CombretumlaurifoliumMart.の抽出物および抽出の方法およびそのような抽出物の使用
COX−2を阻害する、NF−κBの活性化を阻害する、炎症を治療する、または癌を治療する方法は、治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含む。本明細書に記載の医薬は、医薬的に許容されるビヒクルおよび該ビヒクル中に懸濁された治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を含む。Combretum laurifolium Mart.抽出物の製造方法は、抽出器および溶媒によってCombretum laurifolium Mart.原料を処理して成分溶液を作製すること、ならびに該成分溶液から少なくとも部分的に液体を除去して抽出物を製造することを含む。Combretum laurifolium Mart.抽出物は、種々の溶媒を用いて抽出された成分を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
本願は、2007年9月18日に出願された米国仮特許出願第60/973,400号および2008年2月18日に出願された米国特許出願第12/032,984号に対する優先権を主張し、これらの出願の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
本出願は、炎症および癌を治療するための植物抽出物に一般的に関する。
【背景技術】
【0003】
関節リウマチは、複数の組織に影響を及ぼすが、典型的には関節で最も顕著な徴候をもたらす慢性の炎症性疾患である。関節リウマチは、進行性であり、変性的であり、そして最終的には消耗性である。関節の慢性的炎症は、軟部組織、滑膜および軟骨の破壊のみならず、骨の関節表面の侵食につながる。この疾患は、アメリカ合衆国、ヨーロッパおよび日本で320万を超える人々に影響を及ぼすと推定される。関節リウマチは、女性でより一般的であり、その症例の大部分を占めると推定される。
【0004】
炎症は異物または障害から保護するための体の自然な防御であるが、それは特定の疾患では問題を引き起こすことがある。不適切な炎症は、糖質コルチコイドであるコルチゾールのような伝統的なステロイド、組み換えDNA技術により産生される治療的なタンパク質、および/または非ステロイド性の抗炎症剤(NSAID)で治療することができる。
【0005】
プロスタグランジン類は、体細胞によって産生される化学物質のファミリーであり、疼痛、炎症および発熱の促進を含む多くの必須な機能を果たす。さらに、ある種のプロスタグランジン類は、血液凝固に必要な血小板の機能をサポートし、そして酸による傷害の影響から胃壁を保護する。プロスタグランジン類は、酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)により体細胞内で産生される。
【0006】
COX−2は、多くの機能(疼痛を誘導することを含むがこれに限らない)に関係する酵素である。COX−2は、炎症の原因となる体の領域に特に存在するが、胃の中には存在しない。COX−2は、我々の体の中で、理想的には限定的に活性である;しかし、ダイエット、ストレスおよび傷害などの要因は、COX−2活性を増大する可能性がある。COX−2が継続的に活性な場合、恒常的な疼痛が起こる。
【0007】
具体的な作用メカニズムが完全に分からないとしても、COX−2の阻害は、癌細胞のアポトーシスをもたらすことが分かっている。非特許文献1および非特許文献2を参照のこと。
【0008】
したがって、COX−2を阻害し得る植物抽出物は、様々な疾患を治療することができ、それらは限定されるものではないが、炎症、関節炎、筋肉痛、および癌を含む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Johnsenらの「Cyclooxygenase−2 Is Expressed in Neuroblastoma,and Nonsteroidal Anti−Inflammatory Drugs Induce Apoptosis and Inhibit Tumor Growth In Vivo,」Cancer Research;Vol.64,pages 7210−7215(2004年10月15日)
【非特許文献2】Lauらの「Cyclooxygenase inhibitors modulate the p53/hdm2 pathway and enhance chemotherapy−induced apoptosis in neuroblastoma,」Oncogene,Vol.26,pages 1920−1931(2007)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
COX−を阻害する、NF−κBの活性化を阻害する、炎症を治療する、または癌を治療する方法は、治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含むことができる。本明細書に記載の医薬は、医薬的に許容されるビヒクルおよび該ビヒクル中に懸濁された治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を含むことができる。Combretum laurifolium Mart.抽出物の製造方法は、抽出器および溶媒によってCombretum laurifolium Mart.原料を処理して成分溶液を作製すること、ならびに該成分溶液から液体を少なくとも部分的に除去して抽出物を製造することを含むことができる。Combretum laurifolium Mart.抽出物は、種々の溶媒を用いて抽出された成分を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、4つの異なる溶媒を用いて抽出された9μg/mlの濃度のCombretum laurifolium Mart.抽出物によるインビトロでのCOX−2阻害試験の実験結果を示すグラフである。図1のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.原料からの成分を抽出するために使用された溶媒をx軸に含む。
【図2】図2は、図1の実験の再現結果を示すグラフである。図2のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy−軸に、およびCombretum laurifolium Mart.原料からの成分を抽出するために使用された溶媒をx軸に含む。
【図3】図3は、図1の実験の別の再現結果を示すグラフである。図3のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.原料からの成分を抽出するために使用された溶媒をx軸に含む。
【図4】図4は、図1の実験のさらに別の再現結果を示すグラフである。図4のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.原料からの成分を抽出するために使用された溶媒をx軸に含む。
【図5】図5は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物による種々の濃度におけるインビトロでのCOX−2阻害試験の実験結果を示すグラフである。図5のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の濃度をx軸に含む。
【図6】図6は、図5の実験の再現結果を示すグラフである。図6のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の濃度をx軸に含む。
【図7】図7は、種々の濃度でのCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物に起因する、血清含有培地で培養されたSK−Mel28ヒト悪性黒色腫細胞の細胞増殖の減少試験の実験結果を示すグラフである。図7のグラフは、細胞増殖のパーセント減少をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の濃度をx軸に含む。
【図8】図8は、SK−Mel28ヒト悪性黒色腫細胞を血清無添加培地で培養した以外は、図7の実験と同様の実験の結果を示すグラフである。図8のグラフは、細胞増殖のパーセント減少をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の濃度をx軸に含む。
【図9】図9は、10μg/mlの濃度におけるCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の画分によるインビトロでのCOX−2阻害試験の実験結果を示すグラフであり、y軸はヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害であり、x軸は分単位の溶出時間で確認された画分である。
【図10−1】図10A〜10Eは、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の図9における画分1および2に係る液体クロマトグラフィ質量分析および質量検出に基づく高圧液体クロマトグラフィのプロファイルである。
【図10−2】図10A〜10Eは、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の図9における画分1および2に係る液体クロマトグラフィ質量分析および質量検出に基づく高圧液体クロマトグラフィのプロファイルである。
【図11】図11は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を投与した3つの乳癌細胞株の細胞コロニー数を試験した実験結果を示すグラフである。図11のグラフは、x軸に細胞株、およびy軸に対照(100%)で標準化されたパーセント細胞コロニー数を含む。
【図12】図12は、Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物を投与した3つの乳癌細胞株の細胞コロニー数を試験した実験結果を示すグラフである。図11のグラフは、x軸に細胞株、およびy軸に対照(100%)で標準化されたパーセント細胞コロニー数を含む。
【図13】図13は、8mg/mlの濃度でCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を腹腔内投与したヌードマウスにおける腫瘍成長の抑制を試験した実験結果を示すグラフである。図13のグラフは、y軸に標準化腫瘍体積、およびx軸にMDA−MB−231細胞の注入後の日数を含む。
【図14】図14は、8mg/mlの濃度でCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を腹腔内投与したヌードマウスにおける腫瘍成長の抑制を試験した実験結果を示すグラフである。図13のグラフは、y軸に標準化腫瘍体積、およびx軸にMCF−7細胞の注入後の日数を含む。
【図15】図15は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.の水性抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、TNFに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図15のグラフは、x軸に処置群、および対照(水性抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図16】図16は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.の水性抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図16のグラフは、x軸に処置群、および対照(水性抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図17】図17は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、TNFに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図17のグラフは、x軸に処置群、および対照(メタノール抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図18】図18は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図18のグラフは、x軸に処置群、および対照(メタノール抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図19】図19は、図17の実験の再現、すなわち、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、TNFに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図19のグラフは、x軸に処置群、および対照(メタノール抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図20】図20は、図18の実験の再現、すなわち、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝露されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図20のグラフは、x軸に処置群、および対照(メタノール抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図21】図21は、図16の実験の再現、すなわち、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.の水性抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図21のグラフは、x軸に処置群、および対照(水性抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図22】図22は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図22のグラフは、x軸に処置群、および対照(ヘキサン抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図23】図23は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図23のグラフは、x軸に処置群、および対照(酢酸エチル抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本明細書で使用されるとき、以下の用語は、示された意味を有するものと理解すべきである:
項目が「a(1つ)」または「an(1つ)」によって導入される場合、それは項目の1つ以上を意味するものと理解すべきである。
【0013】
「成分」は、分子、化学物質、高分子、化合物、もしくは元素の任意の気体、液体もしくは固体の単独または組み合わせを意味する。
【0014】
「成分溶液」は、液体、固体もしくは気体中に含有、懸濁、保持、または分散された1つ以上の成分の混合物を意味する。
【0015】
「含む」は、非限定的に含むことを意味する。
【0016】
「含むこと」は、非限定的に含むことを意味する。
【0017】
「状態」は、健康の特定の状態を意味し、例えば、限定されるものではないが、障害を受けた、もしくは不適切に機能している体の器官、部分、構造または系などの、病気(illness)、疾病、疾患、病気(disease)、身体的もしくは精神的な苦痛、身体的もしくは精神的な苦悩、身体的もしくは精神的な感覚、身体的もしくは精神的な苦しみ、または身体的もしくは精神的な疼痛が挙げられる。「状態」は、癌または炎症を含むことができる。
【0018】
「COX−2」は、シクロオキシゲナーゼ−2を意味する。
【0019】
「抽出器」は、溶媒または溶液を含むのに適合可能な少なくとも1つのフラスコ、原料を含むのに適合可能な少なくとも1つのチャンバ、ならびにチャンバおよびフラスコに流体連通した少なくとも1つのコンデンサを有する、装置、機械、器具、道具またはその組み合わせを意味する。抽出器は、抽出プロセスの過程のいくつかの時点で溶媒を回収するのに適合可能な漏斗を有してもよい。シンブルを抽出器と関連して使用してもよい。フィルタを抽出器と関連して使用してもよい。抽出器は、その保全を損なわずに加熱に付されるのに適合可能であってよい。抽出器は、限定されるものではないが、1879年頃にFranz von Soxhletによって発明されたソクスレー抽出器、ならびにいくつかの市販の抽出器、例えば、限定されるものではないが、Gerhardt GmbHのSoxtherm(商標)抽出器およびFOSSによって製造された自動または半自動抽出器であるSoxtec Systems(商標)が挙げられる。
【0020】
「砕く」は、対象物を粉末にするか、粉々にするか、切断するか、粉砕するか、すりつぶすか、激しくこするか、刻むか、鋸で切るか、削るか、もしくは溶解するか、またはそれらを組み合わせるかによって、比較的により小さな粒子または小片に縮小または減少させることを意味する。
【0021】
「有すること」は、限定されるものではないが、含むことを意味する。
【0022】
「IC50」は、化合物または製剤に関して、COX−2の50%阻害を生じる化合物または製剤の濃度を意味する。
【0023】
「阻害する」は、酵素の活性を少なくとも部分的に減少させることを意味する。
【0024】
「原料」は、植物の任意の部分を意味し、限定されるものではないが、皮、茎、葉、芽、軸、根、花、花粉、枝、新芽、果物、接ぎ穂、野菜、種、またはその組み合わせを含む。
【0025】
「非経口的」は、成分の患者への投与経路の種類を意味し、ここで、望ましい効果は全身的である。「非経口的」は、限定されるものではないが、成分を患者に注射または注入によって投与することを含み、そのような注射または注入は、静脈内、動脈内、筋肉内、心臓内、皮下、骨内、皮内、腹腔内、経皮、経粘膜、吸入、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
「患者」は、ヒトまたは任意の他の哺乳動物を意味する。
【0027】
「医薬的に許容されるビヒクル」は、担体、希釈剤、アジュバント、もしくは賦形剤、またはその組み合わせを意味し、それと共に成分が患者に投与される。医薬的に許容されるビヒクルは、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール;ワックス;ラクトース;グルコース;スクロース;ステアリン酸マグネシウム;ケイ酸誘導体;硫酸カルシウム;リン酸二カルシウム;デンプン;セルロース誘導体;ゼラチン;天然および合成ゴム(例えば、限定されるものではないが、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコールおよびワックス);適切な油;食塩水;糖溶液(例えば、限定されるものではないが、デキストロース水溶液またはグルコース水溶液);DMSO;グリコール類(例えば、限定されるものではないが、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール);滑沢剤(例えば、限定されるものではないが、オレイン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、タルク、およびステアリン酸マグネシウム);崩壊剤(炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、寒天、デンプン、およびキサンタンガムを含む)、ならびに吸収性担体(例えば、限定されるものではないが、ベントナイトおよびクロニン)が挙げられる。
【0028】
「溶媒」は、1つまたは複数の成分を懸濁するか、取り出すか、引き出すか、分離するか、または引きつけて溶液を形成する能力を有する液体または気体を意味する。
【0029】
「治療有効量」は、患者に投与した際に、状態の治療を少なくとも部分的にもたらすために十分な成分の量を意味する。治療有効量は、状態、成分の投与経路、および治療される患者の年齢、体重などに応じて変動する。
【0030】
「治療する」は、状態に関して、患者によって認識できないとしても、状態のいずれの徴候も少なくとも部分的に低減するか、軽減するか、または緩和すること、状態または状態の徴候の開始を遅らせること、状態の任意の徴候を少なくとも部分的に治すこと、あるいは、状態もしくは状態の徴候を少なくとも部分的に予防もしくは抑制すること、またはそれらの組み合わせを意味する。
【0031】
Combretum laurifolium Mart.は、限定されるものではないが、ブラジル、ペルー、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、ボリビア、ガイアナ、スリナムおよび仏領ギアナを含むアマゾン地域で一般的に生育するシクンシ科の植物である。COX−2を阻害するCombretum laurifolium Mart.抽出物は、本明細書に記述される方法を使用して製造することができる。抽出方法は、少なくとも部分的にCOX−2を阻害するCombretum laurifolium Mart.の成分を抽出するための溶媒の使用を含む。本明細書に記述される抽出物は、患者の炎症を治療するのに用いることができる。あるいはまた、本明細書に記述される抽出物は、患者の癌を治療するのに用いることができる。COX−2を阻害することは、炎症を減少させて、ヒトでの癌細胞のアポトーシスまたは増殖の減少に関与することが当業者によく理解されている。
【0032】
Combretum laurifolium Mart.抽出物は、以下の通りに製造できる。Combretum laurifolium Mart.からの原料を得て、乾燥し、砕く。あるいはまた、Combretum laurifolium Mart.からの原料を小片に砕き、次いで乾燥する。原料は、限定されるものではないが、乾燥オーブンなどのオーブンで、約45℃、または46〜65℃の範囲の温度で乾燥して、原料から液体の残りの大部分を除去する。乾燥原料は、抽出プロセスにおける次の工程の前に、約−20℃、または約4℃、あるいは−70〜−80℃で保存することができる。あるいはまた、抽出プロセスにおける次の工程は、直ちに開始してもよい。もちろん、他の適当な乾燥温度を使用してもよい。
【0033】
乾燥の前または後のいずれかで、Combretum laurifolium Mart.からの原料は、砕かれてより小粒径とすることができる。約20〜50ミクロン粒径を得るために、Combretum laurifolium Mart.からの原料は、例えば適切なグラインダまたは粉砕機(例えばWileyミルロータリー粉砕機)を使用して砕かれてよい。さらに、約20〜50ミクロン粒径を分離して得るためにフィルタを使用することができる。抽出プロセスの工程の後および間で、Combretum laurifolium Mart.からの原料は、−20℃、もしくは約4℃、もしくは−70〜−80℃または他の適切な温度で、実質的に気密のプラスチック袋または他の容器中に保存することができる。
【0034】
Combretum laurifolium Mart.からの約10〜100グラムの原料は、抽出器を用いて抽出にかけることができる。様々な極性の溶媒がCombretum laurifolium Mart.原料から種々の成分を抽出して分離するために、成分の極性または溶解度に基づき、抽出器と関連して使用することができる。初めに、Combretum laurifolium Mart.からの原料は、濾紙製「シンブル」の内側に配置することができる。シンブルは、任意の適切な浸透性材料からできていてよい。シンブルは、Combretum laurifolium Mart.からの原料とともに抽出器に入れることができる。抽出器は、溶媒およびコンデンサを含むフラスコを有することができる。溶媒は加熱されてよく、それにより溶媒を蒸発させる。熱い溶媒蒸気はコンデンサまで移動し、そこで、冷却されてチャンバ中に、またCombretum laurifolium Mart.からの原料の上に滴り落ちる。抽出器内では、Combretum laurifolium Mart.からの原料を含むチャンバは、暖かい溶媒でゆっくりと満たされる。その時点で、原料の成分は、原料から抽出されて、溶媒を有する成分溶液を形成する。チャンバがほとんど満たされたとき、成分溶液はフラスコ内へのサイホン作用で空にされる。それぞれのサイクルの間、Combretum laurifolium Mart.原料からの成分は、溶媒中に抽出されて成分溶液をもたらす。このサイクルは何回も各溶媒で繰り返してもよい。この抽出プロセスの間、きれいな暖かい溶媒は、Combretum laurifolium Mart.の原料から成分を抽出するのにシンブル中で使用され得る。
【0035】
抽出器に関連して使用することができる溶媒に関して、非極性溶媒(例えば、ヘキサン−1(「ヘキサン」))または他の非極性溶媒(例えば、限定されるものではないが、ペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素、ジイソプロピルエーテル、またはトルエン)が使用され得る。中程度の極性溶媒(例えば、酢酸エチル−2(「酢酸エチル」))または他の中程度の極性溶媒(例えば、限定されるものではないが、キシレン、メチルブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、n−ブタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、酢酸ブチル、クロロホルム、n−プロパノール、またはメチルエチルケトン)を使用することができる。極性溶媒(例えば、メタノール−3(「メタノール」))または他の極性溶媒(例えば、限定されるものではないが、アセトン、エタノール、アセトニトリル、酢酸、ジメチルホルムアミド、またはジメチルスルホキシド(DMSO))を使用することができる。非極性溶媒、中程度の極性溶媒、および極性溶媒による抽出は、45℃または他の適切な温度(限定されるものではないが、約26℃から約60℃までを含む)で行うことができる。比較的純粋な水(「水性溶媒」)は、Combretum laurifolium Mart.からの原料を約12時間、もしくは約4時間から12時間の間、または他の適切な時間、浸すことにより成分を抽出するために使用することができ、そしてそれは任意の極性溶媒、中程度の極性溶媒、または非極性溶媒を使用して固形の原料を濾去した後に残存し、成分溶液をもたらす。あるいはまた、Combretum laurifolium Mart.からの原料は、抽出方法の過程の任意の時点で、または任意の溶媒によって原料を処理することから独立して、比較的純粋な水に浸すことができる。抽出に対する曝露時間の効果を評価するためにサンプルを対照として定期的に抜き取り、分析することができる。
【0036】
上記のプロセスの後で、Combretum laurifolium Mart.の種々の成分を含む溶媒、すなわち成分溶液は、抽出器のフラスコ中に存在する。液体は、ロータリーエバポレータまたは他の適切なエバポレータ(限定されるものではないが、真空ドライヤ、真空オーブン、窒素ガス、熱燃料濃縮器、遠心分離機および噴霧乾燥器または他の適切な乾燥プロセスを含む)を使用して成分溶液を乾燥させることによって、少なくとも部分的に除去することができる。この乾燥プロセスは、成分溶液から液体を実質的に全て取り除くことが可能である。得られた抽出物は、凍結または凍結乾燥され得る。抽出物は、少なくとも部分的に乾燥粉末の形態で保存され得る。抽出物は、シンチレーションバイアルに移され得るが、該バイアルは、予め計量され、−20℃で、または冷蔵庫に約4℃で、または−70〜−80℃で、あるいは他の適切な温度で保存され得る。
【0037】
ヘキサン、酢酸エチル、メタノールおよび水が使用される場合、上記の方法の結果は、Combretum laurifolium Mart.の4つの抽出物であり、各抽出物は、使用される溶媒によって抽出された成分を含む。これらの抽出物は、ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、メタノール抽出物および水性抽出物(総称して、「4つの抽出物」)と呼ばれる。
【実施例】
【0038】
実験結果
実験結果は、Combretum laurifolium Mart.抽出物が、COX−2を阻害するのに用いることができることを証明している。本明細書に記述された結果は、Combretum laurifolium Mart.抽出物が、NF−κBの活性化を阻害することを証明している。また、本明細書に記述された結果は、Combretum laurifolium Mart.抽出物が、SK−Mel28細胞(ヒトの悪性黒色腫細胞株)の増殖を減少させ、ヒト乳癌細胞株における細胞コロニー数を減少させることを証明している。そのうえ、Combretum laurifolium Mart.抽出物は、MCF−7およびMDA−MB−231ヒト乳癌細胞由来の腫瘍を有するヌードマウスで、腫瘍体積が減少した成長をもたらす。
【0039】
COX−2阻害およびCombretum laurifolium Mart.抽出物
Combretum laurifolium Mart.抽出物がCOX−2を少なくとも部分的に阻害したかどうかを確認した実験は、ヒト組換え型COX−2(「COX−2阻害アッセイ」)のペルオキシダーゼ活性をアッセイした。このCOX−2阻害アッセイは、4つの抽出物のそれぞれについて行われた。
【0040】
COX−2阻害アッセイは、水浴を使用して、約37℃に維持して行った。簡潔に言うと、反応緩衝液(5mMのEDTAと2mMのフェノールとを含む0.1Mのトリス−HCl(pH8.0))中のヒト組み換え型COX−2、ヘム、およびアラキドン酸を、4つの抽出物の各々と2分間、インキュベーションした。酸化型テトラメチル−p−フェニルジアミンの出現は、比色分析によりペルオキシダーゼ活性の存在を示した。
【0041】
COX−2阻害アッセイの調製において、乾燥抽出物をメタノール、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、またはエタノールに溶解し、次いで反応緩衝液に希釈した。抽出物の最終濃度は、9μg/mlであった。2分間のインキュベーションの後に、1M塩酸を加えてCOX−2活性を止めた。DUP−697(既知のCOX−2阻害剤)を内部対照として使用し、予想されたように、約200nMのIC50でCOX−2を阻害した。COX−2のパーセント阻害は、抽出物との反応の定量されたCOX−2活性を、任意のCOX−2阻害剤がない反応の定量されたCOX−2活性から引いて、その結果を抽出物なしでの反応の定量されたCOX−2活性で割ることによって算出した。抽出物によるCOX−2のパーセント阻害は、5%から67%の範囲であった。この結果は、メタノール抽出物が、酢酸エチル抽出物、ヘキサン抽出物および水性抽出物よりもこの濃度でCOX−2を阻害するのにより効果的であり得ることを証明した。酢酸エチル抽出物、ヘキサン抽出物または水性抽出物は、異なる濃度ではCOX−2を阻害するのにより効果的であり得る可能性がある。COX−2阻害アッセイは、同じ変数で少なくとも4回、行った。上記のCOX−2阻害アッセイの結果は、図1〜4に示される。COX−2の相対的な阻害は、IC50値の生成と関係し得る。
【0042】
さらに、メタノール抽出物を、1.56μg/mlから100μg/mlの範囲の異なる濃度で、COX−2阻害アッセイに用いた。2つの同一の実験からの結果は、図5および図6に示される。メタノール抽出物は、図5で2.2μg/mlのIC50および図6で7.9μ/mlのIC50を示した。COX−2のより大きな阻害は、メタノール抽出物のより高濃度と相関している場合がある。
【0043】
さらなるアッセイを、ヒト癌細胞の増殖に対するメタノール抽出物の効果を決定するために行った。ヒト悪性黒色腫細胞株(SK−Mel28)を、2つの独立した実験で用いた。メタノール抽出物を、1.6μg/mlから100μg/mlの範囲の異なる濃度で、SK−Mel28細胞に投与した。血清(通常、種々の成長因子を含む)が、SK−Mel28細胞の増殖の阻害に干渉する場合があるので、メタノール抽出物を、ヒト成長血清の存在下および非存在下に培養されたSK−Mel28細胞に投与した。細胞増殖は、テトラゾリウム化合物[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、分子内塩、または「MTS」]を電子結合試薬(フェナジンエトサルフェートまたは「PES」)と併用するCellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega Corporation,Madison,Wisconsin)により測定し、細胞増殖を示す比色変化を生じた。このアッセイは、490nmでの吸光度を記録することによって、メタノール抽出物によるSK−Mel28の増殖における減少を測定した。アッセイの結果は、図7および8に示される。図7は、100μg/mlでのメタノール抽出物が、血清添加した成長培地でのヒト悪性黒色腫細胞株SK−Mel28の増殖を約30%減少させることを示し、IC50は、100μg/mlを超えるものであった。SK−Mel28の増殖のメタノール抽出物による減少はまた、血清なしの成長培地のSK−Mel28細胞でもアッセイされ、その結果が図8に示される。84μg/mlのIC50を有するメタノール抽出物による、SK−Mel28細胞の増殖の顕著な減少が、図8に示すように観察された。また、図7〜8は、メタノール抽出物が用量依存的にSK−Mel28の増殖を減少させたことを示す結果を表す。
【0044】
COX−2の阻害を担うメタノール抽出物の成分を特定するために、Combretum laurifolium Mart.からのメタノール抽出物を、半分取カラム上で分画した。メタノール抽出物をCTC Analytics(商標)PAL(商標)インジェクタ(液体クロマトグラフィ自動化インジェクタ)を用いて50μlの注入容量で、Agilent(商標)Zorbax(商標)XDB C18 21.2×100mmカラム上に負荷した。メタノール抽出物を、Shimadzu(商標)LC−6(商標)の2成分系高圧システムを使用して溶出した。第1移動相は、0.05%トリフルオロ酢酸(「TFA」)を含むH2Oであり、そして、第2移動相は、0.05%TFAを含むメタノールであった。長さ15cmの制限キャピラリーおよび約500:1のスプリット比による30μmの内径(「id」)を有する2つのValco Y−フィッティングを備えるポストカラムスプリットを使用した。フラクションコレクタは、Advantec製であり、0.8分で開始する分画および0.20分の回収工程に基づいて時間をセットした。もちろん、同じまたは類似した分画を達成するために、他の変数を用いることができる。異なる時間での溶出画分を回収し、窒素下で乾燥し、凍結乾燥して比較的純粋な画分を得ることができた。乾燥画分は、COX−2を阻害することにより治療が可能である任意の病気または疾患(限定されるものではないが、炎症または癌に関連した病気を含む)を治療するために当該分野で公知の方法に従って医薬に配合され得る。
【0045】
Combretum laurifolium Mart.メタノール抽出物からの画分によるCOX−2の阻害を、COX−2阻害アッセイによって調べた。COX−2阻害アッセイの乾燥画分を調製するために、乾燥画分を100%のDMSOおよび水に懸濁して0.5%DMSO溶液とした。0.5%DMSOのみによる対照を、COX−2阻害アッセイに含ませることができる。画分を、種々の濃度、例えば、限定されるものではないが、1.56〜100μg/mlで試験した。Combretum laurifolium Mart.メタノール抽出物からの画分を10μg/mlの濃度で使用したCOX−2阻害アッセイの結果は、図9に示される。図9は、x軸に分単位による溶出時間での画分番号(以下、各々の画分の識別番号である分単位の溶出時間を有する)と、y軸にヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害を示す。図9で分かるように、画分1および2(1分および2分でそれぞれ溶出した)は、最大のCOX−2阻害を示したが、画分6、7および13も有意なCOX−2阻害を示した。いくらかの阻害が、画分4、8、9、10および14により示された。
【0046】
最大のCOX−2阻害を示した画分、特に画分1および2は、Hypersil C18逆相カラム(100×2.1mm、5mm)上での分析用液体クロマトグラフィ質量分析(「LC−MS」)を用いて構造についてプロファイルされ、0.6ml/分の流量で、水−アセトニトリル勾配により溶出した。図10A〜10Eは、画分1および2からの質量スペクトルを示す。図10A〜10Eで示されるように、画分1および2に存在し得る成分は、20−エピ−イソイグエステリノール、サラソールA、イソグエステリン、ノル−イソグエステリン、およびサラシノールが挙げられる。
【0047】
NF−κBの活性化の阻害およびCombretum laurifolium Mart.抽出物
NF−κBアッセイは、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物、Combretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物、およびCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物が、ヒト胚腎臓293細胞においてインビトロで炎症反応を減少させることを証明した。NF−κBは、転写因子である。NF−κBの活性化/発現が、多くの初期の炎症反応のうちの1つであり、炎症の指標であることは、当業者に理解されている。NF−κBの活性化の阻害は、炎症の対応する阻害を含み得る。このように、NF−κBの活性化を阻害する抽出物は、患者の炎症を治療することができる。図15〜23は、NF−κBの活性化への、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物、メタノール抽出物、ヘキサン抽出物、および酢酸エチル抽出物の効果を試験するためのNF−κBレポータ遺伝子アッセイの結果を示す。ヒト胚腎臓293細胞は、ホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流にNF−κB反応要素を含むDNAプラスミドでトランスフェクションした。NF−κBが活性化されると、ルシフェラーゼの発現が増加する。ルシフェラーゼの発現は、ルシフェラーゼが光を生じる酵素反応により測定される。より大きな光度は、増加したNF−κBの活性化と符合する。
【0048】
TNF(腫瘍壊死因子)およびPMA(ホルボールエステル)の両方は、NF−κBの公知の強力な活性剤である。NF−κBアッセイに関して、ヒト胚腎臓293細胞は、活性炭処理済み培地で一晩、プレート化した。ヒト胚腎臓293細胞を別々にDMSOのみ、および20ng/mlの濃度のPMAで、そして第2の実験では、DMSOのみおよび50ng/mlの濃度のTNFに曝らし、そして前記の処置群の各々は、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物、メタノール抽出物、ヘキサン抽出物、または酢酸エチル抽出物をDMSO中に20μg/ml、2.0μg/ml、または0.2μg/mlに溶解した用量範囲の投与を受けた。細胞を採取し、ルシフェラーゼアッセイのために翌日に溶解した。各々の処置群のNF−κBのパーセント活性化を観察した。NF−κBの活性化は、DMSOと公知の活性剤(TNFまたはPMA)とを含有する対照に関して100%に標準化された。
【0049】
Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物を用いたNF−κBアッセイの結果は、図15、16および21に示される。図15は、50ng/mlのTNFとCombretum laurifolium Mart.の水性抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図15に示されるように、50ng/mlのTNF処置群では、結果はNF−κBの活性化に関して結論がでなかった。図16および21は、20ng/mlのPMAとCombretum laurifolium Mart.の水性抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した2つの別々の実験からの結果を示すグラフである。図16に示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物20μg/mlを投与された細胞で約63%であり、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物2μg/mlを投与された細胞で約65%であった。図21に示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物20μg/mlを投与された細胞で約33%であり、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物0.2μg/mlを投与された細胞で約91%であった。
【0050】
図17および19は、TNF50ng/mlとCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した2つの別々の実験からの結果を示すグラフである。図17は、50ng/mlのTNFとCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図17に図示されるように、50ng/mlのTNF処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物20μg/mlを投与された細胞で約96%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物2μg/mlを投与された細胞で約93%であった。図19に示されるように、50ng/mlのTNF処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物20μg/mlを投与された細胞で約75%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物2μg/mlを投与された細胞で約84%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物0.2μg/mlを投与された細胞で約98%であった。図18および20は、20ng/mlのPMAとCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した2つの別々の実験からの結果を示すグラフである。図18に図示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物20μg/mlを投与された細胞で約62%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物2μg/mlを投与された細胞で約96%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物0.2μg/mlを投与された細胞で約83%であった。図20に示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物20μg/mlを投与された細胞で約56%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物2μg/mlを投与された細胞で約40%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物0.2μg/mlを投与された細胞で約54%であった。
【0051】
Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物を用いたNF−κBアッセイの結果は、図22に示される。図22は、20ng/mlのPMAとCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図22に示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物20μg/mlを投与された細胞で約39%であり、Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物2μg/mlを投与された細胞で約92%であった。Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物と50ng/mlのTNFとを用いたNF−κBアッセイの結果は、結論がでなかった。
【0052】
Combretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物を用いたNF−κBアッセイの結果は、図23に示される。図23は、20ng/mlのPMAとCombretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図23に示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物20μg/mlを投与された細胞で約91%であり、Combretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物2μg/mlを投与された細胞で約84%であり、そしてCombretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物0.2μg/mlを投与された細胞で約66%であった。Combretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物と50ng/mlのTNFとを用いたNF−κBアッセイの結果は、結論がでなかった。
【0053】
Combretum laurifolium Mart.抽出物および腫瘍成長の減少
インビトロでの細胞培養アッセイは、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物およびCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物が、癌細胞株で細胞コロニー形成の成長を減少させることを証明した。Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物およびCombretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物を用いたインビトロでの細胞培養アッセイの結果は、結論がでなかった。図11および図12は、3つの乳癌細胞株:MCF−7(エストロゲン受容体陽性ヒト乳癌細胞株)、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231(ヒト転移性乳管癌サンプル由来のエストロゲン非依存性癌細胞株)、およびMDA−MB−361(脳転移組織由来のエストロゲン受容体陽性ヒト乳癌細胞株)ならびにCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物またはCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物を用いた結果を表す。
【0054】
ヒト乳癌細胞株MCF−7、MDA−MB−231、MDA−MB−361の細胞を血清添加培地中で培養プレートに播種した。DMSO中10μg/mlの濃度に溶解したCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物またはCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物に細胞を曝らした。7〜10日間の細胞増殖成長アッセイを実施した。コロニーを染色して、手動で計数(50個の細胞が1つのコロニーに等しい)して細胞コロニーを計数することにより細胞の増殖をモニターした。図11のグラフでは、結果はCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物への早期の曝露に耐えて、増殖して目に見えるコロニーを形成する細胞の数を表す。図12のグラフでは、結果はCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物への早期の曝露に耐えて、増殖して目に見えるコロニーを形成する細胞の数を表す。各細胞株に対する生のコロニーのカウント(コロニーの数)は、処置群について対照(100%)を用いて標準化した。Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物に曝された各細胞株に対する標準化された細胞コロニー数が図11に示され、そこでは、各棒グラフは、特定の細胞株がCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物に曝された重複サンプルの平均である。図11のグラフは、x軸に細胞株、y軸に対照(100%)で標準化された細胞コロニー数を含む。図11に示されるように、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物は、他の細胞株に比べて、MDA−MB−361の増殖を最大限に阻害し、約69.3%の標準化細胞コロニー数を示し、MCF−7の増殖は、約78.2%の標準化された細胞コロニー数を有し、そしてMDA−MB−231は、約95.7%の標準化された細胞コロニー数を有した。Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物に曝された各細胞株に対する標準化細胞コロニー数は、図12に示され、そこでは、各棒グラフは、特定の細胞株がCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物に曝された重複サンプルの平均である。図12のグラフは、x軸に細胞株およびy軸に対照(100%)で標準化された細胞コロニー数を含む。図12に示されるように、Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物は、他の細胞株に比べて、MCF−7の増殖を最大限に阻害し、約72.6%の標準化細胞コロニー数を示し、MDA−MB−361の増殖は、約82.1%の標準化された細胞コロニー数を有し、そしてMDA−MBの−231は、約102.1%の標準化された細胞コロニー数を有した。
【0055】
実験結果は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物が、インビボでの乳癌の腫瘍の増殖を抑制することができることを証明している。BD Biosciences(商標)からのReduced Growth Factor Matrigelを100μl、および皮下背部の2つの部位への5×106個のMCF−7細胞(エストロゲン受容体陽性ヒト乳癌細胞)または乳房脂肪体への5×106個のMDA−MB−231細胞を、全て50μlのリン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)に懸濁して雌ヌードマウスにそれぞれ注入した。腫瘍形成後(MDA−MB−231細胞を注入されたマウスに関しては注入後およそ12日で、MCF−7細胞を注入されたマウスに関しては注入後およそ10日で発生)、ヌードマウスを処置群に無作為化した。ヌードマウスの1群に、50μlのDMSO:PBS(1:5)溶液に懸濁したCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を毎日、腹腔内(「IP」)注入した。DMSO:PBS溶液に懸濁する前に、乾燥メタノール抽出物を純粋エタノールに再懸濁し、分注し、エタノールを蒸発させ、乾燥粉末とした。ヌードマウスの対照群は、DMSO:PBS(1:5)溶液(「対照」)のみで処置した。ヌードマウスに、対照またはCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物のいずれかを投与した。腫瘍は1日おきに測定した。腫瘍体積を、カリパスを用いてミリメートル単位で腫瘍の短軸および長軸を測定することによって算出し、式:4.19×(長軸/2)×(短軸/2)2を用いて、立方ミリメートル(mm3)単位で腫瘍体積を得た。腫瘍体積値は標準化された。
【0056】
上記の方法を用いた2つの実験の結果は、図13および14に示され、y軸上に標準化された腫瘍体積を立方ミリメートル(mm3)で、x軸上にMDA−MB−231細胞またはMCF−7細胞の注入後の日数を示す。マウスに、図13に示される実験において乳房脂肪体にMDA−MB−231細胞を注入したが、対照群では8匹のマウス、およびCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物(最終濃度:0.8mg/ml)投与群では8匹のマウスをそれぞれ9日間連続して用いた。注入後21日目から、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の最終濃度をメタノール抽出物で処置されるマウスの1群では8mg/mlに増量した。腫瘍は、注入後13日目から1日おきに測定された。プロット線10は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を投与した8匹のヌードマウスからの結果を表し、そしてプロット線12は、対照を投与した8匹のヌードマウスからの結果を表す。図14に示された実験では、10匹の雌ヌードマウスに、彼らの耳の後ろの肩甲下に配置された0.72mg−60日間放出エストロゲンペレットに加えて、MCF−7細胞を背部皮下の2つの部位に注入した。プロット線14は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を8mg/ml濃度で投与した5匹のヌードマウスからの結果を表し、プロット線16は、対照を投与した5匹のヌードマウスからの結果を表し、注入後10日目から開始した。図13〜14に示されるように、対照と比べて、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物は、腫瘍成長を抑制した。
【0057】
腹腔内注射により状態を治療する成分は、非経口投与された場合、状態を治療するようであると当業者に理解される。Combretum laurifolium Mart.抽出物は、乳癌を治療するために患者に非経口的に投与することができる。
【0058】
Combretum laurifolium Mart.抽出物は、本明細書に記載された方法を用いて作製することができる。メタノールまたは他のいずれかの溶媒、例えば、限定されるものではないが、極性溶媒、非極性溶媒、中程度の極性溶媒、または水性溶媒を、COX−2を少なくとも部分的に阻害するCombretum laurifolium Mart.の成分の抽出に使用することができる。COX−2は、一般的に炎症と呼ばれる免疫反応に寄与する酵素であるので、COX−2の阻害は炎症の減少をもたらすことが当業者には理解される。また、COX−2の阻害は、癌細胞のアポトーシスまたは癌細胞の増殖の減少をもたらすことが当業者には理解されている。このように、Combretum laurifolium Mart.抽出物は、医薬に配合されて、癌細胞の増殖を減少させること、または癌細胞のアポトーシスを誘導することによって癌を治療することが期待される。このような抽出物は、また、濃縮または乾燥されて、医薬に配合することができる。あるいはまた、このような抽出物は、COX−2を阻害する特定の画分をさらに単離するために分画されてもよい。例えば、制限されることなく、画分1〜2および画分6、7、13は、任意の組み合わせまたは個別で、医薬に配合して患者のCOX−2を少なくとも部分的に阻害することができる。
【0059】
Combretum laurifolium Mart.抽出物を含む医薬は、炎症または癌を治療するために患者に治療有効量で投与され得ることが期待される。Combretum laurifolium Mart.抽出物を含む医薬を調製し、製剤化して当業者に公知の手順によって投与することができる。
【0060】
Combretum laurifolium Mart.抽出物を含む医薬は、化合物をブレンドし混合するための当業者に公知の従来の手順により調製され得る。例えば、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物、またはCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物からの画分(例えば、画分1〜2または画分6、7および13など)を単独または組み合わせて、患者を治療するための抽出物の経口投与または非経口投与を容易にするための医薬的に許容されるビヒクルを用いて、治療有効量で溶液、懸濁液、粉末、カプセル、錠剤、または液体に製剤化することができる。あるいはまた、Combretum laurifolium Mart.抽出物またはCombretum laurifolium Mart.抽出物の特定の画分は、医薬的に許容されるビヒクルに配合されて、非経口投与(静脈内投与、皮内投与、筋肉内投与、および皮下投与を含む)を容易にすることができる。代替的な実施形態では、Combretum laurifolium Mart.抽出物またはCombretum laurifolium Mart.抽出物からの画分は、単独または組み合わされて、局所投与または経皮投与のための医薬的に許容されるビヒクルを用いて、溶液、クリーム、またはゲルに配合されてよい。
【0061】
上記の具体的な詳細は、本発明の特定の実施形態を記載するが、当業者は、様々な変更が、添付の請求項で定義された発明の精神および範囲から逸脱することなく、均等論を考慮して、本発明の詳細においてなされ得ることを認識するであろう。従って、本発明は、本明細書に示され、記載された具体的な詳細に制限されるものではないと理解すべきである。
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
本願は、2007年9月18日に出願された米国仮特許出願第60/973,400号および2008年2月18日に出願された米国特許出願第12/032,984号に対する優先権を主張し、これらの出願の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
本出願は、炎症および癌を治療するための植物抽出物に一般的に関する。
【背景技術】
【0003】
関節リウマチは、複数の組織に影響を及ぼすが、典型的には関節で最も顕著な徴候をもたらす慢性の炎症性疾患である。関節リウマチは、進行性であり、変性的であり、そして最終的には消耗性である。関節の慢性的炎症は、軟部組織、滑膜および軟骨の破壊のみならず、骨の関節表面の侵食につながる。この疾患は、アメリカ合衆国、ヨーロッパおよび日本で320万を超える人々に影響を及ぼすと推定される。関節リウマチは、女性でより一般的であり、その症例の大部分を占めると推定される。
【0004】
炎症は異物または障害から保護するための体の自然な防御であるが、それは特定の疾患では問題を引き起こすことがある。不適切な炎症は、糖質コルチコイドであるコルチゾールのような伝統的なステロイド、組み換えDNA技術により産生される治療的なタンパク質、および/または非ステロイド性の抗炎症剤(NSAID)で治療することができる。
【0005】
プロスタグランジン類は、体細胞によって産生される化学物質のファミリーであり、疼痛、炎症および発熱の促進を含む多くの必須な機能を果たす。さらに、ある種のプロスタグランジン類は、血液凝固に必要な血小板の機能をサポートし、そして酸による傷害の影響から胃壁を保護する。プロスタグランジン類は、酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)により体細胞内で産生される。
【0006】
COX−2は、多くの機能(疼痛を誘導することを含むがこれに限らない)に関係する酵素である。COX−2は、炎症の原因となる体の領域に特に存在するが、胃の中には存在しない。COX−2は、我々の体の中で、理想的には限定的に活性である;しかし、ダイエット、ストレスおよび傷害などの要因は、COX−2活性を増大する可能性がある。COX−2が継続的に活性な場合、恒常的な疼痛が起こる。
【0007】
具体的な作用メカニズムが完全に分からないとしても、COX−2の阻害は、癌細胞のアポトーシスをもたらすことが分かっている。非特許文献1および非特許文献2を参照のこと。
【0008】
したがって、COX−2を阻害し得る植物抽出物は、様々な疾患を治療することができ、それらは限定されるものではないが、炎症、関節炎、筋肉痛、および癌を含む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Johnsenらの「Cyclooxygenase−2 Is Expressed in Neuroblastoma,and Nonsteroidal Anti−Inflammatory Drugs Induce Apoptosis and Inhibit Tumor Growth In Vivo,」Cancer Research;Vol.64,pages 7210−7215(2004年10月15日)
【非特許文献2】Lauらの「Cyclooxygenase inhibitors modulate the p53/hdm2 pathway and enhance chemotherapy−induced apoptosis in neuroblastoma,」Oncogene,Vol.26,pages 1920−1931(2007)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
COX−を阻害する、NF−κBの活性化を阻害する、炎症を治療する、または癌を治療する方法は、治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含むことができる。本明細書に記載の医薬は、医薬的に許容されるビヒクルおよび該ビヒクル中に懸濁された治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を含むことができる。Combretum laurifolium Mart.抽出物の製造方法は、抽出器および溶媒によってCombretum laurifolium Mart.原料を処理して成分溶液を作製すること、ならびに該成分溶液から液体を少なくとも部分的に除去して抽出物を製造することを含むことができる。Combretum laurifolium Mart.抽出物は、種々の溶媒を用いて抽出された成分を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、4つの異なる溶媒を用いて抽出された9μg/mlの濃度のCombretum laurifolium Mart.抽出物によるインビトロでのCOX−2阻害試験の実験結果を示すグラフである。図1のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.原料からの成分を抽出するために使用された溶媒をx軸に含む。
【図2】図2は、図1の実験の再現結果を示すグラフである。図2のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy−軸に、およびCombretum laurifolium Mart.原料からの成分を抽出するために使用された溶媒をx軸に含む。
【図3】図3は、図1の実験の別の再現結果を示すグラフである。図3のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.原料からの成分を抽出するために使用された溶媒をx軸に含む。
【図4】図4は、図1の実験のさらに別の再現結果を示すグラフである。図4のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.原料からの成分を抽出するために使用された溶媒をx軸に含む。
【図5】図5は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物による種々の濃度におけるインビトロでのCOX−2阻害試験の実験結果を示すグラフである。図5のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の濃度をx軸に含む。
【図6】図6は、図5の実験の再現結果を示すグラフである。図6のグラフは、ヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の濃度をx軸に含む。
【図7】図7は、種々の濃度でのCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物に起因する、血清含有培地で培養されたSK−Mel28ヒト悪性黒色腫細胞の細胞増殖の減少試験の実験結果を示すグラフである。図7のグラフは、細胞増殖のパーセント減少をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の濃度をx軸に含む。
【図8】図8は、SK−Mel28ヒト悪性黒色腫細胞を血清無添加培地で培養した以外は、図7の実験と同様の実験の結果を示すグラフである。図8のグラフは、細胞増殖のパーセント減少をy軸に、およびCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の濃度をx軸に含む。
【図9】図9は、10μg/mlの濃度におけるCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の画分によるインビトロでのCOX−2阻害試験の実験結果を示すグラフであり、y軸はヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害であり、x軸は分単位の溶出時間で確認された画分である。
【図10−1】図10A〜10Eは、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の図9における画分1および2に係る液体クロマトグラフィ質量分析および質量検出に基づく高圧液体クロマトグラフィのプロファイルである。
【図10−2】図10A〜10Eは、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の図9における画分1および2に係る液体クロマトグラフィ質量分析および質量検出に基づく高圧液体クロマトグラフィのプロファイルである。
【図11】図11は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を投与した3つの乳癌細胞株の細胞コロニー数を試験した実験結果を示すグラフである。図11のグラフは、x軸に細胞株、およびy軸に対照(100%)で標準化されたパーセント細胞コロニー数を含む。
【図12】図12は、Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物を投与した3つの乳癌細胞株の細胞コロニー数を試験した実験結果を示すグラフである。図11のグラフは、x軸に細胞株、およびy軸に対照(100%)で標準化されたパーセント細胞コロニー数を含む。
【図13】図13は、8mg/mlの濃度でCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を腹腔内投与したヌードマウスにおける腫瘍成長の抑制を試験した実験結果を示すグラフである。図13のグラフは、y軸に標準化腫瘍体積、およびx軸にMDA−MB−231細胞の注入後の日数を含む。
【図14】図14は、8mg/mlの濃度でCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を腹腔内投与したヌードマウスにおける腫瘍成長の抑制を試験した実験結果を示すグラフである。図13のグラフは、y軸に標準化腫瘍体積、およびx軸にMCF−7細胞の注入後の日数を含む。
【図15】図15は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.の水性抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、TNFに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図15のグラフは、x軸に処置群、および対照(水性抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図16】図16は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.の水性抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図16のグラフは、x軸に処置群、および対照(水性抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図17】図17は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、TNFに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図17のグラフは、x軸に処置群、および対照(メタノール抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図18】図18は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図18のグラフは、x軸に処置群、および対照(メタノール抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図19】図19は、図17の実験の再現、すなわち、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、TNFに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図19のグラフは、x軸に処置群、および対照(メタノール抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図20】図20は、図18の実験の再現、すなわち、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝露されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図20のグラフは、x軸に処置群、および対照(メタノール抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図21】図21は、図16の実験の再現、すなわち、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.の水性抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図21のグラフは、x軸に処置群、および対照(水性抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図22】図22は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図22のグラフは、x軸に処置群、および対照(ヘキサン抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【図23】図23は、種々の濃度のCombretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物およびNF−κBの公知の活性剤、すなわち、PMAに曝されたヒト胚腎臓293細胞におけるNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図23のグラフは、x軸に処置群、および対照(酢酸エチル抽出物を含まない)100%に対して標準化されたNF−κBの活性化を含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本明細書で使用されるとき、以下の用語は、示された意味を有するものと理解すべきである:
項目が「a(1つ)」または「an(1つ)」によって導入される場合、それは項目の1つ以上を意味するものと理解すべきである。
【0013】
「成分」は、分子、化学物質、高分子、化合物、もしくは元素の任意の気体、液体もしくは固体の単独または組み合わせを意味する。
【0014】
「成分溶液」は、液体、固体もしくは気体中に含有、懸濁、保持、または分散された1つ以上の成分の混合物を意味する。
【0015】
「含む」は、非限定的に含むことを意味する。
【0016】
「含むこと」は、非限定的に含むことを意味する。
【0017】
「状態」は、健康の特定の状態を意味し、例えば、限定されるものではないが、障害を受けた、もしくは不適切に機能している体の器官、部分、構造または系などの、病気(illness)、疾病、疾患、病気(disease)、身体的もしくは精神的な苦痛、身体的もしくは精神的な苦悩、身体的もしくは精神的な感覚、身体的もしくは精神的な苦しみ、または身体的もしくは精神的な疼痛が挙げられる。「状態」は、癌または炎症を含むことができる。
【0018】
「COX−2」は、シクロオキシゲナーゼ−2を意味する。
【0019】
「抽出器」は、溶媒または溶液を含むのに適合可能な少なくとも1つのフラスコ、原料を含むのに適合可能な少なくとも1つのチャンバ、ならびにチャンバおよびフラスコに流体連通した少なくとも1つのコンデンサを有する、装置、機械、器具、道具またはその組み合わせを意味する。抽出器は、抽出プロセスの過程のいくつかの時点で溶媒を回収するのに適合可能な漏斗を有してもよい。シンブルを抽出器と関連して使用してもよい。フィルタを抽出器と関連して使用してもよい。抽出器は、その保全を損なわずに加熱に付されるのに適合可能であってよい。抽出器は、限定されるものではないが、1879年頃にFranz von Soxhletによって発明されたソクスレー抽出器、ならびにいくつかの市販の抽出器、例えば、限定されるものではないが、Gerhardt GmbHのSoxtherm(商標)抽出器およびFOSSによって製造された自動または半自動抽出器であるSoxtec Systems(商標)が挙げられる。
【0020】
「砕く」は、対象物を粉末にするか、粉々にするか、切断するか、粉砕するか、すりつぶすか、激しくこするか、刻むか、鋸で切るか、削るか、もしくは溶解するか、またはそれらを組み合わせるかによって、比較的により小さな粒子または小片に縮小または減少させることを意味する。
【0021】
「有すること」は、限定されるものではないが、含むことを意味する。
【0022】
「IC50」は、化合物または製剤に関して、COX−2の50%阻害を生じる化合物または製剤の濃度を意味する。
【0023】
「阻害する」は、酵素の活性を少なくとも部分的に減少させることを意味する。
【0024】
「原料」は、植物の任意の部分を意味し、限定されるものではないが、皮、茎、葉、芽、軸、根、花、花粉、枝、新芽、果物、接ぎ穂、野菜、種、またはその組み合わせを含む。
【0025】
「非経口的」は、成分の患者への投与経路の種類を意味し、ここで、望ましい効果は全身的である。「非経口的」は、限定されるものではないが、成分を患者に注射または注入によって投与することを含み、そのような注射または注入は、静脈内、動脈内、筋肉内、心臓内、皮下、骨内、皮内、腹腔内、経皮、経粘膜、吸入、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
「患者」は、ヒトまたは任意の他の哺乳動物を意味する。
【0027】
「医薬的に許容されるビヒクル」は、担体、希釈剤、アジュバント、もしくは賦形剤、またはその組み合わせを意味し、それと共に成分が患者に投与される。医薬的に許容されるビヒクルは、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール;ワックス;ラクトース;グルコース;スクロース;ステアリン酸マグネシウム;ケイ酸誘導体;硫酸カルシウム;リン酸二カルシウム;デンプン;セルロース誘導体;ゼラチン;天然および合成ゴム(例えば、限定されるものではないが、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコールおよびワックス);適切な油;食塩水;糖溶液(例えば、限定されるものではないが、デキストロース水溶液またはグルコース水溶液);DMSO;グリコール類(例えば、限定されるものではないが、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール);滑沢剤(例えば、限定されるものではないが、オレイン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、タルク、およびステアリン酸マグネシウム);崩壊剤(炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、寒天、デンプン、およびキサンタンガムを含む)、ならびに吸収性担体(例えば、限定されるものではないが、ベントナイトおよびクロニン)が挙げられる。
【0028】
「溶媒」は、1つまたは複数の成分を懸濁するか、取り出すか、引き出すか、分離するか、または引きつけて溶液を形成する能力を有する液体または気体を意味する。
【0029】
「治療有効量」は、患者に投与した際に、状態の治療を少なくとも部分的にもたらすために十分な成分の量を意味する。治療有効量は、状態、成分の投与経路、および治療される患者の年齢、体重などに応じて変動する。
【0030】
「治療する」は、状態に関して、患者によって認識できないとしても、状態のいずれの徴候も少なくとも部分的に低減するか、軽減するか、または緩和すること、状態または状態の徴候の開始を遅らせること、状態の任意の徴候を少なくとも部分的に治すこと、あるいは、状態もしくは状態の徴候を少なくとも部分的に予防もしくは抑制すること、またはそれらの組み合わせを意味する。
【0031】
Combretum laurifolium Mart.は、限定されるものではないが、ブラジル、ペルー、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、ボリビア、ガイアナ、スリナムおよび仏領ギアナを含むアマゾン地域で一般的に生育するシクンシ科の植物である。COX−2を阻害するCombretum laurifolium Mart.抽出物は、本明細書に記述される方法を使用して製造することができる。抽出方法は、少なくとも部分的にCOX−2を阻害するCombretum laurifolium Mart.の成分を抽出するための溶媒の使用を含む。本明細書に記述される抽出物は、患者の炎症を治療するのに用いることができる。あるいはまた、本明細書に記述される抽出物は、患者の癌を治療するのに用いることができる。COX−2を阻害することは、炎症を減少させて、ヒトでの癌細胞のアポトーシスまたは増殖の減少に関与することが当業者によく理解されている。
【0032】
Combretum laurifolium Mart.抽出物は、以下の通りに製造できる。Combretum laurifolium Mart.からの原料を得て、乾燥し、砕く。あるいはまた、Combretum laurifolium Mart.からの原料を小片に砕き、次いで乾燥する。原料は、限定されるものではないが、乾燥オーブンなどのオーブンで、約45℃、または46〜65℃の範囲の温度で乾燥して、原料から液体の残りの大部分を除去する。乾燥原料は、抽出プロセスにおける次の工程の前に、約−20℃、または約4℃、あるいは−70〜−80℃で保存することができる。あるいはまた、抽出プロセスにおける次の工程は、直ちに開始してもよい。もちろん、他の適当な乾燥温度を使用してもよい。
【0033】
乾燥の前または後のいずれかで、Combretum laurifolium Mart.からの原料は、砕かれてより小粒径とすることができる。約20〜50ミクロン粒径を得るために、Combretum laurifolium Mart.からの原料は、例えば適切なグラインダまたは粉砕機(例えばWileyミルロータリー粉砕機)を使用して砕かれてよい。さらに、約20〜50ミクロン粒径を分離して得るためにフィルタを使用することができる。抽出プロセスの工程の後および間で、Combretum laurifolium Mart.からの原料は、−20℃、もしくは約4℃、もしくは−70〜−80℃または他の適切な温度で、実質的に気密のプラスチック袋または他の容器中に保存することができる。
【0034】
Combretum laurifolium Mart.からの約10〜100グラムの原料は、抽出器を用いて抽出にかけることができる。様々な極性の溶媒がCombretum laurifolium Mart.原料から種々の成分を抽出して分離するために、成分の極性または溶解度に基づき、抽出器と関連して使用することができる。初めに、Combretum laurifolium Mart.からの原料は、濾紙製「シンブル」の内側に配置することができる。シンブルは、任意の適切な浸透性材料からできていてよい。シンブルは、Combretum laurifolium Mart.からの原料とともに抽出器に入れることができる。抽出器は、溶媒およびコンデンサを含むフラスコを有することができる。溶媒は加熱されてよく、それにより溶媒を蒸発させる。熱い溶媒蒸気はコンデンサまで移動し、そこで、冷却されてチャンバ中に、またCombretum laurifolium Mart.からの原料の上に滴り落ちる。抽出器内では、Combretum laurifolium Mart.からの原料を含むチャンバは、暖かい溶媒でゆっくりと満たされる。その時点で、原料の成分は、原料から抽出されて、溶媒を有する成分溶液を形成する。チャンバがほとんど満たされたとき、成分溶液はフラスコ内へのサイホン作用で空にされる。それぞれのサイクルの間、Combretum laurifolium Mart.原料からの成分は、溶媒中に抽出されて成分溶液をもたらす。このサイクルは何回も各溶媒で繰り返してもよい。この抽出プロセスの間、きれいな暖かい溶媒は、Combretum laurifolium Mart.の原料から成分を抽出するのにシンブル中で使用され得る。
【0035】
抽出器に関連して使用することができる溶媒に関して、非極性溶媒(例えば、ヘキサン−1(「ヘキサン」))または他の非極性溶媒(例えば、限定されるものではないが、ペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素、ジイソプロピルエーテル、またはトルエン)が使用され得る。中程度の極性溶媒(例えば、酢酸エチル−2(「酢酸エチル」))または他の中程度の極性溶媒(例えば、限定されるものではないが、キシレン、メチルブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、n−ブタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、酢酸ブチル、クロロホルム、n−プロパノール、またはメチルエチルケトン)を使用することができる。極性溶媒(例えば、メタノール−3(「メタノール」))または他の極性溶媒(例えば、限定されるものではないが、アセトン、エタノール、アセトニトリル、酢酸、ジメチルホルムアミド、またはジメチルスルホキシド(DMSO))を使用することができる。非極性溶媒、中程度の極性溶媒、および極性溶媒による抽出は、45℃または他の適切な温度(限定されるものではないが、約26℃から約60℃までを含む)で行うことができる。比較的純粋な水(「水性溶媒」)は、Combretum laurifolium Mart.からの原料を約12時間、もしくは約4時間から12時間の間、または他の適切な時間、浸すことにより成分を抽出するために使用することができ、そしてそれは任意の極性溶媒、中程度の極性溶媒、または非極性溶媒を使用して固形の原料を濾去した後に残存し、成分溶液をもたらす。あるいはまた、Combretum laurifolium Mart.からの原料は、抽出方法の過程の任意の時点で、または任意の溶媒によって原料を処理することから独立して、比較的純粋な水に浸すことができる。抽出に対する曝露時間の効果を評価するためにサンプルを対照として定期的に抜き取り、分析することができる。
【0036】
上記のプロセスの後で、Combretum laurifolium Mart.の種々の成分を含む溶媒、すなわち成分溶液は、抽出器のフラスコ中に存在する。液体は、ロータリーエバポレータまたは他の適切なエバポレータ(限定されるものではないが、真空ドライヤ、真空オーブン、窒素ガス、熱燃料濃縮器、遠心分離機および噴霧乾燥器または他の適切な乾燥プロセスを含む)を使用して成分溶液を乾燥させることによって、少なくとも部分的に除去することができる。この乾燥プロセスは、成分溶液から液体を実質的に全て取り除くことが可能である。得られた抽出物は、凍結または凍結乾燥され得る。抽出物は、少なくとも部分的に乾燥粉末の形態で保存され得る。抽出物は、シンチレーションバイアルに移され得るが、該バイアルは、予め計量され、−20℃で、または冷蔵庫に約4℃で、または−70〜−80℃で、あるいは他の適切な温度で保存され得る。
【0037】
ヘキサン、酢酸エチル、メタノールおよび水が使用される場合、上記の方法の結果は、Combretum laurifolium Mart.の4つの抽出物であり、各抽出物は、使用される溶媒によって抽出された成分を含む。これらの抽出物は、ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、メタノール抽出物および水性抽出物(総称して、「4つの抽出物」)と呼ばれる。
【実施例】
【0038】
実験結果
実験結果は、Combretum laurifolium Mart.抽出物が、COX−2を阻害するのに用いることができることを証明している。本明細書に記述された結果は、Combretum laurifolium Mart.抽出物が、NF−κBの活性化を阻害することを証明している。また、本明細書に記述された結果は、Combretum laurifolium Mart.抽出物が、SK−Mel28細胞(ヒトの悪性黒色腫細胞株)の増殖を減少させ、ヒト乳癌細胞株における細胞コロニー数を減少させることを証明している。そのうえ、Combretum laurifolium Mart.抽出物は、MCF−7およびMDA−MB−231ヒト乳癌細胞由来の腫瘍を有するヌードマウスで、腫瘍体積が減少した成長をもたらす。
【0039】
COX−2阻害およびCombretum laurifolium Mart.抽出物
Combretum laurifolium Mart.抽出物がCOX−2を少なくとも部分的に阻害したかどうかを確認した実験は、ヒト組換え型COX−2(「COX−2阻害アッセイ」)のペルオキシダーゼ活性をアッセイした。このCOX−2阻害アッセイは、4つの抽出物のそれぞれについて行われた。
【0040】
COX−2阻害アッセイは、水浴を使用して、約37℃に維持して行った。簡潔に言うと、反応緩衝液(5mMのEDTAと2mMのフェノールとを含む0.1Mのトリス−HCl(pH8.0))中のヒト組み換え型COX−2、ヘム、およびアラキドン酸を、4つの抽出物の各々と2分間、インキュベーションした。酸化型テトラメチル−p−フェニルジアミンの出現は、比色分析によりペルオキシダーゼ活性の存在を示した。
【0041】
COX−2阻害アッセイの調製において、乾燥抽出物をメタノール、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、またはエタノールに溶解し、次いで反応緩衝液に希釈した。抽出物の最終濃度は、9μg/mlであった。2分間のインキュベーションの後に、1M塩酸を加えてCOX−2活性を止めた。DUP−697(既知のCOX−2阻害剤)を内部対照として使用し、予想されたように、約200nMのIC50でCOX−2を阻害した。COX−2のパーセント阻害は、抽出物との反応の定量されたCOX−2活性を、任意のCOX−2阻害剤がない反応の定量されたCOX−2活性から引いて、その結果を抽出物なしでの反応の定量されたCOX−2活性で割ることによって算出した。抽出物によるCOX−2のパーセント阻害は、5%から67%の範囲であった。この結果は、メタノール抽出物が、酢酸エチル抽出物、ヘキサン抽出物および水性抽出物よりもこの濃度でCOX−2を阻害するのにより効果的であり得ることを証明した。酢酸エチル抽出物、ヘキサン抽出物または水性抽出物は、異なる濃度ではCOX−2を阻害するのにより効果的であり得る可能性がある。COX−2阻害アッセイは、同じ変数で少なくとも4回、行った。上記のCOX−2阻害アッセイの結果は、図1〜4に示される。COX−2の相対的な阻害は、IC50値の生成と関係し得る。
【0042】
さらに、メタノール抽出物を、1.56μg/mlから100μg/mlの範囲の異なる濃度で、COX−2阻害アッセイに用いた。2つの同一の実験からの結果は、図5および図6に示される。メタノール抽出物は、図5で2.2μg/mlのIC50および図6で7.9μ/mlのIC50を示した。COX−2のより大きな阻害は、メタノール抽出物のより高濃度と相関している場合がある。
【0043】
さらなるアッセイを、ヒト癌細胞の増殖に対するメタノール抽出物の効果を決定するために行った。ヒト悪性黒色腫細胞株(SK−Mel28)を、2つの独立した実験で用いた。メタノール抽出物を、1.6μg/mlから100μg/mlの範囲の異なる濃度で、SK−Mel28細胞に投与した。血清(通常、種々の成長因子を含む)が、SK−Mel28細胞の増殖の阻害に干渉する場合があるので、メタノール抽出物を、ヒト成長血清の存在下および非存在下に培養されたSK−Mel28細胞に投与した。細胞増殖は、テトラゾリウム化合物[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、分子内塩、または「MTS」]を電子結合試薬(フェナジンエトサルフェートまたは「PES」)と併用するCellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega Corporation,Madison,Wisconsin)により測定し、細胞増殖を示す比色変化を生じた。このアッセイは、490nmでの吸光度を記録することによって、メタノール抽出物によるSK−Mel28の増殖における減少を測定した。アッセイの結果は、図7および8に示される。図7は、100μg/mlでのメタノール抽出物が、血清添加した成長培地でのヒト悪性黒色腫細胞株SK−Mel28の増殖を約30%減少させることを示し、IC50は、100μg/mlを超えるものであった。SK−Mel28の増殖のメタノール抽出物による減少はまた、血清なしの成長培地のSK−Mel28細胞でもアッセイされ、その結果が図8に示される。84μg/mlのIC50を有するメタノール抽出物による、SK−Mel28細胞の増殖の顕著な減少が、図8に示すように観察された。また、図7〜8は、メタノール抽出物が用量依存的にSK−Mel28の増殖を減少させたことを示す結果を表す。
【0044】
COX−2の阻害を担うメタノール抽出物の成分を特定するために、Combretum laurifolium Mart.からのメタノール抽出物を、半分取カラム上で分画した。メタノール抽出物をCTC Analytics(商標)PAL(商標)インジェクタ(液体クロマトグラフィ自動化インジェクタ)を用いて50μlの注入容量で、Agilent(商標)Zorbax(商標)XDB C18 21.2×100mmカラム上に負荷した。メタノール抽出物を、Shimadzu(商標)LC−6(商標)の2成分系高圧システムを使用して溶出した。第1移動相は、0.05%トリフルオロ酢酸(「TFA」)を含むH2Oであり、そして、第2移動相は、0.05%TFAを含むメタノールであった。長さ15cmの制限キャピラリーおよび約500:1のスプリット比による30μmの内径(「id」)を有する2つのValco Y−フィッティングを備えるポストカラムスプリットを使用した。フラクションコレクタは、Advantec製であり、0.8分で開始する分画および0.20分の回収工程に基づいて時間をセットした。もちろん、同じまたは類似した分画を達成するために、他の変数を用いることができる。異なる時間での溶出画分を回収し、窒素下で乾燥し、凍結乾燥して比較的純粋な画分を得ることができた。乾燥画分は、COX−2を阻害することにより治療が可能である任意の病気または疾患(限定されるものではないが、炎症または癌に関連した病気を含む)を治療するために当該分野で公知の方法に従って医薬に配合され得る。
【0045】
Combretum laurifolium Mart.メタノール抽出物からの画分によるCOX−2の阻害を、COX−2阻害アッセイによって調べた。COX−2阻害アッセイの乾燥画分を調製するために、乾燥画分を100%のDMSOおよび水に懸濁して0.5%DMSO溶液とした。0.5%DMSOのみによる対照を、COX−2阻害アッセイに含ませることができる。画分を、種々の濃度、例えば、限定されるものではないが、1.56〜100μg/mlで試験した。Combretum laurifolium Mart.メタノール抽出物からの画分を10μg/mlの濃度で使用したCOX−2阻害アッセイの結果は、図9に示される。図9は、x軸に分単位による溶出時間での画分番号(以下、各々の画分の識別番号である分単位の溶出時間を有する)と、y軸にヒト組み換え型COX−2のパーセント阻害を示す。図9で分かるように、画分1および2(1分および2分でそれぞれ溶出した)は、最大のCOX−2阻害を示したが、画分6、7および13も有意なCOX−2阻害を示した。いくらかの阻害が、画分4、8、9、10および14により示された。
【0046】
最大のCOX−2阻害を示した画分、特に画分1および2は、Hypersil C18逆相カラム(100×2.1mm、5mm)上での分析用液体クロマトグラフィ質量分析(「LC−MS」)を用いて構造についてプロファイルされ、0.6ml/分の流量で、水−アセトニトリル勾配により溶出した。図10A〜10Eは、画分1および2からの質量スペクトルを示す。図10A〜10Eで示されるように、画分1および2に存在し得る成分は、20−エピ−イソイグエステリノール、サラソールA、イソグエステリン、ノル−イソグエステリン、およびサラシノールが挙げられる。
【0047】
NF−κBの活性化の阻害およびCombretum laurifolium Mart.抽出物
NF−κBアッセイは、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物、Combretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物、およびCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物が、ヒト胚腎臓293細胞においてインビトロで炎症反応を減少させることを証明した。NF−κBは、転写因子である。NF−κBの活性化/発現が、多くの初期の炎症反応のうちの1つであり、炎症の指標であることは、当業者に理解されている。NF−κBの活性化の阻害は、炎症の対応する阻害を含み得る。このように、NF−κBの活性化を阻害する抽出物は、患者の炎症を治療することができる。図15〜23は、NF−κBの活性化への、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物、メタノール抽出物、ヘキサン抽出物、および酢酸エチル抽出物の効果を試験するためのNF−κBレポータ遺伝子アッセイの結果を示す。ヒト胚腎臓293細胞は、ホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流にNF−κB反応要素を含むDNAプラスミドでトランスフェクションした。NF−κBが活性化されると、ルシフェラーゼの発現が増加する。ルシフェラーゼの発現は、ルシフェラーゼが光を生じる酵素反応により測定される。より大きな光度は、増加したNF−κBの活性化と符合する。
【0048】
TNF(腫瘍壊死因子)およびPMA(ホルボールエステル)の両方は、NF−κBの公知の強力な活性剤である。NF−κBアッセイに関して、ヒト胚腎臓293細胞は、活性炭処理済み培地で一晩、プレート化した。ヒト胚腎臓293細胞を別々にDMSOのみ、および20ng/mlの濃度のPMAで、そして第2の実験では、DMSOのみおよび50ng/mlの濃度のTNFに曝らし、そして前記の処置群の各々は、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物、メタノール抽出物、ヘキサン抽出物、または酢酸エチル抽出物をDMSO中に20μg/ml、2.0μg/ml、または0.2μg/mlに溶解した用量範囲の投与を受けた。細胞を採取し、ルシフェラーゼアッセイのために翌日に溶解した。各々の処置群のNF−κBのパーセント活性化を観察した。NF−κBの活性化は、DMSOと公知の活性剤(TNFまたはPMA)とを含有する対照に関して100%に標準化された。
【0049】
Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物を用いたNF−κBアッセイの結果は、図15、16および21に示される。図15は、50ng/mlのTNFとCombretum laurifolium Mart.の水性抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図15に示されるように、50ng/mlのTNF処置群では、結果はNF−κBの活性化に関して結論がでなかった。図16および21は、20ng/mlのPMAとCombretum laurifolium Mart.の水性抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した2つの別々の実験からの結果を示すグラフである。図16に示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物20μg/mlを投与された細胞で約63%であり、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物2μg/mlを投与された細胞で約65%であった。図21に示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物20μg/mlを投与された細胞で約33%であり、Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物0.2μg/mlを投与された細胞で約91%であった。
【0050】
図17および19は、TNF50ng/mlとCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した2つの別々の実験からの結果を示すグラフである。図17は、50ng/mlのTNFとCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図17に図示されるように、50ng/mlのTNF処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物20μg/mlを投与された細胞で約96%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物2μg/mlを投与された細胞で約93%であった。図19に示されるように、50ng/mlのTNF処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物20μg/mlを投与された細胞で約75%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物2μg/mlを投与された細胞で約84%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物0.2μg/mlを投与された細胞で約98%であった。図18および20は、20ng/mlのPMAとCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した2つの別々の実験からの結果を示すグラフである。図18に図示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物20μg/mlを投与された細胞で約62%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物2μg/mlを投与された細胞で約96%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物0.2μg/mlを投与された細胞で約83%であった。図20に示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物20μg/mlを投与された細胞で約56%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物2μg/mlを投与された細胞で約40%であり、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物0.2μg/mlを投与された細胞で約54%であった。
【0051】
Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物を用いたNF−κBアッセイの結果は、図22に示される。図22は、20ng/mlのPMAとCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図22に示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物20μg/mlを投与された細胞で約39%であり、Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物2μg/mlを投与された細胞で約92%であった。Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物と50ng/mlのTNFとを用いたNF−κBアッセイの結果は、結論がでなかった。
【0052】
Combretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物を用いたNF−κBアッセイの結果は、図23に示される。図23は、20ng/mlのPMAとCombretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物とを投与した細胞でのNF−κBの活性化を試験した実験結果を示すグラフである。図23に示されるように、20ng/mlのPMA処置群では、NF−κBの活性化は、Combretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物20μg/mlを投与された細胞で約91%であり、Combretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物2μg/mlを投与された細胞で約84%であり、そしてCombretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物0.2μg/mlを投与された細胞で約66%であった。Combretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物と50ng/mlのTNFとを用いたNF−κBアッセイの結果は、結論がでなかった。
【0053】
Combretum laurifolium Mart.抽出物および腫瘍成長の減少
インビトロでの細胞培養アッセイは、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物およびCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物が、癌細胞株で細胞コロニー形成の成長を減少させることを証明した。Combretum laurifolium Mart.の水性抽出物およびCombretum laurifolium Mart.の酢酸エチル抽出物を用いたインビトロでの細胞培養アッセイの結果は、結論がでなかった。図11および図12は、3つの乳癌細胞株:MCF−7(エストロゲン受容体陽性ヒト乳癌細胞株)、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231(ヒト転移性乳管癌サンプル由来のエストロゲン非依存性癌細胞株)、およびMDA−MB−361(脳転移組織由来のエストロゲン受容体陽性ヒト乳癌細胞株)ならびにCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物またはCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物を用いた結果を表す。
【0054】
ヒト乳癌細胞株MCF−7、MDA−MB−231、MDA−MB−361の細胞を血清添加培地中で培養プレートに播種した。DMSO中10μg/mlの濃度に溶解したCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物またはCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物に細胞を曝らした。7〜10日間の細胞増殖成長アッセイを実施した。コロニーを染色して、手動で計数(50個の細胞が1つのコロニーに等しい)して細胞コロニーを計数することにより細胞の増殖をモニターした。図11のグラフでは、結果はCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物への早期の曝露に耐えて、増殖して目に見えるコロニーを形成する細胞の数を表す。図12のグラフでは、結果はCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物への早期の曝露に耐えて、増殖して目に見えるコロニーを形成する細胞の数を表す。各細胞株に対する生のコロニーのカウント(コロニーの数)は、処置群について対照(100%)を用いて標準化した。Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物に曝された各細胞株に対する標準化された細胞コロニー数が図11に示され、そこでは、各棒グラフは、特定の細胞株がCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物に曝された重複サンプルの平均である。図11のグラフは、x軸に細胞株、y軸に対照(100%)で標準化された細胞コロニー数を含む。図11に示されるように、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物は、他の細胞株に比べて、MDA−MB−361の増殖を最大限に阻害し、約69.3%の標準化細胞コロニー数を示し、MCF−7の増殖は、約78.2%の標準化された細胞コロニー数を有し、そしてMDA−MB−231は、約95.7%の標準化された細胞コロニー数を有した。Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物に曝された各細胞株に対する標準化細胞コロニー数は、図12に示され、そこでは、各棒グラフは、特定の細胞株がCombretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物に曝された重複サンプルの平均である。図12のグラフは、x軸に細胞株およびy軸に対照(100%)で標準化された細胞コロニー数を含む。図12に示されるように、Combretum laurifolium Mart.のヘキサン抽出物は、他の細胞株に比べて、MCF−7の増殖を最大限に阻害し、約72.6%の標準化細胞コロニー数を示し、MDA−MB−361の増殖は、約82.1%の標準化された細胞コロニー数を有し、そしてMDA−MBの−231は、約102.1%の標準化された細胞コロニー数を有した。
【0055】
実験結果は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物が、インビボでの乳癌の腫瘍の増殖を抑制することができることを証明している。BD Biosciences(商標)からのReduced Growth Factor Matrigelを100μl、および皮下背部の2つの部位への5×106個のMCF−7細胞(エストロゲン受容体陽性ヒト乳癌細胞)または乳房脂肪体への5×106個のMDA−MB−231細胞を、全て50μlのリン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)に懸濁して雌ヌードマウスにそれぞれ注入した。腫瘍形成後(MDA−MB−231細胞を注入されたマウスに関しては注入後およそ12日で、MCF−7細胞を注入されたマウスに関しては注入後およそ10日で発生)、ヌードマウスを処置群に無作為化した。ヌードマウスの1群に、50μlのDMSO:PBS(1:5)溶液に懸濁したCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を毎日、腹腔内(「IP」)注入した。DMSO:PBS溶液に懸濁する前に、乾燥メタノール抽出物を純粋エタノールに再懸濁し、分注し、エタノールを蒸発させ、乾燥粉末とした。ヌードマウスの対照群は、DMSO:PBS(1:5)溶液(「対照」)のみで処置した。ヌードマウスに、対照またはCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物のいずれかを投与した。腫瘍は1日おきに測定した。腫瘍体積を、カリパスを用いてミリメートル単位で腫瘍の短軸および長軸を測定することによって算出し、式:4.19×(長軸/2)×(短軸/2)2を用いて、立方ミリメートル(mm3)単位で腫瘍体積を得た。腫瘍体積値は標準化された。
【0056】
上記の方法を用いた2つの実験の結果は、図13および14に示され、y軸上に標準化された腫瘍体積を立方ミリメートル(mm3)で、x軸上にMDA−MB−231細胞またはMCF−7細胞の注入後の日数を示す。マウスに、図13に示される実験において乳房脂肪体にMDA−MB−231細胞を注入したが、対照群では8匹のマウス、およびCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物(最終濃度:0.8mg/ml)投与群では8匹のマウスをそれぞれ9日間連続して用いた。注入後21日目から、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物の最終濃度をメタノール抽出物で処置されるマウスの1群では8mg/mlに増量した。腫瘍は、注入後13日目から1日おきに測定された。プロット線10は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を投与した8匹のヌードマウスからの結果を表し、そしてプロット線12は、対照を投与した8匹のヌードマウスからの結果を表す。図14に示された実験では、10匹の雌ヌードマウスに、彼らの耳の後ろの肩甲下に配置された0.72mg−60日間放出エストロゲンペレットに加えて、MCF−7細胞を背部皮下の2つの部位に注入した。プロット線14は、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物を8mg/ml濃度で投与した5匹のヌードマウスからの結果を表し、プロット線16は、対照を投与した5匹のヌードマウスからの結果を表し、注入後10日目から開始した。図13〜14に示されるように、対照と比べて、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物は、腫瘍成長を抑制した。
【0057】
腹腔内注射により状態を治療する成分は、非経口投与された場合、状態を治療するようであると当業者に理解される。Combretum laurifolium Mart.抽出物は、乳癌を治療するために患者に非経口的に投与することができる。
【0058】
Combretum laurifolium Mart.抽出物は、本明細書に記載された方法を用いて作製することができる。メタノールまたは他のいずれかの溶媒、例えば、限定されるものではないが、極性溶媒、非極性溶媒、中程度の極性溶媒、または水性溶媒を、COX−2を少なくとも部分的に阻害するCombretum laurifolium Mart.の成分の抽出に使用することができる。COX−2は、一般的に炎症と呼ばれる免疫反応に寄与する酵素であるので、COX−2の阻害は炎症の減少をもたらすことが当業者には理解される。また、COX−2の阻害は、癌細胞のアポトーシスまたは癌細胞の増殖の減少をもたらすことが当業者には理解されている。このように、Combretum laurifolium Mart.抽出物は、医薬に配合されて、癌細胞の増殖を減少させること、または癌細胞のアポトーシスを誘導することによって癌を治療することが期待される。このような抽出物は、また、濃縮または乾燥されて、医薬に配合することができる。あるいはまた、このような抽出物は、COX−2を阻害する特定の画分をさらに単離するために分画されてもよい。例えば、制限されることなく、画分1〜2および画分6、7、13は、任意の組み合わせまたは個別で、医薬に配合して患者のCOX−2を少なくとも部分的に阻害することができる。
【0059】
Combretum laurifolium Mart.抽出物を含む医薬は、炎症または癌を治療するために患者に治療有効量で投与され得ることが期待される。Combretum laurifolium Mart.抽出物を含む医薬を調製し、製剤化して当業者に公知の手順によって投与することができる。
【0060】
Combretum laurifolium Mart.抽出物を含む医薬は、化合物をブレンドし混合するための当業者に公知の従来の手順により調製され得る。例えば、Combretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物、またはCombretum laurifolium Mart.のメタノール抽出物からの画分(例えば、画分1〜2または画分6、7および13など)を単独または組み合わせて、患者を治療するための抽出物の経口投与または非経口投与を容易にするための医薬的に許容されるビヒクルを用いて、治療有効量で溶液、懸濁液、粉末、カプセル、錠剤、または液体に製剤化することができる。あるいはまた、Combretum laurifolium Mart.抽出物またはCombretum laurifolium Mart.抽出物の特定の画分は、医薬的に許容されるビヒクルに配合されて、非経口投与(静脈内投与、皮内投与、筋肉内投与、および皮下投与を含む)を容易にすることができる。代替的な実施形態では、Combretum laurifolium Mart.抽出物またはCombretum laurifolium Mart.抽出物からの画分は、単独または組み合わされて、局所投与または経皮投与のための医薬的に許容されるビヒクルを用いて、溶液、クリーム、またはゲルに配合されてよい。
【0061】
上記の具体的な詳細は、本発明の特定の実施形態を記載するが、当業者は、様々な変更が、添付の請求項で定義された発明の精神および範囲から逸脱することなく、均等論を考慮して、本発明の詳細においてなされ得ることを認識するであろう。従って、本発明は、本明細書に示され、記載された具体的な詳細に制限されるものではないと理解すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含む、COX−2を阻害する方法。
【請求項2】
前記抽出物が、メタノール抽出物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出物が、水性抽出物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含む、炎症を治療する方法。
【請求項5】
前記抽出物が、メタノール抽出物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抽出物が、水性抽出物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含む、癌を治療する方法。
【請求項8】
前記抽出物が、メタノール抽出物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抽出物が、水性抽出物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
医薬的に許容されるビヒクル;および前記ビヒクル中に懸濁された治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を含む医薬。
【請求項11】
極性溶媒;非極性溶媒;中程度の極性の溶媒;および水性溶媒からなる群から選択される溶媒を用いて抽出された成分を含むCombretum laurifolium Mart.抽出物。
【請求項12】
抽出器および溶媒によってCombretum laurifolium Mart.原料を処理して成分溶液を作製すること;ならびに前記成分溶液から液体を少なくとも部分的に除去して抽出物を製造することを含む、Combretum laurifolium Mart.抽出物の製造方法。
【請求項13】
前記溶媒が、極性溶媒;非極性溶媒;中程度の極性の溶媒;および水性溶媒からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、メタノール;酢酸エチル;ヘキサン;および水からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記抽出物を分画することにより前記抽出物の少なくとも1つの画分を得ることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記抽出物をセミ分取カラム上で分画することにより前記抽出物の少なくとも1つの画分を得ることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記溶媒がメタノールを含み、前記少なくとも1つの画分が、1、2、4、6、7、8、9、10、13および14からなる群から選択される分単位の溶出時間を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
Combretum laurifolium Mart.原料を乾燥すること;前記原料を砕くこと;抽出器および溶媒によって前記原料を処理して成分溶液を作製すること;ならびに前記成分溶液から液体を少なくとも部分的に除去して抽出物を製造することを含む、Combretum laurifolium Mart.抽出物の製造方法。
【請求項19】
治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含む、乳癌を治療する方法。
【請求項20】
前記抽出物が、メタノール抽出物;酢酸エチル抽出物;ヘキサン抽出物;および水性抽出物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記治療有効量の前記Combretum laurifolium Mart.抽出物を医薬的に許容されるビヒクル中で非経口的に投与する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含む、NF−κBの活性化を阻害する方法。
【請求項20】
前記抽出物が、メタノール抽出物;酢酸エチル抽出物;ヘキサン抽出物;および水性抽出物からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項1】
治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含む、COX−2を阻害する方法。
【請求項2】
前記抽出物が、メタノール抽出物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出物が、水性抽出物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含む、炎症を治療する方法。
【請求項5】
前記抽出物が、メタノール抽出物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抽出物が、水性抽出物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含む、癌を治療する方法。
【請求項8】
前記抽出物が、メタノール抽出物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抽出物が、水性抽出物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
医薬的に許容されるビヒクル;および前記ビヒクル中に懸濁された治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を含む医薬。
【請求項11】
極性溶媒;非極性溶媒;中程度の極性の溶媒;および水性溶媒からなる群から選択される溶媒を用いて抽出された成分を含むCombretum laurifolium Mart.抽出物。
【請求項12】
抽出器および溶媒によってCombretum laurifolium Mart.原料を処理して成分溶液を作製すること;ならびに前記成分溶液から液体を少なくとも部分的に除去して抽出物を製造することを含む、Combretum laurifolium Mart.抽出物の製造方法。
【請求項13】
前記溶媒が、極性溶媒;非極性溶媒;中程度の極性の溶媒;および水性溶媒からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、メタノール;酢酸エチル;ヘキサン;および水からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記抽出物を分画することにより前記抽出物の少なくとも1つの画分を得ることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記抽出物をセミ分取カラム上で分画することにより前記抽出物の少なくとも1つの画分を得ることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記溶媒がメタノールを含み、前記少なくとも1つの画分が、1、2、4、6、7、8、9、10、13および14からなる群から選択される分単位の溶出時間を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
Combretum laurifolium Mart.原料を乾燥すること;前記原料を砕くこと;抽出器および溶媒によって前記原料を処理して成分溶液を作製すること;ならびに前記成分溶液から液体を少なくとも部分的に除去して抽出物を製造することを含む、Combretum laurifolium Mart.抽出物の製造方法。
【請求項19】
治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含む、乳癌を治療する方法。
【請求項20】
前記抽出物が、メタノール抽出物;酢酸エチル抽出物;ヘキサン抽出物;および水性抽出物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記治療有効量の前記Combretum laurifolium Mart.抽出物を医薬的に許容されるビヒクル中で非経口的に投与する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
治療有効量のCombretum laurifolium Mart.抽出物を患者に投与することを含む、NF−κBの活性化を阻害する方法。
【請求項20】
前記抽出物が、メタノール抽出物;酢酸エチル抽出物;ヘキサン抽出物;および水性抽出物からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10−1】
【図10−2】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10−1】
【図10−2】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2010−539238(P2010−539238A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525863(P2010−525863)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071816
【国際公開番号】WO2009/038878
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510006727)セルバメディカ・エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071816
【国際公開番号】WO2009/038878
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510006727)セルバメディカ・エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】
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