CTIシステム、及び着信待機サーバ
【課題】インターネット網を隔てるファイアウォールの内部側に配されたクライアント端末に発信者の電話機の発信元情報を送信するCTIシステムに関し、システムの負荷を効率よく軽減することを目的とする。
【解決手段】クライアント端末4とCTIサーバ1との間にネットワーク上で介在する着信待機サーバ3を備える。クライアント端末4は、インターネット網500を隔てるファイアウォール201の内部側に配されており、CTIサーバ1は外部側、着信待機サーバ3は内部側に位置する。そして、CTIサーバ1は、外部電話機6からの着信を内部電話機5に転送するとともに、発信元情報を着信待機サーバ3に送信する。着信待機サーバ3は、発信元情報の送信を受けて、複数のクライアント端末4に発信元情報を送信する。
【解決手段】クライアント端末4とCTIサーバ1との間にネットワーク上で介在する着信待機サーバ3を備える。クライアント端末4は、インターネット網500を隔てるファイアウォール201の内部側に配されており、CTIサーバ1は外部側、着信待機サーバ3は内部側に位置する。そして、CTIサーバ1は、外部電話機6からの着信を内部電話機5に転送するとともに、発信元情報を着信待機サーバ3に送信する。着信待機サーバ3は、発信元情報の送信を受けて、複数のクライアント端末4に発信元情報を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信者の電話機からの着信を転送するとともに該電話機の発信元情報をクライアント端末に通知するCTIシステム及びこれが備える着信待機サーバに関し、特にインターネット網を隔てるファイアウォールの内部側に配されたクライアント端末に発信者の電話機の発信元情報を送信するCTIシステム及び着信待機サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
CTI(Computer Telephony Integration)においては、CTIサーバを発信者の電話機とコールセンター等の利用者のクライアント端末との間に介在させた構成を有する。CTIサーバは、発信者の電話機からの着信をコールセンターの電話機に転送するとともに、その電話機の発信元情報をクライアント端末に送信している。このCTI技術によると、データベース上で発信元情報と顧客の各種情報を紐付けしておくことで、クライアント端末には、顧客の各種情報を表示させることができ、顧客に対する電話による窓口業務を大幅に効率化できる。
【0003】
従来は、CTIサーバをコールセンターと同一構内に配置する場合が多かった。しかし、近年、CTIサーバをクライアント端末が接続されたLANから切り離し、インターネット網を介してCTIサーバとクライアント端末を接続する方法も用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このインターネット網を利用したCTIシステムを図11に示す。図11に示すように、CTIサーバ1Pとクライアント端末4Pとは、インターネット網500を介して接続される。インターネット網500を介した通信のために、CTIサーバ1Pとクライアント端末4Pとの間には、Webサーバ2Pが新たに設置されている。セキュリティ確保の観点から、クライアント端末4Pとインターネット網500との間にはファイアウォール201が設置される。即ち、CTIサーバ1P及びWebサーバ2Pと、クライアント端末4Pとは、ファイアウォール201で隔てられる。
【0005】
ファイアウォール201は、セキュリティポリシーによって外部機器であるWebサーバ2P発のクライアント端末4Pへのデータ配信を制限している場合が多い。また、クライアント端末4Pから外部機器へアクセスする場合、クライアント端末4Pのアドレスを隠蔽するためにプロキシサーバを経由することも多い。
【0006】
そこで、このようなインターネット網500とファイアウォール201とでCTIサーバ1P及びWebサーバ2Pとクライアント端末4Pを隔てたCTIシステムでは、定期監視型又は疑似サーバプッシュ型の発信元情報配信が行われる(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−290573号公報
【特許文献2】特開2009−110412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
定期監視型による発信元情報の送信処理では、クライアント端末から定期的にCTIサーバ側に発信元情報の有無を問い合わせる。CTIシステムでは、発信元情報の通知に即時性が要求され、発信者の電話機からの着信に合わせて発信元情報が通知される必要がある。そのため、クライアント端末からの問い合わせは、非常に短い間隔で行われており、Webサーバにとって、多大な負荷となっている。例えば、クライアント端末が1000台存在し、1秒間隔で各クライアント端末が問い合わせを行うと、Webサーバは、毎秒1000アクセスの処理を要する。即時性の観点から、問い合わせ間隔を長くすることは妥当ではない。
【0009】
そこで、疑似サーバプッシュ型による発信元情報の送信処理では、クライアント端末からの問い合わせに対して、Webサーバは、即座に応答せず、一定時間が経過するまでクライアント端末を待機させ、一定時間が経過しても発信元情報の着信がない場合に着信無しの応答を返却するようにしている。そのため、着信に対する発信元情報通知の即時性は確保されるが、Webサーバが各クライアント端末に対する接続を確立させ続けなくてはならない点で、Webサーバの多大な負荷は解消できていない。
【0010】
Webサーバの負荷軽減のためには、冗長化が検討されるところではあるが、将来のクライアント数の増減を予測することは困難であり、コストパフォーマンスに優れた冗長化計画は立てにくい。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、インターネット網を隔てるファイアウォールの内部側に配されたクライアント端末に発信者の電話機の発信元情報を送信するCTIシステムに関し、即時性を維持しつつ、システムにかかる負荷を軽減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るCTIシステムは、インターネット網を隔てるファイアウォールの内部側に配されたクライアント端末に外部電話機の発信元情報を送信するCTIシステムであって、前記ファイアウォールの外部側に配され、第1の電話機からの着信を第2の電話機に転送するとともに、前記第1の電話機の発信元情報を送信するCTIサーバと、前記ファイアウォールの内部側に配されて、前記CTIサーバと前記クライアント端末との間に介在し、前記CTIサーバからの前記発信元情報を受信して、前記クライアント端末に当該発信元情報を送信する着信待機サーバと、を備えること、を特徴とする。
【0013】
前記着信待機サーバは、当該着信待機サーバ発の接続確立を契機に前記複数のクライアント端末に前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【0014】
前記着信待機サーバは、前記クライアント端末からの信号の送信を受けて、当該信号を送信した前記クライアント端末の識別情報と有効期限情報と対応づけて記憶し、未経過の前記有効期限情報に対応づけられた前記識別情報が示す前記クライアント端末に対して前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【0015】
前記着信待機サーバは、ツリー型に複数配置され、下位側に前記クライアント端末がネットワークを介して接続され、前記CTIサーバからの前記発信元情報を上位から下位の前記着信待機サーバにリレーして前記複数のクライアントに前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明に係る着信待機サーバは、インターネット網とクライアント端末とを隔てるファイアウォールの内部側に配され、第1の電話機からの着信を第2の電話機に転送するとともに前記第1の電話機の発信元情報を送信する前記ファイアウォールの外部側のCTIサーバと前記クライアント端末との間に介在する着信待機サーバであって、前記発信元情報を受信する受信手段と、前記受信手段が前記発信元情報を受信すると、前記クライアント端末に前記発信元情報を送信する送信手段と、を備えること、を特徴とする。
【0017】
前記送信手段は、当該送信手段発の接続確立を契機に前記複数のクライアント端末に前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【0018】
前記クライアント端末からの信号を受けて、当該信号を送信した前記クライアント端末の識別情報と有効期限情報と対応づけて記憶する記憶手段を更に備え、前記送信手段は、未経過の前記有効期限情報に対応づけられた前記識別情報が示す前記クライアント端末に対して前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【0019】
前記着信待機サーバは、前記受信手段と前記送信手段を有する複数のサーバをツリー型で有し、前記各受信手段及び前記各送信手段は、前記CTIサーバからの前記発信元情報を上位から下位のサーバにリレーして、前記会側にネットワークを介して接続された複数の前記クライアントに前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数のクライアント端末とCTIサーバとの間に介在する着信待機サーバがこれらクライアント端末を代表して着信待機処理を行うため、サーバの冗長化に依らずにCTIサーバ側の負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態に係るCTIシステムのネットワーク構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る着信待機サーバとクライアント端末の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係るクライアント端末の生存通知動作を示すシーケンス図である。
【図4】第1の実施形態に係る発信元情報の着信待機動作を示すシーケンス図である。
【図5】第1の実施形態に係る発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。
【図6】第2の実施形態に係るCTIシステムのネットワーク構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態に係る生存通知動作を示すシーケンス図である。
【図8】第2の実施形態に係る発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。
【図9】第3の実施形態に係る着信待機動作を示すシーケンス図である。
【図10】第3の実施形態に係る発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。
【図11】従来のCTIシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るCTIシステム、CTIシステムが備える着信待機サーバ、及びこのCTIシステムの発信元情報の通知方法の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るCTIシステムのネットワーク構成を示すブロック図である。CTIシステムは、CTIサーバ1、Webサーバ2、及び着信待機サーバ3を備える。
【0023】
このCTIシステムは、発信者300の外部電話機6と利用者機関200の内部電話機5との間に介在し、外部電話機6の電話通信を内部電話機5に転送するとともに、外部電話機6と利用者機関200の複数のクライアント端末4との間に介在し、外部電話機6の発信元情報を各クライアント端末4に送信する。
【0024】
外部電話機6及び内部電話機5は、固定電話、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の電話機能を備えた端末である。複数のクライアント端末4は、利用者機関200に設置された所謂パーソナルコンピュータであり、受信した発信元情報を表示する。発信元情報は、外部電話機6の電話番号情報であり、外部電話機6側の交換機によって生成され、CTIシステムへ送信される。
【0025】
CTIサーバ1は、提供者機関100に設置されている所謂コンピュータである。このCTIサーバ1は、PBX11及び送受信部12を有し、電話回線網400を介した通信とLAN101を介した通信を行う。LAN101は、提供者機関100に敷設されている。
【0026】
PBX11は、交換機であり、電話回線網400と接続されている。電話回線網400は、通話通信が可能な回線網であり、公衆回線や専用回線を含む。PBX11は、複数の外部トランクと内部トランクとスイッチ機構を有し、外部電話機6の呼が着信した外部トランクと内部電話機5に発信した外部トランクとを接続することで、外部電話機6の着信を内部電話機5へ転送する。このPBX11は、専用電子回路により構成しても、CPU及びモデムを含み構成してもよく、またCTIサーバ1と一体として構成されていても別体として構成されていてもよい。
【0027】
送受信部12は、LAN101と接続され、PBX11に着信した発信元情報をポーリングやPBX11のイベント通知等によって取得し、Webサーバ2へ送信する。
【0028】
Webサーバ2は、CTIサーバ1と同様に提供者機関100に設置されている所謂コンピュータであり、送受信部21を有する。送受信部21は、LAN101と接続され、CTIサーバ1から送信された発信元情報をポーリングやCTIサーバ1のイベント通知等によって受信する。また、送受信部21は、インターネット網500と接続され、受信した発信元情報をインターネット500網を介して着信待機サーバ3へ送信する。
【0029】
送受信部21は、着信待機サーバ3からの着信待機要求を契機として、着信待機サーバ3との一定時間の接続を確立し、その接続確立中に発信元情報を受信できなければ、空の応答を返して、接続を解除する。一定時間の接続確立は、例えば無応答によって行われる。空の応答とは、信号に発信元情報を含まない応答である。例えば、送受信部21は、空の応答に「無し」を示す情報、例えば「0」を含める。
【0030】
着信待機サーバ3は、利用者機関200のファイアウォール201内部側に設置された所謂コンピュータであり、ファイアウォール201を介してインターネット網500と接続され、また利用者機関200に敷設されたLAN202に接続されている。この着信待機サーバ3は、インターネット網500を介したWebサーバ2との発信元情報の送受信、及びLAN202を介したクライアント端末4への発信元情報の送信を行う。Webサーバ2と着信待機サーバ3との間で行われる発信元情報の送受信は、ファイアウォール201のセキュリティポリシーにより、着信待機サーバ3発の通信要求を契機として行われる。
【0031】
即ち、本実施形態に係るCTIシステムにおいては、CTIサーバ1及びWebサーバ2と、クライアント端末4とは、インターネット500とファイアウォール201とを介して接続され、また、その間には、各クライアント端末4を代表して発信元情報の送受信要求を行う着信待機サーバ3が介在している。
【0032】
このCTIシステムにおいて、着信待機サーバ3の構成を更に詳細に説明する。図2は、着信待機サーバ3とクライアント端末4の詳細な構成を示すブロック図である。
【0033】
着信待機サーバ3は、受信部31、送信部32、及びセッション作成部33を備える。クライアント端末4は、信号送信部43、表示制御部41、及びモニタ42を備える。
【0034】
セッション作成部33は、セッションを作成する。セッションは、信号を送信したクライアント端末4の識別情報と当該セッションの有効期限を示す情報であり、クライアント端末4の生存を示す情報となる。クライアント端末4では、信号送受信部43により生存を通知する信号が所定時間毎に生成される。信号送受信部43は、LAN202を介して当該信号を着信待機サーバ3に送信する。
【0035】
セッション作成部33は、作成判断部331と、登録部332と、セッション記憶部333とを備える。
【0036】
作成判断部331は、クライアント端末4からの信号受信を契機として、セッション記憶部333を参照し、当該信号を送信したクライアント端末4のセッションの有無を確認する。セッションは、セッション記憶部333に記憶されている。作成判断部331は、セッションの有無確認の際にセッション記憶部333を参照する。信号を送信したクライアント端末4の識別情報を含んだセッションが存在しなければ、登録部332に該クライアント端末4のセッションを作成させる。セッションが存在していれば、登録部332に該セッションを更新させる。
【0037】
登録部332は、受信した信号に含まれる識別情報を取得する。識別情報は、例えばクライアント端末4のローカルIPアドレスである。また、登録部332は、着信待機サーバ3の内部時計やタイムサーバの送出する時刻を信号受信を契機に取得し、取得した時刻に所定時間を加えた有効期限情報を生成する。
【0038】
登録部332は、この識別情報と有効期限情報を対応づけて、信号を送信したクライアント端末4に対するセッションとしてセッション記憶部333に記憶させる。セッションがすでに存在していれば、有効期限情報のみを作成し、有効期限情報を更新する。即ち、有効期限情報を書き換える。一方、登録部332は、セッション記憶部333を定期的に監視し、有効期限情報が示す有効期限が切れたセッションを破棄する。
【0039】
受信部31は、発信元情報の送信を要求する要求信号をWebサーバ2に送信し、接続確立中に発信元情報がWebサーバ2から送信されてくれば、当該発信元情報を受信する。受信部31は、接続確立中に応答が返されるか、一定期間が経過すれば、接続を解除する。返される応答は、発信元情報を含む応答か、「無し」を示す「0」を含む応答である。
【0040】
受信部31は、要求信号の送出前にセッションの有無及び有効性を確認する。受信部31は、一つでも有効なセッションが存在すれば、即ち、要求信号の送出前にセッション記憶部333を参照した結果、有効期限情報が現在時刻より未来のセッションが記憶されていれば、要求信号を送出する。
【0041】
送信部32は、LAN202と接続され、受信部31が受信した発信元情報を複数のクライアント端末4に対して送信する。この送信部32は、送信判断部321を有し、セッション記憶部333に記憶され、且つ有効期限が未経過のセッションが示すクライアント端末4に対してのみ発信元情報を送信する。
【0042】
送信部32は、着信待機サーバ3発の接続確立要求を契機としたコネクション型通信でクライアント端末4と接続を確立し、接続確立後に発信元情報を送信する。クライアント端末4側からは、発信元情報の要求信号は出力されない。即ち、TCP等の通信プロトコルを用いてユニキャスト通信を行うが、ユニキャスト通信の際は、送信部32側からクライアント端末4に対してイベント通知等の通信の確立要求を行い、接続確立後に発信元情報を送信する。
【0043】
尚、クライアント端末4側から発信元情報の要求信号を出力しなければ、コネクションレス型通信であってもよい。コネクションレス型通信では、UDP等の通信プロトコルを用いてマルチキャスト通信を行い、送信部32側及びクライアント端末4の双方ともに通信の確立を要求せず、送信部32から一方的にクライアント端末4に発信元情報を送信する。
【0044】
クライアント端末4の表示制御部41は、受信した発信元情報をモニタ42に表示させる。尚、発信者300の各種情報を発信元情報に対応づけて記憶したデータベースをLAN202に接続しておき、表示制御部41により、受信した発信元情報とデータベースとにより発信者300の各種情報を取得して、モニタ42に発信元情報とともに表示させるようにしてもよい。
【0045】
このCTIシステムにおいて、クライアント端末4の生存通知方法、発信元情報の着信待機方法、及び発信元情報の転送方法についてさらに詳細に説明する。まず、図3を参照してクライアント端末4の生存通知方法を更に詳細に説明する。図3は、クライアント端末4の生存通知動作を示すシーケンス図である。
【0046】
最初に、クライアント端末4の信号送信部43は、所定時間毎に生存通知を示す信号を着信待機サーバ3に送信する(S01)。信号の生成及び送信間隔は、有効期限情報の生成の際に加算される所定時間に準じる。即ち、信号の生成及び送信間隔は、クライアント端末4の負荷低減の観点から、この所定時間と同じか、それよりも短い。
【0047】
着信待機サーバ3の作成判断部331は、生存通知を示す信号を受信すると、セッション記憶部333にセッションが存在するか判断する(S02)。具体的には、作成判断部331は、受信した信号に付随するクライアント端末4の識別情報を含むセッションを検索する。
【0048】
判断の結果、セッションが不存在ならば(S02,No)、登録部332は、セッションを作成する(S03)。具体的には、登録部332は、信号に付随する識別情報を取り出し、また内部時計やタイムサーバから時刻情報を取得し、時刻情報に所定時間を加算した有効期限情報を作成し、識別情報と有効期限情報とを対応づけてセッション記憶部333に記憶させる。
【0049】
判断の結果、セッションが存在すれば(S02,Yes)、登録部332は、セッションの有効期限を延長する(S04)。具体的には、登録部332は、有効期限情報を作成し、セッションに含まれる有効期限情報を書き換える。
【0050】
このS01〜S04の処理は、クライアント端末4の信号送出イベントに応答して繰り返し行われる。尚、登録部332のセッション破棄の処理は、セッションの有効期限と同じかそれよりも長い程度の頻度で繰り返し行われるのがよい。
【0051】
次に、図4を参照して発信元情報の着信待機方法について更に詳細に説明する。図4は、発信元情報の着信待機動作を示すシーケンス図である。
【0052】
まず、 着信待機サーバ3の受信部31は、有効なセッションの存在を確認する(S11)。具体的には、受信部31は、セッション記憶部333にセッションが記憶されているか確認する。セッションが記憶されていれば、受信部31は、現在時刻を取得し、セッションの有効期限情報と比較する。セッションが記憶されており、且つ比較の結果、有効期限が未経過であれば、セッションは存在するものと確認される。
【0053】
セッションが不存在ならば(S11,No)、着信待機処理を終了する。一方、セッションが存在するならば(S11,Yes)、受信部31は、Webサーバ2に発信元情報を要求する信号を送出する(S12)。
【0054】
Webサーバ2の送受信部21は、発信元情報を要求する信号を受信すると、着信待機サーバ3との接続を確立し(S13)、一定時間待機する(S14)。着信待機サーバ3の受信部31も接続確立の後、応答受信のために一定時間待機することとなる(S15)。
【0055】
一定の待機時間が経過すると、Webサーバ2の送受信部21は、着信待機サーバ3に空の応答を返し(S16)、接続を解除する(S17)。一方、着信待機サーバ3の受信部31も、一定の待機時間が終了するまでに応答がないか(S18)、応答が返却されると(S16)、接続を解除する(S19)。
【0056】
更に、図5を参照して発信元情報の転送方法について更に詳細に説明する。Webサーバ2及び着信待機サーバ3の図4に示す着信待機中に、CTIサーバ1が発信元情報を取得した場合の動作である。図5は、発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。
【0057】
まず、CTIサーバ1のPBX11が発信元情報を受信すると(S21)、CTIサーバ1の送受信部12は、当該発信元情報をイベント通知によってWebサーバ2に送信する(S22)。
【0058】
Webサーバ2の送受信部21は、受信した発信元情報を含む応答を着信待機サーバ3に返す(S23)。また、送受信部21は、CTIサーバ1に着信通知の応答を返す(S24)。CTIサーバ1に着信通知の応答が送達されると、PBX11は、外部電話機6からの着信を内部電話機5に転送する(S25)。
【0059】
着信待機サーバ3の受信部31が発信元情報を含む応答を受信すると、送信判断部321は、セッション記憶部333を参照して、有効期限が未経過のセッションからクライアント端末4の識別情報を読み出す(S26)。送信部32は、読み出された識別情報が示すクライアント端末4に対して送信部32発の接続確立要求を行い、接続確立後、当該クライアント端末4に発信元情報を送信する(S27)。
【0060】
クライアント端末4では、発信元情報を受信すると、表示制御部41が当該発信元情報をモニタ42に表示させる。また、LAN202に発信者の各種情報を記憶したデータベースを配置している場合には、表示制御部41は、発信元情報を検索キーとするデータベースの検索を行い、発信者の各種情報を取得して、モニタ42に表示させる。
【0061】
以上のように、本実施形態では、CTIシステムは、クライアント端末4とCTIサーバ1との間に着信待機サーバ3を介在させる。クライアント端末4は、インターネット網500を隔てるファイアウォール201の内部側に配されており、CTIサーバ1は外部側、着信待機サーバ3は内部側に位置させる。そして、CTIサーバ1は、外部電話機6からの着信を内部電話機5に転送するとともに、発信元情報を着信待機サーバ3に送信する。着信待機サーバ3は、発信元情報の送信を受けて、複数のクライアント端末4に発信元情報を送信する。
【0062】
即ち、複数のクライアント端末4とCTIサーバ1との間に介在する着信待機サーバ3がこれらクライアント端末4を代表して着信待機処理を行う。これにより、冗長化に依ることなく、即時性が担保されたままCTIサーバ1側の負荷は低減される。
【0063】
また、本実施形態では、着信待機サーバ3は、着信待機サーバ3発の接続確立要求を契機に複数のクライアント端末4に発信元情報を送信する。即ち、クライアント端末4からの発信元情報の送信要求を要せずに、着信待機サーバ3から発信元情報をクライアント端末4に自立的に送信する。これにより、クライアント端末4側のリソースを発信元情報の取得のために割く割合は劇的に低下し、クライアント端末4の負荷も低減される。尚、着信待機サーバ3発の自立的な送信であれば、接続確立を行わないコネクションレス型通信であってもよい。
【0064】
また、本実施形態では、着信待機サーバ3は、クライアント端末4からの信号送信を受けて、当該信号を送信したクライアント端末4の識別情報と有効期限情報と対応づけて記憶する。そして、着信待機サーバ3は、未経過の有効期限情報に対応づけられた識別情報が示すクライアント端末4に対して発信元情報を送信する。これにより、着信待機サーバ3発の接続確立を契機としたコネクション型又はコネクションレス型の通信効率は高まり、LAN202上の関係のない端末への影響は低減される。
【0065】
(第2の実施形態)
図6に、第2の実施形態に係る着信待機サーバ3を含むCTIシステムを示す。図6に示すように、CTIシステムは、着信待機サーバ3をツリー構造に複数備える。
【0066】
最上位の着信待機サーバ3は、Webサーバ2と発信元情報の送受信を行う。最下位の着信待機サーバ3は、それぞれ複数のクライアント端末4を担当し、担当のクライアント端末4に発信元情報を送信する。
【0067】
このツリー構造に配置された着信待機サーバ3は、CTIサーバ1からの発信元情報を上位から下位へリレーし、最下位の着信待機サーバ3が担当のクライアント端末4に発信元情報を送信する。担当のクライアント端末4とは、セッションが記憶されているクライアント端末4である。クライアント端末4の信号送信部43は、生存通知の信号の宛先を予め記憶している。
【0068】
各着信待機サーバ3は、最上位の着信待機サーバ3を除いて、クライアント端末4の信号送信部43を備え、一つ上位の着信待機サーバ3に対して生存通知の信号を送信する。また、上位の着信待機サーバ3は、一つ下位の着信待機サーバ3のセッションを作成する。そして、上位の着信待機サーバ3は、有効に存在するセッションの着信待機サーバ3に対して接続確立要求を行い、接続確立後、発信元情報を送信する。
【0069】
即ち、本実施形態においては、着信待機サーバ3間の発信元情報の送受信方法として、第1の実施形態における上位の着信待機サーバ3発の接続確立要求を契機としたコネクション型通信とセッションの概念を採用している。
【0070】
具体的には、最上位の着信待機サーバ3以外は、着信待機の処理は行わない。換言すると、最上位以外の着信待機サーバ3の受信部3は、発信元情報の送信を要求する要求信号を送出しない。即ち、着信待機サーバ3間の通信は、上位の着信待機サーバ3発の接続確立要求を契機とした通信である。コネクション型通信より着信待機サーバ3間の発信元情報送受信を行う場合は、最上位以外の着信待機サーバ3の受信部31は、一つ上位の着信待機サーバ3による接続確立要求を受けて接続を確立し、発信元情報を受信する。
【0071】
尚、上位の着信待機サーバ3発の自立的な通信であれば、コネクションレス型通信を採用することもでき、最上位以外の着信待機サーバ3の受信部31は、受信データの宛先が自身の識別情報であれば、当該データから発信元情報を取り出す。一方、受信データの宛先が自身の識別情報でなければ、当該データを破棄する。
【0072】
この第2の実施形態に係るCTIシステムの動作について図7及び図8に基づき説明する。図7は、この第2の実施形態に係る生存通知動作を示すシーケンス図である。図8は、第2の実施形態に係る発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。最上位の着信待機サーバ3とWebサーバ2との間で行われる着信待機処理については、第1の実施形態と同一につき、その詳細な説明を省略する。
【0073】
以下、着信待機サーバ3は、2段のツリー構造で配置されているものとして説明する。最下位の2台の着信待機サーバ3は、同一の処理を行うため、代表して1台の最下位の着信待機サーバ3と最上位の着信待機サーバ3との関係についてのみを説明する。
【0074】
まず、第2の実施形態に係る生存通知動作について図7を参照して説明する。尚、クライアント端末4と最下位の着信待機サーバ3との生存通知処理については、図3と同一につき、図示するのみとして、その詳細な説明を省略する。
【0075】
図7に示すように、始に、下位の着信待機サーバ3の信号送信部43は、所定時間毎に生存通知を示す信号を上位の着信待機サーバ3に送信する(S31)。上位の着信待機サーバ3の作成判断部331は、信号を受信すると、セッション記憶部333を参照して有効なセッションの存在を判断する(S32)。
【0076】
判断の結果、有効なセッションが不存在ならば(S32,No)、登録部332は、セッションを作成する(S33)。一方、判断の結果、有効なセッションが存在すれば(S32,Yes)、登録部332は、セッションの有効期限を延長する(S34)。
【0077】
次に、第2の実施形態に係る発信元情報の転送動作について図8を参照して説明する。尚、CTIサーバ1とWebサーバ2と最上位の着信待機サーバ3との間、及び最下位の着信待機サーバ3とクライアント端末4との間における発信元情報の転送処理については、図5と同一につき、図示するのみとして、その詳細な説明を省略する。
【0078】
図8に示すように、まず、発信元情報の転送動作において、CTIサーバ1とWebサーバ2と最上位の着信待機サーバ3との間では、S21〜S25の処理を行う。そして、上位の着信待機サーバ3の受信部31が発信元情報を含む応答を受け取ると、その送信判断部321は、セッション記憶部333を参照して、有効期限が未経過のセッションから下位の着信待機サーバ3の識別情報を読み出す(S41)。そして、上位の着信待機サーバ3の送信部32は、読み出された識別情報が示す下位の着信待機サーバ3に接続確立要求を行い、接続確立後、発信元情報を当該下位の着信待機サーバ3に送信する(S42)。
【0079】
発信元情報がリレーされて到達した最下位の着信待機サーバ3では、S26及びS27の処理を行い、担当のクライアント端末4に対して発信元情報を送信する。
【0080】
以上のように、本実施形態の着信待機サーバ3は、ツリー型に複数配置され、下位側にクライアント端末4がネットワークを介して接続され、CTIサーバ1からの発信元情報を上位から下位の着信待機サーバ3にリレーして複数のクライアント4に発信元情報を送信するようにした。これにより、クライアント数が多くなっても着信待機サーバ3がボトルネックとなることはない。
【0081】
(第3の実施形態)
第2の実施形態においては、ツリー型の着信待機サーバ3は、上位の着信待機サーバ3発のコネクションレス型の通信によって発信元情報をリレーするようにした。この実施形態に代えて、着信待機サーバ3間においても着信待機処理によって発信元情報の送受信を行うようにしてもよい。
【0082】
即ち、上位の着信待機サーバ3は、Webサーバ2の送受信部21と同一の構成を有している。また、生存通知処理は、第1の実施形態と同様に最下位の着信待機サーバ3とクライアント端末4との間についてのみ行われる。上位の着信待機サーバ3は、セッション作成部33及び送信判断部321を備えず、また受信部31における有効なセッションの有無の確認を行わない。
【0083】
まず、第3の実施形態に係る着信待機動作について説明する。図9は、第3の実施形態に係る着信待機動作を示すシーケンス図である。
【0084】
最初に、最下位の着信待機サーバ3の受信部31は、有効なセッションの存在を確認する(S51)。セッションが不存在ならば(S51,No)、この着信待機処理を終了する。一方、有効なセッションが存在していれば(S51,Yes)、受信部31は、上位の着信待機サーバ3に発信元情報を要求する信号を送出する(S52)。
【0085】
一つ上位の着信待機サーバ3の送受信部21は、発信元情報を要求する信号を受信すると、一つ下位の着信待機サーバ3との接続を確立し(S53)、一定時間待機する(S54)。当該下位の着信待機サーバ3の受信部31も接続確立の後、応答受信のために一定時間待機することとなる(S55)。同時に、Webサーバ2と最上位の着信待機サーバ3との間では、S12〜S19の処理が行われる。
【0086】
一定の待機時間が経過すると、一つ上位の着信待機サーバ3の送受信部21は、一つ下位の着信待機サーバ3に空の応答を返し(S56)、接続を解除する(S57)。一方、当該下位の着信待機サーバ3の受信部31も、一定待機時間の終了までに未応答であるか(S58,No)、応答の返却がされると(S58,Yes)、接続を解除する(S59)。
【0087】
次に、第3の実施形態に係る発信元情報の転送動作について説明する。図10は、第3の実施形態に係る発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。
【0088】
まず、CTIサーバ1、Webサーバ2、及び最上位の着信待機サーバ3は、S21〜S25の処理を行う。そして、Webサーバ2の送受信部21が、受信した発信元情報を含む応答を最上位の着信待機サーバ3に返すと(S23)、上位の着信待機サーバ3の送受信部21は、受信した発信元情報を含む応答を接続を確立して待機中となっている一つ下位の着信待機サーバ3に返す(S61)。
【0089】
最下位の着信待機サーバ3の受信部31が発信元情報を含む応答を受け取ると、最下位の着信待機サーバ3は、S26及びS27の有効なセッションのクライアント端末4に対する接続確立要求と接続確立後の発信元情報の送信を行う。
【0090】
以上のように、着信待機サーバ3間においても着信待機処理を行うようすることで、上位の着信待機サーバ3発の下位の着信待機サーバ3に対する接続要求を行わない又は行えない場合であっても、着信待機サーバ3をツリー構造で配置することが可能となり、クライアント数が多くなっても着信待機サーバ3がボトルネックとなることはない。
【符号の説明】
【0091】
1 CTIサーバ
11 PBX
12 送受信部
2 Webサーバ
21 送受信部
3 着信待機サーバ
31 受信部
32 送信部
33 セッション作成部
331 作成判断部
332 登録部
333 セッション記憶部
4 クライアント端末
41 表示制御部
42 モニタ
43 信号送信部
5 内部電話機
6 外部電話機
100 提供者機関
101 LAN
200 利用者機関
201 ファイアウォール
202 LAN
300 発信者
400 電話回線網
500 インターネット網
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信者の電話機からの着信を転送するとともに該電話機の発信元情報をクライアント端末に通知するCTIシステム及びこれが備える着信待機サーバに関し、特にインターネット網を隔てるファイアウォールの内部側に配されたクライアント端末に発信者の電話機の発信元情報を送信するCTIシステム及び着信待機サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
CTI(Computer Telephony Integration)においては、CTIサーバを発信者の電話機とコールセンター等の利用者のクライアント端末との間に介在させた構成を有する。CTIサーバは、発信者の電話機からの着信をコールセンターの電話機に転送するとともに、その電話機の発信元情報をクライアント端末に送信している。このCTI技術によると、データベース上で発信元情報と顧客の各種情報を紐付けしておくことで、クライアント端末には、顧客の各種情報を表示させることができ、顧客に対する電話による窓口業務を大幅に効率化できる。
【0003】
従来は、CTIサーバをコールセンターと同一構内に配置する場合が多かった。しかし、近年、CTIサーバをクライアント端末が接続されたLANから切り離し、インターネット網を介してCTIサーバとクライアント端末を接続する方法も用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このインターネット網を利用したCTIシステムを図11に示す。図11に示すように、CTIサーバ1Pとクライアント端末4Pとは、インターネット網500を介して接続される。インターネット網500を介した通信のために、CTIサーバ1Pとクライアント端末4Pとの間には、Webサーバ2Pが新たに設置されている。セキュリティ確保の観点から、クライアント端末4Pとインターネット網500との間にはファイアウォール201が設置される。即ち、CTIサーバ1P及びWebサーバ2Pと、クライアント端末4Pとは、ファイアウォール201で隔てられる。
【0005】
ファイアウォール201は、セキュリティポリシーによって外部機器であるWebサーバ2P発のクライアント端末4Pへのデータ配信を制限している場合が多い。また、クライアント端末4Pから外部機器へアクセスする場合、クライアント端末4Pのアドレスを隠蔽するためにプロキシサーバを経由することも多い。
【0006】
そこで、このようなインターネット網500とファイアウォール201とでCTIサーバ1P及びWebサーバ2Pとクライアント端末4Pを隔てたCTIシステムでは、定期監視型又は疑似サーバプッシュ型の発信元情報配信が行われる(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−290573号公報
【特許文献2】特開2009−110412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
定期監視型による発信元情報の送信処理では、クライアント端末から定期的にCTIサーバ側に発信元情報の有無を問い合わせる。CTIシステムでは、発信元情報の通知に即時性が要求され、発信者の電話機からの着信に合わせて発信元情報が通知される必要がある。そのため、クライアント端末からの問い合わせは、非常に短い間隔で行われており、Webサーバにとって、多大な負荷となっている。例えば、クライアント端末が1000台存在し、1秒間隔で各クライアント端末が問い合わせを行うと、Webサーバは、毎秒1000アクセスの処理を要する。即時性の観点から、問い合わせ間隔を長くすることは妥当ではない。
【0009】
そこで、疑似サーバプッシュ型による発信元情報の送信処理では、クライアント端末からの問い合わせに対して、Webサーバは、即座に応答せず、一定時間が経過するまでクライアント端末を待機させ、一定時間が経過しても発信元情報の着信がない場合に着信無しの応答を返却するようにしている。そのため、着信に対する発信元情報通知の即時性は確保されるが、Webサーバが各クライアント端末に対する接続を確立させ続けなくてはならない点で、Webサーバの多大な負荷は解消できていない。
【0010】
Webサーバの負荷軽減のためには、冗長化が検討されるところではあるが、将来のクライアント数の増減を予測することは困難であり、コストパフォーマンスに優れた冗長化計画は立てにくい。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、インターネット網を隔てるファイアウォールの内部側に配されたクライアント端末に発信者の電話機の発信元情報を送信するCTIシステムに関し、即時性を維持しつつ、システムにかかる負荷を軽減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るCTIシステムは、インターネット網を隔てるファイアウォールの内部側に配されたクライアント端末に外部電話機の発信元情報を送信するCTIシステムであって、前記ファイアウォールの外部側に配され、第1の電話機からの着信を第2の電話機に転送するとともに、前記第1の電話機の発信元情報を送信するCTIサーバと、前記ファイアウォールの内部側に配されて、前記CTIサーバと前記クライアント端末との間に介在し、前記CTIサーバからの前記発信元情報を受信して、前記クライアント端末に当該発信元情報を送信する着信待機サーバと、を備えること、を特徴とする。
【0013】
前記着信待機サーバは、当該着信待機サーバ発の接続確立を契機に前記複数のクライアント端末に前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【0014】
前記着信待機サーバは、前記クライアント端末からの信号の送信を受けて、当該信号を送信した前記クライアント端末の識別情報と有効期限情報と対応づけて記憶し、未経過の前記有効期限情報に対応づけられた前記識別情報が示す前記クライアント端末に対して前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【0015】
前記着信待機サーバは、ツリー型に複数配置され、下位側に前記クライアント端末がネットワークを介して接続され、前記CTIサーバからの前記発信元情報を上位から下位の前記着信待機サーバにリレーして前記複数のクライアントに前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明に係る着信待機サーバは、インターネット網とクライアント端末とを隔てるファイアウォールの内部側に配され、第1の電話機からの着信を第2の電話機に転送するとともに前記第1の電話機の発信元情報を送信する前記ファイアウォールの外部側のCTIサーバと前記クライアント端末との間に介在する着信待機サーバであって、前記発信元情報を受信する受信手段と、前記受信手段が前記発信元情報を受信すると、前記クライアント端末に前記発信元情報を送信する送信手段と、を備えること、を特徴とする。
【0017】
前記送信手段は、当該送信手段発の接続確立を契機に前記複数のクライアント端末に前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【0018】
前記クライアント端末からの信号を受けて、当該信号を送信した前記クライアント端末の識別情報と有効期限情報と対応づけて記憶する記憶手段を更に備え、前記送信手段は、未経過の前記有効期限情報に対応づけられた前記識別情報が示す前記クライアント端末に対して前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【0019】
前記着信待機サーバは、前記受信手段と前記送信手段を有する複数のサーバをツリー型で有し、前記各受信手段及び前記各送信手段は、前記CTIサーバからの前記発信元情報を上位から下位のサーバにリレーして、前記会側にネットワークを介して接続された複数の前記クライアントに前記発信元情報を送信するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数のクライアント端末とCTIサーバとの間に介在する着信待機サーバがこれらクライアント端末を代表して着信待機処理を行うため、サーバの冗長化に依らずにCTIサーバ側の負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態に係るCTIシステムのネットワーク構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る着信待機サーバとクライアント端末の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係るクライアント端末の生存通知動作を示すシーケンス図である。
【図4】第1の実施形態に係る発信元情報の着信待機動作を示すシーケンス図である。
【図5】第1の実施形態に係る発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。
【図6】第2の実施形態に係るCTIシステムのネットワーク構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態に係る生存通知動作を示すシーケンス図である。
【図8】第2の実施形態に係る発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。
【図9】第3の実施形態に係る着信待機動作を示すシーケンス図である。
【図10】第3の実施形態に係る発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。
【図11】従来のCTIシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るCTIシステム、CTIシステムが備える着信待機サーバ、及びこのCTIシステムの発信元情報の通知方法の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るCTIシステムのネットワーク構成を示すブロック図である。CTIシステムは、CTIサーバ1、Webサーバ2、及び着信待機サーバ3を備える。
【0023】
このCTIシステムは、発信者300の外部電話機6と利用者機関200の内部電話機5との間に介在し、外部電話機6の電話通信を内部電話機5に転送するとともに、外部電話機6と利用者機関200の複数のクライアント端末4との間に介在し、外部電話機6の発信元情報を各クライアント端末4に送信する。
【0024】
外部電話機6及び内部電話機5は、固定電話、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の電話機能を備えた端末である。複数のクライアント端末4は、利用者機関200に設置された所謂パーソナルコンピュータであり、受信した発信元情報を表示する。発信元情報は、外部電話機6の電話番号情報であり、外部電話機6側の交換機によって生成され、CTIシステムへ送信される。
【0025】
CTIサーバ1は、提供者機関100に設置されている所謂コンピュータである。このCTIサーバ1は、PBX11及び送受信部12を有し、電話回線網400を介した通信とLAN101を介した通信を行う。LAN101は、提供者機関100に敷設されている。
【0026】
PBX11は、交換機であり、電話回線網400と接続されている。電話回線網400は、通話通信が可能な回線網であり、公衆回線や専用回線を含む。PBX11は、複数の外部トランクと内部トランクとスイッチ機構を有し、外部電話機6の呼が着信した外部トランクと内部電話機5に発信した外部トランクとを接続することで、外部電話機6の着信を内部電話機5へ転送する。このPBX11は、専用電子回路により構成しても、CPU及びモデムを含み構成してもよく、またCTIサーバ1と一体として構成されていても別体として構成されていてもよい。
【0027】
送受信部12は、LAN101と接続され、PBX11に着信した発信元情報をポーリングやPBX11のイベント通知等によって取得し、Webサーバ2へ送信する。
【0028】
Webサーバ2は、CTIサーバ1と同様に提供者機関100に設置されている所謂コンピュータであり、送受信部21を有する。送受信部21は、LAN101と接続され、CTIサーバ1から送信された発信元情報をポーリングやCTIサーバ1のイベント通知等によって受信する。また、送受信部21は、インターネット網500と接続され、受信した発信元情報をインターネット500網を介して着信待機サーバ3へ送信する。
【0029】
送受信部21は、着信待機サーバ3からの着信待機要求を契機として、着信待機サーバ3との一定時間の接続を確立し、その接続確立中に発信元情報を受信できなければ、空の応答を返して、接続を解除する。一定時間の接続確立は、例えば無応答によって行われる。空の応答とは、信号に発信元情報を含まない応答である。例えば、送受信部21は、空の応答に「無し」を示す情報、例えば「0」を含める。
【0030】
着信待機サーバ3は、利用者機関200のファイアウォール201内部側に設置された所謂コンピュータであり、ファイアウォール201を介してインターネット網500と接続され、また利用者機関200に敷設されたLAN202に接続されている。この着信待機サーバ3は、インターネット網500を介したWebサーバ2との発信元情報の送受信、及びLAN202を介したクライアント端末4への発信元情報の送信を行う。Webサーバ2と着信待機サーバ3との間で行われる発信元情報の送受信は、ファイアウォール201のセキュリティポリシーにより、着信待機サーバ3発の通信要求を契機として行われる。
【0031】
即ち、本実施形態に係るCTIシステムにおいては、CTIサーバ1及びWebサーバ2と、クライアント端末4とは、インターネット500とファイアウォール201とを介して接続され、また、その間には、各クライアント端末4を代表して発信元情報の送受信要求を行う着信待機サーバ3が介在している。
【0032】
このCTIシステムにおいて、着信待機サーバ3の構成を更に詳細に説明する。図2は、着信待機サーバ3とクライアント端末4の詳細な構成を示すブロック図である。
【0033】
着信待機サーバ3は、受信部31、送信部32、及びセッション作成部33を備える。クライアント端末4は、信号送信部43、表示制御部41、及びモニタ42を備える。
【0034】
セッション作成部33は、セッションを作成する。セッションは、信号を送信したクライアント端末4の識別情報と当該セッションの有効期限を示す情報であり、クライアント端末4の生存を示す情報となる。クライアント端末4では、信号送受信部43により生存を通知する信号が所定時間毎に生成される。信号送受信部43は、LAN202を介して当該信号を着信待機サーバ3に送信する。
【0035】
セッション作成部33は、作成判断部331と、登録部332と、セッション記憶部333とを備える。
【0036】
作成判断部331は、クライアント端末4からの信号受信を契機として、セッション記憶部333を参照し、当該信号を送信したクライアント端末4のセッションの有無を確認する。セッションは、セッション記憶部333に記憶されている。作成判断部331は、セッションの有無確認の際にセッション記憶部333を参照する。信号を送信したクライアント端末4の識別情報を含んだセッションが存在しなければ、登録部332に該クライアント端末4のセッションを作成させる。セッションが存在していれば、登録部332に該セッションを更新させる。
【0037】
登録部332は、受信した信号に含まれる識別情報を取得する。識別情報は、例えばクライアント端末4のローカルIPアドレスである。また、登録部332は、着信待機サーバ3の内部時計やタイムサーバの送出する時刻を信号受信を契機に取得し、取得した時刻に所定時間を加えた有効期限情報を生成する。
【0038】
登録部332は、この識別情報と有効期限情報を対応づけて、信号を送信したクライアント端末4に対するセッションとしてセッション記憶部333に記憶させる。セッションがすでに存在していれば、有効期限情報のみを作成し、有効期限情報を更新する。即ち、有効期限情報を書き換える。一方、登録部332は、セッション記憶部333を定期的に監視し、有効期限情報が示す有効期限が切れたセッションを破棄する。
【0039】
受信部31は、発信元情報の送信を要求する要求信号をWebサーバ2に送信し、接続確立中に発信元情報がWebサーバ2から送信されてくれば、当該発信元情報を受信する。受信部31は、接続確立中に応答が返されるか、一定期間が経過すれば、接続を解除する。返される応答は、発信元情報を含む応答か、「無し」を示す「0」を含む応答である。
【0040】
受信部31は、要求信号の送出前にセッションの有無及び有効性を確認する。受信部31は、一つでも有効なセッションが存在すれば、即ち、要求信号の送出前にセッション記憶部333を参照した結果、有効期限情報が現在時刻より未来のセッションが記憶されていれば、要求信号を送出する。
【0041】
送信部32は、LAN202と接続され、受信部31が受信した発信元情報を複数のクライアント端末4に対して送信する。この送信部32は、送信判断部321を有し、セッション記憶部333に記憶され、且つ有効期限が未経過のセッションが示すクライアント端末4に対してのみ発信元情報を送信する。
【0042】
送信部32は、着信待機サーバ3発の接続確立要求を契機としたコネクション型通信でクライアント端末4と接続を確立し、接続確立後に発信元情報を送信する。クライアント端末4側からは、発信元情報の要求信号は出力されない。即ち、TCP等の通信プロトコルを用いてユニキャスト通信を行うが、ユニキャスト通信の際は、送信部32側からクライアント端末4に対してイベント通知等の通信の確立要求を行い、接続確立後に発信元情報を送信する。
【0043】
尚、クライアント端末4側から発信元情報の要求信号を出力しなければ、コネクションレス型通信であってもよい。コネクションレス型通信では、UDP等の通信プロトコルを用いてマルチキャスト通信を行い、送信部32側及びクライアント端末4の双方ともに通信の確立を要求せず、送信部32から一方的にクライアント端末4に発信元情報を送信する。
【0044】
クライアント端末4の表示制御部41は、受信した発信元情報をモニタ42に表示させる。尚、発信者300の各種情報を発信元情報に対応づけて記憶したデータベースをLAN202に接続しておき、表示制御部41により、受信した発信元情報とデータベースとにより発信者300の各種情報を取得して、モニタ42に発信元情報とともに表示させるようにしてもよい。
【0045】
このCTIシステムにおいて、クライアント端末4の生存通知方法、発信元情報の着信待機方法、及び発信元情報の転送方法についてさらに詳細に説明する。まず、図3を参照してクライアント端末4の生存通知方法を更に詳細に説明する。図3は、クライアント端末4の生存通知動作を示すシーケンス図である。
【0046】
最初に、クライアント端末4の信号送信部43は、所定時間毎に生存通知を示す信号を着信待機サーバ3に送信する(S01)。信号の生成及び送信間隔は、有効期限情報の生成の際に加算される所定時間に準じる。即ち、信号の生成及び送信間隔は、クライアント端末4の負荷低減の観点から、この所定時間と同じか、それよりも短い。
【0047】
着信待機サーバ3の作成判断部331は、生存通知を示す信号を受信すると、セッション記憶部333にセッションが存在するか判断する(S02)。具体的には、作成判断部331は、受信した信号に付随するクライアント端末4の識別情報を含むセッションを検索する。
【0048】
判断の結果、セッションが不存在ならば(S02,No)、登録部332は、セッションを作成する(S03)。具体的には、登録部332は、信号に付随する識別情報を取り出し、また内部時計やタイムサーバから時刻情報を取得し、時刻情報に所定時間を加算した有効期限情報を作成し、識別情報と有効期限情報とを対応づけてセッション記憶部333に記憶させる。
【0049】
判断の結果、セッションが存在すれば(S02,Yes)、登録部332は、セッションの有効期限を延長する(S04)。具体的には、登録部332は、有効期限情報を作成し、セッションに含まれる有効期限情報を書き換える。
【0050】
このS01〜S04の処理は、クライアント端末4の信号送出イベントに応答して繰り返し行われる。尚、登録部332のセッション破棄の処理は、セッションの有効期限と同じかそれよりも長い程度の頻度で繰り返し行われるのがよい。
【0051】
次に、図4を参照して発信元情報の着信待機方法について更に詳細に説明する。図4は、発信元情報の着信待機動作を示すシーケンス図である。
【0052】
まず、 着信待機サーバ3の受信部31は、有効なセッションの存在を確認する(S11)。具体的には、受信部31は、セッション記憶部333にセッションが記憶されているか確認する。セッションが記憶されていれば、受信部31は、現在時刻を取得し、セッションの有効期限情報と比較する。セッションが記憶されており、且つ比較の結果、有効期限が未経過であれば、セッションは存在するものと確認される。
【0053】
セッションが不存在ならば(S11,No)、着信待機処理を終了する。一方、セッションが存在するならば(S11,Yes)、受信部31は、Webサーバ2に発信元情報を要求する信号を送出する(S12)。
【0054】
Webサーバ2の送受信部21は、発信元情報を要求する信号を受信すると、着信待機サーバ3との接続を確立し(S13)、一定時間待機する(S14)。着信待機サーバ3の受信部31も接続確立の後、応答受信のために一定時間待機することとなる(S15)。
【0055】
一定の待機時間が経過すると、Webサーバ2の送受信部21は、着信待機サーバ3に空の応答を返し(S16)、接続を解除する(S17)。一方、着信待機サーバ3の受信部31も、一定の待機時間が終了するまでに応答がないか(S18)、応答が返却されると(S16)、接続を解除する(S19)。
【0056】
更に、図5を参照して発信元情報の転送方法について更に詳細に説明する。Webサーバ2及び着信待機サーバ3の図4に示す着信待機中に、CTIサーバ1が発信元情報を取得した場合の動作である。図5は、発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。
【0057】
まず、CTIサーバ1のPBX11が発信元情報を受信すると(S21)、CTIサーバ1の送受信部12は、当該発信元情報をイベント通知によってWebサーバ2に送信する(S22)。
【0058】
Webサーバ2の送受信部21は、受信した発信元情報を含む応答を着信待機サーバ3に返す(S23)。また、送受信部21は、CTIサーバ1に着信通知の応答を返す(S24)。CTIサーバ1に着信通知の応答が送達されると、PBX11は、外部電話機6からの着信を内部電話機5に転送する(S25)。
【0059】
着信待機サーバ3の受信部31が発信元情報を含む応答を受信すると、送信判断部321は、セッション記憶部333を参照して、有効期限が未経過のセッションからクライアント端末4の識別情報を読み出す(S26)。送信部32は、読み出された識別情報が示すクライアント端末4に対して送信部32発の接続確立要求を行い、接続確立後、当該クライアント端末4に発信元情報を送信する(S27)。
【0060】
クライアント端末4では、発信元情報を受信すると、表示制御部41が当該発信元情報をモニタ42に表示させる。また、LAN202に発信者の各種情報を記憶したデータベースを配置している場合には、表示制御部41は、発信元情報を検索キーとするデータベースの検索を行い、発信者の各種情報を取得して、モニタ42に表示させる。
【0061】
以上のように、本実施形態では、CTIシステムは、クライアント端末4とCTIサーバ1との間に着信待機サーバ3を介在させる。クライアント端末4は、インターネット網500を隔てるファイアウォール201の内部側に配されており、CTIサーバ1は外部側、着信待機サーバ3は内部側に位置させる。そして、CTIサーバ1は、外部電話機6からの着信を内部電話機5に転送するとともに、発信元情報を着信待機サーバ3に送信する。着信待機サーバ3は、発信元情報の送信を受けて、複数のクライアント端末4に発信元情報を送信する。
【0062】
即ち、複数のクライアント端末4とCTIサーバ1との間に介在する着信待機サーバ3がこれらクライアント端末4を代表して着信待機処理を行う。これにより、冗長化に依ることなく、即時性が担保されたままCTIサーバ1側の負荷は低減される。
【0063】
また、本実施形態では、着信待機サーバ3は、着信待機サーバ3発の接続確立要求を契機に複数のクライアント端末4に発信元情報を送信する。即ち、クライアント端末4からの発信元情報の送信要求を要せずに、着信待機サーバ3から発信元情報をクライアント端末4に自立的に送信する。これにより、クライアント端末4側のリソースを発信元情報の取得のために割く割合は劇的に低下し、クライアント端末4の負荷も低減される。尚、着信待機サーバ3発の自立的な送信であれば、接続確立を行わないコネクションレス型通信であってもよい。
【0064】
また、本実施形態では、着信待機サーバ3は、クライアント端末4からの信号送信を受けて、当該信号を送信したクライアント端末4の識別情報と有効期限情報と対応づけて記憶する。そして、着信待機サーバ3は、未経過の有効期限情報に対応づけられた識別情報が示すクライアント端末4に対して発信元情報を送信する。これにより、着信待機サーバ3発の接続確立を契機としたコネクション型又はコネクションレス型の通信効率は高まり、LAN202上の関係のない端末への影響は低減される。
【0065】
(第2の実施形態)
図6に、第2の実施形態に係る着信待機サーバ3を含むCTIシステムを示す。図6に示すように、CTIシステムは、着信待機サーバ3をツリー構造に複数備える。
【0066】
最上位の着信待機サーバ3は、Webサーバ2と発信元情報の送受信を行う。最下位の着信待機サーバ3は、それぞれ複数のクライアント端末4を担当し、担当のクライアント端末4に発信元情報を送信する。
【0067】
このツリー構造に配置された着信待機サーバ3は、CTIサーバ1からの発信元情報を上位から下位へリレーし、最下位の着信待機サーバ3が担当のクライアント端末4に発信元情報を送信する。担当のクライアント端末4とは、セッションが記憶されているクライアント端末4である。クライアント端末4の信号送信部43は、生存通知の信号の宛先を予め記憶している。
【0068】
各着信待機サーバ3は、最上位の着信待機サーバ3を除いて、クライアント端末4の信号送信部43を備え、一つ上位の着信待機サーバ3に対して生存通知の信号を送信する。また、上位の着信待機サーバ3は、一つ下位の着信待機サーバ3のセッションを作成する。そして、上位の着信待機サーバ3は、有効に存在するセッションの着信待機サーバ3に対して接続確立要求を行い、接続確立後、発信元情報を送信する。
【0069】
即ち、本実施形態においては、着信待機サーバ3間の発信元情報の送受信方法として、第1の実施形態における上位の着信待機サーバ3発の接続確立要求を契機としたコネクション型通信とセッションの概念を採用している。
【0070】
具体的には、最上位の着信待機サーバ3以外は、着信待機の処理は行わない。換言すると、最上位以外の着信待機サーバ3の受信部3は、発信元情報の送信を要求する要求信号を送出しない。即ち、着信待機サーバ3間の通信は、上位の着信待機サーバ3発の接続確立要求を契機とした通信である。コネクション型通信より着信待機サーバ3間の発信元情報送受信を行う場合は、最上位以外の着信待機サーバ3の受信部31は、一つ上位の着信待機サーバ3による接続確立要求を受けて接続を確立し、発信元情報を受信する。
【0071】
尚、上位の着信待機サーバ3発の自立的な通信であれば、コネクションレス型通信を採用することもでき、最上位以外の着信待機サーバ3の受信部31は、受信データの宛先が自身の識別情報であれば、当該データから発信元情報を取り出す。一方、受信データの宛先が自身の識別情報でなければ、当該データを破棄する。
【0072】
この第2の実施形態に係るCTIシステムの動作について図7及び図8に基づき説明する。図7は、この第2の実施形態に係る生存通知動作を示すシーケンス図である。図8は、第2の実施形態に係る発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。最上位の着信待機サーバ3とWebサーバ2との間で行われる着信待機処理については、第1の実施形態と同一につき、その詳細な説明を省略する。
【0073】
以下、着信待機サーバ3は、2段のツリー構造で配置されているものとして説明する。最下位の2台の着信待機サーバ3は、同一の処理を行うため、代表して1台の最下位の着信待機サーバ3と最上位の着信待機サーバ3との関係についてのみを説明する。
【0074】
まず、第2の実施形態に係る生存通知動作について図7を参照して説明する。尚、クライアント端末4と最下位の着信待機サーバ3との生存通知処理については、図3と同一につき、図示するのみとして、その詳細な説明を省略する。
【0075】
図7に示すように、始に、下位の着信待機サーバ3の信号送信部43は、所定時間毎に生存通知を示す信号を上位の着信待機サーバ3に送信する(S31)。上位の着信待機サーバ3の作成判断部331は、信号を受信すると、セッション記憶部333を参照して有効なセッションの存在を判断する(S32)。
【0076】
判断の結果、有効なセッションが不存在ならば(S32,No)、登録部332は、セッションを作成する(S33)。一方、判断の結果、有効なセッションが存在すれば(S32,Yes)、登録部332は、セッションの有効期限を延長する(S34)。
【0077】
次に、第2の実施形態に係る発信元情報の転送動作について図8を参照して説明する。尚、CTIサーバ1とWebサーバ2と最上位の着信待機サーバ3との間、及び最下位の着信待機サーバ3とクライアント端末4との間における発信元情報の転送処理については、図5と同一につき、図示するのみとして、その詳細な説明を省略する。
【0078】
図8に示すように、まず、発信元情報の転送動作において、CTIサーバ1とWebサーバ2と最上位の着信待機サーバ3との間では、S21〜S25の処理を行う。そして、上位の着信待機サーバ3の受信部31が発信元情報を含む応答を受け取ると、その送信判断部321は、セッション記憶部333を参照して、有効期限が未経過のセッションから下位の着信待機サーバ3の識別情報を読み出す(S41)。そして、上位の着信待機サーバ3の送信部32は、読み出された識別情報が示す下位の着信待機サーバ3に接続確立要求を行い、接続確立後、発信元情報を当該下位の着信待機サーバ3に送信する(S42)。
【0079】
発信元情報がリレーされて到達した最下位の着信待機サーバ3では、S26及びS27の処理を行い、担当のクライアント端末4に対して発信元情報を送信する。
【0080】
以上のように、本実施形態の着信待機サーバ3は、ツリー型に複数配置され、下位側にクライアント端末4がネットワークを介して接続され、CTIサーバ1からの発信元情報を上位から下位の着信待機サーバ3にリレーして複数のクライアント4に発信元情報を送信するようにした。これにより、クライアント数が多くなっても着信待機サーバ3がボトルネックとなることはない。
【0081】
(第3の実施形態)
第2の実施形態においては、ツリー型の着信待機サーバ3は、上位の着信待機サーバ3発のコネクションレス型の通信によって発信元情報をリレーするようにした。この実施形態に代えて、着信待機サーバ3間においても着信待機処理によって発信元情報の送受信を行うようにしてもよい。
【0082】
即ち、上位の着信待機サーバ3は、Webサーバ2の送受信部21と同一の構成を有している。また、生存通知処理は、第1の実施形態と同様に最下位の着信待機サーバ3とクライアント端末4との間についてのみ行われる。上位の着信待機サーバ3は、セッション作成部33及び送信判断部321を備えず、また受信部31における有効なセッションの有無の確認を行わない。
【0083】
まず、第3の実施形態に係る着信待機動作について説明する。図9は、第3の実施形態に係る着信待機動作を示すシーケンス図である。
【0084】
最初に、最下位の着信待機サーバ3の受信部31は、有効なセッションの存在を確認する(S51)。セッションが不存在ならば(S51,No)、この着信待機処理を終了する。一方、有効なセッションが存在していれば(S51,Yes)、受信部31は、上位の着信待機サーバ3に発信元情報を要求する信号を送出する(S52)。
【0085】
一つ上位の着信待機サーバ3の送受信部21は、発信元情報を要求する信号を受信すると、一つ下位の着信待機サーバ3との接続を確立し(S53)、一定時間待機する(S54)。当該下位の着信待機サーバ3の受信部31も接続確立の後、応答受信のために一定時間待機することとなる(S55)。同時に、Webサーバ2と最上位の着信待機サーバ3との間では、S12〜S19の処理が行われる。
【0086】
一定の待機時間が経過すると、一つ上位の着信待機サーバ3の送受信部21は、一つ下位の着信待機サーバ3に空の応答を返し(S56)、接続を解除する(S57)。一方、当該下位の着信待機サーバ3の受信部31も、一定待機時間の終了までに未応答であるか(S58,No)、応答の返却がされると(S58,Yes)、接続を解除する(S59)。
【0087】
次に、第3の実施形態に係る発信元情報の転送動作について説明する。図10は、第3の実施形態に係る発信元情報の転送動作を示すシーケンス図である。
【0088】
まず、CTIサーバ1、Webサーバ2、及び最上位の着信待機サーバ3は、S21〜S25の処理を行う。そして、Webサーバ2の送受信部21が、受信した発信元情報を含む応答を最上位の着信待機サーバ3に返すと(S23)、上位の着信待機サーバ3の送受信部21は、受信した発信元情報を含む応答を接続を確立して待機中となっている一つ下位の着信待機サーバ3に返す(S61)。
【0089】
最下位の着信待機サーバ3の受信部31が発信元情報を含む応答を受け取ると、最下位の着信待機サーバ3は、S26及びS27の有効なセッションのクライアント端末4に対する接続確立要求と接続確立後の発信元情報の送信を行う。
【0090】
以上のように、着信待機サーバ3間においても着信待機処理を行うようすることで、上位の着信待機サーバ3発の下位の着信待機サーバ3に対する接続要求を行わない又は行えない場合であっても、着信待機サーバ3をツリー構造で配置することが可能となり、クライアント数が多くなっても着信待機サーバ3がボトルネックとなることはない。
【符号の説明】
【0091】
1 CTIサーバ
11 PBX
12 送受信部
2 Webサーバ
21 送受信部
3 着信待機サーバ
31 受信部
32 送信部
33 セッション作成部
331 作成判断部
332 登録部
333 セッション記憶部
4 クライアント端末
41 表示制御部
42 モニタ
43 信号送信部
5 内部電話機
6 外部電話機
100 提供者機関
101 LAN
200 利用者機関
201 ファイアウォール
202 LAN
300 発信者
400 電話回線網
500 インターネット網
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット網を隔てるファイアウォールの内部側に配されたクライアント端末に外部電話機の発信元情報を送信するCTIシステムであって、
前記ファイアウォールの外部側に配され、第1の電話機からの着信を第2の電話機に転送するとともに、前記第1の電話機の発信元情報を送信するCTIサーバと、
前記ファイアウォールの内部側に配されて、前記CTIサーバと前記クライアント端末との間に介在し、前記CTIサーバからの前記発信元情報を受信して、前記クライアント端末に当該発信元情報を送信する着信待機サーバと、
を備えること、
を特徴とするCTIシステム。
【請求項2】
前記着信待機サーバは、
当該着信待機サーバ発の接続確立要求を契機に前記複数のクライアント端末に前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする請求項1記載のCTIシステム。
【請求項3】
前記着信待機サーバは、
前記クライアント端末からの信号の送信を受けて、当該信号を送信した前記クライアント端末の識別情報と有効期限情報と対応づけて記憶し、
未経過の前記有効期限情報に対応づけられた前記識別情報が示す前記クライアント端末に対して前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする請求項2記載のCTIシステム。
【請求項4】
前記着信待機サーバは、
ツリー型に複数配置され、下位側に前記クライアント端末がネットワークを介して接続され、
前記CTIサーバからの前記発信元情報を上位から下位の前記着信待機サーバにリレーして前記複数のクライアントに前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のCTIシステム。
【請求項5】
インターネット網とクライアント端末とを隔てるファイアウォールの内部側に配され、第1の電話機からの着信を第2の電話機に転送するとともに前記第1の電話機の発信元情報を送信する前記ファイアウォールの外部側のCTIサーバと前記クライアント端末との間に介在する着信待機サーバであって、
前記発信元情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記発信元情報を受信すると、前記クライアント端末に前記発信元情報を送信する送信手段と、
を備えること、
を特徴とする着信待機サーバ。
【請求項6】
前記送信手段は、
当該送信手段発の接続確立要求を契機に前記複数のクライアント端末に前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする請求項5記載の着信待機サーバ。
【請求項7】
前記クライアント端末からの信号を受けて、当該信号を送信した前記クライアント端末の識別情報と有効期限情報と対応づけて記憶する記憶手段を更に備え、
前記送信手段は、
未経過の前記有効期限情報に対応づけられた前記識別情報が示す前記クライアント端末に対して前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする請求項6記載の着信待機サーバ。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れかに記載の前記着信待機サーバは、
前記受信手段と前記送信手段を有する複数のサーバをツリー型で有し、
前記各受信手段及び前記各送信手段は、
前記CTIサーバからの前記発信元情報を上位から下位のサーバにリレーして、前記会側にネットワークを介して接続された複数の前記クライアントに前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする着信待機サーバ。
【請求項1】
インターネット網を隔てるファイアウォールの内部側に配されたクライアント端末に外部電話機の発信元情報を送信するCTIシステムであって、
前記ファイアウォールの外部側に配され、第1の電話機からの着信を第2の電話機に転送するとともに、前記第1の電話機の発信元情報を送信するCTIサーバと、
前記ファイアウォールの内部側に配されて、前記CTIサーバと前記クライアント端末との間に介在し、前記CTIサーバからの前記発信元情報を受信して、前記クライアント端末に当該発信元情報を送信する着信待機サーバと、
を備えること、
を特徴とするCTIシステム。
【請求項2】
前記着信待機サーバは、
当該着信待機サーバ発の接続確立要求を契機に前記複数のクライアント端末に前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする請求項1記載のCTIシステム。
【請求項3】
前記着信待機サーバは、
前記クライアント端末からの信号の送信を受けて、当該信号を送信した前記クライアント端末の識別情報と有効期限情報と対応づけて記憶し、
未経過の前記有効期限情報に対応づけられた前記識別情報が示す前記クライアント端末に対して前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする請求項2記載のCTIシステム。
【請求項4】
前記着信待機サーバは、
ツリー型に複数配置され、下位側に前記クライアント端末がネットワークを介して接続され、
前記CTIサーバからの前記発信元情報を上位から下位の前記着信待機サーバにリレーして前記複数のクライアントに前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のCTIシステム。
【請求項5】
インターネット網とクライアント端末とを隔てるファイアウォールの内部側に配され、第1の電話機からの着信を第2の電話機に転送するとともに前記第1の電話機の発信元情報を送信する前記ファイアウォールの外部側のCTIサーバと前記クライアント端末との間に介在する着信待機サーバであって、
前記発信元情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記発信元情報を受信すると、前記クライアント端末に前記発信元情報を送信する送信手段と、
を備えること、
を特徴とする着信待機サーバ。
【請求項6】
前記送信手段は、
当該送信手段発の接続確立要求を契機に前記複数のクライアント端末に前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする請求項5記載の着信待機サーバ。
【請求項7】
前記クライアント端末からの信号を受けて、当該信号を送信した前記クライアント端末の識別情報と有効期限情報と対応づけて記憶する記憶手段を更に備え、
前記送信手段は、
未経過の前記有効期限情報に対応づけられた前記識別情報が示す前記クライアント端末に対して前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする請求項6記載の着信待機サーバ。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れかに記載の前記着信待機サーバは、
前記受信手段と前記送信手段を有する複数のサーバをツリー型で有し、
前記各受信手段及び前記各送信手段は、
前記CTIサーバからの前記発信元情報を上位から下位のサーバにリレーして、前記会側にネットワークを介して接続された複数の前記クライアントに前記発信元情報を送信すること、
を特徴とする着信待機サーバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−90024(P2012−90024A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234157(P2010−234157)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(596106766)株式会社メテム (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(596106766)株式会社メテム (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]