説明

C1−C4亜硝酸アルキルの生成方法

【課題】新規のC-C亜硝酸アルキル生成方法の提供。
【解決手段】次のステップによりC-C亜硝酸アルキルを生成する。a)反応器Iへ酸化窒素および酸素を仕込み、アルミノケイ酸塩触媒に接触させて反応させ、NOおよび未反応のNOを含む流出物Iを生成する、b)反応器IIへ上記流出物IおよびC-Cアルカノールを仕込み、反応させ、C-C亜硝酸アルキルを含む流出物IIを生成する、c)上記C-C亜硝酸アルキルを含む流出物IIを分離し、C-C亜硝酸アルキルを得る、を含んでおり、反応器Iは、固定層式反応器であり、反応器IIは、回転式高重力反応器であり、ステップa)における上記酸化窒素は、NO、または、NOとNおよびNOのうち1つ以上とを含む混合ガスであってNOのモル数がNOのモル数よりも大きい混合ガスであり、酸化窒素中のNOと酸素とのモル比は、4:1〜25:1である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、C-C亜硝酸アルキルの生成方法に関する。特に、回転式高重力反応器内の反応によるC-C亜硝酸アルキルの生成方法に関し、C-C亜硝酸アルキルは、COカップリングによるシュウ酸塩生成に有用である。
【0002】
〔背景技術〕
シュウ酸塩は、重要な有機化学物質であり、さまざまな染料、医薬品、重要な溶剤、抽出剤および中間体を製造するために精製化学で広く利用されている。21世紀において、シュウ酸塩は、生分解性の環境保護型エンジニアリングプラスチック樹脂の単量体として国際的に広く認識されている。さらに、常圧でのシュウ酸塩の加水分解によりシュウ酸が生成され得、常圧でのシュウ酸塩のアミノ分解により、高級な持続性肥料であるキサアミドが生成され得る。シュウ酸塩は、医薬品、染料中間体等のための溶剤として利用されている。例えば、脂肪酸エステル、シクロヘキシルアセトフェノン、アミノアルコールおよび複素環化合物と共にシュウ酸塩を使うことで様々な縮合反応が行われる。シュウ酸塩は、医薬品中のホルモンとしてのチミンを合成するのに利用され得る。シュウ酸塩の低圧加水分解は、非常に重要な化学原料であるエチレングリコールを製造するのに用いられ得る。現在、エチレングリコールは、石油法を介した生成にかなり依存し、コストが高い。中華人民共和国は、毎年、多くのエチレングリコールを輸入している。その輸入量は、2007年で4,800,000トンに迫っている。
【0003】
シュウ酸塩生成の従来の方法は、アルコールとシュウ酸とのエステル化による調製を含み、生成方法のコストが高く、エネルギー消費が高く、汚染が深刻であり、かつ原料利用が不合理である。人々は、低コストで、環境にやさしい方法手順を探している。1960年代において、アメリカ合衆国の総合石油会社のD.F.Fentonは、シュウ酸ジアルキルが、酸化−カルボニル化によって、CO、アルコールおよび酸素から直接合成されることを見出した。その後、日本国の宇部興産(株)およびアメリカ合衆国のARCOが、引き続き、この分野において、研究開発を行った。
【0004】
開発の推移から見ると、CO酸化カップリング法による、シュウ酸塩の合成法は、液相法および気相法に分類され得る。CO液相法によるシュウ酸塩の合成はより厳しい条件を必要とする(この反応は高圧を導く。この装置は、前記液相系によって容易に腐食される。触媒は反応中に簡単に失活する。)。COカップリングによりシュウ酸塩を生成する気相法は利点がある。日本国の宇部興産(株)、イタリアのMontedison S.P.A.が、1978年に、引き続きこの気相法の研究開発を行った。この研究開発で、宇部興産(株)により開発された気体触媒によるシュウ酸塩の合成方法は、0.5MPaの圧力および80〜150℃の温度で管理される。
【0005】
シュウ酸の合成の反応手順は次の通りである。
【0006】
カップリング反応:2CO+2RONO→2NO+(COOR) (1)
再生反応:2ROH+0.5O+2NO → 2RONO+HO (2)
上記手順によれば、この系の技術的鍵は、高い選択性および高い効率性で上記二段階反応手順におけるNO,RONO、ROHを合理的に活用する点であることがわかる。
【0007】
しかしながら、実際には、初期の生成物である亜硝酸アルキルを除き、段階(2)の反応手順において、副反応(特に副生成物である硝酸の生成)がたびたび起こり、段階(2)の反応手順は、NOガスをより多く消費する必要があり、エネルギー消費およびコストを増加させ、同時に装置を腐食させる。亜硝酸アルキルの製造法に関する多くの文献があるが、効果的に亜硝酸アルキルの選択性を増加させる方法については報告がほとんどない。そして、より良い手段での亜硝酸の副反応が起こるのを防ぐ方法についても報告がほとんどない。
【0008】
CN200710060003.4は、COカップリングによるシュウ酸ジエチルの調製方法を開示している。その方法は、気相法を利用し、シュウ酸エチル存在下でバイメタル補助型触媒によって触媒することによりCOカップリングし、シュウ酸ジエチルの粗生成物を生成することを含む。前記反応はセルフシール循環プロセスである。COガスは再生反応器から亜硝酸エチルと混合され、予め加熱され、カップリング反応器に仕込まれる。反応後、前記ガスは凝縮され分離され、シュウ酸ジエチルの無色透明凝集物を得る。NOを含む未凝縮ガスは、再度、再生反応器へ仕込まれ、エタノールおよび酸素と反応し、亜硝酸エチルを生成する。結果として生じる亜硝酸エチルは、連続利用のためにカップリング反応器へリサイクルされる。亜硝酸エチルの選択性は、この発明では触れられていない。
【0009】
CN95116136.9は、シュウ酸塩を合成するための触媒を開示している。そこでは、Zrが、液浸法による新しいPd−Zr/Al触媒を開発するための補助剤として使われている。そのような触媒は、固定層反応装置での気相触媒経由でCOと亜硝酸からシュウ酸を構成するために使われている。同様に、この特許文献でも、亜硝酸の選択性と、硝酸の副反応に対する抑制には触れていない。
【0010】
高重力技術は、混相流伝達および反応プロセスを強化する新しい技術であり、前世紀に世に出てから国内外で広く認識されている。環境保護および材料生物化学の産業分野において広く商業的適用の見込みがある。しかしながら、現在、高重力技術は、適用の開発段階にある。さらに、C-C亜硝酸アルキル生成での回転式高重力反応器の適用についての研究は報告されていない。
【0011】
〔発明の内容〕
本発明により解決される技術課題は、先行文献のC-C亜硝酸アルキルの選択性が低いことであり、C-C亜硝酸アルキルの選択性が高いという利点がある、新規のC-C亜硝酸アルキルの生成方法を提供することである。
【0012】
上記技術課題を解決するために、本発明で用いられる技術解決手段は、次の通りである。C-C亜硝酸アルキルの生成方法であって、以下のステップ、
a)反応器Iへ酸化窒素および酸素を仕込み、アルミノケイ酸塩触媒に接触させて反応させ、NOおよび未反応のNOを含む流出物Iを生成する、
b)反応器IIへ上記流出物IおよびC-Cアルカノールを仕込み、反応させ、C-C亜硝酸アルキルを含む流出物IIを生成する、
c)上記C-C亜硝酸アルキルを含む流出物IIを分離し、C-C亜硝酸アルキルを得る、
を含み、
反応器Iは、固定層式反応器であり、反応器IIは、回転式高重力反応器であり、
ステップa)における上記酸化窒素は、NO、または、NOとNおよびNOのうち1つ以上とを含む混合ガスであってNOのモル数がNOのモル数よりも大きい混合ガスであり、
酸化窒素中のNOと酸素とのモル比は、4:1〜25:1である。
【0013】
上記技術解決手段において、アルミノケイ酸塩触媒は、好ましくは、ZSM−5、β−モレキュラーシーブ、Y−モレキュラーシーブおよびMCM−22からなる群から少なくとも一つ選ばれ、より好ましくはZSM−5である。前記アルミノケイ酸塩触媒は、Si/Alのモル比が10:1〜800:1であり、好ましくは、20:1〜500:1である。
【0014】
上記技術解決手段における反応器Iの反応条件は、好ましくは、反応温度が40〜180℃であり、反応圧が〜0.05〜1.0MPaであり、反応接触時間が0.05〜100秒であり、酸化窒素のNOと酸素とのモル比が4:1〜20:1である。反応器Iのより好ましい反応条件は、反応温度が80〜170℃、より好ましくは121〜170℃、さらに好ましくは125〜160℃、最も好ましくは150〜158℃であり、反応圧が0.01〜0.8MPaであり、反応接触時間が2〜50秒であり、酸化窒素のNOと酸素とのモル比がより好ましくは4:1〜15:1である。
【0015】
上述の技術解決手段において、上記技術解決手段の反応器IIの反応条件は、反応温度が10〜100℃であり、反応圧が〜0.05〜1.0MPaであり、C-C亜硝酸アルキルと流出物IのNOとのモル比が1:1〜15:1である。反応器IIのより好ましい反応条件は、反応温度が20〜70℃であり、反応圧が0.01〜0.8MPaであり、C-C亜硝酸アルキルと流出物IのNOとのモル比が1:1〜10:1である。C-Cアルカノールは、好ましくは、メタノール、エタノール、n-プロパノールを構成する群から選ばれ、より好ましくは、メタノールである。上記回転式高重力反応器のローターは、回転速度が、好ましくは100〜5000rpmであり、より好ましくは300〜3000rpmである。
【0016】
一つの好ましい実施形態では、上記回転式高重力反応器のローターの上に、多孔性充填層が固定されており、上記多孔性充填層は、好ましくは不活性充填繊維、多孔質繊維、ステントまたは多孔板を含む。
【0017】
一つの好ましい実施形態では、上記回転式高重力反応器のローターの上に、樹脂触媒層が固定されており、前記樹脂触媒層は、好ましくは酸イオン交換樹脂触媒である。
【0018】
一つの好ましい実施形態では、流出物IにおけるNO:NOのモル比が1より大きい。
【0019】
地球上のすべての物質は、重力により地球に引き付けられていることがよく知られている。高重力場は、地球の重力場よりもかなり大きい強度を有する環境である。前記高重力場で物質が受ける力は、高重力と言われている。高重力の自然科学原理を利用することによって生まれる実用的技術は高重力技術と言われている。
【0020】
高重力技術は、混相流伝達および反応プロセスを強化する新しい技術である。そして、前世紀に世に出てから、環境保護および材料生物化学の産業分野で広く商業的適用の見込みがある。しかしながら、高重力技術は現在、適用の開発段階にあり、高重力気固流動技術および高重力気液物質移動技術で具体化されている。
【0021】
地球上の重力場の何百倍、何千倍の高重力環境において、液体は、大きなせん断力により、マイクロメータースケール、ナノメータースケールで液体膜、液体フィラメントおよび液滴に引き裂かれ、巨大であり、かつ瞬時に更新する相界面が形成される。そして、この相界面により気液接触比表面積が非常に増加し、相間物質移動比率が従来カラム装置よりも1〜3桁違いで大きくなり、微視的な混合および物質移動のプロセスが非常に強化する。このように、単位装置体積あたりの製造効率は、1〜2桁違いで増加する。
【0022】
高重力場生成装置として、回転式高重力反応器は、通常、気体および液体の導入管、ローター、並びに気体および液体の排出管で構成されている。その動作原理は、気体の導入管を介して気相がローターの外部空洞部へ接線方向に導入され、そしてガス作用下でローターの外縁から充填物に仕込まれるという原理である。液体は、液体導入管を介してローターの内部空洞部に仕込まれ、噴霧器を介して上記ローターの内縁に噴霧される。上記ローターにおける充填物の作用下において、上記ローターに仕込まれる液体は、円周速度が増加し、結果として生じる遠心力によりローター外縁に押される。このプロセスの間、液体は充填物によって分散され細分化し(breaks into peaces)、非常に大きく、かつ断続的に更新する表面を形成する。この表面では、蛇行性流路により、液表面の更新が悪化する。このようにして、ローター内部で、非常に良好な物質移動および反応条件が形成される。液体は、ローターによってシェルへ噴出され、集められ、液体排出を介して高重力機から除去される。物質移動および反応プロセスを終了させるために、気体は、ローターの中心からローターを離れ、気体排出管を介して放出される。
【0023】
研究では、亜硝酸アルキルを生成するために酸素およびアルコールとともに酸化窒素を酸化アルキル化する間、反応速度、反応圧、滞留時間、酸化窒素、酸素およびアルコールの混合形式等を含む、様々な反応条件が全て亜硝酸の選択性に顕著に影響することが示されている。硝酸形成の副反応の発生は、原料の酸化窒素からNを形成する反応に密接に関係しており、技術的鍵は、Nの形成を回避することである。驚いたことに、低温(特に50℃未満)での酸化窒素と酸素との反応からの生成物におけるN含有量は10%より高い程度であるが、100℃よりも高い温度では0.5%未満であることが見出された。たいていの場合、アルコールと酸化窒素とのアルキル化反応の最適温度は、30〜60℃の範囲である。それゆえ、酸素、酸化窒素(主としてNO)およびアルコールが30〜60℃の温度で反応する場合、Nを生成する反応の可能性が高くなり、硝酸の副反応が発生する可能性が高くなり亜硝酸の選択性が減少する。反応温度が高い場合、酸素やアルコールなどの成分がさらに酸化され、亜硝酸アルキルの選択性を減少させる、アルデヒド形成等といった副反応が発生する結果となる。上記検討に基づいて、本発明は、高温での酸素と酸化窒素との触媒反応を行い、NO/NOのモル比が1以上でありかつ極めてNの含有量が低い(例えば2%未満、好ましくは1%未満)酸化窒素混合物を生成し、そのような混合物およびアルコールをアルキル化反応器(反応器II)内へ仕込むことを開示する。研究では、亜硝酸アルキルを生成する酸素およびアルコールと酸化窒素との酸化アルキル化反応は瞬時の反応である一方、硝酸形成などの副反応はより遅いことも見出されている。NO酸化アルキル化反応の反応率は、主として、気液物質移動抵抗によって影響される。もし、気液物質移動効率が効率的に改善された場合、Nを生成する可能性は、さらに、効果的に減少し得、硝酸形成等の副反応が発生するのを回避する。酸素およびアルコールと酸化窒素との酸化アルキル化反応の特徴に関する十分な研究に基づいて、本発明の技術解決手段は、さらに、回転式高重力反応器により気液物質移動効率が幾何学的桁違いで増加し、主反応がより効率的に促進し徹底的に副反応の発生が抑制されるという利点を十分に活用して、酸化アルキル化反応器として回転式高重力反応器を用い、NOといった原料の活用効率を増加させ、亜硝酸の選択性をさらに増加させることを提案している。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、まず酸化窒素および酸素を反応器Iへ仕込み、アルミノケイ酸塩触媒を接触させて反応し、NOおよび未反応NOを含む流出物Iを生成し、流出物IおよびC-Cアルカノールを反応器IIへ仕込み、反応させ、C-C亜硝酸アルキルを含む流出物IIを生成し、次に、C-C亜硝酸アルキルを含む流出物IIを分離し、C-C亜硝酸アルキルを得る。反応器Iは固定層式反応器であり、反応器IIは回転式高重力反応器である。回転式高重力反応器のローターの上には多孔性充填層が固定されている。前記酸化窒素は、NO、または、NOとNおよびNOのうち1つ以上とを含む混合ガスであってNOのモル数がNOのモル数よりも大きい混合ガスである。上記酸化窒素中のNOと酸素とのモル比は4:1〜15:1である。反応器Iは、反応温度が121〜170℃であり、反応圧が0.01〜0.8MPaであり、反応接触時間が2〜50秒である。反応器IIは、反応温度が20〜70℃であり、反応圧が0.01〜0.8MPaである。回転式高重力反応器におけるローターの回転速度は300〜3000rpmの範囲である。C-Cアルカノールと流出物I中のNOとのモル比は1:1〜10:1である。そして、結果的なC-C亜硝酸アルキルの選択性は99%よりも大きくなり得る。
【0025】
他に定義されない限り、本文中に使われている、すべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通に理解される意味と同じである。本文中に記載されている方法および物質と同様または同等な方法および物質は、本発明の実施や試験の際に使われている。適した方法および物質は以下に記載されている。矛盾した場合、定義を含む特許明細書が抑えるだろう。加えて、物質、方法および実施例は、単なる具体例であって、これに限定される意図ではない。
【0026】
本文中に使われているように、“含む(comprising)”という用語は、最終結果に影響しない他の段階および成分が、加えられ得ることを意味している。この用語は、“構成すること(consisting of)”、および“必須に構成すること(consisting essentially of)”の意味を含んでいる。
【0027】
この開示全体にわたって、本発明の様々な態様は、ある範囲形式内で存在している。範囲形式内の記載は、単に便利さおよび簡潔さのためであると理解すべきであり、発明範囲の確固たる限定として解釈されるべきでない。よって、範囲の記載は、その範囲内の特定の数値と同様に、可能な全ての部分範囲が具体的に開示されていることを考慮されるべきである。例えば、1から6まで(1〜6)といった範囲の記載は、例えば1、2、3、4、5および6といった範囲内の個々の数値と同様に、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6等といった部分範囲を具体的に開示していることを考慮すべきである。これは、範囲の幅にかかわらず適用する。
【0028】
操作(作業)例および比較例、または他に明示的に示した箇所を除いて、物質量または反応条件、物質の物理的特性、および/または使用を示す、この記載中の全ての数字は、“およそ”という言語に修正されるものとして理解される。数値範囲が本文中に示されているときはいつでも、示された範囲内の任意の引用数(分数または整数)を含んでいることを意味している。第1の示された数字と第2の示された数字との“間”、および第1の示された数字“から”第2の示された数字“まで”の範囲は、本文中で交換可能に用いられ、第1および第2の示された数字、並びにその間の全ての整数および分数を意味する。
【0029】
文脈ではっきりと異なった意味を明示していない限り、“a”、“an”および“the”の単数形は複数形の意味も含む。
【0030】
本発明は、次の実施例により、さらに詳細に述べられているが、次の実施例によって限定されない。
【0031】
〔実施形態〕
〔実施例1〕
まず、酸化窒素および酸素が反応器Iに仕込まれる(反応器IはFBR10−100型である。反応器Iは上海石油化工研究院(Shanghai Research Institute of Petrochemical Technology)によって製造されたものである)。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が400:1であるZSM−5モレキュラーシーブ触媒と接触して、反応し、NOおよび未反応NOを含む流出物Iを生成する。上記流出物Iおよびメタノールが、反応器IIに仕込まれ、反応し、亜硝酸メチルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸メチルを得るために、亜硝酸メチルを含む流出物IIは分離される。反応器IIは、回転式高重力反応器であり、特許公報CN1895766の実施例1の回転式高重力反応器(その反応器では、ローターの上に、固定されたステントおよび多孔質繊維がある、同書参照)と同じである。酸化窒素は、NOであり、NOと酸素とのモル比は6:1である。反応器Iは、反応温度が80℃であり、反応圧が0.01MPaであり、反応接触時間が2秒である。反応器IIは、反応温度が30℃であり、反応圧が0.01MPaであり、流出物I中のメタノール/NOのモル比が3:1である。回転式高重力反応器IIのローター速度は1000rpmである。亜硝酸メチルの選択性が99.53%であるという結果が示された。
【0032】
〔実施例2〕
まず、酸化窒素および酸素が反応器Iに仕込まれる。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が200:1であるZSM−5モレキュラーシーブ触媒と接触して、反応し、NOおよび未反応NOを含む流出物Iを生成する。流出物Iおよびメタノールが反応器IIに仕込まれ、反応し、亜硝酸メチルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸メチルを得るために、亜硝酸メチルを含む流出物IIは分離される。反応器IIは回転式高重力反応器である。酸化窒素はNOであり、NOと酸素とのモル比は4:1である。反応器Iは、反応温度が121℃であり、反応圧が〜0.05MPaであり、反応接触時間が60秒である。反応器IIは、反応温度が80℃であり、反応圧が〜0.05MPaであり、流出物I中のメタノール/NOのモル比が9:1である。回転式高重力反応器IIのローター速度は800rpmである。亜硝酸メチルの選択性が99.81%であるという結果が示された。
【0033】
〔実施例3〕
まず、酸化窒素および酸素が反応器Iに仕込まれる。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が50:1であるZSM−5モレキュラーシーブ触媒と接触して、反応し、NOおよび未反応NOを含む流出物Iを生成する。流出物Iおよびメタノールは、反応器IIに仕込まれ、反応し、亜硝酸メチルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸メチルを得るために、亜硝酸メチルを含む流出物IIは分離される。反応器IIは回転式高重力反応器である。酸化窒素はNOであり、NOと酸素とのモル比は5:1である。反応器Iは、反応温度が160℃であり、反応圧が0.5MPaであり、反応接触時間が10秒である。反応器IIは、反応温度が40℃であり、反応圧が0.5MPaであり、流出物I中のメタノール/NOのモル比が3.5:1である。回転式高重力反応器IIのローター速度は2000rpmである。亜硝酸メチルの選択性が99.38%であるという結果が示された。
【0034】
〔実施例4〕
まず、酸化窒素および酸素が反応器Iに仕込まれる。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が80:1であるβ−モレキュラーシーブ触媒と接触して、反応し、NOおよび未反応NOを含む流出物Iを生成する。流出物Iおよびメタノールが反応器IIに仕込まれる。そして、流出物Iおよびメタノールは、反応し、亜硝酸メチルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸メチルを得るために、亜硝酸メチルを含む流出物IIは分離される。反応器IIは回転式高重力反応器である。酸化窒素はNOおよびNOの混合物であり、NOとNOとのモル比は4:1であり、NOと酸素とのモル比は20:1である。反応器Iは、反応温度が130℃であり、反応圧が0.7MPaであり、反応接触時間が3秒である。反応器IIは、反応時間が50℃であり、反応圧が0.7MPaであり、流出物I中のメタノール/NOのモル比が4:1のである。回転式高重力反応器IIのローター速度は3000rpmである。亜硝酸メチルの選択性が99.28%であるという結果が示された。
【0035】
〔実施例5〕
まず、酸化窒素および酸素が反応器Iに仕込まれる。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が100:1であるβ−モレキュラーシーブ触媒と接触し、反応し、NOおよび未反応NOを含む流出物Iを生成する。流出物Iおよびエタノールは、反応器IIに仕込まれ、反応し、亜硝酸エチルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸エチルを得るために、亜硝酸エチルを含む流出物IIは分離される。反応器IIは回転式高重力反応器である。酸化窒素は、NOおよびNOの混合物であり、NOとNOとのモル比は6:1であり、NOと酸素とのモル比は15:1である。反応器Iは、反応温度が110℃であり、反応圧が0.2MPaであり、反応接触時間が1秒である。反応器IIは、反応温度が45℃であり、反応圧が0.2MPaであり、流出物I中のエタノール/NOのモル比が5:1である。回転式高重力反応器IIのローター速度は4000rpmである。亜硝酸エチルの選択性が99.65%であるという結果が示された。
【0036】
〔実施例6〕
まず、酸化窒素および酸素が反応器Iに仕込まれる。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が30:1であるY−モレキュラーシーブ触媒と接触し、反応し、NOおよび未反応NOを含む流出物Iを生成する。流出物Iおよびプロパノールは反応器IIに仕込まれ、反応し、亜硝酸プロピルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸プロピルを得るために、亜硝酸プロピルを含む流出物IIは分離される。反応器IIは回転式高重力反応器である。酸化窒素はNOおよびNOの混合物であり、NOとNOとのモル比が3:1でり、NOと酸素とのモル比は5:1である。反応器Iは、反応温度が130℃であり、反応圧が0.3MPaであり、反応接触時間が5秒である。反応器IIは、反応温度が30℃であり、反応圧が0.3MPaであり、流出物I中のプロパノール/NOのモル比が15:1である。回転式高重力反応器IIのローター速度は4800rpmである。亜硝酸プロピルの選択性が99.86%であるという結果が示された。
【0037】
〔実施例7〕
まず、酸化窒素および酸素は反応器Iに仕込まれる。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が60:1であるMCM−22モレキュラーシーブ触媒と接触し、反応し、NOと未反応NOを含む流出物Iを生成する。流出物Iおよびメタノールは反応器IIに仕込まれ、反応し、亜硝酸メチルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸メチルを得るために、亜硝酸メチルを含む流出物IIは分離される。反応器IIは回転式高重力反応器である。酸化窒素は、NO、NOおよびNの混合気体である。その点で、NOとNOとNとのモル比は4:1:3であり、NOと酸素とのモル比は10:1である。反応器Iは、反応温度が125℃であり、反応圧が0.1MPaであり、反応接触時間が1.8秒である。反応器IIは、反応温度が40℃であり、反応圧が0.3MPaであり、流出物I中のメタノール/NOのモル比が12:1である。回転式高重力反応器IIのローター速度は1500rpmである。亜硝酸メチルの選択性が99.59%であるという結果が示された。
【0038】
〔実施例8〕
まず、酸化窒素および酸素が反応器Iに仕込まれる。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が200:1であるMCM−22モレキュラーシーブ触媒と接触して、反応し、NOと未反応NOを含む流出物Iを生成する。流出物Iおよびメタノールが反応器IIに仕込まれ、反応し、亜硝酸メチルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸メチルを得るために、亜硝酸メチルを含む流出物IIは分離される。反応器IIは回転式高重力反応器である。酸化窒素は、NOおよびNの混合気体であり、NOとNとのモル比は2:1であり、NOと酸素とのモル比は15:1である。反応器Iは、反応温度が160℃であり、反応圧が0.6MPaであり、反応接触時間が0.5秒である。反応器IIは、反応温度が38℃であり、反応圧が0.3MPaであり、流出物I中のメタノール/NOのモル比が3.5:1である。回転式高重力反応器IIのローター速度は2500rpmである。亜硝酸メチルの選択性が99.53%であるという結果が示された。
【0039】
〔実施例9〕
まず、酸化窒素および酸素が反応器Iに仕込まれる。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が10:1であるSAPO−34モレキュラーシーブ触媒と接触し、反応し、NOおよび未反応NOを含む流出物Iを生成する。流出物Iおよびメタノールが反応器IIに仕込まれ、反応し、亜硝酸メチルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸メチルを得るために、亜硝酸メチルを含む流出物IIが分離される。反応器IIは回転式高重力反応器である。酸化窒素はNOであり、NOと酸素とのモル比は4.5:1である。反応器Iは、反応温度が90℃であり、反応圧が0.1MPaであり、反応接触時間が3秒である。反応器IIは、反応時間が42℃であり、反応圧が0.3MPaであり、流出物I中のメタノール/NOのモル比が3:1である。回転式高重力反応器IIのローター速度は1800rpmである。亜硝酸メチルの選択性が99.89%であるという結果が示された。
【0040】
〔実施例10〕
まず、酸化窒素および酸素が反応器Iに仕込まれる。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が800:1であるZSM−5モレキュラーシーブ触媒と接触し、反応し、NOおよび未反応NOを含む流出物Iを生成する。流出物Iおよびエタノールが反応器IIに仕込まれ、反応し、亜硝酸エチルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸エチルを得るために、亜硝酸エチルを含む流出物IIは分離される。反応器IIは回転式高重力反応器である。酸化窒素はNOであり、NOと酸素とのモル比は5:1である。反応器Iは、反応温度が150℃であり、反応圧が〜0.05MPaであり、反応接触時間が3秒である。反応器IIは、反応温度が20℃であり、反応圧が〜0.05MPaであり、流出物I中のエタノール/NOのモル比が3.5:1である。回転式高重力反応器IIローター速度は3000rpmである。亜硝酸エチルの選択性が99.55%であるという結果が示された。
【0041】
〔実施例11〕
まず、酸化窒素および酸素が反応器Iに仕込まれる。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が600:1であるZSM−5モレキュラーシーブ触媒と接触し、反応し、NOおよび未反応NOを含む流出物Iを生成する。流出物Iおよびエタノールが反応器IIに仕込まれ、反応し、亜硝酸エチルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸エチルを得るために、亜硝酸エチルを含む流出物IIは分離される。反応器IIは回転式高重力反応器である。酸化窒素はNOであり、NOと酸素とのモル比は7:1である。反応器Iは、反応温度が140℃であり、反応圧が0.5MPaであり、反応接触時間が8秒である。反応器IIは、反応温度が15℃であり、反応圧が0.5MPaであり、流出物I中のエタノール/NOのモル比が8:1である。回転式高重力反応器IIのローター速度は600rpmである。亜硝酸エチルの選択性が99.38%であるという結果が示された。
【0042】
〔実施例12〕
まず、酸化窒素および酸素が反応器Iに仕込まれる。そして、酸化窒素および酸素は、Si/Alモル比が600:1であるZSM−5モレキュラーシーブ触媒と接触して、反応し、NOおよび未反応NOを含む流出物Iを生成する。流出物Iおよびメタノールが反応器IIに仕込まれ、反応し、亜硝酸メチルを含む流出物IIを生成する。次に、亜硝酸メチルを得るために、亜硝酸メチルを含む流出物IIが分離される。反応器IIは回転式高重力反応器であり、ローターの上に、D005シリーズの強酸カチオン交換樹脂(Dandong Mingzhu Special Resin Co., Ltd.)が固定されている。酸化窒素は、NOであり、NOと酸素とのモル比は6:1である。反応器Iは、反応温度が140℃であり、反応圧が0.5MPaであり、反応接触時間が8秒である。反応器IIは、反応温度が20℃であり、反応圧が0.3MPaであり、流出物I中のメタノール/NOのモル比が8:1である。回転式高重力反応器IIのローター速度は800rpmである。亜硝酸メチルの選択性が99.93%であるという結果が示された。
【0043】
〔比較例1〕
条件および反応物質は、反応器Iが無い(すなわち、全ての反応が反応器IIで行われた)ことを除き、実施例8と同一である。亜硝酸メチルの選択性が98.8%であるという結果が示された。
【0044】
〔比較例2〕
条件および反応物質は、反応器IIが固定層式反応器(FBR10−100型であり、上海石油化工研究院によって製造されている)であることを除き、実施例8と同一である。亜硝酸メチルの選択性が97.5%であるという結果が示された。
【0045】
上述した実施例および比較例の、技術的条件およびその結果を次の表1に一般化した。
【0046】
【表1】

【表2】

【表3】

【0047】
本発明は、特定の実施形態とその実施例および比較例との関連を示した。それと同時に、本発明は多くの代替手段、変更および変化が技術中で熟練した代替手段、変更および変化であることが、はっきりしていることが明白である。それゆえ本発明は精神に注ぎ、広範にわたる別記特許請求の範囲に注ぐ前記のような代替手段、変更および変化すべてを受け入れることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ、
a)反応器Iへ酸化窒素および酸素を仕込み、アルミノケイ酸塩触媒に接触させて反応させ、NOおよび未反応のNOを含む流出物Iを生成する、
b)反応器IIへ上記流出物IおよびC-Cアルカノールを仕込み、反応させ、C-C亜硝酸アルキルを含む流出物IIを生成する、
c)上記C-C亜硝酸アルキルを含む流出物IIを分離し、C-C亜硝酸アルキルを得る、
を含む、C-C亜硝酸アルキルの生成方法であって、
反応器Iは、固定層式反応器であり、反応器IIは、回転式高重力反応器であり、
ステップa)における上記酸化窒素は、NO、または、NOとNおよびNOのうち1つ以上とを含む混合ガスであってNOのモル数がNOのモル数よりも大きい混合ガスであり、
酸化窒素中のNOと酸素とのモル比は、4:1〜25:1である、C-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項2】
上記アルミノケイ酸塩触媒は、ZSM−5、β−モレキュラーシーブス、Y−モレキュラーシーブスおよびMCM−22からなる群から少なくとも一つ選ばれ、Si/Alのモル比が10:1〜800:1であることを特徴とする、請求項1記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項3】
上記アルミノケイ酸塩触媒は、ZSM−5であり、Si/Alのモル比が20:1〜500:1であることを特徴とする、請求項2記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項4】
上記回転式高重力反応器のローター上には、多孔性充填層が固定されていることを特徴とする、請求項1記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項5】
上記回転式高重力反応器のローター上には、樹脂触媒層が固定されていることを特徴とする、請求項1記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項6】
上記樹脂触媒は、酸イオン交換樹脂触媒であることを特徴とする、請求項1記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項7】
反応器Iは、反応温度が40〜180℃であり、反応圧が〜0.05〜1.0MPaであり、反応接触時間が0.05〜100秒であり、
酸化窒素中のNOと酸素とのモル比は、4:1〜20:1であることを特徴とする、請求項1記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項8】
反応器Iは、反応温度が121〜170℃であり、反応圧が0.01〜0.8MPaであり、反応接触時間が2〜50秒であり、
酸化窒素中のNOと酸素とのモル比は、4:1〜15:1であることを特徴とする、請求項7記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項9】
反応器IIは、反応温度が10〜100℃であり、反応圧が〜0.05〜1.0MPaであり、
-Cアルカノールと上記流出物IのNOとのモル比が1:1〜15:1であることを特徴とする、請求項1記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項10】
反応器IIは、反応温度が20〜70℃であり、反応圧が0.01〜0.8MPaであり、
-Cアルカノールと上記流出物IのNOとのモル比が1:1〜10:1であることを特徴とする、請求項9記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項11】
-Cアルカノールは、メタノール、エタノール、n-プロパノールからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項12】
上記回転式高重力反応器のローターは、回転速度が100〜5000rpmであることを特徴とする、請求項1記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項13】
上記回転式高重力反応器のローターは、回転速度が300〜3000rpmであることを特徴とする、請求項12記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項14】
上記流出物I中のNO:NOのモル比は、1よりも大きいことを特徴とする、請求項1記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。
【請求項15】
上記多孔質充填層は、不活性充填繊維、多孔質繊維、ステントまたは多孔板を含むことを特徴とする、請求項4記載のC-C亜硝酸アルキルの生成方法。

【公開番号】特開2011−236208(P2011−236208A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−90842(P2011−90842)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(503191287)中国石油化工股▲ふん▼有限公司 (35)
【出願人】(509128052)中国石油化工股▲ふん▼有限公司上海石油化工研究院 (4)
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI RESEARCH INSTITUTE OF PETROCHEMICAL TECHNOLOGY SINOPEC
【住所又は居所原語表記】NO.1658 PUDONG BEI ROAD,PUDONG NEW AREA,SHANGHAI 201208,CHINA
【Fターム(参考)】