説明

CO2ガス濃度値センサーの光源ユニット

【課題】 CO2ガス濃度値センサーにおいて、赤外線センサーと光源間の最適な距離、および光源に使用されるランプ特性が明確でなく、ガス濃度値センサーの特性がバラツキ、均一なガス濃度値センサーが生産できない。
また、CO2ガス濃度値センサーに使用される光源ユニットケースの、外乱赤外光への対策が不明で、ガス濃度値センサーの安定性が向上しない。
【解決手段】 赤外線センサー〜ランプ間距離を40〜50mmとし、信号強度の低下はあまり犠牲にせず、窒素ガスと二酸化炭素ガス5000PPMでの信号強度の比を大きくする。
また、光源として使用するランプの定格電流に対するランプ電流の低減比を0.6前後として、信号強度の低下はあまり犠牲にせず、窒素ガスと二酸化炭素ガス5000PPMでの信号強度の比を大きくする。
さらに、光源ユニットケースをアルミフォイルのシートで貼り付け・覆うことで、外乱赤外光によるCO2ガス濃度値センサーの変動を少なくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCO2ガス濃度値センサーの光源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のCO2ガス濃度値センサーの光源ユニットには、光源ユニットの筒の内面に光反射面を設けたものがある。
(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】 特開2000−214075
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
CO2ガス濃度値センサーに使用される赤外線センサーと光源の組み合わせ特性が明確でない。
【0004】
その内容は、赤外線センサーと光源間の最適な距離、および光源に使用されるランプ特性である。
【0005】
また、赤外線センサーへの外乱光の影響でCO2ガス濃度値センサーの安定性が良くない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
CO2ガス濃度値センサーの赤外線センサーで検出される信号は、CO2を吸収する赤外線成分と可視光成分の合成されたものである。
【0007】
赤外線センサーで検出される信号強度を大きくすることと、CO2ガス濃度値センサーのCO2に対する感度を高めることは相反することである。
【0008】
ここで述べるCO2に対する感度とは、ある高い濃度のCO2による信号強度とゼロ濃度のCO2による信号強度の差である。
【0009】
従って、赤外線センサーで検出される信号強度とCO2に対する感度に与える、赤外線センサーとランプ間の距離の最適条件を明確にすることが必要である。
【0010】
また、赤外線センサーで検出される信号強度とCO2に対する感度に与える、光源に使用されるランプの最適使用条件を明確にすることも必要である。
【0011】
さらに、赤外線センサーへの外乱光の影響を明確にし、その対策方法を明確にすることが必要である。
【発明の効果】
【0012】
赤外線センサーとランプ間の距離の最適条件を明確にすることで、ガス濃度値センサーの特性が向上し、均一なガス濃度値センサーが生産できる。
【0013】
また、光源に使用されるランプの最適使用条件を明確にすることで、ガス濃度値センサーの特性が向上し、均一なガス濃度値センサーが生産できる。
【0014】
さらに、赤外線センサーへの外乱光の影響とその対策を明確にすることで、ガス濃度値センサーの安定性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1の焦電素子と光源ユニットの外観図、図2の焦電素子とランプの組み合わせ特性を明確にする条件図、図3および図4の実験データに基づいて説明する。
【0016】
本発明での赤外線センサーは焦電素子を使用しプリント基板に実装する。光源であるランプは光源ユニットケース内部にあり、前期焦電素子からある距離をもって位置する。
【0017】
ランプと焦電素子の間は円筒形状になっていて、前記円筒内部に雰囲気ガスを取り入れるための穴が、光源ユニットケース側面に開いている。
【0018】
前記光源ユニットケースの前面には丸い穴が開いており、前記焦電素子に被せて前記プリント基板に固定される。
【0019】
ランプは1秒程度のパルス幅で点灯し、10秒程度の繰り返しで点滅して電源の消費電流を抑え、ランプの寿命をのばす。
【0020】
焦電素子とランプ間距離の最適条件を求めるために、図2において焦電素子〜ランプ間距離を変えて、焦電素子信号の増幅回路出力の信号強度と、焦電素子〜ランプ間に介在するガスを、窒素ガス(N2)と二酸化炭素ガス(CO2)5000PPMに置き換えた場合の前記信号強度の比を求めたものが図3である。
【0021】
なお、この実験に使用されたランプの定格電圧は6Vであり、ランプ電源電圧は4Vである。また、ランプに直列に接続する抵抗は47Ωの条件である。
【0022】
図3から、焦電素子〜ランプ間距離を小さくすると前記信号強度は大きくなるが、窒素ガスと二酸化炭素ガス5000PPMでの前記信号強度の比は小さくなることが分かる。
【0023】
これは、焦電素子〜ランプ間距離を短くすると、可視光領域の光度が極端に上がるが、二酸化炭素ガスにより吸収される赤外線領域の光度は、可視光領域の光度と同等に上がらないためと推測する。
【0024】
図3から、焦電素子〜ランプ間距離は40〜50mmの条件が、窒素ガスと二酸化炭素ガス5000PPMでの前記信号強度の比が大きく取れ、焦電素子信号の増幅回路出力の信号強度は極端に小さくならないことがわかる。これ以上の焦電素子〜ランプ間距離では、前記信号強度は小さくなり最適条件から外れてくる。
【0025】
なお、窒素ガスと二酸化炭素ガス5000PPMでの前記信号強度の比が大きいことは、CO2ガス濃度値センサーにとって重要なことである。
【0026】
次に、光源に使用されるランプの最適使用条件を明確にするために、ランプに直列に接続する抵抗を変えて、焦電素子信号の増幅回路出力の信号強度と、焦電素子〜ランプ間に介在するガスを、窒素ガス(N2)と二酸化炭素ガス(CO2)5000PPMに置き換えた場合の前記信号強度の比を求めたものが図4である。
【0027】
なお、この実験では焦電素子〜ランプ間距離は42mmとし、ランプ電源電圧は4Vの条件である。
【0028】
図4には、各直列抵抗でのランプの定格電流に対するランプ電流の低減比を併せて図示している。
【0029】
図4から、ランプを定格電圧に近い条件で駆動すると、前記信号強度は大きくなるが、窒素ガスと二酸化炭素ガス5000PPMでの前記信号強度の比は極端に小さくなることが分かる。
【0030】
これは、ランプを定格電圧に近い条件で駆動すると、可視光領域の光度が極端に上がるが、二酸化炭素ガスにより吸収される赤外線領域の光度は、可視光領域の光度と同等に上がらないためと推測する。
【0031】
図4から、ランプに直列に接続する抵抗が47〜57Ωの条件が、窒素ガスと二酸化炭素ガス5000PPMでの前記信号強度の比が大きく取れ、焦電素子信号の増幅回路出力の信号強度は極端に小さくならないことがわかる。これ以上高い抵抗では前記信号強度は小さくなり最適条件から外れてくる。
【0032】
ランプに直列に接続する抵抗が47〜57Ωの条件では、図4に示した定格電流に対するランプ電流の低減比は0.6前後となる。
【0033】
次に、外乱光に対しては可視光領域では光源ユニットケースがプラスチックで作られており問題ないが、二酸化炭素ガスを吸収する赤外光領域では問題となることがわかった。
【0034】
二酸化炭素ガスを吸収する赤外光領域を完全に遮蔽する金属で、前記光源ユニットケースを覆うと、焦電素子信号の増幅回路出力の信号強度が大きくなる。また、外乱赤外光による前記信号強度の変動が小さくなることがわかった。
【0035】
金属の代わりに、アルミフォイルのシートで、前記光源ユニットケースに貼り付け・覆うと同様な効果が認められた。
【0036】
このことから、前記光源ユニットケースはアルミフォイルのシートで貼り付け・覆うことで、外乱赤外光による前記信号強度の変動を少なくすることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】 焦電素子と光源ユニットの外観図
【図2】 焦電素子とランプの組み合わせ特性を明確にする条件図
【図3】 焦電素子〜ランプ間距離の条件を明確にする実験データ
【図4】 ランプ使用条件を明確にする実験データ
【符号の説明】
【0038】
1 焦電素子
2 ランプ
3 プリント基板
4 光源ユニットケース
5 空気取り入れ口
6 抵抗
7 FET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線方式ガス濃度値センサーにおいて、赤外線センサーとランプ間距離を40〜50mmにして、信号強度の低下はあまり犠牲にせず、窒素ガスと高濃度の二酸化炭素ガスに対する信号強度の比を大きくしたことを特徴とするCO2ガス濃度値センサーの光源ユニット。
【請求項2】
赤外線方式ガス濃度値センサーにおいて、光源として使用するランプの定格電流に対するランプ電流の低減比を0.6前後にして、信号強度の低下はあまり犠牲にせず、前記信号強度の比を大きくしたことを特徴とするCO2ガス濃度値センサーの光源ユニット。
【請求項3】
プラスチックで作成された光源ユニットケースの外側に、赤外光を遮断するアルミフォイルなどのシートを貼り付け・覆い、あるいは金属膜を塗布し、外乱赤外光による影響を少なくすることを特徴とするCO2ガス濃度値センサーの光源ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−133908(P2010−133908A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335871(P2008−335871)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(508206977)株式会社美山技研 (5)
【Fターム(参考)】