説明

EMI管理システムおよび方法

電子装置に対する電磁放射の影響を管理する新規なシステムおよび方法が提供され、該システムおよび方法は、環境内の電子装置の位置を監視することと、環境内の当該位置での電磁放射レベルを判定することと、電子装置に対する電磁放射の影響を制限する矯正措置を実行することとを備える。一実施形態では、当該位置は、環境内の装置の現行位置、装置の将来の位置、および装置の現行位置に近接する位置のうち少なくとも1つを備える。当該位置での電磁放射量を判定することは、その位置に配置される機器に基づき当該位置での電磁放射レベルを推定することと、その位置に配置される機器の使用スケジュールに基づき当該位置での電磁放射レベルを推定することと、当該位置に配置される少なくとも1つの検出器から、当該位置での電磁放射レベルを示す信号を受信することとを備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電磁干渉、特に、様々な環境で電磁干渉を監視および管理するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数送信機やヘテロダイン受信機から生成され、あるいは、通常動作の副産物である時変信号を利用する電気回路によって放射されるような電磁放射は、他の装置で誘発される干渉またはノイズとして表される不所望の信号を引き起こす可能性がある。この干渉は、電磁干渉またはEMIと称されることが多い。スプリアス放射および反応、相互変調積などの産物であり得るEMIは、干渉する対象の装置の性能効率を阻害、邪魔、またはその他の方法で低下または限定する可能性がある。EMIは、各種電気・電子機器の干渉の干渉および混乱の原因として長らく認識されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
EMIは、家庭、職場、および電子機器が作動しているその他の環境を含め、様々な環境において重大な悪影響を及ぼす恐れがある。たとえば、医療環境は、EMIの影響によって特に悩まされる環境の1つである。この理由の1つは、医療施設は通常、EMIの悪影響の影響を受けやすい医療機器またはその他の機器が豊富な環境だからである。残念ながら、大半の場合、医療施設内の装置は人命救助やその他の医療関連の目的専用であるため、これらの装置への干渉は、人間の生活の質に大きな打撃を与える、あるいは、状況によっては人命の不要な損失を招くことすらある。
【0004】
長年にわたり、医療機器への電磁干渉(EMI)が疑われる事故が記録されており、EMIの結果として身体的な損傷または死亡例もいくつか報告されている。ここに挙げるのはほんの数例である。1例では、ペースメーカ装着患者が、電磁エネルギーを発散する保安システム塔の近くに約2分間立っていたとき意識を失った。同様の事故では、空港で金属探知機を使って検査を受けている間に、ペースメーカ装着患者の脈が1分間に70回から31回に減少したと報告されている。4つの別々の事故報告では、患者が金属探知器を通過した、あるいは手動走査されたとき、患者のICD(心室細動により突然死するリスクを負う患者の皮下に埋め込まれた植込み型除細動器)が非動作モードにリプログラムされていた。類似の事象では、患者の薬剤注入装置に対する電磁干渉の結果、患者への薬剤の過投与が報告され、余分な薬剤を除去するのに透析が必要となった。別の事故では、植込み型脊髄刺激装置を装着した患者が、EMIのせいで強いショックを受けた後、散発性のショックが続き、意識を失って入院した。
【0005】
医療およびその他の環境は、携帯電話、緊急トランスポンダ、およびセキュリティシステムなどの送信装置から真空掃除機やその他の電子機器などのより日常的と思われる装置に至るまで、潜在的なEMI源であふれている。確かに、食品医薬品局(FDA)の1部である医療機器・放射線保健センター 医療機器・放射線保健センター(CDRH)によって行われた広範な実験室試験が実証するように、多くの装置がEMIによって引き起こされる問題の影響を受けやすい。
【0006】
我々の社会は新技術を開発し包含し続けているため、数例挙げるだけでも携帯電話や無線ネットワークなどの干渉可能性のある装置が蔓延している。同様に、技術の進歩は各種医療機器にまで至り、いくつかのケースでは、医療機器がよりEMIに敏感に反応するようになっている。マイクロプロセッサやデリケートな電子回路は、モニタ診断装置から生命維持装置まで幅広い医療機器全体で見つけることができる。事実、現在の病院やその他の医療施設は、近代医療のほぼすべての側面をサポートするデリケートな電子機器であふれている。
【0007】
医療機器の新技術の普及に伴う干渉を起こし得る装置の蔓延は、問題の複雑化に供するだけであった。残念ながら、EMIは複雑な問題で、特定し対処するのが難しい場合がある。さらに、有効な解決策は、コストが法外に高いか、実際的に実現不可能である。他の電磁分野の場合と同様に、放射源から所与の距離におけるEMIに関与する電磁界の強度は、送信機の放射パワーに正比例し、距離に反比例する。したがって、干渉源に応じて、EMIが医療機器に及ぼす結果は、モニタ上での一時的な「ブリップ」のように些細なものもあれば、死亡や重傷につながる重要機器の誤作動のように深刻なものもあるかもしれない。
【0008】
装置内でのデリケートな電子素子の使用とEMエネルギー源の普及が進むにつれ、多くの装置でEMIに関する懸念が高まっている。EMIとの関連可能性を挙げた報告の数は安定しているが、この数はEMI関連の事故の増大を正確に反映していないと信じる者が多い。実際に、EMI関連の問題を調査する際、事象に関与するEMエネルギーは当該場所から遮断あるいは除去されているというケースが多い。
【0009】
多数の報告されるEMIケースでは、EMIの作用は、心拍数の変化や神経組織への刺激過度といった直接的な患者の症状を結果的に招いているようである。しかし、場合によっては、患者は不都合な相互作用を照射と直接関連付けず、重大な結果に苦しむ可能性がいまだに残っていることがあるかもしれない(上述したような、薬剤の過注入やICDのモニタモードへの復帰など)。さらに、EMIを浴びると、患者は干渉領域内にいる間、いくらかの装置相互作用を受けることがあるが、患者がシステムを出ると、顕著なEMIの影響は速やかに弱まる。
【0010】
よって、上記およびその他の理由で、EMIによる混乱の可変で複雑な性質により、医療施設、建設現場、航空機、FAA管制塔、発電所、製造施設、家庭および職場などの様々な環境での対処が難しい。しかし、EMIが一要因である環境に応じて、その影響は、目立たず、または些細なものから、単に不便である、さらには生命を脅かすまたは大打撃を与えるものまで幅広い。複数の環境でEMIに対処するアプローチが是認される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によると、電子装置に対するEMIの影響を管理する方法が提供され、該方法は、環境内の電子装置の位置を監視するステップと、環境内の当該位置での電磁放射レベルを判定するステップと、電子装置への電磁放射の影響を制限する矯正措置を実行するステップと、を備える。この方法によると、一実施形態では、当該位置は、環境内の装置の現行位置、装置の将来の位置、および装置の現行位置に近接する位置のうちの少なくとも1つを備える。当該位置で電磁放射量を判定するステップは、その位置に配置される機器に基づき当該位置での電磁放射レベルを推定するステップと、その位置に配置される機器の使用スケジュールに基づき当該位置での電磁放射レベルを推定するステップと、当該位置に配置される少なくとも1つの検出器から、当該位置での電磁放射レベルを示す信号を受信するステップと、のうち少なくとも1つを備えることができる。
【0012】
一実施形態では、矯正措置は、電子装置のユーザに危険を警告することと、低電磁放射レベルの安全な位置またはその他の位置にユーザを導くことと、その位置での電磁放射レベルに関する警報を生成することと、電子装置の動作特徴を変更することと、その位置での1つまたはそれ以上のその他の装置の動作特徴を変更することと、少なくとも1つの他の電子装置のユーザに指示することと、および、その位置での少なくとも1つの他の電子装置の動作を停止することと、のうち少なくとも1つを備える。
【0013】
別の実施形態によると、本発明は、環境内の電子装置の位置を監視するように構成される第1の制御論理部と、環境内の当該位置内の電磁放射レベルを判定するように構成される第2の制御論理部と、電子装置に対する電磁放射の影響を制限する矯正措置を実行するように構成される第3の制御論理部と、を備えるEMI管理システムに向けられている。EMI管理システムは、位置データ、装置データ、および対象データを記憶するように構成される1つまたはそれ以上のデータリポジトリをさらに含むことができる。これらの実施形態では、位置データは、当該位置での電磁放射レベル、当該位置に配置される装置、当該位置に配置される装置の動作スケジュール、EMIホットスポット位置のID、およびEMI安全区域のIDのうち少なくとも1つを備え、装置データは、装置ID、装置から放射される電磁エネルギーレベル、装置の動作周波数、装置の電磁シグネチャ、装置性能、および装置の重要度レベルのうち少なくとも1つを備える。また対象データは、電磁放射や電磁放射レベルの副作用また電磁放射レベルを矯正する装置性能に対する感応性に関する情報を備える。
【0014】
本発明の一実施形態では、制御論理部は違反装置に対して、動作特徴を変更させる、シャットダウンさせる、動作不能にさせる、および別の時間に動作をリスケジュールさせる、ように構成される。さらに別の実施形態では、制御論理部は警報を生成するように構成され、該警報は、違反装置の電源を落とす、動作不能にする、動作特徴を変更するという職員へのメッセージ、装置ユーザを捕捉するという職員へのメッセージ、および所望するより高い電磁放射レベルの領域内にいる、あるいは接近しつつあるという装置ユーザへのメッセージ、のうちの少なくとも1つを備える。警報は、可聴、可視、可触、およびその他の知覚警報を備えることができる。
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点、ならびに本発明の各種実施形態の構造および動作を、添付図面を参照して以下詳細に説明する。
【0016】
本発明は、1つまたはそれ以上の各種実施形態によると、以下の図面を参照して詳細に示される。図面は説明のためにのみ提供され、本発明の代表的なまたは例の実施形態を単に示すだけである。これらの図面は、読者の本発明に関する理解を助けるために提供され、本発明の幅、範囲、または適用可能性を限定するとみなしてはならない。説明の明瞭化と簡易化のために、これらの図面は必ずしも等縮尺されていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、電磁放射と、電磁放射が様々な機器や装置に及ぼす影響を監視し管理するシステムと方法に向けられる。本発明の一実施形態による、EMI管理システムは、対象電子装置の位置を監視して、装置が(たとえば、EMIレベルが所与の装置に対して閾値EMIレベルに近い、満たす、あるいは超過する場所)EMIホットスポット内または近傍にあるか否かを判定する。別の実施形態では、EMI管理システムは、環境内の関連する1つまたはそれ以上の位置を監視して、それらの位置の電磁放射レベルを判定するように実行させることができる。さらに別の実施形態では、EMI管理システムは、所与の位置で電磁放射の不所望のまたは無許可の放射を検出するように実行させることができる。EMI管理システムは、1つまたはそれ以上の当該領域の電磁放射レベルに基づき保証される場合、警報を生成し、矯正措置を講じるように実行させることもできる。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態によるEMI管理システムのアーキテクチャ例を示す機能ブロック図である。本明細書に目を通した後、当業者にとって、代替の物理的、機能的、または論理的アーキテクチャを使用して上記の機能の1部または全部を遂行する方法は自明であろう。図1を参照すると、EMI管理システムの図示される実施形態は、複数のデータリポジトリ154、156、および158とともにEMI管理モジュール126を含む。図示される実施形態では、EMI管理モジュール126はデジタル信号プロセッサ128に関連付けられる。EMI管理モジュール126は、1つまたはそれ以上の対象装置122、1つまたはそれ以上の検出器132、および1つまたはそれ以上の他の電子装置134に通信可能に結合される。一実施形態では、EMI管理モジュール126は、上述の機能を遂行する1セットの指示を実行するように構成されるプロセッサベースのシステムとして実装することができる。本明細書を読んだ後、当業者にとって自明であるように、別の実施形態では、他の構造を利用するEMI管理モジュール126も実装することができる。たとえば、一実施形態では、その機能は、プロセッサによって実行され、コンピュータアクセス可能媒体に記憶されるマシン読取り可能指示として実現される。EMI管理モジュール126は、所望の機能を実現するように構成される制御論理部から成るとして記載することができ、制御論理部は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、またはその組み合わせを用いて実現することができる。
【0019】
図示される実施形態では、対象装置122は、電磁干渉、すなわちEMIの作用に敏感な、あるいは他の形で影響を受ける可能性のある装置である。たとえば、医療環境では、対象装置は、ペースメーカ、注入ポンプ、植込み型除細動器(ICD)、神経刺激器、モニタリング装置、ポケペルおよび連絡機構、および医療施設内の患者の診断、ケア、および治療に使用することのできるその他の電気または電子装置および機器を含むことができる。別の例として、航空機またはFAA管制塔では、対象装置は、たとえば、通信および操縦機器、制御機器、測定および監視装置、安全システム、および、EMIの影響に敏感な、またはその他の形で悪影響を及ぼされる電気または電子機器を含むことができる。これらの例は、これらの環境における本発明の一実施形態による、EMIの影響に関して監視され得る、異なる種類の機器または装置122を示すのに供する。本明細書を読んだ後、当業者にとって、別の環境における他の機器または装置でのEMIの影響を監視するために本発明を実行する方法は自明であろう。
【0020】
本発明の一実施形態では、動作中、1つまたはそれ以上の対象装置122は、EMI管理モジュール126と通信連絡している。たとえば、図示される実施形態では、対象装置122は、EMI管理モジュール126に状態および他の情報を送信して、EMI管理モジュール126が対象装置122の健康または状態を監視するのを支援することができる。たとえば、この状態情報は、対象装置122近傍の電磁放射領域の強度、対象装置122の位置、対象装置122によって判定される信号対雑音比(たとえば、対象装置122が、受信機または電磁信号を検出できるその他の検出器を含む場合)、および対象装置122のその他の性能または状態情報などを含むことができる。さらに、本発明の具体化は、EMIの影響の監視または制御に限定されず、1つまたはそれ以上の対象装置122のその他の健康および状態情報、たとえば、バッテリ電力、装置性能、装置利用率、メンテナンススケジュール、およびその他の健康および状態情報を監視するのに使用することもできる。
【0021】
対象装置122とEMI管理モジュール126間の通信リンクは、所与の用途にとって所望のまたは適切な有線または無線通信チャンネルを利用して実現することができる。たとえば、対象装置122がペースメーカ、携帯用インシュリンポンプ、ICD、または移動の簡易化のために設計されたその他の携帯用電子装置である場合、装置122とEMI管理モジュール126間の通信リンクは好ましくは、無線通信リンクを用いて実現される。当然ながら、この無線通信リンクはEMIの悪影響を受けやすいため、実用的である場合、有線通信チャンネルを利用する、あるいは、その他の方法でEMI作用に対する適切な体制を有するように保証する通信リンクを実現することが好ましいかもしれない。所与の対象装置122とEMI管理モジュール126間の通信リンクは、対象装置122からEMI管理モジュール126にだけでなく、EMI管理モジュール126から1つまたはそれ以上の対象装置122への通信を可能にする全二重通信リンクとして実現することができる。よって、たとえば、EMI管理モジュール126は、監視されている1つまたはそれ以上の対象装置122に適切な警報、メッセージ、またはその他の状態情報を送信することができる。警報、メッセージ、およびEMI管理モジュール126から対象装置122に提供可能なその他の状態情報についてのより詳細な情報を以下に提示する。
【0022】
上述したように、EMI管理モジュール126は、位置データ154、装置データ156、および対象データ158として図1の例に示される複数のデータレポジトリへアクセスできるように実現することができる。これらのレポジトリは、たとえば、ディスクまたはテープドライブ、ハードドライブ、電子メモリ装置などを含む様々なデータ記憶装置のいずれかを利用して実現することができる。位置データ154は、対象装置122を位置づけるあるいは配置することのできる1つまたはそれ以上の位置についての情報などのデータを含むことができる。本実施形態をより十分に示すために、本発明が実現される環境例が医療施設であると考えよう。さらに、この例では、対象装置122は、医療施設内の様々な位置全体で患者とともに移動することのできる携帯用薬剤注入ポンプであると考えよう。
【0023】
よって、本例に関して言えば、一実施形態では位置データ154は、医療施設内の1つまたはそれ以上の位置でEMIレベルに関する情報を含むことができる。EMIレベルに関連する情報は、本発明の具体化で利用される機器に応じて多数の異なる方法で判定することができる。たとえば、1つまたはそれ以上の検出器132は、医療施設内の様々な位置に配置して、リアルタイムまたは略リアルタイムで、各位置で存在する現行の電磁放射レベルを検出することができる。もしくは、1つまたはそれ以上の検出器132は、対象装置122(の内部または外部に)設けて、リアルタイムまたは略リアルタイムで、対象装置122の近傍で現行の電磁放射レベルを検出することができる。この情報は、EMI管理モジュール126へ報告し返答することができる。これにより、EMI管理モジュール126は、EMIホットスポットに関して医療施設(またはその他の環境)を監視する、あるいは、様々な位置で電磁放射レベルについての現行の情報を保持することができる。
【0024】
別の実施形態では、特定の位置における電磁放射レベルに関する情報を、特定の領域にある機器の数と種類に関する情報、特定の位置での機器の定期的利用、およびその他の類似情報に基づき判定または予測することができる。よって、たとえば、本実施形態では、EMI管理モジュール126はこの情報を用いて、様々な位置での放射された電磁放射のレベルを算出することができる。
【0025】
さらに、医療施設内の特定の位置は、EMIホットスポットとしてフラグを立てる、あるいは、電磁放射の高濃度領域であるとして通常フラグを立てることができる。異なる電磁放射レベルを有する領域は、電磁放射レベルに基づき異なるカテゴリーに分類することができる。たとえば、情報技術(IT)計算センター、病院の無線通信センター、X線施設、またはその他の装置集中領域は、特定感度の装置122によって回避されるべきEMIホットスポットとしてデータベース内でフラグを立てることができる。別の例として、処置室などの他の領域は、中程度の電磁放射レベルを有する場合があり、それに応じて分類することができる。最後の例として、ロビー、土産物店、チャペル、および特定患者棟などの電磁放射源が比較的少ない領域は、超低レベル領域として分類することができる。
【0026】
したがって、EMI管理モジュール126が、低感度の装置122が高感度レベルの装置には不適切な領域に入ることができるか否かを確認できるように閾値情報を含めることができる。よって、位置データ154は、電磁放射が特定の位置に存在するか否か、あるいは特定の位置がEMIホットスポットであるか否かに関する情報だけでなく、特定の領域で見つけることのできるEMIのレベルまたは量に関する情報も含むことができる。このようにして、EMI管理モジュール126はこの情報を用いて、特定の位置における電磁放射が特定の装置122の推奨閾値に近い、あるいは超過するか否かを判定することができる。
【0027】
EMIホットスポットまたはその他のEMI危険区域の判定に加えて、位置データ154は、所与の環境内の1つまたはそれ以上の安全位置も判定することができる。よって、たとえば、所与の環境内には、電磁放射が比較的存在しない1つまたはそれ以上の位置があってもよく、これらの領域が特定され、そのID情報が位置データ154として記憶される。よって、たとえば、上記医療環境での薬剤注入ポンプの例で続けると、旅行中に患者が注入ポンプの適切な動作を阻害する可能性のあるEMIホットスポットに出会う場合、患者は現行の位置近傍の安全区域またはその他のクリアな領域へと導かれ、その注入ポンプとともに潜在的危険領域から迅速に移動させられる。
【0028】
さらに、位置は、電磁放射レベルに加えて、あるいはその代わりに、電磁放射の種類または周波数に基づき分類することができる。たとえば、セキュリティシステムから発せられる電磁放射は、X線機械またはMRIシステムから発せられる電磁放射と異なる場合がある。異なる対象装置122は、これらの様々な異なる種類の電磁放射に対して異なる感度を有することがある。よって、一実施形態では、生成され得る電磁放射(および、その電磁放射が様々な異なる装置122に及ぼす影響)の種類または特徴に基づき、位置を分類することが有益である。
【0029】
上述したように、一実施形態では、特定の位置で発見され得る電磁放射レベルに関する判定は、特定の位置に配置される機器に基づく予測によって行うことができる。よって、本実施形態では、位置データ154は、特定の位置、機器の使用日時のスケジュールおよびおそらくは機器の使用の種類とともに、機器(たとえば、その他の装置134)のIDを含むことができる。よって、この機器およびスケジュール情報によって、EMI管理モジュール126は、EMIレベルを所与の位置で、その位置における機器の使用スケジュールに基づく所与の時間に、予測されるEMIレベルを算出することができる。
【0030】
一実施形態では、EMI管理モジュール126はこのスケジュール情報を用いて、所与の環境内の様々な位置に関して予測され得る様々な電磁放射レベルを示すレポートを生成することができる。よって、医療施設の例で続けると、本実施形態では、EMI管理モジュール126は、将来、医療施設内の様々な位置で見つかる場合がある様々な電磁放射レベルを予測するスケジュールを生成することができる。このレポートは、様々な手術室、処置室、MRI位置などの位置に関して、機器の使用スケジュールに基づき予測されるEMIレベルを含むことができる。さらに、レポートは、様々な位置に関する過去のEMIレベルを示すために生成することもできる。
【0031】
よって、たとえば、医療専門家は、特定の装置122または装置122のクラスを回避する位置を含む電子またはハードコピーのレポートを受け取ることができる。たとえば、一実施形態では、EMI管理モジュール126は、日毎、シフト毎、またはその他の形式で、医療施設のマップおよび各位置の予測EMIレベルのマップに関する指標を生成することができる。よって、医療就業者は、これらの予測に従い、患者の動きやその他の活動を計画することができる。医療就業者が、計画される行動が特定の位置の電磁放射レベルに関してまだ安全な行動コースにあることを確認できるように、リアルタイム情報(たとえば、検出器132から受信する情報)で予測を更新することができる。さらに、警報またはその他のメッセージは、機器のスケジュール上の利用が変更される場合、あるいは、リアルタイムの実際の状態が最初のスケジュールで所与の位置に関して予測された状態から逸脱することを検出器132からの情報が示す場合、医療就業者に更新するために使用することができる。
【0032】
装置データ156は、環境内の1つまたはそれ以上の領域に配置可能な1つまたはそれ以上の装置(たとえば、その他の装置134またはその他の装置134のクラス)に関する情報およびその特徴を提供するように含めることができる。よって、一実施形態では、装置データ156は、たとえば、装置ID、装置134のEMI動作(たとえば、特定の装置134によって放射される電磁エネルギーのレベル)、装置134の動作周波数、装置の電磁シグネチャ、および装置性能(たとえば、装置は、チャンネルを変更する、動作周波数を変更する、送信電力を減少させる、送信される通信信号を拡散することができる。および、その特定の装置からEMIの影響を最小化するのに利用可能なその他の類似情報)などの情報を含むことができる。よって、装置データ156は、スケジュールデータと組み合わせて、上述したように、予測、または施設内の1つまたはそれ以上の位置で見つけられるEMIホットスポットに関するその他の情報を生成するために使用することができる。
【0033】
装置データ156は、特定の装置134または装置134のクラスの重要度に関する情報も含むことができる。所与の装置の重要度は、その利用に関わらず装置の性質またはクラスを基盤とすることができる、もしくは、装置の重要度は、所与の時間の所与の装置134の使用または種類に基づき変動させることができる。よって、一実施形態では、装置の重要度に関する情報はEMI管理モジュール126によって利用されて、違反装置(すなわち、別の装置122に有害であるEMIを生じる可能性のある電磁放射レベルを生成する装置)が、対象装置122が有害でなくなるまでシャットダウンされるか、あるいは一時的に動作不能にされるかを判定することができる。よって、一実施形態では、EMI管理モジュール126は、たとえば、対象装置122に人命を脅かす干渉を引き起こす可能性がある場合、1つまたはそれ以上の違反装置134の電源を落とす、あるいはその他の方法で一時的に動作不能にする決定を下すために利用することができる。もしくは、EMI管理モジュール126は、1つまたはそれ以上の違反装置134をシャットダウンするか否かを判定するのではなく、該当職員が違反装置134の電源を落とす、その他の方法で動作不能にする、あるいは別の適切な措置を講じることができるように、当該職員への警報142を生成することができる。様々な形式の警報を以下に詳細に説明する。
【0034】
対象データ158も含まれ、図示される実施形態では、本発明によって監視できる1つまたはそれ以上の対象装置122に関する情報を提供することができる。対象データ158は、たとえば、電磁放射に対する装置の感度、EMIの特定レベルによって生じる可能性のある副作用、および特定の電磁放射レベルを矯正する装置の性能(たとえば、チャンネルの変更、動作周波数の変更、またはEMIが特定の装置122に及ぼす影響を最小化するのに使用可能なその他の措置)などの、対象装置122または対象装置122のクラスに関する情報を含むことができる。
【0035】
図1に示される例では、デジタル信号プロセッサ(DSP)128も、環境内の様々な装置からEMI管理モジュール126によって受信可能な1つまたはそれ以上の信号を処理できるように、EMI管理モジュール126に設けられる。よって、たとえば、一実施形態では、DSP128(またはその他の機能)を使用して、違反電磁放射信号を分析し、環境内の信号に関連する装置134を特定することができる。たとえば、環境内で装置134により生成される電磁信号は、装置に一意の、または特定のクラスまたは種類の装置に一意の特定のシグネチャを有することができる。よって、DSP128またはその他の機能は、違反電磁信号のシグネチャに基づき違反装置を特定するために使用することができる。よって、一実施形態では、動作中であれば、EMI管理モジュール126は、特定の位置における電磁放射レベルが予想されるよりも高く、不所望の電磁放射レベルに関連する違反装置が電磁シグネチャを介して特定できるという情報を、検出器132から受け取ることができる。
【0036】
別の実施形態では、EMI管理モジュール126は、特定の位置における電磁放射レベルが予想よりも高いことと、これらのレベルがその位置での無許可のまたは予想外の装置134の存在による電磁放射によって引き起こされていることとを判定することができる。たとえば、スペクトル分析器、DSP、またはその他の機能は、PCS携帯電話によって送信されるような1.9GHzを中心とする比較的強い信号の存在を検出することができる。EMI管理モジュール126は、携帯電話が、その位置に指定される機器としてデータベースにリストアップされていること(あるいは、携帯電話がその位置で全く許可されないこと)を決定することもできる。このようなものとして、EMI管理モジュール126は、予測せざる電磁放射の存在の原因を予測不能な携帯電話の存在に帰することができる。さらに、EMI管理モジュール126は、後述するように、携帯電話から発せられる電磁放射によるEMIを軽減する適切なステップを講じることができる。
【0037】
上述したように、1つまたはそれ以上の検出器132は、所与の位置での電磁干渉のリアルタイムまたは略リアルタイムの監視を可能とするように、環境内の様々な位置に配置することができる。検出器132は、所与の位置における電磁信号に関するさらなる情報を判定できるように、スペクトル分析器も含むことができる。この情報がハード配線または無線通信リンクを介してEMI管理モジュール126に提供されて、EMI管理モジュール126は、1つまたはそれ以上の対象装置122に対するEMIリスクを評価する際にこのリアルタイムまたは略リアルタイムのデータを使用することができる。さらに、EMI管理モジュール126はこの情報を利用して、レポート生成、過去分析、および趨勢予想のために、実際の電磁放射データと予測電磁放射とを比較し、このデータを記録することができる。
【0038】
その他の装置134は有線または無線通信リンクを介して、EMI管理モジュール126に通信可能に接続することができる。上述したように、その他の装置134は、環境内で動作する1つまたはそれ以上の対象装置122と干渉する可能性のある電磁放射を生じる環境内にある装置である。対象装置122は通常、電子装置であるので、所与の対象装置122は、別の対象装置122と干渉する可能性もある。このようなものとして、所与の対象装置122は、「他の装置」134として分類する、あるいはその逆も可能である。その他の装置134は、装置が動作しているか否か(たとえば、オンかオフか)に関する情報、動作モード、現在指定されているチャンネルまたは動作周波数、送信機パワー、またはその他の特定の装置134に関する情報などの情報を、EMI管理モジュール126に提供することができる。よって、EMI管理モジュール126は、EMIホットスポットを特定し、装置データ156と位置データ154を更新し、所与の環境における電磁放射の状態をその他の方法で監視する際、この他の装置134についてのリアルタイムまたは略リアルタイムの情報を利用することができる。
【0039】
EMI管理モジュール126は、1つまたはそれ以上の警報142を、環境内のその他の装置または該当職員に対して生成することもできる。EMI管理モジュール126は、1つまたはそれ以上の対象装置122および1つまたはそれ以上のその他の装置134に対して直接警報を生成することができる。警報142に関して、これらの警報は、可聴警報、可視警報、可触警報またはその他の知覚警報として生成することができる。一実施形態では、警報142は、所与の環境内の1人またはそれ以上の職員によって聞き取れる可聴警報として生成される。よって、たとえば、デリケートな装置122を装着した患者がEMIホットスポットに進入する、あるいは近づく場合、警報を生成し、患者の可聴範囲内の位置でスピーカから流し、電磁放射について患者に警告することができる。たとえば、患者が患者の装置122が許容できるよりも高いEMIレベルを有する環境内のコンピュータ施設に近づく場合、それ以上進まない、あるいは危険な環境に進入しないように患者に警告する警告をスピーカで流すことができる。可聴警報142は、患者を危険から脱出させるように、患者を安全区域に導くこともできる。一実施形態では、スピーカは、部屋、廊下、または環境内のその他の位置に配置することができる。別の実施形態では、スピーカは対象装置122に組み込むことができる。
【0040】
別の例として、違反装置134は、施設の入口で使用される保安ステーションの金属検出器であってもよい。対象装置122がその位置に近づくと、対象装置122が金属探知機に接近しないように、あるいは金属探知機を通過しないように該当職員に警告する可聴警報が、スピーカから流される。警報は、コンピュータモニタ、制御パネル、プリンタ、または、該当職員が警報を受信し、それに応じて対応することのできるその他の装置に送信することができる。警報を受けた職員は、患者が安全に領域から脱出できるまで、金属探知機の動作を一時的に停止するように決定することができる。
【0041】
該当職員またはその他の装置に対して警報142を生成することに加えて、対象装置122または違反装置134にも直接警報を送ることができる。よって、たとえば、対象装置122が忠告される電磁放射レベルよりも高い領域に近づいていると位置判定機構によって判定された場合、警報が装置122またはその位置に送られて、潜在的に問題がある領域に近づいていることをユーザに伝えることができる。警報は、潜在的な危険をユーザに伝えるのに十分な可聴、可視、可触またはその他の知覚警報であってよい。よって、たとえば、音声警報は、特定の位置に進まないように、あるいは侵入した場所から戻るようにユーザに警告することができる。追加例として、増大する周波数またはピッチを示す電子音を使用して、ユーザが装置122をある位置から別の位置に移す際、EMIホットスポットが増える領域を特定することができる。テキストまたはグラフィック表示で、危険とその回避方法に関するより詳細な情報を提供することもできる。さらに、適切であれば、一実施形態では、制御情報をEMI管理モジュール126から対象装置122に送信して、対象装置122への所与の電磁放射の影響を軽減するため、可能な場合、動作特徴を変更する(たとえば、チャンネルまたは動作周波数を変更する)よう対象装置122に指示することができる。さらに別の実施形態では、制御情報をEMI管理モジュール126からその位置の1つまたはそれ以上の違反装置134に送信して、対象装置122への所与の電磁放射の影響を軽減するため、可能な場合、動作特徴を変更する(たとえば、チャンネルまたは動作周波数を変更する)あるいは動作を一時的にシャットダウンまたは停止するよう違反装置134に指示することができる。
【0042】
図1に示される模範的な実施形態は、機能の大半が中央EMI管理モジュール126に配分されるサーバ中心の実施形態である。しかし、上述したように、この陳述は所望の機能のこの特定のアーキテクチャへの適用に限定することを目的としておらず、実際には、2所望の機能の 1つまたはそれ以上の要素は、環境内の装置のほかの構成要素に配分することができる。たとえば、別の実施形態では、上述の機能の1部または全部を対象装置122内に配置することができる。図2は、本発明の一実施形態による対象装置122の具体化例を示す機能ブロック図である。図2を参照すると、対象装置122は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、またはその組み合わせを利用する様々な形の制御論理部で実現可能な制御モジュール162を含む。たとえば、一実施形態では、制御モジュール162はプロセッサベースのシステムとして実現され、別の実施形態では、制御モジュール162はASIC、PLA、またはその他の論理素子を用いて実現することができる。さらに別の実施形態では、制御モジュール162の機能は、プロセッサによって遂行され、コンピュータアクセス可能媒体に記憶されることが可能なマシン読取可能指示として実現することができる。
【0043】
図2に示される実施形態では、対象装置122は、位置検出器166、信号検出器164、警報機構176、ローカルデータリポジトリ170、データログ機能174、および、サーバ178(たとえば、EMI管理モジュール126を構成するサーバ)およびその他の装置180(たとえば、報告および監視などの目的のその他の装置134、またはその他の外部装置)への通信リンクも含む。
【0044】
対象装置122が局所で位置判定ができるように位置検出器166を含めることができる。よって、本実施形態では、対象装置122は位置検出器166を使用して、所与の環境内の自身の位置を判定し、この情報を利用し潜在的に有害なEMIからのリスクを判定することができる。さらに、局所的に判定された位置情報は、EMI管理モジュール126またはその他の装置180に、それらの装置への有線または無線通信リンクを介して提供することができる。位置検出は、たとえば、全地球測位システム(GPS)受信機またはその他の三角測量技術を利用する様々な技術のいずれかを用いて実現することができる。もしくは、三角測量技術は、対象装置122と組み合わせて提供され、複数のトランスポンダまたはそれに近接する他の通信装置と通信することのできるRFIDタグまたはその他の無線通信装置を用いて実現することができる。ある具体化の例では、対象装置122は、送信機として動作し、三角測量のために情報(たとえば、IDおよびタイミングコード)を複数のトランスポンダまたはその他の通信装置に送信することができる。別の実施形態では、対象装置122は受信機として動作し、三角測量を簡易化するために複数のトランスポンダまたはその他の通信装置から情報を受信することができる。複数のトランスポンダまたはその他の通信装置で三角測量を簡易化するため、送信性能と受信性能を組み合わせる複合ソリューションを実現することもできる。三角測量は、タイミング(相対または絶対)、信号角度、信号強度、およびその他の情報に基づき行うことができる。
【0045】
別の実施形態では、位置判定は、たとえば、近似判定などの単純な測定に基づき行うことができる。これは、対象装置122と対象装置と連絡する通信装置との間で情報を送信または受信(あるいはその両方)することによって実行することができる。たとえば、一実施形態では、対象装置122に通信装置を設けて、近傍の送信機からの信号を受信することができる。たとえば、送信機は環境内の様々な位置に配置し、環境内の送信機の位置を特定するのに使用可能なIDまたはその他の情報を送信することができる。よって、対象装置122が受信する信号は、(識別位置情報を得ることができる)送信機を特定する、あるいはトランスポンダまたは通信装置が配置される位置を特定する情報を含むことができる。よって、このようにして、より複雑なGPSまたはその他の三角測量技術に頼らずに、特定レベルの位置判定を実現することができる。たとえば、対象装置122の位置は、対象装置122が通信(受信、送信、またはその両方)対象とする送信機/受信機の近傍にあるとして少なくとも判定することができる。
【0046】
同様に、対象装置は、環境内の既知の位置に配置される1つまたはそれ以上の受信機にIDまたはその他の情報を送信する送信性能を含むことができる。受信ベース、送信ベース、またはその組み合わせのいずれにかかわらず、信号強度の測定値またはその他の情報は、位置情報をさらに改善するために使用することができる。たとえば、受信信号強度は、受信機と送信機間の距離を示すのに使用することができ、タイミングコード(相対または絶対)も同様である。さらに、フェーズドアレイ、スマートアンテナ、またはその他の指向性アンテナ構造は、別の装置の通信範囲内の装置の角度位置を判定するのに利用することができる。距離と角度を組み合わせた推定は、位置の推定の改善をさらに支援することができる。
【0047】
多数の無線技術が、従来の、または後に開発される無線受信機/送信機を含め、上記の機能を遂行するために使用することができる。さらに、たとえば、RFIDタグおよびRFIDリーダなどのコスト効率のいい解決策は、RFIDリーダに近接するRFID(たとえば、装置122上)の検出またはその逆を簡易化するために使用することもできる。
【0048】
上記のより具体的な例として、一実施形態では、位置検出器166は、内部およびそれ自体に位置判定に関する受信機性能を持たずに実現することができる。たとえば、位置検出は、対象装置122の存在を感知し、この情報をEMI管理モジュール126またはその他の位置に送り返す、所与のモニタ位置のRFIDタグリーダまたはその他のトランスポンダによって実行することができる。たとえば、患者が患者部屋から治療室へ車椅子で運ばれる際、RFIDリーダはルート(たとえば、廊下、エレベータ、ナースステーション、部屋、出入り口など)に沿った様々なポイントで、患者(または装置)のIDを含むことのできる患者のRFIDタグ(または装置のタグ)の存在を感知する。この識別情報は、受信時に、受信ポイントに基づく患者および患者の装置122の位置を特定し、患者の装置122にとって適切なEMI安全レベルを判定するのに利用することができる。よって、この比較的単純な実施形態では、位置検出器166は、患者または対象装置122(または装置122のクラス)を所与の位置でRFIDリーダに特定する単なるRFIDタグ(または類似の技術)として実現することができる。
【0049】
図2に示される実施形態では、対象装置122は、信号検出器164も含む。信号検出器は、存在と対象装置122の領域でEMIを生じる可能性のある電磁放射レベルとを検出するために使用することができる。よって、信号検出器164を含む実施形態では、対象装置122は、EMI管理モジュール126からの情報に頼る必要なく、所与の位置でEMIレベルに関して独自の判定を行うように実現することができる。信号検出器は、信号強度モニタとスペクトル分析を含むように実現することができる。さらに、違反電磁放射のシグネチャに基づき、特定の装置134または装置のクラスを違反装置として特定するように、分析性能を含めることができる。
【0050】
データ170は、データリポジトリ154、156、および158で上述されるデータなどのデータを含めることができる。よって、独自の信号検出、位置判定、およびデータレポジトリで、対象装置122は、スタンドアロンまたは準スタンドアロン型で、図1を参照して上述した機能を遂行するように実現することができる。さらに、対象装置122は、過去の報告および分析のために、事象、状態、およびデータログ174内のその他の情報を記録することができる。
【0051】
切迫する、あるいは直面するEMIの危険についてユーザに警告するため、対象装置122のユーザに1つまたはそれ以上の警報176を生成することができる。警報は、上述したような危険をユーザに警告するのに十分な可聴、可視、可触、またはその他の知覚警報であってよい。警報は局所で生成されてもよいし、あるいは、EMI管理モジュール126が図1を参照して上述したような警報142を生成することができるように、EMI管理モジュール126などのサーバに送られる信号であってもよい。
【0052】
図示されないが、一実施形態では、EMI管理モジュール126へのリンクがその目標および目的に応じて装置の動作にとって必要となるように、十分な機能が対象装置122に含まれる。
【0053】
EMI管理システムの模範的なアーキテクチャについて述べてきたが、以下、特定の環境例の観点から、本発明の動作実施形態を説明する。特定の環境例に関する本発明の動作側面の説明は、説明の簡易化と明瞭化のために行う。本明細書を読んだ後、当業者にとって、1つまたはそれ以上の様々な別の環境または用途で本発明を実行する方法は自明であろう。
【0054】
より具体的には、説明目的で使用される環境例は、環境内の複数の異なる位置を含むことができる病院またはその他の医療施設の例である。これらの異なる位置は、1つまたはそれ以上の対象装置122に対して異なるレベルのEMIリスクを提供することがあり、これらの異なるレベルのEMIリスクは一時的に変動する場合がある。たとえば、医療環境は、ロビー、土産物店、チャペル、およびカフェテリアなどの比較的低い電磁放射強度の存在する場所を含むことがある。医療施設は、患者棟、処置室、および薬局などの中程度の電磁放射が存在する領域を含むこともある。さらに、環境は、大量の電子機器を有する手術室や通信施設などの電磁放射がやや高い地域を含むこともある。最後に、環境は、IT計算センター、ICU、X線室、およびMRIセンターなどの高レベルのEMIの存在する場所を有することもある。患者、医師、看護士、付き添い、その他の医療従事者、保安員、管理人、配達職員、およびその他の職員は、その他の装置122への潜在的なEMI源であるEMIまたはその他の装置134への感度を判定する目的で、時には対象装置122であり得る1つまたはそれ以上の電子装置を有する施設内を移動することがある。
【0055】
図3は、本発明の一実施形態によるEMI管理システムの動作例を示す動作フローチャートである。図3を参照すると、ステップ110で、対象装置122の位置が監視される。環境例の観点では、医療施設内の薬剤注入ポンプなどの装置122とともに患者の位置が監視される。この位置監視は、たとえば、上述したように、および図2を参照して示されるように、位置検出を利用して、あるいは別の位置検出技術を介して実行することができる。
【0056】
ステップ112で、患者が薬剤注入ポンプのある医療施設中を移動すると、システムが、EMIに対応付けられる対象装置に関する問題を生じる場合のある状況についてチェックする。たとえば、一実施形態では、システムが、特定の装置122によって回避されるべき、医療施設内のEMIホットスポットまたはその他の位置を示す記録に関してデータベースをチェックする。さらに、一実施形態では、システムが、たとえば、信号検出器164または検出器132を介して特定の位置の現行の電磁放射レベルをチェックして、患者が所望のEMIレベルより高い領域に入ったか、あるいは近づいているかを判定することができる。さらに、別の実施形態では、健康または対象装置122の状態をチェックして、装置が適切に動作しているか否かを判定することができる。たとえば、状態は、装置が通常、電磁干渉に帰するように誤作動していることを示すことができる。さらに、確定された薬剤注入スケジュールの遵守、対象装置の通信リンクの信号強度およびSNR(信号対雑音比)、およびその他の健康および状態情報などのその他の装置動作を監視することができる。
【0057】
この監視プロセスで、問題が特定されない場合、監視動作はステップ114およびフローパス102に示されるように続く。一方、ステップ114で、EMIホットスポットまたはその他の潜在的な問題が特定されれば、適切な警報がステップ116で生成される。これを示すため、薬剤注入ポンプを装着した患者が、金属探知機を有する保安ステーションに接近しつつある医療環境の例を検討しよう。さらに、対象保安監視ステーションで使用される種類の金属探知機は、患者によって使用される種類の注入ポンプと干渉することが既知であることを検討しよう。この場合、患者が迷って違反金属探知機に接近しすぎた場合に生じ得る問題を是正するため、適切な措置を講じることができる。
【0058】
この例によると、ステップ116で、複数の警報のいずれも、金属探知機によって生成される有害なEMIの結果として患者に及ぼされ得る危害を回避するために生成することができる。たとえば、EMI管理モジュール126は、ユーザが薬剤注入ポンプ(たとえば、警報142)の動作にとって有害かもしれない位置に接近しつつあることを、ユーザおよび適切な保安職員に警告するアナウンスをその位置においてスピーカで生成することができる。重要な場面で混乱を引き起こす可能性を回避するため、患者を名前によって特定できるように、装置ID、患者ID、またはその他の情報を用いて、特定の患者に合わせて警報を調整することができる。よって、たとえば、警報は、患者を名前で具体的に特定し、金属探知機に近づかないように患者に求めることができる
【0059】
別の実施形態では、光(たとえば、LED)または表示スクリーンなどの可視警報、可聴警報(たとえば電子音やブザー音)、または可触警報(振動など)は、切迫する危険について患者に警告するために生成することができる。一実施形態では、警報は、電磁放射レベルの上昇による危険の増大を示すために、強度、速度、または周波数を上昇させることができる。表示スクリーンまたはその他のGUI(グラフィカルユーザインタフェース)が使用される実施形態の場合、テキスト情報、グラフィックス、またはその組み合わせを用いて、ディスプレイ上でより具体的な情報をユーザに提供することができる。GUIは、既知の危険から患者を、好ましくは既知の安全スポットに導くように使用することもできる。
【0060】
さらに別の実施形態では、警報は、保安職員を配置する保安ステーションに提供することができる。これらの警報は、保安員の無線装置、コンピュータ端末、またはその他の装置を介して送信され、デリケートな対象装置122を装着する患者が潜在的に有害な金属探知機に接近していることを保安員に警告することができる。それに応答して、保安職員は、患者が安全に領域から脱出するまで、患者を転送する、あるいは金属探知機を動作不能にして一時的にスクリーニング動作を中止するように適切なステップを講じることができる。
【0061】
さらに別の実施形態では、患者が潜在的に危険な領域から迅速に脱出しない場合、違反装置(この場合、金属探知機)を自動的にシャットダウンするようにフェールセーフモードを実現することができる。当然ながら、このようなフェールセーフシャットダウンは、患者が安全な位置に戻るのを手助けしつつシャットダウン中の安全と保安を確保する適切な手段を保安職員が講じることができるように、適切な警報を伴うことができる。違反装置をシャットダウンする代わりに、場合によっては、違反装置の動作特徴は、対象装置122に対する電磁放射の影響を軽減するように変更することができる。一実施形態では、違反装置のシャットダウンまたはその特徴の変更は自動的に行われる。他の実施形態では、極めて重要なまたは人命に関わる装置が一方的に動作不能にならないように確保するため、該当職員に情報を提供して、可能であれば、それに応じて違反装置をシャットダウンするか修正するかを指示することができる。自動環境では、環境内の様々な装置134の機能または重要度を示す1つまたはそれ以上のデータリポジトリに、情報を含めることができる。よって、一実施形態では、EMI管理システムは、所与の違反装置が少なくとも一時的に、シャットダウンされるか、あるいは動作特徴を変更されるかを決定するように実現することができる。この決定は、たとえば、違反装置の機能または重要度、および装置の現行または予定の利用に基づいて下すことができる。上記決定を行う際、一実施形態では、これらの要素は、対象装置122のユーザに及ぼされる可能性のある気概に対して重み付けすることができる。
【0062】
上述したように、ステップ112を参照すると、EMI問題に関するチェックに加えて、システムは、対象装置からの適切な健康上、動作上、または、バッテリ寿命、スケジュール遵守などのその他の状態情報に関してチェックするように構成することができる。これらの実施形態では、この点で問題が検出されれば、適切な警報が生成されて、特定された誤作動を強制するように患者またはその他の職員に伝えることができる。よって、たとえば、患者に、自分の対象装置内のバッテリ交換を指示することができる。別の例として、対象装置が患者に対する不適切な量の薬剤投与によって誤作動していることを、医師またはその他の医療提供者に即刻通知することができる。この情報は、その関連詳細情報とともに、リアルタイムまたは略リアルタイムで、医師またはその他の医療提供者に提供され、生命を脅かす状況であり得ることに即時対応できる。本実施形態では、警報を、たとえば、ポケベル、携帯電話、ナースステーションでの警報メッセージ、またはその他の手段を介して適切な医療提供者に送信することができる。
【0063】
図4は、本発明の一実施形態によるEMI管理システムの別の動作側面を示す動作フローチャートである。図4を参照すると、ステップ110で、本発明は特定の位置でEMIの活動を監視する。たとえば、EMI管理モジュール126は、1つまたはそれ以上の位置で検出器132によって受信される信号と、それらの位置でのその他の装置134の活動とを監視して、所与の位置に存在する電磁放射レベルを判定することができる。検出された電磁放射レベルは、所与の位置での許容可能レベルと比較して、潜在的なトラブルスポットまたはEMIホットスポットが形成されている、あるいは生じているか否かを判定する。たとえば、特定の位置での電磁放射レベルはそれらの位置に関して、予測されるまたは目標の電磁放射レベルと比較され、その領域で実際のレベルが指定閾値に近づいている、あるいは既に超過したかどうかを判定することができる。
【0064】
特定の位置で検出された電磁放射レベルがその位置に関する所望の閾値に近づくあるいは超過する場合、ステップ222および228に示されるように矯正措置を講じることができる。矯正措置は、ステップ232に示されるように違反装置134のチャンネルまたは動作周波数を変更するステップ、ステップ234に示されるように拡散する信号を印加するステップ、ステップ236に示されるように該当職員に伝えるステップ、あるいは、ステップ238に示されるように違反装置を調整するステップを含むことができる。本発明のこの側面をより詳細に示すために、監視される医療施設内の位置が、重要な手術中の手術室である状況の例を検討しよう。新たな装置がオンにされ、あるいは手術室に持ち込まれ、その他の装置がオフにされ、手術室から運び出されると、手術室に存在する電磁放射のレベルおよびおそらくは特徴は、手術の進行中、変動する。よって、この例によると、本発明は、手術室内の所与の時間に、電磁放射レベルおよび特徴を監視するように実現することができる。この例では、ステップ222で、電磁放射レベルが危険レベルに接近しつつあることが判定された場合、手術室に割り当てられた職員にこの状況を伝えることができる。
【0065】
この警報の結果、該当職員は、手術室内で所望の電磁放射レベルを維持するため可能な場合、不要な機器をシャットダウンする適切な措置を取ることができる。データリポジトリ内の情報がEMI管理システムによって使用されて、それらの装置の使用および遂行される手順に基づき除去する、あるいはシャットダウンすることのできる装置を職員に示唆することができる。当然ながら、医療就業者が措置を講じる前にまずEMI管理システムからの示唆を確認できるように、好ましくは該当保安員を設けることができる。
【0066】
さらに別の実施形態では、電磁放射の影響を是正するため、ビームパターンを操縦する、配向させる、あるいは成形することのできる指向性アンテナ、フェーズドアレイ、スマートアンテナ、またはその他の類似の技術が、特定の環境または位置での電磁干渉の影響を低減するために使用可能である。たとえば、上記アンテナまたはアンテナ構造は、不所望の方向の電磁エネルギーの放射を最小化するように電磁信号を配向させることができる。操縦またはビーム成形機能は、矯正措置を要求する指示(たとえば、ステップ228に応答して)後、不所望の放射の影響を低減するデフォルト構造として、始動させることができる。
【0067】
図5は、本発明の一実施形態によるEMI管理システムのさらに別の動作上の特徴を示す動作フローチャートである。図5に示される動作特徴では、EMI管理システムは、特定の位置での不所望または無許可の電磁放射生成装置の存在を検出し、それに対処するために使用することができる。たとえば、携帯電話およびその他のパーソナル通信装置と、それらが生成する電磁放射とは、たとえば、航空機上の操縦および通信機器、病院のデリケートな電子機器、および建設現場の無線制御爆破機器などに望ましくない干渉を引き起こす可能性がある。よって、本発明のこの側面によると、ステップ262では、EMI管理システムは、不所望の電磁放射に関して、特定の位置、この例では携帯電話を監視するように実現することができる。
【0068】
携帯電話などの無許可の通信装置の存在がステップ264で検知される場合、任意の数の適切なステップを是正手段として実行することができる。たとえば、ステップ272では、本発明は違反ユーザに対して、携帯電話の使用が所与の領域で許可されていないことを通知する。たとえば、可聴警報をその位置でスピーカを介して生成し、携帯電話の使用はこの特定の位置で許可されておらず、すぐに携帯電話を切るようにユーザに伝えることができる。さらに、可聴情報は、携帯電話の使用を継続したい場合どこに行けばよいかをユーザに指示することができる。
【0069】
ステップ274では、携帯電話の通信リンクを混乱させるような信号を生成して、携帯電話信号を切断させることができる。よって、たとえば、ユーザが可聴要求に従わない場合、システムは携帯電話信号を中断させて、望ましくない電磁放射を終了させる。当然ながら、ユーザがリダイアルを継続する場合、ユーザがその場所を離れる、あるいは無許可の信号を発するという試みを止めるまで、システムは携帯電話信号を切断し続ける。
【0070】
別の実施形態では、ステップ276で、本発明は、無許可の携帯電話の呼び出しが制限位置内で行われていることを該当職員に伝えることができる。よって、たとえば、航空機の場合、EMI管理システムは、乗客が禁止時に航空機のキャビン内で携帯電話をかけようとしていることを客室乗務員かパイロットに伝えることができる。よって、客室乗務員は乗客に電話をかけるのを止めるよう命じる適切な措置を取ることができる。医療施設の例に戻ると、病院の該当保安職員に、所与の位置で無許可で携帯電話をかけているユーザの存在を警告することができる。それに応じて、保安職員は自ら混乱に対応し、携帯電話が許可されている位置に移動するか、あるいは携帯電話の使用を止めるようにユーザに命令することができる。
【0071】
上述したように、各種実施形態および本発明の具体化では、RPIDタグまたは類似の技術は、本明細書に記載の特定の特徴および機能を提供するように利用することができる。たとえば、RFIDタグは、対象装置122、その他の装置134、およびEMI管理システムの1つまたはそれ以上の間で情報をやり取りするのに使用することができる。さらに、RFIDタグは、環境内の所与数の位置のうちのいずれにおいても、装置とRFIDリーダまたはトランスポンダ間で情報をやり取りするのに使用することができる。よって、上述したように、RFIDタグおよびリーダは、装置を配置する動作を簡易化する、および装置間の通信を簡易化するために利用することができる。
【0072】
よって、1つまたはそれ以上の実施形態では、RFIDタグは、読取専用、読取−書込、受動的、または能動的装置として実現することができる。さらに、衝突防止ルーチン、時分割多重化、およびその他の類似の特徴は、複数の装置間での干渉の発生を低減しつつ、それらの装置間の通信を可能にするように実現することができる。一実施形態では、衝突防止ルーチンに加えて、またはその代わりに、複数の通信装置間の同時通信を簡易化するように信号拡散を実現することができる。たとえば、超広域(UWB)通信技術は、他の通信装置および他のユーザやサービスとの電磁スペクトルの共有を可能にするように実現することができる。たとえば、インパルス無線技術、結果として生じる信号を拡散するためのコードワードによる信号の多重化、多帯域OFDM(直交周波数多重方式)技術などを含む、多数の様々な超広域変調スキームのいずれかを利用することができる。しかし、時分割多重化や直交周波数多重化などの技術は、チャンネル間で行う通信の比較的高いデータレートを可能にするという利点を有する。
【0073】
さらに、上述したように、1つまたはそれ以上の実施形態では、1つまたはそれ以上の装置から発せられる重大な電磁放射レベルの悪影響を是正する助けとして、上記装置からの通信は、結果として生じる信号が非常に広い周波数帯域全体に拡散され、信号強度が大幅に軽減される拡散スペクトルモードに切り替えることができる。このようなものとして、このような拡散技術は、多数の異なる環境のいずれにおいても通信装置から生じる干渉の量を軽減するのに使用することができる。
【0074】
本発明の各種実施形態を上述したが、それらは限定のためではなく例示のためだけに提示されたことを理解すべきである。よって、本発明の範囲は上述の模範的な実施形態のいずれによっても限定されてはならず、以下の請求項ならびにその等価物によってのみ定義されるべきである。さらに、本発明は、様々な模範的な環境、実施形態、および具体化の観点で上述されている。個々の実施形態、環境、または具体化のうち1つまたはそれ以上で記載される様々な特徴および機能は、共に記載される特定の環境、実施形態、または具体化への適用可能性において限定されず、上記環境、実施形態、または具体化が記載されているか否か、および上記特徴が上述の環境、実施形態、または具体化の1部として提示されているか否かに関わらず、単独で、または組み合わせて、1つまたはそれ以上の別の環境、実施形態、または本発明の具体化に適用することができると理解すべきである。
【0075】
本文書で使用される用語およびフレーズとその変形は、他で明確に陳述されない限り、限定的とは反対にオープンエンドであると解釈すべきである。上記の例として、「含む」という用語は「制限なく含む」などを意味するように解釈され、「例」という用語は、説明内での項目の模範的な例を、包括的または限定的なリストとしてではなく提供するために使用される。「従来の」、「慣習的な」、「通常の」、「標準的な」のような形容詞および類似の意味を有する用語は、所与の期間に記載される項目、または所与の時点で利用可能な項目を限定するものと解釈するのではなく、現在または将来の任意の時点で利用可能な従来の、慣習的な、通常の、または標準的な技術を包含するように解釈すべきである。同様に、「および」という接続詞と結びつく項目群は、それらの項目の全部がその群内に存在することを要求するものと解釈すべきではなく、他に明確に陳述されない限り、「および/または」と解釈すべきである。

【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態によるEMI管理システムのアーキテクチャの例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による対象装置122の具体化例を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態によるEMI管理システムの動作側面の例を示す動作フローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態によるEMI管理システムの別の動作側面を示す動作フローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態によるEMI管理システムのさらに別の動作上の特徴を示す動作フローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置に対するEMIの影響を管理する方法であって、
環境内の電子装置の位置を監視するステップと、
環境内の当該位置での電磁放射レベルを判定するステップと、
電子装置への電磁放射の影響を制限する矯正措置を実行するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
当該位置は、環境内の装置の現行位置、装置の将来の位置、および装置の現行位置に近接する位置のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
当該位置で電磁放射量を判定するステップは、その位置に配置される機器に基づき当該位置での電磁放射レベルを推定するステップと、その位置に配置される機器の使用スケジュールに基づき当該位置での電磁放射レベルを推定するステップと、当該位置に配置される少なくとも1つの検出器から、当該位置での電磁放射レベルを示す信号を受信するステップと、のうち少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
環境内のEMIホットスポットを検出するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
環境内の位置を各電磁放射レベルに基づくカテゴリーに分類するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項6】
当該位置での電磁放射レベルが電子装置に対する推奨閾値に近づいている、あるいは超過しているか否かを判定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項7】
矯正措置は、電子装置のユーザに危険を警告することと、低電磁放射レベルの安全な位置またはその他の位置にユーザを導くことと、その位置での電磁放射レベルに関する警報を生成することと、電子装置の動作特徴を変更することと、その位置での1つまたはそれ以上のその他の装置の動作特徴を変更することと、少なくとも1つの他の電子装置のユーザに指示することと、および、その位置での少なくとも1つの他の電子装置の動作を停止することと、のうち少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項8】
警報が可聴、可視、可触、およびその他の知覚警報のうち少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項9】
方法ステップが、プロセッサで実行するように構成されるコンピュータプログラムコードによって実行されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項10】
環境内の電子装置の位置を監視するように構成される第1の制御論理部と、
環境内の当該位置内の電磁放射レベルを判定するように構成される第2の制御論理部と、
電子装置に対する電磁放射の影響を制限する矯正措置を実行するように構成される第3の制御論理部と、
を備えることを特徴とするEMI管理システム。
【請求項11】
第2の制御論理部によってアクセス可能で、位置データ、装置データ、および対象データのうち少なくとも1つを記憶するように構成される1つまたはそれ以上のデータリポジトリをさらに備えることを特徴とする請求項10のシステム。
【請求項12】
前記位置データは、当該位置での電磁放射レベル、当該位置に配置される装置、当該位置に配置される装置の動作スケジュール、EMIホットスポット位置のID、およびEMI安全区域のIDのうち少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項11のシステム。
【請求項13】
前記装置データは、装置ID、装置から放射される電磁エネルギーレベル、装置の動作周波数、装置の電磁シグネチャ、装置性能、および装置の重要度レベルのうち少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項11のシステム。
【請求項14】
前記対象データは、電磁放射に対する装置の感度、電磁放射レベルの副作用、および電磁放射レベルを補正する装置の性能のうちの少なくとも1つに関連する情報を備えることを特徴とする請求項11のシステム。
【請求項15】
前記第3の制御論理部は、動作特徴を変更させる、シャットダウンさせる、動作不能にさせる、および別の時間に動作をリスケジュールさせる、のうち少なくとも1つを違反装置に行わせるように構成されることを特徴とする請求項10のシステム。
【請求項16】
前記第3の制御論理部は警報を生成するように構成され、該警報は、違反装置の電源を落とす、動作不能にする、動作特徴を変更するという職員へのメッセージ、装置ユーザを捕捉するという職員へのメッセージ、および所望するより高い電磁放射レベルの領域内にいる、あるいは接近しつつあるという装置ユーザへのメッセージ、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項10のシステム。
【請求項17】
警報が可聴、可視、可触、およびその他の知覚警報のうち少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項16のシステム。
【請求項18】
前記第1、第2、および第3の制御論理部のうち少なくとも1つが、監視下の電子装置に含まれることを特徴とする請求項10のシステム。
【請求項19】
第2の制御論理部に通信可能に接続され、当該位置に配置されて、当該位置での電磁放射レベルを検出する検出器をさらに備えることを特徴とする請求項10のシステム。
【請求項20】
前記第1、第2、および第3の制御論理部のうち少なくとも1つが監視下の電子装置の外部にあり、システムが 監視下の電子装置と通信するように構成される通信装置をさらに備えることを特徴とする請求項10のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−505069(P2009−505069A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526085(P2008−526085)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/030438
【国際公開番号】WO2007/021584
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(507341194)オリンパス コミュニケーション テクノロジィ オブ アメリカ,インク. (12)
【Fターム(参考)】