説明

CPU2重化制御システム

【課題】全局PIO異常時において、不要なシステム切り替えを実施せずにシステムを健全に動作させることができるCPU2重化制御システムを提供する。
【解決手段】第1システム1および第2システム2にフィールドネットワーク10にて接続される各PIO11、12を有するCPU2重化制御システムにおいて、フィールドネットワーク10を介して各PIO11、12に接続される制御系の第1PIOマスタ5、待機系の第2PIOマスタ6を有し、第1システム1は、第1PIOマスタ5と第2PIOマスタ6との相互のライブチェックを行い、第1CPU3は、第1PIOマスタ5から全てのPIO11、12の異常を検出すると、ライブチェックから第2PIOマスタ6が正常であるか否かを判断し、第2PIOマスタ6が正常だとシステムの切り替えを実施せず、第2PIOマスタ6が正常でないとシステムの切り替えを実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全局のプロセス入出力手段(以下、「プロセス入出力装置」を「PIO」と称す)異常時に、不要なシステム切り替えを実施せずにシステムを健全に動作させることができるCPU2重化制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のCPU2重化制御システムは、フィールドネットワークに接続されるPIOが全局PIO異常時に、システム切り替えを実施し、システム切り替え後に新制御となったCPUでも全局PIO異常を検出するため、十分な情報を入手できないまま両系重故障となっていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−164722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のCPU2重化制御システムは、制御系CPUの異常をトラッキングケーブルなどで通知し、システム切り替えを行う手段を備えていたが、この手段では、全局PIO異常時には、制御系CPUが重故障となり、システム切り替えが発生する。しかし、システム切り替え後も、新制御系CPUでは全局PIO異常を検出するため、両系CPUが重故障となり、十分な故障情報が採取できないという問題点があった。そして、PIOの故障のため、制御システムを構築している他のI/Oカード(制御ネットワークなど)が使えなくなるという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、全局PIO異常時において、不要なシステム切り替えを実施せずにシステムを健全に動作させることができるCPU2重化制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、第1CPUを有する制御系の第1システムと、第2CPUを有する待機系の第2システムとを備え、上記第1システムおよび上記第2システムにフィールドネットワークにて接続される複数のプロセス入出力手段を有するCPU2重化制御システムにおいて、
上記第1システムは、上記フィールドネットワークを介して上記各プロセス入出力手段に接続される制御系の第1マスタを有し、
上記第2システムは、上記フィールドネットワークを介して上記各プロセス入出力手段に接続される待機系の第2マスタを有し、
上記第1システムは、上記第1マスタと上記第2マスタとの相互のライブチェックを行い、
上記第1CPUは、上記第1マスタから上記全てのプロセス入出力手段の異常を検出すると、上記ライブチェックから上記第2マスタが正常であるか否かを判断し、上記第2マスタが正常であると判断するとシステムの切り替えを実施せず、上記第2マスタが正常でないと判断するとシステムの切り替えを実施するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明のCPU2重化制御システムは、第1CPUを有する制御系の第1システムと、第2CPUを有する待機系の第2システムとを備え、上記第1システムおよび上記第2システムにフィールドネットワークにて接続される複数のプロセス入出力手段を有するCPU2重化制御システムにおいて、
上記第1システムは、上記フィールドネットワークを介して上記各プロセス入出力手段に接続される制御系の第1マスタを有し、
上記第2システムは、上記フィールドネットワークを介して上記各プロセス入出力手段に接続される待機系の第2マスタを有し、
上記第1システムは、上記第1マスタと上記第2マスタとの相互のライブチェックを行い、
上記第1CPUは、上記第1マスタから上記全てのプロセス入出力手段の異常を検出すると、上記ライブチェックから上記第2マスタが正常であるか否かを判断し、上記第2マスタが正常であると判断するとシステムの切り替えを実施せず、上記第2マスタが正常でないと判断するとシステムの切り替えを実施するので、
第2システムが正常である場合、全局PIO異常時において、不要なシステム切り替えを実施せずにシステムを健全に動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1のCPU2重化制御システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示したCPU2重化制御システムのライブチェックの動作を説明するための図である。
【図3】図1に示したCPU2重化制御システムの第1システムの通知動作を説明するための図である。
【図4】図1に示したCPU2重化制御システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示したCPU2重化制御システムにおいて切り替えを行う場合を説明した図である。
【図6】この発明の実施の形態2のCPU2重化制御システムの構成を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態3のCPU2重化制御システムの構成を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態4のCPU2重化制御システムの構成を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態5のCPU2重化制御システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本願発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の実施の形態1におけるCPU2重化制御システムの構成を示す図、図2は図1に示したCPU2重化制御システムのライブチェックの動作を説明するための図、図3は図1に示したCPU2重化制御システムの第1システムの通知動作を説明するための図、図4は図1に示したCPU2重化制御システムの動作を説明するためのフローチャート、図5は図1に示したCPU2重化制御システムにおいて切り替えを行う場合を説明した図である。
【0010】
図1において、制御系の第1システム1と、待機系の第2システム2とにて構成され、第1システム1および第2システム2にはフィールドネットワーク10にて接続される複数の第1および第2PIO11、12を有するのCPU2重化制御システムである。
そして、第1システム1には、第1CPUカード3と、フィールドネットワーク10を介して第1PIO11および第2PIO12に接続されている第1マスタとしての第1PIOマスタ5と、制御ネットワーク22に接続され、他システムと通信を実施する第1NICカード(尚、「NICカード」とは「Network Interface Card」のことを示すものであり、以下、「NICカード」と略して称す)20とを備えている。
【0011】
そして、第2システム2には、第2CPUカード4と、フィールドネットワーク10を介して第1PIO11および第2PIO12に接続されている第2マスタとしての第2PIOマスタ6と、制御ネットワーク22に接続され、他システムと通信を実施する第2NICカード21と、各CPUカード3、4間に接続され、これらの各CPUカード3、4間の状態の監視、データのやり取りなど、データの送受信を行うトラッキングケーブル13とを備える。
そして、制御ネットワーク22に接続されシステムの故障情報や、システムのデータを蓄積して、システムの状態を監視し、システムの状態を画面に表示する監視装置23がある。
【0012】
図3において、第1システム1は、第1CPUカード3には第1アプリケーション31が搭載され、第1PIOマスタ5にはファームウエア32が搭載されている。そして、第1CPUカード3と第1PIOマスタ5とは第1システムバス33にて接続されている。よって、第1PIOマスタ5からのライブチェック結果および各PIO11、12の状態などのデータX34は第1システムバス33を介して第1CPUカード3の第1アプリケーション31に通知される。
【0013】
上記のように構成された実施の形態1のCPU2重化制御システムの動作について図2に基づいて説明する。第1PIOマスタ5と各PIO11、12とはそれぞれ通信を行っている。この通信処理では、各PIO11、12からのデータ入力、各PIO11、12へのデータ出力の一連の処理を実施している。まず、フィールドネットワーク10を介して、第1PIOマスタ5から、第1PIO11にデータ出力が実施させる第1ポーリングパケットP1を送信し、この第1ポーリングパケットP1に対して第1PIO11が入力データを第1PIOマスタ5に通知する第1ポーリング応答パケットP2を送信する。また、フィールドネットワーク10を介して、第1PIOマスタ5から、第2PIO12にデータ出力が実施させる第2ポーリングパケットP3を送信し、この第2ポーリングパケットP3に対して第2PIO12が入力データを第1PIOマスタ5に通知する第2ポーリング応答パケットP4を送信する。
【0014】
また、第1PIOマスタ5における第2PIOマスタ6の健全性および第1PIOマスタ5と第2PIOマスタ6間のケーブル抜けが発生していないことを示すライブチェックチェック処理は、第1PIOマスタ5から第2PIO6へのライブチェックパケットP5を送信し、このライブチェックパケットP5を受けた第2PIOマスタ6は、ライブチェックパケット応答P6を第1PIOマスタ5に返信する。このライブチェックパケット応答P6により、第1PIOマスタ5は、第2PIOマスタ6の健全性、および第1PIOマスタ5と第2PIOマスタ6間のケーブル抜けが発生していないことを確認できる。また、図2において、各ポーリング応答パケットP2、P4が各PIO11、12から返信されてこない場合は、対応する各PIO11、12の異常と判断し、各ポーリング応答パケットP2、P4の両方とも返信されてこない場合は、第1PIOマスタ5は全局PIO異常と判断する。
【0015】
次に、第1システム1において、第1PIOマスタ5から、ライブチェック結果およびPIO状態を第1CPUカード3上の第1アプリケーション31に通知する動作について図3に基づいて説明する。第1CPU3の第1アプリケーション31は、定期的に第1ファームウエア32に入出力要求指令を第1システムバス33を介して送信する。当該要求を受けたファームウエア32は、入出力要求応答を返し、データX34を更新する。データX34には、先に示したパケットの送受信により、各PIO11、12の入力データ、出力データおよび各PIO11、12の状態、ライブチェック結果が格納されている。そして、PIO状態には、第1システム1側の第1PIOマスタ5が検出した、各PIO11、12の状態、全局PIO異常有無情報が格納されている。さらに、各PIO11、12の状態には、該当のPIOが正常であれば0、該当のPIOが異常であれば1が設定されている。全局PIO異常有無には、全局PIO異常であれば1、そうでなければ0が設定されている。ライブチェック結果では、正常であれば0、異常であれば1を設定する。
【0016】
次に、第1CPUカード3上の第1アプリケーション31のシステムの切り替えの動作について図4に基づいて説明する。まず、制御系の第1システム1は、各PIO11、12が全局異常であるか否かを判断する(図4のステップST1)。次に、全局PIO異常でなければ(No)、正常動作継続のため処理を終了する。一方、全局PIO異常の時(Yes)は、制御ネットワーク22を使用し、待機系の第2システム2へPIO異常通知を実施する(図4のステップST2)。
【0017】
次に、第2システム2の第2PIOマスタ6が正常かどうか判断するためのライブチェック正常判断を実施する(図4のステップST3)。
次に、正常であれば(Yes)、システムの切り替えを実施せず処理を終了する。
一方、ライブチェックが異常であれば(No)、システムの切り替えを実施するためにトラッキングケーブル13を用いて、第2CPU4にシステムの切り替え通知を実施し、システム切り替え処理を行う(図4のステップST4)。
そして、制御系の第1システム1の重故障処理を実施し、第1システム1は重故障状態となる(図4のステップST5)。
【0018】
ここで全局PIO11、12異常とライブチェック結果について図5を用いて説明する。第1PIOマスタ5のフィールドネットワーク10が抜けた状態91を示している。この場合、第1PIOマスタ5では、各PIO11、12と通信できないため、全局PIO異常を検出する。また、各PIOマスタ5、6間との通信ができないため、ライブチェック結果が異常となる。この場合には、上記に示したように、システムの切り替えが実施され、第2PIOマスタ6が新第1PIOマスタ5となり、第1PIO11、第2PIO12と通信可能のため、移行処理が継続できる。このように、第1CPUカード3上で全局PIO異常を検出しても、第2PIOマスタ6と各PIO11、12は通信できているため、システムの切り替えを実施しなくなり、処理を継続することができる。
【0019】
また、図5に示したように、第1PIOマスタ5のフィールドネットワーク10が抜けた場合でなく、各PIO11、12が全て異常となり、全局PIO異常を検出し、また、第2PIOマスタ6が異常であり、ライブチェック結果が異常となる場合、上記場合と同様にシステムの切り替えを実施される。すると、第2PIOマスタ6が新第1PIOマスタ5となるが、第1PIO11、第2PIO12と通信不可となり、重故障となり、両システムが重故障となるが、本来の故障であるため支障が生じることはなく、両システムの重故障処理を実施する。
【0020】
また、図5に示したように、第1PIOマスタ5のフィールドネットワーク10が抜けた場合でなく、各PIO11、12が異常となり、全局PIO異常を検出し、第2PIOマスタ6が正常であり、ライブチェック結果が正常となる場合、システムの切り替えは実施されない。よって、第2システム2が重故障とならないため、十分な故障情報が採取でき、制御システムを構築している制御ネットワーク22などを使用することができる。
【0021】
上記に示した実施の形態1のCPU2重化制御システムによれば、フィールドネットワークの通信を用いてライブチェックを実施し、他系PIOマスタの状態を監視する処理のため、余分な機器が必要なくソフトウェアの変更のみで実現できる。そして、全局PIO異常時には、システム切り替えを実施せずに両系CPU健全な状態または、故障状態で運転を継続する。この状態で、PIO異常時の状態を蓄積し、解析に用いる。また、両方CPUが動作している状態のため、他システムとの通信も正常に動作するため、データ収集もスムーズに行き、故障時の解析向上につながる。
【0022】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2におけるCPU2重化制御システムの構成を示した図である。
図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。各PIOマスタ5、6同士のライブチェックの信号の授受を行うため第1PIOマスタ5と第2PIOマスタ6と間に接続される専用ケーブル51を備える。専用ケーブル51は例えばシリアルケーブルとしてのRS−232Cにてなる。そして、第1PIOマスタ5は、第2PIOマスタ6に対して専用ケーブル51を介して専用フレーム52を用いて定期的に送信する。これを受けた第2PIOマスタ6は、第1PIOマスタ5に応答として専用フレーム52を送信する。
【0023】
上記のように構成された実施の形態2のCPU2重化制御システムの動作について、上記実施の形態1と異なる部分について説明する。まず、第1PIOマスタ5から専用フレーム52を送信する場合には、送信先に第2PIOマスタ6、送信元に第1PIOマスタ5、PIO状態には、第1PIOマスタ5で検出している各PIO11、12の状態、カウンタは1からのインクリメントカウンタをつけて送信する。そして、第2PIOマスタ6は第1PIOマスタ5からの専用フレーム52を受信すると、第1PIOマスタ5に応答の専用フレーム52を送信する。送信先に第1PIOマスタ5=1、送信元に第2PIOマスタ6=2、PIO状態には、第2PIOマスタ6で検出している各PIO11、12の状態、カウンタには第1PIOマスタ5から受信した専用フレーム52に付加されていた番号と同じ番号をつける。これにより、各PIOマスタ5、6のそれぞれの健全性および、待機PIOマスタで全局PIO異常を検出しているか否かわかる。
【0024】
尚、第1システム1において、第1PIOマスタ5から、ライブチェック結果およびPIO状態を第1CPUカード3上のアプリケーション31に通知する動作、および、システムの切り替えについては、上記に示した信号を用いる点以外は同様であるため、その説明を省略する。
【0025】
上記に示した実施の形態2のCPU2重化制御システムによれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、各PIOマスタ間を専用ケーブルで接続し、専用のパケットを送受信するため、フィールドネットワーク上の負荷の軽減および、フィールドネットワークでPIOマスタ間の通信ができない場合に有効となる。
【0026】
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3におけるCPU2重化制御システムの構成を示した図である。
図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
各PIOマスタ5、6同士のライブチェックの信号の授受を行うため第1PIOマスタ5と第2PIOマスタ6と間に接続される専用ケーブル51を、
第1PIOマスタ5から第2PIOマスタ6にライブチェックの信号の送信するための第1ケーブル61と、
第2PIOマスタ6から第1PIOマスタ5にライブチェックの信号の送信するための第2ケーブル62とにて構成する。
【0027】
各ケーブル61、62を介して送信される信号63、64は、0、1のデータパターンである。そして、全局PIO異常でない場合は、ms毎に0→1→0→1のパターンを他システムに送信する。
よって、信号63は、全局PIO異常でない場合のパターンを示している。また、他システムから送信しない場合および、ケーブルが抜けた場合は、0固定のデータパターンとする。そして、信号64は、20ms後から全局PIO異常を検出した場合を示しており、全局異常になった場合には、0固定となる。
そして、第1PIOマスタ5、第2PIOマスタ6とも他系が全局PIO異常を検出したことを第1ケーブル61および第2ケーブル62から流れてくるデータパターンをみることにより判断できる。
【0028】
上記のように構成された実施の形態3のCPU2重化制御システムの動作について、上記各実施の形態と異なる部分について説明する。例えば、第1PIOマスタ5では、第2ケーブル62を監視しておき、50ms間0のデータが続いた場合に、第2PIOマスタ6が全局PIO異常を検出したこと、または、第2PIOマスタ6が異常となったことを認識できる。
【0029】
尚、第1システム1において、第1PIOマスタ5から、ライブチェック結果およびPIO状態を第1CPUカード3上のアプリケーション31に通知する動作、および、システムの切り替えについては、上記に示した信号を用いる点以外は同様であるため、その説明を省略する。
【0030】
上記に示した実施の形態3のCPU2重化制御システムによれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、各PIOマスタ間を2本の専用ケーブルで接続し、0、1パターンの簡単なデータパターンで他システムの状態を監視できるため、容易に実現できる。また、フィールドネットワーク上の負荷の軽減および、フィールドネットワークでPIOマスタ間の通信ができない場合に有効となる。
【0031】
実施の形態4.
図8はこの発明の実施の形態4におけるCPU2重化制御システムの構成を示した図である。
図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
各PIOマスタ5、6同士を接続するケーブル100を、第1PIOマスタ5と第2PIOマスタ6と間のライブチェックを行うための供給電源線73とフィールドネットワーク10とにて構成する。また、供給電源線73には供給電源72が接続されている。
【0032】
上記のように構成された実施の形態4のCPU2重化制御システムの動作について、上記各実施の形態と異なる部分について説明する。ここでは、第1PIOマスタ5、第2PIOマスタ6間のライブチェックは、供給電源線73にて監視されており、電源供給されている場合は、ケーブル100が接続されていると判断し、ライブチェックは正常と判断する。また、ケーブル100が抜けた場合、電源供給がなくなるため、ケーブル100断線と判断できる。よって、ケーブル100が断線した場合、第2PIOマスタ6との通信はできないと判断し、ライブチェックは異常と判断する。
【0033】
尚、第1システム1において、第1PIOマスタ5から、ライブチェック結果およびPIO状態を第1CPUカード3上のアプリケーション31に通知する動作、および、システムの切り替えについては、上記に示した信号を用いる点以外は同様であるため、その説明を省略する。
【0034】
上記に示した実施の形態4のCPU2重化制御システムによれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、PIOマスタ間に1本の電源線を追加するのみのため、容易に実現できることを特徴としている。また、フィールドネットワーク上の負荷の軽減および、フィールドネットワークでPIOマスタ間の通信ができない場合に有効となる。
【0035】
実施の形態5.
図9はこの発明の実施の形態5におけるCPU2重化制御システムの構成を示した図である。
図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
第1PIOマスタ5と第2PIOマスタ6間でやり取りするライブチェックとしてのPIO状態送信パケット81が異なる部分である。そして、第1PIOマスタ5は、第2PIOマスタ6に対してPIO状態送信パケット81を定期的に送信する。これを受けた第2PIOマスタ6は、第1PIOマスタ5にPIO状態送信パケットのフォーマットで応答フレームを送信する。第1PIOマスタ5からPIO状態送信パケット81を送信する場合には、送信先に第2PIOマスタ6=2、送信元に第1PIOマスタ5=1、パケット長にはPIO状態送信パケットの全体パケット長、第1PIO11状態、第2PIO12状態には、各PIO11、12が正常であれば0、異常であれば1を設定する。全局PIO異常有無には、全局PIO異常検出時には1、そうでない場合には0を設定し、カウンタは1からのインクリメントカウンタをつけて送信する。
【0036】
第2PIOマスタ6は第1PIOマスタ5からのPIO状態送信パケット81を受信すると、第1PIOマスタ5に応答のPIO状態送信パケット81を送信する。送信先に第1PIOマスタ5=1、送信元に第2PIOマスタ6=2、パケット長にはPIO状態送信パケット81の全体パケット長、第1PIO11状態、第2PIO12状態には、第2PIOマスタ6が検出したPIO状態を格納する。各PIO11、12が正常であれば0、異常であれば1を設定し、全局PIO異常有無には、全局PIO異常検出時には1、正常である場合には0を設定し、カウンタには第1PIOマスタ5から受信したPIO状態送信に付加されていた番号と同じ番号をつける。
【0037】
上記のように構成された実施の形態5のCPU2重化制御システムの動作について、上記各実施の形態と異なる部分について説明する。
第1PIOマスタ5は、第2PIOマスタ6から、PIO状態送信パケット81を受信する場合には、第2PIOマスタ6は正常と判断し、受信しない場合には、第2PIOマスタ6が異常と判断する。これにより、第1PIOマスタ5は、第2PIOマスタ6の健全性および、第2PIOマスタ6で全局PIO異常を検出しているかどうかわかる。
【0038】
尚、第1システム1において、第1PIOマスタ5から、ライブチェック結果およびPIO状態を第1CPUカード3上のアプリケーション31に通知する動作、および、システムの切り替えについては、上記に示した信号を用いる点以外は同様であるため、その説明を省略する。
【0039】
上記に示した実施の形態5のCPU2重化制御システムによれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、フィールドネットワークの通信を用いて他システムのPIO状態、PIO全局異常状態、および他システムのPIOマスタ状態を監視することができ、より品質のよいシステムとなる。
【符号の説明】
【0040】
1 第1システム、2 第2システム、3 第1CPUカード、
4 第2CPUカード、5 第1PIOマスタ、6 第2PIOマスタ、
10 フィールドネットワーク、11 第1PIO、12 第2PIO、
13 トラッキングケーブル、20 第1NICカード、21 第2NICカード、
22 制御ネットワーク、23 監視装置、31 APL、32 ファームウエア、
33 システムバス、34 データX、51 専用ケーブル、61 第1ケーブル、
62 第2ケーブル、72 供給電源、73 供給専用線、100 ケーブル、
P1 第1ポーリングパケット、P2 第1ポーリング応答パケット、
P3 第2ポーリングパケット、P4 第2ポーリング応答パケット、
P5 ライブチェックパケット、P6 ライブチェックパケット応答。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1CPUを有する制御系の第1システムと、第2CPUを有する待機系の第2システムとを備え、上記第1システムおよび上記第2システムにフィールドネットワークにて接続される複数のプロセス入出力手段を有するCPU2重化制御システムにおいて、
上記第1システムは、上記フィールドネットワークを介して上記各プロセス入出力手段に接続される制御系の第1マスタを有し、
上記第2システムは、上記フィールドネットワークを介して上記各プロセス入出力手段に接続される待機系の第2マスタを有し、
上記第1システムは、上記第1マスタと上記第2マスタとの相互のライブチェックを行い、
上記第1CPUは、上記第1マスタから上記全てのプロセス入出力手段の異常を検出すると、上記ライブチェックから上記第2マスタが正常であるか否かを判断し、上記第2マスタが正常であると判断するとシステムの切り替えを実施せず、上記第2マスタが正常でないと判断するとシステムの切り替えを実施することを特徴とするCPU2重化制御システム。
【請求項2】
上記ライブチェックの信号の授受を行うため上記第1マスタと上記第2マスタと間に接続される専用ケーブルを備えたことを特徴とする請求項1に記載のCPU2重化制御システム。
【請求項3】
上記専用ケーブルは、上記第1マスタから上記第2マスタに上記ライブチェックの信号の送信するための第1ケーブルと、
上記第2マスタから上記第1マスタに上記ライブチェックの信号の送信するための第2ケーブルとにて構成されていることを特徴とする請求項2に記載のCPU2重化制御システム。
【請求項4】
上記ライブチェックは、上記第1システムと上記第2システムと間の接続の正常か否かにより行い、上記接続が正常であれば上記第2マスタは正常であると判断し、上記接続が正常でなければ上記第2マスタは正常でないと判断することを特徴とする請求項1に記載のCPU2重化制御システム。
【請求項5】
上記第1マスタと上記第2マスタとは、上記各プロセス入出力手段の状態情報およびライブチェックのみの信号を互いに授受することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のCPU2重化制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−194628(P2012−194628A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56323(P2011−56323)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】