Euドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターン及びその作成方法
【課題】フォトルミネッセンス特性を有するナノサイズのEuドープイットリウム粒子、その粒子膜、ならびに粒子膜パターンの作成方法及びその製品を提供する。
【解決手段】Y(NO3)3・6H2O、Eu(NO3)3・6H2O及びNH2CONH2からなる水溶液を用いて、溶液中で非晶質イットリウム塩基性炭酸塩(Y(OH)CO3・xH2O,x=1)の微粒子を生成させ、この微粒子分散溶液に、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化されたSAMを浸漬することにより、アミノ基領域にのみ微粒子を堆積させ粒子膜パターンを作成し、パターン化前駆体粒子膜を、800℃で加熱処理し、Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンを作成する方法、その粒子膜パターン、及びその発光デバイスとしての用途。
【解決手段】Y(NO3)3・6H2O、Eu(NO3)3・6H2O及びNH2CONH2からなる水溶液を用いて、溶液中で非晶質イットリウム塩基性炭酸塩(Y(OH)CO3・xH2O,x=1)の微粒子を生成させ、この微粒子分散溶液に、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化されたSAMを浸漬することにより、アミノ基領域にのみ微粒子を堆積させ粒子膜パターンを作成し、パターン化前駆体粒子膜を、800℃で加熱処理し、Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンを作成する方法、その粒子膜パターン、及びその発光デバイスとしての用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターン及びその作成方法に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、フォトルミネッセンス特性を有することにより発光材料等として利用できるEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターン及びその作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Euをドーピングした酸化イットリウムは、赤色発光蛍光材料として、ディスプレー等の様々な発光デバイス向けに期待が掛けられている。従来技術においては、ユウロピウム(Eu)及びイットリウム(Y)の混合原料を高温焼成することにより、Euドープ結晶性酸化イットリウム焼結体を合成し、ボールミルなどの機械式粉砕法を用いて、その粉体を合成している。
【0003】
先行文献には、希土類酸化物蛍光体の作成の事例が報告されている。例えば、従来、製造が困難であった平均粒子径が0.1〜1.0μmの微粒子で、かつ十分な発光強度を有する赤色発光蛍光体を、極めて容易なプロセスで得る方法として、イットリウム、ランタン、ユウロピウムの鉱酸塩水溶液に尿素又は尿素水溶液を添加し、これにマイクロ波を照射して塩基性炭酸塩を析出させ、得られた沈殿を固液分離し、1000〜1500℃の温度で焼成した後、更に、0.05〜0.5wt%濃度のホウ酸水溶液中に分散し、乾燥後、再び、1000〜1500℃で再焼成することにより、組成式が、(Y1−x−yLaxEuy)2O3(式中、x及びyはそれぞれ、0≦x≦0.20、0.01≦y≦0.15である。)で表される、ユウロピウムとランタンを共付活した酸化イットリウム蛍光体を製造する方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
しかし、この種の手法では、粒径0.1μm以下の微粒子を合成することができないこと、また、粒子膜及び粒子膜パターンを形成させることができないこと、また、粉砕による微小粒子の合成を行った場合、粉砕に伴う特性劣化が起こること、更に、薄膜形成後にパターン化するためには、特性劣化の原因となるエッチング工程を経る必要があること、といった諸問題を解決することができない。
【0005】
Euドープ酸化イットリウムは、ナノサイズの微粒子にした際、100に近い量子効果が得られ、その結果、強い蛍光発光を得ることができる。しかし、粉砕の工程において、発光に寄与しない欠陥が大量に生成してしまう。また、発光に寄与しない不純物も大量に導入されてしまう。これらの結果、従来材では、発光特性を大きく劣化させてしまうことが大きな問題点であった。更に、デバイス化のために、パターンを形成させる際には、エッチング工程を用いているが、このエッチングによっても、大きく発光特性を劣化させてしまう、という問題点があった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−224806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような状況下にあって、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上述の問題点のないEuドープ酸化イットリウムナノ粒子及びEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、優れた発光特性を有し、発光デバイスとして好適に適用できる新しいEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンを作成することに成功し、本発明を完成するに至った。本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、フォトルミネッセンス特性を有するナノサイズのEuドープイットリウム粒子、その粒子膜、ならびに粒子膜パターンを、特性劣化の原因となる粒子粉砕工程ならびにエッチング工程を回避して作成し、提供すること、かつ、その作成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)基板上に形成されたアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させたことを特徴とする酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
(2)上記ナノ粒子が、基板上にパターン化して形成されたアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させてパターン化した酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンである、前記(1)記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
(3)上記酸化イットリウムナノ粒子が、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子である、前記(1)又は(2)記載の酸化イットリウムナノ粒子。
(4)上記酸化イットリウムナノ粒子薄膜が、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜である、前記(1)又は(2)記載の酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
(5)上記酸化イットリウムナノ粒子が、直径100nm以下の酸化イットリウムナノ粒子である、前記(1)から(4)のいずれかに記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
(6)前記(1)から(5)のいずれかに記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を結晶化させて量子サイズ効果を付与したことを特徴とする酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
(7)前記(6)記載のフォトルミネッセンス特性を有する酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜からなることを特徴とする発光デバイス。
(8)基板上の所定の位置に形成した酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成する方法であって、基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成し、そのアミノ基領域に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させることを特徴とする上記酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
(9)基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成し、その特定部分に紫外線を照射してシラノール基に変性させて、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化された自己組織化単分子膜を形成し、そのアミノ基領域に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させることにより酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンを作成する、請求項8記載の酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
(10)上記基板として、シリコン、ガラス、金属、セラミックス、又はポリマーの基板を用いる、前記(8)記載の方法。
(11)上記アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成する分子として、アミノ基を末端に有するシラン系化合物を用いる、前記(8)記載の方法。
(12)上記アミノ基領域に、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子を堆積させてEuドープ酸化イットリウムナノ粒子又はEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成する、前記(8)又は(9)記載の方法。
(13)前記(12)記載の方法で作成した酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を加熱処理して結晶化させたことを特徴とする発光性を有するEuドープ酸化イットリウムナノ粒子又はEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
(14)上記基板として、2種類以上の異なる表面を持つ基板を用いる、前記(8)又は(9)記載の方法。
【0009】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、基板上に形成されたアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させたことを特徴とする酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜の点、に特徴を有するものである。また、本発明は、基板上の所定の位置に形成した酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成する方法であって、基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成し、そのアミノ基領域に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させることを特徴とする上記酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法の点、に特徴を有するものである。
【0010】
本発明は、水溶液からの析出反応により、ナノサイズEuドープイットリウム粒子を合成するとともに、その粒子膜を形成させ、かつ、エッチング工程を経ずに、粒子膜パターンを形成させることを最も主要な特徴とする。このプロセスでは、水溶液中において、Euドープ酸化イットリウム前駆体ナノ粒子を合成し、更に、有機膜をテンプレートに用いることにより、基板上の任意の箇所にのみ発光粒子をパターン化させる。続いて、例えば、これを800℃で加熱処理することにより、強い赤色発光を示すEuドープ酸化イットリウムナノ粒子膜パターンを形成させる。
【0011】
本発明では、粒子の粉砕工程ならびにエッチング工程を経ることなく、ナノサイズEuドープ酸化イットリウム粒子、ナノサイズEuドープ酸化イットリウム粒子からなる粒子膜、及びそのパターンを得ることができる。溶液からの析出系であれば、後記する実施例に記載される硝酸イットリウム、硝酸ユウロピウム、尿素からなる混合溶液、それ以外のイットリウム及びユウロピウム含有溶液を適宜用いることができる。また、尿素以外に、エチレンジアミンあるいはそれらの代替物等の錯化剤を用いることができる。
【0012】
イットリウム及びユウロピウムを含有する固体を析出する反応であれば、有機溶液等の、非水溶液反応系も用いることができる。また、イットリウム及びユウロピウムを含有する固体を析出する反応であれば、水熱反応等も用いることができる。更に、イットリウム及びユウロピウムを含有する固体が析出する反応系であれば、気相系、固相系等を用いて、粒子及び粒子膜を作成することができる。
【0013】
上記プロセスでは、温度も、原料の種類、原料濃度、添加剤、pH等に合わせて、水溶液の凝固点以上、かつ沸点以下(およそ0−99℃)の範囲で適宜調節することができる。基板としては、シリコン基板以外に、ガラス、金属、セラミックス、ポリマー等の、反応溶液中で溶解しない種々の基板を用いることができる。また、平板状基板以外に、粒子基材、繊維基材、複雑形状基材等も用いることができる。
【0014】
上記アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成する分子としては、好適には、例えば、APTS(3−Aminopropyltriethoxysilane、アミノプロピルトリエトキシシラン)、アミノブチルトリエトキシシラン(4−Aminobutyltriethoxysilane)、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(N−(2−Aminoetyl)−3−aminopropyltrimethoxysilane)、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン(N−(2−Aminoetyl)−3−aminopropylmetyldimethoxysilane)等のアミノ基を末端に有する分子を用いることができる。
【0015】
上記APTS以外に、例えば、オクタデシルトリクロロシラン(octadecyltrichlorosilane)等の疎水性分子を用いることができる。また、APTS以外に、例えば、テフロン(登録商標)樹脂等の、接触角20°以上の疎水性表面を用いることができる。更に、APTS以外に、酸化イットリウム前駆体の析出あるいは堆積を促進する表面を用いることができる。
【0016】
シラノール基表面以外に、例えば、水酸基(OH)、カルボキシル基(COOH)、カルボニル基(COH)、スルホニル基(SO3H)等の親水性官能基を末端に有する分子を用いることができる。また、シラノール基表面以外に、例えば、ガラス等の、接触角10°以下の親水性表面を用いることができる。更に、シラノール基表面以外に、酸化イットリウム前駆体の析出あるいは堆積を抑制する表面を用いることができる。
【0017】
自己組織化単分子膜のパターン化には、紫外線照射が利用されるが、紫外線照射の他、例えば、スタンプによるパターン化塗布、走査プローブ等を用いた電気的変性によるパターン化、走査プローブ等を用いた機械的変性によるパターン化、化学反応による変性によるパターン化等を用いることができる。
【0018】
本発明では、基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成する。例えば、シリコン基板にAPTS−SAM(アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜)を形成した後、フォトマスクを介して紫外線照射することにより、紫外線照射されたアミノ基領域をシラノール基領域へと変性させ、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化されたSAMを作成する。
【0019】
一方、例えば、Y(NO3)3・6H2O、Eu(NO3)3・6H2O、及びNH2CONH2からなる水溶液を調製し、これを70℃以上に加熱して、尿素を分解してアンモニウムイオン(NH4+)及びOCN−を生成させることで、溶液中で非晶質イットリウム塩基性炭酸塩の微粒子を生成させる。
【0020】
次に、上記微粒子分散溶液に、上述のアミノ基領域とシラノール基領域にパターン化されたSAMを浸漬して、アミノ基領域のみに微粒子を堆積させ、パターニングを実施する。次いで、これを加熱処理して結晶化させた微粒子を得る。この微粒子は、例えば、250nmの励起光により617nmの赤色発光を示す。
【0021】
本発明では、上述のプロセスにより、水溶液からの析出反応により、ナノサイズのEuドープ酸化イットリウム粒子を合成するとともに、その粒子膜及び粒子膜パターンを形成させることができる。上記粒子膜パターンは、基板上の任意の箇所に任意のパターンで形成することができる。上記粒子膜の膜厚は、例えば、100nm程度であり、好ましい範囲としては5〜500nm程度であるが、膜厚については任意に設計することができる。パターン化して形成した上記粒子膜の結晶化は、290〜2420℃程度で加熱処理することで行うことができる。結晶子サイズは、好ましくは1〜100nm程度であるが、結晶子サイズについては任意に設計することができる。
【0022】
酸化イットリウムの融点は2420℃であり、水酸化イットリウムは290℃で酸化物になる。上述のプロセスにおいて、基板の種類及び形態、イットリウム塩、及びユウロピウム塩の種類、錯化剤の種類、イットリウム及びユウロピウムを析出させる手段及び方法、反応系の種類等については、適宜の手法及び手段を用いることができる。上記プロセスにより作成したEuドープ酸化イットリウムナノ粒子、ナノ粒子薄膜及びナノ粒子薄膜パターンは、フォトルミネッセンス特性を有しており、発光素子、ディスプレー等の発光デバイスとして好適に利用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)特性劣化の原因となる粉砕の工程を経ることなく、酸化イットリウムナノサイズ粒子及び粒子膜を合成することができる。
(2)特性劣化の原因となる粉砕の工程を経ることなく、Euドープ酸化イットリウムナノサイズの発光粒子を合成することが可能となり、高い発光特性を得ることができる。
(3)エッチング工程を経ることなく、発光粒子パターンを形成することができるため、エッチングによる特性劣化を回避できる。
(4)任意の形状の基材表面に発光粒子パターンを形成することができる。
(5)上記方法で合成されたEuドープ酸化イットリウムナノ粒子からなる発光デバイスを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0025】
(テンプレートとして用いるパターン化自己組織化単分子膜(Self−assembled Monolayer,SAM)の作成)
以下の手順で、シリコン基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成した。
シリコン基板(p−type[100],1−50Ωcm,Newwingo Co.,Ltd.)を、アセトン、エタノール、水で、それぞれ5分間ずつ超音波洗浄した後、乾燥後、紫外線照射(UV/オゾン クリーナー(波長184.9nm及び253.7nm)、low−pressure mercury lamp 200W,PL21−200,SEN Lights Co.,18mW/cm2,distance from lamp 30mm,24℃,humidity 73%,air flow 0.52m3/min,100V,320W)を10分間行った。
【0026】
グローブボックス内の窒素雰囲気下において、洗浄したシリコン基板を、APTS(3−Aminopropyltriethoxysilane)分子がvol%溶解した無水トルエン溶液に1時間浸漬した。無水トルエン溶液で基板を洗浄後、窒素中で乾燥させ、更に、120℃にて5分間大気中で加熱処理を行った。
【0027】
次に、以下の手順で、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化された自己組織化単分子膜を形成した。
APTS−SAM(アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜)を形成したシリコン基板に、フォトマスク(Test−chart−No.1−N type,quartz substrate,1.524mm thickness,guaranteed line width 2μm±0.5μm,Toppan Printing Co.,Ltd.)を介して紫外線照射(PL21−200,SEN Lights Co.)を10分間行った。
【0028】
紫外線照射されたアミノ基領域は、シラノール基領域へと変性された。この際、アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜が水に対して48°程度の接触角を示すのに対し、紫外線照射によりシラノール基へと変性した領域は、5°以下の接触角を示した。図1に、パターン化自己組織化単分子膜を用いた粒子膜パターン形成の模式図を示す。
【実施例2】
【0029】
(Euドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンの作成)
ディスプレーや発光デバイス向けの赤色可視発光材料として期待されているEuドープY2O3(Y2O3:Eu)においては、その発光特性は、結晶子サイズ、結晶性、Eu濃度、Eu分布均一性等に大きく依存している。これらのファクターの制御に対して、溶液プロセスによるY2O3:Eu微粒子合成は、アドバンテージが高く、特性向上が期待できる。本実施例では、液相プロセスによるY2O3:Euナノ粒子合成及びパターニングを実現しており、250nm励起による赤色発光(617nm)を観測した。図2に、粒子膜パターンのSEM像を示す。また、微粒子合成と同時にパターン化集積することにより、デバイス化の際の微細加工プロセスによるエッチングダメージを回避することを可能とした。
【0030】
Y(NO3)3・6H2O(4mM)、Eu(NO3)3・6H2O(0.4mM)及びNH2CONH2(50mM)からなる水溶液を25℃にて調製し、77℃まで加熱した。NH2CONH2は、70℃以上で分解してアンモニウムイオン(NH4+)及びcyanate ions(OCN−)を生成し、図3に示す反応を伴い、溶液中で非晶質イットリウム塩基性炭酸塩amorphous basic yttrium carbonate(Y(OH)CO3・xH2O,x=1)の微粒子が生成した。図4に、水溶液の温度とpHの時間変化を示す。開始より45分程度で、温度が70℃を越えた。70℃以上の温度で尿素が分解し、前駆体の析出が促進され始めた。
【0031】
この微粒子分散溶液に、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化されたSAMを浸漬することにより、アミノ基領域にのみ微粒子を堆積させパターニングを実現した。図5に、前駆体粒子サイズの時間依存性を示す。(a):溶液中での前駆体粒子(2次粒子)サイズの時間依存性、(1)−(5):各時間での、粒度分布。その平均値を、(a)にプロットした。また、図6に、Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンのSEMによる二次電子像写真を示す。白い領域が粒子膜である。黒の領域には、析出は見られないことから、コントラストがついて見える。
【0032】
また、図7に、Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンのSEMによる二次電子像写真と、EDXによるY、O、C、Siの元素分布のマッピング画像を示す。左上のSEM画像の白い領域が粒子膜である。粒子膜からは、Y,O,C,Siが検出されている。また、図8に、Euドープ酸化イットリウム粒子膜のEDXによる組成分析を示す。前駆体粒子膜からは、C,O,Y,Euが検出された。基板からSiも検出されている。Y:Euの組成比(モル比)が、100:8であることが分かる。
【0033】
この組成のEuドープで高い蛍光特性が得られることが報告されている(論文:Sharma,P.K.;Jilavi,M.H.;Nass,R.;Schmidt,H.J.Lumin.1999,82,187−193、Kwaka,M.G.;Parkb,J.H.;Shon,S.H.Solid State Comm.2004,130,199−201)。また、図9に、原子間力顕微鏡像を示す。(a)のアミノ基(NH2)表面には、粒子膜が形成している。(b)のOH基表面には、析出が見られない。
【0034】
また、図10に、Euドープ酸化イットリウム粒子膜のXPSスペクトルを示す。(1)の45分間浸漬した基板からは、Yは検出されなかった。これは、開始より45分程度で、温度が70℃を越えて、尿素が分解し、前駆体の析出が促進され始めるため、この時間以降で析出が始まることと一致している。反応メカニズムの検証のため、測定した。(2)の(a)前駆体薄膜及び(b)加熱後の薄膜からは、共にYが検出されている。また、それらは、金属Yの結合エネルギーよりも高エネルギー側にシフトしており、Yが酸素と結合していることを示している。
【0035】
更に、加熱により結合エネルギーがシフトしており、加熱後の結合エネルギーの値は、Y2O3の文献値と一致している。加熱により、炭酸イットリウムから酸化イットリウムへ結晶化したことと一致する。(3)は、加熱前後での、Cのスペクトルである。284.6eVは表面の汚れによるものである。289.7eVは前駆体である、炭酸イットリウム中のCによるもので、加熱により酸化イットリウムに結晶化したため、加熱後では、289.7eVのCは検出されていない。これも、炭酸イットリウムの析出及び炭酸イットリウムから酸化イットリウムへの結晶化と一致する。
【0036】
また、図11に、Euドープ酸化イットリウム粒子膜のXR回折パターンを示す。(a)の前駆体のXRDパターンからは、回折線は見られないことから、アモルファス相であることが示されている。800℃1時間の加熱処理により、Y2O3へと結晶化したため、(b)では、Y2O3の回折線が見られる。上図は、データベースから計算した、Y2O3の結晶構造モデルと、回折線パターンである。(b)と一致している。これを800℃で加熱処理し、結晶化させた微粒子からは、250nmの励起光により617nmの赤色発光が観測された。
【0037】
更に、図12に、フォトルミネッセンス特性を示す。(a)は、611nmの発光を得るために、最適の励起波長を示している。611nmの発光の検出強度が縦軸である。検出波長を固定したまま、励起波長を変化させている。250nm程度の励起波長を照射した際に、最も611nmの発光強度が強くなっている。(b)では、(a)の測定より250nm程度の励起波長で最も611nm程度の発光が強く得られることが分かったので、それを受けて、250nmの励起光を照射した際の、発光スペクトルを測定している。
【0038】
加熱前の前駆体では、発光を示さないのに対し、加熱温度の増加に伴い、結晶化が促進されるため、発光強度が強くなっている。また、図12の挿入図の写真は、266nm励起によるY2O3:Euの赤色発光を示しており、基板上に析出させたY2O3:Eu(白枠で囲まれた領域)に対して励起光を照射した箇所が赤く発光した。XRDより見積もられる結晶子サイズは、10nmであった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上詳述したように、本発明は、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターン及びその作成方法に係るものであり、本発明により、特性劣化の原因となる粉砕の工程を経ることなく、酸化イットリウムナノサイズ粒子を合成することができる。また、特性劣化の原因となる粉砕の工程を経ることなく、Euドープ酸化イットリウムナノサイズの発光粒子を合成することが可能となり、高い発光特性を得ることができる。更に、本発明のナノ粒子薄膜は、フォトルミネッセンス特性を有することを必要とする発光素子、ディスプレー等の発光デバイスの用途に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】パターン化自己組織化単分子膜を用いた酸化イットリウム粒子膜パターン形成の模式図を示す。
【図2】粒子膜パターンのSEM像を示す。
【図3】Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターン形成方法の概念図を示す。
【図4】水溶液のpHと温度の時間依存性を示す。
【図5】前駆体粒子サイズの時間依存性を示す。
【図6】Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンのSEMによる二次電子像写真を示す。
【図7】Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンのSEMによる二次電子像写真と、EDXによるY、O、C、Siの元素分布のマッピング画像を示す。
【図8】Euドープ酸化イットリウム粒子膜のEDXによる組成分析を示す。
【図9】Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンのAFM像、(a)NH2基領域、(b)OH基領域、を示す。
【図10】Euドープ酸化イットリウム粒子膜のXPSスペクトルを示す。(1)Siスペクトル(45分析出)、(2)Yスペクトル(90分析出)、(3)Cスペクトル(90分析出)。(a)加熱処理前、(b)800℃1時間大気加熱処理後。
【図11】Euドープ酸化イットリウム粒子膜のXR回折パターンを示す。(a)加熱処理前、(b)800℃1時間大気加熱処理後。
【図12】(a)Euドープ酸化イットリウム粒子膜のフォトルミネッセンス特性(800℃1時間大気加熱処理後)(発光波長611nm)、(b)Euドープ酸化イットリウム粒子膜のフォトルミネッセンス特性(400,600,800℃各1時間大気加熱処理後)(励起波長250nm)を示す。挿入図は、Euドープ酸化イットリウム粒子膜のフォトルミネッセンス画像(800℃1時間大気加熱処理後)(励起波長266nm)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターン及びその作成方法に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、フォトルミネッセンス特性を有することにより発光材料等として利用できるEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターン及びその作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Euをドーピングした酸化イットリウムは、赤色発光蛍光材料として、ディスプレー等の様々な発光デバイス向けに期待が掛けられている。従来技術においては、ユウロピウム(Eu)及びイットリウム(Y)の混合原料を高温焼成することにより、Euドープ結晶性酸化イットリウム焼結体を合成し、ボールミルなどの機械式粉砕法を用いて、その粉体を合成している。
【0003】
先行文献には、希土類酸化物蛍光体の作成の事例が報告されている。例えば、従来、製造が困難であった平均粒子径が0.1〜1.0μmの微粒子で、かつ十分な発光強度を有する赤色発光蛍光体を、極めて容易なプロセスで得る方法として、イットリウム、ランタン、ユウロピウムの鉱酸塩水溶液に尿素又は尿素水溶液を添加し、これにマイクロ波を照射して塩基性炭酸塩を析出させ、得られた沈殿を固液分離し、1000〜1500℃の温度で焼成した後、更に、0.05〜0.5wt%濃度のホウ酸水溶液中に分散し、乾燥後、再び、1000〜1500℃で再焼成することにより、組成式が、(Y1−x−yLaxEuy)2O3(式中、x及びyはそれぞれ、0≦x≦0.20、0.01≦y≦0.15である。)で表される、ユウロピウムとランタンを共付活した酸化イットリウム蛍光体を製造する方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
しかし、この種の手法では、粒径0.1μm以下の微粒子を合成することができないこと、また、粒子膜及び粒子膜パターンを形成させることができないこと、また、粉砕による微小粒子の合成を行った場合、粉砕に伴う特性劣化が起こること、更に、薄膜形成後にパターン化するためには、特性劣化の原因となるエッチング工程を経る必要があること、といった諸問題を解決することができない。
【0005】
Euドープ酸化イットリウムは、ナノサイズの微粒子にした際、100に近い量子効果が得られ、その結果、強い蛍光発光を得ることができる。しかし、粉砕の工程において、発光に寄与しない欠陥が大量に生成してしまう。また、発光に寄与しない不純物も大量に導入されてしまう。これらの結果、従来材では、発光特性を大きく劣化させてしまうことが大きな問題点であった。更に、デバイス化のために、パターンを形成させる際には、エッチング工程を用いているが、このエッチングによっても、大きく発光特性を劣化させてしまう、という問題点があった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−224806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような状況下にあって、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上述の問題点のないEuドープ酸化イットリウムナノ粒子及びEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、優れた発光特性を有し、発光デバイスとして好適に適用できる新しいEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンを作成することに成功し、本発明を完成するに至った。本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、フォトルミネッセンス特性を有するナノサイズのEuドープイットリウム粒子、その粒子膜、ならびに粒子膜パターンを、特性劣化の原因となる粒子粉砕工程ならびにエッチング工程を回避して作成し、提供すること、かつ、その作成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)基板上に形成されたアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させたことを特徴とする酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
(2)上記ナノ粒子が、基板上にパターン化して形成されたアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させてパターン化した酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンである、前記(1)記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
(3)上記酸化イットリウムナノ粒子が、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子である、前記(1)又は(2)記載の酸化イットリウムナノ粒子。
(4)上記酸化イットリウムナノ粒子薄膜が、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜である、前記(1)又は(2)記載の酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
(5)上記酸化イットリウムナノ粒子が、直径100nm以下の酸化イットリウムナノ粒子である、前記(1)から(4)のいずれかに記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
(6)前記(1)から(5)のいずれかに記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を結晶化させて量子サイズ効果を付与したことを特徴とする酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
(7)前記(6)記載のフォトルミネッセンス特性を有する酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜からなることを特徴とする発光デバイス。
(8)基板上の所定の位置に形成した酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成する方法であって、基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成し、そのアミノ基領域に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させることを特徴とする上記酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
(9)基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成し、その特定部分に紫外線を照射してシラノール基に変性させて、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化された自己組織化単分子膜を形成し、そのアミノ基領域に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させることにより酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンを作成する、請求項8記載の酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
(10)上記基板として、シリコン、ガラス、金属、セラミックス、又はポリマーの基板を用いる、前記(8)記載の方法。
(11)上記アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成する分子として、アミノ基を末端に有するシラン系化合物を用いる、前記(8)記載の方法。
(12)上記アミノ基領域に、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子を堆積させてEuドープ酸化イットリウムナノ粒子又はEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成する、前記(8)又は(9)記載の方法。
(13)前記(12)記載の方法で作成した酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を加熱処理して結晶化させたことを特徴とする発光性を有するEuドープ酸化イットリウムナノ粒子又はEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
(14)上記基板として、2種類以上の異なる表面を持つ基板を用いる、前記(8)又は(9)記載の方法。
【0009】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、基板上に形成されたアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させたことを特徴とする酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜の点、に特徴を有するものである。また、本発明は、基板上の所定の位置に形成した酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成する方法であって、基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成し、そのアミノ基領域に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させることを特徴とする上記酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法の点、に特徴を有するものである。
【0010】
本発明は、水溶液からの析出反応により、ナノサイズEuドープイットリウム粒子を合成するとともに、その粒子膜を形成させ、かつ、エッチング工程を経ずに、粒子膜パターンを形成させることを最も主要な特徴とする。このプロセスでは、水溶液中において、Euドープ酸化イットリウム前駆体ナノ粒子を合成し、更に、有機膜をテンプレートに用いることにより、基板上の任意の箇所にのみ発光粒子をパターン化させる。続いて、例えば、これを800℃で加熱処理することにより、強い赤色発光を示すEuドープ酸化イットリウムナノ粒子膜パターンを形成させる。
【0011】
本発明では、粒子の粉砕工程ならびにエッチング工程を経ることなく、ナノサイズEuドープ酸化イットリウム粒子、ナノサイズEuドープ酸化イットリウム粒子からなる粒子膜、及びそのパターンを得ることができる。溶液からの析出系であれば、後記する実施例に記載される硝酸イットリウム、硝酸ユウロピウム、尿素からなる混合溶液、それ以外のイットリウム及びユウロピウム含有溶液を適宜用いることができる。また、尿素以外に、エチレンジアミンあるいはそれらの代替物等の錯化剤を用いることができる。
【0012】
イットリウム及びユウロピウムを含有する固体を析出する反応であれば、有機溶液等の、非水溶液反応系も用いることができる。また、イットリウム及びユウロピウムを含有する固体を析出する反応であれば、水熱反応等も用いることができる。更に、イットリウム及びユウロピウムを含有する固体が析出する反応系であれば、気相系、固相系等を用いて、粒子及び粒子膜を作成することができる。
【0013】
上記プロセスでは、温度も、原料の種類、原料濃度、添加剤、pH等に合わせて、水溶液の凝固点以上、かつ沸点以下(およそ0−99℃)の範囲で適宜調節することができる。基板としては、シリコン基板以外に、ガラス、金属、セラミックス、ポリマー等の、反応溶液中で溶解しない種々の基板を用いることができる。また、平板状基板以外に、粒子基材、繊維基材、複雑形状基材等も用いることができる。
【0014】
上記アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成する分子としては、好適には、例えば、APTS(3−Aminopropyltriethoxysilane、アミノプロピルトリエトキシシラン)、アミノブチルトリエトキシシラン(4−Aminobutyltriethoxysilane)、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(N−(2−Aminoetyl)−3−aminopropyltrimethoxysilane)、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン(N−(2−Aminoetyl)−3−aminopropylmetyldimethoxysilane)等のアミノ基を末端に有する分子を用いることができる。
【0015】
上記APTS以外に、例えば、オクタデシルトリクロロシラン(octadecyltrichlorosilane)等の疎水性分子を用いることができる。また、APTS以外に、例えば、テフロン(登録商標)樹脂等の、接触角20°以上の疎水性表面を用いることができる。更に、APTS以外に、酸化イットリウム前駆体の析出あるいは堆積を促進する表面を用いることができる。
【0016】
シラノール基表面以外に、例えば、水酸基(OH)、カルボキシル基(COOH)、カルボニル基(COH)、スルホニル基(SO3H)等の親水性官能基を末端に有する分子を用いることができる。また、シラノール基表面以外に、例えば、ガラス等の、接触角10°以下の親水性表面を用いることができる。更に、シラノール基表面以外に、酸化イットリウム前駆体の析出あるいは堆積を抑制する表面を用いることができる。
【0017】
自己組織化単分子膜のパターン化には、紫外線照射が利用されるが、紫外線照射の他、例えば、スタンプによるパターン化塗布、走査プローブ等を用いた電気的変性によるパターン化、走査プローブ等を用いた機械的変性によるパターン化、化学反応による変性によるパターン化等を用いることができる。
【0018】
本発明では、基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成する。例えば、シリコン基板にAPTS−SAM(アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜)を形成した後、フォトマスクを介して紫外線照射することにより、紫外線照射されたアミノ基領域をシラノール基領域へと変性させ、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化されたSAMを作成する。
【0019】
一方、例えば、Y(NO3)3・6H2O、Eu(NO3)3・6H2O、及びNH2CONH2からなる水溶液を調製し、これを70℃以上に加熱して、尿素を分解してアンモニウムイオン(NH4+)及びOCN−を生成させることで、溶液中で非晶質イットリウム塩基性炭酸塩の微粒子を生成させる。
【0020】
次に、上記微粒子分散溶液に、上述のアミノ基領域とシラノール基領域にパターン化されたSAMを浸漬して、アミノ基領域のみに微粒子を堆積させ、パターニングを実施する。次いで、これを加熱処理して結晶化させた微粒子を得る。この微粒子は、例えば、250nmの励起光により617nmの赤色発光を示す。
【0021】
本発明では、上述のプロセスにより、水溶液からの析出反応により、ナノサイズのEuドープ酸化イットリウム粒子を合成するとともに、その粒子膜及び粒子膜パターンを形成させることができる。上記粒子膜パターンは、基板上の任意の箇所に任意のパターンで形成することができる。上記粒子膜の膜厚は、例えば、100nm程度であり、好ましい範囲としては5〜500nm程度であるが、膜厚については任意に設計することができる。パターン化して形成した上記粒子膜の結晶化は、290〜2420℃程度で加熱処理することで行うことができる。結晶子サイズは、好ましくは1〜100nm程度であるが、結晶子サイズについては任意に設計することができる。
【0022】
酸化イットリウムの融点は2420℃であり、水酸化イットリウムは290℃で酸化物になる。上述のプロセスにおいて、基板の種類及び形態、イットリウム塩、及びユウロピウム塩の種類、錯化剤の種類、イットリウム及びユウロピウムを析出させる手段及び方法、反応系の種類等については、適宜の手法及び手段を用いることができる。上記プロセスにより作成したEuドープ酸化イットリウムナノ粒子、ナノ粒子薄膜及びナノ粒子薄膜パターンは、フォトルミネッセンス特性を有しており、発光素子、ディスプレー等の発光デバイスとして好適に利用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)特性劣化の原因となる粉砕の工程を経ることなく、酸化イットリウムナノサイズ粒子及び粒子膜を合成することができる。
(2)特性劣化の原因となる粉砕の工程を経ることなく、Euドープ酸化イットリウムナノサイズの発光粒子を合成することが可能となり、高い発光特性を得ることができる。
(3)エッチング工程を経ることなく、発光粒子パターンを形成することができるため、エッチングによる特性劣化を回避できる。
(4)任意の形状の基材表面に発光粒子パターンを形成することができる。
(5)上記方法で合成されたEuドープ酸化イットリウムナノ粒子からなる発光デバイスを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0025】
(テンプレートとして用いるパターン化自己組織化単分子膜(Self−assembled Monolayer,SAM)の作成)
以下の手順で、シリコン基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成した。
シリコン基板(p−type[100],1−50Ωcm,Newwingo Co.,Ltd.)を、アセトン、エタノール、水で、それぞれ5分間ずつ超音波洗浄した後、乾燥後、紫外線照射(UV/オゾン クリーナー(波長184.9nm及び253.7nm)、low−pressure mercury lamp 200W,PL21−200,SEN Lights Co.,18mW/cm2,distance from lamp 30mm,24℃,humidity 73%,air flow 0.52m3/min,100V,320W)を10分間行った。
【0026】
グローブボックス内の窒素雰囲気下において、洗浄したシリコン基板を、APTS(3−Aminopropyltriethoxysilane)分子がvol%溶解した無水トルエン溶液に1時間浸漬した。無水トルエン溶液で基板を洗浄後、窒素中で乾燥させ、更に、120℃にて5分間大気中で加熱処理を行った。
【0027】
次に、以下の手順で、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化された自己組織化単分子膜を形成した。
APTS−SAM(アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜)を形成したシリコン基板に、フォトマスク(Test−chart−No.1−N type,quartz substrate,1.524mm thickness,guaranteed line width 2μm±0.5μm,Toppan Printing Co.,Ltd.)を介して紫外線照射(PL21−200,SEN Lights Co.)を10分間行った。
【0028】
紫外線照射されたアミノ基領域は、シラノール基領域へと変性された。この際、アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜が水に対して48°程度の接触角を示すのに対し、紫外線照射によりシラノール基へと変性した領域は、5°以下の接触角を示した。図1に、パターン化自己組織化単分子膜を用いた粒子膜パターン形成の模式図を示す。
【実施例2】
【0029】
(Euドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンの作成)
ディスプレーや発光デバイス向けの赤色可視発光材料として期待されているEuドープY2O3(Y2O3:Eu)においては、その発光特性は、結晶子サイズ、結晶性、Eu濃度、Eu分布均一性等に大きく依存している。これらのファクターの制御に対して、溶液プロセスによるY2O3:Eu微粒子合成は、アドバンテージが高く、特性向上が期待できる。本実施例では、液相プロセスによるY2O3:Euナノ粒子合成及びパターニングを実現しており、250nm励起による赤色発光(617nm)を観測した。図2に、粒子膜パターンのSEM像を示す。また、微粒子合成と同時にパターン化集積することにより、デバイス化の際の微細加工プロセスによるエッチングダメージを回避することを可能とした。
【0030】
Y(NO3)3・6H2O(4mM)、Eu(NO3)3・6H2O(0.4mM)及びNH2CONH2(50mM)からなる水溶液を25℃にて調製し、77℃まで加熱した。NH2CONH2は、70℃以上で分解してアンモニウムイオン(NH4+)及びcyanate ions(OCN−)を生成し、図3に示す反応を伴い、溶液中で非晶質イットリウム塩基性炭酸塩amorphous basic yttrium carbonate(Y(OH)CO3・xH2O,x=1)の微粒子が生成した。図4に、水溶液の温度とpHの時間変化を示す。開始より45分程度で、温度が70℃を越えた。70℃以上の温度で尿素が分解し、前駆体の析出が促進され始めた。
【0031】
この微粒子分散溶液に、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化されたSAMを浸漬することにより、アミノ基領域にのみ微粒子を堆積させパターニングを実現した。図5に、前駆体粒子サイズの時間依存性を示す。(a):溶液中での前駆体粒子(2次粒子)サイズの時間依存性、(1)−(5):各時間での、粒度分布。その平均値を、(a)にプロットした。また、図6に、Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンのSEMによる二次電子像写真を示す。白い領域が粒子膜である。黒の領域には、析出は見られないことから、コントラストがついて見える。
【0032】
また、図7に、Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンのSEMによる二次電子像写真と、EDXによるY、O、C、Siの元素分布のマッピング画像を示す。左上のSEM画像の白い領域が粒子膜である。粒子膜からは、Y,O,C,Siが検出されている。また、図8に、Euドープ酸化イットリウム粒子膜のEDXによる組成分析を示す。前駆体粒子膜からは、C,O,Y,Euが検出された。基板からSiも検出されている。Y:Euの組成比(モル比)が、100:8であることが分かる。
【0033】
この組成のEuドープで高い蛍光特性が得られることが報告されている(論文:Sharma,P.K.;Jilavi,M.H.;Nass,R.;Schmidt,H.J.Lumin.1999,82,187−193、Kwaka,M.G.;Parkb,J.H.;Shon,S.H.Solid State Comm.2004,130,199−201)。また、図9に、原子間力顕微鏡像を示す。(a)のアミノ基(NH2)表面には、粒子膜が形成している。(b)のOH基表面には、析出が見られない。
【0034】
また、図10に、Euドープ酸化イットリウム粒子膜のXPSスペクトルを示す。(1)の45分間浸漬した基板からは、Yは検出されなかった。これは、開始より45分程度で、温度が70℃を越えて、尿素が分解し、前駆体の析出が促進され始めるため、この時間以降で析出が始まることと一致している。反応メカニズムの検証のため、測定した。(2)の(a)前駆体薄膜及び(b)加熱後の薄膜からは、共にYが検出されている。また、それらは、金属Yの結合エネルギーよりも高エネルギー側にシフトしており、Yが酸素と結合していることを示している。
【0035】
更に、加熱により結合エネルギーがシフトしており、加熱後の結合エネルギーの値は、Y2O3の文献値と一致している。加熱により、炭酸イットリウムから酸化イットリウムへ結晶化したことと一致する。(3)は、加熱前後での、Cのスペクトルである。284.6eVは表面の汚れによるものである。289.7eVは前駆体である、炭酸イットリウム中のCによるもので、加熱により酸化イットリウムに結晶化したため、加熱後では、289.7eVのCは検出されていない。これも、炭酸イットリウムの析出及び炭酸イットリウムから酸化イットリウムへの結晶化と一致する。
【0036】
また、図11に、Euドープ酸化イットリウム粒子膜のXR回折パターンを示す。(a)の前駆体のXRDパターンからは、回折線は見られないことから、アモルファス相であることが示されている。800℃1時間の加熱処理により、Y2O3へと結晶化したため、(b)では、Y2O3の回折線が見られる。上図は、データベースから計算した、Y2O3の結晶構造モデルと、回折線パターンである。(b)と一致している。これを800℃で加熱処理し、結晶化させた微粒子からは、250nmの励起光により617nmの赤色発光が観測された。
【0037】
更に、図12に、フォトルミネッセンス特性を示す。(a)は、611nmの発光を得るために、最適の励起波長を示している。611nmの発光の検出強度が縦軸である。検出波長を固定したまま、励起波長を変化させている。250nm程度の励起波長を照射した際に、最も611nmの発光強度が強くなっている。(b)では、(a)の測定より250nm程度の励起波長で最も611nm程度の発光が強く得られることが分かったので、それを受けて、250nmの励起光を照射した際の、発光スペクトルを測定している。
【0038】
加熱前の前駆体では、発光を示さないのに対し、加熱温度の増加に伴い、結晶化が促進されるため、発光強度が強くなっている。また、図12の挿入図の写真は、266nm励起によるY2O3:Euの赤色発光を示しており、基板上に析出させたY2O3:Eu(白枠で囲まれた領域)に対して励起光を照射した箇所が赤く発光した。XRDより見積もられる結晶子サイズは、10nmであった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上詳述したように、本発明は、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターン及びその作成方法に係るものであり、本発明により、特性劣化の原因となる粉砕の工程を経ることなく、酸化イットリウムナノサイズ粒子を合成することができる。また、特性劣化の原因となる粉砕の工程を経ることなく、Euドープ酸化イットリウムナノサイズの発光粒子を合成することが可能となり、高い発光特性を得ることができる。更に、本発明のナノ粒子薄膜は、フォトルミネッセンス特性を有することを必要とする発光素子、ディスプレー等の発光デバイスの用途に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】パターン化自己組織化単分子膜を用いた酸化イットリウム粒子膜パターン形成の模式図を示す。
【図2】粒子膜パターンのSEM像を示す。
【図3】Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターン形成方法の概念図を示す。
【図4】水溶液のpHと温度の時間依存性を示す。
【図5】前駆体粒子サイズの時間依存性を示す。
【図6】Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンのSEMによる二次電子像写真を示す。
【図7】Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンのSEMによる二次電子像写真と、EDXによるY、O、C、Siの元素分布のマッピング画像を示す。
【図8】Euドープ酸化イットリウム粒子膜のEDXによる組成分析を示す。
【図9】Euドープ酸化イットリウム粒子膜パターンのAFM像、(a)NH2基領域、(b)OH基領域、を示す。
【図10】Euドープ酸化イットリウム粒子膜のXPSスペクトルを示す。(1)Siスペクトル(45分析出)、(2)Yスペクトル(90分析出)、(3)Cスペクトル(90分析出)。(a)加熱処理前、(b)800℃1時間大気加熱処理後。
【図11】Euドープ酸化イットリウム粒子膜のXR回折パターンを示す。(a)加熱処理前、(b)800℃1時間大気加熱処理後。
【図12】(a)Euドープ酸化イットリウム粒子膜のフォトルミネッセンス特性(800℃1時間大気加熱処理後)(発光波長611nm)、(b)Euドープ酸化イットリウム粒子膜のフォトルミネッセンス特性(400,600,800℃各1時間大気加熱処理後)(励起波長250nm)を示す。挿入図は、Euドープ酸化イットリウム粒子膜のフォトルミネッセンス画像(800℃1時間大気加熱処理後)(励起波長266nm)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させたことを特徴とする酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
【請求項2】
上記ナノ粒子が、基板上にパターン化して形成されたアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させてパターン化した酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンである、請求項1記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
【請求項3】
上記酸化イットリウムナノ粒子が、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子である、請求項1又は2記載の酸化イットリウムナノ粒子。
【請求項4】
上記酸化イットリウムナノ粒子薄膜が、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜である、請求項1又は2記載の酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
【請求項5】
上記酸化イットリウムナノ粒子が、直径100nm以下の酸化イットリウムナノ粒子である、請求項1から4のいずれかに記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を結晶化させて量子サイズ効果を付与したことを特徴とする酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
【請求項7】
請求項6記載のフォトルミネッセンス特性を有する酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜からなることを特徴とする発光デバイス。
【請求項8】
基板上の所定の位置に形成した酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成する方法であって、基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成し、そのアミノ基領域に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させることを特徴とする上記酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
【請求項9】
基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成し、その特定部分に紫外線を照射してシラノール基に変性させて、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化された自己組織化単分子膜を形成し、そのアミノ基領域に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させることにより酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンを作成する、請求項8記載の酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
【請求項10】
上記基板として、シリコン、ガラス、金属、セラミックス、又はポリマーの基板を用いる、請求項8記載の方法。
【請求項11】
上記アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成する分子として、アミノ基を末端に有するシラン系化合物を用いる、請求項8記載の方法。
【請求項12】
上記アミノ基領域に、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子を堆積させてEuドープ酸化イットリウムナノ粒子又はEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成する、請求項8又は9記載の方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法で作成した酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を加熱処理して結晶化させたことを特徴とする発光性を有するEuドープ酸化イットリウムナノ粒子又はEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
【請求項14】
上記基板として、2種類以上の異なる表面を持つ基板を用いる、請求項8又は9記載の方法。
【請求項1】
基板上に形成されたアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させたことを特徴とする酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
【請求項2】
上記ナノ粒子が、基板上にパターン化して形成されたアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させてパターン化した酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンである、請求項1記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
【請求項3】
上記酸化イットリウムナノ粒子が、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子である、請求項1又は2記載の酸化イットリウムナノ粒子。
【請求項4】
上記酸化イットリウムナノ粒子薄膜が、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜である、請求項1又は2記載の酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
【請求項5】
上記酸化イットリウムナノ粒子が、直径100nm以下の酸化イットリウムナノ粒子である、請求項1から4のいずれかに記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を結晶化させて量子サイズ効果を付与したことを特徴とする酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜。
【請求項7】
請求項6記載のフォトルミネッセンス特性を有する酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜からなることを特徴とする発光デバイス。
【請求項8】
基板上の所定の位置に形成した酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成する方法であって、基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成し、そのアミノ基領域に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させることを特徴とする上記酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
【請求項9】
基板上にアミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成し、その特定部分に紫外線を照射してシラノール基に変性させて、アミノ基領域とシラノール基領域にパターン化された自己組織化単分子膜を形成し、そのアミノ基領域に酸化イットリウムナノ粒子を堆積させることにより酸化イットリウムナノ粒子薄膜パターンを作成する、請求項8記載の酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
【請求項10】
上記基板として、シリコン、ガラス、金属、セラミックス、又はポリマーの基板を用いる、請求項8記載の方法。
【請求項11】
上記アミノ基を末端に有する自己組織化単分子膜を形成する分子として、アミノ基を末端に有するシラン系化合物を用いる、請求項8記載の方法。
【請求項12】
上記アミノ基領域に、Euドープ酸化イットリウムナノ粒子を堆積させてEuドープ酸化イットリウムナノ粒子又はEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜を作成する、請求項8又は9記載の方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法で作成した酸化イットリウムナノ粒子又は酸化イットリウムナノ粒子薄膜を加熱処理して結晶化させたことを特徴とする発光性を有するEuドープ酸化イットリウムナノ粒子又はEuドープ酸化イットリウムナノ粒子薄膜の作成方法。
【請求項14】
上記基板として、2種類以上の異なる表面を持つ基板を用いる、請求項8又は9記載の方法。
【図4】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−87096(P2008−87096A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269513(P2006−269513)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]