去し,20μg/mlの対応するペプチドを含む新たな培地で置き換えた。第15日に,ウエル中の培養細胞の半分を4つのウエルに等分した。2つのウエルは対応するペプチドでパルスしたC1R-A2402細胞でさらに刺激し,他方の2つのウエルは対照HIVペプチドでパルスしたC1R-A2402細胞で刺激した。16−18時間インキュベートした後,上清中のIFN−γのレベルをELISAにより測定した。対照HIVペプチドに応答したIFN−γ産生をバックグラウンドとして差し引いた。HCV2aペプチドで刺激したPBMCは,放射線照射したHLA−A24陽性バフィーコート細胞をフィーダー細胞としてさらに約2−3週間培養して,細胞傷害活性分析に十分な数の細胞を得た。
【0037】
細胞傷害活性のアッセイ
合計103個の51Cr−標識標的細胞を異なるエフェクター/標的(E/T)比で,U底96ウエルプレートのウエルで6時間培養し,上清への51Cr放出を調べた。非特異的溶解を排除するために,40倍過剰の未標識K562細胞の存在下で細胞傷害性活性を調べた。抗体ブロッキング実験においては,アッセイの最初に,抗HLAクラスI(W6/32:マウスIgG2a)または抗HLA−DR(L243:マウスIgG2a)単クローン抗体のいずれかを20μg/mlの濃度でウエルに加えた。いくつかの実験では,CD8単離キット(DYNAL, Oslo, Norway)を用いてCD8+細胞を精製した。
【0038】
血液単球からの樹状細胞(DC)の作成
PBMCを培養プレートに,10%FCS,PRMI1640培地中4x106細胞/mlで播種し,37℃で60−90分間インキュベートして,細胞を培養プレートに付着させた。付着した単球に富んだ集団を以下の培地で7日間培養した。培地は,45%RPMI−1640,45%AIM−V培地,10%FCS,100U/mlのインターロイキン−2(IL−2),10ng/mlのGM−CSF(Cosmo Bio, Tokyo, Japan),10ng/mlのIL−4(Cosmo Bio),および40μg/mlのゲンタマイシンからなる。この培養期間中には培地の追加または除去を行わなかった。第5日に,10ng/mlのTNF−α(Sigma,MI,USA)を培養液に加えて,DCを成熟させた。第7日に細胞を回収してDCとして用いた。
【0039】
健康なドナー由来PBMCからHCV2aペプチドでパルスしたDCを用いたCTLの誘導
第0日に,DCをPBSで洗浄し,1.0mlの培養液に再懸濁し,3μg/mlのβ2−ミクログロブリン(Sigma)および10μg/mlのペプチドとともに37℃で2時間インキュベートした。放射線照射(40Gy)の後,DCを1:20の比率の非付着性PBMCとともにさらにインキュベートした。第7,14および21日に,PBMC培養物をペプチドでパルスし放射線照射したDCで1:40の比率で再刺激した。第28日に細胞傷害活性アッセイを行った。
【0040】
ペプチド反応性抗体の測定
ペプチド特異的IgGの血漿レベルは,先に報告されているように(Komatsu N, et al., Scand J Clin Lab Invest. 2004; 64(6):535-545),蛍光計で測定した。簡単には,製造元の方法を若干改変して,各ペプチド(0.1M MESバッファ中100μg,pH4.5)をカラーコード化ビーズ(Luminex Corp., Austin, TX)に結合させた。希釈した血漿サンプル(1:100,1:200,および1:400)を96ウエルのフィルタープレート(NUNC, NY, USA)中で,ペプチドを結合したカラーコード化ビーズとともに,プレート振盪器(300rpm)で室温で2時間インキュベートした。インキュベート後,プレートを真空マニホルド装置で洗浄し,ビオチン化ヤギ抗ヒトIgGとともに室温で1時間インキュベートした。次にプレートを洗浄し,ストレプトアビジン−PEをウエルに加え,30分間インキュベートした。結合したビーズを3回洗浄し,100μlの5%Tween−PBSを各ウエルに加えた。50μlのサンプルをLuminex(登録商標)システムに供した。
【0041】
統計学
統計学的解析はスチューデントt検定により行った。P値が0.05より低いものを統計学的に有意とした。
【0042】
結果
T細胞エピトープペプチドの決定
HCV2aに由来するHLA−A24−結合推定ペプチドをBIMASソフトウエア(Bioinformatics and Molecular Analysis Section, NIH)により分析した。ペプチド結合スコアは,HLAクラスI分子からの解離の予測半減期に基づいて計算した (Bioinformatics and Molecular Analysis Section, Computational Bioscience and Engineering Laboratory, Division of Computer Research & Technology, NIH)。
【0043】
これらのペプチドが,10名のHLA−A24陽性HCV2a感染患者のPBMCからCTLを誘導する能力を調べた。患者および健康なドナーからのPBMCを各ペプチドで2週間インビトロ刺激した後に,対応するペプチドに対する反応性について試験した。CTLの誘導が認められた11種類のペプチドおよびそのペプチド−MHC解離の半減期のBIMAS結合スコアを表1に,CTL誘導の結果を表2にそれぞれ示す。表2の値は,対応するペプチドで予めパルスしたC1R−A2402細胞に応答してエフェクターPBMCから産生されたIFN−γを示す。対照HIVペプチドで予めパルスしたC1R−A2402細胞に対するIFN−γ応答をバックグラウンドとして差し引いた。有意な値(両側スチューデントt検定によりP<0.05)を下線で示す。N.D.,測定せず。
【0044】
【表2】

【0045】
11種類すべてのペプチドは,少なくとも1名の患者からペプチド特異的CTLを誘導することができた。7種類のHCV2a由来ペプチド(HCV2a 576-584,HCV2a 627-635,HCV2a 649-658,HCV2a 889-897,HCV2a 1085-1094,HCV2a 1447-1456,およびHCV2a 2445-2453)は,患者の1/3以上からペプチド特異的CTLを誘導した。HCV2a 627-635ペプチドが最も効率よくペプチド特異的CTLを誘導し,このペプチドは10名のHLA−A24陽性患者のうち7名からペプチド特異的CTLを生成した。さらに,これらの11種類のペプチドは,健康なドナーのPBMCからもペプチド特異的CTLを誘導することができた。
【0046】
患者のPBMCから誘導されたHCV2aペプチド特異的CTLの細胞傷害活性
HVC2a感染患者のPBMCからのペプチド誘導性CTLの細胞傷害活性を調べた。対応するHCV2aペプチド,または陰性対照としてHIVペプチドでパルスしたC1R-A2402細胞に対する細胞傷害活性を,標準的な6時間51Cr−放出アッセイにより調べた。3つのペプチド(HCV2a 576-584,HCV2a 627-635,およびHCV2a 1085-1094)により誘導されたCTLは,ペプチド特異的細胞傷害活性を示した。患者1,2,4および8についての代表的な結果を図1に示す。値は,3回の測定の平均であり,統計学的分析はスチューデントt検定により行った(*P<0.05)。これらのペプチド特異的CTLは,対応するペプチドを負荷したC1R-A2402細胞に対して,対照HIVペプチドを負荷したC1R-A2402細胞に対するものと比較して有意に高いレベルの細胞傷害活性を示した。
【0047】
上述の結果は,3つのHCV2a由来ペプチド(HCV2a 576-584,HCV2a 627-635,およびHCV2a 1085-1094)が,対応するペプチドおよびHVC2aを発現する標的細胞に対して細胞傷害性を有するCTLを誘導しうることを示す。これらの3つのペプチドのうち,特にHCV2a 627-635ペプチドは試験した患者の半分以上からペプチド特異的CTLを誘導することができた。
【0048】
なお,上述のペプチドは,いくつかのHCV2a株から選択したものである。3つのペプチド(HCV2a 576-584,HCV2a 627-635,およびHCV2a 1085-1094)について,8種類のHCV2a株の配列の比較を表3に示す。これらの3つのペプチドのアミノ酸配列は,それぞれ,6,5,および7種類のHCV2a株で保存されていた。
【0049】
【表3】

【0050】
健康なドナーのPBMCから誘導されたペプチド特異的CTLの細胞傷害活性
HCV2aペプチドをパルスしたDCを用いてHLA−A24陽性の健康なドナーのPBMCからペプチド特異的CTLを誘導した。代表的な結果を図2−5に示す。
【0051】
健康なドナーのPBMCをインビトロでHCV2aペプチドを負荷したDCで刺激し,その細胞傷害活性を6時間51Cr−放出アッセイにより調べた。標的としては,対応するHCV2aペプチドまたは対照HIVペプチドでパルスしたC1R-A2402細胞を用いた。HCV2a 576-584,HCV2a 627-635,またはHCV2a 1085-1094ペプチドでパルスしたDCのインビトロ刺激により,健康なドナーのPBMCからペプチド特異的CTLを誘導することができた(図2)。示される値は3回の測定の平均であり,統計学的解析はスチューデントt検定により行った(*P<0.05)。
【0052】
HCV2aペプチドで刺激したPBMCのCD8+細胞を精製し,種々のmAbの存在下で,対応するHCV2aペプチドでパルスしたC1R-A2402細胞に対する細胞傷害活性について調べた。精製したCD8+T細胞は,ペプチド特異的細胞傷害活性を示し,細胞傷害活性は抗HLAクラスI抗体を加えることによりブロックされたが,抗HLAクラスII抗体ではブロックされなかった(図3)。これらの結果は,ペプチド特異的CD8+T細胞がHLAクラスI拘束性の様式で細胞傷害活性を示すことを表す。
【0053】
さらに,HCV2aRNAで安定にトランスフェクトされたC1R-A2402細胞を樹立して,HCV2aペプチド特異的CTLがHCV2aを発現するC1R-A2402細胞を殺すことができるか否かを調べた。健康なドナーからのHCV2a 1085-1094ペプチド特異的CTLが,HCV2aでトランスフェクションしたC1R-A2402細胞に及ぼす細胞傷害活性を6時間51Cr−放出アッセイにより測定した。51Cr−放出アッセイの結果から,3名の健康なドナーから得たHCV2a 1085-1094ペプチド特異的CTLがHCV2aでトランスフェクトしたC1R-A2402細胞を有意に傷害したことが明らかとなった(図4)。
【0054】
HCV2a 1085-1094ペプチドで誘導したCTLの精製CD8+細胞を,種々のmAbの存在下で,HCV2aでトランスフェクトしたC1R-A2402細胞に対する細胞傷害活性について測定した。抗HLAクラスI抗体を加えると細胞傷害活性はブロックされたが,抗HLAクラスII抗体ではブロックされなかった(図5)。したがって,HCV2a 1085-1094ペプチドについても,ペプチド特異的CD8+T細胞がHLAクラスI拘束性の様式で細胞傷害活性を示すことが確認された。
【0055】
HCV2aでトランスフェクションしたC1R-A2402細胞およびその親細胞において,HCV2a mRNAが発現していることを確認するために,RT−PCRを行った。5μgの総RNAからcDNAを合成し,PCR増幅のテンプレートとして用いた。HCV2aに特異的な1組のオリゴヌクレオチドプライマー(フォワードプライマー,ヌクレオチド位置5050-5069:5'-ACACATAGACGCCCACTTCC-3'(配列番号18)およびリバースプライマー,ヌクレオチド位置5214-5233:5'-ACGGTACAGGAGAGGTGTGG-3'(配列番号19))をPCR増幅において用いた。PCRは,TaqDNAポリメラーゼ(Promega, WI, USA)を用いて30サイクル(1分,95℃,1分60℃,および1分,72℃)実施した。対照としてβアクチンを用いた。PCR生成物は2%アガロースゲルで分析した。その結果,RT−PCR分析により,安定にトランスフェクトされたC1R-A2402細胞におけるHCV2aサブゲノムRNAの存在が確認された(図6)。
【0056】
HCV2a感染患者中のHCV2aペプチドに反応性のIgG
次に,20名のHCV2a感染患者および15名の健康なドナーの血漿において,11種類のペプチドに反応性のIgGのレベルを測定した。これらの被験者には,HLA−A24陽性および−A24陰性の両方が含まれていた。
【0057】
図7Aは,HCV2a感染患者および健康なドナーの1:100希釈血漿中の抗HCV2a 627-635 IgGレベルを示す。患者の抗HCV2a 627-635 IgG(242.5±95.0FIU)は,健康なドナー(64.0±52.0FIU)より有意に高かった(p<0.0001)。他の10種類のペプチドに対するIgGのレベルについては,患者と健康なドナーとの間で有意な相違はなかった。(FIU:Fluorescence Intensity Unit,螢光強度単位)
【0058】
HCV2a 627-635ペプチドに対するIgGの特異性を確認するために,96ウエルプレートで患者の1:100希釈血漿サンプルを免疫ペプチド(20μg/ウエル)で37℃で2時間吸収させた。吸収工程を3回繰り返し,上清中のHCV2a 627-635ペプチドに反応性のIgGのレベルをLuminex(登録商標)システムにより測定した。陰性対照としては,HIV由来ペプチドおよび無関係なHCV2a 2850-2858ペプチドを用いた。結果を図7Bに示す。値は3回のアッセイの平均である。*は統計学的に有意(p<0.05)を示す。サンプルをHVC2aペプチドで被覆したプレートで培養すると抗HCV2a 627-635 IgGは吸収されたが,無関係なHIVペプチドまたはHCV2a 2850-2858ペプチドで被覆したプレートでは吸収されなかった。このことは,HCV2a感染患者の血清中にHCV2a 627-635ペプチド特異的IgGが存在することを立証する。
【0059】
HLA−A24陽性の健康なドナーのPBMCからペプチドパルスDCを用いて誘導されたHCV2aペプチド特異的CTLは,HLAクラスI拘束性にペプチド特異的細胞傷害活性を示した。さらに重要なことには,健康なドナーのPBMCから誘導されたHCV2a 1085-1094ペプチド特異的CTLは,HCV2aでトランスフェクトしたC1R-A2402細胞に対して細胞傷害活性を示した。この結果は,HCV2a 1085-1094ペプチドが自然にプロセシングされ,HCV2a感染細胞上に提示されたことを示唆する。これらの結果を合わせると,本発明のHCV2aペプチドは免疫原性を有しており,したがって,HLA−A24陽性のHCV2a感染患者の特異的免疫療法に有用であることが示唆される。
【0060】
これまでに,腫瘍反応性CTLを誘導する能力があるとして同定されたいくつかのHLAクラスI−結合性腫瘍抗原由来ペプチドがIgGによっても認識されること(Ohkouchi S, et al. Tissue Antigens.2002; 59: 259-272; Kawamoto N, et al., Tissue Antigens. 2003; 61:352-361),臨床試験においてペプチドワクチンはしばしばそのペプチドに反応性のIgGを誘導することが知られている(Noguchi M, et al., Prostate.2003; 57:80-92; Tanaka S, et al., J Immunother. 2003; 26:357-366)。さらに重要なことには,ワクチンペプチドに反応性のIgGの誘導は,進行した癌患者の生存期間延長と正に相関していた(Mine T, et al., Cancer Science 2003; 94:548-556; Sato Y, et al., Cancer Science. 2002; 94: 802-808)。したがって,本発明のペプチドは,HCV2a感染に対するペプチドワクチンとして有用であると期待される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のペプチドはHCV関連疾患の治療,およびHCV関連疾患の診断または進行予測に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は,HCV2a感染患者のPBMCからのHCV2aペプチド特異的CTLの細胞傷害活性を示す。
【図2】図2は,健康なドナーのPBMCからのHCV2aペプチド特異的CTLの細胞傷害活性を示す。
【図3】図3は,健康なドナーのPBMCからのHCV2aペプチド特異的CTLの細胞傷害活性を示す。
【図4】図4は,健康なドナーのPBMCからのHCV2aペプチド特異的CTLの細胞傷害活性を示す。
【図5】図5は,健康なドナーのPBMCからのHCV2aペプチド特異的CTLの細胞傷害活性を示す。
【図6】図6は,安定にトランスフェクトされたC1RA2402細胞におけるHCV2amRNAの発現を示す。
【図7】図7は,HCV2a感染患者および健康なドナーにおけるHCV2a 627-635ペプチドに反応性のIgGを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C型肝炎ウイルスに対する抗体により認識されるペプチドであって,以下の配列:
E1 335-344: AYAMRVPEVI(配列番号1)
E2 576-584: DFNASTDLL(配列番号2)
E2 627-635: NYTIFKIRM(配列番号3)
E2 649-658: NFTRGDRCNL(配列番号4)
NS2 889-897: VFDITKWLL(配列番号5)
NS2 936-945: KYVQMALLAL(配列番号6)
NS3 1085-1094: VYHGAGNKTL(配列番号7)
NS3 1104-1112: MYSSAEGDL(配列番号8)
NS3 1447-1456: GYTGDFDSVI(配列番号9)
NS3 1560-1569: EFWEAVFTGL(配列番号10)
NS5 2445-2453: SYSWTGALI(配列番号11)
E2 576-584: DFN(A/T)S(T/M)DLL(配列番号12)
E2 627-635: N(Y/F)(T/S)(I/T/V)FK(I/V)RM(配列番号13)
NS3 1085-1094: VYHGAG(N/T)(K/R)T(L/I)(配列番号14)
のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチド。
【請求項2】
配列番号12−14のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する,請求項1記載のペプチド。
【請求項3】
配列番号2,3または7で表されるアミノ酸配列を有する,請求項2記載のペプチド。
【請求項4】
HLA−A24拘束性細胞傷害性T細胞を誘導しうる,請求項1−3のいずれかに記載のペプチド。
【請求項5】
請求項1−4のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含有する,C型肝炎ウイルス関連疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項6】
請求項1−4のいずれかに記載のペプチドを含有する,C型肝炎ウイルス関連疾患を診断するかまたはC型肝炎ウイルス関連疾患の進行を予測するための組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−51733(P2009−51733A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359511(P2005−359511)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者 日本癌学会「第64回 日本癌学会学術総会記事 95頁 PA1−0123」 2005年8月15日発行
【出願人】(599045903)学校法人 久留米大学 (72)
【Fターム(参考)】