説明

FSHおよびhCGの一体的組合せ

新規排卵誘発方法は、治療の全段階における、FSHと組合されたhCGの投与を含み、この場合、排卵刺激を最適化し合併症を最小限度に抑えるためにFSH:hCGの比が調節される。種々のFSH:hCG比により特徴づけられる組成物の使用は、実施者が治療計画を容易に工夫し種々の治療目的および性腺刺激ホルモン投与に対する個々の患者の応答を適合させるのを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規性腺刺激ホルモン製剤に関する。より詳しくは、本発明は、卵胞刺激ホルモン(FSH)およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の両方が存在する、卵巣刺激に有用な医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
生殖補助技術(ART)は、典型的には、卵胞の成長および成熟を刺激するための外因性性腺刺激ホルモンでの治療を要する。無排卵女性を治療するために性腺刺激ホルモンを使用する場合、その目的は、排卵の誘発の前に1個の首席卵胞が成熟する正常な月経周期を反復させることである。一方、体外受精(IVF)を受けている女性の場合には、いくつかの卵胞の成長および成熟を刺激するために調節性卵胞刺激(controlled ovarian stimulation)(COS)を行って複数の卵母細胞を生成させ、ついでそれらをIVF法での使用のために回収する。
【0003】
ARTにおける最近の進歩にもかかわらず、外因性性腺刺激ホルモンによる卵巣刺激は一貫して成功しているわけではない。その1つの理由として、性腺刺激ホルモンでの治療に対する個々の応答にばらつきがあることが挙げられる。このばらつきは患者に対する処置を複雑にし、多胎出産および潜在的に生命を脅かす合併症を引き起こしうる。
【0004】
性腺刺激ホルモンは、視床下部性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の制御下で下垂体により分泌される。卵胞刺激ホルモン(FSH)および黄体形成ホルモン(LH)は、卵胞成熟(卵胞形成)および黄体化に必須の下垂体ホルモンである。FSHは自然月経周期の開始時の卵胞の補強(recruitment)(すなわち、卵巣の初期成長)に要求され、それは中期および後期の卵胞形成をも補助する。
【0005】
FSHは、無排卵女性およびCOSを受けている女性において卵胞形成を誘発するために治療用に投与される。伝統的な排卵刺激法においては、卵母細胞が回復するまで治療の全体にわたってFSHが投与される。FSHによるこの継続的刺激は多重受胎および潜在的に致死性の状態(卵巣過剰刺激症候群(OHSS))を招きうる。FSHの投与量の減少はOHSSのリスクを低下させうるが、低いFSH投与量は不適当な卵胞量を与え、したがって生殖補助における成功の確率を低下させる。
【0006】
LHは、正常な月経周期の全段階において働く。LHは卵胞の莢膜細胞を刺激してアンドロゲン基質を産生し、これは顆粒膜細胞内のアロマターゼ系によりエストロゲンに変換される。卵胞成熟の後期の、排卵の約5〜7日前に、大きな卵胞が顆粒膜細胞内でLH受容体を発現し始め、これは、継続的な成熟および発生において、それらの卵胞をLHに対して応答性にする(Hillierら,Mol.Cell Endocrinol.100:51(1994),Campbellら J.Reprod.Fertil.117:244(1999))。つぎに、正常な月経周期においては、LHの中期サージが卵胞成熟および排卵の最終段階を誘発する。中期LHサージの後、24〜48時間以内に排卵が生じる。最後に、月経周期の第2段階である黄体期において、LH刺激による卵巣の黄体におけるエストロゲンおよびプロゲステロンの産生が、子宮に着床および妊娠の準備をさせる。
【0007】
卵巣刺激法においては、hCGがLH活性源として働きうる。なぜなら、hCGおよびLHは同じ受容体を介して作用するからである(Filicoriら Human Reprod.17:2009(2002a);Martinら,Fertil.Steril.76:O−49(2002))。この文献はhCGとLHとを代替可能なものとして扱う傾向にあるが、LHと比較して、hCGは長い半減期を有し、したがってLHより強力である。実際、科学文献は、一般には、天然由来性腺刺激ホルモン製剤におけるLH活性源の確定を記載していない。しかし、Filicoriら,Human Reprod.Update 8:543,552(2002b)を参照されたい(「おそらく、[特定の]hMG製剤中のhCG含量は〜5IU/アンプル」であると推定され、「このhMG製剤に含まれるLH効力の75IUのうちの約30IUはhCGによってもたらされる」)。
【0008】
この文献は、排卵刺激の全体にわたるFSHと組合されたLH活性または低用量のhCGの使用を開示しているが、LH活性補足の有効量および時機に関する指針を欠いている。例えば、Martinら,Fertil.Steril.76:O−49(2002)の抄録は、排卵刺激中に2.5μgの組換えhCGを毎日投与する(血清hCGレベルを1〜3mIU/mLに維持する)ことを開示している。Gordonらは、0、1、25および75 IUのLH活性と共に75 IUのFSHを投与することを開示している(Human Reprod.12(Suppl.1):52(1997a);同誌:53(1997b))。
【0009】
公開されている研究は、刺激の全体にわたり、150:0、150:37.5、150:75および150:150のFSH:LH比でLH活性を投与することを開示している(Filicoriら(2002a))。さらに、文献は、FSH刺激を50 IU/日のhCGで補足すること(Filicoriら,J.Clin.Endocrinol.& Metabol.84:2659(1999))、および150 IUのFSHを7日間投与し次いで150:0、50:50、25:100および0:200のFSH:hCG比で処理するプロトコールを記載している(同誌,87:1156(2002c))。
【0010】
文献は、FSHとLHとの両方の活性を含有する他の組成物、およびLH活性と組合されたFSHの使用を記載している。例えば、2000年11月16日付け公開のPCT出願WO 00/67778は、無排卵女性における卵胞形成を誘発するための、FSHと組合されたLHまたは同等量のhCGの使用に関するものである。より詳しくは、該’778出願は、LHまたは「その生物学的に活性な類似体」を100〜1500 IU/日の用量(4頁26〜29行)および1:1.5〜1:20の範囲のFSH:LH比で投与することを開示している(同誌,16〜18行)。
【0011】
米国特許第5,929,028号は、1以上の天然または組換え性腺刺激ホルモン(FSH、LHおよびhCGを含む)を含有する液体製剤に関するものである。該’028特許は、FSHおよびLH活性を約1:1の比で有するヒト閉経期性腺刺激ホルモン(hMG)の天然由来組成物を考察しているが、市販のhMG製剤の1:1比以外のFSH:LH活性の比を記載していない。
【0012】
また、FSHおよびLHの両方を含有する市販の製剤が存在する。75 IUのLH活性と共に75 IUのFSHを、および25または35 IU LH活性と共に75 IUのFSHを含有するヒト由来製剤が入手可能である(NormegonおよびPergogreen)。
【0013】
しかし、疾患によっては「過剰」なLHレベルは、卵胞閉鎖、顆粒膜細胞増殖の抑制および早期黄体化を引き起こすことが一般に知られている。全般的には、Filicori,Fertil.Steril.79:253(2003)を参照されたい。最近の研究はそうではないことを示唆しているが、LH活性レベルは或る範囲内でなければならず、「LHシーリング(LH ceiling)」を下回る又は上回るレベルは正常な卵胞発生を損なうという見解が当分野には根強く残っている(Shoham,Fertil.Steril.70:1170(2002))。
【0014】
要約すると、排卵誘発中にFSHをLH活性で補足すると、適切な卵胞発生を達成するための治療期間および性腺刺激ホルモンの使用量が少なくて済むという証拠が公開されている(Filicoriら (1999),(2002b))。一方、「高いLH活性レベル」は卵胞発生に負の影響を及ぼすという見解が根強く残っている。
【0015】
その見解は、調節性卵巣刺激の全体にわたるFSHの投与を伴う通常の卵巣刺激法を導いた。外因性LH活性は卵胞発生の初期ないし中期には不必要であり更には有害であるとみなされている。したがって、卵巣刺激の伝統的な手段は、典型的には75 IU/日のFSHのみでの治療を含む。この伝統的な方法においては、卵胞が或る発生段階に達して初めて、排卵を誘発するためにLH活性を投与する。治療の全体にわたってLH活性が投与されるようになったのは最近のことであり、この場合に有効なLH活性の最適な量および時機は依然として議論の的となっている。
【発明の開示】
【0016】
発明の概要
排卵刺激の通常の方法は、卵胞発生を最適化する選択的治療には適応していない。さらに、入手可能な性腺刺激ホルモン製剤は種々の治療目的に容易には適合しない。したがって、FSHおよびhCGの両方を種々の比で含有していることにより実施者が性腺刺激ホルモン治療方法を個々の患者の要求に適応させうる組成物が必要とされている。無排卵女性において及びART法の場合に卵胞形成を刺激するためにそのような組成物を使用するための方法も必要とされている。
【0017】
とりわけ、これらの目的のために、本発明は、FSHおよびhCGを種々の量および種々のFSH:hCG比で含有する、単一の製剤として供給される医薬組成物を提供する。これらの化合物は、既に入手可能な製剤では不可能な柔軟な様態で実施者が排卵刺激を最適化するのを可能にする。
【0018】
本発明はまた、種々のFSH:hCG比を伴う組成物を使用することによる、排卵を誘発するためのアプローチを含む。本発明の方法は、より安全な且つより成功しうる排卵刺激をもたらす、卵胞形成の段階または患者の応答におけるばらつきに応じた、FSH:hCG比における漸増的調節を可能にする。
【0019】
本発明の1つの実施形態は、医薬上許容される担体中、FSHおよびhCGを必須としてなる医薬組成物である。本発明においては、そのような組成物におけるFSH:hCGの比は、該組成物が投与されると、卵巣過剰刺激を伴うことなく卵胞形成および卵胞成熟を促す。この場合、「を必須としてなる」なる語は、該組成物が、他の構成要素を有する可能性はあるものの、卵胞形成または卵胞成熟に関する該組成物の有益な特性を抑制し又は損なういずれの成分をも含まないことを意味する。
【0020】
本発明のもう1つの実施形態は、第1バイアルと第2バイアルとを含んでなる組合せであり、それらのバイアルのそれぞれは、医薬上許容される担体中、FSHおよびhCGを必須としてなる医薬組成物を含有し、FSH:hCGの比は、該組成物が投与されると、卵巣過剰刺激を伴うことなく卵胞形成および卵胞成熟を促すものである。FSH:hCGの比は、第1バイアルと第2バイアルとで異なる。
【0021】
本発明のもう1つの実施形態は、
【0022】
【化17】

よりなる群から選ばれるFSH:ヒトhCGの比により特徴づけられる少なくとも1つの医薬組成物を投与し、血清ホルモンレベル、卵胞サイズおよび卵胞数をモニターし、ついでhCGボーラスの投与により排卵を誘発することを含んでなる、排卵の誘発方法である。
【0023】
本発明の他の特徴、目的および利点は、以下の詳細な説明から明らかである。しかし、その詳細な説明は、本発明の好ましい実施形態を示すものであり、単なる例示として記載されているに過ぎず、限定的なものではないと理解されるべきである。本発明の精神および範囲内の種々の変更および修飾が、以下の詳細な説明から当業者に明らかとなるであろう。
【0024】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、治療の全段階においてFSHと組合されたhCGの投与により及び排卵刺激を最適化するためのFSH:hCG比の調節により特徴づけられる新規治療方法のための組成物および方法を提供する。この方法は、実質的には通常のアプローチから出発し、典型的には75〜300 IU/日でFSHを単独で投与し、中期にLH活性のボーラスを投与して排卵を誘発する。
【0025】
本発明は、広範なFSH:hCG比を伴う医薬組成物を提供する。本発明の組成物および方法は、与えられた患者の状況に治療を医師が容易に適合させるのを可能にし、種々の卵胞形成段階に基づいて及び性腺刺激ホルモンに対する患者の種々の応答に基づいてFSH:hCGが微調節されるのを可能にする。さらに、高レベルのhCGを含有する治療用組成物を包含する或る範囲の治療用組成物が入手可能となることは、種々のART法の治療要件を医師が容易に適合させることを可能にする。この柔軟性は現在の性腺刺激ホルモン製剤では得られない。
【0026】
本発明の組成物は、広範なFSH:hCG比を有するため、本発明は、とりわけ無排卵性不妊性の治療、体外受精(IVF)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵管内配偶子移植(GIFT)、卵管内接合体移植(ZIFT)、凍結保存胚移植、子宮内授精(IUI)、ドナー卵母細胞移植、ドナー卵母細胞からの凍結保存胚移植および宿主子宮移植のためのART周期を含む任意の排卵誘発およびART法における卵胞形成および排卵を刺激するために容易に使用することが可能である。本発明の組成物および方法は、無排卵患者ならびに低性腺刺激ホルモン性性機能低下および多房性卵巣症候群の患者を治療するためにも使用することが可能である。
【0027】
本発明の組成物においては、LH活性源としてhCGを使用する。hCGはLH受容体に結合し、該受容体を介してその生物学的作用を発揮する。独立したhCG受容体は存在しない。本発明におけるhCGの使用は、LHの使用に対する有意な利点を有する。例えば、ヒト由来hCGはヒト由来または組換えFSHほど高価ではない。したがって、コストの観点からは、該刺激法において使用するFSHの量を最小にすることが好ましい。さらに、本発明の医薬組成物におけるhCGの使用は、より生理的に及び有効に、COS中の大きな成熟卵胞の成熟の最終段階を補助し、卵巣中および血中エストロゲンレベルを上昇させ、卵母細胞および胚の質を改善し、FSH投与の量および期間を減少させ、多重受胎およびOHSSのようなFSH関連合併症のリスクを減少させる。
【0028】
要約すると、本発明の組成物および方法は、より高い成功率を達成し合併症のリスクを減少させ実施が容易であり通常の実施より低コストである治療計画を可能にする。
【0029】
特に示さない限り、すべての科学技術用語は、一般的な専門的用法に従って用いられる。一般に、この説明および記載されている実験方法の用語法はよく知られており、当技術分野で一般に用いられている。組換え核酸法、微生物培養、細胞培養、組織培養、形質転換、分析化学、有機合成化学、化学合成、化学分析ならびに医薬の製剤化および運搬には、標準的な技術を用いる。一般に、酵素反応ならびに精製および/または単離工程は製造業者の説明に従って行う。例外であることが示されていない限り、問題となっている技術および方法は、例えばSambrookら,MOLECULAR CLONING A LABORATORY MANUAL,2d ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)およびCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,1989に開示されている通常の方法により行う。
【0030】
FSHおよびhCGの一体的組合せ
本発明は、哺乳動物において卵巣刺激を誘発するのに有用な新規医薬組成物を提供する。「哺乳動物」は、ヒト、非ヒト霊長類、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコまたは捕獲野生動物を意味する。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0031】
該医薬組成物は、1〜400 IUのヒト由来hCGと共に50〜200 IUのFSHを含有する(図1Aを参照されたい)。好ましくは、該組成物はFSHおよびhCGを以下の比で含有する。
【0032】
【化18】

より好ましくは、該組成物は、FSHおよびhCGを以下の比で含有する。
【0033】
【化19】

より好ましい実施形態においては、該組成物は、
【0034】
【化20】

を含有する。これらの比は、複数回投与を要する治療方法において有用である。なぜなら、1より多いアンプルが容易に投与されうるからである。
【0035】
もう1つの、より好ましい実施形態においては、該組成物は、
【0036】
【化21】

を含有する。これらの比は、より高い用量のFSHを含有する組成物を医師が選択するのを可能にする。これらの組成物は、より高い用量のFSHが望まれうる治療開始時に特に有用でありうる。
【0037】
もう1つの、より好ましい実施形態においては、該組成物は、
【0038】
【化22】

を含有する。そのような組成物は、治療開始時に有利でありうる、より低い用量のhCGを提供する。
【0039】
精製FSHは、当技術分野で公知の任意の方法により得ることが可能である。本明細書中で用いるFSHは、ヒト由来および組換えFSH、FSH類似体ならびに脱グリコシル化、非グリコシル化および修飾グリコシル化形態を含む。
【0040】
ヒト由来FSHは、尿、下垂体および胎盤のような天然源から、当技術分野で公知の任意の手段により精製することが可能である。ヒト由来FSHを単離するための方法は、例えば、Fevoldら,Endocrinology 26:999(1940),Fraenkel−Conratら,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.45:627(1940),McShanおよびMeyer,J.Biol.Chem.135:473(1940),Greepら,同誌 133:289(1940),Liら,Science 109:445(1949)ならびにRoosおよびGemzell,CIBRA FOUNDATION STUDY GROUP,No.22(Little,Brown and Co.,Boston,MA,1965)に記載されている。
【0041】
精製ヒト由来FSHは商業的に入手可能であり、商品名Fostimon(登録商標)(AMSA/IBSA)、Metrodin HP(登録商標)(Serono)およびBravelle(Ferring)で販売されている。組換えFSHは、いくつかの公知手段のいずれかにより得ることが可能である。例えば、Keeneら,J.Biol.Chem.26:4769(1989)およびWO 86/04589は、げっ歯類細胞における生物学的に活性なヒトFSHの発現および精製を記載している。
【0042】
組換えFSHは商品名Follistim(登録商標)(Organon)、Puregon(登録商標)(Organon)およびGonal−F(登録商標)(Serono.)としても商業的に入手可能である。
【0043】
翻訳後修飾の度合において異なるFSHアイソフォームを使用することが有利でありうる。異なる修飾により、該アイソフォームは、全体的な荷電、シアル酸(末端糖)またはスルファート取り込みの度合、受容体結合アフィニティーおよび血漿中半減期における相違を示す(Chappelら,Endocrine Reviews 4:179(1983);Snyderら.Mol.Cell.Endocrin.54:115(1987))。これらの形態は、それらの全体的な荷電に基づいてお互いから分離可能であり、すべてのアイソフォームが生物活性を示す。より大きな実効負電荷を示すアイソフォームは、より顕著にシアル酸化されており、より長い代謝クリアランス速度を示し、それらの延長された血漿中生存時間により、より大きな生物活性を示す。
【0044】
hCGは、当技術分野で公知の任意の手段により得ることが可能である。本明細書中で用いるhCGはヒト由来および組換えhCGを含む。ヒト由来hCGは、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、ZondekおよびAschheim,Klin.Wochenschr.7:931(1928)、Katzmanら,同誌 148:501(1943)ならびにClaessonら,Acta Endocrinol.1:1(1948)に開示されている方法により、任意の適当な起源(例えば、尿および胎盤)から単離することが可能である。精製ヒトhCGは商業的に入手可能であり、Profasi HP(登録商標)(Serono)、Gonasi(登録商標)(AMSA/IBSA)およびChoragon,Novarelin(Ferring)なる名称で販売されている。組換えhCGを発現および精製するための方法は当技術分野で公知であり、例えばGuptaおよびDighe,J.Mol.Endocrinology 22:273(1999)に開示されている。
【0045】
組換えhCGは、ヒト由来hCGと比べて重量比で約25倍大きな活性を有する。例えば、Changら,Fertil.Steril.76:67(2001);The European Recombinant Human Chorionic Gonadotrophin Study Group,Fertil.Steril.75:1111(2001)を参照されたい。したがって、該組成物中で組換えhCGを使用する場合には、それに応じて、所望の国際単位のhCG活性を得るためにhCGの量を調節することが可能である。図1Aの値に基づく、この線に沿った調節を図1Bに示す。
【0046】
FSHおよびhCG活性の量は、当技術分野で公知のアッセイ方法を用いて測定することが可能である。薬局方Van Hellバイオアッセイ(Van Hellら,Acta Endocrin.47:409(1964))においては、1 IUのhCGは5〜7 IUのLHと同等である。組成物中のhCG活性は、Van Hellバイオアッセイ、ラジオレセプターアッセイ(例えば、Dighe & Moudgal.Arch.Biochem.Biophys.225:490(1983)に記載されているもの)、全動物バイオアッセイ、卵巣アスコルビン酸枯渇アッセイおよびMA10 Leydig細胞バイオアッセイ(Ascoli,Endocrinology 108:88(1981)に開示されているもの)を含む任意のアッセイ方法を用いて測定することが可能である。同様に、FSH活性は、受容体結合アッセイおよび全動物バイオアッセイを用いて測定することが可能である。
【0047】
与えられた組成物中のFSHおよびhCGタンパク質の量は、固体化合物の重量、タンパク質アッセイ、例えばBradfordおよびLowryアッセイ、ならびにイムノアッセイ技術、例えばELISAおよびウエスタンブロット法により測定することが可能である。
【0048】
FSH:hCG組成物は、水溶液中、精製FSHおよびhCG産物を、所望のFSH:hCG比が得られるようバッチ法調節を行いながら混合し、ついで滅菌濾過、滅菌充填および所望により、凍結乾燥することにより製剤化することが可能である。また、FSH:hCG組成物は、まず第1に所望のFSH:hCG比を与える精製条件が確立されている方法を用いて(すなわち、それら自体を混合することなく)製剤化することも可能である。
【0049】
本発明の医薬組成物は、任意の薬物投与経路(例えば、経口、直腸、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)、槽内、膣内、腹腔内、局所(散剤、軟膏剤または滴剤))のためのよく知られた組成物に又はバッカル剤もしくは鼻噴霧剤として製剤化することが可能である。そのような目的のための典型的な組成物は、とりわけREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,15th Ed.(Mack Publishing Co.,1975),p.1405−12および1461−87ならびにTHE NATIONAL FORMULARY XIV,14th Ed.(American Pharmaceutical Association,1975)に記載されているとおりの医薬上許容される担体、例えば水溶液、無毒性賦形剤(塩、保存剤、緩衝剤などを含む)を含む。
【0050】
適当な水性および非水性の担体、希釈剤、溶剤またはビヒクルの具体例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、ポロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの適当な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)および注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルが含まれる。
【0051】
本発明の組成物は、限定的なものではないが保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような添加剤をも含有しうる。微生物の増殖を防ぐために抗細菌および抗真菌剤を加えることが可能であり、それらには、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などが含まれる。さらに、糖、塩化ナトリウムなどのような等張化剤を加えることが望ましいかもしれない。
【0052】
場合によっては、持続的作用を得るために、皮下または筋肉内注射からのFSHおよびhCGの吸収を遅延させるのが望ましい。これは、低い水溶性を有する結晶性または非晶性物質の液体懸濁液を使用することにより達成することが可能である。その場合、FSHおよびhCGの吸収速度はその解離速度に左右され、そしてこれは結晶サイズおよび結晶形態に左右されうる。あるいは、非経口投与されたFSHとhCGとの組合せ形態の遅延吸収は、FSHおよびhCG組合せ体を油ビヒクルに溶解または懸濁させることにより達成される。
【0053】
注射用デポ形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドのような生分解性高分子においてFSHおよびhCG組合せ体のマイクロカプセル化マトリックスを形成させることにより製造することが可能である。高分子に対するFSHおよびhCG組合せ体の比ならびに使用する個々の高分子の性質に応じて、FSHおよびhCG組合せ体の放出速度を制御することが可能である。他の生分解性高分子の具体例には、ポリ(オルソエステル)およびポリ(酸無水物)が含まれる。また、デポ注射剤は、FSHおよびhCG組合せ体を、身体組織に適合しうるリポソームまたはマイクロエマルション内に捕捉させることによっても製造される。
【0054】
注射剤は、例えば、細菌保持フィルターでの濾過により、または使用直前に無菌水または他の無菌注射用媒体に溶解もしくは分散されうる無菌固体組成物の形態の滅菌剤を加えることにより、滅菌することが可能である。注射剤は、任意の適当な容器(例えばバイアル、充填済みシリンジ、注射用カートリッジなど)中で供給されうる。
【0055】
注射剤は、別々の又は一緒の投与に適した、FSHまたはhCGのいずれかを含有する医薬組成物を有する製品として供給されうる。別々に投与する場合には、投与は連続的でありうる。該製品は任意の適当なパッケージ中で供給されうる。例えば、製品は、FSH、hCGまたはFSHとhCGとの両方の組合せを含有する幾つかの充填済みシリンジを含有することが可能であり、該シリンジは、ブリスタパックまたは無菌性を維持するための他の手段としてパッケージされうる。製品は、場合によっては、FHSおよびhCG製剤を使用するための説明書を含有しうる。
【0056】
該医薬組成物の種々の成分のpHおよび厳密な濃度は、当技術分野における通常のプラクティスに従い調節される。GOODMAN AND GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS FOR THERAPEUTICS,7th ed.を参照されたい。
【0057】
好ましい実施形態においては、本発明の組成物は非経口投与用の組成物として供給される。該非経口製剤の製造のための一般的な方法は当技術分野で公知であり、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY,前掲,p.780−820に記載されている。該非経口組成物は、液体製剤中で、または投与直前に無菌注射用媒体と混合される固体として供給されうる。特に好ましい実施形態においては、該非経口組成物は、投与の容易さ及び投与量の均一性のため、単位投与形として供給される。
【0058】
本明細書中の「単位投与形」は、治療すべき哺乳動物対象に対する一体的投与として適した物理的に分離した単位を意味し、各単位は、必要な医薬担体と共に所望の治療効果をもたらすよう計算された所定量の活性物質を含有する。本発明の新規単位投与形の仕様は、活性物質および達成すべき個々の治療効果の特有の特性、ならびに哺乳動物対象における使用のための活性物質の製剤化の当技術分野における固有の限界によって決定され直接的に左右される。
【0059】
単位投与形は、例えば、1、5、10、25、50、75、100、200、300および400 IUのhCGと組合された50、75、100、150および200 IUのFSHを含有しうる。割合で表した場合、FSHおよびhCGはそれぞれ、一般には、約0.1μg〜約200mg/mlで存在する。
【0060】
懸濁剤は、レオロジー修飾剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶質セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカントならびにそれらの混合物を含有しうる。
【0061】
FSHおよびhCGの有効量ならびにFSH:hCGの適切な比は実験的に決定されうると当業者は理解するであろう。該組成物は、1以上の医薬上許容される賦形剤と組合された医薬組成物として、卵巣刺激を要する対象に投与することが可能である。ヒトへの投与の場合には、本発明の物質または組成物の合計1日使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で担当医師により決定されると理解されるであろう。任意の個々の患者に対する具体的な治療的に有効な用量レベルは種々の要因、すなわち、達成すべき応答のタイプおよび度合;使用する具体的な物質または組成物の活性;使用する具体的な物質または組成物;患者の年齢、体重、全身健康状態、性別および食事;投与の時間、投与経路および該物質の排泄速度;治療期間;ならびに医学分野でよく知られた同様の要因に左右されるであろう。
【0062】
排卵刺激におけるFSHとhCGとの「単一バイアル」組合せ体の使用
治療目的に基づき、適切なFSH:hCG比を有する組成物を選択することが可能であり、該組成物または一連の組成物を卵巣刺激の期間の全体にわたって投与することが可能である。医師は、1つの比から刺激を開始し、ついで、該周期の全体にわたってFSH:hCGの比を調節することが可能である。治療中に行う調節は、該周期中の投与の時機に基づいたもの、あるいは卵胞形成またはステロイド産生(steroidogenetic)指標、例えば卵胞の数およびサイズならびに患者のホルモンレベルに応答したものでありうる。
【0063】
例えば、低性腺刺激ホルモン性無月経により特徴づけられる無排卵女性の治療においては、正常な月経周期中に生じるFSHおよびLH活性のレベルを模擬するよう本発明の組成物を選択し投与することが可能である。最初は、100:5のFSH:hCGの比を有する組成物を毎日投与することになるであろう。例えば第6日から、血清中エストラジオールのレベルならびに卵胞の数およびサイズをモニターすることになるであろう。12mmより大きな少なくとも2個の卵胞および200pg/mLより高いエストラジオールレベルが見出されたら、50:200のFSH:hCG比を有する組成物を使用して治療を継続し、17mmより大きな少なくとも1個の卵胞および400pg/mLより高いエストラジオールレベルの最終成熟パラメーターが得られるまで、それを投与する。該最終成熟パラメーターに達したら、10,000 IUのhCGで排卵を誘発する。
【0064】
COS中には、大きな成熟卵胞の数が最大となり小さな潜在的に有害な卵胞の数が最小となるよう組成物を選択する。最初は、250:10のFSH:hCG比を有する組成物を毎日投与することになるであろう。第6日から、血清中エストラジオールのレベルならびに卵胞の数およびサイズをモニターすることになるであろう。12mmより大きな少なくとも4個の卵胞および600pg/mLより高いエストラジオールレベルが見出されたら、50:200のFSH:hCG比を有する組成物を、17mmより大きな少なくとも5個の卵胞および1,500pg/mLより高いエストラジオールレベルの最終成熟パラメーターが得られるまで投与する。ついで、10,000 IUのhCGで排卵を誘発することになるであろう。
【0065】
予備臨床研究は排卵誘発前のhCG投与の正の効果を示している。1つの研究の結果を表1に示す。COS周期の最初の8日間にわたり、4群の女性に250 IU/日のFSHを投与した。およそ第9日から開始しおよそ第12日まで継続して、群Iには250 IU/日のFHSを投与し続け、群IIには50 IU/日のFSHおよび100 IU/日のhCGを投与し、群IIIには50 IU/日のFSHおよび200 IU/日のhCGを投与し、群IVには50 IU/日のFSHおよび400 IU/日のhCGを投与した。排卵前超音波検査は、hCG投与群において、大きな卵胞(>14mm)の数の増加を示した。さらに、それぞれ100 IU/日のhCGおよび200 IU/日のhCGを投与した群IIおよびIIIでは、排卵後に約2倍多くの卵母細胞が回収された。受精率および良質な胚の数は全群において同様であったが、妊娠数は、100 IU/日のhCGを投与した群では、FSHのみを投与した群より約3倍高かった。この研究は、排卵誘発の後期におけるFSHおよびhCGの併用が、発生中の大きな卵胞の数を増加させ、回収される卵母細胞の数を増加させ、妊娠率を改善しうることを示している。
【0066】
該医薬組成物は、1以上の他の化合物または分子と共に共投与することが可能である。「共投与」は、同一製剤中または2つの異なる製剤中での同時投与を意味する。
【0067】
本発明の組成物は、GnRHアゴニストおよびアンタゴニストと共に又はそれらの後で投与することが可能である。GnRHアゴニストおよびアンタゴニストは、性腺刺激ホルモン投与中の自然排卵を防ぐために排卵誘発法で使用される。GnRHアンタゴニストは内因性LH活性を損なって、生存可能な卵母細胞の数を減少させる。したがって、本発明の組成物は、治療の開始時に、卵胞発生および卵母細胞成熟を刺激するのに十分なLH活性レベルを得るためにGnRHアンタゴニストと共に投与することが可能である。
【0068】
更なる応用性を付与するために、本発明の組成物は、現在入手可能な性腺刺激ホルモン製剤、例えば純粋なFSH、純粋なhCG、純粋なLHおよびhMG製剤と共に共投与することが可能である。例えば、FSH 75 IUおよびhCG 200 IUを有するFSH:hCG組合せ組成物の1アンプルを、FSH 75 IUを含有する高精製FSHの1アンプルと共に共投与して、結果的に、150 IUのFSHおよび200 IUのhCGの投与とすることが可能である。
【0069】
FSH:hCG組成物は、卵巣刺激の全体にわたって連続的に投与する。「連続的」投与は、組成物の投与の間に数秒、数分、数時間または数日の時間的相違があることを意味する。それぞれの後続の連続的投与は、前投与と同じ又は異なるFSH:hCG比を有する組成物を含みうる。好ましい実施形態においては、連続的投与は、FSH:hCG比において異なるFSH:hCG組成物で行う。より好ましい実施形態においては、それぞれの後の組成物は、その一連の投与における前組成物より大量のhCGを含有する。特に好ましい実施形態においては、図2に示すとおり、FSH:hCG比を漸増的に変化させる。
【0070】
最も好ましい実施形態においては、卵胞形成およびステロイド産生マーカーにより示されるFSH:hCG組成物に対する患者の反応に応じて、一連の投与の全体にわたってFSH:hCG比を調節する。2〜4個の中間的な卵胞(12〜14mm)が形成され、200〜600pg/mLのエストラジオールレベルが得られたら、これは、FSHに富む製剤により適当な卵胞形成が達成されたことを示すものであり、hCGに富む製剤に変換するのが適当である。
【0071】
卵胞形成およびステロイド産生は、当技術分野で公知の任意の手段により卵巣刺激の全体にわたってモニターすべきである。ホルモンレベルおよび卵胞サイズのモニターは治療計画中の卵巣応答に関する情報を提供し、治療中にFSH:hCG比を医師が調節するのを可能にする。卵胞サイズは、例えば、経膣骨盤超音波検査を用いて測定することが可能である。卵胞は、大きい(>14mm)、中間的(10〜14mm)または小さい(<10mm)として分類される。経膣骨盤超音波検査は、排卵前hCG投与まで、頻繁に、例えば治療第0、6、8、10、12、14、16、18および20日に行うことが可能である。
【0072】
エストラジオールのレベルは、当技術分野で公知の任意の手段を用いて、イムノアッセイまたは化学発光アッセイにより、任意の適当な体液(例えば、血液、尿および唾液)から測定することが可能である。
【実施例】
【0073】
以下の実施例は本発明を例示するものである。しかし、本発明は、これらの実施例に記載されている特定の条件または詳細に限定されるものではないと理解されるべきである。
【0074】
体外受精のための調節性排卵刺激
GnRHアゴニストを投与する場合には、自然月経周期の中期黄体期に治療を開始する。自然月経の後、1〜2週間後に排卵誘発を開始する。あるいは、卵巣刺激の第6日から、GnRHアンタゴニストを投与する。第1日から200 IU FSH:10 IU hCGの注射を患者に毎日行い、>11mmの少なくとも4個の卵胞が出現し>600pg/mLの血清エストラジオールレベルが得られるまで継続する。この日から治療の終了まで、50 IU FSH:200 IU hCGの投与を患者に毎日行う。
【0075】
FSH:hCG投与の全体にわたって治療のモニターを行う。毎日、0800−0900の間に血液サンプルを採取し、血清サンプルを標準的な方法により調製する。エストラジオールレベルを測定する。FSH:hCG治療中、排卵前hCG投与の直前まで、経膣超音波検査を頻繁に行う。化学発光アッセイ(Chiron Corp.Diagnostics ACS 180,Milan,Italy)によりエストラジオールレベルをモニターする。
【0076】
最終成熟パラメーター(>14mmの4個の卵胞および800〜1500pg/mLの17β−エストラジオールレベル)が達成されたら、hCGのボーラス、例えば10,000 IUのhCGを投与して排卵を誘発し、卵母細胞を回収する。
【0077】
【表1】



【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、有用なFSH:hCG比の値を示し、ここで、FSH量は国際単位(IU)で表されており、hCG量はIU(図1A)およびマイクログラム(図1B)で表されている。
【図2】図2は、前記のFSH:hCG組成物を使用する、本発明の提示されている治療方法を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの医薬上許容される担体中、FSHおよびhCGを必須としてなる医薬組成物であって、FSH:hCGの比が、該組成物の投与により、卵巣過剰刺激を伴うことなく卵胞形成および卵胞成熟を促すものである医薬組成物。
【請求項2】
哺乳動物由来のいずれの他のタンパク質をも含有しない、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
FSH:hCGの比が、
【化1】

よりなる群から選ばれる、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
FSH:hCGの比が、
【化2】


よりなる群から選ばれる、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
FSH:hCGの比が、
【化3】

よりなる群から選ばれる、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項6】
FSH:hCGの比が、
【化4】


よりなる群から選ばれる、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項7】
FSH:hCGの比が、
【化5】

よりなる群から選ばれる、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項8】
FSH:hCGの比が、
【化6】

である、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
FSH:hCGの比が、
【化7】

よりなる群から選ばれる、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項10】
FSH:hCGの比が、
【化8】

よりなる群から選ばれる、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項11】
FSHがヒト由来FSHである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項12】
凍結乾燥形態である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項13】
単位投与形である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項14】
固体剤形である、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
固体剤形が、カプセル剤、錠剤、坐剤、丸剤、散剤および顆粒剤よりなる群から選ばれる、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
液体形態である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項17】
液体形態がバイアル中で供給される、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
液体形態が、充填済みシリンジまたはカートリッジ中で供給される、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項19】
第1バイアルと第2バイアルとを含んでなり、それらのバイアルのそれぞれが請求項1記載の医薬組成物を含有し、FSH:hCGの比が第1バイアルと第2バイアルとで異なる組合せ体。
【請求項20】
第1および第2バイアル中に含有される組成物を投与する時機に関する説明書を更に含む、請求項19記載の組合せ体。
【請求項21】
(A)
【化9】


よりなる群から選ばれるFSH:hCGの比により特徴づけられる少なくとも1つの医薬組成物を投与し、
(B)血清ホルモンレベル、卵胞サイズおよび卵胞数をモニターし、ついで
(C)hCGボーラスの投与により排卵を誘発することを含んでなる排卵誘発方法。
【請求項22】
FSH:hCGの比が、
【化10】

よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項23】
FSH:hCGの比が、
【化11】


よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項24】
FSH:hCGの比が、
【化12】

よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項25】
FSH:hCGの比が、
【化13】

よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項26】
FSH:hCGの比が、
【化14】

である、請求項21記載の方法。
【請求項27】
FSH:hCGの比が、
【化15】

よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項28】
FSH:hCGの比が、
【化16】

よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項29】
工程(A)が、前記群から選ばれるFSH:hCGの比により特徴づけられ、該比に関して同じ又は異なる少なくとも2つの医薬組成物を連続的に投与することを含む、請求項21記載の方法。
【請求項30】
連続投与におけるそれぞれの後続組成物が、該連続投与における前組成物に対して増加したhCGを含有する、請求項21記載の方法。
【請求項31】
連続投与の組成物の間の時間が、1時間、5時間、10時間、12時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日および15日よりなる群から選ばれる、請求項29記載の方法。
【請求項32】
組成物が、純粋なFSHを更に含む、請求項21記載の方法。
【請求項33】
組成物が、純粋なhCGを更に含む、請求項21記載の方法。
【請求項34】
調節性排卵刺激プロトコール中に第1医薬組成物と第2医薬組成物とが一緒に又は別々に投与される、FSHを含む第1医薬組成物と、hCGを含む第2医薬組成物とを含んでなる製品。
【請求項35】
別々の投与が連続的である、請求項34記載の製品。
【請求項36】
第1医薬組成物と第2医薬組成物とを使用するための説明書を更に含む、請求項34記載の製品。
【請求項37】
第1医薬組成物と第2医薬組成物とを投与するための手段を更に含む、請求項34記載の製品。
【請求項38】
不妊治療のためのFSHを含む医薬組成物と共に使用する医薬組成物を製造するための、hCGの使用。
【請求項39】
不妊治療のためのhCGを含む医薬組成物と共に使用する医薬組成物を製造するための、FSHの使用。
【請求項40】
卵胞形成または排卵を刺激するための、請求項38または39記載の使用。
【請求項41】
FSH:hCGの比が、卵巣過剰刺激を伴うことなく卵胞形成および卵胞成熟を促すものである、請求項38記載の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの医薬上許容される担体中、FSHおよびhCGを必須としてなる医薬組成物であって、FSH:hCGの比が、該組成物の投与により、卵巣過剰刺激を伴うことなく卵胞形成および卵胞成熟を促すものである医薬組成物。
【請求項2】
哺乳動物由来のいずれの他のタンパク質をも含有しない、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
FSH:hCGの比が、
【化1】

よりなる群から選ばれる、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
FSH:hCGの比が、
【化2】


よりなる群から選ばれる、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
FSH:hCGの比が、
【化3】

よりなる群から選ばれる、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項6】
FSH:hCGの比が、
【化4】


よりなる群から選ばれる、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項7】
FSH:hCGの比が、
【化5】

よりなる群から選ばれる、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項8】
FSH:hCGの比が、
【化6】

である、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
FSH:hCGの比が、
【化7】

よりなる群から選ばれる、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項10】
FSH:hCGの比が、
【化8】

よりなる群から選ばれる、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項11】
FSHがヒト由来FSHである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項12】
凍結乾燥形態である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項13】
単位投与形である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項14】
固体剤形である、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
固体剤形が、カプセル剤、錠剤、坐剤、丸剤、散剤および顆粒剤よりなる群から選ばれる、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
液体形態である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項17】
液体形態がバイアル中で供給される、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
液体形態が、充填済みシリンジまたはカートリッジ中で供給される、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項19】
第1バイアルと第2バイアルとを含んでなり、それらのバイアルのそれぞれが請求項1記載の医薬組成物を含有し、FSH:hCGの比が第1バイアルと第2バイアルとで異なる組合せ体。
【請求項20】
第1および第2バイアル中に含有される組成物を投与する時機に関する説明書を更に含む、請求項19記載の組合せ体。
【請求項21】
(A)
【化9】


よりなる群から選ばれるFSH:hCGの比により特徴づけられる少なくとも1つの医薬組成物を投与し、
(B)血清ホルモンレベル、卵胞サイズおよび卵胞数をモニターし、ついで
(C)hCGボーラスの投与により排卵を誘発することを含んでなる排卵誘発方法。
【請求項22】
FSH:hCGの比が、
【化10】

よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項23】
FSH:hCGの比が、
【化11】


よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項24】
FSH:hCGの比が、
【化12】

よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項25】
FSH:hCGの比が、
【化13】

よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項26】
FSH:hCGの比が、
【化14】

である、請求項21記載の方法。
【請求項27】
FSH:hCGの比が、
【化15】

よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項28】
FSH:hCGの比が、
【化16】

よりなる群から選ばれる、請求項21記載の方法。
【請求項29】
工程(A)が、前記群から選ばれるFSH:hCGの比により特徴づけられ、該比に関して同じ又は異なる少なくとも2つの医薬組成物を連続的に投与することを含む、請求項21記載の方法。
【請求項30】
連続投与におけるそれぞれの後続組成物が、該連続投与における前組成物に対して増加したhCGを含有する、請求項21記載の方法。
【請求項31】
連続投与の組成物の間の時間が、1時間、5時間、10時間、12時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日および15日よりなる群から選ばれる、請求項29記載の方法。
【請求項32】
組成物が、純粋なFSHを更に含む、請求項21記載の方法。
【請求項33】
組成物が、純粋なhCGを更に含む、請求項21記載の方法。
【請求項34】
調節性排卵刺激プロトコール中に第1医薬組成物と第2医薬組成物とが一緒に又は別々に投与される、FSHを含む第1医薬組成物と、hCGを含む第2医薬組成物とを含んでなる製品。
【請求項35】
別々の投与が連続的である、請求項34記載の製品。
【請求項36】
第1医薬組成物と第2医薬組成物とを使用するための説明書を更に含む、請求項34記載の製品。
【請求項37】
第1医薬組成物と第2医薬組成物とを投与するための手段を更に含む、請求項34記載の製品。
【請求項38】
不妊治療のためのFSHを含む医薬組成物と共に使用する医薬組成物を製造するための、hCGの使用。
【請求項39】
不妊治療のためのhCGを含む医薬組成物と共に使用する医薬組成物を製造するための、FSHの使用。
【請求項40】
卵胞形成または排卵を刺激するための、請求項38または39記載の使用。
【請求項41】
FSH:hCGの比が、卵巣過剰刺激を伴うことなく卵胞形成および卵胞成熟を促すものである、請求項40記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−526609(P2006−526609A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508427(P2006−508427)
【出願日】平成16年6月2日(2004.6.2)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001813
【国際公開番号】WO2004/105788
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(500297535)フェリング ベスローテン フェンノートシャップ (36)
【Fターム(参考)】