説明

DC補償およびAGCのための方法およびシステム

【課題】受信機においてAGCおよびDC補償を実行する。
【解決手段】受信機は、受信信号のレベルの推定値を生成するエネルギ推定部と、受信信号にゲインを適用するRFデバイスと、エネルギ推定値に基づいてRFデバイス・ゲインを制御するAGCと、高速トラッキング・モードまたは低速トラッキング・モード(FTMまたはSTM)において、受信信号のDC補償を精細に調整する第1のDC補償ループと、受信信号のDC成分を粗調整する第2のDC補償ループとを備える。AGC動作には獲得時、接続時、スリープ時の3つのモードがある。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
本願は、2008年3月29日に出願され“Method and System for DC Compensation and AGC”と題された米国仮出願61/040,663の出願日の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、フロント・エンド・ラジオ周波数(RF)受信機システムにおける自動ゲイン制御(AGC)および直流(DC)電圧補償のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信システムは、例えば、音声、データ等のようなさまざまなタイプのコンテンツを提供するために広く開発されてきた。これらのシステムは、(例えば、帯域幅、送信電力等のような)利用可能なシステム・リソースを共有することにより、複数のユーザとの通信をサポートすることができる多元接続システムでありうる。そのような多元接続システムの例は、符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、3GPP LTEシステム、および直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム等を含む。
【0004】
通常、無線多元接続通信システムは、複数の無線端末のための通信を同時にサポートすることができる。端末はおのおのの、順方向リンクおよび逆方向リンクによる送信を介して1または複数の基地局と通信することができる。順方向リンク(すなわちダウンリンク)は、基地局から端末への通信リンクを称し、逆方向リンク(すなわちアップリンク)は、端末から基地局への通信リンクを称する。この通信リンクは、単一入力単一出力(SISO)システム、複数入力単一出力(MISO)システム、または、複数入力複数出力(MIMO)システムによって確立される。
【0005】
MIMOシステムは、データ送信に関し、複数(N個)の送信アンテナと、複数(N個)の受信アンテナとを使用する。N個の送信アンテナおよびN個の受信アンテナによって形成されるMIMOチャネルは、空間チャネルとも称されるN個の独立チャネルへ分割される。ここでN≦min{N、N}である。N個の独立チャネルのおのおのは、ディメンションに相当する。複数の送信アンテナおよび受信アンテナによって生成される追加のディメンションが利用される場合、MIMOシステムは、(例えば、より高いスループット、および/または、より高い信頼性のような)向上されたパフォーマンスを与える。
【0006】
MIMOシステムは、時分割デュプレクス(TDD)システムおよび周波数分割デュプレクス(FDD)システムをサポートする。TDDシステムでは、相互原理によって、逆方向リンク・チャネルから順方向リンク・チャネルを推定できるように、順方向リンク送信および逆方向リンク送信が、同じ周波数領域にある。これによって、アクセス・ポイント(AP)において複数のアンテナが利用可能である場合、アクセス・ポイント(AP)は、順方向リンクで、送信ビームフォーミング・ゲインを抽出できるようになる。
【0007】
そのようなシステムでは、例えば無線アクセス端末(AT)の受信機のような受信機の信号は、送信電力、モビリティ、マルチパス、フェージング、干渉、およびその他のような多くの要因によって、電力レベルが実質的に変動する。そのような受信機では、受信信号は、一般に、低雑音増幅器(LNA)によって増幅され、ミキサとローカル発振機(LO)との組み合わせによって、低周波数範囲へダウンコンバートされ、アナログ・デジタル変換器(ADC)によってデジタル・フォーマットへ変換される。この信号をデジタル・フォーマットに適切あるいは最適に変換するために、ADCの入力における平均信号電力レベルは、受信信号を最小雑音で適切に量子化するために十分大きな量子化対雑音比となるように十分高く、かつ、ADCの飽和を避けるために十分低くなければならない。したがって、ADCの入力において、信号電力レベルを適切に設定するために、一般に、そのような受信機は、ADCから上流側にあるデバイスのゲインを調整するために、自動ゲイン制御(AGC)を適用する。
【0008】
そのような受信機において発生する別の問題は、ミキサをダウンコンバートする出力、および、その下流側にある他のデバイスにおいて生成されるDCレベルである。このDCレベルは、主として、LO信号によって生成される。このLO信号は、入力部へ向かってリークし、LO信号と再ミックスされ、DCレベルが生成される。通常、DCレベルは、下流側で行われる受信信号電力レベルの推定に悪影響を及ぼす。この推定は、LNAのみならず、さらに下流側にあるデジタル・ゲイン・ステージのゲインを適切に設定するために実行される。
【0009】
通常、LNAまたはミキサのゲインのAGC、およびDCレベルは、互いに独立していない。例えば、LNAまたはミキサのゲインを変更することは、しばしば、DCレベルの変更をももたらす。したがって、ADCの入力における適切な信号レベルのみならず、ミキサの下流側にあるDCレベルの低減または除去を保証するために、AGCとDCレベル補償とを、統合方式で実行する技術に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0010】
本開示の態様は、受信機において、自動ゲイン制御(AGC)および直流(DC)補償を提供する装置および方法に関する。この点において、受信機は、受信ラジオ周波数(RF)信号の信号レベルのエネルギ推定値を生成するエネルギ推定部と、受信RF信号に対して、プログラム可能なゲインを適用するRFデバイス(例えば、低雑音増幅器(LNA)またはミキサ)と、受信RF信号のエネルギ推定値に基づいて、RFデバイスのゲインを制御するAGCモジュールと、受信RF信号のDC成分を微調整する精細DC補償ループと、受信RF信号のDC成分を粗調整する粗DC補償ループとを備える。少なくとも3つの動作モードが考慮される。それらは、獲得モード、接続モード、およびスリープ・モードである。
【0011】
獲得モードでは、信号は受信機によって受信されるが、信号のタイミング情報はまだ検出されていない。獲得モードは、アクセス端末(AT)の起動直後に適用可能である。このモードにおける目的は、受信信号のAGCの合理的に正確な調整を実行することである。これは、以下のうちの1または複数の反復によって実行される。(1)受信信号のDC成分の高速トラッキング・モード(FTM)における精細調整。(2)受信信号のエネルギの比較的短期間の推定。および(3)受信信号の短期間のエネルギ推定に基づくRFデバイスのプログラム可能なゲインの調整。
【0012】
接続モードにおいて、受信機は、受信信号のタイミング情報を検出する。したがって、目的は、受信信号のより正確なAGCを実行することである。これは、以下のうちの1または複数の反復によって実行される。(1)受信信号のエネルギの比較的長期間の推定。(2)受信信号の長期間のエネルギ推定に基づくRFデバイスのプログラム可能なゲインの調整。(3)受信信号のDC成分の低速トラッキング・モード(STM)における精細調整。および(4)受信信号のDC成分の1または複数の粗調整。プログラム可能なゲインの調整がステップ(2)で実行されない場合、受信信号の精細DC成分が、予め定めたしきい値を上回らないのであれば、ステップ(3)およびステップ(4)は行われない。
【0013】
スリープ・モードでは、受信機は、トラフィック情報を受信も送信もしていないが、アクセス・ポイント(AP)からのクイック・ページ信号を受信している。受信機は、アクセス・ポイント(AP)が受信機に送信するメッセージを有しているかを判定するために、クイック・ページ信号(例えば、ウルトラ・モバイル・ブロードバンド(UMB)スーパフレーム・プリアンブル(SFPA)の第2のシンボル)を傍受するために、予め定めた時間において、ウェイク・アップ(例えば、低電力モードから高電力モードへ移行)する。目的は、ウェイク・アップ後に、受信信号の適度に正確なAGCを十分速く実行することである。これは、受信信号との予め定めたタイミング関係において、以下を予め定めた回数反復することによって達成される。(1)受信信号のDC成分のFTMにおける精細調整。(2)受信信号のエネルギの比較的短期間の推定。および(3)受信信号の短期間のエネルギ推定に基づく、RFデバイスのプログラム可能なゲインの調整。
【0014】
本開示の他の態様、利点、および新規の特徴は、添付図面とともに考慮された場合、本開示の以下の詳細説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の特徴、特性、および利点は、同一の参照符号が全体を通じて同一物に特定している図面とともに考慮された場合、以下に記載する詳細な記述からより明らかになるだろう。
【図1】図1は、本開示の態様にしたがう典型的な多元接続無線通信システムを例示する。
【図2】図2は、本開示の別の態様にしたがう典型的な通信システムのブロック図を例示する。
【図3】図3は、本開示の別の態様にしたがうAGC/DC補償制御を含む典型的な受信機フロント・エンド・システムのブロック図を例示する。
【図4】図4は、本開示の別の態様にしたがうウルトラ・モバイル・ブロードバンド(UMB)スーパフレーム構造を図示する。
【図5】図5は、本開示の別の態様にしたがうすべてのAGC状態に対する粗DC補償を較正するための典型的な方法のフロー図を例示する。
【図6】図6は、本開示の別の態様にしたがって、獲得モード、および獲得−接続移行モードにおいてAGCおよびDCレベル補償を実行するための典型的な方法のフロー図を例示する。
【図7】図7は、本開示の別の態様にしたがって接続モードにおけるAGCおよびDCレベル補償を実行するための典型的な方法のフロー図を例示する。
【図8】図8は、本開示の別の態様にしたがって、スリープ・モードにおいてAGCおよびDCレベル補償を実行するための典型的な方法のフロー図を例示する。
【図9】図9は、本開示の別の態様にしたがう典型的な自動ゲイン制御(AGC)モジュールのブロック図を例示する。
【図10】図10は、本開示の別の態様による典型的な直流(DC)補償ループのブロック図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に記載された技術は、例えば符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、シングル・キャリアFDMA(SC−FDMA)ネットワーク等のような様々な無線通信ネットワークのために使用される。「システム」、「ネットワーク」という用語は、しばしば置換可能に使用される。CDMAネットワークは、例えば、ユニバーサル地上ラジオ・アクセス(UTRA)、cdma2000等のようなラジオ技術を実施することができる。UTRAは、広帯域CDMA(W−CDMA)およびロー・チップ・レート(LCR)を含んでいる。cdma2000はIS−2000規格、IS−95規格、およびIS−856規格をカバーする。TDMAネットワークは、例えばグローバル移動体通信システム(GSM(登録商標))のようなラジオ技術を実現することができる。OFDMAネットワークは、例えばイボルブドUTRA(E−UTRA)、IEEE 802.11、IEEE 802.16、IEEE 802.20、フラッシュOFDM(登録商標)等のようなラジオ技術を実施することができる。UTRA、E−UTRA、およびGSMは、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の一部である。ロング・ターム・イボリューション(LTE)は、E−UTRAを使用するUMTSの最新のリリースである。UTRA、E−UTRA、GSM、UMTS、およびLTEは、「第3世代パートナシップ計画」(3GPP)と命名された組織からの文書に記載されている。cdma2000は、「第3世代パートナシップ計画2」(3GPP2)と命名された組織からの文書に記載されている。これらさまざまなラジオ技術および規格は、当該技術分野において知られている。明確にするために、これら技術のある態様は、以下において、LTEについて記載されており、LTE用語が以下の説明の多くで使用される。
【0017】
シングル・キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)は、単一のキャリア変調および周波数領域等値化を利用する技術である。SC−FDMAは、OFDMAシステムと同じ性能、および実質的に同じ全体的な複雑さを有する。SC−FDMA信号は、その固有のシングル・キャリア構造により、低いピーク対平均電力比(PAPR)を有する。SC−FDMAは、送信電力効率の観点において、低いPAPRがモバイル端末に大いに有益となるアップリンク通信において特に、大きな注目を集めた。それは現在、3GPPロング・ターム・イボリューション(LTE)またはイボルブドUTRAにおけるアップリンク多元接続スキームのために動作していると仮定されている。
【0018】
図1は、本開示の態様にしたがう典型的な多元接続無線通信システムを図示する。アクセス・ポイント100(AP)は、複数のアンテナ・グループを含んでいる。1つは104、106を含み、他のものは108、110を含み、さらに他のものは112、114を含む。図1では、おのおののアンテナ・グループについて2本のアンテナしか示されていない。しかしながら、おのおののアンテナ・グループについて、それより多くのまたはそれより少ないアンテナが利用されうる。アクセス端末116(AT)はアンテナ112およびアンテナ114と通信しており、アンテナ112、114は、順方向リンク120でアクセス端末116へ情報を送信し、逆方向リンク118でアクセス端末116から情報を受信する。アクセス端末(AT)122は、アンテナ106およびアンテナ108と通信している。ここでは、アンテナ106およびアンテナ108は、順方向リンク126によってアクセス端末(AT)122へ情報を送信し、逆方向リンク124によってアクセス端末(AT)122から情報を受信する。FDDシステムでは、通信リンク118、120、124、126は、通信のために、異なる周波数を使用しうる。例えば、順方向リンク120は、逆方向のリンク118によって使用されるものとは異なる周波数を使用することができる。
【0019】
通信するように設計されている領域および/またはアンテナのグループのおのおのは、しばしば、アクセス・ポイント(AP)のセクタと称される。実施形態では、アンテナ・グループは各々、アクセス・ポイント(AP)100によってカバーされた領域のセクタ内のアクセス端末(AT)と通信するように設計される。
【0020】
順方向リンク120、126による通信では、アクセス・ポイント(AP)100の送信アンテナは、他のアクセス端末(AT)116、122の順方向リンクの信号対雑音比を改善するためにビームフォーミングを利用する。また、有効範囲領域にわたってランダムに分布しているアクセス端末(AT)に送信するためにビームフォーミングを利用するアクセス・ポイント(AP)は、近隣セル内のアクセス端末(AT)に対して、すべてのアクセス端末(AT)に対して単一のアンテナによって送信しているアクセス・ポイント(AP)よりも少ない干渉しかもたらさない。
【0021】
アクセス・ポイント(AP)は、アクセス端末(AT)と通信するために使用される固定局でありうる。そして、アクセス・ポイント(AP)、ノードB、基地局(BS)、あるいはその他の用語で称されうる。アクセス端末(AT)はまた、ユーザ機器(UE)、無線通信デバイス、端末、あるいは他の用語で称されうる。
【0022】
図2は、(アクセス・ポイント(AP)としても知られている)送信機システム210と(アクセス端末(AT)としても知られている)受信機システム250とを備えた、例えばMIMOシステムのような典型的な通信システム200のブロック図を例示する。送信機システム210では、多くのデータ・ストリーム用のトラフィック・データが、データ・ソース212から送信(TX)データ・プロセッサ214に提供される。
【0023】
実施形態では、おのおののデータ・ストリームは、それぞれの送信アンテナを通して送信される。TXデータ・プロセッサ214は、おのおののデータ・ストリームのトラフィック・データ・ストリームをフォーマットし、このデータ・ストリームのために選択された特定の符合化スキームに基づいて符号化し、インタリーブして、符合化されたデータを提供する。
【0024】
おのおののデータ・ストリームの符合化されたデータは、OFDM技術を用いてパイロット・データと多重化されうる。パイロット・データは一般に、既知の方法で処理される既知のデータ・パターンであり、チャネル応答を推定するために受信機システムにおいて使用されうる。おのおののデータ・ストリームについて多重化されたパイロットおよび符合化されたデータは、データ・ストリームのために選択された特定の変調スキーム(例えば、BPSK、QPSK、M−PSK、あるいはM−QAM等)に基づいて変調(例えば、シンボル・マップ)され、変調シンボルが提供される。おのおののデータ・ストリームのデータ・レート、符号化、および変調は、プロセッサ230によって実行される命令群によって決定されうる。
【0025】
すべてのデータ・ストリームの変調シンボルは、(例えば、OFDMのために)変調シンボルをさらに処理するTX MIMOプロセッサ220に提供される。TX MIMOプロセッサ220はその後、N個の変調シンボル・ストリームを、N個の送信機(TMTR)222a乃至222tへ提供する。ある実施形態では、TX MIMOプロセッサ220は、データ・ストリームのシンボル、および、そのシンボルが送信されるアンテナへ、ビームフォーミング重みを適用する。
【0026】
おのおのの送信機222a乃至222tは、1または複数のアナログ信号を提供するために、それぞれのシンボル・ストリームを受信して処理し、さらには、MIMOチャネルを介した送信に適切な変調信号を提供するために、このアナログ信号を調整(例えば、増幅、フィルタ、およびアップコンバート)する。送信機222a乃至222tからのN個の変調信号は、N個のアンテナ224a乃至224tそれぞれから送信される。
【0027】
受信機システム250では、送信された変調信号は、N個のアンテナ252a乃至252rによって受信され、おのおののアンテナからの受信信号が、それぞれの受信機(RCVR)254a乃至254rへ提供される。おのおのの受信機254a乃至254rは、それぞれの受信信号を調整(例えば、フィルタ、増幅、およびダウンコンバート)し、この調整された信号をデジタル化してサンプルを提供し、さらにこのサンプルを処理して、対応する「受信された」シンボル・ストリームを提供する。
【0028】
RXデータ・プロセッサ260は、N個の受信機254a乃至254rからN個のシンボル・ストリームを受信し、受信されたこれらシンボル・ストリームを、特定の受信機処理技術に基づいて処理して、N個の「検出された」シンボル・ストリームを提供する。RXデータ・プロセッサ260は、その後、検出されたおのおののシンボル・ストリームを復調し、デインタリーブし、復号して、そのデータ・ストリームのためのトラフィック・データを復元する。RXデータ・プロセッサ260による処理は、送信機システム210におけるTX MIMOプロセッサ220およびTXデータ・プロセッサ214によって実行されるものと相補的である。
【0029】
プロセッサ270は、上述したように、利用可能などの技術を利用するのかを定期的に決定する。さらに、プロセッサ270は、行列インデクス部およびランク値部を備えた逆方向リンク・メッセージを規定することができる。
【0030】
逆方向リンク・メッセージは、通信リンクおよび/または受信されたデータ・ストリームに関するさまざまなタイプの情報を備えうる。逆方向リンク・メッセージは、多くのデータ・ストリームのトラフィック・データをデータ・ソース236から受け取るTXデータ・プロセッサ238によって処理され、変調器280によって変調され、送信機254a乃至254rによって調整され、基地局210へ送り戻される。
【0031】
送信機システム210では、受信機システム250からの変調信号が、アンテナ224a−tによって受信され、受信機222a−tによって調整され、復調器240によって復調され、RXデータ・プロセッサ242によって処理されることによって、受信機システム250によって送信された逆方向リンク・メッセージが抽出される。さらに、プロセッサ230は、ビームフォーミング重みを決定するためにどの事前符合化行列を使用するかを決定するために、この抽出されたメッセージを処理する。
【0032】
図3は、本開示の別の態様にしたがう自動ゲイン制御AGCおよびDC補償制御を実行するための典型的な受信機フロント・エンド・システムのブロック図を例示する。典型的な実施形態では、フロント・エンド・システム300は、本明細書において、アクセス端末(AT)の一部として記載されており、前述したようなアクセス端末(AT)250の受信機254a−rのうちの任意の1または複数に実装される。しかしながら、フロント・エンド・システム300は、前述したアクセス・ポイント(AP)210の受信機222a−tのうちの任意の1または複数を含む任意の受信機に実装されうることも理解されるものとする。
【0033】
特に、フロント・エンド・システム300は、アンテナ302、第1のスイッチSW1、低雑音増幅器(LNA)304、ミキサ306、第1の加算器308、アンチ・エイリアシング・フィルタ(AAF)312とシグマ・デルタ変調器(SDM)314とを備えるAD変換器(ADC)310を備える。ADC310の構成要素は、設計選択によって変更されうることが理解されるものとする。フロント・エンド・システム300はさらに、グループ遅延(GD)316、デジタル・フィルタ(DF)318、第2の加算器320、ノッチ・フィルタ(NF)322、I/Qミスマッチ補償デバイス324、周波数ローテータ(FR:frequency rotator)326、デジタル・ゲイン・モジュール328、デジタル信号処理モジュール342、およびフロント・エンド・コントローラ344を備える。さらに、フロント・エンド・システム300は、デジタルDC補正ループ(DDCL)330、第2のスイッチ(SW2)、アナログDC補正ループ(ADCL)340、デジタル・アナログ変換器(DAC)338、エネルギ推定器(EE)334とデジタル可変ゲイン増幅器(DVGA)336とを備える自動ゲイン(AGC)モジュール332を備える。
【0034】
動作中、アンテナ302は、無線媒体から受信したRF信号をピック・アップし、第1のスイッチSW1が閉位置にある場合、第1のスイッチSW1を経由してLNA304へ提供する。LNA304は、受信したRF信号を、AGCモジュール332によって制御されるゲインを用いて増幅する。LNA304によって生成されたこの増幅RF信号は、ミキサ306へ提供される。ミキサ306は、この信号を、デジタル処理のためにより適した低い周波数へと、周波数ダウンコンバートする。ミキサ306は、ローカル発振器(LO)信号Fを用いて、ダウンコンバートを実行する。ミキサ306のゲインも、AGCモジュール332によって制御される。ダウンコンバートされた受信信号は、第1の加算器308の入力に加えられる。第1の加算器308は、ミキサ306の出力部における受信信号のDC成分を低減するために、この受信信号を、ADCL340およびDAC338によって生成された粗DC補償信号と総和する。背景技術のセクションで説明したように、ミキサ306の入力部へとリークし、LO信号と再ミックスされるLO信号は、ミキサ306の出力部においてDC成分を生成する。補正がなされない場合、このDC成分は、フロント・エンド・システム300のモジュールのチェーンを下流側へ拡大しうる。
【0035】
第1の加算器308の出力は、ADC310に接続される。ADC310は、受信信号を、アナログ・フォーマットからデジタル・フォーマットへ変換する。特に、AAF312は、エイリアシング歪みを低減または除去するために、この受信アナログ信号をフィルタし、SDM314は、このフィルタされた信号を、デジタル・フォーマットへ変換する。GD316は、I/Q成分のタイミング関係をさらにイコライズするために、この受信信号のI成分および/またはQ成分を遅らせる。DF318は、この受信信号から、ジャミングおよび/またはその他の望まれない信号を低減または除去する。DF318の出力は、第2の加算器320の入力に加えられる。第2の加算器320は、ADCL340によって実行された粗DC補償から残っている残余DCをさらに低減するために、この受信信号を、DDCL330によって生成された精細DC補償信号と総和する。
【0036】
第2の加算器320の出力は、NF322に加えられる。NF322は、この受信信号の任意の望まれない高次の高調波を低減する。NF322の出力は、I/Qミスマッチ補償デバイス324に加えられる。I/Qミスマッチ補償デバイス324は、I成分およびQ成分に関連付けられたゲインおよびフェーズをさらにイコライズする。I/Qミスマッチ補償デバイス324の出力部は、FR326に接続されている。FR326は、受信信号を、LO信号Fにおける望まれない周波数オフセットについて補正する。FR326の出力部は、AGCモジュール332の入力部に接続されている。AGCモジュール332は、LNA304の入力部における受信RF信号の電力レベルを推定し、LNA304のためのAGC信号と、デジタル・ゲイン・モジュール328のためのデジタル・ゲイン制御信号とを生成する。AGC信号はまた、第2の加算器320およびDDCL330それぞれからの信号のフィルタリングの調整のために、DDCL330およびADCL340によっても使用される。FR326の出力は、デジタル・ゲイン・モジュール328の入力部に接続される。デジタル・ゲイン・モジュール328は、AGCモジュール332によって生成されたデジタル・ゲイン制御信号に基づいて、受信信号にゲインを適用する。
【0037】
AGCモジュール332からのAGC信号は、LNA304および/またはミキサ306のゲインを、比較的大きなステップで調整することができる。例えば、受信RF信号のダイナミック・レンジとして−110乃至−20dBmが与えられた場合、AGC信号は、LNAのために、以下の5つのアナログ・ゲイン・ステージを提供する。62dB、46dB、37dB、26dB、および10dB。AGCモジュール332からのデジタル・ゲイン制御信号は、受信信号のためにより精細な調整を提供する。デジタル・ゲイン・モジュール328の出力は、データを得るために、受信信号をさらに処理するために、デジタル信号処理モジュール342に接続される。デジタル信号処理モジュール342は、コントローラ344に対して、信号タイミング情報、または、コントローラ344がフロント・エンド・システム300のさまざまなモジュールを制御するために使用する必要なものを提供する。コントローラ344は特に、AGCモジュール332、DDCL330、ADCL340、第1のスイッチSW1、および第2のスイッチSW2を制御する。コントローラ344は、コンピュータ読取可能媒体に格納された1または複数のソフトウェア・モジュールの命令群の下でこの制御を実行することができる。
【0038】
前述したように、DDCL330は、第2の加算器320の出力部におけるDC成分の精細調整(例えば、低減または除去)を行う。特に、DDCL330は、DC成分を含む受信信号を検知するために、第2の加算器320の出力部に接続された入力部を含んでいる。本明細書においてさらに詳細に説明するように、DDCL330は、AGC信号のゲイン状態に基づいて、1次フィルタリング動作を実行することによって、精細なDC補償信号を生成する。また、前述したように、ADCL340は、第1の加算器308の出力部におけるDC成分の粗調整(例えば、低減または除去)を行う。特に、ADCL340は、第2の加算器320の出力部における受信信号の非DC成分に関連する信号を受信するために、スイッチSW2を経由してDDCL330に接続される入力部を含んでいる。本明細書においてさらに詳細に説明するように、ADCL340は、AGC信号のゲイン状態に基づいて、DDCL信号の1次フィルタリング動作を実行することによって、粗DC補償信号を生成する。
【0039】
低速トラッキング・モード(STM)は、DDCL330の時定数が、比較的大きく(例えば、接続モードにおいて102.4マイクロ秒に)設定されるか、あるいは逆に、DDCL330の帯域幅が比較的小さく(例えば、1.5kHzに)設定されることを意味する。高速トラッキング・モード(FTM)は、DDCL330の時定数が、比較的小さく(例えば、獲得モードにおいて6.4マイクロ秒に、スリープ・モードにおいて1.6マイクロ秒に)設定されるか、あるいは逆に、DDCL330の帯域幅が比較的大きく(例えば、獲得モードにおいて25kHzに、スリープ・モードにおいて100kHzに)設定されることを意味する。より一般的には、STMは、DC補償がFTMよりもゆっくりと実行されることを意味するか、あるいは逆に、FTMは、DC補償がSTMよりも速く実行されることを意味する。
【0040】
本明細書においてより詳細に説明されるように、AT接続状態は、正確な不変のDCレベル推定値を与えるので、STMは、AT接続状態の間に使用される。しかしながら、AT接続状態は、低速獲得から悪影響を受ける。しかしながら、FTMは、高速の不変のDCを獲得するのに適しているが、比較的雑音が多いことから悪影響を受ける。FTMは、一般に、獲得モードおよびスリープ・モードの間に使用される。しかしながら、FTMは、DCレベルまたは電力推定値が著しく外れている場合にも使用される。すなわち、STMにおいて大きな変動がある場合、FTMは、ベースラインを再確立するために起動されうる。既に説明したように、FTMは、正確なDCレベルを与えないが、良好な初期推定値を提供する際に有用である。さまざまな回路素子内のDCレベルが、ゲイン・ステージを更新することに応じて上がることもまた注目されるべきである。すなわち、おのおののゲイン・ステージは、動作モード/値が変更された場合、DC成分を導入することができる。したがって、DC補償は、回路に導入されたDC成分を考慮することを含む。上記のAGC/DC補償設計によって、広いダイナミック・レンジ適応が可能となり、ファームウェア制御にしたがって調整されうる。
【0041】
現代の通信システムでは、ADCにおいて利用可能なダイナミック・レンジを最大限に活用するために、入力信号の適切なDC補償が注目される。UMB規格では、可能ないくつかの規格のうちの1つとして、順方向リンク信号強度は、スーパフレーム・プリアンブル(SFPA)内を除いて、著しく変化しうる。フレーム信号強度が変化を受け、SFPAが唯一の安定した電力レベル基準であるので、SFPAウィンドウ内でAGCの制御を試みる既存のシステムに対し、大きな問題を呈する。さらに、ゼロIF受信機の残余DCレベルは、受信機のゲイン設定とともに変化するので、AGCを更新する場合、DC補償が実行されるべきである。
【0042】
本明細書に開示されたさまざまな実施形態によれば、受信機ゲインがアナログ領域とデジタル領域との両方で分配されるようになるのみならず、DC補償がアナログ領域とデジタル領域との両方で適用されるように、AGCおよびDC補償が制御される。DC補償設定は、AGC設定に依存する。すなわち、AGCによってアナログ・ゲイン状態が変化を受ける場合には常に、DC補償が再調整される。
【0043】
図4は、受信信号の一部でありうる典型的なUMBスーパフレーム構造410の図解を例示する。スーパフレーム410は、スーパフレーム・プリアンブル(SFPA)を含んで示されている。例えば、SFPAの後に、例えば、0乃至24とインデクスされた、25の順方向リンクPHVフレームがある。次のスーパフレーム420は、スーパフレーム410の「後に」例示されており、類似のプリアンブルおよびPHVフレームを有している。
【0044】
SFPAはおのおのの、関連情報を備えた8つのシンボルを含んでいる。シンボルはおのおのの、およそ100マイクロ秒(μs)でありうる。これらのシンボルは、順方向1次ブロードキャスト・チャネル(F−PBCCH)と、4つの順方向2次ブロードキャスト・チャネル(F−SBCCH)または4つの順方向クイック・ページ・チャネル(F−QPCH)と、3つの時分割多重化(TDM)パイロット1−3(順方向獲得チャネル(F−ACQCH))とを含む。例えば、本明細書にさらに詳述するように、AGCを更新することは、F−PBCCHシンボルが、復号された後か、および/または、関連する電力レベルを備えられた後に、F−PBCCHシンボルを受け取っている間に実行される。3とインデクスされたOFDMシンボルは、獲得直後には重要であるとは考えられていないので、AGCを更新することは、獲得直後に実行される。また、早期のシンボルは、初期の探索中に破損しうるので、5−7とインデクスされたOFDMシンボルは、獲得中に、SFPAインジケータとして検出され復号されるか、および/または、電力推定値とともに復号される。5−7とインデクスされたOFDMシンボルが検出されると、獲得がなされたと確認されうる。しかしながら、AGC電力レベルは、このフレームについて、正しくないかもしれない。したがって、AGC調整が、次のSPFAまで延期されうる。
【0045】
上記の説明から明らかなように、受信信号強度(RSSI)測定のためのSFPAがさほどないことに対応するために、DC補償およびAGCタイミング・パラメータが、システム要件を満足するように、注意深く計画される。ここでは、5つの運転モードが実施される。
・DC補償較正モード、
・獲得モード、
・獲得−接続移行モード、
・接続モード、および
・スリープ・モード。
【0046】
DC補償較正モードは、電源投入時、あるいは、システム・ソフトウェア(SW)/ファームウェア(FW)によって望まれたその他任意の時間において起動される。DC補償較正は、アンテナ入力が省略されるすべての可能なゲイン状態について実行される。ここでは、アンテナ回路によって生成されるあらゆるDC成分のためのオフセットまたは補償のために、較正表が生成される。このモードは、起動中に実行され、FW強制動作でありうる。以下の記述は、DC補償較正モードで動作する典型的な方法を説明する。
【0047】
図5は、本開示の別の態様にしたがうすべてのAGC状態のための粗DC補償(ADCL)を較正する典型的な方法500のフロー図を例示する。この方法500によれば、コントローラ344が、アクセス端末(AT)の電源投入を検出する(ブロック502)。電源投入動作を検出すると、コントローラ344は、LNA304へのアンテナ302の入力をディセーブルするために、スイッチSW1を開く。これによって、フロント・エンド300は、信号を受信することができなくなる(ブロック504)。その後、コントローラ344は、LNA304を初期ゲイン状態に設定するためにAGCモジュール332を制御する(ブロック506)。その後、コントローラ344は、第2の加算器320の出力部におけるDC成分レベルを決定する(ブロック508)。その後、コントローラ344は、すべてのゲイン状態が選択されたかを判定する(ブロック510)。すべてのLNAゲイン状態が選択された訳ではない場合、方法は、次のゲイン状態を選択するためにブロック506に戻る。すべてのLNAゲイン状態が選択された場合、コントローラ344は、すべてのゲイン状態の測定されたDC成分に基づいて粗DC補償を実行するようにADCL340を設定する(ブロック512)。その後、コントローラ344は、アンテナ302がLNA304に接続されるように、スイッチSW1を閉じる。これによって、フロント・エンド300は、信号を受信できるようになる(ブロック514)。この方法はまた、それに加えて、あるいは、その代わりに、ミキサ306のゲインにも当てはまる。
【0048】
獲得(ACQ)モードは、初期獲得中またはブラインド探索中に使用される。初期獲得中、何れのシステム・タイミング情報も、アクセス端末(AT)に利用可能ではない。この場合、獲得手続は、AGC/DVGA調整と並行して実行される。TDDシステムでは、タイミングが失われていることにより、逆方向リンク(RL)フレームは、受信エネルギの広いダイナミック・レンジをもたらすエネルギ推定に寄与する。それに加えて、チャネル変動効果がある。したがって、信号内のエネルギ変動に注意深く追従するために、高速トラッキング/更新モード(FTM)が実施される。これを説明するための別の方式は、DC補償がFTMモードに設定されることである。おのおのの更新サイクルにおいて、DC補償は、FTM更新を実行し、AGCは、トラッキングが得られるまで、エネルギ推定(EE)またはRSSI測定を行う。アクセス端末(AT)が、タイミングを獲得すると、スーパフレーム(SF)境界がこのポイントにおいて良好に定義され、AGC/DVGAは、以下に説明する他の条件にしたがって、低速トラッキング・モード(STM)へ移行する。
【0049】
獲得−接続移行モード。アクセス端末(AT)がシステム時間を獲得すると、アクセス端末(AT)は、次のSFPAまでAGC動作を停止させる。SFPAの開始時は、DC補償およびAGCが、例えば、EE/AGC更新が後に続くDC補償FTMのような一連の(設定可能な)ACQサイクルを実行する。その後、接続モードへ切り換わり、DC補償は、STMモードへと変化し、粗DC補償ループがイネーブルされる。下記は、獲得モード、および、獲得−接続移行モードにおいて動作する典型的な方法を記述する。
【0050】
図6は、本開示の別の態様にしたがって、獲得モードおよび獲得−接続移行モードにおいてAGCおよびDCレベル補償を実行する典型的な方法600のフロー図を例示する。この方法600によれば、コントローラ344は、RF信号が受信されていることを検出する(ブロック602)。この受信信号の検出に応じて、コントローラ344は、DDCL330に対して、第2の加算器320の出力部におけるDC成分を低減するために、FTMにおける精細調整(例えば、〜26マイクロ秒(μ秒)長さの動作)を実行するように命じる(ブロック604)。その後、コントローラ344は、AGCモジュール332に対して、比較的短いエネルギ推定(例えば、〜26マイクロ秒(μ秒)長さの動作)を実行するように命じる(ブロック606)。そして、このエネルギ推定に基づいて、LNA304(および/またはミキサ306)のゲインを調節するために、AGC信号を生成する(例えば、〜6マイクロ秒(μ秒)長さの動作)(ブロック608)。その後、コントローラ344は、デジタル信号処理モジュール342が、受信信号のタイミングを獲得したかを判定する(ブロック610)。獲得されていない場合、ブロック604−610の動作が繰り返される。
【0051】
一方、デジタル信号処理モジュール342は、受信信号のタイミングを獲得すると、スーパフレーム・プリアンブル(SFPA)を処理しているコントローラ344へ信号を送る(ブロック614)。その後、コントローラ344は、アイタレーションまたはカウントを1に設定する(ブロック616)。コントローラ344は、第2の加算器320の出力部におけるDC成分を低減するために、DDCL330に対して、FTMにおける精細調整(例えば、〜26マイクロ秒(μ秒)長さの動作)を実行するように命じる(ブロック618)。その後、コントローラ344は、AGCモジュール332に対して、比較的短いエネルギ推定(例えば、〜26マイクロ秒(μ秒)長さの動作)を実行するように命じる(ブロック620)。さらに、このエネルギ推定に基づいて、LNA304(および/またはミキサ306)のゲインを調節するためにAGC信号を生成する(例えば、〜6マイクロ秒(μ秒)長さの動作)ように命じる(ブロック622)。コントローラ344は、その後、アイタレーションまたはカウントが、予め定めた制限(例えば、5または6)に等しいかを判定する(ブロック624)。アイタレーションまたはカウントが、予め定めた制限に等しくないのであれば、コントローラ344は、アイタレーションまたはカウントをインクリメントする(ブロック626)。コントローラ344は、その後、ブロック618−624の動作を繰り返す。一方、アイタレーションまたはカウントが、予め定めた制限に等しいとコントローラ344が判定すると、コントローラ344は、この獲得AGC/DC調整処理を終了する(ブロック628)。
【0052】
接続モードは2つのサブモードを要する。すなわち、PBCCH復号前のSFPAと、PBCCH復号後のSFPAである。
【0053】
まず、PBCCH復号「前」のモードの背後にある一般的な概念を説明する。これは、SFPAの第4番目のOFDMシンボルの開始時に、低速トラッキング/更新モード(STM)におけるRSSI信号のAGCと、エネルギ推定DC補償とで開始される。その後、残余DC値が、予め定めたしきい値を超える場合、動作はSTMモードからFTMモードに切り換わり、DC補償をSTMへ再び切り換える前に、予め定めた数のDC補償粗ループ更新の実行を開始する。
【0054】
PBCCH復号後のSFPAのための接続モード。まず、SFPAの第1番目のOFDMシンボルの開始時において、STMにおけるDC補償とともにAGCエネルギ推定(RSSI)を開始する。その後、残余DC値が、予め定めたしきい値を超える場合、STMモードからFTMモードへと切り換える。そして、DC補償をSTMへ再び切り換える前に、予め定めた数のDC補償粗ループ更新を行う。
【0055】
接続モードでは、プリアンブル間で、フル電力未満で送信がなされる可能性がある。したがって、2つのスーパフレーム間のいかなる更新も、ADCの飽和をもたらしうる。例えば、これは、フル電力フレームの後に来る部分電力フレームにおいて更新が実行される場合に生じる。したがって、これを回避するために、プリアンブル間でのみスーパフレームを更新することが望まれる。AGCは、スーパフレームの全体にわたって動作するが、プリアンブルの間のみ更新されることが注目されるべきである。さらに、AGCは、瞬時値にロックされるのではなく、フィルタされた値にロックされる。ACQ後、瞬間エネルギは、増幅器において、PBCCH復号まで、(0−2とインデクスされた)第1乃至第3番目以外のシンボルから計算され、その後、第1番目のOFDMシンボルから計算される。ここで、タイミングが達成されたとみなされる。下記は、接続モードで動作する典型的な方法について記述する。
【0056】
図7は、本開示の別の態様にしたがって、接続モードでAGCおよびDCレベル補償を実行する典型的な方法700のフロー図を例示する。この方法700によれば、コントローラ344は、SFPAの第1番目のODFMシンボル(PBCCHシンボルが既に復号されている場合)、または、SFPAの第4番目のOFDMシンボル(PBCCHシンボルがまだ復号されていない場合)の検出を示すメッセージを、デジタル信号処理モジュール342から受信する(ブロック702)。対応するシンボルが検出されていない場合、コントローラ344は、ブロック702に関するこのシンボルの検出のモニタをし続ける。第1番目のシンボルまたは第4番目のシンボルが検出された場合、コントローラ344は、AGCモジュール332に対して、LNA304に対する入力部における受信RF信号の比較的長期間のエネルギ推定(例えば、〜52マイクロ秒の長さの動作)を実行するように命じる(ブロック704)。このエネルギ推定に基づいて、AGCモジュール332は、LNA304(および/またはミキサ306)のゲインが調整される必要があるかを判定する(ブロック706)。調整される必要がある場合、AGCモジュール332は、このエネルギ推定に基づいて、LNA304(および/またはミキサ306)のゲインを調整するためのAGC信号を生成する(例えば、〜6マイクロ秒の長さの動作)(ブロック708)。その後、方法700は、ブロック710に示す動作に移る。
【0057】
ブロック706において、AGCモジュール332が、LNA304(および/またはミキサ306)のゲインが調整される必要がないと判定した場合、コントローラ344は、第2の加算器320の出力部におけるDC成分を判定する(ブロック714)。その後、コントローラ344は、DC成分が、予め定めたしきい値を超えるかを判定する(ブロック716)。超えていない場合、コントローラ344は、ブロック702の動作に戻り、次のSFPAの第1番目または第4番目のシンボルを検出する。一方、ブロック716において、測定されたDC成分が、予め定めたしきい値を超えるとコントローラ344によって判定された場合、コントローラ344は、DDCL330に対して、第2の加算器320の出力部におけるDC成分を低減するために、STMにおける精細調整(例えば、〜6.5マイクロ秒の長さの動作)を実行するように命じる(ブロック710)。その後、コントローラ344は、ADCL340に対して、第2の加算器320の出力部におけるDC成分を低減するために、1または2つの粗調整(例えば、〜6.5マイクロ秒の長さの動作)を実行するように命じる(ブロック712)。コントローラ344はその後、次のSFPAの第1番目または第4番目のシンボルを検出するブロック702の動作に戻る。
【0058】
最後に、スリープ・モード(スリープからのウェイク・アップ)。このモードでは、システムは、SFPAの開始時にウェイク・アップする。その後、DC更新が、FTMにおいて実行され、EEを実行する。DC/EEのこの手続は、予め定めた数のサイクルについて繰り返される。このサイクルにおいて、処理は、DC補償をSTMモードへと切り換える。以下は、スリープ・モードで動作する典型的な方法を説明する。
【0059】
図8は、本開示の別の態様にしたがって、スリープ・モードにおけるAGCおよびDCレベル補償を実行する典型的な方法800のフロー図を例示する。この方法800によれば、デジタル信号処理モジュール342は、アクセス端末(AT)に対するページがあるかをチェックするために、ウェイク・アップする(ブロック802)。ウェイク・アップ後、デジタル信号処理モジュール342は、SFPAの第1番目のOFDMシンボルを検出する(ブロック804)。第1番目のOFDMシンボルの検出が通知された後、コントローラ344は、アイタレーションまたはカウントを、1に設定する(ブロック806)。その後、コントローラ344は、DDCL330に対して、第2の加算器320の出力におけるDC成分を低減するために、FTMにおける精細調整(例えば、〜6.5マイクロ秒の長さの動作)を実行するように命じる(ブロック808)。次に、コントローラ344は、AGCモジュール332に対して、比較的短期間のエネルギ推定(例えば、〜6.5マイクロ秒の長さの動作)を実行するように命じる(ブロック810)。AGCモジュール332は、このエネルギ推定に基づいて、LNA304(および/またはミキサ306)のゲインを調整するためのAGC信号を生成する(例えば、〜6.5マイクロ秒の長さの動作)(ブロック812)。コントローラ344は、その後、アイタレーションまたはカウントが、予め定めた制限(例えば、5または6)に等しいかを判定する(ブロック814)。アイタレーションまたはカウントが、予め定めた制限に等しくないと判定された場合、コントローラ344は、アイタレーションまたはカウントをインクリメント(ブロック818)し、ブロック808−814の動作を繰り返す。一方、等しいと判定された場合、コントローラ344は、スリープAGC/DC調整処理を終了する(ブロック816)。
【0060】
本明細書では、上記のモードの動作シーケンスの関係のうちのいくつかが詳述される。獲得サイクル/タイミングが確認されると、高速トラッキング(FTM)が、次の(第2番目の)スーパフレームまで停止される。このスーパフレームにおいて、高速トラッキング(FTM)は、プリアンブルにおける電力設定の良好な初期推定値を得るために、予め定めた数のサイクルについてリスタートされる。第1の獲得情報の第1のセグメントが破損されているか、あるいは、第1のスーパフレーム・プリアンブルの電力レベルが、次に到着する(第2番目の)スーパフレーム・プリアンブルのものとは異なりうることが理解される。したがって、高速トラッキングは、良好な初期電力推定値を得るために、次の(第2番目の)スーパフレーム・プリアンブルにおいて(タイミングが獲得された後に)リスタートされる。プリアンブル内のエネルギ・レベルは、一定であると考えられるので、AGC更新は、スーパフレーム・プリアンブル間で実行されるべきではなく、プリアンブル間で実行されるべきであることが注目される。
【0061】
しかしながら、次の(第2番目の)スーパフレーム・プリアンブル内の第1番目のシンボルは、破損しているか、あるいは、第1番目のスーパフレーム・プリアンブルのものとは異なる電力を有しうるので、一般に、破棄される。タイミングが獲得されたので、高速トラッキング・モードは、次の(第2番目の)スーパフレーム・プリアンブル内の次のシンボルにおける電力を迅速に評価するだろう。その後、低速トラッキング・モード(STM)が実行されうる。
【0062】
タイミングが既に獲得され、次の(第2番目の)スーパフレーム・プリアンブルにおける電力が判定されているので、プリアンブルの第1番目のシンボルは、関係なくなり、AGCの更新が、次に(第3番目の)到着するスーパフレーム・プリアンブルの第1番目のシンボルについて実行される。
【0063】
図9は、本開示の別の態様にしたがう典型的なAGCモジュール900のブロック図を例示する。AGCモジュール900は、AGCモジュール332(さらに、アイテム922としてデジタル・ゲイン・モジュールを含んでいる)の1つの典型的な実装である。デジタル・ゲイン・モジュール922は、以前に説明したフロント・エンド・システム300ものと同じモジュール328でありうる。
【0064】
特に、コントローラ900は、エネルギ推定器(EE)902、線形−対数2変換器904、加算器906、1次フィルタ907、除算器/減算器918、およびロジック920を備える。EE902は、DC補償/補正から入力信号を受信し、この信号を、対数ベースのフォーマットへ変換するために、変換器904へ転送する。変換器904の出力は、加算器906に提供される。加算器906は、反転された入力として、アナログ・ゲイン(log2フォーマット)を有する。アナログ・ゲイン(Log2)は、加算器906の入力に対するアンテナ・ポート間のゲインを推定する。したがって、加算器906の出力は、アンテナ・ポートにおいて受信されたRF信号の最新のエネルギ推定値E(n)になるだろう。
【0065】
加算器906の出力は1次フィルタ907に加えられる。1次フィルタ907は、受信信号のエネルギ推定値E(n)から雑音を除去し、受信信号の平均エネルギ推定値
【数1】

【0066】
を生成する。1次フィルタ907は、第1の乗算器908、加算器910、遅延素子Z−1916、および第2の乗算器914を備えうる。受信信号のエネルギ推定値E(n)は、第1の乗算器908に加えられる。第1の乗算器908は、この推定値E(n)を(1−α)倍スケールする。スケールされた推定値は、加算器910に加えられる。加算器910は、この推定値と、第2の乗算器914の出力からのフィードバック信号とを総和する。加算器910に出力部では、受信信号の平均エネルギ推定値
【数2】

【0067】
が生成される。この平均エネルギ推定値は、遅延素子Z−1916の入力に加えられる。遅延素子t Z−1916の出力は、第2の乗算器914に接続されている。第2の乗算器914は、遅延された平均エネルギ推定値
【数3】

【0068】
を、フィードバック信号を生成するために、α倍スケールする。
【0069】
フィルタ907の出力は、除算器/減算器918に提供される(対数領域における減算は、線形領域における除算に等しい)。基準レベルまたはターゲット・レベルであるErefが、除算器/減算器918に入力される。除算器/減算器918の出力は、ゲイン比を与える。このゲイン比は、ロジック920に提供される。ロジック920は2つの出力を有する。1つは、デジタル・ゲイン・モジュール922へと入力されるデジタル・ゲイン信号d(n)であり、もう1つは、AGC制御のためのアナログ・ゲイン信号f(n)である。
【0070】
要約すると、DVGAは、干渉をなくした後のエネルギ信号について動作する。エネルギ推定値は、まず、(ゲインを適用する前に)受信信号電力レベルを得るために、現在のアナログ・ゲインまでスケール・ダウンされる。その後、フィルタされた電力レベル値を推定するために、1次ループが使用される。制御ロジックは、RSSIを見つけることによって、対応するアナログ・ゲイン・ステージを選択するだろう。図9に示す構成を用いることによって、1つの更新で、複数のアナログ・ゲイン・ステージにジャンプすることが可能である。これは、より高速なAGCセトリングを提供する。所望する実効的なパフォーマンス・レベルを可能にしながら、図9に示すさまざまな要素が、設計選択にしたがって変更または変形されうることが認識されるべきである。したがって、これら変形は、本実施形態およびその他の実施形態の精神および範囲から逸脱することなくなされる。
【0071】
図10は、本開示の他の態様にしたがう典型的な直流(DC)補償ループ1000のブロック図を例示する。1000では、それぞれ入力として帯域幅制御定数KおよびKを有するフィードバック・ループ1010および1050を示す2つのループが示されている。第1のループ1010は、精細DC調整ループであると見なされ、第2のループ1050は、粗DC調整ループであると見なされる。
【0072】
特に、精細DC調整ループ1010は、第2の加算器320の出力から得られる信号x(n)を、フィードバック信号d(n)と総和して、DC補償信号y(n)を生成する加算器1012を備える。DC補償信号y(n)は、乗算器1014に加えられる。乗算器1014は、この信号を、帯域制御定数Kによってスケールする。スケールされた信号は、加算器1016へ加えられる。加算器1016は、このスケールされた信号を、遅延素子Z−11018によって提供された、加算器1016の遅延された出力と総和する。遅延素子Z−11018の出力部では、フィードバック信号d(n)が生成される。
【0073】
粗DC調節ループ1050は、精細DC調整ループ1010からのフィードバック信号d(n)に、帯域幅制御定数Kを乗じる乗算器1052を備える。このスケールされた信号は、加算器1054へ加えられる。加算器1054は、このスケールされた信号を、DC粗補償信号a(n)と総和する。加算器1054の出力を、遅延素子Z−11056を用いて遅延させることによって、DC粗調整信号a(n)が生成される。同様の手法で、Q−DC粗調整信号a(n)が生成される。I粗調整信号a(n)およびQ−DC粗調整信号a(n)は、両方とも、DAC1060の入力に加えられる。DAC1060は、アナログDC粗調整信号a(n)を生成する。
【0074】
これらループの内部動作によって表されるロープ・アルゴリズムは、設計選択にしたがって変更されることが認識されるべきである。したがって、図10は、DCループ設計の1つの特定の実施形態を例示している一方、制御において、複数のループ、あるいは、複数の程度のグラニュラリティもまた達成されうる他の実施も使用されうる。
【0075】
開示された処理におけるステップの具体的な順序または階層は、典型的なアプローチの例であることが理解される。設計選択に基づいて、これら処理におけるステップの具体的な順序または階層は、本開示のスコープ内であることを保ちながら、再構成されうることが理解される。方法請求項は、さまざまなステップの要素を、サンプル順で示しており、示された具体的な順序または階層に限定されないことが意味される。
【0076】
当業者であれば、情報および信号は、さまざまな異なる技術および技法のうちの何れかを用いて表されうることを理解するであろう。例えば、上記の説明の全体にわたって述べられたデータ、命令群、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁気粒子、光学場または光学粒子、エネルギ状態の変化、あるいは、これらの任意の組み合わせによって表されうる。
【0077】
当業者であればさらに、本明細書で開示された実施形態に関連して記載された例示的なさまざまな論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズム・ステップは、電子的なハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、あるいはこれら両方の組み合わせとして実現されることを認識するであろう。ハードウェアとソフトウェアとの相互置換性を明確に説明するために、さまざまな例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、それらの機能の観点から一般的に記述された。それら機能がハードウェアとしてまたはソフトウェアとして実現されるかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課せられている設計制約に依存する。当業者であれば、特定のアプリケーションおのおのに応じて変化する方法で上述した機能を実現することができる。しかしながら、この適用判断は、本発明の範囲からの逸脱をもたらすものと解釈されるべきではない。
【0078】
本明細書で開示された実施形態に関連して記述されたさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)あるいはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリート・ゲートあるいはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア構成要素、または上述された機能を実現するために設計された上記何れかの組み合わせを用いて実現または実施されうる。汎用プロセッサとしてマイクロプロセッサを用いることが可能であるが、代わりに、従来技術によるプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、あるいは順序回路を用いることも可能である。プロセッサは、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1または複数のマイクロプロセッサ、またはその他任意のこのような構成である計算デバイスの組み合わせとして実現することも可能である。
【0079】
本明細書で開示された実施形態に関して記述された方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアにおいて直接的に、プロセッサによって実行されるソフトウェア・モジュールによって、あるいはこれら2つの組み合わせによって具体化されうる。ソフトウェア・モジュールは、RAMメモリ、フラッシュ・メモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハード・ディスク、リムーバブル・ディスク、CD−ROM、あるいは当該技術分野で知られているその他の型式の記憶媒体に収納されうる。典型的な記憶媒体は、この記憶媒体から情報を読み取ったり、この記憶媒体に情報を書き込むことができるプロセッサのようなプロセッサに接続される。あるいは、この記憶媒体は、プロセッサに統合されうる。このプロセッサと記憶媒体とは、ASIC内に存在することができる。ASICは、ユーザ端末内に存在することもできる。あるいはプロセッサと記憶媒体とは、ユーザ端末内のディスクリート部品として存在することができる。
【0080】
1または複数の典型的な実施形態では、記載された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、あるいはそれらの任意の組み合わせによって実現されうる。ソフトウェアで実現される場合、これら機能は、コンピュータ読取可能媒体上に格納されるか、あるいは、コンピュータ読取可能媒体上の1または複数の命令群またはコードとして送信されうる。コンピュータ読取可能媒体は、コンピュータ記憶媒体と通信媒体との両方を含む。これらは、コンピュータ・プログラムのある場所から別の場所への転送を容易にする任意の媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされうる利用可能な任意の媒体である。例として、限定することなく、そのようなコンピュータ読取可能媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたはその他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶デバイス、あるいは、所望のプログラム・コード手段を命令群またはデータ構造の形式で搬送または格納するために使用され、しかも、コンピュータによってアクセスされうるその他任意の媒体を備えうる。さらに、いかなる接続も、コンピュータ読取可能媒体と適切に称される。同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、デジタル加入者線(DSL)、あるいは、例えば赤外線、無線およびマイクロ波のような無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、あるいはその他の遠隔ソースからソフトウェアが送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、DSL、あるいは、例えば赤外線、無線およびマイクロ波のような無線技術が、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるディスク(diskおよびdisc)は、コンパクト・ディスク(CD)、レーザ・ディスク、光ディスク、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルー・レイ・ディスクを含む。これらdiscは、レーザを用いてデータを光学的に再生する。それに対して、diskは、通常、データを磁気的に再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ読取可能媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0081】
開示された実施形態の上記記載は、当業者をして、本開示の製造または利用を可能とするように提供される。これら実施形態に対する様々な変形例もまた、当業者には明らかであって、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の主旨または範囲から逸脱することなく他の例にも適用されうる。このように、本発明は、本明細書で示された実施形態に限定されるものではなく、本明細書で開示された原理および新規な特徴に一致した最も広い範囲に相当することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジオ周波数(RF)受信信号を処理する装置であって、
前記RF受信信号を処理し、ダウンコンバートされた受信信号を生成するRFデバイスと、
前記RF受信信号のエネルギ推定値に関連する信号を提供するエネルギ推定部と、
前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記RFデバイスのゲインを制御する自動ゲイン制御(AGC)モジュールと、
前記ダウンコンバートされた受信信号におけるDC成分の精細調整を実行する精細DC補償モジュールと、
前記ダウンコンバートされた受信信号における前記DC成分の粗調整を実行する粗DC補償モジュールと
を備える装置。
【請求項2】
前記RFデバイスは、低雑音増幅器(LNA)を備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記RFデバイスは、ミキサを備える請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記AGCモジュールは、予め定めた別のゲインのセットにおける、前記RFデバイスのゲインを制御する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記精細DC補償モジュールは、前記AGCモジュールによって制御された前記ダウンコンバートされた受信信号におけるDC成分の精細調整を実行する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記精細DC補償モジュールは、前記ダウンコンバートされた受信信号のDC成分の精細調整を、高速トラッキング・モード(FTM)または低速トラッキング・モード(STM)において実行する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
粗DC補償モジュールは、前記AGCモジュールによって制御された前記ダウンコンバートされた受信信号におけるDC成分の粗調整を実行する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ダウンコンバートされた受信信号を、アナログ領域からデジタル領域へ変換するアナログ・デジタル変換器(ADC)をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記精細DC補償モジュールは、前記ダウンコンバートされた受信信号におけるDC成分の精細調整を、前記デジタル領域において実行する請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記粗DC補償モジュールは、前記ダウンコンバートされた受信信号におけるDC成分の粗調整を、前記アナログ領域において実行する請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記ダウンコンバートされた受信信号のレベルを、前記デジタル領域において調整するように適応されたデジタル・ゲイン・モジュールをさらに備える請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記AGCモジュールは、前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記デジタル・ゲイン・モジュールを制御するように適応された請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記RF受信信号が存在しない場合、一連のゲイン状態に対応するミキサの下流側にあるDCレベルの一連の測定値に基づいて、前記粗DC補償モジュールを設定するように適応されたコントローラをさらに備える請求項3に記載の装置。
【請求項14】
前記ダウンコンバートされた受信信号におけるタイミング情報を検出する信号処理モジュールをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項15】
コントローラを更に備え、
前記信号処理モジュールが、前記ダウンコンバートされた受信信号におけるタイミング情報を検出しないことに応じて、前記コントローラは、
前記精細DC補償モジュールに対して、前記ダウンコンバートされた受信信号におけるDC成分の高速トラッキング・モード(FTM)における精細調整を実行させる命令と、
前記エネルギ推定部に対して、前記RF受信信号のエネルギ推定値を生成させる命令と、
前記AGCモジュールに対して、前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記RFデバイスのゲインを制御させる命令と、
からなるシーケンシャルな各動作の1または複数の反復を実行するように適応された請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記信号処理モジュールが、前記ダウンコンバートされた受信信号におけるタイミング情報を検出したことに応じて、前記コントローラは、
前記精細DC補償モジュールに対して、前記ダウンコンバートされた受信信号におけるDC成分の前記FTMにおける精細調整を実行させる命令と、
前記エネルギ推定部に対して、前記RF受信信号のエネルギ推定値を生成させる命令と、
前記AGCモジュールに対して、前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記RFデバイスのゲインを制御させる命令と、
からなるシーケンシャルな各動作の1または複数のうちの予め定めた回数の反復を実行するように適応された請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記エネルギ推定部に対して、前記ダウンコンバートされた受信信号とのタイミング関係において、前記RF受信信号のエネルギ推定値を生成させる命令と、
前記AGCモジュールに対して、前記ダウンコンバートされた受信信号とのタイミング関係において、前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記RFデバイスのゲインを制御させる命令と、
からなるシーケンシャルな各動作を実行するように適応されたコントローラをさらに備える請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記精細DC補償モジュールに対して、前記ダウンコンバートされた受信信号とのタイミング関係において、前記ダウンコンバートされた受信信号のDC成分の低速トラッキング・モード(STM)における精細調整を実行させる命令と、
前記粗DC補償モジュールに対して、前記ダウンコンバートされた受信信号とのタイミング関係において、前記ダウンコンバートされた受信信号のDC成分の粗調整を実行させる命令と、
からなる各動作を実行するように適応されたコントローラをさらに備える請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記タイミング関係は、前記ダウンコンバートされた受信信号のスーパフレーム・プリアンブルのうちの少なくとも一部を前記信号処理モジュールが処理するための時間インタバルを備える請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ダウンコンバートされた受信信号のDC成分が、予め定めたしきい値を超えるのであれば、
前記精細DC補償モジュールに対して、前記ダウンコンバートされた受信信号とのタイミング関係において、前記ダウンコンバートされた受信信号におけるDC成分の低速トラッキング・モード(STM)における精細調整を実行させる命令と、
前記粗DC補償モジュールに対して、前記ダウンコンバートされた受信信号とのタイミング関係において、前記ダウンコンバートされた受信信号におけるDC成分の粗調整を実行させる命令と、
からなる動作を実行するように適応されたコントローラをさらに備える請求項14に記載の装置。
【請求項21】
前記精細DC成分モジュールに対して、前記ダウンコンバートされた受信信号とのタイミング関係において、前記ダウンコンバートされた受信信号におけるDC成分の高速トラッキング・モード(FTM)における精細調整を実行させる命令と、
前記エネルギ推定部に対して、前記ダウンコンバートされた受信信号とのタイミング関係において、前記RF受信信号のエネルギ推定値を生成させる命令と、
前記AGCモジュールに対して、前記ダウンコンバートされた受信信号とのタイミング関係において、前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記RFデバイスのゲインを制御させる命令と、
からなるシーケンシャルな各動作のうちの予め定めた1または複数の反復を実行するように適応されたコントローラをさらに備える請求項14に記載の装置。
【請求項22】
前記タイミング関係は、前記ダウンコンバートされた受信信号のスーパフレーム・プリアンブルのうちの少なくとも一部を前記信号処理モジュールが処理するための時間インタバルを備える請求項21に記載の装置。
【請求項23】
ラジオ周波数(RF)受信信号を処理する方法であって、
前記RF受信信号に対して、プログラム可能な電力ゲインを適用することと、
前記RF受信信号のエネルギ推定値に関連する信号を生成することと、
前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記プログラム可能な電力ゲインを制御することと、
前記RF受信信号をダウンコンバートすることと、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を、比較的精細に調整することと、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を、比較的粗く調整することとを備える方法。
【請求項24】
前記ダウンコンバートされたRF受信信号におけるタイミング情報を検出することをさらに備える請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ダウンコンバートされたRF受信信号におけるタイミング情報を検出する前に、以下のシーケンシャルな各動作の1または複数の反復を実行することと、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を比較的精細に、かつ、高速トラッキング・モード(FTM)で調整することと、
前記RF受信信号のエネルギ推定値に関連する信号を生成することと、
前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記プログラム可能な電力ゲインを制御することと
をさらに備える請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ダウンコンバートされたRF受信信号におけるタイミング情報を検出した後に、以下のシーケンシャルな各動作の1または複数のうちの予め定めた回数の反復を実行することと、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を比較的精細に、かつ、高速トラッキング・モード(FTM)で調整することと、
前記RF受信信号のエネルギ推定値に関連する信号を生成することと、
前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記プログラム可能な電力ゲインを制御することと
をさらに備える請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ダウンコンバートされたRF受信信号とのタイミング関係において、前記RF受信信号のエネルギ推定値に関連する信号を生成することと、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号とのタイミング関係において、前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記プログラム可能な電力ゲインを制御することとをさらに備える請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記ダウンコンバートされたRF受信信号におけるタイミング関係において、前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を比較的精細に、かつ、低速トラッキング・モード(STM)で調整することと、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号とのタイミング関係において、前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を、比較的粗く調整することと
をさらに備える請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記タイミング関係は、前記ダウンコンバートされたRF受信信号のスーパフレーム・プリアンブルのうちの少なくとも一部を処理するための時間インタバルを備える請求項28に記載の方法。
【請求項30】
以下のシーケンシャルな各動作の1または複数のうちの予め定めた回数の反復を実行することと、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号とのタイミング関係において、前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を、比較的精細に、かつ、高速トラッキング・モード(FTM)で調整することと、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号とのタイミング関係において、前記受信されたRF信号のエネルギ推定値に関連する信号を生成することと、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号とのタイミング関係において、前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記プログラム可能な電力ゲインを制御することとをさらに備える請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記タイミング関係は、前記ダウンコンバートされたRF受信信号のスーパフレーム・プリアンブルのうちの少なくとも一部を処理するための時間インタバルを備える請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ラジオ周波数(RF)受信信号を処理する装置であって、
前記RF受信信号に対して、プログラム可能な電力ゲインを適用する手段と、
前記RF受信信号のエネルギ推定値に関連する信号を生成する手段と、
前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記プログラム可能な電力ゲインを制御する手段と、
前記RF受信信号をダウンコンバートする手段と、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を、比較的精細に調整する手段と、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を、比較的粗く調整する手段とを備える装置。
【請求項33】
前記ダウンコンバートされたRF受信信号におけるタイミング情報を検出する手段をさらに備える請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記ダウンコンバートされたRF受信信号におけるタイミング情報を検出する前に、シーケンシャルな順序で、以下の手段を制御する手段と、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を比較的精細に、かつ、高速トラッキング・モード(FTM)で調整する手段と、
前記RF受信信号のエネルギ推定値に関連する信号を生成する手段と、
前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記プログラム可能な電力ゲインを制御する手段と
をさらに備える請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記ダウンコンバートされたRF受信信号におけるタイミング情報を検出した後に、前記ダウンコンバートされたRF受信信号とのタイミング関係において、以下の手段を制御する手段と、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号とのタイミング関係において、前記RF受信信号のエネルギ推定値に関連する信号を生成する手段と、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号とのタイミング関係において、前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記プログラム可能な電力ゲインを制御する手段とをさらに備える請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記制御する手段はさらに、前記ダウンコンバートされたRF受信信号におけるタイミング情報が検出された後、前記ダウンコンバートされたRF受信信号とのタイミング関係において、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を、比較的精細に、かつ、低速トラッキング・モード(STM)で調整する手段と、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を、比較的粗く調整する手段とをさらに制御する請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記ダウンコンバートされたRF受信信号とのタイミング関係において、以下の手段のうちの予め定めた1または複数の反復を制御する手段と、
前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を、比較的精細に、かつ高速トラッキング・モード(FTM)で調整する手段と、
前記RF受信信号のエネルギ推定値に関連する信号を生成する手段と、
前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記プログラム可能な電力ゲインを制御する手段と
をさらに備える請求項33に記載の装置。
【請求項38】
コンピュータ読取可能媒体を備えたコンピュータ読取可能製品であって、
前記コンピュータ読取可能媒体は、
コンピュータに対して、プログラム可能な電力ゲインを、RF受信信号に適用させるためのコードと、
コンピュータに対して、前記RF受信信号のエネルギ推定値に関連する信号を生成させるためのコードと、
コンピュータに対して、前記エネルギ推定値に関連する信号に基づいて、前記プログラム可能な電力ゲインを制御させるためのコードと、
コンピュータに対して、前記RF受信信号をダウンコンバートさせるためのコードと、
コンピュータに対して、前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を、比較的精細に調整させるためのコードと、
コンピュータに対して、前記ダウンコンバートされたRF受信信号のDC成分を、比較的粗く調整させるためのコードと
を備えるコンピュータ読取可能製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−38788(P2013−38788A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−189092(P2012−189092)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【分割の表示】特願2011−501883(P2011−501883)の分割
【原出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
2.EEPROM
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】