説明

FZD10に対するsiRNAを用いた滑膜肉腫の治療方法

FZD10遺伝子の発現を抑制又は低減する方法が提供される。また、被験体におけるFZD10関連疾患の予防及び/又は治療方法が提供される。さらにFZD10に対する二本鎖RNA分子又はFZD10に対する二本鎖RNA分子を発現可能な発現ベクターを含む医薬組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は、2004年8月5日出願の米国特許仮出願第60/598,834号の優先権を主張する。上記出願の全内容を参照により本明細書に組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、FZD10遺伝子の発現を抑制又は低減する方法に関する。また本発明は、被験体におけるFZD10関連疾患(特に滑膜肉腫、結腸直腸癌、胃癌、慢性骨髄性白血病、及び急性骨髄性白血病)の治療及び/又は予防方法に関する。さらに本発明は、FZD10に対する二本鎖RNA分子又はFZD10に対する二本鎖RNA分子を発現可能な発現ベクターを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
Frizzledホモログ10(FZD10)は、Wntシグナル伝達の受容体であるFrizzledファミリーのメンバーである。本発明者は以前にFZD10が滑膜肉腫(SS)において有意に過剰発現されることを報告した(Nagayama S, et al. (2002). Cancer Res, 62:5859-5866;WO2004/020668号)。
【0004】
FZD10の発現は、原発性結腸直腸癌(Terasaki, H. et al., Int J Mol Med. 9: 107-12., 2002)及び原発性胃癌(Kirikoshi, H. et al., Int J Oncol. 19: 767-71., 2001)並びにSSにおいてアップレギュレートされることが示されているが、SSの発癌におけるFZD10の細胞機能及び役割はまだ不明である。
【0005】
【特許文献1】WO2004/020668号
【非特許文献1】Nagayama S, et al. (2002). Cancer Res, 62:5859-5866
【非特許文献2】Terasaki, H. et al., Int J Mol Med. 9: 107-12., 2002
【非特許文献3】Kirikoshi, H. et al., Int J Oncol. 19: 767-71., 2001
【発明の開示】
【0006】
以下に記載するように、本発明者は、FZD10遺伝子の発現をRNAインターフェアランスによりノックダウンすることによりSS細胞の増殖抑制が生じることを証明したが、このことは、FZD10がSSの細胞増殖において重要な役割を果たしていることを示している。また本発明者は、FZD10結合タンパク質として核内移行タンパク質であるインポーチンβを同定した。
【0007】
従って、一態様において、本発明は、in vitro、in vivo又はex vivoにおいて細胞又は組織におけるFZD10遺伝子の発現を抑制又は低減する方法であって、該細胞又は組織に、FZD10に対する二本鎖RNA分子又はFZD10に対する二本鎖RNA分子を発現可能な発現ベクターを導入することを含み、該FZD10に対する二本鎖RNA分子が、配列番号1の10〜100個の連続する塩基、好ましくは10〜50個の連続する塩基、より好ましくは10〜30個の連続する塩基を標的とする塩基配列を含むものである、上記方法を提供する。好ましくは、FZD10に対する二本鎖RNA分子は、短鎖干渉RNA(siRNA)として短い塩基配列を含むものである。例えば、二本鎖RNA分子は、配列番号1の1481〜1499番の塩基(配列番号5)又は1595〜1613番の塩基(配列番号6)を標的とする塩基配列を含む。より具体的には、FZD10に対する二本鎖RNA分子は、配列番号7、8、9又は10の配列を有する発現ベクターにより発現されうる。
【0008】
他の態様において、本発明は、被験体において滑膜肉腫を予防又は治療する方法であって、該被験体に、治療上有効な量の、FZD10に対する二本鎖RNA又はFZD10に対する二本鎖RNAを発現可能な発現ベクターを投与することを含む方法を提供する。
【0009】
さらに、本発明者は、FZD10タンパク質がインポーチンβに結合可能であることを見出した。従って、FZD10タンパク質とインポーチンβとの相互作用又は結合を抑制する化合物は滑膜肉腫の発達に影響を及ぼす可能性がある。
【0010】
一態様において、本発明は、FZD10タンパク質とインポーチンβタンパク質との相互作用及び/又は結合を抑制する化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)FZD10タンパク質又はその部分ペプチドとインポーチンβタンパク質又はその部分ペプチドとを、被験サンプルの存在下で接触させるステップ、及び
(b)FZD10タンパク質とインポーチンβタンパク質との相互作用又は結合形成を検出するステップを含む方法を提供する。
【0011】
さらに一態様において、本発明は、滑膜肉腫の治療又は予防に用いることができる化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)FZD10タンパク質又はその部分ペプチドとインポーチンβタンパク質又はその部分ペプチドとを、被験サンプルの存在下で接触させるステップ、及び
(b)FZD10タンパク質とインポーチンβタンパク質との相互作用又は結合形成を検出するステップを含む方法を提供する。
【0012】
本明細書で用いる技術用語及び科学用語はすべて、他に定義しない限り、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験に用いることができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及する刊行物、特許出願、特許及び他の参照文献はすべてその全文を参照により本明細書に組み入れる。コンフリクトの場合には、定義を含む本明細書が統制する。さらに、材料、方法及び実施例は例示のみを目的とし、限定を意図するものではない。本発明の他の特徴及び利点は以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
Frizzledホモログ10(FZD10)は、Wntシグナル伝達の受容体であるFrizzledファミリーのメンバーである。本明細書で以下に記載するように、本発明者はFZD10遺伝子の発現をRNAインターフェアランスによりノックダウンすることによりSS細胞の増殖抑制が生じることを証明したが、このことは、FZD10がSSの細胞増殖において重要な役割を果たしていることを示している。
【0014】
RNAインターフェアランスは、内因性遺伝子からのmRNAが、該内因性遺伝子の配列に相補的な配列を有する二本鎖RNA(dsRNA)の導入によって分解されるという細胞事象として知られている。結果として、標的遺伝子の発現は抑制又は低減されうる。この事象は、例えば、Elbashir, SM. et al., Nature 411, 494-498, 2001;Hannon, GJ., Nature 418, 244-251, 2002 (review);Shinagawa, T. et al., Genes Dev. 17: 1340-1345 2003;国際特許出願公開WO99/32619号及びWO99/61613号に報告されている。
【0015】
本発明者は、RNAインターフェアランスによってFZD10遺伝子の発現を効率的に抑制又は低減するdsRNA分子の設計に成功した。従って、一実施形態において、本発明は、in vitro、in vivo又はex vivoにおいて細胞又は組織におけるFZD10遺伝子の発現を抑制又は低減する方法であって、該細胞又は組織に、FZD10に対する二本鎖RNA分子又はFZD10に対する二本鎖RNA分子を発現可能な発現ベクターを導入することを含み、該FZD10に対する二本鎖RNA分子が、配列番号1の10〜100個の連続する塩基、好ましくは10〜50個の連続する塩基、より好ましくは10〜30個の連続する塩基を標的とする塩基配列を含むものである、上記方法を提供する。好ましくは、FZD10に対する二本鎖RNA分子は、短鎖干渉RNA(siRNA)として短い塩基配列を含むものである。例えば、二本鎖RNA分子は、配列番号1の1481〜1499番の塩基(配列番号5)又は1595〜1613番の塩基(配列番号6)を標的とする塩基配列を含む。より具体的には、FZD10に対する二本鎖RNA分子は、以下に示す配列番号7、8、9又は10の配列を有する発現ベクターにより発現されうる。また、配列番号7、8、9又は10の配列を有する発現ベクターは本発明の方法において有用でありうる。
【0016】

【0017】
さらに、上述したように、FZD10は滑膜肉腫(SS)において有意に過剰発現され、SS細胞の増殖はFZD10の発現の抑制又は低減により抑制される。従って、別の実施形態において、本発明は、被験体において滑膜肉腫を予防又は治療する方法であって、該被験体に、治療上有効な量の、FZD10に対する二本鎖RNA又はFZD10に対する二本鎖RNAを発現可能な発現ベクターを投与することを含む方法を提供する。
【0018】
本発明の方法は、ex vivo(例えば、被験体に由来する細胞をdsRNA又は発現ベクターと共に培養することにより行う)、あるいは、in vivo(例えば、dsRNA又は発現ベクターを被験体に投与することにより行う)で実施することができる。
【0019】
dsRNAは、種々の公知の投与方法により標的部位(癌細胞など)に送達することができる。例えば、dsRNAは、dsRNAを発現可能な発現ベクターを用いて送達しうる。本発明において用いることができる発現ベクターの例としては、限定されるものではないが、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、及びレトロウイルスなどのRNAウイルスが挙げられる。
【0020】
dsRNAを標的組織又は細胞に投与するために用いることができる遺伝子送達系の他の例としては、コロイド分散系、リポソーム誘導系、及び人工ウイルスエンベロープが挙げられる。具体的には、例えば高分子量複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを、送達系として用いることができる。
【0021】
dsRNA又は発現ベクターは、静脈内注射(持続注入を含む)、筋肉内注射、腹腔内注射、及び皮下注射により、又は他の投与経路により直接投与することができる。
【0022】
あるいは、dsRNA又は発現ベクターは、被験体から採取した細胞又は組織に導入することができ、次にその細胞を被験体に投与しうる(ex vivo法)。dsRNA又は発現ベクターの細胞又は組織への導入は、慣用の遺伝子導入法、例えばリン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション又はリポフェクションなどにより実施しうる。dsRNAを発現する細胞又は組織の投与もまた、dsRNA又は発現ベクターの直接投与の場合と同様に行いうる。
【0023】
dsRNA又は発現ベクターの投与量は、年齢、性別、症候、投与経路、投与頻度、及び剤形に応じて異なりうる。しかしながら、関連分野における慣用の方法を適宜選択し用いることができる。
【0024】
他の実施形態において、本発明は、FZD10に対する二本鎖RNA分子又はFZD10に対する二本鎖RNA分子を発現可能な発現ベクター、及び薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0025】
種々のタイプの組成物を、調製物の製剤化に典型的に用いられる薬学的に許容される担体を適当に選択することによって慣用的に製剤化することができる。かかる担体は、例えば賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、分散剤、緩衝化剤、保存剤、可溶化剤、防腐剤、安定剤及び等張化剤である。
【0026】
さらに、FZD10の過剰発現によりSSの発癌機構を理解するため、本発明者はIP−MS法により新規なFZD10結合タンパク質を同定することを試みた。驚くべきことに、核内移行タンパク質であるインポーチンβをFZD10結合タンパク質として単離した。本発明者により、免疫組織化学を用いてFZD10タンパク質が核及び細胞質に局在することが証明された(未公表データ)。従って、FZD10タンパク質は膜タンパク質としての機能以外に核内で機能する可能性がある。
【0027】
従って、FZD10タンパク質とインポーチンβとの相互作用又は結合を抑制する化合物は滑膜肉腫の発達に影響を与える可能性がある。
【0028】
一実施形態において、本発明は、FZD10タンパク質とインポーチンβタンパク質との相互作用及び/又は結合を抑制する化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)FZD10タンパク質又はその部分ペプチドとインポーチンβタンパク質又はその部分ペプチドとを、被験サンプルの存在下で接触させるステップ、及び
(b)FZD10タンパク質とインポーチンβタンパク質との相互作用又は結合形成を検出するステップを含む方法を提供する。
【0029】
FZD10タンパク質のアミノ酸配列を配列番号2に示す(GenBankアクセッション番号BAA84093)。インポーチンβタンパク質のアミノ酸配列を配列番号4に示す(GenBankアクセッション番号NM_002265;PDB ID No.1QGK−A)。
【0030】
上記方法によりスクリーニングされた化合物は、滑膜肉腫の治療又は予防に用いることができる。
【0031】
他の実施形態において、本発明は、滑膜肉腫の治療又は予防に用いることができる化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)FZD10タンパク質又はその部分ペプチドとインポーチンβタンパク質又はその部分ペプチドとを、被験サンプルの存在下で接触させるステップ、及び
(b)FZD10タンパク質とインポーチンβタンパク質との相互作用又は結合形成を検出するステップを含む方法を提供する。
【0032】
被験サンプルとしては、限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、非ペプチド化合物、合成化合物、発酵産物、及び天然抽出物(例えば細胞抽出物)が挙げられる。また、被験サンプルは、化学ライブラリ又はペプチドライブラリであってもよい。
【0033】
FZD10とインポーチンβとの相互作用又は結合形成の検出は、当技術分野で公知の慣用の方法に従って実施することができる。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、滑膜肉腫を治療又は予防するための組成物であって、有効成分として、薬学的に有効な量の、上記スクリーニング方法のいずれかにより得られる化合物、及び薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0035】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の1以上の治療用化合物を含む医薬組成物又は治療用組成物を包含する。かかる治療用化合物としては、限定されるものではないが、本明細書に記載の二本鎖RNAが挙げられる。医薬製剤としては、経口投与、直腸投与、鼻内投与、局所投与(口腔内及び舌下など)、膣内投与又は非経口投与(筋肉内、皮下及び静脈内など)、あるいは吸入又は吹送による投与に適したものが挙げられる。製剤は、適当な場合には、別個の投与単位として提供することが簡便であり、薬学の分野で周知の任意の方法により調製することができる。そのような薬学方法はすべて、活性化合物を、液体担体若しくは微粉化固体担体又は必要に応じてその両方と会合させるステップ、続いて必要であれば生成物を所望の製剤に形成するステップを含む。
【0036】
経口投与に適した医薬製剤は、所定量の有効成分を、粉末若しくは顆粒として、又は溶剤、懸濁剤若しくは乳剤として含む別個の単位、例えばカプセル剤、カシェ剤又は錠剤として都合よく提供しうる。有効成分はまた、ボーラス舐剤又はペーストとして、純粋な形態(すなわち担体を含まない)で提供してもよい。経口投与用の錠剤及びカプセル剤は、慣用の賦形剤、例えば結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤又は湿潤剤を含みうる。錠剤は、場合により1以上の製剤用成分と共に、圧縮又は成型により製造しうる。圧縮錠は、流動形態の有効成分を、例えば粉末又は顆粒として、そして場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、潤滑剤、表面活性又は界面活性剤と混合して、好適な機械において圧縮することにより調製しうる。成型錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉状化合物の混合物を好適な機械において成型することにより製造しうる。錠剤は、当技術分野で周知の方法によりコーティングしてもよい。経口用液体調製物は、例えば水性若しくは油性懸濁剤、溶剤、乳剤、シロップ剤又はエリキシル剤の形態であってもよいし、あるいは使用前に水又は他の好適なビヒクルと構成するための乾燥生成物として提供してもよい。そのような液体調製物は、慣用の添加剤、例えば懸濁化剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含みうる)、又は保存剤などを含みうる。錠剤は、任意により、有効成分の遅延放出又は制御放出をもたらすように製剤化してもよい。
【0037】
非経口投与用の製剤としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、及び製剤を所定のレシピエントの血液と等張性にする溶質を含んでもよい、水性及び非水性滅菌注射溶液、並びに懸濁化剤及び増粘剤を含んでもよい、水性及び非水性滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は、単位用量又は複数用量容器、例えば密封アンプル及びバイアルで提供し、使用直前に滅菌液体担体(例えば注射用生理食塩水)の添加のみが必要なフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管しうる。あるいは、製剤は、持続注入のために提供されうる。即時調製用の注射溶液及び懸濁液を、上述した種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製することができる。
【0038】
直腸投与用の製剤は、通常の担体、例えばココアバター又はポリエチレングリコールと共に座剤として提供しうる。口腔(例えば口腔内又は舌下)への局所投与用の製剤としては、味付基剤(スクロース及びアカシア又はトラガカントなど)中に有効成分を含むロゼンジ剤、並びに基剤(ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなど)中に有効成分を含むトローチ剤が挙げられる。鼻内投与のためには、本発明の化合物を、液体スプレー若しくは分散可能な粉末として、又は液滴の形態で用いうる。液滴は、1以上の分散剤、可溶化剤又は懸濁化剤をも含む水性又は非水性基剤と共に製剤化しうる。液体スプレーは、加圧パックから送達されるのが都合がよい。
【0039】
吸入による投与の場合には、化合物は、吸入器、ネブライザー、加圧パック又はエアゾールスプレーを送達する他の好適な手段から送達するのが都合が良い。加圧パックは、好適な推進剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適な気体を含みうる。加圧エアゾールの場合には、投与単位は、所定量を送達するための弁を備えることによって決定しうる。
【0040】
あるいは、吸入又は吹送による投与の場合、化合物は、乾燥粉末組成物、例えば化合物と好適な粉末基剤(ラクトース又はスターチなど)の粉末混合物の形態でありうる。粉末組成物は、投与単位剤形、例えばカプセル、カートリッジ、ゼラチン又はブリスターパックで提供することができ、そこから粉末が吸入器又は吹送器の補助で投与されうる。
【0041】
所望であれば、上記の製剤は、有効成分の徐放が達成されるように適合させて用いてもよい。医薬組成物はまた、抗微生物薬、免疫抑制薬又は保存剤などの他の有効成分を含んでもよい。
【0042】
具体的に上述した成分に加えて、本発明の製剤は、対象の製剤の種類に関する当技術分野で慣用の物質を含みうること、例えば経口投与に適したものは着香料を含みうることを理解されたい。
【0043】
好ましい単位投与製剤は、以下に記載するように有効量の有効成分、又はその適当な画分を含むものである。
【0044】
上述した各症状のため、組成物は、1日当たり約0.1〜約250mg/kgの用量で経口投与又は注射により投与しうる。成人のための用量範囲は、一般的に約5mg〜約17.5g/日、好ましくは約5mg〜約10g/日、最も好ましくは約100mg〜約3g/日である。個別の単位に提供される調製物の錠剤又は他の単位投与剤形は、そのような用量で有効である量、又は同じものの複数として含む、例えば約5mg〜約500mg、通常は約100mg〜約500mgを含む単位を含むことが簡便である。
【0045】
医薬組成物は、好ましくは経口投与又は注射(静脈内若しくは皮下)により投与し、被験体に投与する正確な量は主治医の責任でありうる。しかしながら、使用する用量は、いくつかの要因、例えば被験体の年齢及び性別、治療対象の正確な疾患及びその重篤度などに応じて異なる。また、投与経路もまた症状及びその重篤度に応じて異なりうる。
【0046】
実施例:
以下の非限定的な実施例より本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0047】
siRNA発現ベクターの構築
FZD10の細胞機能を調べるため、U6プロモーターの制御下でFZD10に特異的なsiRNAを発現するプラスミドを構築した(psiU6BX−FZD10)。FZD10のORF配列に基づいて2つのsiRNA(psiU6BX−FZD10B及びC)を構築した。
【0048】
(1)siRNA発現ベクターpsiU6X3.0の構築
snRNA U6遺伝子は、3’末端にウリジンを有する短い転写産物を生成するRNAポリメラーゼIIIにより転写されることが報告されているため、プロモーター領域を含むsnRNA U6遺伝子のゲノム断片を、次のプライマーセット:5’-GGGGATCAGCGTTTGAGTAA-3’(配列番号11)及び5’-TAGGCCC CACCTCCTTCTAT-3’(配列番号12)と、ヒト胎盤DNAを鋳型として用いてPCRにより増幅した。その産物を精製し、TAクローニングキットを供給元のプロトコール(Invitrogen)に従って用いてpCRプラスミドベクターにクローニングした。snRNA U6遺伝子を含むBamHI及びXhoI消化断片を精製し、pcDNA3.1(+)プラスミドの1257〜56番の塩基の断片にクローニングした。なおこの断片は、プライマーセット:5’-TGCGGATCCAGAGCAGATTGTACTGAGAGT-3’(配列番号13)及び5’- CTCTATCTC GAGTGAGGCGGAAAGAACCA-3’(配列番号14)を用いたPCRにより増幅した。ライゲートしたDNAをプライマー:5’-TTTAAGCTTGAAGACTATTTTTACATCAGGTTGTTT TTCT-3’(配列番号15)及び5’-TTTAAGCTTGAAGACACGGTGTTTCGTCCTTTCCACA-3’(配列番号16)(下線はHindIII部位を示す)を用いるPCRのための鋳型として用いた。産物をHindIIIで消化し、これを続いてセルフライゲーションさせてpsiU6BX3.0ベクタープラスミドを作製した。
【0049】
(2)プラスミド構築
myc/Hisタグ付加全長FZD10発現ベクターを構築するため、最初に、鋳型としてヒト胎盤cDNAライブラリを用いて、以下のプライマーを用いてFZD10の全長コード配列(配列番号1)をPCR増幅した:
5’-CCGGAATTCCAGACCGTGCATCATGCAGCGCCCGGGCCCCCGCCT-3’(配列番号17)(下線はEcoRI部位を示す)及び
5’-AAAAAGCTTCACGCAGGTGGGCGACTG-3’(配列番号18)(下線はHindIII部位を示す)。
【0050】
EcoRI及びHindIII消化後、PCR産物をpcDNA3.1−myc/Hisベクター(Invitrogen)にクローニングし、続いてmyc/Hisタグを有する挿入FZD10 cDNAをさらにpCAGGS/neo発現ベクターにサブクローニングした。次に、内部タグ付加HA−FLAG−FZD10FL(残基1〜581;配列番号2)、発現プラスミド構築物を、以下のプライマーの組み合わせを用いるPCR増幅によって、全長FZD10 cDNAクローンから作製した:
FZD10のN末端部分(配列番号2の1〜217アミノ酸)については、
FZD10-ATG, 5’-AAGTCGACACCATGCAGCGCCCGGGCCCC-3’(配列番号19)(下線はSalI部位を示す)及び
FZD10-nt651, 5’-TCTCGAGGACATCCACGCCGGGCGTG-3’(配列番号20)(下線はXhoI部位を示す);
FZD10のC末端部分(配列番号2の218〜581アミノ酸)については、
FZD10-nt652, 5’-AAGTCGACTACTGGAGCCGCGAGGACAAG-3’(配列番号21)(下線はSalI部位を示す)及び
FZD10-TGA, 5’-AACTCGAGTCACACGCAGGTGGGCGACT-3’(配列番号22)(下線はXhoI部位を示す)。
【0051】
FZD10ΔC1(残基1〜578)及びFZD10ΔC2(残基1〜525)発現プラスミド構築物のN末端部分(残基1〜217)を作製し、各構築物のC末端部分(残基218〜各末端)を、フォワードプライマー(FZD10−nt652)及びそれぞれ以下のリバースプライマーにより作製した:
FZD10ΔC1(1-578):5’-AACTCGAGTCAGGGCGACTGGGCAGGGATCT-3’(配列番号23)(下線はXhoI部位を示す)及び
FZD10ΔC2(1-525):5’-AACTCGAGTCAGGAGGTCCAAATCCACATCCC-3’(配列番号24)(下線はXhoI部位を示す)。
【0052】
FZD10に特異的なsiRNAを発現するプラスミドを、二本鎖オリゴヌクレオチドをpsiU6BX3.0ベクターにクローニングすることにより調製した(表1)。各プラスミドにおけるsiRNAの標的配列を表2に示す。相補的なオリゴヌクレオチドをそれぞれ37℃で30分間にわたりT4−ポリヌクレオチドキナーゼと共にインキュベートすることによりリン酸化し、次に煮沸し、室温までゆっくりと冷却して、2つのオリゴヌクレオチドをアニーリングさせた。各産物をpsiU6BX3.0にライゲートしてFZD10−siRNA発現ベクターを構築した。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【実施例2】
【0055】
滑膜肉腫細胞系の増殖に対するFZD10−siRNAの影響
実施例1で調製したプラスミドを滑膜肉腫細胞系であるSYO−1にトランスフェクトし、FZD10の発現レベルを半定量RT−PCRで調べた。また、細胞増殖アッセイを実施して細胞増殖抑制を確認した。
【0056】
(1)半定量RT−PCR
SYO−1細胞は、10%ウシ胎仔血清及び抗生物質を添加したダルベッコ改変イーグル培地中で維持した。細胞系NucleofectorTMキットV(Amaxa Biosystems, Cologne, Germany)をSYO−1細胞のトランスフェクションに用いた。トランスフェクト細胞をトランスフェクションの48〜72時間後にアッセイした。
【0057】
TRIZOL試薬(Invitrogen)を製造業者のプロトコールに従って用いてトランスフェクト細胞から総RNAを抽出した。抽出したRNAをDNaseI(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)で処理し、Superscript II逆転写酵素(Invitrogen)と共にオリゴ(dT)12−18プライマーを用いて逆転写して一本鎖cDNAを得た。このcDNAを鋳型として、以下に示すプライマーを用いてPCR増幅を実施した:
FZD10については、
5’-TATCGGGCTCTTCTCTGTGC-3’(配列番号31)及び
5’-GACTGGGCAGGGATCTCATA-3’(配列番号32)
FZD9については、
5’-CTGCACGCTGGTCTTCCTCT-3’(配列番号33)及び
5’-CCGATCTTGACCATGAGCTTC-3’(配列番号34)
β2MGについては、
5’-TTAGCTGTGCTCGCGCTACT-3’(配列番号35)及び
5’-TCACATGGTTCACACGGCAG-3’(配列番号36)。
【0058】
結果として、2つのsiRNA構築物、すなわちFZD10(si−B及び−C)特異的siRNAが、コントロール(psiU6BX−LUC又は−EGFP)と比較して有意に発現を抑制したが、Frizzledファミリー遺伝子の中でFZD10と最も類似性の高いFZD9の発現はこれらのsiRNAにより影響を受けなかった(図1A)。
【0059】
(2)細胞増殖アッセイ
FZD10特異的siRNAによる細胞増殖抑制を確認するために、それぞれコロニー形成アッセイ及びMTTアッセイを実施した。SYO−1細胞を上記(1)に記載のようにトランスフェクトした。肺癌細胞系であるA549細胞は、10%ウシ胎仔血清及び抗生物質を添加したRPMI1640培地中で維持した。FuGENE6(Roche)をA549細胞のトランスフェクションに用いた。
【0060】
psiU6−FZD10、psiU6−luc又はpsiU6−EGFPプラスミドをトランスフェクトしたSYO−1細胞及びA549細胞は、適当な濃度のゲネチシンを含有する培地において13日間維持した。この細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、ギムザ溶液で染色した。さらに、記載されているようにCell−counting kit8(Dojindo)を用いてMTTアッセイにより細胞生存度を測定した(Shimokawa T et al. (2003). Cancer Res, 63, 6116-20)。
【0061】
その結果、FZD10 siRNA構築物の導入によりSYO−1の増殖が抑制され、これは上述のこの遺伝子の発現低減結果と一致した(図1B及び1C)。さらに、FZD10の発現が検出されなかったA549細胞の増殖は影響を受けず、このことはこれらのsiRNAにより「オフターゲット(off-target)」効果が生じなかったことを示している。各結果は、3回の独立した実験により確認した。従って、上記知見は、FZD10が滑膜肉腫の細胞増殖において有意な作用を有することを示唆している。
【実施例3】
【0062】
FZD10ホモダイマーの形成
FZD1は、frizzledファミリーのメンバーであり、オリゴマーを形成することが報告されている(Kaykas A, et al. (2004). Nat. Cell Biol. 6:52-8)ため、FZD10が免疫沈降によりオリゴマー化することができるか否か調べた。2つのFZD10構築物、すなわちHA−FLAG−FZD10(以下に記載)及びFZD10−myc−His(実施例1にて調製、図2A)をCOS−7細胞に共トランスフェクトし、α−HA抗体を用いて共免疫沈降を実施した。
【0063】
HA−FLAG−FZD10の構築のため、以下のオリゴヌクレオチドセット:5’-ACGTGTCGACTACCCATACGACGTCCCAGACTACGCTATGGACTACAAGGACGACGATGACAAGCTCGAGATGC-3’(配列番号37)(下線はSalI部位を示す)及び5’-GCATCTCGAGCTTGTCATCGTCGTCCTTGTAGTCCATAGCGTAGTCTGGGACGTCGTATGGGTAGTCGACACGT-3’(配列番号38)(下線はXhoI部位を示す)をアニーリングし、SalI及びXhoIで消化して、HA−FLAGタグを作製した。最初に、残基1〜217の断片及び残基218〜停止コドン(又はC末端欠失)の断片を個々にPCRで増幅した。PCR産物をSalI及びXhoIで消化し、順次pCAGGS/neo発現ベクターにライゲートした。SalI及びXhoIで消化したHA−FLAGタグ断片をフレーム内の651番塩基と652番塩基の間にライゲートした。
【0064】
COS−7細胞は10%ウシ胎仔血清及び抗生物質を添加したダルベッコ改変イーグル培地中で維持した。FuGENE6(Roche)をCOS−7細胞のトランスフェクションに用いた。トランスフェクト細胞をトランスフェクションの48〜72時間後に使用した。
【0065】
トランスフェクトCOS−7細胞を冷PBS(−)で2回洗浄し、IPPバッファー中で溶解した。細胞溶解物を抗HA F7抗体(Santa Cruz)及びプロテインG−セファロース(Sigma)と共にインキュベートした。結合したタンパク質をIPバッファーで5回洗浄し、SDS−サンプルバッファーで溶出した。溶出したタンパク質を10%SDS−PAGEで分析した。タンパク質を電気泳動によりニトロセルロース膜(Amersham Biosciences)に移した。膜を、抗myc 9E10モノクローナル抗体、抗FLAG M2抗体又は抗HA F7抗体と共に、次に西洋ワサビペルオキシダーゼ結合二次抗体(Amersham Biosciences)と共にインキュベートした。結合した二次抗体をECLTMウエスタンブロッティング検出試薬(Amersham Biosciences)により可視化した。
【0066】
図2Bの上部パネルに示すように、免疫沈降したHA−FLAG−FZD10は、1〜2の予想分子量である複数のバンドと、SDS−PAGEの泳動ゲルの上部に積層した最大のバンドとして現れたようであった。このことは、FZD10がオリゴマーを形成可能であることを示唆している。さらに、HA−FLAG−FZD10を沈降(pull down)させるためにα−HA抗体を用いることにより、FZD10−myc−Hisが共免疫沈降し(図2B、下部パネル)、このことは、FZD10がホモオリゴマーを形成可能であることを示している。HA−FLAG−FZD10又はFZD10−mycをトランスフェクトした細胞からの溶解物を免疫沈降の前に混合した場合には共免疫沈降せず、このことは、オリゴマー化が生存細胞において生じることを示している(データは示さない)。FZD10は2つのモチーフを含む。すなわち、7回膜貫通ドメインの後の2つのアミノ酸に位置するKTxxxW(Umbhauer M, et al. (2000). EMBO J. 19:4944-4954)と、タンパク質間相互作用に重要と考えられる推定C末端におけるTCVモチーフである。オリゴマー化におけるこれらのモチーフの関与を調べるために、オリゴマーを形成可能か否かの2つのC末端欠失構築物(図2A)を設計した。図2Cに示すように、α−HA抗体による沈降によって、FZD10−myc−Hisが共免疫沈降し、このことは、FZD10のC末端モチーフがオリゴマー化に関与していない可能性があることを示唆している。
【実施例4】
【0067】
インポーチンβとの相互作用
相互作用タンパク質によるFZD10タンパク質の機能をさらに調べるため、TAPシステム精製法を行った。
TAP(タンデムアフィニティ精製)システム精製を既報に従って実施した(Rigaut G, et al. (1999). Nat Biotechnol, 17:1030-1032)。簡単に説明すると、pCAGGS/neo−FZD10−TAP又はpCAGGS/neo−TAPをコントロールとしてSNU−C5細胞にトランスフェクトした。
【0068】
TAP発現ベクターの構築のため、3’末端にSalIを有するタバコエッチウイルスプロテアーゼ(TEV)の切断部位で分断された免疫グロブリンG結合ドメイン及びカルモジュリン結合ペプチドからなるTAPタグ配列のcDNAを標準的なプロトコールに従ってPCR増幅した(図3A)。最初に、上述のTAPタグ配列をpcDNA−3.1(+)−myc−His発現ベクターにクローニングした。次に、pcDNA−3.1(+)−myc−His−TAPをXhoI及びSalIで消化し、得られたmyc−His−TAP断片をpCAGGS/neoベクターに挿入した。FZD10 ORF cDNAをpCAGGS−myc−His−TAP/neo発現ベクターにサブクローニングした。
【0069】
結腸癌細胞系であるSNU−C5は10%ウシ胎仔血清及び抗生物質を添加したRPMI1640培地中で維持した。FuGENE6(Roche)をSNU−C5細胞のトランスフェクションに用いた。
【0070】
トランスフェクションの72時間後、細胞をIPPバッファー(プロテアーゼインヒビターカクテルセットIII(Calbiochem)を含む10mM Tris−HCl[pH8.0]、0.1%NP−40、150mM NaCl、1mM NaF)で溶解した。不溶性画分を除去し、上清をIgG−セファロース(Amersham Biosciences)と共にインキュベートした。結合したタンパク質をTEVプロテアーゼ(Invitrogen)と共に4℃で一晩インキュベートし、溶出したタンパク質をさらに1mM CaClを有するカルモジュリンアフィニティ樹脂(Stratagene)と共にインキュベートした。最後に、結合したタンパク質を1mM EGTAで溶出し、12%SDS−PAGEに供した。タンパク質を銀色素「Daiichi」(Daiichi Pure Chemicals)を用いて銀染色により可視化した。コントロールTAPと区別されるタンパク質バンドをゲルから切り出し、MALDI−TOF MS分析をAproscience Co.(Tokushima, Japan)により特別実施した。
【0071】
FZD10−TAPをトランスフェクトした場合、コントロールとしてTAPベクターがSNU−C5細胞において過剰発現された(図3B)ため、インポーチンβをFZD10に対する候補相互作用タンパク質として同定した。さらに、COS−7細胞においてFZD10がインポーチンβと共免疫沈降したことを確認した(図3C)。
【0072】
特定の好ましい実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲内で、当業者によって多数の変形及び改変をなしうることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1A】図1A〜Cは、SS細胞系であるSYO−1におけるFZD10の発現を低減させるように設計した短鎖干渉RNA(siRNA)の増殖抑制効果を示す。(A)SYO−1細胞における内因性FZD10発現の抑制を示す半定量RT−PCRである。β2MGを内部コントロールとして用いた。FZD9の発現はこれらのsiRNAにより影響を受けなかった。
【図1B】(B)psiU6BX3.0ベクターをトランスフェクトしたSYO−1細胞のMTTアッセイである。検出可能なFZD10発現が観察されないA549細胞は、これらのsiRNAによる増殖に対する影響を全く示さない「オフターゲット」コントロールである。
【図1C】(C)SYO−1細胞におけるFZD10発現のノックダウンによるコロニー数の低下を示すコロニー形成アッセイである。A549細胞系は「オフターゲット」コントロールである。
【図2A】図2A〜Cは、FZD10がホモオリゴマーを形成可能であることを示す。(A)FZD10構築物の概略図である。7TM;7回膜貫通ドメイン。
【図2B】(B)FZD10自体の共免疫沈降である。非トランスフェクトCOS−7細胞又はHA−FLAG−FZD10及びFZD10−myc/Hisを発現する細胞からの溶解物をα−HA抗体を用いて免疫沈降した。免疫沈降物をα−HA抗体及びα−myc抗体を用いるウエスタンブロッティングにより分析した。
【図2C】(C)FZD10の細胞質領域はオリゴマー化に関与しない。非トランスフェクトCOS−7細胞又はHA−FLAG−FZD10、HA−FLAG−FZD10ΔC(1−578)、HA−FLAG−FZD10ΔC(1−525)及びFZD10−myc/Hisを発現する細胞からの溶解物をα−HA F−7抗体を用いて免疫沈降した。免疫沈降物をα−HA F−7抗体及びα−myc 9E10抗体を用いるウエスタンブロッティングにより分析した。
【図3A】図3A〜3Cは、FZD10及びFZD10結合タンパク質のTAPシステム精製を示す。(A)FZD10−TAP及びコントロールTAPの概略図である。
【図3B】(B)FZD10のTAP精製により新規な複合体を同定する。コントロールTAP又はFZD10−TAPを発現するSNU−C5細胞からの溶解物をTAPシステム精製に供した。銀染色ゲルは同定されたタンパク質を示す。
【図3C】(C)FZD10とインポーチンβとの相互作用が、共免疫沈降によっても示される。非トランスフェクトCOS−7細胞、あるいはimportinβ−3XFLAG若しくはFZD10−myc/Hisのいずれか又はその両方を発現する細胞からの溶解物をα−myc 9E10抗体で免疫沈降した。免疫沈降物をα−FLAG M2抗体及びα−myc 9E10抗体を用いるウエスタンブロッティングにより分析した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
in vitro、in vivo又はex vivoにおいて細胞又は組織におけるFZD10遺伝子の発現を抑制又は低減する方法であって、該細胞又は組織に、FZD10に対する二本鎖RNA分子又はFZD10に対する二本鎖RNA分子を発現可能な発現ベクターを導入することを含み、該FZD10に対する二本鎖RNA分子が配列番号1の少なくとも10個の連続する塩基を標的とする塩基配列を含むものである、上記方法。
【請求項2】
FZD10に対する二本鎖RNA分子が短鎖干渉RNA(siRNA)である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
二本鎖RNA分子が、配列番号1の1481〜1499番の塩基(配列番号5)又は1595〜1613番の塩基(配列番号6)を標的とする塩基配列を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
FZD10に対する二本鎖RNA分子が、配列番号7、8、9又は10の配列を有する発現ベクターにより発現される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
被験体においてFrizzledホモログ10(FZD10)に関連する疾患を予防又は治療する方法であって、該被験体に、治療上有効な量の、FZD10に対する二本鎖RNA又はFZD10に対する二本鎖RNAを発現可能な発現ベクターを投与することを含む方法。
【請求項6】
FZD10に対する二本鎖RNA分子が短鎖干渉RNA(siRNA)である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
二本鎖RNA分子が、配列番号1の1481〜1499番の塩基(配列番号5)又は1595〜1613番の塩基(配列番号6)を標的とする塩基配列を含む、請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
発現ベクターが、配列番号7、8、9又は10の配列を含む、請求項5又は6記載の方法。
【請求項9】
FZD10に関連する疾患が、滑膜肉腫、結腸直腸癌、胃癌、慢性骨髄性白血病、及び急性骨髄性白血病からなる群より選択される、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
FZD10に対する二本鎖RNA分子又はFZD10に対する二本鎖RNA分子を発現可能な発現ベクター、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2008−509076(P2008−509076A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507592(P2007−507592)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/JP2005/013444
【国際公開番号】WO2006/013733
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】