説明

GTLプラントにおける合成ガスリフォーマの運転方法

【課題】合成ガスリフォーマ出口温度の精密な制御が行える、GTLプラントの合成ガスリフォーマの運転方法を目的とする。
【解決手段】本発明のGTLプラント8の合成ガスリフォーマ20の運転方法は、合成ガスリフォーマ20の運転条件と、天然ガス111の組成と、合成ガスリフォーマ20の入口温度と、合成ガスリフォーマ20の出口圧力とから、合成ガスリフォーマ20に必要な熱量を随時算出し、該熱量に必要な燃料ガス122量に応じて燃料ガス圧の調節を行うことよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGTLプラントにおける合成ガスリフォーマの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GTL(Gas to Liquids)は、軽質炭化水素ガスからナフサや軽油・灯油等の石油製品を製造する技術である。GTLプラントは、例えば、軽質炭化水素ガスとして天然ガスを改質して合成ガスを製造する合成ガスセクションと、合成ガスセクションで製造した合成ガスからフィッシャー・トロプシュ(FT)合成反応により液体炭化水素を合成するFTセクションと、FTセクションで製造された液体炭化水素を水素化処理し、ナフサや軽油・灯油等製品油を得るアップグレーディングセクションとで構成される。
合成ガスセクションでは、天然ガスに、脱硫用水素を添加して脱硫した後、水蒸気と二酸化炭素(CO)を混合し、合成ガスリフォーマに供給して改質し、一酸化炭素(CO)ガスと水素(H)ガスとを主成分とする合成ガスを生成する。この際、合成ガスリフォーマ出口の合成ガスの温度管理が、合成ガス中のH/CO比、ひいてはナフサ、軽油・灯油等の最終生成物の生成比率や純度に影響する。
【0003】
合成ガスリフォーマの出口の合成ガスの温度を管理する方法としては、合成ガスリフォーマの熱供給源であるバーナ出力を合成ガスリフォーマ出口温度に応じて制御する、従来型の温度調節(TC)/圧力調節(PC)カスケード制御が挙げられる(例えば、非特許文献1)。当該制御方法について、図9、図10を用いて説明する。図9は、加熱炉900の温度制御システムを説明する図である。図10は、従来法のカスケード制御ロジックを説明するフローチャートである。
図9の通り、加熱炉900は、バーナ902と、加熱管904が備えられている。加熱炉900の出口側には、出口温度を測定するための温度測定手段922、温度調節手段924が備えられている。バーナ902の入口側(燃料ガス供給側)には、圧力測定手段934と圧力制御弁940とが備えられ、圧力測定手段934と圧力制御弁940とは、圧力制御手段932に接続されている。
次に、加熱炉900の出口の温度制御方法について説明する。被加熱流体910は、加熱管904を流通する間に、バーナ902により加熱されて、加熱済流体918となる。加熱炉900の出口側に設置された温度測定手段922により、加熱済流体918の温度が測定され、その測定値に基づいて、制御弁940の開度調節が行われる。こうして、燃料ガス916の圧力および流量が調節されて、バーナ902の出力制御をすることで、加熱済流体918の温度制御が行われる。
【0004】
上述のTC/PCカスケード制御の詳細について、図10を用いて説明する。加熱炉900の出口温度の目標値(SV)を定める(ステップS960)。加熱済流体918の温度を温度測定手段922で測定し、測定値(PV)を得る(ステップS962)。前記出口温度のSVとPVとの温度差ΔTを温度調節手段924にて求め(ステップS964)、前記ΔTを補償すべく、加熱炉出口温度の制御出力を行う(ステップS966)。次いで、圧力制御手段932に対して、燃料ガス916の圧力の制御目標値(SV)を定める(ステップS968)。圧力測定手段934で、燃料ガス916の圧力を測定し、測定値を得る(ステップS970)。前記燃料ガス916の圧力のSVとPVの圧力差ΔPを求め(ステップS972)、圧力制御弁940に対して、圧力制御弁940の開度を定める制御出力を行う(ステップS974)ことで、バーナの出力制御がされ、加熱炉900の出口温度の制御が行われる。
【非特許文献1】「計装ハンドブック」、プロセス計装制御技術協会、平成3年5月1日、p.3−29
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、GTLの合成ガスリフォーマに、上述したTC/PCカスケード制御を適用した場合には、下記のような要因により、加熱負荷または燃料ガス性状の急激な変動により、合成ガスリフォーマ出口温度の精密な制御が行えないという問題があった。
(1) 原料軽質炭化水素ガスの組成の変動
(2) プラント運転ロード(製造負荷)変更
(3) 合成ガスリフォーマの運転条件(水蒸気/軽質炭化水素ガスの炭素数のモル比、CO/軽質炭化水素ガスの炭素数のモル比、合成ガスリフォーマ出口温度)変更
(4) FTセクションの気泡塔型反応器の運転条件(転化率、リサイクル比)変更
(5) アップグレーディングの運転条件(フラクショネーションスペック(蒸留塔の分離スペック))変更
合成ガスリフォーマ出口温度の精密な制御を行えないと、合成ガスの組成が変動し、H/CO比等において、GTLの製造プロセス上の許容範囲外になる危険性がある。さらに、GTLプラントの各セクションから排出されたオフガスを混合して、合成ガスリフォーマの燃料ガスに供する場合には、合成ガスリフォーマ出口の温度制御はより困難となる。従来、上記のような変動要因が生じた場合には、手動操作による合成ガスリフォーマの運転制御を行うため、多大な時間と労力が必要であった。例えば、合成ガスリフォーマ出口温度の変動を抑えながら、プラント運転ロードを10%程度増減させるには、所望のプラント運転ロードに移行するまでに8時間以上の時間を要することもあった。
そこで本発明は、合成ガスリフォーマ出口温度の精密な制御が行える、GTLプラントの合成ガスリフォーマの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のGTLプラントの合成ガスリフォーマの運転方法は、軽質炭化水素ガスに、少なくとも水蒸気とCOとを添加して混合流体とし、前記混合流体を加熱して、合成ガスを得る工程を有するGTLプラントの、合成ガスリフォーマの運転方法であって、前記合成ガスリフォーマで得られる合成ガスのHとCOとの流量と、前記合成ガスのHのモル数/前記合成ガスのCOのモル数で表されるH/CO比と、前記混合流体に添加する水蒸気のモル数/原料軽質炭化水素ガスの炭素のモル数で表される水蒸気/カーボン比と、前記混合流体に添加するCOのモル数/原料軽質炭化水素ガスの炭素のモル数で表されるCO/カーボン比と、前記合成ガスリフォーマの合成ガスの出口温度との制御目標値からなる運転条件を設定し、前記運転条件と、前記軽質炭化水素ガスの組成の測定値と、前記合成ガスリフォーマの入口における前記混合流体の温度の測定値と、前記合成ガスリフォーマの出口における合成ガスの圧力の測定値とから、前記軽質炭化水素ガスの流量と前記水蒸気の流量と前記COの流量との制御目標値と、前記合成ガスリフォーマが要する熱量を求め、前記軽質炭化水素ガスの流量の制御目標値と、前記水蒸気の流量の制御目標値と、前記COの流量の制御目標値とにより前記合成ガスリフォーマの運転負荷制御を行い、前記合成ガスリフォーマの炉効率を設定し、前記炉効率と、前記合成ガスリフォーマが要する熱量の値とから前記合成ガスリフォーマのバーナの燃焼負荷を求め、前記バーナの燃料ガスの組成を測定して、前記燃料ガスの低位発熱量を求め、前記バーナの燃焼負荷と、前記燃料ガスの低位発熱量と、前記合成ガスリフォーマのバーナ性能曲線とから、前記燃料ガスの圧力の制御目標値を定め、前記燃料ガスの圧力の制御目標値と、前記燃料ガスの圧力の測定値との偏差を求め、前記バーナの入口側に備えられた圧力制御弁へ、前記偏差を補償するための制御出力を行うことで、前記合成ガスリフォーマの出口における合成ガスの温度制御を行うことを特徴とする。
前記炉効率は、前記合成ガスリフォーマの燃焼排ガスの温度と、前記合成ガスリフォーマが要する熱量と、前記バーナの燃焼空気比と、前記燃料ガスの圧力と、の測定値から求めた値を用いることもできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の合成ガスリフォーマの運転方法によれば、GTLプラントにおいて、合成ガスリフォーマの運転負荷および出口温度の精密な制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態の一例について、以下に説明する。まず、本発明の合成ガスリフォーマの運転方法に用いる、GTLプラントについて、図1、2を用いて説明する。図1は、本発明の実施に用いられるGTLプラント8の模式図である。図2は、本発明の一実施形態にかかる合成ガスリフォーマ20の模式図である。
なお、本発明における軽質炭化水素ガスとは、天然ガス、油田随伴ガス、LPG等を指し、炭素数C1〜C5の炭化水素を示す。本実施形態の説明では、軽質炭化水素ガス原料として、天然ガスを例示して説明を行う。
【0009】
GTLプラント8は、天然ガス等の軽質炭化水素ガス原料を液体燃料に転換するGTLプロセスを実行するプラントである。図1に示すように、合成ガスセクション10と、FTセクション40と、アップグレーディングセクション70とで構成されている。合成ガスセクション10は、炭化水素原料である天然ガスを改質して一酸化炭素ガス(CO)と水素ガス(H)を含む合成ガスを生成する。FTセクション40は、生成された合成ガスからFT合成反応により液体炭化水素であるFTオイルを生成する。アップグレーディングセクション70は、FT合成反応により生成されたFTオイルを水素化・精製して液体燃料製品(ナフサ、灯油、軽油、ワックス等)を製造する。以下、これら各ユニットの構成要素について説明する。
【0010】
合成ガスセクション10は、例えば、脱硫反応器13と、合成ガスリフォーマ20と、排熱ボイラー15と、スチームドラム16と、気液分離器17と、脱炭酸装置30と、水素分離装置36とを主に備える。
脱硫反応器13は、天然ガス供給源11、水素分離装置36と接続されている。脱硫反応器13の出口側と、二酸化炭素(CO)供給源12と、燃料ガスドラム22とが合成ガスリフォーマ20と接続されている。合成ガスリフォーマ20の出口側には、排熱ボイラー15が接続されている。排熱ボイラー15は、スチームドラム16と、気液分離器17とに接続されている。スチームドラム16の出口側は、高圧水蒸気貯留槽18、合成ガスリフォーマ20、排熱ボイラー15と接続されている。気液分離器17は脱炭酸装置30と接続されている。脱炭酸装置30の出口側は、水素分離装置36、気泡塔型反応器(気泡塔型炭化水素合成反応器)42の入口側と接続されている。水素分離装置36は、配管38により燃料ガスドラム22と接続されている。
【0011】
脱硫反応器13は、水添脱硫装置等で構成され、原料である天然ガスから硫黄成分を除去する装置である。
排熱ボイラー15は、合成ガスリフォーマ20にて生成した合成ガスの排熱を回収して高圧水蒸気を発生する装置である。
スチームドラム16は、排熱ボイラー15において合成ガスとの熱交換により加熱された水を気体(高圧水蒸気)と液体とに分離する装置である。
気液分離器17は、排熱ボイラー15にて冷却された合成ガスから凝縮分を除去し気体分を脱炭酸装置30に供給する装置である。
脱炭酸装置30は、気液分離器17から供給された合成ガスから吸収液を用いて炭酸ガスを除去する吸収塔32と、当該炭酸ガスを含む吸収液から炭酸ガスを放散させて再生する再生塔34とを有する装置である。
【0012】
合成ガスリフォーマ20は、脱硫反応器13から供給された天然ガスを改質して、一酸化炭素ガス(CO)と水素ガス(H)とを主成分として含む合成ガスを生成する装置である。合成ガスリフォーマ20について、図2を用いて説明する。なお、説明の便宜上、図2では、天然ガスと水素ガスを混合した後に脱硫を行う脱硫反応器の図示を省略している。
図2の通り、合成ガスリフォーマ20は、略円筒形状の加熱炉204と、加熱炉204に備えられたバーナ200と、加熱炉204の略中心部に備えられた触媒管202と、加熱炉204に備えられた燃焼ガス排気口206とを有する。バーナ200は、燃焼空気220の供給源と接続されている。また、バーナ200は、燃料ガスドラム22と接続されている。触媒管202の入口側には、天然ガス111とCOガス112と水蒸気116と水素ガス136とを含む混合流体の温度(合成ガスリフォーマ20の入口温度)を測定する温度測定手段240と、天然ガス111の流量を調節する流量制御弁241と、天然ガス111の組成測定手段243とが設置されている。加えて、COガス112の流量を調節する流量制御弁250と、水蒸気116の流量を調節する流量制御弁260とが設置されている。流量制御弁241は流量制御手段242と、流量制御弁250は流量制御手段251と、流量制御弁260は流量制御手段261と、それぞれ接続されている。さらに、流量制御手段242、251、261は、運転制御システム218と接続されている。
バーナ200の入口側には、燃料ガス122の圧力測定手段210、燃料ガスの組成測定手段213が設置され、圧力測定手段210の上流側には圧力制御弁214が設置されている。圧力測定手段210と圧力制御弁214とには、圧力制御手段212が接続されている。圧力制御手段212は、運転制御システム218と接続されている。
合成ガスリフォーマ20の出口側には、合成ガス230の圧力を測定する圧力測定手段215と、合成ガス230の温度を測定する温度測定手段216が設置されている。そして、圧力測定手段215と、温度測定手段216とは、運転制御システム218に接続されている。
【0013】
バーナ200は燃料ガス122を燃焼させて、加熱炉204内に所望する熱量を与えることができれば特に限定されず、既存の装置を用いることができる。
触媒管202に充填される触媒は、水蒸気・二酸化炭素改質反応が行えるものであれば特に限定されず、例えば、ニッケル/アルミナ、ニッケル/マグネシア/アルミナ等のリフォーミング用触媒を用いることができる。
【0014】
温度測定手段216、240は特に限定されず、例えば、熱電対型の温度計等、既存のものを用いることができる。
圧力測定手段210、215は特に限定されず、例えば、ダイヤフラム型等、既存の装置を用いることができる。
組成測定手段213、243は特に限定されず、例えば、ガスクロマトグラフィ等を挙げることができる。
圧力制御手段212は特に限定されず、運転制御システム218からの出力を受けて、圧力制御弁214の開度調節を行えるものであれば良い。
流量制御手段242、251、261は特に限定されず、運転制御システム218からの出力を受けて、流量制御弁241、250、260の開度調節を行えるものであれば良い。
【0015】
水素分離装置36は、脱炭酸装置30により炭酸ガスが分離された合成ガスから、当該合成ガスに含まれる水素ガスの一部を水素分離ガスとして分離する装置である。
水素分離装置36は、脱炭酸装置30または気液分離器17と気泡塔型反応器(気泡塔型炭化水素合成反応器)42とを接続する主配管から分岐した分岐ラインに設けられる。この水素分離装置36は、例えば、圧力差を利用して水素の吸着と脱着を行う水素分離装置(Pressure Swing Adsorption:圧力変動吸着)などで構成できる。この水素分離装置は、並列配置された複数の吸着塔内に吸着剤(ゼオライト系吸着剤、活性炭、アルミナ、シリカゲル等)を有しており、各吸着塔で水素の加圧、吸着、脱着(減圧)、パージの各工程を順番に繰り返すことで、合成ガスから分離した純度の高い水素ガス(例えば99.999%程度)を、連続して所定の利用先へ供給することができる。なお、水素分離装置36における水素ガス分離方法としては、上記水素分離装置のような圧力変動吸着法の例に限定されず、例えば、水素吸蔵合金吸着法、膜分離法、あるいは、これらの組合せなどであってもよい。
【0016】
FTセクション40は、例えば、気泡塔型反応器42と、スチームドラム46と、分離器44と、気液分離器50とを主に備える。
気泡塔型反応器42は、脱炭酸装置30および分離器44とに接続されている。気泡塔型反応器42の冷却管43は、スチームドラム46と接続され、スチームドラム46は、中圧水蒸気貯留槽48と接続されている。気泡塔型反応器42の出口側には気液分離器50、分離器44が接続され、気液分離器50は、配管52により燃料ガスドラム22と接続されている。また、分離器44と気液分離器50とは、アップグレーディングセクション70の第1精留塔71と接続されている。
【0017】
気泡塔型反応器42は、合成ガスを液体炭化水素に合成する反応器の一例であり、FT合成反応により合成ガスから液体炭化水素を合成するFT合成用反応器として機能する装置である。この気泡塔型反応器42は、冷却管43を有している。
【0018】
スチームドラム46は、気泡塔型反応器42内に配設された冷却管43内を流通して加熱された水を、水蒸気(中圧水蒸気)と液体とに分離する装置である。
分離器44は、気泡塔型反応器42に接続され、液体炭化水素と触媒粒子とを分離処理する装置である。
気液分離器50は、未反応合成ガス、および、気体炭化水素を冷却分離する装置である。
【0019】
アップグレーディングセクション70は、例えば、第1精留塔71、WAX分水素化分解反応器72と、灯油・軽油留分水素化精製反応器74と、ナフサ留分水素化精製反応器76と、気液分離器78、80、82と、第2精留塔84と、ナフサ・スタビライザー86とを備える。
第1精留塔71の下部には、WAX分水素化分解反応器72が接続されている。第1精留塔71の中央部には、灯油・軽油留分水素化精製反応器74が接続されている。第1精留塔71の上部には、ナフサ留分水素化精製反応器76が接続されている。WAX分水素化精製反応器72には気液分離器78が接続され、灯油・軽油留分水素化精製反応器74には気液分離器80が接続され、ナフサ留分水素化精製反応器76には気液分離器82が接続されている。気液分離器82は、ナフサ・スタビライザー86と接続されている。気液分離器78、80は、第2精留塔84と接続されている。第2精留塔84は、ナフサ・スタビライザー86、灯油貯留槽92、軽油貯留槽94に接続されている。ナフサ・スタビライザー86は、ナフサ貯留槽90と接続される一方、配管87により燃料ガスドラム22と接続されている。
【0020】
第1精留塔71は、気泡塔型反応器42から分離器44、気液分離器50を介して供給された液体炭化水素を蒸留し、沸点に応じて各留分に分離・精製する装置である。
第2精留塔84は、気液分離器78、80から供給された液体炭化水素を沸点に応じて分離・精製する装置である。
ナフサ・スタビライザー86は、気液分離器82、および、第2精留塔84から供給されたナフサ留分の液体炭化水素を精留して、ブタンより軽い成分をアップグレーディングオフガスとして排出して燃料ガスドラム22に供給し、炭素数が5以上の成分を製品のナフサとして分離・回収する装置である。
【0021】
GTLプラント8による石油製品の製造方法について、図1〜3を用いて説明する。図3は、GTLプラント8における石油製品の製造工程と、燃料ガス122の流通の概略を説明するフロー図である。
まず、図3によりGTLプラント8による石油製品の製造方法の概要を説明する。図3の通り、天然ガス111と、COガス112と、水蒸気116と、水素ガス136とを含む混合流体が、合成ガスセクション10に供給される。燃料ガスドラム22からは、燃料ガス122が、合成ガスセクション10の合成ガスリフォーマ20(図2)のバーナ200に供給される。天然ガス111は、合成ガスセクション10で改質されて精製合成ガス103となり、FTセクション40に送られる。他方、副次的に産生される水素分離オフガス102は、燃料ガスドラム22に送られる。次いで、FTセクション40では、精製合成ガス103をFTオイル105とし、FTオイル105は、アップグレーディングセクション70に送られる。副次的に産生されるFTオフガス104は、燃料ガスドラム22に送られる。アップグレーディングセクション70では、ナフサ190、灯油192、軽油194が精製される。一方、副次的に産生されるアップグレーディングオフガス106は、燃料ガスドラム22へ送られる。加えて、天然ガス111の一部は、燃料ガスとして燃料ガスドラム22に送られる。こうして、燃料ガスドラム22は、天然ガス111と、水素分離オフガス102と、FTオフガス104と、アップグレーディングオフガス106とが混合された燃料ガス122を貯留し、バーナ200に供給する。
【0022】
図1、2を用いて、詳細に説明する。GTLプラント8には、天然ガス田または天然ガスプラント等の外部の天然ガス供給源11から、軽質炭化水素ガスとしての天然ガス(主成分がCH)111が供給される。上記合成ガスセクション10は、この天然ガス111を改質して精製合成ガス(一酸化炭素ガスと水素ガスを主成分とする混合ガス)103を製造する。
まず、天然ガス111は、水素分離装置36によって分離された水素ガス136と共に脱硫反応器13に供給される。脱硫反応器13は、水素ガス136を用いて天然ガス111に含まれる硫黄分を例えばZnO触媒で水添脱硫する。このようにして天然ガス111を予め脱硫しておくことにより、合成ガスリフォーマ20、および、気泡塔型反応器42等で用いられる触媒の活性が硫黄により低下することを防止できる。
【0023】
脱硫された天然ガス111(二酸化炭素を含んでもよい)は、CO供給源12から供給されるCOガス112と、排熱ボイラー15で発生した水蒸気116と、脱硫反応器13での水添脱硫の際に添加された水素ガス136とが混合した混合流体として、合成ガスリフォーマ20に供給される。合成ガスリフォーマ20は、水蒸気・炭酸ガス改質法により、COガス112と水蒸気116とを用いて天然ガス111を改質して、一酸化炭素ガスと水素ガスとを主成分とする高温の合成ガスを生成する。このとき、合成ガスリフォーマ20のバーナ200に、燃料ガス122と空気とが供給され、当該バーナ200における燃料ガス122の燃焼熱および合成ガスリフォーマ20の加熱炉204内の輻射熱により、吸熱反応である水蒸気・二酸化炭素改質反応に必要な反応熱がまかなわれている。
【0024】
合成ガスリフォーマ20では、例えば、下記式(1)、(2)で表される水蒸気・炭酸ガス改質法により、COガス112と水蒸気116とを用いて天然ガスを改質して、一酸化炭素ガスと水素ガスとを主成分とする高温の合成ガスが生成される。
【0025】
CH+HO→CO+3H ・・・(1)
CH+CO→2CO+2H ・・・(2)
【0026】
このようにして合成ガスリフォーマ20で生成された高温の合成ガス(例えば、900℃、2.0MPaG)は、排熱ボイラー15に供給され、排熱ボイラー15内を流通する水との熱交換により冷却(例えば280℃)されて、排熱回収される。このとき、排熱ボイラー15において合成ガスにより加熱された水はスチームドラム16に供給され、このスチームドラム16から、気体分が高圧水蒸気(例えば3.4〜10.0MPaG)として合成ガスリフォーマ20、または、高圧水蒸気貯留槽18を経由して他の外部装置に供給され、液体分の水が排熱ボイラー15に戻される。
【0027】
一方、排熱ボイラー15において冷却された合成ガスは、凝縮液分が気液分離器17において分離・除去された後、脱炭酸装置30の吸収塔32に供給される。吸収塔32は、貯留している吸収液内に、合成ガスに含まれる炭酸ガスを吸収することで、当該合成ガスから炭酸ガスを分離する。この吸収塔32内の炭酸ガスを含む吸収液は、再生塔34に導入され、当該炭酸ガスを含む吸収液は例えば水蒸気で加熱されてストリッピング処理され、放散された炭酸ガスは、再生塔34から合成ガスリフォーマ20に送られて、上記改質反応に再利用される。
【0028】
このようにして、合成ガスセクション10で生成された精製合成ガス103は、FTセクション40の気泡塔型反応器42へ供給される。気泡塔型反応器42に供給される合成ガスの組成比は、FT合成反応に適した組成比(例えば、H:CO=2:1(モル比))に調節されている。なお、気泡塔型反応器42に供給される合成ガスは、脱炭酸装置30と気泡塔型反応器42とを接続する配管に設けられた圧縮機(図示せず)により、FT合成反応に適切な圧力(例えば3.6MPaG)まで昇圧される。ただし、上記圧縮機は、設ける必要がない場合もある。
【0029】
また、上記脱炭酸装置30により炭酸ガスが分離された精製合成ガス103の一部は、水素分離装置36にも供給される。水素分離装置36は、圧力差を利用した吸着、脱着(PSA)により、合成ガスに含まれる水素ガス136を分離する。当該分離された水素ガス136は、ガスホルダー(図示せず)等から圧縮機(図示せず)を介して、GTLプラント8内において水素を利用して所定反応を行う各種の水素利用反応装置(例えば、脱硫反応器13、WAX分水素化分解反応器72、灯油・軽油留分水素化精製反応器74、ナフサ留分水素化精製反応器76など)に、連続して供給される。一方、水素分離後の水素分離オフガス102は、水素分離装置36から、配管38を経由して、燃料ガスドラム22に送られる。
【0030】
次いで、FTセクション40は、上記合成ガスセクション10によって生成された精製合成ガス103から、FT合成反応により、FTオイル105を合成する。
【0031】
具体的には、上記合成ガスセクション10によって生成された精製合成ガス103は、気泡塔型反応器42の底部から流入されて、反応器本体内の、液体炭化水素(FT合成反応の生成物)と触媒粒子との懸濁物であるスラリー中を上昇する。この際、反応器本体内では、FT合成反応により、精製合成ガス103に含まれる一酸化炭素と水素ガスとが反応して、炭化水素が生成される。さらに、この合成反応時には、冷却管43内に水を流通させることで、FT合成反応の反応熱を除去し、この熱交換により加熱された水が気化して水蒸気となる。この水蒸気は、スチームドラム46で液化した水が冷却管43に戻されて、気体分が中圧水蒸気(例えば1.0〜2.5MPaG)として、中圧水蒸気貯留槽48を経由して外部装置に供給される。
【0032】
こうして、気泡塔型反応器42で合成された液体炭化水素は、スラリーとして気泡塔型反応器42から取り出されて、分離器44に導入される。分離器44は、取り出されたスラリーを触媒粒子等の固形分と、液体炭化水素を含んだ液体分とに分離する。分離された触媒粒子等の固形分は、その一部を気泡塔型反応器42に戻される。また、気泡塔型反応器42の未反応ガス出口からは、未反応の合成ガスと、合成された炭化水素のガス分とが気液分離器50に導入される。気液分離器50は、これらのガスを冷却して、一部の凝縮分の液体炭化水素を含む液体を分離する。分離器44で分離された液体分と、気液分離器50で分離された液体とを合わせたFTオイル105が、第1精留塔71に供給される。一方、気液分離器50で分離されたガス分については、未反応の合成ガス(COとH)は、気泡塔型反応器42の底部に再投入されてFT合成反応に再利用される。また、炭素数が少ない(C以下)炭化水素ガスを主成分とするFTオフガス104は、配管52を経由して燃料ガスドラム22へ送られる。
気泡塔型反応器42では、接触反応により、液体炭化水素の合成反応(FT合成反応)が行われる。具体的には、下記式(3)に示すように水素ガスと一酸化炭素ガスとが合成反応を起こす。
【0033】
2nH+nCO→(−CH−)n+nHO ・・・(3)
【0034】
アップグレーディングセクション70の第1精留塔71は、上記のようにして気泡塔型反応器42から分離器44、気液分離器50を介して供給されたFTオイル(炭素数は多様)105を加熱して、沸点の違いを利用して分留し、ナフサ留分(沸点が約150℃未満)と、灯油・軽油留分(沸点が約150〜350℃)と、WAX分(沸点が約350℃より大)とに分離・精製する。この第1精留塔71の底部から取り出されるWAX分の液体炭化水素(主としてC21以上)は、WAX分水素化分解反応器72に送られ、第1精留塔71の中央部から取り出される灯油・軽油留分の液体炭化水素(主としてC11〜C20)は、灯油・軽油留分水素化精製反応器74に送られ、第1精留塔71の上部から取り出されるナフサ留分の液体炭化水素(主としてC〜C10)は、ナフサ留分水素化精製反応器76に送られる。
【0035】
WAX分水素化分解反応器72は、第1精留塔71の下部から供給された炭素数の多いWAX分の液体炭化水素(概ねC21以上)を、上記水素分離装置36から供給された水素ガス136を利用して水素化分解して、炭素数をC20以下に低減する。この水素化分解反応では、触媒と熱を利用して、炭素数の多い炭化水素のC−C結合を切断して、炭素数の少ない低分子量の炭化水素を生成する。このWAX分水素化分解反応器72により、水素化分解された液体炭化水素を含む生成物は、気液分離器78で気体と液体とに分離され、そのうち液体炭化水素は、第2精留塔84に送られる。一方、気体分(水素ガスを含む)は、灯油・軽油留分水素化精製反応器74、および、ナフサ留分水素化精製反応器76に送られる。
【0036】
灯油・軽油留分水素化精製反応器74は、第1精留塔71の中央部から供給された炭素数が中程度である灯油・軽油留分の液体炭化水素(概ねC11〜C20)を、水素分離装置36からWAX分水素化分解反応器72を介して供給された水素ガス136を用いて、水素化精製する。この水素化精製反応は、上記液体炭化水素の異性化、および、不飽和結合に水素を付加して飽和させ、主に側鎖状飽和炭化水素を生成する反応である。この結果、水素化精製された液体炭化水素を含む生成物は、気液分離器80で気体と液体に分離され、そのうち液体炭化水素は、第2精留塔84に送られる。一方、気体分(水素ガスを含む)は、上記水素化反応に再利用される。
【0037】
ナフサ留分水素化精製反応器76は、第1精留塔71の上部から供給された炭素数が少ないナフサ留分の液体炭化水素(概ねC10以下)を、水素分離装置36からWAX分水素化分解反応器72を介して供給された水素ガス136を用いて、水素化精製する。この結果、水素化精製された液体炭化水素を含む生成物は、気液分離器82で気体と液体に分離され、そのうち液体炭化水素は、ナフサ・スタビライザー86に送られ、気体分(水素ガスを含む)は、上記水素化反応に再利用される。
【0038】
次いで、第2精留塔84は、上記のようにしてWAX分水素化分解反応器72、および、灯油・軽油留分水素化精製反応器74から、気液分離器78、80を経由して供給された液体炭化水素を蒸留して、炭素数がC10以下の炭化水素(沸点が約150℃未満)と、灯油(沸点が約150〜250℃)192と、軽油(沸点が約250〜350℃)194、および、WAX水素化分解反応器78からの未分解WAX分(沸点約350℃)とに分離・精製する。第2精留塔84の下部からは軽油194が取り出されて軽油貯留槽94に貯留され、中央部からは灯油192が取り出されて灯油貯留槽92に貯留される。一方、第2精留塔84の塔頂からは、炭素数がC10以下の炭化水素ガスが取り出されて、ナフサ・スタビライザー86に供給される。
【0039】
さらに、ナフサ・スタビライザー86では、上記ナフサ留分水素化精製反応器76、および、第2精留塔84から供給された炭素数がC10以下の炭化水素を蒸留して、製品としてのナフサ(C〜C10)190を分離・精製する。これにより、ナフサ・スタビライザー86の下部からは、高純度のナフサ190が取り出され、ナフサ貯留槽90に貯留される。一方、ナフサ・スタビライザー86の塔頂からは、炭素数が所定数以下(C以下)の炭化水素を主成分とする排ガスが、アップグレーディングオフガス106として排出される。アップグレーディングオフガス106は、配管87により燃料ガスドラム22へ送られる。
【0040】
合成ガスリフォーマ20の運転は、以下に説明する方法により制御される。合成ガスリフォーマ20の運転方法につき、図4、5を用いて詳細に説明する。図4は、合成ガスリフォーマ20の出口温度(合成ガス温度)の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。図5は、バーナ性能曲線であって、合成ガスリフォーマのバーナ発熱量と燃料ガス圧力との関係を示すグラフである。なお、図4中、リフォーマとは合成ガスリフォーマを指す。また、SVとは制御目標値であることを表し、PVとは測定値であることを表し、MVとは制御出力を表す。
【0041】
図4に示すように、合成ガスリフォーマ20で製造するHとCOとの合計流量の目標値である運転ロード(運転負荷)の割合を設定する(ステップS302)。
合成ガスリフォーマ20で製造するHとCOとの、Hのモル数/COのモル数で表されるH/CO比の制御目標値を設定する(ステップS304)。
原料天然ガス111に混合する水蒸気116のモル数/原料天然ガス111の炭素のモル数で表されるS/C比の制御目標値を設定する(ステップS306)。
原料天然ガス111に混合するCOガス112のモル数/原料天然ガス111の炭素のモル数で表されるCO/C比の制御目標値を設定する(ステップS308)。
そして、合成ガスリフォーマ20の出口温度の制御目標値を設定し(ステップS310)、運転条件を設定する(ステップS300)。
【0042】
次いで、天然ガス111の組成を組成測定手段243で測定し(ステップS322)、合成ガスリフォーマ20の入口温度を温度測定手段240で測定し(ステップS324)、合成ガスリフォーマ20の出口圧力を圧力測定手段215で測定する(ステップS326)。
【0043】
ステップS322、S324、S326とで得られた測定値と、ステップS300で設定した運転条件とから、触媒管内物質収支計算により天然ガス111の流量の制御値を求めて、流量制御手段242へ出力する(ステップS332)。流量制御手段242は、前記出力に基づき、流量制御弁241の開度を調節する。
ステップS322、S324、S326とで得られた測定値と、ステップS300で設定した運転条件とから、S/C比により水蒸気116の流量の制御値を求めて、流量制御手段261へ出力する(ステップS334)。流量制御手段261は、前記出力に基づき、流量制御弁260の開度を調節する。
ステップS322、S324、S326とで得られた測定値と、ステップS300で設定した運転条件とから、CO/C比によりCOガス112の流量の制御値を求めて、流量制御手段251へ出力する(ステップS336)。流量制御手段251は、前記出力に基づき、流量制御弁250の開度を調節する。
こうして、合成ガスリフォーマ20の運転負荷制御を行う。
【0044】
一方で、ステップS322、S324、S326とで得られた測定値と、ステップS300で設定した運転条件とから、触媒管内熱収支計算により、合成ガスリフォーマ20で合成ガスの生成に要する熱量であるプロセスデューティを求める(ステップS338)。ここでいうプロセスデューティとは、触媒管202内での反応に要する熱量であり、言い換えれば、合成ガスリフォーマ20の入口における混合流体と、出口における合成ガス230とのエンタルピーの差である。
【0045】
次いで、炉効率を設定し(ステップS340)、前記リフォーマプロセスデューティを補正し、バーナ200のバーナ燃焼負荷を求める(ステップS342)。バーナ燃焼負荷は、例えば、ステップS338で求められたリフォーマプロセスデューティがxMW(メガワット)であり、炉効率がy%の場合、下記式を用いて求めることができる。例えば、リフォーマプロセスデューティを17.017MW、炉効率のSVが52.0%の場合には、下記式より、バーナ燃焼負荷32.75MWを求めることができる。
【0046】
バーナ燃焼負荷(MW)=x÷y% ・・・(4)
【0047】
燃料ガス122の組成を組成測定手段213で測定し(ステップS352)、得られた燃料ガス122の組成を基に、下記式により燃料ガスLHV(低位発熱量)を求める(ステップS354)。バーナ発熱量と燃料ガスの圧力との相関関係をLHV毎に表すバーナ性能曲線を求める(ステップS356)。
ここで、LHVとは、水(液体)から水蒸気(気体)にするための熱エネルギー(潜熱)を除いた発熱量を言う。
【0048】
【数1】

【0049】
次いで、ステップS342で求められたバーナ燃焼負荷、即ち、リフォーマプロセスデューティを賄うためのバーナ200の発熱量と、ステップS354で求められたバーナ燃料ガスLHVとをステップS356で求めたバーナ性能曲線に当てはめて、バーナ燃料ガス圧力の制御目標値(SV)を求める(ステップS358)。
【0050】
ステップS358のバーナ燃料ガス圧力のSVは、例えば、図5に示すバーナ性能曲線を用いて求めることができる。図5では、縦軸に合成ガスリフォーマ20のバーナ200の1台当たりの発熱量を取り、横軸には燃料ガス122の圧力を取り、バーナ200の発熱量と燃料ガス122の圧力との相関関係を表示している。凡例(a)は、LHV=39700kJ/Nmの際のバーナ性能を示し、凡例(b)は、LHV=33600kJ/Nmの際のバーナ性能を示し、凡例(c)は、LHV=25000kJ/Nmの際のバーナ性能を示し、凡例(d)は、LHV=17900kJ/Nmの際のバーナ性能を示し、凡例(e)は、LHV=13600kJ/Nmの際のバーナ性能を示している。なお、「Nm」とは、「m(標準状態)」を表すものとする(以降において同じ)。
ステップS354で求められたバーナ燃料ガスLHVに対応するバーナ200の発熱量と燃料ガス122の圧力との関係を示すグラフを選定する。ステップS342で求められたバーナ燃焼負荷の値をバーナ200の1台当たりの発熱量として当てはめ、対応する燃料ガス122の圧力を求めることができる。
【0051】
次いで、合成ガスリフォーマ20の燃料ガス122の圧力を圧力測定手段210により測定し、燃料ガス圧力の測定値(PV)を得る(ステップS360)。そして、ステップS358で求められた燃料ガス圧力のSVと、ステップS360で得られた燃料ガス圧力PVとの差、ΔPを求める(ステップS370)。そして、ステップS370で求められたΔPに基づいて、該ΔPを補償するように運転制御システム218から圧力制御手段212に対して、制御出力を行う(ステップS372)。
圧力制御手段212では、前記制御出力に基づいて、圧力制御弁214の開度を決定し、圧力制御弁214の開度調節を行う。
【0052】
なお、温度測定手段216では、合成ガスリフォーマ20出口の合成ガス230の温度を測定して、合成ガスリフォーマ20出口の温度が規定の範囲を逸脱しないように、燃料ガス111の圧力の変化分を調整するために用いられる。
【0053】
合成ガスリフォーマ20の出口温度は、最終生成物の石油製品の比率や量等を勘案して決定することができ、例えば、850〜950℃の範囲で決定することが好ましい。上記範囲の下限値未満であると原料転化率が低く、触媒管202の本数を増やす必要があり、上記範囲の上限値を超えると、触媒管等の材質が高級化して、いずれも経済性が悪いためである。
【0054】
/CO比SVは、FTセクション40からの要求に従い、1.90〜2.10の範囲で設定される。上記範囲外では、転化率の低下、生成物分布の異常、触媒劣化等、FT反応上の不都合が生じるためである。
【0055】
S/C比SVは、0.9〜2.0に設定される。0.9未満では、合成ガスリフォーマ20の触媒にカーボンが析出し、運転困難となる恐れがあり、2.0を超えると合成ガスリフォーマ20の熱効率が低下して経済的な不利が生じるためである。
【0056】
炉効率は、使用する合成ガスリフォーマ20の形状や容量に応じて決定することができ、例えば、50〜60%の範囲で設定することができる。
【0057】
上述したように、本発明の合成ガスリフォーマの運転方法によれば、合成ガスリフォーマに必要な熱量を随時算出し、該熱量に必要な燃料ガス量に応じて、燃料ガス圧力の調節を行うことができる。この結果、燃料ガス組成の変動、運転ロードの変更、合成ガスリフォーマの運転条件の変更、気泡塔型反応器の運転条件の変更、アップグレーディングセクションの運転条件の変更にも対応し、合成ガスリフォーマに適切な熱量を与えることができる。そして、合成ガスリフォーマ出口の合成ガス温度を精密に制御することで、合成ガスの組成を制御し、生成される石油製品の組成、品質の安定化を図ることができる。
【0058】
上述の実施形態では、任意の炉効率を設定している(ステップS340)が、炉効率は、例えば次のように設定しても良い。炉効率の設定方法について、図6を用いて説明する。図6は、合成ガスリフォーマ20の出口温度(合成ガス温度)の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図6中、リフォーマとは合成ガスリフォーマを指す。また、SVとは制御目標値であることを表し、PVとは測定値であることを表し、MVとは制御出力を表す。
合成ガスリフォーマ20における燃焼排ガス232(図2)の温度を測定する(ステップS432)。バーナ200に供給する燃焼空気220と燃料ガス122の流量を測定して、燃焼空気220のモル数/燃料ガス122のモル数で表される燃料空気比を求める(ステップS434)。燃料ガス122の圧力を圧力測定手段210で測定する(ステップS436)。1回前の制御周期において行った、燃料ガス122の圧力制御の出力にあたり、ステップS338で求めたリフォーマプロセスデューティの値を現在値(PV)として入力する(ステップS438)。例えば、1秒毎にステップS372による出力と制御を実施している場合には、1秒前のステップS338で求められたリフォーマプロセスデューティを入力する。そして、燃焼排ガス232の温度と、燃焼空気比、燃料ガス122の圧力とから求めたバーナの発熱量をpMWとし、ステップS438で入力したリフォーマプロセスデューティの値をqMWとした場合、下記式により炉効率PVを求める(ステップS440)。例えば、求めたバーナ発熱量が33.3MWであって、ステップS438で入力したリフォーマプロセスデューティが17.0MWである場合、下記式より、炉効率PV=51.05%が求まる。
【0059】
炉効率PV=p÷q ・・・(6)
【0060】
こうして、得られた炉効率PVと、ステップS338で設定されたリフォーマプロセスデューティとから、バーナ200の燃焼負荷を求めることができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
図1に示すプロセス構成をもち、GTL製品として527BPD(83.8m/日、BPDは日産量であるBarrel per dayを表す)の容量をもつ実証プラントを用い、合成ガスリフォーマ定常運転負荷/出口温度制御および運転負荷変化試験を実施した。
なお、GTL製品527BPDの内訳は、ナフサ163BPD(25.9m/日)、灯油208BPD(33.07m/日)、軽油156BPD(24.8m/日)である。また、GTL製品527BPDは、合成ガスとしてH+CO=17030Nm/hに相当する。該合成ガスリフォーマは、触媒管48本、および、バーナー24台を有する。
【0062】
(実施例1)合成ガスリフォーマの定常運転負荷および出口温度制御試験1
本願の方法に則り、運転ロードSV=100%(H+CO=17030Nm/h)、H/CO比SV=2.015、S/C(水蒸気/カーボン)比SV=1.086、CO/C(CO/カーボン)比SV=0.42、および、合成ガスリフォーマ出口温度SV=890℃を指定した。
次いで、原料天然ガス組成PVとして、オンラインガスクロマトグラフより、天然ガス中の炭素モル数、および、水素モル数を求め、合成ガスリフォーマの入口の混合流体温度PV、および、合成ガスリフォーマの出口圧力PVを用いて、合成ガスリフォーマ運転負荷(原料天然ガス流量、スチーム流量、CO流量)制御試験を行った。その結果を表1に示す。なお、表1中の各流量の値は、1時間(3600点)に亘る平均値、および、その変動幅は標準偏差をもって示す。
【0063】
次いで、触媒管内熱収支計算により求めたリフォーマプロセスデューティと、指定した炉効率=52.0%とからバーナ燃焼負荷を求めた。オンラインガスクロマトグラフによりバーナ燃料ガス組成PVを測定し、バーナ燃料ガス組成PVからバーナ燃料ガスLHVを求めた。求めたバーナ燃料ガスLHVと、数値モデル化されたバーナ性能曲線(図5)を用いてバーナ燃料ガス圧力を決定した。この際、合成ガスリフォーマ出口の温度制御に係わる変数を表1に示す。なお、各変数は、1時間(3600点)に亘る平均値をもって示す。
【0064】
決定されたバーナ燃料ガス圧力を圧力制御手段に制御出力し、合成ガスリフォーマの運転を行った。合成ガスリフォーマの定常運転負荷、および、出口温度制御の結果を表1に示す。なお、H+CO生産量(Nm/h)、H/CO比、合成ガスリフォーマ出口温度(℃)は、いずれも1時間(3600点)に亘る平均値、および、その変動幅は標準偏差をもって示す。
【0065】
(実施例2)合成ガスリフォーマの定常運転負荷および出口温度制御試験2
S/C比SV=1.098、合成ガスリフォーマ出口温度SV=900℃、炉効率=51.4%を指定した以外は、実施例1と同一の条件で合成ガスリフォーマ定常運転負荷および出口温度制御試験を実施し、その結果を表1に示す。
【0066】
(実施例3)合成ガスリフォーマの定常運転負荷および出口温度制御試験3
S/C比SV=1.110、合成ガスリフォーマの出口温度SV=910℃、炉効率=50.9%を指定した以外は、実施例1と同一の条件で合成ガスリフォーマ定常運転負荷および出口温度制御試験を実施し、その結果を表1に示す。
【0067】
GTLプラントの起動操作は、合成ガスセクション→FTセクション→アップグレーディングセクションの順で実施される。最初に合成ガスセクションを立上げ、部分負荷(50〜60%)を維持しながら、下流側のFTセクションとアップグレーディングセクションとの立上げを待機する形式を取る。なお、この際の合成ガスリフォーマの燃料ガスは、水素分離オフガス、および、天然ガスで賄われる。合成ガスセクションのこのような待機運転中においても、合成ガスリフォーマの運転負荷および出口温度の精密な制御が求められる。本実施例では、かかる合成ガスリフォーマの待機運転を想定した運転負荷および出口温度制御試験を実施した。
【0068】
(実施例4)合成ガスリフォーマの待機運転負荷および出口温度制御試験1
SV=50%(H+CO=8515Nm/h)、H/CO比SV=2.015、S/C比SV=1.086、CO/C比SV=0.42、合成ガスリフォーマ出口温度SV=890℃を指定した。
次いで、原料天然ガス組成PVとして、オンラインガスクロマトグラフより、天然ガス中の炭素モル数、および、水素モル数を求め、合成ガスリフォーマ入口の混合流体温度PV、および、合成ガスリフォーマの出口圧力PVを用いて、合成ガスリフォーマの運転負荷(原料天然ガス流量、スチーム流量、CO)制御試験を行った。その結果を表1に示す。なお、表1中の各流量の値は、1時間(3600点)に亘る平均値、および、その変動幅は標準偏差をもって示す。
【0069】
次いで、触媒管内熱収支計算により求めたリフォーマプロセスデューティと、指定した炉効率=49.1%とからバーナ燃焼負荷を求めた。オンラインガスクロマトグラフによりバーナ燃料ガス組成PVを測定し、バーナ燃料ガス組成PVからバーナ燃料ガスLHVを求めた。求めたバーナ燃料ガスLHVと、数値モデル化されたバーナ性能曲線(図5)を用いてバーナ燃料ガス圧力を決定した。この際、合成ガスリフォーマ出口の温度制御に係わる変数を表1に示す。なお、各変数は、1時間(3600点)に亘る平均値をもって示す。
【0070】
決定されたバーナ燃料ガス圧力を圧力制御手段に制御出力し、合成ガスリフォーマの運転を行った。合成ガスリフォーマの定常運転負荷、および、出口温度制御の結果を表1に示す。なお、H+CO生産量(Nm/h)、H/CO比、合成ガスリフォーマ出口温度(℃)は、いずれも1時間(3600点)に亘る平均値、および、その変動幅は標準偏差をもって示す。
【0071】
(実施例5)合成ガスリフォーマの待機運転負荷および出口温度制御試験2
S/C比SV=1.098、合成ガスリフォーマの出口温度SV=900℃、炉効率=48.6%と指定した以外は、実施例4と同一の条件で合成ガスリフォーマ待機運転時の負荷および出口温度制御試験を実施し、その結果を表1に示す。
【0072】
(実施例6)合成ガスリフォーマの待機運転負荷および出口温度制御試験3
S/C比SV=1.110、合成ガスリフォーマの出口温度SV=910℃、炉効率=48.0%と指定した以外は、実施例4と同一の条件で合成ガスリフォーマ待機運転時の負荷および出口温度制御試験を実施し、その結果を表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
表1に示すとおり、合成ガスリフォーマの出口温度制御に関して、実施例1〜6では、合成ガスリフォーマの出口温度SVと合成ガスリフォーマの出口温度PVとの差は0.3℃以下であった。中でも実施例1〜3は、0.1℃以下であった。また、実施例1〜6のいずれの結果においても、合成ガスリフォーマの出口温度PVの標準偏差が0.23以下であり、高精度に制御されていることが判った。
+CO流量PV、H/CO比PVで示される運転ロードは、100%運転ロードのH+CO流量SV(17030Nm/h)、H/CO比SV(2.015)に近似する数値で達成され、その標準偏差からは、合成ガスリフォーマ運転中の変動が極めて小さいことが判った。
【0075】
GTLプラントの起動時、又は、停止時、あるいは、製品生産量変更時には、プラントを構成する各セクションの運転負荷が変更される。
運転ロード変更に際しては、経済的観点より迅速かつ製品性状に影響を与えない操作が要求され、合成ガスリフォーマに対しては、運転ロード変化中も合成ガスリフォーマ出口温度、および、合成ガス中のH/CO比を一定に保つことが強く求められる。
こうした観点より、実施例1〜6と同じGTL実証プラントにおいて、二種類の運転ロード変化(ロードアップおよびロードダウン)試験を実施した。なお、実証プラントの合成ガスリフォーマの運転ロードSV=100%においては、H+CO=17030Nm/hである。
【0076】
(実施例7)負荷変化試験:ロードアップ
運転ロードは、90%から100%に、50分間かけてロードアップさせた。コントローラからのRamp操作(一定速度でSV(制御目標値)を変化させる)によって天然ガス、水蒸気、COの供給量を0.2ポイント/分の速度で増大させた。合成ガスリフォーマの出口温度SVは900℃とした。
なお、本試験時、合成ガスセクション下流のFTおよびアップグレーディングセクションは、それぞれ、運転ロード90%で待機させ、下記の条件は一定に保っていた。
・合成ガスリフォーマの入口の混合流体温度:520℃
・合成ガスリフォーマの出口圧力:1961kPaG
・S/C比:1.098
・CO/C比:0.42
実施例7の結果を図7に示す。
【0077】
(比較例1)負荷変化試験:ロードアップ
図10に示すフローチャートに則り、従来のTC(温度調節)/PC(圧力調節)カスケード制御法により、合成ガスリフォーマの出口温度の制御を行った以外は、実施例7と同様にしてGTL実証プラントの運転を行った。比較例1の結果を図7に示す。
【0078】
(実施例8)負荷変化試験:ロードダウン
運転ロードは、90%から80%に、50分間かけてロードダウンさせた。コントローラからのRamp操作(一定速度でSV(制御目標値)を変化させる)によって天然ガス、水蒸気、COの供給量を0.2ポイント/分の速度で減少させた。合成ガスリフォーマの出口温度SVは900℃とした。
なお、本試験時、合成ガスセクション下流のFTおよびアップグレーディングセクションは、それぞれ、運転ロード80%で待機させ、下記の条件は一定に保っていた。
・合成ガスリフォーマの入口の混合流体温度:520℃
・合成ガスリフォーマの出口圧力:1961kPaG
・S/C比:1.098
・CO/C比:0.42
実施例8の結果を図8に示す。
【0079】
(比較例2)負荷変化試験:ロードダウン
図10に示すフローチャートに則り、従来のTC/PCカスケード制御法により、合成ガスリフォーマの出口温度の制御を行った以外は、実施例8と同様にしてGTL実証プラントの運転を行った。比較例2の結果を図8に示す。
【0080】
図7は、50分間のロードアップにおける、運転ロード(A1)の負荷率推移、水蒸気(A2)、天然ガス(A3)、CO(A4)の各流量推移、燃焼ガス圧力の実施例7(X1)と比較例1(Y1)との推移、合成ガスリフォーマ出口温度の実施例7(X2)と比較例1(Y2)との推移、H/CO比の実施例7(X3)と比較例1(Y3)との推移、H+CO流量の実施例7(X4)と比較例1(Y4)との推移を示すグラフである。
図7に示すとおり、本発明による運転負荷および合成ガスリフォーマ出口温度制御法を行った実施例7では、運転ロードの90%→100%へのアップに伴い、燃料ガスの圧力が直線状に上昇し(41.37→46.62kPaG)、合成ガスリフォーマ出口温度が一定(900±1.0℃)に保たれる。
これにより合成ガス中のH/CO比の値もほぼ一定値(2.015±0.02)を維持し、H+CO流量も90%(15327Nm/h)から100%(17030Nm/h)へ、スムーズに増加することが分かる。また、50分間という短時間で、合成ガスリフォーマの出口温度を一定にしながら、10%のロードアップが行えることが判った。
一方、従来法である比較例1では、運転ロードが上昇を開始した時、フィードバック制御の応答の遅れのために、燃料ガス圧力の上昇に遅れが生じ、合成ガスリフォーマ出口温度が急激に低下する。それを補償する為に、次の段階において燃料ガス圧力が急激な増大を示し、それに応じて合成ガスリフォーマ出口温度も急激な上昇に転じて、目標値を超えてしまう(オーバーシュートと呼ばれる現象)。合成ガス中のH/CO比の値も、H+CO流量も運転ロードが90→100%にアップする間、それぞれの目標値から上下に相当程度偏倚した挙動を示すことが分かる。
比較例1の従来法では、触媒管の熱容量の大きさ、触媒管での流体の滞留、触媒管出口から合成ガスリフォーマの出口温度測定点までの熱容量等の要因により、制御の応答の遅れとオーバーシュートが避けられず、合成ガスリフォーマの運転ロードアップ制御には適用出来ないことが明らかとなった。
【0081】
図8は、50分間のロードダウンにおける、運転ロード(B1)の負荷率推移、水蒸気(B2)、天然ガス(B3)、CO(B4)の各流量推移、燃焼ガス圧力の実施例8(X5)と比較例2(Y5)との推移、合成ガスリフォーマ出口温度の実施例8(X6)と比較例2(Y6)との推移、H/CO比の実施例8(X7)と比較例2(Y7)との推移、H+CO流量の実施例8(X8)と比較例2(Y8)との推移を示すグラフである。
図8に示すとおり、本発明による運転負荷および合成ガスリフォーマ出口温度制御法を行った実施例8では、運転ロードの90%→80%へのダウンに伴い、燃料ガスの圧力が直線状に低下し(39.44→33.18kPaG)、合成ガスリフォーマ出口温度が一定(900±1.0℃)に保たれる。
これにより合成ガス中のH/CO比の値もほぼ一定値(2.015±0.02)を維持し、H+CO流量も90%(15327Nm/h)から80%(13624Nm/h)へ、スムーズに移行することが分かる。また、50分間という短時間で、合成ガスリフォーマの出口温度を一定にしながら、10%のロードダウンが行えることが判った。
一方、従来法である比較例2の場合、運転ロードが下降を開始した時、フィードバック制御の応答の遅れのために燃料ガス圧力の低下に遅れが生じ、その為合成ガスリフォーマ出口温度が急激に上昇する。それを修正する為に次の段階において燃料ガス圧力が急激な低下を示し、それに応じて合成ガスリフォーマ出口温度も急激な下降に転じ目標値を下回ってしまう(オーバーシュートと呼ばれる現象)。
合成ガス中のH/CO比の値も、H+CO流量も運転ロードが90→80%にダウンする間、それぞれの目標値から上下に相当程度偏倚した挙動を示すことが分かる。
比較例2の従来法では、応答の遅れとオーバーシュートが避けられず、合成ガスリフォーマの運転ロードダウン制御には適用出来ないことが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態にかかるGTLプラントを示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる合成ガスリフォーマを示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる製油製品の製造方法を示すフロー図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる合成ガスリフォーマの制御方法を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態にかかるバーナ燃料ガス圧力とバーナ発熱量の相関を示すグラフである。
【図6】本発明の実施形態にかかる合成ガスリフォーマの制御方法を説明するフローチャートである。
【図7】合成ガスリフォーマの負荷を90%から100%にロードアップさせた試験の結果を示すグラフである。
【図8】合成ガスリフォーマの負荷を90%から80%にロードダウンさせた試験の結果を示すグラフである。
【図9】従来の温度制御方法を説明する加熱炉の模式図である。
【図10】従来の加熱炉の温度制御方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
8 GTLプラント
20 合成ガスリフォーマ
200 バーナ
214 圧力制御弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽質炭化水素ガスに、少なくとも水蒸気とCOとを添加して混合流体とし、前記混合流体を加熱して、合成ガスを得る工程を有するGTLプラントの、合成ガスリフォーマの運転方法であって、
前記合成ガスリフォーマで得られる合成ガスのHとCOとの流量と、前記合成ガスのHのモル数/前記合成ガスのCOのモル数で表されるH/CO比と、前記混合流体に添加された水蒸気のモル数/原料軽質炭化水素ガスの炭素のモル数で表される水蒸気/カーボン比と、前記混合流体に添加されたCOのモル数/原料軽質炭化水素ガスの炭素のモル数で表されるCO/カーボン比と、前記合成ガスリフォーマの合成ガスの出口温度との制御目標値からなる運転条件を設定し、
前記運転条件と、前記軽質炭化水素ガスの組成の測定値と、前記合成ガスリフォーマの入口における前記混合流体の温度の測定値と、前記合成ガスリフォーマの出口における合成ガスの圧力の測定値とから、前記軽質炭化水素ガスの流量と前記水蒸気の流量と前記COの流量との制御目標値と、前記合成ガスリフォーマが要する熱量を求め、
前記軽質炭化水素ガスの流量の制御目標値と、前記水蒸気の流量の制御目標値と、前記COの流量の制御目標値とにより前記合成ガスリフォーマの運転負荷制御を行い、
前記合成ガスリフォーマの炉効率を設定し、
前記炉効率と、前記合成ガスリフォーマが要する熱量の値とから前記合成ガスリフォーマのバーナの燃焼負荷を求め、
前記バーナの燃料ガスの組成を測定して、前記燃料ガスの低位発熱量を求め、
前記バーナの燃焼負荷と、前記燃料ガスの低位発熱量と、前記合成ガスリフォーマのバーナ性能曲線とから、前記燃料ガスの圧力の制御目標値を定め、
前記燃料ガスの圧力の制御目標値と、前記燃料ガスの圧力の測定値との偏差を求め、
前記バーナの入口側に備えられた圧力制御弁へ、前記偏差を補償するための制御出力を行うことで、前記合成ガスリフォーマの出口における合成ガスの温度制御を行う、GTLプラントの合成ガスリフォーマの運転方法。
【請求項2】
前記炉効率は、前記合成ガスリフォーマの燃焼排ガスの温度と、前記合成ガスリフォーマが要する熱量と、前記バーナの燃焼空気比と、前記燃料ガスの圧力と、の測定値から求めた値であることを特徴とする、請求項1に記載のGTLプラントの合成ガスリフォーマの運転方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−242158(P2009−242158A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89737(P2008−89737)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(504117958)独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (101)
【出願人】(509001630)国際石油開発帝石株式会社 (57)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【出願人】(591090736)石油資源開発株式会社 (70)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(000003285)千代田化工建設株式会社 (162)
【Fターム(参考)】