GPS測位装置、電子機器、制御方法、プログラム及び記憶媒体
【課題】擬似衛星から発信される擬似衛星信号を受信して現在位置を測位する際に、現在位置の測位に要する時間の短縮を図ること。
【解決手段】GPS機能を有する携帯電話機1では、GPS衛星3から発信されるGPS衛星信号、及び擬似衛星5から発信される擬似衛星信号を基に現在位置が測位される。擬似衛星信号に基づく現在位置の測位では、捕捉した擬似衛星信号のPRNコードに対応する配置位置情報が記憶されているならば、この配置位置情報を基に現在位置が決定される。記憶されていないならば、捕捉した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報が取得され、現在位置として決定されるとともに、この擬似衛星信号のPRNコードと対応付けて記憶される。
【解決手段】GPS機能を有する携帯電話機1では、GPS衛星3から発信されるGPS衛星信号、及び擬似衛星5から発信される擬似衛星信号を基に現在位置が測位される。擬似衛星信号に基づく現在位置の測位では、捕捉した擬似衛星信号のPRNコードに対応する配置位置情報が記憶されているならば、この配置位置情報を基に現在位置が決定される。記憶されていないならば、捕捉した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報が取得され、現在位置として決定されるとともに、この擬似衛星信号のPRNコードと対応付けて記憶される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS測位装置、電子機器、制御方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星を利用した測位システムとして、GPS(Global Positioning System)が広く知られており、カーナビゲーション装置等で利用されている。GPSでは、地球周回軌道を周回する複数のGPS衛星それぞれからGPS衛星信号が送出され、GPS受信機では、受信したGPS衛星信号を基に現在位置を算出(測位)する。
【0003】
近年では、携帯型電話機や腕時計等の携帯型の電子機器にもGPS機能が備えられるようになり、カーナビゲーション装置のように屋外で使用されるのみではなく、建物内や地下といった様々な場所でも使用されている。しかし、建物内や地下ではGPS衛星信号を受信し難く、現在位置の算出(測位)が困難であるという問題が新たに生じていた。
【0004】
そこで、建物内や地下等のGPS衛星信号が受信し難い場所においても現在位置を取得可能とするための技術として、擬似衛星を設置する技術が知られている。擬似衛星は、GPS衛星信号を模擬した擬似衛星信号を周期的に発信(送出)する。詳細には、この擬似衛星には、規定されているPRNコードのうち、GPS衛星に割り当てられているPRNコード(以下、「実運用PRNコード」という)以外のPRNコード(以下、「非実運用PRNコード」という)が割り当てられ、当該擬似衛星の配置位置の情報を、割り当てられたPRNコードで変調した擬似衛星信号を発信する。GPS受信機では、GPS衛星信号と同様に、擬似衛星信号を捕捉して該擬似衛星信号に重畳されている現在位置を取得することができる。またこの場合、擬似衛星の送信電力や配置を適当に定めることで、マルチパスの影響を排除したり、GPS受信機において同時に複数の擬似衛星信号が受信されることを回避するといった工夫もなされている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−180527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、擬似衛星を用いる場合、GPS受信機における現在位置の測位に時間を要するという問題があった。即ち、擬似衛星からは、擬似衛星信号として配置位置情報を含む所定長の信号が繰り返し発信されており、GPS受信機では、擬似衛星信号全体を受信した後、受信信号に含まれる現在位置情報を取得する。つまり、擬似衛星信号を用いた現在位置の測位には、少なくとも、擬似衛星信号の信号長に応じた時間を要する。このため、例えば1秒間隔といった所定時間間隔での測位が不可能となる場合がある。具体的には、例えば擬似衛星信号の送信ビットレートが50[bit/s]である場合、擬似衛星信号の信号長が50[bit]を超えると、GPS受信機における擬似衛星信号全体の受信に2秒以上を要し、1秒間隔での現在位置の測位が不可能となる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、擬似衛星から発信される擬似衛星信号を受信して現在位置を測位する際に、現在位置の測位に要する時間の短縮を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明は、GPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置であって、GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部と、前記捕捉部による擬似衛星信号の捕捉を検出する擬似衛星信号捕捉検出部と、前記検出に応じて、当該検出された擬似衛星信号と同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、前記検出がなされ、且つ前記判定部により記憶されていると判定された場合、同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報を前記記憶部から読み出し、該配置位置情報から現在位置を決定する再受信時現在位置決定部と、前記検出がなされ、且つ前記判定部により記憶されていないと判定された場合、当該検出された擬似衛星信号を追尾して該擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を取得し、該取得した配置位置情報を当該擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて前記記憶部に記憶させるとともに、該取得した配置位置情報から現在位置を決定する新規受信時現在位置決定部とを備えたGPS測位装置である。
【0008】
また、第6の発明は、GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部とを備えたGPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置の制御方法であって、前記捕捉部による擬似衛星信号の捕捉を検出する擬似衛星信号捕捉検出ステップと、前記検出に応じて、当該検出された擬似衛星信号と同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定ステップと、前記検出がなされ、且つ前記判定ステップにおいて記憶されていると判定された場合、同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報を前記記憶部から読み出し、該配置位置情報から現在位置を決定する再受信時現在位置決定ステップと、前記検出がなされ、且つ前記判定ステップにおいて記憶されていないと判定された場合、当該検出された擬似衛星信号を追尾して該擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を取得し、該取得した配置位置情報を当該擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて前記記憶部に記憶させるとともに、該取得した配置位置情報から現在位置を決定する新規受信時現在位置決定ステップとを含む制御方法である。
【0009】
この第1又は第6の発明によれば、GPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置では、擬似衛星信号が捕捉できた時点で、この擬似衛星信号と同じ非実運用RRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報が既に記憶されているならば、この記憶されている配置位置情報から現在位置が決定される。一方、記憶されていないならば、捕捉された擬似衛星信号に含まれている配置位置情報から現在位置が決定されるとともに、この配置位置情報が当該擬似衛星信号の非実運用PRNコードと対応付けて記憶される。
【0010】
つまり、例えばGPS測位装置が移動していない状態では、GPS測位装置においては同じ擬似衛星信号が継続して捕捉されているが、このような場合に、一度捕捉した擬似衛星信号を受信して配置位置情報を取得した後は、再度同じ擬似衛星信号全体を受信して配置位置情報を取得する必要が無く、記憶されている配置位置情報を用いて速やかに現在位置を決定することができる。これにより、擬似衛星を利用した現在位置の決定に要する時間の短縮が可能となる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明のGPS測位装置であって、前記記憶部に記憶されている配置位置情報のうち、前記捕捉部により捕捉されていない擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて記憶されている配置位置情報を消去する情報消去制御部を備えたGPS測位装置である。
【0012】
また、第7の発明は、第6の発明の制御方法であって、前記記憶部に記憶されている配置位置情報のうち、前記捕捉部により捕捉されていない擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて記憶されている配置位置情報を消去する情報消去制御ステップを含む制御方法である。
【0013】
この第2又は第7の発明によれば、非実運用PRNコード毎に記憶されている配置位置情報のうち、捕捉されていない非実運用PRNコードに対応付けられている配置位置情報が消去される。つまり、捕捉されている擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応する配置位置情報のみが記憶され、それ以外の非実運用PRNコードに対応する配置位置情報は消去されて記憶されていない。ところで、非実運用PRNコードには限りがあり、異なる場所に配置された異なる擬似衛星に同じPRNコードが割り当てられることが考えられる。捕捉されていない擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応する配置位置情報が消去されないままだと、以前に異なる場所で捕捉した擬似衛星信号と同じ非実運用PRNコードの異なる擬似衛星信号を捕捉したときに、この以前に捕捉した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報から現在位置が決定されるといった事態が生じ得る。しかし、本発明のように、捕捉されなくなった擬似衛星信号のPRNコードに対応する配置位置情報を消去することで、本来の現在位置と異なる位置が現在位置として決定されるといった事態を回避することができる。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明のGPS測位装置であって、前記擬似衛星信号発信装置は、前記配置位置情報を含む1つのメッセージデータを繰り返し前記擬似衛星信号で発信しており、前記捕捉部により捕捉された過去所定時間分の信号を随時更新記憶するリングバッファ部を更に備え、前記新規受信時現在位置決定部は、前記メッセージデータのうち、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータ以外の不足分のデータを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体を取得し、該取得したメッセージデータから配置位置情報を取得するGPS測位装置である。
【0015】
また、第8の発明は、第6又は第7の発明の制御方法であって、前記擬似衛星信号発信装置は、前記配置位置情報を含む1つのメッセージデータを繰り返し前記擬似衛星信号で発信しており、前記GPS測位装置は、前記捕捉部により捕捉された過去所定時間分の信号を随時更新記憶するリングバッファ部を更に備えており、前記新規受信時現在位置決定ステップは、前記メッセージデータのうち、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータ以外の不足分のデータを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体を取得し、該取得したメッセージデータから配置位置情報を取得するステップである制御方法である。
【0016】
この第3又は第8の発明によれば、擬似衛星信号発信装置からは、配置位置情報を含む1つのメッセージデータが繰り返し擬似衛星信号で発信されており、GPS測位装置では、メッセージデータのうち、リングバッファ部に既に記憶されているデータ以外の不足分のデータを、擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体が取得される。リングバッファ部には、捕捉された過去所定時間分の信号が随時更新記憶されている。つまり、1つのメッセージデータを取得する場合、捕捉された擬似衛星信号を追尾して当該擬似衛星信号のメッセージデータの全てを取得する必要は無く、リングバッファ部に記憶されているデータ以外の不足分のデータのみを、捕捉した擬似衛星信号を追尾して取得すれば良い。これにより、1つのメッセージデータの取得に要する時間を短縮し、擬似衛星を利用した現在位置の決定に要する時間の短縮が実現される。
【0017】
第4の発明は、第3の発明のGPS測位装置であって、前記メッセージデータは、所定数の単位データで構成されるデータであり、前記新規受信時現在位置決定部は、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータのうち最新の単位データから単位データ単位でデータを抽出し、不足分の単位データを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号で補填して1つのメッセージデータ全体を取得するGPS測位装置である。
【0018】
また、第9の発明は、第8の発明の制御方法であって、前記メッセージデータは、所定数の単位データで構成されるデータであり、前記新規受信時現在位置決定ステップは、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータのうち最新の単位データから単位データ単位でデータを抽出し、不足分の単位データを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号で補填して1つのメッセージデータ全体を取得するステップである制御方法である。
【0019】
この第4又は第9の発明によれば、メッセージデータは所定数の単位データから構成され、GPS測位装置では、リングバッファ部に既に記憶されているデータのうちの最新の単位データから単位データ単位でデータが抽出され、不足分の単位データを擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体が取得される。
【0020】
第5の発明は、第1〜第4の何れかの発明のGPS測位装置を備えた携帯型の電子機器である。
【0021】
この第5の発明によれば、第1〜第4の何れかの発明と同様の効果を奏する携帯型の電子機器が実現される。
【0022】
第10の発明は、GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部とを備えたGPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置に内蔵されたコンピュータに、第6〜第9の何れかの発明の制御方法を実行させるためのプログラムである。
【0023】
この第10の発明のプログラムをコンピュータに読み取らせて演算処理を実行させることで、第6〜第9の何れかの発明と同様の効果を奏することができる。
【0024】
第11の発明は、第10の発明のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体である。
【0025】
ここで、記憶媒体とは、記憶されている情報をコンピュータが読み取り可能な、例えばハードディスクやCD−ROM、DVD、メモリカード、ICメモリ等の記憶媒体である。従って、この第11の発明によれば、記憶媒体に記憶されている情報をコンピュータに読み取らせて演算処理を実行させることで、第10の発明と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。尚、以下では、本発明のGPS測位装置としてGPS機能を有する携帯電話機に適用した場合を説明するが、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
【0027】
[測位システム]
図1は、本実施形態の測位システムの概略構成を示す図である。測位システムは、利用者が携帯するGPS測位装置である携帯電話機1と、GPS衛星3と、擬似衛星信号発信装置である擬似衛星5とを備えて構成される。
【0028】
携帯電話機1は、現在運用(実運用)されているGPS衛星3から発信(送出)されるGPS衛星信号を受信し、受信したGPS衛星信号に重畳されているGPS衛星の軌道情報(エフェメリスデータやアルマナックデータ)等の航法データに基づいて、GPS衛星の位置、移動方向、速度等の衛星情報を算出する。GPS衛星3は、6つの地球周回軌道面それぞれに4機以上ずつ配置され、原則、地球上のどこからでも常時4機以上の衛星が幾何学的配置のもとで観測できるように運用されている。
【0029】
携帯電話機1は、内蔵している水晶時計により特定されるGPS衛星信号の受信時刻と、当該受信したGPS衛星信号のGPS衛星3の送信時刻との差に基づいて、捕捉したGPS衛星信号の発信元のGPS衛星(以下、「捕捉GPS衛星」という)から自機までの電波伝搬時間を計算する。次いで、計算した電波伝搬時間に光速度を乗算することで、捕捉GPS衛星から自機までの距離(擬似距離)を計算する。そして、携帯電話機1は、自機の位置を示す3次元の座標値と、時計誤差との4つのパラメータの値を、複数の捕捉GPS衛星の衛星情報や各捕捉GPS衛星から自機までの距離(擬似距離)等の情報に基づいて算出する測位計算を行うことで、自機の現在位置を測位する。
【0030】
また、携帯電話機1は、擬似衛星信号発信装置である擬似衛星5から発信(送出)される擬似衛星信号を受信可能に構成されている。擬似衛星5は、建物等の施設内の随所に設置されており、当該設置位置の情報(以下、「擬似衛星位置情報」という)を含む擬似衛星信号を常時発信している。ここで、擬似衛星5から発信される擬似衛星信号は微弱な信号であり、各擬似衛星5が携帯電話機1と通信可能な範囲は狭小(例えば、擬似衛星5を中心として半径10mの範囲)である。擬似衛星5は、この通信可能範囲に応じた間隔を設けて設置されており、携帯電話機1は、原則、複数の擬似衛星5と同時に通信を行うことはない。
【0031】
擬似衛星5は、当該擬似衛星5の配置位置情報を含むデータを記憶する記憶部(メモリ)を有し、記憶されているデータを、割り当てられたPRN(Pseudo Random Noise)コード(非実運用PRNコード)で変調した擬似衛星信号を発信する。即ち、GPS衛星信号と擬似衛星信号との変調方式は同じである。PRNコードは、「0」と「1」で構成される固有の系列(ゴールド符号)であり、本来は、各GPS衛星3を識別するために割り当てられたコードである。PRNコードには「1」〜「37」までの37種類が規定されており、現在運用されているGPS衛星3には「1」〜「32」までのPRNコードが割り当てられている。そして、これらのGPS衛星3に割り当てられたPRNコード以外の「33」〜「37」までのPRNコード(非実運用PRNコード)のうち、「33」〜「36」までの4種類のPRNコードが擬似衛星5に割り当てられている。尚、本実施形態では、擬似衛星5には、現在運用されているGPS衛星3に割り当てられたPRNコード以外の「33」から「36」までの4種類のPRNコードを割り当てることとしたが、運用されているGPS衛星3へのPRNコードの割り当てが変更された場合には、この変更に合わせて、擬似衛星5に割り当てるPRNコードを変更すれば良い。
【0032】
[擬似衛星信号]
擬似衛星5は、擬似衛星信号として当該擬似衛星5の配置位置情報を含むメッセージデータを繰り返し発信する。図2は、メッセージデータのフォーマットを示す図である。同図によれば、1つのメッセージデータは、単位データである連続する5つのワード(Word)から構成される。1ワードは30ビット(bit)である。即ち、メッセージデータは、データ長が150ビットの固定長のデータである。各ワードは、最後尾6ビットがパリティビットとなっており、これによりワードの区切りが判別されるようになっている。また、1番目のワード(「ワード1」)の先頭8ビットはプリアンブルとなっており、これによりメッセージデータの先頭が判別されるようになっている。そして、各ワードに、配置位置情報として緯度、経度及び高度の情報が設定されている。
【0033】
図3は、携帯電話機1におけるメッセージデータの取得を説明する図である。同図(a)は、従来の取得方法を示し、同図(b)は、本実施形態での取得方法を示している。但し、擬似衛星5からはビットレート50[bit/s]で擬似衛星信号が送出され、携帯電話機1では毎秒50ビットのデータを受信することとする。
【0034】
同図(a)によれば、従来では、受信データ中にプリアンブルが検知されると、受信データから、このプリアンブルを含む「ワード1」を先頭とした連続する各ワードの取得が開始される。そして、「ワード1」から「ワード5」までの全てが取得されると、1つのメッセージデータの受信が完了となる。この場合、1つのメッセージデータの取得に要する時間は、受信開始からプリアンブルの検知までの時間と、プリアンブルの検知から、「ワード1」から「ワード5」までの5つのワード全ての取得に要する時間との和となる。
【0035】
同図(a)では、受信開始から3秒後に受信データ中のプリアンブルが検知され、また、プリアンブルの検知から全てのワードの取得完了までに3秒を要していている。従って、受信開始からメッセージデータの取得完了までに要する時間は6秒である。但し、メッセージデータの取得完了に要する時間は、どの時点でプリアンブルが検知されたかに応じて異なる。
【0036】
これに対して、本実施形態では、同図(b)に示すように、受信データを一時的に記憶する受信バッファを携帯電話機1の内部に備え、この受信バッファに記憶されているデータと、プリアンブルの検知以降に受信データから取得されたデータとを合わせることで、1つのメッセージデータが取得される。受信バッファは、例えばリングバッファで実現され、常時最新の受信データに記憶更新されている。この受信バッファの容量は、ここでは「128bit」であるとする。即ち、受信データ中にプリアンブルが検知されると、受信バッファに記憶されているデータがワード単位で読み出される。また、受信データから、検知されたプリアンブルを含む「ワード1」を先頭とした連続する各ワードの取得が開始される。そして、メッセージデータ全体のうち、受信バッファから読み出されたワード以外の不足分のワードの全てが受信データから取得されると、1つのメッセージデータの取得が完了となる。
【0037】
同図(b)では、開始から3秒後に受信データ中のプリアンブルが検知されている。この時点において、受信バッファには、過去に受信された「ワード3」から「ワード5」を含むデータが記憶されている。つまり、メッセージデータとしては、「ワード1」及び「ワード2」が不足しており、プリアンブルの検知から、この不足分の「ワード1」及び「ワード2」の受信データからの取得完了までに2秒を要している。従って、受信開始からメッセージデータの取得完了までに要する時間は5秒であり、これは、同図(a)に示す従来と比較して1秒短縮されている。
【0038】
[携帯電話機]
図4は、携帯電話機1の機能構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、GPSアンテナ10と、TCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator)20と、GPS受信部30と、ホストCPU60と、操作部61と、表示部62と、ROM(Read Only Memory)63と、RAM(Random Access Memory)64と、携帯電話用アンテナ70と、携帯電話用無線通信回路部80とを備えて構成される。
【0039】
GPSアンテナ10は、GPS衛星3から発信されたGPS衛星信号及び擬似衛星5から発信された擬似衛星信号を含むRF信号を受信するアンテナであり、受信した信号をGPS受信部30に出力する。尚、GPS衛星信号及び擬似衛星信号は、PRNコードによってスペクトラム拡散変調されており、1.57542[GHz]を搬送波周波数とするL1帯の搬送波に重畳されている。
【0040】
TCXO20は、所定の発振周波数を有する発振信号を生成する温度補償型水晶発振器であり、生成した発振信号をRF受信回路部40及びベースバンド処理回路部50に出力する。
【0041】
GPS受信部30は、GPSアンテナ10から出力された信号に基づいて携帯電話機1の現在位置を測位する測位部であり、いわゆるGPS受信機に相当する。GPS受信部30は、RF(Radio Frequency)受信回路部40と、ベースバンド処理回路部50とを備えて構成される。尚、RF受信回路部40と、ベースバンド処理回路部50とは、それぞれ別のLSI(Large Scale Integration)として製造することも、1チップとして製造することも可能である。
【0042】
RF受信回路部40は、高周波信号(RF信号)の回路ブロックであり、TCXO20により生成された発振信号を分周或いは逓倍することで、RF信号乗算用の発振信号を生成する。そして、生成した発振信号を、GPSアンテナ10から出力されたRF信号に乗算することで、該RF信号を中間周波数の信号(以下、「IF(Intermediate Frequency)信号」という)にダウンコンバートし、IF信号を増幅等した後、A/D変換器でデジタル信号に変換して、ベースバンド処理回路部50に出力する。
【0043】
ベースバンド処理回路部50は、RF受信回路部40から入力されたIF信号に対して相関処理等を行ってGPS衛星信号及び擬似衛星信号を捕捉・抽出し、復調を行って航法メッセージや擬似衛星情報を取り出し、これらの情報に基づいて携帯電話機1の現在位置を測位する。
【0044】
図5は、ベースバンド処理回路部50の回路構成の一例を示す図である。ベースバンド処理回路部50は、第1〜第8受信チャンネル51−1〜51−8でなる受信チャンネル51と、CPU52と、ROM53と、RAM54とを備えて構成される。また、各受信チャンネル51は、GPS衛星信号及び擬似衛星信号の捕捉を行う信号捕捉部511と、信号捕捉部511により捕捉された信号の変化を追尾する信号追尾部514と、信号追尾部514により追尾された受信データを格納する受信バッファ515とを備えて構成される。
【0045】
信号捕捉部511は、RF受信回路部40から入力されたIF信号と、PRNコード発生部513により発生された擬似的なPRNコード(以下、「レプリカPRNコード」という)との相関演算を行って同調を試行する相関処理部512と、CPU52の制御に基づいてレプリカPRNコードを発生するPRNコード発生部513とを備えて構成される。
【0046】
信号追尾部514は、遅延ロックループ(DLL(Delay Locked Loop))として知られるコードループや、位相ロックループ(PLL(Phase Locked Loop))として知られるキャリアループ等の回路によって構成され、PRNコード及び搬送波の位相を追尾することで、信号捕捉部511により捕捉された信号の同期保持を並列的に行う。
【0047】
受信バッファ515は、所定サイズ(例えば、128ビット)のリングバッファで構成され、常時、信号追尾部514により追尾された受信データのうちの最新のデータが一時的に記憶される。
【0048】
CPU52は、ベースバンド処理回路部50及びRF受信回路部40の各部を統括的に制御するとともに、後述のベースバンド処理を含む各種演算処理を行う。具体的には、各受信チャンネル51にPRNコードを割り当てる。例えば、携帯電話機1が施設外に存在する場合には、GPS衛星信号を優先して受信するよう、7個の受信チャンネル51にGPS衛星3のPRNコードを割り当ててGPS衛星信号を受信させ、残りの1個の受信チャンネル51に擬似衛星5のPRNコードを割り当てて擬似衛星信号を受信させるようにする。また、携帯電話機1が施設内に存在する場合には、より多くの擬似衛星信号を受信するよう、4個の受信チャンネル51に擬似衛星5のPRNコードを割り当て、残りの4個の受信チャンネル51にGPS衛星3のPRNコードを割り当てる。
【0049】
そして、各受信チャンネル51について、当該受信チャンネル51に割り当てたPRNコードのレプリカPRNコードをPRNコード発生部513に発生させて、割り当てたPRNコードの衛星信号を信号捕捉部511に捕捉させ、捕捉された衛星信号を信号追尾部514に追尾させる。尚、この各受信チャンネル51へのPRNコードの割り当ての切り替えは、例えば所定時間間隔で切り替えても良いし、捕捉されている衛星信号の種類(GPS衛星信号であるか擬似衛星信号であるか)に応じて切り替えても良い。
【0050】
ここで、受信チャンネル51それぞれへのPRNコードの割り当ては、PRNコード割り当てデータ541に格納される。図6に、PRNコード割り当てデータ541のデータ構成の一例を示す。PRNコード割り当てデータ541には、8個の受信チャンネル541aそれぞれについて、割り当てたPRNコード541bと、このPRNコードに対応する衛星種別541cが対応付けて格納されている。
【0051】
また、CPU52は、GPS衛星信号を基に現在位置を算出するGPS衛星測位処理を行う。即ち、GPS衛星3のPRNコードを割り当てた受信チャンネル51それぞれにおいて、受信、捕捉・追尾されたGPS衛星信号を基に、測位演算を行って現在位置を算出する。そして、算出された現在位置を、後段のホストCPU60に出力する。
【0052】
また、CPU52は、擬似衛星信号を基に現在位置を決定する擬似衛星測位処理を行う。即ち、擬似衛星5のPRNコードが割り当てられた受信チャンネル51それぞれについて、擬似衛星信号が捕捉できたか否かを判断する。擬似衛星信号が捕捉されると、捕捉された擬似衛星信号のPRNコードに対応する配置位置情報が、擬似衛星配置位置データ543に格納されているかを判断する。そして、対応する配置位置情報が格納されているならば、この配置位置情報を現在位置として後段のホストCPU60に出力する。
【0053】
擬似衛星配置位置データ543は、捕捉された擬似衛星信号に含まれる配置位置情報のデータである。図7に、擬似衛星配置位置データ543のデータ構成の一例を示す。擬似衛星配置位置データ543には、擬似衛星5に割り当てられているPRNコード543aそれぞれについて、該当する擬似衛星信号から取得された配置位置情報543bが対応付けて格納されている。
【0054】
一方、対応する配置位置情報が擬似衛星配置位置データ543に格納されていないならば、CPU52は、捕捉された擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を取得し、取得した配置位置情報を、現在位置としてホストCPU60に出力するとともに、この配置位置情報を捕捉された擬似衛星信号のPRNコードに対応付けて擬似衛星配置位置データ543に格納する。
【0055】
ここで、捕捉された擬似衛星信号からの配置位置情報の取得は、図3(b)を参照して説明したように行う。即ち、受信データ中に含まれるプリアンブルの有無を監視し、プリアンブルを検知すると、受信バッファ515に格納されているデータをワード単位で抽出し、該当するワードのデータとして受信メッセージデータ542に格納する。また、受信データから、「ワード1」を先頭とする連続する各ワードのデータの取得を開始する。取得したデータは、該当するワードのデータとして受信メッセージデータ542に格納される。
【0056】
受信メッセージデータ542は、受信データから取得されたメッセージデータである。図8に、受信メッセージデータ542のデータ構成の一例を示す。同図によれば、受信メッセージデータ542には、メッセージデータを構成する「ワード1」から「ワード5」の5つのワードそれぞれのデータを格納するためのデータ領域が形成されている。
【0057】
CPU52は、全てのワードのデータを取得すると、1つのメッセージデータの取得を完了したと判断し、取得したメッセージデータから配置位置情報を取得する。そして、取得した配置位置情報を現在位置としてホストCPU60に出力するとともに、この配置位置情報を、捕捉された擬似衛星信号のPRNコードと対応付けて擬似衛星配置位置データ543に格納する。
【0058】
図5に戻り、ROM53は、CPU52がベースバンド処理回路部50及びRF受信回路部40の各部を制御するためのシステムプログラムや、ベースバンド処理を含む各種処理を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。図9に、ROM53の構成の一例を示す。同図によれば、ROM53には、ベースバンド処理プログラム531が記憶されている。
【0059】
RAM54は、CPU52の作業領域として用いられ、ROM53から読み出されたプログラムやデータ、CPU52が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。図10に、RAM54の構成の一例を示す。同図によれば、RAM54には、PRNコード割り当てデータ541と、受信メッセージデータ542と、擬似衛星配置位置データ543とが記憶される。
【0060】
図4に戻り、ホストCPU60は、ROM63に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って携帯電話機1の各部を統括的に制御する。具体的には、主に、電話機としての通話機能を実現するとともに、ベースバンド処理回路部50から入力された携帯電話機1の現在位置を地図上にプロットしたナビゲーション画面を表示部62に表示させるといったナビゲーション機能を含む各種機能を実現するための処理を行う。
【0061】
操作部61は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、利用者による操作に応じた操作信号をホストCPU60に出力する。この操作部61の操作により、測位の開始/終了指示等の各種指示が入力される。表示部62は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、ホストCPU60から入力される表示信号に基づく表示画面(例えば、ナビゲーション画面や時刻情報等)を表示する。
【0062】
ROM63は、ホストCPU60が携帯電話機1を制御するためのシステムプログラムや、ナビゲーション機能を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。RAM64は、ホストCPU60の作業領域として用いられ、ROM63から読み出されたプログラムやデータ、操作部61から入力されたデータ、ホストCPU60が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。
【0063】
携帯電話用アンテナ70は、携帯電話機1の通信サービス事業者が設置した無線基地局との間で携帯電話用無線信号の送受信を行うアンテナである。携帯電話用無線通信回路部80は、RF変換回路やベースバンド処理回路等によって構成される携帯電話用の通信回路部であり、ホストCPU60の制御に従って無線信号の送受信を行う。
【0064】
[処理の流れ]
図11は、ベースバンド処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、CPU52がROM53のベースバンド処理プログラム531を実行することで実現される。尚、ベースバンド処理に先立ち、GPSアンテナ10によるRF信号の受信やRF受信回路部40によるIF信号へのダウンコンバートを経てデジタル化されたIF信号が、ベースバンド処理回路部50に随時入力される状態にあるものとする。
【0065】
同図によれば、CPU52は、先ず、全ての受信チャンネル51それぞれを対象としたループAの処理を行う。ループAでは、対象の受信チャンネル51に割り当てるPRNコードを変更するか否かを判断する。割り当てるPRNコードを変更するならば(ステップA1:YES)、現在割り当てられているPRNコードが擬似衛星用のPRNコードであるか否かを判断し、擬似衛星用のPRNコードならば(ステップA3:YES)、擬似衛星配置位置データ543に格納されている該PRNコードに対応する配置情報を消去する(ステップA5)。その後、対象の受信チャンネル51に新たなPRNコードを割り当て(ステップA7)、また、対象の受信チャンネルの受信バッファ515をクリアする(ステップA9)。ループAは、このように行われる。
【0066】
そして、全ての受信チャンネル51を対象としたループAの処理が終了すると、CPU52は、続いてGPS衛星測位処理を行う。GPS衛星測位処理では、全ての受信チャンネル51のうち、GPS衛星信号用のPRNコードを割り当てた受信チャンネル51を対象として、捕捉されたGPS衛星信号を基に測位演算を行って現在位置を算出し、算出した現在位置を出力する(ステップA11)。
【0067】
次いで、GPS衛星測位処理による現在位置の測位が成功したか否かを判断し、測位が成功していないならば(ステップA13:NO)、続いて、CPU52は、全ての受信チャンネル51のうち、擬似衛星用のPRNコードを割り当てた受信チャンネル51それぞれを対象としたループBの処理を行う。ループBでは、先ず、対象の受信チャンネル51にて捕捉された擬似衛星信号を基に現在位置を決定する擬似衛星測位処理を行う(ステップA15)。
【0068】
図12は、擬似衛星測位処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図によれば、CPU52は、対象の受信チャンネル51にて擬似衛星信号が捕捉されたか否かを判定し、捕捉されていないならば(ステップB1:NO)、擬似衛星配置位置データ543において、対象の受信チャンネル51に割り当てられているPRNコードに対応付する配置位置情報を消去する(ステップB3)。
【0069】
一方、擬似衛星信号が捕捉されたならば(ステップB1:YES)、擬似衛星配置位置データ543において、捕捉した擬似衛星信号のPRNコード(即ち、当該受信チャンネル51に割り当てられているPRNコード)に対応する配置位置情報が記憶されているか否かを判断する。配置位置情報が記憶されているならば(ステップB5:YES)、この記憶されている配置位置情報を現在位置として決定し、ホストCPU60に出力する(ステップB7)。
【0070】
一方、配置位置情報が記憶されていないならば(ステップB5:NO)、CPU52は、受信メッセージデータ542をクリアする(ステップB9)。次いで、受信データに含まれるプリアンブルを監視し(ステップB11)、受信データに含まれるプリアンブルを検知したならば(ステップB13:YES)、対象の受信チャンネルの受信バッファ515に記憶されているデータをワード単位で抽出し、該当するワードのデータとして受信メッセージデータ542に格納する(ステップB15)。続いて、受信データからデータをワード単位で抽出し、該当するワードのデータとして受信メッセージデータ542に格納する(ステップB17)。
【0071】
その後、受信メッセージデータ542を参照して、メッセージデータ全体の取得を完了したか否か(即ち、全てのワードのデータを取得したか否か)を判断し、完了していないならば(ステップB19:NO)、ステップB17に戻る。一方、メッセージデータ全体の取得を完了したならば(ステップB19:YES)、この取得したメッセージデータに含まれる配置位置情報を取得し(ステップB21)、取得した配置位置情報を、捕捉した擬似衛星信号のPRNコード(即ち、対象の受信チャンネル51に割り当てられているPRNコード)に対応付けて、擬似衛星配置位置データ543に格納する(ステップB23)。また、取得した配置位置情報を現在位置として決定し、ホストCPU60に出力する(ステップB25)。以上の処理を行うと、CPU52は、擬似衛星測位処理を終了する。
【0072】
擬似衛星測位処理が終了すると、CPU52は、該処理の結果、現在位置が決定されたか否かを判断し、現在位置が決定されたならば(ステップA17:YES)、ループBを終了する。一方、現在位置が決定されていないならば(ステップA17:NO)、続いて、他の受信チャンネル51を対象としたループBの処理を行う。ループBは、このように行われる。
【0073】
ループBが終了すると、CPU52は、測位を終了するか否かを判断し、終了しないならば(ステップA19:NO)、ステップA1に戻り、測位を終了するならば(ステップA19:YES)、ベースバンド処理を終了する。
【0074】
[作用・効果]
このように、本実施形態によれば、GPS機能を有する携帯電話機1では、GPS衛星3から発信されるGPS衛星信号、及び擬似衛星5から発信される擬似衛星信号を基に現在位置が測位される。擬似衛星信号に基づく現在位置の測位では、捕捉した擬似衛星信号のPRNコードに対応付けられた配置位置情報が擬似衛星配置位置データ543に格納されているならば、この格納されている配置位置情報を基に現在位置が決定される。一方、対応する配置位置情報が格納されていないならば、捕捉した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報が取得され、現在位置として決定されるとともに、この擬似衛星信号のPRNコードと対応付けて擬似衛星配置位置データ543に格納される。但し、擬似衛星配置位置データ543に格納されている配置位置情報のうち、捕捉されていない擬似衛星信号のPRNに対応する配置位置情報は消去される。
【0075】
つまり、例えば施設内等で携帯電話機1が殆ど移動していない場合には、同じ擬似衛星信号の捕捉が継続されるが、このような場合に、一度捕捉された擬似衛星信号に含まれる配置位置情報が取得された後は、同じ擬似衛星信号の捕捉が継続されている間は記憶されている配置位置情報を用いることで、再度同じ擬似衛星信号を受信して配置位置情報を取得する必要が無い。これにより、擬似衛星信号に基づく現在位置の測位に要する時間の短縮が実現される。
【0076】
また、捕捉された擬似衛星信号から配置位置情報が取得される際には、受信バッファ515に記憶されているデータを利用して、配置位置情報の取得に要する時間の短縮が実現されている。即ち、受信データ中にメッセージデータの先頭を示すプリアンブルが検知されると、受信バッファ515に記憶されているデータがワード単位で抽出され、抽出されたワード以外の不足分のワードのデータが受信データから取得されると、1つのメッセージデータの受信が完了する。つまり、従来のように、プリアンブルが検知された後、受信データから全てのワードのデータを取得する必要が無く、これにより、擬似衛星信号に含まれる配置位置情報の取得に要する時間が短縮される。
【0077】
[変形例]
尚、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0078】
(A)ホストCPU
例えば、ベースバンド処理回路部50のCPU52が行う処理の一部又は全部を、ホストCPU60がソフトウェア的に行うことにしても良い。
【0079】
(B)GPS測位装置
上述の実施形態では、GPS測位装置を携帯電話機に適用した場合を説明したが、例えば携帯型のナビゲーション装置や車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistants)、腕時計といった他の電子機器についても同様に適用することが可能である。
【0080】
(C)衛星測位システム
また、上述の実施形態では、GPSを利用した場合を説明したが、例えばGLONASS(GLObal Navigation Satellite System)といった他の衛星測位システムにも同様に適用可能なのは勿論である。
【0081】
(D)記録媒体
また、ベースバンド処理プログラム531をCD−ROM等の記録媒体に記録して、携帯電話機等の電子機器にインストールする構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】測位システムの概要図。
【図2】擬似衛星信号のフォーマット。
【図3】擬似衛星信号に含まれるメッセージデータの取得方法の説明図。
【図4】携帯型電話機の内部構成図。
【図5】ベースバンド処理回路部の回路構成図。
【図6】PRNコード割り当てデータのデータ構成例。
【図7】擬似衛星配置位置データのデータ構成例。
【図8】受信メッセージデータのデータ構成例。
【図9】ベースバンド処理回路内のROMの構成図。
【図10】ベースバンド処理回路内のRAMの構成図。
【図11】ベースバンド処理のフローチャート。
【図12】ベースバンド処理中に実行される擬似衛星測位処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0083】
1 携帯電話機、30 GPS受信部、40 RF受信回路部、
50 ベースバンド処理回路部、51 受信チャンネル、511 信号捕捉部、
512 相関処理部、513 PRNコード発生部、514 信号追尾部、
515 受信バッファ、52 CPU、
53 ROM、531 ベースバンド処理プログラム、54 RAM、
541 PRNコード割り当てデータ、542 受信メッセージデータ、
543 擬似衛星配置位置データ、3 GPS衛星、5 擬似衛星
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS測位装置、電子機器、制御方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星を利用した測位システムとして、GPS(Global Positioning System)が広く知られており、カーナビゲーション装置等で利用されている。GPSでは、地球周回軌道を周回する複数のGPS衛星それぞれからGPS衛星信号が送出され、GPS受信機では、受信したGPS衛星信号を基に現在位置を算出(測位)する。
【0003】
近年では、携帯型電話機や腕時計等の携帯型の電子機器にもGPS機能が備えられるようになり、カーナビゲーション装置のように屋外で使用されるのみではなく、建物内や地下といった様々な場所でも使用されている。しかし、建物内や地下ではGPS衛星信号を受信し難く、現在位置の算出(測位)が困難であるという問題が新たに生じていた。
【0004】
そこで、建物内や地下等のGPS衛星信号が受信し難い場所においても現在位置を取得可能とするための技術として、擬似衛星を設置する技術が知られている。擬似衛星は、GPS衛星信号を模擬した擬似衛星信号を周期的に発信(送出)する。詳細には、この擬似衛星には、規定されているPRNコードのうち、GPS衛星に割り当てられているPRNコード(以下、「実運用PRNコード」という)以外のPRNコード(以下、「非実運用PRNコード」という)が割り当てられ、当該擬似衛星の配置位置の情報を、割り当てられたPRNコードで変調した擬似衛星信号を発信する。GPS受信機では、GPS衛星信号と同様に、擬似衛星信号を捕捉して該擬似衛星信号に重畳されている現在位置を取得することができる。またこの場合、擬似衛星の送信電力や配置を適当に定めることで、マルチパスの影響を排除したり、GPS受信機において同時に複数の擬似衛星信号が受信されることを回避するといった工夫もなされている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−180527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、擬似衛星を用いる場合、GPS受信機における現在位置の測位に時間を要するという問題があった。即ち、擬似衛星からは、擬似衛星信号として配置位置情報を含む所定長の信号が繰り返し発信されており、GPS受信機では、擬似衛星信号全体を受信した後、受信信号に含まれる現在位置情報を取得する。つまり、擬似衛星信号を用いた現在位置の測位には、少なくとも、擬似衛星信号の信号長に応じた時間を要する。このため、例えば1秒間隔といった所定時間間隔での測位が不可能となる場合がある。具体的には、例えば擬似衛星信号の送信ビットレートが50[bit/s]である場合、擬似衛星信号の信号長が50[bit]を超えると、GPS受信機における擬似衛星信号全体の受信に2秒以上を要し、1秒間隔での現在位置の測位が不可能となる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、擬似衛星から発信される擬似衛星信号を受信して現在位置を測位する際に、現在位置の測位に要する時間の短縮を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明は、GPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置であって、GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部と、前記捕捉部による擬似衛星信号の捕捉を検出する擬似衛星信号捕捉検出部と、前記検出に応じて、当該検出された擬似衛星信号と同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、前記検出がなされ、且つ前記判定部により記憶されていると判定された場合、同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報を前記記憶部から読み出し、該配置位置情報から現在位置を決定する再受信時現在位置決定部と、前記検出がなされ、且つ前記判定部により記憶されていないと判定された場合、当該検出された擬似衛星信号を追尾して該擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を取得し、該取得した配置位置情報を当該擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて前記記憶部に記憶させるとともに、該取得した配置位置情報から現在位置を決定する新規受信時現在位置決定部とを備えたGPS測位装置である。
【0008】
また、第6の発明は、GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部とを備えたGPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置の制御方法であって、前記捕捉部による擬似衛星信号の捕捉を検出する擬似衛星信号捕捉検出ステップと、前記検出に応じて、当該検出された擬似衛星信号と同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定ステップと、前記検出がなされ、且つ前記判定ステップにおいて記憶されていると判定された場合、同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報を前記記憶部から読み出し、該配置位置情報から現在位置を決定する再受信時現在位置決定ステップと、前記検出がなされ、且つ前記判定ステップにおいて記憶されていないと判定された場合、当該検出された擬似衛星信号を追尾して該擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を取得し、該取得した配置位置情報を当該擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて前記記憶部に記憶させるとともに、該取得した配置位置情報から現在位置を決定する新規受信時現在位置決定ステップとを含む制御方法である。
【0009】
この第1又は第6の発明によれば、GPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置では、擬似衛星信号が捕捉できた時点で、この擬似衛星信号と同じ非実運用RRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報が既に記憶されているならば、この記憶されている配置位置情報から現在位置が決定される。一方、記憶されていないならば、捕捉された擬似衛星信号に含まれている配置位置情報から現在位置が決定されるとともに、この配置位置情報が当該擬似衛星信号の非実運用PRNコードと対応付けて記憶される。
【0010】
つまり、例えばGPS測位装置が移動していない状態では、GPS測位装置においては同じ擬似衛星信号が継続して捕捉されているが、このような場合に、一度捕捉した擬似衛星信号を受信して配置位置情報を取得した後は、再度同じ擬似衛星信号全体を受信して配置位置情報を取得する必要が無く、記憶されている配置位置情報を用いて速やかに現在位置を決定することができる。これにより、擬似衛星を利用した現在位置の決定に要する時間の短縮が可能となる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明のGPS測位装置であって、前記記憶部に記憶されている配置位置情報のうち、前記捕捉部により捕捉されていない擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて記憶されている配置位置情報を消去する情報消去制御部を備えたGPS測位装置である。
【0012】
また、第7の発明は、第6の発明の制御方法であって、前記記憶部に記憶されている配置位置情報のうち、前記捕捉部により捕捉されていない擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて記憶されている配置位置情報を消去する情報消去制御ステップを含む制御方法である。
【0013】
この第2又は第7の発明によれば、非実運用PRNコード毎に記憶されている配置位置情報のうち、捕捉されていない非実運用PRNコードに対応付けられている配置位置情報が消去される。つまり、捕捉されている擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応する配置位置情報のみが記憶され、それ以外の非実運用PRNコードに対応する配置位置情報は消去されて記憶されていない。ところで、非実運用PRNコードには限りがあり、異なる場所に配置された異なる擬似衛星に同じPRNコードが割り当てられることが考えられる。捕捉されていない擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応する配置位置情報が消去されないままだと、以前に異なる場所で捕捉した擬似衛星信号と同じ非実運用PRNコードの異なる擬似衛星信号を捕捉したときに、この以前に捕捉した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報から現在位置が決定されるといった事態が生じ得る。しかし、本発明のように、捕捉されなくなった擬似衛星信号のPRNコードに対応する配置位置情報を消去することで、本来の現在位置と異なる位置が現在位置として決定されるといった事態を回避することができる。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明のGPS測位装置であって、前記擬似衛星信号発信装置は、前記配置位置情報を含む1つのメッセージデータを繰り返し前記擬似衛星信号で発信しており、前記捕捉部により捕捉された過去所定時間分の信号を随時更新記憶するリングバッファ部を更に備え、前記新規受信時現在位置決定部は、前記メッセージデータのうち、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータ以外の不足分のデータを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体を取得し、該取得したメッセージデータから配置位置情報を取得するGPS測位装置である。
【0015】
また、第8の発明は、第6又は第7の発明の制御方法であって、前記擬似衛星信号発信装置は、前記配置位置情報を含む1つのメッセージデータを繰り返し前記擬似衛星信号で発信しており、前記GPS測位装置は、前記捕捉部により捕捉された過去所定時間分の信号を随時更新記憶するリングバッファ部を更に備えており、前記新規受信時現在位置決定ステップは、前記メッセージデータのうち、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータ以外の不足分のデータを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体を取得し、該取得したメッセージデータから配置位置情報を取得するステップである制御方法である。
【0016】
この第3又は第8の発明によれば、擬似衛星信号発信装置からは、配置位置情報を含む1つのメッセージデータが繰り返し擬似衛星信号で発信されており、GPS測位装置では、メッセージデータのうち、リングバッファ部に既に記憶されているデータ以外の不足分のデータを、擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体が取得される。リングバッファ部には、捕捉された過去所定時間分の信号が随時更新記憶されている。つまり、1つのメッセージデータを取得する場合、捕捉された擬似衛星信号を追尾して当該擬似衛星信号のメッセージデータの全てを取得する必要は無く、リングバッファ部に記憶されているデータ以外の不足分のデータのみを、捕捉した擬似衛星信号を追尾して取得すれば良い。これにより、1つのメッセージデータの取得に要する時間を短縮し、擬似衛星を利用した現在位置の決定に要する時間の短縮が実現される。
【0017】
第4の発明は、第3の発明のGPS測位装置であって、前記メッセージデータは、所定数の単位データで構成されるデータであり、前記新規受信時現在位置決定部は、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータのうち最新の単位データから単位データ単位でデータを抽出し、不足分の単位データを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号で補填して1つのメッセージデータ全体を取得するGPS測位装置である。
【0018】
また、第9の発明は、第8の発明の制御方法であって、前記メッセージデータは、所定数の単位データで構成されるデータであり、前記新規受信時現在位置決定ステップは、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータのうち最新の単位データから単位データ単位でデータを抽出し、不足分の単位データを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号で補填して1つのメッセージデータ全体を取得するステップである制御方法である。
【0019】
この第4又は第9の発明によれば、メッセージデータは所定数の単位データから構成され、GPS測位装置では、リングバッファ部に既に記憶されているデータのうちの最新の単位データから単位データ単位でデータが抽出され、不足分の単位データを擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体が取得される。
【0020】
第5の発明は、第1〜第4の何れかの発明のGPS測位装置を備えた携帯型の電子機器である。
【0021】
この第5の発明によれば、第1〜第4の何れかの発明と同様の効果を奏する携帯型の電子機器が実現される。
【0022】
第10の発明は、GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部とを備えたGPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置に内蔵されたコンピュータに、第6〜第9の何れかの発明の制御方法を実行させるためのプログラムである。
【0023】
この第10の発明のプログラムをコンピュータに読み取らせて演算処理を実行させることで、第6〜第9の何れかの発明と同様の効果を奏することができる。
【0024】
第11の発明は、第10の発明のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体である。
【0025】
ここで、記憶媒体とは、記憶されている情報をコンピュータが読み取り可能な、例えばハードディスクやCD−ROM、DVD、メモリカード、ICメモリ等の記憶媒体である。従って、この第11の発明によれば、記憶媒体に記憶されている情報をコンピュータに読み取らせて演算処理を実行させることで、第10の発明と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。尚、以下では、本発明のGPS測位装置としてGPS機能を有する携帯電話機に適用した場合を説明するが、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
【0027】
[測位システム]
図1は、本実施形態の測位システムの概略構成を示す図である。測位システムは、利用者が携帯するGPS測位装置である携帯電話機1と、GPS衛星3と、擬似衛星信号発信装置である擬似衛星5とを備えて構成される。
【0028】
携帯電話機1は、現在運用(実運用)されているGPS衛星3から発信(送出)されるGPS衛星信号を受信し、受信したGPS衛星信号に重畳されているGPS衛星の軌道情報(エフェメリスデータやアルマナックデータ)等の航法データに基づいて、GPS衛星の位置、移動方向、速度等の衛星情報を算出する。GPS衛星3は、6つの地球周回軌道面それぞれに4機以上ずつ配置され、原則、地球上のどこからでも常時4機以上の衛星が幾何学的配置のもとで観測できるように運用されている。
【0029】
携帯電話機1は、内蔵している水晶時計により特定されるGPS衛星信号の受信時刻と、当該受信したGPS衛星信号のGPS衛星3の送信時刻との差に基づいて、捕捉したGPS衛星信号の発信元のGPS衛星(以下、「捕捉GPS衛星」という)から自機までの電波伝搬時間を計算する。次いで、計算した電波伝搬時間に光速度を乗算することで、捕捉GPS衛星から自機までの距離(擬似距離)を計算する。そして、携帯電話機1は、自機の位置を示す3次元の座標値と、時計誤差との4つのパラメータの値を、複数の捕捉GPS衛星の衛星情報や各捕捉GPS衛星から自機までの距離(擬似距離)等の情報に基づいて算出する測位計算を行うことで、自機の現在位置を測位する。
【0030】
また、携帯電話機1は、擬似衛星信号発信装置である擬似衛星5から発信(送出)される擬似衛星信号を受信可能に構成されている。擬似衛星5は、建物等の施設内の随所に設置されており、当該設置位置の情報(以下、「擬似衛星位置情報」という)を含む擬似衛星信号を常時発信している。ここで、擬似衛星5から発信される擬似衛星信号は微弱な信号であり、各擬似衛星5が携帯電話機1と通信可能な範囲は狭小(例えば、擬似衛星5を中心として半径10mの範囲)である。擬似衛星5は、この通信可能範囲に応じた間隔を設けて設置されており、携帯電話機1は、原則、複数の擬似衛星5と同時に通信を行うことはない。
【0031】
擬似衛星5は、当該擬似衛星5の配置位置情報を含むデータを記憶する記憶部(メモリ)を有し、記憶されているデータを、割り当てられたPRN(Pseudo Random Noise)コード(非実運用PRNコード)で変調した擬似衛星信号を発信する。即ち、GPS衛星信号と擬似衛星信号との変調方式は同じである。PRNコードは、「0」と「1」で構成される固有の系列(ゴールド符号)であり、本来は、各GPS衛星3を識別するために割り当てられたコードである。PRNコードには「1」〜「37」までの37種類が規定されており、現在運用されているGPS衛星3には「1」〜「32」までのPRNコードが割り当てられている。そして、これらのGPS衛星3に割り当てられたPRNコード以外の「33」〜「37」までのPRNコード(非実運用PRNコード)のうち、「33」〜「36」までの4種類のPRNコードが擬似衛星5に割り当てられている。尚、本実施形態では、擬似衛星5には、現在運用されているGPS衛星3に割り当てられたPRNコード以外の「33」から「36」までの4種類のPRNコードを割り当てることとしたが、運用されているGPS衛星3へのPRNコードの割り当てが変更された場合には、この変更に合わせて、擬似衛星5に割り当てるPRNコードを変更すれば良い。
【0032】
[擬似衛星信号]
擬似衛星5は、擬似衛星信号として当該擬似衛星5の配置位置情報を含むメッセージデータを繰り返し発信する。図2は、メッセージデータのフォーマットを示す図である。同図によれば、1つのメッセージデータは、単位データである連続する5つのワード(Word)から構成される。1ワードは30ビット(bit)である。即ち、メッセージデータは、データ長が150ビットの固定長のデータである。各ワードは、最後尾6ビットがパリティビットとなっており、これによりワードの区切りが判別されるようになっている。また、1番目のワード(「ワード1」)の先頭8ビットはプリアンブルとなっており、これによりメッセージデータの先頭が判別されるようになっている。そして、各ワードに、配置位置情報として緯度、経度及び高度の情報が設定されている。
【0033】
図3は、携帯電話機1におけるメッセージデータの取得を説明する図である。同図(a)は、従来の取得方法を示し、同図(b)は、本実施形態での取得方法を示している。但し、擬似衛星5からはビットレート50[bit/s]で擬似衛星信号が送出され、携帯電話機1では毎秒50ビットのデータを受信することとする。
【0034】
同図(a)によれば、従来では、受信データ中にプリアンブルが検知されると、受信データから、このプリアンブルを含む「ワード1」を先頭とした連続する各ワードの取得が開始される。そして、「ワード1」から「ワード5」までの全てが取得されると、1つのメッセージデータの受信が完了となる。この場合、1つのメッセージデータの取得に要する時間は、受信開始からプリアンブルの検知までの時間と、プリアンブルの検知から、「ワード1」から「ワード5」までの5つのワード全ての取得に要する時間との和となる。
【0035】
同図(a)では、受信開始から3秒後に受信データ中のプリアンブルが検知され、また、プリアンブルの検知から全てのワードの取得完了までに3秒を要していている。従って、受信開始からメッセージデータの取得完了までに要する時間は6秒である。但し、メッセージデータの取得完了に要する時間は、どの時点でプリアンブルが検知されたかに応じて異なる。
【0036】
これに対して、本実施形態では、同図(b)に示すように、受信データを一時的に記憶する受信バッファを携帯電話機1の内部に備え、この受信バッファに記憶されているデータと、プリアンブルの検知以降に受信データから取得されたデータとを合わせることで、1つのメッセージデータが取得される。受信バッファは、例えばリングバッファで実現され、常時最新の受信データに記憶更新されている。この受信バッファの容量は、ここでは「128bit」であるとする。即ち、受信データ中にプリアンブルが検知されると、受信バッファに記憶されているデータがワード単位で読み出される。また、受信データから、検知されたプリアンブルを含む「ワード1」を先頭とした連続する各ワードの取得が開始される。そして、メッセージデータ全体のうち、受信バッファから読み出されたワード以外の不足分のワードの全てが受信データから取得されると、1つのメッセージデータの取得が完了となる。
【0037】
同図(b)では、開始から3秒後に受信データ中のプリアンブルが検知されている。この時点において、受信バッファには、過去に受信された「ワード3」から「ワード5」を含むデータが記憶されている。つまり、メッセージデータとしては、「ワード1」及び「ワード2」が不足しており、プリアンブルの検知から、この不足分の「ワード1」及び「ワード2」の受信データからの取得完了までに2秒を要している。従って、受信開始からメッセージデータの取得完了までに要する時間は5秒であり、これは、同図(a)に示す従来と比較して1秒短縮されている。
【0038】
[携帯電話機]
図4は、携帯電話機1の機能構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、GPSアンテナ10と、TCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator)20と、GPS受信部30と、ホストCPU60と、操作部61と、表示部62と、ROM(Read Only Memory)63と、RAM(Random Access Memory)64と、携帯電話用アンテナ70と、携帯電話用無線通信回路部80とを備えて構成される。
【0039】
GPSアンテナ10は、GPS衛星3から発信されたGPS衛星信号及び擬似衛星5から発信された擬似衛星信号を含むRF信号を受信するアンテナであり、受信した信号をGPS受信部30に出力する。尚、GPS衛星信号及び擬似衛星信号は、PRNコードによってスペクトラム拡散変調されており、1.57542[GHz]を搬送波周波数とするL1帯の搬送波に重畳されている。
【0040】
TCXO20は、所定の発振周波数を有する発振信号を生成する温度補償型水晶発振器であり、生成した発振信号をRF受信回路部40及びベースバンド処理回路部50に出力する。
【0041】
GPS受信部30は、GPSアンテナ10から出力された信号に基づいて携帯電話機1の現在位置を測位する測位部であり、いわゆるGPS受信機に相当する。GPS受信部30は、RF(Radio Frequency)受信回路部40と、ベースバンド処理回路部50とを備えて構成される。尚、RF受信回路部40と、ベースバンド処理回路部50とは、それぞれ別のLSI(Large Scale Integration)として製造することも、1チップとして製造することも可能である。
【0042】
RF受信回路部40は、高周波信号(RF信号)の回路ブロックであり、TCXO20により生成された発振信号を分周或いは逓倍することで、RF信号乗算用の発振信号を生成する。そして、生成した発振信号を、GPSアンテナ10から出力されたRF信号に乗算することで、該RF信号を中間周波数の信号(以下、「IF(Intermediate Frequency)信号」という)にダウンコンバートし、IF信号を増幅等した後、A/D変換器でデジタル信号に変換して、ベースバンド処理回路部50に出力する。
【0043】
ベースバンド処理回路部50は、RF受信回路部40から入力されたIF信号に対して相関処理等を行ってGPS衛星信号及び擬似衛星信号を捕捉・抽出し、復調を行って航法メッセージや擬似衛星情報を取り出し、これらの情報に基づいて携帯電話機1の現在位置を測位する。
【0044】
図5は、ベースバンド処理回路部50の回路構成の一例を示す図である。ベースバンド処理回路部50は、第1〜第8受信チャンネル51−1〜51−8でなる受信チャンネル51と、CPU52と、ROM53と、RAM54とを備えて構成される。また、各受信チャンネル51は、GPS衛星信号及び擬似衛星信号の捕捉を行う信号捕捉部511と、信号捕捉部511により捕捉された信号の変化を追尾する信号追尾部514と、信号追尾部514により追尾された受信データを格納する受信バッファ515とを備えて構成される。
【0045】
信号捕捉部511は、RF受信回路部40から入力されたIF信号と、PRNコード発生部513により発生された擬似的なPRNコード(以下、「レプリカPRNコード」という)との相関演算を行って同調を試行する相関処理部512と、CPU52の制御に基づいてレプリカPRNコードを発生するPRNコード発生部513とを備えて構成される。
【0046】
信号追尾部514は、遅延ロックループ(DLL(Delay Locked Loop))として知られるコードループや、位相ロックループ(PLL(Phase Locked Loop))として知られるキャリアループ等の回路によって構成され、PRNコード及び搬送波の位相を追尾することで、信号捕捉部511により捕捉された信号の同期保持を並列的に行う。
【0047】
受信バッファ515は、所定サイズ(例えば、128ビット)のリングバッファで構成され、常時、信号追尾部514により追尾された受信データのうちの最新のデータが一時的に記憶される。
【0048】
CPU52は、ベースバンド処理回路部50及びRF受信回路部40の各部を統括的に制御するとともに、後述のベースバンド処理を含む各種演算処理を行う。具体的には、各受信チャンネル51にPRNコードを割り当てる。例えば、携帯電話機1が施設外に存在する場合には、GPS衛星信号を優先して受信するよう、7個の受信チャンネル51にGPS衛星3のPRNコードを割り当ててGPS衛星信号を受信させ、残りの1個の受信チャンネル51に擬似衛星5のPRNコードを割り当てて擬似衛星信号を受信させるようにする。また、携帯電話機1が施設内に存在する場合には、より多くの擬似衛星信号を受信するよう、4個の受信チャンネル51に擬似衛星5のPRNコードを割り当て、残りの4個の受信チャンネル51にGPS衛星3のPRNコードを割り当てる。
【0049】
そして、各受信チャンネル51について、当該受信チャンネル51に割り当てたPRNコードのレプリカPRNコードをPRNコード発生部513に発生させて、割り当てたPRNコードの衛星信号を信号捕捉部511に捕捉させ、捕捉された衛星信号を信号追尾部514に追尾させる。尚、この各受信チャンネル51へのPRNコードの割り当ての切り替えは、例えば所定時間間隔で切り替えても良いし、捕捉されている衛星信号の種類(GPS衛星信号であるか擬似衛星信号であるか)に応じて切り替えても良い。
【0050】
ここで、受信チャンネル51それぞれへのPRNコードの割り当ては、PRNコード割り当てデータ541に格納される。図6に、PRNコード割り当てデータ541のデータ構成の一例を示す。PRNコード割り当てデータ541には、8個の受信チャンネル541aそれぞれについて、割り当てたPRNコード541bと、このPRNコードに対応する衛星種別541cが対応付けて格納されている。
【0051】
また、CPU52は、GPS衛星信号を基に現在位置を算出するGPS衛星測位処理を行う。即ち、GPS衛星3のPRNコードを割り当てた受信チャンネル51それぞれにおいて、受信、捕捉・追尾されたGPS衛星信号を基に、測位演算を行って現在位置を算出する。そして、算出された現在位置を、後段のホストCPU60に出力する。
【0052】
また、CPU52は、擬似衛星信号を基に現在位置を決定する擬似衛星測位処理を行う。即ち、擬似衛星5のPRNコードが割り当てられた受信チャンネル51それぞれについて、擬似衛星信号が捕捉できたか否かを判断する。擬似衛星信号が捕捉されると、捕捉された擬似衛星信号のPRNコードに対応する配置位置情報が、擬似衛星配置位置データ543に格納されているかを判断する。そして、対応する配置位置情報が格納されているならば、この配置位置情報を現在位置として後段のホストCPU60に出力する。
【0053】
擬似衛星配置位置データ543は、捕捉された擬似衛星信号に含まれる配置位置情報のデータである。図7に、擬似衛星配置位置データ543のデータ構成の一例を示す。擬似衛星配置位置データ543には、擬似衛星5に割り当てられているPRNコード543aそれぞれについて、該当する擬似衛星信号から取得された配置位置情報543bが対応付けて格納されている。
【0054】
一方、対応する配置位置情報が擬似衛星配置位置データ543に格納されていないならば、CPU52は、捕捉された擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を取得し、取得した配置位置情報を、現在位置としてホストCPU60に出力するとともに、この配置位置情報を捕捉された擬似衛星信号のPRNコードに対応付けて擬似衛星配置位置データ543に格納する。
【0055】
ここで、捕捉された擬似衛星信号からの配置位置情報の取得は、図3(b)を参照して説明したように行う。即ち、受信データ中に含まれるプリアンブルの有無を監視し、プリアンブルを検知すると、受信バッファ515に格納されているデータをワード単位で抽出し、該当するワードのデータとして受信メッセージデータ542に格納する。また、受信データから、「ワード1」を先頭とする連続する各ワードのデータの取得を開始する。取得したデータは、該当するワードのデータとして受信メッセージデータ542に格納される。
【0056】
受信メッセージデータ542は、受信データから取得されたメッセージデータである。図8に、受信メッセージデータ542のデータ構成の一例を示す。同図によれば、受信メッセージデータ542には、メッセージデータを構成する「ワード1」から「ワード5」の5つのワードそれぞれのデータを格納するためのデータ領域が形成されている。
【0057】
CPU52は、全てのワードのデータを取得すると、1つのメッセージデータの取得を完了したと判断し、取得したメッセージデータから配置位置情報を取得する。そして、取得した配置位置情報を現在位置としてホストCPU60に出力するとともに、この配置位置情報を、捕捉された擬似衛星信号のPRNコードと対応付けて擬似衛星配置位置データ543に格納する。
【0058】
図5に戻り、ROM53は、CPU52がベースバンド処理回路部50及びRF受信回路部40の各部を制御するためのシステムプログラムや、ベースバンド処理を含む各種処理を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。図9に、ROM53の構成の一例を示す。同図によれば、ROM53には、ベースバンド処理プログラム531が記憶されている。
【0059】
RAM54は、CPU52の作業領域として用いられ、ROM53から読み出されたプログラムやデータ、CPU52が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。図10に、RAM54の構成の一例を示す。同図によれば、RAM54には、PRNコード割り当てデータ541と、受信メッセージデータ542と、擬似衛星配置位置データ543とが記憶される。
【0060】
図4に戻り、ホストCPU60は、ROM63に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って携帯電話機1の各部を統括的に制御する。具体的には、主に、電話機としての通話機能を実現するとともに、ベースバンド処理回路部50から入力された携帯電話機1の現在位置を地図上にプロットしたナビゲーション画面を表示部62に表示させるといったナビゲーション機能を含む各種機能を実現するための処理を行う。
【0061】
操作部61は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、利用者による操作に応じた操作信号をホストCPU60に出力する。この操作部61の操作により、測位の開始/終了指示等の各種指示が入力される。表示部62は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、ホストCPU60から入力される表示信号に基づく表示画面(例えば、ナビゲーション画面や時刻情報等)を表示する。
【0062】
ROM63は、ホストCPU60が携帯電話機1を制御するためのシステムプログラムや、ナビゲーション機能を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。RAM64は、ホストCPU60の作業領域として用いられ、ROM63から読み出されたプログラムやデータ、操作部61から入力されたデータ、ホストCPU60が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。
【0063】
携帯電話用アンテナ70は、携帯電話機1の通信サービス事業者が設置した無線基地局との間で携帯電話用無線信号の送受信を行うアンテナである。携帯電話用無線通信回路部80は、RF変換回路やベースバンド処理回路等によって構成される携帯電話用の通信回路部であり、ホストCPU60の制御に従って無線信号の送受信を行う。
【0064】
[処理の流れ]
図11は、ベースバンド処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、CPU52がROM53のベースバンド処理プログラム531を実行することで実現される。尚、ベースバンド処理に先立ち、GPSアンテナ10によるRF信号の受信やRF受信回路部40によるIF信号へのダウンコンバートを経てデジタル化されたIF信号が、ベースバンド処理回路部50に随時入力される状態にあるものとする。
【0065】
同図によれば、CPU52は、先ず、全ての受信チャンネル51それぞれを対象としたループAの処理を行う。ループAでは、対象の受信チャンネル51に割り当てるPRNコードを変更するか否かを判断する。割り当てるPRNコードを変更するならば(ステップA1:YES)、現在割り当てられているPRNコードが擬似衛星用のPRNコードであるか否かを判断し、擬似衛星用のPRNコードならば(ステップA3:YES)、擬似衛星配置位置データ543に格納されている該PRNコードに対応する配置情報を消去する(ステップA5)。その後、対象の受信チャンネル51に新たなPRNコードを割り当て(ステップA7)、また、対象の受信チャンネルの受信バッファ515をクリアする(ステップA9)。ループAは、このように行われる。
【0066】
そして、全ての受信チャンネル51を対象としたループAの処理が終了すると、CPU52は、続いてGPS衛星測位処理を行う。GPS衛星測位処理では、全ての受信チャンネル51のうち、GPS衛星信号用のPRNコードを割り当てた受信チャンネル51を対象として、捕捉されたGPS衛星信号を基に測位演算を行って現在位置を算出し、算出した現在位置を出力する(ステップA11)。
【0067】
次いで、GPS衛星測位処理による現在位置の測位が成功したか否かを判断し、測位が成功していないならば(ステップA13:NO)、続いて、CPU52は、全ての受信チャンネル51のうち、擬似衛星用のPRNコードを割り当てた受信チャンネル51それぞれを対象としたループBの処理を行う。ループBでは、先ず、対象の受信チャンネル51にて捕捉された擬似衛星信号を基に現在位置を決定する擬似衛星測位処理を行う(ステップA15)。
【0068】
図12は、擬似衛星測位処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図によれば、CPU52は、対象の受信チャンネル51にて擬似衛星信号が捕捉されたか否かを判定し、捕捉されていないならば(ステップB1:NO)、擬似衛星配置位置データ543において、対象の受信チャンネル51に割り当てられているPRNコードに対応付する配置位置情報を消去する(ステップB3)。
【0069】
一方、擬似衛星信号が捕捉されたならば(ステップB1:YES)、擬似衛星配置位置データ543において、捕捉した擬似衛星信号のPRNコード(即ち、当該受信チャンネル51に割り当てられているPRNコード)に対応する配置位置情報が記憶されているか否かを判断する。配置位置情報が記憶されているならば(ステップB5:YES)、この記憶されている配置位置情報を現在位置として決定し、ホストCPU60に出力する(ステップB7)。
【0070】
一方、配置位置情報が記憶されていないならば(ステップB5:NO)、CPU52は、受信メッセージデータ542をクリアする(ステップB9)。次いで、受信データに含まれるプリアンブルを監視し(ステップB11)、受信データに含まれるプリアンブルを検知したならば(ステップB13:YES)、対象の受信チャンネルの受信バッファ515に記憶されているデータをワード単位で抽出し、該当するワードのデータとして受信メッセージデータ542に格納する(ステップB15)。続いて、受信データからデータをワード単位で抽出し、該当するワードのデータとして受信メッセージデータ542に格納する(ステップB17)。
【0071】
その後、受信メッセージデータ542を参照して、メッセージデータ全体の取得を完了したか否か(即ち、全てのワードのデータを取得したか否か)を判断し、完了していないならば(ステップB19:NO)、ステップB17に戻る。一方、メッセージデータ全体の取得を完了したならば(ステップB19:YES)、この取得したメッセージデータに含まれる配置位置情報を取得し(ステップB21)、取得した配置位置情報を、捕捉した擬似衛星信号のPRNコード(即ち、対象の受信チャンネル51に割り当てられているPRNコード)に対応付けて、擬似衛星配置位置データ543に格納する(ステップB23)。また、取得した配置位置情報を現在位置として決定し、ホストCPU60に出力する(ステップB25)。以上の処理を行うと、CPU52は、擬似衛星測位処理を終了する。
【0072】
擬似衛星測位処理が終了すると、CPU52は、該処理の結果、現在位置が決定されたか否かを判断し、現在位置が決定されたならば(ステップA17:YES)、ループBを終了する。一方、現在位置が決定されていないならば(ステップA17:NO)、続いて、他の受信チャンネル51を対象としたループBの処理を行う。ループBは、このように行われる。
【0073】
ループBが終了すると、CPU52は、測位を終了するか否かを判断し、終了しないならば(ステップA19:NO)、ステップA1に戻り、測位を終了するならば(ステップA19:YES)、ベースバンド処理を終了する。
【0074】
[作用・効果]
このように、本実施形態によれば、GPS機能を有する携帯電話機1では、GPS衛星3から発信されるGPS衛星信号、及び擬似衛星5から発信される擬似衛星信号を基に現在位置が測位される。擬似衛星信号に基づく現在位置の測位では、捕捉した擬似衛星信号のPRNコードに対応付けられた配置位置情報が擬似衛星配置位置データ543に格納されているならば、この格納されている配置位置情報を基に現在位置が決定される。一方、対応する配置位置情報が格納されていないならば、捕捉した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報が取得され、現在位置として決定されるとともに、この擬似衛星信号のPRNコードと対応付けて擬似衛星配置位置データ543に格納される。但し、擬似衛星配置位置データ543に格納されている配置位置情報のうち、捕捉されていない擬似衛星信号のPRNに対応する配置位置情報は消去される。
【0075】
つまり、例えば施設内等で携帯電話機1が殆ど移動していない場合には、同じ擬似衛星信号の捕捉が継続されるが、このような場合に、一度捕捉された擬似衛星信号に含まれる配置位置情報が取得された後は、同じ擬似衛星信号の捕捉が継続されている間は記憶されている配置位置情報を用いることで、再度同じ擬似衛星信号を受信して配置位置情報を取得する必要が無い。これにより、擬似衛星信号に基づく現在位置の測位に要する時間の短縮が実現される。
【0076】
また、捕捉された擬似衛星信号から配置位置情報が取得される際には、受信バッファ515に記憶されているデータを利用して、配置位置情報の取得に要する時間の短縮が実現されている。即ち、受信データ中にメッセージデータの先頭を示すプリアンブルが検知されると、受信バッファ515に記憶されているデータがワード単位で抽出され、抽出されたワード以外の不足分のワードのデータが受信データから取得されると、1つのメッセージデータの受信が完了する。つまり、従来のように、プリアンブルが検知された後、受信データから全てのワードのデータを取得する必要が無く、これにより、擬似衛星信号に含まれる配置位置情報の取得に要する時間が短縮される。
【0077】
[変形例]
尚、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0078】
(A)ホストCPU
例えば、ベースバンド処理回路部50のCPU52が行う処理の一部又は全部を、ホストCPU60がソフトウェア的に行うことにしても良い。
【0079】
(B)GPS測位装置
上述の実施形態では、GPS測位装置を携帯電話機に適用した場合を説明したが、例えば携帯型のナビゲーション装置や車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistants)、腕時計といった他の電子機器についても同様に適用することが可能である。
【0080】
(C)衛星測位システム
また、上述の実施形態では、GPSを利用した場合を説明したが、例えばGLONASS(GLObal Navigation Satellite System)といった他の衛星測位システムにも同様に適用可能なのは勿論である。
【0081】
(D)記録媒体
また、ベースバンド処理プログラム531をCD−ROM等の記録媒体に記録して、携帯電話機等の電子機器にインストールする構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】測位システムの概要図。
【図2】擬似衛星信号のフォーマット。
【図3】擬似衛星信号に含まれるメッセージデータの取得方法の説明図。
【図4】携帯型電話機の内部構成図。
【図5】ベースバンド処理回路部の回路構成図。
【図6】PRNコード割り当てデータのデータ構成例。
【図7】擬似衛星配置位置データのデータ構成例。
【図8】受信メッセージデータのデータ構成例。
【図9】ベースバンド処理回路内のROMの構成図。
【図10】ベースバンド処理回路内のRAMの構成図。
【図11】ベースバンド処理のフローチャート。
【図12】ベースバンド処理中に実行される擬似衛星測位処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0083】
1 携帯電話機、30 GPS受信部、40 RF受信回路部、
50 ベースバンド処理回路部、51 受信チャンネル、511 信号捕捉部、
512 相関処理部、513 PRNコード発生部、514 信号追尾部、
515 受信バッファ、52 CPU、
53 ROM、531 ベースバンド処理プログラム、54 RAM、
541 PRNコード割り当てデータ、542 受信メッセージデータ、
543 擬似衛星配置位置データ、3 GPS衛星、5 擬似衛星
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置であって、
GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、
前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部と、
前記捕捉部による擬似衛星信号の捕捉を検出する擬似衛星信号捕捉検出部と、
前記検出に応じて、当該検出された擬似衛星信号と同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、
前記検出がなされ、且つ前記判定部により記憶されていると判定された場合、同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報を前記記憶部から読み出し、該配置位置情報から現在位置を決定する再受信時現在位置決定部と、
前記検出がなされ、且つ前記判定部により記憶されていないと判定された場合、当該検出された擬似衛星信号を追尾して該擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を取得し、該取得した配置位置情報を当該擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて前記記憶部に記憶させるとともに、該取得した配置位置情報から現在位置を決定する新規受信時現在位置決定部と、
を備えたGPS測位装置。
【請求項2】
前記記憶部に記憶されている配置位置情報のうち、前記捕捉部により捕捉されていない非実運用PRNコードに対応付けて記憶されている配置位置情報を消去する情報消去制御部を備えた請求項1に記載のGPS測位装置。
【請求項3】
前記擬似衛星信号発信装置は、前記配置位置情報を含む1つのメッセージデータを繰り返し前記擬似衛星信号で発信しており、
前記捕捉部により捕捉された過去所定時間分の信号を随時更新記憶するリングバッファ部を更に備え、
前記新規受信時現在位置決定部は、前記メッセージデータのうち、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータ以外の不足分のデータを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体を取得し、該取得したメッセージデータから配置位置情報を取得する、
請求項1又は2に記載のGPS測位装置。
【請求項4】
前記メッセージデータは、所定数の単位データで構成されるデータであり、
前記新規受信時現在位置決定部は、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータのうち最新の単位データから単位データ単位でデータを抽出し、不足分の単位データを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号で補填して1つのメッセージデータ全体を取得する、
請求項3に記載のGPS測位装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のGPS測位装置を備えた携帯型の電子機器。
【請求項6】
GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部とを備えたGPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置の制御方法であって、
前記捕捉部による擬似衛星信号の捕捉を検出する擬似衛星信号捕捉検出ステップと、
前記検出に応じて、当該検出された擬似衛星信号と同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定ステップと、
前記検出がなされ、且つ前記判定ステップにおいて記憶されていると判定された場合、同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報を前記記憶部から読み出し、該配置位置情報から現在位置を決定する再受信時現在位置決定ステップと、
前記検出がなされ、且つ前記判定ステップにおいて記憶されていないと判定された場合、当該検出された擬似衛星信号を追尾して該擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を取得し、該取得した配置位置情報を当該擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて前記記憶部に記憶させるとともに、該取得した配置位置情報から現在位置を決定する新規受信時現在位置決定ステップと、
を含む制御方法。
【請求項7】
前記記憶部に記憶されている配置位置情報のうち、前記捕捉部により捕捉されていない非実運用PRNコードに対応付けて記憶されている配置位置情報を消去する情報消去制御ステップを含む請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記擬似衛星信号発信装置は、前記配置位置情報を含む1つのメッセージデータを繰り返し前記擬似衛星信号で発信しており、
前記GPS測位装置は、前記捕捉部により捕捉された過去所定時間分の信号を随時更新記憶するリングバッファ部を更に備えており、
前記新規受信時現在位置決定ステップは、前記メッセージデータのうち、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータ以外の不足分のデータを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体を取得し、該取得したメッセージデータから配置位置情報を取得するステップである、
請求項6又は7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記メッセージデータは、所定数の単位データで構成されるデータであり、
前記新規受信時現在位置決定ステップは、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータのうち最新の単位データから単位データ単位でデータを抽出し、不足分の単位データを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号で補填して1つのメッセージデータ全体を取得するステップである、
請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部とを備えたGPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置に内蔵されたコンピュータに、請求項6〜9の何れか一項に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項1】
GPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置であって、
GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、
前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部と、
前記捕捉部による擬似衛星信号の捕捉を検出する擬似衛星信号捕捉検出部と、
前記検出に応じて、当該検出された擬似衛星信号と同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、
前記検出がなされ、且つ前記判定部により記憶されていると判定された場合、同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報を前記記憶部から読み出し、該配置位置情報から現在位置を決定する再受信時現在位置決定部と、
前記検出がなされ、且つ前記判定部により記憶されていないと判定された場合、当該検出された擬似衛星信号を追尾して該擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を取得し、該取得した配置位置情報を当該擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて前記記憶部に記憶させるとともに、該取得した配置位置情報から現在位置を決定する新規受信時現在位置決定部と、
を備えたGPS測位装置。
【請求項2】
前記記憶部に記憶されている配置位置情報のうち、前記捕捉部により捕捉されていない非実運用PRNコードに対応付けて記憶されている配置位置情報を消去する情報消去制御部を備えた請求項1に記載のGPS測位装置。
【請求項3】
前記擬似衛星信号発信装置は、前記配置位置情報を含む1つのメッセージデータを繰り返し前記擬似衛星信号で発信しており、
前記捕捉部により捕捉された過去所定時間分の信号を随時更新記憶するリングバッファ部を更に備え、
前記新規受信時現在位置決定部は、前記メッセージデータのうち、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータ以外の不足分のデータを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体を取得し、該取得したメッセージデータから配置位置情報を取得する、
請求項1又は2に記載のGPS測位装置。
【請求項4】
前記メッセージデータは、所定数の単位データで構成されるデータであり、
前記新規受信時現在位置決定部は、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータのうち最新の単位データから単位データ単位でデータを抽出し、不足分の単位データを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号で補填して1つのメッセージデータ全体を取得する、
請求項3に記載のGPS測位装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のGPS測位装置を備えた携帯型の電子機器。
【請求項6】
GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部とを備えたGPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置の制御方法であって、
前記捕捉部による擬似衛星信号の捕捉を検出する擬似衛星信号捕捉検出ステップと、
前記検出に応じて、当該検出された擬似衛星信号と同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定ステップと、
前記検出がなされ、且つ前記判定ステップにおいて記憶されていると判定された場合、同じ非実運用PRNコードに対応する擬似衛星信号の配置位置情報を前記記憶部から読み出し、該配置位置情報から現在位置を決定する再受信時現在位置決定ステップと、
前記検出がなされ、且つ前記判定ステップにおいて記憶されていないと判定された場合、当該検出された擬似衛星信号を追尾して該擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を取得し、該取得した配置位置情報を当該擬似衛星信号の非実運用PRNコードに対応付けて前記記憶部に記憶させるとともに、該取得した配置位置情報から現在位置を決定する新規受信時現在位置決定ステップと、
を含む制御方法。
【請求項7】
前記記憶部に記憶されている配置位置情報のうち、前記捕捉部により捕捉されていない非実運用PRNコードに対応付けて記憶されている配置位置情報を消去する情報消去制御ステップを含む請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記擬似衛星信号発信装置は、前記配置位置情報を含む1つのメッセージデータを繰り返し前記擬似衛星信号で発信しており、
前記GPS測位装置は、前記捕捉部により捕捉された過去所定時間分の信号を随時更新記憶するリングバッファ部を更に備えており、
前記新規受信時現在位置決定ステップは、前記メッセージデータのうち、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータ以外の不足分のデータを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号から補填して1つのメッセージデータ全体を取得し、該取得したメッセージデータから配置位置情報を取得するステップである、
請求項6又は7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記メッセージデータは、所定数の単位データで構成されるデータであり、
前記新規受信時現在位置決定ステップは、前記リングバッファ部に既に記憶されているデータのうち最新の単位データから単位データ単位でデータを抽出し、不足分の単位データを、前記追尾によって得られる擬似衛星信号で補填して1つのメッセージデータ全体を取得するステップである、
請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
GPS衛星信号を模擬し、実運用されているGPS衛星に割り当てられているPRNコードである実運用PRNコード以外のPRNコードである非実運用PRNコードで配置位置情報を含む所定のデータを変調した擬似衛星信号を発信する擬似衛星信号発信装置からの前記擬似衛星信号及びGPS衛星信号を、PRNコードを用いた相関演算を行って捕捉する捕捉部と、前記非実運用PRNコード別に受信した擬似衛星信号に含まれる配置位置情報を記憶するための記憶部とを備えたGPS衛星信号を受信して現在位置を測位するGPS測位装置に内蔵されたコンピュータに、請求項6〜9の何れか一項に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−241422(P2008−241422A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81467(P2007−81467)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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