説明

DC−DC電圧変換器の時分割多重化

装置は、DC−DC電圧変換器を含む。DC−DC電圧変換器は、複数の出力端対を有し、時分割多重化方式で出力端対の両端に電圧を印加するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に直流−直流(DC−DC)電圧変換器、ならびにDC−DC電圧変換器を使用する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本項では、本発明をよりよく理解することに役立つ態様を紹介する。したがって、本項の記述は、この観点から読まれるべきであり、何が従来技術であるかまたは何が従来技術でないかについて認めたものと理解されるべきではない。
【0003】
様々な型のDC−DC電圧変換器がある。DC−DC電圧変換器の例には、降圧DC−DC電圧変換器、昇圧DC−DC電圧変換器、昇降圧DC−DC電圧変換器、チュック(cuk)DC−DC電圧変換器、フライバックDC−DC電圧変換器、およびフォワードDC−DC電圧変換器が含まれる。典型的なDC−DC電圧変換器は、1つまたは複数のインダクタ、1つまたは複数のキャパシタ、スイッチング回路、およびDC電圧源を含む。
【0004】
ここで、スイッチング回路は、ほぼ周期的に接続を開閉する。その例には、交流(AC)により制御されるトランジスタ・スイッチが含まれる。ここで、閉回路またはパスは、DC電流を伝導し、開回路またはパスは、DC電流を伝導しない。
【0005】
DC−DC電圧変換器において、スイッチング回路は、出力電圧がスイッチング回路のデューティ・サイクルおよびDC電源電圧によって決まる平均値を有する、ほぼ定常状態にDC−DC電圧変換器を導く。定常状態では、あるDC−DC電圧変換器はDC電源電圧を昇圧し、あるDC−DC電圧変換器はDC電源電圧を降圧し、別のあるDC−DC電圧変換器はDC電源電圧を昇圧するまたは降圧することができる。
【0006】
あるデバイスは、調整されたDC電源により駆動される必要がある電子部品のアレイを含む。各DC−DC電圧変換器が電子部品のうちの対応する1つを駆動するDC−DC電圧変換器のアレイにより、調整されたDC電源を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第12/−−−−−−号(整理番号:G.Cheng 13−23)、名称「MULTI−COLOR LIGHT SOURCE」
【特許文献2】米国特許出願第12/−−−−−−号(整理番号:G.Cheng 12−22)、名称「DIFFUSER CONFIGURATION FOR AN IMAGE PROJECTOR」
【特許文献3】米国特許出願第12/−−−−−−号(整理番号:G.Cheng 11−21)、名称「SYSTEM AND METHOD FOR COLOR−COMPENSATING A VIDEO SIGNAL HAVING REDUCED COMPUTATIONAL REQUIREMENTS」
【特許文献4】米国特許出願第11/713,207号
【特許文献5】米国特許出願第11/681,376号
【特許文献6】米国特許出願第11/713,155号
【特許文献7】米国特許出願第11/713,483号
【発明の概要】
【0008】
様々な実施形態は、アレイの個々の電子部品の間でそれ自体の出力電圧を時分割多重化するように構成されたDC−DC電圧変換器を提供する。
【0009】
1つの実施形態では、DC−DC電圧変換器を含む第1の装置が特徴づけられる。DC−DC電圧変換器は、複数の出力端対を有し、時分割多重化方式で出力端対の両端に電圧を印加するように構成される。
【0010】
第1の装置のある実施形態では、DC−DC電圧変換器は、複数のシャント回路パスをさらに含む。各シャント回路パスは、出力端対のうちの対応する1つの出力端間を接続し、スイッチを途中に有する。一部のかかる実施形態では、DC−DC電圧変換器は、シャント回路パス上のスイッチを動作させるように構成された電子コントローラをさらに含むことができる。電子コントローラは、動作中のある時間にスイッチのうちの1つだけを開くように構成されることができる。一部のかかる実施形態では、シャント回路パスは、電気的に直列に接続されることができる。
【0011】
第1の装置の別の実施形態では、DC−DC電圧変換器は、並列に接続された回路パスをさらに含む。各回路パスは、出力端対のうちの対応する1つを途中に有し、制御可能なスイッチを途中に有する。
【0012】
第1の装置のある実施形態は、複数の光源を含む。各光源は、出力端対のうちの対応する1つの間に接続される。一部のかかる実施形態では、一部の光源は、例えば、光放出ダイオードであり、各光源は、異なる色、例えば、赤、緑、および青の光を放出するように構成される。
【0013】
別の1つの実施形態では、DC−DC電圧変換器およびDC−DC電圧変換器を共有するように接続された複数の電子的負荷装置を含む第2の装置が特徴づけられる。DC−DC電圧変換器は、電子コントローラおよび複数の回路パスを有する。電子的負荷装置は、回路パスのうちの対応する1つの中に接続される、または回路パスの対応する1つの一部である。各回路パスは、スイッチを途中に含み、コントローラは、回路パスのスイッチを動作させるように接続される。
【0014】
第2の装置のある実施形態では、電子コントローラは、駆動動作中のある時間にスイッチのうちの1つだけを開くように構成される。
【0015】
第2の装置のある実施形態では、各回路パスは、電子的負荷装置のうちの対応する1つのためのシャント回路パスであり、回路パスは、電気的に直列に接続される。
【0016】
第2の装置のある実施形態では、回路パスは、電気的に並列に接続され、電子的負荷装置は、回路パスのうちの対応する1つの一部である。
【0017】
第2の装置のある実施形態では、DC−DC電圧変換器は、昇圧DC−DC電圧変換器、降圧DC−DC電圧変換器、昇降圧DC−DC電圧変換器、およびCUK DC−DC電圧変換器のうちの1つである。
【0018】
第2の装置のある実施形態では、複数の光源をさらに含む。各光源は、電子的負荷装置のうちの1つである。
【0019】
第2の装置のある実施形態では、DC−DC電圧変換器は、第1の電子的負荷装置の両端に第1の電圧を印加し、第2の電子的負荷装置の両端に別の第2の電圧を印加するように構成される。
【0020】
別の1つの実施形態では、複数の電子部品を電気的に駆動する方法が特徴づけられる。本方法は、DC−DC電圧変換器が時分割多重化方式で電子部品の両端に電圧を印加する共有方式でDC−DC電圧変換器を動作させるステップを含む。
【0021】
本方法のある実施形態では、動作させるステップは、DC−DC電圧変換器に、電子部品のうちの1つの両端に第1の電圧を印加させ、電子部品のうちの別の1つの両端に異なる第2の電圧を印加させるステップを含む。
【0022】
本方法のある実施形態では、動作させるステップは、DC−DC電圧変換器が電子部品のうちの1つに電圧を印加しないときに、電子部品のうちのそれぞれ1つの両端のシャント回路パスを閉じるステップを含む。
【0023】
本方法のある実施形態では、動作させるステップは、電子部品のうちの1つに電圧を印加するときに、電子部品のうちの1つを有する回路パスを閉じ、いずれか別の電子部品を有する1つまたは複数の回路パスを開くことを同時に行うステップを含む。かかる実施形態では、回路パスは、並列に接続される。
【0024】
ある実施形態では、本方法は次に、電子部品が駆動されていない間にキャパシタを放電させるステップと、その後、動作させるステップを繰り返すステップをさらに含む。キャパシタの電荷は、動作させるステップ中に電子部品を駆動する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】DC電圧源ならびに誘導回路素子、容量回路素子およびスイッチング回路素子が複数の電子的負荷装置により時間的に共有される昇圧DC−DC電圧変換器の実施形態に関する回路図である。
【図2】DC電圧源ならびに誘導回路素子、容量回路素子およびスイッチング回路素子が複数の電子的負荷装置により時間的に共有される降圧DC−DC電圧変換器の実施形態に関する回路図である。
【図3】DC電圧源ならびに誘導回路素子、容量回路素子およびスイッチング回路素子が複数の電子的負荷装置により時間的に共有される代替の降圧DC−DC電圧変換器の実施形態に関する回路図である。
【図4】DC電圧源ならびに誘導回路素子、容量回路素子およびスイッチング回路素子が複数の電子的負荷装置により時間的に共有される昇降圧DC−DC電圧変換器の実施形態に関する回路図である。
【図5】DC電圧源ならびに誘導回路素子、容量回路素子およびスイッチング回路素子が複数の電子的負荷装置により共有される代替の昇降圧DC−DC電圧変換器の実施形態に関する回路図である。
【図6】DC電圧源ならびに誘導回路素子、容量回路素子およびスイッチング回路素子が複数の電子的負荷装置により時間的に共有されるCUK DC−DC電圧変換器の実施形態に関する回路図である。
【図7】図1〜6のDC−DC電圧変換器の出力ドライバ回路パスの直列型実施形態を説明する回路図である。
【図8】図1〜6のDC−DC電圧変換器の出力ドライバ回路パスの並列型実施形態を説明する回路図である。
【図9】図7〜8の出力ドライバ回路パスの具体例の3端子スイッチに関する回路を図示する。
【図10】図1〜6のDC−DC電圧変換器のコントローラの一実施形態を説明する回路図である。
【図11】DC−DC電圧変換器、例えば図1〜6のDC−DC電圧変換器を動作させる方法を説明するタイミング図である。
【図12】図11の方法を説明するフローチャートである。
【図13】異なる電子的負荷装置の間で出力電圧を時間的に共有するDC−DC電圧変換器、例えば図1〜6のDC−DC電圧変換器を動作させる方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図においては、類似の参照番号は、実質的に同じ機能および/または構造を有する構成を指す。
【0027】
一部の図では、ある構成の相対的寸法が、図に示された構造をより明確に説明するために誇張されることがある。
【0028】
図面および例示的な実施形態の詳細な説明ではいくつかの実施形態を記載しているが、本発明は、別の形態をとることができ、図面および例示的な実施形態の詳細な説明に記載されたものに限定されない。
【0029】
様々な実施形態は、DC−DC電圧変換器が時間的に多重化される方式で電子部品を駆動することが可能なシステムおよび方法を提供する。DC−DC電圧変換器の回路の本質的な部分は、異なる電子部品を駆動するために時間的に共有される。時間的に共有される部品は、例えば、(1つまたは複数の)インダクタ、(1つまたは複数の)キャパシタ、スイッチング回路、およびDC電圧源を含むことができる。このような共有化構成により、一部のかかるDC−DC電圧変換器は、より簡潔な構造で、かつ/または各電子部品が対応するDC−DC電圧変換器によって駆動されるシステムよりも低コストで構築されることが可能である。
【0030】
本明細書の様々な実施形態は、例えば多色光源、例えば、異なる色の3つのダイオード、レーザおよび/またはレーザ・ダイオードを有する光源を駆動でき、例えば、Gang ChenおよびRoland Ryfによる「MULTI−COLOR LIGHT SOURCE」という名称の同時出願された米国特許出願第12/−−−−−−号(整理番号:G.Cheng 13−23)、Gang ChenおよびRoland Ryfによる「DIFFUSER CONFIGURATION FOR AN IMAGE PROJECTOR」という名称の同時出願された米国特許出願第12/−−−−−−号(整理番号:G.Cheng 12−22)、および/またはGang ChenおよびRoland Ryfによる「SYSTEM AND METHOD FOR COLOR−COMPENSATING A VIDEO SIGNAL HAVING REDUCED COMPUTATIONAL REQUIREMENTS」という名称の同時出願された米国特許出願第12/−−−−−−号(整理番号:G.Cheng 11−21)のような多色画像投影機および/または画像投影方法において使用することができる。上記の3つの特許出願は、本出願と同日に出願され、その全体が参照により本明細書中に組み込まれている。
【0031】
本明細書の様々な実施形態は、Randy C.Giles他により2007年3月2日に出願された米国特許出願第11/713,207号、Vladimir A.Aksyuk他により2007年3月2日に出願された米国特許出願第11/681,376号、Vladimir A.Aksyuk他により2007年3月2日に出願された米国特許出願第11/713,155号、および/またはGang Chen他により2007年3月2日に出願された米国特許出願第11/713,483号に記載されたような、光学的投影機、光学的投影方法、ならびに/またはスペックル減少方法および/もしくは装置において使用される多色光源を駆動するためにも使用することができる。これら4つの特許出願も、その全体が参照により本明細書中に組み込まれている。
【0032】
本明細書の様々な別の実施形態は、多様な別の種類の電子部品、例えば、個々に駆動することが可能な電子部品のアレイを駆動するために使用することができる。例えば、様々な実施形態は、一定DC電圧条件下および/または一定DC電流条件下で電子部品を駆動するための装置および方法を提供する。これらの実施形態が、例えば、多色光源の光放出部のドライバおよび駆動することに限定することは意図されていない。
【0033】
図1〜6は、出力ドライバ回路パス12および電子コントローラ14を含むDC−DC電圧変換器10A、10B、10C、10D、10E、10Fを図示する。
【0034】
種々のDC−DC電圧変換器10A、10B、10C、10D、10E、10Fは、異なる出力特性および入力特性を有する。DC−DC電圧変換器10Aは、DC電圧源16の電圧を昇圧する昇圧型DC−DC電圧変換器になっている。DC−DC電圧変換器10B〜10Cは、DC電圧源16の電圧を降圧する降圧型DC−DC電圧変換器である。DC−DC電圧変換器10D〜10Eは、例えば、DC電圧源16の電圧を昇圧するまたは降圧するように動作することが可能な昇降圧DC−DC電圧変換器である。DC−DC電圧変換器10Fは、例えばDC電圧源16の電圧を昇圧するまたは降圧するように動作することが可能であり、DC電圧源16から出力ドライバ回路パス12への電流の流れを時間的に平滑化することが可能なCUK DC−DC電圧変換器になっている。
【0035】
出力ドライバ回路パス12は、接点αとβを有し、その両端にDC−DC電圧変換器10A〜10Fが出力電圧Vを印加する。出力ドライバ回路パス12は、N個の電子的負荷装置のアレイを時分割多重化方式で出力電圧Vにより駆動するように電子コントローラ14によって動作される。出力ドライバ回路パス12は、第1の形態または第2の形態を有することができる。第1の形態では、出力ドライバ回路パス12は、制御可能な回路パスの直列に接続されたアレイを含み、各電子的負荷装置は、制御可能な回路パスのうちの対応する1つの両端間に接続される。第2の形態では、出力ドライバ回路パス12は、制御可能な回路パスの並列に接続されたアレイを含み、各回路パスは電子的負荷装置のうちの対応する1つを含む。
【0036】
電子コントローラ14は、出力ドライバ回路パス12を制御する。具体的に、電子コントローラ14は、出力ドライバ回路パス12がアレイの電子的負荷装置のうちの1つを選択的に駆動し、特定の時間にアレイの他の電子的負荷装置を選択的に駆動しないように構成された回路要素を含む。そのように、電子コントローラ14は、出力ドライバ回路パス12に、例えば電子的負荷装置のうちの1つだけが任意のある時間に駆動されるように、時分割多重化方式で電子的負荷装置を駆動させることができる。
【0037】
各DC−DC電圧変換器10A〜10Fは、また、DC電圧源16、1つまたは複数の従来型のインダクタ18、1つまたは複数の従来型のキャパシタ20、1つまたは複数のダイオード22、および従来型のスイッチング回路24をも含む。DC電圧源16は、プリセットDC電源電圧Vを供給する。(1つまたは複数の)インダクタ18および(1つまたは複数の)キャパシタ20は、DC−DC電圧変換器10A〜10Fの過渡特性およびその不連続モードと連続モード定常状態動作領域との間の境界に影響を及ぼし得る形態の従来型の回路デバイスである。1つまたは複数のダイオード22は、やはり従来型の回路デバイス、例えばショットキー・ダイオードである。スイッチング回路24は、事前選択された頻度でそれ自体の入力端Iと出力端Oとの間の電気的接続を開閉するように構成され、それにより定常状態動作が実現されたときにDC−DC電圧調整器10A〜10FがDC電源電圧Vをほぼ一定のDC出力電圧Vに変換することを可能にする。具体例のスイッチング回路24は、スイッチング電圧源およびスイッチを含み、スイッチの制御入力端、例えば図9に示されたような電界効果型トランジスタ・スイッチのゲートまたはバイポーラ・トランジスタ・スイッチのベースは、スイッチング電圧源によって駆動される。スイッチング電圧源は、交流(AC)用部品、例えば、のこぎり波用部品を含み、スイッチング回路24のデューティ値Dの調整を可能にするDC用部品を含むことができる。ここにおいて、スイッチング回路の動作周期、すなわち開と閉の周期、の全長に対する、スイッチング回路が閉である周期ごとの時間の比が、スイッチング回路のデューティ値Dである。
【0038】
ある実施形態において、電子コントローラ14は、スイッチング回路24のデューティ値Dを制御および/もしくは調整することができ、ならびに/または出力ドライバ回路パス12からの電圧値フィードバックに基づいてスイッチング回路24のデューティ値を自動調節することができる。例えば、電子コントローラ14は、スイッチング回路内のスイッチング・トランジスタの制御入力端、例えば、FETスイッチのゲートまたはバイポーラ・トランジスタ・スイッチのベースにDCオフセットを印加するように接続し、それによりスイッチング回路24のデューティ値Dを調節することができる。
【0039】
商業的に入手可能な集積回路(IC)は、スイッチング回路24および電子コントローラ14の部品として適している。例えば、1630 McCarthy Blvd.,Milpitas,CA 95035−7417のLinear Technology Inc(www.linear.com)は、識別番号LT3518、LT3477およびLT3478を有する製品を販売し、これらの製品は、スイッチング回路24および電子コントローラ14の部品として適している。一部のかかるICは、スイッチング回路24を調整するために、例えば、図7〜8に示したようなセンス・レジスタRによる電圧降下をフィードバックするためのフィードバック入力端FIを有することができる。スイッチング回路24は、出力ドライバ回路12の電流を下記に述べるようにプリセット値に安定化させる方式でそれ自体のデューティ値を調節するためにかかるフィードバック電圧を使用することができる。一部のかかるICは、さらにスイッチング回路24のデューティ値Dを調整するためにDCバイアス電圧を印加するための制御入力端(CI)をも有することができる。
【0040】
スイッチング回路24のデューティ値Dは、定常状態動作におけるDC−DC電圧変換器のDC出力電圧VとそのDC電源電圧Vとの関係をほぼ規定する。連続電流モードでは、DC−DC電圧変換器10A〜10Fの(1つまたは複数の)インダクタの電流は、ゼロにはならない。具体例のDC−DC電圧変換器10A〜10Fについて、VとVとの関係は、定常状態動作における連続電流モードに関して下記の表1に示されている。
【0041】
【表1】

そのように、DC−DC電圧変換器10A〜10Fの種々の実施形態では、所望の出力電圧Vを生成するために表1の関係と実質的に矛盾しない方式で動作するようにスイッチング回路24のデューティ値Dを調節するために電子コントローラ14を使用することができる。
【0042】
DC−DC電圧変換器10A〜10Fにおいて、出力ドライバ回路パス12は、例えば、図7に示したような直列実施形態12でも、図8に示したような並列実施形態12でもよい。どちらの実施形態12、12においても、N個の別個の電子的負荷装置LD1、LD2、...、LDNは、対応する回路パスCP1、CP2、...、CPNの中に接続され、または前記回路パスCP1、...、CPNの一部を形成する。電子的負荷装置LD1、...、LDNは、時間インターリーブ方式、すなわち時分割多重化方式でDC−DC電圧変換器10A〜10Fによって駆動される。ここで、整数Nは、2以上、例えば2、3、4または5である。
【0043】
図7を参照して、直列実施形態12では、図1〜6の出力ドライバ回路パス12を形成するように回路パスCP1、...、CPNを直列に接続する。各回路パスCP1、CP2、...、CPNは、スイッチS1、S2、...、SNをその途中に含むシャント回路パスである。電子的負荷装置LD1、...、LDNは、対応する回路パスCP1、...、CPNの両端を接続する。したがって、回路パスCP1、...、CPNの端の各対は、直列実施形態12ではDC−DC電圧変換器10A〜10Fの出力端の対として機能する。スイッチS1、S2、...、SNは、そこに印加される制御電圧に応じてシャント回路パスを開閉する。制御電圧は、対応する回路パスCP1、...、CPNが1つの値に対して開であり別の値に対して閉である2つの値のうちの1つを有するように設定される。それゆえ、出力電流は、パスのスイッチS1、...、SNが閉である場合に実質的に回路パスCP1、...、CPNだけを経由して流れ、パスのスイッチS1、...、SNが開である場合に実質的に対応する電子的負荷装置LD1、...、LDNだけを経由して流れる。
【0044】
直列実施形態12の一般的な駆動動作中に、電子コントローラ14は、制御線束CBの制御線CL1、CL2、...、CLNを介してスイッチS1、S2、...、SNに制御電圧を印加する。制御電圧は、対応する回路パスCP1、CP2、...、CPNのうちのどれが開にされ、どれが閉にされるかを決める。具体的に、電子コントローラ14は典型的には、駆動動作の間にスイッチS1、...、SNのうちのN−1個を同時に閉にし、残りの1つのスイッチS1、...、SNを開にするように1セットの制御電圧を印加する。それゆえ、N個の電子的負荷装置LD1、...、LDNのうちの1つだけが、直列実施形態12では任意のある時間においてDC−DC電圧変換器10A〜10Fの出力電圧Vにより一般的に駆動される。電子コントローラ14は、電子的負荷装置LD1、...、LDNのうちの別の1つが異なる時間において駆動されるように制御電圧のセットの形態を代える。すなわち、電子コントローラ14は、電子的負荷装置LD1、...、LDNの駆動を時分割多重化する方式で出力ドライバ回路パス12を制御する。
【0045】
図8を参照して、並列実施形態12では、図1〜6の出力ドライバ回路パス12を形成するように回路パスCP1、...、CPNを並列に接続する。各回路パスCP1、CP2、...、CPNは、対応するスイッチS1、S2、...、SNおよび対応する電子的負荷装置LD1、LD2、...、LDNを途中に含む。それゆえ、各回路パスCP1、...、CPN上の2つの点は、並列実施形態12におけるDC−DC電圧変換器10A〜10Fの出力端の対として機能する。スイッチS1、...、SNは、印加される制御電圧に応じて開閉する。すなわち、各制御電圧は、対応する回路パスCP1、...、CPNが1つの値に対して開であり別の値に対して閉であるような2つの値のうちの1つを有する。出力駆動電流は、同じ回路パスCP1、...、CPN上のスイッチS1、...、SNが閉である場合にだけ電子的負荷装置LD1、...、LDNのうちの1つに流れる。
【0046】
並列実施形態12の典型的な駆動動作中に、電子コントローラ14は、制御線束CBの制御線CL1、CL2、...、CLNを介してスイッチS1、S2、...、SNに制御電圧を印加する。制御電圧は、対応する回路パスCP1、...、CPNのうちのどれが閉にされるかを決める。具体的に、電子コントローラ14は、スイッチS1、...、SNのうちのN−1個を同時に開にし、残りの1つのスイッチS1、...、SNを閉にする1セットの制御電圧を印加する。したがって、N個の電子的負荷装置LD1、...、LDNのうちの1つだけが、任意のある時間においてDC−DC電圧変換器10A〜10Fの出力電圧Vにより一般的には駆動される。並列実施形態12では、電子コントローラ14は、電子的負荷装置LD1、...、LDNのうちの別の1つが異なる時間において駆動されるように制御電圧のセットの状態を再び代える。すなわち、電子コントローラ14は、電子的負荷装置LD1、...、LDNを駆動することを時分割多重化する方式で出力ドライバ回路パス12を制御する。
【0047】
出力ドライバ回路パス12の並列実施形態12では、スイッチS0により制御される追加のシャント回路パスCP0をオプションとして含むことができる。出力ドライバ回路パス12の並列実施形態12が電子的負荷装置LD1、...、LDNを通って何も電流を通過させずにシャント回路パスとして機能できるように、シャント回路パスCP0は、電子コントローラ14を介して制御線CL0に印加される制御電圧によって閉じられる。かかるシャンティングは、下記にさらに述べられるようにDC−DC電圧変換器10A〜10Fの(1つまたは複数の)キャパシタ20の電荷を放電するために有用である。
【0048】
出力ドライバ回路パス12の直列実施形態12および並列実施形態12の両者は、例えば、約1オーム未満の小さなセンス・レジスタをオプションとして含むこともできる。ある実施形態では、DC−DC電圧変換器10A〜10F内のN個の電子的負荷装置LD1、...、LDNへの出力電圧または出力電流のフィードバック制御または安定化を可能にするために、センス・レジスタ両端の電圧は、図1〜6のスイッチング回路24のセンシング入力端FIにフィードバックされる。具体的に、一部のDC−DC電圧変換器10A〜10Fは、そのようなフィードバック測定値に基づきそれ自体のデューティ値Dを変化させることができる。かかるフィードバック制御は、例えば、動作中の電子的負荷装置LD1、...、LDNにおける温度変動および/または変化を補償するために有用であり得る。
【0049】
図9は、図7〜8に示されたような、出力ドライバ回路パス12の直列実施形態12および並列実施形態12のスイッチS1、...、SNに関する複数の例示的な形態を示す。スイッチS1、...、SNは、制御入力端が電界効果型トランジスタ(FET)のゲートであるようなFETであってもよい。スイッチS1、...、SNは、電界効果型トランジスタ・スイッチ回路であってもよい。スイッチS1、...、SNは、また、制御入力がバイポーラ・トランジスタのベースであるようなバイポーラ・トランジスタ・スイッチであってもよい。スイッチS1、...、SNの別の実施形態は、制御可能なON/OFF型のスイッチ用の別の従来型の回路に基づくものであり得る。
【0050】
図10は、図1〜6の電子コントローラ14に関する具体例の一実施形態14’を示す。電子コントローラ14’は、デジタル・セレクタ回路30を含み、デジタル−アナログ変換器(DAC)32、Mx1多重化装置(MUX)34、およびオプションのN対1ORゲート36をオプションとして含む。
【0051】
デジタル・セレクタ30は、出力ドライバ回路パス12のN個のスイッチS1〜SNを動作させるN個のバイナリ値電圧のセットを生成する。具体的に、電圧の各セットは、N個のスイッチS1〜SNに、1回に1つの電子的負荷装置LD1〜LDNにDC−DC電圧変換器10A〜10Fの出力電圧Vを選択的に印加させる。デジタル・セレクタ30は、N個の電子的負荷装置LD1〜LDNが駆動される順序およびタイミングを選択する。
【0052】
オプションのDAC32は、そのM個の出力端のそれぞれに異なる電圧値を生成する。ここで、Mは、N以下である。DACの各出力端は、Mx1 MUX34の入力端のうちの1つに接続される。Mx1 MUX34は、スイッチング回路24のオプションの制御入力端CIへ制御電圧を印加する出力端を有する。制御電圧は、例えば、トランジスタ・スイッチのゲートまたはベースに印加されるDCバイアスを固定することによりスイッチング回路24のデューティ値Dを制御する。スイッチング回路24のデューティ値Dを固定することによって、制御電圧は、図1〜6のDC−DC電圧変換器10A〜10Fのかかる実施形態の定常状態動作中の出力電圧Vを決める。したがって、MUX34を制御することにより、デジタル・セレクタ30は、例えば、DC−DC電圧変換器10A〜10Fに、電子的負荷装置LD1〜LDNのうちの異なるものの両端に異なる出力電圧Vを印加させる、または異なるものを通して異なる電流を送らせることができる。
【0053】
一代替実施形態では、1つのDACが、例えば、DAC32およびMUX34に取って代わることができる。かかる実施形態では、デジタル・セレクタ30は、スイッチング回路24の制御入力端CIに所望の電圧出力を提示するはずの1つのDACへ、対応するデジタル値を直接送るはずである。
【0054】
オプションのN対1ORゲート36は、スイッチング回路24のオプションのイネーブル入力端へデジタル制御信号を与える。例えば、N対1ORゲート36は、図7および図8の電子的負荷装置LD1〜LDNのうちのどれかがDC−DC電圧変換器10A〜10Fによって駆動されるように設定されているときはいつでも、スイッチング回路24をイネーブルにすることができる。当然ながら、他の実施形態は、出力ドライバ回路パス12がそこに接続されたN個の電子的負荷装置のうちの1つを駆動するように設定されている場合に、スイッチング回路24をイネーブルにする別の従来方法を使用することができる。
【0055】
図11は、図1〜6のDC−DC電圧変換器10A〜10Fを動作させる具体例の方法38に関するタイミング図である。この方法では、DC−DC電圧変換器10A〜10Fは、図12のフローチャートにより図示されるように駆動期間と緩和期間との間で交互に動作する。各駆動期間中に、電子コントローラ14は、出力ドライバ回路パス12をN個の電子的負荷装置、例えば図7および図8の負荷LD1〜LDNのうちの1つまたは複数の両端間に駆動電圧を印加するように設定し、また出力ドライバ回路パス12が残りのN−1個の電子的負荷装置の両端に駆動電圧を印加しないように通常は設定する。ある実施形態では、電子コントローラ14は複数の電子的負荷装置を連続して駆動することができる。例えば、電子コントローラ14は、電子的負荷装置LD1〜LDNのN個全て、すなわち1回に1つの負荷、を駆動することができる。代替の実施形態では、電子コントローラ14は、1つの駆動期間において1つだけの電子的負荷装置、または少なくともN個全部より少ない電子的負荷装置を駆動することができる。各緩和期間中に、電子コントローラ14は、出力ドライバ回路パス12がN個の電子的負荷装置のいずれにも駆動電圧を印加しないように設定する。その代わりに、これらの期間中に、電子コントローラ14は、いずれの(1つまたは複数の)キャパシタ20もいずれの電子的負荷装置を駆動せずに蓄積した電荷を放電できるように出力ドライバ回路パス12を設定する。直列実施形態12では、電子コントローラ14は、緩和期間中に全てのN個のスイッチS1〜SNを閉じるはずである。並列実施形態12では、緩和期間中に、電子コントローラ14は全てのN個のスイッチS1〜SNを開きシャント回路パス用のスイッチS0を閉じるはずである。方法38は、例えば、電子的負荷装置のうちのより多くのものを駆動するためにおよび/または同じ電子的負荷装置を再び駆動するために、駆動期間および緩和期間の実行を繰り返すことを含む。
【0056】
各緩和期間により、駆動されるべき次の電子的負荷装置の駆動にとって多すぎる電荷を(1つまたは複数の)キャパシタ20が放電することが可能になる。そのような緩和期間を使用することにより、DC−DC電圧変換器10A〜10Fは、1つまたは複数の電子的負荷装置が、他の(1つまたは複数の)電子的負荷装置を駆動するのに必要な電圧値および/または電流値により損傷を受けることがある、電子的負荷装置のアレイを駆動することができる。
【0057】
適度な大きさのキャパシタ20にとって、緩和期間は、駆動期間よりも短い程度の長さにさえすることができ、それにより相当量の駆動時間を無駄にしないようにすることができる。
【0058】
方法38において、必要な緩和の長さを最小にするように、駆動期間(DP)および緩和期間(RP)の列を配列することができる。例えば、DPは、全ての電子的負荷装置が1回駆動される1周期の中で(1つまたは複数の)キャパシタ20に蓄積された電荷が単調に増加するように順番に並べられることができる。かかる実施形態では、(1つまたは複数の)キャパシタは、周期全体の終わりにおいてのみ放電する。かかる実施形態は、例えば、全ての電子的負荷装置の1つの駆動周期が(1つまたは複数の)キャパシタ20を放電するために緩和を実行せずに進行できるように、(1つまたは複数の)キャパシタ20を放電する必要性をなくす。例えば、図8の並列実施形態12では、電子コントローラ14は、例えば、N個全ての電子的負荷装置LD1〜LDNが駆動される周期の終わりに(1つまたは複数の)キャパシタを放電させるために出力ドライバ回路パス12のスイッチS0を閉じるだけであるはずである。
【0059】
図13は、複数のN個の電子的負荷装置を駆動する時間的に共有されたDC−DC電圧変換器、例えば、図1〜6のDC−DC電圧変換器10A〜10F、を動作させる方法40を図示する。方法40は、負荷が時分割多重化方式で駆動されるように、時間期間の配列の間に複数の別個の電子的負荷装置の両端に駆動電圧を印加するようにDC−DC電圧変換器を動作させることを含む(ステップ42)。動作ステップ42は、(1つまたは複数の)シャント回路パス、例えば、図7のN−1個の回路パスCP1〜CPN、を閉じることを含むことができ、対応する(1つまたは複数の)電子的負荷装置に印加した電流および電圧をバイパスさせる、すなわち(1つまたは複数の)負荷をその時間に駆動しないようにすることができる。動作ステップ42は、対応する(1つまたは複数の)電子的負荷装置に印加した電流および電圧をバイパスさせるために、すなわち(1つまたは複数の)負荷をその時間に駆動しないように、例えば、図8のN−1個の回路パスCP1〜CPNのN−1個のスイッチを開くことを代わりに含むことができる。動作ステップ42では、1つの電圧が1つの電子的負荷装置の両端に印加され、異なる電圧が1つまたは複数の別の電子的負荷装置の両端に印加されてもよい。方法40は、上記の方法38において述べたようにそのような駆動期間とキャパシタ緩和期間とをインターリーブすることを含むことができる。
【0060】
ある実施形態では、図1〜10のDC−DC電圧変換器10A〜10Fおよび図11〜13の方法38、40は、また、ある駆動期間において1より多くの電子的負荷装置を同時に駆動するように設定することができる。
【0061】
本発明は、明細書、図面、および特許請求の範囲に照らせば、当業者には明白であるはずの別の実施形態を含むように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の出力端対を有し、時分割多重化方式で前記出力端対の両端に電圧を印加するように構成されたDC−DC電圧変換器
を含む装置。
【請求項2】
前記DC−DC電圧変換器は、複数のシャント回路パスをさらに含み、各シャント回路パスは前記対のうちの対応する1つの出力端間に接続され、スイッチを途中に有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記DC−DC電圧変換器は、前記シャント回路パスの前記スイッチを動作させるように構成された電子コントローラをさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記シャント回路パスは、電気的に直列に接続される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記DC−DC電圧変換器は、並列に接続された回路パスをさらに含み、各回路パスは前記対のうちの対応する1つの前記出力端を途中に有し、制御可能なスイッチを途中に有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
複数の光源をさらに含み、各光源は前記出力端対のうちの対応する1つの間に接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
複数の電子部品を駆動する方法であって、
時分割多重化方式で前記電子部品の両端に電圧を印加するためにDC−DC電圧変換器を動作させるステップ
を含む、方法。
【請求項8】
前記動作させるステップは、前記DC−DC電圧変換器に、前記電子部品のうちの1つの両端に第1の電圧を印加させ、前記電子部品のうちの別の1つの両端に異なる第2の電圧を印加させるステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記動作させるステップは、前記DC−DC電圧変換器が前記電子部品のうちの1つに電圧を印加しないときに、前記電子部品のうちの前記1つを横切るシャント回路パスを閉じるステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記動作させるステップは、前記DC−DC電圧変換器が前記電子部品のうちの1つに電圧を印加するときに、前記電子部品のうちの前記1つを有する回路パスを閉じ、任意の別の電子部品を有する1つまたは複数の回路パスを開くことを同時に行うステップを含み、前記回路パスは並列に接続される、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−510609(P2011−510609A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544316(P2010−544316)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/000350
【国際公開番号】WO2009/094134
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】