説明

FA装置

【課題】オペレータの操作負担を軽減して誤操作の発生を抑制するFA装置を提供する。
【解決手段】対向する側に設けられた第1の操作面1aおよび第2の操作面1bと、第1の操作面1a側に設けられた各処理ステージ4aに対応して設けられ、処理ステージ4a、4bを操作する操作画面を表示する第1の表示パネル5aと、第2の操作面1b側に設けられた各処理ステージ4bに対応して設けられ、処理ステージ4a、4bを操作する操作画面を表示する第2の表示パネル5bと、を備えたFA装置1において、第1の表示パネル5aに表示する操作画面を、第1の操作面1a側を操作位置とするオペレータからみた各処理ステージ4a、4bの配置に対応させて表示し、第2の表示パネル5bに表示する操作画面を、第2の操作面1b側を操作位置とするオペレータからみた各処理ステージ4a、4bの配置に対応させて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に処理を施す複数の処理ステージが設けられたFA装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に各種の処理を施す複数の処理ステージが対向する両側に設けられたFA装置では、複数の処理ステージの操作を行う操作面対向する両側に設けられ、何れの側からでも操作できるようになっている。操作面には、処理ステージにおける動作状況や操作画面を表示する表示パネルが設けられ、オペレータは表示パネルに表示された操作画面に基づいてFA装置の操作を行う。この表示パネルに表示される操作画面を、FA装置に設けられた全ての処理ステージもしくは任意の処理ステージに関するものに選択的に変更して表示することができるようにしたFA装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−193196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
FA装置に設けられた処理ステージは一般に同型であるので、操作画面を変更した場合であっても、変更前後の操作画面は一見してよく似ているため、表示したい処理ステージと異なる処理ステージの情報が表示されているにもかかわらず異なる情報に基づいて誤操作することが起こりうる。また、表示された情報が何れの処理ステージに対応しているのかをオペレータが判断する必要があり、表示された情報を確認しながら操作を行う際の負担となっていた。
【0004】
そこで、本発明は、オペレータの操作負担を軽減して誤操作の発生を抑制するFA装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、基板に処理を施す複数の処理ステージが対向して配置されたFA装置であって、前記対向する側にそれぞれ設けられた第1の操作面および第2の操作面と、前記第1の操作面側に設けられた前記処理ステージのそれぞれに対応して設けられ、前記複数の処理ステージを操作する操作画面を表示する第1の操作画面表示部と、前記第2の操作面側に設けられた前記処理ステージのそれぞれに対応して設けられ、前記処理ステージを操作する操作画面を表示する第2の操作画面表示部と、を備え、前記第1の操作画面表示部に表示する操作画面を、前記第1の操作面側を操作位置とするオペレータからみた前記処理ステージの配置に対応させて表示し、前記第2の操作画面表示部に表示する操作画面を、前記第2の操作面側を操作位置とするオペレータからみた前記処理ステージの配置に対応させて表示する。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の操作画面表示部および前記第2の操作画面表示部に表示される操作画面を、全ての前記処理ステージを操作する操作画面を表示する第1の表示モード、または、対応して設けられた前記処理ステージのみを操作する操作画面を表示する第2の表示モードの何れかに変更する表示モード変更手段をさらに備えた。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第1の操作画面表示部および前記第2の操作画面表示部が、前記複数の処理ステージを覆うカバーの上面に設けられた有機ELTである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の処理ステージに設けられた操作画面表示部に、それぞれの処理ステージの配置に対応した操作画面が表示されるので、オペレータの操作負担が軽減され誤操作の発生が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本実施の形態の電子部品実装装置の斜視図、図2は本実施の形態のカバーを離脱した状態の電子部品実装装置の平面図、図3は本実施の形態の電子部品実装装置の制御系の構成図、図4は本実施の形態の第1の表示モードにおける各表示パネルの操作画面例を示した平面図、図5は本実施の形態の第2の表示モードにおける各表示パネルの操作画面例を示した平面図である。
【0010】
最初に、FA装置の全体構成について図1を参照して説明する。図1は電子部品実装装置の斜視図である。同図において、電子部品実装装置1は、基板に複数の電子部品を実装するFA装置である。電子部品実装装置1の本体2は着脱自在のカバー3により覆われている。電子部品実装装置1の対向する両側には、それぞれ複数の実装ステージ4a、4bが配置されている(実装ステージ4bは図示せず)。複数の実装ステージ4aが配置された側は、電子部品実装装置1における実装動作を操作する第1の操作面1aに設定されており、複数の実装ステージ4bが配置された側は、電子部品実装装置1における実装動作を操作する第2の操作面1bに設定されている。カバー3の上面の第1の操作面1a側には、複数の実装ステージ4aのそれぞれに対応する第1の表示パネル5aが設けられており、第2の操作面1b側には、複数の実装ステージ4bのそれぞれに対応する第2の表示パネル5bが設けられている。第1の表示パネル5aと第2の表示パネル5bは、タッチパネル機能を備えた表示画面を備えており、電子部品実装装置1での実装動作状況をリアルタイムで表示するとともに、実装動作の操作を行うための操作画面を表示する操作画面表示部として機能し、何れかの操作面1a、1b側にあるオペレータが操作画面を指先などでタッチすることで操作情報の入力を行うように構成されている。
【0011】
カバー3には警告灯6が設けられており、電子部品実装装置1に何らかの異常や事故が発生した場合には、警告灯6が点灯して周囲のオペレータに警告する。カバー3の側面には、基板を電子部品実装装置1に搬入するための搬入口7が設けられている。基板は、搬入口7を通って本体2に通じる搬送レール8により電子部品実装装置1に搬入される。搬入口7と対向するカバー3の側面には、図示しない搬出口が設けられており、電子部品実装装置1において電子部品が実装された基板は搬出口から搬出される。
【0012】
図2は、カバー3を離脱した状態の電子部品実装装置の平面図である。同図において、本体2の略中央には、一方向に延伸された搬送レール8が設けられており、搬送レール8を挟んで対向する両側にそれぞれ複数の実装ステージ4a、4bが配置されている(本実施の形態ではそれぞれ2つの実装ステージを配置している)。各実装ステージ4a、4bには、パーツフィーダ11と、パーツフィーダ11から供給される電子部品をピックアップして基板Wに実装する実装ヘッド12と、実装ヘッド12を水平移動させる直交ロボット13がそれぞれ設けられている。さらに、各実装ステージ4a、4bには、実装ヘッド12によりピックアップされた電子部品の認識を行う認識手段である第1のカメラ14、実装ヘッド12と一体的に設けられて基板Wを認識する認識手段である第2のカメラ15、実装ヘッド12に交換して装着される吸着ノズルを格納するノズルストッカ16がそれぞれ設けられている。
【0013】
同図において、搬送レール8により搬入された基板Wは、対向する実装ステージ4a、4bの間で停止し、停止位置がずれないように電子部品の実装が行われる間は固定される。各実装ステージ4a、4bは独立して実装動作を行うことが可能であるが、対向する2
つの実装ステージ4a、4bに対して1つの基板Wのみが供給されるので、対向する実装ステージ4a、4bにおいて同時に電子部品の実装を行うことはできない。従って、例えば、一方の実装ステージ4aにおいて基板Wに電子部品の実装を行っているときは、他方の実装ステージ4bにおいては、パーツフィーダ11から電子部品をピックアップしたり、吸着ノズルを交換したりする等の電子部品の実装以外の動作を行うことで、電子部品を基板Wの両側から間断なく実装するように動作制御される。
【0014】
図3は、電子部品実装装置の制御系の構成図である。同図において、各表示パネル5a、5bには、各実装ステージ4a、4bの実装動作を制御するための操作画面が表示される。操作画面にて所望の操作メニューをタッチパネル機能により入力すると、操作指令が制御部20に送信される。操作指令を受信した制御部20は、各実装ステージ4a、4bの各構成部に動作指令を送信し、一連の実装動作を制御する。各表示パネル5a、5bに表示される操作画面は、制御部20と操作表示部21とで構成される表示モード切換手段により、2通りの表示モードに変更することができる。第1の表示モードは、各表示パネル5a、5bに全ての実装ステージ4a、4bを操作する操作画面を表示するものであり、第2の表示モードは、各表示パネル5a、5bが対応して設けられた実装ステージ4a、4bのみを操作する操作画面を表示するものである。電子部品実装装置1を操作するために何れかの操作面1a、1b側に移動したオペレータが、何れかの表示パネル5a、5bに表示された表示モード切換メニューにより任意の表示モードを選択して入力すると、制御部20から操作表示部21に表示モード変更信号が送信され、当該表示パネル5a、5bにおける表示モードが第1の表示モードまたは第2の表示モードに変更される。
【0015】
図4は、第1の表示モードにおける各表示パネルの操作画面例を示している。同図において、第1の表示パネル5aには、第1の操作面1a側を操作位置とするオペレータからみた各実装ステージ4a、4bの配置に対応させた操作画面が表示されている。また、第2の表示パネル5b、第2の操作面1b側を操作位置とするオペレータからみた各実装ステージ4a、4bの配置に対応させた操作画面が表示されている。従って、電子部品実装装置1を操作するために何れかの操作面1a、1b側に移動したオペレータからみた実際の各実装ステージ4a、4bの配置と操作画面上の配置が一致している。これにより、オペレータは何れの実装ステージ4a、4bであっても、目前の操作画面により実際の実装ステージ4a、4bの配置と同一の配置で実装動作状況を確認し、また操作メニューの選択を行うことができるので、任意の表示パネル5a、5bの操作画面に基づいて操作を行う際の負担が軽減され、操作画面の誤認識に基づく誤操作の発生を抑制することができる。
【0016】
図5は、第1の表示モードにおける各表示パネルの操作画面例を示している。図4に示す各表示パネル5a、5bの操作画面に表示された表示モード切換メニュー22により表示モードの変更指令を入力することで、変更指令が入力された何れかの表示パネル5a、5bを第2の表示モードに変更することができる。図5において、各表示パネル5a、5bには、各表示パネル5a、5bが対応して設けられたそれぞれの実装ステージ4a、4bのみを操作する操作画面が表示されている。このように、各表示パネル5a、5bに対応する実装ステージ4a、4bのみを操作する操作画面を表示すると、操作したい任意の実装ステージ4a、4bに関する情報のみに集中することができるので、さらに操作負担が軽減されるとともに誤操作の発生を抑制することができる。また、第2の表示モードにおける操作画面上で表示モード切換メニュー22により表示モードの変更指令を入力すると、により操作画面の切り換え指令を入力すると、変更指令が入力された何れかの表示パネル5a、5bを第1の表示モードに変更することができる。
【0017】
なお、各表示パネル5a、5bは、液晶パネルやCRTにより構成することもできるが、有機ELTにより構成すると、カバー3の上面の曲面に沿って貼着することができるの
で、オペレータの視界を妨げることがなく操作性が向上する。また、電子部品実装装置1に設けられる実装ステージ4a、4bは4箇所に限らず何箇所であってもよく、全ての実装ステージ4a、4bに対応して表示パネル5a、5bが設けられる。また、FA装置は、基板に何らかの処理を施す複数の処理ステージを備えた装置をさしており、基板に電子部品を実装する電子部品実装装置に限らず、基板にクリーム半田等を印刷する印刷装置や、表面改質を行う表面処理装置等の物理的、化学的処理を含む種々の装置を含んでいる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によれば、複数の処理ステージに設けられた操作画面表示部に、それぞれの処理ステージの配置に対応した操作画面が表示されるので、オペレータの操作負担が軽減され誤操作の発生が抑制されるという利点を有し、複数の処理ステージにおいて基板に処理を施すFA装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態の電子部品実装装置の斜視図
【図2】本実施の形態のカバーを離脱した状態の電子部品実装装置の平面図
【図3】本実施の形態の電子部品実装装置の制御系の構成図
【図4】本実施の形態の第1の表示モードにおける各表示パネルの操作画面例を示した平面図
【図5】本実施の形態の第2の表示モードにおける各表示パネルの操作画面例を示した平面図
【符号の説明】
【0020】
1 電子部品実装装置
1a 第1の操作面
1b 第2の操作面
4a、4b 実装ステージ
5a 第1の表示パネル
5b 第2の表示パネル
21 操作表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理を施す複数の処理ステージが対向して配置されたFA装置であって、
前記対向する側にそれぞれ設けられた第1の操作面および第2の操作面と、前記第1の操作面側に設けられた前記処理ステージのそれぞれに対応して設けられ、前記複数の処理ステージを操作する操作画面を表示する第1の操作画面表示部と、前記第2の操作面側に設けられた前記処理ステージのそれぞれに対応して設けられ、前記処理ステージを操作する操作画面を表示する第2の操作画面表示部と、を備え、
前記第1の操作画面表示部に表示する操作画面を、前記第1の操作面側を操作位置とするオペレータからみた前記処理ステージの配置に対応させて表示し、前記第2の操作画面表示部に表示する操作画面を、前記第2の操作面側を操作位置とするオペレータからみた前記処理ステージの配置に対応させて表示するFA装置。
【請求項2】
前記第1の操作画面表示部および前記第2の操作画面表示部に表示される操作画面を、全ての前記処理ステージを操作する操作画面を表示する第1の表示モード、または、対応して設けられた前記処理ステージのみを操作する操作画面を表示する第2の表示モードの何れかに変更する表示モード変更手段をさらに備えた請求項1に記載のFA装置。
【請求項3】
前記第1の操作画面表示部および前記第2の操作画面表示部が、前記複数の処理ステージを覆うカバーの上面に設けられた有機ELTである請求項1または2に記載のFA装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−21821(P2008−21821A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192338(P2006−192338)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】